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1. WO2020115983 - SYSTÈME DE COMPRESSION D'HYDROGÈNE

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明 細 書

発明の名称 水素昇圧システム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008  

課題を解決するための手段

0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177  

産業上の利用可能性

0178  

符号の説明

0179  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2A   2B   3A   3B   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : 水素昇圧システム

技術分野

[0001]
 本開示は水素昇圧システム関する。

背景技術

[0002]
 近年、地球の温暖化などの環境問題、石油資源の枯渇などのエネルギー問題から、化石燃料に代わるクリーンな代替エネルギー源として、水素が注目されている。水素は燃焼しても基本的に水しか放出せず、地球温暖化の原因となる二酸化炭素が排出されずかつ窒素酸化物などもほとんど排出されないので、クリーンエネルギーとして期待されている。また、水素を燃料として高効率に利用する装置として、例えば、燃料電池があり、自動車用電源向け、家庭用自家発電向けに、燃料電池の開発および普及が進んでいる。
[0003]
 来るべき水素社会では、水素を製造することに加えて、水素を高密度で貯蔵し、小容量かつ低コストで輸送または利用し得る技術開発が求められている。特に、分散型のエネルギー源となる燃料電池の普及の促進には、燃料供給インフラを整備する必要がある。
[0004]
 そこで、燃料供給インフラで水素を安定的に供給するために、高純度の水素を精製および昇圧する様々な提案が行われている。
[0005]
 例えば、特許文献1には、水の電気分解を行いながら、高圧状態の水素を生成する水電解装置が開示されている。ここで、水電解により生成された水素は水蒸気を含む。よって、このような水素をタンクなどの水素貯蔵器に貯蔵する際に、仮に水素に含まれる水蒸気が多い場合、水素貯蔵器内に水蒸気の存在により水素貯蔵器内の水素量が減少するので効率的でない。また、水素に含まれる水蒸気が水素貯蔵器内で凝固する問題もある。このため、水素貯蔵器に貯蔵する際の水素の水蒸気量は、例えば、約5ppm程度以下まで低減することが望まれている。そこで、この特許文献1では、水電解装置と水素貯蔵器との間の水素が流れる経路上に、水素と水とを分離するための気液分離器、および、水素から水蒸気を吸着除去するための吸着塔が設けられた水素生成システムが提案されている。
[0006]
 また、例えば、特許文献2では、高圧状態の水素中の水蒸気を吸着除去する吸着塔を圧力スイング吸着式精製器(PSA)として構成することで、水素中の水蒸気を安定的に除去するシステムが提案されている。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2009-179842号公報
特許文献2 : 特表2017-534435号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 本開示は、一例として、電気化学式水素ポンプのカソードから排出されたオフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方の除去、および、電気化学式水素ポンプのアノードに供給する水素含有ガスの加湿を、従来よりも適切に行い得る水素昇圧システムを提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0009]
 上記課題を解決するため、本開示の一態様(aspect)の水素昇圧システムは、アノードに供給する水素含有ガス中の水素を、電解質膜を介してカソードに移動させ、かつ昇圧する電気化学式水素ポンプと、電気化学式水素ポンプのカソードから排出されるオフガスとアノードに供給する前記水素含有ガスとを水透過膜を間に介して流通させ、前記オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方を除去する第1の除去器と、を備える。

発明の効果

[0010]
 本開示の一態様の水素昇圧システムは、電気化学式水素ポンプのカソードから排出されたオフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方の除去、および、電気化学式水素ポンプのアノードに供給する水素含有ガスの加湿を、従来よりも適切に行い得る、という効果を奏する。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 図1は、第1実施形態の水素昇圧システムの一例を示す図である。
[図2A] 図2Aは、第1実施形態の水素昇圧システムの電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。
[図2B] 図2Bは、図2Aの電気化学式水素ポンプのB部の拡大図である。
[図3A] 図3Aは、第1実施形態の水素昇圧システムの電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。
[図3B] 図3Bは、図3Aの電気化学式水素ポンプのB部の拡大図である。
[図4] 図4は、第1実施形態の実施例の水素昇圧システムの第1の除去器の一例を示す図である。
[図5] 図5は、第2実施形態の水素昇圧システムの一例を示す図である。
[図6] 図6は、第2実施形態の変形例の水素昇圧システムの一例を示す図である。
[図7] 図7は、第3実施形態の水素昇圧システムの一例を示す図である。

