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1. WO2020245909 - PROGRAMME ET MÉTHODE DE MESURE DE TEMPÉRATURE

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明 細 書

発明の名称 温度測定方法およびプログラム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015  

先行技術文献

非特許文献

0016  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0017   0018  

課題を解決するための手段

0019   0020  

発明の効果

0021  

図面の簡単な説明

0022  

発明を実施するための形態

0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077  

符号の説明

0078  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2   3   4   5   6   7A   7B   8   9A   9B   9C   9D   10   11   12  

明 細 書

発明の名称 : 温度測定方法およびプログラム

技術分野

[0001]
 本発明は、物質の深部温度を測定する温度測定方法、および、この方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。

背景技術

[0002]
 物質、例えば生体には、表皮から深部に向かってある一定の深さを超えると、外気温の変化等に左右されない温度領域が存在する。その領域の温度は、深部体温、あるいは核心部温度と呼ばれる。一方、外気温の変化を受けやすい生体の表層の温度は、体表面温度と呼ばれる。体表面温度は、経皮的な体温計により計測されることができる。経皮的な体温計により計測された体温は、深部体温を反映していない場合がある。そのため、深部体温を体表面温度のように経皮的に計測することは困難である。深部体温は重要な生体情報であるが、従来の計測技術では侵襲を伴い計測負荷が大きいため連続測定が困難である。
[0003]
 そこで、生体における熱の伝わる過程を電気的回路に置き換えた熱等価回路を仮定して、温度センサで計測した体表面温度を用いて深部体温を推定する技術が提案されている。この種の技術は、例えば非特許文献1に開示されている。
[0004]
 図11は、関連する生体内温度測定装置のブロック図である。この生体内温度測定装置は、双熱流束法により生体の深部体温を推定するものであり、2つのプローブ111a,111bを備えている。これらのプローブ111a,111bは生体130の表面に配置される。プローブ111aは、熱抵抗R S1の断熱部材を有し、この断熱部材(R S1)を介した体表面温度T S1,T S3を計測する。プローブ111bは、熱抵抗R S1とは異なる熱抵抗R S2の断熱部材を有し、この断熱部材(R S2)を介した体表面温度T S2,T S4を計測する。
[0005]
 プローブ111a,111bの熱流束H S1,H S2は、それぞれ式(1a),(1b)により求められる。
 H S1=(T S1-T S3)/R S1          ・・・(1a)
 H S2=(T S2-T S4)/R S2          ・・・(1b)
[0006]
 深部体温T Cは、式(2a),(2b)で表される。ただし、R Bは生体の熱抵抗を示し、これは未知の値である。
 T C=T S1+R B・H S1             ・・・(2a)
 T C=T S2+R B・H S2             ・・・(2b)
[0007]
 式(2a),(2b)からR Bを消去すると、式(3)が得られる。
[0008]
[数1]


[0009]
 式(3)を用いることにより、深部体温T Cを推定することができる。ところが、実際には、生体130を構成する各組織は体表面と平行な方向の組織とも結合しているので、熱流束の漏れH Lが発生する。この熱流束の漏れH Lは、生体130の内部で発生するので、測定することができない。そこで、非特許文献1は、深部体温T Cの推定において校正を行い、より正確な深部体温T Cを推定する技術を開示している。
[0010]
 図12に示すように、生体130の熱流束α 1S1,α 2S2は、プローブ111a,111bの熱流束H S1,H S2に、熱流束の漏れH L1,H L2を加えたものである。ここで、α 1,α 2は、プローブ111a,111bの熱流束H S1,H S2に対する熱流束の漏れH L1,H L2の割合である。α 1,α 2は、プローブ111a,111bの熱流束H S1,H S2に対する生体130の熱流束α 1S1,α 2S2の比で定義される。
[0011]
 式(2a),(2b)におけるH S1,H S2をα 1S1,α 2S2に置き換えることにより、熱流束の漏れH L1,H L2を考慮した深部体温T Cを表す式(4a),(4b)が得られる。
 T C=T S1+R B・α 1S1            ・・・(4a)
 T C=T S2+R B・α 2S2            ・・・(4b)
[0012]
 式(4a),(4b)からR Bを消去すると、式(5)が得られる。ただし、係数Kは、「2つのセンサ(プローブ111a,111b)の熱流束の漏れの割合」と呼ばれる変数であり、α 1とα 2との比(K=α 1/α 2)で表される。
[0013]
[数2]


[0014]
 式(5)を用いることにより、熱流束の漏れH L1,H L2を考慮した深部体温T Cを推定することができる。係数Kは、式(6)に示すように、あらかじめ取得された深部体温T Cの参照値T Cref(0)によって校正される。
[0015]
[数3]


先行技術文献

非特許文献

[0016]
非特許文献1 : J.Feng,C.Zhou,C.He,Y.Li,X.Ye,“Development of an improved wearable device for core body temperature monitoring based on the dual heat flux principle,”Med.Eng.Phys.,vol.38,no.4,pp.652-668,Apr.2017.

