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1. WO2020115949 - COMPOSITION ÉPAISSISSANTE ET SON PROCÉDÉ DE PRODUCTION

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明 細 書

発明の名称 増粘組成物およびその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

非特許文献

0008  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023  

発明の効果

0024  

図面の簡単な説明

0025  

発明を実施するための形態

0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055  

実施例

0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080  

産業上の利用可能性

0081  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 増粘組成物およびその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、増粘組成物およびその製造方法に関し、より詳細には化粧料や皮膚外用剤において適切な増粘性を付与し得る、増粘組成物およびその製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 クリーム状の化粧料や皮膚外溶剤は、肌に対して指で塗り広げることにより使用されることが多く、付与に対して適切な、粘性、流動性、肌に対する質感等の性能を有していることが求められる。これらの製品では、一般に水系の成分と油系の成分とが混合したコロイドの形態を有している場合が多く、その製造には、水系および油系の成分に対して適度な粘度を与える増粘剤が必要とされる。
[0003]
 例えば、水系の成分に対して適切な増粘剤としては、多糖類などの水溶液に対して増粘効果を与える多くの種類が知られている(非特許文献1)。
[0004]
 これに対し、油系の成分に適切な増粘剤(特に化粧料や皮膚外用剤に適したもの)は、上記水系の成分に適切なものと比較して圧倒的に少ない。油系の成分には、ベース材料として、スクワラン、スクワレンなどの精油や植物由来の油脂類がよく使用されている。こうした油脂類等の粘度の調整は、その精製条件を変更して行うことが多い。
[0005]
 また、化粧品、シャンプー等のヘアケア製品、その他セルフケア製品の分野では、油系の増粘剤として、シリコンオイルや高級エステル油が用いられることがある。しかし、一般的なシリコンオイルは、スクワランなどの油脂類との親和性が悪く用途が制限されている。さらに、これらの製品には人体に対する高い安全性が求められている。この点で、増粘剤には、当該安全性に関する科学的な根拠が必要とされるとともに、消費者心理の観点から、天然物由来の材料で構成されていることが所望されている。シリコンオイルおよび高級エステル油はいずれもこれらの観点において適切とは言えない。
[0006]
 一方、ポリイソプレン、ポリイソブチレン等のゴムエラストマーは、スクワラン、油脂との相性の良い疎水性ポリマーである。これを油系成分に添加したものは、水系成分との乳化混合が可能である(特許文献1)。特に、ポリイソプレンは植物が産する天然ポリマーであり、化学合成品とは一線を画する材料である。しかし、このようなゴムエラストマーに包含されるポリイソプレンは、例えば、ラテックスアレルギーを有する人には適用が困難である。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2006-335735号公報

非特許文献

[0008]
非特許文献1 : オレオサイエンス,2011年,第11巻,第8号,p.269-275

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0009]
 本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、スクワランなどの油脂類との親和性が良好であり、天然物由来の材料で構成されており、かつ人体に対する安全性が高められた、増粘組成物およびその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明は、40万~300万の重量平均分子量を有するトランスポリイソプレンのコロイド溶液を有効成分として含有する、増粘組成物である。
[0011]
 1つの実施形態では、上記コロイド溶液は、上記トランスポリイソプレンと、室温では該トランスポリイソプレンを溶解しないが該室温から加温すると溶解する性質を有する疎水性媒体とを含有する。
[0012]
 さらなる実施形態では、上記疎水性媒体はスクワランである。
[0013]
 1つの実施形態では、上記トランスポリイソプレンは、上記コロイド溶液の重量に対して0.05重量%~5重量%の割合で含有されている。
[0014]
 本発明はまた、増粘組成物の製造方法であって、
 (a)40万~300万の重量平均分子量を有するトランスポリイソプレンを、室温では該トランスポリイソプレンを溶解しないが該室温から加温すると溶解する性質を有する疎水性媒体に添加して混合液を得る工程、
 (b)該混合液を加熱して該トランスポリイソプレンを溶解する工程、および
 (c)該加熱した混合液を急冷する工程、
 を包含する、方法である。
[0015]
 1つの実施形態では、上記疎水性媒体はスクワランである。
[0016]
 1つの実施形態では、上記工程(b)における上記トランスポリイソプレンの上記混合液への溶解は50℃~150℃の温度で行われる。
[0017]
 1つの実施形態では、上記工程(c)における急冷は、上記加熱した混合液を氷冷するか、または20℃以下の環境下に曝すことにより行われる。
[0018]
 本発明はまた、コロイド溶液の作製方法であって、
 (a)40万~300万の重量平均分子量を有するトランスポリイソプレンを、室温では該トランスポリイソプレンを溶解しないが該室温から加温すると溶解する性質を有する疎水性媒体に添加して混合液を得る工程、
 (b)該混合液を加熱して該トランスポリイソプレンを溶解する工程、および
 (c)該加熱した混合液を急冷する工程、
 を包含する、方法である。
[0019]
 1つの実施形態では、上記疎水性媒体はスクワランである。
[0020]
 1つの実施形態では、上記工程(b)における上記トランスポリイソプレンの上記混合液への溶解は50℃~150℃の温度で行われる。
[0021]
 1つの実施形態では、上記工程(c)における急冷は、上記加熱した混合液を氷冷するか、または20℃以下の環境下に曝すことにより行われる。
[0022]
 本発明はまた、上記増粘組成物を含有する、化粧料である。
[0023]
 本発明はまた、上記増粘組成物を含有する、皮膚外用剤である。