発明を実施するための形態

[0012]
 水電解装置から排出される水素ガス中の液水を気液分離器で水素ガスから分離する場合、特許文献1の如く、気液分離器で分離された液水を、水電解装置に供給する液水の供給系に戻すことが知られている。しかしながら、特許文献1では、電気化学式水素ポンプのカソードから排出される高圧状態の水素(以下、オフガス)に含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方の除去、および、電気化学式水素ポンプのアノードに供給する水素含有ガスの加湿を行うことは検討されていない。
[0013]
 なお、固体高分子電解質膜(以下、電解質膜)による電気化学式水素ポンプでは、アノードに供給する水素含有ガス中の水素(H )をプロトン化してカソードに移動させ、プロトン(H )をカソードで水素(H )に戻すことで水素が高圧化される。このとき、一般に、電解質膜は、高温および高加湿の条件(例えば、約60℃程度)で、プロトン伝導率が上がり、電気化学式水素ポンプの水素昇圧動作の効率が向上する。よって、電気化学式水素ポンプのアノードに供給する水素含有ガスを加湿する構成を取ることが多い。
[0014]
 そこで、本開示者らは、鋭意検討を行った結果、電気化学式水素ポンプのカソードから排出されるオフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方の除去を行うことで、アノードに供給する水素含有ガスを加湿し得ることを見出し、以下の本開示の一態様に想到した。
[0015]
 すなわち、本開示の第1態様の水素昇圧システムは、アノードに供給する水素含有ガス中の水素を、電解質膜を介してカソードに移動させ、かつ昇圧する電気化学式水素ポンプと、電気化学式水素ポンプのカソードから排出されるオフガスとアノードに供給する水素含有ガスとを水透過膜を間に介して流通させ、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方を除去する第1の除去器と、を備える。
[0016]
 かかる構成によると、本態様の水素昇圧システムは、電気化学式水素ポンプのカソードから排出されたオフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方の除去、および、電気化学式水素ポンプのアノードに供給する水素含有ガスの加湿を、従来よりも適切に行い得る。
[0017]
 例えば、第1の除去器内の差圧によって、高圧状態のオフガスに含まれる液水を、水透過膜を通して低圧状態の水素含有ガスに移動させることができる。また、水蒸気分圧の高いオフガスから、水透過膜を通して水蒸気分圧の低い水素含有ガスに移動させることができる。つまり、オフガスが水素含有ガスよりも圧力が高いおよび水蒸気分圧が高い、の少なくとも一方であることで、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方の量を低減させることができる。また、水透過膜を透過した水蒸気および液水の少なくとも一方により水素含有ガスを加湿することができる。
[0018]
 本開示の第2態様の水素昇圧システムは、第1態様の水素昇圧システムにおいて、第1の除去器の上流に設けられ、オフガスを冷却する冷却器を備えてもよい。
[0019]
 かかる構成によると、本態様の水素昇圧システムは、冷却器によりオフガスを冷却することで、オフガスの水蒸気除去および水素含有ガスの加湿を促進させることができる。例えば、オフガスに含まれる飽和水蒸気量は、オフガスの温度が低い程、少なくなる。よって、オフガス中の水蒸気量が飽和水蒸気量である場合、冷却器によりオフガスの温度が低下すると、オフガス中の水蒸気量を速やかに低減することができるので、オフガス中の水蒸気の除去を促進させることができる。このとき、第1の除去器内に存在する液水の量が増加することで、水透過膜に液水が接触する確率が高くなる。液水が水透過膜と接触すると、第1の除去器内の差圧によってオフガスから水素含有ガスへ液水が速やかに移動するので、水素含有ガスの加湿を促進させることができる。
[0020]
 本開示の第3態様の水素昇圧システムは、第1態様の水素昇圧システムにおいて、第1の除去器内のオフガスを冷却する冷却器を備えてもよい。
[0021]
 かかる構成によると、本態様の水素昇圧システムは、第1の除去器内のオフガスを冷却することで、第1の除去器をオフガスの凝縮器として機能させることができるので、第1の除去器に流入する前のオフガスが冷却される場合に比べて、オフガス経路が凝縮水で閉塞する可能性が低減し、オフガス経路の圧力変動が低減される。これは、次の理由による。第1の除去器よりも上流で冷却器によりオフガスを冷却すると、冷却器で生成した凝縮水により、冷却器から第1の除去器までの経路において、閉塞が発生する可能性がある。上記第3態様では、第1の除去器内で凝縮水が生成し、生成した凝縮水は、そのまま水透過膜を介してアノードに供給される水素含有ガスに移動するので、オフガス経路の閉塞の可能性が低減される。
[0022]
 なお、本態様の水素昇圧システムの上記以外の作用効果は、第2態様の水素昇圧システムの作用効果と同様であるので説明を省略する。
[0023]
 本開示の第4態様の水素昇圧システムは、第1態様から第3態様のいずれかの水素昇圧システムにおいて、第1の除去器は、オフガスが流れる流路に、水透過膜と接するように第1の多孔性構造体が設けられていてもよい。
[0024]
 仮に、オフガスが流れる流路に第1の多孔性構造体を設けない場合、本流路内のオフガスの流れは層流になりやすい。この場合、オフガス中の水蒸気および液水の少なくとも一方は、オフガスに同伴して流れるので、例えば、水透過膜から離れた位置に存在するオフガス中の水蒸気および液水の少なくとも一方は水透過膜と接触する確率が低い。つまり、この場合、水透過膜を透過する水蒸気および液水の少なくとも一方は、水透過膜の表面近傍に沿って流れるオフガス中の水蒸気および液水の少なくとも一方に限定される恐れがある。
[0025]
 これに対して、本態様の水素昇圧システムは、オフガスが流れる流路に第1の多孔性構造体を設けることにより、本流路内のオフガスの流れを強制的にランダムな方向に変えることができる。この場合、流路内の様々な位置に存在するオフガス中の水蒸気および液水の少なくとも一方が水透過膜に接触できる可能性がある。
[0026]
 これにより、本態様の水素昇圧システムは、オフガスが流れる流路に第1の多孔性構造体を設けない場合に比べて、オフガス中の水蒸気および液水の少なくとも一方と水透過膜とが接触する確率が高くなる。そして、オフガス中の水蒸気および液水の少なくとも一方が水透過膜と接触すると、オフガスから水素含有ガスへ水蒸気および液水の少なくとも一方が速やかに移動するので、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方の除去および水素含有ガスの加湿を促進させることができる。
[0027]
 また、仮に、上記の第1の多孔性構造体が、水透過膜と接するように設けられていない場合、第1の多孔性構造体と水透過膜との間の空隙をオフガスが通過しやすくなる。
[0028]
 すると、例えば、第1の除去器内の差圧の大小などによって上記の空隙の大きさが変化する場合、流路内のオフガスの流通状態が変化し、その結果、水透過膜とオフガスとの接触性が変化する。これにより、水透過膜の水透過性に影響を与えるので、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方の除去および水素含有ガスの加湿を安定的に行うことが困難になる。
[0029]
 しかしながら、本態様の水素昇圧システムは、第1の多孔性構造体を水透過膜と接するように両者間の接触界面を安定に保つことができるので、このような問題が軽減される。
[0030]
 本開示の第5態様の水素昇圧システムは、第4態様の水素昇圧システムにおいて、第1の多孔性構造体は、炭素繊維を含む弾性体で構成されていてもよい。
[0031]
 かかる構成によると、本態様の水素昇圧システムは、第1の多孔性構造体を、炭素繊維を含む弾性体により構成することで、第1の多孔性構造体と水透過膜との間の接触界面を安定的に保つことができる。
[0032]
 例えば、第1の除去器内の差圧の大小によって水透過膜が変形した場合、および、オフガスのガス圧によって第1の除去器の壁部が変形した場合、第1の多孔性構造体と水透過膜との間の接触界面を安定的に保つことが困難になる。
[0033]
 しかしながら、本態様の水素昇圧システムは、以上の場合でも、水透過膜の変形および第1の除去器の壁部の変形に対して、第1の多孔性構造体の弾性変形を追従させ得る。例えば、第1の多孔性構造体を第1の除去器内に収容する際に、上記の部材の変形量相当分、第1の多孔性構造体を予め圧縮させるとよい。
[0034]
 すると、第1の多孔性構造体と水透過膜との間の接触界面が、水透過膜の全域で維持されやすい。これにより、本態様の水素昇圧システムは、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方の除去および水素含有ガスの加湿を安定的に行うことができる。
[0035]
 本開示の第6態様の水素昇圧システムは、第1態様から第5態様のいずれかの水素昇圧システムにおいて、水透過膜は高分子膜で構成されていてもよい。
[0036]
 かかる構成によると、本態様の水素昇圧システムは、水透過膜を介して、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方が透過される。
[0037]
 本開示の第7態様の水素昇圧システムは、第1態様から第6態様のいずれかの水素昇圧システムにおいて、第1の除去器は、水素含有ガスが流れる流路に、第2の多孔性構造体が水透過膜と接するように設けられていてもよい。
[0038]
 仮に、水素含有ガスが流れる流路に第2の多孔性構造体を設けない場合、第1の除去器内の差圧によって、水素含有ガスが流れる流路が閉塞される方向に、水透過膜が変形する。例えば、第1の除去器内の差圧によって、水透過膜が上記の流路を構成する第1の除去器の壁部に接触する恐れがある。
[0039]
 すると、水素含有ガスの流れが阻害されるが、本態様の水素昇圧システムは、水素含有ガスが流れる流路に第2の多孔性構造体を設けているので、このような問題が軽減される。
[0040]
 また、仮に、上記の第2の多孔性構造体が、水透過膜と接するように設けられていない場合、第2の多孔性構造体と水透過膜との間の空隙を水素含有ガスが通過しやすくなる。
