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1. WO2020110456 - SOUPAPE D'INJECTION DE CARBURANT

Document

明 細 書

発明の名称 燃料噴射弁 0001  

技術分野

0002  

背景技術

0003  

先行技術文献

特許文献

0004   0005  

発明の概要

0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23  

明 細 書

発明の名称 : 燃料噴射弁

関連出願の相互参照

[0001]
 本出願は、2018年11月28日に出願された日本出願番号2018-222657号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。

技術分野

[0002]
 本開示は、燃料噴射弁に関する。

背景技術

[0003]
 特許文献1には、燃料を噴孔から噴射する燃料噴射弁が開示されている。この燃料噴射弁は、噴孔が形成された噴孔ボデー、噴孔を開閉する弁体、および弁体を開弁作動させる電動アクチュエータを備える。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2016-98702号公報
[0005]
 一般的に、1回の開弁で噴孔から噴射される燃料の噴射量は、電動アクチュエータへの通電時間で制御される。そのため、通電時間に対する噴射量の機差ばらつきを小さくして、噴射量を高精度で制御できるようにすることが望ましい。

発明の概要

[0006]
 本開示は、噴射量の機差ばらつき抑制を図った燃料噴射弁を提供することを目的とする。
[0007]
 本開示の第一の態様における燃料噴射弁は、燃料が噴射される噴孔が形成された噴孔ボデーと、噴孔ボデーの着座面に離着座するシート面が形成された弁体と、噴孔ボデーと弁体との間に形成され、噴孔の流入口に連通しており、弁体の離着座により開閉される燃料通路とを備える。シート面は、着座面の側に膨らむ向きに湾曲している。噴孔から噴射される燃料の流量が、シート面と着座面との隙間で絞られた流量に制限されている状態をシート部絞り状態とし、噴孔で絞られた流量に制限されている状態を噴孔絞り状態とした場合に、弁体が閉弁位置からフルリフト位置まで開弁作動するにあたり、閉弁位置から所定の中間位置まではシート部絞り状態となり、中間位置からフルリフト位置までは噴孔絞り状態となる。
[0008]
 本開示の第二の態様における燃料噴射弁は、内燃機関の燃焼に用いる燃料が噴射される噴孔が形成された噴孔ボデーと、噴孔ボデーの着座面に離着座するシート面が形成された弁体と、噴孔ボデーと弁体との間に形成され、噴孔の流入口に連通しており、弁体の離着座により開閉される燃料通路とを備える。シート面は、着座面の側に膨らむ向きに湾曲している。噴孔から噴射される燃料の流量が、シート面と着座面との隙間で絞られた流量に制限されている状態をシート部絞り状態とし、燃料通路のうち着座面より下流側の部分であるシート噴孔間隙間で絞られた流量に制限されている状態をシート噴孔間絞り状態とした場合に、弁体が閉弁位置からフルリフト位置まで開弁作動するにあたり、閉弁位置から所定の中間位置まではシート部絞り状態となり、中間位置からフルリフト位置まではシート噴孔間絞り状態となる。
[0009]
 ところで、弁体を着座面に着座(閉弁)させても、その閉弁直後には、燃料通路のうち着座面より下流側の部分(シート下流通路)に残留する燃料が噴孔から漏れ出る。このように漏出した燃料は、噴孔ボデーの外表面や噴孔内面に付着し、変質してデポジットとして堆積していく場合がある。そして、噴孔の流出口周囲にデポジットが堆積すると、噴孔から噴射される燃料の噴霧形状や噴射量が意図と異なる状態になる。この点を考慮し、上記第1態様および第2態様のシート面は、着座面の側に膨らむ向きに湾曲している。これにより、シート下流通路の体積が小さくなり、上記漏出の量を低減できる。
[0010]
 しかしながら、このようにシート下流通路の体積を小さくしていくと、以下の問題が新たに懸念されるようになる。すなわち、弁体が閉弁位置からフルリフト位置まで開弁作動するにあたり、噴孔から噴射される燃料の流量を制限させる絞り部位は、弁体のリフト位置に応じて以下の3段階で変化する懸念がある(図11参照)。
[0011]
 先ず第1段階では、閉弁位置から所定の第1中間位置までのリフト領域において、シート面と着座面との隙間で絞られた流量に制限されている「シート部絞り状態」となる。次の第2段階では、第1中間位置から所定の第2中間位置までのリフト領域において、燃料通路のうち着座面より下流側の部分であるシート下流通路の通路断面積で絞られた流量に制限されている「シート噴孔間絞り状態」となる。次の第3段階では、第2中間位置からフルリフト位置までのリフト領域において、噴孔の通路断面積で絞られた流量に制限されている「噴孔絞り状態」となる。
[0012]
 そして、このように絞り部位が3段階で変化する構造の場合、各部位での機差ばらつきが、通電時間に対する噴射量の機差ばらつきに反映されてしまい、噴射量の機差ばらつきが大きくなる。
[0013]
 この点を考慮し、上記第1態様に係る燃料噴射弁は、閉弁位置から中間位置までは「シート部絞り状態」となり、中間位置からフルリフト位置までは「噴孔絞り状態」となるように構成されている。つまり、「シート部絞り状態」と「噴孔絞り状態」の2段階で絞り部位が変化する。また、上記第2態様に係る燃料噴射弁では、閉弁位置から中間位置までは「シート部絞り状態」となり、中間位置からフルリフト位置までは「シート噴孔間絞り状態」となるように構成されている。つまり、「シート部絞り状態」と「シート噴孔間絞り状態」の2段階で絞り部位が変化する。
[0014]
 以上により、上記第1態様および第2態様によれば2段階で絞り部位が変化するので、先述の如く3段階で変化する場合に比べて、通電時間に対する噴射量の機差ばらつきが抑制される。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 第1実施形態に係る燃料噴射弁の断面図。
[図2] 図1の噴孔部分における拡大図。
[図3] 図1の可動コア部分における拡大図。
[図4] 第1実施形態に係る燃料噴射弁の作動を示す模式図であり、図中の(a)は閉弁状態を示し、(b)は磁気吸引力で移動する可動コアが弁体に衝突した状態を示し、(c)は磁気吸引力でさらに移動する可動コアがガイド部材に衝突した状態を示す。
[図5] ニードルが開弁した状態を示す、図2の拡大図である。
[図6] 第1実施形態に係る噴孔ボデーを、噴孔の流入口側から見た上面図である。
[図7] 第1実施形態において、ニードルがフルリフト位置にある状態を示す断面図である。
[図8] 第1実施形態において、ニードルが閉弁した状態を示す断面図である。
[図9] 第1実施形態において、ニードルが閉弁した状態を示す断面図であって、シート角度を説明する図である。
[図10] 第1実施形態に係る噴孔ボデーおよびニードルの断面図であって、噴孔直上体積を説明する図である。
[図11] 第1実施形態の比較例において、開弁作動に伴いリフト量が増大する際の、シート面、シート噴孔間、噴孔の各々における通路断面積の変化を示す図。
[図12] 第1実施形態において、開弁作動に伴いリフト量が増大する際の、シート面、シート噴孔間、噴孔の各々における通路断面積の変化を示す図。
[図13] 第1実施形態において、閉弁時のシート噴孔間の通路断面積を増大させることで、絞り部位が2段階で変化するようになることを示す図。
[図14] 第1実施形態において、リフトアップに伴いシート部の通路断面積が増大していく傾きを小さくすることで、絞り部位が2段階で変化するようになることを示す図。
[図15] 第1実施形態において、噴孔の通路断面積を小さくすることで、絞り部位が2段階で変化するようになることを示す図。
[図16] 第2実施形態において、フルリフト位置におけるリフト量を小さくすることで、絞り部位が2段階で変化するようになることを示す図。
[図17] 第3実施形態において、ニードルが開弁した状態を示す断面図である。
[図18] 第4実施形態に係る噴孔ボデーおよびニードルの断面図であって、噴孔形状を説明する図である。
[図19] 第5実施形態に係る噴孔ボデーおよびニードルの断面図であって、噴孔形状を説明する図である。
[図20] 第6実施形態に係る噴孔ボデーおよびニードルの断面図であって、噴孔形状を説明する図である。
[図21] 第7実施形態に係る燃料噴射弁の断面図である。
[図22] 第8実施形態に係る燃料噴射弁の断面図である。
[図23] 第4実施形態の変形例を示す噴孔の断面図である。

