処理中

しばらくお待ちください...

設定

設定

出願の表示

1. WO2013115033 - 吸着シート及びそれを用いた吸着エレメント

Document

明 細 書

発明の名称 吸着シート及びそれを用いた吸着エレメント

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007  

先行技術文献

特許文献

0008  

非特許文献

0009  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0010   0011   0012   0013   0014  

課題を解決するための手段

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032  

発明の効果

0033   0034   0035  

図面の簡単な説明

0036  

発明を実施するための形態

0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098  

実施例

0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145  

産業上の利用可能性

0146   0147  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

明 細 書

発明の名称 : 吸着シート及びそれを用いた吸着エレメント

技術分野

[0001]
 本発明は吸着材、吸蔵材及び分離材として使用可能な吸着シートに関し、より詳しくは、吸着作用を有する多孔性金属錯体を含有する場合において、多孔性金属錯体を吸着材、吸蔵材、分離材に用いる際の形態付与に関する。また、本発明は、空気中の水分、有機溶剤、および、悪臭成分を効率的に分離・回収、もしくは、吸着・除去する吸着シート、および、それを用いた吸着エレメントに関する。

背景技術

[0002]
 脱臭、空気や水の浄化、ガスの分離・精製には、活性炭やシリカゲル、ゼオライト等といった多孔質材料が使用されている。また、近年では、種々の配位形態を取り得る金属イオンと、2座以上の配位座を有する架橋配位子とを組み合わせて自己集合させた多孔質材料、すなわち、多孔性金属錯体(MOF)、もしくは、多孔性配位高分子(PCP)と呼ばれる新しい多孔質材料が見出されており、これら多孔性金属錯体は、活性炭やシリカゲル、ゼオライト等の従来の多孔質材料にはない特徴、すなわち、高比表面積、シャープな細孔分布、および、高い構造設計性という特徴を有しており、注目されている。
[0003]
 例えば、混合ガスから特定のガスを分離するのに有用と思われる多孔性金属錯体として、特許文献1には、ゲート的にガス吸着を示すゲート型高分子錯体と、I型的にガスを吸着するI型錯体の両方の特性がスイッチング材によって変化する多孔性金属錯体が報告されている。また、特許文献2、特許文献3では、細孔の構造やサイズの変化を伴いながら特定のガスのみ選択的に吸着する多孔性金属錯体が報告されている。さらに、特許文献3及び非特許文献1では、接触するガスの種類により構造を変化させるフレキシブルな多孔性金属錯体ならびにそれを用いたガス分離方法も報告されている。
[0004]
 しかしながら、これらの文献には、実際の分離プロセスに用いる場合の多孔性金属錯体の形態に関する具体的な記述はされていない。
[0005]
 また、特許文献4には、多孔性金属錯体として特定のジカルボン酸金属錯体が開示されており、これがガス吸蔵材、特にメタンを主成分とするガスの吸蔵材として好適であることが開示されている。特許文献5には、銅イオンとトリメシン酸類から合成された多孔質錯体が開示されており、吸着材がその用途の一例として開示されている。さらに、特許文献6には、金属クロムまたはクロム塩と、トリメシン酸類から得られる多孔性配位高分子が、特に水蒸気吸着材として優れていることが開示されており、また、多孔性配位高分子を種々の物質の吸着材として使用するためには、減圧下で加熱することによって脱溶媒することが好ましいことが開示されている。
 しかしながら、特許文献4~6には、これら多孔性金属錯体からなる吸着シート、および、それを用いた吸着エレメントについての製造方法等の具体的な記載はない。
[0006]
 一方、空気中の有機溶媒の分離・回収を目的とするフィルターに用いられる吸着シートとして、粉末活性炭やゼオライトなどの多孔質材料と繊維成分を混合抄造してなるシートが従来知られている。例えば、特許文献7には、粉末活性炭を混合抄造したシートとして、粉末活性炭と自己固結性を有する繊維状の粘土鉱物、および、耐熱性人造繊維を主成分として含有することを特徴とするコルゲート加工可能な吸着性シートが開示されている。しかしながら、粉末活性炭を吸着材として用いるものであるため、吸着性能が十分でないという問題があった。
[0007]
 また、ゼオライトを混合抄造したシートとして、例えば、特許文献8には、ゼオライトと水分吸着性、自己固結性を有する粘土鉱物繊維、及びガラス繊維、並びに有機バインダーを含有する吸着シートが開示されている。この吸着シートは、粘土鉱物繊維、及び、ガラス繊維を含有するため、耐熱性に優れており、また、有機バインダーを含有するため、優れた吸着材の担持性、および、シートの柔軟性を示す。

先行技術文献

特許文献

[0008]
特許文献1 : 特開2010-58034号公報
特許文献2 : 特開2009-208028号公報
特許文献3 : 特開2010-158617号公報
特許文献4 : 特開2001-348361号公報
特許文献5 : 特開2000-327628号公報
特許文献6 : 特開2007-51112号公報
特許文献7 : 特開平2-191547号公報
特許文献8 : 特開2007-14880号公報

非特許文献

[0009]
非特許文献1 : 植村一広、北川進、未来材料、第2巻、44-51頁(2002年)

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0010]
 多孔質材料を実際のプロセスに用いる際、例えば、ゼオライトや分子篩炭等を圧力スイング吸着用の吸着材として用いる場合には、錠剤成型機等を使用して吸着材をペレット状に圧縮成型するのが一般的である。しかしながら、前述の多孔性金属錯体のようにガスの吸着に伴ってその構造が変化するような柔軟な構造を有する多孔性金属錯体を、一般的な打錠成型によってペレット化した場合、成型体が十分な強度を持つように成型すると吸着性能が低下するという問題がある。一方で、吸着性能を低下させない程度に打錠条件を加減して成型すると圧壊強度が不足したり、吸脱着に伴う構造の変化に成型体が追随できず成型体が崩壊して粉化したりしてしまうという問題がある。
[0011]
 また、ゼオライト等の吸着材と有機バインダーとを混合して吸着シートを形成する場合、吸着材であるゼオライトの細孔内に有機バインダーの側鎖等が吸着してしまい、十分な吸着性能が得られないという問題があり、多孔性金属錯体を吸着材とする場合も同様の問題の発生が想定される。
 なお、吸着材(ゼオライト)の細孔内に吸着した有機バインダーは、温度400℃~800℃で30分以上の焼成による除去が可能ではあるが、有機バインダーを除去したとしても、吸着材がゼオライトであるため、吸着性能は十分とはいえない。また、ゼオライトに代えて多孔性金属錯体を吸着材として用いた場合、前記条件で焼成すると、多孔性金属錯体の細孔構造が破壊されてしまい、十分な吸着性能が得られないという問題があった。
[0012]
 したがって、耐熱性、吸着材(多孔性金属錯体)の担持性、および、シートの柔軟性に優れており、十分な吸着性能を有する吸着シート、および、それを用いた吸着エレメントは見当たらないというのが現状である。ここでいう耐熱性とは、80℃以上の温度条件下で、吸着シート、および、それを用いた吸着エレメントにおいて、その強度が著しく低下しないことを指す。
[0013]
 本発明は、こうした事情に着目してなされたものであって、その目的は、多孔性金属錯体がガスの吸脱着により構造が変化する場合であっても、当該多孔性金属錯体に由来する吸脱着性能を充分に発揮することのできる吸着シートを提供することである。
[0014]
 また、本発明の別の目的は、耐熱性、多孔性金属錯体の担持性、および、シートの柔軟性に優れており、且つ、十分な吸着性能を有する吸着シート、および、それを用いた吸着エレメントを提供することである。

課題を解決するための手段

[0015]
 本発明の吸着シートは、金属イオンと、前記金属イオンと結合可能な有機配位子によって多孔質構造を構成している多孔性金属錯体(A)、及び、有機繊維(B)を含むところに特徴を有する。
[0016]
 本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、有機繊維(B)に多孔性金属錯体(A)を担持させたシート状の成形体とすることで、成形体がガスの吸脱着による多孔性金属錯体の構造変化に追従でき、多孔性金属錯体(A)の有する優れた吸脱着性能を充分に発揮できる多孔性金属錯体(A)を含有する成形体が得られることを見出し、本発明を完成した。
[0017]
 本発明の吸着シートは、上記多孔性金属錯体(A)を50質量%~90質量%含有するものであるのが好ましい。
[0018]
 上記多孔性金属錯体(A)は、水素、酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素及び炭素数1~4の炭化水素よりなる群から選択される少なくとも1種のガスに対する吸脱着等温線がヒステリシスループを示すものであるのが好ましい。
[0019]
 上記有機配位子は、下記(1)~(3)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の有機化合物であるのが好ましい。
(1)分子内に、カルボキシル基及び/又は水酸基を2つ以上有し、複素環を有さず、金属イオンに二座配位可能な有機化合物
(2)分子内に、N、O又はSから選択される1のヘテロ原子を有する単環式又は多環式の飽和又は不飽和の複素環と、カルボキシル基又は水酸基を有する、金属イオンに二座配位可能な有機化合物
(3)分子内に、N、O及びSよりなる群から選択されるヘテロ原子を2以上有する単環式又は多環式の飽和又は不飽和の複素環を有する、金属イオンに二座配位可能な有機化合物
[0020]
 より具体的には、上記有機配位子は、炭素数4~20のアルキレンジカルボン酸化合物、炭素数4~20のアルケニレンジカルボン酸化合物、下記一般式(I)~(III)で表されるジカルボン酸化合物;
[0021]
[化1]


[0022]
(式中、R 1はそれぞれ同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ホルミル基、炭素数1~4のアシロキシ基、炭素数1~4のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、炭素数1~4のモノアルキルアミノ基、炭素数1~4のジアルキルアミノ基又は炭素数1~4のアシルアミノ基であり、2つ以上のR 1が環状であってもよく、2つ以上のR 1が環状に縮合してもよい。)、下記一般式(IV)で表されるジカルボン酸化合物;
[0023]
[化2]


[0024]
(式中、R 2はそれぞれ同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基であり、Xは水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアルケニル基、炭素数2~4のアルキニル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、水酸基又はアミノ基である。)、下記一般式(V)で表される有機化合物;
[0025]
[化3]


[0026]
(式中、R 3はそれぞれ同一又は異なって、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアルケニル基、炭素数2~4のアルキニル基又は炭素数1~4のアルコキシ基である。)、下記一般式(VI)~(VIII)で表される有機化合物;
[0027]
[化4]


[0028]
(式中、R 3はそれぞれ同一又は異なって、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアルケニル基、炭素数2~4のアルキニル基又は炭素数1~4のアルコキシ基である。)、及び、下記一般式(IX)~(XII)で表される有機化合物;
[0029]
[化5]


