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1. WO2013122251 - 減衰力制御弁及びショックアブソーバ

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明 細 書

発明の名称 減衰力制御弁及びショックアブソーバ

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007  

先行技術文献

特許文献

0008  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0009   0010   0011   0012  

課題を解決するための手段

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035  

発明の効果

0036  

図面の簡単な説明

0037  

発明を実施するための形態

0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092  

符号の説明

0093  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

補正された請求の範囲(条約第19条)

1  *   2   3   4   5   6   7  

条約第19条(1)に基づく説明書

図面

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : 減衰力制御弁及びショックアブソーバ

技術分野

[0001]
 本発明は、減衰力制御弁及びショックアブソーバに関する。

背景技術

[0002]
 一般に、自動車および自動二輪車等には、車両において発生する振動を減衰するためにショックアブソーバ(緩衝器)が設けられている。ショックアブソーバは、通常、シリンダを備え、シリンダ内に、ピストンと、ピストンを支持する支持軸とが設けられている。シリンダ内は、ピストンによって、2つのオイル室に分離されており、ショックアブソーバの伸縮に合わせてピストンが動き、これにより、2つのオイル室の間でオイルが移動する。オイルの移動経路には、比較的流路面積の狭いオリフィス、バルブ等が設けられており、これらの面積の狭い流路を通過するときの流体抵抗により、減衰力を発生させ、車両に発生する振動を減衰させる。
[0003]
 従来のショックアブソーバとして、電子制御により開度の調整が可能な減衰力制御弁(可変オリフィス)を備えたショックアブソーバが存在する。このようなショックアブソーバとしては、バルブがシリンダ内に設置されたショックアブソーバと、バルブがシリンダ外に設置されたショックアブソーバとが存在するが、いずれの場合であっても、走行条件に応じてバルブの開度を調整することにより、減衰力を制御することができる。
[0004]
 従来の減衰力制御弁としては、例えば、ステッピングモータを備えた減衰力制御弁が存在する。このような減衰力制御弁では、ステッピングモータにより弁体の位置を調整してバルブの開度を変更する。そのため、流体力による弁体の位置変化が生じ難く、弁体の位置制御を比較的正確に行うことができる。一方、ステッピングモータでは、パルスの積算によって回転角が変化し、回転運動を直線運動に変換するネジのピッチによって、弁体の直進速度が決まる。油圧に対して弁体を静止させる必要があるため、ネジのピッチを大きくできない。そのため、弁体を目的の位置まで移動させるまでに比較的長い時間を要する。その結果、優れた応答性が得られないという問題がある。
[0005]
 電子制御による減衰力制御の利点としては、走行条件に応じて減衰力を調整できる点が挙げられるが、上述したように優れた応答性が得られなければ、走行条件に応じて減衰力を精度良く調整することは困難であり、電子制御による減衰力制御のメリットを充分に活かすことができない。
[0006]
 また、従来の減衰力制御弁としては、ソレノイドを備えた減衰力制御弁が存在する(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に示す減衰力制御弁では、図8(特許文献1の図6参照)に示すように、ソレノイドにより直線往復動する中空筒状の弁体200が、第一作動流体室234に形成されたガイド孔234cに挿通されている。第一作動流体室234は、ガイド孔234cに挿通された弁体200の通路200eを介して、第二作動流体室(図示せず)と連通している。なお、第二作動流体室は、特許文献1における油室112に相当する。また、第一作動流体室234には、弁体200の端面200cと対向する位置にポート234bが設けられている。弁体200の端面200cとポート234bとの間隙が、作動流体の流路である。流路の開度は、弁体200の端面200cの位置によって変更され、これにより減衰力が制御される。このような減衰力制御弁によれば、ソレノイドにより弁体200の位置を調整するので、弁体200を目的の位置まで速やかに移動させることができる。さらに、弁体200は、中空筒状であり、第一作動流体室234と第二作動流体室とを連通する通路200eを備えているので、柱状の弁体を用いる場合と比較して、弁体200の進退時に弁体200が押し退ける作動流体の量(体積)が少ない。また、第一作動流体室234と第二作動流体室とが連通しているので、第一作動流体室234と第二作動流体室との圧力差が生じ難い。そのため、弁体200は直線往復動を行うときに作動流体の抵抗を受け難い。従って、特許文献1に示す減衰力制御弁によれば、ステッピングモータを用いた場合に優れた応答性が得られない、という問題を解消することができる。
[0007]
 また、特許文献1に示す減衰力制御弁では、上述したように、弁体200が直線往復動を行うときに作動流体の抵抗を受け難いので、弁体200の駆動電力を低くすることができる。その結果、比較的小さなソレノイドを使うことができるので、減衰力制御弁の小型化及び軽量化が可能になる。このように、特許文献1に示す減衰力制御弁では、応答性の向上と、弁の小型化及び軽量化との両方を実現することができる。
 自動二輪車や自動車等の車両の分野では、機器の設置スペースが限られているので、弁の設置スペースをなるべく小さくしたいという要請が極めて強い。また、走行性能の向上の観点から、弁の軽量化の要請も非常に強い。従って、弁の小型化及び軽量化は、本分野において、非常に大きな技術的意義を有する。

先行技術文献

特許文献

[0008]
特許文献1 : 国際公開第2011/078317号パンフレット

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0009]
 しかしながら、特許文献1に示す減衰力制御弁を用いたショックアブソーバでは、図8に示すように、作動流体の流路(弁体の端面とポートとの間隙)が微小な開度であるときに、弁体200が目的の位置で安定しない場合があった。
[0010]
 また、特許文献1に示す減衰力制御弁では、弁体200の端面200cとポート234bとの間隔が作動流体の流路であり、流路の開度が、弁体200の端面200cの位置によって変更される。具体的に、弁体200の端面200cとポート234bとが同一平面上に位置したときに、流路が全閉となる。この全閉状態から弁体200を若干量移動させると、弁体200とポート234bとが離れ、図8に示すような微小開度の状態となる。そのため、微小開度時において、端面200cの位置変化に対する作動流体の流路の面積変化が大きく、減衰力の制御特性が鋭敏になる。この状態では、減衰力制御のための入力の変化量に対する出力の反応量が大きいため、微小開度時における減衰力制御を精度よく行うことが難しいという問題があった。
[0011]
 このように、特許文献1に示す減衰力制御弁には、微小開度時での弁体200の位置制御性について、改善の余地があった。
[0012]
本発明は、微小開度時における弁体の位置制御性に優れ、精度良く制御可能な開度の範囲が広い減衰力制御弁を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