発明の効果

[0024]
 本発明によれば、人体への安全性を高めて、かつ油脂類等の精製条件を変更することなく、所望の粘度に調整された化粧料および皮膚外用剤を簡便に製造することができる。さらに、本発明の増粘組成物に含まれるトランスポリイソプレンは天然物に含有される成分であることから、天然物由来の材料で構成される製品を所望する消費者への訴求も可能である。

図面の簡単な説明

[0025]
[図1] 実施例1で得られたコロイド溶液の写真であって、(a)は当該コロイド溶液の顕微鏡写真であり、(b)は当該コロイド溶液の偏光顕微鏡写真である。
[図2] 実施例2で得られたコロイド溶液の写真であって、(a)は当該コロイド溶液の顕微鏡写真であり、(b)は当該コロイド溶液の偏光顕微鏡写真である。
[図3] 実施例1~4で得られた、トランスポリイソプレンのコロイド溶液の安定性の試験の結果を示す写真である。

発明を実施するための形態

[0026]
 以下、本発明について詳述する。
[0027]
(増粘組成物)
 本発明の増粘組成物は、トランスポリイソプレンのコロイド溶液を有効成分として含有する。
[0028]
 コロイド溶液を構成するトランスポリイソプレンは、ジエン系熱可塑性エラストマーの1種である。本発明の増粘組成物を構成するトランスポリイソプレンは、40万~300万、好ましくは50万~150万の重量平均分子量を有する。このようなトランスポリイソプレンは、その構造中に、トランス1,4-結合単位の含有率が高くかつ結合異性単位の含有率が低いことが知られている。トランスポリイソプレンはまた、後述の分散媒中に溶解もしくは微小粒子として分散させた場合、高い粘度を供し、後述するコロイド溶液に対し高い増粘効果を付与することができる。
[0029]
 ここで、トランスポリイソプレンは、特許文献1に記載されるようなゴムエラストマー(例えば、シスポリイソプレン)とは全く異なる物性を有する物質として明確に区別されている。
[0030]
 シスポリイソプレンおよびトランスポリイソプレンは、いずれも1,4-ポリイソプレンに包含されるという点で共通する。しかし、厳密には、それらは互いに立体異性体の関係にあり、前者は、従来よりゴム製品の材料として使用されるゴム弾性に優れる非結晶性の物質であるのに対し、後者は引っ張り強さや引裂強さなどの強靭性に優れる結晶性の物質である点で、当該技術分野では、両者は明確に異なる物質として認識されている。
[0031]
 さらに、シスポリイソプレンは、ゴムノキの樹液(ラテックス)から得られる天然ラテックスゴムの主成分であり、微量な脂肪酸および/またはタンパク質(生体防御タンパク質)がポリイソプレン鎖の末端に結合している場合がある。このような脂肪酸およびタンパク質は、ラテックスアレルギーを引き起こすアレルゲンコンポーネントと考えられており、主に経皮感作でIgE抗体を産生し、例えば、接触部位の接触蕁麻疹、全身性に拡大する蕁麻疹、アナフィラキシー、アナフィラキシーショック、喘息発作、結膜炎、鼻炎症状などの症状を引き起こすことが報告されている。
[0032]
 これに対し、トランスポリイソプレンでは、上記シスポリイソプレンのようなラテックスアレルギーの懸念のないより安全な物質である。この点で、トランス型ポリイソプレンは、当該アレルギー患者だけでなく、より広範な人に対する安全性を確保することができる。
[0033]
 上記トランスポリイソプレンは、例えば、トチュウ目トチュウ科に属する木本性の蕎木であるトチュウ(Eucommia ulmoides O.)から得ることができる。
[0034]
 トランスポリイソプレンは、当該トチュウの果皮、樹皮、種皮、根、および葉などの特定の部位に特に豊富に含有されている。このため、本発明において、上記トランスポリイソプレンは、トチュウの果皮、樹皮、種皮、根、および葉、ならびにそれらの組み合わせのいずれかから得られたものであることが好ましい。トチュウの果皮から得られたものであることがさらに好ましい。
[0035]
 本発明において、トランスポリイソプレンのコロイド溶液は、上記トランスポリイソプレンをコロイド粒子(分散相)として分散媒中に存在するもの、およびゾルゲル状態にあるものをいう。
[0036]
 トランスポリイソプレンのコロイド溶液を構成する分散媒は、好ましくは疎水性媒体である。当該疎水性媒体はまた、トランスポリイソプレンと、室温(例えば、25℃)ではトランスポリイソプレンを溶解しないが当該室温から加温すると溶解する性質を有するものであることが好ましい。
[0037]
