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1. WO2013111728 - ハニカム構造体

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明 細 書

発明の名称 ハニカム構造体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008   0009   0010  

課題を解決するための手段

0011  

発明の効果

0012   0013   0014   0015   0016  

図面の簡単な説明

0017  

発明を実施するための形態

0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035  

実施例

0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075  

符号の説明

0076  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

明 細 書

発明の名称 : ハニカム構造体

技術分野

[0001]
 本発明は、自動車等の内燃機関の排ガスを浄化するための触媒の担体として用いられるハニカム構造体に関する。

背景技術

[0002]
 自動車等の内燃機関の排ガスを浄化するための触媒の担体として、例えば、格子状に設けられた隔壁と、その隔壁に囲まれて形成された複数のセルとを有するハニカム構造体が知られている。ハニカム構造体は、排ガスの通路となる排気管内に設置して用いられる。そして、高温の排ガスをハニカム構造体に流通させることにより、ハニカム構造体に担持した触媒を活性化させ、排ガスの浄化を行う。
[0003]
 近年、自動車等の排ガス規制が厳しくなっていることから、内燃機関の始動直後に発生する有害物質(コールドエミッション)の低減がより一層求められている。そのため、ハニカム構造体の隔壁の厚みを小さくして軽量化を図り、触媒が活性する温度まで早く昇温させるといった方法や、ハニカム構造体に流入する排ガスの流速分布を均一化することで担持されている触媒全体を有効に活用するといった方法が必要となってくる。このようなことから、ハニカム構造体には、より高い排ガス浄化性能、より低い圧力損失(以下、適宜、圧損という)等が要求される。
[0004]
 例えば、特許文献1には、軸方向に直交する断面において中心部と外周部とを有し、その中心部と外周部との触媒量、表面積、セル密度等の関係を規定したハニカム構造体が開示されている。また、特許文献2には、円筒状の内周壁を備え、内周壁よりも内側に配置された第1のセルの形状を六角形とし、内周壁よりも外側に配置された第2のセルの形状を六角形とは異なる形状(円形、楕円形、四角形、三角形)とするハニカム構造体が開示されている。また、特許文献3には、四角形状のセルのみを有し、中心部と外周部との開口率、吸水率等の関係を規定したハニカム構造体が開示されている。
[0005]
 また、特許文献4には、第1のセル部(中心部)と第2のセル部(外周部)との間に内部皮を形成し、第1のセル部と第2のセル部とのセル密度等の関係を規定したハニカム構造体が開示されている。また、特許文献5には、中心部から外周部に向かって半径方向に形成された半径方向ウェブ(隔壁)の本数が径方向に変化するハニカム構造体が開示されている。また、特許文献6には、隔壁が中心から外側に向かって凸状に湾曲した形状であり、中心部のセル密度が外周部のセル密度よりも小さいハニカム構造体が開示されている。また、特許文献7には、セル開口率が中心部から外周部に向かって連続的又は段階的に増大してなるハニカム構造体が開示されている。
[0006]
 また、特許文献8には、第1のハニカム部(中心部)と第2のハニカム部(外周部)とを直接接合して一体化されてなり、第1のハニカム部と第2のハニカム部とのセル密度、隔壁厚さ、セルの断面形状等が異なるハニカム構造体が開示されている。また、特許文献9には、複数のハニカムセグメントを接合して一体化されてなり、最外周面を構成しないハニカムセグメントと最外周面を構成するハニカムセグメントとの隔壁厚さ、セル密度等の関係を規定したハニカム構造体が開示されている。また、特許文献10には、中心から外周に向かうにつれてセル密度が漸減している領域を含むハニカム構造体が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2002-177794号公報
特許文献2 : 特開2008-200605号公報
特許文献3 : 特開2008-18370号公報
特許文献4 : 特許第3219292号公報
特許文献5 : 特表2009-532605号公報
特許文献6 : 特許第4511396号公報
特許文献7 : 特開2006-281134号公報
特許文献8 : 特許第4640903号公報
特許文献9 : 特許第4094823号公報
特許文献10 : 特許第4332847号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 しかしながら、特許文献1~5のハニカム構造体では、中心部と外周部との間に内周壁が設けられているため、内周壁と中心部又は外周部との境界付近において不完全な形状のセル(隔壁のみに囲まれたセルではなく、隔壁と内周壁とによって囲まれたセル)が形成される。そのため、ハニカム構造体に触媒を担持した場合に、触媒の目詰まりが生じ、圧力損失が大きくなるおそれがある。また、特許文献3には、内周壁がない構造も開示されているが、中心部や外周部のセルと両者の境界部分のセルとの形状が同一であるため、耐熱衝撃性が低くなるおそれがある。
[0009]
 また、特許文献6のハニカム構造体では、中心部に排ガスが集中して流れやすい構造や外側へ行くほどセル密度が不均一に低くなる部分が生じる構造となるため、排ガスの流れを考慮した浄化性能の向上につながるものではなく、そのデータも開示されていない。さらに、外形寸法が真円でないため、長手方向の外周部に排ガスが流れにくい構造となり、排ガス浄化性能を十分に確保することができないおそれがある。また、特許文献7~10のハニカム構造体では、複数のセグメントを接合して一体化されているため、接合部分の隔壁の厚みが大きくなり、それに伴って圧力損失が大きくなるおそれがある。
[0010]
 本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、圧力損失の低減を図り、排ガス浄化性能を向上させることができるハニカム構造体を提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

[0011]
 本発明の一の態様は、格子状に設けられた隔壁と該隔壁に囲まれて形成された複数のセルとを有し、一体成形されたコージェライト製のハニカム構造体であって、該ハニカム構造体は、軸方向に直交する断面において、中心部から外周部に向かって径方向にセル密度の異なる複数のセル密度領域を有し、隣り合う該セル密度領域同士の間には、両者を隔てる境界領域が設けられており、該境界領域は、両側にある上記セル密度領域の上記隔壁同士の間をつなぐ境界隔壁と、少なくとも一部が該境界隔壁によって囲まれ、両側にある上記セル密度領域の上記セルとは異なる形状の多角形状の複数の境界セルとを有し、上記境界領域における上記境界セルの平均水力直径をΦ1、上記境界領域のすぐ内側にある上記セル密度領域における上記セルの平均水力直径をΦ2とした場合に、Φ1/Φ2≧1.25であることを特徴とするハニカム構造体にある(請求項1)。

