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1. WO2018216203 - GaAs基板およびその製造方法

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明 細 書

発明の名称 GaAs基板およびその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

0004   0005  

図面の簡単な説明

0006  

発明を実施するための形態

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061  

実施例

0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : GaAs基板およびその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、GaAs基板およびその製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 特開2008-300747号公報(特許文献1)には、ウエハの表面を研磨し、アルカリ洗浄液で洗浄し、かつ酸洗浄液で洗浄することにより、表面に付着している異物および酸化物を一般的な熱洗浄により除去可能としたGaAs基板が開示されている。最近では、アルカリ洗浄液に超音波を印可してウエハの表面を洗浄することにより、その洗浄力(除去能力)を改善することなどが検討されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2008-300747号公報

発明の概要

[0004]
 本開示の一態様に係るGaAs基板は、第1表面を有するGaAs基板であって、上記第1表面に存在する長径が0.16μm以上のパーティクルの上記第1表面1cm 2当たりの個数と、上記第1表面を深さ方向に0.5μmエッチングすることにより形成される第2表面に存在する長径が0.16μm以上のダメージの上記第2表面1cm 2当たりの個数との和が、2.1以下である。
[0005]
 本開示の一態様に係るGaAs基板の製造方法は、GaAs基板前駆体からGaAs基板を得る洗浄工程を有するGaAs基板の製造方法であって、上記洗浄工程は、アルカリ性溶液中で上記GaAs基板前駆体に対して超音波を与えることにより上記GaAs基板前駆体を洗浄する第1工程と、酸性溶液中で上記GaAs基板前駆体に対して上記超音波を与えることにより上記GaAs基板前駆体を洗浄する第2工程と、を含み、上記第1工程は、上記超音波の周波数を少なくとも900kHzから2MHzへ連続的に変化させる操作を含み、上記第2工程は、上記超音波の周波数を少なくとも900kHzから2MHzへ連続的に変化させる操作を含む。

図面の簡単な説明

[0006]
[図1] 図1は、本実施形態に係るGaAs基板の製造方法における各工程を説明する概略フロー図である。
[図2] 図2は、実施例および比較例に係るGaAs基板に関し、洗浄工程で与えた音圧の強さと、パーティクルおよびダメージの個数との関係を表したグラフである。
[図3] 図3は、実施例および比較例に係るGaAs基板に関し、洗浄工程で与えた音圧の強さと、エピタキシャル膜表面のLPDの個数との関係を表したグラフである。

