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1. WO2013121890 - 車体下部構造

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明 細 書

発明の名称 車体下部構造

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008  

先行技術文献

特許文献

0009  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017  

課題を解決するための手段

0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064  

発明の効果

0065  

図面の簡単な説明

0066  

発明を実施するための形態

0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244   0245   0246   0247   0248   0249   0250   0251   0252   0253   0254   0255   0256   0257   0258   0259   0260   0261   0262   0263   0264   0265   0266   0267   0268   0269   0270  

符号の説明

0271  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27   28   29   30   31   32   33   34  

明 細 書

発明の名称 : 車体下部構造

技術分野

[0001]
 本発明は、車体下部構造に関し、特に、対向車等の衝突物が、車両の前方端の右側又は左側にずれて、対向車等の衝突物のフロントサイドフレーム等の硬い構造物が車体のホイールハウス前方部分と衝突するような僅かにすれ違うような状態で衝突する、所謂、ナローオフセット衝突した際の衝突荷重の吸収性を向上させることが可能な車体下部構造に関する。

背景技術

[0002]
 例えば、特許文献1には、車両が対向車等の衝突物と衝突した際、衝突荷重を分散させて車体の強度を高めることにより、車体が変形するのを抑制することができる、とする車体構造が開示されている。
[0003]
 図33は、特許文献1に示す車両がナローオフセット衝突したときの衝突荷重が負荷される状態を示す車体の概略平面図、図34は、特許文献1に示す車両がナローオフセット衝突したときのドアの状態を示す車両の要部左側面図である。
[0004]
 図33に示されるように、特許文献1に開示された車体構造では、車体の強度を向上させるために、サイドシル100の前端部から後方且つ車幅方向内方に傾斜したダイアゴナルメンバ500が設けられている。このダイアゴナルメンバ500は、サイドシル100とサイドメンバアウトサイド200との連結隅部と、フロアフレーム300(センタメンバ)とフロアクロスメンバ400との連結隅部との間を連結している。
[0005]
 また、図示は省略するが、特許文献2には、ダッシュボードロアとフロントピラとが接合して成る角部に沿ってピラーブレースを設置するとともに、フロントピラとピラーブレースとの接合部においてフロントピラの内部に補強部材を設置した車体構造が開示されている。この構造によれば、前突荷重をピラーブレースでフロントピラに伝達し、補強部材でフロントピラの変形を抑制することができる、とされている。
[0006]
 さらに、特許文献2には、フロントピラとサイドシルアッパとダッシュクロスメンバとからなる3つの部材を、車室前部のコーナー部に配置した単一のガセット部材(カウルサイドガセット)で連結し、フロントピラとサイドシルの車室側への倒れ込みを防止すると共に、ダッシュパネルの潰れを防止する車両の前部車体構造が開示されている。
[0007]
 さらにまた、一般に、車体下部の車幅方向両側には、前後方向に沿って延在する閉断面のサイドシルが設けられている。
[0008]
 例えば、特許文献3には、車外側に配置されるサイドシルアウタと車内側に配置されるサイドシルインナとを接合したサイドシルにおいて、前記サイドシルインナを上下で二分割してアッパ部材及びロア部材の二部材で構成する発明が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0009]
特許文献1 : 特開2003-237636号公報
特許文献2 : 特許第4254843号公報
特許文献3 : 特許第4438416号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0010]
 しかしながら、図33に示される特許文献1の車体構造では、例えば、対向車C2等の衝突物がフロントサイドフレーム600よりも車幅方向の外側の位置でナローオフセット衝突したとき、サイドシル100の前端に衝突荷重Fが付与されるため、ダイアゴナルメンバ500でサイドシル100に負荷される荷重を減少させても、前突荷重の方向のサイドシル100に対して大きな荷重が付与される。このため、サイドシル100は、図33の二点鎖線で示されるサイドシル100Aのように略く字状に折れ曲がって、長さL100だけ圧縮された状態に変形する。
[0011]
 この場合、図34に示されるように、サイドシル100の前端の上部に連結されているフロントピラ700も、サイドシル100の変形に伴って車体後方側へ移動している。このため、フロントピラ700に設けられているドア800の前側取付部710が後方に移動し、ドア800が開け難くなる場合がある。
[0012]
 また、図33に示すダイアゴナルメンバ500を備えていない車両の場合は、前輪Tが後退しながら車室側へ入っていくため、図33の二点鎖線で示されるサイドシル100Bのように車室内側へ向けて折れ曲がって車室形状が変形するおそれがある。
[0013]
 また、特許文献2に記載の車体構造では、ナローオフセット衝突した際に、ピラーブレースからフロントピラに荷重が伝達されるが、フロントピラの内部に補強部材が設置されているため、フロントピラ自体は潰れずに、フロントピラがその形状を保ったまま後退する。そのため、特許文献1の場合と同様に、フロントピラに設けられているドアの前側取付部が後方に移動し、ドアが開け難くなる場合がある。
[0014]
 さらに、特許文献2に開示された車体構造では、ダッシュクロスメンバとガセット部材との結合だけでは弱く、例えば、ナローオフセット衝突したときに衝突荷重がサイドシルの前端に付与されると、フロアパネルの前端が変形して車室側へ向かうダッシュボードロアの後退量が増大するおそれがある。
[0015]
 さらにまた、特許文献3に記載の発明では、アッパ部材に1つの稜線部しか形成されていないので、側面衝突時の荷重に対するアッパ部材の曲げ剛性及び前面衝突時の圧潰荷重が低いという問題があった。
 また、ロア部材のうち略水平に形成された部分は、フロアパネルに対し上下にずれて配置されているので、側面衝突時の荷重を逃がすことなくフロアパネルに伝達できず、ロア部材の曲げ剛性が低いという問題があった。
[0016]
 そこで、特許文献3に記載の発明では、サイドシルの曲げ剛性及び圧潰荷重を高めるため、サイドシルインナとサイドシルアウタとの間に(サイドシルの内部に)補強部材を別途設けているが、その分車体の重量が増加するという問題が生じていた。
 なお、アッパ部材及びロア部材の板厚を大きく設定してサイドシルの曲げ剛性及び圧潰荷重を高める手段も考えられるが、そうすると車体の重量増加を招くこととなる。
[0017]
 本発明は、これらの問題に鑑みて成されたものであり、ナローオフセット時の衝突荷重の吸収性能を向上させてフロントピラの後退を抑制可能な車体下部構造を提供することを第1の課題とする。
 また、本発明は、衝突荷重が付与されたときのダッシュボードロアの後退量を低減させることが可能な車体下部構造を提供することを第2の課題とする。
 さらに、本発明は、ナローオフセット衝突した際の衝突荷重の吸収性をより一層向上させることが可能な車体下部構造を提供することを第3の課題とする。
 さらにまた、本発明は、サイドシルインナの曲げ剛性及び圧潰荷重を向上させつつ、車体の軽量化を図ることができる車体下部構造を提供することを第4の課題とする。