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0017]
 しかし、関連する生体内温度測定装置では、風などの影響で外気の対流状態が変化すると、深部体温T Cの推定値に誤差が生ずるという問題があった。
[0018]
 よって、本発明は、外気の対流状態の変化にかかわらず物質の深部温度をより正確に推定することができる温度測定技術を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0019]
 このような課題を解決するために、本発明の温度測定方法は、物質の温度に関する物理量を計測するステップと、校正された係数と前記計測された物理量とを用いて前記物質の深部温度を推定するステップと、前記計測された物理量と前記推定された深部温度とを用いて指標を計算するステップと、前記計算された指標の値が閾値を超えた場合に、前記計測された物理量と深部温度の参照値とを用いて前記係数を校正するステップとを備える。
[0020]
 また、本発明のプログラムは、物質の温度に関する物理量を計測するステップと、校正された係数と前記計測された物理量とを用いて前記物質の深部温度を推定するステップと、前記計測された物理量と前記推定された深部温度とを用いて指標を計算するステップと、前記計算された指標の値が閾値を超えた場合に、前記計測された物理量と深部温度の参照値とを用いて前記係数を校正するステップとをコンピュータに実行させる。

発明の効果

[0021]
 本発明では、計測された物理量と推定された深部温度とを用いて指標を計算し、指標の値が閾値を超えた場合に、深部温度の推定に用いられる係数を校正する。これにより、外気の対流状態の変化により深部温度の推定誤差が生じたタイミングで係数が校正される。このようにして校正された係数を用いて物質の深部温度を推定することにより、推定誤差が低減する。したがって、本発明によれば、外気の対流状態の変化にかかわらず、深部温度をより正確に推定することができる。

図面の簡単な説明

[0022]
[図1] 図1は、本発明の実施の形態である生体内温度測定装置の構成を示すブロック図である。
[図2] 図2は、計測ユニットの構成を示すブロック図である。
[図3] 図3は、演算ユニットの構成を示すブロック図である。
[図4] 図4は、演算ユニットの機能ブロック図である。
[図5] 図5は、校正タイミングを検出するための指標と深部体温の推定誤差との関係を示す図である。
[図6] 図6は、本発明の実施の形態である生体内温度測定方法による処理の流れを示すフローチャートである。
[図7A-B] 図7Aおよび図7Bは、生体内温度測定装置の熱等価回路を示す図である。
[図8] 図8は、係数および生体の深部体温の推定値に対する風の影響を示すグラフである。
[図9A-D] 図9A、図9B、図9Cおよび図9Dは、係数の再校正を繰り返し行なった実験の結果を示すグラフである。
[図10] 図10は、係数の再校正を行った場合の推定誤差と行わなかった場合の推定誤差とを比較したグラフである。
[図11] 図11は、関連する生体内温度測定装置のブロック図である。
[図12] 図12は、熱流束の漏れを示すブロック図である。

