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1. WO2020110950 - EMBRAYAGE CENTRIFUGE

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明 細 書

発明の名称 遠心クラッチ

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016  

課題を解決するための手段

0017   0018  

発明の効果

0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025  

図面の簡単な説明

0026  

発明を実施するための形態

0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072  

符号の説明

0073  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

明 細 書

発明の名称 : 遠心クラッチ

技術分野

[0001]
 本発明は、入力軸の回転を出力軸側に伝達するクラッチに関し、特に、遠心力によって入力軸から出力軸への動力の伝達および切断を切り替える遠心クラッチに関する。

背景技術

[0002]
 従来、入力軸から出力軸側に動力伝達するクラッチは、小型バイク、チェーンソー、エンジン式ラジコンヘリ等の小型の駆動機器等の駆動力の伝達経路上に配されており、様々なものが公知である。
[0003]
 例えば、特許文献1に記載の遠心クラッチは、第1軸部材(入力側回転部1)と第2軸部材(出力側ドラム5)とを有し、第1軸部材(入力側回転部1)には、接続ピン(支軸3)を介して一対のクラッチレバー(摩擦シュー2)および遠心ウェイト7が接続されており、一対のクラッチレバー(摩擦シュー2)は、第2軸部材(出力側ドラム5)に向かって摩擦面を付勢するように、互いの一端がクラッチスプリング4で接続されている。
 一対の遠心ウェイト7は、第2軸部材(出力側ドラム5)を抱合する方向に、ウェイトスプリング8により、互いの側面を付勢されている。
 また、遠心ウェイト7は、互いの自由端側に形成されたカム面9が第1軸部材(入力側回転部1)に接続されたディテントスプリング10に係合しているものである。
[0004]
 この特許文献1に記載の遠心クラッチは、クラッチスプリング4によってクラッチレバー(摩擦シュー2)の摩擦面が第2軸部材(出力側ドラム5)に密着しているため、第1軸部材(入力側回転部1)を回転させると、第2軸部材(出力側ドラム5)に動力伝達されるが、徐々に第1軸部材(入力側回転部1)の回転数が上がり遠心力が大きくなるにしたがって、クラッチスプリング4の付勢力との差が縮まり、クラッチレバー(摩擦シュー2)の摩擦面が第2軸部材(出力側ドラム5)から離脱する方向に力がかかるようになる。
[0005]
 また、遠心ウェイト7も遠心力によって徐々にディテントスプリング10およびウェイトスプリング8を押し返しながら拡開し、さらに、ディテントスプリング10とカム面9との係合が解除されると、遠心ウェイト7の所定の位置に設けられた係合ピン11がクラッチレバー(摩擦シュー2)に接触し、クラッチレバー(摩擦シュー2)を第2軸部材(出力側ドラム5)から離脱させ、第1軸部材(入力側回転部1)から第2軸部材(出力側ドラム5)への動力伝達を解除するものである。
 なお、クラッチスプリング4、ウェイトスプリング8、ディテントスプリング10の調整で、クラッチレバー(摩擦シュー2)の離脱タイミングを変化させることができるものである。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 実開昭59-186533号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 ところが、上記特許文献等で公知の遠心クラッチは、未だ改善の余地があった。
[0008]
 発明者は、鋭意検討の結果、遠心クラッチが回転した際の、クラッチレバーと第2軸部材との当接時の力の伝達関係について、以下に説明する知見を得た。
[0009]
 遠心クラッチの第1軸部材が回転すると、図4に示すように、クラッチシューCSの摩擦面が第2軸部材Mと当接して発生する摩擦力は、摩擦面内の力点Pに集約して示すことができる。
 このとき、摩擦面内の力点Pにおいて、クラッチレバーCSは駆動力F1で第2軸部材Mを回転させようとするが、その際、駆動力F1は力点Pから接続ピンSの方向へ引く力Fの分力として発生しているため、クラッチレバーCSは力点Pにおいて第2軸部材Mを接続ピンSの方向に力Fで押していることになる。
 すなわち、第2軸部材Mは力点Pにおいて、回転方向に駆動力F1を受けるとともに、第2軸部材Mの中心軸MS方向にFの分力F2で押されていることになり、同時にシューCSには接点PにおいてF2と同じ大きさで反対向きにかかる垂直抗力(図示しない)が発生している。
[0010]
 また、クラッチレバーCSと第2軸部材Mとが力点Pで接触しているため、クラッチレバーCSと第2軸部材Mとの間の静止摩擦係数をμとすると、最大静止摩擦力はμF2である。
 よって、
μF2>F1
であれば、クラッチレバーCSをスプリングなどで押圧しなくても、クラッチレバーCSは滑ることなく第2軸部材Mに動力伝達できる。
[0011]
 ただし、遠心クラッチは回転しているため、遠心力に起因して力点Pから垂直抗力と同じ方向にFr(図示しない)が発生しており、遠心クラッチの回転速度が上昇するにしたがってFr(図示しない)も大きくなるため、実際には、
μ(F2-Fr)>F1
を維持している間、シューCSは滑ることなく第2軸部材Mに動力伝達できる。
[0012]
 さらに、力点Pと接続ピンSを結んだ線L1と、力点Pと第2軸部材Mの中心軸MSとを結んだ線L2とがなす角を角度θとすると、
F1=Fsinθ
F2=Fcosθ
であるから、
F2=F1/tanθ
となり、θが小さいほどF1に対してF2が大きくなる。
 すなわち、より回転速度が速くなっても
μ(F2-Fr)>F1
を維持することができ、高速回転中でも滑ることなく動力伝達できる。
[0013]
 また、回転開始時においては、
μF2>F1
より、
μ>tanθ
であれば、力点Pにおける摩擦係数μに合わせて適切な角度θをなすようにクラッチレバーCSを配置する、もしくは、角度θに合わせて力点Pに適切な摩擦係数μを有するようにクラッチレバーCSの摩擦面や第2軸部材Mの表面を形成することで、クラッチレバーCSが滑ることなく第2軸部材Mに動力伝達できる。
[0014]
 ここで、特許文献1で公知の遠心クラッチは、摩擦シューと出力側ドラムとの接触面が出力側ドラムの円周方向に広範囲に分布しており、力点Pの位置が接続ピンS側に近づき、角度θが大きくなってしまうため、F1とF2との差が小さくなり、回転速度が上昇すると、すぐに、
μ(F2-Fr)≦F1
となり、摩擦シューと出力側ドラムとの当接が解除されてしまう。
[0015]
 摩擦シューや出力側ドラムの材質を変更して静止摩擦係数μを上昇させることで、摩擦シューと出力側ドラムとの当接を維持することも考えられるが、摩擦面は既に一定以上の静止摩擦係数が発生するような仕様であるため、静止摩擦係数を上昇させる余地は少ない。
 したがって、摩擦シューを出力側ドラム側へ強く押圧するための付勢部材が事実上必須要素となっており、付勢部材を格納するための空間を遠心クラッチ内に確保する必要があった。
[0016]
 すなわち、特許文献1で公知の遠心クラッチは、クラッチスプリングによって摩擦シューを出力側ドラムへ押し付け、さらに、ディテントスプリング、ウェイトスプリングによって遠心ウェイトの離脱タイミングを調整することで摩擦シューの離脱タイミングを変化させているが、クラッチスプリング、ディテントスプリング、ウェイトスプリングを設けるための空間が遠心クラッチ内に必要となり、遠心クラッチが複雑化し大型化してしまう虞があった。
 また、入力側回転部の回転数が上昇して遠心力が大きくなり、クラッチスプリングの付勢力との差が縮まると、摩擦シューと出力側ドラムとの接触状態が、静止摩擦状態から動摩擦状態へ移行してしまい、摩擦シューが出力側ドラム上で滑り始め、伝達トルクが低下してしまう虞があった。
 また、入力側回転部の回転数が上昇しても摩擦シューと出力側ドラムとの接触状態を静止摩擦状態のままにするには、より強力なクラッチスプリングを設ける必要があり、強力なクラッチスプリングの引張力に耐えられる特別強固な材料を使用することになるため、製造コストが増大してしまう虞があった。
 さらに、所定の回転数以下で再び摩擦面が接触するため、回転数が低い状態でトルクの伝達のコントロールが難しいという問題があった。