発明を実施するための形態

[0007]
 [本開示が解決しようとする課題]
 超音波を印可してGaAs基板を洗浄する場合、その音圧が高い程洗浄力が高まるが、上記音圧が高すぎると、GaAs基板にエピタキシャル成長させた膜(以下、「エピタキシャル膜」とも記す)の表面のLPD(Light Point Defect)レベルが悪化することが分かってきた。このLPDレベルとは、エピタキシャル膜表面に光を当ててその平滑性(段差の有無)を評価するときに用いられる用語であって、LPDの数値が大きい(LPDレベルが悪い)程エピタキシャル膜表面に多くの段差が存在することを意味する。この段差は、GaAs基板にエピタキシャル膜を成長させたときに生じる積層欠陥(スタッキングフォルト)に起因する。
[0008]
 LPDレベルの悪化は、デバイス特性の低下と相関する。このためGaAs基板に対し、LPDレベルを改善させることが求められている。
[0009]
 以上の点に鑑み、本開示は、LPDレベルを改善したエピタキシャル膜を形成することが可能なGaAs基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
[0010]
 [本開示の効果]
 上記によれば、LPDレベルを改善したエピタキシャル膜を形成することが可能なGaAs基板およびその製造方法を提供することができる。
[0011]
 [本願発明の実施形態の説明]
 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ね、本開示に到達した。具体的には、GaAs基板のエピタキシャル膜表面におけるLPDレベルが、GaAs基板の表面に存在する異物と酸化物とを意味するパーティクルの個数、およびGaAs基板の内部に存在する欠陥を意味するダメージの個数の両者と相関することを見出した。特に、超音波を印可してGaAs基板を洗浄する場合、印加する超音波の音圧が高いほどパーティクルの個数を抑えることができるが、GaAs基板の内部のダメージは、その個数が増える傾向にあることを見出した。これらの知見に基づき、パーティクルの個数およびダメージの個数の和が最も少なくなる音圧を用いた超音波を印可してGaAs基板を洗浄した場合、そのエピタキシャル膜表面におけるLPDレベルを改善可能であることを想到した。さらに、周波数の高低によって除去可能なパーティクルのサイズが変化する特性も見出し、本開示に到達した。
[0012]
 最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
 [1]本開示の一態様に係るGaAs基板は、第1表面を有するGaAs基板であって、上記第1表面に存在する長径が0.16μm以上のパーティクルの上記第1表面1cm 2当たりの個数と、上記第1表面を深さ方向に0.5μmエッチングすることにより形成される第2表面に存在する長径が0.16μm以上のダメージの上記第2表面1cm 2当たりの個数との和が、2.1以下である。このような構成によりGaAs基板は、LPDレベルを改善したエピタキシャル膜を形成することができ、この種のデバイスの特性を向上させることができる。
[0013]
 [2]上記GaAs基板は、上記第1表面にAl xGa 1-xAs膜を有し、上記Al xGa 1-xAs膜は、0.5~6μmの厚みを有し、上記Al xGa 1-xAs膜の表面に存在する長径が18μm以上のLPDの上記表面1cm 2当たりの個数は、51.2以下であり、上記xは、0.5±0.1であることが好ましい。これにより、Al xGa 1-xAs膜表面において、51.2以下という優れたLPDレベルを達成することができ、この種のデバイスの特性をより向上させることができる。
[0014]
 [3]上記GaAs基板は、2インチ以上8インチ以下の直径を有する円盤状の形状であることが好ましい。これにより、優れたLPDレベルを有し、かつ大型のGaAs基板を提供することができる。
[0015]
 [4]本開示の一態様に係るGaAs基板の製造方法は、GaAs基板前駆体からGaAs基板を得る洗浄工程を有するGaAs基板の製造方法であって、上記洗浄工程は、アルカリ性溶液中で上記GaAs基板前駆体に対して超音波を与えることにより上記GaAs基板前駆体を洗浄する第1工程と、酸性溶液中で上記GaAs基板前駆体に対して上記超音波を与えることにより上記GaAs基板前駆体を洗浄する第2工程と、を含み、上記第1工程は、上記超音波の周波数を少なくとも900kHzから2MHzへ連続的に変化させる操作を含み、上記第2工程は、上記超音波の周波数を少なくとも900kHzから2MHzへ連続的に変化させる操作を含む。このような構成により、LPDレベルを改善したエピタキシャル膜を形成することができ、この種のデバイスの特性を向上させるGaAs基板を製造することができる。
[0016]
 [5]上記超音波は、その音圧が60~80mVであることが好ましい。これにより、LPDレベルをより改善したエピタキシャル膜を形成することができるGaAs基板を製造することができる。
[0017]
 [本願発明の実施形態の詳細]
 以下、本発明の実施形態(以下「本実施形態」とも記す)についてさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。以下では図面を参照しながら説明する。
[0018]
 本明細書において「A~B」という形式の表記は、範囲の上限下限(すなわちA以上B以下)を意味し、Aにおいて単位の記載がなく、Bにおいてのみ単位が記載されている場合、Aの単位とBの単位とは同じである。さらに、本明細書において化合物などを化学式で表す場合、原子比を特に限定しないときは従来公知のあらゆる原子比を含むものとし、必ずしも化学量論的範囲のもののみに限定されるべきではない。たとえば「GaAs」と記載されている場合、GaAsを構成する原子数の比はGa:As=1:1に限られず、従来公知のあらゆる原子比が含まれる。
