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1. WO2020110661 - FEUILLE ACCUMULATRICE DE CHALEUR, ÉLÉMENT ACCUMULATEUR DE CHALEUR, DISPOSITIF ÉLECTRONIQUE, ET PROCÉDÉ DE PRODUCTION D'UNE FEUILLE ACCUMULATRICE DE CHALEUR

Document

明 細 書

発明の名称 蓄熱シート、蓄熱部材、電子デバイス、及び、蓄熱シートの製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008  

発明の効果

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122  

実施例

0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179  

産業上の利用可能性

0180  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22  

明 細 書

発明の名称 : 蓄熱シート、蓄熱部材、電子デバイス、及び、蓄熱シートの製造方法

技術分野

[0001]
 本開示は、蓄熱シート、蓄熱部材、電子デバイス、及び、蓄熱シートの製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 近年、マイクロカプセルは、香料、染料、蓄熱材、及び、医薬品成分等の機能性材料を内包して保護すること等の点で、新たな価値を顧客に提供できる可能性があることから注目されている。
[0003]
 例えば、パラフィン類等を相変化物質(PCM;Phase Change Material)として含むマイクロカプセルが知られている。具体的には、蓄熱材を内包するマイクロカプセルを用いて形成される蓄熱性アクリル系樹脂シート状成形体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、蓄熱材を内包するマイクロカプセルが所定量含有された蓄熱性アクリル系樹脂組成物をシート状に成形及び硬化せしめてなる蓄熱性シート状成形体が開示されている(例えば、特許文献2参照)。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2009-29985号公報
特許文献2 : 特開2007-31610号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、特許文献1~2に記載の発明は、いずれもシート状成形体に含まれるマイクロカプセルの量、及び蓄熱材の存在量が満足できる量にまで至っておらず、熱を発する発熱体の熱量制御又は熱利用等を行うには、潜熱容量のより大きい材料が求められる。
[0006]
 本開示は、上記に鑑みなされたものである。
 本開示の実施形態が解決しようとする課題は、優れた蓄熱性を発現する蓄熱シートを提供することにある。
 また、本開示の実施形態が解決しようとする課題は、蓄熱部材、電子デバイス、及び蓄熱シートの製造方法を提供することにもある。

課題を解決するための手段

[0007]
 課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
[0008]
(1) 蓄熱材を含む蓄熱シートであって、
 蓄熱シートは、蓄熱材の少なくとも一部を内包するマイクロカプセルを含み、
 蓄熱シートの全質量に対する蓄熱材の含有比率が65質量%以上である、蓄熱シート。
(2) 更に、バインダーを含む(1)に記載の蓄熱シート。
(3) バインダーが、水溶性ポリマーである(2)に記載の蓄熱シート。
(4) 水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコールである(3)に記載の蓄熱シート。
(5) バインダーの含有比率が、マイクロカプセルの全質量に対して、15質量%以下である(2)~(4)のいずれか1項に記載の蓄熱シート。
(6) 蓄熱材が、潜熱蓄熱材を含む(1)~(5)のいずれかに記載の蓄熱シート。
(7) 蓄熱シートの全質量に対するマイクロカプセルの含有比率が75質量%以上である(1)~(6)のいずれかに記載の蓄熱シート。
(8) マイクロカプセルのカプセル壁の質量が、蓄熱材の質量に対して、12質量%以下である(1)~(7)のいずれかに記載の蓄熱シート。
(9) マイクロカプセルのカプセル壁が、ポリウレタンウレア、ポリウレタン、及び、ポリウレアからなる群から選択される少なくとも1種を含む(1)~(8)のいずれかに記載の蓄熱シート。
(10) マイクロカプセルが式(1)の関係を満たす、(1)~(9)のいずれかに記載の蓄熱シート。 式(1)  δ/Dm≦0.010
 δは、マイクロカプセルのカプセル壁の厚さ(μm)を表す。Dmは、マイクロカプセルの体積基準のメジアン径(μm)を表す。

(11) 空隙率が、15体積%以下である(1)~(10)のいずれかに記載の蓄熱シート。
(12) 蓄熱シートの全質量に対する蓄熱材の含有比率が80質量%以上である(1)~(11)のいずれかに記載の蓄熱シート。
(13) 更に、熱伝導性材料を含む(1)~(12)のいずれかに記載の蓄熱シート。
(14) 熱伝導性材料の含有比率が、蓄熱シートの全質量に対して2質量%以上である(13)に記載の蓄熱シート。
(15) 熱伝導性材料の熱伝導率が、50Wm -1-1以上である(13)又は(14)に記載の蓄熱シート。
(16) 蓄熱材の全質量に対して、融点が0℃以上の直鎖状の脂肪族炭化水素の含有量が、98質量%以上である(1)~(15)のいずれかに記載の蓄熱シート。
(17) 潜熱容量が、135J/ml以上である(1)~(16)のいずれかに記載の蓄熱シート。
(18) 潜熱容量が、160J/g以上である(1)~(17)のいずれかに記載の蓄熱シート。
(19) (1)~(18)のいずれかに記載の蓄熱シートと、基材と、を有する蓄熱部材。
(20) 基材の、蓄熱シートを有する側とは反対側に密着層を有する(19)に記載の蓄熱部材。
(21) 基材と蓄熱シートとの間に、易接着層を有する(19)又は(20)に記載の蓄熱部材。
(22) 更に、保護層を有する(19)~(21)に記載の蓄熱部材。
(23) 蓄熱シートの厚みが、蓄熱部材の厚みに対して80%以上である(19)~(22)のいずれかに記載の蓄熱部材。(24) (1)~(18)のいずれかに記載の蓄熱シート、又は、(19)~(23)のいずれかに記載の蓄熱部材を含む、電子デバイス。
(25) 更に、発熱体を含む、(24)に記載の電子デバイス。
(26) 蓄熱材と、ポリイソシアネートと、ポリオール及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1種の活性水素含有化合物と、乳化剤とを混合して、蓄熱材の少なくとも一部を内包したマイクロカプセルを含む分散液を作製する工程と、
 分散液に対して実質的にバインダーを加えることなく、分散液を用いて蓄熱シートを作製する工程と、を有する蓄熱シートの製造方法。
(27) マイクロカプセルが式(1)の関係を満たす、(26)に記載の蓄熱シートの製造方法。
 式(1)  δ/Dm≦0.010
 δは、マイクロカプセルのカプセル壁の厚さ(μm)を表す。Dmは、マイクロカプセルの体積基準のメジアン径(μm)を表す。
(28)
 乳化剤が、ポリイソシアネートと結合できる、(26)又は(27)に記載の蓄熱シートの製造方法。