課題を解決するための手段

[0017]
 本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡単な構成で、クラッチシューを第2軸部材に当接でき、伝達トルクが低下することを抑制でき、小型化が可能且つ製造コストの増加を抑制可能な遠心クラッチを提供することを目的とするものである。
[0018]
 本発明の遠心クラッチは、第1軸部材および前記第1軸部材と同一の回転軸で独立して回転可能に構成された第2軸部材とを有し、前記第1軸部材には、接続ピンを介して回転軸と直交する面内で相対的に軸回転可能に接続されたクラッチレバーが設けられ、前記クラッチレバーには、前記第2軸部材に外周側から当接可能に構成された摩擦面を有したクラッチシューが設けられた遠心クラッチであって、前記摩擦面と前記第2軸部材とが当接した状態における、前記接続ピンの中心から前記摩擦面の力点までを結んだ線と、前記第2軸部材の中心から前記摩擦面の力点までを結んだ線とがなす角度をθとし、前記摩擦面と前記第2軸部材とが当接した際の静止摩擦係数をμとしたとき、
μ>tanθ
であるように配置されていることにより、前記課題を解決するものである。

発明の効果

[0019]
 請求項1にかかる発明の遠心クラッチは、第1軸部材には、接続ピンを介して回転軸と直交する面内で相対的に軸回転可能に接続されたクラッチレバーが設けられ、クラッチレバーには、第2軸部材に外周側から当接可能に構成された摩擦面を有したクラッチシューが設けられた遠心クラッチであって、摩擦面と第2軸部材とが当接した状態における、接続ピンの中心から摩擦面の力点までを結んだ線と、第2軸部材の中心から摩擦面の力点までを結んだ線とがなす角度をθとし、摩擦面と第2軸部材とが当接した際の静止摩擦係数をμとしたとき、
μ>tanθ
であるように配置されているため、クラッチシューの摩擦面が第2軸部材に当接した状態で第1軸部材を回転させると、クラッチレバーは滑ることなく確実に第2軸部材に動力を伝達できる。
 また、スプリングの押し付けによる摩擦力ではなく、くさび効果による噛み込みを利用した摩擦力による動力伝達であるため、伝達トルクを大きくできる。
 さらに、遠心クラッチの回転数が上昇すると遠心力を起因としたFrが大きくなり、
μ(F2-Fr)≦F1
を満たすと、瞬時にクラッチレバーは第2軸部材から離脱するため、クラッチレバーと第2軸部材とが滑りながら当接する時間が短くなり、クラッチシューや第2軸部材の摩耗が少なく、メンテンナンス頻度を少なくできる。
 また、スプリングの押し付けによる摩擦力を必要としないため、遠心クラッチ内に摩擦力発生用のスプリングを設置する空間を設ける必要がなく、遠心クラッチを小型化できる。
 さらに、再接続をコントロールするために弱いスプリングを設けるだけでよく、回転数が低い状態でトルクの伝達のコントロールがきわめて容易となる。
[0020]
 請求項2に記載の構成によれば、クラッチレバーは、第2軸部材を挟んで逆向きに少なくとも1つずつ配置されているため、第1軸部材の回転方向が正逆どちらであっても、それぞれに対応したクラッチレバーが第2軸部材に当接し、動力を伝達することができる。
 請求項3に記載の構成によれば、クラッチレバーは、付勢部材によって第2軸部材側に付勢されているため、第1軸部材が回転を始める際に確実にクラッチレバーを第2軸部材に当接させておくことができる。
[0021]
 請求項4に記載の構成によれば、付勢部材は、第2軸部材を挟んで逆向きに少なくとも1つずつ配置されているクラッチレバーに挟持されているため、付勢部材の設置数を削減できるとともに、遠心クラッチを小型化できる。
 請求項5に記載の構成によれば、第1軸部材には、内部に円筒状の収容空間を有した外輪が設けられ、接続ピンは、収容空間内に配置されているため、遠心クラッチの回転数が上昇してクラッチシューが第2軸部材から離脱しても、クラッチレバーは収容空間内の最外部へぶつかるため、クラッチレバーが収容空間外へ大きく振り回されることがなくなり、遠心クラッチの周囲に大きな空間を設ける必要がない。
[0022]
 請求項6に記載の構成によれば、クラッチレバーおよび第1軸部材の少なくともいずれか一方は、クラッチレバーの回転軸方向に複数箇所で接続ピンと接続されているため、接続ピンのせん断面積が増えることで、接続ピンのせん断応力が小さくなり、これによって、接続ピンクラッチレバー、外輪の材質を変えることなく、伝達可能なトルクを増大させることができる。
 請求項7に記載の構成によれば、接続ピンは、第1軸部材に両端が支持されているため、クラッチレバーや外輪から接続ピンの曲げ方向に力がかかっても変形しにくく、クラッチレバーを確実に正常な位置で支持できる。
[0023]
 請求項8に記載の構成によれば、クラッチレバーの接続ピンとの接続箇所は、接続ピン側に開放された櫛状に形成されているため、接続ピンのせん断面積をさらに増加でき、接続ピンのせん断応力をより一層小さくできることで、伝達可能なトルクをさらに増大させることができる。
 請求項9に記載の構成によれば、クラッチレバーは、接続ピンの軸方向に複数設けられているため、クラッチレバーの数を変えることで、接続ピンのせん断面積を簡単に調整できることから、せん断応力を小さくでき、これによって、より一層伝達可能なトルクを増大させることができる。
[0024]
 請求項10に記載の構成によれば、接続部材は、回転軸方向に沿った一方の端部が第1軸部材の端部に固定され、端部から離れた位置で補強部材を介して第1軸部材の端部に固定されているため、接続部材にかかる応力を分散することができ、接続部材の一方の端部のみ第1軸部材に固定している場合と比べて、第1軸部材や接続部材のたわみを低減することができる。
 これによって、第1軸部材とクラッチレバーとの位置関係がずれることがなく、安定したトルク伝達が可能となる。
 請求項11に記載の構成によれば、クラッチレバーが移動可能な範囲の所定の位置にあるとき、第1軸部材側を構成する全ての部材の合成重心が、第1軸部材の回転軸上に位置するため、遠心クラッチの回転動作による第1軸部材の振動を抑制し、第1軸部材の回転軸と第2軸部材の回転軸とのズレを防止できる。
[0025]
 請求項12に記載の構成によれば、正回転側クラッチレバーと逆回転側クラッチレバーとは、互いに接続ピンを回転中心として逆方向に連動回転するため、例えば、一方のクラッチレバーの摩擦面が第2軸部材から離脱すると、他方のクラッチレバーの摩擦面も連動してほぼ同時に第2軸部材から離脱するため、摩擦面の摩耗を抑制でき、トルク伝達の切り替えを迅速に実施できる。
 また、重力によるクラッチレバーの自重がクラッチレバーに対してどの方向にかかっても、互いに連動回転する正回転側クラッチレバーと逆回転側クラッチレバーとの間でクラッチレバーの自重を相殺できるため、遠心クラッチの回転方向の向きに関わらず、正回転側クラッチレバーと逆回転側クラッチレバーの動作をさらに安定化できる。

図面の簡単な説明

[0026]
[図1] 本発明の一実施形態に係る遠心クラッチ100の正面断面図。
[図2] 本発明の一実施形態に係る遠心クラッチ100のクラッチレバー113が第2軸部材120に当接した状態を示す概略正面図。
[図3] 本発明の一実施形態に係る遠心クラッチ100のクラッチレバー113が第2軸部材120から離脱した状態を示す概略正面図。
[図4] クラッチレバーCSと第2軸部材Mとの動力伝達の関係を説明するための概略図。
[図5] 本発明の一実施形態に係る遠心クラッチ200の接続ピン217側斜視図。
[図6] 本発明の一実施形態に係る遠心クラッチ200の揺動ピン218側斜視図。
[図7] 本発明の一実施形態に係る遠心クラッチ200の上面図。
[図8] 本発明の一実施形態に係る遠心クラッチ200の正面図。
[図9] 本発明の一実施形態に係る遠心クラッチ200のクラッチレバー213が第2軸部材220に当接した状態を示す概略正面図。
[図10] 本発明の一実施形態に係る遠心クラッチ200のクラッチレバー213が第2軸部材220から離脱した状態を示す概略正面図。
[図11] 本発明の一実施形態に係る遠心クラッチ300のクラッチレバー313と外輪接続部311aとの接続関係を示す概略図。
[図12] 本発明の一実施形態に係る遠心クラッチ400のクラッチレバー413とクラッチシュー414との接続関係を示す概略図。
[図13] 本発明の一実施形態に係る遠心クラッチ500の斜視図。
[図14] 本発明の一実施形態に係る遠心クラッチ600の概略正面図。

