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1. WO2020116395 - CORPS STRATIFIÉ ET PROCÉDÉ DE FABRICATION DE CORPS STRATIFIÉ

Document

明 細 書

発明の名称 積層体及び積層体の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006  

課題を解決するための手段

0007   0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073  

実施例

0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096  

符号の説明

0097  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 積層体及び積層体の製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、積層体及び積層体の製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 近年、様々な分野で、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置や、タッチパネルなどの表示装置と組み合わせて用いられる入力装置が広く用いられるようになってきている。これらの表示装置や入力装置の製造等においては、光学部材を貼り合せる用途に透明な粘着シートが使用されており、表示装置と入力装置との貼合にも透明な粘着シートが使用されている。
[0003]
 このような用途に用いられる粘着シートには、粘着性能以外にも様々な特性が要求される。例えば、ポリカーボネート基材等の樹脂板は、透明性や耐熱性などに優れているため、光学部材として多用されているが、樹脂板に粘着シートを貼合し、高温環境下に置いた場合、粘着剤層に気泡が生じ、光学性能に影響を及ぼすことがある。このため、粘着シートの用途によっては、優れた耐アウトガス性が要求される場合がある。
[0004]
 例えば、特許文献1~3には、粘着剤層を備える光学積層体が開示されている。特許文献1では、透明粘着剤を介してポリカーボネート又はアクリルからなる樹脂板が被着体に貼付された光学積層体が開示されている。特許文献2では、粘着剤層を介して配置される透明樹脂層及びガラス層を有する積層単位を備える積層体が開示されている。また、特許文献3には、アウトガスを発生可能な素材で構成されており且つ被着面を有する第1層及び第2層と、第1層と第2層との間に配置される位相差層と、第1粘着層及び第2粘着層とを備えている光学積層体が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2017-222085号公報
特許文献2 : 特開2018-1615号公報
特許文献3 : 特開2018-45567号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 粘着シートを、アウトガスを発生させ得る樹脂板等に貼合する場合においては、粘着シートと樹脂板の界面に気泡が発生する場合もあるが、粘着シート中に気泡が発生する場合もある。このように、アウトガスの発生様式は1パターンではないため、いかなる発生様式に対しても優れた耐アウトガス性を発揮できる積層体の開発が求められていた。
 そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、いかなるアウトガスの発生様式に対しても優れた耐アウトガス性を発揮できる積層体を提供することを目的として検討を進めた。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記の課題を検討する中で、本発明者らは、樹脂板、特にポリカーボネートに粘着シートを貼合した場合は、樹脂板の水分が加熱されることで気化して膨張し、その膨張による圧力によって気泡などが発生することを見出した。そこで本発明者らが上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、第1の被着材、粘着剤層及び第2の被着材をこの順で積層した積層体において、耐久試験の条件下における温度(例えば85℃)または実際に使用される過酷な環境下での温度の飽和水蒸気圧をFvとした時に、その温度における第1の被着材と粘着剤層の界面密着力をFtとし、粘着剤層の剪断貯蔵弾性率(G’)をFiとし、第2の被着材と粘着剤層の界面密着力をFbとした場合に、Ft>Fv、Fi>Fv、及び、Fb>Fvとすることにより、いかなるアウトガスの発生様式に対しても優れた耐アウトガス性を発揮できる積層体が得られることを見出した。
 具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[0008]
[1] 第1の被着材、粘着剤層及び第2の被着材をこの順で積層した積層体であって、
 85℃における飽和水蒸気圧をFvとし、
 下記測定方法(a)で測定される85℃における第1の被着材と粘着剤層の界面密着力をFtとし、
 下記測定方法(b)で測定される85℃における粘着剤層の剪断貯蔵弾性率(G’)をFiとし、
 下記測定方法(c)で測定される85℃における第2の被着材と粘着剤層の界面密着力をFbとした場合、
 Ft>Fv、Fi>Fv、及び、Fb>Fvの条件を満たす積層体;
 測定方法(a):
 10mm×10mmのサイズの積層体の第1の被着材表面に接着剤を塗布し、厚み4.0mm×幅30mm×長さ50mmのガラス板の中央部に貼合する;粘着剤層側に厚み4.0mm×幅30mm×長さ50mmのガラス板を、2つのガラス板が互いに十字の位置関係になるよう接着剤を介して貼合し、測定用サンプルとする;測定用サンプルを、85℃、相対湿度20%未満の環境下に3時間置いた後に、85℃、相対湿度20%未満の環境下で、引張試験機を用いて、速度5mm/minでそれぞれのガラス板を厚み方向における反対方向に引っ張り、第1の被着材と粘着剤層の間で剥離した際の応力を界面密着力(Ft)として測定する;第1の被着材と粘着剤層の間で剥離しない場合には、界面密着力(Ft)は引張最大応力よりも大きいものとする;
 測定方法(b):
 積層体を固体剪断試験用治具に接着剤を用いて固定し、固体剪断モード、周波数1Hz、歪み1.0%の条件で、20℃~120℃までの温度領域における粘着剤層の剪断貯蔵弾性率G’を測定し、85℃における剪断貯蔵弾性率G’の値をFiとする;
 測定方法(c):
 10mm×10mmのサイズの積層体の第2の被着材表面に接着剤を塗布し、厚み4.0mm×幅30mm×長さ50mmのガラス板の中央部に貼合する;粘着剤層側に厚み4.0mm×幅30mm×長さ50mmのガラス板を、2つのガラス板が互いに十字の位置関係になるよう接着剤を介して貼合し、測定用サンプルとする;測定用サンプルを、85℃、相対湿度20%未満の環境下に3時間置いた後に、85℃、相対湿度20%未満の環境下で、引張試験機を用いて、速度5mm/minでそれぞれのガラス板を厚み方向における反対方向に引っ張り、第2の被着材と粘着剤層の間で剥離した際の応力を界面密着力(Fb)として測定する;第2の被着材と粘着剤層の間で剥離しない場合には、界面密着力(Fb)は引張最大応力よりも大きいものとする。
[2] 第1の被着材は、樹脂板である[1]に記載の積層体。
[3] 第1の被着材は、ポリカーボネート系樹脂を含む[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] 第2の被着材は、ガラス板及び樹脂板から選択される少なくとも1種を含む[1]~[3]のいずれかに記載の積層体。
[5] [1]~[4]のいずれかに記載の積層体の製造方法であって、
 後硬化性を有する粘着剤層に、第1の被着材と第2の被着材を貼合する工程と、
 第1の被着材もしくは第2の被着材側から活性エネルギー線を照射する工程とを含む積層体の製造方法。
[6] 貼合する工程で用いられる粘着剤層は、粘着剤組成物を半硬化状態とした粘着剤層であり、
 粘着剤組成物は、架橋性アクリル共重合体、架橋剤、光重合開始剤、単官能単量体及び多官能単量体を含む、[5]に記載の積層体の製造方法。
[7] 単官能単量体は、ラウリルアクリレートである[6]に記載の積層体の製造方法。
[8] 多官能単量体は、1分子内にビスフェノール骨格を有する単量体である[6]又は[7]に記載の積層体の製造方法。

