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1. WO2020066892 - SCLÉROTIQUE SIMULÉE ET GLOBE OCULAIRE SIMULÉ

Document

明 細 書

発明の名称 模擬強膜、及び模擬眼球

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016  

発明の効果

0017   0018   0019   0020  

図面の簡単な説明

0021  

発明を実施するための形態

0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197  

実施例

0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244   0245   0246   0247   0248   0249   0250   0251   0252   0253   0254   0255   0256   0257   0258   0259   0260   0261   0262   0263   0264   0265   0266   0267   0268   0269   0270   0271   0272   0273   0274   0275   0276   0277   0278   0279   0280   0281   0282   0283   0284   0285   0286   0287   0288   0289   0290   0291   0292   0293   0294   0295   0296  

産業上の利用可能性

0297  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

明 細 書

発明の名称 : 模擬強膜、及び模擬眼球

技術分野

[0001]
 本発明は、模擬強膜、模擬眼球、および、模擬強膜の製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 例えば、白内障、緑内障などの眼病に対しては、眼球手術による治療が採用されている。一方、眼球は視覚にかかわる器官であるため、眼球手術には熟練した技術が必要とされる。しかし、局所麻酔により指導が患者に聞こえるため、臨床現場において眼球手術の練習をすることが困難である。そこで、眼球手術の練習には、模擬眼球が用いられている。
[0003]
 模擬眼球として、具体的には、模擬的な網膜層などを備える後方セグメントと、模擬的な強膜や角膜などを備える前方セグメントとを備える模擬眼球が、提案されている。また、このような模擬眼球を、例えば、模擬的な筋肉などでベース部に固定し、ハウジングに収容して、眼球手術の練習に用いることも提案されている(例えば、特許文献1参照。)。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 米国特許出願公開第2016/0063898号明細書

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかるに、模擬眼球には、より臨床現場に近い感触が要求されている。
[0006]
 とりわけ、緑内障の手術練習用の模擬眼球には、メスなどで強膜に切込を入れる際の切込感や、切込を入れた強膜をめくる際の薄切感などが要求されている。
[0007]
 本発明は、実際の眼球(強膜)に近い切込感および薄切感を有する模擬強膜、その模擬強膜を備える模擬眼球、および、模擬強膜の製造方法である。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明[1]は、複数の繊維層(a)と、前記繊維層(a)に接触する樹脂(b)とを含み、前記繊維層(a)を構成する繊維の繊維径が、0.6μm以上170.0μm以下である、模擬強膜を含んでいる。
[0009]
 本発明[2]は、複数の前記繊維層(a)の間の剥離強度が、0.20N/cm以上である、上記[1]に記載の模擬強膜を含んでいる。
[0010]
 本発明[3]は、前記樹脂(b)のアスカーF硬度が45以上95以下、または、前記樹脂(b)のアスカーC硬度が5以上35以下である、上記[1]または[2]に記載の模擬強膜を含んでいる。
[0011]
 本発明[4]は、前記繊維層(a)が不織布を備える、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の模擬強膜を含んでいる。
[0012]
 本発明[5]は、前記樹脂(b)が、ポリウレタンを含む、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の模擬強膜を含んでいる。
[0013]
 本発明[6]は、さらに、表面コート層(c)を備える、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の模擬強膜を含んでいる。
[0014]
 本発明[7]は、眼球手術練習用の模擬強膜である、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の模擬強膜を含んでいる。
[0015]
 本発明[8]は、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の模擬強膜を含む、模擬眼球を含んでいる。
[0016]
 本発明[9]は、複数の繊維層(a)と、前記繊維層(a)に接触する樹脂(b)とを含み、前記繊維層(a)を構成する繊維の繊維径が、0.6μm以上170.0μm以下である模擬強膜の製造方法であって、複数の繊維層(a)を積層する工程と、積層された前記繊維層(a)に樹脂(b)を含浸させる工程とを備える、模擬強膜の製造方法を含んでいる。

発明の効果

[0017]
 本発明の模擬強膜は、複数の繊維層(a)と、前記繊維層(a)に接触する樹脂(b)とを含む。そのため、複数の繊維層(a)の一部のみをめくることができ、実際の眼球の強膜に近い薄切感を得ることができる。
[0018]
 また、本発明の模擬強膜は、その繊維層(a)を構成する繊維の繊維径が、0.6μm以上170.0μm以下である。そのため、実際の眼球の強膜に近い切込感を得ることができる。
[0019]
 また、本発明の模擬眼球は、本発明の模擬強膜を備えるため、優れた切込感および薄切感を有する。
[0020]
 また、本発明の模擬強膜の製造方法によれば、切込感および薄切感に優れる模擬強膜を得ることができる。