発明を実施するための形態

[0016]
 以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。
[0017]
 (第1実施形態)
 図1に示す燃料噴射弁1は、車両に搭載された点火着火式内燃機関のシリンダヘッドに取り付けられており、内燃機関の燃焼室2へ直接燃料を噴射する直噴式である。車載燃料タンクに貯留されている液体のガソリン燃料は、図示しない燃料ポンプにより加圧されて燃料噴射弁1へ供給され、供給された高圧燃料は、燃料噴射弁1に形成された噴孔11aから燃焼室2へ噴射される。
[0018]
 また、燃料噴射弁1は、燃焼室2の中央に配置されたセンター配置式である。詳細には、内燃機関のピストンの軸線方向から見て、吸気ポートと排気ポートの間に噴孔11aが位置する。燃料噴射弁1の軸線方向(図1の上下方向)がピストンの軸線方向に平行となるように、燃料噴射弁1はシリンダヘッドに取り付けられている。燃料噴射弁1は、ピストンの軸線上、またはピストンの軸線上に位置する点火プラグの近傍に位置する。
[0019]
 燃料噴射弁1の作動は、車両に搭載された制御装置90により制御される。制御装置90は、少なくとも1つの演算処理装置(プロセッサ90a)と、プロセッサ90aにより実行されるプログラムおよびデータを記憶する記憶媒体としての少なくとも1つの記憶装置(メモリ90b)とを有する。燃料噴射弁1および制御装置90は、燃料噴射システムを提供する。
[0020]
 「制御装置」の一例は、少なくともプログラムを格納したメモリと、このプログラムを実行する少なくともひとつのプロセッサとを備えるコンピュータである。この場合、コンピュータは、CPU等と呼ばれる少なくともひとつのプロセッサコアを備える。メモリは、記憶媒体とも呼ばれる。メモリは、プロセッサによって読み取り可能な「プログラムおよび/またはデータ」を非一時的に格納する非遷移的かつ実体的な記憶媒体である。記憶媒体は、半導体メモリ、磁気ディスク、または光学ディスクなどによって提供される。プログラムは、それ単体で、またはプログラムが格納された記憶媒体として流通する場合がある。
[0021]
 「制御装置」の一例は、多数の論理ユニットを含むデジタル回路、またはアナログ回路を含むコンピュータである。この場合、コンピュータは、ロジック回路アレイ等と呼ばれる。デジタル回路は、「プログラムおよび/またはデータ」を格納したメモリを備える場合がある。
[0022]
 燃料噴射弁1は、噴孔ボデー11、本体ボデー12、固定コア13、非磁性部材14、コイル17、支持部材18、フィルタ19、第1バネ部材SP1(弾性部材)、カップ50、ガイド部材60および可動部M(図3参照)等を備える。可動部Mは、ニードル20(弁体)、可動コア30、第2バネ部材SP2、スリーブ40およびカップ50を組み付けた組付体である。噴孔ボデー11、本体ボデー12、固定コア13、支持部材18、ニードル20、可動コア30、スリーブ40、カップ50およびガイド部材60は金属製である。
[0023]
 図2に示すように、噴孔ボデー11は、燃料を噴射する複数の噴孔11aを有する。噴孔11aは、噴孔ボデー11にレーザ加工を施すことにより形成されている。噴孔ボデー11の内部にはニードル20が位置している。ニードル20の外面と噴孔ボデー11の内面との間で、噴孔11aの流入口11inに連通する燃料通路11bが形成されている。燃料通路11bは、噴孔ボデー11とニードル20との間に形成され、噴孔11aの流入口11inに連通する通路である。
[0024]
 噴孔ボデー11の内周面には、ニードル20に形成されたシート面20sが離着座する着座面11sが形成されている。シート面20sおよび着座面11sは、ニードル20の中心軸線(軸線C1)周りに環状に延びる形状である。ニードル20が着座面11sに離着座することで、燃料通路11bが開閉されて噴孔11aが開閉されることとなる。具体的には、ニードル20が着座面11sに接触し、着座すると、燃料通路11bと噴孔11aとが連通しなくなる。そして、ニードル20が着座面11sから離れ、離座すると、燃料通路11bと噴孔11aとが連通する。この際、噴孔11aから燃料が噴射される。
[0025]
 ニードル20を閉弁作動させてシート面20sが着座面11sに接触した時点では、シート面20sと着座面11sとは、図7および図8の一点鎖線に示すシート位置R1で線接触する。その後、第1バネ部材SP1の弾性力によりシート面20sが着座面11sに押し付けられると、その押付力でニードル20および噴孔ボデー11は弾性変形して面接触する。その面接触している面積で押付力を除算した値がシート面圧であり、所定以上のシート面圧が確保されるように第1バネ部材SP1は設定されている。
[0026]
 図1の説明に戻り、本体ボデー12および非磁性部材14は円筒形状である。本体ボデー12のうち噴孔11aに近づく側(噴孔側)の部分である円筒端部は、噴孔ボデー11に溶接して固定されている。具体的には、本体ボデー12の内周面に、噴孔ボデー11の外周面が装着される。そして、本体ボデー12と噴孔ボデー11とは溶接される。本実施形態では、本体ボデー12の内周面に噴孔ボデー11の外周面が圧入されている。本体ボデー12のうち噴孔11aから遠ざかる側(反噴孔側)の円筒端部は、非磁性部材14の円筒端部に溶接して固定されている。非磁性部材14のうち反噴孔側の円筒端部は、固定コア13に溶接して固定されている。
[0027]
 ナット部材15は、本体ボデー12の係止部12cに係止された状態で、固定コア13のネジ部13Nに締結されている。この締結により生じる軸力は、ナット部材15、本体ボデー12、非磁性部材14および固定コア13に対し、軸線C1方向(図1の上下方向)に互いに押し付け合う面圧を生じさせている。なお、このような面圧をネジ締結で生じさせることに替えて、圧入で生じさせてもよい。
[0028]
 本体ボデー12は、ステンレス等の磁性材で形成され、燃料を噴孔11aへ流通させる流路12bを内部に有する。流路12bには、ニードル20が軸線C1方向に移動可能な状態で収容されている。可動室12aには、ニードル20、可動コア30、第2バネ部材SP2、スリーブ40およびカップ50を組み付けた組付体である可動部M(図4参照)が、移動可能な状態で収容されている。
[0029]
 流路12bは、可動室12aの下流側に連通し、軸線C1方向に延びる形状である。流路12bおよび可動室12aの中心線は、本体ボデー12の円筒中心線(軸線C1)と一致する。ニードル20のうちの噴孔側部分は、噴孔ボデー11の内壁面11cに摺動支持され、ニードル20のうちの反噴孔側部分は、カップ50の内壁面に摺動支持されている。このようにニードル20の上流端部と下流端部の2箇所が摺動支持されることにより、ニードル20の径方向への移動が制限され、本体ボデー12の軸線C1に対するニードル20の傾倒が制限される。
[0030]
 ニードル20は、燃料通路11bを開閉することで噴孔11aを開閉する「弁体」に相当し、ステンレス等の磁性材で形成され、軸線C1方向に延びる形状である。ニードル20の下流側端面には、先述したシート面20sが形成されている。ニードル20が軸線C1方向の下流側へ移動(閉弁作動)すると、シート面20sが着座面11sに着座して、燃料通路11bおよび噴孔11aが閉弁される。ニードル20が軸線C1方向の上流側へ移動(開弁作動)すると、シート面20sが着座面11sから離座して、燃料通路11bおよび噴孔11aが開弁される。
[0031]
 カップ50は、円板形状の円板部52および円筒形状の円筒部51を有する。円板部52は、軸線C1方向に貫通する貫通穴52aを有する。円板部52の反噴孔側の面は、第1バネ部材SP1と当接するバネ当接面として機能する。円板部52の噴孔側の面は、ニードル20と当接して第1弾性力(閉弁弾性力)を伝達する閉弁力伝達当接面52cとして機能する。円筒部51は、円板部52の外周端から噴孔側へ延びる円筒形状である。円筒部51の噴孔側端面は、可動コア30と当接するコア当接端面51aとして機能する。円筒部51の内壁面は、ニードル20の外周面と摺動する。
[0032]
 固定コア13は、ステンレス等の磁性材で形成され、燃料を噴孔11aへ流通させる流路13aを内部に有する。流路13aは、ニードル20の内部に形成されている内部通路20a(図3参照)および可動室12aの上流側に連通し、軸線C1方向に延びる形状である。流路13aには、ガイド部材60、第1バネ部材SP1および支持部材18が収容されている。
[0033]
 支持部材18は円筒形状であり、固定コア13の内壁面に圧入固定されている。第1バネ部材SP1は、支持部材18の下流側に配置されたコイルスプリングであり、軸線C1方向に弾性変形する。第1バネ部材SP1の上流側端面は支持部材18に支持され、第1バネ部材SP1の下流側端面はカップ50に支持されている。第1バネ部材SP1の弾性変形により生じた力(第1弾性力)により、カップ50は下流側に付勢される。支持部材18の軸線C1方向における圧入量を調整することで、カップ50を付勢する弾性力の大きさ(第1セット荷重)が調整されている。
[0034]
 フィルタ19は、燃料噴射弁1へ供給された燃料に含まれている異物を捕捉する。フィルタ19は、固定コア13の内壁面のうち支持部材18の上流側部分に圧入固定されている。フィルタ19は円筒形状であり、図1中の矢印Y1に示すように、フィルタ19の円筒軸線方向から円筒内部へ流入した燃料は、フィルタ19の円筒径方向に流れてフィルタ19を通過する。
[0035]
 図3に示すように、ガイド部材60は、ステンレス等の磁性材で形成された円筒形状であり、固定コア13に圧入固定されている。ガイド部材60の噴孔側端面は、可動コア30と当接するストッパ当接端面61aとして機能する。ガイド部材60の内壁面は、カップ50に係る円筒部51の外周面51dと摺動する。要するに、ガイド部材60は、軸線C1方向に移動するカップ50の外周面を摺動させるガイド機能と、軸線C1方向に移動する可動コア30に当接して可動コア30の反噴孔側への移動を規制するストッパ機能と、を有する。
[0036]
 固定コア13の外周面には樹脂部材16が設けられている。樹脂部材16はコネクタハウジング16aを有し、コネクタハウジング16aの内部には端子16bが収容されている。端子16bはコイル17と電気接続されている。コネクタハウジング16aには、図示しない外部コネクタが接続され、端子16bを通じてコイル17へ電力が供給される。コイル17は、電気絶縁性を有するボビン17aに巻き回されて円筒形状をなし、固定コア13、非磁性部材14および可動コア30の径方向外側に配置されている。固定コア13、ナット部材15、本体ボデー12および可動コア30は、コイル17への電力供給(通電)に伴い生じる磁束を流す磁気回路を形成する(図3中の点線矢印参照)。
[0037]
 図3に示すように、可動コア30は、固定コア13に対して噴孔側に配置され、軸線C1方向に移動可能な状態で可動室12aに収容されている。可動コア30はアウタコア31およびインナコア32を有する。アウタコア31は、ステンレス等の磁性材で形成された円筒形状であり、インナコア32は、ステンレス等の非磁性材で形成された円筒形状である。アウタコア31は、インナコア32の外周面に圧入固定されている。
[0038]
 インナコア32の円筒内部にはニードル20が挿入配置されている。インナコア32は、ニードル20に対して軸線C1方向に摺動可能な状態でニードル20に組み付けられている。インナコア32は、ストッパ部材としてのガイド部材60、カップ50およびニードル20に当接する。そのため、インナコア32には、アウタコア31に比べて高硬度の材質が用いられている。アウタコア31は、固定コア13に対向するコア対向面31cを有し、コア対向面31cと固定コア13との間にはギャップが形成されている。したがって、上述の如くコイル17へ通電して磁束が流れた状態では、上記ギャップが形成されていることにより、固定コア13に吸引される磁気吸引力がアウタコア31に作用する。