発明を実施するための形態

[0023]
 以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[0024]
[温度測定装置の構成]
 図1に示すように、本発明の実施の形態である生体内温度測定装置1は、生体30の温度に関する物理量を計測する計測ユニット10と、計測ユニット10から出力された物理量を用いて生体30の深部体温(深部温度)を演算する演算ユニット20とを備えている。生体30の温度に関する物理量は、生体30の表面温度および熱流束を含む。
[0025]
[計測ユニットの構成]
 図2に示すように、計測ユニット10は、2つのプローブ(第1プローブ、第2プローブ)11a,11bを備えている。プローブ11a,11bは、断熱部材(第1熱抵抗体、第2熱抵抗体)12a,12b、熱流束センサ(第1熱流束計測部、第2熱流束計測部)13a,13b、および、温度センサ(第1温度計測部、第2温度計測部)14a,14bをそれぞれ備えている。
[0026]
 断熱部材12a,12bは、熱抵抗体を構成し、互いに異なる熱抵抗値を有している。本実施の形態では、断熱部材12a,12bは、互いに異なる材料で形成された同一の立体形状を有している。断熱部材12a、12bは、厚みや材質が異なる断熱材で互いに異なる熱抵抗値を有するように形成されていてもよい。
[0027]
 熱流束センサ13a,13bは、単位時間、単位面積当たりの熱の移動を意味する熱流束(第1熱流束、第2熱流束)H S1,H S2を計測するデバイスである。本実施の形態では、熱流束センサ13a,13bは、断熱部材12a,12bの端部に設けられている。生体30の深部体温を測定するとき、プローブ11a,11bは、熱流束センサ13a,13bが生体30の表面に接するように配置される。
[0028]
 温度センサ14a,14bは、生体30の表面(表皮)の温度(第1表面温度、第2表面温度)T S1,T S2を計測するデバイスである。本実施の形態では、温度センサ14a,14bは、熱流束センサ13a,13b上に設けられている。温度センサ14a,14bは、サーミスタ、熱電対、測温抵抗体などで構成されることができる。
[0029]
 計測ユニット10は、深部体温計16を備えている。深部体温計16は、後述する係数Kの校正に用いられる生体30の深部体温の参照値T Crefを測定するデバイスである。深部体温計16は、例えば、鼓膜または内耳の温度を測定する体温計などによって構成される。この種の体温計によって測定された温度が深部体温の参照値T Crefとして使用される。
[0030]
[演算ユニットの構成]
 演算ユニット20は、コンピュータによって構成される。図3に示すように、演算ユニット20は、プロセッサ21と、メモリ22と、I/F回路23,24,25,26とを含んでいる。これらのエレメント21~26は、バス27によって相互に接続されている。
[0031]
 プロセッサ21は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはDSP(digital signal processor)などによって構成される。メモリ22は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびフラッシュメモリなどの記憶装置によって構成される。
[0032]
 I/F回路23は、上述した計測ユニット10のインターフェースである。I/F回路24は、非一時的なコンピュータ可読記録媒体(non-transitory computer readable medium)41のインターフェースである。記録媒体41としては、例えば、CD(Compact Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスクや、外部メモリを使用することができる。
[0033]
 I/F回路25は、モニタ42のインターフェースである。I/F回路43は、通信回路43のインターフェースである。通信回路43は、USB(Universal Serial Bus)などの規格のケーブルが接続される入出力回路でもよいし、Bluetooth(登録商標)などに準拠した無線通信回路であってもよい。
[0034]
 本発明の実施の形態であるプログラム44は、記録媒体40に記録された状態で提供される。あるいは、プログラム44は、電気通信回線を通じて提供されることもできる。提供されたプログラム44は、プロセッサ21によってメモリ21に格納される。そして、プロセッサ21がプログラム44にしたがって動作することにより、図4に示すような機能部が実現されると共に、図6に示すような一連の処理が実行される。
[0035]
[演算ユニットの機能]
 演算ユニット20を機能面から捉えると、演算ユニット20は、図4に示すように、深部体温推定部51と、校正タイミング検出部52と、係数校正部53とを含んでいる。
[0036]