発明を実施するための形態

[0027]
 以下に本発明の一実施形態に係る遠心クラッチ100について、図面に基づいて説明する。
 なお、説明のため、図2以降はクラッチレバー113を一つのみ設けた、時計回りの回転でのみ遠心クラッチ100が機能する構成の概略図を使用する。
[0028]
 本発明の一実施形態である遠心クラッチ100は、図1に示すように、第1軸部材110および第1軸部材110と同一の回転軸で独立して回転可能に構成された第2軸部材120とが設けられ、第1軸部材110には、内部に円筒状の収容空間112を有した外輪111と、収容空間内112に配置された接続ピン117と、接続ピン117を介して回転軸と直交する面内で相対的に軸回転可能に第1軸部材110に接続されたクラッチレバー113とが設けられている。
 クラッチレバー113は、第2軸部材120を挟んで逆向きに1つずつ配置され、クラッチレバー113には、外輪111側に開放された収容穴118と、収容穴118に挿入され、クラッチレバー113を第2軸部材120側に僅かな力で付勢する付勢部材119と、第2軸部材120に当接可能に構成された摩擦面115を有したクラッチシュー114とが設けられている。
[0029]
 なお、クラッチレバー113の摩擦面115と第2軸部材120との当接面での動力の伝達関係は、摩擦面115上の力点116に集約することで、力点116での動力の伝達関係に置き換えることができる。
 また、クラッチレバー113は、力点116と接続ピン117の中心とを結んだ線L1と、力点116と第2軸部材120の中心とを結んだ線L2とが、角度θの傾きを有するように配置されている。
 また、クラッチレバー113の摩擦面115と第2軸部材120との当接面における静止摩擦係数(μとする)は、
μ>tanθ
を満たすものである。
[0030]
 次に、本発明の遠心クラッチ100の、第1軸部材110を回転させた際の動作について、図2乃至図4を用いて説明する。
[0031]
 まず、第1軸部材110の回転開始時における遠心クラッチ100の動力伝達について説明する。
 第1軸部材110が時計回りに回転を始めると、図2に示すように、外輪111およびクラッチレバー113は時計回りに回転する方向へ力を受ける。
 このとき、付勢部材119によって、クラッチレバー113は第2軸部材120側に僅かな力で付勢されているため、第1軸部材110の回転開始時において、クラッチシュー114の摩擦面115は第2軸部材120に当接しており、クラッチレバー113は力点116を基準として、第2軸部材120に対して時計回りへ回転する方向へ動力を伝達することができる。
 すなわち、クラッチレバー113は、力点116で第2軸部材120を時計回りへ回転する方向へ駆動力(F1とする)を伝達している。
[0032]
 また、駆動力F1は、力点116から接続ピン117の中心軸に向かって引く力(Fとする)の分力として発生しているため、クラッチレバー113は力点116において第2軸部材120を接続ピン117の中心軸の方向に力Fで押していることになる。
 すなわち、第2軸部材120は、力点116において回転方向に駆動力F1(=Fsinθ)を受けるとともに、第2軸部材120の中心軸の方向に分力F2(=Fcosθ)で押されていることになり、同時にクラッチレバー113には力点116において分力F2と同じ大きさで反対向きにかかる垂直抗力(図示しない)が発生しているため、力点116における最大静止摩擦力はμF2である。
[0033]
 ここで、
μ>tanθ
であるから、
μcosθ>sinθ
μFcosθ>Fsinθ
μF2>F1
となることから、回転開始時において、確実にクラッチレバー113は滑ることなく第2軸部材120に動力伝達が可能である。
 また、くさび効果により、クラッチレバー113は第2軸部材120側に分力F2で引きつけられた状態を維持する。
[0034]
 次に、第1軸部材110の回転速度が上昇した状態における遠心クラッチ100の動力伝達について説明する。
 第1軸部材110が回転すると、遠心力に起因して力点116から垂直抗力(図示しない)の方向にFr(図示しない)が発生し、遠心クラッチ100の回転速度が上昇するに従ってFr(図示しない)も大きくなる。
 また、Fr(図示しない)はクラッチレバー113を第2軸部材120から離脱させる方向へ作用するため、クラッチレバー113は、
μ(F2-Fr)>F1
を維持している間、滑ることなく第2軸部材120に動力伝達が可能である。
 このとき、第1軸部材110の回転速度が上昇し、より大きなFr(図示しない)が発生した場合においても、クラッチレバー113が滑ることなく第2軸部材120に動力を伝達するには、F2がより大きく、且つ、F1がより小さくなるように各部材を配置する必要がある。
 ここで、
F1=Fsinθ
F2=Fcosθ
であるから、
F2=F1/tanθ
となり、θが小さいほどF1に対してF2が大きくなる。
 すなわち、θがより小さくなるように力点116の位置を調整することで、第1軸部材110が速く回転してもクラッチレバー113が滑りにくくなり、第2軸部材120への動力伝達の効率を向上できる。
[0035]
 第1軸部材110が高速回転し、Fr(図示しない)が大きくなりF2に近づくと、
μ(F2-Fr)≦F1
となり、クラッチレバー113は第2軸部材120上を僅かな時間滑り、さらに第1軸部材110の回転数が上昇すると、Fr(図示しない)はF2よりも大きくなることで、図3に示すように、クラッチレバー113は第2軸部材120から離脱し、第1軸部材110から第2軸部材120への動力の伝達を終了する。