[0039]
 スリーブ40は、ニードル20に圧入固定され、第2バネ部材SP2の噴孔側端面を支持する。第2バネ部材SP2は、軸線C1方向に弾性変形するコイルスプリングである。第2バネ部材SP2の反噴孔側端面はアウタコア31に支持されている。第2バネ部材SP2の弾性変形により生じた力(第2弾性力)により、アウタコア31は反噴孔側に付勢される。スリーブ40の軸線C1方向における圧入量を調整することで、閉弁時に可動コア30を付勢する第2弾性力の大きさ(第2セット荷重)が調整されている。なお、第2バネ部材SP2に係る第2セット荷重は、第1バネ部材SP1に係る第1セット荷重より小さい。
[0040]
 <作動の説明>
 次に、燃料噴射弁1の作動について、図4を用いて説明する。
[0041]
 図4中の(a)欄に示すように、コイル17への通電をオフにした状態では、磁気吸引力が生じないので、可動コア30には、開弁側へ付勢される磁気吸引力は作用しない。そして、第1バネ部材SP1による第1弾性力で閉弁側に付勢されたカップ50は、ニードル20の閉弁時弁体当接面21b(図3参照)およびインナコア32に当接して第1弾性力を伝達している。
[0042]
 可動コア30は、カップ50から伝達された第1バネ部材SP1の第1弾性力により閉弁側へ付勢されるとともに、第2バネ部材SP2の第2弾性力により開弁側へ付勢されている。第2弾性力より第1弾性力の方が大きいため、可動コア30はカップ50に押されて噴孔側へ移動(リフトダウン)した状態になる。ニードル20は、カップ50から伝達された第1弾性力により閉弁側へ付勢され、カップ50に押されて噴孔側へ移動(リフトダウン)した状態、つまり着座面11sに着座して閉弁した状態となる。この閉弁状態では、ニードル20の開弁時弁体当接面21a(図3参照)とインナコア32との間には隙間が形成されており、閉弁状態での隙間の軸線C1方向長さをギャップ量L1とする。
[0043]
 図4中の(b)欄に示すように、コイル17への通電をオフからオンに切り替えた直後の状態では、開弁側へ付勢される磁気吸引力が可動コア30に作用して、可動コア30が開弁側への移動を開始する。そして、可動コア30がカップ50を押し上げながら移動し、その移動量がギャップ量L1に達すると、ニードル20の開弁時弁体当接面21aにインナコア32が衝突する。この衝突時点では、ガイド部材60とインナコア32との間には隙間が形成されており、この隙間の軸線C1方向長さをリフト量L2とする。
[0044]
 この衝突時点までの期間には、ニードル20に印加された燃圧による閉弁力が可動コア30にかかっていないので、その分、可動コア30の衝突速度を増大できる。そして、このような衝突力を磁気吸引力に加算して、ニードル20の開弁力として利用するので、開弁に必要な磁気吸引力の増大を抑制しつつ、高圧の燃料であってもニードル20を開弁作動させることができる。
[0045]
 上記衝突の後、可動コア30は磁気吸引力によりさらに移動を続け、衝突後の移動量がリフト量L2に達すると、図4中の(c)欄に示すように、ガイド部材60にインナコア32が衝突して移動停止する。この移動停止時点での、着座面11sとシート面20sとの軸線C1方向における離間距離は、ニードル20のフルリフト量に相当し、先述したリフト量L2と一致する。
[0046]
 その後、コイル17への通電をオンからオフに切り替えると、駆動電流の低下とともに磁気吸引力も低下して、可動コア30がカップ50とともに閉弁側へ移動を開始する。ニードル20は、カップ50との間に充填された燃料の圧力に押されて、可動コア30の移動開始と同時にリフトダウン(閉弁作動)を開始する。
[0047]
 その後、ニードル20がリフト量L2の分だけリフトダウンした時点で、弁体側シート20sがボデー側シート11sに着座して、流路11bおよび噴孔11aが閉弁される。その後、可動コア30はカップ50とともに閉弁側への移動を継続し、カップ50がニードル20に当接した時点で、カップ50の閉弁側への移動が停止する。その後、可動コア30は、慣性力で閉弁側への移動(慣性移動)をさらに継続した後、第2バネ部材SP2の弾性力により開弁側へ移動(リバウンド)する。その後、可動コア30は、カップ50に衝突してカップ50とともに開弁側へ移動(リバウンド)するが、閉弁弾性力により迅速に押し戻されて、図4の(a)欄に示す初期状態に収束する。
[0048]
 したがって、このようなリバウンドが小さく、収束に要する時間が短いほど、噴射終了から初期状態に復帰するまでの時間が短くなる。そのため、内燃機関の1燃焼サイクルあたりに燃料を複数回噴射する多段噴射を実行するにあたり、噴射間のインターバルを短くでき、多段噴射に含まれる噴射回数を多くできる。また、上述の如く収束時間を短くすることで、以下に説明するパーシャルリフト噴射を実行した場合の噴射量を高精度に制御できるようになる。パーシャルリフト噴射とは、開弁作動するニードル20がフルリフト位置(最大開弁位置)に達する前に、コイル17への通電を停止させて閉弁作動を開始させることで、短い開弁時間による微小量の噴射のことである。
[0049]
 上述した通電オンオフは、プロセッサ90aがメモリ90bに記憶されたプログラムを実行することで制御される。基本的には、内燃機関の負荷および回転数に基づき、1燃焼サイクルでの燃料噴射量、噴射時期および多段噴射に係る噴射回数が、プロセッサ90aにより算出される。さらにプロセッサ90aが各種プログラムを実行することで、以下に説明する多段噴射制御、パーシャルリフト噴射制御(PL噴射制御)、圧縮行程噴射制御、および圧力制御を実行する。これらの制御を実行している時の制御装置90は、図1に示す多段噴射制御部91、パーシャルリフト噴射制御部(PL噴射制御部92)、圧縮行程噴射制御部93、および圧力制御部94に相当する。
[0050]
 多段噴射制御部91は、内燃機関の1燃焼サイクル中に噴孔11aから燃料を複数回噴射させるように、コイル17への通電オンオフを制御する。PL噴射制御部92は、ニードル20が着座面11sから離座した後、フルリフト位置に達する前に閉弁作動を開始するように、コイル17への通電オンオフを制御する。例えば、多段噴射の回数が多くなるほど、1回の噴射に係る噴射量が微少量になってくるので、そのような微少量の噴射の場合に、PL噴射制御を実行する。
[0051]
 圧縮行程噴射制御部93は、内燃機関の圧縮行程期間の一部を含む期間に噴孔11aから燃料を噴射させるように、コイル17への通電オンオフを制御する。このように圧縮行程期間に燃焼室2へ燃料を噴射させる場合、噴射開始時期から点火時期までの時間が短いので、燃料と空気とを十分に混合させる時間が短い。そのため、この種の燃料噴射弁1には、燃料と空気との混合性を促進させるべく、貫徹力の高い状態で燃料を噴孔11aから噴射することが要求される。また、短時間で噴霧を分裂させるべく、噴射圧力を高くすることが要求される。
[0052]
 圧力制御部94は、燃料噴射弁1へ供給する燃料の圧力(供給燃圧)を、所定範囲内の任意の目標圧力に制御する。具体的には、先述した燃料ポンプによる燃料吐出量を制御することで、供給燃圧を制御する。目標圧力が所定範囲の最小値に設定されている場合の燃料圧力により、ニードル20が着座面11sに押し付けられる力を最小燃圧閉弁力とした場合に、第1バネ部材SP1による第1弾性力(閉弁弾性力)は、最小燃圧閉弁力より小さく設定されている。
[0053]
 <燃料通路11bの詳細説明>
 以下、図5~図10を用いて、燃料通路11bの詳細について説明する。燃料通路11bは、後述するテーパ面111、ボデー底面112および連結面113と、弁体先端面22との間の空間を少なくとも含む。燃料通路11bを流れる燃料は、図5中の矢印Y2に示すようにシート面20sに向けて流れた後、シート面20sと着座面11sとの隙間(シート隙間)を通過する。シート隙間に到達するまでの燃料は、軸線C1に近づく向きに流れる。シート隙間を通過した燃料は、矢印Y3に示すように、軸線C1から遠ざかる向きに方向転換して流れ、噴孔11aの流入口11inへ流入する。流入口11inから流入した燃料は、噴孔11a内で整流化され、矢印Y4に示すように、噴孔11aの流出口11outから燃焼室2へ噴射される。また、軸線C1から遠ざかる向きに方向転換して流入口11inへ流入(矢印Y3参照)することに加え、図8中の矢印Y5に示すようにサック室Q22から流入口11inへ流入する燃料も存在する。
[0054]
 図6に示すように、複数の噴孔11aの流入口11inは、軸線C1を中心とした仮想円(流入中心仮想円R2)上に等間隔で配置されている。複数の噴孔11aの形状および大きさは全て同一である。具体的には、噴孔11aは、流入口11inから流出口11outに至るまで、通路断面形状が真円かつ真円の直径が変化せずに同一のストレート形状である。ここで言う通路断面とは、噴孔11aの中心を通る軸線C2に対して垂直に切った断面のことである。
[0055]
 流入口11inおよび流出口11outの形状は、軸線C1を中心とした径方向の向きを長軸とする楕円形状である。図7に示すように、噴孔11aが形成されるサック面(ボデー底面112)と噴孔軸(軸線C2)との交点を流入口中心点Aとする。流入口中心点Aを通る軸線C1と平行な線が、ニードル20の外面と交わる点を、流入中心対向点Bとする。図6に示すように、複数の噴孔11aの流入口中心点Aを通る円は、先述した流入中心仮想円R2に相当する。複数の流入中心対向点Bを結ぶ円は対向仮想円R3である。軸線C1方向視において、流入中心仮想円R2と対向仮想円R3は一致する。
[0056]
 図6に示すように、軸線C1周りに並ぶ複数の噴孔11aのうち、隣り合う噴孔11aの流入口11inの間隔の大きさを噴孔間距離Lとする。この噴孔間距離Lは、流入中心仮想円R2に沿った長さのことである。
[0057]
 図7および図8に示すように、ニードル20が離着座する方向、つまり軸線C1方向におけるニードル20と噴孔ボデー11との距離を弁体離間距離Haとする。より詳細に説明すると、ニードル20の外面のうちシート面20sおよびシート面20sよりも下流側の部分を含む面を弁体先端面22とする。そして、ボデー底面112と弁体先端面22との軸線C1方向距離を弁体離間距離Haとする。
[0058]
 軸線C1方向におけるニードル20外面と流入口11inとの隙間の大きさを流入口隙間距離Hとする。つまり、流入口11inの部分での弁体離間距離Ha、より詳細には流入口11inのうち軸線C1から最も離れた部分、つまり図6および図7の符号A1に示す部分での弁体離間距離Haが、流入口隙間距離Hに相当する。
[0059]
 噴孔間の流入中心仮想円R2に沿った長さのこととして定義される噴孔間距離Lが流入口隙間距離Hより小さいことに加えて、以下に説明する第2噴孔間距離についても、流入口隙間距離Hより小さい。第2噴孔間距離は、隣り合う流入口11inの外周縁の最短直線長さとして定義される。
[0060]
 符号A1に示す部分での弁体離間距離Haとして定義される流入口隙間距離Hより噴孔間距離Lが小さいことに加えて、以下に説明する第2流入口隙間距離についても、その第2流入口隙間距離より噴孔間距離Lが小さい。第2流入口隙間距離は、流入口中心点Aでの弁体離間距離Haとして定義される。さらに、第2流入口隙間距離より第2噴孔間距離が小さくなるようにも設定されている。
[0061]
 噴孔間距離Lは流入口隙間距離Hよりも小さい。詳細には、ニードル20が着座面11sから最も離れた位置まで離座した状態、つまりフルリフト位置における流入口隙間距離Hよりも、噴孔間距離Lは小さい。フルリフト位置とは、ストッパ当接端面61aにインナコア32が当接し、かつ、開弁時弁体当接面21aがインナコア32に当接した状態での、ニードル20の軸線C1方向位置のことである。