[0013]
 本発明者は、上述した課題に対して検討を行い、以下の知見を得た。
 図8に示す減衰力制御弁では、弁体200は、中空筒状であり、弁体200の通路200eを介して、第一作動流体室234と第二作動流体室(図示せず)とを連通している。そのため、上述したように、弁体200は、直線往復動を行うときに作動流体の抵抗を受け難い。これにより、低電力での弁体200の移動が可能になり、弁の小型化及び軽量化を実現している。しかし、言い換えれば、これは、弁体200が流体力を受け易いことを意味している。
[0014]
 図8に示す減衰力制御弁では、弁体200の端面200cとポート234bとの間隔(作動流体の流路)が狭いときに、車両に力が加わりサスペンションを伸縮させ、作動流体が第一作動流体室234から上記間隔を介して第一作動流体室234外に排出される場合、上記間隔が狭いので、作動流体の流れSが速くなる。一方、全閉時には、作動流体の流れSは生じない。このように、微小開度時において弁体200が若干量移動すると、作動流体の流れSの速度が大きく変化する。
[0015]
 作動流体の流れSの速度が大きく変化すると、弁体200に対する流体力も大きく変動する。上述したように、弁体200は流体力を受け易いため、流体力の大きな変動によって、弁体200の位置が不安定になる。そこで、弁体の位置制御を精度よく行いたいが、上述したように、微小開度時における減衰力の制御特性が鋭敏であり、弁体200の位置制御が難しい。また、弁体200の位置を変化させるたびに、作動流体の流れSが変化し、流体力の変動によって弁体200の位置が不安定になる。
 このように、特許文献1に示す減衰力制御弁では、上述した幾つかの要因が複合的に関連し合い、微小開度時における弁体200の位置制御が難しくなっているのである。
[0016]
 上述した課題は、ステッピングモータを備えた減衰力制御弁では生じない。なぜなら、ステッピングモータにより弁体の位置を調整する場合、弁体は流体力を受けても移動しないので、作動流体の流れによって弁体の位置が変化しないからである。
 上記知見は、ソレノイドを備えた減衰力制御弁に特有の課題の発生メカニズムであり、本発明者は、上記知見を得て、上記知見に基づいて、本発明を完成させた。
[0017]
 即ち、本発明は、以下の構成を採用する。
 (1) 減衰力制御弁であって、
 前記減衰力制御弁は、
ソレノイドにより直線往復動する中空筒状の弁体と、
前記弁体が挿通されるガイド孔と、前記弁体の端面と対向する位置に形成されたポートとを備えた第一作動流体室と、
前記弁体内の通路を介して、前記第一作動流体室と連通する第二作動流体室と、
を備え、
 前記弁体の前記端面と前記ポートとの間隙は、作動流体が通過する流路であり、
 前記流路の開度は、前記弁体の前記端面の位置によって変更され、これにより減衰力が制御され、
 前記流路の開度が最小のとき、前記弁体と前記ポートとの間隙が全閉となる一方、前記流路の開度が最大のとき、前記弁体は前記ポートから離れており、
 前記弁体は、全閉時に前記ポートと対応する閉塞部を備え、
 前記閉塞部よりも、前記第一作動流体室内の作動流体が前記ポートを介して前記第一作動流体室外へ排出される流れの向きの下流側において、前記弁体の外周には、前記ポートと前記第一作動流体室とを連通するための連通路が形成されている。
[0018]
 (1)の構成によれば、全閉時にポートと対応する閉塞部よりも下流側における弁体の外周に連通路が形成されている。弁体は、例えば、閉塞部(シール部)よりも下流側に突出部を備えており、突出部の外周に連通路が形成されている。従って、弁体が、全閉時の位置から、下流側と反対の方向に移動するとき、直ちに弁体とポートとが離れるのではなく、弁体の一部(突出部)がポート内に位置する状態が生じる。この状態では、弁体の一部(突出部)によってポートと第一作動流体室とが区画される一方、連通路によってポートと第一作動流体室とが連通する。そして、開度が最大のときには、弁体とポートとが離れる。
[0019]
 要するに、図8に示す従来の減衰力制御弁では、流路が開いているときには、必ず、弁体がポートから離れている。これに対し、(1)の構成では、流路が開くときに、先ず、弁体の一部がポート内に位置する状態になり、それから、弁体がポートから離れた状態になる。これにより、微小開度時における弁体の位置変化に対する作動流体の流路の面積変化を小さくすることができる。その結果、微小開度時における鋭敏な減衰力の制御特性を抑制することができる。
[0020]
 弁体のストローク(弁体の端面とポートとの距離)と作動流体の圧力との関係から説明すると、流量が一定である場合、弁前後の差圧は、開口面積の二乗に反比例する。図8に示す従来の減衰力制御弁において、開口面積は、ポートの径と弁体のストロークとの積に比例するが、ポートの径は変化しない。従って、弁前後の差圧は、弁体のストロークの二乗に反比例する。そのため、微小開度時(即ちストロークが小さいとき)にストロークの変化に対する作動流体の圧力の変化が大きくなる。制御の容易性の観点からみれば、弁体のストロークと作動流体の圧力との関係は線形性を有することが望ましい。(1)の構成によれば、微小開度時における弁体の位置変化に対する作動流体の流路の面積変化が小さくなるので、微小開度時における弁体のストロークと作動流体の圧力との関係を線形に近付けることができる。
[0021]
 更に、作動流体の流路の面積変化を小さくすることができるので、作動流体の流れS(図8参照)の速度変化を緩和することができる。従って、流体力の変動を抑え、これにより、弁体の位置を安定させることができる。従って、(1)の減衰力制御弁は、微小開度時における弁体の位置制御性に優れ、精度良く制御可能な開度の範囲が広い。
[0022]
 (2) (1)の減衰力制御弁であって、
 前記連通路は、前記弁体の軸線方向からみて前記弁体の軸線を基準として非点対称に配置されていることが好ましい。
[0023]
 連通路が点対称に配置されている場合、弁体と軸受との微小な隙間が存在するため、弁体を軸線上に安定させることは難しい。そのため、作動流体の流れが変動してしまい、結果として、流れが不安定になるおそれがある。
 これに対し、(2)の構成によれば、連通路を敢えて非点対称とすることにより、作動流体の流れを安定させることができる。これにより、弁体の径方向の位置が安定し、流体力の変動を抑えることができ、その結果、軸線方向における弁体の位置制御の安定性及び正確性を向上させることができる。
[0024]
 (3) (1)又は(2)の減衰力制御弁であって、
 前記連通路は、前記弁体の外周の一部に形成されていることが好ましい。
[0025]
 弁体のストロークの変化に対する作動流体の流路の面積変化を緩やかにするために、例えば、弁体の閉塞部よりも下流側の部分(突出部)を長くすることが考えられる。しかし、下流側の部分を長くすると、弁体全体が長くなる。また、長いストロークを確保すると、小型のソレノイドを用いることが困難になる。弁の小型化及び軽量化の観点から、その事態は避けたい。そこで、本発明者は、検討を行い、微小開度時における弁体の位置制御性を改善させるためには、必ずしも弁体の外周の全域に連通路を形成する必要がなく、外周の一部に形成すれば、微小開度時における弁体の位置制御性を改善することができ、更に弁の小型化及び軽量化を実現することができることを見出した。
[0026]
 (3)の構成によれば、微小開度時における弁体の位置制御性の改善と、弁の小型化及び軽量化とを高いレベルで実現できる。
[0027]
 (4) (1)~(3)のいずれか1の減衰力制御弁であって、
 前記弁体における下流側の外周にはテーパが形成されており、前記弁体の肉厚は、前記弁体の下流側に近づくにつれて薄くなることが好ましい。
[0028]
 図8に示す従来の減衰力制御弁は、弁体200の端面200cがポート234bと同一平面上に位置するときに全閉となるので、弁体200がポート234bに入り込まない。しかし、本発明では、弁体の一部がポートに入り込む。そこで、(4)の発明では、弁体における下流側の外周にテーパを形成し、弁体の肉厚を弁体の下流側に近付づくにつれて薄くすることにより、より円滑に弁体の端面をポートに挿入できる。
[0029]
 (5) (1)~(4)のいずれか1の減衰力制御弁であって、
 前記連絡路は、前記閉塞部の下流側の前記弁体の一部が前記ポート内に位置するときに前記ポートと前記第一作動流体室とを連通することが好ましい。
[0030]
 (5)の構成によれば、流路が開くときに、先ず、弁体の一部がポート内に残った状態になり、それから、弁体がポートから離れた状態になる。弁体の一部がポート内に位置する状態では、弁体の一部(突出部)によってポートと第一作動流体室とが区画されているときに、連通路によってポートと第一作動流体室とが連通する。従って、微小開度時における弁体の位置変化に対する作動流体の流路の面積変化を小さくすることができる。
[0031]
 (6) ショックアブソーバであって、
 前記ショックアブソーバは、(1)~(5)のいずれか1の減衰力制御弁を備えていることが好ましい。
[0032]
 (6)の構成によれば、(1)~(5)のいずれか1の減衰力制御弁を備えるので、精度良く制御可能な減衰力の範囲が広く、高い応答性を実現できる。
[0033]
 (7) (6)のショックアブソーバであって、
 前記ショックアブソーバは、前記減衰力制御弁において、前記第一作動流体室内の作動流体が前記ポートを介して前記第一作動流体室外へ排出される方向に作動流体を流すように構成されていることが好ましい。
[0034]
 (7)の構成によれば、減衰力制御弁において、弁体の位置が比較的安定する方向に作動流体を流すことができる。従って、精度良く制御可能な減衰力の範囲がより広く、より高い応答性を実現できる。
[0035]
 この発明の上述の目的およびその他の目的、特徴、局面および利点は、添付図面に関連して行われる以下のこの発明の実施形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。