図面の簡単な説明

[0021]
[図1] 図1は、本発明の模擬強膜および模擬眼球の一実施形態(3枚以上の繊維層が積層配置される形態)の要部断面図である。
[図2] 図2は、図1に示す模擬強膜の製造方法を示す工程図であって、図2Aは、複数の繊維層(a)を積層する工程、および、図2Bは、繊維層(a)を、鋳型に配置する工程を、それぞれ示す。
[図3] 図3は、図2に続いて、図1に示す模擬強膜の製造方法を示す工程図であって、図3Aは、繊維層(a)に樹脂(b)を含浸させる工程、および、図3Bは、表面コート層(c)を形成する工程を、それぞれ示す。
[図4] 図4は、本発明の模擬強膜および模擬眼球の他の実施形態(2枚の繊維層が積層され模擬強膜の厚み方向中部に配置される形態)の要部断面図である。
[図5] 図5は、本発明の模擬強膜および模擬眼球の他の実施形態(2枚の繊維層が積層され模擬強膜の厚み方向一方側に配置される形態)の要部断面図である。
[図6] 図6は、本発明の模擬強膜および模擬眼球の他の実施形態(2枚の繊維層が積層され模擬強膜の厚み方向他方側に配置される形態)の要部断面図である。
[図7] 図7は、本発明の模擬強膜および模擬眼球の他の実施形態(2枚の繊維層が積層されることなく、模擬強膜の中部に配置される形態)の要部断面図である。
[図8] 図8は、本発明の模擬強膜および模擬眼球の他の実施形態(模擬角膜に繊維層が配置される形態)の要部断面図である。
[図9] 図9は、緑内障手術において、眼球の強膜にナイフやメスで切込みを設ける工程を示す模式図である。
[図10] 図10は、緑内障手術において、強膜を確認する工程を示す模式図である。
[図11] 図11は、緑内障手術において、眼球の強膜を剥離切開、すなわち、薄切する工程を示す模式図である。
[図12] 図12は、緑内障手術において、眼球の強膜を捲り上げる工程を示す概略図である。
[図13] 図13は、緑内障手術において、眼球の強膜を引き続き剥離切開、すなわち、薄切する工程を示す模式図である。
[図14] 図14は、緑内障手術において、眼球の強膜の切開部位を縫合する工程を示す模式図である。
[図15] 図15は、実施例26で得られた手術練習用模擬強膜を剥離切開し、捲り上げた状態の写真である。
[図16] 図16は、実施例26で得られた手術練習用模擬強膜の切開部位を縫合した状態の写真である。