[0062]
 さらに、ニードル20が着座面11sに着座した状態、つまり閉弁状態における流入口隙間距離Hよりも、噴孔間距離Lは小さい。また、噴孔間距離Lは流入口11inの直径よりも小さい。流入口11inが楕円である場合、楕円の短辺を流入口11inの直径とみなす。
[0063]
 噴孔ボデー11の内面とニードル20の外面との間で形成される燃料通路11bのうち、着座面11sおよびシート面20sより上流側の部分をシート上流通路Q10とし、着座面11sおよびシート面20sより下流側の部分をシート下流通路Q20とする。シート下流通路Q20は、テーパ室Q21およびサック室Q22を有する。
[0064]
 図7に示すように、噴孔ボデー11の内面のうち着座面11sを含む部分であって、シート上流通路Q10の一部およびテーパ室Q21の全体を形成する部分をテーパ面111とする。テーパ面111は、軸線C1を含む断面において直線形状、かつ、軸線C1に対して交差する向きに延びる形状であり、軸線C1方向で見て円環形状である(図6参照)。
[0065]
 噴孔ボデー11の内面のうち軸線C1を含む部分であって、サック室Q22を形成する部分をボデー底面112とし、ボデー底面112とテーパ面111とを連結する部分を連結面113とする。連結面113は、軸線C1を含む断面において直線形状、かつ、軸線C1に対して交差する向きに延びる形状であり、軸線C1方向で見て円環形状である(図6参照)。厳密には、連結面113とテーパ面111との境界、および連結面113とボデー底面112との境界は、軸線C1を含む断面において湾曲した形状である。
[0066]
 弁体先端面22は、ボデー底面112の側に膨らむ向きに湾曲する形状である。弁体先端面22の曲率半径R22(図9参照)は、弁体先端面22の全体に亘って同一である。この曲率半径R22は、シート面20sのシート位置R1における直径であるシート径Dsより小さく、かつ、シート半径より大きい。
[0067]
 ボデー底面112は、弁体先端面22の側に凹む向きに湾曲する形状、つまり弁体先端面22と同じ向きに湾曲する形状である。ボデー底面112の曲率半径R112(図9参照)は、ボデー底面112の全体に亘って同一である。ボデー底面112の曲率半径R112は、弁体先端面22の曲率半径R22より大きい。したがって、弁体離間距離Haは、流入中心仮想円R2の周縁から径方向において軸線C1に向かう方向に沿って連続的に小さくなっていく。
[0068]
 噴孔ボデー11の外面であるボデー外面114のうち、流出口11outより径方向内側の領域を外面中央領域114aとする(図10参照)。外面中央領域114aは、ボデー底面112と同じ向きに湾曲する形状である。外面中央領域114aの曲率半径は、外面中央領域114aの全体に亘って同一である。曲率半径の中心を同じ場所にするという条件下において、外面中央領域114aの曲率半径は、ボデー底面112の曲率半径R112よりも大きい。ボデー外面114の肉厚寸法は、外面中央領域114aにおいては均一である。すなわち、ボデー外面114の曲率半径方向の長さは、外面中央領域114aにおいては均一である。
[0069]
 噴孔ボデー11のうち燃料通路11bを形成する部分の表面粗さは、噴孔11aを形成する部分の表面粗さよりも粗い。詳細には、ボデー底面112の表面粗さは、噴孔11aの内壁面の表面粗さよりも粗い。なお、噴孔11aがレーザ加工により形成されているのに対し、噴孔ボデー11の内面は切削加工により形成されている。
[0070]
 複数の流入口11inそれぞれの周縁のうち、径方向において、軸線C1に最も近い部分に接する仮想円であって軸線C1を中心とする仮想円を、ボデー底面112から弁体先端面22まで軸線C1方向に沿って真っ直ぐ延ばした円筒を仮想円筒とする。そして、燃料通路11bのうち、仮想円筒、ボデー底面112および弁体先端面22で囲まれる部分の体積を中心円柱体積V1aとする(図6参照)。また、複数の流入口11inそれぞれの周縁のうち、径方向において、軸線C1に最も近い部分を結んだ直線で囲まれる領域を仮想領域とし、仮想領域を噴孔ボデー11からニードル20まで軸線C1の方向に延ばしてできる体積を中心角柱体積V1とする。中心円柱体積V1aおよび中心角柱体積V1には噴孔11aの体積V2aは含まれない。
[0071]
 本実施形態に係る上記仮想円とは、複数の流入口11inに内接する仮想内接円R4のことである。また、燃料通路11bのうち着座面11sより下流側の全ての部分の体積、つまりシート下流通路Q20の体積をシート下流体積V3とする(図7参照)。先述した通り、シート下流通路Q20は、テーパ室Q21およびサック室Q22を有する。したがって、燃料通路11bのうち着座面11sより下流側の全ての部分の体積とは、テーパ室Q21の体積とサック室Q22の体積を合わせた体積のことである。中心角柱体積V1、中心円柱体積V1aおよびシート下流体積V3は、ニードル20のリフト量L2に応じて変化し、リフト量L2が最大の時に最大になる。
[0072]
 複数の噴孔11aの体積V2aの合計を総噴孔体積V2とする。本実施形態では噴孔11aが10個形成され、全ての噴孔11aの体積V2aが同一であるため、1つの噴孔11aの体積V2aの10倍の値が総噴孔体積V2に相当する。噴孔11aの体積V2aは、噴孔11aのうち流入口11inと流出口11outとの間の領域の体積に相当する。噴孔11aの体積V2aは、例えばX線を照射することで得られる噴孔ボデー11の断層画像から算出され得る。同様にして、本実施形態で定義される他の体積についても、断層画像から算出され得る。
[0073]
 総噴孔体積V2は、ニードル20が着座面11sに着座した状態における中心角柱体積V1より大きく、かつ、ニードル20が着座面11sから最も離れた状態(つまりフルリフト状態)における中心角柱体積V1よりも大きい。さらに総噴孔体積V2は、着座状態におけるシート下流体積V3より大きく、かつ、フルリフト状態におけるシート下流体積V3よりも大きい。中心円柱体積V1aについても、中心角柱体積V1と同様にして、フルリフト状態および着座状態のいずれであっても総噴孔体積V2より小さい。
[0074]
 図10中のドットを付した部分は、燃料通路11bのうち流入口11inから軸線C1方向に沿って真っ直ぐ延びる柱状空間(噴孔直上領域)に相当する。燃料通路11bのうち、噴孔直上領域の体積を噴孔直上体積V4aとし、複数の噴孔11aの噴孔直上体積V4aの合計を噴孔直上総体積V4とする。噴孔直上総体積V4は中心角柱体積V1より大きい。中心円柱体積V1aについても、中心角柱体積V1と同様にして噴孔直上総体積V4より小さい。
[0075]
 複数の噴孔11aの流入口11inの周縁長L5a(図6参照)の合計を総周縁長L5とする。本実施形態では噴孔11aが10個形成され、全ての噴孔11aの周縁長L5aがほぼ同一であるため、1つの噴孔11aの周縁長L5aの10倍の値が総周縁長L5に相当する。複数の流入口11inそれぞれの周縁のうち径方向において軸線C1に最も近い部分に接する仮想円であって軸線C1を中心とする仮想円、つまり先述した仮想内接円R4の周長を仮想周長L6とする。総周縁長L5は仮想周長L6よりも長い。
[0076]
 弁体先端面22のうちシート位置R1での接線方向は、テーパ面111のうちシート位置R1での接線方向と同一である。弁体先端面22が、軸線C1を含む断面において湾曲した形状であるのに対し、テーパ面111は、軸線C1を含む断面において直線形状である。テーパ面111の延長線が交わる頂点での頂角をシート角度θとする(図9参照)。つまり、着座面11sは、上記断面において2本の直線で表される円錐面であり、それら2本の直線がなす角度がシート角度θである。シート角度θは90度以下の角度、より具体的には90度より小さい角度に設定されている。軸線C1を含む断面においてテーパ面111と軸線C1との交差角度は、シート角度θの半分(θ/2)であり、この交差角度は、軸線C1を含む断面において連結面113と軸線C1との交差角度よりも大きい。
[0077]
 <デポジット対策について>
 さて、ニードル20がリフトダウンして着座面11sに着座した時点では、シート下流通路Q20に未だ燃料が残留しており、その残留燃料は、着座直後に噴孔11aから流出する。詳細には、着座時点における噴孔11a内の燃料流速は直ぐにはゼロにならず、慣性で閉弁直後も流れ続け、噴孔11a内を慣性で流れる燃料に、シート下流通路Q20の燃料は引き寄せられる。より詳細には、サック室Q22のうち、噴孔直上体積V4aの部分に存在する燃料は流速が速く、その燃料の流れ(主流)に、噴孔直上体積V4aの部分の周囲に存在する燃料が引き寄せられる。このように引き寄せられた燃料は、速い流速で噴孔11aから勢い良く噴出するため、このように噴出した燃料はボデー外面114に付着しにくい。
[0078]
 しかし、着座時点からの時間経過とともに噴出する勢いは弱くなり、自重で流出口11outから漏出するような燃料は、ボデー外面114のうち流出口11outの周囲の部分に付着しやすい。このようにボデー外面114に付着した漏出燃料は、燃焼室の熱で変質してデポジットとして固着しやすい。そして、このようなデポジットが堆積して増大していくと、噴孔11aから噴射される燃料の噴霧形状や噴射量が意図と異なる状態になる。
[0079]
 この点に着目し、本実施形態では、軸線C1方向における弁体先端面22と噴孔ボデー11との距離である弁体離間距離Haは、流入中心仮想円R2の周縁から径方向において軸線C1に向かう方向に沿って連続的に小さくなっていく。そのため、この構成に反して、弁体離間距離Haが径方向位置に拘らず均一の場合や、軸線C1に近づくほど大きくなっていく場合に比べて、シート下流通路Q20のうち径方向内側部分の燃料が、噴孔11aの流入口11inへ引き寄せられやすくなる。よって、主流とともに速い流速で噴孔11inから勢い良く噴出できずに残留する燃料を低減できるので、ボデー外面114や噴孔11aの内面に付着する燃料を低減でき、噴孔ボデー11にデポジットが堆積することの抑制を図ることができる。
[0080]
 さらに本実施形態では、噴孔ボデー11のうち弁体先端面22に対向する面であって、少なくとも軸線C1を含む部分をボデー底面112とし、ボデー底面112は、弁体先端面22が湾曲する向きと同じ向きに湾曲している。
[0081]
 さらに本実施形態では、ボデー底面112の曲率半径R112は、弁体先端面22の曲率半径R22よりも大きい。そのため、弁体離間距離Haを連続的に小さくするにあたり、弁体離間距離Haが急激に小さくなることを抑制でき、徐々に小さくなることを促進できる。よって、シート下流通路Q20のうち軸線C1に近い部分、つまり径方向内側部分の燃料が、流入口11inへ引き寄せられやすくなることを促進できる。
[0082]
 さらに本実施形態では、噴孔ボデー11の外面のうち、流出口11outと軸線C1との間の部分を少なくとも含む領域を外面中央領域114aとし、外面中央領域114aは、弁体先端面22が湾曲する向きと同じ向きに湾曲している。そして、曲率半径の中心を同じ場所にするという条件下において、外面中央領域114aの曲率半径は、ボデー底面112の曲率半径よりも大きい。この構造に反して両方の曲率半径を同一にすると、ボデー外面114における噴孔ボデー11の肉厚が、軸線C1から遠い位置であるほど薄くなる。これに対し本実施形態では、外面中央領域114aを上述の如く湾曲させるので、噴孔ボデー11の肉厚が不均一になることを抑制できる。
[0083]
 さて、シート下流通路Q20の燃料が閉弁直後に慣性で流出口11outから流出し、その後さらに、自重で流出口11outから漏出し、その漏出した燃料が、ボデー外面114に付着し、デポジットとして堆積していく懸念があることは先述した通りである。この懸念に対し、流入口隙間距離Hを小さくしてシート下流通路Q20の体積を小さくすれば、漏出対象となる燃料の量を少なくでき、漏出量を低減できるので、デポジット堆積を抑制できる。