発明の効果

[0009]
 本発明によれば、いかなるアウトガスの発生様式に対しても優れた耐アウトガス性を発揮できる積層体を得ることができる。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 図1は、本発明の粘着シートを含む積層体の構成を説明する断面図である。
[図2] 図2は、両面粘着シートの十字粘着力の測定方法を説明する図である。
[図3] 図3は、積層体におけるアウトガスの発生様式を説明する断面図である。

発明を実施するための形態

[0011]
 以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
[0012]
(積層体)
 本発明は、第1の被着材、粘着剤層及び第2の被着材をこの順で積層した積層体に関する。図1に示されるように、本発明の積層体1は、第1の被着材2と、粘着剤層4と、第2の被着材6をこの順で有する。なお、本発明の積層体1においては、第1の被着材2と粘着剤層4は直接接するように積層されており、粘着剤層4と第2の被着材6も直接接するように積層されている。ここで、85℃における飽和水蒸気圧をFvとし、下記測定方法(a)で測定される85℃における第1の被着材と粘着剤層の界面密着力をFtとし、下記測定方法(b)で測定される85℃における粘着剤層の剪断貯蔵弾性率(G’)をFiとし、下記測定方法(c)で測定される85℃における第2の被着材と粘着剤層の界面密着力をFbとした場合、Ft>Fv、Fi>Fv、及び、Fb>Fvの条件を満たす。
[0013]
 測定方法(a):
 10mm×10mmのサイズの積層体の第1の被着材表面に接着剤を塗布し、厚み4.0mm×幅30mm×長さ50mmのガラス板の中央部に貼合する。粘着剤層側に、厚み4.0mm×幅30mm×長さ50mmのガラス板を、2つのガラス板が互いに十字の位置関係になるよう接着剤を介して貼合し、測定用サンプルとする。測定用サンプルを、85℃、相対湿度20%未満の環境下に3時間置いた後に、85℃、相対湿度20%未満の環境下で、引張試験機を用いて、速度5mm/minでそれぞれのガラス板を厚み方向における反対方向に引っ張り、第1の被着材と粘着剤層の間で剥離した際の応力を界面密着力(Ft)として測定する。第1の被着材と粘着剤層の間で剥離しない場合には、界面密着力(Ft)は引張最大応力よりも大きいものとする。
 ここで、測定方法(a)において、粘着剤層側に貼合されるガラス板は、第2の被着材を除去することで露出した粘着剤層上に接着剤を塗布し、この接着剤を介して貼合されるものであってもよく、第2の被着材表面に接着剤を塗布し、この接着剤を介して貼合されるものであってもよい。測定用サンプルにおける積層順序については、後述する手順1~3における各場合によって適宜変更されるものである。
[0014]
 測定方法(b):
 積層体を固体剪断試験用治具に接着剤を用いて固定し、固体剪断モード、周波数1Hz、歪み1.0%の条件で、20℃~120℃までの温度領域における粘着剤層の剪断貯蔵弾性率G’を測定し、85℃における剪断貯蔵弾性率G’の値をFiとする。この際に用いる接着剤は、測定する剪断貯蔵弾性率に影響が出ないようにガラス転移温度(Tg)が120℃以上であることが好ましい。接着剤としては、例えば、コニシ社製のアロンアルフア 速攻多用途EXTRAを用いることができる。
[0015]
 測定方法(c):
 10mm×10mmのサイズの積層体の第2の被着材表面に接着剤を塗布し、厚み4.0mm×幅30mm×長さ50mmのガラス板の中央部に貼合する。粘着剤層側に厚み4.0mm×幅30mm×長さ50mmのガラス板を、2つのガラス板が互いに十字の位置関係になるよう接着剤を介して貼合し、測定用サンプルとする。測定用サンプルを、85℃、相対湿度20%未満の環境下に3時間置いた後に、85℃、相対湿度20%未満の環境下で、引張試験機を用いて、速度5mm/minでそれぞれのガラス板を厚み方向における反対方向に引っ張り、第2の被着材と粘着剤層の間で剥離した際の応力を界面密着力(Fb)として測定する。第2の被着材と粘着剤層の間で剥離しない場合には、界面密着力(Fb)は引張最大応力よりも大きいものとする。
 ここで、測定方法(c)において、粘着剤層側に貼合されるガラス板は、第1の被着材を除去することで露出した粘着剤層上に接着剤を塗布し、この接着剤を介して貼合されるものであってもよく、第1の被着材表面に接着剤を塗布し、この接着剤を介して貼合されるものであってもよい。測定用サンプルにおける積層順序については、後述する手順1~3における各場合によって適宜変更されるものである。
[0016]
 測定方法(a)と測定方法(c)は具体的には以下の手順1~3を順に行うことでなされる。
(手順1)
 積層体を10mm×10mmのサイズに切り出した後、積層体の一方の面(第1の被着材側の面)に接着剤を薄く塗布して、厚み4.0mm×幅30mm×長さ50mmのガラスAの中央部に積層体を固定する。次いで積層体のもう一方の面側(第2の被着材側の面)に同様に接着剤を塗布して、厚み4.0mm×幅30mm×長さ50mmのガラスBの中央部に積層体を固定する。その際、図2に示されるように、2つのガラスA、Bが互いに十字の位置関係になるよう貼合する。なお、図2の上図は測定用サンプルを平面方向から見た図であり、図2の下図は測定用サンプルの側面を断面方向から見た図である。図2に示されるように、積層体1の各面に、ガラスA10及びガラスB20を互いに十字の位置関係になるよう貼合することで測定用サンプルが構成される。このようにして得られた測定用サンプルを23℃、相対湿度50%の環境下に30分静置して接着剤を完全に硬化させた後、85℃、相対湿度20%未満の環境下に3時間置く。その後、引張試験機を用いて、85℃、相対湿度20%未満の環境下で、速度5mm/minでそれぞれのガラスを厚み方向における反対方向にそれぞれのガラスが分離するまで引っ張り、その際の最大応力σ1の測定と剥離界面の観察を行い、以下の基準でFt及びFbを決定する。
(1)第1の被着材と粘着剤層の界面で剥離した場合、Ft=σ1として手順2の試験を実施してFbを測定する。
(2)第2の被着材と粘着剤層の界面で剥離した場合、Fb=σ1とし手順3の試験を実施してFtを測定する。
(3)接着剤とガラス(又は被着材)の界面で剥離した場合、Ft、Fb>σ1とする。すなわち、(3)の場合のように被着材と粘着剤層の界面で剥離せずに、ガラスと積層体が分離した場合には、界面密着力(Ft)と界面密着力(Fb)は、その際の引張最大応力よりも大きいものとする。
 なお、ガラスと積層体の接着に用いられる接着剤としては、例えば、瞬間接着剤を用いることができ、具体的には、コニシ社製のアロンアルフア 速攻多用途EXTRA等を用いることができる。ここで、接着剤は各被着材とガラスの接着力(上記の測定での最大応力)が85℃における飽和水蒸気圧(Fv)より大きいものであれば特に限定されるものではない。また、測定に用いられるガラスはアルカリガラスであることが好ましく、例えば、(株)スタンダードテストピース社製のフロート板ガラスを用いることができる。
[0017]
(手順2)
 手順1の測定で第1の被着材と粘着剤層の界面で剥離が生じて剥き出しになった粘着剤層面に接着剤を薄く塗布して、厚み4.0mm×幅30mm×長さ50mmの新しいガラスCの中央に固定する。その際、上記と同様に2つのガラスB、Cが互いに十字の位置関係になるよう貼合する。このようにして得られた測定用サンプルを23℃、相対湿度50%の環境下に30分間静置して接着剤を完全に硬化させた後、85℃、相対湿度20%未満の環境下に3時間置く。その後、引張試験機を用いて、85℃、相対湿度20%未満の環境下で、速度5mm/minでそれぞれのガラスを厚み方向における反対方向にそれぞれのガラスが分離するまで引っ張り、その際の最大応力σ2の測定と剥離界面の観察を行い、以下の基準でFbを決定する。
(4)第2の被着材と粘着剤層の界面で剥離した場合、Fb=σ2とする。
(5)接着剤とガラス、又は、接着剤と粘着剤層の界面で剥離した場合、Fb>σ2とする。
[0018]
(手順3)
 手順1の測定で第2の被着材と粘着剤層の界面で剥離が生じて剥き出しになった粘着剤層面に接着剤を薄く塗布して、厚み4.0mm×幅30mm×長さ50mmの新しいガラスDの中央に固定する。その際、上記と同様に2つのガラスA、Dが互いに十字の位置関係になるよう貼合する。このようにして得られた測定用サンプルを23℃、相対湿度50%の環境下に30分間静置して接着剤を完全に硬化させた後、85℃、相対湿度20%未満の環境下に3時間置く。その後、引張試験機を用いて、85℃、相対湿度20%未満の環境下で、速度5mm/minでそれぞれのガラスを厚み方向における反対方向にそれぞれのガラスが分離するまで引っ張り、その際の最大応力σ3の測定と剥離界面の観察を行い、以下の基準でFtを決定する。
(6)第1の被着材と粘着剤層の界面で剥離した場合、Ft=σ3とする。
(7)接着剤とガラス、又は、接着剤と粘着剤層の界面で剥離した場合、Ft>σ3とする。
[0019]
 本明細書における85℃における飽和水蒸気圧Fvは、0.058MPaである。なお、85℃における飽和水蒸気圧は、JIS Z 8806付表1.1 水の飽和蒸気圧に記載された値を採用できる。