発明の効果

[0012]
 上記ハニカム構造体は、軸方向に直交する断面(以下、適宜、径方向断面という)において、径方向にセル密度が段階的に変化するよう構成された複数のセル密度領域を有する。また、セル密度領域同士の間には、両者を隔てる境界領域が設けられている。そして、該境界領域は、両側にあるセル密度領域の隔壁同士の間をつなぐ境界隔壁と、少なくとも一部が該境界隔壁によって囲まれ、両側にあるセル密度領域のセルとは異なる形状の多角形状の複数の境界セルとを有する。
[0013]
 すなわち、上記ハニカム構造体は、セル密度が変化するセル密度領域同士の境界部分に、セル密度領域と同様の構成である隔壁(境界隔壁)とセル(境界セル)とを有する境界領域が設けられている。そのため、セル密度領域同士の間に両者を隔てる筒状の隔壁(内周壁)等を設けた従来の構成と異なり、セル密度領域同士の境界部分に不完全なセルが形成されないようにすることができる。なお、ここでの不完全セルとは、境界領域のすぐ内側にあるセル密度領域のセルよりも水力直径の小さい、境界領域近傍に位置するセルのことである。これにより、セル密度領域同士の境界部分における触媒の目詰まりを抑制することができる。その結果、圧力損失の低減を図ることができる。
[0014]
 また、上記ハニカム構造体は、境界領域における境界セルの平均水力直径Φ1と、境界領域のすぐ内側にあるセル密度領域におけるセルの平均水力直径Φ2とが、Φ1/Φ2≧1.25の関係を満たす。そのため、セル密度領域よりも容易に、境界領域の境界セル内(具体的には境界隔壁の表面)に触媒を担持させることができる。これにより、境界領域の境界セルにおける触媒の目詰まりを抑制することができる。その結果、圧力損失の低減を図り、排ガス浄化性能を向上させるという上述の効果を十分かつ確実に得ることができる。
[0015]
 また、上記ハニカム構造体において、例えば、排ガスが最も流通する部分(例えば中心部)に、セル密度が高い領域を配置することにより、内燃機関の始動直後にハニカム構造体を触媒が活性する温度まで早期に昇温することができる。これにより、エミッションの低減を図り、排ガス浄化性能をさらに向上させることができる。また、例えば、上記ハニカム構造体の外側にセル密度が低いセル密度領域を配置することにより、外側にも排ガスが流れやすくなる。これにより、排ガスを各セル密度領域内により均一に流通させることができ、排ガス浄化性能をさらに向上させることができる。また、ハニカム構造体全体の開口率(軸方向端面の面積に対して開口している面積の割合)が高くなることから、圧力損失を低減することもできる。
[0016]
 このように、圧力損失の低減を図り、排ガス浄化性能を向上させることができるハニカム構造体を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0017]
[図1] 本願発明に係るハニカム構造体を示す斜視説明図であり、(a)は、2つのセル密度領域を備える実施例を示し、(b)は複数のセル密度領域を備える実施例を示す。
[図2] 実施例における、実施例E1~E5およびE8のハニカム構造体の径方向断面を示す説明図。
[図3] 実施例における、実施例E6のハニカム構造体の径方向断面を示す説明図。
[図4] 実施例における、実施例E7のハニカム構造体の径方向断面を示す説明図。
[図5] 実施例における、ハニカム構造体のセルのセルピッチを示す説明図であり、(a)はセル形状が四角形の場合を示し、(b)はセル形状が六角形の場合を示す。
[図6] 実施例における、ハニカム構造体の径方向断面を示す説明図であり、(a)は比較例C1を示し、(b)は比較例C2を示す。
[図7] 実施例における、ハニカム構造体の径方向断面を示す説明図であり、(a)は比較例C3を示し、(b)は比較例C4を示す。
[図8] 実施例における、圧力損失の評価方法を示す説明図。
[図9] 実施例における、ハニカム構造体を備えた触媒コンバータを示す説明図。
[図10] 実施例における、実施例E1のハニカム構造体の軸方向端面を示すマイクロスコープ写真であり、(a)は触媒担持前を示し、(b)は触媒担持後を示す。
[図11] 実施例における、比較例C3のハニカム構造体の軸方向端面を示すマイクロスコープ写真であり、(a)は触媒担持前を示し、(b)は触媒担持後を示す。
[図12] 実施例および比較例における、セル密度比Ma/Mbとエミッション比との関係を示したグラフ。
[図13] 実施例および比較例における、境界領域位置r/Rとエミッション比との関係を示したグラフ。
[図14] 実施例における、平均水力直径比Φ1/Φ2とコート長さ比との関係を示したグラフ。

