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1. WO2021039664 - 熱対流生成システム、流路チップ、及び熱対流生成装置

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明 細 書

発明の名称 熱対流生成システム、流路チップ、及び熱対流生成装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017  

発明の効果

0018  

図面の簡単な説明

0019  

発明を実施するための形態

0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137  

実施例

0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164  

産業上の利用可能性

0165  

符号の説明

0166  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24  

明 細 書

発明の名称 : 熱対流生成システム、流路チップ、及び熱対流生成装置

技術分野

[0001]
 本発明は、熱対流生成システム、流路チップ、及び熱対流生成装置に関する。

背景技術

[0002]
 遺伝子増幅方法として、ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction、以下「PCR」と略す。)が知られている。PCRは、極めて微量のDNAサンプルから特定のDNA断片を短時間に大量に増幅できる方法である。
[0003]
 PCRを促進する方法として、熱対流PCRが提案されている。本発明者は過去に、熱対流PCRに用いる熱対流生成用チップを提案した(特許文献1、2)。特許文献1、2に開示されている熱対流生成用チップは、円形状の環状流路を有する。環状流路に収容された液体に遠心力を付与すると同時に、該液体を加熱することにより、該液体を熱対流させることができる。
[0004]
 ところで、医療現場においては薬剤耐性菌への対応が課題となっている。薬剤耐性菌の特定には遺伝子検出が有用であるが、薬剤耐性菌は多くのターゲット遺伝子を含むため、多数のターゲット遺伝子を一度に検出可能なデバイスが求められている。熱対流PCRによって多数のターゲット遺伝子を一度に検出するには、環状流路の数を増やす必要がある。換言すると、環状流路の集積度を高める必要がある。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2014-39498号公報
特許文献2 : 国際公開第2015/170753号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 しかしながら、環状流路の集積度を高めると、複数の環状流路の間で熱対流の方向にバラつきが生じやすくなる。熱対流の方向にバラつきが生じると、ターゲット遺伝子の検出精度が低下するおそれがある。熱対流の方向にバラつきが生じるのは、例えば、隣り合う環状流路の間で熱干渉の影響が大きくなるためである。
[0007]
 本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の環状流路の間で熱対流の方向が一定方向に揃い易い熱対流生成システム、流路チップ、及び熱対流生成装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明に係る熱対流生成システムの一局面は、流路チップと、熱対流生成装置とを備える。前記流路チップは、複数の環状流路を有する。前記熱対流生成装置は、中心軸を有し、前記中心軸を中心に前記流路チップを周回させる。前記熱対流生成装置は、熱源を有する。前記熱源は、前記複数の環状流路をそれぞれ加熱して、前記複数の環状流路の各々に収容された液体を熱対流させる。前記複数の環状流路はそれぞれ、長軸と、第1直線部と、第2直線部とを有する。前記第1直線部は、前記長軸の一方側に配置されて、前記長軸に沿って延伸する。前記第2直線部は、前記長軸の他方側に配置されて、前記長軸に沿って延伸する。前記第1直線部及び前記第2直線部は、互いに形状が異なる。
[0009]
 ある実施形態において、前記複数の環状流路はそれぞれ、前記中心軸から遠い側の端部である遠端部を含む。前記熱源は、加熱部を有する。前記加熱部は、前記複数の環状流路のそれぞれの前記遠端部に対向し、前記遠端部をそれぞれ加熱する。前記加熱部は、前記中心軸に近い側の端面である内側面を有する。前記内側面は、複数の凸部を含む。前記複数の凸部は、前記複数の環状流路のそれぞれの前記第1直線部と対向し、前記第1直線部をそれぞれ加熱する。
[0010]
 本発明に係る熱対流生成システムの他の局面は、流路チップと、熱対流生成装置とを備える。前記流路チップは、複数の環状流路を有する。前記熱対流生成装置は、中心軸を有し、前記中心軸を中心に前記流路チップを周回させる。前記熱対流生成装置は、熱源を有する。前記熱源は、前記複数の環状流路をそれぞれ加熱して、前記複数の環状流路の各々に収容された液体を熱対流させる。前記複数の環状流路はそれぞれ、長軸と、第1直線部と、第2直線部とを有する。前記第1直線部は、前記長軸の一方側に配置されて、前記長軸に沿って延伸する。前記第2直線部は、前記長軸の他方側に配置されて、前記長軸に沿って延伸する。前記複数の環状流路はそれぞれ、前記中心軸から遠い側の端部である遠端部を含む。前記熱源は、加熱部を有する。前記加熱部は、前記複数の環状流路のそれぞれの前記遠端部に対向し、前記遠端部をそれぞれ加熱する。前記加熱部は、前記中心軸に近い側の端面である内側面を有する。前記内側面は、複数の凸部を含む。前記複数の凸部は、前記複数の環状流路のそれぞれの前記第1直線部と対向し、前記第1直線部をそれぞれ加熱する。
[0011]
 ある実施形態において、前記遠端部は、第1端部である。前記複数の環状流路はそれぞれ、前記中心軸に近い側の端部である第2端部を更に含む。前記加熱部は、第1加熱部である。前記第1加熱部は、第1温度で前記第1端部をそれぞれ加熱する。前記熱源は、第2加熱部を更に有する。前記第2加熱部は、前記複数の環状流路のそれぞれの前記第2端部に対向し、前記第1温度よりも低い第2温度で前記第2端部をそれぞれ加熱する。
[0012]
 ある実施形態において、前記第2加熱部は、前記第1加熱部から遠ざかる方向に凹む複数の凹部を有する。前記複数の凹部は、前記複数の凸部とそれぞれ対向する。
[0013]
 ある実施形態において、前記第1直線部は、前記第2直線部と比べて幅が広い。
[0014]
 ある実施形態において、前記複数の環状流路のそれぞれの前記長軸は、前記中心軸を中心とする径方向に沿って延びる。
[0015]
 ある実施形態において、前記第1直線部及び前記第2直線部は断面積が等しい。
[0016]
 本発明に係る流路チップは、複数の環状流路を有する。前記複数の環状流路はそれぞれ、長軸と、第1直線部と、第2直線部とを有する。前記第1直線部は、前記長軸の一方側に配置されて、前記長軸に沿って延伸する。前記第2直線部は、前記長軸の他方側に配置されて、前記長軸に沿って延伸する。前記第1直線部及び前記第2直線部は、互いに形状が異なる。
[0017]
 本発明に係る熱対流生成装置は、中心軸を有し、前記中心軸を中心に、複数の環状流路を有する流路チップを周回させる。当熱対流生成装置は、熱源を備える。前記熱源は、前記複数の環状流路をそれぞれ加熱して、前記複数の環状流路の各々に収容された液体を熱対流させる。前記複数の環状流路はそれぞれ、長軸と、第1直線部と、第2直線部とを有する。前記第1直線部は、前記長軸の一方側に配置されて、前記長軸に沿って延伸する。前記第2直線部は、前記長軸の他方側に配置されて、前記長軸に沿って延伸する。前記複数の環状流路はそれぞれ、前記中心軸から遠い側の端部である遠端部を含む。前記熱源は、加熱部を有する。前記加熱部は、前記複数の環状流路のそれぞれの前記遠端部に対向し、前記遠端部をそれぞれ加熱する。前記加熱部は、前記中心軸に近い側の端面である内側面を有する。前記内側面は、複数の凸部を含む。前記複数の凸部は、前記複数の環状流路のそれぞれの前記第1直線部と対向し、前記第1直線部をそれぞれ加熱する。

