Traitement en cours

Veuillez attendre...

Paramétrages

Paramétrages

Aller à Demande

1. WO2020195970 - PROCÉDÉ DE FABRICATION DE CLINKER ET POUDRE DE CLINKER

Document

明 細 書

発明の名称 セメントクリンカーの製造方法及びセメントクリンカー粉末

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の開示

発明が解決しようとする課題

0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010  

発明の効果

0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための最良の形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040  

実施例

0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : セメントクリンカーの製造方法及びセメントクリンカー粉末

技術分野

[0001]
 本発明は、低温で焼成可能でかつ明度が高く調整されたポルトランドセメントクリンカーの製造方法、及び製造されたセメントクリンカー粉末に係る。

背景技術

[0002]
 セメント産業は、大量生産・大量消費型産業であり、省資源・省エネルギーは最重要課題となっている。例えば、最も大量に製造されているポルドランドセメントでは、所定の化学組成に調整された原料を1450℃~1550℃の高温で焼成してクリンカーとする。そして焼成工程が最もエネルギー消費の大きい工程である。すなわち、クリンカーの焼成温度を低減することができれば、エネルギー削減につながる。クリンカー焼成温度の低減に関して、クリンカーの主要鉱物であるC AF(4CaO・Al ・Fe )濃度を増加させる技術が開発されている(特許文献1)。
[0003]
 一方で、近年の地球環境問題と関連して、廃棄物・副産物等の有効利用は重要な課題となっている。セメント産業、セメント製造設備の特徴を生かし、セメント製造時に、原料や燃料として、廃棄物を有効利用あるいは処理している。このことは、廃棄物の安全かつ大量処分が可能という観点から、有効とされている。廃棄物、副産物はAl 含有量が高いものが多く、上記したC AFを増やす系においては、セメントクリンカーのAl 含有量が従来のポルトランドセメントクリンカーよりも増加する。このことから、廃棄物・副産物を従来のポルトランドセメントクリンカーよりも多く使用することが可能となる。この点においても特許文献1記載のクリンカーは優れている。
[0004]
 特許文献1記載のセメントクリンカーは低温で焼成可能とするため、C AFを増加させており、セメントクリンカー中のFe が増加する。Fe が増加することにより、該セメントクリンカーから製造されたセメントは従来のポルトランドセメントと比較すると色調が変化し、特に明度を表すL値が低下傾向となる。従来のポルトランドセメントから色調が変化すると、補修材料等で使用した際に当該箇所だけ色調が変わることが予想され、美観の観点から使用が制限されるという問題がある。これに対し、Fe 含有量を減少させると低温での焼成が難しくなり、該クリンカーの大きな特徴である省エネルギー効果が十分には得られなくなる。
[0005]
 従来、上記低温で焼成したクリンカーを使用し明度の高いセメントを得る方法として、特定の鉄源原料を使用する方法(特許文献2)や高明度の粉末を添加する方法(特許文献3)が知られている。しかしながら特許文献2の方法では十分に明度が得られず、特許文献3の方法では製造時のコストが高くなるという問題があった。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : JP5665638B
特許文献2 : JP2017-95312A
特許文献3 : JP2017-105648A

発明の開示

発明が解決しようとする課題

[0007]
 そこで本発明は、従来のポルトランドセメントクリンカーに比べ、製造する際の焼成温度を低減することが可能であり、しかも従来のポルトランドセメントクリンカーと同等な色調となるセメントクリンカーの製造方法と製造されたセメントクリンカー粉末を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討を進め、セメントクリンカー焼成時の温度、特に冷却時の降下温度および時間を制御することにより、容易にセメントクリンカーの明度を調整できることを見出し、本発明の完成に至った。
[0009]
 即ち、本発明は、原料を1300~1400℃で焼成後に冷却する工程を含む、ボーグ式により算出されるC AとC AFの合計量が22~40%、鉄率(I.M.)が0.8~1.3のポルトランドセメントクリンカーの製造方法であって、前記冷却を、少なくとも1200℃に到達するまでは20℃/分以下の降温速度とするとともに、低くても1000℃以下では急冷することを特徴とする。なおこの明細書において、22~40%等のように”~”を用いて指定した場合、上限と下限を含むものとする。
[0010]
 また本発明のポルトランドセメントクリンカー粉末は、ボーグ式により算出されるC AとC AFの合計量が22~40%、鉄率(I.M.)が0.8~1.3、ブレーン比表面積が2800~4500cm /g、Lab表色系でのL値が50以上である。