発明を実施するための形態

[0018]
 本願発明に係る上記ハニカム構造体は、上述のとおり、径方向断面において、中心部から外周部に向かって径方向にセル密度が段階的に変化するよう構成された複数のセル密度領域を有する。すなわち、ハニカム構造体は、中心部から外周部に向かって径方向に複数の領域(セル密度領域)に分割されており、各セル密度領域内のセル密度は一定となっている。また、隣り合うセル密度領域のセル密度は異なっており、径方向においてセル密度が段階的に変化するよう構成されている。
[0019]
 また、上記境界領域の境界セルの形状は、該境界領域の両側にある上記セル密度領域のセルの形状とは異なる形状の多角形状である。そのため、例えば、境界領域の境界セルの形状をセル密度領域のセルとは異なる剛性の小さい形状(例えば、五角形状)とすることにより、境界領域に柔軟性を付与することが出来る。すなわち、ハニカム構造体に対して部分的に柔軟性を付与することができる。これにより、ハニカム構造体の耐熱衝撃性を向上させることができる。
[0020]
 また、上記平均水力直径Φ1及びΦ2の関係がΦ1/Φ2<1である場合には、セル密度領域に比べて、境界領域の境界セル内(具体的には境界隔壁の表面)に触媒を容易に担持させることができないおそれがある。そのため、境界領域の境界セルにおける触媒の目詰まりを抑制するという上述の効果を十分に得ることができない。したがって、上記平均水力直径Φ1及びΦ2は、Φ1/Φ2≧1.25の関係を満たすようにしている。
[0021]
 また、上記平均水力直径Φ1及びΦ2は、1.25≦Φ1/Φ2≦2.02の関係を満たす構成とすることができる(請求項2)。この場合には、セル密度領域よりも容易に、境界領域の境界セル内(具体的には境界隔壁の表面)に触媒を担持させ、境界領域の境界セルにおける触媒の目詰まりを抑制するという上述の効果を十分に得ることができる。
[0022]
 上記平均水力直径Φ1及びΦ2の関係がΦ1/Φ2>2.02である場合には、境界領域における境界セルの流路抵抗とセル密度領域におけるセルの流路抵抗との差が大きくなり、触媒の担持しやすさにばらつきが生じるおそれがある。そのため、ハニカム構造体に触媒を均一に担持することが困難となるおそれがある。また、これによって、触媒である貴金属を含んだスラリーをハニカム構造体に塗布する際に、そのスラリーをロスしてしまい、製造コスト面においても好ましくない。
[0023]
 なお、上記平均水力直径Φ1は、境界領域における境界セルの等価水力直径の平均である。また、上記平均水力直径Φ2は、境界領域のすぐ内側にあるセル密度領域におけるセルの等価水力直径の平均である。また、等価水力直径Φは、ハニカム構造体の径方向断面におけるセル(境界セル)の内部面積をa、周長をbとした場合に、Φ=4a/bの式で表される。
[0024]
 また、上記複数のセル密度領域のうち、最も外側のセル密度領域を除いた中で最もセル密度が高いセル密度領域(以下、適宜、高セル密度領域という)のセル密度をMa、最もセル密度が低いセル密度領域(以下、適宜、低セル密度領域という)のセル密度をMbとした場合に、1<Ma/Mb≦2.2の関係を満たす構成とすることができる(請求項3)。この場合には、エミッションの低減を図り、排ガス浄化性能を向上させるという効果を十分に発揮することができる。また、より高い排ガス浄化性能を得るために、Ma/Mbの値を1.25~1.87の範囲内とすることが望ましい。
[0025]
 上記セル密度Ma及びMbの関係がMa/Mb≦1である場合には、ハニカム構造体の中心付近に排ガスが集中して流れてしまい、ハニカム構造体全体を排ガスの浄化に有効活用することができないため、エミッションの低減を図り、排ガス浄化性能を向上させるという上述の効果を十分に発揮することができないおそれがある。一方、上記セル密度Ma及びMbの関係がMa/Mb>2.2である場合には、例えば、排ガスが最も流通する部分(例えば中心部)に高セル密度領域を、その高セル密度領域の外側に低セル密度領域を配置したときに、外側のセル密度が低くなりすぎるため、外側に排ガスが流れやすくなってしまう。そのため、排ガスが十分に浄化されずにハニカム構造体を通過する、いわゆる吹き抜けが生じ、排ガス浄化性能が低下してしまうおそれがある。
[0026]
 なお、上記高セル密度領域のセル密度Maは、例えば、62~186個/cm2の範囲内とすることができる。また、上記低セル密度領域のセル密度Mbは、例えば、46.5~139.5個/cm2の範囲内とすることができる。また、上記高セル密度領域における上記隔壁の厚みは、例えば、30~120μmの範囲内とすることができる。また、上記低セル密度領域における上記隔壁の厚みは、例えば、50~200μmの範囲内とすることができる。
[0027]
 また、上記ハニカム構造体の半径をR、上記複数のセル密度領域のうち、最も外側のセル密度領域を除いた中で最もセル密度が高いセル密度領域(高セル密度領域)とそのすぐ外側にあるセル密度領域との間を隔てる上記境界領域の半径をrとした場合に、0.16<r/R<1の関係を満たす構成とすることができる(請求項4)。この場合には、エミッションの低減を図り、排ガス浄化性能を向上させるという効果を十分に発揮することができる。また、より高い排ガス浄化性能を得るために、r/Rの値を0.5~0.8の範囲内とすることが望ましい。なお、上記半径R、rとは、ハニカム構造体や境界領域の形状が円形状である場合にはその半径、多角形状である場合にはその内接円の半径とする。
[0028]
 また、上記複数のセル密度領域のうち、最も外側のセル密度領域を除いた中で最もセル密度が高いセル密度領域(高セル密度領域)が最も内側に配置されている構成とすることができる(請求項5)。この場合には、排ガスが最も流通する部分(例えば中心部)に表面積の大きい高セル密度領域を配置することになるため、エミッションの低減を図り、排ガス浄化性能を向上させるという効果を十分に発揮することができる。なお、上記構成の場合、高セル密度領域の中心軸は、ハニカム構造体の中心軸と必ずしも一致した位置とする必要はない。高セル密度領域の位置は、例えば、ハニカム構造体を配置する排気管の形状や排ガスの流れ等によって様々な位置に設定することができる。
[0029]
 また、上記ハニカム構造体は、2つの上記セル密度領域を有し、該各セル密度領域は、四角形格子状に設けられた上記隔壁と該隔壁に囲まれて形成された複数の四角形状のセルとを有し、内側にある上記セル密度領域のセル密度と外側にある上記セル密度領域のセル密度との比が2:1であり、外側にある上記セル密度領域の上記セルが内側にある上記セル密度領域の上記セルに対して45°の傾きを持って配置されている構成(後述する図3、図4参照)とすることができる(請求項6)。この場合には、ハニカム構造体の強度(アイソスタティック強度等)を向上させることができる。また、境界領域の境界隔壁をその境界領域の両側にあるセル密度領域の格子状の隔壁の格子点(合流点)同士をつなぐように形成することにより、ハニカム構造体の強度(アイソスタティック強度等)をさらに向上させることができる(後述する図3、図4参照)。