課題を解決するための手段

[0018]
 本発明に係る車体下部構造は、車室と動力搭載室とを仕切るとともに前記車室とホイールハウスとを仕切るダッシュボードロアと、前記ダッシュボードロアの車幅方向端部に立設されたフロントピラと、前記ダッシュボードロアと前記フロントピラとの間に架設されたガセットと、を備える車体下部構造であって、前記ガセットは、一端側が前記ダッシュボードロアに接合されるとともに、前記フロントピラに近づくにつれて前記ダッシュボードロアから離間し、他端側が前記フロントピラに接合され、前記ダッシュボードロアと前記フロントピラと前記ガセットとに囲まれた部分に、平面視で略三角形状の潰し空間が形成されていることを特徴とする。
[0019]
 このような構成によれば、車体下部構造は、ダッシュボードロアとフロントピラとガセットとに囲まれた部分に、平面視で略三角形状の潰し空間を有しているので、ナローオフセット衝突した際に、ホイールハウス内のホイールによって潰し空間が潰され、衝突荷重が吸収される。そのため、フロントピラに伝達される衝突荷重が減少し、フロントピラの後退が抑制される。その結果、フロントピラに設けられているドアの前側取付部の後退量が抑制されるので、ドアの開閉が困難となる不都合を解消することができる。
[0020]
 また、本発明において、前記動力搭載室には、車両の前後方向に延設されたフロントサイドフレームが配置されており、前記ガセットの一端側は、前記ダッシュボードロアのうち、前記フロントサイドフレームの後端部と前記ダッシュボードロアとの接合部に対応する位置に固定されており、前記ダッシュボードロアと前記ガセットとで形成された前記潰し空間の頂点部は、前記ホイールハウス内に設置されたホイールの内側後端エッジがナローオフセット衝突時に前記ダッシュボードロアに衝突する位置に配置されている構成とするのが好ましい。
[0021]
 このような構成によれば、ナローオフセット衝突時に、ホイールハウス内に設置されたホイールの内側後端エッジが、ダッシュボードロアのうち、ダッシュボードロアとガセットとで形成された潰し空間の頂点部が配置された位置に衝突して支持される。そうすると、この頂点部に支持されたホイールの内側後端エッジが支点となってホイールが車幅方向外側に回動し、ホイールの外側後端エッジがダッシュボードロアとフロントピラとで形成された潰し空間の頂点部の方に案内される。その結果、略三角形状の潰し空間の一辺(ダッシュボードロア)がホイールの後端面によって押圧されるので、略三角形状の潰し空間を十分に潰しきることができる。
[0022]
 また、本発明において、前記ガセットは、前記ダッシュボードロアから離間している部位よりも前記ダッシュボードロアに接合している部位の方が曲げ変形に対する剛性が大きい構成とするのが好ましい。
[0023]
 このような構成によれば、ガセットのうち、ダッシュボードロアに接合している部位の
剛性が強化されるので、ダッシュボードロアとガセットとで形成された潰し空間の頂点部の支持剛性が向上する。また、ガセットのうち、ダッシュボードロアから離間している部位は、比較的変形し易いので、略三角形状の潰し空間を良好に潰すことができる。
[0024]
 また、本発明において、前記ダッシュボードロアの下端側には、車幅方向に延設されたダッシュボードクロスメンバが結合されており、前記ホイールハウス内に設置されたホイールの内側後端エッジは、ナローオフセット衝突時に前記ダッシュボードロアに衝突して、前記ガセットと前記ダッシュボードクロスメンバに支持される構成とするのが好ましい。
[0025]
 このような構成によれば、ナローオフセット衝突時におけるホイール内側後端エッジの支持力(反力)が増加し、ダッシュボードロアの後退量が抑制されるので、ホイール内側後端エッジを支点としてホイールを一層良好に回動させることができる。
[0026]
 また、本発明は、車両前後方向に延設され、前端部が前記ダッシュボードロアに接合されたフロアフレームと、前記フロアフレームの車幅方向外側で前後方向に延設され、前端部が前記フロントピラの下端部及び前記ダッシュボードロアの車幅方向端部に接合されたサイドシルと、前記フロアフレームと前記サイドシルとの間に架設され、前記サイドシルに近づくほど前側に位置するように傾斜して配置された補強フレームと、をさらに備え、前記サイドシルは、前記補強フレームとの結合部よりも前方部分に潰し領域を有する構成とするのが好ましい。
[0027]
 このような構成によれば、サイドシルは、前記補強フレームとの結合部よりも前方部分に潰し領域を有するので、ナローオフセット衝突時における衝突荷重の吸収性能をより一層向上させることができる。
[0028]
 また、本発明は、車体の車幅方向外側の端部に沿って車体前後方向に延設された左右のサイドシルを備えた車体下部構造において、前記左右のサイドシルの前端に結合して車幅方向に沿って延在するダッシュボードクロスメンバと、フロントサイドフレームの後端に連結され、前記左右のサイドシルの前端に結合して車幅方向に沿って延在するアウトリガと、を備え、ホイールハウス部を有するダッシュボードロアは、前記ダッシュボードクロスメンバと前記アウトリガとの間で挟持して接合されるとよい。
[0029]
 本発明によれば、ホイールハウス部を有するダッシュボードロアは、ダッシュボードクロスメンバとアウトリガとの間で挟持されることにより、ホイールハウス部の強度が補強される。この結果、ナローオフセット衝突によるホイール衝突反力を増大させて車体後方へ向かうダッシュボードロアの後退量を低減することができる。
[0030]
 また、本発明は、サイドシルが、サイドシルインナとサイドシルアウタとを有し、フロントピラの下部において、サイドシルインナとサイドシルアウタとの間にジャッキアップ補強プレートを挟み、アウトリガをダッシュボードクロスメンバよりも外側に延長し、サイドシルインナ、ジャッキアップ補強プレートを挟んでサイドシルアウタと接合されるとよい。
[0031]
 このように構成することで、サイドシルの前端部とダッシュボードクロスメンバとの結合強度を増大させることができる。
[0032]
 さらに、本発明は、ダッシュボードクロスメンバが、アウトリガ及び横方向フレームに沿って結合されるとよい。
[0033]
 このように構成することで、ナローオフセット衝突荷重及びオフセット衝突荷重を好適に支持することができる。
[0034]
 さらにまた、本発明は、ダッシュボードクロスメンバが、フロントサイドフレームの後端とフロアフレームとのラップ部分よりも前方位置に配置されるとよい。
[0035]
 このように構成することで、ダッシュボードクロスメンバに一定の閉断面を確保することができると共に、乗員の足元に突出しないようにすることができる。
[0036]
 さらにまた、本発明は、ホイールの内側後端エッジを、上側のガセット部材と下側のダッシュボードクロスメンバとの上下2部材で支持するとよい。
[0037]
 このように構成することで、ナローオフセット衝突時に、ダッシュボードロアとガセット部材とで形成された平面視して略三角形状の潰し空間を十分に潰しきることで、ナローオフセット衝突荷重を支持することができると共に、ガセット部材の下側に配置されたダ
ッシュボードクロスメンバで、同時にナローオフセット衝突荷重を支持することができる。
[0038]
 さらにまた、本発明は、ダッシュボードロアに、カウル部とトンネル部とを上下方向に沿って結ぶ縦メンバが結合されるとよい。
[0039]
 このように構成することで、前面衝突荷重に対して十分な反力を発生させることができると共に、乗員足元のダッシュボードロアの後退量を低減させることができる。また、ロードノイズを低減させることができる。
[0040]
 さらにまた、本発明は、ダッシュボードクロスメンバの後方に、サイドシルとフロアフレームとを結合する補強フレームが設けられるとよい。
[0041]
 このように構成することで、サイドシルが変形して内倒れしないように、サイドシルの車室内側の側面を保持して衝突荷重を支持することができる。
[0042]
 さらに、本発明は、車体の車幅方向外側の端部に沿って車体前後方向に延設されたサイドシルを備えた車体下部構造において、前記サイドシルは、当該サイドシルの前端部に設けられ、車両が衝突した際に、衝突荷重を受けて潰れることで前記衝突荷重を吸収する潰し領域と、前記潰し領域の後方の前記サイドシル内に配置されたバルクヘッドと、を備え、前記サイドシルの車室側の側面には、一端を、前記サイドシル内の前記バルクヘッドの設置箇所の車室内側の外面に結合して車幅方向の内側且つ後方に傾斜して設け、他端を、フロアフレームに結合した補強フレームを有し、前記潰し領域には、車体上下方向の荷重に対して強く、車体前後方向の荷重に対して弱いジャッキアップ補強プレートが設けられ、前記ジャッキアップ補強プレートには、前輪の中心と略同一の高さに位置し車体前後方向に延在する変形部材が一体に設けられるとよい。
[0043]
 本発明によれば、衝突荷重を吸収する潰し領域がバルクヘッドの前方に位置し、車両がナローオフセット衝突した際、前輪の後方端面により変形部材が先に曲げ変形して衝突エネルギを吸収し、次いで車輪の後方端面を除く後面によりジャッキアップ補強プレートが変形する。このため、本発明では、変形部材で衝突エネルギを吸収する分だけ従来と比較して衝突エネルギの吸収量を増加させつつ、潰し領域よりも後方の変形を抑制することができる。
[0044]
 また、本発明は、サイドシルが、車体内側に配置されたサイドシルインナを有し、サイドシルインナに変形部材の変形を抑制する変形抑制部材が設けられるとよい。このように構成することにより、変形部材の車室内側への曲げ変形を抑制することができる。
[0045]
 さらに、本発明は、サイドシルの前端のサイドシルインナに、ダッシュボードクロスメンバが結合されるとよい。ナローオフセット衝突時において、ダッシュボードクロスメンバによって前輪の車室内側への進入量を減少させることができる。
[0046]
 さらにまた、本発明は、ジャッキアップ補強プレートの側面に変形部材である折り曲げプレートを結合し、ジャッキアップ補強プレートと折り曲げプレートとの間で車体前後方向に延在し一定断面からなる閉断面を形成し、ジャッキアップ補強プレートの上端をフロントピラインナの下端に結合し、ジャッキアップ補強プレートの下端をサイドシルインナの下フランジに結合するとよい。
[0047]
 このように構成することにより、フロントピラインナの下端とサイドシルの前端とによって構成される角部に潰し領域を形成し、ナローオフセット衝突時にジャッキアップ補強プレートと変形部材とが一体に曲げ変形して衝突エネルギの吸収量を増加させることができる。
[0048]
 さらにまた、変形部材をハット断面とすることにより、ジャッキアップ補強プレートの上下方向と前後方向との間で強弱差をつけることができ、衝突エネルギ吸収性能と軽量化とジャッキアップ機能とを両立させることができる。
[0049]
 さらにまた、本発明は、車体の床面を構成するフロアパネルと、前記フロアパネルの車幅方向側部に接合され、前後方向に沿って延在する閉断面のサイドシルと、を備えた車両構造であって、前記サイドシルは、車外側に配置されるサイドシルアウタと、車内側に配置され、前記サイドシルアウタに接合されるサイドシルインナと、を有し、前記サイドシルインナは、上下で二分割されて構成され、上側に配置されるアッパ部材と、下側に配置されるロア部材と、を有し、前記アッパ部材は、前記サイドシルアウタの高さと略同等の高さに形成され、前後方向に沿って形成された複数の稜線部を有し、前記ロア部材は、前記アッパ部材とは異なる板厚もしくは材質で形成され、前記フロアパネルと前記サイドシルアウタとの間に略水平に配置されるとよい。
[0050]
 本発明によれば、サイドシルインナは上下で二分割されて構成され、下側のロア部材はフロアパネルとサイドシルアウタとの間に略水平に配置されることにより、上側のアッパ
部材を、サイドシルアウタの高さと略同等の高さに形成して、前後方向に沿う複数の稜線部をアッパ部材に形成することができる。これにより、側面衝突時の荷重に対するアッパ部材の曲げ剛性(曲げ耐力)及び前面衝突時の圧潰荷重を向上させることができる。
 また、本発明によれば、ロア部材はフロアパネルとサイドシルアウタとの間に略水平に配置されることにより、側面衝突時の荷重を逃がすことなくフロアパネルに伝達できるので、側面衝突時の荷重に対するロア部材の曲げ剛性を向上させることができる。
 したがって、本発明によれば、従来技術(例えば、特許文献1の発明)に比較して、サイドシルインナの曲げ剛性及び圧潰荷重を向上させることができる。
[0051]
 また、本発明によれば、前記構成を具備することにより、サイドシルインナの曲げ剛性及び圧潰荷重を向上させることができるので、アッパ部材及びロア部材の板厚を最小限に抑えることができると共に、従来技術で使用していた補強部材を省略できることから、車体の軽量化を図ることができる。
[0052]
 また、前記アッパ部材は、前記サイドシルアウタの上壁部よりも低い位置に配置され、車幅方向に所定幅を有するインナ上壁部と、前記インナ上壁部の車幅方向内側から車内側かつ下方へ延出する傾斜壁部と、を有するように構成するのが好ましい。
[0053]
 かかる構成によれば、アッパ部材のインナ上壁部は、サイドシルアウタの上壁部よりも低い位置に配置されるので、インナ上壁部の上方にハーネス配置用のスペースを確保できる。
 また、アッパ部材は、インナ上壁部の車幅方向内側から車内側かつ下方へ延出する傾斜壁部を有するので、アッパ部材の体積を減少させ、室内空間の拡大を図ることができる。
 更に、アッパ部材が前記構成を具備するインナ上壁部及び傾斜壁部を有し、かつサイドシル全体の板厚を均一にした場合、サイドシルの中立軸は、曲げモーメントの耐力が最大になる断面中心と一致しないところ、本願発明では、アッパ部材とロア部材の板厚もしくは材質が異なる構成を採用するので、ハーネス配置用のスペースを確保し、かつアッパ部材の体積を減少させる構成を備えた場合であっても、サイドシルの中立軸を、曲げモーメントに対する耐力が最大になる断面中心に一致するように調整することができる。
[0054]
 また、前記フロアパネルの上方に設けられ、車幅方向に沿って延在するフロアクロスメンバを更に備え、前記アッパ部材は、前記傾斜壁部の車幅方向内側から下方へ延出する縦壁部を更に有し、前記縦壁部は、前記フロアクロスメンバの一端が接合される平坦面部と、前記傾斜壁部の車幅方向内側に連続し、前記平坦面部よりも車幅方向外側に位置する底面を具備する凹み部と、を有し、前記サイドシルには、前記インナ上壁部、前記傾斜壁部、及び前記凹み部に跨り、前後方向に沿って延在する変形抑制部材が設けられるように構成するのが好ましい。
[0055]
 かかる構成によれば、サイドシルには、インナ上壁部、傾斜壁部及び凹み部に跨り、前後方向に沿って延在する変形抑制部材が設けられることにより、側面衝突時の荷重に対するサイドシルの剛性が高まるので、サイドシルの車室側への変形を抑制し、ひいてはフロアパネルの変形を抑制できる。
 また、アッパ部材の縦壁部は、フロアクロスメンバが結合される平坦面部よりも車幅方向外側に位置する底面を具備する凹み部を有し、かかる凹み部に変形抑制部材の一部が設けられることにより、凹み部の凹み量を適宜調整して、変形抑制部材の車幅方向内側面と、フロアクロスメンバとの結合面である平坦面部とを面一に設定したり、変形抑制部材の車幅方向内側面を平坦面部よりも車幅方向外側に設定したりすることができる。これにより、変形抑制部材を設けた場合であっても、フロアクロスメンバと変形抑制部材との干渉を回避して、フロアクロスメンバを上方から好適に設置できる。
[0056]
 また、前記フロアパネルの車幅方向側部は、前記アッパ部材と前記ロア部材との間に挟持されており、前記フロアパネルと前記アッパ部材と前記ロア部材とは、複数のスポット溶接部により接合されており、前記フロアパネルと前記ロア部材との間には、シール材が配置されるように構成するのが好ましい。
[0057]
 一般に、フロアパネルとサイドシルとを接合するスポット溶接部同士の間には、不可避的に隙間が形成されるので、防水用のスポットシーラ(シール材)が予め塗布されている。従来技術では、フロアパネルの車幅方向側部を上方へ折曲して形成したフランジ部を、略上下方向に沿うロア部材の車幅方向内側に固定し、かかるフランジ部にシール材を塗布しているので、サイドシルにフロアパネルを上方から設置する際、シール材とサイドシルとが擦れ合ってシール材が磨耗(損傷)してしまい、シール不良が生じる虞がある。
 これに対し、本発明によれば、フロアパネルの車幅方向側部は、アッパ部材と、略水平に配置されるロア部材との間に挟持され、かつフロアパネルとロア部材との間には、シール材が配置されることにより、例えば、ロア部材にシール材を塗布し、かつフロアパネルにアッパ部材を仮接合した後、ロア部材の水平面にフロアパネルを上方から載置できる。これにより、シール材とサイドシルとが擦れ合うのを回避してシール材の磨耗を抑制でき、シール不良を防止できる。
[0058]
 また、フロアパネルの車幅方向側部は、アッパ部材とロア部材との間に挟持されることにより、サイドシルとフロアパネルとの結合力が高まるので、側面衝突時のスポット剥がれに対するタフネス性を向上させることができる。
 更に、アッパ部材にセンタピラーインナを接合すると、フロアパネル、アッパ部材、及びセンタピラーインナを一体に連結してからロア部材に組み付けることができるので、フロアパネル等の設置作業を簡便且つ短時間で行うことができる。
[0059]
 また、前記フロアパネルと前記アッパ部材と前記ロア部材とのうち、前記スポット溶接部により互いに接合される部位は、水平状に形成されるように構成するのが好ましい。
[0060]
 従来技術では、フロアパネルの車幅方向側部を上方へ折曲して形成したフランジ部を、略上下方向に沿うロア部材の車幅方向内側にスポット溶接部で固定しているので、スポット溶接部の溶接方向(部材の積層方向)と側面衝突時の荷重入力方向とが略平行になってしまい、剪断方向の荷重がスポット溶接部に加わると、スポット溶接部が剥がれやすいという問題があった。
 これに対し、本発明によれば、フロアパネルとアッパ部材とロア部材とのうち、スポット溶接部により互いに接合される部位は、水平状に形成されることにより、各部材は上下に重ね合わされてスポット溶接部で接合されるので、スポット溶接部の溶接方向(部材の積層方向)と側面衝突時の荷重入力方向とを略直交するように設定できる。これにより、側面衝突時において、剪断方向の荷重がスポット溶接部に加わっても、スポット溶接部が剥がれにくくなり、側面衝突時のスポット剥がれに対するタフネス性を向上させることができる。
 また、ロア部材の水平面にフロアパネルを載置するので、ロア部材に対するフロアパネルの位置決めを容易に行うことができる。
[0061]
 また、エンジンルームと車室とを仕切るダッシュボードロアを更に備え、前記アッパ部材の前端には、前後方向に対し直交する方向に延出するフランジ部が形成されており、前記フランジ部は、前記ダッシュボードロアの後面にスポット溶接により接合されるように構成するのが好ましい。
[0062]
 かかる構成によれば、アッパ部材の前端には、前後方向に対し直交する方向に延出するフランジ部が形成され、かかるフランジ部は、ダッシュボードロアの後面にスポット溶接
により接合されるので、アッパ部材とダッシュボードロアとの接合強度を高めることができる。また、ナローオフセット衝突時に後退する前輪を、閉断面のサイドシルで支持することが可能となり、フロアパネルの変形を抑制できる。
[0063]
 また、前記インナ上壁部は、車幅方向と平行な水平面を有し、前記凹み部の前記底面は、上下方向と平行な鉛直面を有するように構成するのが好ましい。
[0064]
 かかる構成によれば、インナ上壁部は、水平面を有する一方、凹み部の底面は、鉛直面を有するので、アッパ部材に対する変形抑制部材の位置決めを容易に行うことができる。

発明の効果

[0065]
 本発明によれば、ナローオフセット時の衝突荷重の吸収性能を向上させてフロントピラの後退を抑制可能な車体下部構造を提供することができる。
 また、本発明では、衝突荷重が付与されたときのダッシュボードロアの後退量を低減させることが可能な車体下部構造を得ることができる。
 さらに、本発明では、ナローオフセット衝突した際の衝突荷重の吸収性をより一層向上させることが可能な車体下部構造を得ることができる。
 さらにまた、本発明によれば、サイドシルインナの曲げ剛性及び圧潰荷重を向上させつつ、車体の軽量化を図ることができる車両構造を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0066]
[図1] 本実施形態に係る車体下部構造が適用された車体前部の斜視図である。
[図2] 図1に示す車体下部構造の左側ガセットを含む部分拡大斜視図である。
[図3] ガセットの斜視図である。
[図4] 図1に示す車体下部構造の左側ガセットを含む部分拡大平面図である。
[図5] 図4のV-V断面図である。
[図6] サイドシルの前端部を車外側から見た部分拡大斜視図である。
[図7] 本実施形態に係る車体下部構造が適用された車両が、電柱に対してナローオフセット衝突したときの初期状態を示す平面図である。
[図8] 本実施形態に係る車体下部構造が適用された車両が、電柱に対してナローオフセット衝突したときの中期状態を示す平面図である。
[図9] 本実施形態に係る車体下部構造が適用された車両が、電柱に対してナローオフセット衝突したときの後期状態を示す平面図である。
[図10] 本発明の実施形態に係る車体下部構造が適用された車体前部の斜視図である。
[図11] 図10に示す車体前部の左側サイドシルを含む部分拡大斜視図である。
[図12] サイドシルの前端を含む車体前部の平面図である。
[図13] サイドシルの前端を含む車体前部の底面図である。
[図14] 図12のXIV-XIV線に沿った端面図である。
[図15] (a)は、図12のXV-XV線に沿った端面図、(b)は、図10における範囲A1の部分断面図、(c)は、図10における範囲A2の部分断面図である。
[図16] 図12のXVI-XVI線に沿った端面図である。
[図17] フロントサイドフレームの後端部とフロアフレームとのラップ部分を示す断面図である。
[図18] ダッシュボードクロスメンバの上側に配置されたガセット部材に対してホイールの内側後端エッジが当接した状態を示す一部破断平面図である。
[図19] (a)は、本実施形態に係る車体下部構造が適用された車両が、電柱に対してナローオフセット衝突したときの初期状態を示す斜視図、(b)は、前記車両がナローオフセット衝突したときの後期状態を示す斜視図である。
[図20] 本発明の実施形態に係る車体下部構造が適用された車体前部の斜視図である。
[図21] 図20に示す車体前部の左側サイドシルを含む部分拡大斜視図である。
[図22] 図21に示す左側サイドシルからサイドシルインナを取り外した状態の部分拡大斜視図である。
[図23] 左前方からみた車体前部の一部切欠斜視図である。
[図24] 図23に示すサイドシルの前端部の部分拡大斜視図である。
[図25] 図24のXXV-XXV線に沿った端面図である。
[図26] (a)は、本実施形態に係る車体下部構造が適用された車両が、電柱に対してナローオフセット衝突したときの初期状態を示す斜視図、(b)は、前記車両がナローオフセット衝突したときの後期状態を示す斜視図である。
[図27] 本実施形態に係る車体下部構造が適用された車両において、ナローオフセット衝突時にジャッキアップ補強プレートよりも先に変形部材が変形する状態を示す斜視図である。
[図28] 本発明の実施形態に係る車両構造が適用された車体前部の斜視図である。
[図29] 図28に示す車体前部の左側サイドシルを含む部分拡大斜視図である。
[図30] 図29のXXX-XXX線断面図である。
[図31] 図29のXXXI-XXXI線断面図である。
[図32] ロア部材とフロアパネルの組付工程を示す断面図である。
[図33] 特許文献1に示す車両がナローオフセット衝突したときの衝突荷重が負荷される状態を示す車体の概略平面図である。
[図34] 特許文献1に示す車両がナローオフセット衝突したときのドアの状態を示す車両の要部左側面図である。