発明の効果

[0036]
 本発明によれば、微小開度時における弁体の位置制御性に優れ、精度良く制御可能な開度の範囲が広い減衰力制御弁を提供できる。

図面の簡単な説明

[0037]
[図1] (a)は、本発明の一実施形態に係る減衰力制御弁を模式的に示す縦断面図であり、(b)は、その部分拡大断面図である。
[図2] 図1に示す減衰力制御弁の全閉時(a)、微小開度時(b)、全開時(c)の様子を模式的に示す縦断面図である。
[図3] (a)は、図1に示す弁体の下流側端を模式的に示す部分拡大側面図であり、(b)は、(a)のA方向視図であり、(c)は、(a)に示す弁体を反対方向Uに見た図である。
[図4] (a)は、弁体の下流側端の変形例を模式的に示す部分拡大側面図であり、(b)は、(a)のA方向視図であり、(c)は、(a)に示す弁体を反対方向Uに見た図である。
[図5] (a)~(i)は、弁体の下流側端形状の例を模式的に示す側面図である。
[図6] 図1に示す減衰力制御弁を備えたショックアブソーバの一例を示す油圧回路図である。
[図7] 図1に示す減衰力制御弁を備えたショックアブソーバの一例を示す油圧回路図である。
[図8] 微小開度時における従来の減衰力制御弁を模式的に示す部分拡大断面図である。