発明を実施するための形態

[0022]
 図1において、模擬眼球1は、後述の各種用途(好ましくは、眼球手術練習用途)に用いられる人工生体モデルであって、模擬強膜2と、模擬強膜2から連続的または不連続的に形成される模擬角膜3とを備えている。
[0023]
 模擬強膜2および模擬角膜3が連続的に形成される形態としては、例えば、単一種類の樹脂が一括成形されることによって模擬強膜2と模擬角膜3とが形成される形態や、例えば、一旦成形された模擬強膜2をセットした金型で模擬角膜3を一体成形する形態や、例えば、一旦成形された模擬角膜3をセットした金型で模擬強膜2を一体成形する形態などが挙げられる。
[0024]
 また、模擬強膜2および模擬角膜3が不連続的に形成される形態としては、例えば、別々に成形された模擬強膜2と模擬角膜3とが、公知の接着剤で接合される形態などが挙げられる。
[0025]
 このような模擬強膜2には、実際の人体の強膜に近しい切込感(切込性)および薄切感(薄切性)が要求される。
[0026]
 なお、切込感とは、ナイフやメスで(模擬)強膜に切込を入れた際の感触のことである。
[0027]
 また、薄切感とは、切込部から(模擬)強膜を剥離切開、すなわち、薄切する際の感触のことである。
[0028]
 さらに、模擬強膜2は、実際の人体の強膜に近しい戻り感(戻り性)を備えることが好ましい。
[0029]
 なお、戻り感とは、薄切後の(模擬)強膜を大きくめくったときの、めくり戻りの様子である。
[0030]
 加えて、模擬強膜2は、実際の人体の強膜に近しいタック感(タック性、表面べとつき)を備えることが好ましい。
[0031]
 なお、タック感とは、(模擬)強膜の表面におけるべとつきのことである。
[0032]
 これらの観点から、模擬強膜2は、以下の通り構成される。
[0033]
 すなわち、模擬強膜2は、模擬眼球1における強膜部分を形成する膜体であって、複数の繊維層(a)と、繊維層(a)に接触する樹脂(b)とを備えている。
[0034]
 模擬強膜2の厚みは、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.3mm以上、より好ましくは、0.5mm以上、さらに好ましくは、0.8mm以上であり、例えば、4.0mm以下、好ましくは、2.0mm以下、より好ましくは、1.5mm以下、さらに好ましくは、1.2mm以下である。模擬強膜2の厚みは、とりわけ好ましくは、1.0±0.2mm、さらには、1.0±0.1mmである。
[0035]
 すなわち、模擬強膜2が、その総厚みが上記範囲となるように、複数の繊維層(a)を備えており、また、各繊維層(a)には、樹脂(b)が接触している。
[0036]
 繊維層(a)は、繊維からなる単層であって、例えば、織布、不織布、フィルタ、メッシュなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
[0037]
 繊維層(a)として、切込感、薄切性および戻り性の向上を図る観点から、好ましくは、織布、不織布、メッシュが挙げられ、より好ましくは、不織布が挙げられる。つまり、繊維層(a)は、より好ましくは、不織布を備えており、さらに好ましくは、不織布からなる。
[0038]
 繊維層(a)において、繊維としては、メスなどの刃物で切込み可能な材料であれば、特に制限されないが、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維(例えば、ナイロン繊維など)、ポリビニルアルコール繊維、ポリオレフィン繊維(例えば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維など)、ポリウレタン繊維、セルロース系繊維、木材繊維(例えば、木材パルプなど)などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
[0039]
 繊維として、好ましくは、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維が挙げられ、より好ましくは、ポリオレフィン繊維が挙げられ、とりわけ好ましくは、ポリプロピレン繊維が挙げられる。
[0040]
 なお、繊維は、公知の方法で樹脂を紡糸することにより得ることができる。
[0041]
 繊維層(a)を構成する繊維の繊維径は、0.6μm以上、好ましくは、1.0μm以上、より好ましくは、2.0μm以上であり、170.0μm以下、好ましくは、150.0μm以下、より好ましくは、100μm以下、さらに好ましくは、50.0μm以下、さらに好ましくは、30.0μm以下、とりわけ好ましくは、25.0μm以下である。
[0042]
 繊維径が上記範囲であれば、優れた切込感、薄切感および戻り性を得ることができる。
[0043]
 なお、繊維径は、模擬強膜2として成形される前の繊維層(a)の繊維径(カタログ値)ではなく、成形された模擬強膜2に含まれる繊維層(a)の繊維径である。
[0044]
 つまり、繊維層(a)の繊維径は、材料として準備された繊維層(a)ではなく、模擬強膜2の断面の繊維層(a)、または、模擬強膜2から取り出された繊維層(a)から求められる。
[0045]
 具体的には、このような繊維径は、後述する実施例に準拠して、マイクロスコープを用いた観察により100本の平均繊維径として測定および算出される。
[0046]
 また、繊維径を上記範囲に調整する方法は、特に制限されず、繊維の製造方法に応じて、適宜設定される。
[0047]
 上記の繊維から繊維層(a)を得る方法は、特に制限されず、公知の織布の製法や、公知の不織布の製法を採用することができる。
[0048]
 なお、不織布は、製法により、例えば、レジンボンド、ケミカルボンド、ニードルパンチ、サーマルボンド、スパンボンド、メルトブローンなどの種類があり、単独使用または2種類以上併用できる。不織布の製法として、好ましくは、模擬強膜2の切込感向上の観点から、好ましくは、スパンボンドが挙げられる。
[0049]
 繊維層(a)の厚み(単層厚み)は、例えば、0.01mm以上、好ましくは、0.05mm以上、より好ましくは、0.1mm以上であり、例えば、0.5mm以下、好ましくは、0.4mm以下、より好ましくは、0.3mm以下である。
[0050]
 また、繊維層(a)の目付量(単層の目付量)は、例えば、5g/m 以上、好ましくは、10g/m 以上であり、例えば、50g/m 以下、好ましくは、30g/m 以下
 である。
[0051]
 なお、目付量(単層の目付量)は、JIS L1913(2010)に準拠して、測定される。