発明を実施するための形態

[0067]
<第1実施形態>
 本発明の実施形態について、図1乃至図9を参照して詳細に説明する。説明において、
同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。また、方向を説明する場合は、車両の運転者からみた前後左右上下に基づいて説明する。
[0068]
 図1に示されるように車両C1は、車体前部1aに配置される動力搭載室MR及びフロントホイールハウスWHと、動力搭載室MR及びフロントホイールハウスWHと隔壁6を介して配置される車室Rとを有する自動車からなる。この自動車には、例えば、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)タイプ、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)タイプ、四輪駆動タイプ等の自動車が含まれる。
[0069]
 なお、本発明が適用される車両C1としては、車体1の左右外側に配置される左右一対のフロントピラ7と、このフロントピラ7の間に車両幅方向に設けられた隔壁6(より詳しくはダッシュボードロア62)とを有するものであればよい。以下、FRタイプの自動車に対し、本実施形態に係る車体下部構造が適用された場合を例に挙げて説明する。
[0070]
 図1に示されるように、車体1は、車両C1の全体を形成するものであって、例えば、サイドシル10やフロアフレーム17やフロントサイドフレーム3等の種々の金属製車体フレームと、図示しないボンネット、フェンダパネル等の金属製車体パネルと、樹脂製又は金属製のバンパフェイス等を主として備えている。
[0071]
 車体1の車体前部1a及び車体下部1bは、それぞれ後記するフロントバルクヘッド2、図示しないバンパビーム、フロントサイドフレーム3、ウィンドシールドロア4、フロントホイールハウスアッパメンバ5、隔壁6、フロントピラ7、サイドシル10、補強フレーム12、フロアフレーム17、フロアパネル18、アウトリガ20(図5、図6参照)、ダッシュボードクロスメンバ16、ガセット30等が左右一対に前後方向に延設されるか、又は、横設されて、略左右対称に配置されている。このように車体下部1bは、略左右対称に配置されるため、以下、車体1の左側の部分を主として説明し、車体1の右側の部分の説明を省略する。
[0072]
 動力搭載室MRは、いわゆるエンジンルームであり、例えば、電動モータ、エンジン、トランスミッション等から構成されるパワーユニット(図示せず)が配置される収納空間であり、その周辺に配置されるフレームとパネル部材とによって形成されている。動力搭載室MRは、前側にフロントバルクヘッド2、図示しないバンパビーム等が配置され、後方側に隔壁6が配置される。また、動力搭載室MRの上方側の左右には、フロントホイールハウスアッパメンバ5、フロントピラ7等が配置されている。動力搭載室MRの下方側の左右には、車体1の前後方向に向けて延在する一対のフロントサイドフレーム3が配置されている。
[0073]
 図1に示されるように、フロントバルクヘッド2は、動力搭載室MRの車体前側部位の図示しないラジエータを囲繞するように略矩形状の枠体からなるフレーム部材であり、全体が車幅方向に向けて配置されている。
[0074]
 図1に示されるように、フロントサイドフレーム3は、車体前部1aに配置され、車体1の前後方向に延在する左右一対のフレーム部材であり、例えば、前端から後端にわたって剛性を有する断面矩形状(角筒状)のスチール製角パイプ材等によって構成される。フロントサイドフレーム3の先端には、図示しないバンパビームエクステンションを介してバンパビームが連結されている。フロントサイドフレーム3の後端部は、隔壁6のダッシュボードロア62に接合されている。
[0075]
 フロントホイールハウスアッパメンバ5は、動力搭載室MRの車体側部上側に車体前後方向に向けて配置されたフレーム部材である。フロントホイールハウスアッパメンバ5は
、前端がフロントバルクヘッド2のヘッドアッパサイドに連結され、後端がフロントピラ7に連結され、下側にフロントホイールハウスWHが形成されている。フロントホイールハウスWHは、図1に示されるように、前輪Tを収容する空間であり、動力搭載室MRの左右に設けられている。フロントホイールハウスWHは、前輪Tの車体側、前後及び上部を、空間を介して被覆している。
[0076]
 フロントピラ7は、車体下部1bに配置されたサイドシル10の前端部10c(潰し領域A)からその上方の図示しないフロントガラスの左右側部まで延設される中空形状のフレーム部材である。後記するように、車内側に配置されたフロントピラインナ7a(図2参照)の下端には、ガセット30の車外側端部が接合される。
[0077]
 隔壁6は、前側の動力搭載室MRと後側の車室Rとを仕切る仕切り部材であり、例えば、鋼板等からなるダッシュボードアッパ61と、左右端部がフロントピラ7の内側側壁(フロントピラインナ7a)に接合されたダッシュボードロア62と、フレーム部材からなるダッシュボードクロスメンバ16と、補強用の補強部材等によって構成される。
[0078]
 図2に示されるように、ダッシュボードロア62は、車室Rと動力搭載室MRとを仕切るボード本体部62aと、車室RとフロントホイールハウスWHとを仕切るホイールハウス部62bと、を有している。ホイールハウス部62bは、車室R側に膨出するドーム状(球面状)に形成されている。ダッシュボードロア62の下端部には、車両幅方向に沿ってダッシュボードクロスメンバ16が溶接固定されている。ダッシュボードロア62とフロントピラ7との間には、ガセット30が架設されている。
[0079]
 図2、図3、図4に示されるように、ガセット30は、車内側端部(一端側)がボード本体部62a及びホイールハウス部62bに接合されるとともに、フロントピラ7に近づくに連れてホイールハウス部62bから離間し、車外側端部(他端側)がフロントピラ7の内側側壁(フロントピラインナ7a)に接合された、断面略ハット状のフレーム部材である。ガセット30は、ダッシュボードロア62に接合されている部分であるダッシュボード接合部30aと、ダッシュボードロア62から離間している部分であるダッシュボード離間部30bと、を有している。ダッシュボード離間部30bは、フロントピラ7に近づくほどホイールハウス部62bから離れるように傾斜して配置されている。これにより、ダッシュボード離間部30bとホイールハウス部62bとフロントピラ7との間に平面視で略三角形状の潰し空間S(図2、図4のハッチング部分を参照)が形成される。
[0080]
 図3に示されるように、ガセット30は、断面略コ字状のガセット本体31と、ガセット本体31の端縁部から外向きに延出するフランジ部32と、を有している。ガセット30は、ダッシュボード接合部30aの方が、ダッシュボード離間部30bよりも、水平方向の曲げ変形に対する剛性が大きい。換言すれば、ガセット本体31のうち、ダッシュボード接合部30aに対応する部位31aは、ダッシュボード離間部30bに対応する部位31bに比較して、平面視でガセット30の長手方向に直交する方向の幅寸法が大きい(L1>L2)。ちなみに、ガセット本体31のうち、ダッシュボード接合部30aに対応する部位31aは、平面視で略三角形状に形成されている。ガセット本体31は、図3に示されるように、フロントピラ7に近づくほど高さ寸法が大きくなっている。
[0081]
 また、図3、図4(主に図3)に示されるように、フランジ部32は、ボード本体部62aにスポット溶接で接合される第1部位32aと、ホイールハウス部62bにスポット溶接で接合される第2部位32bと、フロントピラ7にスポット溶接で接合される第3部位32cと、第2部位32bと第3部位32cの間の第4部位32dと、を有している。なお、図2では、スポット溶接による溶接点を「×」印で模式的に示している。
[0082]
 図4に示されるように、フランジ部32の第1部位32aは、ダッシュボードロア62とフロントサイドフレーム3との接合部に対応する位置(車室R側)に溶接固定されている。第2部位32bは、ホイールハウス部62bの表面形状に合わせて球面状に湾曲している。第2部位32bと第4部位32dの境界部分が、潰し空間Sの第1の頂点部P1(より詳しくは、ダッシュボードロア62とガセット30とで形成される頂点部P1)となる。また、第3部位32cと第4部位32dの境界部分が、潰し空間Sの第2の頂点部P2(より詳しくは、フロントピラインナ7aとガセット30とで形成される頂点部P2)となる。さらに、ホイールハウス部62bとフロントピラインナ7aとの境界部分が、潰し空間Sの第3の頂点部P3(より詳しくは、ホイールハウス部62bとフロントピラインナ7aとで形成される頂点部P3)となる。
[0083]
 潰し空間Sの第1の頂点部P1は、ホイールハウスWH内に設置されたホイールWの内側後端エッジW1がナローオフセット衝突時にダッシュボードロア62(より詳しくはホイールハウス部62b)に衝突する位置に配置されている。換言すれば、ナローオフセット衝突時におけるホイールWの回動中心(例えば、ロアアームとフロントサイドフレーム3との接合点)から内側後端エッジW1までの距離と、当該回動中心から第1の頂点部P1までの距離とが略等しく形成されている。潰し空間Sの頂点部P1において、ガセット30のダッシュボード接合部30aは、衝突したホイールWの内側後端エッジW1を支持する。また、潰し空間Sの頂点部P1の下方において、ダッシュボードクロスメンバ16は、衝突したホイールWの内側後端エッジW1を支持する。
[0084]
 図2、図4、図5に示されるように、ダッシュボードクロスメンバ16は、ダッシュボードロア62の下端に接合される。このダッシュボードクロスメンバ16は、左右両側のサイドシル10、10間に車幅方向に沿って横架された横架部材であり、下側が開口し、断面が略ハット形状の剛性を有する鋼板等の金属製厚板材によって形成される。
[0085]
 このダッシュボードクロスメンバ16には、前後下端部及び左右端部に、接合用及び補強用のフランジ部16a,16bが形成されている。具体的には、左右両端部に形成された接合用フランジ部16aがサイドシル10の内側の側面に接合され、下面の接合用フランジ部16bがダッシュボードロア62に接合されて、車幅方向に沿って延設されている。
[0086]
 図5に示されるように、ダッシュボードクロスメンバ16は、第1の頂点部P1の略真下に配置されている。換言すれば、略三角形状の潰し空間Sの第1の頂点部P1を通る垂直断面図におけるダッシュボードクロスメンバ16の車両前後方向の位置は、第1の頂点部P1の車両前後方向の位置に略等しい。そのため、ナローオフセット衝突時に、ホイールWの内側後端エッジW1は、ダッシュボードロア62のホイールハウス部62bに衝突して、第1の頂点部P1に配置されたガセット30と、その真下のダッシュボードクロスメンバ16との2部材に支持されることになる。これにより、ナローオフセット衝突時における前輪Tの車室内側への進入量を減少させることができる。
[0087]
 図1、図2に戻って、サイドシル10は、フロントピラ7の下端部から車体1のフロアパネル18の車幅方向外側の端部に沿って車体前後方向に延設され、断面視して略矩形からなる鋼板等の金属板で形成された中空フレーム部材である。サイドシル10は、車体内側に配置され断面視して略コ字状の高強度鋼板製のサイドシルインナ10aと、車体外側に配置され断面視して略コ字状のサイドシルアウタ10bとの間で閉断面を形成するように接合されている。
[0088]
 さらに、サイドシルインナ10aには、前後方向に沿って延在する変形抑制部材22が設けられる。変形抑制部材22の前後方向の前端は、延長されて潰し領域Aの略中央部ま
で延在し、変形抑制部材22の後端は、サイドシルインナ10aの後端まで延在するように設けられる。この変形抑制部材22を設けることで、後記する変形部材24の車室内側への曲げ変形を抑制することができる。
[0089]
 図1、図6に示されるように、サイドシル10の前端部10cの最も前方の位置には、潰し領域Aが設けられ、この潰し領域Aには、ジャッキアップ補強プレート13と変形部材24とが一体的に結合されて設けられる。潰し領域Aの後方には、バルクヘッド26、及び、サイドシル補強ブラケット28が内設されている。
[0090]
 サイドシル10の前端部10cの前側は、フロントピラ7の下端部に連結され、フロントピラ7の下端部には、略直交する車幅方向に沿ってアウトリガ20が連結されている(図5、図6参照)。また、サイドシル10の前端部10c内には、後記する潰し領域Aの後方に、サイドシル10内を前後方向に仕切るようにしてバルクヘッド26が設けられている。サイドシル10の車室側の側面は、それぞれ車幅方向に向けて配置されたダッシュボードクロスメンバ16、アウトリガ20、及び、補強フレーム12が接合されて、フロアパネル18の左右端部を保持している。
[0091]
 図1、図6(主に図6)に示されるように、潰し領域Aは、例えば、対向車等の衝突物が前方から車両C1に衝突したとき、衝突荷重を受けて潰れることで衝突荷重を吸収するように形成された部位である。潰し領域Aは、サイドシル10の前端から所定距離だけ後方位置に補強フレーム12を結合し、その結合部より前方の前端部10cの強度を、結合部より後方のサイドシル10と補強フレーム12とを組み合わせた強度よりも小さく設定されている。
[0092]
 潰し領域Aは、前後方向の範囲がサイドシル10に設置されたバルクヘッド26の設置位置(結合部)からサイドシル10の前端までで、上下方向の範囲がサイドシル10の下端から上端までの範囲で構成される。潰し領域Aでは、車体1を上昇させる際に用いられる図示しないジャッキをセットする箇所を補強するジャッキアップ補強プレート13が設けられている。ジャッキアップ補強プレート13の車外側の側面には、断面ハット形状(図6参照)からなる変形部材24が一体的に接合される。
[0093]
 図1及び図2に示されるように、補強フレーム12は、衝突物が車両C1にナローオフセット衝突した際、サイドシル10が変形して内倒れしないように、サイドシル10の車室内側の側面を保持して衝突荷重を受け止めるための補強用のフレーム部材である。この補強フレーム12は、断面視して略ハット形状にプレス等で折曲形成された鋼板からなる。補強フレーム12の一端側は、バルクヘッド26が内設されたサイドシル10の車室内側の外面に接合され、その接合部位から車幅方向の内側且つ後方に傾斜して設けられる。補強フレーム12の他端側は、フロアフレーム17に接合される。
[0094]
 図1に示されるように、フロアクロスメンバ19は、左右のサイドシル10、10とトンネル部1cとの間にそれぞれ架設された断面が略ハット形状の鋼板からなるフレーム部材である。各フロアクロスメンバ19の車幅方向の略中央部下面には、それぞれフロアフレーム17が直交するように配置されている。
[0095]
 図1に示されるように、フロアフレーム17は、車体フロアのフロアパネル18を保持する断面が略ハット形状のフレーム部材であり、フロアパネル18のフロア面の上下両面の同じ位置にそれぞれ接合されている。フロアフレーム17は、前端がフロントサイドフレーム3の後部に連結され、車体中央側が補強フレーム12の車内側接合部及ぶフロアクロスメンバ19の下面に連結され、後端は外側に折れ曲がり車体外側が左右のサイドシル10の車室側の側面に接合されている。
[0096]
 図1に示されるように、フロアパネル18は、車室Rとフロア面を形成する金属製板部材であり、サイドシル10とトンネル部1cとの間に架設されている。
[0097]
 本実施形態に係る車体下部構造が適用された車両C1は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について図7乃至図9(適宜図1乃至図6)を参照して説明する。
[0098]
 図7は、本実施形態に係る車体下部構造が適用された車両が、電柱に対してナローオフセット衝突したときの初期状態を示す平面図である。図8は、本実施形態に係る車体下部構造が適用された車両が、電柱に対してナローオフセット衝突したときの中期状態を示す平面図である。図9は、本実施形態に係る車体下部構造が適用された車両が、電柱に対してナローオフセット衝突したときの後期状態を示す平面図である。
[0099]
 図7に示されるように、本実施形態に係る車両C1が、例えば、衝突物である電柱Pとナローオフセット衝突した場合、車両C1は、衝突荷重が車体前部左側のフロントバルクヘッド2の左端部とフロントサイドフレーム3の外側を通り、フロントホイールハウスアッパメンバ5、前輪T、フロントピラ7、サイドシル10の前端部10c及びジャッキアップ補強プレート13が、当接した電柱Pによって車両後方に押圧されて圧潰される。特に、電柱Pは、サイドシル10の前方にある前輪TのホイールWを押圧し、続いて、そのホイールWがダッシュボードロア62を後方側に向かって押圧する。
[0100]
 本実施形態では、前輪TのホイールWが電柱Pに押されて後方に移動すると(図7の矢印Y1参照)、ホイールWの内側後端エッジW1が、ホイールハウス部62bとガセット30とで形成された潰し空間Sの第1の頂点部P1に当接する。このとき、第1の頂点部P1において、ガセット30はホイールハウス部62bに溶接固定されていると共に、ガセット30のダッシュボード接合部30aは、水平方向の曲げ変形に対する剛性がダッシュボード離間部30bよりも大きいので、車両後方側への移動が抑制される。そのため、ホイールWの内側後端エッジW1が頂点部P1に支持されることになる。
[0101]
 さらに、第1の頂点部P1の略真下(車両前後方向の同位置)には、ダッシュボードロア62に溶接固定されたダッシュボードクロスメンバ16が存在するので(図5参照)、ホイールWの内側後端エッジW1は、ダッシュボードクロスメンバ16にも支持されることになる。これにより、ホイールWの後退を一層抑制することができる。
[0102]
 図8に示されるように、ホイールWが電柱Pによって更に押されると、ホイールWは、第1の頂点部P1を支点として車両外側に向かって回動する(図8の矢印Y2参照)。これにより、ホイールWの外側後端エッジW2がフロントピラ7の前面及びサイドシル10の前端部10c(潰し領域A)に案内され、ホイールWの内側後端エッジW1と外側後端エッジW2の間に潰し空間Sが配置されることになる。