 このとき、θを十分に小さくし、F1に対してF2を十分に大きくすることで、クラッチレバー113が第2軸部材120上を滑る時間を大幅に短縮することができ、クラッチシュー114の摩擦面115や第2軸部材120の摩耗を抑制できる。
[0036]
 また、第2軸部材120から離脱したクラッチレバー113は、遠心クラッチ100の外方に向けて振り回される力を受けるが、クラッチレバー113は外輪111に囲まれた収容空間112内に配置されており、クラッチレバー113は外輪111に当接する位置までしか移動できないため、遠心クラッチ100の周囲にクラッチレバー113が飛び出すことはなく、遠心クラッチ100の周囲に大きな空間を確保する必要がない。
 さらに、遠心クラッチ100内には、僅かにクラッチレバー113を第2軸部材120側に付勢する付勢部材119以外の付勢部材がないため、収容空間112内の部品点数を削減できるとともに、遠心クラッチ100内に大きな空間を確保する必要がなくなり、遠心クラッチ100を小型化できる。
[0037]
 また、第2軸部材120から離脱したクラッチレバー113は、第1軸部材110が回転している間は遠心力によって外輪111側へ付勢されるため、第2軸部材120に当接することがない。
 さらに、再接続をコントロールするために弱い付勢部材を設けるだけでよく、回転数が低い状態でトルクの伝達のコントロールがきわめて容易となる。
[0038]
 なお、摩擦面115と第2軸部材120との当接面の静止摩擦係数μを大きくすることで、より一層クラッチレバー113が滑ることなく第1軸部材110から第2軸部材120に動力を伝達することができる。
 また、本発明の一実施形態である遠心クラッチ100は、第1軸部材110側を構成する全ての部材の合成重心を、可能な限り第1軸部材110の回転軸上に位置させることが望ましい。
 これによって、遠心クラッチ100の動作中に第1軸部材110の振動を抑制することができ、第1軸部材110の回転軸と第2軸部材120の回転軸とのズレを防止できる。
[0039]
 このとき、クラッチレバー113は、遠心クラッチ100の動作中に接続ピン117を回転中心として移動して第2軸部材120に当接または離脱しているため、クラッチレバー113の位置によって第1軸部材110側を構成する全ての部材の合成重心の位置がわずかに変化する。
 そのため、最も第1軸部材110の振動を抑制したい状態でのクラッチレバー113の移動位置を考慮して、第1軸部材110側を構成する全ての部材の合成重心が第1軸部材110の回転軸に合うように設定することが望ましい。
[0040]
 次に、本発明の一実施形態である遠心クラッチ200について、図5乃至図10を用いて説明する。
 なお、説明のため、図5乃至図7は第1軸部材210および外輪211を図示しておらず、図9および図10はクラッチレバー213bを図示していない。
 また、本発明の一実施形態である遠心クラッチ100と共通する部分については、一部説明を省略する。
[0041]
 本発明の一実施形態である遠心クラッチ200は、図5乃至図8に示すように、第1軸部材210および第1軸部材210と同一の回転軸で独立して回転可能に構成された第2軸部材220とが設けられ、第1軸部材210には、内部に収容空間212を有した外輪211と、収容空間212に配置された外輪接続部211aに両端を支持された接続ピン217と、接続ピン217を介して回転軸と直交する面内で相対的に軸回転可能に第1軸部材210に接続されたクラッチレバー213a、213bとが設けられている。
[0042]
 クラッチレバー213a、213bは、第2軸部材220を挟んで逆向きに2つずつ、クラッチレバー213a、213bの回転軸方向に設けられ、クラッチレバー213a、213bには、クラッチレバー213a、213bの回転軸と平行な揺動軸を有する揺動ピン218が接続されるとともに、揺動ピン218には、クラッチシュー214a、214bが揺動軸を中心に揺動可能に接続されている。
[0043]
 クラッチシュー214a、214bには、第2軸部材220との当接部に摩擦面215a、215bを有したライニング221a、221bが設けられ、第2軸部材220の外周面に沿うような弧状に形成されている。
 また、クラッチレバー213a、213bは、それぞれ付勢部材(図示しない)によって第2軸部材220側へ僅かな力で付勢されている。
[0044]
 なお、図9に示すように、摩擦面215aと第2軸部材220との当接面での動力の伝達関係は、摩擦面215aの力点216に集約することで、力点216での動力の伝達関係に置き換えることができる。
 このとき、摩擦面215aは、揺動ピン218によって第2軸部材220の外周面に対して傾きを調整されることで広範囲にわたって安定的に面接触している。
 また、力点216と接続ピン217の中心とを結んだ線をL1とし、力点216と第2軸部材220の中心とを結んだ線をL2とすると、クラッチレバー213aは、L1とL2とが角度θの傾きを有するように配置されている。
[0045]
 また、ライニング221aの摩擦面215aと第2軸部材220との当接面における静止摩擦係数(μとする)は、
μ>tanθ
を満たすものである。
[0046]
 次に、本発明の遠心クラッチ200の、第1軸部材210を回転させた際の動作について、図9および図10を用いて説明する。
 なお、クラッチレバー213a側の動作のみ説明する。
[0047]
 まず、第1軸部材210の回転開始時における遠心クラッチ200の動力伝達について説明する。
 第1軸部材210が時計回りに回転を始めると、図9に示すように、外輪211、外輪接続部211a、クラッチレバー213aは時計回りに回転する方向へ力を受ける。