[0084]
 その一方で、シート上流通路Q10およびテーパ室Q21での燃料の流れ方向と、噴孔11aでの燃料の流れ方向とは大きく異なるので、サック室Q22から流入口11inへ燃料が流入する際に燃料の流れ方向が急激に変化する(折れ曲がる)ことになる。そして、先述した漏出量の低減を図るべく流入口隙間距離Hを小さくすると、流れ方向の急激な変化(折れ曲がり)が促進され、圧力損失の増大が促進されてしまう。つまり、燃料漏出量の低減を図るべく流入口隙間距離Hを小さくすることと、圧力損失の低減を図ることとは背反する。
[0085]
 ここで、シート位置R1を通過してシート下流通路Q20へ流入する燃料は、図5中の矢印Y3に示すように方向転換して流入口11inへ流入することは、先述した通りである。このようにシート下流通路Q20へ流入する燃料は、図6に示す縦流入燃料Y3aおよび横流入燃料Y3bに大別できる。縦流入燃料Y3aは、着座面11sから流入口11inへ向かって最短距離で流れる燃料である。横流入燃料Y3bは、着座面11sから、隣り合う2つの噴孔11aの流入口11inの間の部分(噴孔間部分112a)へ向かって流れ、その後、噴孔間部分112aから流入口11inへと向きを変えて流れる燃料である。
[0086]
 縦流入燃料Y3aおよび横流入燃料Y3bのいずれについても、シート下流通路Q20の体積を小さくするべく流入口隙間距離Hを小さくするほど圧力損失が増大する。しかし、横流入燃料Y3bについては、噴孔間距離Lを小さくすることで、圧力損失の増大を緩和できる。よって、流入口隙間距離Hを小さくすることによる圧力損失増大を、噴孔間距離Lを小さくすることで緩和できる。
[0087]
 この点を鑑みた本実施形態では、噴孔間距離Lが流入口隙間距離Hより小さいので、噴孔間距離Lが流入口隙間距離Hより大きい場合に比べて、横流入燃料Y3bの圧力損失を緩和できる。よって、流入口隙間距離Hを小さくしてシート下流通路Q20の体積を小さくしつつも、流入口隙間距離Hを小さくすることに起因した圧力損失の増大を緩和できる。つまり、本実施形態によれば、シート下流通路Q20の体積を小さくすることによる燃料漏出量低減と、噴孔間距離Lを小さくすることによる圧力損失低減との両立を図ることができる。
[0088]
 しかも、上述の如く圧力損失が低減されることに伴い、サック室Q22から噴孔11aへ流入する燃料の流速が速くなる。そのため、燃料に混入している異物がサック室Q22に滞留することを抑制でき、噴孔11aからの異物排出性を向上できる。また、シート下流通路Q20の体積を小さくすることにより残留燃料の低減も図ることができ、また、噴孔間距離Lを小さくすることによる圧力損失低減により、残留燃料の排出性向上も図ることができる。
[0089]
 さらに本実施形態では、複数の流入口11inそれぞれの周縁のうち軸線C1に最も近い部分に接する仮想円であって軸線C1を中心とする仮想円を、軸線C1方向に沿って流入口11inからニードル20まで真っ直ぐ延ばした円筒を仮想円筒とする。燃料通路11bのうち仮想円筒で囲まれる空間の体積を中心角柱体積V1とする。複数の噴孔11aの体積の合計を総噴孔体積V2とする。そして、総噴孔体積V2を中心角柱体積V1より大きくしている。
[0090]
 そのため、総噴孔体積V2を中心角柱体積V1より小さくする場合に比べて上記主流の流量を増大でき、かつ、総噴孔体積V2を中心角柱体積V1より小さくする場合に比べて上記主流に引き寄せられにくい燃料を少なくできる。よって、主流とともに速い流速で噴孔11aから勢い良く噴出できずに残留する燃料を低減できるので、ボデー外面114や噴孔11a内面に付着する燃料を低減でき、ボデー外面114にデポジットが堆積することの抑制を図ることができる。
[0091]
 さらに本実施形態では、ニードル20が着座面11sからニードル20の可動範囲のうち最も離れた位置、つまりフルリフト位置まで離座した状態における中心角柱体積V1よりも、総噴孔体積V2を大きくしている。そのため、フルリフト状態での中心角柱体積V1より総噴孔体積V2を小さくした場合に比べて、上記主流の流量をより一層増大でき、かつ、主流に引き寄せられにくい燃料をより一層少なくでき、残留燃料の排出性向上を促進できる。
[0092]
 さらに本実施形態では、閉弁状態におけるシート下流体積V3よりも総噴孔体積V2を大きくしている。そのため、総噴孔体積V2をシート下流体積V3より小さくする場合に比べて、上記主流の流量をより一層増大でき、かつ、主流に引き寄せられにくい燃料をより一層少なくできるので、残留燃料の排出性向上を促進できる。
[0093]
 さらに本実施形態では、ニードル20が着座面11sからニードル20の可動範囲のうち最も離れた位置、つまりフルリフト位置まで離座した状態におけるシート下流体積V3よりも、総噴孔体積V2を大きくしている。そのため、フルリフト状態でのシート下流体積V3より総噴孔体積V2を小さくする場合に比べて、上記主流の流量をより一層増大でき、かつ、主流に引き寄せられにくい燃料をより一層少なくできるので、残留燃料の排出性向上を促進できる。
[0094]
 さらに本実施形態では、噴孔直上体積V4aの総体積である噴孔直上総体積V4を、ニードル20が着座面11sに着座した状態つまり閉弁状態における中心角柱体積V1よりも大きくしている。そのため、閉弁状態における中心角柱体積V1より噴孔直上総体積V4を小さくする場合に比べて、上記主流の流量をより一層増大でき、かつ、主流に引き寄せられにくい燃料をより一層少なくできるので、残留燃料の排出性向上を促進できる。
[0095]
 さらに本実施形態では、複数の流入口11inの周縁長L5aの合計を総周縁長L5とし、複数の流入口11inそれぞれの周縁のうち軸線C1に最も近い部分に接する仮想円であって軸線C1を中心とする仮想円の周長を仮想周長L6とする。そして、総周縁長L5を仮想周長L6よりも長くしている。そのため、総周縁長L5を仮想周長L6より短くする場合に比べて、上記主流の流量をより一層増大でき、かつ、主流に引き寄せられにくい燃料をより一層少なくできるので、残留燃料の排出性向上を促進できる。
[0096]
 さらに本実施形態では、ニードル20を着座面11sに押し付ける弾性力を発揮する第1バネ部材SP1を備える。そして、着座面11sのうち軸線C1を含む断面に現れる2本の直線がなす角度であるシート角度θが、90度以下である。そのため、ニードル20が開弁する側にバウンスすることが抑制され、ニードル20のバウンス低減を図ることができる。
[0097]
 さらに本実施形態では、軸線C1方向から見て、複数の噴孔11aが軸線C1の周りに同心円上に等間隔で配置されている。つまり、全ての噴孔11aについて噴孔間距離Lが等しい。そのため、全ての噴孔11aに燃料が均等に流入することが促進されるので、サック室Q22から流入口11inへ燃料が流入する際の圧力損失を低減できる。
[0098]
 さらに本実施形態では、噴孔ボデー11のうち燃料通路11bを形成する部分の表面粗さは、噴孔11aの内壁面を形成する部分の表面粗さよりも粗い。そのため、両者を同じ表面粗さにした場合に比べて、噴孔11a内を流通する燃料の圧力損失を低減して流速を速くできる。その結果、噴孔直上体積V4aの部分に存在する燃料は流れ、つまりサック室Q22での主流を速くでき、主流周囲の燃料を主流へ引き寄せる作用を促進できる。よって、閉弁直後にサック室Q22の燃料を勢い良く排出するといった残留燃料の排出性向上、および、サック室Q22に滞留する異物の排出性向上を促進できる。
[0099]
 <3段絞りによる噴射量ばらつきの対策について>
 さて、シート面20sが着座面11sに押し付けられずに接触しているだけでは、ニードル20と噴孔ボデー11とは線接触した状態であり、十分なシール機能が発揮されない。これに対し、シート面20sが着座面11sに十分な力で押し付けられていると、その押付力によりニードル20は弾性変形して、シート面20sが拡大し、十分なシール機能が発揮される。この点を鑑みた本実施形態では、シート面20sは、着座面11sの側に膨らむ向きに湾曲している。そのため、弾性変形により拡大するシート面20sの面積を増大でき、シール機能を向上できる。
[0100]
 また、上述の湾曲形状とは異なり円錐側面の形状となっている場合、つまり軸線C1を含む断面の外形線が、軸線C1に対して交差する向きに直線状に延びるテーパ形状となっている場合に比べて、シート下流通路Q20の体積が小さくなる。よって、上記漏出の量を低減でき、噴孔ボデー11にデポジットが堆積することの抑制を図ることができる。しかしながら、このようにシート下流通路Q20の体積を小さくしていくと、以下に詳述する3段絞りの構造になるといった問題が、新たに懸念されるようになる。
[0101]
 以下、図11~図15を用いて、3段絞りの内容と、3段絞りに起因した懸念点について説明する。
[0102]
 図11の横軸は、ニードル20のリフト量、つまり図4(b)に示す状態からのリフトアップ量を示す。図11の縦軸は、燃料噴射弁1内部の各部位における通路断面積の大きさを示す。通路断面積とは、通路が延びる方向に対して通路を垂直に切断した場合の断面積であって、当該断面積が最小となる箇所で切断した場合の断面積のことである。
[0103]
 例えば、噴孔11aの通路断面積は、以下の説明では噴孔通路断面積S1と記載される。噴孔通路断面積S1は、軸線C2に対して垂直に噴孔ボデー11を切断した場合に現れる噴孔11aの面積であって、当該面積が最小となる軸線C2方向位置で切断した場合の面積と定義される。本実施形態のように噴孔11aが複数形成されている場合には、全ての噴孔11aの通路断面積を積算した値が噴孔通路断面積S1に相当する。なお、図11に示すように、噴孔通路断面積S1は、ニードル20のリフト位置(リフト量)に拘らず一定である。
[0104]
 例えば、開弁状態での燃料通路11bのうちシート面20sと着座面11sとの間の部分(シート部)の通路断面積は、以下の説明ではシート部通路断面積S2と記載される。シート部通路断面積S2は、シート面20sでのシート位置R1と着座面11sとを最短距離で結ぶ仮想線HT1(図7参照)を、軸線C1周りに環状に延ばして形成される円錐外周面の面積と定義される。図11に示すように、シート部通路断面積S2は、ニードル20のリフト量増大に伴い増大する。
[0105]
 例えば、開弁状態での燃料通路11bのうちシート位置R1より下流側の部分、厳密には、テーパ面111およびテーパ面111より下流側の部分の通路断面積は、以下の説明ではシート噴孔間通路断面積S3と記載される。シート噴孔間通路断面積S3は、連結面113での通路断面積である連結面通路断面積S3b、およびボデー底面112での通路断面積であるボデー底面通路断面積S3aのうち、小さい方の面積と定義される。
[0106]
 連結面通路断面積S3bは、連結面113と着座面11sとを最短距離で結ぶ仮想線HT2(図7参照)を、軸線C1周りに環状に延ばして形成される円錐外周面の面積と定義される。ボデー底面通路断面積S3aは、ボデー底面112と着座面11sとを最短距離で結ぶ仮想線HT3(図7参照)を、軸線C1周りに環状に延ばして形成される円錐外周面の面積と定義される。
[0107]
 図7に示すように、シート部通路断面積S2に係る仮想線HT1は、連結面通路断面積S3bに係る仮想線HT2より短い。連結面通路断面積S3bに係る仮想線HT2は、ボデー底面通路断面積S3aに係る仮想線HT3より短い。また、シート部通路断面積S2に係る円錐外周面の半径、つまりシート位置R1と軸線C1との距離は、連結面通路断面積S3bに係る円錐外周面の半径より大きい。連結面通路断面積S3bに係る円錐外周面の半径は、ボデー底面通路断面積S3aに係る円錐外周面の半径より大きい。