[0103]
 図9に示されるように、ホイールWが電柱Pによって更に押されると、ホイールWの後端面によって潰し空間Sが潰される。そのため、ホイールWによって潰し空間Sを十分に潰しきることができるので、衝突荷重の吸収性能を向上することができる。また、ホイールWの外側後端エッジW2によって、フロントピラ7及び潰し領域Aが潰されるので、衝突荷重を一層吸収することができる。
[0104]
 さらに、フロントピラ7及び潰し領域Aが潰れることで、フロントピラ7自体の後退が抑制されるので、フロントピラ7に設けられているドア(図示せず)の前側取付部の後退量が抑制され、ドアの開閉が困難となる不都合を解消することができる。
[0105]
 以上のように、本実施形態に係る車体下部構造b1によれば、ダッシュボードロア62のホイールハウス部62bと、ガセット30のダッシュボード離間部30bと、フロントピラ7のフロントピラインナ7aとに囲まれた部分に、平面視で略三角形状の潰し空間Sを有しているので、ナローオフセット衝突した際に、ホイールハウスWH内のホイールHによって潰し空間Sが潰され、衝突荷重が吸収される。そのため、フロントピラ7に伝達される衝突荷重が減少し、フロントピラ7の後退が抑制される。その結果、フロントピラ7に設けられている不図示のドアの前側取付部の後退量が抑制されるので、ドアの開閉が困難となる不都合を解消することができる。
[0106]
<第2実施形態>
 次に、本発明の第2実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図中に矢印で示される、「前後」及び「上下」は、車体前後方向及び車体上下方向を示し、「左右」は、運転席から見た左右方向(車幅方向)をそれぞれ示している。また、本実施形態において、縦断面とは、垂直断面をいう。
 なお、ガセット30については、第1実施形態と同様の構造であるので詳細な説明を省略する。
[0107]
 図10に示されるように車両C1は、車体前部1aに配置される動力搭載室MRと、動力搭載室MRと隔壁6を介して配置される車室Rとを有する自動車からなる。この自動車は
、例えば、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)タイプ、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)タイプ、四輪駆動タイプ等の自動車が含まれる。なお、本発明が適用される車両C1としては、車体1の左右外側に配置される左右一対のサイドシル10と、このサイドシル10の車体中央側に配置されるフロアフレーム17とを有するものであればよい。以下、FRタイプの自動車の場合を例に挙げて説明する。
[0108]
 図10に示されるように、車体1は、車両C1の全体を形成するものであって、例えば、サイドシル10やフロアフレーム17やフロントサイドフレーム3等の種々の金属製車体フレームと、図示しないボンネット、フェンダパネル等の金属製車体パネルと、樹脂製又は金属製のバンパフェイス等を主として備えている。
[0109]
 車体1の車体前部1a及び車体下部1bは、それぞれ後記するフロントバルクヘッド2、図示しないバンパビーム、フロントサイドフレーム3、ウィンドシールドロア4、フロントホイールハウスアッパメンバ5、隔壁6、フロントピラ7、サイドシル10、補強フレーム12、フロアフレーム17、ジャッキアップ補強プレート13、アウトリガ20、ダッシュボードクロスメンバ16等が左右一対に前後方向に延設されるか、又は、横設されて、略左右対称に配置されている。このように車体下部1bは、略左右対称に配置されるため、以下、車体1の左側の部分を主として説明し、車体1の右側の部分の説明を省略する。
[0110]
 動力搭載室MRは、例えば、電動モータ、エンジン、トランスミッション等から構成されるパワーユニット(図示せず)が配置される収納空間であり、その周辺に配置されるフレームとパネル部材とによって形成されている。動力搭載室MRは、前側にフロントバルクヘッド2、図示しないバンパビーム等が配置され、後方側に隔壁6が配置される。また、動力搭載室MRの上方側の左右には、ウィンドシールドロア4、フロントホイールハウスアッパメンバ5、フロントピラ7等が配置されている。動力搭載室MRの下方側の左右には、車体1の前後方向に向けて延在する一対のフロントサイドフレーム3が配置されている。
[0111]
 図10に示されるように、フロントバルクヘッド2は、動力搭載室MRの車体前側部位の図示しないラジエータを囲繞するように略矩形状の枠体からなるフレーム部材であり、全体が車幅方向に向けて配置されている。
[0112]
 図10に示されるように、フロントサイドフレーム3は、車体前部1aに配置され、車体1の前後方向に延在する左右一対のフレーム部材であり、例えば、前端から後端にわたって剛性を有する断面矩形状(角筒状)のスチール製角パイプ材等によって構成される。フロントサイドフレーム3の先端には、図示しないバンパビームエクステンションを介してバンパビームが連結されている。フロントサイドフレーム3の後端部3aには、図12又は図13に示されるように、後方に向けてフロアフレーム17が連設されると共に、車幅方向に沿って延在するアウトリガ20の車室内側の端部が接合される。なお、フロントサイドフレーム3、3間には、隔壁6が架設されている。
[0113]
 フロントホイールハウスアッパメンバ5は、動力搭載室MRの車体側部上側に車体前後方向に向けて配置されたフレーム部材である。フロントホイールハウスアッパメンバ5は、前端がフロントバルクヘッド2のヘッドアッパサイドに連結され、後端がフロントピラ7に連結されている。
[0114]
 図10に示されるように、隔壁6は、動力搭載室MRと車室Rとを仕切る仕切り部材であり、例えば、鋼板等からなるダッシュボードアッパ61と、左右端部がサイドシル10の内側側壁に接合されるダッシュボードロア62とを含む。また、隔壁6は、上端のカウル
部63と下端側のフロアパネル18のトンネル部1cとを上下方向に沿って結ぶフレーム部材からなる縦メンバ8と、フレーム部材からなるダッシュボードクロスメンバ16と、補強用の補強部材等を備える。ダッシュボードロア62は、動力搭載室MRと車室Rとを区画し車室側に向けて突出した湾曲部からなるホイールハウス部62bを有する。
[0115]
 フロントピラ7は、車体下部1bに配置されたサイドシル10の前端部10c(潰し領域A)からその上方の図示しないフロントガラスの左右側部まで延設されるフレーム部材である。後記するように、フロントピラインナ7aの下端には、ジャッキアップ補強プレート13の上端が接合される。
[0116]
 図10に示されるように、サイドシル10は、フロントピラ7の下端部から車体1のフロアパネル18の車幅方向外側の端部に沿って車体前後方向に延設され、縦断面視して略矩形からなる鋼板等の金属板で形成された中空フレーム部材である。サイドシル10は、車体内側に配置され縦断面視して略コ字状の高強度鋼板製のサイドシルインナ10aと、車体外側に配置され縦断面視して略コ字状のサイドシルアウタ10bとの間で閉断面34を形成するように接合されている(図16参照)。
[0117]
 また、図15(a)に示されるように、サイドシルインナ10aは、上部側で強度が高く設定されたサイドシルインナアッパ11aと、下部側で強度が低く設定されたサイドシルインナロア11bとに二分割されて構成される。サイドシルインナ10aと補強フレーム12との結合部位から後方のリヤフロアクロスメンバ9までのサイドシル10の前後方向の範囲A1(図10参照)では、図15(b)に示されるように、サイドシルインナアッパ11aとサイドシルインナロア11bとの間にフロアパネル18が挟み込まれて挟持され、サイドシルインナアッパ11a、フロアパネル18、及び、サイドシルインナロア11bによって積層された3枚の部材が、例えば、スポット溶接等で接合されることで、ナローオフセット衝突時におけるせん断荷重の耐力を高めてサイドシルインナ10aの車室内側への変形を抑制することができる。
[0118]
 一方、サイドシルインナ10aと補強フレーム12との結合部位から前方のガセット30までのサイドシル10の前後方向の範囲A2(図10参照)では、図15(c)に示されるように、サイドシルインナアッパ11aとサイドシルインナロア11bとの結合部位の下面にダッシュボードロア62が、例えば、スポット溶接等で一体的に接合される。
[0119]
 さらに、図10及び図11に示されるように、サイドシルインナ10a(サイドシルインナアッパ11a)には、前後方向に沿って延在する変形抑制部材22が設けられる。変形抑制部材22の前後方向の前端は、延長されて潰し領域A(図10参照)の略中央部まで延在し、変形抑制部材22の後端は、サイドシルインナ10aの後端まで延在するように設けられる。この変形抑制部材22を設けることで、後記する変形部材24の車室内側への曲げ変形を抑制することができる。
[0120]
 サイドシル10の前端部10cの最も前方の位置には、潰し領域Aが設けられ、この潰し領域Aには、ジャッキアップ補強プレート13と変形部材24とが一体的に結合されて設けられる。潰し領域Aの後方には、バルクヘッド26、及び、サイドシル補強ブラケット28が内設されている。
[0121]
 サイドシル10の前端部10cの前側は、フロントピラ7の下端に連結され、フロントサイドフレーム3の後端部3aには、略直交する車幅方向に沿ってアウトリガ20が連結されている。また、サイドシル10の前端部10c内には、後記する潰し領域Aの後方に、サイドシル10内を前後方向に仕切るようにしてバルクヘッド26が設けられている。サイドシル10の車室側の側面は、それぞれ車幅方向に向けて配置されたダッシュボード
クロスメンバ16、アウトリガ20、及び、補強フレーム12が接合されて、フロアパネル18の左右端部を保持している。
[0122]
 図16に示されるように、フロントピラ7の下部において、サイドシルインナ10aとサイドシルアウタ10bとの間でジャッキアップ補強プレート13を挟持し、アウトリガ20をダッシュボードクロスメンバ16よりも左右方向の外側(図16中の左側)に延長して、サイドシルインナロア11bとジャッキアップ補強プレート13とサイドシルアウタ10bとアウトリガ20とからなる4つの部材を、例えば、スポット溶接等で接合している。このように接合することで、サイドシル10の前端部10cとダッシュボードクロスメンバ16との結合強度を増大させることができる。
[0123]
 図10に示されるように、バルクヘッド26は、潰し領域Aの後側のサイドシル10の前端部10cを補強するための補強部材であり、サイドシル10に節目を形成するように配置された金属製板部材からなる。バルクヘッド26は、特に、ナローオフセット衝突のとき、サイドシルインナ10aのコ字状の縦断面が開いたり窪んだりして潰れることを防止するために設けられている。
[0124]
 このバルクヘッド26は、ナローオフセット衝突した際、サイドシルインナ10aを車室側から支えて衝突荷重で断面変形するのを抑制して潰し領域Aに衝突荷重を集中させると共に、サイドシル10に付与された衝突荷重を補強フレーム12に逃がして分散させる機能を有する。
[0125]
 潰し領域Aは、例えば、対向車等の衝突物が車両C1に衝突したとき、衝突荷重を受けて潰れることで衝突荷重を吸収するように形成された部位である。潰し領域Aは、サイドシル10の前端から所定距離だけ後方位置に補強フレーム12を結合し、その結合部より前方の前端部10cの強度を、結合部より後方のサイドシル10と補強フレーム12とを組み合わせた強度よりも小さく設定されている。
[0126]
 潰し領域Aは、前後方向の範囲がサイドシル10に設置されたバルクヘッド26の設置位置(結合部)からサイドシル10の前端までで、上下方向の範囲がサイドシル10の下端から上端までの範囲で構成される。潰し領域Aでは、車体1を上昇させる際に用いられる図示しないジャッキをセットする箇所を補強するジャッキアップ補強プレート13が設けられている。
[0127]
 ジャッキアップ補強プレート13は、例えば、上下方向に向けて長軸が形成された略楕円形状の貫通孔を複数並設して形成するなどして上下方向の荷重に対して強くし、ナローオフセット衝突の際に潰れ易いように、前後方向の荷重に対して弱い金属製板材によって形成されている。
[0128]
 側面視して略矩形状に形成されたジャッキアップ補強プレート13の上端は、フロントピラインナ7aの下端に接合され、このジャッキアップ補強プレート13の下端は、サイドシルインナ10aの前端部の車外側側面に設けられた下フランジ10d(図10参照)に接合される。
[0129]
 このように構成することで、フロントピラインナの下端とサイドシル10の前端とによって形成される角部に潰し領域Aが設けられ、ナローオフセット衝突のとき、この潰し領域Aに内設されるジャッキアップ補強プレート13及び変形部材24が一体的に曲げ変形することにより衝突エネルギの吸収量を増加させることができる。
[0130]
 ジャッキアップ補強プレート13の車外側の側面には、縦断面ハット形状からなる変形
部材24が一体的に接合される。この変形部材24は、例えば、縦断面が略ハット形状に折り曲げて形成された折り曲げプレートからなり、前後方向に延在する一定断面の閉断面が形成される。この折り曲げプレートの中心軸は、前輪の中心と略同一の高さからなり、前後方向に沿って所定長だけ延在するように設けられる。
[0131]
 図16に示されるように、変形部材24は、ジャッキアップ補強プレート13の側面に対し上下方向の位置で接合される一対の上側接合用フランジ部24a及び下側接合用フランジ部24bと、前記上側及び下側接合用フランジ部24a、24bにそれぞれ連続しジャッキアップ補強プレート13の側面との間で閉断面34を形成する突条中空部24cとを有する。
[0132]
 変形部材24をハット断面形状とすることにより、ジャッキアップ補強プレート13の上下方向と前後方向との間で強弱差をつけることができ、衝突エネルギ吸収性能と軽量化とジャッキアップ機能とを両立させることができる。
[0133]
 なお、本実施形態では、変形部材24として縦断面ハット形状からなる折り曲げプレートをその一例として示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、前後方向に沿って延在し一定断面からなる閉断面34を形成するものであればよく、例えば、突条中空部24cが、縦断面V字状、縦断面コ字状、縦断面W字状、縦断面半円状、縦断面円弧状、縦断面半楕円形状等の種々の形状が含まれる。
[0134]
 図10~図12に示されるように、補強フレーム12は、衝突物が車両C1にナローオフセット衝突した際、サイドシル10が変形して内倒れしないように、サイドシル10の車室内側の側面を保持して衝突荷重を受け止めるための補強用のフレーム部材である。この補強フレーム12は、縦断面視して略ハット形状にプレス等で折曲形成された鋼板からなる。補強フレーム12の一端側は、バルクヘッド26に内設されたサイドシル10の設置部位の車室内側の外面に接合され、その接合部位から車幅方向の内側且つ後方に傾斜して設けられる。補強フレーム12の他端側は、フロアフレーム17に接合される。
[0135]
 図10~図12に示されるように、サイドシル10の前端のサイドシルインナ10aには、ダッシュボードクロスメンバ16が接合される。このダッシュボードクロスメンバ16は、左右両側のサイドシル10、10間に車幅方向に沿って横架された横架部材であり、下側が開口し、縦断面が略ハット形状の剛性を有する鋼板等の金属製厚板材によって形成される。
[0136]
 図11に示されるように、このダッシュボードクロスメンバ16は、前後下端部及び左右端部に、接合用及び補強用のフランジ部16aが形成されている。具体的には、左右両端部に形成された接合用フランジ部16aがサイドシル10の内側の側面に接合され、下面の接合用フランジ部16bがダッシュボードロア62に接合されて、車幅方向に沿って延設されている。
[0137]
 図14に示されるように、ダッシュボードクロスメンバ16の上方側の接合用フランジ部16bと、フロントサイドフレーム3の後端部3aに接合されるアウトリガ20との間でダッシュボードロア62が挟持され、ダッシュボードクロスメンバ16、ダッシュボードロア62、及び、アウトリガ20の3枚が上下方向に積層された状態で一体的に接合される。また、図14に示されるダッシュボードクロスメンバ16の下方側の接合用フランジ部16bは、ダッシュボードロア62にのみ接合される。
[0138]
 従って、ホイールハウス部62bを有するダッシュボードロア62は、ダッシュボードクロスメンバ16とアウトリガ20との間で挟持されることにより、ホイールハウス部62bの強度が補強される。この結果、ナローオフセット衝突によるホイール衝突反力を増大させて車体後方へ向かうダッシュボードロア62の後退量を低減することができる。
[0139]
 換言すると、図12に示されるように、ダッシュボードクロスメンバ16は、アウトリガ20と、フロントサイドフレーム3の後端部3aに接合されて左右方向に延在する横方向フレーム21とにそれぞれ沿って結合されることで、ナローオフセット衝突荷重F1及びオフセット衝突荷重F2を支持することができる。
[0140]
 具体的には、図13に示されるように、ナローオフセット衝突荷重F1が付与されると、ダッシュボードクロスメンバ16及びアウトリガ20に反力がそれぞれ発生する。また、オフセット衝突荷重F2が付与されると、ダッシュボードクロスメンバ16、アウトリガ20、及び、横方向フレーム21に反力がそれぞれ発生する。このようにして発生する反力によってナローオフセット衝突荷重F1及びオフセット衝突荷重F2を支持することができる。
[0141]
 図11に示されるように、車室前端の左右のコーナー部には、ダッシュボードクロスメンバ16よりも上方に位置して略水平方向に沿って延在し、フレーム部材からなるガセット30がそれぞれ設けられる。このガセット30は、一端部がフロントピラインナ7aに接合され、他端部がダッシュボードロア62に接合され、一端部と他端部との間の中間部が湾曲するホイールハウス部62bに接合される。