[0048]
 このとき、付勢部材(図示しない)によって、クラッチレバー213aは第2軸部材220側に僅かな力で付勢されているため、第1軸部材210の回転開始時において、ライニング221aの摩擦面215aは第2軸部材220に当接しており、クラッチレバー213aは力点216を基準として、第2軸部材220に対して時計回りへ回転する方向へ動力を伝達することができる。
 すなわち、クラッチレバー213aは、力点216で第2軸部材220を時計回りへ回転する方向へ駆動力(F1とする)を伝達している。
[0049]
 さらに、クラッチシュー214aは揺動ピン218の中心軸を揺動軸として揺動可能に構成されているため、クラッチシュー214aがクラッチレバー213aに直接固定的に設けられている場合に比べて、ライニング221aが第2軸部材220の外周面に合わせて向きを変えて当接することが可能となり、力点216の位置が安定的に維持される。
 また、摩擦面215aの第2軸部材220との当接面を大きくとることができ、摩擦面215aにかかる面圧を低減することができる。
[0050]
 また、駆動力F1は、力点216から接続ピン217の中心に向かって引く力(Fとする)の分力として発生しているため、クラッチレバー213aは力点216において、第2軸部材220を力点216から接続ピン217の中心軸へ向かう方向に力Fで押していることになる。
 すなわち、第2軸部材220は、力点216において回転方向に駆動力F1(=Fsinθ)を受けるとともに、第2軸部材220の中心軸の方向に分力F2(=Fcosθ)で押されていることになり、同時にクラッチシュー214aには力点216において分力F2と同じ大きさで反対向きにかかる垂直抗力(図示しない)が発生しているため、力点216における最大静止摩擦力はμF2である。
[0051]
 よって、本発明の一実施形態の遠心クラッチ200においても、
μF2>F1
となり、回転開始時において、確実にクラッチレバー213aは摩擦面215aと第2軸部材220とを滑らせることなく、第2軸部材220に動力伝達が可能である。
 また、くさび効果により、クラッチシュー214aは第2軸部材220に分力F2で引きつけられた状態を維持する。
[0052]
 次に、第1軸部材220の回転速度が上昇した状態における遠心クラッチ200の動力伝達について説明する。
 第1軸部材210が回転すると、遠心力に起因して力点216から垂直抗力(図示しない)の方向にFr(図示しない)が発生し、遠心クラッチ200の回転速度が上昇するに従ってFr(図示しない)も大きくなる。
 また、Fr(図示しない)はクラッチシュー214aをクラッチレバー213aごと第2軸部材220から離脱させる方向へ作用するため、クラッチシュー214aは、
μ(F2-Fr)>F1
を維持している間、滑ることなく第2軸部材220に動力伝達が可能である。
[0053]
 このとき、第1軸部材210の回転速度が上昇し、より大きなFr(図示しない)が発生した場合においても、クラッチレバー213aが滑ることなく第2軸部材220に動力を伝達するには、F2がより大きく、且つ、F1がより小さくなるように各部材を配置する必要があり、
F2=F1/tanθ
の関係から、θが小さいほどF1に対してF2が大きくなる。
 すなわち、θがより小さくなるように力点216の位置を調整することで、第1軸部材210が速く回転してもクラッチシュー214aが滑りにくくなり、第2軸部材220への動力伝達の効率を向上できる。
[0054]
 第1軸部材210が高速回転し、Fr(図示しない)が大きくなりF2に近づくと、
μ(F2-Fr)≦F1
となり、クラッチシュー214aは第2軸部材220上を僅かな時間滑り、さらに第1軸部材210の回転数が上昇すると、Fr(図示しない)はF2よりも大きくなることで、図10に示すように、クラッチシュー214aはクラッチレバー213aごと第2軸部材220から離脱し、第1軸部材210から第2軸部材220への動力の伝達を終了する。
[0055]
 本発明の一実施形態である遠心クラッチ200は、クラッチレバー213aが、接続ピン217を介して回転軸と直交する面内で相対的に軸回転可能に外輪接続部211aに2つ並べて接続されているため、クラッチレバー213aを1つだけ外輪接続部211aに接続する場合に比べて、クラッチレバー213aが安定的に接続ピン217の中心軸を回転軸として回転できるとともに、接続ピン217のせん断面積が増え、接続ピン217のせん断応力が小さくなる。
 これによって、接続ピン217やクラッチレバー213a、外輪接続部211aの材質を変えるなどして強度を上げることなく、伝達可能なトルクを増大させることができる。
[0056]
 また、2つのクラッチレバー213aには、クラッチレバー213aの回転軸と平行な揺動軸を有する揺動ピン218が接続されるとともに、揺動ピン218には、クラッチシュー214aが揺動軸を中心に揺動可能に接続されているため、クラッチレバー213aを1つだけクラッチシュー214aに接続する場合に比べて、クラッチシュー214aが安定的に揺動ピン218の中心軸を揺動軸として揺動できるとともに、揺動ピン218のせん断面積が増え、揺動ピン218のせん断応力が小さくなる。
 これによって、揺動ピン218やクラッチレバー213a、クラッチシュー214aの材質を変えるなどして強度を上げることなく、伝達可能なトルクをさらに増大させることができる。
[0057]
 また、ライニング221aの、第2軸部材220との当接範囲を大きくしても、クラッチシュー214aをクラッチレバー213aによって複数箇所で安定的に支持することができる。