発明の効果

[0011]
 本発明によれば、従来のポルトランドセメントクリンカーよりも低温での焼成が可能であり、廃棄物・副産物の使用量を増加させることができるセメントクリンカーであって、かつ従来のポルトランドセメントクリンカーと同等な明度を呈するセメントクリンカーが得られる。
 

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] 1350℃で焼成後に1200℃まで20℃/分で除冷し、次いで200℃まで急冷したセメントクリンカー粉末での、C S組織を示す鉱物顕微鏡写真。写真の視野は約300μm×225μm。
[図2] 1350℃で焼成後に直ちに200℃まで急冷したセメントクリンカー粉末での、C S組織を示す鉱物顕微鏡写真。写真の視野は約300μm×225μm。
[図3] 1350℃で焼成後に1200℃まで20℃/分で除冷し、次いで200℃まで急冷したセメントクリンカー粉末での、間隙相組織を示す鉱物顕微鏡写真。写真の視野は約125μm×90μm。
[図4] 1350℃で焼成後に直ちに200℃まで急冷したセメントクリンカー粉末での、間隙相組織を示す鉱物顕微鏡写真。写真の視野は約125μm×90μm。

発明を実施するための最良の形態

[0013]
 本発明におけるC A、C AFおよびC S量は、ボーグ(Bogue)式によって求められるものである。  
[0014]
 ボーグ式は、係数・諸比率とならんで利用され、主要化学分析値を用いておよその主要化合物組成を算出する計算式であり、当業者には周知の式である。念のため、以下にボーグ式によるクリンカー中の各鉱物量の求め方を記しておく。各成分の単位は質量%である。
[0015]
 C S量 =(4.07×CaO)―(7.60×SiO )―(6.72×Al )―(1.43×Fe )
 C S量 =(2.87×SiO )―(0.754×C S)
 C A量 =(2.65×Al )―(1.69×Fe )
 C AF量=3.04×Fe
[0016]
 鉄率(I.M.)は、水硬率(H.M.)、ケイ率(S.M.)、活動係数(A.I.)および石灰飽和度(L.S.D.)とならんで、主要化学成分値を用いて求められる。鉄率は、クリンカー製造管理のための特性値であり、係数・諸比率の一つとして利用されており、当業者には周知の係数である。念のため、以下に鉄率の計算方法と他の係数の計算方法を記しておく。
[0017]
 水硬率(H.M.)    = CaO/(SiO +Al +Fe )
 ケイ酸率(S.M.)   = SiO /(Al +Fe )
 鉄率(I.M.)     = Al /Fe
 活動係数(A.I.)   = SiO /Al
 石灰飽和度(L.S.D.)= CaO/(2.8×SiO +1.2×Al +0.65×Fe )
[0018]
 なお、上記中のCaO、SiO 、Al およびFe は、それぞれJIS R 5202”ポルトランドセメントの化学分析法”やJIS R 5204”セメントの蛍光X線分析法”などに準拠した方法により測定できる。
[0019]
 本発明で製造するセメントクリンカーにおいては、C A、C AFの量はその合計が22~40%である。これらの合計量が22%を下回ると強度発現性などの物性の良好なセメントクリンカーを、1300~1400℃の温度で焼成して得ることが困難になる。より好ましい合計量は24%以上である。一方、後述するように高い強度発現性を得るためにはC Sが60%以上あることが好ましい。この観点から、C AおよびC AFの合計量は40%以下とする。好ましくは35%以下、より好ましくは32%以下、特に好ましくは28%以下である。またこの両成分のうち、C AFは、低温でも十分に焼結させることができ、かつクリンカー中のfree-CaO量を少なくできる点で、単独で15%以上存在することが好ましい。