[0020]
 本発明の積層体においては、85℃における飽和水蒸気圧(Fv)と、上述した方法で測定される第1の被着材と粘着剤層の界面密着力(Ft)、粘着剤層の剪断貯蔵弾性率(Fi)及び第2の被着材と粘着剤層の界面密着力(Fb)の関係が以下の条件を満たす。
 Ft>Fv、Fi>Fv、及び、Fb>Fv
 本発明においては、Fv、Ft、Fi及びFbが上記条件を満たすことにより、いかなるアウトガスの発生様式に対しても優れた耐アウトガス性を発揮することができる。
[0021]
 ここで、アウトガスの発生様式としては、図3に示されるような3つのエラーモードが挙げられる。図3(a)にはエラーモード1が示されており、このエラーモードでは、第1の被着材2と粘着剤層4の界面に気泡Rが発生する。図3(b)にはエラーモード2が示されており、このエラーモードでは、粘着剤層4中に気泡Rが発生する。図3(c)には、エラーモード3が示されており、このエラーモードでは、第2の被着材6と粘着剤層4の界面に気泡Rが発生する。本発明においては、Fv、Ft、Fi及びFbを所定条件とすることにより、図3(a)~(c)に示されたような種々のアウトガスの発生を抑制することができる。これにより、本発明の積層体においては、高温条件下においても粘着剤層が被着材から浮いたり、剥がれたりすることが抑制され、積層体の構成部材の密着性が高められる。
[0022]
 第1の被着材と粘着剤層の界面密着力(Ft)は、0.058MPaよりも大きいものであればよく、0.10MPa以上であることがより好ましく、0.15MPa以上であることがさらに好ましく、0.20MPa以上であることが一層好ましく、0.25MPa以上であることが特に好ましい。
[0023]
 粘着剤層の剪断貯蔵弾性率(Fi)は、0.058MPaよりも大きいものであればよく、0.10MPa以上であることがより好ましく、0.15MPa以上であることがさらに好ましい。
[0024]
 第2の被着材と粘着剤層の界面密着力(Fb)は、0.058MPaよりも大きいものであればよく、0.10MPa以上であることがより好ましく、0.15MPa以上であることがさらに好ましく、0.20MPa以上であることが一層好ましく、0.25MPa以上であることが特に好ましい。
[0025]
 本発明の積層体は、光学部材として用いられることが好ましい。すなわち、本発明の積層体は光学積層体であることが好ましい。例えば、本発明の積層体は、画像表示装置の他、家電品やゲーム機等の電気電子機器のパーツ、自動車等の加飾部の構成部材として用いられることが好ましい。また、本発明の積層体は、高温条件下においても優れた耐アウトガス性を有しているため、車載ディスプレイ等の車載光学部材として用いられることも好ましい。
[0026]
(被着材)
 本発明の積層体は、粘着剤層を介して貼合される、第1の被着材と第2の被着材を備える。なお、第1の被着材と第2の被着材は同種の被着材であってもよいが、異なる被着材であってもよい。なお、本発明においては、第1の被着材と第2の被着材の少なくとも一方がアウトガスを発生する被着材であってもよい。このような場合であっても、本発明の積層体は優れた耐アウトガス性を発揮することができる。
[0027]
 第1の被着材は、樹脂板であることが好ましい。樹脂板を構成する樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッ素樹脂、ポリアミド、(メタ)アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、アクリロニトリルとスチレンの共重合体、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンの共重合体などが挙げられ、これらの混合樹脂が用いられてもよい。中でも樹脂板は、(メタ)アクリル樹脂板及びポリカーボネート樹脂板であることが好ましく、ポリカーボネート樹脂板であることがより好ましい。すなわち、第1の被着材はポリカーボネート系樹脂を含むものであることが好ましい。ここで、ポリカーボネート系樹脂には、ポリカーボネート樹脂と他の成分の複合素材(例えば、メタクリル酸メチル基材とポリカーボネート系樹脂板の積層体やハードコート層付ポリカーボネート系樹脂板)や、ポリカーボネート樹脂のみからなる素材等が含まれる。ポリカーボネート樹脂板は、特に高温条件下においてアウトガスを発生しやすい部材であるが、本発明においては、Fv、Ft、Fi及びFbの関係を所定条件とすることにより、第1の被着材としてポリカーボネート樹脂板を用い、積層体を高温条件下においた場合であってもアウトガスの発生を抑制することができる。なお、第1の被着材は、光学積層体において、カバーフィルムやプロテクトフィルムとして機能し得る。
[0028]
 なお、第1の被着材が、ポリカーボネート樹脂板である場合、ポリカーボネート樹脂板としては、例えば、帝人化成(株)製のパンライトPC-1151、三菱ガス化学(株)製のユーピロンNF2000等を挙げることができる。また、第1の被着材としては、ポリカーボネート樹脂板の少なくとも一方の面上にハードコート層が積層された積層基材や、ポリカーボネート樹脂板の少なくとも一方の面上にポリメタクリル酸メチル(PMMA)基材が積層された積層基材を用いてもよい。
[0029]
 第2の被着材は、ガラス板及び樹脂板から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。第2の被着材は、光学部材であることが好ましく、例えば、タッチパネルやITOフィルム、偏光板であることが好ましい。なお、これらの光学部材を構成する部材として、ガラス板及び樹脂板が挙げられる。第2の被着材における粘着剤層との貼合面は、ガラス板及び樹脂板であることが好ましい。
[0030]
 第1の被着材及び第2の被着材の各々の厚みは、0.5mm以上であることが好ましく、0.7mm以上であることがより好ましく、1mm以上であることがさらに好ましい。また、第1の被着材及び第2の被着材の各々の厚みは、5mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがより好ましく、3mm以下であることがさらに好ましい。
[0031]
(粘着剤層)
 本発明の積層体は、粘着剤層を備える。粘着剤層は、単層の粘着剤層であってもよく、粘着剤層が複数層積層されてなる多層の粘着剤層であってもよい。
[0032]
 粘着剤層の厚みは、用途に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。また、粘着剤層の厚みは、1000μm以下であることが好ましく、750μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。粘着剤層の厚みを上記範囲内とすることにより、積層体の耐アウトガス性をより効果的に高めることができる。また、粘着剤層の厚みを上記範囲内とすることにより、被着体が段差を有する部材である場合に段差追従性を十分に確保することができる。さらに、粘着剤層の厚さを上記範囲内とすることにより、粘着剤層の製造が容易となる。
[0033]
 上述した測定方法(b)で測定される85℃における粘着剤層の剪断貯蔵弾性率(G’)は、0.058MPaよりも大きいものであればよく、0.10MPa以上であることがより好ましく、0.15MPa以上であることがさらに好ましい。粘着剤層の剪断貯蔵弾性率(G’)は、固体剪断モード、周波数1Hz、歪み1.0%の条件で、20℃~120℃までの温度領域における粘着剤層の剪断貯蔵弾性率G’を測定し、85℃における剪断貯蔵弾性率G’の値を算出したものである。
[0034]
 粘着剤層は、アクリル系粘着剤層であることが好ましい。アクリル系粘着剤層は、アクリル共重合体を含むものであることが好ましい。なお、本明細書において、「単位」は重合体を構成する繰り返し単位(単量体単位)である。「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸およびメタクリル酸の双方、または、いずれかを表す。
[0035]
(粘着剤組成物)
 粘着剤層は、第1の被着材及び第2の被着材に貼合される前の段階では、後硬化性を有する粘着剤層であることが好ましい。すなわち、第1の被着材及び第2の被着材に貼合される前の状態では、粘着剤層は粘着剤組成物を半硬化状態とした粘着剤層であることが好ましい。なお、粘着剤層がアクリル系粘着剤層である場合、粘着剤組成物は少なくともアクリル共重合体を含む。また、第1の被着材及び第2の被着材に貼合される前の粘着剤層が半硬化状態の粘着剤層である場合、粘着剤組成物は、架橋性アクリル共重合体、架橋剤、光重合開始剤、単官能単量体及び多官能単量体を含むことが好ましい。
[0036]
(アクリル共重合体)
 アクリル共重合体は、非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)と、架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)を含有するものであることが好ましい。すなわち、アクリル共重合体は、架橋性アクリル共重合体であることが好ましい。架橋性アクリル共重合体は、表示装置等の視認性を低下させない程度の透明性を有するものが好ましい。