発明の効果

[0018]
 本発明に係る熱対流生成システム、流路チップ、及び熱対流生成装置によれば、複数の環状流路の間で熱対流の方向が一定方向に揃い易くなる。

図面の簡単な説明

[0019]
[図1] 本発明の実施形態に係る熱対流生成システムを示す図である。
[図2] 本発明の実施形態に係る熱源を示す平面図である。
[図3] 図2の一部を拡大して示す図である。
[図4] 本発明の実施形態に係る熱対流生成システムを示す図である。
[図5] 本発明の実施形態に係るチップ本体を示す平面図である。
[図6] (a)は、本発明の実施形態に係る環状流路を示す平面図である。(b)は、本発明の実施形態に係る環状流路を示す斜視図である。(c)は、本発明の実施形態に係る環状流路を示す正面図である。
[図7] 本発明の実施形態に係る熱源及びチップ本体を示す平面図である。
[図8] 図7の一部を拡大して示す図である。
[図9] (a)は、本発明の実施形態に係るチップ取付治具を示す斜視図である。(b)は、本発明の実施形態に係る熱対流生成システムを示す斜視図である。
[図10] (a)及び(b)は、本発明の実施形態に係るチップ押さえ部材を示す斜視図である。
[図11] (a)は、本発明の実施形態に係る熱対流生成システムを示す側面図である。(b)は、本発明の実施形態に係る熱対流生成システムを示す平面図である。
[図12] (a)は、本発明の実施形態に係る環状流路の変形例を示す平面図である。(b)は、本発明の実施形態に係る環状流路の変形例を示す正面図である。
[図13] (a)本発明の実施形態に係る熱源の第1変形例を示す平面図である。(b)本発明の実施形態に係る熱源の第2変形例を示す平面図である。
[図14] 本発明の実施例1に係る温度分布及び熱対流のシミュレーション結果を示す図である。
[図15] 本発明の実施例1に係る温度分布及び熱対流のシミュレーション結果を示す図である。
[図16] 本発明の実施例1に係る相対重力加速度とPCRサイクル時間との関係を示すグラフである。
[図17] 本発明の実施例1に係る蛍光強度差の測定結果を示す図である。
[図18] 本発明の実施例1に係る蛍光の観察結果を示す図である。
[図19] (a)は、本発明の実施例2~4に係る第1加熱部の凸部の高さ、及び第2加熱部の凹部の深さを示す図である。(b)は、本発明の実施例2~4に係る相対重力加速度と熱対流速度との関係を示すグラフである。
[図20] (a)は、本発明の実施例2~4に係る第1加熱部の凸部の高さ、及び第2加熱部の凹部の深さを示す図である。(b)は、本発明の実施例2~4に係る相対重力加速度と熱対流速度との関係を示すグラフである。
[図21] (a)は、本発明の実施例2~4に係る第1加熱部の凸部の高さ、及び第2加熱部の凹部の深さを示す図である。(b)は、本発明の実施例2~4に係る相対重力加速度と熱対流速度との関係を示すグラフである。
[図22] (a)は、本発明の実施例5に係る熱源及び環状流路を示す図である。(b)は、本発明の実施例6に係る熱源及び環状流路を示す図である。(c)は、本発明の実施例7に係る熱源及び環状流路を示す図である。
[図23] 本発明の実施例5~7に係る環状流路の間隔と熱対流速度との関係を示すグラフである。
[図24] (a)及び(b)は、実施例7に係る温度分布及び熱対流のシミュレーション結果を示す図である。(c)は、比較例2に係る温度分布及び熱対流のシミュレーション結果を示す図である。