[0041]
 すると、例えば、第1の除去器内の差圧の大小などによって上記の空隙の大きさが変化する場合、流路内の水素含有ガスの流通状態が変化し、その結果、水透過膜と水素含有ガスとの接触性が変化する。これにより、水透過膜の水透過性に影響を与えるので、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方の除去および水素含有ガスの加湿を安定的に行うことが困難になる。
[0042]
 しかしながら、本態様の水素昇圧システムは、第2の多孔性構造体を水透過膜と接するように両者間の接触界面を安定に保つことができるので、このような問題が軽減される。
[0043]
 本開示の第8態様の水素昇圧システムは、第7態様の水素昇圧システムにおいて、第2の多孔性構造体が、金属製であってもよい。また、本開示の第9態様の水素昇圧システムは、第8態様の水素昇圧システムにおいて、第2の多孔性構造体が、金属焼結体であってもよい。
[0044]
 かかる構成によると、本態様の水素昇圧システムは、第2の多孔性構造体を金属材料で構成することで、第2の多孔性構造体の剛性を適切に確保することができる。すると、第1の除去器内の差圧によって水透過膜が変形しにくくなるので、第1の多孔性構造体と水透過膜との間の接触界面、および、第2の多孔性構造体と水透過膜との間の接触界面を安定的に保つことができる。これにより、本態様の水素昇圧システムは、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方の除去および水素含有ガスの加湿を安定化させることができる。
[0045]
 ところで、特許文献1および特許文献2に開示された吸着塔の如く、例えば、水素中の水蒸気をゼオライトなどの多孔質材料で構成されている吸着材により吸着させことができる。しかしながら、吸着材の吸着性能には、所定の限界がある。よって、吸着塔の運転時間は、吸着塔に送られる水蒸気の量で決まるので、水素中の水蒸気量が多い条件で吸着塔を使用する場合、例えば、吸着塔の大型化などの対応が必要である。また、吸着塔内には、高圧状態の水素が流通するので、吸着塔の容器を高圧に耐え得るように構成する必要性から、吸着塔の更なる大型化を招く恐れがある。
[0046]
 なお、特許文献2の如く、圧力スイング吸着式精製器などを用いて吸着材の充填量を低減することは可能である。しかし、この場合、水素が流れる流路を構成する部材の複雑化、吸着材の再生時に、吸着材で水蒸気とともに吸着した水素の取り扱いが必要となるなど、改善の余地がある。
[0047]
 そこで、本開示の第10態様の水素昇圧システムは、第1態様から第9態様のいずれかの水素昇圧システムにおいて、第1の除去器の下流に設けられ、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方を除去する吸着材を含む第2の除去器を備えてもよい。
[0048]
 かかる構成によると、本態様の水素昇圧システムは、第1の除去器により除去できなかった、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方を第2の除去器の吸着材で吸着除去すればよい。これにより、本態様の水素昇圧システムは、第1の除去器でオフガス中の水蒸気および液水の少なくとも一方を除去しない場合に比べて、吸着材で吸着する単位時間あたりの水蒸気および液水の少なくとも一方の量を減らすことができる。すると、第2の除去器内の吸着材の充填量を少なくしても、第2の除去器の吸着材の吸着性能を所望の期間、適切に維持することができるので、第2の除去器の小型化、低コスト化を図ることができる。
[0049]
 以下、添付図面を参照しつつ、本開示の各態様の具体例について説明する。
[0050]
 以下で説明する具体例は、いずれも上記の各態様の一例を示すものである。よって、以下で示される形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、請求項に記載されていない限り、上記の各態様を限定するものではない。また、以下の構成要素のうち、本態様の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において、同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状および寸法比などについては正確な表示ではない場合がある。
[0051]
 (第1実施形態)
 [水素昇圧システムの構成]
 図1は、第1実施形態の水素昇圧システムの一例を示す図である。
[0052]
 図1に示す例では、水素昇圧システム200は、電気化学式水素ポンプ100と、第1の除去器110と、を備える。
[0053]
 電気化学式水素ポンプ100は、アノードANに供給する水蒸気を含む水素含有ガス中の水素を、電解質膜11を介してカソードCAに移動させ、かつ昇圧する装置である。電気化学式水素ポンプ100は、電解質膜11による電気化学式の昇圧器であれば、どのような構成であってもよい。
[0054]
 例えば、図1の電気化学式水素ポンプ100では、アノードANに供給される水素含有ガスが流通するアノードガス導入経路29と、アノードANから排出される水素含有ガスが流通するアノードガス導出経路31と、カソードCAから排出されるオフガスが流通するカソードガス導出経路26と、が設けられている。このような電気化学式水素ポンプ100の詳細な構成は後で説明する。
[0055]
 なお、水素含有ガスとして、例えば、メタンガスなどの改質反応により発生する低圧状態の改質ガス、水の電気分解により発生する水蒸気を含む低圧状態の水素含有ガスなどを挙げることができる。
[0056]
 また、オフガスは、例えば、カソードCAから排出される水蒸気などを含む高圧状態の水素含有ガスなどを挙げることができる。
[0057]
 第1の除去器110は、電気化学式水素ポンプ100のカソードCAから排出されるオフガスと、電気化学式水素ポンプ100のアノードANに供給する水素含有ガスとを水透過膜115を間に介して流通させ、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方を除去する装置である。つまり、第1の除去器110は、膜式の除去器であり、水素含有ガスが流れる流路113と、オフガスが流れる流路114と、これらの流路113、114の間に設けられた水透過膜115と、備える。
[0058]
 水透過膜115は、オフガス中の水素(H )を透過させずに、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方を透過させる膜であれば、どのような構成であってもよい。
[0059]
 水透過膜115は、例えば、高分子膜で構成されていてもよい。これにより、水透過膜115を介して、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方が透過される。なお、このような高分子膜として、例えば、電解質膜11と同様の材料により構成されるプロトン(H )を透過可能なプロトン伝導性の高分子膜を用いることができる。つまり、水透過膜115として、例えば、プロトン伝導性の高分子膜に使用可能な、フッ素系高分子膜、炭化水素系高分子膜などを挙げることができる。なお、第1の除去器110に供給される水素含有ガスに液水が含まれない場合、水素含有ガスの水蒸気分圧は、オフガスより水蒸気分圧が低い。これにより、水透過膜115を介して第1の除去器110内の水素含有ガスに含まれる水蒸気がオフガスに移動する。
[0060]
 なお、以上の第1の除去器110の詳細な構成は実施例で説明する。
[0061]
 [電気化学式水素ポンプの構成]
 図2Aおよび図3Aは、第1実施形態の水素昇圧システムの電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。図2Bは、図2Aの電気化学式水素ポンプのB部の拡大図である。図3Bは、図3Aの電気化学式水素ポンプのB部の拡大図である。
[0062]
 なお、図2Aには、平面視において電気化学式水素ポンプ100の中心と、カソードガス導出マニホールド28の中心と、を通過する直線を含む電気化学式水素ポンプ100の垂直断面が示されている。また、図3Aには、平面視において電気化学式水素ポンプ100の中心と、アノードガス導入マニホールド27の中心と、アノードガス導出マニホールド30の中心と、を通過する直線を含む電気化学式水素ポンプ100の垂直断面が示されている。
[0063]
 図2Aおよび図3Aに示す例では、電気化学式水素ポンプ100は、少なくとも一つの水素ポンプユニット100Aを備える。
[0064]
 なお、電気化学式水素ポンプ100には、複数の水素ポンプユニット100Aが積層されている。例えば、図2Aおよび図3Aでは、3段の水素ポンプユニット100Aが積層されているが、水素ポンプユニット100Aの個数はこれに限定されない。つまり、水素ポンプユニット100Aの個数は、電気化学式水素ポンプ100が昇圧する水素量などの運転条件をもとに適宜の数に設定することができる。
[0065]
 水素ポンプユニット100Aは、電解質膜11と、アノードANと、カソードCAと、カソードセパレーター16と、アノードセパレーター17と、絶縁体21と、を備える。そして、水素ポンプユニット100Aにおいて、電解質膜11、アノード触媒層13、カソード触媒層12、アノードガス拡散層15、カソードガス拡散層14、アノードセパレーター17およびカソードセパレーター16が積層されている。
[0066]
 アノードANは、電解質膜11の一方の主面に設けられている。アノードANは、アノード触媒層13と、アノードガス拡散層15とを含む電極である。なお、平面視において、アノード触媒層13の周囲を囲むように環状のシール部材43が設けられ、アノード触媒層13が、シール部材43で適切にシールされている。
[0067]
 カソードCAは、電解質膜11の他方の主面に設けられている。カソードCAは、カソード触媒層12と、カソードガス拡散層14とを含む電極である。なお、平面視において、カソード触媒層12の周囲を囲むように環状のシール部材42が設けられ、カソード触媒層12が、シール部材42で適切にシールされている。
[0068]
 以上により、電解質膜11は、アノード触媒層13およびカソード触媒層12のそれぞれと接触するようにして、アノードANとカソードCAとによって挟持されている。なお、カソードCA、電解質膜11およびアノードANの積層体を膜-電極接合体(以下、MEA:Membrane Electrode Assembly)という。