 また、接続ピン217は、外輪接続部211aに両端を支持されているため、接続ピン217のせん断面積が増えせん断応力が小さくなるとともに、クラッチ200の動作中にクラッチレバー213aや外輪接続部211aから接続ピン217の曲げ方向に力がかかっても変形しにくく、クラッチレバー213aを確実に正常な位置で支持できる。
[0058]
 次に、本発明の一実施形態に係る遠心クラッチ500について、図13を用いて説明する。
 なお、本発明の一実施形態に係る遠心クラッチ100および遠心クラッチ200と共通する部分については、一部説明を省略する。
[0059]
 本発明の一実施形態に係る遠心クラッチ500は、図13に示すように、第1軸部材510および第1軸部材510と同一の回転軸で独立して回転可能に構成された第2軸部材520とが設けられている。
 第1軸部材510には、第1軸部材510と別体に形成された接続部材511aの一方の端部が直接接続され、クラッチレバー513a、513bは、接続部材511aに両端を支持された接続ピン(図示しない)を介して回転軸と直交する面内で相対的に軸回転可能に第1軸部材510に接続されている。
[0060]
 接続部材511aの端部のうち、第1軸部材510に直接接続されていない側の端部は、補強部材530を介して第1軸部材510に固定されている。
 すなわち、接続部材511aは、両端を第1軸部材510に固定していることとなる。
 なお、補強部材530は、接続部材511aの端部に直接接続している補強リング532と、第1軸部材510と補強リング532とを接続する補強柱531とで構成されている。
[0061]
 これによって、遠心クラッチ500作動時の接続部材511aにかかる応力を接続部材511aの両端から第1軸部材510へ分散でき、第1軸部材510や接続部材511aのたわみを低減できるため、第1軸部材510とクラッチレバー513a、513bとの位置関係がずれることを防止でき、安定したトルク伝達が可能となる。
 また、補強部材530は、第1軸部材510の外縁に沿って配置した複数の補強柱532で補強リング531と第1軸部材510とを接続しているため、接続部材511aにかかる応力を、第1軸部材510全体に分散させることができ、第1軸部材510とクラッチレバー513a、513bとの位置関係のズレをより一層防止でき、さらに安定したトルク伝達が可能となる。
[0062]
 次に、本発明の一実施形態に係る遠心クラッチ600について、図14を用いて説明する。
 なお、説明のため、図14は第1軸部材、接続部材を図示していない。
 また、本発明の一実施形態に係る遠心クラッチ100、200、および500と共通する部分については、一部説明を省略する。
[0063]
 本発明の一実施形態に係る遠心クラッチ600は、図14に示すように、第1軸部材(図示しない)および第1軸部材(図示しない)と同一の回転軸で独立して回転可能に構成された第2軸部材620とが設けられている。
 第1軸部材(図示しない)には、接続部材(図示しない)の端部が接続され、正回転側クラッチレバー613aおよび逆回転側クラッチレバー613bは、接続部材(図示しない)に両端を支持された接続ピンを介して回転軸と直交する面内で相対的に軸回転可能に第1軸部材(図示しない)に接続されている。
[0064]
 また、正回転側クラッチレバー613aの接続ピン617に支持される側の端部にはギア凸部631が設けられ、逆回転側クラッチレバー613bの接続ピン617に支持される側の端部に設けられたギア凹部632と噛み合って連動ギア630を形成している。
 この連動ギア630によって、正回転側クラッチレバー613aと逆回転側クラッチレバー613bとは、互いに接続ピン617を回転中心として逆方向に連動回転するため、例えば、正回転側クラッチレバー613aの摩擦面615aが第2軸部材620から離脱すると、逆回転側クラッチレバー613bの摩擦面615bも連動してほぼ同時に第2軸部材620から離脱するため、摩擦面615a、615bの摩耗を抑制でき、トルク伝達の切り替えを迅速に実施できる。
[0065]
 なお、正回転側クラッチレバーと逆回転側クラッチレバーとは、重力の作用する方向へそれぞれの自重が常にかかっている。
 これによって、例えば、正回転側クラッチレバーが第2軸部材に接触する方向へ重力が作用しているとき、逆回転側クラッチレバーには、第2軸部材から遠ざかる方向へ重力が作用することとなり、正回転側クラッチレバーと逆回転側クラッチレバーの第2軸部材への接触および離脱タイミングが不安定になる虞があった。
 しかし、本発明の一実施形態である遠心クラッチ600の正回転側クラッチレバー613aと逆回転側クラッチレバー613bとは、連動ギア630で互いに連動回転可能に構成されているため、ギア凸部631とギア凹部632とを介して正回転側クラッチレバー613aと逆回転側クラッチレバー613bとにかかる自重を互いに打ち消すことができ、正回転側クラッチレバー613aおよび逆回転側クラッチレバー613bの第2軸部材620への接触および離脱タイミングは乱れることがない。
[0066]
 以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
[0067]
 なお、上述した実施形態では、クラッチレバーは、第2軸部材を挟んで逆向きに1つずつ配置されているものとして説明したが、クラッチレバーの数や配置方向はこれに限定されず、例えば、クラッチレバーが1つのみ、第2軸部材の正回転方向に配置されていてもよく、クラッチレバーが第2軸部材を挟んで逆向きに2つずつ配置されていてもよい。