発明を実施するための形態

[0020]
 以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合がある。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
[0021]
 まず、図1を参照して本実施形態の熱対流生成システム100を説明する。図1は、本実施形態に係る熱対流生成システム100を示す図である。図1に示すように、熱対流生成システム100は、熱対流生成装置200を備える。
[0022]
 熱対流生成装置200は、中心軸AXを有する。熱対流生成装置200は、図5を参照して後述する複数の環状流路420を、中心軸AXを中心に周回させる。
[0023]
 熱対流生成装置200は、基台201と、駆動部202と、2つの熱源300とを備える。なお、以下では、理解を容易にするために、基台201に対して熱源300が配置される側を上側と規定し、その反対側を下側と規定して、本実施形態を説明する。ここで、上下方向は、鉛直方向に平行である。但し、これらの向きは、本発明に係る熱対流生成システム、流路チップ、及び熱対流生成装置の使用時の向きを限定するものではない。
[0024]
 基台201は、上下方向に直交する面方向(水平方向)に沿って配置される。基台201は、2つの熱源300を支持する。詳しくは、2つの熱源300は、基台201の上面に固定される。本実施形態において、基台201は円盤状である。
[0025]
 駆動部202は、中心軸AXを中心に、基台201を所定の回転方向RCへ回転させる。中心軸AXは、上下方向に平行である。本実施形態において、回転方向RCは反時計回り方向である。駆動部202は、例えば、DCモーターのようなモーターを有する。駆動部202がDCモーターを有することにより、DCモーターに供給する電圧を調整して基台201の回転速度を制御することができる。
[0026]
 本実施形態において、中心軸AXは基台201の中心を通過する。より具体的には、基台201は、センターホールCHを有する。センターホールCHは、基台201の中心に設けられる。駆動部202は回転軸を有し、駆動部202の回転軸がセンターホールCHに挿通された状態で固定される。駆動部202の回転軸は、例えば、モーターの回転軸であり得る。
[0027]
 2つの熱源300は、基台201が回転することにより、中心軸AXを中心に、中心軸AXの周りを周回する。2つの熱源300は、中心軸AXを中心とする周方向CDにおいて異なる位置に配置される。なお、以下の説明において、中心軸AXを中心とする周方向CDを、単に「周方向CD」と記載する場合がある。同様に、中心軸AXを中心とする径方向RDを、単に「径方向RD」と記載する場合がある。
[0028]
 本実施形態において、2つの熱源300は中心軸AXを中心とする同心円上に配置される。より詳しくは、2つの熱源300は、中心軸AXを挟んで対向する位置に配置される。換言すると、2つの熱源300は、中心軸AXを中心として180°の角度間隔をおいて配置される。
[0029]
 2つの熱源300はそれぞれ、複数の環状流路420(図5)に収容された液体が熱対流するように、複数の環状流路420(図5)をそれぞれ加熱する。本実施形態の熱対流生成システム100は、PCR及び逆転写PCRに使用される。2つの熱源300はそれぞれ、第1加熱部310と、第2加熱部320とを有する。
[0030]
 第1加熱部310は、PCR実行時に第1温度の熱を発生する。第2加熱部320は、PCR実行時に、第1温度よりも低温の第2温度の熱を発生する。より具体的には、第1加熱部310の加熱温度は、PCRの加熱ステップを実行するための温度に設定される。換言すると、第1加熱部310は、PCRの加熱場を形成する。第2加熱部320の加熱温度は、PCRの冷却ステップを実行するための温度に設定される。換言すると、第2加熱部320は、PCRの冷却場を形成する。
[0031]
 第1加熱部310の加熱温度(第1温度)は、例えば、約95℃である。第2加熱部320の加熱温度(第2温度)は、例えば、約60℃である。なお、2つの第1加熱部310は個別に制御され得る。同様に、2つの第2加熱部320は個別に制御され得る。
[0032]
 本実施形態において、第1加熱部310は、略円弧状である。第2加熱部320も同様に、略円弧状である。詳しくは、第1加熱部310及び第2加熱部320は周方向CDに沿って延びる。
[0033]
 第1加熱部310及び第2加熱部320は径方向RDにおいて互いに対向する。詳しくは、第1加熱部310は、第2加熱部320に対して径方向外側に配置される。
[0034]
 本実施形態において、2つの第1加熱部310は、中心軸AXを中心とする同心円上に配置される。2つの第2加熱部320も同様に、中心軸AXを中心とする同心円上に配置される。
[0035]
 続いて、図1を参照して基台201を更に説明する。図1に示すように、基台201は、2つの支持部203と、2つの位置決め部204とを有する。2つの支持部203はそれぞれ、基台201の上面から突出する。2つの位置決め部204も同様に、基台201の上面からそれぞれ突出する。
[0036]
 本実施形態において、各支持部203は略直方体状であり、各位置決め部204は円柱状である。また、2つの支持部203及び2つの位置決め部204は、基台201の周縁部に設けられる。より具体的には、2つの支持部203及び2つの位置決め部204は、中心軸AXを中心とする同心円上に配置される。
[0037]
 詳しくは、2つの支持部203は、中心軸AXを挟んで対向する位置に配置される。換言すると、2つの支持部203は、中心軸AXを中心として180°の角度間隔をおいて配置される。同様に、2つの位置決め部204は、中心軸AXを挟んで対向する位置に配置される。換言すると、2つの位置決め部204は、中心軸AXを中心として180°の角度間隔をおいて配置される。
[0038]
 2つの支持部203は、図9(a)及び図9(b)を参照して説明するチップ取付治具500を支持する。2つの位置決め部204は、図9(a)及び図9(b)を参照して説明するチップ取付治具500を位置決めする。更に、2つの位置決め部204は、図10(a)及び図10(b)を参照して説明するチップ押さえ部材600を位置決めする。支持部203及び位置決め部204については、図9(a)、図9(b)、図10(a)、及び図10(b)を参照して更に後述する。
[0039]
 なお、支持部203は、基台201と一体であってもよく、別体であってもよい。同様に、位置決め部204は、基台201と一体であってもよく、別体であってもよい。
[0040]
 続いて、図2を参照して熱源300を更に説明する。図2は、本実施形態に係る熱源300を示す平面図である。図2に示すように、第1加熱部310は、内側面311を有する。第2加熱部320は、外側面321を有する。
[0041]
 第1加熱部310の内側面311は、中心軸AXに近い側の端面である。換言すると、第1加熱部310の内側面311は、第1加熱部310の径方向内側の面である。第1加熱部310の内側面311は、径方向RDにおいて第2加熱部320の外側面321と対向する。本実施形態において、第1加熱部310の内側面311は、周方向CDに沿って延びる。
[0042]
 第1加熱部310の内側面311は、複数の凸部312を含む。複数の凸部312はそれぞれ、第2加熱部320に向けて突出する。本実施形態において、複数の凸部312はそれぞれ、略径方向RDに沿って中心軸AX側に突出する。
[0043]
 第2加熱部320の外側面321は、中心軸AXから遠い側の端面である。換言すると、第2加熱部320の外側面321は、第2加熱部320の径方向外側の面である。本実施形態において、第2加熱部320の外側面321は、周方向CDに沿って延びる。
[0044]
 第2加熱部320の外側面321は、複数の凹部322を含む。複数の凹部322はそれぞれ、第1加熱部310から遠ざかる方向に凹む。複数の凹部322は、第1加熱部310の複数の凸部312とそれぞれ対向する。本実施形態において、複数の凹部322はそれぞれ、略径方向RDに沿って、中心軸AX側に凹む。
[0045]
 続いて、図2及び図3を参照して熱源300を更に説明する。図3は、図2の一部を拡大して示す図である。詳しくは、図3は、熱源300の一部を拡大して示す。
[0046]
 図3に示すように、第1加熱部310の内側面311は、隣り合う凸部312の間に凹部313を含む。換言すると、第1加熱部310の内側面311は、複数の凹部313を含む。同様に、第2加熱部320の外側面321は、隣り合う凹部322の間に凸部323を含む。換言すると、第2加熱部320の外側面321は、複数の凸部323を含む。第2加熱部320の複数の凸部323は、第1加熱部310の複数の凹部313とそれぞれ対向する。
[0047]
 第1加熱部310の複数の凹部313はそれぞれ、第2加熱部320から遠ざかる方向に凹む。第1加熱部310の凸部312及び凹部313は、周方向CDに沿って交互に設けられる。本実施形態において、複数の凹部313はそれぞれ、略径方向RDに沿って、中心軸AX側とは反対側に凹む。
[0048]
 第2加熱部320の複数の凸部323はそれぞれ、第1加熱部310に向けて突出する。第2加熱部320の凹部322及び凸部323は、周方向CDに沿って交互に設けられる。本実施形態において、複数の凸部323はそれぞれ、略径方向RDに沿って、中心軸AX側とは反対側に突出する。
[0049]
 図3に示すように、熱源300は、第1加熱部310の凸部312と第2加熱部320の凹部322との間に一定距離以上の隙間G1を有する。また、熱源300は、第1加熱部310の凹部313と第2加熱部320の凸部323との間に一定距離以上の隙間G2を有する。換言すると、第1加熱部310及び第2加熱部320は、第1加熱部310と第2加熱部320との間に隙間G1及び隙間G2が形成されるように配置される。
[0050]
 隙間G1及び隙間G2の大きさは、1mm以上である。隙間G1及び隙間G2の大きさが1mm以上であることにより、第1加熱部310と第2加熱部320との間で熱干渉が発生し難くなる。あるいは、第1加熱部310と第2加熱部320との間で、熱干渉の影響が小さくなる。隙間G1及び隙間G2の大きさは、例えば、2mm以上3mm以下である。
[0051]
 続いて、図4を参照して本実施形態の熱対流生成システム100を更に説明する。図4は、本実施形態に係る熱対流生成システム100を示す図である。図4に示すように、熱対流生成システム100は、流路チップ400を更に備える。なお、本実施形態の熱対流生成システム100は1つの流路チップ400を備えるが、熱対流生成システム100は、2つの流路チップ400を備えてもよい。
[0052]
 流路チップ400は、熱源300の上方に配置される。流路チップ400は、基台201に対して位置決めされる。基台201が回転することにより、流路チップ400は、中心軸AXを中心として、中心軸AXの周りを回転方向RCに周回する。
[0053]
 流路チップ400は、チップ本体401と、チップ本体401に積層された底板402とを有する。チップ本体401は、上下方向において熱源300と対向する。本実施形態において、チップ本体401は、略円弧状の板状部材である。詳しくは、チップ本体401は周方向CDに沿って延びる。底板402は、略矩形状の板状部材である。底板402は、チップ本体401の下方に配置されて、チップ本体401を支持する。詳しくは、底板402は、チップ本体401の下面に固定されている。
[0054]