[0037]
 非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位である。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n-ウンデシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
 上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの中でも、粘着性が高くなることから、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
[0038]
 架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)としては、ヒドロキシ基含有単量体単位、アミノ基含有単量体単位、グリシジル基含有単量体単位、カルボキシ基含有単量体単位等が挙げられる。これら単量体単位は1種でもよいし、2種以上でもよい。
 ヒドロキシ基含有単量体単位は、ヒドロキシ基含有単量体に由来する繰り返し単位である。ヒドロキシ基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸モノ(ジエチレングリコール)などの(メタ)アクリル酸[(モノ、ジ又はポリ)アルキレングリコール]、(メタ)アクリル酸モノカプロラクトンなどの(メタ)アクリル酸ラクトンが挙げられる。
 アミノ基含有単量体単位としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、アリルアミン等のアミノ基含有単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
 グリシジル基含有単量体単位としては、(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
 カルボキシ基含有単量体単位としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。
[0039]
 アクリル共重合体における架橋性アクリル単量体単位(a2)の含有量は0.01質量%以上40質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上35質量%以下であることがより好ましい。
[0040]
 なお、アクリル共重合体は、ヒドロキシ基含有単量体単位を含むものであることが好ましい。ヒドロキシ基含有単量体単位の含有量は、アクリル共重合体の全質量に対して、0.01質量%以上40質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上35質量%以下であることがより好ましい。なお、ヒドロキシ基含有単量体単位の含有量を上記範囲内とすることにより、均一な架橋構造が発現するため粘着性能が向上し、高温条件下における弾性率をより高めることができる。
[0041]
 アクリル共重合体は、窒素含有単量体に由来する単位をさらに含んでもよい。窒素含有単量体は、1分子内に窒素元素を含有する単量体である。窒素含有単量体としては、例えば、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、メチロールアクリルアミド、メトキシメチルアクリルアミド、エトキシメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-2-ピロリドン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-ビニルホルムアミド等を挙げることができる。中でも、窒素含有単量体は、アクリルアミド誘導体、アミノ基含有モノマー及び含窒素複素環含有モノマーから選択される少なくとも1種であることが好ましく、アクリルアミド誘導体であることがより好ましい。アクリルアミド誘導体は、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド及びアクリロイルモルホリンから選択される少なくとも1種であることがさらに好ましく、ジメチルアクリルアミドであることが特に好ましい。
[0042]
 窒素含有単量体に由来する単位の含有量は、アクリル共重合体の全質量に対して、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、窒素含有単量体に由来する単位の含有量は、アクリル共重合体の全質量に対して、20質量%以下であることが好ましい。
[0043]
 アクリル共重合体は、必要に応じて、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単位や、脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルを含有してもよい。また、アクリル共重合体は、上記単量体単位以外の他の単量体単位を有してもよい。他の単量体は、上記単量体単位と共重合可能なものであればよく、例えば(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、塩化ビニル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン等が挙げられる。
[0044]
 アクリル共重合体の重量平均分子量は、10万以上であることが好ましく、30万以上であることがより好ましく、50万以上であることがさらに好ましく、60万以上であることが特に好ましい。また、アクリル共重合体の重量平均分子量は、200万以下であることが好ましく、180万以下であることがより好ましく、160万以下であることがさらに好ましい。アクリル共重合体の重量平均分子量を上記範囲内とすることにより塗工性に優れ、粘着剤層は優れた耐アウトガス性を発揮しやすくなる。
[0045]
 アクリル共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)の測定条件は以下のとおりである。
 溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
 カラム:Shodex KF801、KF803L、KF800L、KF800D(昭和電工(株)製を4本接続して使用した)
 カラム温度:40℃
 試料濃度:0.5質量%
 検出器:RI-2031plus(JASCO製)
 ポンプ:RI-2080plus(JASCO製)
 流量(流速):0.8ml/min
 注入量:10μl
 校正曲線:標準ポリスチレンShodex standard ポリスチレン(昭和電工(株)製)Mw=1320~2,500,000迄の10サンプルによる校正曲線を使用した。
[0046]
 アクリル共重合体の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対し、75質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることがさらに好ましい。
[0047]
(架橋剤)
 粘着剤組成物は、架橋剤を含むものであることが好ましい。架橋剤は、アクリル共重合体が有する架橋性官能基との反応性を考慮して適宜選択できる。例えばイソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物などの公知の架橋剤の中から選択できる。これらの中でも、架橋性官能基を有するアクリル単量体単位(a2)を容易に架橋できることから、イソシアネート化合物やエポキシ化合物が好ましい。例えば、架橋性官能基としてヒドロキシ基を含む場合は、ヒドロキシ基の反応性から、イソシアネート化合物を用いることがより好ましい。
[0048]
 イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
 エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、テトラグリシジルキシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
[0049]
 粘着剤組成物中の架橋剤の含有量は、所望とする粘着物性等に応じて適宜選択されるが、アクリル共重合体100質量部に対し、0.01質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。架橋剤としては1種を単独で用いても2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。
[0050]
(光重合開始剤)