発明の効果

[0009]
 本開示の実施形態によれば、優れた蓄熱性を発現する蓄熱シート、蓄熱部材、電子デバイス、及び、蓄熱シートの製造方法が提供される。

発明を実施するための形態

[0010]
 以下、本開示の蓄熱シート及び蓄熱部材について、詳細に説明する。
 なお、本開示の実施形態に関わる構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
[0011]
 本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
[0012]
 本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
 また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
 更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
 本開示において、組成物又は層中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
[0013]
<蓄熱シート>
 本開示の蓄熱シートは、蓄熱材を含む蓄熱シートであって、蓄熱シートは、蓄熱材の少なくとも一部を内包するマイクロカプセルを含み、蓄熱シートの全質量に対する蓄熱材の含有比率が65質量%以上である。
[0014]
 従来から、例えば上記特許文献1~2に記載されるように、マイクロカプセルを含む蓄熱性のあるシートは提案されている。しかしながら、近年、スマートフォンの小型化及び薄膜化が進み、また、防塵機能又は防水機能の搭載に伴い、従来よりも多くの熱量を蓄熱できる蓄熱シートが求められている。
 本開示の蓄熱シートは、蓄熱シートに含まれた蓄熱材(特に、マイクロカプセルのコア部に含まれた蓄熱材)の、固体-液体間での相変化に伴う熱の授受によって蓄熱機能を発現する。これにより、例えば熱を発する発熱体における熱の吸放出が可能である。そして、本開示の蓄熱シートは、従来達成し得なかった蓄熱材の存在量を、従来に比べて大幅に増加した構造としたことで、より優れた蓄熱機能を発現する。これにより、従来技術よりも多くの熱量を蓄熱できる蓄熱シートを提供することができる。
 また、蓄熱材として潜熱蓄熱材を用いた場合は、例えば発熱体における熱を蓄熱材が潜熱に代えて吸放出することが可能である。
[0015]
 なお、後述するように、本開示の蓄熱シートの製造方法は特に制限されないが、例えば、所定の蓄熱シートを製造する際に、マイクロカプセルの分散液にバインダーを加えることなく、蓄熱シートを作製することにより、蓄熱シート中のマイクロカプセルの含有比率を増やすことができ、結果として蓄熱シート中の蓄熱材の含有比率を増やすことができる。つまり、蓄熱シート中におけるバインダー量を低減させることにより、蓄熱シート中の蓄熱材の含有比率を増やすことができる。
 また、マイクロカプセルのカプセル壁の壁厚を薄くする(言い換えれば、マイクロカプセル中のカプセル壁の質量割合を低下させる)ことにより、蓄熱シート中における蓄熱材の含有比率を増やすこともできる。
 上記のように、本発明のおいては、蓄熱シート中のバインダー量を低減させる、及び、マイクロカプセルのカプセル壁の壁厚を薄くすることにより、より効果の優れた蓄熱シートが得られる。
[0016]
[マイクロカプセル]
 本開示のマイクロカプセルは、コア部と、コア部をなすコア材(内包されるもの(内包成分ともいう。))を内包するための壁部と、を有し、壁部を「カプセル壁」ともいう。
[0017]
[[コア材]]
 本開示におけるマイクロカプセルは、コア材(内包成分)として、蓄熱材を内包する。
 蓄熱材の少なくとも一部がマイクロカプセルに内包されて存在するので、蓄熱材は温度に応じた相状態で安定的に存在することができる。
[0018]
-蓄熱材-
 蓄熱材としては、温度変化に応じた融解と凝固との状態変化を伴う固相-液相間の相変化を繰り返すことができる材料から、熱量制御もしくは熱利用等の被対象物(例えば発熱体)又は目的等に応じて、適宜選択できる。
 蓄熱材の相変化は、蓄熱材自体が有する融点に基づくことが好ましい。
[0019]
 蓄熱材としては、例えば、蓄熱シートの外部で発生した熱を顕熱として蓄え得る材料、及び、蓄熱シートの外部で発生した熱を潜熱として蓄え得る材料(以下、「潜熱蓄熱材」ともいう。)のいずれでもよい。蓄熱材は、蓄えた熱を放出し得るものであることが好ましい。
 中でも、授受可能な熱量の制御、熱の制御速度、及び、熱量の大きさの観点から、蓄熱材は潜熱蓄熱材が好ましい。
[0020]
(潜熱蓄熱材)
 潜熱蓄熱材とは、蓄熱シートの外部で発生した熱を潜熱として蓄熱し、材料により定められた融点を相変化温度として融解と凝固との間の変化を繰り返すことで潜熱による熱の授受が行える材料を指す。
 潜熱蓄熱材は、融点での融解熱及び凝固点での凝固熱を利用し、固体-液体間の相変化を伴って蓄熱し、また放熱することができる。
[0021]
 潜熱蓄熱材は、融点を有して相変化が可能な化合物から選択することができる。
 潜熱蓄熱材としては、例えば、氷(水);パラフィン(例えば、イソパラフィン、ノルマルパラフィン)等の脂肪族炭化水素;無機塩;トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ミリスチン酸メチル(融点16℃~19℃)、ミリスチン酸イソプロピル(融点167℃)、及び、フタル酸ジブチル(融点-35℃)等の有機酸エステル系化合物;ジイソプロピルナフタレン(融点67℃~70℃)等のアルキルナフタレン系化合物、1-フェニル-1-キシリルエタン(融点-50℃未満)等のジアリールアルカン系化合物、4-イソプロピルビフェニル(融点11℃)等のアルキルビフェニル系化合物、トリアリールメタン系化合物、アルキルベンゼン系化合物、ベンジルナフタレン系化合物、ジアリールアルキレン系化合物、アリールインダン系化合物等の芳香族炭化水素;ツバキ油、大豆油、コーン油、綿実油、菜種油、オリーブ油、ヤシ油、ひまし油、魚油等の天然動植物油;鉱物油等の天然物高沸点留分等が挙げられる。
[0022]
 潜熱蓄熱材の中でも、優れた蓄熱性を発現する観点から、パラフィンが好ましい。
 パラフィンとしては、融点が0℃以上の直鎖状の脂肪族炭化水素が好ましく、融点が0℃以上であって、かつ、炭素数14以上の直鎖状の脂肪族炭化水素がより好ましい。
[0023]
 融点が0℃以上の直鎖状の脂肪族炭化水素としては、n-テトラデカン(融点6℃)、n-ペンタデカン(融点10℃)、n-ヘキサデカン(融点18℃)、n-ヘプタデカン(融点22℃)、n-オクタデカン(融点28℃)、n-ノナデカン(融点32℃)、n-エイコサン(融点37℃)、n-ヘンイコサン(融点40℃)、n-ドコサン(融点44℃)、n-トリコサン(融点48℃~50℃)、n-テトラコサン(融点52℃)、n-ペンタコサン(融点53℃~56℃)、n-ヘキサコサン(融点55~58℃)、n-ヘプタコサン(融点60℃)、n-オクタコサン(融点62℃)、n-ノナコサン(融点63℃~66℃)、及び、n-トリアコンタン(融点66℃)等が挙げられる。 なかでも、n-ヘプタデカン(融点22℃)、n-オクタデカン(融点28℃)、n-ノナデカン(融点32℃)、n-エイコサン(融点37℃)、n-ヘンイコサン(融点40℃)、n-ドコサン(融点44℃)、n-トリコサン(融点48~50℃)、n-テトラコサン(融点52℃)、n-ペンタコサン(融点53~56℃)、n-ヘキサコサン(融点60℃)、n-ヘプタコサン(融点60℃)、又は、n-オクタコサン(融点62℃)が好ましく用いられる。
 蓄熱材として、融点が0℃以上の直鎖状の脂肪族炭化水素を使用する場合、融点が0℃以上の直鎖状の脂肪族炭化水素の含有量は、蓄熱材の含有量に対して、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、98質量%以上が特に好ましい。上限としては、100質量%が挙げられる。
[0024]
無機塩としては、無機水和塩が好ましく、例えば、アルカリ金属の塩化物の水和物(例:塩化ナトリウム2水和物等)、アルカリ金属の酢酸塩の水和物(例:酢酸ナトリウム水和物等)、アルカリ金属の硫酸塩の水和物(例:硫酸ナトリウム水和物等)、アルカリ金属のチオ硫酸塩の水和物(例:チオ硫酸ナトリウム水和物等)、アルカリ土類金属の硫酸塩の水和物(例:硫酸カルシウム水和物等)、及び、アルカリ土類金属の塩化物の水和物(例:塩化カルシウム水和物等)等が挙げられる。
[0025]
 蓄熱材の融点は、熱を発する発熱体の種類、発熱体の発熱温度、冷却後の温度又は保持温度、及び、冷やし方等の目的等に応じて選択すればよい。融点を適切に選択することにより、例えば、熱を発する発熱体の温度を、冷やし過ぎない適度の温度に安定的に保持することができる。
[0026]
 蓄熱材は、目的とする温度領域(例えば発熱体の動作温度;以下、「熱制御領域」ともいう。)の中心温度に融点を持つ材料を中心に選択されることが好ましい。
 蓄熱材の選択は、蓄熱材の融点に応じて熱制御領域に合わせて選択することができる。熱制御領域は、用途(例えば、発熱体の種類)に応じて設定される。
[0027]
 具体的には、選択する蓄熱材の融点は熱制御領域に応じて異なるが、蓄熱材として、例えば、以下の融点を有するものを好適に選択することができる。用途が、例えば、電子デバイス(特に、小型もしくは携帯用の又はハンディな電子デバイス)である場合に好適である。
(1)上記した蓄熱材(好ましくは潜熱蓄熱材)の中では、融点が0℃以上80℃以下の蓄熱材が好ましい。
 融点が0℃以上80℃以下の蓄熱材を用いる場合、融点が0℃未満又は80℃超の材料は蓄熱材には含まれない。融点が0℃未満又は80℃超の材料のうち、液体の状態にある材料は、溶媒として蓄熱材と併用されてもよい。
(2)上記の中では、融点が10℃以上70℃以下の蓄熱材が好ましい。
 融点が10℃以上70℃以下の蓄熱材を用いる場合、融点が10℃未満又は70℃超の材料は蓄熱材には含まれない。融点が10℃未満又は70℃超の材料のうち、液体の状態にある材料は、溶媒として蓄熱材と併用されてもよい。
(3)更には、融点が15℃以上50℃以下の蓄熱材が好ましい。
 融点が15℃以上50℃以下の蓄熱材を用いる場合、融点が15℃未満又は50℃超の材料は蓄熱材には含まれない。融点が15℃未満又は50℃超の材料のうち、液体の状態にある材料は、溶媒として蓄熱材と併用されてもよい。(4)更に、上記(2)の中では、融点が20~62℃の蓄熱材も好ましい。
 特に、薄型又は携帯用のノートパソコン、タブレット、及びスマートフォン等の電子デバイスの発熱体は、作動温度が20~65℃であることが多く、融点が20~62℃の蓄熱材を用いることが適している。融点が20~62℃の蓄熱材を用いる場合、融点が20℃未満又は62℃超の材料は蓄熱材には含まれない。融点が20℃未満又は62℃超の材料のうち、液体の状態にある材料は、溶剤として蓄熱材と併用されてもよいが、実質的に溶剤を含まないことが発熱体が発する熱を多く吸熱する点で好ましい。
[0028]
 蓄熱材は、一種単独で含まれてもよいし、複数の種類を混合して含まれてもよい。蓄熱材を一種単独で又は融点の異なる複数使用することで、用途に応じて蓄熱性を発現する温度領域及び蓄熱量を調節することができる。
 蓄熱材の蓄熱作用を得たい中心温度に融点を持つ蓄熱材を中心に、その前後に融点を持つ蓄熱材を混合することで、蓄熱可能な温度領域を拡げることができる。蓄熱材としてパラフィンを用いる場合を例に具体的に説明すると、蓄熱材の蓄熱作用を得たい中心温度に融点を持つパラフィンaを中心材料として用い、パラフィンaと、パラフィンaの前後に炭素数を有する他のパラフィンと、を混合することで、広い温度領域(熱制御領域)を持つように材料設計することもできる。また、蓄熱作用を得たい中心温度に融点を持つパラフィンの含有比率は、蓄熱材全質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。
[0029]
 本開示における潜熱蓄熱材として例えばパラフィンを用いる場合、パラフィンを一種単独で用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。融点の異なるパラフィンを複数用いる場合、蓄熱性を発現する温度領域を広くすることができる。
 複数のパラフィンを用いる場合には、吸熱性を低下させいないために、分岐鎖状のパラフィンを実質的に含まず、直鎖状のパラフィンのみの混合物が望ましい。ここで、分岐鎖状のパラフィンを実質的に含まないとは、分岐鎖状のパラフィンの含有量が、パラフィンの全質量に対して、5質量%以下であることを意味し、2質量%以下が好ましく、1質量%以下が更に好ましい。蓄熱性を発現する温度領域及び蓄熱量の観点から、パラフィン全質量に対する主たるパラフィンの含有比率は、80質量%~100質量%であることが好ましく、90質量%~100質量%であることがより好ましく、95質量%~100質量%であることが更に好ましい。なお、「主たるパラフィン」とは、含有される複数のパラフィンのうち、最も含有量の多いパラフィンのことを指す。主たるパラフィンの含有量は、複数のパラフィンの合計量の50質量%以上であることが好ましい。
 また、蓄熱材(好ましくは潜熱蓄熱材)の全量に対するパラフィンの含有比率としては、80質量%~100質量%であることが好ましく、90質量%~100質量%であることがより好ましく、95質量%~100質量%であることが更に好ましい。
[0030]
 本開示の蓄熱シートでは、少なくともマイクロカプセルに内包された蓄熱材を含むが、蓄熱材がマイクロカプセルの外部に存在していてもよい。つまり、本開示の蓄熱シートは、マイクロカプセルに内包された蓄熱材と、蓄熱シート内であってマイクロカプセル外にある蓄熱材とを含んでいてもよい。この場合、蓄熱シートに含まれる蓄熱材の全量のうち、95質量%以上の蓄熱材がマイクロカプセルに内包されている状態にあることが好ましい。つまり、蓄熱シートに含まれる蓄熱材の全量のうち、マイクロカプセルに内包される蓄熱材の含有比率(内包率)は95質量%以上が好ましい。上限は特に制限されないが、100質量%が挙げられる。
 蓄熱シート中の蓄熱材は、全量の95質量%以上に相当する蓄熱材がマイクロカプセルに内包されていることで、高温時に液体となった蓄熱材が蓄熱シート外に漏れ出るのを防止でき、蓄熱シートが用いられている周辺の部材等を汚染せず、かつ、蓄熱シートとしての蓄熱能を維持することができる等の観点から有利である。
[0031]
 蓄熱材の蓄熱シートにおける含有比率は、蓄熱シートの蓄熱性の観点から、蓄熱シートの全質量に対して、65質量%以上であり、その中でも、75質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。また、蓄熱材の蓄熱シートにおける含有比率は、蓄熱シートの蓄熱性の観点から、蓄熱シートの全質量に対して、99.9質量%以下であることが好ましく、99質量%以下であることがより好ましく、98質量%以下であることが更に好ましい。
 蓄熱シート中における蓄熱材の含有比率の測定は、以下の方法により実施する。
 まず、蓄熱シートから蓄熱材を取り出し、蓄熱材の種類を同定する。なお、蓄熱材が複数種から構成される場合には、その混合比も同定する。同定する方法としては、NMR(Nuclear Magnetic Resonance)測定及びIR(infrared spectroscopy)測定等の公知の方法が挙げられる。また、蓄熱シートから蓄熱材を取り出す方法としては、蓄熱シートを溶媒(例えば、有機溶媒)に浸漬して蓄熱材を抽出する方法が挙げられる。
 次に、上記手順によって同定された蓄熱シート中に含まれていた蓄熱材を別途用意して、その蓄熱材単独の吸熱量(J/g)を示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定する。得られた吸熱量を、吸熱量Aとする。なお、上述したように、蓄熱材が複数種から構成される場合は、その混合比率の蓄熱材を別途用意して、上記吸熱量の測定を実施する。
 次に、蓄熱シートの吸熱量を上記と同様の方法にて測定する。得られた吸熱量を、吸熱量Bとする。
 次に、吸熱量Aに対する吸熱量Bの割合X(%){(B/A)×100}を算出する。この割合Xは、蓄熱シート中の蓄熱材の含有比率(蓄熱シートの全質量に対する、蓄熱材の含有量の割合)に該当する。例えば、仮に、蓄熱シートが蓄熱材のみから構成される場合は、吸熱量Aと吸熱量Bとは同じ値となり、上記割合X(%)は100%となる。それに対して、蓄熱シート中における蓄熱材の含有比率が所定割合である場合、吸熱量はその割合に応じた値となる。つまり、吸熱量AとBとを比較することにより、蓄熱シート中における蓄熱材の含有比率を求めることができる。
[0032]
-他の成分-
 マイクロカプセルにコア材として内包し得る他の成分としては、例えば、溶媒、及び難燃剤等の添加剤が挙げられる。
 マイクロカプセルにはコア材として他の成分を内包し得るが、蓄熱性の観点から、コア材に占める蓄熱材の含有比率は、コア材の全量に対して、80質量%~100質量%であることが好ましく、100質量%であることがより好ましい。
[0033]
(溶媒)
 マイクロカプセルは、コア材として、本開示における効果を著しく損なわない範囲で、オイル成分として溶媒を含んでいてもよい。
 溶媒としては、融点が、蓄熱シートが使用される温度領域(熱制御領域;例えば、発熱体の動作温度)から外れている既述の蓄熱材が挙げられる。即ち、溶媒は、熱制御領域において液体の状態で相変化等しないものを指し、熱制御領域内において相転移を起こして吸放熱反応が生じる蓄熱材と区別される。
[0034]
 内包成分中における溶媒の含有比率は、内包成分の全質量に対して30質量%未満が好ましく、10質量%未満であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。下限は特に制限されないが、0質量%が挙げられる。
 なお、溶媒は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0035]
(添加剤)
 マイクロカプセルにおけるコア材には、上記成分の他、必要に応じて、例えば、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、ワックス、及び、臭気抑制剤等の添加剤を内包することができる。
[0036]
~マイクロカプセルの含有比率~
 マイクロカプセルの蓄熱シート中における含有比率は、蓄熱シートの全質量に対して、70質量%以上の場合が多い。なかでも、75質量%以上が好ましい。マイクロカプセルの含有比率を75質量%以上とすることで、蓄熱シートの全質量に対する蓄熱材の存在量を増加させることができ、結果として、優れた蓄熱性を示す蓄熱シートとなる。