 チップ本体401の材料は、例えば、光を透過する合成樹脂である。例えば、チップ本体401の材料として、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、PDMSとガラスとの複合体、又はアクリルを用いることができる。底板402の材料は、例えば、ガラス、PDMS、COP、ポリプロピレン、ポリカーボネート、PDMSとガラスとの複合体、又はアクリルであり得る。底板402は、光を透過してもよい。
[0055]
 続いて、図4及び図5を参照してチップ本体401を更に説明する。図5は、本実施形態に係るチップ本体401を示す平面図である。図5に示すように、チップ本体401は、複数の注入口411と、複数の供給流路412と、複数の環状流路420とを有する。
[0056]
 複数の注入口411はそれぞれ、チップ本体401の上面に形成された孔によって構成される。複数の注入口411には、液体がそれぞれ注入される。具体的には、複数の注入口411にはそれぞれ、反応試薬溶液と検体液とがこの順に注入される。あるいは、複数の注入口411にはそれぞれ、検体液と反応試薬溶液との混合液が注入される。
[0057]
 検体液は、DNA又はRNAを含む液体である。検体液としては、例えば、インフルエンザウィルス、ノロウィルス、その他感染症ウィルスや細菌全般、又は細胞からの発現RNAの抽出液が用いられる。インフルエンザウィルスの検体液として、例えば、鼻汁を緩衝液又は水のような溶液に懸濁した液体が用いられる。また、ノロウィルスの検体液として、例えば、嘔吐物を緩衝液又は水のような溶液に懸濁した液体が用いられる。
[0058]
 反応試薬溶液は、PCR又は逆転写PCRを行うための液体である。反応試薬溶液としては、例えば、株式会社ニッポン・ジーン製のGeneAce Probe qPCR Mix α、ライフテクノロジーズジャパン株式会社製のPlatinum Quantitative RT-PCR ThermoScript One-StepSystem、SuperScriptIII OneStep RT-PCR System、GeneAmp EZ rTth RNA PCR Kit(いずれも商品名)、タカラバイオ株式会社製のPrimeScriptII High Fidelity One Step RT-PCR Kit、Primescript High Fidelity RT-PCR Kit、SpeedSTAR HS DNA Polymerase(いずれも商品名)、株式会社島津製作所製のAmpdirect(商品名)を用いることができる。
[0059]
 本実施形態において、複数の注入口411は、周方向CDに沿って配置されている。より具体的には、複数の注入口411は、中心軸AXを中心とする同心円上に配置される。詳しくは、複数の注入口411は、中心軸AXを中心に等角度間隔で配置される。例えば、半径Rが36.5mmである場合、隣り合う注入口411の角度間隔θは5°以上である。ここで、半径Rは、中心軸AXから環状流路420の中心までの距離に相当する。
[0060]
 複数の供給流路412及び複数の環状流路420はそれぞれ、チップ本体401の下面側に形成された溝によって構成される。底板402(図4)は、これらの溝の開口を塞ぐ。
[0061]
 本実施形態において、複数の供給流路412はそれぞれ径方向RDに延伸する。また、複数の供給流路412は、周方向CDに沿って配置されている。より具体的には、複数の供給流路412は、中心軸AXを中心とする同心円上に配置される。詳しくは、複数の供給流路412は、中心軸AXを中心に等角度間隔で配置される。例えば、半径Rが36.5mmである場合、隣り合う供給流路412の角度間隔θは5°以上である。
[0062]
 複数の供給流路412は、複数の注入口411とそれぞれ連通する。したがって、複数の供給流路412はそれぞれ、対応する注入口411を介して外部と連通する。具体的には、各供給流路412の径方向内側の端部が、対応する注入口411と連通する。注入口411に注入された液体は、毛細管現象によって、対応する供給流路412内に吸引される。
[0063]
 複数の環状流路420は、複数の供給流路412とそれぞれ連通する。詳しくは、複数の環状流路420はそれぞれ、対応する供給流路412の径方向外側の端部と連通する。
[0064]
 複数の環状流路420には、それぞれ、対応する供給流路412から液体が供給される。具体的には、中心軸AXの周りを流路チップ400(図4)が周回すると、複数の供給流路412に収容されている液体が、遠心力によって、複数の環状流路420へ進入する。この結果、複数の環状流路420に液体が収容される。
[0065]
 複数の環状流路420はそれぞれ長軸LAを有し、長軸LAに沿って延びる。より具体的には、複数の環状流路420はそれぞれ、長軸LAが径方向RD(図4)と平行になるように形成されている。換言すると、複数の環状流路420はそれぞれ、径方向RD(図4)に沿って延伸するようにチップ本体401に形成されている。
[0066]
 本実施形態において、複数の環状流路420は周方向CD(図4)に沿って配置されている。より具体的には、複数の環状流路420は、中心軸AXを中心とする同心円上に配置される。詳しくは、複数の環状流路420は、中心軸AXを中心に等角度間隔で配置される。例えば、半径Rが36.5mmである場合、隣り合う環状流路420の角度間隔θは5°以上である。
[0067]
 続いて、図4及び図6(a)を参照して環状流路420を説明する。図6(a)は、本実施形態に係る環状流路420を示す平面図である。図6(a)に示すように、環状流路420は、第1直線部421と、第2直線部422と、第1連通部423と、第2連通部424とを有する。
[0068]
 第1直線部421及び第2直線部422は直線状であり、長軸LAに沿って延伸する。本実施形態において、第1直線部421及び第2直線部422は、径方向RD(図4)に略沿って延伸する。また、第1直線部421は、長軸LAの一方側に配置される。第2直線部422は、長軸LAの他方側に配置される。換言すると、第1直線部421及び第2直線部422は、長軸LAを介して対向する。
[0069]
 第1連通部423は、供給流路412側で第1直線部421と第2直線部422とを連通させる。換言すると、第1連通部423は、中心軸AX(図4)に近い側で第1直線部421と第2直線部422とを連通させる。第1連通部423は更に、供給流路412と連通する。
[0070]
 第2連通部424は、供給流路412側とは反対側で、第1直線部421と第2直線部422とを連通させる。換言すると、第1連通部423は、中心軸AX(図4)から遠い側で第1直線部421と第2直線部422とを連通させる。
[0071]
 本実施形態において、第1連通部423及び第2連通部424は、円弧形状である。より具体的には、第1連通部423及び第2連通部424は、半円状である。例えば、第1連通部423及び第2連通部424の内周側の直径は1mmである。第1連通部423及び第2連通部424が円弧形状であることにより、環状流路420において液体がよりスムーズに流れる。
[0072]
 続いて、図6(a)~図6(c)を参照して第1直線部421及び第2直線部422を更に説明する。図6(b)は、本実施形態に係る環状流路420を示す斜視図である。図6(c)は、本実施形態に係る環状流路420を示す正面図である。
[0073]
 図6(a)~図6(c)に示すように、第1直線部421及び第2直線部422は、互いに形状が異なる。具体的には、第1直線部421及び第2直線部422は、互いに断面形状が異なる。
[0074]
 詳しくは、図6(a)に示すように、第1直線部421は、第1流路幅W1を有する。第2直線部422は、第1流路幅W1と異なる第2流路幅W2を有する。具体的には、第1流路幅W1は、第2流路幅W2よりも大きい。第1流路幅W1は、例えば750μmである。第2流路幅W2は、例えば500μmである。図6(b)に示すように、第1直線部421及び第2直線部422の長さLは等しい。長さLは、例えば4mmである。図6(c)に示すように、第1直線部421は、第1流路高さH1を有する。第2直線部422は、第1流路高さH1と異なる第2流路高さH2を有する。具体的には、第2流路高さH2は、第1流路高さH1よりも大きい。第1流路高さH1は、例えば200μmである。第2流路高さH2は、例えば300μmである。
[0075]
 なお、第1流路幅W1、第2流路幅W2、第1流路高さH1、及び第2流路高さH2は、流路と液体との界面に発生する摩擦力の影響が小さくなる範囲から選択され得る。流路と液体との界面に発生する摩擦力の影響が大きくなると、環状流路420を流れる液体の流速が遅くなり、ターゲット遺伝子の増幅効率が低下するおそれがある。これに対し、流路と液体との界面に発生する摩擦力の影響が小さくなる範囲から、第1流路幅W1、第2流路幅W2、第1流路高さH1、及び第2流路高さH2を選択することにより、ターゲット遺伝子の増幅効率の低下を抑制することができる。
[0076]
 また、第1流路高さH1は、第1直線部421を流れる液体に対してPCRに必要な熱量を供給できる範囲から選択され得る。詳しくは、第1流路高さH1が大きくなるほど、熱源300からの熱が第1直線部421の上部へ伝達され難くなる。その結果、第1直線部421の上部を流れる液体へ、PCRに必要な熱量を供給できず、ターゲット遺伝子の増幅効率が低下するおそれがある。これに対し、第1直線部421を流れる液体に対してPCRに必要な熱量を供給できる範囲から、第1流路高さH1を選択することにより、ターゲット遺伝子の増幅効率の低下を抑制することができる。同様に、第2直線部422を流れる液体に対してPCRに必要な熱量を供給できる範囲から、第2流路高さH2を選択することにより、ターゲット遺伝子の増幅効率の低下を抑制することができる。例えば、第1流路高さH1及び第2流路高さH2は、200μm以上300μm以下の範囲から選択され得る。
[0077]
 また、第1直線部421及び第2直線部422の比表面積が異なる場合、第1直線部421を流れる液体に作用する摩擦力と、第2直線部422を流れる液体に作用する摩擦力との間に差が生じる。その結果、第1直線部421及び第2直線部422の比表面積が等しい場合と比べて、複数の環状流路420の間で熱対流の方向にバラつきが生じ易い。
[0078]
 本実施形態では、第1直線部421及び第2直線部422は断面積が等しい。詳しくは、第1直線部421及び第2直線部422は比表面積が等しい。この結果、複数の環状流路420の間で熱対流の方向が一定の方向に揃いやすい。換言すると、複数の環状流路420の間で熱対流の方向にバラつきが生じ難い。
[0079]
 続いて、図6(b)及び図6(c)を参照して第1連通部423及び第2連通部424を更に説明する。図6(b)及び図6(c)に示すように、第1連通部423は、第1直線部421から第2直線部422にわたって連続的に高さが高くなる。第2連通部424は、第2直線部422から第1直線部421にわたって連続的に高さが低くなる。
[0080]
 以上、図5及び図6(a)~図6(c)を参照して説明したように、各環状流路420は長軸LAを有する。換言すると、各環状流路420は、細長い形状を有する。したがって、環状流路420の集積度を高めることができる。更に、本実施形態によれば、複数の環状流路420が周方向CDに沿って配置される。その結果、環状流路420の集積度が向上する。
[0081]
 なお、チップ本体401に形成可能な環状流路420の最大数は、半径R(図5)の大きさに依存する。具体的には、半径R(図5)が大きいほど、環状流路420の最大数は大きくなる。詳しくは、半径R(図5)が大きいほど、隣り合う環状流路420間の角度間隔を小さくして、環状流路420の最大数を増加させることができる。半径R(図5)が大きいほど、隣り合う環状流路420間の角度間隔を小さくできるのは、隣り合う環状流路420間の角度間隔を小さくしても、隣り合う環状流路420間の距離を、熱干渉が発生し難くい距離に保つことができるためである。あるいは、隣り合う環状流路420間の距離を、熱干渉の影響が小さくなる距離に保つことができるためである。