 トランスポリイソプレンのコロイド溶液を構成する疎水性媒体としては、例えば、スクワラン、油脂類、エステル油、高級脂肪酸が挙げられる。スクワランの例としは、動物由来のもの(例えばサメの肝油から得られたもの)、植物由来のもの、および発酵生産されたもの、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。疎水性媒体を構成し得る油脂類の例としては、オリーブ油、ホホバ油、アルガン油、マカダミアナッツ油、アーモンド油、およびヒマワリ種子油、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。疎水性媒体を構成し得る油脂類の例としては、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、パルミチン酸エチルへキシル、トリエチルヘキサノイン、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、およびイソノナン酸イソトリデシル、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。本発明においては、トランスポリイソプレンと、室温(例えば、25℃)ではトランスポリイソプレンを溶解しないが当該室温から加温すると溶解するという性質を有しており、かつ工業的に入手がし易いとの理由から、スクワランが好ましい。
[0038]
 本発明において、コロイド溶液に含まれるトランスポリイソプレンの含有量は、当該コロイド溶液の重量に対して、好ましくは0.05重量%~5重量%、より好ましくは0.1重量%~1重量%である。コロイド溶液に含まれるトランスポリイソプレンの含有量が0.05重量%を下回ると、所望の粘性を有する増粘組成物を得ることが困難となることがある。コロイド溶液に含まれるトランスポリイソプレンの含有量が5重量%を上回ると、良好な分散性を所持するコロイド溶液となることが困難となることがある。
[0039]
 上記コロイド溶液は、増粘組成物、特に後述する化粧料や皮膚外用剤に添加するための増粘剤として使用するために適切な粘度を有していることが好ましい。このような用途に使用可能なコロイド溶液の粘度は、好ましくは40cP~3000cPであり、より好ましくは200cP~2500cPである。
[0040]
 本発明の増粘組成物は、上記コロイド溶液以外に他の添加剤を含有していてもよい。他の添加剤としては、必ずしも限定されないが、例えば水系の増粘剤、薬剤成分、油剤、可溶促進剤、安定剤、酸化防止剤、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。水系の増粘剤としては、例えば、グアーガム、デンプン、カラギーナン、キサンタンガム、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ベントナイト、ヘクトライト、寒天、カードラン、およびゼラチン、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。油剤の例としては、ツバキ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ヤシ油、パーム油、硬化ヒマシ油、ミツロウ、液状ラノリン、流動パラフィン、ワセリン、鎖状ポリシロキサン(例えばジメチルポリシロキサン)、環状ポリシロキサン(例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン)、およびアミノ変性シリコーン油、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。薬剤成分の例としては、ビタミンB、ビタミンP、水溶性ビタミンA、水溶性ビタミンD、パントテニールエチルエーテル、カルシウムパントテネート、グリチルリチン、グリチルリチン酸塩、グリチルレチン、グリチルレチン酸塩、ローヤルゼリー、ポリフェノール、ニコチン酸およびその誘導体(例えばニコチン酸アミド)、レゾルシンおよびその誘導体、イオウ、サリチル酸およびその誘導体、アルコキシサリチル酸およびその塩、L-アスコルビン酸およびその誘導体、トラネキサム酸およびその誘導体グルコシド、尿素、キシリトール、トレハロース、およびカフェイン、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。可溶促進剤としては、例えばステアリン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸;デカン、ウンデカン等の脂肪族炭化水素;エーテル類、および高級エステル油、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。安定剤としては界面活性剤(例えば、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸塩、スルホコハク酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、N-アシルサルコシン塩、N-アシルメチルタウリン塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、およびリン酸エステル塩、ならびにそれらの組み合わせ)が挙げられる。