[0069]
 電解質膜11は、プロトン伝導性を備える。電解質膜11は、プロトン伝導性を備えていれば、どのような構成であってもよい。例えば、電解質膜11として、フッ素系高分子電解質膜、炭化水素系高分子電解質膜を挙げることができるが、これらに限定されない。具体的には、例えば、電解質膜11として、Nafion(登録商標、デュポン社製)、Aciplex(登録商標、旭化成株式会社製)などを用いることができる。
[0070]
 アノード触媒層13は、電解質膜11の一方の主面に設けられている。アノード触媒層13は、触媒金属として、例えば、白金を含むが、これに限定されない。
[0071]
 カソード触媒層12は、電解質膜11の他方の主面に設けられている。カソード触媒層12は、触媒金属として、例えば、白金を含むが、これに限定されない。
[0072]
 カソード触媒層12およびアノード触媒層13の触媒担体としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉体、導電性の酸化物粉体などが挙げられるが、これらに限定されない。
[0073]
 なお、カソード触媒層12およびアノード触媒層13では、触媒金属の微粒子が、触媒担体に高分散に担持されている。また、これらのカソード触媒層12およびアノード触媒層13中には、電極反応場を大きくするために、プロトン伝導性のイオノマー成分を加えることが一般的である。
[0074]
 カソードガス拡散層14は、カソード触媒層12上に設けられている。また、カソードガス拡散層14は、多孔性材料で構成され、導電性およびガス拡散性を備える。さらに、カソードガス拡散層14は、電気化学式水素ポンプ100の動作時にカソードCAおよびアノードAN間の差圧で発生する構成部材の変位、変形に適切に追従するような弾性を備える方が望ましい。なお、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、カソードガス拡散層14として、カーボン繊維で構成した部材が用いられている。例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルトなどの多孔性のカーボン繊維シートでもよい。なお、カソードガス拡散層14の基材として、カーボン繊維シートを用いなくもよい。例えば、カソードガス拡散層14の基材として、チタン、チタン合金、ステンレススチールなどを素材とする金属繊維の焼結体、これらを素材とする金属粉体の焼結体などを用いてもよい。
[0075]
 アノードガス拡散層15は、アノード触媒層13上に設けられている。また、アノードガス拡散層15は、多孔性材料で構成され、導電性およびガス拡散性を備える。さらに、アノードガス拡散層15は、電気化学式水素ポンプ100の動作時にカソードCAおよびアノードAN間の差圧で発生する構成部材の変位、変形を抑制可能な高剛性であることが望ましい。
[0076]
 なお、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、アノードガス拡散層15として、チタン粉体焼結体の薄板で構成した部材が用いられているが、これに限定されない。つまり、アノードガス拡散層15の基材として、例えば、チタン、チタン合金、ステンレススチールなどを素材とする金属繊維の焼結体、これらを素材とする金属粉体の焼結体を用いることができる。また、アノードガス拡散層15の基材として、例えば、エキスパンドメタル、金属メッシュ、パンチングメタルなどを用いることもできる。
[0077]
 アノードセパレーター17は、アノードANのアノードガス拡散層15上に設けられた部材である。カソードセパレーター16は、カソードCAのカソードガス拡散層14上に設けられた部材である。
[0078]
 そして、カソードセパレーター16およびアノードセパレーター17のそれぞれの中央部には、凹部が設けられている。これらの凹部のそれぞれに、カソードガス拡散層14およびアノードガス拡散層15がそれぞれ収容されている。
[0079]
 このようにして、カソードセパレーター16およびアノードセパレーター17で上記のMEAを挟むことにより、水素ポンプユニット100Aが形成されている。
[0080]
 カソードガス拡散層14と接触するカソードセパレーター16の主面には、平面視において、例えば、複数のU字状の折り返す部分と複数の直線部分とを含むサーペンタイン状のカソードガス流路32が設けられている。そして、カソードガス流路32の直線部分は、図2Aの紙面に垂直な方向に延伸している。但し、このようなカソードガス流路32は、例示であって、本例に限定されない。例えば、カソードガス流路は、複数の直線状の流路により構成されていてもよい。
[0081]
 アノードガス拡散層15と接触するアノードセパレーター17の主面には、平面視において、例えば、複数のU字状の折り返す部分と複数の直線部分とを含むサーペンタイン状のアノードガス流路33が設けられている。そして、アノードガス流路33の直線部分は、図3Aの紙面に垂直な方向に延伸している。但し、このようなアノードガス流路33は、例示であって、本例に限定されない。例えば、アノードガス流路は、複数の直線状の流路により構成されていてもよい。
[0082]
 また、導電性のカソードセパレーター16およびアノードセパレーター17の間には、MEAの周囲を囲むように設けられた環状かつ平板状の絶縁体21が挟み込まれている。これにより、カソードセパレーター16およびアノードセパレーター17の短絡が防止されている。
[0083]
 ここで、電気化学式水素ポンプ100は、水素ポンプユニット100Aにおける、積層方向の両端上に設けられた第1端板および第2端板と、水素ポンプユニット100A、第1端板および第2端板を積層方向に締結する締結器25と、を備える。
[0084]
 なお、図2Aおよび図3Aに示す例では、カソード端板24Cおよびアノード端板24Aがそれぞれ、上記の第1端板および第2端板のそれぞれに対応する。つまり、アノード端板24Aは、水素ポンプユニット100Aの各部材が積層された積層方向において、一方の端に位置するアノードセパレーター17上に設けられた端板である。また、カソード端板24Cは、水素ポンプユニット100Aの各部材が積層された積層方向において、他方の端に位置するカソードセパレーター16上に設けられた端板である。
[0085]
 締結器25は、水素ポンプユニット100A、カソード端板24Cおよびアノード端板24Aを積層方向に締結することができれば、どのような構成であってもよい。
[0086]
 例えば、締結器25として、ボルトおよび皿ばね付きナットなどを挙げることができる。
[0087]
 このとき、締結器25のボルトは、アノード端板24Aおよびカソード端板24Cのみを貫通するように構成してもよいが、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、かかるボルトは、3段の水素ポンプユニット100Aの各部材、カソード給電板22C、カソード絶縁板23C、アノード給電板22A、アノード絶縁板23A、アノード端板24Aおよびカソード端板24Cを貫通している。そして、上記の積層方向において他方の端に位置するカソードセパレーター16の端面、および、上記の積層方向において一方の端に位置するアノードセパレーター17の端面をそれぞれ、カソード給電板22Cとカソード絶縁板23Cおよびアノード給電板22Aとアノード絶縁板23Aのそれぞれを介して、カソード端板24Cおよびアノード端板24Aのそれぞれで挟むようにして、締結器25により水素ポンプユニット100Aに所望の締結圧が付与されている。
[0088]
 以上により、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、3段の水素ポンプユニット100Aが、上記の積層方向において、締結器25の締結圧により積層状態で適切に保持されるとともに、電気化学式水素ポンプ100の各部材を締結器25のボルトが貫通しているので、これらの各部材の面内方向における移動を適切に抑えることができる。
[0089]
 ここで、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのカソードガス拡散層14から流出するオフガスが流れるカソードガス流路32が連通されている。以下、図面を参照しながら、カソードガス流路32のそれぞれが連通する構成について説明する。
[0090]
 まず、図2Aに示すように、カソードガス導出マニホールド28は、3段の水素ポンプユニット100Aの各部材およびカソード端板24Cに設けられた貫通孔、および、アノード端板24Aに設けられた非貫通孔の連なりによって構成されている。また、カソード端板24Cには、カソードガス導出経路26が設けられている。カソードガス導出経路26は、カソードCAから排出されるオフガスが流通する配管で構成されていてもよい。そして、カソードガス導出経路26は、上記のカソードガス導出マニホールド28と連通している。
[0091]
 さらに、カソードガス導出マニホールド28は、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのカソードガス流路32の一方の端部と、カソードガス通過経路34のそれぞれを介して連通している。これにより、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのカソードガス流路32およびカソードガス通過経路34を通過したオフガスが、カソードガス導出マニホールド28で合流される。そして、合流されたオフガスがカソードガス導出経路26に導かれる。
[0092]
 このようにして、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのカソードガス流路32は、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのカソードガス通過経路34およびカソードガス導出マニホールド28を介して連通している。
[0093]
 カソードセパレーター16およびアノードセパレーター17の間、カソードセパレーター16およびカソード給電板22Cの間、アノードセパレーター17およびアノード給電板22Aの間には、平面視において、カソードガス導出マニホールド28を囲むように、Oリングなどの環状のシール部材40が設けられ、カソードガス導出マニホールド28が、このシール部材40で適切にシールされている。