[0108]
 このように、各々の円錐外周面は、仮想線(母線)が長いほど半径が短い。また、円錐外周面の面積がリフトアップに伴い増大する量、つまり図11中の実線の傾きは、半径が大きい円錐外周面であるほど大きい。したがって、閉弁時の面積が小さい円錐外周面であるほど、リフトアップに伴う面積増大量は大きい。具体的には、図11に示すように、シート噴孔間通路断面積S3の閉弁時の値は、シート部通路断面積S2の閉弁時の値(ゼロ)より大きい。そして、リフトアップに伴うシート噴孔間通路断面積S3の増大量は、シート部通路断面積S2の増大量より小さい。
[0109]
 噴孔11aから噴射される燃料の流量であって単位時間あたりに噴射される量(噴射率)は、噴孔11aを含めた通路内の最小通路断面積や、燃料噴射弁1へ供給される燃料の圧力や、燃料性状等で特定される。燃料性状は、例えば燃料の粘性や比重である。最小通路断面積は、噴孔通路断面積S1、シート部通路断面積S2およびシート噴孔間通路断面積S3のうちの最小値のことである。リフトアップに伴い、シート部通路断面積S2およびシート噴孔間通路断面積S3は変化していくので、最小通路断面積も変化し、その結果、噴射率も変化していく。
[0110]
 要するに、燃料噴射弁1へ供給された燃料の流量は、噴孔11aの流出口11outに至るまでの最小通路断面積となっている部位で絞られる。以下の説明では、流出口11outから噴射される燃料の流量(噴射率)が、シート面20sと着座面11sとの隙間(シート部)で絞られた流量に制限されている状態をシート部絞り状態とする。上記流量が噴孔11aで絞られた流量に制限されている状態を噴孔絞り状態とする。上記流量が、燃料通路11bのうち着座面11sより下流側の部分であるシート噴孔間隙間で絞られた流量に制限されている状態をシート噴孔間絞り状態とする。
[0111]
 なお、シート面20sの摩耗が進行すると、シート位置R1は下流側に移動していくことになる。したがって、テーパ面111の全体が着座面11sになり得るとみなし、上述した「燃料通路11bのうち着座面11sより下流側の部分」からは、テーパ面111は除外される。つまり、上記「シート噴孔間隙間」は、サック室Q22に相当する。
[0112]
 図11は、本実施形態に対する比較例としての燃料噴射弁について、通路断面積の変化を示したものである。この比較例では、ニードル20が閉弁位置からフルリフト位置まで開弁作動するにあたり、絞り部位がリフト位置に応じて以下の3段階で変化する。
[0113]
 先ず第1段階では、閉弁位置から第1中間位置(リフト量=L2a)までのリフト領域において、シート部絞り状態となる。次の第2段階では、第1中間位置L2aから第2中間位置(リフト量=L2b)までのリフト領域において、シート噴孔間絞り状態となる。次の第3段階では、第2中間位置からフルリフト位置(リフト量=L2)までのリフト領域において、噴孔絞り状態となる。
[0114]
 ここで、ニードル20や噴孔ボデー11の各部位の形状や寸法の機差ばらつきは、通電時間に対する噴射量の機差ばらつきに反映され、噴射量を高精度で制御することの妨げとなる。そして、絞り部位が3段階で変化する構造の場合、形状寸法ばらつきに起因した噴射量ばらつきが大きくなり、噴射量の機差ばらつきが大きくなる。
[0115]
 この点を考慮し、上記第1態様に係る燃料噴射弁1は、図12に示すように、閉弁位置から中間位置(リフト量=L2a)まではシート部絞り状態となり、中間位置からフルリフト位置までは噴孔絞り状態となるように構成されている。つまり、シート部絞り状態と噴孔絞り状態の2段階で絞り部位が変化する。
[0116]
 以下、2段絞りを実現させるための手法について、図13~図15を用いて説明する。
[0117]
 図13に示す第1の手法は、閉弁時でのシート噴孔間通路断面積S3を、図中の点線位置から実線位置へと増大させることである。例えば、サック室Q22を軸線C1方向に拡大させるよう、弁体離間距離Haを拡大させればよい。具体的には、弁体先端面22の曲率半径R22を大きくしたり、ボデー底面112の曲率半径R112を小さくしたり、連結面113の傾斜を急峻にしたりすればよい。
[0118]
 図14に示す第2の手法は、リフトアップに伴うシート部通路断面積S2の増大速度(傾き)を小さくすることである。例えば、シート位置R1を軸線C1に近づかせることで、仮想線HT1を母線とした円錐外周面の直径を小さくして、図中の点線位置を実線位置へ変更すればよい。
[0119]
 図15に示す第3の手法は、噴孔通路断面積S1を小さくすることである。例えば、噴孔11aの数を減らしたり、噴孔11aの直径を小さくしたりして、図中の点線位置を実線位置へ変更すればよい。
[0120]
 以上により、本実施形態によれば2段階で絞り部位が変化するので、先述の如く3段階で変化する場合に比べて、通電時間に対する噴射量の機差ばらつきが抑制される。
[0121]
 さらに本実施形態では、図13~図15に示すように、閉弁状態では、シート噴孔間通路断面積S3は噴孔通路断面積S1より小さい。このことは、シート噴孔間通路断面積S3が噴孔通路断面積S1より大きい場合に比べれば、閉弁時のサック室Q22の体積が小さいことを意味する。よって、先述した漏出量低減の効果が促進される。それでいて、噴孔絞り状態から、シート噴孔間絞り状態へ移行することなく噴孔絞り状態へ移行させて、2段階での絞りを実現させている。
[0122]
 さらに本実施形態では、噴孔ボデー11は、テーパ面111およびボデー底面112を有する。テーパ面111は、着座面11sを含む、ニードル20の軸線C1を含む断面において直線形状に形成された面である。ボデー底面112は、流入口11inを含む、テーパ面111から凹む形状に形成された面である。これによれば、ボデー底面112がテーパ面111から凹む形状に形成されていない場合に比べれば、シート下流通路Q20の体積が小さくなる。よって、先述した漏出量低減の効果が促進され、それでいて、噴孔絞り状態から、シート噴孔間絞り状態へ移行することなく噴孔絞り状態へ移行させて、2段階での絞りを実現させている。
[0123]
 (第2実施形態)
 上記第1実施形態では、2段階で絞り部位が変化する構造を実現させるにあたり、シート部絞り状態から噴孔絞り状態へと推移させている。これに対し、本実施形態では、シート部絞り状態からシート噴孔間絞りへと推移させている。例えば、図16に示すように、フルリフト位置でのリフト量を小さくすることで、シート部絞り状態からシート噴孔間絞りへ推移した後に、噴孔絞り状態へ推移させないようにすることで、2段階絞りを実現させればよい。
[0124]
 なお、他の構成については、本実施形態においても上記第1実施形態と同様であり、例えば、閉弁状態では、シート噴孔間通路断面積S3は噴孔通路断面積S1より小さく設定されている。
[0125]
 本実施形態による2段階絞りの構造であっても、上記第1実施形態と同様にして、3段階絞りの構造に場合に比べて通電時間に対する噴射量の機差ばらつきを抑制できる、といった効果が発揮される。
[0126]
 (第3実施形態)
 上記第1実施形態では、弁体先端面22を、ボデー底面112の側に膨らむ向きに湾曲した形状にするにあたり、弁体先端面22の全体を湾曲させている。これに対し本実施形態では、図17に示すように、ニードル20のうちシート面20sより下流側に位置する先端部には、軸線C1方向に対して垂直に拡がる平坦面22aが形成されている。なお、平坦面22aを除く部分については、上記第1実施形態と同様にして湾曲させている。
[0127]
 また、上記第1実施形態では、ボデー底面112を、弁体先端面22から遠ざかる向きに湾曲した形状にするにあたり、ボデー底面112の全体を湾曲させている。これに対し本実施形態では、図17に示すように、ボデー底面112のうち噴孔11aより軸線C1に近い側に位置する中央部には、軸線C1方向に対して垂直に拡がる平坦面112bが形成されている。なお、平坦面112bを除く部分については、上記第1実施形態と同様にして湾曲させている。
[0128]
 これによれば、弁体先端面22に平坦面22aが形成されていない全体湾曲の場合に比べて、閉弁時のサック室Q22の体積が小さくなる。同様にして、ボデー底面112に平坦面112bが形成されていない全体湾曲の場合に比べて、閉弁時のサック室Q22の体積が小さくなる。よって、先述した漏出量低減の効果が促進され、それでいて、噴孔絞り状態から、シート噴孔間絞り状態へ移行することなく噴孔絞り状態へ移行させて、2段階での絞りを実現させている。
[0129]
 (第4実施形態)
 上記第1実施形態に係る噴孔11aは、通路断面積が流入口11inから流出口11outにかけて均一であるストレート形状である。通路断面積とは、噴孔11aの軸線C2に対して垂直な方向の面積のことである。軸線C2は、流入口11inの中心と流出口11outの中心とを結ぶ線である。これに対し本実施形態では、図18に示すように、軸線C2を含む断面において噴孔11aの形状は、流入口11inから流出口11outにかけて徐々に直径が小さくなるテーパ形状であり、流入口11inの開口面積は流出口11outの開口面積より大きい。
[0130]
 このように、本実施形態では、流入口11inの開口面積は流出口11outの開口面積より大きいので、閉弁直後においてサック室Q22の燃料が流入口11inへ流入することが、ストレート形状の場合に比べて促進される。よって、先述した残留燃料の排出性を向上できる。また、流入口11inの開口面積が流出口11outの開口面積より大きいことに起因して、先述した貫徹力を増大できる。
[0131]
 さらに本実施形態によれば、図12や図16に示す2段絞りの構造を、噴孔11aのテーパ角度を調節することで実現可能となる。なお、本実施形態では、流出口11outまたはその近傍部分の通路断面積が、噴孔絞りに寄与する噴孔通路断面積S1に相当する。
[0132]
 (第5実施形態)
 本実施形態では、図19に示すように、軸線C2を含む断面において噴孔11aの形状は、通路断面積の大きい部分である噴孔上流部11a1と、通路断面積の小さい部分である噴孔下流部11a2とを有する段付形状である。通路断面積とは、噴孔11aの軸線C2に対して垂直な方向の面積のことであり、軸線C2とは、流入口11inの中心と流出口11outの中心とを結ぶ線のことである。噴孔上流部11a1および噴孔下流部11a2は、軸線C2方向に一定の直径で延びるストレート形状であり、噴孔上流部11a1の直径は噴孔下流部11a2の直径より大きい。よって、流入口11inの開口面積は流出口11outの開口面積より大きい。
[0133]
 このように、本実施形態によっても上記第4実施形態と同様にして、流入口11inの開口面積は流出口11outの開口面積より大きいので、残留燃料の排出性向上および貫徹力の増大を図ることができる。
[0134]
 さらに本実施形態によれば、図12や図16に示す2段絞りの構造を、噴孔下流部11a2の形状を調節することで実現可能となる。なお、本実施形態では、噴孔下流部11a2の通路断面積が、噴孔絞りに寄与する噴孔通路断面積S1に相当する。また、
[0135]
 (第6実施形態)
 図20に示す本実施形態では、ボデー外面114に凹部11dが形成されている。凹部11dは軸線C2方向から見て円形であり、流出口11outを内部に含むよう、凹部11dの直径は流出口11outの直径より大きい。凹部11dの円形中心は噴孔11aの軸線C2と一致する。このように凹部11dを形成することで、噴孔11aの長さを短くし、流出口11outから噴射される燃料の貫徹力を低減させている。それでいて、噴孔ボデー11のうち噴孔11a以外の部分で厚さ寸法が短くなることを回避できるので、噴孔ボデー11の著しい強度低下を回避できる。
[0136]