酸化防止剤としては、例えばトコトリエロール、トコフェノール、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(例えばジブチルヒドロキシトルエン)、およびヒンダードアミン系酸化防止剤、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。本発明の増粘組成物において、他の添加剤は、上記トランスポリイソプレンのコロイド溶液によって得られる効果を阻害しない程度において適切な量が当業者によって設定され得る。
[0041]
(増粘組成物の製造方法)
 本発明の増粘組成物は、例えば、以下のようにしてトランスポリイソプレンのコロイド溶液を作製することによって製造され得る。
[0042]
 本発明においては、まずトランスポリイソプレンが疎水性媒体に添加され混合液が作製される。
[0043]
 疎水性媒体へのトランスポリイソプレンの添加は例えば室温下で行われる。疎水性媒体として、上記室温では該トランスポリイソプレンを溶解しないが室温から加温すると溶解する性質を有する媒体(例えば、スクワレン)を用いる場合、この添加のみではトランスポリイソプレンは疎水性媒体には溶解せず、不均一な混合液の状態で存在する。
[0044]
 次いで、この混合液が加熱されトランスポリイソプレンが溶解される。
[0045]
 混合液の加熱は、好ましくは、50℃~150℃、より好ましくは70℃~80℃の温度で行われる。混合液の加熱時間は、特に限定されず、疎水性媒体にトランスポリイソプレンが十分に溶解するまでの時間であることが好ましい。なお、この混合液の加熱は、静置した状態で行われてもよく、あるいは公知の手段を用いて撹拌下で行われてもよい。
[0046]
 その後、加熱した混合液が急冷されることが好ましい。
[0047]
 この急冷は、上記加熱した混合液の温度を急速に低下させる目的で行われる。この点において、急冷は、上記混合液の加熱後、可能な限り直ちに行うことが好ましい。加熱した混合液の急冷は、公知の手段を用いてもよく、例えば、氷冷するか、または混合液を20℃以下(好ましくは0℃以下)の環境下に曝すことにより行われてもよい。ここで、「混合液を20℃以下の環境下に曝す」とは、混合液を、20℃以下の冷媒と直接または容器等を通じて間接的に接触させることにより、当該冷媒の温度で混合液の温度を低下させることを包含していう。「混合液を20℃以下の環境下に曝す」方法としては、例えば、混合液を20℃以下の水、エタノール、エタノール水溶液等の冷媒で冷却すること;混合液を液体窒素で冷却すること;混合液を20℃以下の周囲温度を有する空間(例えば、冷蔵庫や冷凍庫)内に配置すること;および熱電素子(例えば、ペルチェ素子)のような冷却デバイスを用いて混合液を冷却すること;ならびにそれらの組み合わせ;が挙げられる。
[0048]
 急冷に要する時間もまた、必ずしも限定されないが、例えばコロイド粒子の析出が見られなくなる時間まで急冷が継続されることが好ましい。
[0049]
 上記急冷によって、トランスポリイソプレンのコロイド溶液を得ることができる。
[0050]
 得られたトランスポリイソプレンのコロイド溶液は、比較的小さくかつ膨潤した多くのコロイド粒子で構成され、当該コロイド溶液自体が上述したような適切な粘度を有する。
[0051]
 その後、このトランスポリイソプレンのコロイド溶液に、必要に応じて上記他の添加剤が添加されてもよい。
[0052]
 このようにして、本発明の増粘組成物を製造することができる。
[0053]
 本発明の増粘組成物において、コロイド溶液を構成する疎水性媒体は、化粧料や皮膚外用剤に使用される油脂類(例えばスクワラン)との親和性が良好であり、かつ皮膚に対する安全性に優れる。また、コロイド溶液に含まれるトランスポリイソプレンは、天然物由来の材料とすることができるとともに、ラテックスアレルギー等の懸念からも解放されている。このため、本発明の増粘組成物では、人体に対する安全性が一層高められている。
[0054]
(化粧料および皮膚外用剤)
 本発明の増粘組成物は、例えば化粧料および皮膚外用剤を構成するための増粘剤(特に油系の成分に対する増粘剤)として好適に使用され得る。化粧料および皮膚外用剤の例としては、化粧石鹸、洗顔料、シャンプーなどの清浄用化粧品、ヘアトリートメント剤、髪油、セットローション、カーラーローション、ポマード、チック、びんつけ油、ヘアスプレー、ヘアミスト、ヘアリキッド、ヘアフォーム、ヘアジェル、およびウォーターグリース、クレンジングクリーム、コールドクリーム、バニシングクリーム、ハンドクリーム、アフターシェービングクリーム、シェービングクリーム、化粧水(例えば、ハンドローションおよび一般化粧水)、化粧油、基礎化粧品(例えばパック)、ファンデーション、メークアップ化粧品、香水類、日焼け・日焼け止めクリーム、日焼け・日焼け止めローション、日焼け・日焼け止めオイル、爪クリーム、エナメル、エナメル除去液、アイライナー化粧品、口紅、リップクリーム、歯磨きペースト、バスソルト、バスオイルなどが挙げられる。