発明を実施するための形態

[0038]
 以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。
 図1(a)は、本発明の一実施形態に係る減衰力制御弁10を模式的に示す縦断面図であり、(b)は、その部分拡大断面図である。
 図1(a)では、減衰力制御弁10の全閉時の様子を示しており、(b)では、微小開度時の様子を示している。
 以下の説明においては、第一作動流体室30の作動流体が第一ポート30aを介して排出される方向を、下流方向Dと称する。また、弁体20の軸線方向Sに沿って下流方向Dと反対の方向を、反対方向Uと称する。
[0039]
 減衰力制御弁10は、中空筒状の外筒11(ハウジング)を備える。外筒11は、下流方向D側に開口11aを備え、反対方向U側に開口11bを備える。外筒11の開口11bには、内筒12が嵌め込まれている。外筒11の反対方向U側端は、内側に曲げられ、軸線方向Sにおいて内筒12と当接しており、これにより、外筒11と内筒12とが防止されている。外筒11は、軸線方向Sにおける略中央部において軸心に向かって環状に突出するフランジ部11cを有する。フランジ部11cは、その内縁部において開口11bに向かって延びる筒状部11dを有する。筒状部11dには、筒状のガイド部材13が挿入される。ガイド部材13は、下流方向D側にフランジ部13aを有する。フランジ部11c、13aは、互いに当接している。これにより、外筒11内において、ガイド部材13の反対方向U側への移動が規制される。ガイド部材13は、ガイド孔13bを備えている。ガイド孔13bには、中空円筒状の弁体20が摺動可能に挿入されている。
[0040]
 弁体20は、下流方向D側の端面20aと、反対方向U側の端面20bとを有している。弁体20は、端面20aから端面20bまで延びる通路21が形成されている。通路21は、下流方向D側の端面20aを含む大径部21aと、大径部21aの反対方向U側端から第二作動流体室40に向けて延びる連通部21bとを含む。連通部21bは、柱状空間であり、径は一定である。弁体20の下流方向D側の端面20aにおける通路21(大径部21a)の開口面積は、連通部21bの開口面積よりも大きい。通路21において、連通部21bの径が最も小さい。即ち、減衰力制御弁10において、連通部21bが、通路21内の最小径部である。軸線方向Sにおける大径部21aと連通部21bとの境界は、第一作動流体室30内に位置している。
[0041]
 弁体20の下流方向D側の端面20aは、第一作動流体室30の第一ポート30aと対向している。端面20aは、第一作動流体室30の壁面(底面26a)と当接しない。弁体20は、非磁性材料によって構成される。筒状部11dの反対方向U側に、中空筒状の支持部材14が設置されている。支持部材14は、筒状部11dと同軸上において筒状部11dと対向する。支持部材14は、下流方向D側に形成された開口14aと、反対方向U側に形成された開口14bと、軸線方向Sにおける略中央部において軸心に向かって環状に突出するガイド部14cとを有する。ガイド部14cの内周側には、円環状の軸受20cが設置されている。軸受20cには、弁体20が挿通されており、軸受20cは、弁体20を摺動可能に支持する。支持部材14の内周面において、ガイド部14cよりも開口14b側には、バネ受け部材15が固定されている。バネ受け部材15の外周面には、支持部材14とバネ受け部材15との間を密閉するための環状シール16(例えば、Oリング)が設けられている。支持部材14の反対方向U側端には、キャップ17が設けられている。キャップ17は、開口14bを塞いでいる。支持部材14内において、ガイド部14cとバネ受け部材15との間には、第二作動流体室40が形成されている。
[0042]
 第二作動流体室40内に弁体20の端面20bが露出している。第二作動流体室40内において、弁体20の端面20bと、バネ受け部材15とによって、コイルバネ18が支持される。コイルバネ18は、弁体20を下流方向Dに向けて付勢している。筒状部11dと支持部材14とを接続するように、筒状の筒部材19が設けられている。筒部材19は、非磁性材料によって構成される。外筒11内には、ボビン22が設けられている。ボビン22は、支持部材14の外周面、及び筒部材19の外周面を覆う。ボビン22には、ソレノイドコイル23が巻かれている。外筒11の内周面において、ボビン22と、内筒12との間には、円環板状のキャップ24が取り付けられている。キャップ24は、磁性材料(例えば鉄)によって構成される。
[0043]
 弁体20の外周面において、ガイド部材13と、ガイド部14cとの間には、筒状のプランジャ25が固定されている。筒状部11dの内径は、プランジャ25の外径よりも大きい。また、支持部材14において、ガイド部14cよりも開口14a側の部分の内径は、プランジャ25の外径よりも大きい。したがって、プランジャ25は、ガイド部材13とガイド部14cとの間において軸線方向Sに移動できる。減衰力制御弁10においては、ソレノイドコイル23によって発生される磁界の磁束密度を調整することによって、プランジャ25をガイド部材13とガイド部14cとの間で軸線方向Sに移動させることができる。それにより、弁体20が軸線方向Sに移動する。ソレノイドコイル23とコイルバネ18とはソレノイドを構成する。プランジャ25の設置空間25aは、筒状部11d、ガイド部材13、ガイド部14cおよび筒部材19によって形成される。設置空間25a内にも、作動流体HOが充填されている。空間25aは、弁体20の外周面とガイド部材13の内周面との隙間を介して第一作動流体室30に連通している。空間25aは、弁体20の外周面とガイド部14cの内周面との隙間を介して第二作動流体室40に連通している。
[0044]
 外筒11内において開口11a側には、ガイド部材13のフランジ部13aに接触するように、有底の略円筒形状のバルブヘッド26が設置されている。バルブヘッド26は、有底筒状を有する。バルブヘッド26の底面26aの中央には、第一ポート30aが形成されている。第一ポート30aは、弁体20の端面20aと対向する位置に設置されている。バルブヘッド26では、第一ポート30aから下流方向Dに向けて、作動流体路31が延びている。バルブヘッド26は、バルブヘッド26の外周壁26cに、第二ポート30bを備えている。バルブヘッド26では、第二ポート30bから径方向に向けて、作動流体路32が延びている。
[0045]
 バルブヘッド26とガイド部材13とによって、第一作動流体室30が構成されている。第一作動流体室30は、ガイド孔13bを備えている。第一作動流体室30と第二作動流体室40とは、弁体20を挟んで対向配置されている。弁体20の端面20aは、第一作動流体室30側に配置されている。第一作動流体室30と第二作動流体室40とは、弁体20の通路21を介して連通している。弁体20の外周面の周囲には、第一作動流体室30内の空間が位置している。作動流体は、作動流体路32から弁体20の径方向に沿って第一作動流体室30内に流入する。