[0052]
 これら繊維層(a)は、単独使用または2種類以上併用することができる。
[0053]
 繊維層(a)の数(枚数)は、模擬強膜2の厚み(総厚み)と、各繊維層(a)の厚みおよび目付量に応じて異なるが、切込感、薄切感および戻り性の観点から、2以上、好ましくは、3以上、より好ましくは、4以上、さらに好ましくは、5以上であり、例えば、30以下、好ましくは、20以下、より好ましくは、10以下である。
[0054]
 なお、複数の繊維層(a)は、模擬強膜2の内部において互いに接触するように積層配置されていてもよく、また、互いに接触しないように所定間隔を隔てて配置されていてもよい。
[0055]
 好ましくは、複数の繊維層(a)は、模擬強膜2の内部において互いに接触するように積層配置される。これにより、複数の繊維層(a)が積層配置された積層体(以下、繊維層積層体と称する。)4が得られる。
[0056]
 なお、繊維層積層体4においては、必要に応じて、互いに接触する各繊維層(a)が、公知の接着剤(糊など)などにより接着されていてもよい。
[0057]
 樹脂(b)は、複数の繊維層(a)に接触配置される。
[0058]
 樹脂(b)としては、メスなどの刃物で薄切り可能な材料であれば、特に制限されないが、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、セロファン、ポリウレタン、シリコ-ンなどの高分子材料が挙げられる。また、樹脂(b)としては、さらに、ゴムなども挙げられる。ゴムとしては、例えば、シリコーンゴム(ポリジメチルシロキサンなど)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、天然ゴムなどが挙げられる。
[0059]
 これら樹脂(b)は、単独使用または2種類以上併用することができる。
[0060]
 樹脂(b)として、薄切感および戻り性の向上を図る観点から、好ましくは、ポリウレタン、シリコーンが挙げられ、より好ましくは、ポリウレタンが挙げられる。
[0061]
 樹脂(b)の形態は、特に制限されず、例えば、固体状であってもよく、液体状であってもよく、半固体状であってもよい。樹脂(b)は、好ましくは、半固体状であり、より好ましくは、ゲル状である。
[0062]
 本発明において、ゲル状の樹脂(b)は、超低硬度エラストマーである。つまり、樹脂(b)のアスカーF硬度が比較的低いか、および/または、樹脂(b)のアスカーC硬度が比較的低い。
[0063]
 樹脂(b)のアスカーF硬度(JIS K7312(1996年)に準拠)は、例えば、40以上であり、例えば、100以下である。
[0064]
 また、樹脂(b)のアスカーC硬度(JIS K7312(1996年)に準拠)は、例えば、0以上であり、例えば、40以下である。
[0065]
 樹脂(b)のアスカーF硬度および/またはアスカーC硬度が上記範囲であれば、眼球の強膜に近い触感を得ることができる。
[0066]
 また、模擬強膜2の薄切感および戻り性の観点から、樹脂(b)のアスカーF硬度(JIS K7312(1996年)に準拠)は、好ましくは、45以上、より好ましくは、50以上、さらに好ましくは、60以上、とりわけ好ましくは、70以上であり、また、好ましくは、95以下、より好ましくは、90以下、さらに好ましくは、80以下である。
[0067]
 また、模擬強膜2の薄切感および戻り性の観点から、樹脂(b)のアスカーC硬度(JIS K7312(1996年)に準拠)は、好ましくは、3以上、より好ましくは、5以上であり、また、好ましくは、35以下、より好ましくは、30以下、さらに好ましくは、25以下である。
[0068]
 すなわち、樹脂(b)のアスカーF硬度が上記範囲であるか、または、樹脂(b)のアスカーC硬度が上記範囲であれば、戻り性に優れる模擬強膜2を得ることができる。
[0069]
 さらに、樹脂(b)のアスカーF硬度が上記範囲であり、かつ、樹脂(b)のアスカーC硬度が上記範囲であれば、とりわけ戻り性に優れる模擬強膜2を得ることができる。
[0070]
 このようなゲル状の樹脂(b)として、好ましくは、ポリウレタンゲル、シリコーンゲルが挙げられ、より好ましくは、ポリウレタンゲルが挙げられる。
[0071]
 ポリウレタンゲルを得る方法は、特に制限されないが、例えば、まず、所望する物性に応じたポリイソシアネート成分およびポリオール成分を適宜選択し、それらを所定の型内でウレタン化反応させる。すなわち、ポリウレタンゲルは、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の反応生成物である。
[0072]
 ポリイソシアネート成分としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。ポリイソシアネート成分として、好ましくは、脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。
[0073]
 脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)などの鎖状脂肪族ジイソシアネート、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、水添キシリレンジイソシアネート(H XDI)、水添ジフェニルメタンジイソシネート(H 12MDI)などの脂環族ジイソシアネート、さらには、これらの誘導体などが挙げられる。誘導体としては、例えば、イソシアヌレート誘導体(アルコール無変性イソシアヌレート誘導体、アルコール変性イソシアヌレート誘導体など)、ビウレット誘導体、アロファネート誘導体、カルボジイミド誘導体、ポリオール付加体などなどが挙げられる。
[0074]
 これら脂肪族ポリイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。
[0075]
 脂肪族ポリイソシアネートとして、機械特性および硬度に優れるポリウレタンゲルを得る観点から、好ましくは、鎖状脂肪族ジイソシアネートおよびその誘導体が挙げられ、より好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)および/またはペンタメチレンジイソシアネート(PDI)およびその誘導体が挙げられ、さらに好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)および/またはペンタメチレンジイソシアネート(PDI)の誘導体が挙げられ、さらに好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)および/またはペンタメチレンジイソシアネート(PDI)のイソシアヌレート誘導体が挙げられ、とりわけ好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)および/またはペンタメチレンジイソシアネート(PDI)のアルコール変性イソシアヌレート誘導体が挙げられる。