 また、上述した実施形態では、クラッチレバーには、外輪側に開放された収容穴と、収容穴に挿入され、クラッチレバーを第2軸部材側に僅かな力で付勢する付勢部材とが設けられているものとして説明したが、クラッチレバーの態様はこれに限定されず、例えば、収容穴や付勢部材がなくてもよく、付勢部材が、外輪に設けられた収容穴から、クラッチレバーを付勢するように配置されていてもよい。
[0068]
 また、上述した実施形態では、第1軸部材と第2軸部材とは、同一の回転軸を中心軸として互いに独立して回転可能に対向配置されているものとして説明したが、第1軸部材と第2軸部材の配置はこれに限定されず、例えば、中空筒状の第1軸部材に、第2軸部材が挿通されるように配置されていてもよい。
 また、上述した実施形態では、クラッチレバーが、接続ピンを介して回転軸と直交する面内で相対的に軸回転可能に外輪接続部に2つ並べて接続されているものとして説明したが、クラッチレバーの数はこれに限定されず、例えば、接続ピンを介して回転軸と直交する面内で相対的に軸回転可能に外輪接続部に3つ並べて接続されていてもよい。
[0069]
 また、上述した実施形態では、クラッチレバーが、接続ピンを介して回転軸と直交する面内で相対的に軸回転可能に外輪接続部に2つ並べて接続されているものとして説明したが、クラッチレバーや外輪接続部の接続状態はこれに限定されず、例えば、図11に示す遠心クラッチ300のように、クラッチレバー313a、313bの接続ピン317との接続部が、櫛状に形成されていてもよく、櫛状に形成されたクラッチレバーの、接続ピンとの接続部に合わせて、外輪接続部側も櫛状に形成されていてもよい。
 また、上述した実施形態では、クラッチレバーには、クラッチレバーの回転軸と平行な揺動軸を有する揺動ピンが接続されるとともに、揺動ピンには、クラッチシューが揺動軸を中心に揺動可能に接続されているものとして説明したが、クラッチレバーやクラッチシューの接続状態はこれに限定されず、例えば、図12に示す遠心クラッチ400のように、クラッチレバー413a、413bがそれぞれ1つの大きなクラッチレバーとして設けられているとともに、クラッチレバー413a、413bの揺動ピン418との接続部が、櫛状に形成されていてもよく、櫛状に形成されたクラッチレバーの、揺動ピンとの接続部に合わせて、クラッチシュー側も櫛状に形成されていてもよい。
[0070]
 また、上述した実施形態では、クラッチシューは、第2軸部材との当接部に摩擦面を有したライニングが設けられ、第2軸部材の外周面に沿うような弧状に形成されているものとして説明したが、クラッチシューの構成はこれに限定されず、例えば、ライニングがなくてもよく、クラッチシューを平板状に形成して、一定量の変形が可能なライニングを所定の厚みをもたせてクラッチシューに貼り付け、第2軸部材の外周面との当接時にライニングが変形して摩擦面を広く形成するようにしてもよい。
 また、上述した実施形態では、第1軸部材には、内部に収容空間を有した外輪と、収容空間に配置された外輪接続部に両端を支持された接続ピンと、接続ピンを介して回転軸と直交する面内で相対的に軸回転可能に第1軸部材に接続されたクラッチレバーとが設けられているものとして説明したが、第1軸部材に設けられている各部材の構成はこれに限定されず、例えば、外輪や外輪接続部を設けずに、接続ピンが第1軸部材に直接両端を支持されるように設けられていてもよい。
[0071]
 また、上述した実施形態では、補強部材は、リング状の補強リングと補強柱とで構成されているものとして説明したが、補強部材の構成はこれに限定されず、例えば、2つの補強柱が接続部材を挟むように第1軸部材から回転軸に沿った方向へ伸び、接続部材の端部と補強柱の端部とを補強リングの代わりに棒状の連結部材で接続して第1軸部材に固定してもよく、補強部材が、回転軸方向から接続部材と第1軸部材とを挟みこむように接続部材の端部および第1軸部材の端部に固定されていてもよい。
 また、上述した実施形態では、接続部材は、接続部材の端部の一方を第1軸部材と直接接続され、端部の他方を補強部材を介して第1軸部材と接続されているものとして説明したが、接続部材と第1軸部材との接続形態はこれに限定されず、例えば、接続部材の一方の端部を第1軸部材と直接接続するとともに、接続部材の端部以外の位置で補強部材を介して第1軸部材と接続されていてもよく、接続部材と、第1軸部材と、補強部材の一部または全部が一体形成されていてもよい。
[0072]
 また、上述した実施形態では、第1軸部材には、第1軸部材と別体に形成された接続部材の一方の端部が直接接続され、クラッチレバーは、接続部材に両端を支持された接続ピンを介して回転軸と直交する面内で相対的に軸回転可能に第1軸部材に接続されているものとして説明したが、第1軸部材と接続部材との接続方法はこれに限定されず、例えば、接続ピンの第1軸部材側の端部を接続部材を貫通するように設けて、接続ピンを第1軸部材に接続することで、接続部材を第1軸部材に位置決め接続するように構成してもよい。
 また、上述した実施形態では、正回転側クラッチレバーの接続ピンに支持される側の端部にはギア凸部が設けられ、逆回転側クラッチレバーの接続ピンに支持される側の端部に設けられたギア凹部と噛み合って連動ギアを形成して互いに連動回転するように構成しているものとして説明したが、正回転側クラッチレバーと逆回転側クラッチレバーとの関係はこれに限定されず、例えば、連動ギアを設けずに、正回転側クラッチレバーと逆回転側クラッチレバーとが連動回転しなくてもよく、正回転側クラッチレバーおよび逆回転側クラッチレバーの接続ピンに支持される側の端部の表面にゴム材を被覆して互いを当接させることで、正回転側クラッチレバーと逆回転側クラッチレバーとが連動回転するように構成してもよい。