[0055]
 化粧料および皮膚外用剤は、上記増粘組成物とともに、各主成分(例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン油、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料)を必要に応じて適宜含有する。
実施例
[0056]
 以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[0057]
(実施例1:1.0%(W/W)のコロイド溶液(E1)の作製)
 適量のトランスポリイソプレン粉末(日立造船株式会社製;トチュウ(Eucommia ulmoides O.;重量平均分子量114万)の乾燥果皮由来)を秤量し、別途、蓋つきのガラス容器に移したのち、トランスポリイソプレンの濃度が1.0%(W/W)になるようスクワランを分注して混合液を得た。
[0058]
 上記混合液にスターラーバーを入れ、ガラス容器の蓋を閉めた後、湯浴に浸し、マグネチックスターラーで撹拌しながら、80℃まで加温してそのまま保温し、その後、目視にて混合液が透明になりガラス容器内のトランスポリイソプレンの粉末を確認することができなくなるまで撹拌を継続した。
[0059]
 混合液が透明になったことを確認した後、直ちにガラス容器を、細く砕いた氷を入れた氷水の中に移し、内容物を氷冷(急冷)した。その後、氷中で1時間保持した。ガラス容器内の内容物は、溶解していたトランスポリイソプレンが析出して白濁を呈していた。これにより、微小なトランスポリイソプレンのコロイド粒子がスクワラン中に分散したコロイド溶液(E1)を得た。
[0060]
 得られたコロイド溶液(E1)の適量をシャーレ上に配置し、単眼偏光顕微鏡(アズワン株式会社(PL-8510))で倍率400倍にて配置された溶液表面を観察した。この単眼偏光顕微鏡を用いて得られた顕微鏡写真および偏向顕微鏡写真を図1の(a)および(b)にそれぞれ示す。
[0061]
 次いで、得られたコロイド溶液(E1)の粘度を、25℃のチャンバーで1時間保温した後、スピンドルSC4-29を備えるレオメーター(Brookfield社製)を用い、毎分100rpmで回転させることにより、測定した。なお、コントロールとして、(トランスポリイソプレンを含有しない(0%(W/W)))スクワラン単独の粘度についても測定した得られた結果を表1に示す。
[0062]
 さらに、得られたコロイド溶液(E1)の安定性を試験するために、上記で作製したコロイド溶液を30mLのサンプル瓶に入れ、4℃にて暗所で6ヶ月間水平状態のまま静置し、その後固相と液相との分離の有無を観察した。観察の際に撮影したサンプル瓶の写真を図3に示す。
[0063]
(実施例2:1.0%(W/W)のコロイド溶液(CE1)の作製)
 実施例1と同様にしてトランスポリイソプレンとスクワランとの混合液が入ったガラス容器を加温し、当該混合液が透明になったことを確認した後に、急冷を行うことなく、当該ガラス容器を湯浴から取り出してそのまま室温25℃の実験台の上に置き、24時間静置することによりコロイド溶液(CE1)を得た。
[0064]
 得られたコロイド溶液(CE1)について、実施例1と同様にして単眼偏向顕微鏡で観察し、粘度を測定し、そして安定性の試験を行った。それぞれについて得られた結果を図2、表1および図3に示す。
[0065]
(実施例3:0.5%(W/W)のコロイド溶液(E2)の作製)
 トランスポリイソプレンの濃度が0.5%(W/W)になるようスクワランを分注して混合液を得たこと以外は実施例1と同様にしてコロイド溶液(E2)を得た。得られたコロイド溶液(E2)について、実施例1と同様にして安定性の試験を行った。得られた結果を図3に示す。
[0066]
(実施例4:0.5%(W/W)のコロイド溶液(CE2)の作製)
 トランスポリイソプレンの濃度が0.5%(W/W)になるようスクワランを分注して混合液を得、実施例1と同様にしてトランスポリイソプレンとスクワランとの混合液が入ったガラス容器を加温した。当該混合液が透明になったことを確認した後、急冷を行うことなく、当該ガラス容器を湯浴から取り出してそのまま室温25℃の実験台の上に置き、24時間静置することによりコロイド溶液(CE2)を得た。
[0067]
 得られたコロイド溶液(CE2)について、実施例1と同様にして安定性の試験を行った。得られた結果を図3に示す。
[0068]
[表1]