[0082]
 続いて、図7及び図8を参照して熱源300及びチップ本体401を更に説明する。図7は、本実施形態に係る熱源300及びチップ本体401を示す平面図である。
[0083]
 図7に示すように、チップ本体401は、各環状流路420が第1加熱部310と第2加熱部320とに跨るように配置される。より具体的には、各環状流路420は、第1端部431及び第2端部432を有する。第1端部431は、中心軸AXから遠い側の端部(遠端部)である。第2端部432は、中心軸AXに近い側の端部である。第1加熱部310は、上下方向において各環状流路420の第1端部431に対向し、各環状流路420の第1端部431をそれぞれ加熱する。第2加熱部320は、上下方向において各環状流路420の第2端部432に対向し、各環状流路420の第2端部432をそれぞれ加熱する。
[0084]
 本実施形態によれば、第1加熱部310は第2加熱部320と比べて加熱温度が大きい。したがって、中心軸AXを中心にチップ本体401(流路チップ400)を周回させて、各環状流路420に収容されている液体に遠心力を付与しつつ、各環状流路420に収容されている液体を熱源300によって加熱すると、第1加熱部310で加熱された液体は、遠心力が作用する方向とは反対の方向へ移動し、第2加熱部320で加熱された液体は、遠心力が作用する方向へ移動する。この結果、各環状流路420において熱対流が発生する。
[0085]
 図8は、図7の一部を拡大して示す図である。詳しくは、図8は、熱源300及び環状流路420を拡大して示す。図8に示すように、第1加熱部310の各凸部312は、上下方向において各環状流路420の第1直線部421と対向し、各環状流路420の第1直線部421を加熱する。
[0086]
 本実施形態では、第1加熱部310は、各環状流路420の第2連通部424の一部と、各環状流路420の第1直線部421の一部とに対向し、各環状流路420の第2直線部422と対向していない。この結果、第2連通部424の一部から第1直線部421の一部にわたる部分が、他の部分と比べて高温となり、第2連通部424から第1直線部421を介して第1連通部423へ液体が流れ易くなる。したがって、複数の環状流路420間で熱対流の方向にバラつきが発生し難くなる。換言すると、複数の環状流路420間で熱対流の方向が一定の方向に揃い易くなる。
[0087]
 更に、図6(a)を参照して説明したように、第1直線部421の第1流路幅W1は、第2直線部422の第2流路幅W2と比べて大きい。この結果、第1直線部421において第1加熱部310により加熱される液量を増加させることが可能となり、第2連通部424から第1直線部421を介して第1連通部423へ液体がより流れ易くなる。したがって、複数の環状流路420間で熱対流の方向が一定の方向により揃い易くなる。
[0088]
 複数の環状流路420間で熱対流の方向にバラつきが生じた場合、複数の環状流路420間で熱対流の速度にバラつきが生じて、複数の環状流路420間で、ターゲット遺伝子の増幅度にバラつきが生じるおそれがある。したがって、複数の環状流路420間で熱対流の方向にバラつきが生じた場合、複数の環状流路420間でターゲット遺伝子の検出精度にバラつきが生じるおそれがある。換言すると、ターゲット遺伝子の検出精度が低下するおそれがある。これに対し、本実施形態によれば、複数の環状流路420間で熱対流の方向にバラつきが発生し難くい。したがって、ターゲット遺伝子の検出精度の低下を抑制することができる。
[0089]
 なお、第1加熱部310は、第2直線部422に対向する面積が第1直線部421に対向する面積よりも小さい限り、第2直線部422と対向してもよい。第1加熱部310が第2直線部422と対向しても、第2直線部422に対向する面積が第1直線部421に対向する面積よりも小さいことにより、第1直線部421において第1加熱部310により加熱される液量が、第2直線部422において第1加熱部310により加熱される液量と比べて多くなるため、第2連通部424から第1直線部421を介して第1連通部423へ液体が流れ易くなる。
[0090]
 続いて図1、図4及び図5を参照して、熱対流生成システム100を用いてPCRを行う手順を説明する。
[0091]
 まず、流路チップ400の各注入口411に反応試薬溶液を注入する。その結果、反応試薬溶液は、毛細管現象によって各供給流路412に収容される。次に、流路チップ400の各注入口411に検体液を注入する。その結果、検体液は、毛細管現象によって各供給流路412に収容される。なお、反応試薬溶液及び検体液は、例えばピペッターを使用して各注入口411に注入され得る。
[0092]
 その後、流路チップ400を熱対流生成装置200にセットする。具体的には、流路チップ400が熱源300の上方に配置されるように、流路チップ400を基台201に対して位置決めする。
[0093]
 次に、駆動部202を駆動させて、中心軸AXを回転中心として基台201を回転させる。基台201が回転すると、反応試薬溶液及び検体液が遠心力によって各供給流路412から各環状流路420内に進入する。
[0094]
 次に、基台201を回転させたまま、熱源300によって各環状流路420を加熱する。この結果、反応試薬溶液及び検体液が各環状流路420内で熱対流して、反応試薬溶液と検体液とが各環状流路420内で混合され、反応試薬溶液と検体液との混合液が生成される。混合液は、各環状流路420内で熱対流する。
[0095]
 混合液は、環状流路420内で熱対流することにより、加熱場と冷却場とを交互に通過する。ここで、加熱場は、上下方向において第1加熱部310と対向する領域である。冷却場は、上下方向において第2加熱部320と対向する領域である。混合液は、加熱場を通過する際に、第1加熱部310(約95℃)と熱交換して加熱される。この結果、混合液中の2本鎖DNAが分離して2本の1本鎖DNAが生成される混合液は、冷却場を通過する際に、第2加熱部320(約60℃)と熱交換して冷却される。この結果、混合液中の2本の1本鎖DNAが結合して2本鎖DNAが生成される。
[0096]
 第1加熱部310による加熱と第2加熱部320による冷却とがそれぞれ所定回数ずつ行われた後に、駆動部202を停止させる。具体的には、駆動部202の駆動時間を、第1加熱部310による加熱と第2加熱部320による冷却とがそれぞれ所定回数ずつ行われるように設定する。
[0097]
 なお、混合液が環状流路420を一周するのに要する時間は、熱対流する混合液の流速を制御することによって調整することができる。混合液の流速は、基台201の回転速度を制御することによって調整することができる。
[0098]
 以上、図1、図4及び図5を参照して、熱対流生成システム100を用いてPCRを行う手順を説明した。
[0099]
 なお、上記手順では、反応試薬溶液と検体液とが個別に各注入口411に注入されたが、反応試薬溶液と検体液との混合液が各注入口411に注入されてもよい。
[0100]
 また、反応試薬溶液及び検体液に加えて、複数の環状流路420の各々にミネラルオイルを更に収容させてもよい。ミネラルオイルの沸点は、第1加熱部310の加熱温度(約95℃)よりも高いため、ミネラルオイルを各環状流路420に収容することにより、検体液及び反応試薬溶液の蒸発を抑制することができる。
[0101]
 また、ミネラルオイルは、反応試薬溶液及び検体液と比べて比重が小さいため、各環状流路420に反応試薬溶液、検体液、及びミネラルオイルを収容させた後に、中心軸AXを中心に各環状流路420を周回させると、ミネラルオイルが第1連通部423を介して供給流路412に流入して、第1連通部423と供給流路412との界面をミネラルオイルが塞ぐ。この結果、反応試薬溶液及び検体液が供給流路412に流入することを防ぐことができる。
[0102]
 また、チップ本体401及び底板402が、例えばPDMSのようなガス透過性の高い材料を含む場合、複数の環状流路420の各々にミネラルオイルを収容させた後に、PCRを実行してもよい。より具体的には、複数の環状流路420の各々を構成する壁部がミネラルオイルを吸収した後に、PCRを実行する。複数の環状流路420の各々を構成する壁部がミネラルオイルを吸収することにより、ガス透過性を低下させることができる。
[0103]
 続いて図1、図4及び図5を参照して、熱対流生成システム100を用いて逆転写PCRを行う手順を説明する。逆転写PCRは、検出対象がRNAである場合に実行される。逆転写PCRには、逆転写反応とPCRとを個別に行う方法と、逆転写反応とPCRとを連続して行う方法とがある。以下では、逆転写反応とPCRとを連続して行う方法を説明する。
[0104]
 まず、PCRと同様に、流路チップ400の各注入口411に反応試薬溶液と検体液とを個別に注入して、流路チップ400の各供給流路412に反応試薬溶液及び検体液を収容させる。
[0105]
 次に、PCRと同様に、流路チップ400を熱対流生成装置200にセットした後、駆動部202を駆動させて、反応試薬溶液及び検体液を各環状流路420内に収容させる。
[0106]
 次に、基台201を回転させたまま、各環状流路420において熱対流が発生するように熱源300を制御して、反応試薬溶液と検体液との混合液を生成する。
[0107]
 その後、基台201の回転を停止させ、第1加熱部310及び第2加熱部320の加熱温度を同じ温度(例えば、40℃以上60℃以下)に設定し、混合溶液を一定時間(例えば、60秒)加熱して逆転写反応させる。この結果、RNAから逆転写反応により鋳型DNA(cDNA)が合成される。
[0108]
 その後、第1加熱部310及び第2加熱部320の加熱温度をPCRに適した温度(例えば、第1加熱部310の加熱温度を95℃、第2加熱部320の加熱温度を60℃)に設定してPCRを実行する。
[0109]
 以上、図1、図4及び図5を参照して、熱対流生成システム100を用いて逆転写PCRを行う手順を説明した。
[0110]
 なお、上記手順では、反応試薬溶液と検体液とが個別に各注入口411に注入されたが、反応試薬溶液と検体液との混合液が各注入口411に注入されてもよい。
[0111]
 また、反応試薬溶液及び検体液に加えて、複数の環状流路420の各々にミネラルオイルを更に収容させてもよい。
[0112]
 また、チップ本体401及び底板402が、ガス透過性の高い材料を含む場合、複数の環状流路420の各々を構成する壁部にミネラルオイルを吸収させた後に、逆転写PCRを実行してもよい。
[0113]
 続いて、図4、図7、図9(a)及び図9(b)を参照して本実施形態の熱対流生成システム100を更に説明する。図9(a)は、本実施形態に係るチップ取付治具500を示す斜視図である。図9(b)は、本実施形態に係る熱対流生成システム100を示す斜視図である。
[0114]
 図9(a)及び図9(b)に示すように、熱対流生成システム100はチップ取付治具500を更に備える。チップ取付治具500は、図4を参照して説明した流路チップ400を熱対流生成装置200に取り付けるための治具である。
[0115]
 図9(a)に示すように、チップ取付治具500は、2つの嵌合穴501と、2つの位置決め穴502とを有する。本実施形態において、チップ取付治具500は、円盤状である。
[0116]