[0019]
 (実施形態1)
 ≪GaAs基板≫
 本実施形態に係るGaAs基板は、第1表面を有する。GaAs基板は、この第1表面に存在する長径が0.16μm以上のパーティクルの第1表面1cm 2当たりの個数と、第1表面を深さ方向に0.5μmエッチングすることにより形成される第2表面に存在する長径が0.16μm以上のダメージの第2表面1cm 2当たりの個数との和が、2.1以下である。このようなGaAs基板は、LPDレベルを改善したエピタキシャル膜を当該基板に成長させることができ、この種のデバイスの特性を向上させることができる。
[0020]
 本明細書において「第1表面」とは、結晶成長させたGaAs単結晶をスライスし、面取りを行なって円盤状のウエハに加工することにより現れる上記ウエハの主面をいう。「第2表面」とは、第1表面を深さ方向に0.5μmエッチングすることにより形成される表面をいう。
[0021]
 さらに「パーティクル」とは、GaAs基板の第1表面に存在する異物および酸化物をいう。第1表面においてパーティクルは、後述する表面検査装置により凸部として観察される。「ダメージ」とは、GaAs基板の内部に存在するものであるが、本開示では、第1表面を深さ方向に0.5μmエッチングすることにより形成される第2表面に存在する欠陥をいう。この欠陥には、その態様としてクラック、ピット、キズなどが挙げられる。第2表面においてダメージは、後述する表面検査装置により凹部として観察される。
[0022]
 パーティクルおよびダメージは、それぞれ表面検査装置(商品名:「サーフスキャン6220」、KLA-テンコール社製)を用いることにより観察することができ、かつこれらの個数を求めることができる。具体的な観察方法は、以下のとおりである。
[0023]
 本実施形態においてパーティクルの個数は次のようにして求められる。まず上記表面検査装置を用い、GaAs基板の第1表面の全面に対してレーザーで走査することにより、異物などの凸部の総数を求める。次に、その凸部の総数を第1表面の全面の面積で除することにより、第1表面に存在する第1表面1cm 2当たりのパーティクルの個数を求めることができる。この場合において、GaAs基板の第1表面の全面には、該基板の外縁から3mm内側までの範囲を含まないものとする。
[0024]
 上述した凸部は、その長径が0.16μm以上であるもののみが、その数に含められる。長径が0.16μm以上のパーティクルの個数が、後述するLPDレベルの優劣と相関するからである。パーティクルの「長径」とは、上記凸部の外周において最も離れた2点間の距離を指す。凸部の長径の最大値は、特に制限されるべきではないが、5μmとすればよい。半導体を製造するクリーンルームは、その清浄度が規制され、クラス100のクリーンルームへ5μmを超える異物が混入することが実質的にあり得ず、もってGaAs基板の第1表面に存在することも実質的にあり得ないからである。
[0025]
 さらに本実施形態において、ダメージの個数は次のようにして求められる。まず上記表面検査装置を用い、GaAs基板の第1表面を深さ方向に0.5μmエッチングすることにより形成される第2表面の全面に対してレーザーで走査することにより、クラックなどの凹部の総数を求める。次に、その凹部の総数を第2表面の全面の面積で除することにより、第2表面に存在する第2表面1cm 2当たりのダメージの個数を求めることができる。この場合においても、GaAs基板の第2表面の全面には、該基板の外縁から3mm内側までの範囲を含まないものとする。
[0026]
 上述した凹部は、その長径が0.16μm以上であるもののみが、その数に含められる。長径が0.16μm以上のダメージの個数が、後述するLPDレベルの優劣と相関するからである。ダメージの「長径」とは、上記凹部の外周において最も離れた2点間の距離を指す。凹部の長径の最大値は、特に制限されるべきではないが、5μmとすればよい。
[0027]
 ここで、GaAs基板の第2表面を出現させるために行なう第1表面をエッチングする方法は、次のとおりである。
[0028]
 まず、アンモニア300ml、過酸化水素水100mlおよび水20000mlからアンモニア-過酸化水素水溶液(アンモニア29質量%、過酸化水素水31質量%)を調製する。次に、このアンモニア-過酸化水素水溶液を30℃に加温し、この加温したアンモニア-過酸化水素水溶液へGaAs基板を25~45秒間浸漬することにより、GaAs基板の第1表面を深さ方向に0.5μmエッチングする。これにより、GaAs基板の第2表面を出現させることができる。GaAs基板の第1表面が0.5μmエッチングされたかどうかは、GaAs基板の中心部(該基板の中心から半径1インチ以内)において評価することが好ましい。
[0029]
 本実施形態に係るGaAs基板では、上述のようにして求めた第1表面に存在する第1表面1cm 2当たりのパーティクルの個数、および第2表面に存在する第2表面1cm 2当たりのダメージの個数の和が2.1以下となる。この数値であれば、GaAs基板に成長させる後述するエピタキシャル膜表面のLPDレベルが非常に優れるものとなり、デバイス特性が良好となる。
[0030]
 第1表面に存在する第1表面1cm 2当たりのパーティクルの個数、および第2表面に存在する第2表面1cm 2当たりのダメージの個数の和は、1.7以下であることが好ましい。この数値は0(ゼロ)であることが最も好ましい。
[0031]
 <Al xGa 1-xAs膜(エピタキシャル膜)>
 本実施形態に係るGaAs基板は、上述した第1表面にAl xGa 1-xAs膜を有することが好ましい。すなわち、GaAs基板にエピタキシャル成長させる化合物膜は、特に限定されるべきではないが、Al xGa 1-xAs膜であることが好ましい。
[0032]