 粘着剤層が後硬化性を有するものである場合、粘着剤組成物は光重合開始剤を含むものであることが好ましい。光重合開始剤は、アクリル共重合体の重合に用いられる。光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、2,2-ジメトキシー2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-ヘニルプロパノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシル)-フェニル]-2-ヒドロキシ-メチルプロパノン、2-ヒドロキシ-1-(4-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル)フェニル)-2-メチル-1-プロパノン等のアルキルフェノン系光重合開始剤、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイドや2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、ベンゾイルギ酸メチルや4メチルベンゾフェノン等の分子内水素引き抜き型光重合開始剤のほか、オキシムエステル系重合光開始剤やカチオン系重合光開始剤などの油溶性重合開始剤を挙げることができる。
[0051]
 光重合開始剤の含有量は、アクリル共重合体100質量部に対し、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.4質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。光重合開始剤としては1種を単独で用いても2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。
[0052]
(単官能単量体)
 粘着剤組成物は、分子内に反応性二重結合を1つ有する単官能単量体を含有することが好ましい。
[0053]
 単官能単量体としては、例えば、ラウリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソステアリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ビニルピロリドンなどを挙げることができる。中でも、単官能単量体は、ラウリルアクリレートであることが好ましい。単官能単量体の市販品の例としては、大阪有機化学工業(株)社製のラウリルアクリレート(LA)等が挙げられる。
[0054]
 単官能単量体の含有量はアクリル共重合体100質量部に対して、1~20質量部であることが好ましく、2~20質量部であることがより好ましい。上記単官能単量体は1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよく、2種類以上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。
[0055]
(多官能単量体)
 粘着剤組成物は、分子内に反応性二重結合を2つ以上有する多官能単量体を含有することが好ましい。多官能単量体は反応性二重結合を2つ以上有するものであり、中でも、多官能単量体は反応性二重結合を2つ以上5つ未満有するものであることが好ましく、2つ以上4つ未満有するものであることがより好ましい。
[0056]
 多官能単量体としては、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3-ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4-ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,9-ノナンジオール、ジアクリル酸1,6-ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、メタクリル酸ビニル等が挙げられる。
[0057]
 中でも、多官能単量体は、1分子内にビスフェノール骨格を有する多官能単量体であることが好ましい。1分子内にビスフェノール骨格を有する多官能単量体を用いることにより、後硬化後の粘着剤層の硬度をより効果的に高めることができる。これにより、後硬化後の粘着剤層の耐アウトガス性をより効果的に高めることができる。
[0058]
 1分子内にビスフェノール骨格を有する多官能単量体としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAのジアクリレート、ビスフェノールFジグリシジルエーテルのジアクリレート等が挙げられる。
[0059]
 多官能単量体として、市販品を使用できる。市販品の例としては、東亞合成社製、二官能モノマーM211B(ビスフェノールA エチレンオキサイド変性ジアクリレート)、東亞合成社製、二官能モノマーM08(ビスフェノールF エチレンオキサイド変性ジアクリレート)、新中村化学社製、二官能モノマーA-BPP-3(プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート)等が挙げられる。
[0060]
 多官能単量体の含有量はアクリル共重合体100質量部に対して、1~30質量部であることが好ましく、5~30質量部であることがより好ましい。上記多官能単量体は1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよく、2種類以上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。多官能単量体の含有量を上記範囲内とすることにより、後硬化後の粘着剤層の硬度をより効果的に高めることができ、粘着剤層の耐アウトガス性をより効果的に高めることができる。
[0061]
(溶剤)
 粘着剤組成物は溶剤を含むものであってもよい。すなわち、粘着剤組成物は溶剤型粘着剤組成物であってもよい。
[0062]
 溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のポリオール及びその誘導体が挙げられる。
[0063]
 溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。粘着剤組成物中における溶剤の含有量は、特に限定されないが、アクリル共重合体100質量部に対し、25質量部以上500質量部以下とすることができ、30質量部以上400質量部以下とすることができる。
[0064]
(その他の成分)
 粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、粘着剤用の添加剤として公知の成分を挙げることができる。例えば可塑剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤等の中から必要に応じて選択できる。また、着色を目的に染料や顔料を添加してもよい。
 可塑剤としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステル類やスチレン等が挙げられる。
 酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これら酸化防止剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
 金属腐食防止剤としては、粘着剤の相溶性や効果の高さから、ベンゾリアゾール系樹脂を好ましい例として挙げることができる。
 粘着付与剤として、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。
 シランカップリング剤としては、例えば、メルカプトアルコキシシラン化合物(例えば、メルカプト基置換アルコキシオリゴマー等)などが挙げられる。
 紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物などが挙げられる。ただし、後硬化時の活性エネルギー線に紫外線を用いる場合は、重合反応を阻害しない範囲で添加することが好ましい。
[0065]
(積層体の製造方法)
 本発明は、上述した積層体の製造方法に関するものでもある。積層体の製造方法は、後硬化性を有する粘着剤層に、第1の被着材と第2の被着材を貼合する工程と、第1の被着材もしくは第2の被着材側から活性エネルギー線を照射する工程とを含むことが好ましい。
[0066]
 後硬化性を有する粘着剤層は、例えば、以下のようにして製造することができる。後硬化性を有する粘着剤層を製造する工程では、上述した粘着剤組成物を塗工して塗膜を形成し、該塗膜を加熱する工程を含むことが好ましい。例えば、剥離シート上に粘着剤組成物を塗工して塗膜を形成し、該塗膜を加熱して半硬化状態の硬化物とすることが好ましい。塗膜の加熱により、アクリル共重合体及び架橋剤の反応が進行して半硬化状態の粘着剤層が形成される。
[0067]
 粘着剤組成物の塗工は、公知の塗工装置を用いて実施できる。塗工装置としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が挙げられる。
[0068]
 塗工工程では、乾燥後の塗工量が10μm/m 以上となるように塗工することが好ましく、20μm/m 以上となるように塗工することがより好ましい。また、乾燥後の塗工量が500μm/m 以下となるように塗工することが好ましく、300μm/m 以下となるように塗工することがより好ましい。
[0069]
