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1. WO2014118888 - 内燃機関の制御装置

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明 細 書

発明の名称 内燃機関の制御装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009   0010   0011   0012  

課題を解決するための手段

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024  

発明の効果

0025  

図面の簡単な説明

0026  

発明を実施するための形態

0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219  

符号の説明

0220  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19  

明 細 書

発明の名称 : 内燃機関の制御装置

技術分野

[0001]
 本発明は、空燃比センサの出力に応じて内燃機関を制御する内燃機関の制御装置に関する。

背景技術

[0002]
 従来から、内燃機関の排気通路に空燃比センサを設け、この空燃比センサの出力に基づいて内燃機関に供給する燃料量を制御する内燃機関の制御装置が広く知られている。斯かる制御装置としては、例えば、排気通路に設けられた排気浄化触媒よりも排気流れ方向上流側に設けられた上流側空燃比センサと、排気浄化触媒よりも排気流れ方向下流側に設けられた下流側空燃比センサとを具備するものが知られている(例えば、特許文献1~4を参照)。
[0003]
 斯かる制御装置では、上流側空燃比センサの出力に基づいて排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比が目標空燃比となるように燃料噴射量をフィードバック制御している。加えて、斯かる制御装置では、下流側空燃比センサの出力に基づいて、燃料噴射量のフィードバック制御における目標空燃比をフィードバック制御している。
[0004]
 特に、特許文献1に記載の制御装置では、下流側空燃比センサによって検出された排気ガスの空燃比(以下、「排気空燃比」ともいう)が理論空燃比よりもリッチ(以下、「リッチ空燃比」ともいう)であるときには目標空燃比が所定値だけリーン側へ補正される。一方、下流側空燃比センサによって検出された排気空燃比が理論空燃比よりもリーン(以下、「リーン空燃比」ともいう)であるときには目標空燃比が所定値だけリッチ側へ補正される。そして、この所定値は、単位排気ガス量あたりの触媒容量に応じて変化せしめられ、排気ガス量が多いほど、すなわち単位排気ガス量あたりの触媒容量が小さいほど、小さい値とされている。
[0005]
 ここで、単位排気ガス量あたりの触媒容量が小さくなると、触媒の浄化能力が低くなって触媒上流の空燃比に対する触媒下流の空燃比の応答性が遅くなる。したがって、特許文献1に記載の制御装置によれば、上述するように所定値を設定することで、触媒下流の空燃比の応答性が遅くなるときに、下流側空燃比センサに基づいた目標空燃比の補正における応答速度を遅くすることができるとされている。そして、その結果、特許文献1に記載の制御装置によれば、空燃比を精度良く制御することができるとしている。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2006-153026号公報
特許文献2 : 特開平08-232723号公報
特許文献3 : 特開2009-162139号公報
特許文献4 : 特開2001-234787号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 ところで、上述したように空燃比の制御を行った場合には、上流側空燃比センサと下流側空燃比センサとに求められる性能が異なる。
[0008]
 上流側空燃比センサは、その出力に基づいて排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比が目標空燃比となるように燃料噴射量をフィードバック制御するのに用いられる。このとき排気空燃比の検出範囲が狭いと、排気空燃比が或る一定以上高くなるか又は或る一定以上低くなったときに、空燃比センサの出力は一定になる。一方、機関本体から流出して排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比は或る程度変動することから、上流側空燃比センサにおける排気空燃比の検出範囲が狭いと、空燃比センサは適切に排気空燃比を検出することができない。したがって、上流側空燃比センサには、排気空燃比の検出範囲が広いことが要求される。
[0009]
 また、上流側空燃比センサは、排気浄化触媒を流通する前の排気ガスに曝される。すなわち、上流側空燃比センサは、未燃ガス(HCやCO等)、NOx及び酸素等を多量に含んだ排気ガスに曝される。このため、上流側センサには、斯かる排気ガスに曝されても劣化しにくいこと、すなわち、耐久性が高いことも要求される。
[0010]
 一方、下流側空燃比センサについては、排気空燃比の検出精度が高いことが要求される。すなわち、排気ガス中のNOxや未燃ガスは基本的に排気浄化触媒で浄化され、また、排気ガス中の酸素は基本的に排気浄化触媒に吸蔵される。このため、通常、排気浄化触媒からはほぼ理論空燃比の排気ガスのみが排出される。そして、下流側空燃比センサは、斯かる作用を有する排気浄化触媒から排出された排気ガスが理論空燃比から僅かにでもずれた場合に、それを正確に検出することが必要とされる。したがって、下流側空燃比センサに対しては、特定の空燃比付近(特許文献1の場合には理論空燃比付近)における排気空燃比の検出精度が高いことが要求される。
[0011]
 これに対して、上記特許文献1~4のいずれにおいても、上流側空燃比センサとしては排気空燃比に対する出力特性がリニアに変化する空燃比センサを用い、下流側空燃比センサとして排気空燃比に対する出力特性が図9に示したようないわゆる「Z特性」を有する酸素センサを用いている。しかしながら、上流側空燃比センサ及び下流側空燃比センサとして斯かるセンサを用いるだけでは、上述した要求を十分に満たすことはできない。
[0012]
 そこで、上記課題に鑑みて、本発明の目的は、上流側空燃比センサ及び下流側空燃比センサがそれぞれに対する要求を十分に満たすように構成された、内燃機関の制御装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0013]
 上記課題を解決するために、第1の発明では、内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化触媒と、該排気浄化触媒よりも排気流れ方向上流側において前記排気通路に設けられた上流側空燃比センサと、前記排気浄化触媒よりも排気流れ方向下流側において前記排気通路に設けられた下流側空燃比センサと、前記上流側空燃比センサ又は下流側空燃比センサの出力に基づいて内燃機関を制御する機関制御装置とを具備する、内燃機関の制御装置において、前記上流側空燃比センサは、検出対象である排気ガスが流入せしめられる被測ガス室と、ポンプ電流に応じて該被測ガス室内の排気ガスに対して酸素の汲み入れ及び汲み出しを行うポンプセルと、前記被測ガス室内の空燃比に応じて検出値が変化する基準セルと、該検出値が一定になるようにポンプ電流を制御するポンプ電流制御装置と、前記ポンプ電流を当該上流側空燃比センサの出力電流として検出するポンプ電流検出装置とを具備する2セル型の空燃比センサであり、前記下流側空燃比センサは、拡散律速層を介して検出対象である排気ガスに曝される第一電極と、基準雰囲気に曝される第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に配置された固体電解質層と、前記第一電極と前記第二電極との間に電圧を印加する電圧印加装置と、前記第一電極と前記第二電極との間に流れる電流を当該下流側空燃比センサの出力電流として検出する電流検出装置とを具備する1セル型の空燃比センサである、内燃機関の制御装置が提供される。
[0014]
 第2の発明では、第1の発明において、前記機関制御装置は、前記上流側空燃比センサの出力電流が目標空燃比に相当する値となるように前記排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比を制御し、前記目標空燃比は、理論空燃比とは異なる空燃比とされる。
[0015]
 第3の発明では、第2の発明において、前記目標空燃比は、理論空燃比よりもリッチの空燃比と理論空燃比よりもリーンの空燃比との間で交互に切り替えられる。
[0016]
 第4の発明では、第3の発明において、前記機関制御装置は、前記下流側空燃比センサの出力電流に相当する空燃比が理論空燃比からずれて理論空燃比からの差が予め定められた判定基準差以上になったときには、前記目標空燃比を、下流側空燃比センサの出力電流に相当する空燃比が理論空燃比からずれた方向とは反対方向に理論空燃比からずれた空燃比とする。
[0017]
 第5の発明では、第4の発明において、前記判定基準差は、理論空燃比の1%以内の値である。
[0018]
 第6の発明では、第4又は第5の発明において、前記目標空燃比は、その理論空燃比からの差が前記判定基準差よりも大きくなるように設定される。
[0019]
 第7の発明では、第4~第6のいずれか一つの発明において、前記機関制御装置は、前記下流側空燃比センサの出力電流に相当する空燃比が理論空燃比から判定基準差分だけリッチ側にずれたリッチ判定空燃比以下となったときに、前記排気浄化触媒の酸素吸蔵量が最大酸素吸蔵量よりも少ない所定の吸蔵量となるまで、前記目標空燃比を継続的又は断続的に理論空燃比よりもリーンにする酸素吸蔵量増加手段と、前記排気浄化触媒の酸素吸蔵量が前記所定の吸蔵量以上になったときに、該酸素吸蔵量が最大酸素吸蔵量に達することなく零に向けて減少するように、前記目標空燃比を継続的又は断続的に理論空燃比よりもリッチにする酸素吸蔵量減少手段とを具備する。
[0020]
 第8の発明では、第7の発明において、前記酸素吸蔵量増加手段によって継続的又は断続的に理論空燃比よりもリーンにされている期間における前記目標空燃比の時間平均値と理論空燃比との差は、前記酸素吸蔵量減少手段によって継続的又は断続的にリッチにされている期間における前記目標空燃比の時間平均値と理論空燃比との差よりも大きい。
[0021]
 第9の発明では、第4~第6のいずれか一つの発明において、前記機関制御装置は、前記下流側空燃比センサの出力電流に相当する空燃比が理論空燃比から判定基準差分だけリーン側にずれたリーン判定空燃比以下となったときに、前記排気浄化触媒の酸素吸蔵量が零よりも多い所定の吸蔵量となるまで、前記目標空燃比を継続的又は断続的に理論空燃比よりもリッチにする酸素吸蔵量減少手段と、前記排気浄化触媒の酸素吸蔵量が前記所定の吸蔵量以下になったときに、該酸素吸蔵量が零に達することなく最大酸素吸蔵量に向けて増加するように、前記目標空燃比を継続的又は断続的に理論空燃比よりもリーンにする酸素吸蔵量増加手段とを具備する。
[0022]
 第10の発明では、第9の発明において、前記酸素吸蔵量減少手段によって継続的又は断続的に理論空燃比よりもリッチにされている期間における前記目標空燃比の時間平均値と理論空燃比との差は、前記酸素吸蔵量増加手段によって継続的又は断続的にリーンにされている期間における目標空燃比の時間平均値と理論空燃比との差よりも大きい。
[0023]
 第11の発明では、第4~第6のいずれか一つの発明において、前記機関制御装置は、前記下流側空燃比センサの出力電流が理論空燃比よりもリッチなリッチ判定空燃比に相当する値以下となったときに、前記排気浄化触媒に流入する排気ガスの目標空燃比を理論空燃比よりもリーンのリーン設定空燃比まで変化させる空燃比リーン切替手段と、該空燃比リーン切替手段によって前記目標空燃比を変化させた後であって前記下流側空燃比センサの出力電流が理論空燃比よりもリーンなリーン判定空燃比に相当する値以上になる前に前記目標空燃比を前記リーン設定空燃比よりも理論空燃比からの差が小さいリーン空燃比に変化させるリーン度合い低下手段と、前記下流側空燃比センサの出力電流が前記リーン判定空燃比に相当する値以上なったときに、前記目標空燃比を理論空燃比よりもリッチのリッチ設定空燃比まで変化させる空燃比リッチ切替手段と、該空燃比リッチ切替手段によって前記目標空燃比を変化させた後であって前記下流側空燃比センサの出力電流が前記リッチ判定空燃比に相当する値以下となる前に前記目標空燃比を前記リッチ設定空燃比よりも理論空燃比からの差が小さいリッチ空燃比に変化させるリッチ度合い低下手段とを具備する。
[0024]
 第12の発明では、第1~第11のいずれか一つの発明において、前記上流側空燃比センサの基準セルは、前記被測ガス室内の排気ガスに曝される第三電極と、基準雰囲気に曝される第四電極と、前記第三電極と前記第四電極との間に配置された固体電解質層と、前記第三電極と前記第四電極との間の起電力を前記検出値として検出する基準電圧検出装置とを具備する。

発明の効果

[0025]
 本発明によれば、上流側空燃比センサ及び下流側空燃比センサがそれぞれに対する要求を十分に満たすように構成された、内燃機関の制御装置が提供される。

図面の簡単な説明

[0026]
[図1] 図1は、本発明の第一実施形態に係る制御装置が用いられる内燃機関を概略的に示す図である。
[図2] 図2は、排気浄化触媒の酸素吸蔵量と排気浄化触媒から流出する排気ガス中のNOx及び未燃ガスの濃度との関係を示す図である。
[図3] 図3は、下流側空燃比センサの概略的な断面図である。
[図4] 図4は、下流側空燃比センサの動作を概略的に示した図である。
[図5] 図5は、電圧印加装置及び電流検出装置を構成する具体的な回路の一例を示す図である。
[図6] 図6は、下流側空燃比センサの出力特性を示す図である。
[図7] 図7は、上流側空燃比センサの概略的な断面図である。
[図8] 図8は、上流側空燃比センサの動作を概略的に示した図である。
[図9] 図9は、基準セルにおける排気空燃比と起電力との関係を示す図である。
[図10] 図10は、上流側空燃比センサにおける制御基準電圧と出力電流との関係を示した図である。
[図11] 図11は、基準セルにおけるヒステリシスを説明するための図である。
[図12] 図12は、排気浄化触媒の酸素吸蔵量等のタイムチャートである。
[図13] 図13は、排気浄化触媒の酸素吸蔵量等のタイムチャートである。
[図14] 図14は、制御装置の機能ブロック図である。
[図15] 図15は、空燃比補正量の算出制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。
[図16] 図16は、排気浄化触媒の酸素吸蔵量等のタイムチャートである。
[図17] 図17は、排気浄化触媒の酸素吸蔵量等のタイムチャートである。
[図18] 図18は、排気浄化触媒の酸素吸蔵量等のタイムチャートである。
[図19] 図19は、排気浄化触媒の酸素吸蔵量等のタイムチャートである。