 マイクロカプセルの蓄熱シート中における含有比率は、蓄熱性の観点から高いことが好ましい。具体的には、マイクロカプセルの蓄熱シート中における含有比率は、80質量%以上であることが好ましく、85質量%~99質量%であることがより好ましく、90質量%~99質量%であることが更に好ましい。
 マイクロカプセルは1種類であっても2種類以上混合して使用してもよい。
[0037]
[[壁部(カプセル壁)]]
 本開示におけるマイクロカプセルは、コア材を内包する壁部(カプセル壁)を有する。
 マイクロカプセルがカプセル壁を有することで、カプセル粒子を形成し、コア部をなす既述のコア材を内包することができる。
[0038]
-カプセル壁形成材料-
 マイクロカプセルにおけるカプセル壁を形成する材料としては、ポリマーであれば特に制限はなく、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタンウレア、メラミン樹脂、及び、アクリル樹脂等が挙げられる。カプセル壁を薄くして優れた蓄熱性を付与する観点から、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタンウレア又はメラミン樹脂が好ましく、ポリウレタン、ポリウレア、又はポリウレタンウレアがより好ましい。また、壁材と蓄熱材との界面で蓄熱材の相変化又は構造変化等が生じ難くなることがある場合を防止する観点からも、ポリウレタン、ポリウレア、又はポリウレタンウレアがより好ましい。
[0039]
 また、マイクロカプセルは、変形する粒子として存在していることが好ましい。
 マイクロカプセルが変形する粒子である場合、壊れずに変形することができ、マイクロカプセルの充填率を向上させることができる。結果、蓄熱シートにおける蓄熱材の量を増やすことが可能になり、より優れた蓄熱性を実現することができる。かかる観点からは、カプセル壁を形成する材料としては、ポリウレタン、ポリウレア、又はポリウレタンウレアが好ましい。
[0040]
 マイクロカプセルが壊れずに変形するとは、変形量の程度は問わず、個々のマイクロカプセルに外圧が与えられていない状態での形状から変形が認められれば変形した状態と捉えることができる。例えば、シート内にマイクロカプセルを密に存在させようとした場合等において、シート内でマイクロカプセル同士が互いに押され合って各カプセルが圧力を受けても破壊されずに、カプセルに加わる圧力を変形により緩和し、コア材の内包状態を維持する性質をいう。
 マイクロカプセルに生じる変形には、シート内においてマイクロカプセル同士が互いに押され合った場合に、例えば、球面同士が接触して平面状の接触面ができる変形等が含まれる。
[0041]
 上記の観点から、マイクロカプセルの変形率は、10%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。また、マイクロカプセルの変形率の上限は、カプセルの物理的な強度、耐久性の観点から、80%以下としてもよい。
[0042]
~ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタンウレア~
 本開示におけるマイクロカプセルのカプセル壁は、ポリウレタン、ポリウレア、又はポリウレタンウレアを含むことが好ましい。
 ポリウレタン、ポリウレア及びポリウレタンウレアは、保存安定性の観点から、ポリイソシアネートに由来する構造を有することが好ましい。即ち、ポリウレタン、ポリウレア及びポリウレタンウレアは、保存安定性の観点から、ポリイソシアネートを用いて得られるポリマーであることが好ましい。
 なお、ポリウレタンとはウレタン結合を複数有するポリマーであり、ポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物であることが好ましい。
 また、ポリウレアとはウレア結合を複数有するポリマーであり、ポリアミンとポリイソシアネートとの反応生成物であることが好ましい。
 また、ポリウレタンウレアとはウレタン結合及びウレア結合を有するポリマーであり、ポリオールと、ポリアミンと、ポリイソシアネートとの反応生成物であることが好ましい。なお、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させる際に、ポリイソシアネートの一部が水と反応してポリアミンとなり、結果的にポリウレタンウレアが得られることがある。
[0043]
 ポリウレタン、ポリウレア及びポリウレタンウレアは、ガラス転移温度が低いため、ポリウレタン、ポリウレア又はポリウレタンウレアをカプセル壁として有するマイクロカプセルは、壊れずに変形することができる。その結果、マイクロカプセルの充填率を向上することができる。結果、蓄熱シートにおける蓄熱材の量を増やすことが可能になり、より優れた蓄熱性を実現することができる。
[0044]
 ポリウレタン、ポリウレア、及び、ポリウレタンウレアを形成する材料は、芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートからなる群から選択されることが好ましい。中でも、形成されるカプセル壁は、芳香族ポリイソシアネートに由来する構造部分及び脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分からなる群から選択される構造部分を有する、ポリウレタン、ポリウレア、又はポリウレタンウレアを含むことが好ましい。これにより、壁厚を薄くしても安定したマイクロカプセルが得られやすい。
 なお、「構造部分」とは、ウレタン反応又はウレア反応させることで得られる構造を指す。
 また、上述したように、ポリウレタン、ポリウレア、及び、ポリウレタンウレアを形成する材料としては、ポリイソシアネート(例えば、芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネート)以外に、ポリオール及びポリアミンからなる群から選択される化合物(活性水素含有化合物)が挙げられる。
[0045]
 芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、ナフタレン-1,4-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、キシリレン-1,4-ジイソシアネート、キシリレン-1,3-ジイソシアネート、4-クロロキシリレン-1,3-ジイソシアネート、2-メチルキシリレン-1,3-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、及び、4,4’-ジフェニルヘキサフルオロプロパンジイソシアネート等が挙げられる。
[0046]
 脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン-1,2-ジイソシアネート、ブチレン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,4-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、及び、水素化キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
[0047]
 以上では2官能である脂肪族ポリイソシアネート及び芳香族ポリイソシアネートとしてジイソシアネート化合物を例示したが、ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート及び芳香族ポリイソシアネートとしてジイソシアネート化合物から類推される3官能のトリイソシアネート化合物、及び4官能のテトライソシアネート化合物も含まれる。
 また、上記ポリイソシアネートと、エチレングリコール系化合物又はビスフェノール系化合物等の2官能アルコール又はフェノールと、の付加物も使用できる。
[0048]
 ポリイソシアネートを用いた縮合体、重合体又は付加体の例としては、上記の2官能イソシアネート化合物の3量体であるビューレット体又はイソシアヌレート体、トリメチロールプロパン等のポリオールと2官能イソシアネート化合物の付加体として多官能とした化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等の重合性基を有するポリイソシアネートの重合体、及び、リジントリイソシアネート等が挙げられる。
 ポリイソシアネートについては、「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治編、日刊工業新聞社発行(1987))に記載されている。
[0049]
 上記の中でも、マイクロカプセルのカプセル壁は、3官能以上のポリイソシアネートの重合物を含む態様が好ましい。
 3官能以上のポリイソシアネートとしては、例えば、3官能以上の芳香族ポリイソシアネート、及び、3官能以上の脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。3官能以上のポリイソシアネートの例としては、2官能のポリイソシアネート(分子中に2つのイソシアネート基を有する化合物)と分子中に3つ以上の活性水素基を有する化合物(例えば、3官能以上のポリオール、ポリアミン、又はポリチオール等)とのアダクト体(付加物)として3官能以上としたポリイソシアネート(アダクト型)、又は、2官能のポリイソシアネートの3量体(ビウレット型又はイソシアヌレート型)も好ましい。
 3官能以上のポリイソシアネートの具体的な例としては、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、ビウレット体、イソシアヌレート体等が挙げられる。
[0050]
 アダクト型の3官能以上のポリイソシアネートは、上市されている市販品を用いてもよく、市販品の例としては、タケネート(登録商標)D-102、D-103、D-103H、D-103M2、P49-75S、D-110N、D-120N(イソシアネート価=3.5mmol/g)、D-140N、D-160N(以上、三井化学株式会社製)、デスモジュール(登録商標)L75、UL57SP(住化バイエルウレタン株式会社製)、コロネート(登録商標)HL、HX、L(日本ポリウレタン株式会社製)、P301-75E(旭化成株式会社製)、バーノック(登録商標)D-750(DIC株式会社製)等が挙げられる。
 中でも、アダクト型の3官能以上のポリイソシアネートとして、三井化学株式会社製のタケネート(登録商標)D-110N、D-120N、D-140N、D-160N、及びDIC株式会社製のバーノック(登録商標)D-750から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
 イソシアヌレート型の3官能以上のポリイソシアネートは、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、タケネート(登録商標)D-127N、D-170N、D-170HN、D-172N、D-177N、D-204(三井化学株式会社製)、スミジュールN3300、デスモジュール(登録商標)N3600、N3900、Z4470BA(住化バイエルウレタン)、コロネート(登録商標)HX、HK(日本ポリウレタン株式会社製)、デュラネート(登録商標)TPA-100、TKA-100、TSA-100、TSS-100、TLA-100、TSE-100(旭化成株式会社製)等が挙げられる。
 ビウレット型の3官能以上のポリイソシアネートは、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、タケネート(登録商標)D-165N、NP1100(三井化学株式会社製)、デスモジュール(登録商標)N3200(住化バイエルウレタン)、デュラネート(登録商標)24A-100(旭化成株式会社製)等が挙げられる。
[0051]
 ポリオールとは、2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物であり、例えば、低分子ポリオール(例:脂肪族ポリオール、芳香族ポリオール)、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリラクトン系ポリオール、ヒマシ油系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、及び、水酸基含有アミン系化合物が挙げられる。
 なお、低分子ポリオールとは、分子量が300以下のポリオールを意味し、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、及び、プロピレングリコール等の2官能の低分子ポリオール、並びに、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、及び、ソルビトール等の3官能以上の低分子ポリオールが挙げられる。
[0052]
なお、水酸基含有アミン系化合物としては、例えば、アミノ化合物のオキシアルキル化誘導体等として、アミノアルコール等が挙げられる。アミノアルコールとしては、例えば、エチレンジアミン等のアミノ化合物のプロピレンオキサイド又はエチレンオキサイド付加物である、N,N,N’,N’-テトラキス[2-ヒドロキシプロピル]エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス[2-ヒドロキシエチル]エチレンジアミン等が挙げられる。
[0053]
 ポリアミンとは、2つ以上のアミノ基(第1級アミノ基又は第2級アミノ基)を有する化合物であり、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1,3-プロピレンジアミン、及び、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族多価アミン;脂肪族多価アミンのエポキシ化合物付加物;ピペラジン等の脂環式多価アミン;3,9-ビス-アミノプロピル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ-(5,5)ウンデカン等の複素環式ジアミンが挙げられる。
[0054]
[[カプセル壁と蓄熱材との比率]]
 マイクロカプセルにおけるカプセル壁の質量としては、コア部に含まれる蓄熱材の質量に対して、12質量%以下であることが好ましい。カプセル壁の質量が内包成分である蓄熱材に対して12質量%以下であることは、カプセル壁が薄壁であることを示す。カプセル壁を薄壁とすることで、蓄熱シート中に占める蓄熱材を内包したマイクロカプセルの含量が高められ、結果、蓄熱性により優れたものとなる。
 カプセル壁の質量は、蓄熱材の質量に対して、10質量%以下であることがより好ましい。
 また、カプセル壁の質量の下限については、制限はないが、マイクロカプセルの耐圧性を保つ観点から、コア部に含まれる蓄熱材の質量に対して、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが更に好ましい。カプセル壁の質量の特に好ましい範囲は、2質量%~12質量%である。
[0055]
 [[マイクロカプセルの物性]]
 マイクロカプセルの粒子径としては、体積基準のメジアン径(D50)で1μm~80μmであることが好ましく、10μm~70μmであることがより好ましく、15μm~50μmであることが更に好ましい。
 マイクロカプセルの体積基準のメジアン径は、分散の条件を変更すること等により、好ましく制御することができる。
 ここで、マイクロカプセルの体積基準のメジアン径とは、マイクロカプセル全体を体積累計が50%となる粒子径を閾値に2つに分けた場合に、大径側と小径側での粒子の体積の合計が等量となる径をいう。マイクロカプセルの体積基準のメジアン径は、マイクロトラックMT3300EXII(日機装株式会社製)を用いて測定される。 なお、マイクロカプセルの分取方法としては、蓄熱シートを例えば2cm×2cmに切り出し、水などのマイクロカプセルが溶解しない溶媒中に24時間以上浸漬し、得られた溶媒分散液を遠心分離することで得る。
[0056]
 マイクロカプセルの粒子径分布は、マイクロカプセルが最も隙間なく密に並ぶことができるように分布が存在していることが好ましい。
 マイクロカプセルが変形しにくい場合は、大きなマイクロカプセル間に形成される隙間を埋めるように、小さいマイクロカプセルが存在する態様が好ましい。つまり、粒度分布によっては、多分散な分布の方がよい場合がある。
 一方、マイクロカプセルが変形して隙間を埋められる場合は、マイクロカプセルが大きい方が、より厚い壁厚でより多くの蓄熱材を内包することができる。したがって、大きなマイクロカプセルを中心とした粒子径分布、即ち、大きなマイクロカプセルの分布がシャープな態様が好ましい。
[0057]
 粒子径の制御は、例えば、マイクロカプセル形成時の、油相成分の粒子径分布の制御すること、又は、油相の安定性を向上させることにより行える。また、粒子径分布を狭くするには、シリンドリカルミル等の乳化方法を行うことが考えられ、所望の乳化状態、又は、油相の粒子径を維持するために、界面活性材等の設計を工夫することもできる。
[0058]
 マイクロカプセルのカプセル壁の厚さ(壁厚)としては、0.010μm~10μmが好ましく、0.050μm~10μmがより好ましい。マイクロカプセルの壁厚が0.010μm以上であることで、コア材の漏れを防止することができる。マイクロカプセルの壁厚が10μm以下であることで、蓄熱シートにおけるマイクロカプセル、即ち蓄熱材の存在量を多くできる利点がある。
 上記と同様の観点から、マイクロカプセルの壁厚は、0.050μm~5μmが更に好ましく、0.100μm~2μmが特に好ましい。
[0059]
 壁厚は、20個のマイクロカプセルの個々の壁厚(μm)を走査型電子顕微鏡(SEM)により求めて平均した平均値をいう。 具体的には、蓄熱シートの断面切片を作製し、SEMを用いてその断面を観察し、上述した測定方法により算出したメジアン径±10%の大きさのマイクロカプセルについて、20個のマイクロカプセルを選択して、それら個々のマイクロカプセルの断面を観察して壁厚を測定して平均値を算出することにより求められる。
[0060]
上述したマイクロカプセルは、式(1)の関係を満たすことが好ましい。マイクロカプセルが式(1)を満たす場合、蓄熱シート中における蓄熱材の含有比率をより増やすことができる。
 式(1)  δ/Dm≦0.010
 δは、マイクロカプセルのカプセル壁の厚さ(μm)を表す。Dmは、マイクロカプセルの体積基準のメジアン径(μm)を表す。
 δ/Dmの下限は特に制限されないが、0.001以上の場合が多い。
[0061]
[[マイクロカプセルの製造方法]]
 本開示におけるマイクロカプセルは、例えば、以下の方法で製造できる。