 塗膜の加熱乾燥工程は、加熱炉、赤外線ランプ等の公知の加熱装置を用いて実施できる。例えば、50℃以上150℃以下の空気循環式恒温オーブンで10秒以上10分以下乾燥させる。
[0070]
 加熱乾燥工程の後には、一定温度で一定期間粘着シートを静置するエージング処理工程を設けることが好ましい。エージング処理工程は例えば、23℃、相対湿度50%の条件下で7日間静置して行うことができる。
[0071]
 後硬化性を有する粘着剤層に、第1の被着材と第2の被着材を貼合する工程では、上述した方法で得られた後硬化性を有する粘着剤層の各面に第1の被着材と第2の被着材をそれぞれ貼合する。貼合後には、密着性を高めるためにオートクレーブ処理を施してもよい。
[0072]
 粘着剤層の両面に第1の被着材と第2の被着材を貼合した後には、第1の被着材もしくは第2の被着材側から活性エネルギー線を照射する工程が設けられることが好ましい。活性エネルギー線が照射されることで、半硬化状態の粘着剤層が完全硬化(後硬化)する。これにより、粘着剤層の凝集力が高まり、各被着材への粘着性が向上する。また、粘着剤層を後硬化することにより、積層体全体の耐アウトガス性をより効果的に高めることができる。なお、積層体において、第1の被着材がポリカーボネート樹脂板等の樹脂板である場合には、樹脂板は透明基材であることが好ましく、活性エネルギー線を照射する際には、第1の被着材側から活性エネルギー線を照射することが好ましい。
[0073]
 活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、可視光線、X線、イオン線等が挙げられ、粘着剤層に含まれる重合開始剤に応じて適宜選択できる。中でも、汎用性の点から、紫外線または電子線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
 紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、無電極紫外線ランプ等を使用できる。
 電子線としては、例えば、コックロフトワルト型、バンデクラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種類の電子線加速器から放出される電子線を使用できる。
 紫外線の照射出力は、積算光量が100~10000mJ/cm となるようにすることが好ましく、500~5000mJ/cm となるようにすることがより好ましい。このように後硬化性を有する粘着剤層を用いると半硬化で濡れ性の良い状態で貼合されることにより、第1及び第2の被着材への密着性を高めFtおよびFbを高めることが可能となり、さらに後硬化させることでFiを高めることが可能となる。
実施例
[0074]
 以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[0075]
(実施例1)
[積層体(A-1G)の作製]
<架橋性アクリル共重合体(A-1)の作製>
 2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)を45質量%、エチルアクリレート(EA)を40質量%、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)を2質量%、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMAA)13質量%となるように配合し、ラジカル重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を溶液へ溶解した。溶液を60℃に加熱してランダム共重合させ、架橋性アクリル共重合体(A-1)を得た。架橋性アクリル共重合体(A-1)の重量平均分子量は54万であった。
 なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた値である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)の測定条件は以下のとおりである。
溶媒:テトラヒドロフラン
カラム:Shodex KF801、KF803L、KF800L、KF800D(昭和電工(株)製を4本接続して使用した)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.5質量%
検出器:RI-2031plus(JASCO製)
ポンプ:RI-2080plus(JASCO製)
流量(流速):0.8ml/分
注入量:10μl
校正曲線:標準ポリスチレンShodex standard ポリスチレン(昭和電工(株)製)Mw=1320~2,500,000迄の10サンプルによる校正曲線を使用した。
[0076]
<粘着剤組成物(A-1)の作製>
 架橋性アクリル共重合体(A-1)100質量部に対して、架橋剤としてキシリレンジイソシアネート化合物(三井化学(株)製、タケネートD-110N)を0.2質量部、単官能単量体としてラウリルアクリレート(LA)を10質量部、多官能単量体としてビスフェノールA エチレンオキサイド変性ジアクリレート(東亞合成(株)社製、アロニックス M211B)を12質量部、重合開始剤としてビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)製、IRGACURE819)を1.0質量部添加し、固形分濃度が35質量%となるように溶剤として酢酸エチルを添加して粘着剤組成物(A-1)を得た。
[0077]
<粘着剤層(A-1)の作製>
 上記のように作製した粘着剤組成物(A-1)を、シリコーン系剥離剤で処理された剥離剤層を備えた厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(第1の剥離シート)(重セパレータフィルム、帝人デュポンフィルム(株)製、離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム)の表面に、乾燥後の塗工量が150μm/m になるようにアプリケーターで均一に塗工した。その後、100℃の空気循環式恒温オーブンで3分間乾燥し、第1の剥離シートの表面に粘着剤層(A-1)を形成した。次いで、この粘着剤層の表面に第1の剥離シートより剥離性の高い離型処理が施された厚さ75μmの第2の剥離シート(軽セパレータフィルム、帝人デュポンフィルム(株)製、離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム)に貼合して、粘着剤層(A-1)が剥離力差のある1対の剥離シートに挟まれた第1の剥離シート/粘着剤層(A-1)/第2の剥離シートの構成の剥離シート付き粘着シートを得た。この剥離シート付き粘着シートを23℃、相対湿度50%の条件で7日間静置して、エージング処理を行った。
[0078]
<積層体(A-1G)の作製>
 上記で得られた剥離シート付き粘着シートを用いて以下の方法で積層体(A-1G)を作製した。まず、剥離シート付き粘着シートの軽セパレータフィルムである第2の剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層(A-1)を第1の被着材である厚み1mmのPC板(帝人(株)製のパンライトシートPC-1151)に貼合した。次に重セパレータフィルムである第1の剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層(A-1)を第2の被着材である100mm×200mmの大きさのガラス板の全面に貼着した。PC板/粘着剤層/ガラス板の構成のサンプルをオートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30min)し、次いで、ガラス板側より紫外線を積算光量が3000mJ/cm となるように照射し、100mm×200mmの大きさの積層体サンプルを得た。
[0079]
(実施例2)
<積層体(A-1P)の作製>
 第2の被着材を厚み100μmの東洋紡社製のコスモシャインA4300(PET)に変更しPET側から紫外線を照射した以外は、実施例1と同様にして積層体(A-1P)を作製した。
[0080]
(実施例3)
<架橋性アクリル共重合体(A-2)の作製>
 n-ブチルアクリレート(BA)を75質量%、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)を25質量%となるように配合し、ラジカル重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を溶液へ溶解した。溶液を60℃に加熱してランダム共重合させ、架橋性アクリル共重合体(A-2)を得た。架橋性アクリル共重合体(A-2)の重量平均分子量は51万であった。
[0081]
<粘着剤組成物(A-2)の作製>