[0094]
 図3Aに示す如く、アノード端板24Aには、アノードガス導入経路29が設けられている。アノードガス導入経路29は、アノードANに供給される水素含有ガスが流通する配管で構成されていてもよい。そして、アノードガス導入経路29は、筒状のアノードガス導入マニホールド27に連通している。なお、アノードガス導入マニホールド27は、3段の水素ポンプユニット100Aの各部材およびアノード端板24Aに設けられた貫通孔の連なりによって構成されている。
[0095]
 また、アノードガス導入マニホールド27は、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのアノードガス流路33の一方の端部と、第1アノードガス通過経路35のそれぞれを介して連通している。これにより、アノードガス導入経路29からアノードガス導入マニホールド27に供給された水素含有ガスは、水素ポンプユニット100Aのそれぞれの第1アノードガス通過経路35を通じて、水素ポンプユニット100Aのそれぞれに分配される。そして、分配された水素含有ガスがアノードガス流路33を通過する間に、アノードガス拡散層15からアノード触媒層13に水素含有ガスが供給される。
[0096]
 また、図3Aに示す如く、アノード端板24Aには、アノードガス導出経路31が設けられている。アノードガス導出経路31は、アノードANから排出される水素含有ガスが流通する配管で構成されていてもよい。そして、アノードガス導出経路31は、筒状のアノードガス導出マニホールド30に連通している。なお、アノードガス導出マニホールド30は、3段の水素ポンプユニット100Aの各部材およびアノード端板24Aに設けられた貫通孔の連なりによって構成されている。
[0097]
 また、アノードガス導出マニホールド30が、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのアノードガス流路33の他方の端部と、第2アノードガス通過経路36のそれぞれを介して連通している。これにより、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのアノードガス流路33を通過した水素含有ガスが、第2アノードガス通過経路36のそれぞれを通じてアノードガス導出マニホールド30に供給され、ここで合流される。そして、合流された水素含有ガスが、アノードガス導出経路31に導かれる。
[0098]
 カソードセパレーター16およびアノードセパレーター17の間、カソードセパレーター16およびカソード給電板22Cの間、アノードセパレーター17およびアノード給電板22Aの間には、平面視において、アノードガス導入マニホールド27およびアノードガス導出マニホールド30を囲むようにOリングなどの環状のシール部材40が設けられ、アノードガス導入マニホールド27およびアノードガス導出マニホールド30が、シール部材40で適切にシールされている。
[0099]
 図2Aおよび図3Aに示すように、電気化学式水素ポンプ100は、電圧印加器102を備える。
[0100]
 電圧印加器102は、アノード触媒層13とカソード触媒層12との間に電圧を印加する装置である。具体的には、電圧印加器102の高電位が、アノード触媒層13に印加され、電圧印加器102の低電位が、カソード触媒層12に印加されている。電圧印加器102は、アノード触媒層13およびカソード触媒層12間に電圧を印加できれば、どのような構成であってもよい。例えば、電圧印加器102は、アノード触媒層13およびカソード触媒層12間に印加する電圧を調整する装置であってもよい。このとき、電圧印加器102は、バッテリ、太陽電池、燃料電池などの直流電源と接続されているときは、DC/DCコンバータを備え、商用電源などの交流電源と接続されているときは、AC/DCコンバータを備える。
[0101]
 また、電圧印加器102は、例えば、水素ポンプユニット100Aに供給する電力が所定の設定値となるように、アノード触媒層13およびカソード触媒層12間に印加される電圧、アノード触媒層13およびカソード触媒層12間に流れる電流が調整される電力型電源であってもよい。
[0102]
 なお、図2Aおよび図3Aに示す例では、電圧印加器102の低電位側の端子が、カソード給電板22Cに接続され、電圧印加器102の高電位側の端子が、アノード給電板22Aに接続されている。カソード給電板22Cは、上記の積層方向において他方の端に位置するカソードセパレーター16と電気的に接触しており、アノード給電板22Aは、上記の積層方向において一方の端に位置するアノードセパレーター17と電気的に接触している。
[0103]
 ここで、図1、図2Aおよび図3Aには示されていないが、本実施形態の水素昇圧システム200の電気化学式水素ポンプ100の水素昇圧動作において必要となる部材および機器は適宜、設けられる。
[0104]
 例えば、水素昇圧システム200には、例えば、電気化学式水素ポンプ100の温度を検出する温度検出器、電気化学式水素ポンプ100のカソードCAで昇圧されたオフガスの圧力を検出する圧力検出器などが設けられている。
[0105]
 また、水素昇圧システム200には、アノードガス導入経路29、アノードガス導出経路31およびカソードガス導出経路26の適所には、これらの経路を開閉するための弁などが設けられている。
[0106]
 以上の電気化学式水素ポンプ100の構成、および、水素昇圧システム200の構成は例示であって、本例に限定されない。例えば、電気化学式水素ポンプ100は、アノードガス導出マニホールド30およびアノードガス導出経路31を設けずに、アノードガス導入マニホールド27を通してアノードANに供給する水素含有ガス中の水素(H )を全量、カソードCAで昇圧するデッドエンド構造が採用されてもよい。
[0107]
 [動作]
 以下、第1実施形態の水素昇圧システムの動作の一例について図面を参照しながら説明する。
[0108]
 なお、以下の動作は、例えば、図示しない制御器の演算回路が、制御器の記憶回路から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。
[0109]
 まず、電気化学式水素ポンプ100のアノードANに低圧の水素含有ガスが供給されるとともに、電圧印加器102の電圧が電気化学式水素ポンプ100に印加されることで、水素昇圧システム200の電気化学式水素ポンプ100の水素昇圧動作が開始される。このとき、電気化学式水素ポンプ100のアノードANに供給する前の水素含有ガスが、第1の除去器110の流路113を通過する。
[0110]
 アノードANのアノード触媒層13において、酸化反応で水素分子がプロトンと電子とに分離する(式(1))。プロトンは電解質膜11内を伝導してカソード触媒層12に移動する。電子は電圧印加器102を通じてカソード触媒層12に移動する。
[0111]
 そして、カソード触媒層12において、還元反応で水素分子が再び生成される(式(2))。なお、プロトンが電解質膜11中を伝導する際に、所定量の水が、電気浸透水としてアノードANからカソードCAにプロトンと同伴して移動することが知られている。
[0112]
 このとき、図示しない流量調整器を用いて、水素導出経路の圧損を増加させることにより、カソードCAで生成されたオフガスを昇圧することができる。なお、水素導出経路として、例えば、図1および図2Aのカソードガス導出経路26を挙げることができる。また、流量調整器として、例えば、水素導出経路に設けられた背圧弁、調整弁などを挙げることができる。そして、流量調整器の圧損を低下させると、電気化学式水素ポンプ100のカソードCAから排出されるオフガスが、第1の除去器110の流路114を通過する。
[0113]
   アノード:H (低圧)→2H +2e    ・・・(1)
   カソード:2H +2e →H (高圧)   ・・・(2)
 このようにして、電気化学式水素ポンプ100では、アノードANに供給する水蒸気を含む水素含有ガス中の水素を、電解質膜11を介してカソードCAに移動させ、かつ昇圧する動作が行われる。また、第1の除去器110では、電気化学式水素ポンプ100のカソードCAから排出されるオフガスと電気化学式水素ポンプ100のアノードANに供給する水素含有ガスとを水透過膜115を間に介して流通させる動作が行われる。
[0114]
 以上により、本実施形態の水素昇圧システム200は、電気化学式水素ポンプ100のカソードCAから排出されたオフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方の除去、および、電気化学式水素ポンプ100のアノードANに供給する水素含有ガスの加湿を、従来よりも適切に行い得る。
[0115]
 例えば、第1の除去器110内の差圧によって、高圧状態のオフガスに含まれる液水を、水透過膜115を通して低圧状態の水素含有ガスに移動させることができる。また、水蒸気分圧の高いオフガスから、水透過膜を通して水蒸気分圧の低い水素含有ガスに移動させることができる。つまり、オフガスが水素含有ガスよりも圧力が高いおよび水蒸気分圧が高い、の少なくとも一方であることで、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方の量を低減させることができる。また、水透過膜115を透過した水蒸気および液水の少なくとも一方により水素含有ガスを加湿することができる。
[0116]
 (実施例)
 本実施例の水素昇圧システム200は、以下の第1の除去器110Aの構成以外は、第1実施形態の水素昇圧システム200と同様である。
[0117]
 図4は、第1実施形態の実施例の水素昇圧システムの第1の除去器の一例を示す図である。
[0118]
 図4に示す例では、第1の除去器110Aは、略同一形状の一対の金属枠体111、112と、水透過膜115Aと、シール部材116と、を備える。
[0119]
 金属枠体111は、第1平坦部111H1と、第2平坦部111H2と、垂直部111Vと、を備える。
[0120]
 ここで、第1平坦部111H1は、金属枠体111の中央部を構成する。第2平坦部111H2は、金属枠体111の環状の周辺部を構成する。垂直部111Vは、第1平坦部111H1の周縁部から第2平坦部111H2の内端部に階段状に延伸する筒状の側壁を構成する。そして、第1平坦部111H1と垂直部111Vとによって金属枠体111に凹部が形成されている。これにより、第1の除去器110Aにおいて、金属枠体111の第1平坦部111H1および垂直部111Vと水透過膜115Aとによってオフガスが流れる流路114Aが形成されている。