[0030]
(式中、Yは同一又は異なって、酸素原子、硫黄原子、-CH 2-、-CH(OH)-、-CO-、-NH-、-C 24-、-C≡C-、-C 22-又は-C 64-であり、R 4はそれぞれ同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ホルミル基、炭素数1~4のアシロキシ基、炭素数1~4のアルコキシ基を有するアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、炭素数1~4のモノアルキルアミノ基、炭素数1~4のアルキル基を有するジアルキルアミノ基又は炭素数1~4のアシルアミノ基であり、nは0~3の整数である。)よりなる群から選択される1以上の有機化合物であるのが望ましい。
[0031]
 前記有機繊維(B)はセルロースであるのが好ましい。また、本発明の吸着シートは、湿式抄紙法により製造されたものであるのが望ましい。
[0032]
 また、本発明には、多孔性金属錯体(A)、および、耐熱性繊維(D)を含有することを特徴とする吸着シートも含まれる。
 前記吸着シートは、自己固結性を有する粘土鉱物繊維を含有することが好ましい。また、前記吸着シートは有機バインダーを含有することも好ましい。上記本発明の吸着シートを用いた吸着エレメントは、本発明の好ましい実施態様である。

発明の効果

[0033]
 本発明の吸着シートによれば、多孔性金属錯体(A)の吸着性能を損なうことなく再現できる。また、本発明の吸着シートは、減圧環境下におくことで容易に吸着性能の再生が可能である。
 さらに、本発明の吸着シート、および、それを用いた吸着エレメントが、多孔性金属錯体(A)、および、耐熱性繊維(A)を含有する場合、また、必要に応じて、自己固結性を有する粘土鉱物繊維、および、有機バインダーを含有する場合には、耐熱性、多孔性金属錯体の担持性、シートの柔軟性、および、吸着性能に優れるという利点を有する。
 したがって、本発明の吸着シートは、目的に応じて吸着材、吸蔵材、分離材の用途に使用することができる。
[0034]
 なお、本明細書でいう有機溶剤とは、物質を溶解する性質をもつ有機化合物のことを指し、具体的には、トルエン、キシレン、スチレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン等の塩化芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロエチレン等の塩化脂肪族炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;酢酸エチル等のエステル類、1,4-ジオキサン等のエーテル類;メチルエチルケトン等のケトン類;メチルセロソルブ等のグリコールエーテル類;シクロヘキサノン等の脂環式炭化水素類;ノルマルヘキサン等の脂肪族炭化水素類;トリメチルシラノール、ヘキサメチルジシラザン、環状シロキサン(オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等)等の含ケイ素化合物;その他、クレゾール、二硫化炭素、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等;が挙げられる。
[0035]
 また、本明細書でいう悪臭成分としては、具体的には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド類;酢酸、イソ吉草酸などのカルボン酸類;アンモニア等の含窒素化合物;硫化水素、二硫化メチル、メチルメルカプタン等の含硫黄化合物;等が挙げられる。

図面の簡単な説明

[0036]
[図1] 実験例1-1で得られた青色粉体の298Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線を示す図である。
[図2] 実験例1-1で得られた吸着シートの298Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線を示す図である。
[図3] 実験例1-1で得られた青色粉体の273Kにおけるエチレンの吸脱着等温線を示す図である。
[図4] 実験例1-1で得られた吸着シートの273Kにおけるエチレンの吸脱着等温線を示す図である。
[図5] 実験例1-2で得られた白色粉体の298Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線を示す図である。
[図6] 実験例1-2で得られた吸着シートの298Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線を示す図である。
[図7] 実験例1-3で得られた青色粉体の298Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線を示す図である。
[図8] 実験例1-3で得られた吸着シートの298Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線を示す図である。
[図9] 実験例1-4で得られたペレットの298Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線を示す図である。
[図10] 実験例1-4で得られたペレットの273Kにおけるエチレンの吸脱着等温線を示す図である。
[図11] 実験例1-5で得られたペレットの298Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線を示す図である。
[図12] 多孔性金属錯体の吸脱着等温線がヒステリシスループを示す場合のモデル図である。
[図13] 多孔性金属錯体(A1-1)のX線回折パターンを示す図である。
[図14] 多孔性金属錯体(A1-2)のX線回折パターンを示す図である。

発明を実施するための形態

[0037]
1.吸着シート
 本発明の吸着シートは、(i)金属イオンと、前記金属イオンと結合可能な有機配位子によって多孔質構造を構成している多孔性金属錯体(A)、及び、有機繊維(B)を含むか(以下、「第1の吸着シート」と称する場合がある)、又は、(ii)多孔性金属錯体(A)、および、耐熱性繊維(D)を含む(以下、「第2の吸着シート」と称する場合がある)、ところに特徴を有する(以下、第1、第2の吸着シートをまとめて「本発明の吸着シート」と称する場合がある)。まず、第1の吸着シートについて説明する。
[0038]
1-1.第1の吸着シート
 本発明の第1の吸着シートは、金属イオンと、前記金属イオンと結合可能な有機配位子によって多孔質構造を構成している多孔性金属錯体(A)、及び、有機繊維(B)を含むところに特徴を有する。
[0039]
 本発明の第1の吸着シートの厚みは0.01mm~2mmであるのが好ましい。より好ましくは0.1mm~0.5mmであり、さらに好ましくは0.1mm~0.3mmである。吸着シートの厚みが薄すぎると多孔性金属錯体(A)の担持量を増加させ難く、一方、厚すぎると、ガス分離装置等の吸着エレメントへの加工性が低下する虞がある。
 また、本発明の第1の吸着シートの坪量は50g/m 2~200g/m 2であるのが好ましい。より好ましくは130g/m 2~170g/m 2である。坪量が小さすぎる場合は、吸着シートの組織が疎になり、多孔性金属錯体(A)の担持量が少なくなるため、充分な吸着性能を発揮し難い場合があり、一方、坪量が大きすぎると吸着シートが厚くなり、吸着エレメントへと加工する際に割れなどの問題が生じ易くなる虞がある。
[0040]
1-1-1.多孔性金属錯体(A)
 本発明の第1の吸着シートに含まれる多孔性金属錯体(A)は、金属イオンと該金属イオンと結合可能な有機配位子によって形成される多孔質構造を有している。したがって、多孔性金属錯体(A)は細孔を有しており、当該細孔内には気体分子を収容することができる。
[0041]
 上記細孔は、外部からの刺激(圧力など)によってその構造やサイズの変化を伴いながら特定種類のガスのみを選択的に吸着できるような柔軟な構造であるのが好ましい。斯かる細孔であれば、細孔内に特定種類のガスを選択的に吸着することができる。したがって本発明に係る多孔性金属錯体(A)は、吸着、吸蔵、分離の目的に合わせて特定のガスを吸着する吸着材として使用することができる。よって、本発明に係る多孔質金属錯体(A)が有する細孔のサイズは特に限定されないが、例えば2Å~50Åであるのが好ましく、より好ましくは2Å~30Åであり、さらに好ましくは2Å~20Åである。
[0042]
 特定のガスとしては、具体的には、水素、窒素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、炭素数1~4の炭化水素よりなる群から選択される少なくとも1種のガスが挙げられる。上記炭素数1~4の炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン及びブタンが挙げられる。
[0043]
 本発明に係る多孔性金属錯体(A)は、上述の特定ガスに対する吸脱着等温線がヒステリシスループを示すものであるのが好ましい。ここで、「吸脱着等温線がヒステリシスループを示す」とは、多孔性金属錯体(A)について、特定のガスに対する吸脱着等温線を作成した場合に、図12に示されるように、ガス吸着時の吸脱着等温線とガス脱着時の脱着等温線とが異なる軌跡をとるものであることを意味する。
[0044]
 図12は、多孔性金属錯体(A)の吸脱着等温線がヒステリシスループを示す場合のモデル例である。通常、吸脱着等温線がヒステリシスループを示さない場合は、吸着時の吸脱着等温線の軌跡と、脱着時の脱着等温線の軌跡とが一致する。これに対して、吸着等温線がヒステリシスループを示す場合には、ガス吸着時の吸着量が大きく増加し始める圧力P1における吸着量A1と、脱着時の圧力P1における吸着量A2、ガス脱着時の吸着量が大きく減少し始める圧力P2における吸着量A3と吸着時の圧力P2における吸着量A4が、それぞれ異なるため、吸着時と脱着時の吸脱着等温線が異なる軌跡となる。したがって、吸脱着等温線が図12のようなヒステリシスループを示す多孔性金属錯体(A)は、圧力のコントロールによりガスの吸脱着を任意に行うことができるため、圧力スイング吸着(PSA)装置や、この特性を利用したガス分離装置等にも使用することができ有用である。
[0045]
 本発明の多孔性金属錯体(A)を構成する金属イオンとしては、有機配位子との組織化により特定の分子を収容可能な細孔を形成できるものであれば特に限定されず、典型金属元素や遷移金属元素が使用できるが、好ましくはマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、鉛及びパラジウムよりなる群から選択される少なくとも1種類の金属の陽イオンが挙げられる。より好ましくは、マグネシウム、アルミニウム、銅及び亜鉛から選択される少なくとも1種の金属イオンである。
[0046]
 本発明に係る多孔性金属錯体(A)を構成する有機配位子は、分子内に金属イオンと配位結合可能な部位を2つ以上有し、金属イオンとの組織化により特定の分子を収容し得る細孔を複数有する多孔質構造を構成できる有機化合物であれば特に限定されないが、少なくとも1種以上が下記(1)~(3)のグループの中から選ばれる有機化合物であるのが好ましい。
[0047]
 (1)分子内に、カルボキシル基及び/又は水酸基を2つ以上有し、複素環を有さず、金属イオンに二座配位可能な有機化合物
 (2)分子内に、N、O又はSから選択される1のヘテロ原子を有する単環式又は多環式の飽和又は不飽和の複素環と、カルボキシル基又は水酸基を有する、金属イオンに二座配位可能な有機化合物
 (3)分子内に、N、O及びSよりなる群から選択されるヘテロ原子を2以上有する単環式又は多環式の飽和又は不飽和の複素環を有する、金属イオンに二座配位可能な有機化合物
[0048]
 (1)分子内に、カルボキシル基及び/又は水酸基を2つ以上有し、複素環を有さず、金属イオンに二座配位可能な有機化合物(以下、有機化合物(1)と称する)としては、炭素数4~20のアルキレンジカルボン酸化合物(前記炭素数には、カルボキシ基を構成する炭素が含まれる)、炭素数4~20のアルケニレンジカルボン酸化合物(前記炭素数には、カルボキシ基を構成する炭素が含まれる)、下記一般式(I)~(III)で表されるジカルボン酸化合物、下記一般式(IV)で表されるジカルボン酸化合物及び下記一般式(V)で表される有機化合物が挙げられる。
[0049]
[化6]