 深部体温推定部51は、計測ユニット10から出力された物理量と、校正された係数とを用いて、生体30の深部体温を推定する機能部である。具体的には、深部体温推定部51は、プローブ11a,11bによって計測された生体30の表面の温度T S1,T S2および熱流束H S1,H S2と、係数K(=α 1/α 2)とを用いて、上述した式(5)から、生体30の深部体温T Cを推定する。表面温度T S1,T S2および熱流束H S1,H S2は一定のサンプリング間隔で出力される。その間隔で深部体温T Cを推定することもできるが、係数Kについては後述するタイミングで校正されたものを使用する。
[0037]
 深部体温推定部51は、推定された生体30の深部体温T Cの時系列データを生成して出力する。時系列データは、測定時刻と推定された深部体温T Cとを互いに関連付けたデータである。深部体温推定部51から出力された時系列データは、モニタ42に表示されるか、あるいは通信回路43を通じて外部に出力される。
[0038]
 校正タイミング検出部52は、係数Kを校正するタイミングを検出する機能部である。より詳しくは、校正タイミング検出部52は、計測ユニット10から出力された物理量(T S1,T S2,H S1,H S2)と、深部体温推定部51によって推定された生体30の深部体温T Cとを用いて指標を計算し、指標の値が閾値を超えたタイミングで、後述する係数校正部53に係数Kの校正を指示する。
[0039]
 本実施の形態では、指標として、ΔR B・α i(i=1,2)を用いる。ΔR B・α iはR B・α iの変化率(=現在のR B・α i/係数Kを前回校正したときのR B・α i)である。R Bは生体30の熱抵抗である。α iは、プローブ11a,11bの熱流束H S1,H S2に対する熱流束の漏れH L1,H L2の割合である。α iは、プローブ11a,11bの熱流束H S1,H S2に対する生体30の熱流束α 1S1,α 2S2の比で定義される。ΔR B・α iは、2つ以上の熱流束センサ(13a,13b)を利用することで取得可能な指標である。
[0040]
 ΔR B・α iは式(7a),(7b)によって求められる。
 ΔR B・α 1={(T C-T S1)/H S1}/{(T C(0)-T S1(0))/H S1(0)}(7a)
 ΔR B・α 2={(T C-T S2)/H S2}/{(T C(0)-T S2(0))/H S2(0)}(7b)
[0041]
 式(7a),(7b)は、式(4a),(4b)を変形することよって得られる。ただし、(T C(0)-T Si(0))/H Si(0)は、係数Kを前回校正したときの(T C-T Si)/H Siである。したがって、指標ΔR B・α iは、係数Kを前回校正したときを基準とした(T C-T Si)/H Siの変化率と表現することができる。
[0042]
 指標として、ΔR B・α 1およびΔR B・α 2の両方を用いてもよい。しかし、ΔR B・α 1とΔR B・α 2は同じように変化するので、ΔR B・α 1およびΔR B・α 2のいずれかを指標として用いれば十分である。
[0043]
 外気の対流状態の変化により、ΔR B・α iの値にばらつきが生じる場合がある。このため、過去の所定期間に計算された複数のΔR B・α iの値を平均し、そのΔR B・α iの平均値を指標として閾値と比較するようにしてもよい。
[0044]
 指標ΔR B・α iの閾値は、外気温、アプリケーション毎に異なる必要精度、および、プローブ11a,11bの構造に依存する。生体内温度測定装置1に対する事前の検証により、ΔR B・α iと生体30の深部体温T Cの推定誤差(℃)との関係を示す図5が得られた。アプリケーションとして必要精度(必要誤差範囲)を0.1℃に設定すると、図5からΔR B・α iが5%を超えると推定誤差が拡大することがわかる。よって、本実施の形態では、±5%を閾値に設定する。
[0045]
 係数校正部53は、校正タイミング検出部52からの指示により係数Kを再校正する機能部である。係数校正部53は、計測ユニット10から出力された物理量(T S1,T S2,H S1,H S2)と、計測ユニット10から適宜出力された生体30の深部体温の参照値T Crefとを用いて、係数Kを校正する。係数校正部53は、式(6)を用いて係数Kを再校正する。なお、係数校正部53は、式(6)を用いた係数Kの初期校正も行なう。
[0046]
[温度測定方法]
 次に、本発明の実施の形態である生体内温度測定方法として、図6を参照しながら、生体内温度測定装置1の動作について説明する。ここでは、係数Kを校正するタイミングを検出するための指標として、ΔR B・α 1を用いるものとする。
[0047]
 オペレータは、予め、プローブ11a,11bの熱流束センサ13a,13bが生体30の表面に接するように、プローブ11a,11bを生体30の表面に並んで配置する。それから、初期設定として、オペレータが、演算ユニット20の入力装置(図示せず)から、係数Kを校正するタイミングを検出するための指標の閾値とを入力する。本実施の形態では、ΔR B・α 1の上限の閾値SH Hを「1.05」(=5%)、ΔR B・α 1の下限の閾値SH Lを「0.95」(=-5%)とする。プロセッサ21は、深部体温の参照値T Cref(0)および閾値をメモリ22に記憶する(ステップS1)。