[0076]
 また、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)およびペンタメチレンジイソシアネート(PDI)のうち、透明性の向上を図る観点から、好ましくは、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)が挙げられる。
[0077]
 ポリイソシアネート成分の平均イソシアネート基数は、硬化性および機械特性の観点から、2.3以上、好ましくは、2.5以上、より好ましくは、2.6以上、さらに好ましくは、2.7以上であり、3.2以下、好ましくは、3.1以下、より好ましくは、3.0以下、さらに好ましくは、2.9以下である。
[0078]
 ポリオール成分としては、例えば、分子量400未満の低分子量ポリオール、分子量400以上の高分子量ポリオールが挙げられる。
[0079]
 上記した硬度のポリウレタンゲルを得る観点からは、ポリオール成分は、好ましくは、高分子量ポリオールを含有し、より好ましくは、高分子量ポリオールのみを含有する。
[0080]
 高分子量ポリオールは、分子中に2つ以上の水酸基を有する分子量(GPC測定によるポリスチレン換算の数平均分子量)400以上、好ましくは、500以上、例えば、10000以下、好ましくは、8000以下の有機化合物であり、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ビニルモノマー変性ポリオールなどが挙げられる。これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
[0081]
 高分子量ポリオールとして、ポリウレタンゲルの柔軟性の観点から、好ましくは、ポリエーテルポリオールが挙げられる。
[0082]
 ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体(ランダム/ブロック)、ポリオキシトリメチレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール(後述する結晶性ポリテトラメチレンエーテルポリオール、後述する非晶性ポリテトラメチレンエーテルポリオールなど)などのポリオキシアルキレンポリオールが挙げられる。これらポリエーテルポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
[0083]
 ポリエーテルポリオールとして、ポリウレタンゲルの潤い感、寸法安定性、機械特性および硬度の観点から、好ましくは、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオールが挙げられる。
[0084]
 ポリオキシプロピレンポリオールは、例えば、低分子量ポリオールや公知の低分子量ポリアミンなどを開始剤とする、プロピレンオキサイドの付加重合物である。
[0085]
 低分子量ポリオールは、例えば、分子中に水酸基を2つ以上有し、分子量50以上400未満の化合物であって、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,2-トリメチルペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、アルカン(C7~20)ジオール、1,3-または1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,3-または1,4-シクロヘキサンジオールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールA、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオール、ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコールなどが挙げられる。これら低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。低分子量ポリオールとして、好ましくは、2価アルコール、3価アルコールが挙げられ、より好ましくは、2価アルコールが挙げられる。
[0086]
 ポリオキシプロピレンポリオールは、開始剤の官能基数に応じた平均官能基数のポリオキシプロピレンポリオールとして得られる。例えば、官能基数2の開始剤を用いた場合には、平均官能基数2のポリオキシプロピレングリコールが得られ、官能基数3の開始剤を用いた場合には、平均官能基数3のポリオキシプロピレントリオールが得られる。
[0087]
 これらポリオキシプロピレンポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
[0088]
 なお、ポリオキシプロピレンポリオールは、実質的に、ポリオキシエチレン単位を含有していない。「実質的に」とは、不可避的に混入するポリオキシエチレン単位を除いて、ポリオキシエチレン単位を含有しないという意味である。より具体的には、ポリオキシプロピレンポリオールの総量に対して、ポリオキシエチレン単位の含有量が、1質量%未満である。
[0089]
 ポリオキシプロピレンポリオールとして、好ましくは、平均官能基数2のポリオキシプロピレンポリオール(ポリオキシプロピレングリコール)が挙げられる。
[0090]
 ポリテトラメチレンエーテルポリオールとしては、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられ、より具体的には、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物(結晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコール)や、テトラヒドロフランなどの重合単位に上記2価アルコールを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。なお、結晶性とは、常温(25℃)において固体であることを示し、非晶性とは、常温(25℃)において液状であることを示す。