[0050]
  式(I)~(III)中、R 1はそれぞれ同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ホルミル基、炭素数1~4のアシロキシ基、炭素数1~4のアルコキシ基を有するアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、炭素数1~4のモノアルキルアミノ基、炭素数1~4のアルキル基を有するジアルキルアミノ基又は炭素数1~4のアシルアミノ基であり、2つ以上のR 1は環状であってもよく、また、2つ以上のR 1は環状に縮合してもよい。上記ジアルキルアミノ基においては、2つのアルキル基は同一であっても、異なっていてもよい(以下同様)。
[0051]
 上記アルキル基としては、直鎖、分枝状又は環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が挙げられ、アシロキシ基としては、炭素数1~4の直鎖状又は分枝状のアルキル基が置換したものが挙げられ(例えば、アセトキシ基、プロピオニロキシ基、イソプロピオニロキシ基等)、アルコキシカルボニル基としては、炭素数1~4の直鎖又は分枝状のアルキル基が置換したものが挙げられ(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等)、モノアルキルアミノ基としては、炭素数1~4の直鎖又は分枝状のアルキル基が置換したものが挙げられ(例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基等)、ジアルキルアミノ基としては、炭素数1~4の直鎖又は分枝状のアルキル基が置換したものが挙げられ(例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、s-ブチルアミノ基等)、アシルアミノ基としては、炭素数1~4の直鎖又は分枝状のアルキル基が置換したもの(例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基等)が挙げられる。これらの中でもR 1としては水素原子が好ましい。
[0052]
[化7]


[0053]
 式(IV)中、R 2はそれぞれ同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基であり、Xは水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアルケニル基、炭素数2~4のアルキニル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、水酸基又はアミノ基である。これらの中でもR 2は水素原子であるのが好ましい。
[0054]
[化8]


[0055]
 式(V)中、R 3はそれぞれ同一又は異なって、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアルケニル基、炭素数2~4のアルキニル基又は炭素数1~4のアルコキシ基である。これらの中でもR 3は水素原子であるのが好ましい。
[0056]
 (2)分子内に、N、O又はSから選択される1のヘテロ原子を有する単環式又は多環式の飽和又は不飽和の複素環と、カルボキシル基又は水酸基を有する、金属イオンに二座配位可能な有機化合物(以下、有機化合物(2)と称する)としては、下記一般式(VI)~(VIII))で表される有機化合物が挙げられる。
[0057]
[化9]


[0058]
 式(VI)~(VIII)中、R 3はそれぞれ同一又は異なって、水素原子、置換基を有してもよい炭素数の1~4のアルキル基、炭素数2~4のアルケニル基、炭素数2~4のアルキニル基、又は、炭素数1~4のアルコキシ基である。これらの中でもR 3は水素原子であるのが好ましい。
[0059]
 (3)分子内に、N、O及びSよりなる群から選択されるヘテロ原子を2以上有する単環式又は多環式の飽和又は不飽和の複素環を有する、金属イオンに二座配位可能な有機化合物(以下、有機化合物(3)と称する)としては、下記一般式(IX)~(XII)で表される有機化合物が挙げられる。
[0060]
[化10]