発明を実施するための形態

[0027]
 以下、図面を参照して本発明の内燃機関の制御装置について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。図1は、本発明の第一実施形態に係る制御装置が用いられる内燃機関を概略的に示す図である。
[0028]
<内燃機関全体の説明>
 図1を参照すると1は機関本体、2はシリンダブロック、3はシリンダブロック2内で往復動するピストン、4はシリンダブロック2上に固定されたシリンダヘッド、5はピストン3とシリンダヘッド4との間に形成された燃焼室、6は吸気弁、7は吸気ポート、8は排気弁、9は排気ポートをそれぞれ示す。吸気弁6は吸気ポート7を開閉し、排気弁8は排気ポート9を開閉する。
[0029]
 図1に示したようにシリンダヘッド4の内壁面の中央部には点火プラグ10が配置され、シリンダヘッド4の内壁面周辺部には燃料噴射弁11が配置される。点火プラグ10は、点火信号に応じて火花を発生させるように構成される。また、燃料噴射弁11は、噴射信号に応じて、所定量の燃料を燃焼室5内に噴射する。なお、燃料噴射弁11は、吸気ポート7内に燃料を噴射するように配置されてもよい。また、本実施形態では、燃料として排気浄化触媒における理論空燃比が14.6であるガソリンが用いられる。しかしながら、本発明の内燃機関は他の燃料を用いても良い。
[0030]
 各気筒の吸気ポート7はそれぞれ対応する吸気枝管13を介してサージタンク14に連結され、サージタンク14は吸気管15を介してエアクリーナ16に連結される。吸気ポート7、吸気枝管13、サージタンク14、吸気管15は吸気通路を形成する。また、吸気管15内にはスロットル弁駆動アクチュエータ17によって駆動されるスロットル弁18が配置される。スロットル弁18は、スロットル弁駆動アクチュエータ17によって回動せしめられることで、吸気通路の開口面積を変更することができる。
[0031]
 一方、各気筒の排気ポート9は排気マニホルド19に連結される。排気マニホルド19は、各排気ポート9に連結される複数の枝部とこれら枝部が集合した集合部とを有する。排気マニホルド19の集合部は上流側排気浄化触媒20を内蔵した上流側ケーシング21に連結される。上流側ケーシング21は、排気管22を介して下流側排気浄化触媒24を内蔵した下流側ケーシング23に連結される。排気ポート9、排気マニホルド19、上流側ケーシング21、排気管22及び下流側ケーシング23は、排気通路を形成する。
[0032]
 電子制御ユニット(ECU)31はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス32を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)33、ROM(リードオンリメモリ)34、CPU(マイクロプロセッサ)35、入力ポート36および出力ポート37を具備する。吸気管15には、吸気管15内を流れる空気流量を検出するためのエアフロメータ39が配置され、このエアフロメータ39の出力は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。また、排気マニホルド19の集合部には排気マニホルド19内を流れる排気ガス(すなわち、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガス)の空燃比を検出する上流側空燃比センサ40が配置される。加えて、排気管22内には排気管22内を流れる排気ガス(すなわち、上流側排気浄化触媒20から流出して下流側排気浄化触媒24に流入する排気ガス)の空燃比を検出する下流側空燃比センサ41が配置される。これら空燃比センサ40、41の出力も対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。なお、これら空燃比センサ40、41の構成については後述する。
[0033]
 また、アクセルペダル42にはアクセルペダル42の踏込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ43が接続され、負荷センサ43の出力電圧は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。クランク角センサ44は例えばクランクシャフトが15度回転する毎に出力パルスを発生し、この出力パルスが入力ポート36に入力される。CPU35ではこのクランク角センサ44の出力パルスから機関回転数が計算される。一方、出力ポート37は対応する駆動回路45を介して点火プラグ10、燃料噴射弁11及びスロットル弁駆動アクチュエータ17に接続される。なお、ECU31は、各種センサ等の出力に基づいて内燃機関を制御する機関制御装置として機能する。
[0034]
<排気浄化触媒の説明>
 上流側排気浄化触媒20及び下流側排気浄化触媒24は、いずれも同様な構成を有する。排気浄化触媒20、24は、酸素吸蔵能力を有する三元触媒である。具体的には、排気浄化触媒20、24は、セラミックから成る担体に、触媒作用を有する貴金属(例えば、白金(Pt))及び酸素吸蔵能力を有する物質(例えば、セリア(CeO 2))を担持させたものである。排気浄化触媒20、24は、所定の活性温度に達すると、未燃ガス(HCやCO等)と窒素酸化物(NOx)とを同時に浄化する触媒作用に加えて、酸素吸蔵能力を発揮する。
[0035]
 排気浄化触媒20、24の酸素吸蔵能力によれば、排気浄化触媒20、24は、排気浄化触媒20、24に流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン(リーン空燃比)であるときには排気ガス中の酸素を吸蔵する。一方、排気浄化触媒20、24は、流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ(リッチ空燃比)であるときには、排気浄化触媒20、24に吸蔵されている酸素を放出する。なお、「排気ガスの空燃比」は、その排気ガスが生成されるまでに供給された空気の質量に対する燃料の質量の比率を意味するものであり、通常はその排気ガスが生成されるにあたって燃焼室5内に供給された空気の質量に対する燃料の質量の比率を意味する。
[0036]
 排気浄化触媒20、24は、触媒作用及び酸素吸蔵能力を有することにより、酸素吸蔵量に応じてNOx及び未燃ガスの浄化作用を有する。すなわち、図2(A)に示したように、排気浄化触媒20、24に流入する排気ガスの空燃比がリーン空燃比である場合、酸素吸蔵量が少ないときには排気浄化触媒20、24により排気ガス中の酸素が吸蔵され、NOxが還元浄化される。また、酸素吸蔵量が多くなると、上限吸蔵量Cuplimを境に排気浄化触媒20、24から流出する排気ガス中の酸素及びNOxの濃度が急激に上昇する。
[0037]
 一方、図2(B)に示したように、排気浄化触媒20、24に流入する排気ガスの空燃比がリッチ空燃比である場合、酸素吸蔵量が多いときには排気浄化触媒20、24に吸蔵されている酸素が放出され、排気ガス中の未燃ガスは酸化浄化される。また、酸素吸蔵量が少なくなると、下限吸蔵量Clowlimを境に排気浄化触媒20、24から流出する排気ガス中の未燃ガスの濃度が急激に上昇する。
[0038]
 本実施形態において用いられる排気浄化触媒20、24によれば、排気浄化触媒20、24に流入する排気ガスの空燃比及び酸素吸蔵量に応じて排気ガス中のNOx及び未燃ガスの浄化特性が変化する。なお、触媒作用及び酸素吸蔵能力を有していれば、排気浄化触媒20、24は三元触媒とは異なる触媒であってもよい。
[0039]
<下流側空燃比センサの構成>
 次に、図3を参照して、本実施形態における下流側空燃比センサ41の構成について説明する。図3は、下流側空燃比センサ41の概略的な断面図である。図3から分かるように、本実施形態における下流側空燃比センサ41は、固体電解質層及び一対の電極から成るセルが1つである1セル型の空燃比センサである。
[0040]
 図3に示したように、下流側空燃比センサ41は、固体電解質層51と、固体電解質層51の一方の側面上に配置された排気側電極(第一電極)52と、固体電解質層51の他方の側面上に配置された大気側電極(第二電極)53と、通過する排気ガスの拡散律速を行う拡散律速層54と、拡散律速層54を保護する保護層55と、下流側空燃比センサ41の加熱を行うヒータ部56とを具備する。
[0041]
 固体電解質層51の一方の側面上には拡散律速層54が設けられ、拡散律速層54の固体電解質層51側の側面とは反対側の側面上には保護層55が設けられる。本実施形態では、固体電解質層51と拡散律速層54との間には被測ガス室57が形成される。この被測ガス室57には拡散律速層54を介して下流側空燃比センサ41による検出対象であるガス、すなわち排気ガスが導入せしめられる。また、排気側電極52は被測ガス室57内に配置され、したがって、排気側電極52は拡散律速層54を介して排気ガスに曝されることになる。なお、被測ガス室57は必ずしも設ける必要はなく、排気側電極52の表面上に拡散律速層54が直接接触するように構成されてもよい。
[0042]
 固体電解質層51の他方の側面上にはヒータ部56が設けられる。固体電解質層51とヒータ部56との間には基準ガス室58が形成され、この基準ガス室58内には基準ガスが導入される。本実施形態では、基準ガス室58は大気に開放されており、よって基準ガス室58内には基準ガスとして大気が導入される。大気側電極53は、基準ガス室58内に配置され、したがって、大気側電極53は、基準ガス(基準雰囲気)に曝される。本実施形態では、基準ガスとして大気が用いられているため、大気側電極53は大気に曝されることになる。
[0043]
 ヒータ部56には複数のヒータ59が設けられており、これらヒータ59によって下流側空燃比センサ41の温度、特に固体電解質層51の温度を制御することができる。ヒータ部56は、固体電解質層51を活性化するまで加熱するのに十分な発熱容量を有している。
[0044]
 固体電解質層51は、ZrO 2(ジルコニア)、HfO 2、ThO 2、Bi 23等にCaO、MgO、Y 23、Yb 23等を安定剤として配当した酸素イオン伝導性酸化物の焼結体により形成されている。また、拡散律速層54は、アルミナ、マグネシア、けい石質、スピネル、ムライト等の耐熱性無機物質の多孔質焼結体により形成されている。さらに、電極52、53は、白金等の触媒活性の高い貴金属により形成されている。
[0045]
 また、排気側電極52と大気側電極53との間には、ECU31に搭載された電圧印加装置60によりセンサ印加電圧Vrが印加される。加えて、ECU31には、電圧印加装置60によってセンサ印加電圧Vrを印加したときに固体電解質層51を介してこれら電極52、53間に流れる電流(出力電流)を検出する電流検出装置61が設けられる。この電流検出装置61によって検出される電流が下流側空燃比センサ41の出力電流である。
[0046]
<下流側空燃比センサの動作>
 次に、図4を参照して、このように構成された下流側空燃比センサ41の動作の基本的な概念について説明する。図4は、下流側空燃比センサ41の動作を概略的に示した図である。使用時において、下流側空燃比センサ41は、保護層55及び拡散律速層54の外周面が排気ガスに曝されるように配置される。また、下流側空燃比センサ41の基準ガス室58には大気が導入される。
[0047]
 上述したように、固体電解質層51は、酸素イオン伝導性酸化物の焼結体で形成される。したがって、高温により活性化した状態で固体電解質層51の両側面間に酸素濃度の差が生じると、濃度の高い側面側から濃度の低い側面側へと酸素イオンを移動させようとする起電力Eが発生する性質(酸素電池特性)を有している。
[0048]
 逆に、固体電解質層51は、両側面間に電位差が与えられると、この電位差に応じて固体電解質層の両側面間で酸素濃度比が生じるように、酸素イオンの移動を引き起こそうとする特性(酸素ポンプ特性)を有する。具体的には、両側面間に電位差が与えられた場合には、正極性を与えられた側面における酸素濃度が、負極性を与えられた側面における酸素濃度に対して、電位差に応じた比率で高くなるように、酸素イオンの移動が引き起こされる。また、図3及び図4に示したように、下流側空燃比センサ41では、大気側電極53が正極性、排気側電極52が負極性となるように、これら電極52、53間に一定のセンサ印加電圧Vrが印加されている。
[0049]
 下流側空燃比センサ41周りにおける排気空燃比が理論空燃比よりもリーンのときには、固体電解質層51の両側面間での酸素濃度の比は小さい。このため、センサ印加電圧Vrを適切な値に設定すれば、固体電解質層51の両側面間ではセンサ印加電圧Vrに対応した酸素濃度比よりも実際の酸素濃度比の方が小さくなる。このため、固体電解質層51の両側面間の酸素濃度比がセンサ印加電圧Vrに対応した酸素濃度比に向けて大きくなるように、図4(A)に示した如く、排気側電極52から大気側電極53に向けて酸素イオンの移動が起こる。その結果、センサ印加電圧Vrを印加する電圧印加装置60の正極から、大気側電極53、固体電解質層51、及び排気側電極52を介して電圧印加装置60の負極へと電流が流れる。
[0050]
 このとき流れる電流(出力電流)Irの大きさは、センサ印加電圧Vrを適切な値に設定すれば、排気中から拡散律速層54を通って被測ガス室57へと拡散によって流入する酸素量に比例する。したがって、この電流Irの大きさを電流検出装置61によって検出することにより、酸素濃度を知ることができ、ひいてはリーン領域における空燃比を知ることができる。
[0051]
 一方、下流側空燃比センサ41周りにおける排気空燃比が理論空燃比よりもリッチのときには、排気中から拡散律速層54を通って未燃ガスが被測ガス室57内に流入するため、排気側電極52上に酸素が存在しても、未燃ガスと反応して除去される。このため、被測ガス室57内では酸素濃度が極めて低くなり、その結果、固体電解質層51の両側面間での酸素濃度の比は大きなものとなる。このため、センサ印加電圧Vrを適切な値に設定すれば、固体電解質層51の両側面間ではセンサ印加電圧Vrに対応した酸素濃度比よりも実際の酸素濃度比の方が大きくなる。このため、固体電解質層51の両側面間の酸素濃度比がセンサ印加電圧Vrに対応した酸素濃度比に向けて小さくなるように、図4(B)に示した如く、大気側電極53から排気側電極52に向けて酸素イオンの移動が起こる。その結果、大気側電極53から、センサ印加電圧Vrを印加する電圧印加装置60を通って排気側電極52へと電流が流れる。
[0052]
 このとき流れる電流(出力電流)Irの大きさは、センサ印加電圧Vrを適切な値に設定すれば、固体電解質層51中を大気側電極53から排気側電極52へと移動せしめられる酸素イオンの流量によって決まる。その酸素イオンは、排気中から拡散律速層54を通って被測ガス室57へと拡散によって流入する未燃ガスと排気側電極52上で反応(燃焼)する。よって、酸素イオンの移動流量は被測ガス室57内に流入した排気ガス中の未燃ガスの濃度に対応する。したがって、この電流Irの大きさを電流検出装置61によって検出することで、未燃ガス濃度を知ることができ、ひいてはリッチ領域における空燃比を知ることができる。
[0053]
 また、下流側空燃比センサ41周りにおける排気空燃比が理論空燃比のときには、被測ガス室57へ流入する酸素及び未燃ガスの量が化学当量比となっている。このため、排気側電極52の触媒作用によって両者は完全に燃焼し、被測ガス室57内の酸素及び未燃ガスの濃度に変動は生じない。この結果、固体電解質層51の両側面間の酸素濃度比は、変動せずに、センサ印加電圧Vrに対応した酸素濃度比のまま維持される。このため、図4(C)に示したように、酸素ポンプ特性による酸素イオンの移動は起こらず、その結果、回路を流れる電流は生じない。
[0054]
<電圧印加装置及び電流検出装置の回路>
 図5に、電圧印加装置60及び電流検出装置61を構成する具体的な回路の一例を示す。図示した例では、酸素電池特性により生じる起電力をE、固体電解質層51の内部抵抗をRi、両電極52、53間の電位差をVsと表している。
[0055]
 図5からわかるように、電圧印加装置60は、基本的に、酸素電池特性により生じる起電力Eがセンサ印加電圧Vrに一致するように、負帰還制御を行っている。換言すると、電圧印加装置60は、固体電解質層51の両側面間の酸素濃度比の変化によって両電極52、53間の電位差Vsが変化した際にも、この電位差Vsがセンサ印加電圧Vrとなるように負帰還制御を行っている。
[0056]
 したがって、排気空燃比が理論空燃比となっていて、固体電解質層51の両側面間に酸素濃度比の変化が生じない場合には、固体電解質層51の両側面間の酸素濃度比はセンサ印加電圧Vrに対応した酸素濃度比となっている。この場合、起電力Eはセンサ印加電圧Vrに一致し、両電極52、53間の電位差Vsもセンサ印加電圧Vrとなっており、その結果、電流Irは流れない。
[0057]
 一方、排気空燃比が理論空燃比とは異なる空燃比となっていて、固体電解質層51の両側面間に酸素濃度比の変化が生じる場合には、固体電解質層51の両側面間の酸素濃度比がセンサ印加電圧Vrに対応した酸素濃度比とはなっていない。この場合、起電力Eはセンサ印加電圧Vrとは異なる値となる。このため、負帰還制御により、起電力Eがセンサ印加電圧Vrと一致するように固体電解質層51の両側面間で酸素イオンの移動をさせるべく、両電極52、53間に電位差Vsが付与される。そして、このときの酸素イオンの移動に伴って電流Irが流れる。この結果、起電力Eはセンサ印加電圧Vrに収束し、起電力Eがセンサ印加電圧Vrに収束すると、やがて、電位差Vsもセンサ印加電圧Vrに収束することになる。
[0058]
 したがって、電圧印加装置60は、実質的に、両電極52、53間にセンサ印加電圧Vrを印加しているということができる。なお、電圧印加装置60の電気回路は必ずしも図5に示したようなものである必要はなく、両電極52、53間にセンサ印加電圧Vrを実質的に印加することができれば、如何なる態様の装置であってもよい。
[0059]
 また、電流検出装置61は、実際に電流を検出するのではなく、電圧E 0を検出してこの電圧E 0から電流を算出している。ここで、E 0は、下記式(1)のように表せる。
  E 0=Vr+V 0+IrR   …(1)
 ここで、V 0はオフセット電圧(E 0が負値とならないように印加しておく電圧であり例えば3V)、Rは図5に示した抵抗の値である。
[0060]
 式(1)において、センサ印加電圧Vr、オフセット電圧V 0及び抵抗値Rは一定であるから、電圧E 0は電流Irに応じて変化する。このため、電圧E 0を検出すれば、その電圧E 0から電流Irを算出することが可能である。
[0061]
 したがって、電流検出装置61は、実質的に、両電極52、53間に流れる電流Irを検出しているということができる。なお、電流検出装置61の電気回路は必ずしも図5に示したようなものである必要はなく、両電極52、53間を流れる電流Irを検出することができれば、如何なる態様の装置であってもよい。
[0062]
<下流側空燃比センサの出力特性>
 上述したように構成され且つ動作する下流側空燃比センサ41は、図6に示したようなセンサ印加電圧-電流(V-I)特性を有する。図6からわかるように、センサ印加電圧Vrが0以下及び0近傍の領域では、排気空燃比が一定である場合には、センサ印加電圧Vrを負の値から徐々に増加していくと、これに伴って出力電流Irが増加していく。
[0063]
 すなわち、この電圧領域では、センサ印加電圧Vrが低いため、固体電解質層51を介して移動可能な酸素イオンの流量が少ない。このため、拡散律速層54を介した排気ガスの流入速度よりも固体電解質層51を介して移動可能な酸素イオンの流量が少なくなり、よって、出力電流Irは固体電解質層51を介して移動可能な酸素イオンの流量に応じて変化する。固体電解質層51を介して移動可能な酸素イオンの流量はセンサ印加電圧Vrに応じて変化するため、結果的にセンサ印加電圧Vrの増加に伴って出力電流が増加する。なお、センサ印加電圧Vrが0のときに出力電流Irが負値をとるのは、酸素電池特性により固体電解質層51の両側面間の酸素濃度比に応じた起電力Eが生じるためである。
[0064]