[0020]
 C S量は、本発明のセメントクリンカーを用いたセメント組成物(以下、単に「セメント」)の、強度発現性に対して強い影響を与える。この量を60%以上とすると、良好な強度発現性が得られやすい。C S量は62%以上であることがより好ましく、63%以上であることが特に好ましい。なお上述したC AおよびC AFの合計量は少なくとも22%であるから、C S量の上限は78%となる。凝結の開始から終結までの時間をある程度確保するために、70%以下が好ましく、65%以下がより好ましい。
[0021]
 本発明で製造するセメントクリンカーにはさらにC Sが含まれていてもよい。その量は18%以下であり、3%以上であることが好ましい。長期強度を得るという観点から、特に好ましくはC S量とC S量の合計を69%以上とする。
[0022]
 本発明で製造するセメントクリンカーにおける、鉄率(I.M.)は0.8~1.3である。鉄率が1.3を超えると、本発明のセメントクリンカーにおける他の要件を満足していても、十分な強度発現性(より具体的には、例えばモルタル強さ発現)を得ることができない。さらに鉄率が1.3を超えると、凝結開始から終結までの時間が長くなりすぎる傾向にあり、この点からも鉄率は1.3以下とする。より好ましい鉄率の範囲は1.0~1.3であり、特に好ましくは1.14~1.27である。
[0023]
 水硬率及びケイ酸率は特に限定されるものではないが、各種物性のバランスに優れたものとするために、水硬率は好ましくは1.8~2.2、特に好ましくは1.9~2.1であり、またケイ酸率は好ましくは1.0~2.0、特に好ましくは1.1~1.7である。
[0024]
 本発明のセメントクリンカーの製造方法において、クリンカー原料の調製、混合方法は公知の方法を適宜採用すればよい。例えば、事前に、廃棄物、副産物およびその他の原料(石灰石、生石灰、消石灰等のCaO源、珪石等のSiO 源、粘土、石炭灰等のAl 源、銅カラミ、高炉スラグ等のFe 源など)の化学成分を分析し、これら原料中の各成分割合から本発明に特定した前記各要件を満たすように、各原料の調合割合を計算し、その割合で原料を調合すればよい。
[0025]
 なお、本発明の製造方法で用いる原料は、従来セメントクリンカーの製造において使用される原料と同様なものが、特に制限なく使用される。廃棄物、副産物等を利用することも無論可能である。
[0026]
 使用可能な廃棄物・副産物を具体的に例示すると、高炉スラグ、製鋼スラグ、マンガンスラグ、石炭灰、下水汚泥、浄水汚泥、製紙スラッジ、建設発生土、鋳物砂、ばいじん、焼却飛灰、溶融飛灰、塩素バイパスダスト、木、廃白土、ボタ、廃タイヤ、貝殻、ごみやその焼却灰等が挙げられる。なお、これらの中には、セメント原料になるとともに熱エネルギー源となるものもある。
[0027]
 従来のセメントクリンカーの製造方法においては、上記のような原料の混合物は焼成装置(例えば、SPキルンやNSPキルン等)により、焼成温度1450℃付近で所定の時間焼成後、ただちにクリンカクーラーと呼ばれる冷却装置(送風機、散水機等)により、通常は100℃/分以上の冷却速度で200℃付近まで急冷される。
[0028]
 それに対し、C AとC AFの合計量が22~40%、鉄率(I.M.)が0.8~1.3の範囲にあるセメントクリンカーの製造に際しては、焼成温度を1300~1400℃と低い温度にできるため、省エネルギー化が図られる。
[0029]
 しかしながら上記組成のセメントクリンカーは、標準的なポルトランドセメントクリンカーに比べて、明度(Lab表色系でのL値)が低い傾向があり、Lは通常は50未満、多くの場合48未満である。
[0030]