 本開示におけるマイクロカプセルの製造は、カプセル壁がポリウレタン、ポリウレア又はポリウレタンウレアにより形成されている場合、蓄熱材とカプセル壁材とを含む油相を、乳化剤を含む水相に分散して乳化液を調製する工程(乳化工程)と、カプセル壁材を油相と水相との界面で重合させてカプセル壁を形成し、蓄熱材を内包するマイクロカプセルを形成する工程(カプセル化工程)と、を含む界面重合法を適用して行える。
 なお、上記カプセル壁材としては、例えば、ポリイソシアネートと、ポリオール及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1種とを含むカプセル壁材が挙げられる。なお、ポリイソシアネートの一部は、反応系中において水と反応して、ポリアミンとなってもよい。従って、カプセル壁材が少なくともポリイソシアネートを含んでいれば、その一部をポリアミンに変換して、ポリイソシアネートとポリアミンとが反応して、ポリウレアを合成することはできる。
 カプセル壁がメラミンホルムアルデヒド樹脂により形成される場合は、蓄熱材を含む油相を、乳化剤を含む水相に分散して乳化液を調製する工程(乳化工程)と、カプセル壁材を水相に添加し、乳化液滴の表面にカプセル壁材による高分子層を形成し、蓄熱材を内包するマイクロカプセルを形成する工程(カプセル化工程)を含むコアセルベーション法を適宜使用できる。
[0062]
(乳化工程)
 乳化工程では、カプセル壁がポリウレタン、ポリウレア又はポリウレタンウレアにより形成されている場合、蓄熱材とカプセル壁材とを含む油相を、乳化剤を含む水相に分散して乳化液を調製する。
 また、カプセル壁がメラミンホルムアルデヒド樹脂により形成される場合は、蓄熱材を含む油相を、乳化剤を含む水相に分散して乳化液を調製する。
[0063]
~乳化液~
 本開示における乳化液は、蓄熱材と、必要に応じてカプセル壁材と、を含む油相を、乳化剤を含む水相に分散させることにより形成される。
[0064]
(1)油相
 油相には、少なくとも蓄熱材が含まれ、必要に応じて、更にカプセル壁材、溶媒、及び/又は添加剤等の成分が更に含まれてもよい。
[0065]
 溶媒は、融点が、蓄熱シートが使用される温度領域(熱制御領域;例えば、発熱体の動作温度)から外れている既述の蓄熱材が挙げられる。
[0066]
(2)水相
 本開示の水相は、少なくとも水性媒体及び乳化剤を含むことができる。
-水性媒体-
 水性媒体としては、水、及び、水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が挙げられ、好ましくは水である。水溶性有機溶剤の「水溶性」とは、25℃の水100質量%に対する対象物質の溶解量が5質量%以上であることを意味する。
 水性媒体は、油相と水相との混合物である乳化液の全質量に対し、20質量%~80質量%が好ましく、30質量%~70質量%がより好ましく、40質量%~60質量%が更に好ましい。
-乳化剤-
 乳化剤には、分散剤もしくは界面活性剤又はこれらの組み合わせが含まれる。
 分散剤としては、例えば、後述するバインダーを挙げることができ、ポリビニルアルコールが好ましい。
 ポリビニルアルコールは、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、株式会社クラレ性のクラレポバールシリーズ(例:クラレポバールPVA-217E、クラレポバールKL-318等)等を挙げることができる。
 また、マイクロカプセルの分散性の観点から、ポリビニルアルコールの重合度は、500~5000が好ましく、1000~3000がより好ましい。
 界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、及び、両性界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 乳化剤は、膜強度が向上する点で、上述したポリイソシアネートと結合できることが好ましい。例えば、ポリイソシアネートを含むカプセル壁材を用いてマイクロカプセルを製造する場合において、乳化剤であるポリビニルアルコールはポリイソシアネートと結合できる。つまり、ポリビニルアルコール中の水酸基は、ポリイソシアネートと結合できる。
 乳化剤の濃度は、油相と水相との混合物である乳化液の全質量に対し、0質量%超20質量%以下が好ましく、0.005質量%~10質量%がより好ましく、0.01質量%~10質量%が更に好ましく、1質量%~5質量%が特に好ましい。
 なお、後述するように、乳化剤を用いて作製したマイクロカプセルが分散した分散液を使用して蓄熱シートを作製する場合、乳化剤が蓄熱シート中にバインダーとして残存する場合がある。後述するように、蓄熱シート中におけるバインダーの含有比率を低くするためには、乳化剤の使用量も、乳化性能を損なわない範囲で、少ないほうが好ましい。
 水相は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、及び、防腐剤等の他の成分を含んでいてもよい。
[0067]
~分散~
 分散は、油相を油滴として水相に分散させること(乳化)をいう。分散は、油相と水相との分散に通常用いられる手段、例えば、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル、又はその他の公知の分散装置を用いて行なうことができる。
[0068]
 油相の水相に対する混合比(油相質量/水相質量)は、0.1~1.5が好ましく、0.2~1.2がより好ましく、0.4~1.0が更に好ましい。混合比が0.1~1.5の範囲内であると、適度の粘度に保持でき、製造適性に優れ、乳化液の安定性に優れる。
[0069]
(カプセル化工程)
 カプセル化工程では、カプセル壁材を油相と水相との界面で重合させてカプセル壁を形成し、溶媒を内包するマイクロカプセルを形成する。
[0070]
~重合~
 重合は、乳化液中の油相に含まれるカプセル壁材を水相との界面で重合させる工程であり、カプセル壁が形成される。重合は、好ましくは加熱下で行われる。重合における反応温度は、通常は40℃~100℃が好ましく、50℃~80℃がより好ましい。また、重合の反応時間は、通常は0.5時間~10時間程度が好ましく、1時間~5時間程度がより好ましい。重合温度が高い程、重合時間は短くなるが、高温で分解するおそれのある内包物やカプセル壁材を使用する場合には、低温で作用する重合開始剤を選択して、比較的低温で重合させるのが望ましい。
[0071]
 重合工程中に、マイクロカプセル同士の凝集を防止するためには、水性溶液(例えば、水、酢酸水溶液等)を更に加えてマイクロカプセル同士の衝突確率を下げることが好ましく、充分な攪拌を行うことも好ましい。重合工程中に改めて凝集防止用の分散剤を添加してもよい。更に、必要に応じて、ニグロシン等の荷電調節剤、又はその他任意の補助剤を添加することができる。これらの補助剤は、カプセル壁の形成時、又は任意の時点で添加することができる。
[0072]
 本開示においては、後述するように蓄熱シートを製造する際には、マイクロカプセルと分散媒とを混合して得られるマイクロカプセル含有組成物を用いてもよい。分散媒を含むことで、マイクロカプセル含有組成物を種々の用途に用いる際に容易に配合することができる。
 分散媒は、マイクロカプセルの使用目的に応じて適宜選択することができる。分散媒としては、マイクロカプセルの壁材に影響を与えない液状成分であることが好ましく、例えば、水系溶媒、粘度調整剤、及び、安定化剤等が挙げられる。安定化剤の例としては、上記の水相に使用可能な乳化剤を挙げることができる。
 水系溶媒としては、水及びアルコール等が挙げられ、イオン交換水等を用いることができる。
 なお、マイクロカプセル含有組成物における分散媒の含有比率は、用途に応じて適宜選択すればよい。
[0073]
[バインダー]
 本開示の蓄熱シートは、マイクロカプセル以外に、マイクロカプセルの外部にバインダーを少なくとも1種を含有することが好ましい。蓄熱シートがバインダーを含有することで、耐久性を付与することができる。
 なお、上述したように、マイクロカプセルを製造する際には、ポリビニルアルコール等の乳化剤を用いてもよい。そのため、乳化剤を用いて形成されたマイクロカプセル含有組成物を用いて蓄熱シートを作製する際には、蓄熱シート中に乳化剤由来のバインダーが含まれる場合がある。
[0074]
 バインダーとしては、膜を形成できるポリマーであれば特に制限はなく、水溶性ポリマー、及び、油溶性ポリマー等が挙げられる。
 水溶性ポリマーにおける「水溶性」とは、25℃の水100質量%に対する対象物質の溶解量が5質量%以上であることを意味し、より好適な水溶性ポリマーは、溶解量が10質量%以上であることを意味する。
 また、後述する「油溶性ポリマー」とは、上記「水溶性ポリマー」以外のポリマーを意味する。
[0075]
 水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール及びその変性物、ポリアクリル酸アミド及びその誘導体、スチレン-アクリル酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、エチレン-酢酸ビニル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、エチレン-無水マレイン酸共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン-アクリル酸共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビアゴム及びアルギン酸ナトリウム等が挙げられ、ポリビニルアルコールが好ましい。
[0076]
 油溶性ポリマーとしては、例えば、国際公開第2018/207387号及び特開2007-31610号公報に記載の、蓄熱性を有するポリマーが挙げられる。具体的には、炭素数12~30などの長鎖アルキル基を有するポリマーが好ましく、炭素数12~30などの長鎖アルキル基を有するアクリル樹脂がより好ましい。
 また、上記以外にも、油溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコールの変性物、ポリアクリル酸アミドの誘導体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、エチレン-無水マレイン酸共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸共重合体、及び、スチレン-アクリル酸共重合体等が挙げられる。
[0077]
 上記の中でも、好ましいバインダーは、蓄熱シート中におけるマイクロカプセルの含有比率を70質量%以上(好ましくは75質量%以上)とする観点から、水溶性ポリマーが好ましく、ポリオールがより好ましく、ポリビニルアルコールが更に好ましい。水溶性ポリマーを用いることで、コア材をパラフィン等の油溶性材料とした油/水型(O/W(Oil in Water)型)のマイクロカプセル液を調製する際の分散性を維持したまま、シートを形成するのに適している。これにより、蓄熱シート中におけるマイクロカプセルを70質量%以上の含有比率に調整しやすい。
 ポリビニルアルコールは、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、株式会社クラレ性のクラレポバールシリーズ(例:クラレポバールPVA-217E、クラレポバールKL-318等)等が挙げられる。
[0078]
 また、バインダーがポリビニルアルコールである場合、マイクロカプセルの分散性及び膜強度の観点から、ポリビニルアルコールの重合度は、500~5000が好ましく、1000~3000がより好ましい。
[0079]
 バインダーの蓄熱シートにおける含有比率は、蓄熱シートの膜強度を維持したまま、蓄熱シート中におけるマイクロカプセルの含有比率を70質量%以上に調整しやすい観点から、0.1質量%~20質量%であることが好ましく、1質量%~11質量%であることがより好ましい。
 バインダーの含有比率は、少ないほど全質量に占めるマイクロカプセル量を多くできるため好ましい。また、バインダーの含有比率が低くなり過ぎない範囲であると、マイクロカプセルを保護し、マイクロカプセルを含む層を形成する能力を保持しやすいので、物理強度を有するマイクロカプセルが得られやすい。
[0080]
 蓄熱シート中において、マイクロカプセルの全質量に対する、バインダーの含有比率は特に制限されないが、蓄熱シートの蓄熱性がより優れる点で、15質量%以下が好ましく、11質量%以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、0.1質量%以上が好ましい。
[0081]
~分子量~
 バインダーは、膜強度の観点から、数平均分子量(Mn)が20,000~300,000であることが好ましく、20,000~150,000であることがより好ましい。
 分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される値である。
 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定は、測定装置として、HLC(登録商標)-8020GPC(東ソー(株))を用い、カラムとして、TSKgel(登録商標)Super Multipore HZ-H(4.6mmID×15cm、東ソー(株))を3本用い、溶離液として、THF(テトラヒドロフラン)を用いる。また、測定条件としては、試料濃度を0.45質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、及び測定温度を40℃とし、RI(示差屈折)検出器を用いて行う。
 検量線は、東ソー(株)の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F-40」、「F-20」、「F-4」、「F-1」、「A-5000」、「A-2500」、「A-1000」、及び「n-プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
[0082]
[他の成分]
 本開示の蓄熱シートは、必要に応じて、マイクロカプセルの外部に、熱伝導性材料、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、及び、防腐剤等の他の成分を含んでもよい。
[0083]
 マイクロカプセルの外部に有してもよい他の成分の含有比率は、蓄熱シートの全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。また、マイクロカプセルとバインダーの合計量は、蓄熱シートの全質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%~100質量%であることがより好ましく、98質量%~100質量%であることが更に好ましい。
[0084]
-熱伝導性材料-
 本開示の蓄熱シートは、マイクロカプセルの外部に、更に熱伝導性材料を含むことが好ましい。熱伝導性材料を含むことで、蓄熱後の蓄熱シートからの放熱性に優れたものとなり、熱を発する発熱体の冷却効率、冷却速度、及び、温度保持等を良好に行いやすくなる。
[0085]
 熱伝導性材料の「熱伝導性」とは、熱伝導率が10Wm -1-1以上である材料をいう。中でも、熱伝導性材料の熱伝導率は、蓄熱シートの放熱性が良好になる観点から、50Wm -1-1以上であることが好ましい。
 熱伝導率(単位:Wm -1-1)は、フラッシュ法にて25℃の温度下、日本工業規格(JIS)R1611に準拠した方法により測定される値である。
[0086]
 熱伝導性材料としては、例えば、炭素(人造黒鉛、カーボンブラック等;100~250)、カーボンナノチューブ(3000~5500)、金属(例えば、銀:420、銅:398、金:320、アルミニウム:236、鉄:84、白金:70、ステンレス鋼:16.7~20.9、ニッケル:90.9)、及び、シリコン(Si;168)等が挙げられる。
 なお、上記のカッコ内の数値は、各材料の熱伝導率(単位:Wm -1-1)を示す。
[0087]
 熱伝導性材料の蓄熱シート中における含有比率としては、蓄熱シートの全質量に対して、2質量%以上であることが好ましい。熱伝導性材料の含有比率は、蓄熱シートの蓄熱と放熱のバランスの観点から、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
[0088]
-難燃剤-
 本開示の蓄熱シートは、更に難燃剤を含むことが好ましい。難燃剤は、マイクロカプセルの内部、壁部、及び外部のいずれに含まれていても構わないが、マイクロカプセルの蓄熱性等の特性、マイクロカプセル壁部の強度等の特性を変化させない観点から、マイクロカプセルの外部に含まれることが好ましい。
 難燃剤としては、特に制限はなく、公知の材料を用いることができる。例えば、「難燃剤・難燃材料の活用技術」(シーエムシー出版)記載の難燃剤等を用いることでき、一般に、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、及び、無機系難燃剤が好ましく用いられる。電子用途でハロゲンの混入が抑制されることが望ましい場合等は、リン系難燃剤及び無機系難燃剤が好ましく用いられる。
 リン系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、及び、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート等のホスフェート系材料、その他芳香族リン酸エステル、芳香族縮合リン酸エステル、ポリリン酸塩類、ホスフィン酸金属塩、並びに、赤リン等が挙げられる。
 難燃剤の蓄熱シート中における含有比率としては、蓄熱性及び難燃性の観点から、蓄熱シートの全質量に対して、0.1質量%~20質量%であることが好ましく、1質量%~15質量%であることがより好ましく、1質量%~5質量%であることが更に好ましい。
 また、難燃剤と併用して難燃助剤を含むことも好ましい。難燃助剤としては、例えば、ペンタエリスリトール、亜リン酸、及び、22酸化4亜塩12ホウ素7水和物等が挙げられる。
[0089]
[蓄熱シートの物性]
(厚み)
 蓄熱シートの厚みとしては、1μm~1000μmであることが好ましく、1μm~500μmであることがより好ましい。
 厚みは、蓄熱シートを厚み方向と平行に裁断した裁断面をSEMで観察し、任意の点を5点測定し、5点の厚みを平均した平均値とする。
[0090]
(潜熱容量)
 本開示の蓄熱シートの潜熱容量としては、蓄熱性が高く、熱を発する発熱体の温度調節に好適である観点から、110J/ml以上が好ましく、135J/ml以上がより好ましく、145J/ml以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、400J/ml以下の場合が多い。