 なぜならAl xGa 1-xAsは、xが0から1までのあらゆる組成においてGaAs基板に格子整合するため、GaAs基板の表面のコンディションが最も反映された膜を形成することができるからである。すなわち、Al xGa 1-xAs膜表面には、第1表面に存在するパーティクルの個数、および第2表面に存在するダメージの個数と強く相関したLPDレベル(LPDの個数)が現れることになる。さらに、Al xGa 1-xAs膜を有するGaAs基板は、デバイスとしても汎用されているので好ましい。
[0033]
 Al xGa 1-xAs膜におけるxは、0.5±0.1であることが好ましい。xがこの範囲である場合に、Al xGa 1-xAs膜表面において第1表面に存在するパーティクルの個数、および第2表面に存在するダメージの個数と、LPDの個数とを最も相関させることが可能となる。xは、0.5±0.05であることがより好ましい。
[0034]
 Al xGa 1-xAs膜は、0.5~6μmの厚みを有することが好ましい。Al xGa 1-xAs膜の厚みがこの範囲である場合に、GaAs基板は広範囲の用途に適用可能となる。Al xGa 1-xAs膜は、4~5μmの厚みを有することがより好ましい。
[0035]
 Al xGa 1-xAs膜の厚みが0.5μm未満である場合、Al xGa 1-xAs膜表面において第1表面に存在するパーティクルの個数、および第2表面に存在するダメージの個数と、LPDの個数とを相関させることが困難となる傾向がある。Al xGa 1-xAs膜の厚みが6μmを超える場合、パーティクルおよびダメージの密度が大きくなり過ぎ、その測定が困難となる傾向がある。
[0036]
 Al xGa 1-xAs膜の表面に存在する長径が18μm以上のLPDの上記表面1cm 2当たりの個数は、51.2以下であることが好ましい。この場合に、デバイス特性に優れたGaAs基板を提供することができる。長径が18μm以上のLPDの上記表面1cm 2当たりの個数は、40以下であることがより好ましい。この数値は0(ゼロ)であることが最も好ましい。
[0037]
 LPDについても、上述した表面検査装置(商品名:「サーフスキャン6220」、KLA-テンコール社製)を用いることにより観察することができ、かつこれらの個数を求めることができる。具体的な観察方法は以下のとおりである。
[0038]
 まず上記表面検査装置を用い、GaAs基板上のAl xGa 1-xAs膜表面の全面に対してレーザーで走査することにより、LPDの総数を求める。次に、その総数をAl xGa 1-xAs膜表面の全面の面積で除することにより、Al xGa 1-xAs膜表面に存在する表面1cm 2当たりのLPDの個数を求めることができる。この場合においても、GaAs基板上のAl xGa 1-xAs膜表面の全面には、該基板の外縁から3mm内側までの範囲を含まないものとする。
[0039]
 上述したLPDは、その長径が18μm以上であるもののみが、その数に含められる。長径が18μm以上のLPDの個数が、デバイス特性の優劣と相関するからである。LPDの長径の最大値は、特に制限されるべきではないが、63μmとすればよい。長径が63μmを超える大きさのLPDは、GaAs基板のパーティクルおよびダメージとは別の原因により生じていると考えられるからである。
[0040]
 <形状>
 GaAs基板は、2インチ以上8インチ以下の直径を有する円盤状の形状であることが好ましい。このGaAs基板の直径は、4インチ以上8インチ以下であることがより好ましく、6インチ以上8インチ以下であることが最も好ましい。ただしGaAs基板は、8インチ以上の直径を有する円盤状の形状であっても構わない。これにより、大型のデバイス特性に優れたGaAs基板を提供することができる。
[0041]
 GaAs基板の直径の上限は、12インチである。直径が12インチを超えるGaAs基板は、高品質な基板として製造することが技術的に制限される傾向がある。
[0042]
 ここで本明細書において、「直径が2インチ」のGaAs基板には、直径が5cmのGaAs基板が含まれる。すなわち、この「2インチ」は数学的に厳密な意味での「2インチ」ではない。同様に、「直径が4インチ」のGaAs基板には、直径が10cmのGaAs基板が含まれ、「直径が6インチ」のGaAs基板には、直径が15cmのGaAs基板が含まれ、「直径が8インチ」のGaAs基板には、直径が20cmのGaAs基板が含まれる。さらに「直径が12インチ」のGaAs基板には、直径が30cmのGaAs基板が含まれる。
[0043]
 <作用>
 以上より、本実施形態に係るGaAs基板は、その表面のパーティクルの個数およびその内部のダメージの個数が極めて抑えられることにより、LPDレベルを改善したエピタキシャル膜を当該基板に成長させることができる。もってGaAs基板は、この種のデバイスの特性を向上させることができる。
[0044]
 (第2実施形態)
 ≪GaAs基板の製造方法≫
 本実施形態に係るGaAs基板の製造方法は、GaAs基板前駆体からGaAs基板を得る洗浄工程を有するGaAs基板の製造方法である。上記洗浄工程は、アルカリ性溶液中でGaAs基板前駆体に対して超音波を与えることによりGaAs基板前駆体を洗浄する第1工程と、酸性溶液中でGaAs基板前駆体に対して超音波を与えることによりGaAs基板前駆体を洗浄する第2工程と、を含む。さらに、第1工程は、超音波の周波数を少なくとも900kHzから2MHzへ連続的に変化させる操作を含み、第2工程は、超音波の周波数を少なくとも900kHzから2MHzへ連続的に変化させる操作を含む。超音波は、その音圧が60~80mVであることが好ましい。
[0045]
 GaAs基板の製造方法は、上記工程を含むことにより、LPDレベルを改善したエピタキシャル膜を当該基板に成長させることができ、この種のデバイスの特性が向上するGaAs基板を製造することができる。特に、上記洗浄工程において超音波は、GaAs基板前駆体の全面に対して付与されることが好ましい。
[0046]