[0142]
 また、ガセット30は、フロントピラインナ7aに接合される第3部位32cと、ダッシュボードロア62に接合される第1部位32aと、第3部位32cと第1部位32aとの間に設けられてホイールハウス部62bに接合される第2部位32bと、第2部位32bと第3部位32cの間の第4部位32dと、を有する。
[0143]
 例えば、ナローオフセット衝突の際、図示しないタイヤを支持するホイールWの内側後端エッジEを、上側に配置されたガセット30と下側に配置されたダッシュボードクロスメンバ16との上下2部材で支持することができる(図18参照)。
[0144]
 すなわち、ナローオフセット衝突時に、ダッシュボードロア62とガセット30とで形成された平面視して略三角形状の潰し空間S(図18参照)を十分に潰しきることで、ナローオフセット衝突荷重を吸収することができると共に、ガセット30の下側に配置されたダッシュボードクロスメンバ16で、同時にナローオフセット衝突荷重を支持することができる。
[0145]
 一対のサイドシル10、10の前端のサイドシルインナ10a、10aの間にダッシュボードクロスメンバ16が結合されることにより、ナローオフセット衝突時における前輪Tの車室内側への進入量を減少させることができる。
[0146]
 図10に示されるように、ダッシュボードロア62にカウル部63とトンネル部1cとを上下に結ぶ縦メンバ8を配置すると共に、ダッシュボードクロスメンバ16がトンネル部1cに接合されることで前記トンネル部1cがダッシュボードクロスメンバ16によって補強されている。この結果、縦メンバ8とダッシュボードクロスメンバ16とが共同することで、車両C1の車体前部1aが衝突物と衝突したときに前面衝突荷重に対して十分な反力を発生させることができると共に、乗員足元のダッシュボードロア62の後退量を低減させることができる。また、ロードノイズを低減させることができる。
[0147]
 図10及び図12に示されるように、フロアクロスメンバ19は、左右のサイドシル10、10とトンネル部1cとの間にそれぞれ架設された縦断面が略ハット形状の鋼板からなるフレーム部材である。各フロアクロスメンバ19の車幅方向の略中央部下面には、それぞれフロアフレーム17が直交するように配置されている。
[0148]
 図10及び図12に示されるように、フロアフレーム17は、車体フロアのフロアパネル18を保持する縦断面が略ハット形状のフレーム部材であり、フロアパネル18のフロア面の上下両面の同じ位置にそれぞれ接合されている。フロアフレーム17は、前端がフロントサイドフレーム3の後部に連結され、車体中央側が補強フレーム12の車内側接合部及びフロアクロスメンバ19の下面に連結され、後端は外側に折れ曲がり車体外側が左右のサイドシル10の車室側の側面に接合されている。
[0149]
 図10に示されるように、フロアパネル18は、車室Rとフロア面を形成する金属製板部材であり、サイドシル10とトンネル部1cとの間に架設されている。
[0150]
 図17に示されるように、ダッシュボードクロスメンバ16は、フロントサイドフレーム3の後端部3aとフロアフレーム17とのラップ部分Bよりも前方位置に配置されている。このため、例えば、矩形状等の一定の閉断面23を確保することができると共に、乗員の足元に突出しないようにすることができる。
[0151]
 本実施形態に係る車体下部構造が適用された車両C1は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
[0152]
 図19(a)は、本実施形態に係る車体下部構造が適用された車両が、電柱に対してナローオフセット衝突したときの初期状態を示す斜視図、図19(b)は、前記車両がナローオフセット衝突したときの後期状態を示す斜視図である。
[0153]
 図19(a)、(b)に示されるように、本実施形態に係る車両C1が、例えば、衝突物である電柱Pとナローオフセット衝突した場合、車両C1は、車体前部左側のフロントバルクヘッド2の左端部とフロントサイドフレーム3の外側を通り、フロントホイールハウスアッパメンバ5、前輪T、フロントピラ7、サイドシル10の前端部10c及びジャッキアップ補強プレート13が、当接した電柱Pによって車両後方に押圧されて圧潰される。特に、電柱Pは、サイドシル10の前方にある前輪TのホイールWを押圧し、続いて、そのホイールWがサイドシル10の前端部10cを後方側に向かって押圧する。
[0154]
 この場合、サイドシル10の前端部10c寄りの位置には、前端に潰し領域Aが形成されて衝突荷重の吸収性が向上し、潰し領域Aの後方位置にバルクヘッド26及びサイドシル補強ブラケット28が内設されて強度・剛性が向上している。さらにまた、バルクヘッド26の設置部位の車室側が補強フレーム12によって支えられて、サイドシル10が車室側へ折れ曲がることが抑制されている。このため、サイドシル10は、バルクヘッド26の設置部位及び補強フレーム12の連結部位の強度が、それよりも前側にある潰し領域Aよりも強度が強く設定されている。
[0155]
 この結果、サイドシル10は、バルクヘッド26の設置部位よりも前側の前端部10cの潰し領域Aにおいて、衝突荷重で局部的に押し潰されることで衝突荷重を吸収し、バルクヘッド26の設置部位よりも後方側が変形することを好適に抑制することができる。
[0156]
 衝突荷重でサイドシル10、10の前端部10cの潰し領域Aが局部的に押し潰された場合、ダッシュボードロア62のホイールハウス部62bは、ダッシュボードクロスメンバ16とアウトリガ20との間で挟持され、ダッシュボードロア62、ダッシュボードクロスメンバ16及びアウトリガ20の三者が上下に積層して一体的に接合されているため、ホイールハウス部62bを補強してナローオフセット衝突時におけるホイール衝突反力を増
大させることができ、ダッシュボードロア62の車室側への後退量を低減させることができる。同時に、サイドシル10、10の前端部10cのサイドシルインナ10a、10aの間にダッシュボードクロスメンバ16が結合されることにより、ナローオフセット衝突時における前輪Tの車室内側への進入量を減少させることができる。
[0157]
 また、サイドシル10の前端部10cに付与された衝突荷重は、バルクヘッド26の設置部位の強度が強く、その部位から斜め後方に向けて補強フレーム12が連結されていることにより、サイドシル10と補強フレーム12に伝達されて分散され、補強フレーム12側に分散した衝突荷重がフロアフレーム17に伝達される。つまり、サイドシル10の前端部10cに付与された衝突荷重は、サイドシル10のバルクヘッド26の設置位置によって受け止められて、サイドシル10が折れ曲がるのを防止することができる。
[0158]
 このため、潰し領域Aの後方のサイドシル10上にあるドア開口部は、サイドシル10が折れないため、図示しないフロントサイドドアが開き難くなることが抑制されて、ドア開口部の形状が維持されて、ナローオフセット衝突後もドアの開閉が可能な状態となっている。また、サイドシル10は、前端部10cの潰し領域Aが衝突荷重で変形するものの、前端部10cのバルクヘッド26の設置位置よりも後方側部位で変形し難い構造となっているため、ドア開口部の形状が変形するのを抑制することができる。
[0159]
 さらに、補強フレーム12は、一端がサイドシル10に結合されて、他端がフロアフレーム17に接合して両者間に架設されているので、車室Rのフロア面をしっかり保持することができる。
[0160]
 以上から、本実施形態に係る車体下部構造では、ナローオフセット衝突及びオフセット衝突した際、サイドシル10の前端部10cの潰し領域Aによる衝突荷重のより一層の吸収性の向上と、バルクヘッド26による潰し領域Aの後方部位の強度向上と、バルクヘッド26の設置部位の車室側を支える補強フレーム12及び前端部10cのサイドシルインナ10aを支持して前輪Tの車室内側への進入を抑制するダッシュボードクロスメンバ16によるサイドシル10の倒れ防止とによって、サイドシル10の前端部10cの変形を促進させて衝撃荷重吸収性を向上させると共に、車室Rの形状及びドアの開閉に影響を与えることを回避することができる。
[0161]
<第3実施形態>
 次に、本発明の第3実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図中に矢印で示される、「前後」及び「上下」は、車体前後方向及び車体上下方向を示し、「左右」は、運転席から見た左右方向(車幅方向)をそれぞれ示している。また、縦断面とは、垂直断面をいう。
 なお、ガセット30については、第1実施形態と同様の構造であるので詳細な説明を省略する。
[0162]
 図20に示されるように車両C1は、車体前部1aに配置される動力搭載室MRと、動力搭載室MRと隔壁6を介して配置される車室Rとを有する自動車からなる。この自動車は、例えば、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)タイプ、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)タイプ、四輪駆動タイプ等の自動車が含まれる。
[0163]
 なお、本発明が適用される車両C1としては、車体1の左右外側に配置される左右一対のサイドシル10と、このサイドシル10の車体中央側に配置されるフロアフレーム17とを有するものであればよい。以下、FRタイプの自動車に対し、本実施形態に係る車体下部構造が適用された場合を例に挙げて説明する。
[0164]
 図20に示されるように、車体1は、車両C1の全体を形成するものであって、例えば、サイドシル10やフロアフレーム17やフロントサイドフレーム3等の種々の金属製車体フレームと、図示しないボンネット、フェンダパネル等の金属製車体パネルと、樹脂製又は金属製のバンパフェイス等を主として備えている。
[0165]
 車体1の車体前部1a及び車体下部1bは、それぞれ後記するフロントバルクヘッド2、図示しないバンパビーム、フロントサイドフレーム3、ウィンドシールドロア4、フロントホイールハウスアッパメンバ5、隔壁6、フロントピラ7、サイドシル10、補強フレーム12、フロアフレーム17、ジャッキアップ補強プレート13、アウトリガ20(図23参照)、ダッシュボードクロスメンバ16等が左右一対に前後方向に延設されるか、又は、横設されて、略左右対称に配置されている。このように車体下部1bは、略左右対称に配置されるため、以下、車体1の左側の部分を主として説明し、車体1の右側の部分の説明を省略する。
[0166]
 動力搭載室MRは、例えば、電動モータ、エンジン、トランスミッション等から構成されるパワーユニット(図示せず)が配置される収納空間であり、その周辺に配置されるフレームとパネル部材とによって形成されている。動力搭載室MRは、前側にフロントバル
クヘッド2、図示しないバンパビーム等が配置され、後方側に隔壁6が配置される。また、動力搭載室MRの上方側の左右には、フロントホイールハウスアッパメンバ5、フロントピラ7等が配置されている。動力搭載室MRの下方側の左右には、車体1の前後方向に向けて延在する一対のフロントサイドフレーム3が配置されている。
[0167]
 図20に示されるように、フロントバルクヘッド2は、動力搭載室MRの車体前側部位の図示しないラジエータを囲繞するように略矩形状の枠体からなるフレーム部材であり、全体が車幅方向に向けて配置されている。
[0168]
 図20に示されるように、フロントサイドフレーム3は、車体前部1aに配置され、車体1の前後方向に延在する左右一対のフレーム部材であり、例えば、前端から後端にわたって剛性を有する断面矩形状(角筒状)のスチール製角パイプ材等によって構成される。フロントサイドフレーム3の先端には、図示しないバンパビームエクステンションを介してバンパビームが連結されている。フロントサイドフレーム3の後端部には、後方に向けてフロアフレーム17が連設されると共に、このフロントサイドフレーム3、3間には、隔壁6が架設されている。
[0169]
 フロントホイールハウスアッパメンバ5は、動力搭載室MRの車体側部上側に車体前後方向に向けて配置されたフレーム部材である。フロントホイールハウスアッパメンバ5は、前端がフロントバルクヘッド2のヘッドアッパサイドに連結され、後端がフロントピラ7に連結されている。
[0170]
 図20に示されるように、隔壁6は、動力搭載室MRと車室Rとの仕切る仕切り部材であり、例えば、鋼板等からなるダッシュボードアッパ61と、左右端部がサイドシル10の内側側壁に接合されたダッシュボードロア62と、フレーム部材からなるダッシュボードクロスメンバ16と、補強用の補強部材等によって構成される。
[0171]
 フロントピラ7は、車体下部1bに配置されたサイドシル10の前端部10c(潰し領域A)からその上方の図示しないフロントガラスの左右側部まで延設されるフレーム部材である。後記するように、フロントピラインナ7aの下端には、ジャッキアップ補強プレート13の上端が接合される(図23参照)。
[0172]
 図20に示されるように、サイドシル10は、フロントピラ7の下端部から車体1のフロアパネル18の車幅方向外側の端部に沿って車体前後方向に延設され、縦断面視して略矩形からなる鋼板等の金属板で形成された中空フレーム部材である。サイドシル10は、車体内側に配置され縦断面視して略コ字状の高強度鋼板製のサイドシルインナ10aと、車体外側に配置され縦断面視して略コ字状のサイドシルアウタ10bとの間で閉断面34を形成するように接合されている(図25参照)。
[0173]
 また、図25に示されるように、サイドシルインナ10aは、上部側のサイドシルインナアッパ11aと、下部側のサイドシルインナロア11bとに二分割されて構成される。本実施形態では、サイドシルインナアッパ11aとサイドシルインナロア11bとの間にフロアパネル18が挟み込まれて挟持され、サイドシルインナアッパ11a、フロアパネル18、及び、サイドシルインナロア11bによって積層された3枚の部材が、例えば、スポット溶接等で接合されることで、ナローオフセット衝突時におけるせん断荷重の耐力を高めてサイドシルインナ10aの車室内側への変形を抑制することができる。
[0174]
 さらに、図21に示されるように、サイドシルインナ10a(サイドシルインナアッパ11a)には、前後方向に沿って延在する変形抑制部材22が設けられる。変形抑制部材22の前後方向の前端は、延長されて潰し領域A(図23参照)の略中央部まで延在し、変形抑制部材22の後端は、サイドシルインナ10aの後端まで延在するように設けられる。この変形抑制部材22を設けることで、後記する変形部材24の車室内側への曲げ変形を抑制することができる。
[0175]
 図23及び図24に示されるように、サイドシル10の前端部10cの最も前方の位置には、潰し領域Aが設けられ、この潰し領域Aには、ジャッキアップ補強プレート13と変形部材24とが一体的に結合されて設けられる。潰し領域Aの後方には、バルクヘッド26、及び、サイドシル補強ブラケット28が内設されている。
[0176]
 サイドシル10の前端部10cの前側は、フロントピラ7の下端に連結され、フロントサイドフレーム3の後端部には、略直交する車幅方向に沿ってアウトリガ20が連結されている(図23参照)。また、サイドシル10の前端部10c内には、後記する潰し領域Aの後方に、サイドシル10内を前後方向に仕切るようにしてバルクヘッド26が設けられている。サイドシル10の車室側の側面は、それぞれ車幅方向に向けて配置されたダッシュボードクロスメンバ16、アウトリガ20、及び、補強フレーム12が接合されて、フロアパネル18の左右端部を保持している。
[0177]
 図24に示されるように、バルクヘッド26は、潰し領域Aの後側のサイドシル10の前端部10cを補強するための補強部材であり、サイドシル10に節目を形成するように配置された金属製板部材からなる。バルクヘッド26は、特に、ナローオフセット衝突のとき、サイドシルインナ10aのコ字状の縦断面が開いたり窪んだりして潰れることを防止するために設けられている。バルクヘッド26には、サイドシルインナ10a内を前後方向に区画するように配置された仕切り面26aと、この仕切り面26aの外周縁に折曲して形成された鍔部26bとが形成されている。
[0178]
 このバルクヘッド26は、ナローオフセット衝突した際、サイドシルインナ10aを車室側から支えて衝突荷重で断面変形するのを抑制して潰し領域Aに衝突荷重を集中させると共に、サイドシル10に付与された衝突荷重を補強フレーム12に逃がして分散させる機能を有する。
[0179]
 潰し領域Aは、例えば、対向車等の衝突物が車両C1に衝突したとき、衝突荷重を受けて潰れることで衝突荷重を吸収するように形成された部位である。潰し領域Aは、サイドシル10の前端から所定距離だけ後方位置に補強フレーム12を結合し、その結合部より前方の前端部10cの強度を、結合部より後方のサイドシル10と補強フレーム12とを組み合わせた強度よりも小さく設定されている。
[0180]
 潰し領域Aは、前後方向の範囲がサイドシル10に設置されたバルクヘッド26の設置位置(結合部)からサイドシル10の前端までで、上下方向の範囲がサイドシル10の下端から上端までの範囲で構成される。潰し領域Aでは、車体1を上昇させる際に用いられる図示しないジャッキをセットする箇所を補強するジャッキアップ補強プレート13が設けられている。
[0181]
 図22及び図24に示されるように、ジャッキアップ補強プレート13は、例えば、上下方向に向けて長軸が形成された略楕円形状の貫通孔13aを複数並設して形成するなどして上下方向の荷重に対して強くし、ナローオフセット衝突の際に潰れ易いように、前後方向の荷重に対して弱い金属製板材によって形成されている。
[0182]
 側面視して略矩形状に形成されたジャッキアップ補強プレート13の上端は、フロントピラインナ7aの下端に接合され(図24参照)、このジャッキアップ補強プレート13の下端は、サイドシルインナ10aの前端部の車外側側面に設けられた下フランジ10dに接合される(図25参照)。なお、図24中において、「×」印は、例えば、スポット溶接をした場合の接合部位をそれぞれ示している。