符号の説明

[0073]
 100、200、300、400、500、600 ・・・ 遠心クラッチ
 110、210、510   ・・・ 第1軸部材
 111、211       ・・・ 外輪
 211a、311a     ・・・ 外輪接続部
 511a          ・・・ 接続部材
 112、212       ・・・ 収容空間
 113、213a、213b、313a、313b、413a、413b、
 513a、513b、CS  ・・・ クラッチレバー
 613a          ・・・ 正回転側クラッチレバー
 613b          ・・・ 逆回転側クラッチレバー
 114、214a、214b、314a、314b、414a、414b、
 514a、514b、614a、614b ・・・ クラッチシュー
 115、215a、215b、615a、615b ・・・ 摩擦面
 116、216、P     ・・・ 力点
 117、217、317、617、S ・・・ 接続ピン
 118           ・・・ 収容穴
 119           ・・・ 付勢部材
 120、220、320、420、520、620、M ・・・ 第2軸部材
 218、318、418、518、618 ・・・ 揺動ピン
 221a、221b、315a、315b、
 621a、621b     ・・・ ライニング
 530           ・・・ 補強部材
 531           ・・・ 補強リング
 532           ・・・ 補強柱
 630           ・・・ 連動ギア
 631           ・・・ ギア凸部
 632           ・・・ ギア凹部
 MS            ・・・ 第2軸部材の中心
 μ             ・・・ 力点での静止摩擦係数
 F             ・・・ 力点から接続ピンの中心方向へかかる力
 F1            ・・・ 力点から第2軸部材の接線方向へかかる力
 F2            ・・・ 力点から第2軸部材の中心方向へかかる力
 μF2           ・・・ 力点での最大静止摩擦力
 L1            ・・・ 力点から接続ピンの中心まで伸ばした直線
 L2            ・・・ 力点から第2軸部材の中心方向へ伸ばした直線

請求の範囲

[請求項1]
 第1軸部材および前記第1軸部材と同一の回転軸で独立して回転可能に構成された第2軸部材とを有し、
 前記第1軸部材には、接続ピンを介して回転軸と直交する面内で相対的に軸回転可能に接続されたクラッチレバーが設けられ、
 前記クラッチレバーには、前記第2軸部材に外周側から当接可能に構成された摩擦面を有したクラッチシューが設けられた遠心クラッチであって、
 前記摩擦面と前記第2軸部材とが当接した状態における、前記接続ピンの中心から前記摩擦面の力点までを結んだ線と、前記第2軸部材の中心から前記摩擦面の力点までを結んだ線とがなす角度をθとし、前記摩擦面と前記第2軸部材とが当接した際の静止摩擦係数をμとしたとき、
μ>tanθ
であるように配置されていることを特徴とする遠心クラッチ。
[請求項2]
 前記クラッチレバーは、前記第2軸部材を挟んで逆向きに少なくとも1つずつ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の遠心クラッチ。
[請求項3]
 前記クラッチレバーは、付勢部材によって前記第2軸部材側に付勢されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遠心クラッチ。
[請求項4]
 前記付勢部材は、前記第2軸部材を挟んで逆向きに少なくとも1つずつ配置されている前記クラッチレバーに挟持されていることを特徴とする請求項3に記載の遠心クラッチ。
[請求項5]
 前記第1軸部材には、内部に円筒状の収容空間を有した外輪が設けられ、
 前記接続ピンは、前記収容空間内に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の遠心クラッチ。
[請求項6]
 前記クラッチレバーおよび前記第1軸部材の少なくともいずれか一方は、前記クラッチレバーの回転軸方向に複数箇所で前記接続ピンと接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の遠心クラッチ。
[請求項7]
 前記接続ピンは、前記第1軸部材に両端が支持されていることを特徴とする請求項6に記載の遠心クラッチ。
[請求項8]
 前記クラッチレバーの前記接続ピンとの接続箇所は、前記接続ピン側に開放された櫛状に形成されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の遠心クラッチ。
[請求項9]
 前記クラッチレバーは、前記接続ピンの軸方向に複数設けられていることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の遠心クラッチ。
[請求項10]
 前記接続ピンは、接続部材に支持され、
 前記接続部材は、回転軸方向に沿った一方の端部が前記第1軸部材の端部に固定され、前記端部から離れた位置で補強部材を介して前記第1軸部材の端部に固定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の遠心クラッチ。
[請求項11]
 前記クラッチレバーが移動可能な範囲内の所定の位置にあるとき、前記第1軸部材側を構成する全ての部材の合成重心が、前記第1軸部材の回転軸上に位置することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の遠心クラッチ。
[請求項12]
 前記クラッチレバーは、正回転側クラッチレバーと、前記第2軸部材を挟んで前記正回転側クラッチレバーと逆向きに配置された逆回転側クラッチレバーとを有し、
 前記正回転側クラッチレバーと前記逆回転側クラッチレバーとは、互いに前記接続ピンを回転中心として逆方向に連動回転するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の遠心クラッチ。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]