 本発明者らは、デバイスの特性が向上するGaAs基板の製造方法を鋭意検討する中で、超音波の音圧の大きさと、GaAs基板前駆体の表面にパーティクルが付着したまま残る数との間に、逆相関の関係があることを見出した。さらに、超音波の音圧の大きさと、GaAs基板前駆体に生じるダメージとの間に正相関の関係があることを見出した。加えて、超音波の周波数(波長の長さ)と除去できる異物のパーティクルのサイズとの間にも正相関の関係があることも見出した。超音波の周波数が低いほど、大きいサイズのパーティクルを除去することができ、超音波の周波数が高いほど、小さいサイズのパーティクルを除去することができる。
[0047]
 これらの知見に基づき、超音波を低周波数から高周波数側へ連続的に変化させてGaAs基板前駆体に与えることにより、すべてのサイズのパーティクルを除去することを着想した。この場合に、パーティクルを最も除去することができ、かつGaAs基板前駆体にダメージを与えることが最も抑制される大きさの音圧により超音波を与えることを着想した。具体的には、本実施形態に係るGaAs基板の製造方法では、後述するアルカリ洗浄工程S3および酸洗浄工程S5において、それぞれGaAs基板前駆体に対して超音波を与える。このとき、超音波の周波数を少なくとも900kHzから2MHzへ連続的に変化させる。さらに、GaAs基板前駆体に対して与える超音波の音圧を、60~80mVとすることが好ましい。
[0048]
 以下、本実施形態に係るGaAs基板の製造方法に含まれる各工程ついて、図1に基づいて具体的に説明する。
[0049]
 GaAs基板の製造方法は、まず研磨工程S1を含むことが好ましい。研磨工程S1は、GaAs単結晶から切り出されたGaAsウエハの表面を研磨する工程である。研磨工程S1により、GaAsウエハの表面が鏡面化される。研磨工程S1における研磨方法には、従来公知の方法を用いることができ、各種の機械的研磨、化学機械的研磨など各種の研磨方法を用いることができる。
[0050]
 GaAs基板の製造方法は、粗洗浄工程S2を含むことが好ましい。粗洗浄工程S2は、研磨工程S1において表面が鏡面化されたGaAsウエハに対し、その表面に付着した研磨剤中の異物を洗浄する工程である。粗洗浄工程S2における洗浄方法についても、従来公知の方法を用いることができる。粗洗浄工程S2を経ることによりGaAs基板前駆体を得ることができる。
[0051]
 GaAs基板の製造方法は、アルカリ洗浄工程S3を含む。アルカリ洗浄工程S3は、上記GaAs基板前駆体を、アルカリ性溶液を用いてアルカリ洗浄するとともに、このアルカリ性溶液中でGaAs基板前駆体に対して超音波を与える工程である。アルカリ洗浄工程S3に用いるアルカリ溶液は、特に制限されるべきではないが、電気特性に影響を与える金属元素を含まない有機アルカリ化合物、たとえばコリン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)などの第4級アンモニウム水酸化物、第4級ピリジニウム水酸化物などを含む水溶液が好ましい。その濃度は、0.1~10質量%であることが好ましい。
[0052]
 さらにアルカリ洗浄工程S3では、GaAs基板前駆体に対して与える超音波を、低周波側から高周波側へその周波数が増える方向に連続的に変化させる。このとき少なくとも900kHzから2MHzの周波数をカバーすることを要する。GaAs基板前駆体に対して与える超音波は、800kHzから3MHzの周波数をカバーすることが好ましい。800kHz未満の低周波、および3MHzを超える高周波をGaAs基板前駆体に与えてもよいが、これらの周波数の超音波はパーティクルの除去能力が十分ではない傾向がある。さらに、GaAs基板前駆体に与える超音波を、900kHzを超えた周波数から始めたり、2MHzに届く前の周波数で終了したりする場合にも、パーティクルが十分に除去されない傾向がある。
[0053]
 GaAs基板前駆体に対して与える超音波の音圧は、60~80mVとすることが好ましい。この音圧は、65~75mVとすることがより好ましい。GaAs基板前駆体に対して与える超音波の音圧を60mV未満とした場合、パーティクルの除去が十分になされない傾向がある。GaAs基板前駆体に対して与える超音波の音圧が80mVを超える場合、GaAs基板前駆体にダメージを与えてしまう傾向がある。
[0054]
 GaAs基板の製造方法は、アルカリ洗浄工程S3の後に、第1純水洗浄工程S4を含むことが好ましい。第1純水洗浄工程S4における洗浄方法は、特に制限されるべきはないが、GaAs基板前駆体のアルカリ洗浄された表面を溶存酸素濃度(DO)が100ppb以下の純水で5分間以下洗浄することが好ましい。これにより、GaAs基板前駆体の表面の酸化を抑制することができる。純水の溶存酸素濃度は、50ppb以下であることがより好ましい。純水の全有機炭素(TOC)は、40ppb以下であることが好ましい。
[0055]
 GaAs基板の製造方法は、酸洗浄工程S5を含む。酸洗浄工程S5は、上記GaAs基板前駆体を、酸性溶液を用いて酸洗浄するとともに、この酸性溶液中でGaAs基板前駆体に対して超音波を与える工程である。酸洗浄工程S5は、第1純水洗浄工程S4を経たGaAs基板前駆体に対して行なうことが好ましい。この酸洗浄工程S5を経ることにより、GaAs基板を得ることができる。
[0056]
 酸洗浄工程S5に用いる酸性溶液は、特に制限されるべきではないが、洗浄力が高く、電気特性に影響を与える元素(たとえば、金属元素、イオウなど)を含まず、かつ液滴が設備内に飛散した場合に、水分とともに酸成分も蒸発することで、深刻な二次汚染・設備劣化を生じさせにくい水溶液であることが好ましい。この観点から酸性溶液としては、フッ酸(HF)、塩酸(HCl)、硝酸(HNO 3)および亜硝酸(HNO 2)からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含む水溶液、または酢酸、クエン酸、リンゴ酸などの有機酸を含む水溶液であることが好ましい。酸性溶液は、上述した酸の2種類以上の組み合わせ、たとえば塩酸および硝酸を組み合わせてもよい。その濃度は、0.3ppm~0.5質量%であることが好ましい。上記酸性溶液は、洗浄性の高さから、0.3ppm~0.3質量%の過酸化水素(H 22)を含むことがより好ましい。