[0183]
 このように構成することで、フロントピラインナ7aの下端とサイドシル10の前端とによって形成される角部に潰し領域Aが設けられ、ナローオフセット衝突のとき、この潰し領域Aに内設されるジャッキアップ補強プレート13及び変形部材24が一体的に曲げ変形することにより衝突エネルギの吸収量を増加させることができる。この点については、後記で詳細に説明する。
[0184]
 ジャッキアップ補強プレート13の車外側の側面には、縦断面ハット形状(図25参照)からなる変形部材24が一体的に接合される。この変形部材24は、例えば、縦断面(垂直断面)が略ハット形状に折り曲げて形成された折り曲げプレートからなり、前後方向に延在する一定断面の閉断面34が形成される。この折り曲げプレートの中心軸は、前輪Tの中心Oと略同一の高さからなり、前後方向に沿って所定長だけ延在するように設けられる(図23参照)。
[0185]
 図24に示されるように、変形部材24は、ジャッキアップ補強プレート13の側面に対し上下方向の位置で接合される一対の上側接合用フランジ部24a及び下側接合用フランジ部24bと、前記上側及び下側接合用フランジ部24a、24bにそれぞれ連続しジャッキアップ補強プレート13の側面との間で閉断面34を形成する突条中空部24cとを有する。
[0186]
 変形部材24をハット断面形状とすることにより、ジャッキアップ補強プレート13の上下方向と前後方向との間で強弱差をつけることができ、衝突エネルギ吸収性能と軽量化とジャッキアップ機能とを両立させることができる。
[0187]
 なお、本実施形態では、変形部材24として縦断面ハット形状からなる折り曲げプレートをその一例として示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、前後方向に沿って延在し一定断面からなる閉断面34を形成するものであればよく、例えば、突条中空部24cが、縦断面V字状、縦断面コ字状、縦断面W字状、縦断面半円状、縦断面円弧状、縦断面半楕円形状等の種々の形状が含まれる。
[0188]
 図20及び図21に示されるように、補強フレーム12は、衝突物が車両C1にナローオフセット衝突した際、サイドシル10が変形して内倒れしないように、サイドシル10の車室内側の側面を保持して衝突荷重を受け止めるための補強用のフレーム部材である。この補強フレーム12は、縦断面視して略ハット形状にプレス等で折曲形成された鋼板からなる。補強フレーム12の一端側は、バルクヘッド26に内設されたサイドシル10の設置部位の車室内側の外面に接合され、その接合部位から車幅方向の内側且つ後方に傾斜して設けられる。補強フレーム12の他端側は、フロアフレーム17に接合される。
[0189]
 図20に示されるように、サイドシル10の前端のサイドシルインナ10aには、ダッシュボードクロスメンバ16が接合される。このダッシュボードクロスメンバ16は、左右両側のサイドシル10、10間に車幅方向に沿って横架された横架部材であり、下側が開口し、縦断面が略ハット形状の剛性を有する鋼板等の金属製厚板材によって形成される。
[0190]
 このダッシュボードクロスメンバ16は、前後下端部及び左右端部に、接合用及び補強用のフランジ部16aが形成されている。具体的には、左右両端部に形成された接合用フランジ部16aがサイドシル10の内側の側面に接合され、下面の接合用フランジ部16bがダッシュボードロア62に接合されて、車幅方向に沿って延設されている。
[0191]
 一対のサイドシル10、10の前端のサイドシルインナ10a、10aの間にダッシュボードクロスメンバ16が結合されることにより、ナローオフセット衝突時における前輪Tの車室内側への進入量を減少させることができる。
[0192]
 図20に示されるように、フロアクロスメンバ19は、左右のサイドシル10、10とトンネル部1cとの間にそれぞれ架設された縦断面が略ハット形状の鋼板からなるフレーム部材である。各フロアクロスメンバ19の車幅方向の略中央部下面には、それぞれフロアフレーム17が直交するように配置されている。
[0193]
 図20に示されるように、フロアフレーム17は、車体フロアのフロアパネル18を保持する縦断面が略ハット形状のフレーム部材であり、フロアパネル18のフロア面の上下両面の同じ位置にそれぞれ接合されている。フロアフレーム17は、前端がフロントサイドフレーム3の後部に連結され、車体中央側が補強フレーム12の車内側接合部及びフロアクロスメンバ19の下面に連結され、後端は外側に折れ曲がり車体外側が左右のサイドシル10の車室側の側面に接合されている。
[0194]
 図20に示されるように、フロアパネル18は、車室Rとフロア面を形成する金属製板部材であり、サイドシル10とトンネル部1cとの間に架設されている。
[0195]
 本実施形態に係る車体下部構造が適用された車両C1は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
[0196]
 図26(a)は、本実施形態に係る車体下部構造が適用された車両が、電柱に対してナローオフセット衝突したときの初期状態を示す斜視図、図26(b)は、前記車両がナローオフセット衝突したときの後期状態を示す斜視図、図27は、本実施形態に係る車体下部構造が適用された車両において、ナローオフセット衝突時にジャッキアップ補強プレートよりも先に変形部材が変形する状態を示す斜視図である。
[0197]
 図26(a)、(b)に示されるように、本実施形態に係る車両C1が、例えば、衝突物である電柱Pとナローオフセット衝突した場合、車両C1は、車体前部左側のフロントバルクヘッド2の左端部とフロントサイドフレーム3の外側を通り、フロントホイールハウスアッパメンバ5、前輪T、フロントピラ7、サイドシル10の前端部10c及びジャッキアップ補強プレート13が、当接した電柱Pによって車両後方に押圧されて圧潰される。特に、電柱Pは、サイドシル10の前方にある前輪TのホイールWを押圧し、続いて、そのホイールWがサイドシル10の前端部10cを後方側に向かって押圧する。
[0198]
 本実施形態では、前輪TのホイールWがサイドシル10の前端部10cに設けられたジャッキアップ補強プレート13を押圧する際、前輪Tの中心O(図23参照)と略同一の高さで前後方向に沿って延在する変形部材24が配置されているため、前輪Tの後方端面による押圧力によって先に変形部材24が曲げ変形する(図27参照)。次いで、前輪Tの後方端面を除いた前輪Tの後面によりジャッキアップ補強プレート13が変形する(図26(b)参照)。この結果、本実施形態では、ナローオフセット衝突時におけるエネルギ吸収量を従来と比較して増加させつつ、潰し領域Aの後方部位の変形を抑制することができる。
[0199]
 換言すると、本実施形態では、ナローオフセット衝突時において、潰し領域Aに設けられたジャッキアップ補強プレート13に衝突荷重が付与される際、図27に示されるように、ジャッキアップ補強プレート13よりも先に変形部材24に対して衝突荷重が付与され、閉断面34を有し衝撃荷重が付与される方向と同方向に延在する前記変形部材24によって衝突荷重を吸収することができる。このため、本実施形態では、従来と比較して変形
部材24によって衝突荷重が吸収される分だけナローオフセット衝突時におけるエネルギ吸収量をより一層向上させることができると共に、潰し領域Aの後方部位の変形を抑制することができる。
[0200]
 さらに、サイドシル10の前端部10cの近傍部位には、前端に潰し領域Aが形成されて衝突荷重の吸収性が向上し、潰し領域Aの後方位置にバルクヘッド26及びサイドシル補強ブラケット28が内設されて強度・剛性が向上している。さらにまた、バルクヘッド26の設置部の車室側が補強フレーム12によって支えられて、サイドシル10が車室側へ折れ曲がることが抑制されている。このため、サイドシル10は、バルクヘッド26の設置部位及び補強フレーム12の連結部位の強度が、それよりも前側にある潰し領域Aよりも強度が強く設定されている。
[0201]
 この結果、サイドシル10は、バルクヘッド26の設置部位よりも前側の前端部10cの潰し領域Aにおいて、衝突荷重で局部的に押し潰されることで衝突荷重を吸収し、バルクヘッド26の設置部位よりも後方側が変形することを好適に抑制することができる。
[0202]
 なお、衝突荷重でサイドシル10、10の前端部10cの潰し領域Aが局部的に押し潰された場合であっても、サイドシル10、10の前端部10cのサイドシルインナ10a、10aの間にダッシュボードクロスメンバ16が結合されることにより、ナローオフセット衝突時における前輪Tの車室内側への進入量を減少させることができる。
[0203]
 さらにまた、サイドシル10の前端部10cに付与された衝突荷重は、バルクヘッド26の設置部位の強度が強く、その部位から斜め後方に向けて補強フレーム12が連結されていることにより、サイドシル10と補強フレーム12に伝達されて分散され、補強フレーム12側に分散した衝突荷重がフロアフレーム17に伝達される。つまり、サイドシル10の前端部10cに付与された衝突荷重は、サイドシル10のバルクヘッド26の設置位置によって受け止められて、サイドシル10が折れ曲がるのを防止することができる。
[0204]
 このため、潰し領域Aの後方のサイドシル10上にあるドア開口部は、サイドシル10が折れないため、図示しないフロントサイドドアが開き難くなることが抑制されて、ドア開口部の形状が維持されて、ナローオフセット衝突後もドアの開閉が可能な状態となっている。また、サイドシル10は、前端部10cの潰し領域Aが衝突荷重で変形するものの、前端部10cのバルクヘッド26の設置位置よりも後方側部位で変形し難い構造となっているため、ドア開口部の形状が変形するのを抑制することができる。
[0205]
 さらにまた、補強フレーム12は、一端がサイドシル10に結合されて、他端がフロアフレーム17に接合して両者間に架設されているので、車室Rのフロア面をしっかり保持することができる。
[0206]
 以上から、本実施形態に係る車体下部構造では、ナローオフセット衝突した際、サイドシル10の前端部10cの潰し領域Aによる衝突荷重のより一層の吸収性の向上と、バルクヘッド26による潰し領域Aの後方部位の強度向上と、バルクヘッド26の設置部位の車室側を支える補強フレーム12及び前端部10cのサイドシルインナ10aを支持して前輪Tの車室内側への進入を抑制するダッシュボードクロスメンバ16によるサイドシル10の倒れ防止とによって、サイドシル10の前端部10cの変形を促進させて衝撃荷重吸収性を向上させると共に、車室Rの形状及びドアの開閉に影響を与えることを回避することができる。
[0207]
<第4実施形態>
 次に、本発明の第4実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図中に矢印で示される、「前後」及び「上下」は、車体前後方向及び車体上下方向を示し、「左右」は、運転席から見た左右方向(車幅方向)をそれぞれ示している。
 なお、ガセット30については、第1実施形態と同様の構造であるので詳細な説明を省略する。
[0208]
 図28に示されるように車両C1は、車体前部1aに配置される動力搭載室MRと、動力搭載室MRと隔壁6を介して配置される車室Rとを有する自動車からなる。この自動車は、例えば、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)タイプ、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)タイプ、四輪駆動タイプ等の自動車が含まれる。
[0209]
 なお、本発明が適用される車両C1としては、車体1の左右外側に配置される左右一対のサイドシル70を有するものであればよい。以下、FRタイプの自動車に対し、本実施形態に係る車両構造が適用された場合を例に挙げて説明する。
[0210]
 図28に示されるように、車体1は、車両C1の全体を形成するものであって、例えば、サイドシル70やフロアフレーム17やフロントサイドフレーム3等の種々の金属製車体フレームと、図示しないボンネット、フェンダパネル等の金属製車体パネルと、樹脂製又は金属製のバンパフェイス等を主として備えている。
[0211]
 車体1の車体前部1a及び車体下部1bは、それぞれ後記するフロントバルクヘッド2、図示しないバンパビーム、フロントサイドフレーム3、ウィンドシールドロア4、フロントホイールハウスアッパメンバ5、隔壁6、フロントピラ7、サイドシル70、補強フレーム12、フロアフレーム17、ジャッキアップ補強プレート13、ダッシュボードクロスメンバ16等が左右一対に前後方向に延設されるか、又は、横設されて、略左右対称に配置されている。このように車体下部1bは、略左右対称に配置されるため、以下、車体1の左側の部分を主として説明し、車体1の右側の部分の説明を省略する。
[0212]
 エンジンルームたる動力搭載室MRは、例えば、電動モータ、エンジン、トランスミッション等から構成されるパワーユニット(図示せず)が配置される収納空間であり、そ
の周辺に配置されるフレームとパネル部材とによって形成されている。動力搭載室MRは、前側にフロントバルクヘッド2、図示しないバンパビーム等が配置され、後方側に隔壁6が配置される。また、動力搭載室MRの上方側の左右には、フロントホイールハウスアッパメンバ5、フロントピラ7等が配置されている。動力搭載室MRの下方側の左右には、車体1の前後方向に向けて延在する一対のフロントサイドフレーム3が配置されている。
[0213]
 図28に示されるように、フロントバルクヘッド2は、動力搭載室MRの車体前側部位の図示しないラジエータを囲繞するように略矩形状の枠体からなるフレーム部材であり、全体が車幅方向に向けて配置されている。
[0214]
 図28に示されるように、フロントサイドフレーム3は、車体前部1aに配置され、車体1の前後方向に延在する左右一対のフレーム部材であり、例えば、前端から後端にわたって剛性を有する断面矩形状(角筒状)のスチール製角パイプ材等によって構成される。フロントサイドフレーム3の先端には、図示しないバンパビームエクステンションを介してバンパビームが連結されている。フロントサイドフレーム3の後端部には、後方に向けてフロアフレーム17が連設されると共に、このフロントサイドフレーム3、3間には、隔壁6が架設されている。
[0215]
 ウィンドシールドロア4は、後記するダッシュボードロア62の上端部に固定され、当該上端部から前方へ延出して図示しないフロントガラスを片持ち構造にて支持する車幅方向に沿って延在する鋼製部材である。
[0216]
 フロントホイールハウスアッパメンバ5は、動力搭載室MRの車体側部上側に車体前後方向に向けて配置されたフレーム部材である。フロントホイールハウスアッパメンバ5は、前端がフロントバルクヘッド2のヘッドアッパサイドに連結され、後端がフロントピラ7に連結されている。
[0217]
 図28に示されるように、隔壁6は、動力搭載室MRと車室Rとを仕切る仕切り部材であり、例えば、鋼板等からなるダッシュボードアッパ61と、左右端部がサイドシル70の前端部70aに接合されたダッシュボードロア62と、フレーム部材からなるダッシュボードメンバと、補強用の補強フレーム等によって構成される。
[0218]
 フロントピラ7は、車体下部1bに配置されたサイドシル70の前端部70aからその上方の図示しないフロントガラスの左右側部まで延設されるフレーム部材である。
[0219]
 図28に示されるように、サイドシル70は、フロントピラ7の下端部から車体1のフロアパネル18の車幅方向外側の端部に沿って車体前後方向に延設され、縦断面視して略矩形からなる鋼板で形成された中空フレーム部材である。サイドシル70は、図30及び図31に示すように、車外側に配置され縦断面視して略コ字状のサイドシルアウタ71と、車内側に配置され縦断面視して略コ字状のサイドシルインナ72との間で閉断面Kを形成するように接合されている。
[0220]
 サイドシルアウタ71は、図30に示すように、複数箇所を曲折して成形された高強度鋼板製の部材である。サイドシルアウタ71は、上壁部71aと、上フランジ部71bと、下壁部71cと、下フランジ部71dと、縦壁部71eと、から構成される。
[0221]
 上壁部71aは、車幅方向に所定幅を有し、かつ車幅方向外側に向かうにつれて下り傾斜する部分である。上フランジ部71bは、上壁部71aの車幅方向内側から上方へ延出形成される鉛直状の部分である。
[0222]
 下壁部71cは、車幅方向に所定幅を有し、かつ車幅方向外側に向かうにつれて緩やかに上り傾斜する略水平状の部分である。下壁部71cは、上壁部71aに対し下方に所定間隔離間して設けられている。下フランジ部71dは、下壁部71cの車幅方向内側から下方へ延出形成される鉛直状の部分である。
[0223]
 縦壁部71eは、上壁部71a及び下壁部71cの車幅方向外側を繋ぎ、所定の高さを有する略鉛直状の部分である。
[0224]
 サイドシルインナ72は、図30に示すように、複数箇所を曲折して成形された鋼板製の部材である。サイドシルインナ72は、上側に配置されるアッパ部材73と、下側に配置されるロア部材74とに二分割されて構成されている。
[0225]
 アッパ部材73は、サイドシルアウタ71の高さと略同等の高さ(詳しくは上フランジ部71bの上端から下壁部71c及び縦壁部71eの境界付近までの高さと同等の高さ)に形成された部材であって、上壁部73aと、外フランジ部73bと、傾斜壁部73cと、縦壁部73dと、内フランジ部73eと、前フランジ部73f(図29参照)と、から構成される。
[0226]
 インナ壁部たる上壁部73aは、車幅方向に所定幅を有し、かつ車幅方向内側に向かうにつれて低くなるように階段状(段差状)に形成された部分である。本実施形態において、上壁部73aは、サイドシルアウタ71の上壁部71aよりも低い位置に配置されている。これにより、上壁部73aの上方にハーネス配置用のスペースを確保できる。上壁部73aの傾斜壁部73c側には、車幅方向と平行な水平面73a1が形成されている。