[0061]
 式(IX)~(XII)中、Yは同一又は異なって、酸素原子、硫黄原子、-CH 2-、-CH(OH)-、-CO-、-NH-、-C 24-(1,2,4,5-テトラジン-3,6-ジイル基)、-C≡C-、-C 22-又は-C 64-であり、好ましくは-C 22-又は-C 64-である。R 4はそれぞれ同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ホルミル基、炭素数1~4のアシロキシ基、炭素数1~4のアルコキシ基を有するアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、炭素数1~4のモノアルキルアミノ基、炭素数1~4のアルキル基を有するジアルキルアミノ基又は炭素数1~4のアシルアミノ基である。具体的な、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、モノ-又はジ-アルキルアミノ基、及び、アシルアミノ基としては、有機化合物(1)のR 1と同じものが挙げられる。これらの中でも、R 4としては水素原子が好ましい。なお、nは0~3の整数であり、好ましくは0又は1である。
[0062]
 上記有機配位子は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよく、吸着等の対象とするガスの種類に応じて適宜選択すればよい。上記有機化合物の中でも、炭素数4~20のアルキレンジカルボン酸化合物、有機化合物(I)、有機化合物(IV)、有機化合物(IX)及び有機化合物(X)が好ましく、より好ましくは、フマル酸、テレフタル酸及びその誘導体、イソフタル酸及びその誘導体、ピラジン及びその誘導体、4,4’-ビピリジン、1,2-ビス(4-ピリジル)エタン、1,2-ビス(4-ピリジル)エチレン、1,2-ビス(4-ピリジル)アセチレンであり、さらに好ましくは、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、5-ニトロイソフタル酸、ピラジン、2,3-ピラジンカルボン酸、1,2-ビス(4-ピリジル)エチレンである。
[0063]
 また、2種以上の有機配位子を使用する場合の有機配位子の組み合わせにも特に制限はないが、例えば、上記(1)で特定される有機化合物群と(3)で特定される有機化合物群のそれぞれから選択される有機配位子の組み合わせ;上記(3)で特定される有機化合物群から選択される2種以上の有機配位子の組み合わせが好ましく、より好ましくは有機化合物(I)と有機化合物(IX)との組み合わせ、有機化合物(IV)と有機化合物(IX)との組み合わせ、有機化合物(X)と有機化合物(IX)との組み合わせ、有機化合物(X)で表される2種以上の化合物の組み合わせが挙げられ、さらに好ましくは5-ニトロイソフタル酸と1,2-ビス(4-ピリジル)エチレンとの組み合わせ、2,3-ピラジンカルボン酸とピラジンとの組み合わせが挙げられる。
[0064]
 多孔性金属錯体(A)は、上記金属の塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、炭酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、四フッ化ホウ酸塩、六フッ化リン酸塩等)と上述の有機配位子とを、水又は有機溶媒に溶解させ、数時間から数日間反応させることにより得られる。有機溶媒としては、上記金属塩及び有機配位子が溶解するものであればよく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド(DMF)、水又はこれらの2種以上の混合溶媒等が使用できる。反応条件も特に限定されず、反応の進行度合いに応じて適宜調節すればよいが、例えば、反応温度は室温(25℃)~150℃とするのが好ましい。また、上記反応は加圧下で行ってもよい。
[0065]
 本発明に係る多孔性金属錯体(A)の形態としては粒状、粉末状、繊維状、フィルム状、板状など種々の態様が挙げられるが、粉末状若しくは粒状のものが好ましく、粉末状であるのがより好ましい。多孔性金属錯体(A)は平均粒径が0.1μm以上であるのが好ましく、より好ましくは1μm以上であり、さらに好ましくは5μm以上であり、好ましくは500μm以下であり、より好ましくは200μm以下であり、さらに好ましくは100μm以下のものが好ましく使用できる。平均粒子径が小さすぎると、取り扱いが困難であり、また、平均粒子径が大きすぎると、吸着シートに多孔性金属錯体を十分に担持させ難くなり、多孔性金属錯体の脱落が多くなる場合がある。なお、本発明において「平均粒径」とは、数累積頻度50%径(メジアン径)であって、例えば、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置により測定することができる。
[0066]
 多孔性金属錯体の77K窒素吸着法によるBET比表面積は、特に限定されないが、例えば500m 2/g以上であることが好ましい。BET比表面積が500m 2/gより小さいと、十分な吸着性能を得難い場合がある。BET比表面積は、1000m 2/g以上であるのがより好ましい。BET比表面積の上限は特に限定されないが、6000m 2/g以下であることが好ましい。この範囲を超えると、多孔性金属錯体の製造が非常に困難になるという不都合が生じるからである。
 なお、平均粒子径及びBET比表面積は、実施例に記載の方法により測定することができる。
[0067]
 本発明の第1の吸着シートに含まれる多孔性金属錯体(A)の量は50質量%~90質量%であるのが好ましい。吸着性能及び吸着シートの生産性、多孔性金属錯体(A)の脱落等を考慮すると、多孔性金属錯体(A)の含有量は60質量%~80質量%であるのがより好ましい。多孔性金属錯体(A)の含有量が50質量%未満では単位質量当たりのガスの吸着効率が悪くなり、一方90質量%を超えると吸着シートの生産性が低下したり、多孔性金属錯体(A)の脱落が多くなる傾向がある。
[0068]
1-1-2.有機繊維(B)
 本発明の第1の吸着シートにおける有機繊維(B)は、多孔性金属錯体(A)を担持する担体として機能する成分であり、パルプ状の繊維が好ましい。第1の吸着シートに多孔性金属錯体(A)を高担持させる観点からは、有機繊維(B)はフィブリル化していることが望ましい。なお、パルプ状とは製紙に用いるために分離、加工した状態を意味する。
[0069]
 有機繊維(B)としては、セルロース繊維、ポリエステル、ビニロン、ポリプロピレン、ポリアミド、レーヨン、アクリル繊維、ポリ乳酸繊維、ポリベンズイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトンなど挙げられる。なお、吸着シートに耐熱性が要求される場合は、より好ましくはアラミド、メタアラミド等の全芳香族ポリアミド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド、ポリアミドイミド又はポリエーテルケトンから製造された繊維が用いられる。上記有機繊維(B)は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
[0070]
 本発明の第1の吸着シートに含まれる有機繊維(B)の量は、5質量%~20質量%であるのが好ましい。有機繊維(B)の含有量が5質量%未満では多孔性金属錯体の担持能が不足する傾向があり、一方、20質量%を超えると、吸着シートに含まれる多孔性金属錯体(A)の量が相対的に少なくなるため、充分な吸着効果が得られ難くなる虞がある。より好ましくは10質量%~20質量%であり、さらに好ましくは15質量%~20質量%である。
[0071]
1-1-3.その他の成分
 本発明の第1の吸着シートにおいては、必要に応じて、多孔性金属錯体(A)を有機繊維(B)に担持させるための結合剤として有機バインダー(C)を使用してもよい。有機バインダー(C)としては、吸着シート製造時、吸着シートに多孔性金属錯体(A)を高比率で担持させられるものであれば特に制限されない。例えば、有機バインダー(C)としては、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリエチレン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、澱粉系バインダー、セルロース系ポリマー等を用いることができる。具体的には、ポリビニルアルコール(PVA)、澱粉、あるいはポリアクリロニトリル、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
[0072]
 有機バインダー(C)の量は、吸着シートの構成成分の合計100質量%に対して5質量%~30質量%であるのが好ましい(より好ましくは5質量%~10質量%、さらに好ましくは5質量%~7質量%)。有機バインダー(C)量が5質量%未満では、多孔性金属錯体(A)の有機繊維(B)等の繊維成分への定着性や、繊維成分間における結合性が乏しくなる傾向があり、一方30質量%を超えると、吸着シートにおける多孔性金属錯体(A)量が相対的に少なくなるため、十分な吸着効果が得られ難くなる虞がある。
[0073]
 好ましい実施形態において、本発明の第1の吸着シートは、多孔性金属錯体(A)、有機繊維(B)及び有機バインダー(C)以外の添加剤を必要に応じて含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、吸着シートの機械的強度の向上を目的とするガラス繊維、高分子凝集剤、顔料等が挙げられる。なお、これらの成分の使用量は、吸着シートの構成成分の合計100質量%に対して0質量%~10質量%とするのが好ましい(より好ましくは3質量%~7質量%)。
[0074]
 本発明の第1の吸着シートは、多孔性金属錯体(A)がその構造やサイズの変化を伴いながら特定種類のガスのみを選択的に吸着でき、また、圧力の変化により特定ガスを吸脱着し得る多孔性金属錯体(A)を有しているので、混合ガスから特定のガスを分離する分離性能に優れるものである。また、第1の吸着シートを構成する成分は比較的柔軟であり、多孔性金属錯体(A)の構造変化にも追随することができるため、吸着シートにおいても多孔性金属錯体(A)が有する優れた性能を発揮することができる。よって、本発明の第1の吸着シートは、例えば圧力スイング吸着法ガス分離装置における吸着エレメントを構成する吸着シートとして好ましく用いられる。
[0075]
1-2.第2の吸着シート
 次に、第2の吸着シートについて説明する。
 本発明の第2の吸着シートは、多孔性金属錯体(A)、および、耐熱性繊維(D)を含有する。多孔性金属錯体を含有することにより、十分な吸着性能が得られ、また、耐熱性繊維(D)を含有することにより、80℃以上の温度条件下においても著しい強度の低下を生じ難く、十分な耐熱性が得られるからである。吸着シートが多孔性金属錯体(A)を含有していない場合は、吸着性能が不十分となる。また、吸着シートが耐熱性繊維(D)を含有していなければ、十分な耐熱性が得られず、80℃以上の温度条件下において、吸着シートに著しい強度の低下が起こる。
[0076]
 本発明の第2の吸着シートの厚みは0.1mm~0.6mmであることが好ましく、より好ましくは0.1mm~0.5mmである。厚みが0.1mm未満ではシート強度が著しく低下するため、後加工においてハニカム状等の吸着エレメントに加工することが困難になる場合がある。また、厚みが0.6mmより大きければ、吸着シートをハニカム状等に加工した時の吸着エレメントの圧損が高くなる傾向がある。
[0077]
 本発明の第2の吸着シートの坪量は25g/m 2~200g/m 2が好ましい。より好ましくは40g/m 2~150g/m 2である。坪量が25g/m 2未満であれば、シートの厚みが薄くなり、シート強度が著しく低下する虞があり、後加工においてハニカム状等の吸着エレメントへの加工が困難になる場合がある。また、坪量が200g/m 2を超えると、シートの厚みが大きくなり過ぎ、ハニカム状等に加工した時の吸着エレメントの圧損が高くなる場合がある。
[0078]
1-2-1.多孔性金属錯体(A)
 本発明に係る多孔性金属錯体(A)は、金属イオンと、配位子を有する化合物とからなる多孔性材料である。多孔性金属錯体(A)としては、第1の吸着シートで使用する物と同じ物が使用できる。
[0079]
 第2の吸着シートに係る多孔性金属錯体(A)を構成する好ましい金属イオンとしては、特に限定されないが、例えば、アルミニウムイオン等の典型金属元素、鉄イオン、銅イオン及び亜鉛イオン等の遷移金属元素が挙げられる。一方、配位子を有する好ましい化合物としては、例えば、2-メチルイミダゾール、テレフタル酸及びトリメシン酸等が挙げられる。第2の吸着シートを構成する具体的な多孔性金属錯体(A)としては、例えば、亜鉛イオンと2-メチルイミダゾールから構成される多孔性金属錯体(BASF社製、Basolite(登録商標、以下同様) Z1200)、アルミニウムイオンとテレフタル酸から構成される多孔性金属錯体(BASF社製、Basolite A100)、銅イオンとトリメシン酸から構成される多孔性金属錯体(BASF社製、Basolite C300)、鉄イオンとトリメシン酸から構成される多孔性金属錯体(BASF社製、Basolite F300)等が好ましい。
 吸着シートの使用目的が、水分を含むガスから有機溶剤、および、悪臭成分の効率的な分離・回収、もしくは、吸着・除去である場合は、疎水性の高い多孔性金属錯体を採用するのが好ましい。疎水性の高い多孔性金属錯体とは、真空条件下、温度200℃で48時間以上の真空加熱処理を施した後の多孔性金属錯体を、30℃、相対湿度60%RHの窒素雰囲気下に3日以上静置したときの質量増加を、上記真空加熱処理直後の多孔性金属錯体の質量で割った質量増加率が10質量%未満である多孔性金属錯体のことを指す。具体的な疎水性の高い多孔性金属錯体(A)としては、亜鉛イオンと2-メチルイミダゾールから構成される多孔性金属錯体(BASF社製、Basolite Z1200)等が挙げられる。
[0080]
 本発明の第2の吸着シートにおける、多孔性金属錯体(A)の含有量は50質量%~85質量%であるのが好ましく、より好ましくは60質量%~80質量%である。含有量が50質量%未満では十分な吸着性能を得ることが難しい場合がある。一方、含有量が85質量%を超えると、吸着シートに多孔性金属錯体を十分に担持させることが困難になり、脱落量が多くなる。また、シート強度も著しく低下する虞がある。
[0081]
1-2-2.耐熱性繊維(D)