[0030]
 また、上記ハニカム構造体は、2つのセル密度領域を有し、内側(中心部)に高セル密度領域を配置し、外側(外周部)に低セル密度領域を配置する構成とすることができる。この場合には、エミッションの低減を図り、排ガス浄化性能を向上させるという効果と、排ガスをより均一に流通させ、排ガス浄化性能を向上させるという効果とを十分に発揮することができる。
[0031]
 また、上記ハニカム構造体は、3つ以上のセル密度領域を有し、中心から外側(外周部)の径方向においてセル密度が段階的に低くなる構成とすることができる。この場合には、排ガスをより均一に流通させ、排ガス浄化性能を向上させるという効果をより一層高めることができる。ただし、このような構成とした場合、最も外側のセル密度領域のセル密度が低くなりすぎてハニカム構造体の強度(アイソスタティック強度等)が低下するおそれがある。そこで、最も外側のセル密度領域のセル密度を高くして、ハニカム構造体の強度を確保することが望ましい。
[0032]
 また、上記ハニカム構造体は、例えば、触媒によって排ガスを浄化する触媒コンバータ等に用いられる。この場合、上記ハニカム構造体の上記隔壁の表面に排ガス浄化用の触媒を担持して用いられる。また、上記ハニカム構造体の気孔率は、例えば、10~70%の範囲内とすることができる。また、上記各セル密度領域の気孔率は、すべて同じであることが望ましい。
[0033]
 また、上記セルの形状は、径方向断面において、例えば、円形、多角形(例えば、四角形、六角形)等とすることができる。また、上記セル密度領域の外形形状は、径方向断面において、例えば、円形、多角形等とすることができる。
[0034]
 また、上記境界領域の外形形状は、径方向断面において、例えば、円形、多角形等とすることができる。また、上記境界セルの形状は、径方向断面において、例えば、四角形、五角形等の多角形とすることができる。
[0035]
 また、上記境界隔壁の厚みは、例えば、30~160μmの範囲内とすることができる。また、上記境界隔壁は、例えば、境界領域の両側にあるセル密度領域の格子状の隔壁の格子点(合流点)同士をつなぐように形成することにより、ハニカム構造体の強度(アイソスタティック強度等)を向上させることができる。
実施例
[0036]
 本例では、実施例としての複数のハニカム構造体(実施例E1~E8)及び比較例としての複数のハニカム構造体(比較例C1~C4)を作製し、これらについて圧力損失、排ガス浄化性能、耐熱衝撃性等の評価を行った。
[0037]
 まず、実施例としてのハニカム構造体(実施例E1~E8)について、図を用いて説明する。図1~図4に示すごとく、ハニカム構造体1は、格子状に設けられた隔壁11と隔壁11に囲まれて形成された複数のセル12とを有し、一体成形されたコージェライト製のハニカム構造体である。また、ハニカム構造体1は、軸方向Xに直交する断面において、中心部から外周部に向かって径方向にセル密度の異なる複数のセル密度領域2(21,22)を有する。隣り合うセル密度領域2同士の間には、両者を隔てる境界領域14が設けられている。尚、図1(a)、図2~図4では、セル密度の異なる2つのセル密度領域2(21,22)の場合を示しているが、図1(b)に示すように、セル密度の異なる複数(3つ以上21,22,...2n)のセル密度領域を有するものであってもよい。
[0038]
 同図に示すごとく、境界領域14は、両側にあるセル密度領域2(21,22)の隔壁11同士の間をつなぐ境界隔壁141と、少なくとも一部が境界隔壁141によって囲まれ、両側にあるセル密度領域2のセル12とは異なる形状の多角形状の複数の境界セル142とを有する。また、境界領域14における境界セル142の平均水力直径をΦ1、境界領域14のすぐ内側にあるセル密度領域2におけるセル12の平均水力直径をΦ2とした場合に、Φ1/Φ2≧1.25である。以下、これを詳説する。
[0039]
 図1に示すごとく、ハニカム構造体1(実施例E1~E8)は、排ガス浄化用の触媒の担体として用いられるものであり、四角形格子状に設けられた隔壁11と、その隔壁11に囲まれて形成された四角形状の複数のセル12と、外周側面を覆う円筒状の外周壁13とを有する。また、ハニカム構造体1は、コージェライト製であり、全体を一体的に成形したものである。また、ハニカム構造体1の寸法は、直径が103mm、長さが105mmである。
[0040]
 図2(実施例E1~E5、E8)、図3(実施例E6)、図4(実施例E7)に示すごとく、ハニカム構造体1は、軸方向X(図1)に直交する断面(径方向断面)において、中心部から外周部に向かって径方向に2つのセル密度領域2(第1セル密度領域21、第2セル密度領域22)に分割されている。各セル密度領域2内のセル密度は一定となっている。また、隣り合うセル密度領域2のセル密度は異なっており、径方向においてセル密度が段階的に変化するよう構成されている。なお、図2~図4では、ハニカム構造体1の径方向断面の1/4に当たる部分を示している。
[0041]
 同図に示すごとく、第1セル密度領域21は、ハニカム構造体1の中心部であって最も内側に配置されている。また、第1セル密度領域21は、最も外側のセル密度領域2を除いた中で最もセル密度が高いセル密度領域2(高セル密度領域2a)である。また、第1セル密度領域21の隔壁11の厚みは、0.09mm(90μm)である。また、第2セル密度領域22は、ハニカム構造体1の外周部であって最も外側に配置されている。また、第2セル密度領域22は、最もセル密度が低いセル密度領域2(低セル密度領域2b)である。また、第2セル密度領域22の隔壁11の厚みは、0.09mm(90μm)である。
[0042]
 なお、図2~図4に示すハニカム構造体1では、第1セル密度領域21のセル12の向きと第2セル密度領域22のセル12の向きとが異なる構成(第2セル密度領域22のセル12が第1セル密度領域21のセル12に対して45°傾いている構成)であるが、例えば、第1セル密度領域21のセル12の向きと第2セル密度領域22のセル12の向きとが同じ向きである構成とすることもできる。
[0043]
 また、図2~図4に示すごとく、ハニカム構造体1において、高セル密度領域2a(第1セル密度領域21)のセル密度をMa、低セル密度領域2b(第2セル密度領域22)のセル密度をMbとした場合に、1<Ma/Mb≦2.2の関係を満たしている。なお、各ハニカム構造体1(実施例E1~E8)における各セル密度領域2(第1セル密度領域21、第2セル密度領域22)のセル密度(個/cm2)、セル密度比Ma/Mbは、表1に示すとおりである。
[0044]
 ここで、各セル密度領域2のセル密度の測定方法について説明する。セル密度は、ハニカム構造体の径方向断面において、図5(a)、(b)に示すセルピッチPを工具顕微鏡やマイクロスコープ等を用いて測定し、後述する関係式に代入してセル密度(cpsi)を算出する。本例では、マイクロスコープ(キーエンス社製、VHX-900)を用いて各セル密度領域2のセルピッチPを5点ずつ測定し、その平均値を平均セルピッチとする。ここで、セル密度の単位「cpsi」は、1平方インチ当たりのセルの個数を表す。なお、表1では、セル密度の単位「cpsi」を「個/cm2」に変換して表示している。