[0227]
 外フランジ部73bは、上壁部73aの車幅方向外側から上方へ延出形成される鉛直状の部分である。本実施形態において、外フランジ部73bと、サイドシルアウタ71の上フランジ部71bとは、車幅方向で重ね合わされてスポット溶接により接合されている。
[0228]
 傾斜壁部73cは、上壁部73aの車幅方向内側から車内側かつ下方へ延出する直線状かつ傾斜状の部分である。この傾斜壁部73cを設けることによって、アッパ部材73の体積(張出量)を減少させ、室内空間の拡大を図ることができる。
[0229]
 縦壁部73dは、傾斜壁部73cの車幅方向内側から下方へ延出する略鉛直状の部分である。縦壁部73dは、図31に示すように、傾斜壁部73cの車幅方向内側に連続して上下方向に沿って延在する凹み部73d1と、凹み部73d1の下端から下方へ延出する平面状の平坦面部73d2と、を有する。
[0230]
 凹み部73d1は、平坦面部73d2よりも車幅方向外側に位置する底面73d3と、底面73d3の下端と平坦面部73d2の上端とを繋ぐ段差部73d4と、を有している。底面73d3は、上下方向と平行な鉛直面に形成されている。
[0231]
 平坦面部73d2の適所には、図29に示すように、前後方向に沿って延在する複数の溝部73d5,73d5が設けられている。溝部73d5は、前後方向に互いに間隔を空けて設けられている。平坦面部73d2のうち溝部73d5同士の間には、補強フレーム12及びフロアクロスメンバ19の端部が接合されている。本実施形態において、アッパ部材73は、図29及び図30に示すように、傾斜壁部73c、凹み部73d1、及び溝部73d5を具備することによって、前後方向に沿う複数の稜線部73g,73gを有している。これにより、側面衝突時の荷重に対するアッパ部材73の曲げ剛性及び前面衝突時の圧潰荷重を向上させることができる。
[0232]
 内フランジ部73eは、図30に示すように、縦壁部73dの下端から車幅方向内側へ延出形成される水平状の部分である。内フランジ部73eは、外フランジ部73bよりも車幅方向内側に位置している。
[0233]
 前フランジ部73fは、図29に示すように、ダッシュボードロア62の後面にスポット溶接により接合される部分である。前フランジ部73fは、外フランジ部73bの前端から内フランジ部73eの前端に亘って、前後方向に直交する方向(上下方向及び左右方向)に延設されている。
[0234]
 また、図29に示されるように、サイドシルインナ72(アッパ部材73)の外面には、前後方向に沿って延在する変形抑制部材22が設けられる。変形抑制部材22は、図30に示すように、上壁部73aの水平面73a1から凹み部73d1の底面73d3に跨って設けられる。この変形抑制部材22を設けることで、後記する変形部材24の車室内側への曲げ変形を抑制することができる。図31に示すように、変形抑制部材22のうち凹み部73d1に配置される部分は、最も車内側に位置する内側面22aを有しており、かかる内側面22aは、平坦面部73d2と面一になるように設定されている。これにより、フロアクロスメンバ19の設置時に、後記するフロアクロスメンバ19のフランジ部19b(図29参照)と変形抑制部材22との干渉を回避して、フロアクロスメンバ19を上方から好適に設置できる。なお、凹み部73d1の凹み量を適宜調整して、内側面22aを平坦面部73d2よりも車幅方向外側に設定してもよい。サイドシルインナ72の外面には、図29に示すように、その他にセンタピラーインナ78の下端がスポット溶接等で接合されている。
[0235]
 ロア部材74は、図30に示すように、アッパ部材73の板厚よりも小さく形成され、かつフロアパネル18とサイドシルアウタ71との間に略水平に配置された部材である。
 ロア部材74は、本体部74aと、外フランジ部74bと、内フランジ部74cと、から構成される。
[0236]
 本体部74aは、車幅方向外側に向かうにつれて緩やかに下り傾斜する略水平状の部分である。
[0237]
 外フランジ部74bは、本体部74aの車幅方向外側から下方へ延出する鉛直状の部分である。本実施形態において、外フランジ部74bと、サイドシルアウタ71の下フランジ部71dとは、車幅方向で重ね合わされてスポット溶接により接合されている。
[0238]
 内フランジ部74cは、本体部74aの車幅方向内側から車内側へ延出する水平状の部分である。本実施形態では、アッパ部材73の内フランジ部73eとロア部材74の内フランジ部74cとの間に、フロアパネル18が挟み込まれて上下に挟持され、アッパ部材73、フロアパネル18、及びロア部材74によって積層された3枚の部材が、スポット溶接で接合されることで、側面衝突時におけるせん断荷重の耐力を高めてサイドシルインナ72の車室内側への変形を抑制することができる。なお、前記3部材の接合部位は、水平状に形成されている。また、フロアパネル18とロア部材74との間には、スポット溶接同士の間に形成される隙間を埋めるための防水用のシール材15が配置されている。
[0239]
 ここで、図30を参照して、サイドシル70の中立軸Zと断面中心Xとの関係について説明する。サイドシル70の中立軸Zは、主としてサイドシル70の板厚や断面形状等に起因して変化する。例えば、サイドシル70が上壁部73a及び傾斜壁部73cを有する断面形状を具備し、かつサイドシル70全体の板厚を均一にした場合、サイドシル70の中立軸Z2(図30の二点鎖線参照)は、断面中心Xと一致しない。そこで、本実施形態では
、サイドシルインナ72を二部材で構成し、かつアッパ部材73及びロア部材74の板厚が異なる構成を採用することによって、サイドシル70の中立軸Z1が断面中心Xと一致するように設定した。換言すると、サイドシル70の中立軸Z1と、曲げモーメントに対する耐力が最大になる断面中心Xとが一致するように、サイドシル70の板厚及び断面形状が調整されている。したがって、ハーネス配置用のスペースを確保し、かつアッパ部材73の体積を減少させる構成を備えた場合であっても、サイドシル70の中立軸Z1を、断面中心Xに一致するように調整することができる。
[0240]
 図28に示されるように、サイドシル70の前端部70aの最も前方の位置には、ジャッキアップ補強プレート13と変形部材24とが一体的に結合されて設けられる。ジャッキアップ補強プレート13と変形部材24の後方には、バルクヘッド26、及び、サイドシル補強ブラケット28が内設されている。バルクヘッド26は、サイドシル70内を仕切るように設けられている。このバルクヘッド26は、ナローオフセット衝突した際、サイドシルインナ72を車室側から支えて衝突荷重で断面変形するのを抑制してジャッキアップ補強プレート13と変形部材24に衝突荷重を集中させると共に、サイドシル70に付与された衝突荷重を補強フレーム12に逃がして分散させる機能を有する。
[0241]
 なお、ナローオフセット衝突とは、対向車等の衝突物が、車両C1の前端の右側又は左側にずれて、衝突物のフロントサイドフレーム等の硬い構造物が、車体1のサイドシル70の前端部70aと僅かにすれ違うような状態で衝突することをいう。
[0242]
 ジャッキアップ補強プレート13の車外側の側面には、縦断面(垂直断面)ハット形状からなる変形部材24が一体的に接合される。この変形部材24は、例えば、縦断面が略ハット形状に折り曲げて形成された折り曲げプレートからなり、前後方向に延在する一定断面の閉断面が形成される。
[0243]
 サイドシル70の車室側の側面には、それぞれ車幅方向に向けて配置された補強フレーム12及びダッシュボードクロスメンバ16が接合されて、フロアパネル18の左右端部を保持している。
[0244]
 図28及び図29に示されるように、補強フレーム12は、衝突物が車両C1にナローオフセット衝突した際、サイドシル70が変形して内倒れしないように、サイドシル70の車室内側の側面を保持して衝突荷重を受け止めるための補強用のフレーム部材である。この補強フレーム12は、縦断面視して略ハット形状にプレス等で折曲形成された鋼板からなる。補強フレーム12の一端側は、バルクヘッド26が内設されたサイドシル70の設置部位の車室内側の外面に接合され、その接合部位から車幅方向の内側且つ後方に傾斜して設けられる。補強フレーム12の他端側は、フロアフレーム17に接合される。
[0245]
 図28に示されるように、サイドシル70のサイドシルインナ72の前端には、ダッシュボードクロスメンバ16が接合される。このダッシュボードクロスメンバ16は、左右両側のサイドシル70、70間に車幅方向に沿って横架された横架部材であり、下側が開口し、縦断面が略ハット形状の剛性を有する鋼板等の金属製厚板材によって形成される。
[0246]
 このダッシュボードクロスメンバ16には、前後下端部及び左右端部に、接合用及び補強用のフランジ部16aが形成されている。具体的には、左右両端部に形成されたフランジ部16aがサイドシル70の内側の側面に接合され、下面のフランジ部16bがダッシュボードロア62に接合されて、車幅方向に沿って延設されている。
[0247]
 一対のサイドシル70、70のサイドシルインナ72、72の前端の間にダッシュボードクロスメンバ16が結合されることにより、ナローオフセット衝突時における前輪の車
室内側への進入量を減少させることができる。
[0248]
 図28に示されるように、フロアクロスメンバ19は、フロアパネル18の上方に設けられ、左右のサイドシル70、70とトンネル部1cとの間にそれぞれ架設された縦断面が略ハット形状の鋼板からなるフレーム部材である。フロアクロスメンバ19の車幅方向外側には、図29に示すように、接合用のフランジ部19a,19bが形成されている。具体的には、フランジ部19aは、フロアクロスメンバ19の上面外端から上方へ延出形成され、変形抑制部材22に接合されている。一方、フランジ部19bは、フロアクロスメンバ19の前後面外端から前方又は後方へ延出形成され(図29では後方のフランジ部19bのみ図示)、サイドシルインナ72の平坦面部73d2に接合されている。図28に示すように、各フロアクロスメンバ19の車幅方向の略中央部下面には、それぞれフロアフレーム17が直交するように配置されている。
[0249]
 フロアフレーム17は、車体フロアのフロアパネル18を保持する縦断面が略ハット形状のフレーム部材であり、フロアパネル18のフロア面の上下両面の同じ位置にそれぞれ接合されている。フロアフレーム17は、前端がフロントサイドフレーム3の後部に連結され、車体中央側が補強フレーム12の車内側接合部及びフロアクロスメンバ19の下面に連結され、後端は外側に折れ曲がり車体外側が左右のサイドシル70の車室側の側面に接合されている。
[0250]
 図28に示されるように、フロアパネル18は、車室Rの床面を構成する板状の金属製部材であり、サイドシル70とトンネル部1cとの間に架設されている。
[0251]
 本実施形態に係る車両構造が適用された車両C1は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
[0252]
 本実施形態によれば、サイドシルインナ72は、アッパ部材73とロア部材74とに上下で二分割されて構成され、ロア部材74は、フロアパネル18とサイドシルアウタ71との間に略水平に配置されることにより、アッパ部材73をサイドシルアウタ71の高さと略同等の高さに形成して、前後方向に沿う複数の稜線部73g,73gをアッパ部材73に形成することができる。これにより、側面衝突時の荷重に対するアッパ部材73の曲げ剛性(曲げ耐力)及び前面衝突時の圧潰荷重を向上させることができる。
 また、本実施形態によれば、ロア部材74は、フロアパネル18と高強度鋼板から成るサイドシルアウタ71との間に略水平に配置されることにより、側面衝突時の荷重を逃がすことなくフロアパネル18に伝達できるので、側面衝突時の荷重に対するロア部材74の曲げ剛性を向上させることができる。
 したがって、本実施形態によれば、従来技術(例えば、特許文献1の発明)に比較して、サイドシルインナ72の曲げ剛性及び圧潰荷重を向上させることができる。
[0253]
 また、本実施形態によれば、前記構成を具備することにより、サイドシルインナ72の曲げ剛性及び圧潰荷重を向上させることができるので、アッパ部材73及びロア部材74の板厚を最小限に抑えることができると共に、従来技術でサイドシルの内部に配置されていた補強部材を省略できることから、車体1の軽量化を図ることができる。
[0254]
 また、本実施形態によれば、アッパ部材73とロア部材74との間に、フロアパネル18の車幅方向側部が挟み込まれて上下に挟持され、アッパ部材73、フロアパネル18、及びロア部材74によって積層された3枚の部材が、スポット溶接で接合されることで、サイドシルインナ72とフロアパネル18との結合力が高まるので、側面衝突時のスポット剥がれに対するタフネス性を向上させることができる。すなわち、側面衝突時におけるせん断荷重の耐力を高めてサイドシルインナ72の車室内側への変形を抑制することがで
きる。
[0255]
 また、本実施形態によれば、フロアパネル18とアッパ部材73とロア部材74とのうち、スポット溶接により互いに接合される部位は、水平状に形成されることにより、かかる3部材は上下に重ね合わされてスポット溶接で接合されるので、スポット溶接の溶接方向(3部材の積層方向)と側面衝突時の荷重入力方向とを略直交するように設定できる。これにより、側面衝突時において、剪断方向の荷重がスポット溶接に加わっても、スポット溶接が剥がれにくくなり、側面衝突時のスポット剥がれに対するタフネス性を向上させることができる。すなわち、側面衝突時におけるせん断荷重の耐力を高めてサイドシルインナ72の車室内側への変形を抑制することができる。
[0256]
 また、本実施形態によれば、サイドシルインナ72には、前後方向に沿って延在する変形抑制部材22が設けられることにより、側面衝突時の荷重に対するサイドシルインナ72の剛性が高まるので、サイドシルインナ72の車室内側への変形を抑制し、ひいてはフロアパネル18の変形を抑制できる。
[0257]
 また、本実施形態によれば、アッパ部材73は、前フランジ部73fを介してダッシュボードロア62の後面にスポット溶接により接合されるので、アッパ部材73とダッシュボードロア62との接合強度を高めることができる。更に、ナローオフセット衝突時に後退する前輪を、閉断面Kを有するサイドシル70で支持することが可能となり、フロアパネル18の変形を抑制できる。
[0258]
 また、本実施形態によれば、アッパ部材73の上壁部73aは、サイドシルアウタ71の上壁部71aよりも低い位置に配置されるので、上壁部73aの上方にハーネス配置用のスペースを確保できる。
[0259]
 また、本実施形態によれば、アッパ部材73は、上壁部73aの車幅方向内側から車内側かつ下方へ延出する傾斜壁部73cを有するので、アッパ部材73の体積を減少させ、室内空間の拡大を図ることができる。
[0260]
 また、本実施形態によれば、サイドシルインナ72を二部材で構成し、かつアッパ部材73及びロア部材74の板厚が異なる構成を採用することによって、ハーネス配置用のスペースを確保し、かつアッパ部材73の体積を減少させる構成を備えた場合であっても、サイドシル70の中立軸Z1を、断面中心Xに一致するように調整することができる。
[0261]
 また、本実施形態によれば、図32に示すように、ロア部材74にシール材15を塗布し、かつフロアパネル18にアッパ部材73を仮接合した後、ロア部材74の内フランジ部74cにフロアパネル18を上方から載置できる。これにより、シール材15とサイドシルインナ72とが擦れ合うのを回避してシール材15の磨耗を抑制でき、シール不良を防止できる。なお、フロアパネル18側にシール材15を塗布してもよい。
[0262]
 また、本実施形態によれば、変形抑制部材22のうち凹み部73d1に配置される部分は、最も内側に位置する内側面22aを有しており、かかる内側面22aは、平坦面部73d2と面一になるように設定されているので、変形抑制部材22を設けた場合であっても、フロアクロスメンバ19(フランジ部19b)と変形抑制部材22との干渉を回避して、フロアクロスメンバ19を上方から好適に設置できる。
[0263]
 また、本実施形態によれば、アッパ部材73は、水平面73a1及び鉛直面に形成された底面73d3を有するので、アッパ部材73に対する変形抑制部材22の位置決めを容易に行うことができる。
[0264]
 また、本実施形態によれば、ロア部材74の水平状の内フランジ部74cに、フロアパネル18を上方から載置するので、ロア部材74に対するフロアパネル18の位置決めを容易に行うことができる。
[0265]
 また、本実施形態によれば、アッパ部材73にセンタピラーインナ78を接合すると、フロアパネル18、アッパ部材73、及びセンタピラーインナ78を一体に連結してからロア部材74に組み付けることができるので、フロアパネル18等の設置作業を簡便且つ短時間で行うことができる。
[0266]
 以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
[0267]
 本実施形態のサイドシル70は、鋼製部材で形成されているが、本発明はこれに限定されることなく、例えば、アルミ板等の他の金属製の板材をプレス成形して形成されてもよい。
[0268]
 本実施形態のアッパ部材73は、傾斜壁部73c、凹み部73d1、及び溝部73d5を具備することによって、複数の稜線部73g,73gを有しているが、本発明はこれに限定されることなく、例えば、突条部(ビード)等の他の方法によって複数の稜線部73g,73gを有するように構成してもよい。
[0269]
 本実施形態のアッパ部材73及びロア部材74は、異なる板厚かつ同一の材質で形成されたが、本発明はこれに限定されることなく、例えば、同一の板厚かつ異なる材質で形成されてもよいし、異なる板厚及び材質で形成されてもよい。
[0270]
 本実施形態では、フロアパネル18とアッパ部材73とロア部材74とのうち、スポット溶接により互いに接合される部位を水平状に形成したが、本発明はこれに限定されることなく、緩やかに傾斜させて略水平状に形成してもよい。