[0091]
 非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールは、例えば、テトラヒドロフランと、アルキル置換テトラヒドロフラン(例えば、3-メチルテトラヒドロフランなど)との共重合体(テトラヒドロフラン/アルキル置換テトラヒドロフラン(モル比)=15/85~85/15)や、例えば、テトラヒドロフランと、分岐状グリコール(例えば、ネオペンチルグリコールなど)との共重合体(テトラヒドロフラン/分岐状グリコール(モル比)=15/85~85/15)などとして、得ることができる。
[0092]
 また、非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールとしては、市販品を用いることができ、そのような市販品としては、例えば、旭化成せんい社製「PTXG」シリーズ、保土谷化学工業社製「PTG-L」シリーズなどが挙げられる。
[0093]
 また、フルフラールなどの植物由原料をもとに製造されたテトラヒドロフランを出発原料とした植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコールも使用することができる。
[0094]
 ポリテトラメチレンエーテルポリオールとして、好ましくは、ポリオキシプロピレングリコール、非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。
[0095]
 なお、ポリウレタンゲルを得る場合においても、ポリオール成分は、必要に応じて、上記した低分子量ポリオールを含有することもできる。低分子量ポリオールの含有割合は、本発明の優れた効果を損なわない範囲において、適宜設定される。
[0096]
 好ましくは、ポリオール成分は、高分子量ポリオールのみを含有し、さらに好ましくは、ポリエーテルポリオールのみを含有し、さらに好ましくは、ポリオキシプロピレングリコールまたは非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールのみを含有する。
[0097]
 ポリオール成分の平均官能基数は、硬化性の観点から、通常、2.0以上であり、また、機械特性の観点から、例えば、2.3以下、好ましくは、2.2以下、より好ましくは、2.1以下である。ポリオール成分の平均官能基数として、潤い感および寸法安定性の観点から、とりわけ好ましくは、2.0である。
[0098]
 また、ポリオール成分の平均水酸基価(OH価)は、例えば、30mgKOH/g以上、好ましくは、35mgKOH/g以上、より好ましくは、37mgKOH/g以上、さらに好ましくは、40mgKOH/g以上であり、例えば、200mgKOH/g以下、好ましくは、160mgKOH/g以下、より好ましくは、150mgKOH/g以下、さらに好ましくは、130mgKOH/g以下である。
[0099]
 また、ポリオール成分の数平均分子量は、例えば、400以上、好ましくは、500以上、より好ましくは、600以上であり、例えば、10000、好ましくは、7000以下、より好ましくは、5000以下、さらに好ましくは、3000以下、とりわけ好ましくは、2000以下である。
[0100]
 そして、ポリウレタンゲルを得るには、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを、好ましくは、溶剤の不存在下でウレタン化反応(無溶剤反応、バルク重合)させる。
[0101]
 ウレタン化反応では、例えば、ワンショット法、プレポリマー法などの公知の方法が採用され、好ましくは、ワンショット法が採用される。ワンショット法では、例えば、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分とを、ポリオール成分中の水酸基に対するポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/水酸基)が、例えば、0.58以上、好ましくは、0.60以上、より好ましくは、0.62以上、かつ、例えば、1.2以下、好ましくは、1.1以下、より好ましくは、1.05以下、さらに好ましくは、1.0未満、とりわけ好ましくは、0.95以下となるように処方(混合)した後、例えば、室温~120℃、好ましくは、室温~100℃で、例えば、5分~72時間、好ましくは、2~10時間硬化反応させる。なお、硬化温度は、一定温度であってもよく、あるいは、段階的に昇温または冷却することもできる。
[0102]
 また、上記反応においては、必要に応じて、公知の添加剤、例えば、ウレタン化触媒(アミン類、有機金属化合物など)、可塑剤(エステル系可塑剤など、)、貯蔵安定剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、離型剤、顔料、染料、滑剤、フィラー、加水分解防止剤などを、適宜のタイミングで配合することができる。なお、添加剤の配合量は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
[0103]
 これにより、樹脂(b)として、ポリウレタンゲルを得ることができる。
[0104]
 このような樹脂(b)の配置は、繊維層(a)に接触していれば、特に制限されず、例えば、繊維層(a)に樹脂(b)が積層されていてもよく、また、繊維層(a)に樹脂(b)が含浸されていてもよい。
[0105]
 例えば、繊維層(a)の表面で上記反応をさせて、樹脂(b)を得ることにより、繊維層(a)の表面に樹脂(b)を積層することができる。また、繊維層(a)とは別途、上記反応により樹脂(b)からなる層を得て、得られた樹脂(b)を繊維層(a)に積層することもできる。
[0106]
 さらに、繊維層(a)の内部で上記反応をさせて、樹脂(b)を得ることにより、繊維層(a)に樹脂(b)を含浸させることができる。好ましくは、繊維層(a)に樹脂(b)を含浸させる。
[0107]
 これにより、複数の繊維層(a)と、繊維層(a)に接触する樹脂(b)とを含む模擬強膜2が得られる。
[0108]
 また、模擬強膜2は、繊維層(a)および樹脂(b)に加え、その他の層を備えることができる。
[0109]
 より具体的には、模擬強膜2は、例えば、その表面(一方面および/または他方面)に、表面コート層(c)を備えることができる。模擬強膜2が表面コート層(c)を備えていれば、表面のべたつきを抑制ことができる。
[0110]