 そこで本発明においては、上記のように低温で焼成したセメントクリンカーの焼成後の冷却に際し、少なくとも1300℃から1200℃までの冷却を20℃あたり1分以上の時間をかけて行う(以下、「徐冷」という場合がある)。このような徐冷を経て製造されたセメントクリンカーは、同じ温度範囲を急冷して製造した従来のセメントクリンカーに比べて、明度が大幅に高くなる(明るくなる)。
[0031]
 この理由は定かではないが、焼成により生成したクリンカー鉱物結晶を緩やかに温度降下させると、急冷の場合とは別の相を含むように相転移すること、クリンカー鉱物結晶のサイズ及び形状が変化することが要因であると推察する。
[0032]
 一方、本発明者等の検討によれば、1000℃以下の温度域においては、徐冷による明度向上の効果は見られない。加えて、1000℃以下で徐冷を行うと、ポルトランドセメントクリンカーの製造に著しい時間が必要となってしまい、生産性に問題を生じる。従って、本発明においては、1000℃以下では、従来技術と同様にして急冷を行うものである。
[0033]
 急冷を開始する温度が1000℃以上であれば、急冷開始が低いほど明度は高くなる傾向にある。この一方で、上記の通り生産性が低下してしまう。このため、両因子を適宜勘案し、冷却速度の切り替え温度を、1200℃から1000℃の範囲から選択して設定すればよい。
[0034]
 本発明の製造方法で製造されたセメントクリンカーは、従来公知のセメントクリンカーと同様、セッコウと共に粉砕、または個別に粉砕した後に混合することにより、セメントとすることができる。当該セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメントが挙げられる。またポルトランドセメントとする以外にも、各種混合セメントや、土壌固化材等の固化材の構成成分として使用することも可能である。
[0035]
 セッコウを加えてセメントとする場合、使用するセッコウについては、二水セッコウ、半水セッコウ、無水セッコウ等の、セメント製造原料として公知のセッコウが、特に制限なく使用できる。セッコウの添加量は、ポルトランドセメントの場合、セメント中のSO 量が1.5~5.0質量%となるように添加することが好ましく、1.8~3質量%となるように添加することがより好ましい。上記セメントクリンカーおよびセッコウの粉砕方法については、公知の技術が特に制限なく使用できる。
[0036]
 また、当該セメントには、高炉スラグ、シリカ質混合材、フライアッシュ、炭酸カルシウム、石灰石等の混合材や粉砕助剤を、適宜添加して混合粉砕するか、粉砕後に混合材と混合してもよい。これらの添加物はセッコウと共に添加しても、セッコウとは別に添加しても良い。また塩素バイパスダスト等を混合してもよい。
[0037]
 セメントの粉末度は特に制限されないが、ブレーン比表面積で2800~4500cm /gに調整されることが好ましい。
[0038]
 なお、セメントクリンカー単独で粉砕し、その明度(L値)を測ると、本発明の製造方法で得たセメントクリンカーでは50以上となり、前述したように急冷開始温度をより低くすれば明度を52以上とすることも可能である。一方、多くは55以下となる。
[0039]
 一般に、ブレーン比表面積は大きいほど明度が高くなる傾向にあるが、細かく粉砕することは製造コスト等の点で好ましくない。即ち、C AとC AFの合計量が22~40%、鉄率(I.M.)が0.8~1.3と鉄の含有率が非常に多く、ブレーン比表面積が2800~4500cm /gの範囲にあるポルトランドセメントクリンカーであって、Lab表色系でのL値が50以上であるポルトランドセメントクリンカーは、本発明の製造方法により始めて製造が可能になったものである。
[0040]
 また本発明の製造方法で得られたポルトランドセメントクリンカーは、さらに必要に応じ、粉砕後に高炉スラグ、フライアッシュ等を混合し、高炉スラグセメント、フライアッシュセメント等にすることも可能である。