 その後、排気空燃比を一定としたまま、センサ印加電圧Vrを徐々に増加していくと、これに対する出力電流の増加の割合は次第に小さくなり、ついにはほぼ飽和状態となる。その結果、センサ印加電圧Vrを増加しても出力電流はほとんど変化しなくなる。このほぼ飽和した電流は限界電流と称され、以下では、この限界電流が発生する電圧領域を限界電流領域と称する(図6の「限界電流領域」は、は排気空燃比が理論空燃比であるときの限界電流領域を示している)。
[0065]
 すなわち、この限界電流領域では、センサ印加電圧Vrが或る程度高いため、固体電解質層51を介して移動可能な酸素イオンの流量が多い。このため、拡散律速層54を介した排気ガスの流入速度よりも固体電解質層51を介して移動可能な酸素イオンの流量の方が多くなる。したがって、出力電流Irは拡散律速層54を介して被測ガス室57に流入する排気ガス中の酸素濃度や未燃ガス濃度に応じて変化する。排気空燃比を一定としてセンサ印加電圧Vrを変化させても、基本的には拡散律速層54を介して被測ガス室57に流入する排気ガス中の酸素濃度や未燃ガス濃度は変化しないことから、出力電圧Irは変化しない。
[0066]
 ただし、排気空燃比が異なれば、拡散律速層54を介して被測ガス室57に流入する排気ガス中の酸素濃度や未燃ガス濃度も異なることから、出力電流Irは排気空燃比に応じて変化する。図6からわかるように、リーン空燃比とリッチ空燃比とでは限界電流の流れる向きが逆になっており、リーン空燃比であるときには空燃比が大きくなるほど、リッチ空燃比であるときには空燃比が小さくなるほど、限界電流の絶対値が大きくなる。
[0067]
 その後、排気空燃比を一定としたまま、センサ印加電圧Vrをさらに増加していくと、これに伴って再び出力電流Irが増加し始める。このように高いセンサ印加電圧Vrを印加すると、排気側電極52上では排気ガス中に含まれる水分の分解が発生し、これに伴って電流が流れる。また、センサ印加電圧Vrをさらに増加していくと、今度は固体電解質層51の分解が発生する。
[0068]
<上流側空燃比センサの構成>
 図7を参照して、本実施形態における上流側空燃比センサ40の構成について説明する。図7は、上流側空燃比センサ40の概略的な断面図である。図7から分かるように、本実施形態における上流側空燃比センサ40は、固体電解質層及び一対の電極から成るセルが2つである2セル型の空燃比センサである。
[0069]
 図7に示したように、上流側空燃比センサ40は、被測ガス室81と、基準ガス室82と、被測ガス室81の両側に配置された二つの固体電解質層83、84とを具備する。基準ガス室82は、第二固体電解質層84を挟んで被測ガス室81の反対側に設けられる。第一固体電解質層83の被測ガス室81側の側面上にはガス室側電極(第五電極)85が配置され、第一固体電解質層83の排気ガス側の側面上には排気側電極(第六電極)86が配置される。これら第一固体電解質層83、ガス室側電極85及び排気側電極86は、ポンプセル90を構成する。
[0070]
 一方、第二固体電解質層84の被測ガス室81側の側面上にはガス室側電極(第三電極)87が配置され、第二固体電解質層84の基準ガス室82側の側面上には基準側電極(第四電極)88が配置される。これら第二固体電解質層84、ガス室側電極87及び基準側電極88は、基準セル91を構成する。
[0071]
 二つの固体電解質層83、84の間には、ポンプセル90のガス室側電極85及び基準セル91のガス室側電極87を囲うように拡散律速層93が設けられる。したがって、被測ガス室81は、第一固体電解質層83、第二固体電解質層84及び拡散律速層93によって画成される。被測ガス室81には、拡散律速層93を介して排気ガスが流入せしめられる。よって、被測ガス室81内に配置された電極、すなわちポンプセル90のガス室側電極85及び基準セル91のガス室側電極87は、拡散律速層93を介して排気ガスに曝されることになる。なお、拡散律速層93は、必ずしも被測ガス室81に流入する排気ガスが通過するように設けられる必要はない。基準セル91のガス室側電極87に到達する排気ガスが拡散律速層を通過した排気ガスになれば、拡散律速層は如何なる態様で配置されてもよい。
[0072]
 また、第二固体電解質層84の基準ガス室82側の側面上には、基準ガス室82を囲うようにヒータ部94が設けられる。したがって、基準ガス室82は、第二固体電解質層84及びヒータ部94によって画成される。この基準ガス室82内には基準ガスが導入される。本実施形態では、基準ガス室82内には大気が満たされる。なお、本実施形態では、基準ガス室82は大気には開放されていないが、大気開放されてもよいし、また、大気中のガスとは異なるガスを基準ガスとしてもよい。
[0073]
 また、ヒータ部94には複数のヒータ95が設けられており、これらヒータ95によって上流側空燃比センサ40の温度、特に固体電解質層83、84の温度を制御することができる。ヒータ部94は、固体電解質層83、84を活性化するまで加熱するのに十分な発熱容量を有している。加えて、第一固体電解質層83の排気ガス側の側面上には、保護層96が設けられる。保護層96は、排気ガス中の液体等が排気側電極86に直接付着するのを防止しつつ排気ガスが排気側電極86に到達するように多孔質材料で形成される。
[0074]
 固体電解質層83、84は、下流側空燃比センサ41の固体電解質層51と同様な材料により形成されている。また、拡散律速層93も、下流側空燃比センサ41の拡散律速層54と同様な材料により形成されている。さらに、電極85~88も、下流側空燃比センサ41の電極52、53と同様な材料により形成されている。なお、上流側空燃比センサ40の拡散律速層93は、必ずしも拡散律速層54と同等の律速効果(被測ガス室内に流入する排気ガスの速度がほぼ一定になるようにする効果)を有していなくてもよい。
[0075]
 ECU31は、ガス室側電極87と基準側電極88とに接続された起電力検出装置100を有する。起電力検出装置100は、これら電極87、88間に生じた起電力を検出する。また、ポンプセル90のガス室側電極85と排気側電極86との間には、ECU31に搭載されたポンプ電圧印加装置101によりポンプ電圧Vpが印加される。ポンプ電圧印加装置101によって印加されるポンプ電圧Vpは、起電力検出装置100によって検出された起電力Veに応じて設定される。具体的には、起電力検出装置100によって検出された起電力Veと予め設定されたその制御基準電圧(本実施形態では、0.45V)との差に応じて、ポンプ電圧Vpが設定される。加えて、ECU31には、ポンプ電圧印加装置101によってポンプ電圧Vpを印加したときに第一固体電解質層83を介してこれら電極85、86間に流れるポンプ電流Ipを検出するポンプ電流検出装置102が設けられる。
[0076]
 なお、ポンプ電圧印加装置101によってポンプ電圧Vpを変化させると、電極85、86間に流れるポンプ電流Ipが変化する。換言すると、ポンプ電圧印加装置101はポンプ電流Ipを制御していると言える。したがって、ポンプ電圧印加装置101は、ポンプ電流Ipを制御するポンプ電流制御装置として作用する。なお、ポンプ電流Ipは例えばポンプ電圧印加装置101と直列に可変抵抗を配置し、この可変抵抗を変更することによっても変化する。したがって、ポンプ電流制御装置としては可変抵抗等、ポンプ電圧印加装置101以外の手段を用いることも可能である。
[0077]
<上流側空燃比センサの動作>
 次に、図8を参照して、このように構成された上流側空燃比センサ40の動作の基本的な概念について説明する。図8は、上流側空燃比センサ40の動作を概略的に示した図である。使用時において、上流側空燃比センサ40は、保護層96及び拡散律速層93の外周面が排気ガスに曝されるように配置される。また、上流側空燃比センサ40の基準ガス室82には大気が導入される。
[0078]
 上述したように、固体電解質層83、84は、酸素電池特性及び酸素ポンプ特性を有する。したがって、ポンプセル90では、ポンプ電圧印加装置101によってガス室側電極85と排気側電極86との間にポンプ電圧Vpが印加されると、これに応じて酸素イオンの移動が生じる。このような酸素イオンの移動に伴って、排気ガス中から被測ガス室81内に酸素が汲み入れられたり汲み出されたりする。
[0079]
 一方、本実施形態の基準セル91では、被測ガス室81内の酸素濃度に応じて起電力Veが変化する。より正確には、基準セル91では、被測ガス室81内の酸素分圧と、基準ガス室82内の酸素分圧との比率に応じた起電力Veが発生する。この結果、被測ガス室81内の排気空燃比と起電力Veとの関係は図9に示したような関係となる。すなわち、起電力Veは理論空燃比近傍で大きく変化し、被測ガス室81内の排気空燃比がリッチ空燃比となると起電力Veが高くなり、逆に、被測ガス室81内の排気空燃比がリーン空燃比となると起電力Veが低くなる。したがって、例えば、起電力Veが予め設定された或る電圧(例えば、0.45V。以下、「制御基準電圧」という)よりも高いときには被測ガス室81内の排気空燃比がリッチ空燃比であると判断することができ、また、起電力Veが制御基準電圧よりも低いときには被測ガス室81内の排気空燃比がリーン空燃比であると判断することができる。
[0080]
 上流側空燃比センサ40周りにおける排気空燃比がリーン空燃比のときには、図8(A)に示したように、被測ガス室81内には拡散律速層93を介して酸素を多量に含んだリーン空燃比の排気ガスが流入する。このように多量の酸素を含むリーン空燃比の排気ガスが流入すると、基準セル91の電極87、88間には制御基準電圧よりも低い起電力Veが発生する。この起電力Veは起電力検出装置100によって検出される。
[0081]
 起電力検出装置100によって起電力Veが検出されると、これに基づいてポンプ電圧印加装置101によりポンプセル90の電極85、86にポンプ電圧が印加される。特に、起電力検出装置100によって制御基準電圧よりも低い起電力Veが検出されると、排気側電極86を正電極、ガス室側電極85を負電極として、ポンプ電圧が印加される。このようにポンプセル90の電極85、86間にポンプ電圧を印加することにより、ポンプセル90の第一固体電解質層83では負電極から正電極に向かって、すなわちガス室側電極85から排気側電極86に向かって酸素イオンの移動が生じる。このため、被測ガス室81内の酸素が上流側空燃比センサ40周りの排気ガス中に汲み出される。
[0082]
 被測ガス室81内から上流側空燃比センサ40周りの排気ガス中へ汲み出される酸素の流量は、ポンプ電圧に比例し、また、ポンプ電圧は起電力検出装置100によって検出された起電力Veの制御基準電圧からの差に比例する。したがって、被測ガス室81内の排気空燃比が理論空燃比からリーンに大きくずれるほど、すなわち、被測ガス室81内の酸素濃度が高いほど、被測ガス室81内から上流側空燃比センサ40周りの排気ガス中へ汲み出される酸素の流量が多くなる。この結果、拡散律速層93を介して被測ガス室81に流入する酸素流量と、ポンプセル90によって汲み出される酸素流量とは基本的に一致し、被測ガス室81内は基本的に制御基準電圧に対応する空燃比、すなわち理論空燃比に保たれることになる。
[0083]
 ポンプセル90によって汲み出される酸素流量は、ポンプセル90の第一固体電解質層83内を移動した酸素イオンの流量に等しい。そして、この酸素イオンの流量は、ポンプセル90の電極85、86間で流れた電流に等しい。よって電極85、86間で流れた電流をポンプ電流検出装置102により検出することで、拡散律速層93を介して被測ガス室81に流入する酸素流量を、したがって、被測ガス室81周りの排気ガスのリーン空燃比を検出することができる。
[0084]
 一方、上流側空燃比センサ40周りにおける排気空燃比がリッチ空燃比のときには、図8(B)に示したように、被測ガス室81内には拡散律速層93を介して未燃ガスを多量に含んだリッチ空燃比の排気ガスが流入する。このように多量の未燃ガスを含むリッチ空燃比の排気ガスが流入すると、基準セル91の電極87、88間には制御基準電圧よりも高い起電力Veが発生する。この起電力Veは起電力検出装置100によって検出される。
[0085]
 起電力検出装置100によって起電力Veが検出されると、これに基づいてポンプ電圧印加装置101によりポンプセル90の電極85、86間にポンプ電圧が印加される。特に、起電力検出装置100によって制御基準電圧よりも高い電圧Veが検出されると、ガス室側電極85を正電極、排気側電極86を負電極として、ポンプ電圧が印加される。このようにポンプ電圧を印加することにより、ポンプセル90の第一固体電解質層83では負電極から正電極に向かって、すなわち排気側電極86からガス室側電極85に向かって酸素イオンの移動が生じる。このため、上流側空燃比センサ40周りの排気ガス中の酸素が被測ガス室81内に汲み入れられる。
[0086]
 上流側空燃比センサ40周りの排気ガス中から被測ガス室81内へ汲み入れられる酸素の流量は、ポンプ電圧に比例し、また、ポンプ電圧は起電力検出装置100によって検出された起電力Veの制御基準電圧からの差に比例する。したがって、被測ガス室81内の排気空燃比が理論空燃比からリッチに大きく離れるほど、すなわち、被測ガス室81内の未燃ガス濃度が高いほど、上流側空燃比センサ40周りの排気ガス中から被測ガス室81内へ汲み入れられる酸素の流量が多くなる。この結果、拡散律速層93を介して被測ガス室81に流入する未燃ガスの流量と、ポンプセル90によって汲み入れられる酸素流量とは化学当量比となり、よって被測ガス室81内は基本的に制御基準電圧に対応する空燃比、すなわち理論空燃比に保たれることになる。
[0087]
 ポンプセル90によって汲み入れられる酸素流量は、ポンプセル90内の第一固体電解質層83内を移動した酸素イオンの流量に等しい。そして、この酸素イオンの流量は、ポンプセル90の電極85、86間で流れた電流に等しい。よって電極85、86間で流れた電流をポンプ電流検出装置102により検出することで、拡散律速層93を介して被測ガス室81に流入する未燃ガスの流量を、したがって、被測ガス室81周りの排気ガスのリッチ空燃比を検出することができる。
[0088]
 また、上流側空燃比センサ40周りにおける排気空燃比が理論空燃比のときには、図8(C)に示したように、被測ガス室81内に拡散律速層93を介して理論空燃比の排気ガスが流入する。このように制御基準電圧に対応する空燃比(理論空燃比)の排気ガスが流入すると、基準セル91の電極87、88間には制御基準電圧にほぼ等しい起電力電圧Veが発生する。斯かる起電力Veは、起電力検出装置100によって検出される。
[0089]
 起電力検出装置100によって検出された起電力Veが制御基準電圧にほぼ等しいと、これに伴ってポンプ電圧印加装置101により印加されるポンプ電圧は零とされる。このためポンプセル90の第一固体電解質層83では酸素イオンの移動は生じず、よって被測ガス室81内は基本的に制御基準電圧に対応する空燃比に保たれることになる。そして、ポンプセル90の第一固体電解質層83において酸素イオンの移動が生じていないため、ポンプ電流検出装置102によって検出されるポンプ電流も零となる。したがって、ポンプ電流検出装置102によって検出されるポンプ電流が零であるときには、被測ガス室81周りの排気ガスの空燃比が基準電圧Vrに対応する空燃比であることがわかる。
[0090]
 このように、本実施形態の上流側空燃比センサ40によれば、上流側空燃比センサ40周りにおける排気空燃比が制御基準電圧に対応する空燃比(すなわち、理論空燃比)に一致するときには出力電流であるポンプ電流が零となる。また、上流側空燃比センサ40周りにおける排気空燃比が理論空燃比よりもリーンのときには出力電流であるポンプ電流が正となり、そのリーンの程度に応じてポンプ電流の絶対値が大きくなる。逆に、上流側空燃比センサ40周りにおける排気空燃比が理論空燃比よりもリッチのときには出力電流であるポンプ電流が負となり、そのリッチの程度に応じてポンプ電流の絶対値が大きくなる。
[0091]
 なお、上流側空燃比センサ40は拡散律速層93を有しているが、被測ガス室81に流入する排気ガスを制限することができれば、必ずしも拡散律速層93を有していなくても良い。
[0092]
<上流側空燃比センサの出力特性>
 上述したように構成され且つ動作する上流側空燃比センサ(2セル型の空燃比センサ)40は、図10に示したような制御基準電圧-電流(V-I)特性を有する。なお、図10の「限界電流領域」は、排気空燃比が理論空燃比であるときの限界電流領域を示している。図10からわかるように、上流側空燃比センサ40においても、制御基準電圧Veと出力電流Ipとの関係は下流側空燃比センサ41におけるセンサ印加電圧Vrと出力電流Irとの関係(図6参照)と同様である。
[0093]
 しかしながら、図6に示した下流側空燃比センサ41の電圧-電流特性では、排気空燃比に応じて限界電流領域が変化していくのに対して、図10に示した上流側空燃比センサ40の電圧-電流特性では、排気空燃比が変化しても限界電流領域の変化は小さい。
[0094]
 例えば、下流側空燃比センサ41では、センサ印加電圧Vrを一定にすると、排気空燃比が或る一定以上の空燃比(上限空燃比)及び或る一定以下の空燃比(下限空燃比)になると、排気空燃比が変化しても出力電流Irが変化しなくなる。図6に示した例では、例えば、センサ印加電圧Vrを0.1V程度にすると、排気空燃比が16.6以上となった場合には、出力電流Irはほぼ一定の値となる。したがって、下流側空燃比センサ41ではセンサ印加電圧Vrを一定にしていると、検出可能な空燃比の範囲は限られてしまう。
[0095]
 これに対して、図10に示したように、上流側空燃比センサ40では、排気空燃比が変化しても限界電流領域の変化は小さい。このため、上流側空燃比センサ40では、制御基準電圧Veを一定にしておけば、広い範囲で空燃比の検出を行うことができる。このように、上流側空燃比センサ40によれば、下流側空燃比センサ41に比べて、広い範囲で空燃比の検出を行うことができる。
[0096]
<両空燃比センサの比較>
 上流側空燃比センサ40の基準セル91では、図9に示したような被測ガス室81内の排気空燃比と起電力Veとの関係を有する。しかしながら、基準セル91では、各電極87、88上において未燃ガスや酸素等の反応性が低いことにより、実際の排気空燃比が同一であっても空燃比の変化の方向に応じて起電力が異なる値となる。図11は、その様子を示した図であり、実線Aは空燃比をリッチ側からリーン側へと変化させたときの関係、実線Bは空燃比をリーン側からリッチ側へと変化させたときの関係をそれぞれ示している。
[0097]
 図11に実線Aで示したように、空燃比をリッチ側からリーン側へと変化させたときには、実際の空燃比がリーン空燃比になっても理論空燃比付近では起電力は高いままとなる。一方、図11に実線Bで示したように、空燃比をリーン側からリッチ側へと変化させたときには、実際の空燃比がリッチ空燃比になっても理論空燃比付近では起電力は低いままとなる。このように、基準セル91は、空燃比の変化の方向に応じてヒステリシスを有する。この結果、被測ガス室81内の排気空燃比が同一であっても基準セル91の起電力が異なる値となっている場合があり、上流側空燃比センサ40の出力電流には誤差が生じやすい。
[0098]
 これに対して、下流側空燃比センサ41では、電極52、53間にセンサ印加電圧Vrを印加しているため、各電極52、53上での反応が促進される。このため、下流側空燃比センサ41では空燃比の変化の方向に応じたヒステリシスはほとんど生じることはなく、よって出力電流には誤差が生じにくい。
[0099]
 加えて、上流側空燃比センサ40及び下流側空燃比センサ41のいずれにおいても、固体電解質層は直接的に排気ガスに曝されることから、経年劣化により固体電解質層の内部抵抗は変化する。
[0100]
 下流側空燃比センサ41では、排気空燃比が同一であっても固体電解質層51の内部抵抗が変化するとその出力電流が変化する。このため、経年劣化により空燃比の検出精度が低下する。これに対して、上流側空燃比センサ40のポンプセル90では、ポンプ電流に対する被測ガス室81内への酸素の汲み入れ流量及び汲み出し流量とポンプ電流との関係は内部抵抗が変化しても一定である。このため、ポンプセル90については、第一固体電解質層83の内部抵抗が変化しても出力に影響はほとんどない。また、基準セル91については、第二固体電解質層84の内部抵抗によって変化しない起電力のみを検出しているため、内部抵抗が変化しても出力に影響はない。したがって、上流側空燃比センサ40では、下流側空燃比センサと比べて、経年劣化等によって内部抵抗が変化しても高い精度で空燃比の検出を行うことができる。