[0091]
 潜熱容量は、示差走査熱量測定(DSC;Differential scanning calorimetry)の結果と蓄熱シートの厚みとから算出される値である。
 なお、限られた空間内で高い蓄熱量を発現するという観点で考えた場合、蓄熱量は「J/ml(単位体積当たりの蓄熱量)」で捉えることが適切と考えられるが、電子デバイス等の用途を考慮した場合は、電子デバイスの重さも重要となる。そのため、限られた質量内において高い蓄熱性を発現するという捉え方をすると、「J/g(単位質量当たりの蓄熱量)」で捉えることが適当な場合がある。この場合には、潜熱容量としては、140J/g以上が好ましく、150J/g以上がより好ましく、160J/g以上が更に好ましく、190J/g以上が特に好ましい。上限は特に制限されないが、450J/g以下の場合が多い。
[0092]
(空隙率)
 蓄熱シートの中に空隙がある場合、空隙に相当する体積が、マイクロカプセル量が同じ場合に比べて大きくなるため、蓄熱シートが占めるスペースを少なくしたい場合には、蓄熱シートは空隙を有していないことが好ましい。蓄熱シートの体積中に占めるマイクロカプセルの体積の割合は、40体積%以上であることが好ましく、60体積%以上であることがより好ましく、80体積%以上であることが更に好ましい。上限は特に制限されないが、100体積%が挙げられる。
 かかる観点より、蓄熱シート中に占める空隙の体積の割合(空隙率)としては、50体積%以下であることが好ましく、40体積%以下であることがより好ましく、20体積%以下であることが更に好ましく、15体積%以下であることが特に好ましく、10体積%以下であることが最も好ましい。下限は特に制限されないが、0体積%が挙げられる。
[0093]
[蓄熱シートの製造方法]
 蓄熱シートの製造方法は特に制限されないが、例えば、蓄熱材を内包したマイクロカプセルと必要に応じて用いられるバインダーとを含む分散液を、基材上に塗布し、乾燥させることで作製することができる。そして、乾燥後の塗布膜を基材から剥がすことで、蓄熱シートの単体を得ることができる。
[0094]
 塗布方法としては、例えば、ダイコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、及び、カーテンコート法等が挙げられ、ブレードコート法、グラビアコート法、又は、カーテンコート法が好ましい。また、蓄熱材を内包したマイクロカプセルとバインダーとを含む分散液をキャストして層形成する方法も行うことができる。
 乾燥は、水溶媒の場合、60℃~130℃の範囲で行うことが好ましい。
 乾燥を行う工程では、マイクロカプセルを含む層(例えば、単層からなる蓄熱シート)に対して、ローラを用いて平坦化することを設けてもよい。また、ニップローラー、カレンダー等でマイクロカプセルを含む層(例えば、単層からなる蓄熱シート)に圧力をかけて膜中のマイクロカプセルの充填率を上げる操作を行ってもよい。
[0095]
 また、蓄熱シート中の空隙率を少なくするためには、変形しやすいマイクロカプセルを用いること、マイクロカプセルを含む層を形成する際の乾燥を緩やかに行うこと、又は一度に厚膜な塗布層を形成せずに、複数回に分割して塗布すること、等の方法を採用することが好ましい。
[0096]
 蓄熱シートの製造方法の好適態様の一つとして、蓄熱材と、ポリイソシアネートと、ポリオール及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1種の活性水素含有化合物と、乳化剤とを混合して、上記蓄熱材の少なくとも一部を内包したマイクロカプセルを含む分散液を作製する工程Aと、分散液に対して実質的にバインダーを加えることなく、分散液を用いて蓄熱シートを作製する工程Bと、を有する態様が挙げられる。
 上記方法によれば、バインダーの使用せずに、蓄熱シートを作製しているため、蓄熱シート中におけるマイクロカプセルの含有比率を増加させることができ、結果として、蓄熱シート中における蓄熱材の含有比率を高めることができる。
 なお、工程Aで使用される蓄熱材の全量のうち、マイクロカプセルに内包される蓄熱材の含有比率(内包率)は95質量%以上が好ましい。上限は特に制限されないが、100質量%が挙げられる。
[0097]
 工程Aで使用される材料(蓄熱材、ポリイソシアネート、ポリオール及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1種の活性水素含有化合物、並びに、乳化剤)の説明は、上述した通りである。
 また、工程Aのマイクロカプセルを製造する手順に関しても、上述した方法が挙げられる。より具体的には、工程Aの具体的な手順としては、蓄熱材とカプセル壁材(ポリイソシアネート、活性水素含有化合物)とを含む油相を、乳化剤を含む水相に分散して乳化液を調製する工程(乳化工程)と、カプセル壁材を油相と水相との界面で重合させてカプセル壁を形成し、蓄熱材を内包するマイクロカプセルを含む分散液を形成する工程(カプセル化工程)とを実施することが好ましい。
[0098]
 工程Bの手順においては、上記で作製したマイクロカプセルを含む分散液に実質的にバインダーを加えない。つまり、工程Aで得られた分散液に対して、バインダーを実質的に追加せずに、蓄熱シートの作製に用いる。ここで「実質的にバインダーを加えない」とは、分散液中のマイクロカプセル全質量に対して、バインダーの追加量が1質量%以下、好ましくは0.1質量%以下であることを意味する。なかでも、バインダーの追加量は0質量%であることが好ましい。
[0099]
 工程Bにおいて、分散液を用いて蓄熱シートを作製する手順としては、上述したように、基材上に塗布し、乾燥させることで作製することができる。
 工程Bの製造手順・製造条件の好適態様は、上述した[蓄熱シートの製造方法]で述べた通りである。
[0100]
<蓄熱部材>
 本開示の蓄熱部材は、既述の本開示の蓄熱シートと、基材と、を有している。本開示の蓄熱部材は、本開示の蓄熱シートを有するので、蓄熱性に優れている。
 蓄熱部材は、ロール形態であってもよい。また、ロール形態またはシート形態の蓄熱部材から、所望の大きさや形に切り出したり、打ち抜いたりして作製されていてもよい。
[0101]
[蓄熱シート]
 本開示の蓄熱シートの詳細については、既述の通りであるので、ここでは説明を省略する。
 蓄熱部材における蓄熱シートの厚みは、蓄熱量の観点から、蓄熱部材の厚み全体に対して、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましく、90%以上が特に好ましい。また、蓄熱部材における蓄熱シートの厚みの上限は、蓄熱量の観点から、99.9%以下が好ましく、99%以下がより好ましい。
[0102]
[基材]
 基材としては、例えば、ポリエステル(例:ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリオレフィン(例:ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリウレタン等の樹脂基材、ガラス基材、及び、金属基材等を適宜選択することができる。また、基材に対して、面方向または膜厚方向の熱伝導性を向上させ、発熱部分から蓄熱部位に速やかに熱拡散させる機能を追加することも好ましい。その場合、金属基材、および、グラファイトシート、グラフェンシートなどの熱伝導性材料を基材とすることが好ましい。
[0103]
 基材の厚みについては、特に制限はなく、目的及び場合により適宜選択すればよい。基材の厚みは、ハンドリング性の観点から、ある程度厚い方が好ましく、蓄熱量(マイクロカプセルの蓄熱シート中の含有比率)の観点からは、より薄い方が好ましい。
 基材の厚みは、1μm~100μmが好ましく、1μm~25μmがより好ましく、3μm~15μmが更に好ましい。
[0104]
 本開示の基材は、蓄熱シートとの密着性を向上させる目的で、基材の表面を処理することが好ましい。表面処理方法としては、コロナ処理、プラズマ処理、及び、易接着層の付与等が挙げられる。
 本開示における基材は、基材と蓄熱シートとの密着性が向上する点で、易接着層を有することが好ましい。易接着層は、ポリマーを有する樹脂層からなることが好ましい。本開示の蓄熱シートと基材との間に易接着層が設けられた蓄熱部材は、基材と蓄熱シートとの密着性が向上するだけでなく、後述する発熱体などの被着体と貼り合せた際に、基材と被着体との密着性も向上する。これは以下の理由によるものと推測している。
 本開示の蓄熱シートは、蓄熱材の含有比率が65質量%以上であるため、対照的に蓄熱シートが有するバインダーの比率が少ない。そのため、蓄熱部材と被着体とを貼り合せた態様とすると、外部応力を蓄熱シートのバインダーが吸収しにくく、蓄熱シートと基材との界面に集中してしまうと考えられる。これに対して、蓄熱シートと基材との間に易接着層を設けると、外部応力を易接着層が吸収できるので蓄熱部材と被着体との密着力が向上すると推察している。
 易接着層は、蓄熱シート及び基材の双方の素材と親疎水性及び親和性を有していて良く密着するものが好ましく、蓄熱シートの素材によって好ましい材料は異なる。基材と蓄熱シートとの密着力が向上する点から、易接着層が有するポリマーは、基材が有するポリマーと異なるポリマーを有することが好ましい。
 易接着層を構成するポリマーとしては、特に制限はないが、スチレン-ブタジエンゴム、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、又は、ポリビニル樹脂が好ましい。基材がポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、蓄熱シートがポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタン、及び、ポリウレアからなる群から選択される少なくとも1種を含む又はポリビニルアルコールを含む場合、易接着層を構成する材料としては、例えば、スチレン-ブタジエンゴム、又は、ウレタン樹脂が好ましく用いられる。
 易接着層は、膜強度及び密着性の観点から、架橋剤を導入することが好ましい。膜自体が凝集破壊して剥がれやすくなることを防ぎ、かつ、密着性の観点で膜を硬すぎないようにするため、架橋剤は適当な量が存在すると考えられる。
 易接着層は、基材側に基材と密着しやすい材料、蓄熱シート側に蓄熱シートと密着しやすい材料として、2種以上の材料を混合したり、2層以上の積層構成にすることもできる。
 易接着層の厚みは、基材と蓄熱シートとの密着性、および、蓄熱部材と被着体との密着力がより向上する観点から厚いことが好ましいが、厚過ぎると蓄熱部材全体としての蓄熱量が低下する。したがって、易接着層の厚みは、0.1μm~5μmが好ましく、0.5μm~2μmがより好ましい。
[0105]
[密着層]
 基材の、蓄熱シートを有する側と反対側には、密着層を有している態様とすることができる。密着層は、後述する発熱体などの被着体に、蓄熱シートを密着させるために設けることができる。
 密着層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の粘着剤を含む層(粘着層ともいう)又は接着剤(接着層ともいう)を含む層が挙げられる。
[0106]
 粘着剤の例としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、及び、シリコーン系粘着剤等が挙げられる。また、粘着剤の例として、「剥離紙・剥離フィルム及び粘着テープの特性評価とその制御技術」、情報機構、2004年、第2章に記載のアクリル系粘着剤、紫外線(UV)硬化型粘着剤、及び、シリコーン粘着剤等が挙げられる。
 なお、アクリル系粘着剤とは、(メタ)アクリルモノマーの重合体((メタ)アクリルポリマー)を含む粘着剤をいう。
 更に、粘着層には粘着付与剤が含まれていてもよい。
[0107]
 接着剤としては、例えば、ウレタン樹脂接着剤、ポリエステル接着剤、アクリル樹脂接着剤、エチレン酢酸ビニル樹脂接着剤、ポリビニルアルコール接着剤、ポリアミド接着剤、及び、シリコーン接着剤等が挙げられる。接着強度がより高いという観点から、ウレタン樹脂接着剤又はシリコーン接着剤が好ましい。
[0108]
~密着層の形成方法~
 密着層の形成方法としては、特に限定されず、基材上に密着層を転写して形成する方法、粘着剤又は接着剤を含む組成物を基材上に塗布して形成する方法等が挙げられる。
[0109]
 密着層の厚みとしては、粘着力、ハンドリング性、及び蓄熱量の観点から、0.5μm~100μmが好ましく、1μm~25μmがより好ましく、1μm~15μmが更に好ましい。
[0110]
 密着層の、基材と対向する側とは反対側の面には、剥離シートが貼り合わされていてもよい。剥離シートが貼り合わされていることで、例えば基材上にマイクロカプセル分散液を塗布する際において、基材と密着層の厚みが薄い場合のハンドリング性を向上させることができる。
 剥離シートとしては、特に制限はなく、例えば、PET又はポリプロピレン等の支持体の上にシリコーン等の離形材が付設された形態のものを好適に用いることができる。
[0111]
(保護層)
 本開示の蓄熱部材は、蓄熱シートの、基材を有する側とは反対側に、保護層を有している態様とすることができる。
 保護層を設けることで、蓄熱部材を製造する過程における傷及び折れの防止、ハンドリング性、並びに、難燃性等を付与することができる。
[0112]
 保護層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2018-202696号公報、特開2018-183877号公報、特開2018-111793号公報に記載の、公知のハードコート剤を含む層又はハードコートフィルムが挙げられる。
 また、蓄熱性の観点から、保護層は、国際公開第2018/207387号及び特開2007-031610号公報に記載の、蓄熱性を有するポリマーを有することも好ましい。
[0113]
 保護層の厚みは、蓄熱量の観点から薄い方が好ましく、50μm以下が好ましく、0.01μm~25μmがより好ましく、0.5μm~15μmが更に好ましい。
[0114]
 保護層は、公知の方法で形成することができる。
 保護層の形成は、例えば、基材と同様の素材からなる保護基材と蓄熱シートを粘着剤を介して貼り合わせてもよいし、蓄熱シート上にバインダーを含む保護層形成用組成物を塗布して塗布膜を形成することで行ってもよい。後者の場合、バインダーを含む保護層形成用組成物には、膜を形成する材料以外に溶媒を含むことが好ましい。その場合、溶媒は、乾燥工程を設けて塗布後に揮発させることが好ましい。また、バインダーを含む保護層形成用組成物には、塗布性及び難燃性を向上させる観点から、界面活性剤及び難燃剤等の添加剤を含んでもよい。また、保護層は、ひび割れし難いフレキシブル性、及び傷が付き難いハードコート性を有することが好ましい。かかる観点からは、保護層形成用組成物は、熱もしくは放射線で硬化する反応性モノマー、オリゴマー及びポリマー(例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ゴム等)、架橋剤、熱もしくは光開始剤等を含むことが好ましい。
 保護層は、マイクロカプセルを含む層を形成する際に、同時多層塗布により形成してもよい。
[0115]
(難燃層)
 本開示の蓄熱シートは、難燃層を有することが好ましい。難燃層の位置は特に限定されず、保護層と一体となっていても、別の層として設けていてもよい。別の層として設ける場合には、上記保護層と上記蓄熱シートとの間に積層されていることが好ましい。
 また、保護層と一体となっている場合には、上記保護層が難燃性の機能を有していることを意味する。特に、蓄熱材がパラフィンのような燃えやすい材料の場合には、難燃性の保護層又は難燃層を有することで、蓄熱部材全体を難燃性とすることができる。
 難燃性の保護層及び難燃層としては、難燃性であれば特に限定されないが、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、フッ素含有樹脂等の難燃性有機樹脂、及び、ガラス膜等の無機素材から形成されることが好ましい。ここで、ガラス膜は、例えば、シランカップリング剤やシロキサンオリゴマーを蓄熱シート上に塗布し、加熱、乾燥して形成することができる。
 難燃性の保護層を形成する方法としては、上記保護層の樹脂中に、難燃剤を混合して形成してもよい。難燃剤としては、上述した、蓄熱シートに含まれる難燃剤や、シリカ等の無機粒子が好ましく挙げられる。無機粒子の量、種類は、面状や膜質によって、樹脂の種類を含めて調整できる。無機粒子のサイズは、0.01μm~1μmが好ましく、0.05μm~0.2μmがより好ましく、0.1μm~0.1μmが更に好ましい。無機粒子の含有比率は、保護層全質量に対して、0.1質量%~50質量%が好ましく、1質量%~40質量%がより好ましい。
 難燃剤の保護層中における含有比率としては、蓄熱量および難燃性の観点から、保護層の全質量に対して、0.1質量%~20質量%であることが好ましく、1質量%~15質量%であることがより好ましく、1質量%~5質量%であることが更に好ましい。
 また、難燃性の保護層の厚みは、蓄熱量および難燃性の観点から、0.1μm~20μmが好ましく、0.5μm~15μmがより好ましく、0.5μm~10μmが更に好ましい。
[0116]
(潜熱容量)
 本開示の蓄熱部材の潜熱容量としては、蓄熱性が高く、熱を発する発熱体の温度調節に好適である観点から、105J/ml以上が好ましく、120J/ml以上がより好ましく、130J/ml以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが400J/ml以下の場合が多い。
[0117]
 潜熱容量は、示差走査熱量測定(DSC;Differential scanning calorimetry)の結果と蓄熱部材の厚みとから算出される値である。
 なお、限られた空間内で高い蓄熱量を発現するという観点で考えた場合、蓄熱量は「J/ml(単位体積当たりの蓄熱量)」で捉えることが適切と考えられるが、電子デバイス等の用途を考慮した場合は、電子デバイスの重さも重要となる。そのため、限られた質量内において高い蓄熱性を発現するという捉え方をすると、「J/g(単位重量当たりの蓄熱量)」で捉えることが適当な場合がある。この場合には、潜熱容量としては、蓄熱部材として、120J/g以上が好ましく、140J/g以上がより好ましく、150J/g以上が更に好ましく、160J/g以上が特に好ましい。上限は特に制限されないが、450J/g以下の場合が多い。
[0118]
<電子デバイス>
 本開示の電子デバイスは、上述の蓄熱シート、又は、蓄熱部材を含む。