[0048]
 オペレータが入力装置から深部体温の測定開始を指示すると(ステップS2)、プロセッサ21はまず、プローブ11a,11bに対して、生体30の表面の温度T S1,T S2および熱流束H S1,H S2の計測を開始させる。その後、プローブ11a,11bから一定のサンプリング間隔で、表面温度T S1,T S2および熱流束H S1,H S2の計測値が出力される。なお、表面温度T S1,T S2および熱流束H S1,H S2の計測は、本発明における「物質の温度に関する物理量を計測するステップ」に相当する。
[0049]
 プロセッサ21は続いて係数Kの初期校正を行う(ステップS3)。具体的には、プロセッサ21は、測定開始から間もなくしてプローブ11a,11bから出力された表面温度T S1(0),T S2(0)および熱流束H S1(0),H S2(0)と、初期校正のために深部体温計16によって取得された現在の深部体温の参照値T Cref(0)とを式(6)に代入して係数K (0)を求め、この係数K (0)を係数Kとしてメモリ22に記憶する。この係数Kの初期校正は、図4における係数校正部53の機能である。
[0050]
 オペレータから測定終了の指示がなければ(ステップS4,NO)、プロセッサ21は初期校正された係数Kを用いて生体30の深部体温T Cの推定(測定)を行う(ステップS5)。具体的には、プロセッサ21は、プローブ11a,11bから出力された表面温度T S1,T S2および熱流束H S1,H S2と、メモリ22に記憶されている係数Kとを式(5)に代入して、深部体温T Cを求める。この深部体温T Cは、モニタ42に表示されるか、あるいは通信回路43を通じて外部に出力される。なお、生体30の深部体温T Cの推定は、図4における深部体温推定部51の機能であり、本発明における「校正された係数と計測された物理量とを用いて物質の深部温度を推定するステップ」に相当する。
[0051]
 プロセッサ21は、後述する指標ΔR B・α 1を計算するために、係数Kの校正の直後に推定された生体30の深部体温T CをT C(0)として、また、その深部体温T Cの推定に用いられた表面温度T S1および熱流束H S1をT S1(0),H S1(0)として、メモリ22に記憶しておく。この処理は、初期校正後だけでなく、後述する再校正後にも行われる。
[0052]
 プロセッサ21は、係数Kを校正するタイミングを検出するための指標を計算する(ステップS6)。具体的には、プロセッサ21はまず、係数Kを校正したときの深部体温T C(0)、表面温度T S1(0)および熱流束H S1(0)をメモリ22から読み出す。プロセッサ21は、これらのデータと、直前にステップS5で測定された生体30の深部体温T Cと、深部体温T Cの測定に用いられた表面温度T S1および熱流束H S1とを式(7a)に代入して、指標ΔR B・α 1を求める。なお、指標ΔR B・α 1の計算は、図4における校正タイミング検出部52の機能であり、本発明における「計測された物理量と推定された深部温度とを用いて指標を計算するステップ」に相当する。
[0053]
 プロセッサ21は続いて、メモリ22から指標ΔR B・α 1の上限の閾値SH H「1.05」および下限の閾値SH L「0.95」を読み出し、ステップS6で求められた指標ΔR B・α 1の値と閾値とを比較する。その結果、ΔR B・α 1の値が0.95以上かつ1.05以下であれば(ステップS7,NO)、ステップS4に戻り、プロセッサ21は、オペレータから測定終了の指示があるまで、生体30の深部体温T Cの推定(測定)を継続する。
[0054]
 ステップS7において、ステップS6で求められた指標ΔR B・α 1の値が閾値を超えた場合、すなわちΔR B・α 1の値が1.05より大きいか、あるいは0.95より小さい場合には(ステップS7:YES)、プロセッサ21は、係数Kを校正するタイミングであると判断し、係数Kの再校正を行う(ステップS8)。具体的には、プロセッサ21は、再校正のために深部体温計16によって取得された現在の深部体温の参照値T Cref(0)と、直前にプローブ11a,11bから出力された表面温度T S1(0),T S2(0)および熱流束H S1(0),H S2(0)とを式(8)に代入して係数K (0)を求め、この係数K (0)でメモリ22に記憶されている係数Kを更新する。なお、係数Kの再校正は、図4における係数校正部53の機能であり、本発明における「計算された指標の値が閾値を超えた場合に、計測された物理量と深部温度の参照値とを用いて係数を校正するステップ」に相当する。
[0055]