[0101]
 ここで、上流側空燃比センサ40には、上流側排気浄化触媒20による浄化前の排気ガスが流入する。このため、上流側空燃比センサ40は、未燃ガスやNOx等を多量に含んだ排気ガスに曝されるため、下流側空燃比センサ41に比べて、経年劣化等により固体電解質層の内部抵抗に変化が生じやすい。これに関して、本実施形態では、上流側空燃比センサ40は内部抵抗に変化が生じても検出精度の変化しにくい2セル型の空燃比センサであるため、経年劣化等の影響を最小限に抑えることができる。
[0102]
<空燃比制御の概要>
 次に、本発明の内燃機関の制御装置における空燃比制御の概要を説明する。本実施形態では、上流側空燃比センサ40の出力電流Ipup(上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比に相当するものであり、上述したIpに対応)に基づいてこの出力電流Ipupが目標空燃比に相当する値となるようにフィードバック制御が行われる。
[0103]
 目標空燃比は、下流側空燃比センサ41の出力電流に基づいて設定される。具体的には、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwn(上述したIrに相当)がリッチ判定基準値Iref以下となったときに、目標空燃比はリーン設定空燃比とされ、その空燃比に維持される。ここで、リッチ判定基準値Irefは、理論空燃比よりも僅かにリッチである予め定められたリッチ判定空燃比(例えば、14.55)に相当する値である。また、リーン設定空燃比は、理論空燃比よりも或る程度リーンである予め定められた空燃比であり、例えば、14.65~20、好ましくは14.68~18、より好ましくは14.7~16程度とされる。
[0104]
 目標空燃比がリーン設定空燃比に変更されると、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが推定される。酸素吸蔵量OSAscの推定は、上流側空燃比センサ40の出力電流Ipup、及びエアフロメータ39等に基づいて算出される燃焼室5内への吸入空気量の推定値又は燃料噴射弁11からの燃料噴射量等に基づいて行われる。そして、酸素吸蔵量OSAscの推定値が予め定められた判定基準吸蔵量Cref以上になると、それまでリーン設定空燃比だった目標空燃比が、弱リッチ設定空燃比とされ、その空燃比に維持される。弱リッチ設定空燃比は、理論空燃比よりも僅かにリッチである予め定められた空燃比であり、例えば、13.5~14.58、好ましくは14~14.57、より好ましくは14.3~14.55程度とされる。その後、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnが再びリッチ判定基準値Iref以下となったときに再び目標空燃比がリーン設定空燃比とされ、その後、同様な操作が繰り返される。
[0105]
 このように本実施形態では、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの目標空燃比がリーン設定空燃比と弱リッチ設定空燃比とに交互に設定される。特に、本実施形態では、リーン設定空燃比の理論空燃比からの差は、弱リッチ設定空燃比の理論空燃比からの差よりも大きい。したがって、本実施形態では、目標空燃比は、短期間のリーン設定空燃比と、長期間の弱リッチ設定空燃比とに交互に設定されることになる。
[0106]
 また、見方を変えると、本実施形態では、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnに相当する空燃比が理論空燃比からずれて理論空燃比からの差が予め定められた基準差(すなわち、リッチ判定空燃比と理論空燃比との差)以上になったときには、目標空燃比は下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnに相当する空燃比が理論空燃比からずれた方向(リッチ方向)とは反対方向(リーン方向)に理論空燃比からずれた空燃比とされる。すなわち、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnに相当する空燃比がリッチ側にずれた場合には、目標空燃比は、理論空燃比に対してリッチ方向とは反対方向、すなわちリーン方向にずれた空燃比(本実施形態では、リーン設定空燃比)とされる。
[0107]
 なお、基準差は、理論空燃比の1%以内、好ましくは0.5%以内、より好ましくは0.35%以内とされる。したがって、理論空燃比が14.6の場合には、基準差は、0.15以下、好ましくは0.073以下、より好ましくは0.051以下とされる。また、目標空燃比(例えば、弱リッチ設定空燃比やリーン設定空燃比)の理論空燃比からの差は、基準差よりも大きくなるように設定される。
[0108]
<タイムチャートを用いた制御の説明>
 図12を参照して、上述したような操作について具体的に説明する。図12は、本発明の内燃機関の制御装置における空燃比制御を行った場合における、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAsc、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwn、空燃比補正量AFC、上流側空燃比センサ40の出力電流Ipup、及び上流側排気浄化触媒20から流出する排気ガス中のNOx濃度のタイムチャートである。
[0109]
 なお、上流側空燃比センサ40の出力電流Ipupは、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比であるときに零になり、当該排気ガスの空燃比がリッチ空燃比であるときに負の値となり、当該排気ガスの空燃比がリーン空燃比であるときに正の値となる。また、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比がリッチ空燃比又はリーン空燃比であるときには、理論空燃比からの差が大きくなるほど、上流側空燃比センサ40の出力電流Ipupの絶対値が大きくなる。下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnも、上流側排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比に応じて、上流側空燃比センサ40の出力電流Ipupと同様に変化する。また、空燃比補正量AFCは、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの目標空燃比に関する補正量である。空燃比補正量AFCが0のときには目標空燃比は理論空燃比とされ、空燃比補正量AFCが正の値であるときには目標空燃比はリーン空燃比となり、空燃比補正量AFCが負の値であるときには目標空燃比はリッチ空燃比となる。
[0110]
 図示した例では、時刻t 1以前の状態では、空燃比補正量AFCが弱リッチ設定補正量AFCrichとされている。弱リッチ設定補正量AFCrichは、弱リッチ設定空燃比に相当する値であり、0よりも小さな値である。したがって、目標空燃比はリッチ空燃比とされ、これに伴って上流側空燃比センサ40の出力電流Ipupが負の値となる。上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガス中には未燃ガスが含まれることになるため、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscは徐々に減少していく。しかしながら、排気ガス中に含まれている未燃ガスは、上流側排気浄化触媒20で浄化されるため、下流側空燃比センサの出力電流Irdwnはほぼ0(理論空燃比に相当)となる。このとき、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比はリッチ空燃比となっているため、上流側排気浄化触媒20からのNOx排出量は抑制される。
[0111]
 上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが徐々に減少すると、酸素吸蔵量OSAscは時刻t 1において下限吸蔵量(図2のClowlim参照)を超えて減少する。酸素吸蔵量OSAscが下限吸蔵量よりも減少すると、上流側排気浄化触媒20に流入した未燃ガスの一部は上流側排気浄化触媒20で浄化されずに流出する。このため、時刻t 1以降、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが減少するのに伴って、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnが徐々に低下する。このときも、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比はリッチ空燃比となっているため、上流側排気浄化触媒20からのNOx排出量は抑制される。
[0112]
 その後、時刻t 2において、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリッチ判定空燃比に相当するリッチ判定基準値Irefに到達する。本実施形態では、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリッチ判定基準値Irefになると、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscの減少を抑制すべく、空燃比補正量AFCがリーン設定補正量AFCleanに切り替えられる。リーン設定補正量AFCleanは、リーン設定空燃比に相当する値であり、0よりも大きな値である。したがって、目標空燃比はリーン空燃比とされる。
[0113]
 なお、本実施形態では、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリッチ判定基準値Irefに到達してから、すなわち上流側排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比がリッチ判定空燃比に到達してから、空燃比補正量AFCの切替を行っている。これは、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量が十分であっても、上流側排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比が理論空燃比から極わずかにずれてしまう場合があるためである。すなわち、仮に出力電流Irdwnが零(理論空燃比に相当)から僅かにずれた場合にも酸素吸蔵量が下限吸蔵量を超えて減少していると判断してしまうと、実際には十分な酸素吸蔵量があっても、酸素吸蔵量が下限吸蔵量を超えて減少したと判断される可能性がある。そこで、本実施形態では、上流側排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比がリッチ判定空燃比に到達して始めて酸素吸蔵量が下限吸蔵量を超えて減少したと判断することとしている。逆に言うと、リッチ判定空燃比は、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量が十分であるときには上流側排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比が到達することのないような空燃比とされる。
[0114]
 時刻t 2において、目標空燃比をリーン空燃比に切り替えても、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比はすぐにはリーン空燃比にならず、或る程度の遅れが生じる。その結果、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比は時刻t 3においてリッチ空燃比からリーン空燃比に変化する。なお、時刻t 2~t 3においては、上流側排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比がリッチ空燃比となっているため、この排気ガス中には未燃ガスが含まれることになる。しかしながら、上流側排気浄化触媒20からのNOx排出量は抑制される。
[0115]
 時刻t 3において、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比がリーン空燃比に変化すると、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscは増大する。また、これに伴って、上流側排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比が理論空燃比へと変化し、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnも0に収束する。このとき、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比はリーン空燃比となっているが、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵能力には十分な余裕があるため、流入する排気ガス中の酸素は上流側排気浄化触媒20に吸蔵され、NOxは還元浄化される。このため、上流側排気浄化触媒20からのNOx排出量は抑制される。
[0116]
 その後、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが増大すると、時刻t 4において酸素吸蔵量OSAscは判定基準吸蔵量Crefに到達する。本実施形態では、酸素吸蔵量OSAscが判定基準吸蔵量Crefになると、上流側排気浄化触媒20への酸素の吸蔵を中止すべく、空燃比補正量AFCが弱リッチ設定補正量AFCrich(0よりも小さな値)に切り替えられる。したがって、目標空燃比はリッチ空燃比とされる。
[0117]
 ただし、上述したように、目標空燃比を切り替えてから上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比が実際に変化するまでには遅れが生じる。このため、時刻t 4にて切替を行っても、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比は或る程度時間が経過した時刻t 5においてリーン空燃比からリッチ空燃比に変化する。時刻t 4~t 5においては、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比はリーン空燃比であるため、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscは増大していく。
[0118]
 しかしながら、判定基準吸蔵量Crefは最大酸素吸蔵量Cmaxや上限吸蔵量(図2のCuplim参照)よりも十分に低く設定されているため、時刻t 5においても酸素吸蔵量OSAscは最大酸素吸蔵量Cmaxや上限吸蔵量には到達しない。逆に言うと、判定基準吸蔵量Crefは、目標空燃比を切り替えてから上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比が実際に変化するまで遅延が生じても、酸素吸蔵量OSAscが最大酸素吸蔵量Cmaxや上限吸蔵量に到達しないように十分少ない量とされる。例えば、判定基準吸蔵量Crefは、最大酸素吸蔵量Cmaxの3/4以下、好ましくは1/2以下、より好ましくは1/5以下とされる。したがって、時刻t 4~t 5においても、上流側排気浄化触媒20からのNOx排出量は抑制される。
[0119]
 時刻t 5以降においては、空燃比補正量AFCが弱リッチ設定補正量AFCrichとされている。したがって、目標空燃比はリッチ空燃比とされ、これに伴って上流側空燃比センサ40の出力電流Ipupが負の値となる。上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガス中には未燃ガスが含まれることになるため、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscは徐々に減少していき、時刻t 6において、時刻t 1と同様に、酸素吸蔵量OSAscが下限吸蔵量を超えて減少する。このときも、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比はリッチ空燃比となっているため、上流側排気浄化触媒20からのNOx排出量は抑制される。
[0120]
 次いで、時刻t 7において、時刻t 2と同様に、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリッチ判定空燃比に相当するリッチ判定基準値Irefに到達する。これにより、空燃比補正量AFCがリーン設定空燃比に相当する値AFCleanに切り替えられる。その後、上述した時刻t 1~t 6のサイクルが繰り返される。
[0121]
 なお、このような空燃比補正量AFCの制御は、ECU31によって行われる。したがって、ECU31は、下流側空燃比センサ41によって検出された排気ガスの空燃比がリッチ判定空燃比以下となったときに、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが判定基準吸蔵量Crefとなるまで、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの目標空燃比を継続的にリーン設定空燃比にする酸素吸蔵量増加手段と、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが判定基準吸蔵量Cref以上となったときに、酸素吸蔵量OSAscが最大酸素吸蔵量Cmaxに達することなく零に向けて減少するように、目標空燃比を継続的に弱リッチ設定空燃比にする酸素吸蔵量減少手段とを具備するといえる。
[0122]
 以上の説明から分かるように上記実施形態によれば、上流側排気浄化触媒20からのNOx排出量を常に抑制することができる。すなわち、上述した制御を行っている限り、基本的には上流側排気浄化触媒20からのNOx排出量を少ないものとすることができる。
[0123]
 また、一般に、上流側空燃比センサ40の出力電流Ipup及び吸入空気量の推定値等に基づいて酸素吸蔵量OSAscを推定した場合には誤差が生じる可能性がある。本実施形態においても、時刻t 3~t 4に亘って酸素吸蔵量OSAscを推定しているため、酸素吸蔵量OSAscの推定値には多少の誤差が含まれる。しかしながら、このような誤差が含まれていたとしても、判定基準吸蔵量Crefを最大酸素吸蔵量Cmaxや上限吸蔵量よりも十分に低く設定しておけば、実際の酸素吸蔵量OSAscが最大酸素吸蔵量Cmaxや上限吸蔵量にまで到達することはほとんどない。したがって、斯かる観点からも上流側排気浄化触媒20からのNOx排出量を抑制することができる。
[0124]
 また、排気浄化触媒の酸素吸蔵量が一定に維持されると、その排気浄化触媒の酸素吸蔵能力が低下する。これに対して、本実施形態によれば、酸素吸蔵量OSAscは常に上下に変動しているため、酸素吸蔵能力が低下することが抑制される。
[0125]
 加えて、本実施形態では、下流側空燃比センサ41は上流側排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比がリッチ判定空燃比以下であるか否かを検出しており、また、リッチ判定空燃比は理論空燃比から僅かにのみずれた空燃比である。したがって、下流側空燃比センサ41によって検出可能な空燃比の範囲は狭くても良い。ただし、上流側排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比がリッチ判定空燃比以下となったら迅速に目標空燃比を切り替えることが必要になることから、下流側空燃比センサ41には高い検出精度が要求される。
[0126]
 一方、上流側空燃比センサ40は、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比が目標空燃比となるようにフィードバック制御するのに用いられている。フィードバック制御を迅速に行うためには、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比が目標空燃比から大きくずれた場合であってもその差を検出することができることが必要になる。したがって、上流側空燃比センサ40によって検出可能な空燃比の範囲は広いことが必要とされる。