[0045]
 例えば、図5(a)に示すごとく、実施例E1~E8のハニカム構造体1のように、セル12の形状が四角形の場合には、平均セルピッチをp1とすると、セル密度(cpsi)=(25.4/p1)2の関係式からセル密度を算出する。また、図5(b)に示すごとく、セル12の形状が六角形の場合には、平均セルピッチをp2とすると、セル密度(cpsi)=(2/√3)×(25.4/p2)2の関係式からセル密度を算出する。
[0046]
 また、図2~図4に示すごとく、ハニカム構造体1において、隣り合うセル密度領域2(21,22)同士の間には、両者を隔てる境界領域14が設けられている。境界領域14の形状は、八角形(図1参照)である。境界領域14は、境界隔壁141と境界セル142とを有する。境界隔壁141は、境界領域14の両側にあるセル密度領域2(第1セル密度領域21、第2セル密度領域22)の隔壁11同士の間をつないでいる。境界セル142は、境界隔壁141と境界領域14の両側にあるセル密度領域2(第1セル密度領域21、第2セル密度領域22)の隔壁11とにより囲まれて形成されている。また、境界セル142は、境界領域14の両側にあるセル密度領域2(第1セル密度領域21、第2セル密度領域22)のセル12とは異なる形状である。
[0047]
 図2に示すごとく、実施例E1~E5、E8のハニカム構造体1は、境界セル142の形状が四角形(セル密度領域2のセル12の四角形とは異なる四角形)および五角形である。 図3、図4に示すごとく、実施例E6、E7のハニカム構造体1は、境界セル142の形状が五角形である。また、内側にあるセル密度領域2(第1セル密度領域21)のセル密度と外側にあるセル密度領域2(第2セル密度領域22)のセル密度との比が2:1である。また、境界隔壁141は、境界領域14の両側にあるセル密度領域2(第1セル密度領域21、第2セル密度領域22)の格子状の隔壁11の格子点(合流点)111同士をつなぐように形成されている。これにより、ハニカム構造体1の強度(アイソスタティック強度等)を向上させている。
[0048]
 また、図2~図4に示すごとく、実施例E1~E8のハニカム構造体1は、境界領域14における境界セル142の平均水力直径Φ1と、境界領域14のすぐ内側にあるセル密度領域2(第1セル密度領域21)におけるセル12の平均水力直径Φ2との比、すなわち水力直径比が、Φ1/Φ2≧1.25の関係を満たす。なお、各ハニカム構造体1(実施例E1~E8)における各セル密度領域2(第1セル密度領域21、第2セル密度領域22)のセルの平均水力直径(mm)、平均水力直径比Φ1/Φ2は、表1に示すとおりである。
[0049]
 また、同図に示すごとく、ハニカム構造体1の半径をR、高セル密度領域2a(第1セル密度領域21)とそのすぐ外側にあるセル密度領域2(第2セル密度領域22)との間を隔てる境界領域14の半径をrとした場合に、0.16<r/R<1の関係を満たしている。ここで、実施例E1~E7のハニカム構造体1では、境界領域14が八角形状(図1参照)であるため、その内接円の半径がrである。本例の場合、その内接円は、ハニカム構造体1の0°、90°、180°、270°方向に位置する境界セル142を形成する内側の隔壁11に接するように構成する。なお、各ハニカム構造体1(実施例E1~E8)の境界領域位置r/Rの値は、表1に示すとおりである。
[0050]
 次に、比較例としてのハニカム構造体9(比較例C1~C4)について、図を用いて説明する。図6(a)、(b)に示すごとく、比較例C1、C2のハニカム構造体9は、上述した実施例E1~E8のハニカム構造体1と異なり、1つのセル密度領域(表1では、第1セル密度領域として表示)のみで構成されている。すなわち、全体のセル密度が一定である。また、比較例C1のハニカム構造体9(図6(a))は、比較例C2のハニカム構造体9(図6(b))よりもセル密度が低い。その他の基本的な構成は、上述した実施例E1~E8のハニカム構造体1と同様である。なお、各ハニカム構造体9(比較例C1、C2)のセルの平均水力直径(mm)、セル密度(個/cm2)等は、表1に示すとおりである。
[0051]
 また、図7(a)に示すごとく、比較例C3のハニカム構造体9は、上述した実施例E1~E8のハニカム構造体1と同様に、2つのセル密度領域2(第1セル密度領域21、第2セル密度領域22)を有する。ただし、セル密度領域2同士の間には、両者を隔てる円筒状の境界壁(内周壁)19が設けられている。その他の基本的な構成は、上述した実施例E1~E8のハニカム構造体1と同様である。
[0052]
 なお、ハニカム構造体9(比較例C3)における各セル密度領域2(第1セル密度領域21、第2セル密度領域22)のセルの平均水力直径(mm)、セル密度(個/cm2)等は、表1に示すとおりである。ここで、表1に示すごとく、比較例C3のハニカム構造体9において、「境界領域のセルの平均水力直径」は、境界壁19とその内側にあるセル密度領域2(第1セル密度領域21)の隔壁11とにより囲まれて形成された不完全なセル12の平均水力直径とする。また、「境界領域位置r/R」は、境界壁19の位置とする。
[0053]
 図7(b)に示すごとく、比較例C4のハニカム構造体9は、上述した実施例E1~E8のハニカム構造体1と同様に、2つのセル密度領域2(第1セル密度領域21、第2セル密度領域22)を有する。また、セル密度領域2同士の間には、両者を隔てる境界壁(内周壁)が設けられていない。その他の基本的な構成は、上述した実施例E1~E8のハニカム構造体1と同様である。
[0054]
 なお、ハニカム構造体9(比較例C4)における各セル密度領域2(第1セル密度領域21、第2セル密度領域22)のセルの平均水力直径(mm)、セル密度(個/cm2)等は、表1に示すとおりである。ここで、表1に示すごとく、比較例C4のハニカム構造体9において、「境界領域」とは、第1セル密度領域21と第2セル密度領域22との境界部分、すなわち図中の破線部分をいう。
[0055]
 次に、ハニカム構造体(実施例E1~E8、比較例C1~C4)の製造方法について説明する。ハニカム構造体を製造するに当たっては、まず、セラミックス原料を準備する。セラミックス原料の原料粉末としては、カオリン、溶融シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、タルク、カーボン粒子等を含有し、化学組成が重量比にて最終的にSiO2:45~55%、Al2O3:33~42%、MgO:12~18%となるコージェライトを主成分とする組成となるように調整したものを用いた。この原料粉末に水、バインダ等を所定量添加し、混錬することでセラミックス原料を得る。
[0056]
 次いで、押出成形用金型を用いてセラミックス原料を押出成形し、ハニカム成形体を成形する。このとき、隔壁の形状に対応する形状のスリット溝を有する押出成形用金型を用いて押出成形を行う。そして、成形したハニカム成形体をマイクロ波により乾燥させ、所望の長さに切断する。その後、ハニカム成形体を所定の最高温度(例えば、1390~1430℃)で焼成する。これにより、ハニカム構造体を得る。