[0046]
 第一作動流体室30内では、ガイド部材13の下流側面13cと、バルブヘッド26の底面26aとが軸線方向Sに沿って対向している。第一作動流体室30内において、弁体20の外周には、固定具としてのサークリップ33が固定されている。なお、固定具はサークリップに限定されない。
[0047]
 サークリップ33の下流方向D側において、サークリップ33とバルブヘッド26の底面26aとの間に、付勢体としてのコイルバネ34が設置されている。コイルバネ34には、弁体20が挿通されている。下流方向Dに近づくにつれて、コイルバネ34の径は大きくなっている。従って、作動流体路32から第一作動流体室30を介して作動流体路31に至る作動流体の流路が、コイルバネ34によって妨げられ難い。
[0048]
 固定具としてのサークリップ33の反対方向U側において、サークリップ33とガイド部材13の下流側面13cとの間に、付勢体としてのコイルバネ35が設置されている。コイルバネ35には、弁体20が挿通されている。反対方向Uに近づくにつれて、コイルバネ35の径が大きくなっている。
[0049]
 コイルバネ18、34、35は、軸線方向Sに沿って、弁体20に対して力を加える。減衰力制御弁10では、ソレノイドコイル23の非通電時に、コイルバネ18、34、35によって、弁体20が移動し、弁体20が第一ポート30aを塞ぐ。なお、付勢体は、コイルバネに限定されず、例えば、板バネ等の従来公知の付勢体を採用できる。
[0050]
 次に、図1(b)を用いて、弁体20の先端形状について説明する。
 図中、符号50は、全閉時(図1参照)に第一ポート30aと対応する閉塞部である。言い換えると、閉塞部50が、弁体20の軸線方向において第一ポート30aと同位置に存在するとき、減衰力制御弁10は閉状態である。
[0051]
 弁体20において、閉塞部50の下流方向D側には、突出部51が位置する。弁体20の端面20aは、平坦部20dと、平坦部20dから反対方向Uに向けて傾斜する傾斜部20eとからなる。傾斜部20eは、外周方向を向いている。図1(b)に示す微小開度時、突出部51における弁体20の外周には、第一ポート30aと第一作動流体室30とを連通するための連通路52が形成されている。また、連通路52は、図1(b)に示すように弁体20の外周の一部(図中では略半分)に形成されている。このように、連通路52は、弁体20の軸線方向Sからみて弁体20の軸線Cを基準として非点対称に配置されている。即ち、弁体20の軸線Cを基準として、弁体20の外周において偏在している。
[0052]
 図1(b)に示す微小開度時では、閉塞部50の下流方向Dに位置する突出部51は、第一ポート30a内に位置する一方、連通路52は、第一ポート30aと第一作動流体室30とを連通する。このように、減衰力制御弁10では、突出部51の一部が第一ポート30a内に位置しつつ、連通路52を介して、第一ポート30aと第一作動流体室30とが連通する。
[0053]
 次に、図2を用いて、減衰力制御弁の動作について説明する。
 図2は、図1に示す減衰力制御弁の全閉時(a)、微小開度時(b)、全開時(c)の様子を模式的に示す縦断面図である。
[0054]
 ソレノイドコイル23の非通電時には、図2(a)に示すように、コイルバネ18、34、35により、弁体20が下流方向D側に位置し、第一ポート30aが閉じられている。これにより、作動流体路32から第一作動流体室30を介して作動流体路31に至る流路(図2(b)、(c)における流路T)が遮断される。
[0055]
 弁体20の端面20a(図1参照)の略半分には、スラント加工が施されている。これにより、端面20aは、平坦部20dと、平坦部20dから反対方向Dに向けて傾斜する傾斜部20eとからなる。図2(a)では、平坦部20dは、第一ポート30aよりも下流方向D側に位置し、作動流体路31に入り込んでいる。傾斜部20eの反対方向U側の端縁は、弁体20の軸線方向Sにおいて第一ポート30aと同位置に存在する。
[0056]
 ソレノイドコイル23に通電され、減衰力制御弁10が微小開度(例えば、約0.5mm)に調整されるときには、図2(b)に示すように、平坦部20dと第一ポート30aとが弁体20の軸線方向Sにおいて同位置に存在する。一方、傾斜部20eと、第一ポート30aとの間には間隔が空いている。この間隔が、作動流体の流路Tである。微小開度時では、作動流体の流路Tが狭いので、流路Tを通過する作動流体の流れXは比較的速い。作動流体の流れXは、作動流体路31の内壁に衝突し、流れXの一部は、そのまま下流方向Dに向かう。また、流れXの一部は、反対方向Uに向かう流れYになる。弁体20の下流方向D側端には、大径部21aが形成されているので、作動流体の流れYは、大径部21a内で渦を成して拡散しながら作動流体の流れXに戻り易い。つまり、大径部21aは、整流作用を有し、作動流体の流れを下流方向Dに向けて整える。これにより、作動流体路31と第二作動流体室40との圧力差の増大が防止され、第一ポート30aに向けて弁体20に加わる力を抑制できる。また、大径部21aが形成されているので、作動流体の流れXが端面20a(傾斜部20e)に沿って流れる距離が短い。従って、第一ポート30aに向けて弁体20に加わる力を抑制することができる。これにより、減衰力制御弁10は、微小開度時における弁体20の位置制御性に優れ、精度良く制御可能な開度の範囲が広く、より高い応答性を実現できる。
[0057]
 また、図2(b)に示すように、弁体20の外周縁の一部が第一ポート30a内に位置しているとき、流路Tは、弁体20の外周縁の一部と第一ポート30aの外周縁の一部との間隔である。従って、弁体20のストローク(軸線方向Sの変位量)に対する流路Tの開口面積の変化が比較的小さい。
[0058]
 ソレノイドコイル23に通電され、減衰力制御弁10の開度が最大(例えば、約2mmの間隔)に調整されるときには、図2(c)に示すように、弁体20が第一ポート30aから離れる。弁体20と第一ポート30aとが離れているときには、流路Tは、弁体20の全外周縁と第一ポート30aの全外周縁との間隔である。従って、弁体20のストロークに対する流路Tの開口面積の変化が比較的大きい。
[0059]
 このように、減衰力制御弁10では、微小開度時には、弁体20のストロークに対する流路Tの開口面積の変化が小さく、開度が大きい時には、弁体20のストロークに対する流路Tの開口面積の変化が大きい。これにより、微小開度時における鋭敏な減衰力の制御特性を抑制しつつ、精度良く制御可能な開度の範囲を広げることができる。
[0060]
 