[0127]
 これに対して、本実施形態では、上流側空燃比センサ40として、検出可能な空燃比の範囲が広い2セル型の空燃比センサが用いられ、下流側空燃比センサ41として、検出精度の高い1セル型の空燃比センサが用いられている。したがって、本実施形態によれば、上流側空燃比センサ40及び下流側空燃比センサ41はそれぞれに対する要求を十分満たすことができる。
[0128]
 なお、上記実施形態では、時刻t 2~t 4において、空燃比補正量AFCはリーン設定補正量AFCleanに維持される。しかしながら、斯かる期間において、空燃比補正量AFCは必ずしも一定に維持されている必要はなく、徐々に減少させる等、変動するように設定されてもよい。同様に、時刻t 4~t 7において、空燃比補正量AFCは弱リッチ設定補正量AFrichに維持される。しかしながら、斯かる期間において、空燃比補正量AFCは必ずしも一定に維持されている必要はなく、徐々に減少させる等、変動するように設定されてもよい。
[0129]
 ただし、この場合であっても、時刻t 2~t 4における空燃比補正量AFCは、当該期間における目標空燃比の時間平均値と理論空燃比との差が、時刻t 4~t 7における目標空燃比の時間平均値と理論空燃比との差よりも大きくなるように設定される。
[0130]
 また、上記実施形態では、上流側空燃比センサ40の出力電流Ipup及び燃焼室5内への吸入空気量の推定値等に基づいて、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが推定されている。しかしながら、酸素吸蔵量OSAscはこれらパラメータに加えて他のパラメータに基づいて算出されてもよいし、これらパラメータとは異なるパラメータに基づいて推定されてもよい。また、上記実施形態では、酸素吸蔵量OSAscの推定値が判定基準吸蔵量Cref以上になると、目標空燃比がリーン設定空燃比から弱リッチ設定空燃比へと切り替えられる。しかしながら、目標空燃比をリーン設定空燃比から弱リッチ設定空燃比へと切り替えるタイミングは、例えば目標空燃比を弱リッチ設定空燃比からリーン設定空燃比へ切り替えてからの機関運転時間等、他のパラメータを基準としてもよい。ただし、この場合であっても、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが最大酸素吸蔵量よりも少ないと推定される間に、目標空燃比をリーン設定空燃比から弱リッチ設定空燃比へと切り替えることが必要となる。
[0131]
<下流側触媒も用いた制御の説明>
 また、本実施形態では、上流側排気浄化触媒20に加えて下流側排気浄化触媒24も設けられている。下流側排気浄化触媒24の酸素吸蔵量OSAufcは或る程度の期間毎に行われる燃料カット制御によって最大吸蔵量Cmax近傍の値とされる。このため、たとえ上流側排気浄化触媒20から未燃ガスを含んだ排気ガスが流出したとしても、これら未燃ガスは下流側排気浄化触媒24において酸化浄化される。
[0132]
 なお、燃料カット制御とは、内燃機関を搭載する車両の減速時等において、クランクシャフトやピストン3が運動している状態であっても、燃料噴射弁11から燃料の噴射を行わない制御である。この制御を行うと、両排気浄化触媒20、24には多量の空気が流入することになる。
[0133]
 以下、図13を参照して、下流側排気浄化触媒24における酸素吸蔵量OSAufcの推移について説明する。図13は、図12と同様な図であり、図12のNOx濃度の推移に換えて、下流側排気浄化触媒24の酸素吸蔵量OSAufc及び下流側排気浄化触媒24から流出する排気ガス中の未燃ガス(HCやCO等)の濃度の推移を示している。また、図13に示した例では、図12に示した例と同一の制御を行っている。
[0134]
 図13に示した例では、時刻t 1以前に燃料カット制御が行われている。このため、時刻t 1以前において、下流側排気浄化触媒24の酸素吸蔵量OSAufcは最大酸素吸蔵量Cmax近傍の値となっている。また、時刻t 1以前においては、上流側排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比はほぼ理論空燃比に保たれる。このため、下流側排気浄化触媒24の酸素吸蔵量OSAufcは一定に維持される。
[0135]
 その後、時刻t 1~t 4において、上流側排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比はリッチ空燃比となっている。このため、下流側排気浄化触媒24には、未燃ガスを含む排気ガスが流入する。
[0136]
 上述したように、下流側排気浄化触媒24には多量の酸素が吸蔵されているため、下流側排気浄化触媒24に流入する排気ガス中に未燃ガスが含まれていると、吸蔵されている酸素により未燃ガスが酸化浄化される。また、これに伴って、下流側排気浄化触媒24の酸素吸蔵量OSAufcは減少する。ただし、時刻t 1~t 4において上流側排気浄化触媒20から流出する未燃ガスはそれほど多くないため、この間の酸素吸蔵量OSAufcの減少量はわずかである。このため、時刻t 1~t 4において上流側排気浄化触媒20から流出する未燃ガスは全て下流側排気浄化触媒24において還元浄化される。
[0137]
 時刻t 6以降についても、或る程度の時間間隔毎に時刻t 1~t 4における場合と同様に、上流側排気浄化触媒20から未燃ガスが流出する。このようにして流出した未燃ガスは基本的に下流側排気浄化触媒24に吸蔵されている酸素により還元浄化される。したがって、下流側排気浄化触媒24からは未燃ガスが流出することは少ない。上述したように、上流側排気浄化触媒20からのNOx排出量が少ないものとされることを考えると、本実施形態によれば、下流側排気浄化触媒24からの未燃ガス及びNOxの排出量は常に少ないものとされる。
[0138]
<具体的な制御の説明>
 次に、図14及び図15を参照して、上記実施形態における制御装置について具体的に説明する。本実施形態における制御装置は、機能ブロック図である図14に示したように、A1~A9の各機能ブロックを含んで構成されている。以下、図14を参照しながら各機能ブロックについて説明する。
[0139]
<燃料噴射量の算出>
 まず、燃料噴射量の算出について説明する。燃料噴射量の算出に当たっては、筒内吸入空気量算出手段A1、基本燃料噴射量算出手段A2、及び燃料噴射量算出手段A3が用いられる。
[0140]
 筒内吸入空気量算出手段A1は、エアフロメータ39によって計測される吸入空気流量Gaと、クランク角センサ44の出力に基づいて算出される機関回転数NEと、ECU31のROM34に記憶されたマップ又は計算式とに基づいて、各気筒への吸入空気量Mcを算出する。
[0141]
 基本燃料噴射量算出手段A2は、筒内吸入空気量算出手段A1によって算出された筒内吸入空気量Mcを、後述する目標空燃比設定手段A6によって算出された目標空燃比AFTで除算することにより、基本燃料噴射量Qbaseを算出する(Qbase=Mc/AFT)。
[0142]
 燃料噴射量算出手段A3は、基本燃料噴射量算出手段A2によって算出された基本燃料噴射量Qbaseに、後述するF/B補正量DQiを加えることで燃料噴射量Qiを算出する(Qi=Qbase+DQi)。このようにして算出された燃料噴射量Qiの燃料が燃料噴射弁11から噴射されるように、燃料噴射弁11に対して噴射指示が行われる。
[0143]
<目標空燃比の算出>
 次に、目標空燃比の算出について説明する。目標空燃比の算出に当たっては、酸素吸蔵量算出手段A4、目標空燃比補正量算出手段A5、及び目標空燃比設定手段A6が用いられる。
[0144]
 酸素吸蔵量算出手段A4は、燃料噴射量算出手段A3によって算出された燃料噴射量Qi及び上流側空燃比センサ40の出力電流Ipupに基づいて上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量の推定値OSAestを算出する。例えば、酸素吸蔵量算出手段A4は、上流側空燃比センサ40の出力電流Ipupに対応する空燃比と理論空燃比との差分に燃料噴射量Qiを乗算すると共に、求めた値を積算することによって酸素吸蔵量の推定値OSAestを算出する。なお、酸素吸蔵量算出手段A4による上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量の推定は、常時行われていなくてもよい。例えば、目標空燃比がリッチ空燃比からリーン空燃比へ実際に切り替えられたとき(図12における時刻t 3)から、酸素吸蔵量の推定値OSAestが判定基準吸蔵量Crefに到達する(図12における時刻t 4)までの間のみ酸素吸蔵量を推定してもよい。
[0145]
 目標空燃比補正量算出手段A5では、酸素吸蔵量算出手段A4によって算出された酸素吸蔵量の推定値OSAestと、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnとに基づいて、目標空燃比の空燃比補正量AFCが算出される。具体的には、空燃比補正量AFCは、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリッチ判定基準値Iref(リッチ判定空燃比に相当する値)以下となったときに、リーン設定補正量AFCleanとされる。その後、空燃比補正量AFCは、酸素吸蔵量の推定値OSAestが判定基準吸蔵量Crefに到達するまで、リーン設定補正量AFCleanに維持される。酸素吸蔵量の推定値OSAestが判定基準吸蔵量Crefに到達すると、空燃比補正量AFCは弱リッチ設定補正量AFCrichとされる。その後、空燃比補正量AFCは、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリッチ判定基準値Iref(リッチ判定空燃比に相当する値)となるまで、弱リッチ設定補正量AFCrichに維持される。
[0146]
 目標空燃比設定手段A6は、基準となる空燃比、本実施形態では理論空燃比AFRに、目標空燃比補正量算出手段A5で算出された空燃比補正量AFCを加算することで、目標空燃比AFTを算出する。したがって、目標空燃比AFTは、理論空燃比AFRよりも僅かにリッチである弱リッチ設定空燃比(空燃比補正量AFCが弱リッチ設定補正量AFCrichの場合)か、又は理論空燃比AFRよりも或る程度リーンであるリーン設定空燃比(空燃比補正量AFCがリーン設定補正量AFCleanの場合)のいずれかとされる。このようにして算出された目標空燃比AFTは、基本燃料噴射量算出手段A2及び後述する空燃比差算出手段A8に入力される。
[0147]
 図15は、空燃比補正量AFCの算出制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは一定時間間隔の割り込みによって行われる。
[0148]
 図15に示したように、まず、ステップS11において空燃比補正量AFCの算出条件が成立しているか否かが判定される。空燃比補正量の算出条件が成立している場合とは、例えば燃料カット制御中ではないこと等が挙げられる。ステップS11において目標空燃比の算出条件が成立していると判定された場合には、ステップS12へと進む。S12では、上流側空燃比センサ40の出力電流Ipup、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwn、燃料噴射量Qiが取得せしめられる。次いでステップS13では、ステップS12で取得された上流側空燃比センサ40の出力電流Ipup及び燃料噴射量Qiに基づいて酸素吸蔵量の推定値OSAestが算出される。
[0149]
 次いでステップS14において、リーン設定フラグFrが0に設定されているか否かが判定される。リーン設定フラグFrは、空燃比補正量AFCがリーン設定補正量AFCleanに設定されると1とされ、それ以外の場合には0とされる。ステップS14においてリーン設定フラグFrが0に設定されている場合には、ステップS15へと進む。ステップS15では、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリッチ判定基準値Iref以下であるか否かが判定される。下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリッチ判定基準値Irefよりも大きいと判定された場合には制御ルーチンが終了せしめられる。
[0150]
 一方、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが減少して、上流側排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比が低下すると、ステップS15にて下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリッチ判定基準値Iref以下であると判定される。この場合には、ステップS16へと進み、空燃比補正量AFCがリーン設定補正量AFCleanとされる。次いで、ステップS17では、リーン設定フラグFrが1に設定され、制御ルーチンが終了せしめられる。
[0151]
 次の制御ルーチンにおいては、ステップS14において、リーン設定フラグFrが0に設定されていないと判定されて、ステップS18へと進む。ステップS18では、ステップS13で算出された酸素吸蔵量の推定値OSAestが判定基準吸蔵量Crefよりも少ないか否かが判定される。酸素吸蔵量の推定値OSAestが判定基準吸蔵量Crefよりも少ないと判定された場合にはステップS19へと進み、空燃比補正量AFCが引き続きリーン設定補正量AFCleanとされる。一方、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量が増大すると、やがてステップS18において酸素吸蔵量の推定値OSAestが判定基準吸蔵量Cref以上であると判定されてステップS20へと進む。ステップS20では、空燃比補正量AFCが弱リッチ設定補正量AFCrichとされ、次いで、ステップS21では、リーン設定フラグFrが0にリセットされ、制御ルーチンが終了せしめられる。
[0152]
<F/B補正量の算出>
 再び図14に戻って、上流側空燃比センサ40の出力電流Ipupに基づいたF/B補正量の算出について説明する。F/B補正量の算出に当たっては、数値変換手段A7、空燃比差算出手段A8、F/B補正量算出手段A9が用いられる。
[0153]
 数値変換手段A7は、上流側空燃比センサ40の出力電流Ipupと、空燃比センサ40の出力電流Ipupと空燃比との関係を規定したマップ又は計算式とに基づいて、出力電流Ipupに相当する上流側排気空燃比AFupを算出する。したがって、上流側排気空燃比AFupは、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比に相当する。
[0154]
 空燃比差算出手段A8は、数値変換手段A7によって求められた上流側排気空燃比AFupから目標空燃比設定手段A6によって算出された目標空燃比AFTを減算することによって空燃比差DAFを算出する(DAF=AFup-AFT)。この空燃比差DAFは、目標空燃比AFTに対する燃料供給量の過不足を表す値である。
[0155]
 F/B補正量算出手段A9は、空燃比差算出手段A8によって算出された空燃比差DAFを、比例・積分・微分処理(PID処理)することで、下記式(1)に基づいて燃料供給量の過不足を補償するためのF/B補正量DFiを算出する。このようにして算出されたF/B補正量DFiは、燃料噴射量算出手段A3に入力される。
 DFi=Kp・DAF+Ki・SDAF+Kd・DDAF   …(1)
[0156]
 なお、上記式(1)において、Kpは予め設定された比例ゲイン(比例定数)、Kiは予め設定された積分ゲイン(積分定数)、Kdは予め設定された微分ゲイン(微分定数)である。また、DDAFは、空燃比差DAFの時間微分値であり、今回更新された空燃比差DAFと前回更新されていた空燃比差DAFとの差を更新間隔に対応する時間で除算することで算出される。また、SDAFは、空燃比差DAFの時間積分値であり、この時間積分値DDAFは前回更新された時間積分値DDAFに今回更新された空燃比差DAFを加算することで算出される(SDAF=DDAF+DAF)。
[0157]
 なお、上記実施形態では、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比を上流側空燃比センサ40によって検出している。しかしながら、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比の検出精度は必ずしも高い必要はないことから、例えば、燃料噴射弁11からの燃料噴射量及びエアフロメータ39の出力に基づいてこの排気ガスの空燃比を推定するようにしてもよい。
[0158]
<第二実施形態>
 次に、図16を参照して、本発明の第二実施形態に係る内燃機関の制御装置について説明する。第二実施形態に係る内燃機関の制御装置の構成及び制御は、基本的に、第一実施形態に係る内燃機関の制御装置の構成及び制御と同様である。しかしながら、本実施形態の制御装置では、空燃比補正量AFCが弱リッチ設定補正量AFCrichとされている間においても、或る程度の時間間隔毎に、空燃比補正量AFCが短い時間に亘って一時的にリーン空燃比に相当する値(例えば、リーン設定補正量AFClean)とされる。すなわち、本実施形態の制御装置では、目標空燃比が弱リッチ設定空燃比とされている間においても、或る程度の時間間隔毎に、目標空燃比が短い時間に亘って一時的にリーン空燃比とされる。
[0159]
 図16は、図12と同様な図であり、図16における時刻t 1~t 7は図12における時刻t 1~t 7と同様な制御タイミングを示している。したがって、図16に示した制御においても、時刻t 1~t 7の各タイミングにおいては、図7に示した制御と同様な制御が行われている。加えて、図16に示した制御では、時刻t 4~t 7の間、すなわち、空燃比補正量AFCが弱リッチ設定補正量AFCrichとされている間に、複数回に亘って一時的に空燃比補正量AFCがリーン設定補正量AFCleanとされている。
[0160]
 図16に示した例では、時刻t 8から短い時間に亘って空燃比補正量AFCがリーン設定補正量AFCleanとされる。上述したように空燃比の変化には遅れが生じることから、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比は時刻t 9から短い時間に亘ってリーン空燃比とされる。このように、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比がリーン空燃比になると、その間は、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが一時的に増大する。
[0161]
 図16に示した例では、同様に、時刻t 10においても短い時間に亘って空燃比補正量AFCがリーン設定補正量AFCleanとされる。これに伴って、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比は時刻t 11から短い時間に亘ってリーン空燃比とされ、この間は、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが一時的に増大する。
[0162]
 このように、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比を一時的に増大させることによって、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscを一時的に増大させるか或いは酸素吸蔵量OSAscの減少を一時的に低減することができる。このため、本実施形態によれば、時刻t 4において空燃比補正量AFCを弱リッチ設定補正量AFCrichに切り替えてから、時刻t 7において下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリッチ判定基準値Irefに到達するまでの時間を長くすることができる。すなわち、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが零近傍となって上流側排気浄化触媒20から未燃ガスが流出するタイミングを遅らせることができる。これにより、上流側排気浄化触媒20からの未燃ガスの流出量を減少させることができる。