 その後、ステップ4に戻り、プロセッサ21は、オペレータから測定終了の指示があるまで、生体30の深部体温T Cの推定(測定)を再び継続する。オペレータから測定終了の指示があると(ステップS4,YES)、プロセッサ21は一連の深部体温T Cの測定処理を終了する。
[0056]
 なお、複数のΔR B・α 1の平均値を指標として用いる場合には、ステップS6において、プロセッサ21がΔR B・α 1を計算する度にメモリ22に記憶しておき、最新のものから順に所定の複数のΔR B・α 1の値の平均を計算して平均値を求める。そして、ステップS7において、プロセッサ21が複数のΔR B・α 1の平均値と閾値と比較する。
[0057]
[実験結果]
 生体内温度測定装置1では、図7Aに示すようにプローブ11a,11bとその周辺の熱抵抗とが結合して、図7Bに示すようなブリッジ回路が形成される。このブリッジ回路には、外気への熱抵抗R Aが含まれる。風などの影響で外気の対流状態が変化すると、外気への熱抵抗R Aが変化して、熱流束の漏れH L1,H L2の割合α 1,α 2(図中の「α」)が変化すると考えられる。α 1,α 2が変化すると、α 1とα 2との比である係数Kも変化する。それにもかかわらず、初期校正された係数K (0)を用いて深部体温T Cを推定すると、推定値に誤差が生ずると考えられる。なお、図7Aおよび図7Bにおいて、T Aは外気温、R’ Aは外気への熱抵抗である。
[0058]
 そこで、本実施の形態では、ΔR B・α 1またはΔR B・α 2を指標として深部体温T Cの推定値の誤差発生を検知し、検知されたタイミングで係数Kの再校正を行って、誤差の低減を図る。本実施の形態の効果を検証するため、ファントムを用いた以下の実験を行った。
[0059]
 まず、係数Kおよび生体30の深部体温T Cの推定値に対する風の影響について調べた。図8における下のグラフG81は、風による係数Kの変化を示している。横軸は時間(hour)、縦軸は係数Kの変化率(=K/K (0))(a.u.)である。時間と共に風速が増すと、初期校正された係数K (0)に対する係数Kの変化が大きくなる。
[0060]
 図8における上のグラフG82は、係数Kの再校正を行わない場合の風による生体30の深部体温T Cの推定値の変化を示している。横軸は時間(hour)、縦軸は深部体温T Cである。ファントムに実際に付与した深部体温T Cを参照値T Crefとして太線で示す。ここでは、1時間毎に深部体温T Cが上昇と低下の変動を繰り返すモデルを使用した。係数Kの再校正を行わないで式(5)から求めた深部体温T Cの推定値をドットで示す。係数Kの変化が大きくなっても、初期校正された係数K (0)を使い続けると、推定値と参照値T Crefとの差(推定誤差)が拡大していくことがわかる。
[0061]
 次に、本実施の形態で説明したように係数Kを再校正した場合について実験した。係数Kを再校正すること以外は、図8の実験と同じ条件とした。再校正するタイミングを検出するための指標としてΔR B・α iの平均値を用い、閾値を「±5%」とした。
[0062]
 図9Aは測定開始後から1回目の再校正前までの実験結果を示している。図9Bは1回目の再校正後から2回目の再校正前までの実験結果を示している。図9Cは2回目の再校正後から3回目の再校正前までの実験結果を示している。図9Dは3回目の再校正後の実験結果を示している。
[0063]
 図9A,図9B,図9Cおよび図9Dに関し、下のグラフG9A1,G9B1,G9C1およびG9D1は、風(外気の対流)の変化に伴うΔR B・α iの変化を示している。中央のグラフG9A2,G9B2,G9C2およびG9D2は、深部体温T Cの推定値と参照値T Crefとの差(推定誤差)を示している。上のグラフG9A3,G9B3,G9C3およびG9D3は、深部体温T Cの推定値(ドット)および参照値T Cref(太線)を示している。
[0064]
 図9AにおけるポイントC 0で係数Kに対する初期校正が行われる。その後、時間と共にΔR B・α iおよび推定誤差が増加していく。しかし、図9BにおけるポイントD 1でΔR B・α iの平均値が閾値「5%」を超えたことが検出されると、ポイントC 1で係数Kに対する1回目の再校正が行われる。これにより、一旦は0.1℃付近に達していた推定誤差が、0℃付近まで低下する。その後、再び図9CにおけるポイントD 2でΔR B・α iの平均値が閾値「5%」を超えたことが検出されると、ポイントC 2で係数Kに対する2回目の再校正が行われる。また、再び図9DにおけるポイントD 3でΔR B・α iの平均値が閾値「5%」を超えたことが検出されると、ポイントC 3で係数Kに対する3回目の再校正が行われる。
[0065]
 図10は、係数Kの再校正を行った場合の推定誤差と行わなかった場合の推定誤差とを比較したグラフである。再校正を行った場合の推定誤差を薄い色のドットで示し、再校正を行わなかった場合の推定誤差を濃い色のドットで示している。また、参照値T Crefを太線で示している。係数Kの再校正を行わないと、図8に示したように風速が大きくなるにつれて、推定誤差が拡大していく。これに対し、係数Kの再校正を逐次行なうことにより、風速が大きくなっても、推定誤差の拡大が抑えられる。具体的には、定常状態時(深部体温T Cが変動してから30分後)の推定誤差を0.1℃以下に低減することができた。