 図20に示す構造の場合においても上記各実施形態と同様にして、噴孔11aの体積V2aは、流入口11inから流出口11outまでの体積のことであり、凹部11dの体積は噴孔11aの体積V2aには含まれない。凹部11dに存在する燃料は圧力開放された状態であり、圧力開放された状態の燃料が存在する部分は、噴孔11aの一部とはみなされない。そして、総噴孔体積V2は、着座状態における中心角柱体積V1よりも大きい。
[0137]
 なお、図20に示す凹部11dを備える構造において、噴孔11aの形状は、図7に示すストレート形状であってもよいし、図18に示すテーパ形状であってもよいし、図18とはテーパの向きを逆にした逆テーパ形状であってもよい。
[0138]
 (第7実施形態)
 上記第1実施形態に係る燃料噴射弁1は、1つのコア対向面31cを有する可動コア30を備える(図3参照)。この構成に起因して、可動コア30に入る磁束(入磁束)と、可動コア30から出る磁束(出磁束)とは異なる向きになる(図3中の点線矢印参照)。すなわち、入磁束および出磁束の一方は、軸線C1方向に出入りして可動コア30に開弁力を作用させる磁束であるのに対し、入磁束および出磁束の他方は、可動コア30の径方向に出入りして開弁力として寄与しない磁束となる。
[0139]
 これに対し、図21に示す本実施形態の燃料噴射弁1Aは、2つのコア対向面、つまり第1コア対向面31c1および第2コア対向面31c2を有する可動コア30Aを備える。さらに燃料噴射弁1Aは、第1コア対向面31c1に対向する吸引面を有する第1固定コア131、および第2コア対向面31c2に対向する吸引面を有する第2固定コア132を備える。非磁性部材14は、第1固定コア131と第2固定コア132の間に配置されている。この構成により、入磁束および出磁束のいずれもが、軸線C1方向に出入りして可動コア30Aに開弁力を作用させる磁束となる(図21中の点線矢印参照)。なお、可動コア30Aとニードル20とは連結部材70により連結され、連結部材70にはオリフィス部材71が取り付けられている。
[0140]
 ニードル20を開弁作動させるべくコイル17へ通電すると、第1コア対向面31c1および第2コア対向面31c2の両方により、可動コア30Aは固定コア131、132に吸引される。これにより、ニードル20は、可動コア30A、連結部材70およびオリフィス部材71とともに開弁作動する。ニードル20のフルリフト位置では、第1固定コア131に固定されたストッパ131aに連結部材70が当接し、第1コア対向面31c1および第2コア対向面31c2は固定コア131、132に当接しない。
[0141]
 ニードル20を閉弁作動させるべくコイル17への通電を停止させると、可動コア30に付与されている第2バネ部材SP2の弾性力がオリフィス部材71に付与される。これにより、ニードル20は、可動コア30A、連結部材70およびオリフィス部材71とともに閉弁作動する。
[0142]
 摺動部材72は、可動コア30Aに取り付けられて可動コア30Aとともに開閉作動する。摺動部材72は、第2固定コア132に固定されたカバー132aに対して、軸線C1方向に摺動する。要するに、可動コア30A、摺動部材72、連結部材70およびオリフィス部材71とともに開閉作動するニードル20は、摺動部材72により径方向に支持されていると言える。
[0143]
 固定コア13の内部に形成されている流路13aへ流入した燃料は、オリフィス部材71の内部通路71a、オリフィス部材71に形成されたオリフィス71b、および移動部材73に形成されたオリフィス73aを順に流れ、流路12bへ流入する。移動部材73はオリフィス71bを開閉するように軸線C1方向に移動する部材であり、移動部材73がオリフィス71bを開閉することで、流路13aと流路12bとの間の流路の絞り度合が変更される。
[0144]
 そして、本実施形態に係る燃料噴射弁1Aにおいても、2段階絞りの構造に形成されており、通電時間に対する噴射量の機差ばらつきを抑制が図られている。
[0145]
 (第8実施形態)
 上記第1実施形態に係る燃料噴射弁1は、コイル17、固定コア13および可動コア30を有するアクチュエータを1つ備え、そのアクチュエータがニードル20に閉弁力を作用させている。これに対し、図22に示す本実施形態の燃料噴射弁1Bは、ニードル20に閉弁力を作用させるアクチュエータを2つ備えている。すなわち、第1実施形態と同様のコイル17、固定コア13および可動コア30を備えることに加え、第2のコイル170、固定コア130および可動コア30Bを備える。
[0146]
 具体的には、本体ボデー12のうち軸線C1方向に異なる位置に、各々の固定コア13、130およびコイル17、170が固定されている。また、2つの可動コア30、30Bは、各々の固定コア13、130の吸引面に対向する位置に、軸線C1方向に並べて配置されている。可動コア30、30Bは、ニードル20に固定され、かつ、本体ボデー12の内部にて軸線C1方向に摺動可能に配置されている。
[0147]
 ニードル20を開弁作動させる場合には、2つのコイル17、170へ通電し、2つの可動コア30、30Bを固定コア13、130へ吸引させる。これにより、可動コア30、30Bに固定されたニードル20は、第1バネ部材SP1の弾性力に抗して開弁作動する。ニードル20を閉弁作動させる場合には、2つのコイル17、170への通電を停止させ、可動コア30に付与されている第1バネ部材SP1の弾性力により、ニードル20は閉弁作動する。
[0148]
 そして、本実施形態に係る燃料噴射弁1Bにおいても、2段階絞りの構造に形成されており、通電時間に対する噴射量の機差ばらつきを抑制が図られている。
[0149]
 (他の実施形態)
 以上、本開示の複数の実施形態について説明したが、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
[0150]
 上記各実施形態では、閉弁状態において、シート噴孔間通路断面積S3は噴孔通路断面積S1より小さく設定されているが、閉弁状態において、シート噴孔間通路断面積S3は噴孔通路断面積S1より大きく設定されていてもよい。
[0151]
 上記第1実施形態では、複数の噴孔11aの全てが同一の形状である。これに対し、大きさの異なる複数種類の噴孔11aを備えた燃料噴射弁であってもよい。また、上記第1実施形態では、複数の噴孔11aの全てが、同一の流入中心仮想円R2上に配置されている。これに対し、大きさの異なる仮想円上に各々の噴孔11aが配置された燃料噴射弁であってもよい。
[0152]
 図12に示す例では、閉弁位置から第1中間位置L2aまでのリフト量である前段リフト量と、第1中間位置L2aからフルリフト位置までのリフト量である後段リフト量とが同一である。これに対し、前段リフト量が後段リフト量より小さくてもよいし、前段リフト量が後段リフト量より大きくてもよい。
[0153]
 上記第1実施形態では、流入口隙間距離Hは、流入口中心点Aでの隙間距離として定義されている。これに対し、流入口11inの周縁のうち軸線C1から最も離れた位置での隙間距離として定義されていてもよいし、流入口11inの周縁のうち軸線C1に最も近い位置での隙間距離として定義されていてもよい。また、流入口11inの周縁のうち流入中心仮想円R2と交差する位置での隙間距離として定義されていてもよい。
[0154]
 上記第1実施形態では、複数の噴孔11aの各々の噴孔間距離Lおよび流入口隙間距離Hが同一である場合において、噴孔間距離Lが流入口隙間距離Hより小さく設定されている。これに対し、異なる噴孔間距離および流入口隙間距離が存在する場合において、少なくとも1つの噴孔間距離が少なくとも1つの流入口隙間距離より小さく設定されていればよい。或いは、隣同士の2つの噴孔11aの噴孔間距離が、それら2つの噴孔11aのいずれか一方の流入口隙間距離より小さく設定されていればよい。
[0155]
 上記第1実施形態では、ニードル20外面と流入口11inとの隙間の大きさである流入口隙間距離Hは、流入口11inの中心点Aでのニードル20との離間距離である。これに対し、噴孔11aのうち中心点A以外の部分におけるニードル20との離間距離であってもよい。例えば、流入口隙間距離Hは、噴孔11aのうちニードル20に最も遠い位置での軸線C1方向における離間距離であってもよいし、最も近い位置での軸線C1方向における離間距離であってもよい。
[0156]
 上記第1実施形態では、燃料噴射弁1は、シリンダヘッドのうち燃焼室2の中心に位置する部分に取り付けられて、燃焼室2の上方からピストンの中心線方向に燃料を噴射するセンター配置式である。これに対し、シリンダブロックのうち燃焼室2の側方に位置する部分に取り付けられて、燃焼室2の側方から燃料を噴射するサイド配置式の燃料噴射弁であってもいい。
[0157]
 上記第1実施形態では、ニードル20のうち噴孔ボデー11の内壁面11cに対向する部分(ニードル先端部)と、カップ50の外周面51dとの2箇所で、可動部Mは径方向に支持されている。また、上記第7実施形態では、ニードル先端部と摺動部材72との2箇所で、可動部は径方向に支持されている。これに対し、可動コア30の外周面とニードル先端部との2箇所で、可動部Mは径方向から支持されていてもよい。
[0158]
 上記第1実施形態では、インナコア32が非磁性材で形成されているが、磁性材で形成されていてもよい。また、インナコア32が磁性材で形成される場合、アウタコア31に比べて磁性の弱い弱磁性材で形成されてもよい。同様にして、ニードル20およびガイド部材60が、アウタコア31に比べて磁性の弱い弱磁性材で形成されてもよい。
[0159]
 上記第1実施形態では、可動コア30が所定量移動した時点で、可動コア30をニードル20に当接させて開弁作動を開始させるコアブースト構造を実現するにあたり、第1バネ部材SP1と可動コア30との間にカップ50を介在させている。これに対し、カップ50を廃止して、第1バネ部材SP1とは別の第3バネ部材を設け、第3バネ部材により可動コア30を噴孔側へ付勢させるコアブースト構造であってもよい。
[0160]
 流入口11inそれぞれの周縁のうち軸線C1に最も近い部分を結んだ直線L10で囲まれる領域を仮想領域とすることは先述した通りである。この仮想領域は、図6に示すように、軸線C1を対称中心とした点対称かつ正多角形であってもよいし、非点対称の形状であってもよい。
[0161]
 上記各実施形態では、燃料通路11bを形成するテーパ面111、ボデー底面112および連結面113のうち、ボデー底面112に噴孔11aが形成されている。これに対し、テーパ面111のうち着座面11sの下流側部分、または連結面113に噴孔11aが形成されていてもよい。
[0162]
 上記各実施形態では、ニードル20が可動コア30に対して相対移動可能に構成されているが、相対移動できないように可動コア30とニードル20が一体に構成されていてもよい。分割噴射に係る2回目以降の噴射を行う際には、可動コア30が初期位置に戻ってくる必要がある。しかしながら、上述の如く可動コア30とニードル20とが一体に構成されている場合、ニードル20が重くなり、閉弁バウンスしやすくなる。そのため、シート角度θを90度以下とすることによるバウンス抑制の効果は、上記一体構成の場合に好適に発揮される。
[0163]
 上記第4実施形態に係る噴孔11aの形状は、流入口11inから流出口11outにかけて徐々に直径が小さくなるテーパ形状である(図18参照)。これに対し、図23に示すように、図18とは逆向きのテーパ形状であってもよい。すなわち、軸線C2を含む断面において噴孔11aの形状は、流入口11inから流出口11outにかけて徐々に直径が大きくなるテーパ形状であり、流入口11inの開口面積は流出口11outの開口面積より小さい。なお、図23の例では、流入口11inまたはその近傍部分の通路断面積が、噴孔絞りに寄与する噴孔通路断面積S1に相当する。