[0163]
 なお、上記実施形態では、空燃比補正量AFCが基本的に弱リッチ設定補正量AFCrichとされている間(時刻t 4~t 7)において、一時的に空燃比補正量AFCをリーン設定補正量AFCleanとしている。このように一時的に空燃比補正量AFCを変更する場合には、必ずしも空燃比補正量AFCをリーン設定補正量AFCleanに変更する必要はなく、弱リッチ設定補正量AFCrichよりもリーンであれば如何なる空燃比に変更してもよい。
[0164]
 また、空燃比補正量AFCが基本的にリーン設定補正量AFCleanとされている間(時刻t 2~t 4)においても、一時的に空燃比補正量AFCを弱リッチ設定補正量AFCrichとしてもよい。この場合も同様に、一時的に空燃比補正量AFCを変更する場合には、リーン設定補正量AFCleanよりもリッチであれば如何なる空燃比に空燃比補正量AFCを変更してもよい。
[0165]
 ただし、本実施形態においても、時刻t 2~t 4における空燃比補正量AFCは、当該期間における目標空燃比の時間平均値と理論空燃比との差が、時刻t 4~t 7における目標空燃比の時間平均値と理論空燃比との差よりも大きくなるように設定される。
[0166]
 いずれにせよ、第一実施形態及び第二実施形態をまとめて表現すると、ECU31は、下流側空燃比センサ41によって検出された排気ガスの空燃比がリッチ判定空燃比以下となったときに、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが判定基準吸蔵量Crefとなるまで、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの目標空燃比を継続的又は断続的にリーン設定空燃比にする酸素吸蔵量増加手段と、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが判定基準吸蔵量Cref以上となったときに、酸素吸蔵量OSAscが最大酸素吸蔵量Cmaxに達することなく零に向けて減少するように、目標空燃比を継続的又は断続的に弱リッチ設定空燃比にする酸素吸蔵量減少手段とを具備するといえる。
[0167]
<第三実施形態>
 次に、図17を参照して、本発明の第三実施形態に係る内燃機関の制御装置について説明する。第三実施形態に係る内燃機関の制御装置の構成及び制御は、基本的に、上記実施形態に係る内燃機関の制御装置の構成及び制御と同様である。しかしながら、本実施形態の制御装置では、上流側排気浄化触媒20から流出する排気ガス中に未燃ガスが含まれないように空燃比の制御を行っている。
[0168]
<空燃比制御の概要>
 以下では、第三実施形態の制御装置における空燃比制御の概要を説明する。本実施形態でも、上流側空燃比センサ40の出力電流Ipupに基づいてこの出力電流Ipupが目標空燃比に相当する値となるようにフィードバック制御が行われる。
[0169]
 目標空燃比は、下流側空燃比センサ41の出力電流に基づいて設定される。具体的には、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリーン判定基準値Iref以上となったときに、目標空燃比はリッチ設定空燃比とされ、その空燃比に維持される。ここで、リーン判定基準値Irefは、理論空燃比よりも僅かにリーンである予め定められたリーン判定空燃比(例えば、14.65)に相当する値である。リッチ設定空燃比は、理論空燃比よりも或る程度リッチである予め定められた空燃比であり、例えば、10~14.55、好ましくは12~14.52、より好ましくは13~14.5程度とされる。
[0170]
 目標空燃比がリッチ設定空燃比に変更されると、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが推定される。酸素吸蔵量OSAscの推定は、上流側空燃比センサ40の出力電流Ipup、及びエアフロメータ39等に基づいて算出される燃焼室5内への吸入空気量の推定値又は燃料噴射弁11からの燃料噴射量等に基づいて行われる。そして、酸素吸蔵量OSAscの推定値が予め定められた判定基準吸蔵量Cref以下になると、それまでリッチ設定空燃比だった目標空燃比が、弱リーン設定空燃比とされ、その空燃比に維持される。弱リーン設定空燃比は、理論空燃比よりも僅かにリーンである予め定められた空燃比であり、例えば、14.62~15.5、好ましくは14.63~15、より好ましくは14.65~14.8程度とされる。その後、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnが再びリーン判定基準値Iref以上となったときに再び目標空燃比がリッチ設定空燃比とされ、その後、同様な操作が繰り返される。
[0171]
 このように本実施形態では、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの目標空燃比がリッチ設定空燃比と弱リーン設定空燃比とに交互に設定される。特に、本実施形態では、リッチ設定空燃比の理論空燃比からの差は、弱リーン設定空燃比の理論空燃比からの差よりも大きい。したがって、本実施形態では、目標空燃比は、短期間のリッチ設定空燃比と、長期間の弱リーン設定空燃比とに交互に設定されることになる。
[0172]
 また、見方を変えると、本実施形態では、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnに相当する空燃比が理論空燃比からずれて理論空燃比からの差が予め定められた基準差(すなわち、リーン判定空燃比と理論空燃比との差)以上になったときには、目標空燃比は下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnに相当する空燃比が理論空燃比からずれた方向(リーン方向)とは反対方向(リッチ方向)に理論空燃比からずれた空燃比とされる。すなわち、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnに相当する空燃比がリーン側にずれた場合には、目標空燃比は、理論空燃比に対してリーン方向とは反対方向、すなわちリッチ方向にずれた空燃比(本実施形態では、リッチ設定空燃比)とされる。
[0173]
 なお、基準差は、上記第一実施形態と同様に設定される。また、目標空燃比(例えば、弱リーン設定空燃比やリッチ設定空燃比)の理論空燃比からの差は、基準差よりも大きくなるように設定される。
[0174]
<タイムチャートを用いた制御の説明>
 図17を参照して、上述したような操作について具体的に説明する。図17は、本実施形態における空燃比制御を行った場合における、図12と同様なタイムチャートである。
[0175]
 図示した例では、時刻t 1以前の状態では、空燃比補正量AFCが弱リーン設定補正量AFCleanとされている。弱リーン設定補正量AFCleanは、弱リーン設定空燃比に相当する値であり、0よりも大きな値である。したがって、目標空燃比はリーン空燃比とされ、これに伴って上流側空燃比センサ40の出力電流Ipupが正の値となる。上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガス中には酸素が含まれることになるため、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscは徐々に増大していく。しかしながら、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガス中に含まれている酸素は、上流側排気浄化触媒20で吸蔵されるため、下流側空燃比センサの出力電流Irdwnはほぼ0(理論空燃比に相当)となる。このとき、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比はリーン空燃比となっているため、上流側排気浄化触媒20からの未燃ガス排出量は抑制される。
[0176]
 上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが徐々に増大すると、酸素吸蔵量OSAscは時刻t 1において上限吸蔵量(図2のCuplim参照)を超えて増大する。酸素吸蔵量OSAscが上限吸蔵量よりも増大すると、上流側排気浄化触媒20に流入した排気ガス中の酸素の一部は上流側排気浄化触媒20で吸蔵されずに流出する。このため、時刻t 1以降、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが増加するのに伴って、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnが徐々に増加する。このときも、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比はリーン空燃比となっているため、上流側排気浄化触媒20からの未燃ガス排出量は抑制される。
[0177]
 その後、時刻t 2において、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリーン判定空燃比に相当するリーン判定基準値Irefに到達する。本実施形態では、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリーン判定基準値Irefになると、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscの増大を抑制すべく、空燃比補正量AFCがリッチ設定補正量AFCrichに切り替えられる。リッチ設定補正量AFCrichは、リッチ設定空燃比に相当する値であり、0よりも大きな値である。したがって、目標空燃比はリッチ空燃比とされる。
[0178]
 なお、本実施形態では、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリーン判定基準値Irefに到達してから、すなわち上流側排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比がリーン判定空燃比に到達してから、空燃比補正量AFCの切替を行っている。これは、上記第一実施形態において、上流側排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比がリッチ判定空燃比に到達してから、空燃比補正量AFCの切替を行っているのと同様な理由によるものである。
[0179]
 時刻t 2において、目標空燃比をリッチ空燃比に切り替えても、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比はすぐにはリッチ空燃比にならず、或る程度の遅れが生じる。その結果、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比は時刻t 3においてリーン空燃比からリッチ空燃比に変化する。なお、時刻t 2~t 3においては、上流側排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比がリーン空燃比となっているため、この排気ガス中には酸素及びNOxが含まれることになる。しかしながら、上流側排気浄化触媒20からの未燃ガス排出量は抑制される。
[0180]
 時刻t 3において、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比がリッチ空燃比に変化すると、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscは減少する。また、これに伴って、上流側排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比が理論空燃比へと変化し、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnも0に収束する。このとき、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比はリッチ空燃比となっているが、上流側排気浄化触媒20には多量の酸素が吸蔵されているため、排気ガス中の未燃ガスは上流側排気浄化触媒20において浄化される。このため、上流側排気浄化触媒20からの未燃ガス排出量は抑制される。
[0181]
 その後、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが減少すると、時刻t 4において酸素吸蔵量OSAscは判定基準吸蔵量Crefに到達する。本実施形態では、酸素吸蔵量OSAscが判定基準吸蔵量Crefになると、上流側排気浄化触媒20からの酸素の放出を中止すべく、空燃比補正量AFCが弱リーン設定補正量AFCrich(0よりも大きな値)に切り替えられる。したがって、目標空燃比はリーン空燃比とされる。
[0182]
 ただし、上述したように、目標空燃比を切り替えてから上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比が実際に変化するまでには遅れが生じる。このため、時刻t 4にて切替を行っても、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比は或る程度時間が経過した時刻t 5においてリッチ空燃比からリーン空燃比に変化する。時刻t 4~t 5においては、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比はリッチ空燃比であるため、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscは減少していく。
[0183]
 しかしながら、判定基準吸蔵量Crefは零や下限吸蔵量(図2のClowlim参照)よりも十分に高く設定されているため、時刻t 5においても酸素吸蔵量OSAscは零や下限吸蔵量には到達しない。逆に言うと、判定基準吸蔵量Crefは、目標空燃比を切り替えてから上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比が実際に変化するまで遅延が生じても、酸素吸蔵量OSAscが零や下限吸蔵量に到達しないように十分に多い量とされる。例えば、判定基準吸蔵量Crefは、最大酸素吸蔵量Cmaxの1/4以上、好ましくは1/2以上、より好ましくは4/5以上とされる。したがって、時刻t 4~t 5においても、上流側排気浄化触媒20からの未燃ガス排出量は抑制される。
[0184]
 時刻t 5以降においては、空燃比補正量AFCが弱リーン設定補正量AFCrichとされている。したがって、目標空燃比はリーン空燃比とされ、これに伴って上流側空燃比センサ40の出力電流Ipupが正の値となる。上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガス中には酸素が含まれることになるため、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscは徐々に増加していき、時刻t 6において、時刻t 1と同様に、酸素吸蔵量OSAscが上限吸蔵量を超えて減少する。このときも、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比はリーン空燃比となっているため、上流側排気浄化触媒20からの未燃ガス排出量は抑制される。
[0185]
 次いで、時刻t 7において、時刻t 2と同様に、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリーン判定空燃比に相当するリーン判定基準値Irefに到達する。これにより、空燃比補正量AFCがリッチ設定空燃比に相当する値AFCrichに切り替えられる。その後、上述した時刻t 1~t 6のサイクルが繰り返される。
[0186]
 なお、このような空燃比補正量AFCの制御は、ECU31によって行われる。したがって、ECU31は、下流側空燃比センサ41によって検出された排気ガスの空燃比がリーン判定空燃比以上となったときに、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが判定基準吸蔵量Crefとなるまで、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの目標空燃比を継続的又は断続的にリッチ設定空燃比にする酸素吸蔵量減少手段と、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが判定基準吸蔵量Cref以下となったときに、酸素吸蔵量OSAscが零に達することなく最大酸素吸蔵量Cmaxに向けて増加するように、目標空燃比を継続的又は断続的に弱リーン設定空燃比にする酸素吸蔵量増加手段とを具備するといえる。
[0187]
 以上の説明から分かるように上記実施形態によれば、上流側排気浄化触媒20からの未燃ガス排出量を抑制することができる。すなわち、上述した制御を行っている限り、基本的には上流側排気浄化触媒20からの未燃ガス排出量を少ないものとすることができる。
[0188]
 なお、上記実施形態では、時刻t 2~t 4において、空燃比補正量AFCはリッチ設定補正量AFCrichに維持される。しかしながら、斯かる期間において、空燃比補正量AFCは必ずしも一定に維持されている必要はなく、徐々に増加させる等、変動するように設定されてもよい。同様に、時刻t 4~t 7において、空燃比補正量AFCは弱リーン設定補正量AFleanに維持される。しかしながら、斯かる期間において、空燃比補正量AFCは必ずしも一定に維持されている必要はなく、徐々に増加させる等、変動するように設定されてもよい。
[0189]
 ただし、この場合であっても、時刻t 2~t 4における空燃比補正量AFCは、当該期間における目標空燃比の時間平均値と理論空燃比との差が、時刻t 4~t 7における目標空燃比の時間平均値と理論空燃比との差よりも大きくなるように設定される。
[0190]
<第四実施形態>
 次に、図18を参照して、本発明の第四実施形態に係る内燃機関の制御装置について説明する。第四実施形態に係る内燃機関の制御装置の構成は、基本的に、上記実施形態に係る内燃機関の制御装置の構成と同様である。しかしながら、本実施形態の制御装置は、上記実施形態における制御とは異なる空燃比制御を行っている。
[0191]
<第四実施形態における空燃比制御の概要>
 本実施形態では、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの目標空燃比は、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwn及び上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscに基づいて設定される。具体的には、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリッチ判定基準値Irrich以下となったときに、下流側空燃比センサ41によって検出された排気ガスの空燃比がリッチ空燃比になったと判断される。この場合、リーン切替手段により、目標空燃比がリーン設定空燃比とされ、その空燃比に維持される。
[0192]
 その後、目標空燃比をリーン設定空燃比に設定した状態で上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが零よりも多い所定の吸蔵量に到達すると、リーン度合い低下手段により、目標空燃比が弱リーン設定空燃比に切り替えられる(なお、このときの酸素吸蔵量を「リーン度合い変更基準吸蔵量」という)。また、リーン度合い変更基準吸蔵量は、零からの差が所定の変更基準差αである吸蔵量とされる。
[0193]
 一方、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリーン判定基準値Irlean以上となったときには、下流側空燃比センサ41によって検出された排気ガスの空燃比がリーン空燃比になったと判断される。この場合、リッチ切替手段により、目標空燃比がリッチ設定空燃比に設定される。