 本発明の第2の吸着シートに含まれる耐熱性繊維(D)は、吸着シートの耐熱性を確保する成分である。ここで、耐熱性繊維(D)とは、あらかじめ150℃、真空下で12時間乾燥させたサンプル30mgを、熱量計測測定装置(Q50、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を使用し、空気流量60mL/min、昇温速度20℃/minで常温から300℃まで昇温させたときの重量減少率が5%以下の繊維を意味する。斯かる耐熱性繊維(D)は、80℃以上の温度条件下において強度の著しい低下を生じ難く、吸着シートに耐熱性を付与する成分として好ましい。なお、強度の著しい低下とは、80℃以上の加熱雰囲気下において、本発明の第2の吸着シートを90度に折り曲げた際に、吸着シートに割れや亀裂等が生じ難いことをいう。
[0082]
 具体的な耐熱性繊維(D)としては、ガラス繊維、セラミック繊維、ロックウール繊維等の無機繊維;第1の吸着シートで例示した有機繊維(B)の内、耐熱性を有するもの、具体的には、アラミド繊維、メタアラミド繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリエーテルケトン繊維等の有機繊維;および、これらをフィブリル化した繊維;等が挙げられ、これらの中の1種又は2種以上を用いることが好ましい。耐熱性繊維(D)の繊維径は1μm~15μmであるのが好ましく、1μm~10μmであるのがより好ましい。また、繊維長は1mm~10mmであるのが好ましく、2mm~5mmであるのがより好ましい。第2の吸着シートの強度および柔軟性の両方を向上させる観点から、耐熱性繊維(D)には、繊維径1μm~10μmであり、且つ、繊維長2mm~5mmのガラス繊維が含まれているのが好ましい。
[0083]
 第2の吸着シートにおける耐熱性繊維(D)の含有率は、5質量%~30質量%が好ましく、より好ましくは10質量%~25質量%であり、さらに好ましくは10質量%~20質量%である。耐熱性繊維(D)の量が多すぎると吸着シートに含まれる多孔性金属錯体(A)の量が相対的に少なくなるため、充分な吸着効果が得られ難くなる虞があり、一方、耐熱性繊維(D)の量が少なすぎると、十分な耐熱性が得られ難い場合がある。
[0084]
1-2-3.粘土鉱物繊維(E)
 本発明における第2の吸着シートは自己固結性を有する粘土鉱物繊維(E)を含有することが好ましい。ここで、自己固結性とは、それ自身のみで固結する特性のことを表す。したがって、自己固結性を有する粘土鉱物繊維(E)を使用することで、吸着シートの耐熱性、および、多孔性金属錯体(A)の担持性を向上させることができ、さらに、粘土鉱物繊維(E)の自己固結性により吸着シート強度を一層向上させることができる。前記粘土鉱物繊維(E)の種類については特に限定されないが、入手が容易であることから、珪酸マグネシウム繊維、もしくは、珪酸カルシウム繊維が好ましい。
 前記粘土鉱物繊維(E)の繊維径と繊維長については特に限定されないが、繊維径は、好ましくは0.1μm~0.5μmであり、より好ましくは0.1μm~0.2μmであり、繊維長は、好ましくは1μm~50μmであり、より好ましくは1μm~30μmである。繊維径が0.1μm未満で、繊維長が1μm未満の場合、繊維が微細すぎるため、多孔性金属錯体(A)の担持性が低下する傾向があるだけでなく、吸着シートの強度も低下し、さらにシート作製時等の粘土鉱物繊維(E)の取り扱いが困難になることがある。一方、繊維径が0.5μmより大きく、また、繊維長が50μmより長くなると、十分な自己固結性を発現させるために高温で長時間の加熱が必要となり、多孔性金属錯体(A)の細孔構造が壊れてしまう虞がある。
[0085]
 第2の吸着シートにおける粘土鉱物繊維(E)の含有率は、5質量%~35質量%が好ましく、より好ましくは5質量%~25質量%である。粘土鉱物繊維(E)の含有率が5質量%未満では、多孔性金属錯体(A)の担持性が不足し、一方、35質量%を超えると、多孔性金属錯体(A)が粘土鉱物繊維(E)により被覆されてしまい、十分な吸着性能を得難い場合がある。
[0086]
1-2-4.有機バインダー(C)
 本発明における第2の吸着シートは、有機バインダー(C)を含むことが好ましい。吸着シートの柔軟性や強度を向上させられるからである。有機バインダー(C)としては、多孔性金属錯体(A)(吸着材)と耐熱性繊維(D)とを接合できるものであれば特に限定されない。例えば、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリエチレン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー等、第1の吸着シートと同様の有機バインダーを用いることができる。取り扱い性の面からは、ポリビニルアルコール系ポリマーが好ましい。
 有機バインダー(C)の使用態様は特に限定されないが、繊維状のものを使用すると、吸着シートを簡便に作製できるため好ましい。第2の吸着シートにおける有機バインダーの(C)含有率は、5質量%~15質量%が好ましく、5質量%~10質量%がより好ましい。5質量%未満では多孔性金属錯体(A)の担持性が不足し、15質量%を超えると多孔性金属錯体(A)が有機バインダー(C)により被覆されてしまい、十分な吸着性能が得られ難くなる傾向がある。
[0087]
1-2-5.その他の成分
 本発明の第2の吸着シートは、前記多孔性金属錯体(A)以外の多孔質材料を含んでいてもよく、本発明の吸着シートに含有される多孔質材料については特に限定されないが、例えば、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、粘土鉱物(前述の粘土鉱物繊維(E)を除く)、アルミノリン酸塩、シリコアルミノリン酸、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体等の有機高分子多孔質体等が挙げられる。好ましくは、安価に入手できる活性炭、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナである。第2の吸着シートにおけるその他の成分の含有率は、20質量%以下が好ましい。
[0088]
 本発明の第2の吸着シートは、屋内、乗り物内、壁紙、家具、内装材、樹脂成形体、電気機器等で、悪臭成分等を低減する目的や、工場等から排出される空気中の有機溶剤の分離・回収、もしくは、吸着・除去の目的で広く用いることができる。
[0089]
2.吸着シートの製造方法
 本発明の吸着シートを製造する方法は特に制限されず、従来公知の加工方法を用いることができる。好ましくは、多孔性金属錯体(A)、有機繊維(B)及び/又は耐熱性繊維(D)、及び、必要により用いられる有機バインダー(C)及び粘土鉱物繊維(E)等のシート構成材料を、水、有機溶媒又はこれらの混合物中に分散させ、成形、脱水、乾燥することによりシート状物を得る湿式シート化法が挙げられる。
[0090]
 例えば、湿式抄紙法によりシート状物を作製する場合、まず、多孔性金属錯体(A)、有機繊維(B)又は耐熱性繊維(D)、及び、任意で用いられる有機バインダー(C)や粘度鉱物繊維(E)等の他の成分を所定の配合比で水中に分散させる(分散スラリーの調製)。この際、分散スラリー中における各成分の濃度は、吸着シート中における含有量が上述の範囲内となるように適宜調整すればよい。
[0091]
 次いで、得られた分散スラリーを抄紙機で抄紙し、シート状物を得た後、これを脱水、乾燥することで吸着シートが得られる。脱水、乾燥の方法も特に限定されず、例えば、一対のロール間にシート状物を通過させることにより加圧脱水する方法等の脱水方法;天日乾燥、脱水後のシート状物に熱風を吹き付ける方法;等、従来公知の方法はいずれも使用することができる。
[0092]
 なお、上記多孔性金属錯体(A)は、その細孔内に溶媒分子を有する状態で、上記シート構成材料と混合し、シート化工程に供するのが好ましい。多孔性金属錯体(A)が細孔内に溶媒分子を有していない場合、吸着シートを構成する有機バインダー(C)が、当該細孔内に吸着されてしまう虞がある。この場合、シート化後、後述する脱溶媒処理を実施しても多孔性金属錯体(A)の細孔内に捕捉された有機バインダー(C)を除去することは難しく、吸着シートの吸着性能が劣る結果となる。すなわち、多孔性金属錯体(A)の細孔に溶媒分子を吸着させておくことにより、シート化工程における有機バインダー(C)等の細孔への吸着を防止し、シート化工程後、後述する脱溶媒処理により細孔内から溶媒分子を除去することにより、吸着シートの吸着性能を確保できる。通常は、多孔性金属錯体(A)を合成する段階で、当該多孔性金属錯体(A)の細孔内に溶媒分子が吸着するが、多孔性金属錯体(A)が細孔内に溶媒分子を有していない場合又は溶媒分子の吸着量が不十分である場合は、後述する実施例に記載の方法により細孔内に有機溶媒を吸着させることができる。尚、ここでいう溶媒分子とは、水や一般的な有機溶媒分子を指す。
[0093]
 本発明の吸着シートの製造では、シート化工程後に、吸着シート内に含まれる溶媒を除去する脱溶媒処理工程を実施するのが好ましい。上述の様に、前記多孔性金属錯体(A)は、その細孔内に溶媒分子を有する状態でシート化されている場合には、多孔性金属錯体(A)がその細孔内に溶媒分子を有しており、この状態では、十分な吸着性能が得られ難い。よって、吸着性能を発現させるため、シート化工程後に脱溶媒処理を実施するのが好ましい。尚、脱溶媒処理の実施時期はシート化工程以降であれば特に限定されない。
[0094]
 脱溶媒処理の条件は特に限定されないが、温度は80℃~300℃であることが好ましい。80℃未満では、溶媒の除去が不完全となる虞があり、十分な吸着性能が得られ難い場合がある。一方、300℃を超えると、多孔性金属錯体(A)の細孔構造が壊れてしまう虞があり、この場合も十分な吸着性能が得られ難くなる。より好ましくは100℃~200℃である。また、脱溶媒処理は、減圧下で実施することで一層効率よく溶媒を除去できる。この際、減圧度は特に限定されず、多孔性金属錯体(A)の物性や配合量に応じて適宜調整すればよいが、例えば、10 3Pa~10 -5Paが好ましく、10 -1Pa~10 -5Paであるのがより好ましい。脱溶媒処理時間も特に限定されないが、例えば1時間~100時間とするのが好ましく、より好ましくは3時間~48時間であり、さらに好ましくは3時間~24時間である。尚、最も好ましい脱溶媒処理の条件は、真空条件下で100℃~200℃、3時間~24時間である。
[0095]
 本発明の吸着シートは、平面状で使用してもよく、また、適宜、プリーツ加工、ハニカム加工、又は、コルゲート加工等を施して、所望の形状として用いてもよい。
[0096]
3.吸着エレメント
 本発明の吸着エレメントは、本発明の吸着シートを備えているところに特徴を有する。本発明に係る吸着エレメントの型式は特に限定されず、従来公知の型式はいずれも採用でき、用途や目的に応じて適宜選択すればよい。また、本発明の吸着エレメントに備えられる吸着シートの形状には特に定めはないが、例えば、吸着シートを平面状、プリーツ状、ハニカム状等に加工したものを用いることができる。例えば、プリーツ状に加工された吸着シートは直交流型吸着エレメントとしての使用において、また、ハニカム状に加工された吸着シートは平行流型吸着エレメントとしての使用において、それぞれ、処理する気体との接触面積を大きくして除去効率の向上と、吸着エレメントの低圧損化とを同時に図ることができる。平行流型吸着エレメントは、直交流型吸着エレメントと比較して、ミストやゴミによる目詰まりの防止、低圧損化、軽量化の点で優れているため、当該吸着エレメントに備えられる吸着シートはハニカム状であることが好ましい。
[0097]
 本発明の吸着シートを用いた吸着エレメントは、屋内、乗り物内、壁紙、家具、内装材、樹脂成形体、電気機器等で、悪臭成分等を低減する目的や、工場等から排出される空気中の有機溶剤の分離・回収、もしくは、吸着・除去の目的で広く用いることができる。
[0098]
 本出願は、2012年1月30日に出願された日本国特許出願第2012-17192号および2012年1月30日に出願された日本国特許出願第2012-17193号に基づく優先権の利益を主張するものである。2012年1月30日に出願された日本国特許出願第2012-17192号および2012年1月30日に出願された日本国特許出願第2012-17193号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
実施例
[0099]
 以下、実験例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実験例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
 なお、特に断らない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」をそれぞれ意味する。
[0100]
 実験例1
 [吸脱着等温線の作成]
 下記実験例で得られた多孔性金属錯体、吸着シート又はペレットを423K、50Paで6時間以上減圧乾燥し、吸着水などを除去した後、ガス吸着量測定装置(日本ベル株式会社製「BELSORP-HP」)を用いて容量法(平衡待ち時間:500秒)で測定を行い、吸脱着等温線を作成した。いずれの試料の場合も、試料中の多孔性金属錯体量が0.3g~0.5gとなるようにして測定した。
[0101]
 (実験例1-1)
 多孔性金属錯体(A1-1):[Cu 2(pzdc) 2(prz)]の合成
 ナスフラスコ(500ml)に硝酸銅三水和物(1.23g、5.0mmol、1.0eq.)、ピラジン(4.05g、50.0mmol、10.0eq.)、純水(100ml)を加え混合した。得られた青色透明溶液に、2,3-ピラジンジカルボン酸(0.84g、5.0mmol、1.0eq.)の水溶液(80ml)と1N NaOH水溶液(20ml)の混合液を滴下しながら加えた。混合溶液を室温(25℃)で2時間攪拌した後、得られた青色固体を桐山漏斗(登録商標)でろ過し、純水、メタノールで順に洗浄し、乾燥して、青色粉体(多孔性金属錯体(A1-1))を得た(収量:1.32g)。レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製「Partica(登録商標) LA-950V2」)を使用して測定したところ、多孔性金属錯体(A1-1)の平均粒子径は23μmであった。なお、上記式中「prz」はピラジンを、「pzdc」は2,3-ピラジンジカルボン酸を意味する。