 架橋性アクリル共重合体(A-2)100質量部に対して、架橋剤としてトルエンジイソシアネート化合物(東ソー(株)製、コロネートL55)を0.1質量部、単官能単量体としてラウリルアクリレート(LA)を30質量部、多官能単量体としてビスフェノールA エチレンオキサイド変性ジアクリレート(東亞合成(株)社製、アロニックス M211B)を6質量部、重合開始剤としてビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)製、IRGACURE819)を1.12質量部添加し、固形分濃度が35質量%となるように溶剤として酢酸エチルを添加して粘着剤組成物(A-2)を得た。
[0082]
<粘着剤層(A-2)の作製>
 粘着剤組成物(A-1)を粘着剤組成物(A-2)に変更した以外は実施例1と同様にして150μmの厚みを有する粘着剤層(A-2)有する剥離シート付き粘着シートを得た。この剥離シート付き粘着シートを23℃、相対湿度50%の条件で7日間静置し、エージング処理を行った。
[0083]
<積層体(A-2G)の作製>
 粘着剤層(A-1)を粘着剤層(A-2)に変更した以外は、実施例1と同様にして積層体(A-2G)を作製した。
[0084]
(実施例4)
<積層体(A-2P)の作製>
 粘着剤層(A-1)を粘着剤層(A-2)に変更した以外は、実施例2と同様にして積層体(A-2P)を作製した。
[0085]
(比較例1)
<積層体(A-3G)の作製>
 上記で作製した粘着剤層(A-2)を用いて下記の方法で積層体(A-3G)を作製した。まず、剥離シート付き粘着シートの軽セパレータフィルムである第2の剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層(A-2)を第2の被着材である100mm×200mmの大きさのガラス板に貼合した。ガラス板/粘着剤層(A-2)/第1の剥離シートが積層された状態で、ガラス側より紫外線を積算光量が3000mJ/cm となるように照射し、その後に第1の剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層を第1の被着材である厚み1mmのPC板(帝人(株)製のパンライトシートPC-1151)の全面に貼着した。PC板/粘着剤層(A-3)/ガラス板の構成の積層体をオートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30min)し、積層体(A-3G)とした。
[0086]
(比較例2)
<粘着剤組成物(A-4)の作製>
 架橋性アクリル共重合体(A-1)100質量部に対して、トルエンジイソシアネート化合物(東ソー(株)製、コロネートL55)を0.05質量部配合し、ラウリルアクリレート、ビスフェノールA エチレンオキサイド変性ジアクリレート及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドを配合しなかった以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物(A-4)を得た。
[0087]
<粘着剤層(A-4)の作製>
 粘着剤組成物(A-1)を粘着剤組成物(A-4)に変更した以外は実施例1と同様にして150μmの厚みを有する粘着剤層(A-4)を有する剥離シート付き粘着シートを得た。この剥離シート付き粘着シートを23℃、相対湿度50%の条件で7日間静置し、エージング処理を行った。
[0088]
<積層体(A-4G)の作製>
 粘着剤層(A-1)を粘着剤層(A-4)に変更し、さらに紫外線照射を行わなかった以外は、実施例1と同様にして積層体(A-4G)を作製した。
[0089]
(比較例3)
<積層体(A-5P)の作製>
 上記で作製した粘着剤層(A-1)を用いて下記の方法で積層体(A-5P)を作製した。まず、剥離シート付き粘着シートの軽セパレータフィルムである第2の剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層(A-1)を第1の被着材である厚み1mmのPC板(帝人(株)製のパンライトシートPC-1151)に貼合した。ガラス板PC板/粘着剤層(A-1)/第1の剥離シートが積層された状態で、重セパレータフィルムである第1の剥離シート側より紫外線を積算光量が3000mJ/cm となるように照射し、その後に第1の剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層を第2の被着材である100mm×200mmの大きさのPETフィルムの全面に貼着した。PC板/粘着剤層(A-5)/PETの構成の積層体をオートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30min)し、積層体(A-5P)とした。
[0090]
(測定及び評価)
<第1の被着材と粘着剤層の界面密着力(Ft)及び粘着剤層と第2の被着材の界面密着力(Fb)の測定>
(手順1)
 実施例及び比較例で作製した積層体を10mm×10mmのサイズに切り出した後、積層体の一方の面(第1の被着材側の面)に瞬間接着剤(コニシ社製 アロンアルフア 速攻多用途EXTRA)を薄く塗布して、厚み4.0mm×幅30mm×長さ50mmのガラスAの中央部に積層体を固定した。次いで積層体のもう一方の面側(第2の被着材側の面)に同様に瞬間接着剤を塗布して、厚み4.0mm×幅30mm×長さ50mmのガラスBの中央部に積層体を固定した。その際、図2に示されるように、2つのガラスA、Bが互いに十字の位置関係になるよう貼合した。このようにして得られた測定用サンプルを23℃、相対湿度50%の環境下に30分静置して瞬間接着剤を完全に硬化させた後、85℃、相対湿度20%未満の環境下に3時間置いた。その後、引張試験機を用いて、85℃、相対湿度20%未満の環境下で、速度5mm/minでそれぞれのガラスを厚み方向における反対方向にそれぞれのガラスが分離するまで引っ張り、その際の最大応力σ1の測定と剥離界面の観察を行い、以下の基準でFt及びFbを決定した。
(1)第1の被着材と粘着剤層の界面で剥離した場合、Ft=σ1として手順2の試験を実施してFbを測定した。
(2)第2の被着材と粘着剤層の界面で剥離した場合、Fb=σ1とし手順3の試験を実施してFtを測定した。
(3)瞬間接着剤とガラス(又は被着材)の界面で剥離した場合、Ft、Fb>σ1とした。
[0091]
(手順2)
 手順1の測定で第1の被着材と粘着剤層の界面で剥離が生じて剥き出しになった粘着剤層面に瞬間接着剤を薄く塗布して、厚み4.0mm×幅30mm×長さ50mmの新しいガラスCの中央に固定した。その際、上記と同様に2つのガラスB、Cが互いに十字の位置関係になるよう貼合した。このようにして得られた測定用サンプルを23℃、相対湿度50%の環境下に30分間静置して瞬間接着剤を完全に硬化させた後、85℃、相対湿度20%未満の環境下に3時間置いた。その後、引張試験機を用いて、85℃、相対湿度20%未満の環境下で、速度5mm/minでそれぞれのガラスを厚み方向における反対方向にそれぞれのガラスが分離するまで引っ張り、その際の最大応力σ2の測定と剥離界面の観察を行い、以下の基準でFbを決定した。
(4)第2の被着材と粘着剤層の界面で剥離した場合、Fb=σ2とした。
(5)瞬間接着剤とガラス、又は、瞬間接着剤と粘着剤層の界面で剥離した場合、Fb>σ2とした。
[0092]
(手順3)
 手順1の測定で第2の被着材と粘着剤層の界面で剥離が生じて剥き出しになった粘着剤層面に瞬間接着剤を薄く塗布して、厚み4.0mm×幅30mm×長さ50mmの新しいガラスDの中央に固定した。その際、上記と同様に2つのガラスA、Dが互いに十字の位置関係になるよう貼合した。このようにして得られた測定用サンプルを23℃、相対湿度50%の環境下に30分間静置して瞬間接着剤を完全に硬化させた後、85℃、相対湿度20%未満の環境下に3時間置いた。その後、引張試験機を用いて、85℃、相対湿度20%未満の環境下で、速度5mm/minでそれぞれのガラスを厚み方向における反対方向にそれぞれのガラスが分離するまで引っ張り、その際の最大応力σ3の測定と剥離界面の観察を行い、以下の基準でFtを決定した。
(6)第1の被着材と粘着剤層の界面で剥離した場合、Ft=σ3とした。
(7)瞬間接着剤とガラス、又は、瞬間接着剤と粘着剤層の界面で剥離した場合、Ft>σ3とした。
[0093]
<粘着剤層の凝集力(Fi)の測定>
 実施例及び比較例で作製した積層体を、10mm×8mmの大きさに切り出し動的粘弾性装置Rheogel―E4000(株式会社ユービーエム製)の固体剪断試験用治具に瞬間接着剤(コニシ社製 アロンアルフア 速攻多用途EXTRA)を用いて固定して、固体剪断モード、周波数1Hz、歪み1.0%の条件で、20℃~120℃までの温度領域における粘着剤層の剪断貯蔵弾性率G’を測定し、85℃における剪断貯蔵弾性率G’の値をFiとした。
[0094]
<気泡・浮き剥がれ>
 実施例及び比較例で作製した100mm×200mmの大きさの積層体サンプルを85℃、相対湿度20%未満の環境下に置き、100時間後に観察し、気泡や浮き剥がれの有無を評価した。
○:気泡や浮き剥がれがない
×:下記のいずれかのModeで気泡又は浮き剥がれが発生している
Mode1:第1の被着材と粘着剤層の界面で浮きが発生している
Mode2:粘着剤層中に0.1mmΦより大きい気泡が発生している
Mode3:第2の被着材と粘着剤層の界面で浮きが発生している
[0095]
[表1]