[0057]
 酸性溶液は、適切な濃度の酸とすることにより、GaAs基板前駆体の表面のGa原子とAs原子との比率を適正化することができ、ガリウム酸化物の生成を抑制することができる。酸性溶液の酸濃度が、0.3ppmより小さい場合および0.5質量%より大きい場合のいずれも、ウエハ面内およびウエハ間での化学組成のバラツキが大きくなる傾向がある。
[0058]
 さらに酸洗浄工程S5では、上記アルカリ洗浄工程S3と同様に、GaAs基板前駆体に対して超音波を与える。このとき少なくとも900kHzから2MHzの周波数の超音波を低周波側から高周波側へ連続的に変化させて与える。GaAs基板前駆体に対して与える超音波は、800kHzから3MHzの周波数をカバーすることが好ましい。加えて、GaAs基板前駆体に対して与える超音波の音圧も、60~80mVとすることが好ましい。この音圧は、65~75mVとすることがより好ましい。超音波の音圧および周波数が上述したパラメータから外れた場合の影響は、アルカリ洗浄工程S3で説明した影響と同じである。
[0059]
 GaAs基板の製造方法は、酸洗浄工程S5の後に、第2純水洗浄工程S6を含むことが好ましい。第2純水洗浄工程S6における洗浄方法は、第1純水洗浄工程S4と同じ要領で行なうことができる。用いる純水の種類についても第1純水洗浄工程S4と同じとすればよい。
[0060]
 GaAs基板の製造方法は、そのプロセスの最後に、乾燥工程S7を含むことが好ましい。乾燥工程S7においてGaAs基板を乾燥させる。乾燥工程S7における乾燥方法は、従来公知の方法を用いることができる。以上により、LPDレベルを改善したエピタキシャル膜を形成することができるGaAs基板を製造することができる。
[0061]
 ここで、本実施形態に係るGaAs基板の製造方法において、酸洗浄工程S5は、GaAs基板前駆体をその表面が水平になるように保持しつつ100~800rpmで回転させながら、その表面に酸性溶液を供給することにより酸洗浄することが好ましい。これにより表面の酸化を抑制しながら、効率的に洗浄することができる。酸洗浄工程S5の後の第2純水洗浄工程S6においても、GaAs基板前駆体の表面が水平になるように保持しつつ100~800rpmで回転させながら、その表面に純水を供給することにより純水洗浄することが好ましい。さらに、乾燥工程S7では、GaAs基板を2000rpm以上で回転させることにより表面に残留している酸性溶液および純水を飛散させることが好ましい。
実施例
[0062]
 以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[0063]
 ≪試料1≫
 <GaAs基板の製造>
 (1)GaAsウエハの作製(ウエハ作製工程)
 垂直ブリッジマン(VB)法で成長させたGaAs単結晶を、ワイヤーソーでスライスし、そのエッジ部を研削して外形を整えることにより、GaAsウエハを作製した。このGaAsウエハは、2枚作製された。さらに、ワイヤーソーで生じたソーマークを除去するために、平面研削機でGaAsウエハの主面を研削し、その後外周の面取り部をゴム砥石で研磨した。
[0064]
 (2)GaAsウエハ表面の研磨および粗洗浄(研磨工程および粗洗浄工程)
 クリーンルーム(クラス100)内で、GaAsウエハの表面を、塩素系研磨剤およびシリカパウダーの混合物を含む硬質研磨布により研磨した。次に、このGaAsウエハの表面を、INSEC NIB研磨剤(株式会社フジミインコーポレーテッド製)で研磨することにより鏡面化した。さらに、その表面を鏡面化したGaAsウエハを、IPA超音波洗浄することにより粗洗浄し、GaAs基板前駆体を得た。
[0065]
 (3)GaAs基板前駆体表面のアルカリ洗浄(アルカリ洗浄工程)
 上記GaAs基板前駆体を、0.1~10質量%のコリン水溶液中に浸漬した。同時に、この水溶液中のGaAs基板前駆体の全面に対し、超音波を500kHzの周波数で付与し、かつ音圧10mVの条件において5分間印加した。これにより、GaAs基板前駆体の表面をアルカリ洗浄した。
[0066]
 (4)GaAs基板前駆体表面の第1純水洗浄(第1純水洗浄工程)
 次に、GaAs基板前駆体のアルカリ洗浄された表面を溶存酸素濃度(DO)が1ppbの純水で5分間洗浄した。この純水の全有機炭素(TOC)は、0.5ppbであった。
[0067]
 (5)GaAs基板前駆体表面の酸洗浄(酸洗浄工程)
 上述の純水で洗浄したGaAs基板前駆体を、その主面が水平になるように回転保持できる機構を有する洗浄装置内に配置した。このとき、GaAs基板前駆体を洗浄装置内の遠心力式チャックで保持した。この遠心力式チャックは、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などの低発塵樹脂で形成されている。
[0068]
 このGaAs基板前駆体を300~600rpmで回転させながら、その表面に、酸性溶液として0.1~0.6質量%のHFおよび0.05~0.3質量%のH 22を含む水溶液を供給した。同時に、GaAs基板前駆体の全面に対し、超音波を500kHzの周波数で付与し、かつ音圧10mVの条件において5分間印加することにより酸洗浄した。
[0069]
 (6)GaAs基板前駆体表面の第2純水洗浄(第2純水洗浄工程)
 次に、酸洗浄したGaAs基板前駆体を300~600rpmで回転させながら、溶存酸素濃度1ppb、全有機炭素0.5ppbの純水をGaAs基板前駆体の表面に5分間供給することにより純水洗浄した。これにより、2枚の試料1のGaAs基板を得た。