[0069]
 表1に示すように、実施例1および2で得られたコロイド溶液(E1)および(CE1)はいずれも、スクワラン単独で構成されるコントロールの媒体と比較して、高粘度を有していた。特に、混合液を急冷して作製した実施例1のコロイド(E1)は、急冷を行わず室温で放冷した実施例2のコロイド溶液(CE1)と比較して粘度が約1.5倍上昇しており、増粘剤として一層優れていることがわかる。
[0070]
 図1の(a)および(b)と、図2の(a)および(b)とをそれぞれ対比して参照すると、実施例1で作製されたコロイド溶液(E1)は、実施例2で作製されたコロイド溶液(CE1)と比較して、コロイド溶液内に含まれるコロイド粒子が小さくかつ膨潤している。一方、実施例2のコロイド溶液に含まれるコロイド粒子は大きく、固相および液体層の分離が幾分明確であったことがわかる。
[0071]
 そして、図3を参照すると、実施例1~4で作製されたコロイド溶液には、6ヶ月間の保管期間を通じて固相と液相との分離が幾分進行するものを確認することができた。このうち、トランスポリイソプレンを1.0%(W/W)の濃度で含有し、混合液の急冷を行った実施例1およびトランスポリイソプレンを0.5%(W/W)の濃度で含有し、混合液の急冷を行った実施例3のコロイド溶液(E1)および(E2)では、急冷を行わなかった実施例2および実施例4のコロイド溶液(CE1)および(CE2)と比較して、当該分離がほとんど観察されず、安定性がより優れていたことがわかる。
[0072]
(実施例5:化粧料の作製)
 以下の成分を以下の割合で均一に混合して化粧用乳液を作製する。
[0073]
[表2]