[0194]
 その後、目標空燃比をリッチ設定空燃比に設定した状態で上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが最大吸蔵量よりも少ない所定の吸蔵量に到達すると、リッチ度合い低下手段により、目標空燃比が弱リッチ設定空燃比に切り替えられる(なお、このときの酸素吸蔵量を「リッチ度合い変更基準吸蔵量」という)。また、リッチ度合い変更基準吸蔵量は、最大酸素吸蔵量からの差が上記所定の変更基準差αである吸蔵量とされる。
[0195]
 この結果、本実施形態では、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリッチ判定基準値Irrich以下になると、まず、目標空燃比がリーン設定空燃比に設定され、その後、酸素吸蔵量OSAscが或る程度多くなると弱リーン設定空燃比に設定される。その後、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリーン判定基準値Irlean以上になると、まず、目標空燃比がリッチ設定空燃比に設定され、その後、酸素吸蔵量OSAscがある程度少なくなると弱リッチ設定空燃比に設定され、同様な操作が繰り返される。
[0196]
<タイムチャートを用いた制御の説明>
 図18を参照して、上述したような操作について具体的に説明する。図18は、本実施形態に係る内燃機関の制御装置における空燃比制御を行った場合の、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAsc等のタイムチャートである。
[0197]
 図示した例では、時刻t 1以前の状態では、目標空燃比の空燃比補正量AFCが弱リッチ設定補正量AFCsrichとされている。弱リッチ設定補正量AFCsrichは、弱リッチ設定空燃比に相当する値であり、0よりも小さな値である。したがって、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの目標空燃比はリッチ空燃比とされ、これに伴って上流側空燃比センサ40の出力電流Ipupが負の値となる。上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガス中には未燃ガスが含まれることになるため、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscは徐々に減少していく。なお、このときには、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガス中の未燃ガスは上流側排気浄化触媒20に吸蔵されている酸素により酸化、浄化される。このため、上流側排気浄化触媒20からの酸素(及びNOx)排出量のみならず未燃ガス排出量も抑制される。
[0198]
 上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが徐々に減少すると、時刻t 1において、酸素吸蔵量OSAscは下限吸蔵量(図2のClowlim参照)を超えて減少する。酸素吸蔵量OSAscが下限吸蔵量よりも減少すると、上流側排気浄化触媒20に流入した未燃ガスの一部は上流側排気浄化触媒20で浄化されずに流出する。このため、時刻t 1以降、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが減少するのに伴って、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnが徐々に低下する。なお、上流側排気浄化触媒20から流出した排気ガス中に含まれる未燃ガスは、下流側排気浄化触媒24によって酸化、浄化される。
[0199]
 その後、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnは徐々に低下して、時刻t 2においてリッチ判定空燃比に相当するリッチ判定基準値Irrichに到達する。本実施形態では、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリッチ判定基準値Irrich以下になると、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscの減少を抑制すべく、空燃比補正量AFCがリーン設定補正量AFCgleanに切り替えられる。リーン設定補正量AFCgleanは、リーン設定空燃比に相当する値であり、0よりも大きい値である。
[0200]
 時刻t 2において、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの目標空燃比をリーン設定空燃比に切り替えると、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比もリッチ空燃比からリーン空燃比に変化する。時刻t 2において上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比がリーン空燃比に変化すると、上流側空燃比センサ40の出力電流Ipupは正の値になると共に、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscは増大し始める。
[0201]
 なお、図18に示した例では、説明をわかりやすくするために、空燃比補正量AFCの切り替えと同時に上流側空燃比センサ40の出力電流Ipupが変化することとしているが、実際には上述したように遅れが生じる。また、図示した例では、目標空燃比を切り替えた直後は、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnが低下している。これは、目標空燃比を切り替えてからその排気ガスが上流側排気浄化触媒20に到達するまでに遅れが生じ、上流側排気浄化触媒20から未燃ガスが流出したままとなるためである。
[0202]
 その後、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscの増大に伴って、上流側排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比が理論空燃比へと変化し、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnも大きくなる。このため、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnは、時刻t 3以降においてリッチ判定基準値Irrichよりも大きくなる。この間も、目標空燃比の空燃比補正量AFCは、リーン設定補正量AFCgleanに維持され、上流側空燃比センサ40の出力電流Ipupは正の値に維持される。
[0203]
 上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscの増大が続くと、時刻t 4においてリーン度合い変更基準吸蔵量Cleanに到達する。本実施形態では、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscがリーン度合い変更基準吸蔵量Clean以上になると、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscの増加速度を遅くすべく、空燃比補正量AFCが弱リーン設定補正量AFCsleanに切り替えられる。弱リーン設定補正量AFCsleanは、弱リーン設定空燃比に相当する値であって、AFCgleanよりも小さく且つ0よりも大きな値である。
[0204]
 時刻t 4において、目標空燃比を弱リーン設定空燃比に切り替えると、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比の理論空燃比に対する差も小さくなる。これに伴って、上流側空燃比センサ40の出力電流Ipupの値は小さくなると共に、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscの増加速度が低下する。なお、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガス中の酸素及びNOxは、上流側排気浄化触媒20に吸蔵及び浄化される。このため、上流側排気浄化触媒20からの未燃ガス排出量のみならずNOx排出量も抑制される。
[0205]
 時刻t 4以降においては、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscは、その増加速度が遅いながらも徐々に増加していく。上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが徐々に増加すると、時刻t 5において、酸素吸蔵量OSAscは上限吸蔵量(図2のCuplim参照)を超えて増加する。酸素吸蔵量OSAscが上限吸蔵量よりも増大すると、上流側排気浄化触媒20に流入した酸素の一部は、上流側排気浄化触媒20で吸蔵されずに流出する。このため、時刻t 5以降、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscが増加するのに伴って、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnが徐々に上昇する。なお、上流側排気浄化触媒20において酸素の一部が吸蔵されなくなるのに伴ってNOxも還元、浄化されなくなるが、このNOxは下流側排気浄化触媒24によって還元、浄化される。
[0206]
 その後、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnは徐々に上昇して、時刻t 6においてリーン判定空燃比に相当するリーン判定基準値Irleanに到達する。本実施形態では、下流側空燃比センサ41の出力電流がリーン判定基準値Irlean以上になると、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscの増大を抑制すべく、空燃比補正量AFCがリッチ設定補正量AFCgrichに切り替えられる。リッチ設定補正量AFCgrichは、リッチ設定空燃比に相当する値であり、0よりも小さい値である。
[0207]
 時刻t 6において、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの目標空燃比をリッチ設定空燃比に切り替えると、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比もリーン空燃比からリッチ空燃比に変化する。時刻t 6において上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比がリッチ空燃比に変化すると、上流側空燃比センサ40の出力電流Ipupは負の値になると共に、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscは減少し始める。
[0208]
 その後、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscの減少に伴って、上流側排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比が理論空燃比へと変化し、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnも小さくなる。このため、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnは、時刻t 7以降において零以下になる。この間も、目標空燃比の空燃比補正量AFCは、リッチ設定補正量AFCgrichに維持され、上流側空燃比センサ40の出力電流Ipupは負の値に維持される。
[0209]
 上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscの減少が続くと、時刻t 8においてリッチ度合い変更基準吸蔵量Crichに到達する。本実施形態では、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscがリッチ度合い変更基準吸蔵量Crich以下になると、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscの減少速度を遅くすべく、空燃比補正量AFCが弱リッチ設定補正量AFCsrichに切り替えられる。弱リッチ設定補正量AFCsrichは、弱リッチ設定空燃比に相当する値であり、AFCgrichよりも大きく且つ0よりも小さな値である。
[0210]
 時刻t 8において、目標空燃比を弱リッチ設定空燃比に切り替えると、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比の理論空燃比に対する差も小さくなる。これに伴って、上流側空燃比センサ40の出力電流Ipupの値は大きくなると共に、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscの減少速度が低下する。なお、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガス中の未燃ガスは、上流側排気浄化触媒20において酸化、浄化される。このため、上流側排気浄化触媒20からの酸素及びNOx排出量のみならず未燃ガス排出量も抑制される。
[0211]
 時刻t 8以降においては、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscは、その減少速度が遅いながらも徐々に減少していき、その結果、上流側排気浄化触媒20から未燃ガスが流出し始め、その結果、時刻t 2と同様に下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリッチ判定基準値Irrichに到達する。その後は、時刻t 1~t 8の操作と同様な操作が繰り返される。
[0212]
<本実施形態の制御における作用効果>
 上述した本実施形態の空燃比制御によれば、時刻t 2において目標空燃比がリッチ空燃比からリーン空燃比に変更された直後、及び時刻t 6において目標空燃比がリーン空燃比からリッチ空燃比に変更された直後には、理論空燃比からの差が大きなものとされる(すなわち、リッチ度合い又はリーン度合いが大きいものとされる)。このため、時刻t 2において上流側排気浄化触媒20から流出していた未燃ガス及び時刻t 6において上流側排気浄化触媒20から流出していたNOxを迅速に減少させることができる。したがって、上流側排気浄化触媒20からの未燃ガス及びNOxの流出を抑制することができる。
[0213]
 また、本実施形態の空燃比制御によれば、時刻t 2において目標空燃比をリーン設定空燃比に設定した後、上流側排気浄化触媒20からの未燃ガスの流出が止まり且つ上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscがある程度回復してから、時刻t 4において目標空燃比が弱リーン設定空燃比に切り替えられる。このように目標空燃比の理論空燃比からの差を小さくすることにより、時刻t 4から時刻t 5において、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscの増加速度を遅くすることができる。これにより、時刻t 4から時刻t 6までの時間間隔を長くすることができる。この結果、単位時間当たりにおける上流側排気浄化触媒20からのNOxや未燃ガスの流出量を減少させることができる。さらに、上記空燃比制御によれば、時刻t 5において、上流側排気浄化触媒20からNOxが流出するときにもその流出量を少なく抑えることができる。したがって、上流側排気浄化触媒20からのNOxの流出を抑制することができる。
[0214]
 加えて、本実施形態の空燃比制御によれば、時刻t 6において目標空燃比をリッチ設定空燃比に設定した後、上流側排気浄化触媒20からのNOx(酸素)の流出が止まり且つ上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscがある程度減少してから、時刻t 8において目標空燃比が弱リッチ設定空燃比に切り替えられる。このように目標空燃比の理論空燃比からの差を小さくすることにより、時刻t 8から時刻t 1において、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscの減少速度を遅くすることができる。これにより、時刻t 8から時刻t 1までの時間間隔を長くすることができる。この結果、単位時間当たりにおける上流側排気浄化触媒20からのNOxや未燃ガスの流出量を減少させることができる。さらに、上記空燃比制御によれば、時刻t 1において、上流側排気浄化触媒20から未燃ガスが流出するときにもその流出量を少なく抑えることができる。したがって、上流側排気浄化触媒20からの未燃ガスの流出を抑制することができる。
[0215]
 なお、上記実施形態では、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscがリーン度合い変更基準吸蔵量Clean以上となったときに、目標空燃比を理論空燃比からの差が小さくなるように変化させている。しかしながら、目標空燃比を理論空燃比からの差が小さくなるように変化させるタイミングは、時刻t 2~t 6の間のいつでもよい。例えば、図19に示したように、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリッチ判定基準値Irrich以上になったときに、目標空燃比を理論空燃比からの差を小さくなるように変化させてもよい。
[0216]
 同様に、上記実施形態では、上流側排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAscがリッチ度合い変更基準吸蔵量Crich以下となったときに、目標空燃比を理論空燃比からの差が小さくなるように変化させている。しかしながら、目標空燃比を理論空燃比からの差が小さくなるように変化させるタイミングは、時刻t 6~t 2の間のいつでもよい。例えば、図19に示したように、下流側空燃比センサ41の出力電流Irdwnがリーン判定基準値Irlean以下になったときに、目標空燃比を理論空燃比からの差が小さくなるように変化させてもよい。
[0217]
 さらに、上記実施形態では、時刻t 4~t 6の間、及び時刻t 8~t 2の間、目標空燃比は弱リーン設定空燃比又は弱リッチ設定空燃比に固定されている。しかしながら、これら期間において、目標空燃比は、その差が段階的に小さくなるように設定されてもよいし、その差が連続的に小さくなるように設定されてもよい。
[0218]
 これらをまとめて表現すると、本発明によれば、ECU31は、下流側空燃比センサ41の出力電流が理論空燃比よりもリッチなリッチ判定空燃比に相当する値以下になったときに、上流側排気浄化触媒20に流入する排気ガスの目標空燃比をリーン設定空燃比まで変化させる空燃比リーン切替手段と、空燃比リーン切替手段によって目標空燃比を変化させた後であって下流側空燃比センサ41の出力電流が理論空燃比よりもリーンなリーン判定空燃比に相当する値以上になる前に目標空燃比をリーン設定空燃比よりも理論空燃比からの差が小さいリーン空燃比(弱リーン設定空燃比)に変化させるリーン度合い低下手段と、下流側空燃比センサ41の出力電流が上記リーン判定空燃比に相当する値以上になったときに、目標空燃比をリッチ設定空燃比まで変化させる空燃比リッチ切替手段と、空燃比リッチ切替手段によって空燃比を変化させた後であって下流側空燃比センサ41の出力電流が上記リッチ判定空燃比に相当する値以下となる前に目標空燃比をリッチ設定空燃比よりも理論空燃比からの差が小さいリッチ空燃比に変化させるリッチ度合い低下手段とを具備すると言える。
[0219]
 なお、本明細書において、排気浄化触媒の酸素吸蔵量は、最大酸素吸蔵量と零との間で変化するものとして説明している。このことは、排気浄化触媒によって更に吸蔵可能な酸素の量が、零(酸素吸蔵量が最大酸素吸蔵量である場合)と最大値(酸素吸蔵量が零である場合)の間で変化することを意味するものである。