[0057]
 次に、各ハニカム構造体(実施例E1~E8、比較例C1~C4)の圧力損失、排ガス浄化性能、耐熱衝撃性等について評価を行う。以下、圧力損失、排ガス浄化性能、耐熱衝撃性等の評価方法について説明する。
[0058]
 圧力損失の評価は、図8に示すごとく、予め排ガス浄化用の触媒を担持したハニカム構造体1(9)を圧損評価装置7にセットする。次いで、ブロアーにより圧損評価装置7内の空気A1を外部へ吸引する。そして、圧損評価装置7内を負圧にした後に、ハニカム構造体1(9)に所定量の空気A2を流入させる。このとき、流入させる空気A2が6m3/分となるように調整し、圧損評価装置7内に取り付けた圧力センサ71によって圧損評価装置7内の圧力を計測し、計測して得られた値と大気圧との差を計算し、圧力損失を求める。本例では、比較例C2の圧力損失を基準とし、圧力損失比を求める。
[0059]
 また、排ガス浄化性能の評価は、ハニカム構造体をエンジンに搭載して10万km走行したのと同等に担持した触媒を劣化させたハニカム構造体を準備する。次いで、図9に示すごとく、触媒が劣化したハニカム構造体1(9)を別のエンジンに搭載する。このとき、ハニカム構造体1(9)をアルミナマット81で巻いた状態で排気管82内に設置し、触媒コンバータ8を構成する。また、図示を省略したが、電気炉で加熱して触媒が十分に劣化されたハニカム構造体をエンジンのUF/C(Underfroor Catalyst)位置に搭載する。そして、所定のモード(LA♯4評価モード)で走行し、排出されるエミッション(HC、CO、NOx)量を測定する。本例では、比較例C2のエミッション量を基準とし、エミッション比を求める。
[0060]
 ここで、S/C位置とは、エンジンからの排ガスが流通する排ガス流路において、エンジンの排気口の直後の位置(排ガス流路の上流側の位置)である。また、UF/C位置とは、排ガスの流路において、S/C位置のさらに下流側の車両の床下に当たる位置(排ガス流路の下流側の位置)である。また、触媒としては、例えば、三元触媒として貴金属である白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)の少なくとも1種を含有し、γアルミナを含有したもの、さらにセリア等の酸素吸蔵剤を含有したもの等を用いることができる。
[0061]
 また、触媒目詰まりの評価は、実施例E1~E5のハニカム構造体に触媒を担持させた場合に、境界領域の境界セルに触媒の目詰まり(開口端面が触媒で全て埋まっている状態)が生じているかどうかを確認する。また、比較として、比較例C3のハニカム構造体に触媒を担持させた場合に、境界壁とその内側にあるセル密度領域(第1セル密度領域)の隔壁とにより囲まれて形成された不完全なセルの開口端面に触媒の目詰まりが生じているかどうかを確認する。なお、触媒目詰まりの判定は、触媒の目詰まりが確認されなかった場合は「A」、確認された場合は「B」とする。
[0062]
 また、アイソスタティック強度の評価は、社団法人自動車技術会発行の自動車規格JASO規格505-87において規定されている「アイソスタティック破壊強度試験」に準拠して行う。具体的には、ゴム製の筒状容器内にハニカム構造体をセットし、アルミ製の板で蓋をする。そして、水中において等方加圧圧縮を行い、ハニカム構造体が破壊したときの荷重を測定し、これを基にアイソスタィック破壊強度を求める。本例では、比較例C3のアイソスタティック破壊強度を基準とし、実施例E1、E6のアイソスタィック破壊強度比を求める。
[0063]
 また、触媒コートの評価は、ハニカム構造体を軸方向が上下方向となるようにし、触媒を一方の開口端面からコートする。このとき、境界領域のすぐ内側にあるセル密度領域(第1セル密度領域)のセルについて、ハニカム構造体の軸方向長さの半分まで触媒がコートされるようにする。これを触媒のコート長さの基準とし、境界領域の境界セルにおける触媒のコート長さを測定し、コート長さ比を求める。そして、コート長さ比が2以下の場合には「A」、2を超える場合には「B」とする。本例では、実施例E6、E7のハニカム構造体について評価を行う。
[0064]
 なお、触媒のコート長さは、((ロスした触媒コート重量)×(触媒コート密度))/((ハニカム構造体の単位体積当たりのGSA)×(ハニカム構造体の断面積))の式により算出する。ここで、セルの形状が四角形のハニカム構造体の単位体積当たりのGSA(幾何学的表面積)は、隔壁の厚さt及びセルピッチp(図5(a)参照)をもとに一義的に計算することができる。隔壁の平均厚さt及びセルピッチpから各セルにおける対向する隔壁の辺部と辺部との間の距離x(=p-t)(図5(a)参照)を算出する。この距離xが各辺部の長さyとなる。セルの形状が四角形のハニカム構造体は、長さ方向において単純平板形状であるため、ハニカム構造体の長さをLとすると、各セルの表面積S(=4yL)を算出することができる。そして、セル数からハニカム構造体全体のGSAを導き出すことができ、さらにハニカム構造体全体の体積から単位体積当たりのGSAを導き出すことができる。
[0065]
 また、例えば、セルの形状が六角形のハニカム構造体の単位体積当たりのGSA(幾何学的表面積)は、上記と同様に、隔壁の厚さt及びセルピッチp(図5(b)参照)をもとに一義的に計算することができる。隔壁の厚さt及びセルピッチpから各セルにおける対向する隔壁の辺部と辺部との間の距離x(=p-t)(図5(b)参照)を算出する。この距離xから各辺部の長さy(=x/√3)を算出する。セルの形状が六角形のハニカム構造体は、長さ方向において単純平板形状であるため、ハニカム構造体の長さをLとすると、各セルの表面積S(=6yL)を算出することができる。そして、セル数からハニカム構造体全体のGSAを導き出すことができ、さらにハニカム構造体全体の体積から単位体積当たりのGSAを導き出すことができる。
[0066]
 また、耐熱衝撃性の評価は、電気炉にてハニカム構造体を所定の温度(1050℃)になるまで加熱する。次いで、電気炉から加熱された状態のハニカム構造体を取り出し、常温のエアーをハニカム構造体の中心部に流通させる。このとき、エアーの圧力を調整することによってハニカム構造体の内外温度差(ΔT)が所望の温度差(ΔT=50℃、60℃、70℃)となるようにする。なお、内外温度差とは、ハニカム構造体の径方向断面の中心に取り付けた熱電対と中心から径方向に10mm外側に取り付けた熱電対との測定温度差をいう。
[0067]
 そして、耐熱衝撃性の判定は、10個のハニカム構造体について耐熱衝撃性の試験を行った場合の割れ発生率をZとした場合、Z=0%の場合には「A」、0%<Z≦50%の場合には「B」、50%<Z≦100%の場合には「C」とする。本例では、実施例E8のハニカム構造体について評価を行い、その比較として比較例C4のハニカム構造体についても評価を行った。
[0068]
[表1]