符号の説明

[0271]
 1   車体
 1b  車体下部
 3   フロントサイドフレーム
 6   隔壁
 62  ダッシュボードロア
 7   フロントピラ
 10  サイドシル
 12  補強フレーム
 16  ダッシュボードクロスメンバ
 30  ガセット
 C1  車両
 A   潰し領域
 S   潰し空間
 W   ホイール

請求の範囲

[請求項1]
 車室と動力搭載室とを仕切るとともに前記車室とホイールハウスとを仕切るダッシュボードロアと、
 前記ダッシュボードロアの車幅方向端部に立設されたフロントピラと、
 前記ダッシュボードロアと前記フロントピラとの間に架設されたガセットと、を備える車体下部構造であって、
 前記ガセットは、一端側が前記ダッシュボードロアに接合されるとともに、前記フロントピラに近づくにつれて前記ダッシュボードロアから離間し、他端側が前記フロントピラに接合され、
 前記ダッシュボードロアと前記フロントピラと前記ガセットとに囲まれた部分に、平面視で略三角形状の潰し空間が形成されていることを特徴とする車体下部構造。
[請求項2]
 前記動力搭載室には、車両の前後方向に延設されたフロントサイドフレームが配置されており、
 前記ガセットの一端側は、前記ダッシュボードロアのうち、前記フロントサイドフレームの後端部と前記ダッシュボードロアとの接合部に対応する位置に固定されており、
 前記ダッシュボードロアと前記ガセットとで形成された前記潰し空間の頂点部は、前記ホイールハウス内に設置されたホイールの内側後端エッジがナローオフセット衝突時に前記ダッシュボードロアに衝突する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車体下部構造。
[請求項3]
 前記ガセットは、前記ダッシュボードロアから離間している部位よりも前記ダッシュボードロアに接合している部位の方が曲げ変形に対する剛性が大きいことを特徴とする請求項1に記載の車体下部構造。
[請求項4]
 前記ダッシュボードロアの下端側には、車幅方向に延設されたダッシュボードクロスメンバが結合されており、
 前記ホイールハウス内に設置されたホイールの内側後端エッジは、ナローオフセット衝突時に前記ダッシュボードロアに衝突して、前記ガセットと前記ダッシュボードクロスメンバに支持されることを特徴とする請求項1に記載の車体下部構造。
[請求項5]
 車両前後方向に延設され、前端部が前記ダッシュボードロアに接合されたフロアフレームと、
 前記フロアフレームの車幅方向外側で前後方向に延設され、前端部が前記フロントピラの下端部及び前記ダッシュボードロアの車幅方向端部に接合されたサイドシルと、
 前記フロアフレームと前記サイドシルとの間に架設され、前記サイドシルに近づくほど前側に位置するように傾斜して配置された補強フレームと、をさらに備え、
 前記サイドシルは、前記補強フレームとの結合部よりも前方部分に潰し領域を有することを特徴とする請求項1に記載の車体下部構造。
[請求項6]
 車体の車幅方向外側の端部に沿って車体前後方向に延設された左右のサイドシルを備えた請求項1に記載の車体下部構造において、
 前記左右のサイドシルの前端に結合して車幅方向に沿って延在するダッシュボードクロスメンバと、
 フロントサイドフレームの後端に連結され、前記左右のサイドシルの前端に結合して車幅方向に沿って延在するアウトリガと、
 を備え、
 ホイールハウス部を有するダッシュボードロアは、前記ダッシュボードクロスメンバと前記アウトリガとの間で挟持して接合されることを特徴とする車体下部構造。
[請求項7]
 前記サイドシルは、サイドシルインナとサイドシルアウタとを有し、
 フロントピラの下部において、前記サイドシルインナと前記サイドシルアウタとの間にジャッキアップ補強プレートを挟み、前記アウトリガを前記ダッシュボードクロスメンバよりも外側に延長し、前記サイドシルインナ、前記ジャッキアップ補強プレートを挟んで前記サイドシルアウタと接合することを特徴とする請求項6に記載の車体下部構造。
[請求項8]
 前記ダッシュボードクロスメンバは、前記アウトリガ及び横方向フレームに沿って結合されることを特徴とする請求項6に記載の車体下部構造。
[請求項9]
 前記ダッシュボードクロスメンバは、前記フロントサイドフレームの後端とフロアフレームとのラップ部分よりも前方位置に配置されることを特徴とする請求項6に記載の車体下部構造。
[請求項10]
 ホイールの内側後端エッジを、上側のガセット部材と下側の前記ダッシュボードクロスメンバとの上下2部材で支持することを特徴とする請求項6に記載の車体下部構造。
[請求項11]
 前記ダッシュボードロアには、カウル部とトンネル部とを上下方向に沿って結ぶ縦メンバが結合されることを特徴とする請求項6に記載の車体下部構造。
[請求項12]
 前記ダッシュボードクロスメンバの後方には、サイドシルとフロアフレームとを結合する補強フレームが設けられることを特徴とする請求項16に記載の車体下部構造。
[請求項13]
 車体の車幅方向外側の端部に沿って車体前後方向に延設されたサイドシルを備えた請求項1に記載の車体下部構造において、
 前記サイドシルは、当該サイドシルの前端部に設けられ、車両が衝突した際に、衝突荷重を受けて潰れることで前記衝突荷重を吸収する潰し領域と、
 前記潰し領域の後方の前記サイドシル内に配置されたバルクヘッドと、を備え、
 前記サイドシルの車室側の側面には、一端を、前記サイドシル内の前記バルクヘッドの設置箇所の車室内側の外面に結合して車幅方向の内側且つ後方に傾斜して設け、他端を、フロアフレームに結合した補強フレームを有し、
 前記潰し領域には、車体上下方向の荷重に対して強く、車体前後方向の荷重に対して弱いジャッキアップ補強プレートが設けられ、
 前記ジャッキアップ補強プレートには、前輪の中心と略同一の高さに位置し車体前後方向に延在する変形部材が一体に設けられることを特徴とする車体下部構造。
[請求項14]
 前記サイドシルは、車体内側に配置されたサイドシルインナを有し、
 前記サイドシルインナには、前記変形部材の変形を抑制する変形抑制部材が設けられることを特徴とする請求項13に記載の車体下部構造。
[請求項15]
 前記サイドシルの前端の前記サイドシルインナには、ダッシュボードクロスメンバが結合されることを特徴とする請求項14に記載の車体下部構造。
[請求項16]
 前記ジャッキアップ補強プレートの側面に前記変形部材である折り曲げプレートを結合し、前記ジャッキアップ補強プレートと前記折り曲げプレートとの間で車体前後方向に延在し一定断面からなる閉断面を形成し、
 前記ジャッキアップ補強プレートの上端をフロントピラインナの下端に結合し、前記ジャッキアップ補強プレートの下端を前記サイドシルインナの下フランジに結合することを特徴とする請求項14に記載の車体下部構造。
[請求項17]
 前記変形部材は、ハット断面であることを特徴とする請求項16に記載の車体下部構造。
[請求項18]
 車体の床面を構成するフロアパネルと、
 前記フロアパネルの車幅方向側部に接合され、前後方向に沿って延在する閉断面のサイドシルと、を備えた請求項1に記載の車体下部構造であって、
 前記サイドシルは、車外側に配置されるサイドシルアウタと、車内側に配置され、前記サイドシルアウタに接合されるサイドシルインナと、を有し、
 前記サイドシルインナは、上下で二分割されて構成され、上側に配置されるアッパ部材と、下側に配置されるロア部材と、を有し、
 前記アッパ部材は、前記サイドシルアウタの高さと略同等の高さに形成され、前後方向に沿って形成された複数の稜線部を有し、
 前記ロア部材は、前記アッパ部材とは異なる板厚もしくは材質で形成され、前記フロアパネルと前記サイドシルアウタとの間に略水平に配置されることを特徴とする車体下部構造。
[請求項19]
 前記アッパ部材は、前記サイドシルアウタの上壁部よりも低い位置に配置され、車幅方向に所定幅を有するインナ上壁部と、前記インナ上壁部の車幅方向内側から車内側かつ下方へ延出する傾斜壁部と、を有することを特徴とする請求項18に記載の車体下部構造。
[請求項20]
 前記フロアパネルの上方に設けられ、車幅方向に沿って延在するフロアクロスメンバを更に備え、
 前記アッパ部材は、前記傾斜壁部の車幅方向内側から下方へ延出する縦壁部を更に有し、
 前記縦壁部は、前記フロアクロスメンバの一端が接合される平坦面部と、前記傾斜壁部の車幅方向内側に連続し、前記平坦面部よりも車幅方向外側に位置する底面を具備する凹み部と、を有し、
 前記サイドシルには、前記インナ上壁部、前記傾斜壁部、及び前記凹み部に跨り、前後方向に沿って延在する変形抑制部材が設けられることを特徴とする請求項19に記載の車体下部構造。
[請求項21]
 前記フロアパネルの車幅方向側部は、前記アッパ部材と前記ロア部材との間に挟持されており、
 前記フロアパネルと前記アッパ部材と前記ロア部材とは、複数のスポット溶接部により接合されており、
 前記フロアパネルと前記ロア部材との間には、シール材が配置されることを特徴とする請求項18に記載の車体下部構造。
[請求項22]
 前記フロアパネルと前記アッパ部材と前記ロア部材とのうち、前記スポット溶接部により互いに接合される部位は、水平状に形成されることを特徴とする請求項21に記載の車体下部構造。
[請求項23]
 エンジンルームと車室とを仕切るダッシュボードロアを更に備え、
 前記アッパ部材の前端には、前後方向に対し直交する方向に延出するフランジ部が形成されており、
 前記フランジ部は、前記ダッシュボードロアの後面にスポット溶接により接合されることを特徴とする請求項18に記載の車体下部構造。
[請求項24]
 前記インナ上壁部は、車幅方向と平行な水平面を有し、
 前記凹み部の前記底面は、上下方向と平行な鉛直面を有することを特徴とする請求項20に記載の車体下部構造。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]

[ 図 25]

[ 図 26]

[ 図 27]

[ 図 28]

[ 図 29]

[ 図 30]

[ 図 31]

[ 図 32]

[ 図 33]

[ 図 34]