符号の説明

[0220]
 5  燃焼室
 6  吸気弁
 8  排気弁
 10  点火プラグ
 11  燃料噴射弁
 13  吸気枝管
 15  吸気管
 18  スロットル弁
 19  排気マニホルド
 20  上流側排気浄化触媒
 21  上流側ケーシング
 22  排気管
 23  下流側ケーシング
 24  下流側排気浄化触媒
 31  ECU
 39  エアフロメータ
 40  上流側空燃比センサ
 41  下流側空燃比センサ

請求の範囲

[請求項1]
 内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化触媒と、該排気浄化触媒よりも排気流れ方向上流側において前記排気通路に設けられた上流側空燃比センサと、前記排気浄化触媒よりも排気流れ方向下流側において前記排気通路に設けられた下流側空燃比センサと、前記上流側空燃比センサ又は下流側空燃比センサの出力に基づいて内燃機関を制御する機関制御装置とを具備する、内燃機関の制御装置において、
 前記上流側空燃比センサは、検出対象である排気ガスが流入せしめられる被測ガス室と、ポンプ電流に応じて該被測ガス室内の排気ガスに対して酸素の汲み入れ及び汲み出しを行うポンプセルと、前記被測ガス室内の空燃比に応じて検出値が変化する基準セルと、該検出値が一定になるようにポンプ電流を制御するポンプ電流制御装置と、前記ポンプ電流を当該上流側空燃比センサの出力電流として検出するポンプ電流検出装置とを具備する2セル型の空燃比センサであり、
 前記下流側空燃比センサは、拡散律速層を介して検出対象である排気ガスに曝される第一電極と、基準雰囲気に曝される第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に配置された固体電解質層と、前記第一電極と前記第二電極との間に電圧を印加する電圧印加装置と、前記第一電極と前記第二電極との間に流れる電流を当該下流側空燃比センサの出力電流として検出する電流検出装置とを具備する1セル型の空燃比センサである、内燃機関の制御装置。
[請求項2]
 前記機関制御装置は、前記上流側空燃比センサの出力電流が目標空燃比に相当する値となるように前記排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比を制御し、前記目標空燃比は、理論空燃比とは異なる空燃比とされる、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項3]
 前記目標空燃比は、理論空燃比よりもリッチの空燃比と理論空燃比よりもリーンの空燃比との間で交互に切り替えられる、請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項4]
 前記機関制御装置は、前記下流側空燃比センサの出力電流に相当する空燃比が理論空燃比からずれて理論空燃比からの差が予め定められた判定基準差以上になったときには、前記目標空燃比を、下流側空燃比センサの出力電流に相当する空燃比が理論空燃比からずれた方向とは反対方向に理論空燃比からずれた空燃比とする、請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項5]
 前記判定基準差は、理論空燃比の1%以内の値である、請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項6]
 前記目標空燃比は、その理論空燃比からの差が前記判定基準差よりも大きくなるように設定される、請求項4又は5に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項7]
 前記機関制御装置は、前記下流側空燃比センサの出力電流に相当する空燃比が理論空燃比から判定基準差分だけリッチ側にずれたリッチ判定空燃比以下となったときに、前記排気浄化触媒の酸素吸蔵量が最大酸素吸蔵量よりも少ない所定の吸蔵量となるまで、前記目標空燃比を継続的又は断続的に理論空燃比よりもリーンにする酸素吸蔵量増加手段と、前記排気浄化触媒の酸素吸蔵量が前記所定の吸蔵量以上になったときに、該酸素吸蔵量が最大酸素吸蔵量に達することなく零に向けて減少するように、前記目標空燃比を継続的又は断続的に理論空燃比よりもリッチにする酸素吸蔵量減少手段とを具備する、請求項4~6のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項8]
 前記酸素吸蔵量増加手段によって継続的又は断続的に理論空燃比よりもリーンにされている期間における前記目標空燃比の時間平均値と理論空燃比との差は、前記酸素吸蔵量減少手段によって継続的又は断続的に理論空燃比よりもリッチにされている期間における前記目標空燃比の時間平均値と理論空燃比との差よりも大きい、請求項7に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項9]
 前記機関制御装置は、前記下流側空燃比センサの出力電流に相当する空燃比が理論空燃比から判定基準差分だけリーン側にずれたリーン判定空燃比以下となったときに、前記排気浄化触媒の酸素吸蔵量が零よりも多い所定の吸蔵量となるまで、前記目標空燃比を継続的又は断続的に理論空燃比よりもリッチにする酸素吸蔵量減少手段と、前記排気浄化触媒の酸素吸蔵量が前記所定の吸蔵量以下になったときに、該酸素吸蔵量が零に達することなく最大酸素吸蔵量に向けて増加するように、前記目標空燃比を継続的又は断続的に理論空燃比よりもリーンにする酸素吸蔵量増加手段とを具備する、請求項4~6のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項10]
 前記酸素吸蔵量減少手段によって継続的又は断続的に理論空燃比よりもリッチにされている期間における前記目標空燃比の時間平均値と理論空燃比との差は、前記酸素吸蔵量増加手段によって継続的又は断続的に理論空燃比よりもリーンにされている期間における前記目標空燃比の時間平均値と理論空燃比との差よりも大きい、請求項9に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項11]
 前記機関制御装置は、前記下流側空燃比センサの出力電流が理論空燃比よりもリッチなリッチ判定空燃比に相当する値以下となったときに、前記排気浄化触媒に流入する排気ガスの目標空燃比を理論空燃比よりもリーンのリーン設定空燃比まで変化させる空燃比リーン切替手段と、
 該空燃比リーン切替手段によって前記目標空燃比を変化させた後であって前記下流側空燃比センサの出力電流が理論空燃比よりもリーンなリーン判定空燃比に相当する値以上になる前に前記目標空燃比を前記リーン設定空燃比よりも理論空燃比からの差が小さいリーン空燃比に変化させるリーン度合い低下手段と、
 前記下流側空燃比センサの出力電流が前記リーン判定空燃比に相当する値以上なったときに、前記目標空燃比を理論空燃比よりもリッチのリッチ設定空燃比まで変化させる空燃比リッチ切替手段と、
 該空燃比リッチ切替手段によって前記目標空燃比を変化させた後であって前記下流側空燃比センサの出力電流が前記リッチ判定空燃比に相当する値以下となる前に前記目標空燃比を前記リッチ設定空燃比よりも理論空燃比からの差が小さいリッチ空燃比に変化させるリッチ度合い低下手段とを具備する、請求項4~6のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項12]
 前記上流側空燃比センサの基準セルは、前記被測ガス室内の排気ガスに曝される第三電極と、基準雰囲気に曝される第四電極と、前記第三電極と前記第四電極との間に配置された固体電解質層と、前記第三電極と前記第四電極との間の起電力を前記検出値として検出する基準電圧検出装置とを具備する、請求項1~11のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]