 図9(b)に示すように、チップ取付治具500の嵌合穴501には、チップ取付治具500の下面側から、流路チップ400のチップ本体401が嵌合される。チップ取付治具500の位置決め穴502には位置決め部204が挿入される。この結果、流路チップ400が熱対流生成装置200に取り付けられる。具体的には、流路チップ400の各注入口411に液体を注入して、流路チップ400の各供給流路412に液体を収容した後に、チップ取付治具500を用いて流路チップ400を熱対流生成装置200に取り付ける。
[0117]
 2つの嵌合穴501は、チップ取付治具500の位置決め穴502に位置決め部204が挿入されると、図1を参照して説明した2つの熱源300にそれぞれ対向する。より具体的には、2つの嵌合穴501は、図7を参照して説明したように各環状流路420が第1加熱部310と第2加熱部320とに跨って配置される位置に形成されている。
[0118]
 続いて、図10(a)、図10(b)、図11(a)及び図11(b)を参照して本実施形態の熱対流生成システム100を更に説明する。図10(a)及び図10(b)は、本実施形態に係るチップ押さえ部材600を示す斜視図である。詳しくは、図10(a)は、チップ押さえ部材600の上面側を示す。図10(b)は、チップ押さえ部材600の下面側を示す。
[0119]
 図10(a)及び図10(b)に示すように、チップ押さえ部材600は、チップ押さえ板600aと、複数のネジ610と、複数のナット620とを有する。
[0120]
 チップ押さえ板600aは、複数のネジ挿通穴を有する。複数のネジ610は、チップ押さえ板600aの複数のネジ挿通穴に、チップ押さえ板600aの下面側からそれぞれ挿通される。この結果、チップ押さえ板600aの上面から、複数のネジ610の軸611がそれぞれ突出する。複数のナット620は、チップ押さえ板600aの上面側から、複数のネジ610の軸611にそれぞれ螺合して、チップ押さえ板600aに対して複数のネジ610を固定する。この結果、チップ押さえ板600aの下面に、複数のネジ610の頭部612が配置される。
[0121]
 チップ押さえ板600aは、観察用の2つの開口部601と、2つの位置決め穴602とを有する。本実施形態において、チップ押さえ板600aは、円盤状である。また、2つの開口部601は、円弧状である。
[0122]
 図11(a)は、本実施形態に係る熱対流生成システム100を示す側面図である。図11(b)は、本実施形態に係る熱対流生成システム100を示す平面図である。図11(a)及び図11(b)に示すように、熱対流生成システム100はチップ押さえ部材600を更に備える。
[0123]
 チップ押さえ板600aの位置決め穴602には、図10(a)及び図10(b)を参照して説明したチップ取付治具500の位置決め穴502を介して、位置決め部204が挿入される。この結果、チップ押さえ部材600が、熱対流生成装置200に取り付けられる。より具体的には、チップ押さえ部材600は、チップ取付治具500の上方に配置されて、流路チップ400を押さえ付ける。詳しくは、複数のネジ610の頭部612がチップ本体401に当接することにより、流路チップ400がチップ押さえ部材600によって押さえ付けられる。
[0124]
 なお、開口部601は、チップ押さえ板600aの位置決め穴602に位置決め部204が挿入されると、複数の環状流路420に対向する。チップ押さえ板600aが開口部601を有することにより、PCR又は逆転写PCRの実行時に、開口部601を介して環状流路420を観察することができる。
[0125]
 以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。
[0126]
 図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
[0127]
 例えば、本発明による実施形態では、回転方向RCは反時計回りであったが、回転方向RCは時計回りであってもよい。
[0128]
 また、本発明による実施形態では、熱対流生成装置200が2つの熱源300を備えたが、熱対流生成装置200は、1つの熱源300を備えてもよく、3つ以上の熱源300を備えてもよい。熱対流生成装置200が1つの熱源300を備える場合、熱対流生成システム100は1つの流路チップ400を備える。熱対流生成装置200が3つ以上の熱源300を備える場合、熱対流生成システム100は3つ以上の流路チップ400を備え得る。
[0129]
 また、本発明による実施形態では、熱源300は円弧状であったが、熱源300は環状であってもよい。熱源300が環状である場合、環状の流路チップ400が使用されてもよい。
[0130]
 また、本発明による実施形態では、熱源300が第1加熱部310と第2加熱部320とを有したが、環状流路420に熱対流を生成できる限り、第2加熱部320は省略され得る。
[0131]
 また、本発明による実施形態では、熱対流生成システム100がPCR又は逆転写PCRに用いられたが、熱対流生成システム100は、PCR及逆転写PCR以外の処理に用いられてもよい。
[0132]
 また、本発明による実施形態では、各環状流路420が径方向RDに沿って延伸したが、各環状流路420は、径方向RDに対して傾斜してもよい。
[0133]
 また、本発明による実施形態では、第1直線部421と第2直線部422とが異なる形状であったが、第1直線部421と第2直線部422とは同一形状であってもよい。以下、図12(a)及び図12(b)を参照して、環状流路420の変形例を説明する。図12(a)は、本実施形態に係る環状流路420の変形例を示す平面図である。図12(b)は、本実施形態に係る環状流路420の変形例を示す正面図である。以下、図12(a)及び図12(b)に示す環状流路420を「環状流路420a」と記載する。
[0134]
 図12(a)及び図12(b)に示すように、環状流路420aは、第1直線部421aと、第2直線部422aと、第1連通部423aと、第2連通部424aとを有する。第1直線部421a及び第2直線部422aは、同じ形状である。具体的には、第1直線部421aの第1流路幅W1は、第2直線部422aの第2流路幅W2と等しく、第1直線部421aの第1流路高さH1は、第2直線部422aの第2流路高さH2と同一である。
[0135]
 また、本発明による実施形態では、第1加熱部310が凸部312及び凹部313を有し、第2加熱部320が凹部322及び凸部323を有したが、第1加熱部310の凸部312及び凹部313と、第2加熱部320の凹部322及び凸部323とは省略され得る。以下、図13(a)及び図13(b)を参照して、熱源300の変形例を説明する。図13(a)は、本実施形態に係る熱源300の第1変形例を示す平面図である。図13(b)は、本実施形態に係る熱源300の第2変形例を示す平面図である。以下、図13(a)に示す熱源300を「熱源300a」と記載し、図13(b)に示す熱源300を「熱源300b」と記載する。
[0136]
 図13(a)に示すように、熱源300aの第1加熱部310aは、内側面311aを有する。第1加熱部310aの内側面311aは平坦である。換言すると、第1加熱部310aの内側面311aは、図2及び図3を参照して説明した凸部312及び凹部313を含まない。同様に、熱源300aの第2加熱部320aは、外側面321aを有する。第2加熱部320aの外側面321aは平坦である。換言すると、第2加熱部320aの外側面321aは、図2及び図3を参照して説明した凹部322及び凸部323を含まない。
[0137]
 図13(b)に示すように、熱源300bの第1加熱部310bは、内側面311bを有する。第1加熱部310bの内側面311bは、図2及び図3を参照して説明した凸部312及び凹部313を含む。熱源300bの第2加熱部320bは、外側面321bを有する。第2加熱部320bの外側面321bは平坦である。換言すると、第2加熱部320bの外側面321bは、図2及び図3を参照して説明した凹部322及び凸部323を含まない。
実施例
[0138]
 以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
[0139]
[実施例1、及び比較例1]
 まず、図2及び図3を参照して、実施例1の熱源300を説明する。実施例1では、第1加熱部310の加熱温度を95℃とし、第2加熱部320の加熱温度を60℃とした。第1加熱部310は、複数の凸部312及び複数の凹部313を有する構成とした。第2加熱部320は、複数の凹部322及び複数の凸部323を有する構成とした。第1加熱部310と第2加熱部320との間の隙間を2mm以上3mm以下とした。
[0140]
 次に、図5及び図6(a)~図6(c)を参照して、実施例1の流路チップ400を説明する。実施例1では、チップ本体401の材料にPDMSを用いた。また、底板402としてスライドガラスを用いた。隣り合う環状流路420の角度間隔θは、5°とした。複数の環状流路420はそれぞれ、径方向RDに沿って延伸させた。第1直線部421の第1流路幅W1及び第1流路高さH1をそれぞれ、750μm及び200μmとした。第2直線部422の第2流路幅W2及び第2流路高さH2をそれぞれ、500μm及び300μmとした。第1直線部421及び第2直線部422の長さLを4mmとした。第1連通部423及び第2連通部424の内周側の直径を1mmとした。
[0141]
 図14及び図15は、実施例1に係る温度分布及び熱対流のシミュレーション結果を示す図である。詳しくは、図14に示すシミュレーション結果は、基台201の回転速度を350[rpm]に設定して得た。なお、基台201の回転速度を350[rpm]に設定すると、環状流路420に収容されている液体に5Gの相対重力加速度が作用する。図14に示すように、複数の環状流路420の間で熱対流の方向が一定の方向に揃うことを確認できた。
[0142]
 図15は、3つのシミュレーション結果を示す。詳しくは、図15に示すシミュレーション結果は、基台201の回転速度を157[rpm]、350「rpm」、及び470[rpm]に設定して得た。なお、基台201の回転速度を157[rpm]に設定すると、環状流路420に収容されている液体に1Gの相対重力加速度が作用する。また、基台201の回転速度を470[rpm]に設定すると、環状流路420に収容されている液体に9Gの相対重力加速度が作用する。図15に示すように、相対重力加速度を変化させても、複数の環状流路420の間で熱対流の方向が一定の方向に揃うことを確認できた。
[0143]
 図16は、実施例1に係る相対重力加速度とPCRサイクル時間との関係を示すグラフである。図16において、横軸は相対重力加速度[G]を示し、縦軸はPCRサイクル時間[sec/cycle]を示す。PCRサイクル時間は、液体が環状流路420を1周するのに要する時間を示す。
[0144]
 図16において、白抜きの菱形印は実測値(実験結果)を示し、黒塗の菱形印はシミュレーション結果を示す。図16に示すように、実測値は、シミュレーション結果と略一致した。また、図16に示すように、相対重力加速度[G]が増加するにつれて、PCRサイクル時間が短くなることを確認できた。換言すると、基台201の回転速度が速くなるほど、熱対流の流速が大きくなることを確認できた。
[0145]
 更に、薬剤耐性細菌(IMP-6陽性)ゲノムDNAの検出を行った。具体的には、プライマーDNA及びプローブDNAを含む反応試薬溶液を供給流路412に収容した。次に、薬剤耐性細菌ゲノムDNA液(検体液)を供給流路412に収容した。その後、基台201の回転速度を420rpmに設定して、中心軸AXを中心に環状流路420を周回させた。反応試薬溶液と検体液との反応時間は、15分間とした。表1に、プライマーDNA及びプローブDNAの塩基配列に示す。
[表1]