実施例

[0041]
 以下、実施例により本発明の構成及び効果を説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[0042]
 焼成後に表1記載の鉱物組成となるように石灰石、珪石、石炭灰、鉄カラミを所定量混合し、原料調合を行なった。これを1450℃又は1350℃で電気炉にて焼成後、各実験例所定の方法にて冷却を行いセメントクリンカーを得た。なお最高温度への保持時間は定法に従い90分間とし、焼成雰囲気は定法に従い空気下とした。得られたセメントクリンカーをボールミルにてブレーン比表面積が3300±50cm /gとなるまで粉砕し、粉末の色調を分光色差計によって測定した。各セメントクリンカーの製造条件や評価結果を表1に示す。用いた分光色差計は日本電色工業製 分光色差計 SE6000であった。
[0043]
[表1]


* 組成は質量%、
* 参考例は最高温度の1450℃から急冷、比較例1は最高温度の1350℃から急冷、
* 実施例1,2では、最高温度の1350℃から1200℃または1100℃まで20℃/分で除冷後、急冷。
 
[0044]
 参考例は従来からある標準的な組成のポルトランドセメントクリンカーを1450℃で焼成し、当該1450℃から、100℃/分を超える一般的な冷却速度で急冷した結果を示す例である。
[0045]
 比較例1は、C AとC AFの合計量を26%、鉄率を1.21として低温で焼成可能とした組成のセメントクリンカーを1350℃で焼成し、当該1350℃から、100℃/分を超える一般的な冷却速度で急冷した結果を示す例である。
[0046]
 実施例1及び2は本発明に係るものであり、比較例1と同等の組成になるように原料を調製し、1350℃での焼成後に1200℃又は1100℃まで20℃あたり1分の降温速度で冷却を行い、その後100℃/分を超える一般的な冷却速度で送風急冷をおこなった例である。
[0047]
 本発明の製造方法で製造したセメントは鉄成分を多く含み、低い温度での焼成が可能でありながら、参考例に示した従来のポルトランドセメントクリンカーと同等の明度となっていることがわかる。
[0048]
 図1,図3は実施例1に相当するセメントクリンカー粉末の鉱物組織を示し、図1はC S組織を、図3は間隙相のC AとC AFの組織を示す。図2、図4は比較例1に相当するセメントクリンカー粉末の鉱物組織を示し、図2はC S組織を、図4は間隙相のC AとC AFの組織を示す。なお図1の中央部の上部から下部に伸びる部分は空孔である。また図1,図2で粒子間の間隙を占める白色の組織は間隙相である。図3,図4で、粒子間の間隙にある灰色の組織は間隙相で、暗い部分がC AF組織、明るい部分がC A組織である。
[0049]
 図1と図2を比較すると、除冷した図1では、C S粒子のサイズが図2よりも小さく、粒子の形状も変化していることが分かる。図3と図4を比較すると、除冷した図3では間隙相中でC A組織とC AF組織とが分離しているのに対し、急冷した図4ではC A組織とC AF組織が互いに混ざり合っていることが分かる。さらにC Sは1200℃以下で複数回相転移するので、除冷と急冷では、C Sの結晶相が変化することが考えられる。
[0050]
 粒子のサイズと形状は明度に影響することが知られている。結晶相が異なれば、一般に明度も変化する。除冷すると不純物が結晶組織から排出されるため、一般に粉末の明度は向上する。明度が低いC AF組織と明度が高いC A組織が均一に混合しているよりも、これらが分離した方が明度は向上すると考えられる。これらのため、除冷によりセメントクリンカー粉末の明度が向上した、と推定できる。
[0051]
 商業的に実施する場合、焼成は例えばロータリーキルンで行い、除冷と急冷は例えばクリンカクーラーにより行う。クリンカクーラーは例えば多段に構成され、除冷は例えば初段あるいは初段と第2段等で行い、初段等への送風量を小さくするあるいは0にすることにより、冷却速度を20℃/分以下にする。
[0052]
 除冷時の降温速度を小さくするとクリンカクーラーの規模が大きくなるので、除冷時の降温速度は20℃/分以下でかつ5℃/分以上が好ましい。急冷とは例えば40℃/分以上500℃/分以下の速度で冷却することを意味し、好ましくは100℃/分以上500℃/分以下とする。
[0053]
 除冷時及び急冷時の、セメントクリンカー温度を測定するには、例えば放射温度計を用い、複数の位置でクリンカクーラー内のクリンカーの温度を測定し、クリンカクーラー内でのセメントクリンカーの移動速度を用いて、降温速度に換算する。

請求の範囲

[請求項1]
 原料を1300~1400℃で焼成後に冷却する工程を含む、ボーグ式により算出されるC AとC AFの合計量が22~40%、鉄率(I.M.)が0.8~1.3のポルトランドセメントクリンカーの製造方法であって、
 前記冷却を、少なくとも1200℃に到達するまでは20℃/分以下の降温速度とするとともに、低くても1000℃以下では急冷することを特徴とするポルトランドセメントクリンカーの製造方法。
[請求項2]
 ポルトランドセメントクリンカーを製造した後、該ポルトランドセメントクリンカーを石膏と共に粉砕するか、或いは粉砕後に石膏と混合することを特徴とする、請求項1記載のポルトランドセメントの製造方法。
[請求項3]
 該ポルトランドセメントクリンカーに更に、高炉スラグ、石灰石、フライアッシュ及び/又はシリカ質混合材を混合することを特徴とする、請求項2記載のポルトランドセメントの製造方法。
[請求項4]
 ボーグ式により算出されるC AとC AFの合計量が22~40%、鉄率(I.M.)が0.8~1.3、ブレーン比表面積が2800~4500cm /gであり、Lab表色系でのL値が50以上であるポルトランドセメントクリンカー粉末。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]