[0102]
 得られた多孔性金属錯体(A1-1)の粉末X線回折パターンを測定した。測定はX線回折装置(株式会社リガク製「マルチフレックス」)を用いて、回折角(2θ)=3~50°の範囲を走査速度3°/分で走査し、対称反射法で行った。測定結果を図13に示す。
[0103]
 吸着シートの製造
 吸着シートにおける組成が、多孔性金属錯体(A1-1)70質量%、有機繊維(B)としてパルプ状セルロース20質量%、有機バインダー(C)としてPVAを5質量%、無機繊維としてガラス繊維5質量%となるように、湿式抄紙装置を使用し、厚み約0.26mm、坪量約150g/m 2のシート状の成形体である吸着シート(1)を製造した。なお、実験例1では、吸脱着等温線の作成時の減圧乾燥処理が、脱溶媒工程に相当する。
[0104]
 (吸着特性評価)
 実験例1-1で得られた多孔性金属錯体(A1-1)と吸着シート(1)について、298Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線と、273Kにおけるエチレンの吸脱着等温線をそれぞれ測定した。結果を図1~図4に示す。尚、いずれの場合も縦軸は、多孔性金属錯体(A1-1)の単位質量当たりの対象ガス(CO 2又はC 24)の吸着量を示す(以下同様)。
[0105]
 図1、図2の比較により、多孔性金属錯体(A1-1)の場合(図1)と吸着シートの場合(図2)で、多孔性金属錯体(A1-1)の単位質量当たりのCO 2吸着量の差はほとんどなく、吸着シート(1)は、担持する多孔性金属錯体(A1-1)の質量に相当するCO 2吸着量を有していることがわかる。
[0106]
 また、図3、図4の比較により、エチレンガスを吸着対象とする場合も、多孔性金属錯体(A1-1)の場合(図3)と吸着シート(1)の場合(図4)で、多孔性金属錯体(A1-1)の単位質量当たりのエチレンガスの吸着量にほとんど差がなく、吸着シート(1)は担持する多孔性金属錯体(A1-1)の質量に相当するエチレン吸着量を示していた。また、図4には、図3と同様、ガスの吸着量が約200kPaを境に急激に増加するのに対して、ガスの放出量は約230kPaを境に急激に増加するヒステリシスループが確認でき、吸着シート(1)ではゲート型の吸着挙動も再現されていた。この結果より、本発明の吸着シートは多孔性金属錯体の粉体の吸着性能を損なわず吸着材として優れていることは明らかである。
[0107]
 (実験例1-2)
 多孔性金属錯体(A1-2):[Zn(NO 2-ip)(bpe)]の合成
 ナスフラスコ(300ml)に硝酸亜鉛六水和物(1.50g、5.04mmol、1.0eq.)、5-ニトロイソフタル酸(1.07g、5.07mmol、1.0eq.)、1,2-ビス(4-ピリジル)エチレン(0.91g、5.01mmol、1.0eq.)、DMF(100ml)を加え、120℃で16時間加熱した(N 2ガス雰囲気下)。得られた白色固体を桐山漏斗(登録商標)でろ過し、DMF、メタノールで順に洗浄した後、乾燥して、白色粉体(多孔性金属錯体(A1-2))を得た(収量:2.3g、平均粒子径63μm)。なお、上記式中「NO 2-ip」は5-ニトロイソフタル酸を、「bpe」は1,2-ビス(4-ピリジル)エチレンを意味する。
[0108]
 得られた多孔性金属錯体(A1-2)について、実験例1-1と同様の方法で粉末X線回折パターンを測定した。結果を図14に示す。
[0109]
 吸着シートの製造
 吸着シートにおける組成が、多孔性金属錯体(A1-2)70質量%、有機繊維(B)としてパルプ状セルロース20質量%、有機バインダー(C)としてPVA5質量%、無機繊維としてガラス繊維5質量%となるように、湿式抄紙装置を使い、厚み約0.25mm、坪量約150g/m 2の吸着シート(2)を製造した。
[0110]
 (吸着特性評価)
 実験例1-2で得られた多孔性金属錯体(A1-2)と吸着シート(2)のそれぞれについて、298Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線を測定した。結果を図5、図6に示す。
[0111]
 図5、図6の比較により、多孔性金属錯体(A1-2)の場合(図5)と吸着シート(2)の場合(図6)で、多孔性金属錯体(A1-2)の単位質量当たりのCO 2吸着量にほとんど差はなく、吸着シート(2)は、担持する多孔性金属錯体(A1-2)の質量に相当するCO 2吸着量を有していることがわかる。この結果より、本発明の吸着シートは多孔性金属錯体の吸着性能を損なわず吸着材として優れていることは明らかである。
[0112]
 (実験例1-3)
 吸着シートの製造
 多孔性金属錯体(A1-3)として「Basolite(登録商標)C300」(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社より入手、平均粒子径35μm)の青色粉体を使用し、吸着シートにおける組成が、多孔性金属錯体(A1-3)60質量%、有機繊維(B)としてパルプ状セルロース20質量%、有機バインダー(C)としてPVAを5質量%、無機繊維としてガラス繊維5質量%となるように、湿式抄紙装置を使い、厚み約0.28mm、坪量約156g/m 2の吸着シート(3)を製造した。
[0113]
 (吸着特性評価)
 多孔性金属錯体(A1-3)と吸着シート(3)のそれぞれについて、298Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線を測定した。結果を図7、図8に示す。
[0114]
 図7、図8の比較により、多孔性金属錯体(A1-3)の場合(図7)と吸着シート(3)の場合(図8)で、多孔性金属錯体(A1-3)の単位質量当たりのCO 2吸着量の差はほとんどなく、吸着シート(3)は、担持する多孔性金属錯体(A1-3)の質量に相当するCO 2吸着量を有していることがわかる。この結果より、本発明の吸着シートは多孔性金属錯体の吸着性能を損なわず吸着材として優れていることは明らかである。
[0115]
 (実験例1-4)
 多孔性金属錯体として実験例1-1で得られた多孔性金属錯体(A1-1)を使用し、ペレットにおける組成が、多孔性金属錯体(A1-1)94質量%、有機バインダー(C)としてPVA3質量%、滑沢剤としてグラファイト3質量%となるように、錠剤成型装置により、厚み約4mm、直径3mmのペレット(1)を成型した。
[0116]
 (吸着特性評価)
 得られたペレット(1)の298Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線と、273Kにおけるエチレンの吸脱着等温線とを測定した。結果を図9、図10に示す。
[0117]
 図1、3と、図9、10との比較より、ペレット(1)のCO 2吸着量及びエチレン吸着量は、いずれの場合も使用した多孔性金属錯体(A1-1)の単位質量あたりの吸着量の90%にとどまっていた。また、多孔質金属錯体(A1-1)の吸脱着等温線(エチレン)では、200kPa付近で急激な吸着量の立ち上がりが見られたが(図3)、図10では、吸着開始圧における吸着量の立ち上がりは不鮮明であった。これは、圧縮成型により製造されたペレット(1)では、多孔性金属錯体(A1-1)と他の成分とが強固に固められており、多孔性金属錯体(A1-1)がその構造を変化させ難かったため本来の吸着性能が発揮できず、吸着量の立ち上がりが不鮮明になったものと考えられる。この結果より、ペレットへの成型により多孔性金属錯体(A1-1)の吸着性能が損なわれることは明らかである。
[0118]
 (実験例1-5)
 多孔性金属錯体として実験例1-3で使用した多孔性金属錯体(A1-3)を使用し、ペレットにおける組成が、多孔性金属錯体(A1-3)94質量%、有機バインダー成分としてPVA3質量%、滑沢剤としてグラファイト3質量%となるように、錠剤成型装置により、厚み約4mm、直径3mmのペレット(2)を成型した。
[0119]
 (吸着特性評価)
 得られたペレット(2)について、298Kにおける二酸化炭素の吸脱着等温線を測定した。結果を図11に示す。
[0120]
 図7、図11の比較より、ペレット(2)のCO 2吸着量は、使用した多孔性金属錯体(A1-3)の単位質量あたりの吸着量の約18%にとどまっていた。この結果より、ペレットへの成型により多孔性金属錯体の吸着性能が損なわれていることは明らかである。
[0121]
 実験例2
 [BET比表面積の測定方法]
 下記実験例で使用した多孔性金属錯体サンプル(有機溶媒処理前)約100mgを採取し、120℃で12時間真空乾燥した後、秤量した。自動比表面積測定装置(ジェミニ2375、マイクロメリティックス社製)を使用し、液体窒素の沸点(-195.8℃)における窒素ガスの吸着量を、相対圧を0.02~0.95の範囲で徐々に高めながら40点測定し、前記サンプルの吸着等温線を作成した。自動比表面積測定装置に付属の解析ソフト(GEMINI-PCW version1.01)にて、BET条件で、表面積解析範囲を0.01~0.15に設定して、BET比表面積[m 2/g]を求めた。
[0122]
 [平均粒子径の測定方法]
 走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S-3500)を使用して、下記実験例で用いた多孔性金属錯体の直径を100点測定し、それを相加平均して、多孔性金属錯体の平均粒子径[μm]を求めた。
[0123]
 [繊維径、繊維長の測定方法]
 走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S-3500)により、下記実験例で用いた耐熱性繊維、粘土鉱物繊維、有機バインダーの100点分の繊維直径[μm]、繊維長[mm]を測定した。100点分の繊維直径を相加平均して、サンプルの繊維径[μm]を求めた。また、100点分の繊維長を相加平均して、サンプルの繊維長[mm]を求めた。
[0124]
 [耐熱性の測定方法]
 下記実験例で製造した吸着シートから切り出した10cm×10cmの試験片について、空気雰囲気下250℃で10時間処理を行った後、処理後の試験片の両端を持ち、90度に折り曲げた。この時、シートが割れなかったものを○、亀裂が生じたものを△、割れてしまったものを×として評価した。
[0125]
 [担持性の測定方法]
 下記実験例で製造した吸着シートから切り出した10cm×10cmの試験片に、直径2.4cm、質量20gの球体(素材:アルミニウム)を、10cm/sの速度で10回衝突させ、脱落した多孔性金属錯体の量が、0.1mgより少ない場合を○、10mgより多い場合を×、0.1mg~10mgの場合を△とした。
[0126]
 [柔軟性の測定方法]
 下記実験例で製造した吸着シートから切り出した10cm×10cmの試験片の両端を持ち、90度に折り曲げた。この時、シートが割れなかったものを○、亀裂が生じたものを△、割れてしまったものを×として評価した。
[0127]
 [吸着性能の測定方法]
 バインダーとして無機接着剤(水ガラス)を使用し、吸着シートを定法によりコルゲート化し、さらに、得られたコルゲートボードを、無機接着剤(水ガラス)を使用して積層することにより、ハニカム化し、300セル/inch 2のハニカムサンプルを作製した。60mmφのガラス製カラムにハニカムサンプル(60mmφ、厚み20mm)をセットし、そのカラム中にトルエン5ppmを含む温度25℃の乾燥空気を2m/sの速度で通過させた。FID付きガスクロマトグラフ(株式会社島津製作所製、GC-2014)にて、ハニカムサンプル通過前後のトルエン濃度を1分毎に測定し、その通過前後の濃度変化からトルエンの除去率を算出した。除去率が20%になるまで測定を続け、その経過時間、除去率よりトルエンの総除去質量[g]を算出し、それをハニカムサンプルの体積で割ることによりトルエン除去量[g/L]を算出した。
[0128]
 (実験例2-1)
 多孔性金属錯体(A)として、Basolite Z1200(BASF社製)を乳鉢で粉砕した後に篩いにかけ、平均粒子径が1μmになるように調製した。さらに、そのサンプルをN,N-ジメチルホルムアミド中に24時間浸漬させた後に、ろ過し、細孔内に溶媒分子が吸着された多孔性金属錯体サンプル(A2-1)を得た。その多孔性金属錯体サンプル(A2-1)を70質量%(溶媒分子を除く)、耐熱性繊維(D)として、ガラス繊維(繊維径6μm、繊維長3mm)を15質量%、粘土鉱物繊維(E)として、珪酸マグネシウム繊維(繊維径0.1μm、繊維長1μm)を5質量%、有機バインダー(C)として、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(株式会社クラレ製、VPB105、繊維径11μm、繊維長3mm)を10質量%の比率で混合し、坪量70g/m 2となる質量にて湿式抄紙装置(東洋紡エンジニアリング株式会社製、以下同様。)を使い吸着シートを作製した。さらに、200℃、真空条件下、24時間で脱溶媒処理を行い、吸着シートサンプルを得た。得られたサンプルについて、耐熱性、担持性、柔軟性、吸着性能を測定した。
[0129]
 (実験例2-2)
 多孔性金属錯体(A)として、Basolite A100(BASF社製)を乳鉢で粉砕した後に篩いにかけ、平均粒子径が1μmになるように調製した。さらに、そのサンプルをN,N-ジメチルホルムアミド中に24時間浸漬させた後に、ろ過し、細孔内に溶媒分子が吸着された多孔性金属錯体サンプル(A2-2)を得た。その多孔性金属錯体サンプル(A2-2)を70質量%、耐熱性繊維(D)として、ガラス繊維(繊維径6μm、繊維長3mm)を15質量%、粘土鉱物繊維(E)として、珪酸マグネシウム繊維(繊維径0.1μm、繊維長1μm)を5質量%、有機バインダー(C)として、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(株式会社クラレ製、VPB105、繊維径11μm、繊維長3mm)を10質量%の比率で混合し、坪量70g/m 2となる質量にて湿式抄紙装置を使い吸着シートを作製した。さらに、200℃、真空条件下、24時間で脱溶媒処理を行い、吸着シートサンプルを得た。得られたサンプルに対して、耐熱性、担持性、柔軟性、吸着性能を測定した。
[0130]
 (実験例2-3)