[0146]
 PCR実行後(15分経過後)、環状流路420内に含まれる溶液の蛍光強度差を測定した。測定結果を図17に示す。比較例1では、薬剤耐性細菌ゲノムDNAを含まない検体液を使用して、本実施例と同様にPCRを行った後、蛍光強度差を測定した。比較例1の測定結果を図17に併せて示す。
[0147]
 図17において、縦軸は蛍光強度差を示す。図17に示すように、検体液が薬剤耐性細菌ゲノムDNAを含む場合(実施例1)、検体液が薬剤耐性細菌ゲノムDNAを含まない場合(比較例1)と比較して、蛍光強度差が増加した。
[0148]
 また、電気泳動によって増幅産物の蛍光観察を行った。観察結果を図18に示す。なお、図18において、MはDNAサイズメーカーを示す。図18に示すように、検体液が薬剤耐性細菌ゲノムDNAを含む場合(実施例1)、検出対象であるIMP-6のDNAバンド(159bp)が観察された。
[0149]
[実施例2~4]
 実施例2では、実施例1と同様の環状流路420を用いた。実施例3では、図12(a)及び図12(b)を参照して説明した環状流路420aを用いた。具体的には、第1直線部421aの第1流路幅W1及び第2直線部422aの第2流路幅W2を0.5mmとした。第1直線部421aの第1流路高さH1及び第2直線部422aの第2流路高さH2を0.3mmとした。実施例4では、実施例3と同様に、図12(a)及び図12(b)を参照して説明した環状流路420aを用いた。具体的には、第1直線部421aの第1流路幅W1及び第2直線部422aの第2流路幅W2を0.75mmとした。第1直線部421aの第1流路高さH1及び第2直線部422aの第2流路高さH2を0.2mmとした。
[0150]
 実施例2~4では、図19(a)、図20(a)、及び図21(a)に示すように、第1加熱部310の凸部312の高さM1、及び第2加熱部320の凹部322の深さM2を変化させた。図19(a)、図20(a)、及び図21(a)は、実施例2~4に係る第1加熱部310の凸部312の高さM1、及び第2加熱部320の凹部322の深さM2を示す図である。詳しくは、図19(a)は、凸部312の高さM1が1.70mmに設定され、凹部322の深さM2が0.69mmに設定された熱源300を示す。図20(a)は、凸部312の高さM1が0.75mmに設定され、凹部322の深さM2が0.69mmに設定された熱源300を示す。図21(a)は、凸部312の高さM1が0.21mmに設定され、凹部322の深さM2が0.30mmに設定された熱源300を示す。なお、図19(a)、図20(a)、及び図21(a)には、実施例2の環状流路420を例示している。
[0151]
 図19(b)は、実施例2~4に係る相対重力加速度と熱対流速度との関係を示すグラフである。詳しくは、図19(b)は、凸部312の高さM1を1.70mmに設定し、凹部322の深さM2を0.69mmに設定して得たシミュレーション結果を示す。
[0152]
 図20(b)は、実施例2~4に係る相対重力加速度と熱対流速度との関係を示すグラフである。詳しくは、図20(b)は、凸部312の高さM1を0.75mmに設定し、凹部322の深さM2を0.69mmに設定して得たシミュレーション結果を示す。
[0153]
 図21(b)は、実施例2~4に係る相対重力加速度と熱対流速度との関係を示すグラフである。詳しくは、図21(b)は、凸部312の高さM1を0.21mmに設定し、凹部322の深さM2を0.30mmに設定して得たシミュレーション結果を示す。
[0154]
 図19(b)、図20(b)、及び図21(b)において、横軸は相対重力加速度[G]を示し、縦軸は熱対流速度[mm/sec]を示す。また、図19(b)、図20(b)、及び図21(b)において、三角印は、実施例2のシミュレーション結果を示す。菱形印は、実施例3のシミュレーション結果を示す。四角印は、実施例4のシミュレーション結果を示す。なお、熱対流速度は、環状流路420内を熱対流する液体の流速を示す。
[0155]
 図19(b)、図20(b)、及び図21(b)に示すように、熱対流速度は、実施例3、実施例2、実施例4の順に小さくなった。したがって、比表面積が小さいほど、熱対流速度が小さくなった。また、図19(b)、図20(b)、及び図21(b)に示すように、凸部312の高さM1、及び凹部322の深さM2が小さくなるほど、熱対流速度が小さくなった。
[0156]
 また、実施例3、実施例2、及び実施例4のいずれにおいても、複数の環状流路420の間で熱対流の方向が一定の方向に揃うことを確認できた。
[0157]
[実施例5~7]
 実施例5~7では、実施例1及び実施例2と同様の環状流路420を用いた。実施例5~7では、チップ本体401の材料にCOPを用いた。また、底板402としてスライドガラスを用いた。
[0158]
 図22(a)は、実施例5に係る熱源300c及び環状流路420を示す図である。図22(a)に示すように、第1加熱部310cの内側面311c及び第2加熱部320cの外側面321cを平坦とした。また、第1加熱部310cは、第2連通部424にのみ対向させた。
[0159]
 図22(b)は、実施例6に係る熱源300d及び環状流路420を示す図である。図22(b)に示すように、第1加熱部310dの内側面311d及び第2加熱部320dの外側面321dを平坦とした。また、第1加熱部310dは、第2連通部424、第1直線部421の一部、及び第2直線部422の一部に対向させた。詳しくは、図22(a)に示す実施例5の熱源300cと比べて、熱源300dを中心軸AX側に1mmずらした。
[0160]
 図22(c)は、実施例7に係る熱源300e及び環状流路420を示す図である。図22(c)に示すように、第1加熱部310eの内側面311e及び第2加熱部320eの外側面321eを平坦とした。また、第1加熱部310eは、第2連通部424、第1直線部421の一部、及び第2直線部422の一部に対向させた。詳しくは、図22(a)に示す実施例5の熱源300cと比べて、熱源300eを中心軸AX側に2mmずらした。
[0161]
 図23は、実施例5~7に係る環状流路420の間隔と熱対流速度との関係を示すグラフである。図23において、横軸は環状流路420の間隔[°]を示し、縦軸は熱対流速度[mm/sec]を示す。また、図23において、黒塗の四角印は実施例5のシミュレーション結果を示す。白抜きの丸印は実施例6のシミュレーション結果を示す。黒塗の三角印は実施例7のシミュレーション結果を示す。ここで、環状流路420の間隔は、隣り合う環状流路420の角度間隔を示す。図23に示すシミュレーション結果は、中心軸AXを中心に複数の環状流路420を「7.2°」及び「10°」の等角度間隔で配置して得た。
[0162]
 図23に示すように、熱対流速度は、実施例6、実施例7、実施例5の順に小さくなった。また、実施例5、実施例6、及び実施例7のいずれにおいても、複数の環状流路420の間で熱対流の方向が一定の方向に揃うことを確認できた。
[0163]
 図24(a)及び図24(b)は、実施例7に係る温度分布及び熱対流のシミュレーション結果を示す図である。詳しくは、図24(a)は、環状流路420の間隔を「7.2°」に設定して得た。図24(b)は、環状流路420の間隔を「10°」に設定して得た。図24(a)及び図24(b)に示すように、複数の環状流路420の間で熱対流の方向が一定の方向に揃うことを確認できた。
[0164]
 図24(c)は、比較例2に係る温度分布及び熱対流のシミュレーション結果を示す図である。比較例2は、実施例7と比べて、環状流路420の間隔が異なる。詳しくは、比較例2は、環状流路420の間隔を「5°」に設定して得た。図24(c)に示すように、比較例2では、環状流路420の間隔が狭くなることで、隣り合う環状流路420間で熱干渉が発生して、複数の環状流路420の間で熱対流の方向にバラつきが生じた。