[0121]
 金属枠体112は、第1平坦部112H1と、第2平坦部112H2と、垂直部112Vと、を備える。
[0122]
 ここで、第1平坦部112H1は、金属枠体112の中央部を構成する。第2平坦部112H2は、金属枠体112の環状の周辺部を構成する。垂直部112Vは、第1平坦部112H1の周縁部から第2平坦部112H2の内端部に階段状に延伸する筒状の側壁を構成する。そして、第1平坦部112H1と垂直部112Vとによって金属枠体112に凹部が形成されている。これにより、第1の除去器110Aにおいて、金属枠体112の第1平坦部112H1および垂直部112Vと水透過膜115Aとによって、水素含有ガスが流れる流路113Aが形成されている。
[0123]
 金属枠体111および金属枠体112は、第2平坦部111H2および第2平坦部112H2同士が、水透過膜115Aの端部を挟むように向き合って配置されている。第2平坦部111H2および第2平坦部112H2の間には、水透過膜115Aの端部を囲むように環状のシール部材116が設けられている。これにより、第1の除去器110Aの内部が、シール部材116で適切にシールされている。
[0124]
 金属枠体111の垂直部111Vには、第1の除去器110Aよりも上流のカソードガス導出経路26(図1参照)を構成する上流配管26A、および、第1の除去器110Aよりも下流のカソードガス導出経路26を構成する下流配管26Bが、第1の除去器110Aの内部に連通するように設けられている。なお、上流配管26Aと下流配管26Bとは、オフガスの流れ方向300においてこの順番に、図4に示す如く、直線状に並ぶように配置されていてもよい。
[0125]
 金属枠体112の垂直部112Vには、第1の除去器110Aよりも上流のアノードガス導入経路29(図1参照)を構成する上流配管29A、および、第1の除去器110Aよりも下流のアノードガス導入経路29を構成する下流配管29Bが、第1の除去器110Aの内部に連通するように設けられている。なお、上流配管29Aと下流配管29Bとは、水素含有ガスの流れ方向400においてこの順に、図4に示す如く、直線状に並ぶように配置されていてもよい。
[0126]
 なお、図4に示す例では、第1の除去器110Aにおいて、オフガスの流れ方向300と水素含有ガスの流れ方向400とが逆向きであるので、オフガスの流れと水素含有ガスの流れとが対向しているが、これに限定されない。第1の除去器110Aにおいて、両者の流れが、並行になっていてもよいし、直交していてもよい。ただし、図4に示す如く、オフガスの流れと水素含有ガスの流れとが対向することで、これらのガスが並行流および直交流である場合に比べて、オフガス中の水蒸気および液水の少なくとも一方を、水透過膜115Aを通じて水素含有ガスへ高効率に移動させることができる。
[0127]
 以上により、本実施例の水素昇圧システム200では、第1の除去器110Aにおいて、流路114A内の高圧状態のオフガス中の水蒸気および液水の少なくとも一方が、水透過膜115Aを透過することで、流路113A内の低圧状態の水素含有ガスに移動する。よって、水透過膜115Aの表面近傍の流路114Aを流れるオフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方の除去を行い得るとともに、水透過膜115Aの近傍の流路113Aを流れる水素含有ガスを加湿することができる。例えば、高圧状態のオフガス中の液水が、水透過膜115Aの表面上に液層を形成する場合、流路114A内および流路113A内の差圧が水透過膜115Aの裏面へ押し込むように作用するので、流路114A内のオフガス中の液水を、流路113A内の水素含有ガスへ高効率に移動させることができる。
[0128]
 [第1の多孔性構造体]
 図4に示すように、本実施例の水素昇圧システム200では、第1の除去器110Aは、オフガスが流れる流路114Aに、水透過膜115Aと接するように第1の多孔性構造体120が設けられている。
[0129]
 第1の多孔性構造体120は、流路114A内および流路113A内の差圧で発生する水透過膜115Aの変位、変形に適切に追従するような弾性を備える方が望ましい。例えば、第1の多孔性構造体120として、炭素繊維を含む弾性体で構成されていてもよい。このような弾性体として、例えば、カーボン繊維が積層されるカーボンフェルトなどを挙げることができる。
[0130]
 ここで、仮に、流路114Aに第1の多孔性構造体120を設けない場合、本流路114A内のオフガスの流れは層流になりやすい。この場合、オフガス中の水蒸気および液水の少なくとも一方は、オフガスに同伴して流れるので、例えば、水透過膜115Aから離れた位置に存在するオフガス中の水蒸気および液水の少なくとも一方は水透過膜115Aと接触する確率が低い。つまり、この場合、水透過膜115Aを透過する水蒸気および液水の少なくとも一方は、水透過膜115Aの表面近傍に沿って流れるオフガス中の水蒸気および液水の少なくとも一方に限定される恐れがある。
[0131]
 これに対して、本実施例の水素昇圧システム200は、流路114Aに第1の多孔性構造体120を設けることにより、本流路114A内のオフガスの流れを強制的にランダムな方向に変えることができる。この場合、流路114A内の様々な位置に存在するオフガス中の水蒸気および液水の少なくとも一方が水透過膜115Aに接触できる可能性がある。
[0132]
 これにより、本実施例の水素昇圧システム200は、流路114Aに第1の多孔性構造体120を設けない場合に比べて、オフガス中の水蒸気および液水の少なくとも一方と水透過膜115Aとが接触する確率が高くなる。そして、オフガス中の水蒸気および液水の少なくとも一方が水透過膜115Aと接触すると、オフガスから水素含有ガスへ水蒸気および液水の少なくとも一方が速やかに移動するので、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方の除去および水素含有ガスの加湿を促進させることができる。
[0133]
 また、仮に、第1の多孔性構造体120が水透過膜と接するように設けられていない場合、第1の多孔性構造体120と水透過膜115Aとの間の空隙をオフガスが通過しやすくなる。
[0134]
 すると、例えば、流路114A内および流路113A内の差圧の大小などによって上記の空隙の大きさが変化する場合、流路114A内のオフガスの流通状態が変化し、その結果、水透過膜115Aとオフガスとの接触性が変化する。これにより、水透過膜115Aの水透過性に影響を与えるので、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方の除去および水素含有ガスの加湿を安定的に行うことが困難になる。
[0135]
 しかしながら、本実施例の水素昇圧システム200は、第1の多孔性構造体120を水透過膜115Aと接するように両者間の接触界面を安定に保つことができるので、このような問題が軽減される。
[0136]
 また、本実施例の水素昇圧システム200は、第1の多孔性構造体120を、炭素繊維を含む弾性体により構成することで、第1の多孔性構造体120と水透過膜115Aとの間の接触界面を安定的に保つことができる。
[0137]
 例えば、流路114A内および流路113A内の差圧の大小によって水透過膜115Aが変形した場合、および、オフガスのガス圧によって金属枠体111が変形した場合、第1の多孔性構造体120と水透過膜115Aとの間の接触界面を安定的に保つことが困難になる。
[0138]
 しかしながら、本実施例の水素昇圧システム200は、以上の場合でも、水透過膜115Aの変形および金属枠体111の変形に対して、第1の多孔性構造体120の弾性変形を追従させ得る。例えば、第1の多孔性構造体120を金属枠体111の凹部内に収容する際に、上記の部材の変形量相当分、第1の多孔性構造体120を予め圧縮させるとよい。
[0139]
 すると、第1の多孔性構造体120と水透過膜115Aとの間の接触界面が、水透過膜115Aの全域で維持されやすい。これにより、本実施例の水素昇圧システム200は、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方の除去および水素含有ガスの加湿を安定的に行うことができる。
[0140]
 [第2の多孔性構造体]
 図4に示すように、本実施例の水素昇圧システム200では、第1の除去器110Aは、水素含有ガスが流れる流路113Aに、第2の多孔性構造体130が水透過膜115Aと接するように設けられている。
[0141]
 第2の多孔性構造体130は、流路114A内および流路113A内の差圧で発生する水透過膜115Aの変位、変形を抑制可能な高剛性であることが望ましい。例えば、第2の多孔性構造体130は、金属製であってもよい。金属製の第2の多孔性構造体130は、例えば、金属焼結体であってもよい。金属焼結体として、例えば、ステンレス製またはチタン製の金属粉焼結体、金属繊維焼結体などを挙げることができる。
[0142]
 ここで、仮に、流路113Aに第2の多孔性構造体130を設けない場合、流路114A内および流路113A内の差圧によって、流路113Aが閉塞される方向に、水透過膜115Aが変形する。例えば、流路114A内および流路113A内の差圧によって、水透過膜115Aが、金属枠体112の第1平坦部112H1に接触する恐れがある。
[0143]
 すると、水素含有ガスの流れが阻害されるが、本実施例の水素昇圧システム200は、流路113Aに第2の多孔性構造体130を設けているので、このような問題が軽減される。
[0144]
 また、仮に、第2の多孔性構造体130が、水透過膜115Aと接するように設けられていない場合、第2の多孔性構造体130と水透過膜115Aとの間の空隙を水素含有ガスが通過しやすくなる。
[0145]
 すると、例えば、流路114A内および流路113A内の差圧の大小などによって上記の空隙の大きさが変化する場合、流路113A内の水素含有ガスの流通状態が変化し、その結果、水透過膜115Aと水素含有ガスとの接触性が変化する。これにより、水透過膜115Aの水透過性に影響を与えるので、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方の除去および水素含有ガスの加湿を安定的に行うことが困難になる。
[0146]