[0069]
 次に、圧力損失、排ガス浄化性能、耐熱衝撃性等の評価結果を表1に示す。表1からわかるように、実施例E1~E5のハニカム構造体は、境界領域を設け、Φ1/Φ2≧1.25としたことにより、圧力損失比やエミッション比が1未満であった。すなわち、基準とした比較例C2に比べて、実施例E1~E5のハニカム構造体は圧力損失を低減し、排ガス浄化性能を高めることができる。以上の結果から、実施例E1~E5のハニカム構造体は、圧力損失の低減を図ることができ、排ガス浄化性能に優れていることがわかった。
[0070]
 また、表1からわかるように、実施例E1~E5のハニカム構造体は、触媒目詰まりの評価が「A」であったが、境界壁(内周壁)を有する比較例C3のハニカム構造体は、不完全なセルが形成されていることにより、触媒目詰まりの評価が「B」であった。ここで、図10は、実施例E1のハニカム構造体の境界領域付近のマイクロスコープ写真である。図10(a)は触媒を担持する前、図10(b)は触媒を担持した後である。同図からわかるように、実施例E1のハニカム構造体では触媒を担持しても境界領域付近に触媒の目詰まりは見られない。また、図11は、比較例C3のハニカム構造体の境界壁付近のマイクロスコープ写真である。図11(a)は触媒を担持する前、図11(b)は触媒を担持した後である。同図からわかるように、比較例C3のハニカム構造体では触媒を担持することにより、境界壁付近の不完全なセルに触媒の目詰まり(図11(b)のP)が発生している。
[0071]
 また、表1からわかるように、実施例E6のハニカム構造体は、比較例C3や実施例E1のハニカム構造体に比べて、アイソスタティック強度が高い。これは、実施例E6のハニカム構造体では、内側にあるセル密度領域(第1セル密度領域)のセル密度と外側にあるセル密度領域(第2セル密度領域)のセル密度との比を2:1とし、外側にあるセル密度領域のセルを内側にあるセル密度領域のセルに対して45°の傾きを持って配置することにより、境界隔壁を境界領域の両側にあるセル密度領域の格子状の隔壁の格子点(合流点)同士をつなぐように形成したからである。
[0072]
 また、図12は、表1の結果をもとに、セル密度比Ma/Mbとエミッション比との関係を示したものである。同図には、実施例E1~E3、比較例C2、C3のエミッション比がプロットされている。ここで、比較例C2は、セル密度比Ma/Mb=1としている。同図からわかるように、1<Ma/Mb≦2.2(特に、Ma/Mbの値を1.25~1.87)とすることにより、エミッション比をより小さく(エミッション量をより低減)することができ、排ガス浄化性能を高めることができる。
[0073]
 また、図13は、表1の結果をもとに、境界領域位置r/Rとエミッション比との関係を示したものである。同図には、実施例E1、E4、E5、および比較例C1、C2のエミッション比がプロットされている。ここで、比較例C1の第1セル密度領域でのセル密度は、実施例E1,E4,E5の第1セル密度領域のセル密度と値が異なるため、比較例C1の境界領域位置を図13ではr/R=0としている。(尚、比較例C1の境界領域位置r/Rに関して、表1では-で示している。)また、比較例C2の第1セル密度領域でのセル密度は、実施例E1、E4、E5の第1セル密度領域とのセル密度と同じであるため、比較例C2の境界領域位置を図13ではr/R=1としている。(尚、比較例C2の境界領域位置r/Rに関して、表1では-で示している。)同図からわかるように、実施例E1、E4、E5のように、0.16<r/R<1(特に、r/Rの値を0.5~0.8)とすることにより、エミッション比をより小さく(エミッション量をより低減)することができ、排ガス浄化性能を高めることができる。
[0074]
 また、図14は、表1の結果をもとに、水力直径比Φ1/Φ2とコート長さ比との関係を示したものである。同図には、実施例E6、E7のコート長さ比がプロットされている。同図からわかるように、Φ1/Φ2≦2.02とすることにより、コート長さ比を2以下にすることができる。すなわち、ハニカム構造体の一方の開口端面から軸方向長さの半分まで触媒をコートした後、ハニカム構造体を反転させて他方の開口端面から軸方向長さの半分まで触媒をコートし、全体に触媒をコートする場合に、コートした触媒が反対側の開口端面から流れ出して触媒をロスすることを防ぐことができる。
[0075]
 また、表1からわかるように、実施例E8のハニカム構造体は、境界領域の境界セルの形状をセル密度領域のセルの形状(四角形)とは異なる剛性の小さい形状(五角形状)をも有しているため、耐熱衝撃性の評価がΔT=50℃、60℃、70℃のすべての条件で「A」であった。これは、境界領域に柔軟性を付与(ハニカム構造体に対して部分的に柔軟性を付与)することにより、耐熱衝撃性を向上させることができたからである。一方、比較例C4のハニカム構造体は、境界領域の境界セルの形状とセル密度領域のセルの形状とが同じであるため、実施例E8のハニカム構造体と同様の効果は得られず、耐熱衝撃性の評価がΔT=60℃の条件で「B」、ΔT=70℃の条件で「C」であった。