 電子デバイスは、上記蓄熱シート及び蓄熱部材以外の他の部材を含んでいてもよい。他の部材としては、発熱体、熱伝導材料、接着剤、及び、基材などが挙げられる。電子デバイスは、発熱体、及び、熱伝導材料の少なくとも1つを含むことが好ましい。
 電子デバイスの好適態様の一つとしては、蓄熱部材と、蓄熱部材上に配置された熱伝導材料と、熱伝導材料における蓄熱部材とは反対の面側に配置された発熱体とを有する態様が挙げられる。
 上述の蓄熱部材が保護層を有する場合において、本開示の電子デバイスの好適態様の一つとしては、上述の蓄熱部材と、上記蓄熱部材における上記保護層とは反対の面側に配置された金属板と、上記金属板における上記蓄熱部材とは反対の面側に配置された発熱体と、を有する態様が挙げられる。換言すると、保護層、蓄熱シート、金属板、及び、発熱体がこの順に積層されている態様が好ましい。
 蓄熱部材(蓄熱シート及び保護層)については、上述した通りである。
[0119]
[発熱体]
 発熱体は、電子デバイスにおける発熱する場合がある部材であって、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、SRAM(Static Random Access Memory)及びRF(Radio Frequency)デバイス等のSoC(Systems on a Chip)、カメラ、LEDパッケージ、パワーエレクトロニクス、並びに、バッテリー(特にリチウムイオン二次電池)が挙げられる。
 発熱体は、蓄熱部材と接触するように配置されていてもよいし、他の層(例えば、後述する熱伝導材料)を介して蓄熱部材に配置されていてもよい。
[0120]
[熱伝導材料]
 電子デバイスは、さらに、熱伝導材料を有することが好ましい。
 熱伝導材料とは、発熱体から生じた熱を別の媒体に伝導する機能を有する。
 熱伝導材料の「熱伝導性」とは、熱伝導率が10Wm -1-1以上である材料であることが好ましい。熱伝導率(単位:Wm -1-1)は、フラッシュ法にて25℃の温度下、日本工業規格(JIS)R1611に準拠した方法により測定される値である。
 熱伝導材料としては、金属板、放熱シート、及び、シリコングリースなどが挙げられ、金属板、又は、放熱シートが好ましい。
-金属板-
 金属板は、発熱体の保護、及び、発熱体から生じた熱を蓄熱シートに伝導する機能を有する。
 金属板における発熱体が設けられた面とは反対側の面は、蓄熱シートと接触していてもよいし、他の層(例えば、放熱シート、密着層、又は、基材)を介して蓄熱シートが配置されていてもよい。
 金属板を構成する材料としては、アルミニウム、銅、及び、ステンレスが挙げられる。
-放熱シート-
 放熱シートは、発熱体から生じた熱を別の媒体に伝導する機能を有するシートであり、放熱材を有することが好ましい。放熱材としては、カーボン、金属(例えば、銀、銅、アルミニウム、鉄、白金、ステンレス、ニッケル)、及び、シリコンなどが挙げられる。
 放熱シートの具体例としては、銅箔シート、金属皮膜樹脂シート、金属含有樹脂シート及び、グラフェンシートが挙げられ、グラフェンシートが好ましく用いられる。放熱シートの厚みは特に制限されないが、10~500μmが好ましく、20~300μmがより好ましい。
[0121]
[他の部材]
 電子デバイスは、保護層、蓄熱シート、金属板、及び、発熱体以外の他の部材を含んでいてもよい。他の部材としては、放熱シート、基材、及び、密着層が挙げられる。基材及び密着層については、上述した通りである。
[0122]
 電子デバイスは、蓄熱シートと金属板との間に、放熱シート、基材、及び、密着層からなる群より選択される少なくとも1種の部材を有していてもよい。蓄熱シートと金属板との間に、放熱シート、基材、及び、密着層のうち、2つ以上の部材が配置される場合には、蓄熱シート側から金属板側に向かって、基材、密着層、及び、放熱シートがこの順になるように配置されるのが好ましい。
 また、電子デバイスは、金属板と発熱体との間に、放熱シートを有していてもよい。
実施例
[0123]
 以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
 なお、マイクロカプセルの粒子径D50及び壁厚の測定は、既述した方法により行った。
[0124]
(実施例1~2)
-マイクロカプセル分散液の調製-
 ヘキサデカン(潜熱蓄熱材;融点18℃、炭素数16の脂肪族炭化水素)100質量部を60℃に加熱溶解し、溶液Aを得た。
 次に、酢酸エチル1質量部に溶解したエチレンジアミンのプロピレンオキシド付加物(N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、アデカポリエーテルEDP-300、株式会社ADEKA)1質量部を、攪拌している溶液Aに加えて溶液Bを得た。さらに、メチルエチルケトン3質量部に溶解したトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(バーノックD-750、DIC株式会社)10質量部を、攪拌している溶液Bに加え、溶液Cを得た。
 そして、水150質量部に乳化剤としてポリビニルアルコール(クラレポバール(登録商標)PVA-217E(株式会社クラレ製、重合度1700;PVA)6質量部を溶解した溶液中に、上記の溶液Cを加えて、乳化分散した。乳化分散後の乳化液に水300質量部を加え、攪拌しながら70℃まで加温し、1時間攪拌を継続した後、30℃に冷却した。冷却後の液に更に水を加えて濃度を調整し、ポリウレタンウレアのカプセル壁を有するヘキサデカン内包マイクロカプセル分散液を得た。
[0125]
 ヘキサデカン内包マイクロカプセル分散液の固形分濃度は、21質量%であった。
 また、ヘキサデカン内包マイクロカプセルのカプセル壁の質量は、内包されたヘキサデカンの質量に対して、11質量%であった。
[0126]
 得られたヘキサデカン内包マイクロカプセル分散液をマイクロカプセル液1とした。マイクロカプセル液1におけるマイクロカプセルの体積基準でのメジアン径D50は、15μmであった。
[0127]
 上記で得たヘキサデカン内包マイクロカプセル分散液とカーボンブラック(デンカ ブラック(登録商標)、デンカ株式会社製;熱伝導性材料)3質量部とを混合し、マイクロカプセル液2を得た。
[0128]
-蓄熱シート及び蓄熱部材の作製-
 上記のようにして得たマイクロカプセル液1又はマイクロカプセル液2をそれぞれ、厚み5μmのPET基材の上に、乾燥後の質量が100g/m となるように、バーコーターにより塗布し、乾燥させて、PET基材上に蓄熱シート1又は蓄熱シート2を有する蓄熱部材1、2を作製した。
 作製した蓄熱部材1、2の各PET基材を剥離し、蓄熱シート1及び蓄熱シート2を得た。
 なお、上記手順においては、分散液に対して実質的にバインダーを加えることなく、分散液を用いて蓄熱シートを作製している。
 得られた蓄熱シート1及び蓄熱シート2の各々に占めるヘキサデカン(潜熱蓄熱材)の含有比率は、各蓄熱シートの全質量に対して、それぞれ85質量%、83質量%であった。また、得られた蓄熱シート1及び蓄熱シート2の各々に占めるマイクロカプセルの含有比率は、各蓄熱シートの全質量に対して、それぞれ95質量%、92.5質量%であった。
 また、得られた蓄熱シート2中におけるカーボンブラックの含有比率は、蓄熱シートの全質量に対して、2.5質量%である。
 また、蓄熱シート1及び蓄熱シート2においては、それぞれバインダーとしてポリビニルアルコールが含まれる。このポリビニルアルコールは、乳化剤として用いた化合物である。得られた蓄熱シート1及び蓄熱シート2の各々に占めるポリビニルアルコールの含有比率は、各蓄熱シートの全質量に対して、それぞれ5質量%、5質量%であった。
[0129]
-潜熱容量の測定-
 上記のようにして得られた蓄熱シート1及び蓄熱シート2の潜熱容量を、示差走査熱量測定(DSC)の結果と蓄熱シートの厚みとからそれぞれ算出した。
 結果、得られた蓄熱シート1及び蓄熱シート2の潜熱容量は、それぞれ155J/ml(197J/g)及び150J/ml(190J/g)であった。
 また、得られた蓄熱シートは、別途用意した他の基材に付設して蓄熱部材として用いた。
[0130]
(実施例3~4)
-マイクロカプセル分散液の調製-
 エイコサン(潜熱蓄熱材;融点37℃、炭素数20の脂肪族炭化水素)100質量部を60℃に加熱溶解し、酢酸エチル120質量部を加えた溶液A2を得た。
 次に、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(アデカポリエーテルEDP-300、株式会社ADEKA)0.1質量部を、攪拌している溶液A2に加えて溶液B2を得た。さらに、メチルエチルケトン1質量部に溶解したトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(バーノックD-750、DIC株式会社)10質量部を、攪拌している溶液B2に加え、溶液C2を得た。
 そして、水140質量部に乳化剤としてポリビニルアルコール(クラレポバール(登録商標)KL-318(株式会社クラレ製;PVA)10質量部を溶解した溶液中に、上記の溶液C2を加えて、乳化分散した。乳化分散後の乳化液に水250部を加え、攪拌しながら70℃まで加温し、1時間攪拌を継続した後、30℃に冷却した。冷却後の液に更に水を加えて濃度を調整し、ポリウレタンウレアのカプセル壁を有するエイコサン内包マイクロカプセル分散液を得た。
[0131]
 エイコサン内包マイクロカプセル分散液の固形分濃度は、19質量%であった。
 また、エイコサン内包マイクロカプセルのカプセル壁の質量は、内包されたエイコサンの質量に対して、10質量%であった。
[0132]
 得られたエイコサン内包マイクロカプセル液分散液をマイクロカプセル液3とした。マイクロカプセルの体積基準でのメジアン径D50は、20μmであった。
 次いで、マイクロカプセル分散液3とカーボンブラック(デンカ ブラック(登録商標)、デンカ株式会社製;熱伝導性材料)3質量部とを混合し、マイクロカプセル液4を調製した。
[0133]
-蓄熱シート及び蓄熱部材の作製-
 得られたマイクロカプセル液3又はマイクロカプセル液4をそれぞれ、一方面に粘着層及び剥離フィルムを有するPET基材(GL-10、日栄加工社製)の他方面に、乾燥後の質量が200g/m となるように、バーコーターにより塗布し、乾燥させて、PET基材上に蓄熱シート3又は蓄熱シート4を有する蓄熱部材3、4を作製した。
 作製した蓄熱部材3、4の各PET基材を剥離し、蓄熱シート3及び蓄熱シート4を得た。
[0134]
-潜熱容量の測定-
 得られた蓄熱シート3、蓄熱シート4、蓄熱部材3及び蓄熱部材4の潜熱容量を、示差走査熱量測定(DSC)の結果と蓄熱シート及び蓄熱部材の厚みとから算出した。
 結果を後述する表に示す。
 また、得られた蓄熱部材は、別途用意した他の基材に付設して用いた。
[0135]
(実施例5~6)
 実施例3において、エイコサンの量を100質量部から72質量部に変更し、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(アデカポリエーテルEDP-300)の量を0.1質量部から0.05質量部に変更し、バーノックD-750(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物)の量を10質量部から4.0質量部に変更し、かつ、ポリビニルアルコール(クラレポバールKL-318)の量を10質量部から7.4質量部に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、エイコサン内包マイクロカプセル分散液を調製した。
 この際、エイコサン内包マイクロカプセル分散液の固形分濃度は、14質量%であった。
 また、エイコサン内包マイクロカプセルのカプセル壁の質量は、内包されたエイコサンの質量に対して、6質量%であった。
[0136]
 得られたマイクロカプセル液分散液をマイクロカプセル液5とした。マイクロカプセルの体積基準でのメジアン径D50は、20μmであった。
 次いで、マイクロカプセル分散液5とカーボンブラック(デンカ ブラック(登録商標)、デンカ株式会社製;熱伝導性材料)3質量部とを混合し、マイクロカプセル液6を調製した。
[0137]
-蓄熱シート及び蓄熱部材の作製-
 得られたマイクロカプセル液5又はマイクロカプセル液6をそれぞれ、1000質量部に対して、側鎖アルキルベンゼンスルホン酸アミン塩(ネオゲンT、第一工業製薬)を1.5質量部、ナトリウム=ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル)=2-スルフイナトオキシスクシナート(W-AHE、富士フイルム株式会社製)を0.15質量部、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(ノイゲンLP-90、第一工業製薬)0.15質量部を加え、一方面に粘着層及び剥離フィルムを有するPET基材(GL-10、日栄加工社製)の他方面に、乾燥後の質量が133g/m となるように、バーコーターにより塗布し、乾燥させて、PET基材上に蓄熱シート5又は蓄熱シート6を有する蓄熱部材5、6を作製した。
 作製した蓄熱部材5、6の各PET基材を剥離し、蓄熱シート5及び蓄熱シート6を得た。
[0138]
-潜熱容量の測定-
 得られた蓄熱シート5、蓄熱シート6、蓄熱部材5及び蓄熱部材6の潜熱容量を、示差走査熱量測定(DSC)の結果と蓄熱シートの厚みとから算出した。
 結果を後述する表に示す。
 また、得られた蓄熱部材は、別途用意した他の基材に付設して用いた。
[0139]
(実施例7)
 実施例5で得られたマイクロカプセル液5に、更に、ポリブチルスチレンゴム3.8質量部をメチルエチルケトン30質量部に溶解した溶液を加え、マイクロカプセル液7とした。マイクロカプセルの体積基準でのメジアン径D50は、20μmであった。
 また、エイコサン内包マイクロカプセルのカプセル壁の質量は、内包されたエイコサンの質量に対して、6質量%であった。
[0140]
-蓄熱シート及び蓄熱部材の作製-
 得られたマイクロカプセル液7を、一方面に粘着層及び剥離フィルムを有するPET基材(GL-10、日栄加工社製)の他方面に、乾燥後の質量が133g/m となるように、バーコーターにより塗布し、乾燥させて、PET基材上に蓄熱シート7を有する蓄熱部材7を作製した。
 作製した蓄熱部材7のPET基材を剥離し、蓄熱シート7を得た。
[0141]
-潜熱容量の測定-
 得られた蓄熱シート7及び蓄熱部材7の潜熱容量を、示差走査熱量測定(DSC)の結果と蓄熱シートの厚みとから算出した。結果を後述する表に示す。
 得られた蓄熱部材7は、別途用意した他の基材に付設して用いた。
[0142]
(比較例1~2)
 実施例3において、エイコサンの量を100質量部から75質量部に変更し、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(アデカポリエーテルEDP-300)の量を0.1質量部から0.31質量部に変更し、バーノックD-750(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物)の量を10質量部から24.7質量部に変更し、かつ、ポリビニルアルコール(クラレポバールKL-318)の量を10質量部から40質量部に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、マイクロカプセル液を調製した。
 この際、エイコサン内包マイクロカプセル分散液の固形分濃度は、22質量%であった。
 また、エイコサン内包マイクロカプセルのカプセル壁の質量は、内包するエイコサンの質量に対して、33質量%であった。
[0143]
 得られたマイクロカプセル液分散液をマイクロカプセル液C1とした。マイクロカプセルの体積基準でのメジアン径D50は、20μmであった。
 次いで、マイクロカプセル分散液C1とカーボンブラック(デンカ ブラック(登録商標)、デンカ株式会社製)3質量部とを混合し、マイクロカプセル液C2を調製した。
[0144]
-蓄熱シート及び蓄熱部材の作製-
 得られたマイクロカプセル液C1又はマイクロカプセル液C2をそれぞれ、実施例5と同様の調液を行い、一方面に粘着層及び剥離フィルムを有するPET基材(GL-10、日栄加工社製)の他方面に、乾燥後の質量が133g/m となるように、バーコーターにより塗布し、乾燥させて、PET基材上に蓄熱シートC1又は蓄熱シートC2を有する蓄熱部材C1、C2を作製した。
 作製した蓄熱部材C1、C2の各PET基材を剥離し、蓄熱シートC1及び蓄熱シートC2を得た。
[0145]
-潜熱容量の測定-
 得られた蓄熱シートC1、蓄熱シートC2、蓄熱部材C1及び蓄熱部材C2の潜熱容量を、示差走査熱量測定(DSC)の結果と蓄熱シートの厚みとから算出した。結果を後述する表に示す。
 また、得られた蓄熱部材は、別途用意した他の基材に付設して用いた。
[0146]
(比較例3)
 特開2001-200247号公報の段落0020~0021に記載の方法に基づいて、蓄熱材としてエイコサンを用い、カプセル壁材がメラミン樹脂であるマイクロカプセル(粒子径3μm)を含む固形分濃度40質量%のマイクロカプセル分散液を調製し、調製したマイクロカプセル分散液100質量部と、アクリル-スチレン系バインダー20質量部と、からなるマイクロカプセル液C3を作製した。マイクロカプセル分散液の固形分濃度は、50質量%であった。
 また、マイクロカプセルのカプセル壁の質量は、内包されたエイコサンの質量に対して、22質量%であった。
[0147]
 得られたマイクロカプセル液C3を、一方面に粘着層及び剥離フィルムを有するPET基材(GL-10、日栄加工社製)の他方面に、乾燥後の質量が133g/m となるように、バーコーターにより塗布し、乾燥させて、PET基材上に蓄熱シートC3を有する蓄熱部材C3を作製した。
 作製した蓄熱部材C3のPET基材を剥離し、蓄熱シートC3を得た。
[0148]
-潜熱容量の測定-
 得られた蓄熱シートC3の潜熱容量を、示差走査熱量測定(DSC)の結果と蓄熱シートの厚みとから算出した。結果を後述する表に示す。
 また、得られた蓄熱部材は、別途用意した他の基材に付設して用いた。
[0149]
 後述する表中、「マイクロカプセルの含有比率(体積%)」は、蓄熱シート全質量に対するマイクロカプセルの含有比率(体積%)を表す。
 後述する表中、「マイクロカプセルの含有比率(質量%)」は、蓄熱シート全質量に対するマイクロカプセルの含有比率(質量%)を表す。
 後述する表中、「カーボンブラック(質量%)」は、蓄熱シート全質量に対するカーボンブラックの含有比率(質量%)を表す。
 後述する表中、「その他(質量%)」は、蓄熱シート中におけるマイクロカプセル、バインダー、カーボンブラック以外の成分の蓄熱シート全質量に対する含有比率(質量%)を表す。
[0150]
[表1]