 多孔性金属錯体(A)として、Basolite C300(BASF社製)を乳鉢で粉砕した後に篩いにかけ、平均粒子径が1μmになるように調製した。さらに、そのサンプルをエタノール中に24時間浸漬させた後に、ろ過し、細孔内に溶媒分子が吸着された多孔性金属錯体サンプル(A2-3)を得た。その多孔性金属錯体サンプル(A2-3)を70質量%、耐熱性繊維(D)として、ガラス繊維(繊維径6μm、繊維長3mm)を15質量%、粘土鉱物繊維(E)として、珪酸マグネシウム繊維(繊維径0.1μm、繊維長1μm)を5質量%、有機バインダー(C)として、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(株式会社クラレ製、VPB105、繊維径11μm、繊維長3mm)を10質量%の比率で混合し、坪量70g/m 2となる質量にて湿式抄紙装置を使い吸着シートを作製した。さらに、200℃、真空条件下、24時間で脱溶媒処理を行い、吸着シートサンプルを得た。得られたサンプルに対して、耐熱性、担持性、柔軟性、吸着性能を測定した。
[0131]
 (実験例2-4)
 多孔性金属錯体(A)として、Basolite F300(BASF社製)を乳鉢で粉砕した後に篩いにかけ、平均粒子径が1μmになるように調製した。さらに、そのサンプルをN,N-ジメチルホルムアミド中に24時間浸漬させた後に、ろ過し、細孔内に溶媒分子が吸着された多孔性金属錯体サンプル(A2-4)を得た。その多孔性金属錯体サンプル(A2-4)を70質量%、耐熱性繊維(D)として、ガラス繊維(繊維径6μm、繊維長3mm)を15質量%、粘土鉱物繊維(E)として、珪酸マグネシウム繊維(繊維径0.1μm、繊維長1μm)を5質量%、有機バインダー(C)として、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(株式会社クラレ製、VPB105、繊維径11μm、繊維長3mm)を10質量%の比率で混合し、坪量70g/m 2となる質量にて湿式抄紙装置を使い吸着シートを作製した。さらに、200℃、真空条件下、24時間で脱溶媒処理を行い、吸着シートサンプルを得た。得られたサンプルに対して、耐熱性、担持性、柔軟性、吸着性能を測定した。
[0132]
 (実験例2-5)
 多孔性金属錯体(A)として、Basolite Z1200(BASF社製)を乳鉢で粉砕した後に篩いにかけ、平均粒子径が1μmになるように調製した。さらに、そのサンプルをN,N-ジメチルホルムアミド中に24時間浸漬させた後に、ろ過し、細孔内に溶媒分子が吸着された多孔性金属錯体サンプル(A2-5)を得た。その多孔性金属錯体サンプル(A2-5)を60質量%、耐熱性繊維(D)として、ガラス繊維(繊維径6μm、繊維長3mm)を15質量%、粘土鉱物繊維(E)として、珪酸マグネシウム繊維(繊維径0.2μm、繊維長30μm)を15質量%、有機バインダー(C)として、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(株式会社クラレ製、VPB105、繊維径11μm、繊維長3mm)を10質量%の比率で混合し、坪量70g/m 2となる質量にて湿式抄紙装置を使い吸着シートを作製した。さらに、150℃、1気圧条件下、24時間で脱溶媒処理を行い、吸着シートサンプルを得た。得られたサンプルに対して、耐熱性、担持性、柔軟性、吸着性能を測定した。
[0133]
 (実験例2-6)
 多孔性金属錯体(A)として、Basolite Z1200(BASF社製)を乳鉢で粉砕した後に篩いにかけ、平均粒子径が1μmになるように調製した。さらに、そのサンプルをN,N-ジメチルホルムアミド中に24時間浸漬させた後に、ろ過し、細孔内に溶媒分子が吸着された多孔性金属錯体サンプル(A2-6)を得た。その多孔性金属錯体サンプル(A2-6)を60質量%、耐熱性繊維(D)として、フィブリル化されたアラミド繊維(帝人製、トワロン(登録商標)、繊維径12μm、繊維長3mm)を15質量%、粘土鉱物繊維(E)として、珪酸マグネシウム繊維(繊維径0.1μm、繊維長1μm)を15質量%、有機バインダー(C)として、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(株式会社クラレ製、VPB105、繊維径11μm、繊維長3mm)を10質量%の比率で混合し、坪量70g/m 2となる質量にて湿式抄紙装置を使い吸着シートを作製した。さらに、150℃、真空条件下、24時間で脱溶媒処理を行い、吸着シートサンプルを得た。得られたサンプルに対して、耐熱性、担持性、柔軟性、吸着性能を測定した。
[0134]
 (実験例2-7)
 多孔性金属錯体(A)として、Basolite Z1200(BASF社製)を篩いにかけ、平均粒子径が10μmになるように調製した。さらに、そのサンプルをN,N-ジメチルホルムアミド中に24時間浸漬させた後に、ろ過し、細孔内に溶媒分子が吸着された多孔性金属錯体サンプル(A2-7)を得た。その多孔性金属錯体サンプル(A2-7)を60質量%、耐熱性繊維(D)として、ガラス繊維(繊維径6μm、繊維長3mm)を15質量%、粘土鉱物繊維(E)として、珪酸マグネシウム繊維(繊維径0.1μm、繊維長1μm)を15質量%、有機バインダー(C)として、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(株式会社クラレ製、VPB105、繊維径11μm、繊維長3mm)を10質量%の比率で混合し、坪量70g/m 2となる質量にて湿式抄紙装置を使い吸着シートを作製した。さらに、150℃、真空条件下、24時間で脱溶媒処理を行い、吸着シートサンプルを得た。得られたサンプルに対して、耐熱性、担持性、柔軟性、吸着性能を測定した。
[0135]
 (実験例2-8)
 多孔性金属錯体(A)として、Basolite Z1200(BASF社製)を10kgf/cm 2の圧力で軽く押し固め、篩いにかけ、平均粒子径が150μmになるように調製した。さらに、そのサンプルをN,N-ジメチルホルムアミド中に24時間浸漬させた後に、ろ過し、細孔内に溶媒分子が吸着された多孔性金属錯体サンプル(A2-8)を得た。その多孔性金属錯体サンプル(A2-8)を60質量%、耐熱性繊維(D)として、ガラス繊維(繊維径6μm、繊維長3mm)を15質量%、粘土鉱物繊維(E)として、珪酸マグネシウム繊維(繊維径0.1μm、繊維長1μm)を15質量%、有機バインダー(C)として、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(株式会社クラレ製、VPB105、繊維径11μm、繊維長3mm)を10質量%の比率で混合し、坪量70g/m 2となる質量にて湿式抄紙装置を使い吸着シートを作製した。さらに、150℃、真空条件下、24時間で脱溶媒処理を行い、吸着シートサンプルを得た。得られたサンプルに対して、耐熱性、担持性、柔軟性、吸着性能を測定した。
[0136]
 (実験例2-9)
 多孔性金属錯体(A)として、Basolite Z1200(BASF社製)を乳鉢で粉砕した後に篩いにかけ、平均粒子径が1μmになるように調製した。さらに、そのサンプルをN,N-ジメチルホルムアミド中に24時間浸漬させた後に、ろ過し、細孔内に溶媒分子が吸着された多孔性金属錯体サンプル(A2-9)を得た。その多孔性金属錯体サンプル(A2-9)を80質量%、耐熱性繊維(D)として、ガラス繊維(繊維径6μm、繊維長3mm)を10質量%、粘土鉱物繊維(E)として、珪酸マグネシウム繊維(繊維径0.1μm、繊維長1μm)を5質量%、有機バインダー(C)として、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(株式会社クラレ製、VPB105、繊維径11μm、繊維長3mm)を5質量%の比率で混合し、坪量70g/m 2となる質量にて湿式抄紙装置を使い吸着シートを作製した。さらに、200℃、真空条件下、24時間で脱溶媒処理を行い、吸着シートサンプルを得、得られたサンプルに対して、耐熱性、担持性、柔軟性、吸着性能を測定した。
[0137]
 (実験例2-10)
 多孔性金属錯体(A)として、Basolite Z1200(BASF社製)を乳鉢で粉砕した後に篩いにかけ、平均粒子径が1μmになるように調製した。さらに、そのサンプルをN,N-ジメチルホルムアミド中に24時間浸漬させた後に、ろ過し、細孔内に溶媒分子が吸着された多孔性金属錯体サンプル(A2-10)を得た。その多孔性金属錯体サンプル(A2-10)を70質量%、耐熱性繊維(D)として、ガラス繊維(繊維径6μm、繊維長3mm)を20質量%、有機バインダー(C)として、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(株式会社クラレ製、VPB105、繊維径11μm、繊維長3mm)を10質量%の比率で混合し、坪量70g/m 2となる質量にて湿式抄紙装置を使い吸着シートを作製した。さらに、200℃、真空条件下、24時間で脱溶媒処理を行い、吸着シートサンプルを得た。得られたサンプルに対して、耐熱性、担持性、柔軟性、吸着性能を測定した。
[0138]
 (実験例2-11)
 多孔性金属錯体(A)として、Basolite Z1200(BASF社製)を乳鉢で粉砕した後に篩いにかけ、平均粒子径が1μmになるように調製した。さらに、そのサンプルをN,N-ジメチルホルムアミド中に24時間浸漬させた後に、ろ過し、細孔内に溶媒分子が吸着された多孔性金属錯体サンプル(A2-11)を得た。その多孔性金属錯体サンプル(A2-11)を70質量%、耐熱性繊維(D)として、ガラス繊維(繊維径6μm、繊維長3mm)を20質量%、粘土鉱物繊維(E)として、珪酸マグネシウム繊維(繊維径0.1μm、繊維長1μm)を10質量%の比率で混合し、坪量70g/m 2となる質量にて湿式抄紙装置を使い吸着シートを作製した。さらに、200℃、真空条件下、24時間で脱溶媒処理を行い、吸着シートサンプルを得た。得られたサンプルに対して、耐熱性、担持性、柔軟性、吸着性能を測定した。
[0139]
 (実験例2-12)
 HSZ-390HUA(東ソー社製、Y型ゼオライト)を乳鉢で粉砕した後に篩いにかけ、平均粒子径が1μmになるように調製した。得られたゼオライトサンプルを70質量%、耐熱性繊維(D)として、ガラス繊維(繊維径6μm、繊維長3mm)を15質量%、粘土鉱物繊維(E)として、珪酸マグネシウム繊維(繊維径0.1μm、繊維長1μm)を5質量%、有機バインダー(C)として、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(株式会社クラレ製、VPB105、繊維径11μm、繊維長3mm)を10質量%の比率で混合し、坪量70g/m 2となる質量にて湿式抄紙装置を使い吸着シートを作製した。さらに、200℃、真空条件下、24時間で処理を行い、吸着シートサンプルを得た。得られたサンプルに対して、耐熱性、担持性、柔軟性、吸着性能を測定した。
[0140]
 (実験例2-13)
 Basolite Z1200(BASF社製)を乳鉢で粉砕した後に篩いにかけ、平均粒子径が1μmになるように調製した。さらに、そのサンプルをN,N-ジメチルホルムアミド中に24時間浸漬させた後に、ろ過し、細孔内に溶媒分子が吸着された多孔性金属錯体サンプル(A2-12)を得た。その多孔性金属錯体サンプル(A2-12)を70質量%、耐熱性繊維(D)の代わりにポリブチレンテレフタレート繊維(繊維径6μm、繊維長3mm)を15質量%、粘土鉱物繊維(E)として、珪酸マグネシウム繊維(繊維径0.1μm、繊維長1μm)を5質量%、有機バインダー(C)として、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(株式会社クラレ製、VPB105、繊維径11μm、繊維長3mm)を10質量%の比率で混合し、坪量70g/m 2となる質量にて湿式抄紙装置を使い吸着シートを作製した。さらに、200℃、真空条件下、24時間で脱溶媒処理を行い、吸着シートサンプルを得た。得られたサンプルに対して、耐熱性、担持性、柔軟性、吸着性能を測定した。
[0141]
 (実験例2-14)
 Basolite Z1200(BASF社製)を乳鉢で粉砕した後に篩いにかけ、平均粒子径が1μmになるように調製した。さらに、そのサンプルを200℃、真空条件下、24時間で脱溶媒処理を行い、多孔性金属錯体サンプル(A2-13)を得た。その多孔性金属錯体サンプル(A2-13)を70質量%、ポリブチレンテレフタレート繊維(繊維径6μm、繊維長3mm)を15質量%、粘土鉱物繊維(E)として、珪酸マグネシウム繊維(繊維径0.1μm、繊維長1μm)を5質量%、有機バインダー(C)として、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(株式会社クラレ製、VPB105、繊維径11μm、繊維長3mm)を10質量%の比率で混合し、坪量70g/m 2となる質量にて湿式抄紙装置を使い吸着シートを作製した。さらに、200℃、真空条件下、24時間で脱溶媒処理を行い、吸着シートサンプルを得た。得られたサンプルに対して、耐熱性、担持性、柔軟性、吸着性能を測定した。
[0142]
 (実験例2-15)
 Basolite Z1200(BASF社製)を乳鉢で粉砕した後に篩いにかけ、平均粒子径が1μmになるように調製した。さらに、そのサンプルを200℃、真空条件下、24時間で脱溶媒処理を行い、多孔性金属錯体サンプル(A2-14)を得た。その多孔性金属錯体サンプル(A2-14)を70質量%、耐熱性繊維(D)の代わりに、ポリブチレンテレフタレート繊維(繊維径6μm、繊維長3mm)を15質量%、粘土鉱物繊維(E)として、珪酸マグネシウム繊維(繊維径0.1μm、繊維長1μm)を5質量%、有機バインダー(C)として、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(株式会社クラレ製、VPB105、繊維径11μm、繊維長3mm)を10質量%の比率で混合し、坪量70g/m 2となる質量にて湿式抄紙装置を使い吸着シートを作製した。さらに、200℃、真空条件下、24時間で脱溶媒処理を行い、吸着シートサンプルを得た。得られたサンプルに対して、耐熱性、担持性、柔軟性、吸着性能を測定した。
[0143]
 実験例2-1~2-15のサンプルに関して、耐熱性、担持性、柔軟性、吸着性能を測定した結果を表1又は2に示す。表1、2より明らかなように、本発明例である実験例2-1~2-11は、吸着材が多孔性金属錯体(A)ではない場合(実験例2-12)、耐熱性繊維(D)を含まない場合(実験例2-13、2-14、2-15)と比較して、耐熱性、担持性、柔軟性、吸着性能の面で優れていることが分かる。また、粘土鉱物繊維(E)を含まない場合(実験例2-10)、有機バインダー(C)を含まない場合(実験例2-11)は、これらを含む実験例に比べて、耐熱性、担持性、又は柔軟性にやや劣る傾向が見られた。
[0144]
[表1]