[0070]
 (7)GaAs基板の乾燥(乾燥工程)
 最後に、GaAs基板を2500rpmで15~30秒間回転させることにより、GaAs基板の表面(第1表面)を乾燥させた。
[0071]
 <GaAs基板に対する各種の分析>
 (1)GaAs基板における第1表面の分析
 2枚の試料1のGaAs基板のうち、一方の基板の第1表面を、上表面検査装置(商品名:「サーフスキャン6220」、KLA-テンコール社製)を用いて観察することにより、第1表面に存在する長径が0.16μm以上のパーティクルの第1表面1cm 2当たりの個数を求めた。その求め方は、上述したとおりである。
[0072]
 (2)GaAs基板における第2表面の分析
 2枚の試料1のGaAs基板のうち、他方の基板の第1表面に対し、上述したアンモニア-過酸化水素水溶液を用いたエッチング法によりエッチングし、GaAs基板の第2表面を出現させた。この第2表面に対しても、上記表面検査装置(商品名:「サーフスキャン6220」、KLA-テンコール社製)を用いて観察することにより、第2表面に存在する長径が0.16μm以上のダメージの第2表面1cm 2当たりの個数を求めた。その求め方は、上述したとおりである。
[0073]
 (3)GaAs基板上へのエピタキシャル膜の成長
 試料1のGaAs基板のうち、一方(エッチングを行なわなかったもの)のGaAs基板の第1表面上に、常法の有機金属気相エピタキシャル成長法(OMVPE)法により、エピタキシャル膜として厚さ5μmのAl xGa 1-xAs(x=0.5)膜を成長させてエピタキシャル膜付GaAs基板を得た。
[0074]
 (4)エピタキシャル膜付GaAs基板表面の分析
 上記エピタキシャル膜付GaAs基板のAl xGa 1-xAs膜表面に対し、上記表面検査装置(商品名:「サーフスキャン6220」、KLA-テンコール社製)を用いて観察することにより、Al xGa 1-xAs膜の表面に存在する長径が18μm以上のLPDの表面1cm 2当たりの個数を求めた。その求め方は、上述したとおりである。
[0075]
 ≪試料2≫
 <GaAs基板の製造>
 アルカリ洗浄工程および酸洗浄工程において印加する超音波の周波数を950kHzとし、かつその音圧を56mVに代えたこと以外について試料1のGaAs基板と同じ製造方法とし、試料2のGaAs基板を得た。
[0076]
 <GaAs基板に対する各種の分析>
 試料2のGaAs基板における第1表面の分析、第2表面の分析、エピタキシャル膜(Al xGa 1-xAs膜)の成長、およびAl xGa 1-xAs膜表面の分析を、試料1のGaAs基板に対して用いた方法と同じ方法により行なった。
[0077]
 ≪試料3≫
 <GaAs基板の製造>
 アルカリ洗浄工程および酸洗浄工程において印加する超音波の周波数を900kHzから2MHzまで低周波数側から高周波数側へ連続的に変化させ、かつその音圧を61mVに代えたこと以外について試料1のGaAs基板と同じ製造方法とし、試料3のGaAs基板を得た。
[0078]
 <GaAs基板に対する各種の分析>
 試料3のGaAs基板における第1表面の分析、第2表面の分析、エピタキシャル膜(Al xGa 1-xAs膜)の成長、およびAl xGa 1-xAs膜表面の分析を、試料1のGaAs基板に対して用いた方法と同じ方法により行なった。
[0079]
 ≪試料4≫
 <GaAs基板の製造>
 アルカリ洗浄工程および酸洗浄工程において印加する超音波の周波数を900kHzから2MHzまで低周波数側から高周波数側へ連続的に変化させ、かつその音圧を68mVに代えたこと以外について試料1のGaAs基板と同じ製造方法とし、試料4のGaAs基板を得た。
[0080]
 <GaAs基板に対する各種の分析>
 試料4のGaAs基板における第1表面の分析、第2表面の分析、エピタキシャル膜(Al xGa 1-xAs膜)の成長、およびAl xGa 1-xAs膜表面の分析を、試料1のGaAs基板に対して用いた方法と同じ方法により行なった。
[0081]
 ≪試料5≫
 <GaAs基板の製造>
 アルカリ洗浄工程および酸洗浄工程において印加する超音波の周波数を950kHzとし、かつその音圧を86mVに代えたこと以外について試料1のGaAs基板と同じ製造方法とし、試料5のGaAs基板を得た。
[0082]
 <GaAs基板に対する各種の分析>
 試料5のGaAs基板における第1表面の分析、第2表面の分析、エピタキシャル膜(Al xGa 1-xAs膜)の成長、およびAl xGa 1-xAs膜表面の分析を、試料1のGaAs基板に対して用いた方法と同じ方法により行なった。
[0083]
 ≪試料6≫
 <GaAs基板の製造>
 アルカリ洗浄工程および酸洗浄工程において印加する超音波の周波数を500kHzとし、かつその音圧を122mVに代えたこと以外について試料1のGaAs基板と同じ製造方法とし、試料6のGaAs基板を得た。
[0084]
 <GaAs基板に対する各種の分析>
 試料6のGaAs基板における第1表面の分析、第2表面の分析、エピタキシャル膜(Al xGa 1-xAs膜)の成長、およびAl xGa 1-xAs膜表面の分析を、試料1のGaAs基板に対して用いた方法と同じ方法により行なった。
[0085]
 上述した分析から判明した試料1~試料6におけるパーティクルの個数、ダメージの個数、これらの和、ならびにLPDの個数を表1に示す。ここで本実施例において、試料3が実施例1を指し、試料4が実施例2を指す。試料1、2、5および6が比較例である。
[0086]
 さらに、表1に示した結果に基づいて、実施例および比較例のGaAs基板に関し、洗浄工程で与えた音圧の強さと、パーティクルおよびダメージの個数との関係を表したグラフを図2に表した。図3には、洗浄工程で与えた音圧の強さと、エピタキシャル膜表面のLPDの個数との関係を表したグラフを表した。
[0087]
[表1]