 図3(a)は、図1に示す弁体の下流側端を模式的に示す部分拡大側面図であり、(b)は、(a)のA方向視図であり、(c)は、(a)に示す弁体を反対方向Uに見た図である。
[0061]
 図3に示すように、弁体20には、外周テーパ部20fが形成されている。軸線方向Sにおいて、外周テーパ部20fの長さは、大径部21aの長さよりも短い。
[0062]
 外周テーパ部20fは、突出部51に形成されている。突出部51が第一ポート部30a内に位置するとき(図1参照)、外周テーパ部20fにおいて、第一ポート部30aと第一作動流体室30とが連通する。外周テーパ部20fは、連通路を構成する。外周テーパ部20fでは、下流方向Dに近づくにつれて弁体20の肉厚は薄くなるが0にならない。従って、外周テーパ部20fでは、第一作動流体室30と弁体20の通路21とは直接連通しない。
[0063]
 傾斜部20eも、上述したように連通路52(図1(b)参照)を構成する。傾斜部20eでは、第一作動流体室30と第一ポート30aとが連通し、且つ第一作動流体室30と弁体20の通路21とが直接連通する。このように、外周テーパ部20fにより構成される連通路と、傾斜部20eにより構成される連通路とは異なる。本発明における連通路は、第一作動流体室30と、第一ポート30a及び通路21とを連通することが好ましい。作動流体をよりスムーズに流すことができるからである。なお、外周テーパ部20fと軸線方向Sとが成す角は、特に限定されないが、例えば、10°以下であることが好ましい。
[0064]
 次に、本発明の他の実施形態について、図4を用いて説明する。
 図4(a)は、弁体の下流側端の変形例を模式的に示す部分拡大側面図であり、(b)は、(a)のA方向視図であり、(c)は、(a)に示す弁体を反対方向Uに見た図である。
[0065]
 図4に示す弁体20は、大径部21aの形状を除いて、図3に示す弁体と同じである。図4では、図1及び図2に示す構成と同じ構成については同じ符号を付しており、以下において、その説明を省略又は簡略化する。
[0066]
 図4に示す大径部21aは、円柱状の空間を有している。図4に示す弁体20であっても、図1~3に示す弁体20と同様に、連通路から流入する作動流体は、図2(b)に示す作動流体の流れXのように流れる。
[0067]
 図5(a)~(i)は、弁体の下流側端形状の例を模式的に示す縦断面図である。
[0068]
 図5(a)では、弁体20の下流方向D側の端面20aを含むように、円筒状の大径部21aが形成されている。大径部21aの反対方向U側には連通部21bが形成されている。弁体20の軸線Cは、連通部の軸線と同じである。弁体20の軸線Cは、大径部21aの軸線C´と異なっている。また、端面20aの外周縁には、外周テーパ部20fが形成されている。外周テーパ部20fによって連通路が形成される。
[0069]
 図5(b)では、弁体20の下流方向D側の端面20aを含むように、大径部21aが形成されている。大径部21aは、下流方向D側に位置する円筒状の部分と、反対方向U側に位置するテーパ状の部分とからなり、円筒状の部分とテーパ状の部分とでは、軸線C´が共通しているが、軸線C´は、弁体20の軸線Cと異なっている。また、端面20aの外周縁には、外周テーパ部20fが形成されている。外周テーパ部20fによって連通路が形成される。
[0070]
 図5(c)では、弁体20の下流方向D側の端面20aを含むように、大径部21aが形成されている。大径部21aは、テーパ形状を有している。端面20aの外周縁には、外周テーパ部20fが形成されている。外周テーパ部20fによって連通路が形成される。
[0071]
 図5(d)では、弁体20の下流方向D側に端面20aを含むように、円筒状の大径部21aが形成されている。弁体20と大径部21aとでは軸線が合致している。また、端面20aの外周側には、外周テーパ部20fが形成されている。外周テーパ部20fによって連通路が形成される。
[0072]
 図5(e)では、弁体20の下流方向D側の端面20aを含むように、大径部21aが形成されている。大径部21aは、下流方向D側に位置する円筒状の部分と、反対方向U側に位置するテーパ状の部分とからなり、弁体20の軸線と、円筒状の部分及びテーパ状の部分の軸線とが共通している。また、端面20aの外周側には、外周テーパ部20fが形成されている。外周テーパ部20fによって連通路が形成される。
[0073]
 図5(f)は、図3と同形状の弁体を示している。図5(f)では、弁体20の下流方向D側に大径部21aが形成されている。大径部21aは、テーパ形状を有している。端面20aの外周縁には、外周テーパ部20fが形成されている。また、弁体20の端面20aの略半分には、スラント加工が施されており、端面20aは、平坦部20dと、平坦部20dから反対方向Dに向けて傾斜する傾斜部20eとからなる。傾斜部20eは平坦である。傾斜部20eと外周テーパ部20fとによって連通路が形成される。
[0074]
 図5(g)の弁体20は、端面20aにスラント加工が施されている点を除いて、図5(d)と同様である。傾斜部20eと外周テーパ部20fとによって連通路が形成される。
[0075]
 図5(h)の弁体20は、端面20aにスラント加工が施されている点を除いて、図5(e)と同様である。傾斜部20eと外周テーパ部20fとにとって連通路が形成される。
[0076]
 図5(i)の弁体20は、傾斜部20eが曲面(凸面)である点を除いて、図5(f)の弁体20と同じである。傾斜部20eと外周テーパ部20fとにとって連通路が形成される。
[0077]
 図5(j)の弁体20は、弁体20の軸線Cと、テーパ状の大径部21aの軸線C´とがズレている点を除いて、図5(f)と同じである。傾斜部20eと外周テーパ部20fとにとって連通路が形成される。図5に示すように、本発明では、弁体20の端面20aの一部に形成された傾斜部20eを備え、傾斜部20eは、弁体20の径方向の外側をむいていることが好ましい。比較的開度の小さいときに弁体20のストロークによる連通路の開口面積の変化を小さくできるからである。
[0078]
 次に、本発明の一実施形態に係るショックアブソーバ100について説明する。
 図6及び図7は、図1に示す減衰力制御弁10を備えたショックアブソーバ100を示す油圧回路図である。
[0079]
 ショックアブソーバ100は、油圧シリンダ112を備える。油圧シリンダ112内には、ピストンアセンブリ144が設置されている。油圧シリンダ112内は、ピストンアセンブリ144によって、2つの作動流体室158、160に区画されている。ピストンロッド162の一端は、油圧シリンダ112の一端側から、油圧シリンダ112内に挿入されており、ピストンアセンブリ144に固定されている。ピストンロッド162の他端は、車両の車体側(図示せず)に接続されている。また、油圧シリンダ112の他端は、車体の車輪側(図示せず)に接続されている。
[0080]
 ピストンアセンブリ144は、複数枚のシムからなる減衰バルブ148減衰バルブ148、150を備えている。減衰バルブ148は、作動流体室160から作動流体室158へ作動流体を流すことができ、このときに減衰力が発生する(伸び減衰)。その逆方向には作動流体を流すことはできない。減衰バルブ150は、作動流体室158から作動流体室160へ作動流体を流すことができ、このときに減衰力が発生する(縮み減衰)。
[0081]