[0066]
 図9A、図9A,図9B,図9C、図9Dおよび図10から分かるように、ΔR B・α iと、生体30の深部体温T Cの推定誤差との間には、連動性が認められる。このため、ΔR B・α iを指標として、深部体温T Cの推定値の誤差発生を検知することが可能となる。
[0067]
 本実施の形態では、指標ΔR B・α iが閾値±5%を超えると、深部体温T Cの推定誤差が発生したと判断する。指標ΔR B・α iが閾値±5%を超えて、誤差発生が検知されたタイミングで、係数Kの再校正を行う。再校正された係数Kを用いて生体30の深部体温T Cを推定することにより、推定誤差が低減する。
[0068]
 ΔR B・α iを指標として用いることにより、逐次、誤差発生の検知と、係数Kの再校正を行うことが可能となる。これにより、生体30の深部体温T Cの推定誤差が低減するから、外気の対流状態の変化にかかわらず、深部体温T Cをより正確に推定することができる。
[0069]
[実施形態の効果]
 本実施の形態の生体内温度測定方法は、物質(30)の温度に関する物理量(T S1,T S2,H S1,H S2)を計測する計測ステップと、校正された係数(K)と計測された物理量(T S1,T S2,H S1,H S2)とを用いて物質(30)の深部温度(T C)を推定する推定ステップと、計測された物理量(T S1,T S2,H S1,H S2)と推定された深部温度(T C)とを用いて指標(ΔR B・α 1,ΔR B・α 2)を計算する計算ステップと、計算された指標(ΔR B・α 1,ΔR B・α 2)の値が閾値を超えた場合に、計測された物理量(T S1,T S2,H S1,H S2)と深部温度の参照値(T Cref)とを用いて係数(K)を校正する校正ステップとを備える。
[0070]
 計測ステップは、第1熱抵抗体(12a)を備える第1プローブ(11a)を用いて、物理量として物質(30)の第1表面温度T S1および第1熱流束H S1を計測するステップと、第1熱抵抗体(12a)の熱抵抗とは異なる熱抵抗を有する第2熱抵抗体(12b)を備える第2プローブ(11b)を用いて、物理量として物質(30)の第2表面温度T S2および第2熱流束H S2を計測するステップとを含んでいてもよい。
[0071]
 深部温度の参照値をT Crefとしたとき、校正ステップは、係数(K)を{(T Cref-T S1)/H S1}/{(T Cref-T S2)/H S2}を用いて校正するステップを含んでいてもよい。
[0072]
 物質(30)の表面温度をT S、物質(30)の熱流束をH S、推定された深部温度をT Cとしたとき、計算ステップは、指標(ΔR B・α 1,ΔR B・α 2)として、(T C-T S)/H Sの変化率を計算するステップを含んでいてもよい。
[0073]
 また、本実施の形態のプログラムは、上述したステップをコンピュータ(20)に実行させるためのプログラムである。
[0074]
 本実施の形態では、計測された物理量(T S1,T S2,H S1,H S2)と推定された深部温度(T C)とを用いて指標(ΔR B・α 1,ΔR B・α 2)を計算し、指標(ΔR B・α 1,ΔR B・α 2)の値が閾値を超えた場合に、深部温度(T C)の推定に用いられる係数(K)を校正する。これにより、外気の対流状態の変化により深部温度(T C)の推定誤差が生じたタイミングで係数(K)が校正される。このようにして校正された係数(K)を用いて物質(30)の深部温度(T C)を推定することにより、推定誤差が低減する。したがって、本実施の形態によれば、外気の対流状態の変化にかかわらず、深部温度(T C)をより正確に推定することができる。
[0075]
[実施形態の拡張]
 以上では、生体30の深部体温を測定する生体内温度測定技術に本発明を適用した例を説明した。しかし、本発明によれば、生体30以外の物質の深部温度を測定することも可能である。
[0076]
 また、係数Kを校正するタイミングを検出するための指標として、ΔR B・α iおよび複数のΔR B・α iの平均値のほか、|ΔR B・α i-1|(「ΔR B・α i-1」の絶対値)を用いてもよい。|ΔR B・α i-1|を用いれば、指標と閾値との比較が簡単になる。以上のようなΔR B・α iを含む指標とは別の指標を用いてもよい。
[0077]
 また、本実施の形態では、深部体温計16を用いて深部体温の参照値T Crefを取得する例を説明した。しかし、係数Kが校正されてから再び校正されるまでの間に測定された深部体温T Cの推定値の中には、正確な深部体温T Cの値が含まれる。このような深部体温T Cの推定値を参照値T Crefとして利用することも可能である。よって、深部体温計16は本発明の必須の構成要素ではない。