[0151]
(実施例8)
 実施例5において、冷却後の液に更に水を加えて濃度を調整する際の水の代わりに、水と、タイエンE(太平化学産業(株)製、難燃剤)を20質量%分散した水溶液を用いて濃度調整し、且つ、タイエンEが、タイエンE及びエイコサン内包マイクロカプセルを含む分散液中の全固形分に対して5質量%となるように濃度調整を行ったこと以外は、実施例5と同様にして、蓄熱シート8を作製した。
[0152]
(実施例9~11)
 実施例8において、タイエンEの代わりに、タイエンK(太平化学産業(株)製、難燃剤;実施例9)、タイエンN(太平化学産業(株)製、難燃剤;実施例10)、又はタイエンEとAPA100(太平化学産業(株)製、難燃剤)の2:1混合材料(実施例11)を用いたこと以外は、実施例8と同様にして、蓄熱シート9~11を作製した。
[0153]
(実施例12)
 リンテック株式会社製の光学粘着シートMO-3015(厚み:5μm)を厚み12μmのPET基材に貼り付けて粘着層を形成し、PET基材の粘着層を有する側とは反対側の面に、Nippol Latex LX407C4E(日本ゼオン株式会社製)とNippol Latex LX407C4C(日本ゼオン株式会社製)とアクアブリッド EM-13(ダイセルファインケム株式会社)とを固形分濃度で22:77.5:0.5[質量基準]となるように混合溶解した水溶液を塗布し、115℃で2分間乾燥して、厚み1.3μmのスチレン-ブタジエンゴム系樹脂からなる易接着層を形成した粘着層つきPET基材(A)を用意した。
 実施例5において、PET基材を、上記の粘着層つきPET基材(A)に変更したこと以外は、実施例5と同様にして、蓄熱部材12を作製した。
[0154]
(実施例13)
 実施例11において、PET基材を、上記の粘着層つきPET基材(A)に変更したこと以外は、実施例11と同様にして、蓄熱部材13を作製した。
[0155]
(実施例14)
 純水22.3質量部、エタノール32.5質量部、酢酸3.3質量部、及びKR-516(信越化学工業株式会社製、シロキサンオリゴマー)41.9質量部を溶解し、12時間撹拌することにより、保護層形成用組成物Aを調製した。次いで、実施例12で作製した蓄熱部材12において、蓄熱シートの粘着層つきPET基材(A)を有する側とは反対側に保護層形成用組成物Aを塗布し、100℃で10分間乾燥させて厚み8μmの難燃性保護層を形成し、蓄熱部材14を作製した。
[0156]
(実施例15)
 KYNAR Aquatec ARC(Arkema社製、固形分濃度44質量%;フッ素含有樹脂)35.8質量部に、エポクロス WS-700(日本触媒株式会社製、固形分濃度25%;硬化剤)31.6質量部、タイエンE(太平化学産業(株)製;難燃剤)29.6質量部、及びノイゲンLP-70(第一工業製薬(株)製(固形分濃度2質量%水溶液に希釈);界面活性剤)3.0質量部を溶解、分散することにより保護層形成用組成物Bを調製した。
 次いで、実施例12で作製した蓄熱部材12において、蓄熱シートの粘着層つきPET基材(A)を有する側とは反対側に保護層形成用組成物Bを塗布し、100℃で3分間乾燥させて厚み8μmの難燃性保護層を形成し、蓄熱部材15を作製した。
[0157]
(実施例16)
 純水68.0質量部にX-12-1098(信越化学工業株式会社製;シランカップリング剤)30.0質量部、及びノイゲンLP-70(第一工業製薬株式会社製(固形分濃度2%水溶液に希釈);界面活性剤)2.0質量部を溶解して保護層形成用組成物Cを調製した。
 実施例12で作製した蓄熱部材12において、蓄熱シートの粘着層つきPET基材(A)を有する側とは反対側に保護層形成用組成物Cを塗布し、100℃で3分間乾燥させて厚み1μmの難燃性保護層を形成し、蓄熱部材16を作製した。
[0158]
(実施例17)
 純水68.0質量部にX-12-1098(信越化学工業株式会社製)30.0質量部、ノイゲンLP-70(第一工業製薬株式会社製(固形分濃度2質量%に希釈して使用);界面活性剤)2.0質量部を溶解した後、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH9.0に調整後、1時間撹拌した。その後、1mol/Lの塩酸水を添加してpH3.2とすることで、保護層形成用組成物Dを調製した。
 実施例12で作製した蓄熱部材12において、蓄熱シートの粘着層つきPET基材(A)を有する側とは反対側に保護層形成用組成物Dを塗布し、100℃で3分間乾燥させて厚み3μmの難燃性保護層を形成し、蓄熱部材17を作製した。
[0159]
(実施例18)
 実施例15において、難燃性保護層を2μmにした以外は同様にして、蓄熱部材18を作製した。
[0160]
(実施例19)
 実施例15において、難燃性保護層を5μmにした以外は同様にして、蓄熱部材19を作製した。
[0161]
(実施例20)
 実施例15において、難燃性保護層を15μmにした以外は同様にして、蓄熱部材20を作製した。
[0162]
(実施例21)
 純水68.1質量部に、酢酸0.4質量部、X-12-1098(信越化学工業株式会社製)27.0質量部、KBE-04(信越化学工業株式会社製;シランカップリング剤)3.0質量部、ノイゲンLP-70(第一工業製薬株式会社製(固形分濃度2質量%に希釈して使用);界面活性剤)1.5質量部を溶解した後、2時間撹拌して保護層形成用組成物Eを作製した。実施例12で作製した蓄熱部材において、蓄熱シートの粘着層つきPET基材(A)とは反対側の面に、保護層形成組成物Eを塗布、100℃で3分乾燥し、3μmの難燃性保護層を形成して、蓄熱部材21を作製した。
[0163]
(実施例22)
 実施例21において、保護層を6μmにした以外は同様にして、蓄熱部材22を作製した。
[0164]
(実施例23)
 純水68.1質量部に、酢酸0.4質量部、X-12-1098(信越化学工業株式会社製)24.0質量部、KBE-04(信越化学工業株式会社製;シランカップリング剤)6.0質量部、ノイゲンLP-70(第一工業製薬株式会社製(固形分濃度2質量%に希釈して使用);界面活性剤)1.5質量部を溶解した後、2時間撹拌して保護層形成用組成物Fを作製した。実施例12で作製した蓄熱部材において、蓄熱シートの粘着層つきPET基材(A)を有する側とは反対側の面に、保護層形成組成物Fを塗布、100℃で3分乾燥し、3μmの難燃性保護層を形成して、蓄熱部材23を作製した。
[0165]
(実施例24)
 実施例23において、難燃性保護層を6μmにした以外は同様にして、蓄熱部材24を作製した。
[0166]
(実施例25)
 純水68.1質量部に、酢酸0.4質量部、X-12-1098(信越化学工業株式会社製)21.0質量部、KBE-04(信越化学工業株式会社製;シランカップリング剤)9.0質量部、ノイゲンLP-70(第一工業製薬株式会社製(固形分濃度2質量%に希釈して使用);界面活性剤)1.5質量部を溶解した後、2時間撹拌して保護層形成用組成物Gを作製した。実施例12で作製した蓄熱部材において、蓄熱シートの粘着層つきPET基材(A)を有する側とは反対側の面に、保護層形成組成物Gを塗布、100℃で3分乾燥し、3μmの難燃性保護層を形成して、蓄熱部材25を作製した。
[0167]
(実施例26)
 実施例25において、難燃性保護層を6μmにした以外は同様にして、蓄熱部材26を作製した。
[0168]
(実施例27)
 純水68.1質量部に、酢酸0.4質量部、X-12-1098(信越化学工業株式会社製)15.0質量部、KBE-04(信越化学工業株式会社製;シランカップリング剤)15.0質量部、ノイゲンLP-70(第一工業製薬株式会社製(固形分濃度2質量%に希釈して使用);界面活性剤)1.5質量部を溶解した後、2時間撹拌して保護層形成用組成物Hを作製した。実施例12で作製した蓄熱部材において、蓄熱シートの粘着層つきPET基材(A)を有する側とは反対側の面に、保護層形成組成物Hを塗布、100℃で3分乾燥し、3μmの難燃性保護層を形成して、蓄熱部材27を作製した。
[0169]
(実施例28)
 実施例27において、難燃性保護層を6μmにした以外は同様にして、蓄熱部材26を作製した。
[0170]
(実施例29)
 純水68.1質量部に、酢酸0.4質量部、X-12-1098(信越化学工業株式会社製)24.0質量部、KBE-04(信越化学工業株式会社製;シランカップリング剤)6.0質量部、ノイゲンLP-70(第一工業製薬株式会社製(固形分濃度2質量%に希釈して使用);界面活性剤)1.5質量部を溶解した後、2時間撹拌して作成して液Jとし、純水8質量部と、液Jを67質量部、スノーテックスOYL(日産化学工業製、シリカ粒子)25質量部を混合して作製した塗布液を保護層形成用組成物Kとした。実施例12で作製した蓄熱部材において、蓄熱シートの粘着層つきPET基材(A)を有する側とは反対側の面に、保護層形成組成物Kを塗布、100℃で3分乾燥し、3μmの難燃性保護層を形成して、蓄熱部材29を作製した。
[0171]
(実施例30)
 実施例29において、難燃性保護層を6μmにした以外は同様にして、蓄熱部材30を作製した。
[0172]
 蓄熱部材5、8~30、比較例1~3について、蓄熱部材としての難燃性と粘着力と蓄熱量を評価した。
(難燃性)
 蓄熱部材5、8~30における剥離フィルムを剥離し、粘着層側の面を0.3mm厚のアルミ板に貼り付け、蓄熱部材側から接炎したこと以外は、UL94HB規格(Underwriters Laboratories Inc.)により試験を行い、合否を判定した。
 なお、表2~表5において、「Pass」は合格を示し、「Fail」は不合格を示す。
(密着力(粘着力))
 蓄熱部材5、8~30における剥離フィルムを剥離し、粘着層側の面をSUS304に貼り付け、日本工業規格(JIS)-Z0237の規格に従い、SUS304基材に対する密着力を、貼り付け1分後、180°ピール、300mm/minの条件にて測定した。
[0173]
[表2]