[0088]
 <考察>
 表1、図2および図3に示すように、実施例1(試料3)および実施例2(試料4)のGaAs基板は、第1表面に存在する長径が0.16μm以上のパーティクルの個数と、第2表面に存在する長径が0.16μm以上のダメージの個数との和が、2.1以下であった(図2)。このときAl xGa 1-xAs膜の表面に存在する長径が18μm以上のLPDの個数は、51.2以下となった(図3)。したがって、実施例1および実施例2のGaAs基板は、デバイス特性に優れたGaAs基板となると考えられた。
[0089]
 一方、比較例(試料1、2、5および6)のGaAs基板は、第1表面に存在する長径が0.16μm以上のパーティクルの個数と、第2表面に存在する長径が0.16μm以上のダメージの個数との和が、2.1を超えた。このときAl xGa 1-xAs膜の表面に存在する長径が18μm以上のLPDの個数も51.2を超えた。このため比較例のGaAs基板は、デバイス特性が急激に悪化することが示唆された。
[0090]
 以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
[0091]
 今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

請求の範囲

[請求項1]
 第1表面を有するGaAs基板であって、
 前記第1表面に存在する長径が0.16μm以上のパーティクルの前記第1表面1cm 2当たりの個数と、前記第1表面を深さ方向に0.5μmエッチングすることにより形成される第2表面に存在する長径が0.16μm以上のダメージの前記第2表面1cm 2当たりの個数との和が、2.1以下である、GaAs基板。
[請求項2]
 前記GaAs基板は、前記第1表面にAl xGa 1-xAs膜を有し、
 前記Al xGa 1-xAs膜は、0.5~6μmの厚みを有し、
 前記Al xGa 1-xAs膜の表面に存在する長径が18μm以上のLPDの前記表面1cm 2当たりの個数は、51.2以下であり、
 前記xは、0.5±0.1である、請求項1に記載のGaAs基板。
[請求項3]
 前記GaAs基板は、2インチ以上8インチ以下の直径を有する円盤状の形状である、請求項1または請求項2に記載のGaAs基板。
[請求項4]
 GaAs基板前駆体からGaAs基板を得る洗浄工程を有するGaAs基板の製造方法であって、
 前記洗浄工程は、アルカリ性溶液中で前記GaAs基板前駆体に対して超音波を与えることにより前記GaAs基板前駆体を洗浄する第1工程と、
 酸性溶液中で前記GaAs基板前駆体に対して前記超音波を与えることにより前記GaAs基板前駆体を洗浄する第2工程と、を含み、
 前記第1工程は、前記超音波の周波数を少なくとも900kHzから2MHzへ連続的に変化させる操作を含み、
 前記第2工程は、前記超音波の周波数を少なくとも900kHzから2MHzへ連続的に変化させる操作を含む、GaAs基板の製造方法。
[請求項5]
 前記超音波は、その音圧が60~80mVである、請求項4に記載のGaAs基板の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]