[0074]
(実施例6:皮膚外用剤の作製)
 以下の成分を以下の割合で均一に混合してハンドクリームを作製する。
[0075]
[表3]


[0076]
(実施例7:24時間閉塞ヒトパッチ試験)
 実施例1で得られたコロイド溶液(E1)をサンプルとして用い、これをパッチテストユニット(EPITEST社製Finn Chamber on Scanpor Tape)の貼布部分に適量を塗布し、次いで、このパッチを25名の被験体の傍脊椎部に貼布し、貼布後24時間で剥がし、各被験体の貼布部位を以下の基準にしたがって判定した。さらに、貼布後48時間(除去後24時間後)の各被験体の貼布部位についても以下の基準にしたがって判定した。
[0077]
[表4]


[0078]
 24時間後と48時間後との判定において、各被験体が反応の強い方に評点を与え、皮膚刺激指数を、被験体全員から得られた評点の総和を被験体数で除した値を百分率(次式):
  皮膚刺激指数=評点総和/被験体数×100
したがって算出した。さらに、須貝ら、香粧品科学,1995年,第19号,臨時増刊,pp.49-56による以下の分類にしたがって、サンプルの安全性を評価した。
[0079]
[表5]


[0080]
 本実施例で使用したサンプルの皮膚刺激指数は2.0であった。これにより、表5に示す分類から、当該サンプルは上記ヒトパッチ試験において安全品に属するものであったことがわかる。なお、上記コロイド溶液の代わりに、対照として生理食塩水(株式会社大塚製薬工場製)、注射用水(株式会社大塚製薬工場製)および白色ワセリン(日興リカ株式会社製)のそれぞれをサンプルに用いた場合の上記皮膚刺激指数は0.0であった。この点を考慮しても、上記コロイド溶液は、ヒトの皮膚に対して、これら生理食塩水等と略同様の安全性を有していたことがわかる。

産業上の利用可能性

[0081]
 本発明によれば、スクワラン、油脂等の油系成分との親和性に優れ、かつ高い粘度を有する増粘剤を、天然物由来の材料を用いて提供することができる。これにより、石油系の化学合成品の使用が回避可能となり、天然物由来の製品を所望する消費者心理に即した化粧料および皮膚外用剤を提供することも可能である。本発明の増粘組成物は、化粧品分野、セルフケア製品分野などの幅広い技術分野において有用である。

請求の範囲

[請求項1]
 40万~300万の重量平均分子量を有するトランスポリイソプレンのコロイド溶液を有効成分として含有する、増粘組成物。
[請求項2]
 前記コロイド溶液が、前記トランスポリイソプレンと、室温では該トランスポリイソプレンを溶解しないが該室温から加温すると溶解する性質を有する疎水性媒体とを含有する、請求項1に記載の増粘組成物。
[請求項3]
 前記疎水性媒体がスクワランである、請求項2に記載の増粘組成物。
[請求項4]
 前記トランスポリイソプレンが、前記コロイド溶液の重量に対して0.05重量%~5重量%の割合で含有されている、請求項1から3のいずれかに記載の増粘組成物。
[請求項5]
 増粘組成物の製造方法であって、
 (a)40万~300万の重量平均分子量を有するトランスポリイソプレンを、室温では該トランスポリイソプレンを溶解しないが該室温から加温すると溶解する性質を有する疎水性媒体に添加して混合液を得る工程、
 (b)該混合液を加熱して該トランスポリイソプレンを溶解する工程、および
 (c)該加熱した混合液を急冷する工程、
 を包含する、方法。
[請求項6]
 前記疎水性媒体がスクワランである、請求項5に記載の方法。
[請求項7]
 前記工程(b)における前記トランスポリイソプレンの前記混合液への溶解が50℃~150℃の温度で行われる、請求項5または6に記載の方法。
[請求項8]
 前記工程(c)における急冷が、前記加熱した混合液を氷冷するか、または20℃以下の環境下に曝すことにより行われる、請求項5から7のいずれかに記載の方法。
[請求項9]
 コロイド溶液の作製方法であって、
 (a)40万~300万の重量平均分子量を有するトランスポリイソプレンを、室温では該トランスポリイソプレンを溶解しないが該室温から加温すると溶解する性質を有する疎水性媒体に添加して混合液を得る工程、
 (b)該混合液を加熱して該トランスポリイソプレンを溶解する工程、および
 (c)該加熱した混合液を急冷する工程、
 を包含する、方法。
[請求項10]
 前記疎水性媒体がスクワランである、請求項9に記載の方法。
[請求項11]
 前記工程(b)における前記トランスポリイソプレンの前記混合液への溶解が50℃~150℃の温度で行われる、請求項9または10に記載の方法。
[請求項12]
 前記工程(c)における急冷が、前記加熱した混合液を氷冷するか、または20℃以下の環境下に曝すことにより行われる、請求項9から11のいずれかに記載の方法。
[請求項13]
  請求項1から4のいずれかに記載の増粘組成物を含有する、化粧料。
[請求項14]
  請求項1から4のいずれかに記載の増粘組成物を含有する、皮膚外用剤。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]