[0174]
[表3]


[0175]
[表4]


[0176]
[表5]


[0177]
 表1より、蓄熱材の含有比率が65質量%以上とした実施例1~7が、比較例1~3よりも蓄熱量に優れることがわかる。
 表2~表5より、難燃剤、難燃性保護層の導入により蓄熱部材に難燃性を付与できることが分かる。 
[0178]
 実施例5、8~30で作製した蓄熱部材について、PET基材に隣接する粘着層をCPUの金属カバー面に貼着したところ、CPUが発熱しても蓄熱シート面は熱くならないことを確認した。
[0179]
 n-エイコサンをn-ヘプタデカン(融点22℃、炭素数17の脂肪族炭化水素)、n-オクタデカン(融点28℃、炭素数18の脂肪族炭化水素)、n-ノナデカン(融点32℃、炭素数19の脂肪族炭化水素)、n-ヘンイコサン(融点40℃、炭素数21の脂肪族炭化水素)、n-ドコサン(融点44℃、炭素数22の脂肪族炭化水素)、n-トリコサン(融点48~50℃、炭素数23の脂肪族炭化水素)、n-テトラコサン(融点52℃、炭素数24の脂肪族炭化水素)、n-ペンタコサン(融点53~56℃、炭素数25の脂肪族炭化水素)、n-ヘキサコサン(融点60℃、炭素数26の脂肪族炭化水素)にそれぞれ変更し、実施例1と同様に蓄熱部材を作製し、上記と同様に試験しても、同様の効果が得られる。

産業上の利用可能性

[0180]
 本開示の蓄熱シート及び蓄熱部材は、例えば、電子機器内の発熱部の表面温度を任意の温度域に保持させることにより、安定作動させるための蓄熱放熱部材として用いることができ、更には、日中の急激な温度上昇又は室内での暖冷房時の温調に適した例えば床材、屋根材、壁材等の建材;環境温度の変化又は運動時もしくは安静時の体温変化等に応じた調温に適した例えば下着、上着、防寒着、手袋等の衣類;寝具;不要な排出熱を蓄えて熱エネルギーとして利用する排熱利用システム、等の用途に好適に用いることができる。

請求の範囲

[請求項1]
 蓄熱材を含む蓄熱シートであって、
 前記蓄熱シートは、前記蓄熱材の少なくとも一部を内包するマイクロカプセルを含み、
 前記蓄熱シートの全質量に対する前記蓄熱材の含有比率が65質量%以上である、蓄熱シート。
[請求項2]
 更に、バインダーを含む請求項1に記載の蓄熱シート。
[請求項3]
 前記バインダーが、水溶性ポリマーである請求項2に記載の蓄熱シート。
[請求項4]
 前記水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコールである請求項3に記載の蓄熱シート。
[請求項5]
 前記バインダーの含有比率が、前記マイクロカプセルの全質量に対して、15質量%以下である請求項2~請求項4のいずれか1項に記載の蓄熱シート。
[請求項6]
 蓄熱シートの全質量に対する前記マイクロカプセルの含有比率が75質量%以上である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の蓄熱シート。
[請求項7]
 前記マイクロカプセルのカプセル壁の質量が、前記蓄熱材の質量に対して、12質量%以下である請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の蓄熱シート。
[請求項8]
 前記マイクロカプセルのカプセル壁が、ポリウレタンウレア、ポリウレタン、及び、ポリウレアからなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の蓄熱シート。
[請求項9]
前記マイクロカプセルが式(1)の関係を満たす、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の蓄熱シート。
 式(1)  δ/Dm≦0.010
 δは、前記マイクロカプセルのカプセル壁の厚さ(μm)を表す。Dmは、前記マイクロカプセルの体積基準のメジアン径(μm)を表す。
[請求項10]
 前記蓄熱シートの全質量に対する前記蓄熱材の含有比率が80質量%以上である請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の蓄熱シート。
[請求項11]
 更に、熱伝導性材料を含む請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の蓄熱シート。
[請求項12]
 前記蓄熱材の全質量に対して、融点が0℃以上の直鎖状の脂肪族炭化水素の含有量が、98質量%以上である請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の蓄熱シート。
[請求項13]
 潜熱容量が、135J/ml以上である請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の蓄熱シート。
[請求項14]
 潜熱容量が、160J/g以上である請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の蓄熱シート。
[請求項15]
 請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の蓄熱シートと、基材と、を有する蓄熱部材。
[請求項16]
 前記基材の、前記蓄熱シートを有する側とは反対側に密着層を有する請求項15に記載の蓄熱部材。
[請求項17]
 前記基材と前記蓄熱シートとの間に、易接着層を有する請求項15又は請求項16に記載の蓄熱部材。
[請求項18]
 更に、保護層を有する請求項15~請求項17のいずれか1項に記載の蓄熱部材。
[請求項19]
 請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の蓄熱シート、又は、請求項15~請求項18のいずれか1項に記載の蓄熱部材を含む、電子デバイス。
[請求項20]
 蓄熱材と、ポリイソシアネートと、ポリオール及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1種の活性水素含有化合物と、乳化剤とを混合して、前記蓄熱材の少なくとも一部を内包したマイクロカプセルを含む分散液を作製する工程と、
 前記分散液に対して実質的にバインダーを加えることなく、前記分散液を用いて蓄熱シートを作製する工程と、を有する蓄熱シートの製造方法。
[請求項21]
 前記マイクロカプセルが式(1)の関係を満たす、請求項20に記載の蓄熱シートの製造方法。
 式(1)  δ/Dm≦0.010
 δは、前記マイクロカプセルのカプセル壁の厚さ(μm)を表す。Dmは、前記マイクロカプセルの体積基準のメジアン径(μm)を表す。
[請求項22]
 前記乳化剤が、前記ポリイソシアネートと結合できる、請求項20又は請求項21に記載の蓄熱シートの製造方法。