[0096]
 実施例で得られた積層体においては、粘着剤層における気泡の発生が抑制され、かつ各被着材から粘着剤層が浮いたり、剥がれたりすることが抑制されていた。

符号の説明

[0097]
1 積層体
2 第1の被着材
4 粘着剤層
6 第2の被着材
10 ガラスA
20 ガラスB
R 気泡(アウトガス)

請求の範囲

[請求項1]
 第1の被着材、粘着剤層及び第2の被着材をこの順で積層した積層体であって、
 85℃における飽和水蒸気圧をFvとし、
 下記測定方法(a)で測定される85℃における前記第1の被着材と前記粘着剤層の界面密着力をFtとし、
 下記測定方法(b)で測定される85℃における前記粘着剤層の剪断貯蔵弾性率(G’)をFiとし、
 下記測定方法(c)で測定される85℃における前記第2の被着材と前記粘着剤層の界面密着力をFbとした場合、
 Ft>Fv、Fi>Fv、及び、Fb>Fvの条件を満たす積層体;
 測定方法(a):
 10mm×10mmのサイズの積層体の第1の被着材表面に接着剤を塗布し、厚み4.0mm×幅30mm×長さ50mmのガラス板の中央部に貼合する;粘着剤層側に厚み4.0mm×幅30mm×長さ50mmのガラス板を、2つのガラス板が互いに十字の位置関係になるよう接着剤を介して貼合し、測定用サンプルとする;測定用サンプルを、85℃、相対湿度20%未満の環境下に3時間置いた後に、85℃、相対湿度20%未満の環境下で、引張試験機を用いて、速度5mm/minでそれぞれのガラス板を厚み方向における反対方向に引っ張り、第1の被着材と粘着剤層の間で剥離した際の応力を界面密着力(Ft)として測定する;第1の被着材と粘着剤層の間で剥離しない場合には、界面密着力(Ft)は引張最大応力よりも大きいものとする;
 測定方法(b):
 積層体を固体剪断試験用治具に接着剤を用いて固定し、固体剪断モード、周波数1Hz、歪み1.0%の条件で、20℃~120℃までの温度領域における粘着剤層の剪断貯蔵弾性率G’を測定し、85℃における剪断貯蔵弾性率G’の値をFiとする;
 測定方法(c):
 10mm×10mmのサイズの積層体の第2の被着材表面に接着剤を塗布し、厚み4.0mm×幅30mm×長さ50mmのガラス板の中央部に貼合する;粘着剤層側に厚み4.0mm×幅30mm×長さ50mmのガラス板を、2つのガラス板が互いに十字の位置関係になるよう接着剤を介して貼合し、測定用サンプルとする;測定用サンプルを、85℃、相対湿度20%未満の環境下に3時間置いた後に、85℃、相対湿度20%未満の環境下で、引張試験機を用いて、速度5mm/minでそれぞれのガラス板を厚み方向における反対方向に引っ張り、第2の被着材と粘着剤層の間で剥離した際の応力を界面密着力(Fb)として測定する;第2の被着材と粘着剤層の間で剥離しない場合には、界面密着力(Fb)は引張最大応力よりも大きいものとする。
[請求項2]
 前記第1の被着材は、樹脂板である請求項1に記載の積層体。
[請求項3]
 前記第1の被着材は、ポリカーボネート系樹脂を含む請求項1又は2に記載の積層体。
[請求項4]
 前記第2の被着材は、ガラス板及び樹脂板から選択される少なくとも1種を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
[請求項5]
 請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体の製造方法であって、
 後硬化性を有する粘着剤層に、第1の被着材と第2の被着材を貼合する工程と、
 前記第1の被着材もしくは前記第2の被着材側から活性エネルギー線を照射する工程とを含む積層体の製造方法。
[請求項6]
 前記貼合する工程で用いられる前記粘着剤層は、粘着剤組成物を半硬化状態とした粘着剤層であり、
 前記粘着剤組成物は、架橋性アクリル共重合体、架橋剤、光重合開始剤、単官能単量体及び多官能単量体を含む、請求項5に記載の積層体の製造方法。
[請求項7]
 前記単官能単量体は、ラウリルアクリレートである請求項6に記載の積層体の製造方法。
[請求項8]
 前記多官能単量体は、1分子内にビスフェノール骨格を有する単量体である請求項6又は7に記載の積層体の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]