 作動流体室158と、リザーバタンク114との間には、減衰力調整装置116が設置されている。減衰力調整装置116では、減衰力制御弁10と、複数枚のシムからなる減衰バルブ116bと、チェックバルブ116cとが並列に設置されている。減衰バルブ116bは、油圧シリンダ112側からリザーバタンク114側に作動流体を流すことができ、その逆方向には作動流体を流すことができない。チェックバルブ116cは、リザーバタンク114側から油圧シリンダ112側に作動流体を流すことができる。その逆方向には作動流体を流すことができない。リザーバタンク114内には、作動流体Oと気体Gとが収容されており、作動流体Oと気体Gとが界面OSで接触している。作動流体Oは、例えば、作動油等である。気体Gは、例えば、窒素ガスや空気等である。
[0082]
 減衰力制御弁10は、図2(b)、(c)に示す状態においては、作動流体を、作動流体路32から第一作動流体室30を介して作動流体路31に向かう方向に流すことができる。また、減衰力制御弁10は、その逆方向に作動流体を流すことも可能である。また、減衰力制御弁10は、図6及び図7に示すように、減衰バルブ116bに対するバイパスとして設置されている。
[0083]
 ピストンアセンブリ144がX1方向に移動するとき、油圧シリンダ112内に入ったピストンロッド162の体積分の作動流体が、油圧シリンダ112から排出され、リザーバタンク114に移動する。減衰力制御弁10と減衰バルブ116bとは互いにバイパスの関係にあり、油圧シリンダ112から排出された作動流体HOは、図6に示すように、減衰力制御弁10および減衰バルブ116bを通過してリザーバタンク114に流入する。減衰力制御弁10では、作動流体が第一作動流体室30から第一ポート30aを介して排出される向きに流れる。減衰力調整装置116(減衰バルブ116b及び減衰力制御弁10)を流れる時の抵抗が、油圧シリンダ112内の作動流体の圧力を増大させ、ピストンロッド162のX1方向の移動に抵抗する力(シリンダ内の作動流体の圧力×ピストンロッド162の断面積)、即ち圧縮減衰力(1)が発生する。ここで減衰力制御弁10の開度を調整すると、減衰バルブ116bと減衰力制御弁10との流量の割合が変化するので、減衰バルブ116の抵抗が調整されて、ピストンロッド162に作用する圧縮減衰力が調整される。また、ピストンアセンブリ144の減衰バルブ150にも作動流体室158から作動流体室160の方向に作動流体が流れ、そのときの抵抗がピストンアセンブリ144に作用し、ピストンロッド162に圧縮減衰力(2)として付加される。
[0084]
 一方、ピストンアセンブリ144がX2方向に移動するとき、図7に示すように、ピストンロッド162が退出した体積分の作動流体が、チェックバルブ116cを抵抗なく通過して油圧シリンダ112に戻る。
 このように、ショックアブソーバ100では、圧縮時の減衰力の一部を減衰力制御弁10により調整可能である。具体的には、ショックアブソーバ100では、圧縮時の減衰力(即ち、上記の圧縮減衰力(1)及び(2))のうち、ピストンロッド162の進入により発生する圧縮減衰力(1)を調整することができる。
 なお、本発明は、この例に限定されず、ショックアブソーバ100は、例えば、圧縮時の減衰力の全部を減衰力制御弁10により調整可能であってもよい。具体的には、図6及び図7に示す例において、減衰バルブ150に代えて、作動流体室158から作動流体室160に作動流体を流すチェックバルブが設けられていてもよい。このように構成されたショックアブソーバ100では、ピストンアセンブリ144がX1方向に移動するとき、上記の圧縮減衰力(1)が生じるが、上記の圧縮減衰力(2)が生じない。従って、圧縮減衰力(1)を調整することにより、圧縮時の減衰力の全部を調整することができる。
[0085]
 以上、減衰力制御弁10では、弁体20の突出部51の外周には、第一ポート30aと第一作動流体室30とを連通するための連通路が形成されている。具体的には、傾斜部20eと外周テーパ部20fとによって連通路が形成されている。従って、弁体20が、閉塞部50により第一ポート30aを閉じた状態から、反対方向Uに移動するときに、先ず、突出部51が第一ポート50内に位置する状態になる。それから、弁体20が第一ポート30aから離れた状態になる。これにより、微小開度時における弁体20の位置変化に対する作動流体の流路の面積変化を小さくすることができる。その結果、微小開度時における鋭敏な減衰力の制御特性を抑制することができ、微小開度時における弁体のストロークと作動流体の圧力との関係を線形に近付けることができる。更に、作動流体の流路の面積変化を小さくすることができるので、作動流体の流れXの速度変化を緩和することができる。従って、流体力の変動を抑え、これにより、弁体の位置を安定させることができる。
[0086]
 また、減衰力制御弁10では、連通路52は、弁体20の軸線Cを基準として非点対称に配置されているので、作動流体の流れを安定させることができる。これにより、流体力の変動を抑えることができ、その結果、軸線方向における弁体の位置制御の安定性及び正確性を向上させることができる。
[0087]
 また、減衰力制御弁10では、連通路52は、弁体20の外周の一部に形成されているので、微小開度時における弁体20の位置制御性の改善と、弁の小型化及び軽量化とを高いレベルで実現できる。
[0088]
 また、弁体20が外周テーパ部20fを備え、弁体20の肉厚が、弁体20の下流方向D側に近づくにつれて薄くなる場合には、より円滑に弁体20の端面20aを第一ポート30aに挿入できる。
[0089]
 さらに、突出部51が第一ポート30a内に位置するときに、連絡路52が第一ポート30aと第一作動流体室30とを連通する。従って、減衰力制御弁10の流路が閉状態から開くときに、先ず、弁体20の一部が第一ポート30a内に残った状態になり、それから、弁体20が第一ポート30aから離れた状態になる。突出部51が第一ポート20内に位置する状態では、図1(b)に示すように、突出部51によって第一ポート30aと第一作動流体室30とが区画されているときに、連通路52によって第一ポート30aと第一作動流体室30とが連通する。従って、微小開度時における弁体20の位置変化に対する作動流体の流路の面積変化を小さくすることができる。
[0090]
 上述の実施形態では、減衰力制御弁10を油圧シリンダ112に接続する場合について説明したが、減衰力調整装置の配置方法は上述の例に限定されない。図6及び図7に示すショックアブソーバ100は、減衰力制御弁10に対して作動流体を両方向に流すことができるように構成されていたが、本発明は、この例に限定されない。本発明では、少なくとも第一作動流体室30から第一ポート30aを介して作動流体を排出する方向に作動流体を流すことができるように構成されていることが好ましい。また、ショックアブソーバ100は、伸長時に第一作動流体室30から第一ポート30aを介して作動流体を排出する方向に作動流体を流すように構成されていてもよく、縮退時に第一作動流体室30から第一ポート30aを介して作動流体を排出する方向に作動流体を流すように構成されていてもよい。
[0091]
 上述の実施形態では、円筒状の弁体について説明したが、弁体の形状は上記の例に限定されない。たとえば、弁体が中空角筒形状を有していてもよい。また、作動流体路の形状も上述の例に限定されず、作動流体路の断面が多角形状であってもよく、楕円形状であってもよい。また、弁体20の端面20a全体が軸線方向Sに対して傾斜していてもよい。また、本実施形態では、ソレノイドとして、比例ソレノイドが用いられる場合について説明した。但し、本発明は、この例に限定されず、ソレノイドとして、例えば、ON/OFFソレノイドが用いられてもよい。
[0092]
 以上、この発明の好ましい実施形態について説明されたが、この発明の範囲および精神を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能であることは明らかである。この発明の範囲は、添付された請求の範囲のみによって限定される。