請求の範囲

[請求項1]
 燃料が噴射される噴孔(11a)が形成された噴孔ボデー(11)と、
 前記噴孔ボデーの着座面(11s)に離着座するシート面(20s)が形成された弁体(20)と、
 前記噴孔ボデーと前記弁体との間に形成され、前記噴孔の流入口(11in)に連通しており、前記弁体の離着座により開閉される燃料通路(11b)とを備え、
 前記シート面は、前記着座面の側に膨らむ向きに湾曲しており、
 前記噴孔から噴射される燃料の流量が、前記シート面と前記着座面との隙間で絞られた流量に制限されている状態をシート部絞り状態とし、前記噴孔で絞られた流量に制限されている状態を噴孔絞り状態とした場合に、
 前記弁体が閉弁位置からフルリフト位置まで開弁作動するにあたり、前記閉弁位置から所定の中間位置までは前記シート部絞り状態となり、前記中間位置から前記フルリフト位置までは前記噴孔絞り状態となる燃料噴射弁。
[請求項2]
 内燃機関の燃焼に用いる燃料が噴射される噴孔(11a)が形成された噴孔ボデー(11)と、
 前記噴孔ボデーの着座面(11s)に離着座するシート面(20s)が形成された弁体(20)と、
 前記噴孔ボデーと前記弁体との間に形成され、前記噴孔の流入口(11in)に連通しており、前記弁体の離着座により開閉される燃料通路(11b)とを備え、
 前記シート面は、前記着座面の側に膨らむ向きに湾曲しており、
 前記噴孔から噴射される燃料の流量が、前記シート面と前記着座面との隙間で絞られた流量に制限されている状態をシート部絞り状態とし、前記燃料通路のうち前記着座面より下流側の部分であるシート噴孔間隙間で絞られた流量に制限されている状態をシート噴孔間絞り状態とした場合に、
 前記弁体が閉弁位置からフルリフト位置まで開弁作動するにあたり、前記閉弁位置から所定の中間位置までは前記シート部絞り状態となり、前記中間位置から前記フルリフト位置までは前記シート噴孔間絞り状態となる燃料噴射弁。
[請求項3]
 前記燃料通路のうち前記着座面より下流側の部分であるシート噴孔間隙間の通路断面積をシート噴孔間通路断面積(S3)とし、前記噴孔の通路断面積を噴孔通路断面積(S1)とした場合に、
 前記噴孔ボデーに前記弁体が着座した閉弁状態では、前記シート噴孔間通路断面積は前記噴孔通路断面積より小さい請求項1または2に記載の燃料噴射弁。
[請求項4]
 前記噴孔ボデーは、
 前記着座面を含む、前記弁体の中心軸線を含む断面において直線形状に形成されたテーパ面(111)と、
 前記流入口を含む、前記テーパ面から凹む形状に形成されたボデー底面(112)と、を有する請求項1~3のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
[請求項5]
 前記弁体のうち前記シート面より下流側に位置する先端部には、前記弁体の中心軸線の方向に対して垂直に拡がる平坦面(22a)が形成されている請求項1~4のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
[請求項6]
 前記弁体の外面のうち前記シート面よりも燃料流れ下流側の部分の全体を弁体先端面(22)とし、前記弁体の中心軸線の方向における前記弁体先端面と前記噴孔ボデーとの距離を弁体離間距離(Ha)とし、前記流入口の中心を通る、前記中心軸線を中心とした円を流入中心仮想円(R2)とし、
 前記弁体離間距離は、前記流入中心仮想円の周縁から径方向において前記中心軸線に向かう方向に沿って連続的に小さくなっていく請求項1~5のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]