 表面コート層(c)としては、特に制限されないが、例えば、樹脂層が挙げられる。樹脂層を形成する樹脂としては、上記した樹脂(b)と同様に、メスなどの刃物で薄切り可能な材料であれば、特に制限されないが、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、セロファン、ポリウレタン、シリコ-ンなどの高分子材料が挙げられる。また、樹脂としては、さらに、ゴムなども挙げられる。ゴムとしては、例えば、シリコーンゴム(ポリジメチルシロキサンなど)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、天然ゴムなどが挙げられる。
[0111]
 これら樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。
[0112]
 樹脂として、表面のべたつきを抑制する観点から、好ましくは、ポリウレタンが挙げられる。すなわち、表面コート層(c)として、好ましくは、ポリウレタン層が挙げられる。
[0113]
 なお、表面コート層(c)の形成方法は、特に制限されず、公知の方法が採用される。
[0114]
 例えば、上記のように得られた繊維層(a)および樹脂(b)を含む複合材(以下、樹脂-繊維複合材5と称する。)の表面に、公知のコーティング剤を塗布し、硬化させる。
[0115]
 これにより、表面コート層(c)が得られる。
[0116]
 表面コート層(c)は、樹脂-繊維複合材5の一方面および/または他方面に形成することができる。好ましくは、樹脂-繊維複合材5の一方面および他方面(両面)に、表面コート層(c)を形成する。
[0117]
 このような場合において、樹脂-繊維複合材5の厚みは、例えば、0.5mm以上、好ましくは、0.8mm以上、例えば、1.5mm以下、好ましくは、1.2mm以下である。
[0118]
 また、各表面コート層(c)の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
[0119]
 また、樹脂-繊維複合材5の厚みに対する、表面コート層(c)の厚みの比率(表面コート層(c)の厚み/樹脂-繊維複合材5の厚み)は、例えば、0.005以上、好ましくは、0.01以上であり、例えば、0.1以下、好ましくは、0.05以下である。
[0120]
 そして、模擬強膜2の厚みは、樹脂-繊維複合材5の厚みと、必要により形成される表面コート層(c)の厚みとの総厚みであって、上記した通り、例えば、0.5mm以上、好ましくは、0.8mm以上、例えば、1.5mm以下、好ましくは、1.2mm以下である。模擬強膜2の厚みは、とりわけ好ましくは、1.0±0.2mm、さらには、1.0±0.1mmである。
[0121]
 模擬角膜3は、模擬眼球1における角膜部分を形成する膜体であって、例えば、上記模擬強膜2中の樹脂(b)と同じ樹脂からなり、模擬強膜2に対して一体的に形成されている。
[0122]
 なお、模擬角膜3は、上記に限定されず、例えば、模擬強膜2の樹脂(b)とは異なる樹脂から形成されていてもよい。また、模擬角膜3が、模擬強膜2とは別体として形成され、接着剤などによって模擬強膜2に接着されていてもよい。
[0123]
 模擬角膜3の厚みは、模擬強膜2の厚みと略同一であり、例えば、0.5mm以上、好ましくは、0.8mm以上、例えば、1.5mm以下、好ましくは、1.2mm以下である。
[0124]
 そして、上記の模擬強膜2は、複数の繊維層(a)と、前記繊維層(a)に接触する樹脂(b)とを含む。そのため、複数の繊維層(a)の一部のみをめくることができ、実際の眼球の強膜に近い薄切感を得ることができる。
[0125]
 また、上記の模擬強膜2は、その繊維層(a)を構成する繊維の繊維径が、0.6μm以上170.0μm以下である。そのため、実際の眼球の強膜に近い切込感を得ることができる。さらに、上記の模擬眼球1は、上記の模擬強膜2を備えるため、優れた切込感および薄切感を有する。
[0126]
 より具体的には、模擬強膜2において、複数の繊維層(a)の間の剥離強度は、例えば、0.15N/cm以上、好ましくは、0.20N/cm以上、より好ましくは、0.50N/cm以上、さらに好ましくは、0.80N/cm以上であり、例えば、10.00N/cm以下、好ましくは、8.00N/cm以下、より好ましくは、5.00N/cm以下である。
[0127]
 繊維層(a)の間の剥離強度が上記範囲であれば、切込感、薄切感および戻り性に優れる。そのため、上記の模擬強膜2および模擬眼球1を、後述する各種用途、とりわけ、緑内障手術などの眼球手術の練習などにおいて、好適に用いることができる。
[0128]
 なお、繊維層(a)の間の剥離強度は、JIS K6854-2(1999)に準拠して、測定することができる。
[0129]
 以下において、模擬眼球1および模擬強膜2を製造する方法について、図2を参照して、詳述する。
[0130]
 この方法では、まず、図2Aに示されるように、複数の繊維層(a)を積層する(積層工程)。
[0131]
 繊維層(a)を積層する方法は、特に制限されず、公知の方法が採用される。
[0132]
 繊維層(a)の数は、上記した通り、2以上、好ましくは、3以上、より好ましくは、4以上、さらに好ましくは、5以上であり、例えば、30以下、好ましくは、20以下、より好ましくは、10以下である。
[0133]
 また、必要に応じて、公知の接着剤(糊など)を用いて、積層された繊維層(a)間を接着することもできる。
[0134]
 これにより、複数の繊維層(a)の積層体として、繊維層積層体4が得られる。
[0135]
 次いで、この方法では、図2Bおよび図3Aに示されるように、積層された繊維層(a)に樹脂(b)を含浸させる(含浸工程)。
[0136]
 より具体的には、まず、図2Bに示されるように、模擬眼球形成用の鋳型11を準備する。
[0137]
 鋳型11は、模擬強膜2および模擬角膜3の形状に応じて形成される鋳型である。鋳型11は、具体的には、凸鋳型M1および凹鋳型M2を備えており、これら凸鋳型M1および凹鋳型M2の間隙において、模擬強膜2および模擬角膜3を形成可能としている。
[0138]
 そして、この工程では、上記で得られた繊維層積層体4を、凸鋳型M1および凹鋳型M2の間隙に配置する。例えば、凹鋳型M2の凹部表面に、繊維層積層体4を載置し、その上から、凸鋳型M1を挿入する(図2Bの破線参照)。
[0139]
 一方、上記したポリイソシアネート成分および上記したポリオール成分を準備し、それらを混合して、原料混合物を得る。
[0140]