符号の説明

[0093]
10 減衰力制御弁
20 弁体
21 通路
21a 大径部
21b 連通部
23 ソレノイドコイル
26 バルブベッド
30 第一作動流体室
30a 第一ポート
40 第二作動流体室
50 閉塞部
51 突出部
52 連通路

請求の範囲

[請求項1]
 減衰力制御弁であって、
 前記減衰力制御弁は、
ソレノイドにより直線往復動する中空筒状の弁体と、
前記弁体が挿通されるガイド孔と、前記弁体の端面と対向する位置に形成されたポートとを備えた第一作動流体室と、
前記弁体内の通路を介して、前記第一作動流体室と連通する第二作動流体室と、
を備え、
 前記弁体の前記端面と前記ポートとの間隙は、作動流体が通過する流路であり、
 前記流路の開度は、前記弁体の前記端面の位置によって変更され、これにより減衰力が制御され、
 前記流路の開度が最小のとき、前記弁体と前記ポートとの間隙が全閉となる一方、前記流路の開度が最大のとき、前記弁体は前記ポートから離れており、
 前記弁体は、全閉時に前記ポートと対応する閉塞部を備え、
 前記閉塞部よりも、前記第一作動流体室内の作動流体が前記ポートを介して前記第一作動流体室外へ排出される流れの向きの下流側において、前記弁体の外周には、前記ポートと前記第一作動流体室とを連通するための連通路が形成されている。
[請求項2]
 請求項1に記載の減衰力制御弁であって、
 前記連通路は、前記弁体の軸線方向からみて前記弁体の軸線を基準として非点対称に配置されている。
[請求項3]
 請求項1又は2に記載の減衰力制御弁であって、
 前記連通路は、前記弁体の外周の一部に形成されている。
[請求項4]
 請求項1~3のいずれか1に記載の減衰力制御弁であって、
 前記弁体の先端側の外周にはテーパが形成されており、前記弁体の肉厚は、前記弁体の下流側に近づくにつれて薄くなる。
[請求項5]
 請求項1~4のいずれか1に記載の減衰力制御弁であって、
 前記連絡路は、前記閉塞部の下流側の前記弁体の一部が前記ポート内に位置するときに前記ポートと前記第一作動流体室とを連通する。
[請求項6]
 ショックアブソーバであって、
 前記ショックアブソーバは、請求項1~5のいずれか1に記載の減衰力制御弁を備えている。
[請求項7]
 請求項6に記載のショックアブソーバであって、
 前記ショックアブソーバは、前記減衰力制御弁において、前記第一作動流体室内の作動流体が前記ポートを介して前記第一作動流体室外へ排出される方向に作動流体を流すように構成されている。

補正された請求の範囲(条約第19条)
[ 2013年6月4日 ( 04.06.2013 )  国際事務局受理 ]

[1]
[補正後] 減衰力制御弁であって、
 前記減衰力制御弁は、
ソレノイドにより直線往復動する中空筒状の弁体と、
前記弁体が挿通されるガイド孔と、前記弁体の端面と対向する位置に形成されたポートとを備えた第一作動流体室と、
前記弁体内の通路を介して、前記第一作動流体室と連通する第二作動流体室と、
を備え、
 前記弁体の前記端面と前記ポートとの間隙は、作動流体が通過する流路であり、
 前記流路の開度は、前記弁体の前記端面の位置によって変更され、これにより減衰力が制御され、
 前記流路の開度が最小のとき、前記弁体と前記ポートとの間隙が全閉となる一方、前記流路の開度が最大のとき、前記弁体は前記ポートから離れており、
 前記弁体は、全閉時に前記ポートと対応する閉塞部を備え、
 前記第一作動流体室と第二作動流体室とを連通する通路が設けられた前記弁体のうち、前記閉塞部よりも、前記第一作動流体室内の作動流体が前記ポートを介して前記第一作動流体室外へ排出される流れの向きの下流側における外周には、前記ポートと前記第一作動流体室とを連通するための連通路が形成されている。
[2]
 請求項1に記載の減衰力制御弁であって、
 前記連通路は、前記弁体の軸線方向からみて前記弁体の軸線を基準として非点対称に配置されている。
[3]
 請求項1又は2に記載の減衰力制御弁であって、
 前記連通路は、前記弁体の外周の一部に形成されている。
[4]
 請求項1~3のいずれか1に記載の減衰力制御弁であって、
 前記弁体の先端側の外周にはテーパが形成されており、前記弁体の肉厚は、前記弁体の下流側に近づくにつれて薄くなる。
[5]
 請求項1~4のいずれか1に記載の減衰力制御弁であって、
 前記連絡路は、前記閉塞部の下流側の前記弁体の一部が前記ポート内に位置するときに前記ポートと前記第一作動流体室とを連通する。
[6]
 ショックアブソーバであって、
 前記ショックアブソーバは、請求項1~5のいずれか1に記載の減衰力制御弁を備えている。
[7]
 請求項6に記載のショックアブソーバであって、
 前記ショックアブソーバは、前記減衰力制御弁において、前記第一作動流体室内の作動流体が前記ポートを介して前記第一作動流体室外へ排出される方向に作動流体を流すように構成されている。

条約第19条(1)に基づく説明書
(1)出願人は、請求の範囲第1項について補正をしました。この補正は、例えば明細書の[0040]段落に基づくものです。

(2)見解書に示されている文献1,2には、本願請求項1の「前記第一作動流体室と第二作動流体室とを連通する通路が設けられた前記弁体のうち、前記閉塞部よりも、前記第一作動流体室内の作動流体が前記ポートを介して前記第一作動流体室外へ排出される流れの向きの下流側における外周には、前記ポートと前記第一作動流体室とを連通するための連通路が形成されている」ことに対応する事項が開示されていません。
 文献2に示された切欠40aは、減衰力切換えによる衝撃音の発生を防止するためのものです。また、文献2の弁体内には、2つの流体室を連通する通路がありません。
 減衰力制御弁において、弁体内に、第一作動流体室と第二作動流体室とを連通する通路が設けられると、弁体が作動流体の抵抗を受け難く、低電力での弁体の移動が可能になり、弁の小型化及び軽量化が実現します。この反面、抵抗を受け難い弁体は、流体力を受け易くなり、作動流体の流れ速度の変動の影響を受けて弁体の位置が不安定になりやすくなります。
 本願発明によれば、弁体に通路が設けられているので作動流体の抵抗を受け難く、弁の小型化及び軽量化が可能になります。この弁体は、作動流体の流れ速度の変動の影響を受けて位置が不安定になり易くなりますが、この弁体のうち、閉塞部よりも下流側における外周には連通路が形成されているため、作動流体の流路の面積変化を小さくし、作動流体の流れの速度変化を緩和することができます。従って、本願発明によれば、弁を小型化及び軽量化させるとともに、微小開度時における弁体の位置制御性に優れるという、文献1,2の技術にはない課題を解決できます。
 文献2の減衰力調整式緩衝器には、弁体内に通路が設けられていないので、そもそも位置が不安定になり易いという課題は生じません。このような課題が開示も示唆もされていない文献2の切欠40aを、文献1に組み合わせることは、当業者にとって自明ではないと考えます。


図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]