 しかしながら、本実施例の水素昇圧システム200は、第2の多孔性構造体130を水透過膜115Aと接するように両者間の接触界面を安定に保つことで、このような問題が軽減される。
[0147]
 また、本実施例の水素昇圧システム200は、第2の多孔性構造体130を金属材料で構成することで、第2の多孔性構造体130の剛性を適切に確保することができる。すると、流路114A内および流路113A内の差圧によって水透過膜115Aが変形しにくくなるので、第1の多孔性構造体120と水透過膜115Aとの間の接触界面、および、第2の多孔性構造体130と水透過膜115Aとの間の接触界面を安定的に保つことができる。これにより、本実施例の水素昇圧システム200は、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方の除去および水素含有ガスの加湿を安定化させることができる。
[0148]
 本実施例の水素昇圧システム200は、上記の特徴以外は、第1実施形態の水素昇圧システム200と同様であってもよい。
[0149]
 (第2実施形態)
 図5は、第2実施形態の水素昇圧システムの一例を示す図である。
[0150]
 図5に示す例では、水素昇圧システム200は、電気化学式水素ポンプ100と、第1の除去器110と、冷却器140と、を備える。
[0151]
 ここで、電気化学式水素ポンプ100および第1の除去器110は、第1実施形態の水素昇圧システム200と同様であるので説明を省略する。
[0152]
 冷却器140は、第1の除去器110の上流に設けられ、オフガスを冷却する装置である。
[0153]
 つまり、本実施形態の水素昇圧システム200では、冷却器140は、第1の除去器110の上流のカソードガス導出経路26に設けられている。冷却器140は、カソードガス導出経路26を流れるオフガスを冷却することができれば、どのような構成であってもよい。
[0154]
 例えば、冷却器140は、カソードガス導出経路26を流れるオフガスを空冷で冷却するように構成されていてもよいし、カソードガス導出経路26を流れるオフガスを水冷で冷却するように構成されていてもよい。前者は、例えば、カソードガス導出経路26を構成する配管の表面に設けられた放熱フィン、および、この放熱フィンに冷風を送る送風機の組合せであってもよい。後者は、例えば、カソードガス導出経路26を構成する二重配管、および、二重配管の外管内に冷水を送るポンプの組合せであってもよい。
[0155]
 なお、図示を省略するが、カソードガス導出経路26の適所にオフガスの温度を検知する検知器が設けられ、制御器が、検知器の検知データに基づいて、オフガスの温度が所望の温度になるようにフィードバック制御を行ってもよい。
[0156]
 以上のとおり、本実施形態の水素昇圧システム200は、冷却器140によりオフガスを冷却することで、オフガス中の水蒸気除去および水素含有ガスの加湿を促進させることができる。例えば、オフガスに含まれる飽和水蒸気量は、オフガスの温度が低い程、少なくなる。よって、オフガス中の水蒸気量が飽和水蒸気量である場合、冷却器140によりオフガスの温度が低下すると、オフガス中の水蒸気量を速やかに低減することができるので、オフガス中の水蒸気の除去を促進させることができる。このとき、第1の除去器110に存在する液水の量が増加することで、水透過膜115に液水が接触する確率が高くなる。液水が水透過膜115と接触すると、第1の除去器110内の差圧によってオフガスから水素含有ガスへ液水が速やかに移動するので、水素含有ガスの加湿を促進させることができる。
[0157]
 本実施形態の水素昇圧システム200は、上記の特徴以外は、第1実施形態または第1実施形態の実施例の水素昇圧システム200と同様であってもよい。
[0158]
 (変形例)
 図6は、第2実施形態の変形例の水素昇圧システムの一例を示す図である。
[0159]
 図6に示す例では、水素昇圧システム200は、電気化学式水素ポンプ100と、第1の除去器110と、冷却器140Aと、を備える。
[0160]
 ここで、電気化学式水素ポンプ100および第1の除去器110は、第1実施形態の水素昇圧システム200と同様であるので説明を省略する。
[0161]
 冷却器140Aは、第1の除去器110内のオフガスを冷却する装置である。
[0162]
 つまり、本変形例の水素昇圧システム200では、冷却器140Aは、第1の除去器110のオフガスが流れる流路114を構成する流路部材に設けられている。冷却器140は、第1の除去器110内のオフガスを冷却することができれば、どのような構成であってもよい。
[0163]
 例えば、冷却器140Aは、第1の除去器110内のオフガスを空冷で冷却するように構成されていてもよいし、第1の除去器110内のオフガスを水冷で冷却するように構成されていてもよい。前者は、例えば、オフガスが流れる流路114を構成する金属枠体111(図4参照)の表面に設けられた放熱フィン、および、この放熱フィンに冷風を送る送風機の組合せであってもよい。後者は、例えば、オフガスが流れる流路114を構成する金属枠体111(図4参照)の表面に冷水が流れる冷水機構、および、冷水機構に冷水を送るポンプの組合せであってもよい。
[0164]
 なお、図示を省略するが、第1の除去器110の適所にオフガスの温度を検知する検知器が設けられ、制御器が、検知器の検知データに基づいて、オフガスの温度が所望の温度になるようにフィードバック制御を行ってもよい。
[0165]
 以上のとおり、本変形例の水素昇圧システム200は、第1の除去器110内のオフガスを冷却することで、第1の除去器110をオフガスの凝縮器として機能させることができるので、第1の除去器110に流入する前のオフガスが冷却される場合に比べて、カソードガス導出経路26が凝縮水で閉塞する可能性が低減し、カソードガス導出経路26の圧力変動が低減される。これは、次の理由による。第1の除去器110よりも上流で冷却器によりオフガスを冷却すると、冷却器で生成した凝縮水により、冷却器から第1の除去器110までの経路において、閉塞が発生する可能性がある。本変形例の水素昇圧システム200では、第1の除去器110内で凝縮水が生成し、生成した凝縮水は、そのまま水透過膜115を介してアノードANに供給される水素含有ガスに移動するので、上記の経路の閉塞の可能性が低減される。
[0166]
 本変形例の水素昇圧システム200は、上記の特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の実施例および第2実施形態いずれかの水素昇圧システム200と同様であってもよい。例えば、本変形例の水素昇圧システム200の上記以外の作用効果は、第2実施形態の水素昇圧システム200の作用効果と同様であるので説明を省略する。
[0167]
 (第3実施形態)
 図7は、第3実施形態の水素昇圧システムの一例を示す図である。
[0168]
 図7に示す例では、水素昇圧システム200は、電気化学式水素ポンプ100と、第1の除去器110と、第2の除去器150と、を備える。
[0169]
 ここで、電気化学式水素ポンプ100および第1の除去器110は、第1実施形態の水素昇圧システム200と同様であるので説明を省略する。
[0170]
 第2の除去器150は、第1の除去器110の下流に設けられ、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方を除去する吸着材を含む装置である。具体的には、第2の除去器150は、第1の除去器110と水素利用機器(図示せず)との間のカソードガス導出経路26に設けられ、水素が同伴する水蒸気および液水の少なくとも一方を除去する吸着材を含む装置である。
[0171]
 上記の水素利用機器は、水素を利用するための機器であれば、どのような装置であってもよい。水素利用機器として、例えば、水素を一時的に貯蔵する水素貯蔵器、水素を用いて発電する燃料電池などを挙げることができる。
[0172]
 また、第2の除去器150の吸着材は、水素中の水蒸気および液水の少なくとも一方を吸着除去する材料であれば、どのような材料で構成されていてもよい。吸着材の材料として、例えば、ゼオライト、シリカゲルなどの多孔質材料を挙げることができる。なお、このような吸着材が乾燥している間は水蒸気および液水の少なくとも一方の吸着が行われるが、やがて、吸着材の吸着性能は、水蒸気および液水の少なくとも一方が吸着材に吸着することで低下するので、吸着材の交換または再生が必要となる。
[0173]
 以上のとおり、本実施形態の水素昇圧システム200は、第1の除去器110により除去できなかった、オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方を第2の除去器150の吸着材で吸着除去すればよい。これにより、本実施形態の水素昇圧システム200は、第1の除去器110でオフガス中の水蒸気および液水の少なくとも一方を除去しない場合に比べて、吸着材で吸着する単位時間あたりの水蒸気および液水の少なくとも一方の量を減らすことができる。すると、第2の除去器150内の吸着材の充填量を少なくしても、第2の除去器150の吸着材の吸着性能を所望の期間、適切に維持することができるので、第2の除去器150の小型化、低コスト化を図ることができる。
[0174]
 なお、本実施形態の水素昇圧システム200では、第2の除去器150における水蒸気および液水の少なくとも一方の吸着除去により、第2の除去器150の下流に設けられた、水素貯蔵器などに、ドライ状態のオフガスが供給され得る。
[0175]
 本実施形態の水素昇圧システム200は、上記の特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の実施例、第2実施形態および第2実施形態の変形例いずれかの水素昇圧システム200と同様であってもよい。
[0176]
 なお、第1実施形態、第1実施形態の実施例、第2実施形態、第2実施形態の変形例および第3実施形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。
[0177]
 また、上記の説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良および他の実施形態が明らかである。従って、上記の説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その動作条件、組成、構造および/または機能を実質的に変更できる。