符号の説明

[0078]
 1…生体内温度測定装置、10…計測ユニット、11a,11b…プローブ、12a,12b…断熱部材、13a,13b…熱流束センサ、14a,14b…温度センサ、20…演算ユニット、21…プロセッサ、22…メモリ、23~26…I/F回路、27…バス、30…生体、41…記録媒体、42…モニタ、43…通信回路、44…プログラム、深部体温推定部、52…校正タイミング検出部、53…係数校正部。

請求の範囲

[請求項1]
 物質の温度に関する物理量を計測するステップと、
 校正された係数と前記計測された物理量とを用いて前記物質の深部温度を推定するステップと、
 前記計測された物理量と前記推定された深部温度とを用いて指標を計算するステップと、
 前記計算された指標の値が閾値を超えた場合に、前記計測された物理量と深部温度の参照値とを用いて前記係数を校正するステップと
 を備えることを特徴とする温度測定方法。
[請求項2]
 請求項1に記載された温度測定方法において、
 前記計測するステップは、
 第1熱抵抗体を備える第1プローブを用いて、前記物理量として前記物質の第1表面温度T S1および第1熱流束H S1を計測するステップと、
 前記第1熱抵抗体の熱抵抗とは異なる熱抵抗を有する第2熱抵抗体を備える第2プローブを用いて、前記物理量として前記物質の第2表面温度T S2および第2熱流束H S2を計測するステップと
 を含むことを特徴とする温度測定方法。
[請求項3]
 請求項2に記載された温度測定方法において、
 前記深部温度の参照値をT Crefとしたとき、前記校正するステップは、前記係数を{(T Cref-T S1)/H S1}/{(T Cref-T S2)/H S2}を用いて校正するステップを含む
 ことを特徴とする温度測定方法。
[請求項4]
 請求項1に記載された温度測定方法において、
 前記物質の表面温度をT S、前記物質の熱流束をH S、前記推定された深部温度をT Cとしたとき、前記計算するステップは、前記指標として、(T C-T S)/H Sの変化率を計算するステップを含む
 ことを特徴とする温度測定方法。
[請求項5]
 物質の温度に関する物理量を計測するステップと、
 校正された係数と前記計測された物理量とを用いて前記物質の深部温度を推定するステップと、
 前記計測された物理量と前記推定された深部温度とを用いて指標を計算するステップと、
 前記計算された指標の値が閾値を超えた場合に、前記計測された物理量と深部温度の参照値とを用いて前記係数を校正するステップと
 をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
[請求項6]
 請求項5に記載されたプログラムにおいて、
 前記計測するステップは、
 第1熱抵抗体を備える第1プローブを用いて、前記物理量として前記物質の第1表面温度T S1および第1熱流束H S1を計測するステップと、
 前記第1熱抵抗体の熱抵抗とは異なる熱抵抗を有する第2熱抵抗体を備える第2プローブを用いて、前記物理量として前記物質の第2表面温度T S2および第2熱流束H S2を計測するステップと
 を含むことを特徴とするプログラム。
[請求項7]
 請求項6に記載されたプログラムにおいて、
 前記深部温度の参照値をT Crefとしたとき、前記校正するステップは、前記係数を{(T Cref-T S1)/H S1}/{(T Cref-T S2)/H S2}を用いて校正するステップを含む
 ことを特徴とするプログラム。
[請求項8]
 請求項5に記載されたプログラムにおいて、
 前記物質の表面温度をT S、前記物質の熱流束をH S、前記推定された深部温度をT Cとしたとき、前記計算するステップは、前記指標として、(T C-T S)/H Sの変化率を計算するステップを含む
 ことを特徴とするプログラム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7A]

[ 図 7B]

[ 図 8]

[ 図 9A]

[ 図 9B]

[ 図 9C]

[ 図 9D]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]