産業上の利用可能性

[0165]
 本発明は、例えばPCR及び逆転写PCRに有用である。

符号の説明

[0166]
100  熱対流生成システム
200  熱対流生成装置
300  熱源
310  第1加熱部
311  内側面
312  凸部
320  第2加熱部
321  外側面
322  凹部
400  流路チップ
420  環状流路
421  第1直線部
422  第2直線部
431  第1端部
432  第2端部
AX   中心軸
CD   周方向
H1   第1流路高さ
H2   第2流路高さ
LA   長軸
RD   径方向
W1   第1流路幅
W2   第2流路幅

請求の範囲

[請求項1]
 複数の環状流路を有する流路チップと、
 中心軸を有し、前記中心軸を中心に前記流路チップを周回させる熱対流生成装置と
 を備え、
 前記熱対流生成装置は、前記複数の環状流路をそれぞれ加熱して、前記複数の環状流路の各々に収容された液体を熱対流させる熱源を有し、
 前記複数の環状流路はそれぞれ、長軸と、第1直線部と、第2直線部とを有し、
 前記第1直線部は、前記長軸の一方側に配置されて、前記長軸に沿って延伸し、
 前記第2直線部は、前記長軸の他方側に配置されて、前記長軸に沿って延伸し、
 前記第1直線部及び前記第2直線部は、互いに形状が異なる、熱対流生成システム。
[請求項2]
 前記複数の環状流路はそれぞれ、前記中心軸から遠い側の端部である遠端部を含み、
 前記熱源は、前記複数の環状流路のそれぞれの前記遠端部に対向し、前記遠端部をそれぞれ加熱する加熱部を有し、
 前記加熱部は、前記中心軸に近い側の端面である内側面を有し、
 前記内側面は、複数の凸部を含み、
 前記複数の凸部は、前記複数の環状流路のそれぞれの前記第1直線部と対向し、前記第1直線部をそれぞれ加熱する、請求項1に記載の熱対流生成システム。
[請求項3]
 複数の環状流路を有する流路チップと、
 中心軸を有し、前記中心軸を中心に前記流路チップを周回させる熱対流生成装置と
 を備え、
 前記熱対流生成装置は、前記複数の環状流路をそれぞれ加熱して、前記複数の環状流路の各々に収容された液体を熱対流させる熱源を有し、
 前記複数の環状流路はそれぞれ、長軸と、第1直線部と、第2直線部とを有し、
 前記第1直線部は、前記長軸の一方側に配置されて、前記長軸に沿って延伸し、
 前記第2直線部は、前記長軸の他方側に配置されて、前記長軸に沿って延伸し、
 前記複数の環状流路はそれぞれ、前記中心軸から遠い側の端部である遠端部を含み、
 前記熱源は、前記複数の環状流路のそれぞれの前記遠端部に対向し、前記遠端部をそれぞれ加熱する加熱部を有し、
 前記加熱部は、前記中心軸に近い側の端面である内側面を有し、
 前記内側面は、複数の凸部を含み、
 前記複数の凸部は、前記複数の環状流路のそれぞれの前記第1直線部と対向し、前記第1直線部をそれぞれ加熱する、熱対流生成システム。
[請求項4]
 前記遠端部は、第1端部であり、
 前記複数の環状流路はそれぞれ、前記中心軸に近い側の端部である第2端部を更に含み、
 前記加熱部は、第1加熱部であり、
 前記第1加熱部は、第1温度で前記第1端部をそれぞれ加熱し、
 前記熱源は、前記複数の環状流路のそれぞれの前記第2端部に対向し、前記第1温度よりも低い第2温度で前記第2端部をそれぞれ加熱する第2加熱部を更に有する、請求項2又は請求項3に記載の熱対流生成システム。
[請求項5]
 前記第2加熱部は、前記第1加熱部から遠ざかる方向に凹む複数の凹部を有し、
 前記複数の凹部は、前記複数の凸部とそれぞれ対向する、請求項4に記載の熱対流生成システム。
[請求項6]
 前記第1直線部は、前記第2直線部と比べて幅が広い、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の熱対流生成システム。
[請求項7]
 前記複数の環状流路のそれぞれの前記長軸は、前記中心軸を中心とする径方向に沿って延伸する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の熱対流生成システム。
[請求項8]
 前記第1直線部及び前記第2直線部は断面積が等しい、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の熱対流生成システム。
[請求項9]
 複数の環状流路を有する流路チップであって、
 前記複数の環状流路はそれぞれ、長軸と、第1直線部と、第2直線部とを有し、
 前記第1直線部は、前記長軸の一方側に配置されて、前記長軸に沿って延伸し、
 前記第2直線部は、前記長軸の他方側に配置されて、前記長軸に沿って延伸し、
 前記第1直線部及び前記第2直線部は、互いに形状が異なる、流路チップ。
[請求項10]
 中心軸を有し、前記中心軸を中心に、複数の環状流路を有する流路チップを周回させる熱対流生成装置であって、
 前記複数の環状流路をそれぞれ加熱して、前記複数の環状流路の各々に収容された液体を熱対流させる熱源を備え、
 前記複数の環状流路はそれぞれ、長軸と、第1直線部と、第2直線部とを有し、
 前記第1直線部は、前記長軸の一方側に配置されて、前記長軸に沿って延伸し、
 前記第2直線部は、前記長軸の他方側に配置されて、前記長軸に沿って延伸し、
 前記複数の環状流路はそれぞれ、前記中心軸から遠い側の端部である遠端部を含み、
 前記熱源は、前記複数の環状流路のそれぞれの前記遠端部に対向し、前記遠端部をそれぞれ加熱する加熱部を有し、
 前記加熱部は、前記中心軸に近い側の端面である内側面を有し、
 前記内側面は、複数の凸部を含み、
 前記複数の凸部は、前記複数の環状流路のそれぞれの前記第1直線部と対向し、前記第1直線部をそれぞれ加熱する、熱対流生成装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]