産業上の利用可能性

[0178]
 本開示の一態様は、電気化学式水素ポンプのカソードから排出されたオフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方の除去、および、電気化学式水素ポンプのアノードに供給する水素含有ガスの加湿を、従来よりも適切に行い得る水素昇圧システムに利用することができる。

符号の説明

[0179]
11    :電解質膜
12    :カソード触媒層
13    :アノード触媒層
14    :カソードガス拡散層
15    :アノードガス拡散層
16    :カソードセパレーター
17    :アノードセパレーター
21    :絶縁体
22A   :アノード給電板
22C   :カソード給電板
23A   :アノード絶縁板
23C   :カソード絶縁板
24A   :アノード端板
24C   :カソード端板
25    :締結器
26    :カソードガス導出経路
26A   :上流配管
26B   :下流配管
27    :アノードガス導入マニホールド
28    :カソードガス導出マニホールド
29    :アノードガス導入経路
29A   :上流配管
29B   :下流配管
30    :アノードガス導出マニホールド
31    :アノードガス導出経路
32    :カソードガス流路
33    :アノードガス流路
34    :カソードガス通過経路
35    :第1アノードガス通過経路
36    :第2アノードガス通過経路
40    :シール部材
42    :シール部材
43    :シール部材
100   :電気化学式水素ポンプ
100A  :水素ポンプユニット
102   :電圧印加器
110   :第1の除去器
110A  :第1の除去器
111   :金属枠体
111H1 :第1平坦部
111H2 :第2平坦部
111V  :垂直部
112   :金属枠体
112H1 :第1平坦部
112H2 :第2平坦部
112V  :垂直部
113   :流路
113A  :流路
114   :流路
114A  :流路
115   :水透過膜
115A  :水透過膜
116   :シール部材
120   :第1の多孔性構造体
130   :第2の多孔性構造体
140   :冷却器
140A  :冷却器
150   :第2の除去器
200   :水素昇圧システム
AN    :アノード
CA    :カソード

請求の範囲

[請求項1]
 アノードに供給する水素含有ガス中の水素を、電解質膜を介してカソードに移動させ、かつ昇圧する電気化学式水素ポンプと、
 前記電気化学式水素ポンプのカソードから排出されるオフガスとアノードに供給する前記水素含有ガスとを水透過膜を間に介して流通させ、前記オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方を除去する第1の除去器と、を備える水素昇圧システム。
[請求項2]
 前記第1の除去器の上流に設けられ、前記オフガスを冷却する冷却器を備える請求項1に記載の水素昇圧システム。
[請求項3]
 前記第1の除去器内の前記オフガスを冷却する冷却器を備える請求項1に記載の水素昇圧システム。
[請求項4]
 前記第1の除去器は、前記オフガスが流れる流路に、前記水透過膜と接するように第1の多孔性構造体が設けられる請求項1-3のいずれか1項に記載の水素昇圧システム。
[請求項5]
 前記第1の多孔性構造体は、炭素繊維を含む弾性体で構成される請求項4に記載の水素昇圧システム。
[請求項6]
 前記水透過膜は、高分子膜で構成される請求項1-5のいずれか1項に記載の水素昇圧システム。
[請求項7]
 前記第1の除去器は、前記水素含有ガスが流れる流路に、第2の多孔性構造体が前記水透過膜と接するように設けられる請求項1-6のいずれか1項に記載の水素昇圧システム。
[請求項8]
 前記第2の多孔性構造体が、金属製である請求項7に記載の水素昇圧システム。
[請求項9]
 前記第2の多孔性構造体が、金属焼結体である請求項8に記載の水素昇圧システム。
[請求項10]
 前記第1の除去器の下流に設けられ、前記オフガスに含まれる水蒸気および液水の少なくとも一方を除去する吸着材を含む第2の除去器を備える請求項1-9のいずれか1項に記載の水素昇圧システム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2A]

[ 図 2B]

[ 図 3A]

[ 図 3B]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]