[0145]
[表2]


産業上の利用可能性

[0146]
 本発明の第1の吸着シートは、ガスの種類によっては吸脱着等温線においてヒステリシスループが見られる多孔性金属錯体(A)の吸着挙動を損なうことなく再現できる。また、吸着シートの形状とすることで、多孔性金属錯体(A)の含有比率を高めることもできるので、本発明の第1の吸着シートは優れた吸脱着特性を有するものとなる。したがって、本発明の第1の吸着シートは、吸着材、吸蔵材、分離材などの用途で使用でき、また、本発明の第1の吸着シートを減圧下におくことよって被吸着物を脱着でき、吸着性能の再生が容易であるので、産業上極めて有意義である。
[0147]
 また、本発明の第2の吸着シート又は吸着エレメントによれば、空気中の水分、有機溶剤、および、悪臭成分を効率的に分離・回収、もしくは、吸着・除去するができるようになり、産業界に大きく寄与することが期待できる。

請求の範囲

[請求項1]
 金属イオンと、前記金属イオンと結合可能な有機配位子によって多孔質構造を構成している多孔性金属錯体(A)、及び、有機繊維(B)を含むことを特徴とする吸着シート。
[請求項2]
 前記多孔性金属錯体(A)を50質量%~90質量%含有する請求項1に記載の吸着シート。
[請求項3]
 水素、酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、炭素数1~4の炭化水素よりなる群から選択される少なくとも1種のガスに対する前記多孔性金属錯体(A)の吸脱着等温線がヒステリシスループを示す請求項1又は2に記載の吸着シート。
[請求項4]
 前記有機配位子が、下記(1)~(3)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の有機化合物である請求項1~3のいずれか一項に記載の吸着シート。
(1)分子内に、カルボキシル基及び/又は水酸基を2つ以上有し、複素環を有さず、金属イオンに二座配位可能な有機化合物
(2)分子内に、N、O又はSから選択される1のヘテロ原子を有する単環式又は多環式の飽和又は不飽和の複素環と、カルボキシル基又は水酸基を有する、金属イオンに二座配位可能な有機化合物
(3)分子内に、N、O及びSよりなる群から選択されるヘテロ原子を2以上有する単環式又は多環式の飽和又は不飽和の複素環を有する、金属イオンに二座配位可能な有機化合物
[請求項5]
 前記有機配位子が、炭素数4~20のアルキレンジカルボン酸化合物、炭素数4~20のアルケニレンジカルボン酸化合物、下記一般式(I)~(III)で表されるジカルボン酸化合物;
[化1]



(式中、R 1はそれぞれ同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ホルミル基、炭素数1~4のアシロキシ基、炭素数1~4のアルコキシ基を有するアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、炭素数1~4のモノアルキルアミノ基、炭素数1~4のアルキル基を有するジアルキルアミノ基又は炭素数1~4のアシルアミノ基であり、2つ以上のR 1が環状であってもよく、2つ以上のR 1が環状に縮合してもよい。)、
 下記一般式(IV)で表されるジカルボン酸化合物;
[化2]



(式中、R 2はそれぞれ同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基であり、Xは水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアルケニル基、炭素数2~4のアルキニル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、水酸基又はアミノ基である。)、
 下記一般式(V)で表される有機化合物;
[化3]



(式中、R 3はそれぞれ同一又は異なって、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアルケニル基、炭素数2~4のアルキニル基又は炭素数1~4のアルコキシ基である。)、
 下記一般式(VI)~(VIII)で表される有機化合物;
[化4]



(式中、R 3はそれぞれ同一又は異なって、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアルケニル基、炭素数2~4のアルキニル基又は炭素数1~4のアルコキシ基である。)、及び、
 下記一般式(IX)~(XII)で表される有機化合物;
[化5]



(式中、Yは同一又は異なって、酸素原子、硫黄原子、-CH 2-、-CH(OH)-、-CO-、-NH-、-C 24-、-C≡C-、-C 22-又は-C 64-であり、R 4はそれぞれ同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ホルミル基、炭素数1~4のアシロキシ基、炭素数1~4のアルコキシ基を有するアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、炭素数1~4のモノアルキルアミノ基、炭素数1~4のアルキル基を有するジアルキルアミノ基又は炭素数1~4のアシルアミノ基であり、nは0~3の整数である。)よりなる群から選択される1以上の有機化合物である請求項1~4のいずれか一項に記載の吸着シート。
[請求項6]
 前記有機繊維(B)がセルロースである請求項1~5のいずれか一項に記載の吸着シート。
[請求項7]
 湿式抄紙法により製造されたものである請求項1~6のいずれか一項に記載の吸着シート。
[請求項8]
 多孔性金属錯体(A)、および、耐熱性繊維(D)を含有することを特徴とする吸着シート。
[請求項9]
 前記吸着シートが、自己固結性を有する粘土鉱物繊維(E)を含有するものである請求項8に記載の吸着シート。
[請求項10]
 前記吸着シートが、有機バインダー(C)を含有するものである請求項8又は9に記載の吸着シート。
[請求項11]
 請求項8~10のいずれかに記載の吸着シートを備えることを特徴とする吸着エレメント。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]