符号の説明

[0076]
 1 ハニカム構造体
 11 隔壁
 12 セル
 14 境界領域
 141 境界隔壁
 142 境界セル
 2 セル密度領域
 X 軸方向

請求の範囲

[請求項1]
 格子状に設けられた隔壁(11)と、該隔壁(11)に囲まれて形成された複数のセル(12)とを有すると共に、一体成形されたコージェライト製のハニカム構造体(1)であって、
 該ハニカム構造体(1)は、軸方向(X)に直交する断面において、中心部から外周部に向かって径方向にセル密度の異なる複数のセル密度領域(2)を有し、
 隣り合う該セル密度領域(2)同士の間には、両者を隔てる境界領域(14)が設けられており、
 該境界領域(14)は、両側にある上記セル密度領域(2)の上記隔壁(11)同士の間をつなぐ境界隔壁(141)と、少なくとも一部が該境界隔壁(141)によって囲まれ、両側にある上記セル密度領域(2)の上記セル(12)とは異なる形状の多角形状の複数の境界セル(142)とを有し、
 上記境界領域(14)における上記境界セル(142)の平均水力直径をΦ1、上記境界領域(14)のすぐ内側にある上記セル密度領域(2)における上記セル(12)の平均水力直径をΦ2とした場合に、Φ1/Φ2≧1.25であることを特徴とするハニカム構造体(1)。
[請求項2]
 請求項1に記載のハニカム構造体(1)において、上記平均水力直径Φ1及びΦ2は、1.25≦Φ1/Φ2≦2.02の関係を満たすことを特徴とするハニカム構造体(1)。
[請求項3]
 請求項1又は2に記載のハニカム構造体(1)において、上記複数のセル密度領域(2)のうち、最も外側のセル密度領域(2)を除いた中で最もセル密度が高いセル密度領域(2)のセル密度をMa、最もセル密度が低いセル密度領域(2)のセル密度をMbとした場合に、1<Ma/Mb≦2.2の関係を満たすことを特徴とするハニカム構造体(1)。
[請求項4]
 請求項1~3のいずれか1項に記載のハニカム構造体(1)において、該ハニカム構造体(1)の半径をR、上記複数のセル密度領域(2)のうち、最も外側のセル密度領域(2)を除いた中で最もセル密度が高いセル密度領域(2)とそのすぐ外側にあるセル密度領域(2)との間を隔てる上記境界領域(14)の半径をrとした場合に、0.16<r/R<1の関係を満たすことを特徴とするハニカム構造体(1)。
[請求項5]
 請求項1~4のいずれか1項に記載のハニカム構造体(1)において、上記複数のセル密度領域(2)のうち、最も外側のセル密度領域(2)を除いた中で最もセル密度が高いセル密度領域(2)が最も内側に配置されていることを特徴とするハニカム構造体(1)。
[請求項6]
 請求項1~5のいずれか1項に記載のハニカム構造体(1)において、該ハニカム構造体(1)は、2つの上記セル密度領域(2)を有し、該各セル密度領域(2)は、四角形格子状に設けられた上記隔壁(11)と該隔壁(11)に囲まれて形成された複数の四角形状のセル(12)とを有し、内側にある上記セル密度領域(2)のセル密度と外側にある上記セル密度領域(2)のセル密度との比が2:1であり、外側にある上記セル密度領域(2)の上記セル(12)が内側にある上記セル密度領域(2)の上記セル(12)に対して45°の傾きを持って配置されていることを特徴とするハニカム構造体(1)。
[請求項7]
 請求項3に記載のハニカム構造体(1)において、上記複数のセル密度領域(2)のうち、最も外側のセル密度領域(2)を除いた中で最もセル密度が高いセル密度領域(2)のセル密度をMa、最もセル密度が低いセル密度領域(2)のセル密度をMbとした場合に、1.25<Ma/Mb≦1.87の関係を満たすことを特徴とするハニカム構造体(1)。
[請求項8]
 請求項4に記載のハニカム構造体(1)において、該ハニカム構造体(1)の半径をR、上記複数のセル密度領域(2)のうち、最も外側のセル密度領域(2)を除いた中で最もセル密度が高いセル密度領域(2)とそのすぐ外側にあるセル密度領域(2)との間を隔てる上記境界領域(14)の半径をrとした場合に、0.5<r/R<0.8の関係を満たすことを特徴とするハニカム構造体(1)。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]