 次いで、凸鋳型M1および凹鋳型M2の間隙に、上記の原料混合物を流し込む。これにより、原料混合物の反応前に、繊維層積層体4の各繊維層(a)に原料混合物を含浸させる。その後、各繊維層(a)に含浸した原料混合物を、上記した条件でウレタン化反応させる。
[0141]
 これにより、図3Aに示されるように、各繊維層(a)に含浸した樹脂(b)として、各繊維層(a)に含浸したポリウレタンゲルが得られる。
[0142]
 すなわち、繊維層積層体4と、その各繊維層(a)に含浸されたポリウレタンゲル(樹脂(b))とを備える樹脂-繊維複合材5が得られる。
[0143]
 また、この工程では、繊維層積層体4が配置されていない部分において、上記の原料組成物が、繊維層(a)に含浸されずに硬化し、模擬角膜3が形成される。
[0144]
 その後、必要に応じて、図3Bに示されるように、鋳型11を除去して、樹脂-繊維複合材5の表面(好ましくは、両面)に、必要により、上記した公知のコーティング剤を塗布し、乾燥および硬化させる。
[0145]
 これにより、樹脂-繊維複合材5の表面に、表面コート層(c)が形成される。
[0146]
 これにより、複数の繊維層(a)と、その繊維層(a)に接触する樹脂(b)とを含み、必要により表面コート層(c)を備える模擬強膜2を得ることができる。
[0147]
 また、これとともに、模擬強膜2と模擬角膜3とを備える模擬眼球1を得ることができる。
[0148]
 そして、上記した模擬強膜2の製造方法によれば、切込感および薄切感に優れる模擬強膜を得ることができる。
[0149]
 そのため、上記模擬強膜2の製造方法で得られる模擬強膜2、および、その模擬強膜2を備える模擬眼球1は、後述する各種用途、とりわけ、緑内障手術などの眼球手術の練習などにおいて、好適に用いることができる。
[0150]
 なお、上記した説明では、繊維層(a)を複数(好ましくは、5~10枚)積層して、繊維層積層体4を形成したが、繊維層(a)の枚数は、2枚以上であれば、特に制限されない。例えば、2枚の繊維層(a)を積層して、繊維層積層体4を形成することもできる。
[0151]
 このような場合、2枚の繊維層(a)からなる繊維層積層体4は、例えば、図4に示されるように、模擬強膜2の厚み方向略中部に配置されていてもよく、また、図5に示されるように、模擬強膜2の厚み方向一方側(眼球内側)に配置されていてもよく、また、図6に示されるように、模擬強膜2の厚み方向他方側(眼球外側)に配置されていてもよい。
[0152]
 さらに、模擬強膜2は、積層されていない繊維層(a)を、複数含んでいてもよい。具体的には、図7に示されるように、複数の繊維層(a)が、互いに所定間隔を隔てて、樹脂(b)中に配置されていてもよい。その場合、各繊維層(a)は、模擬強膜2の厚み方向略中部に配置されていてもよく、また、模擬強膜2の厚み方向一方側(眼球内側)に配置されていてもよく、模擬強膜2の厚み方向他方側(眼球外側)に配置されていてもよい。
[0153]
 また、上記した説明では、繊維層(a)は、模擬強膜2に配置され、模擬角膜3には配置されていないが、繊維層(a)は、少なくとも模擬強膜2に配置されていればよい。すなわち、例えば、模擬強膜2および模擬角膜3の両方に、繊維層(a)が配置されていてもよい。
[0154]
 このような場合、繊維層(a)は、例えば、模擬強膜2および模擬角膜3の厚み方向一方側(眼球内側(図5参照))に配置されていてもよく、また、模擬強膜2および模擬角膜3の厚み方向他方側(眼球外側(図6参照))に配置されていてもよい。
[0155]
 好ましくは、図8において太線で示されるように、模擬強膜2および模擬角膜3の厚み方向一方側(眼球内側)に、繊維層(a)が配置される。
[0156]
 加えて、上記した説明では、模擬強膜2を模擬眼球1の一部として製造したが、例えば、模擬強膜2のみを製造してもよい。このような場合、模擬強膜2の形状は、上記した模擬眼球1の形状に限定されず、例えば、平板形状などとしてもよい。
[0157]
 そして、上記の模擬強膜2および模擬眼球1は、種々の用途に用いることができる。
[0158]
 模擬強膜2および模擬眼球1の用途としては、例えば、以下に示すように、眼科医療行動および眼科医療行為についての検討および練習用途が挙げられる。
[0159]
 (1)眼球手術練習
 上記の模擬強膜2および模擬眼球1の用途としては、例えば、眼球手術練習用途が挙げられる。つまり、上記の模擬強膜2および模擬眼球1により、手術手技スキルの効率的および効果的な向上、高いスキルを有する医師数の増大、社会への安全・安心の提供を図ることができる。
[0160]
 より具体的には、例えば、研修医や若手医師などを対象とした初期段階の手術手技の獲得のために、上記の模擬強膜2および模擬眼球1を用いることができる。
[0161]
 また、例えば、練習を重ねることによる手術手技の習熟や、過去に習得した手術手技の再習得のために、上記の模擬強膜2および模擬眼球1を用いることができる。
[0162]
 また、例えば、患者毎に対応した術前トレーニング(ペイシェントモデル)や、例えば、特殊な症状に対する手術手技の獲得(特殊な病変モデル)において、上記の模擬強膜2および模擬眼球1を用いることができる。
[0163]
 (2)手術手技の定量的な測定および評価
 上記の模擬強膜2および模擬眼球1の用途としては、例えば、手術手技の定量的な測定および評価用途が挙げられる。このような用途において上記の模擬強膜2および模擬眼球1を用いることにより、従来の医師感性に頼っていた手術手技を、定量的に数値化し、広く共有して応用することができる。
[0164]
 より具体的には、例えば、上記の模擬強膜2および模擬眼球1と、公知のセンサーなどとを併用することにより、手術手技を定量データ化できる。
[0165]
 そして、得られたデータをビッグデータ化し、機械学習による熟練度の策定に活用できる。また、例えば、熟練医の手術手技を模範とする練習、熟練医の手術手技を基準とする習熟度の把握などに、上記の模擬強膜2および模擬眼球1を用いることができる。
[0166]
 さらに、得られたデータを、手術ロボットの操作におけるプログラムに活用することもできる。
[0167]
 (3)手術方法や治療方法の改良の検討および練習
 上記の模擬強膜2および模擬眼球1の用途としては、例えば、手術方法の改良検討用途、手術手技の改良検討用途、治療方法の改良検討用途、および、それらの練習用途が挙げられる。
[0168]
 より具体的には、例えば、現存する手術方法、手術手技、治療方法(手術以外の治療方法)などについて、不具合の改良を検討するために、上記の模擬強膜2および模擬眼球1を用いることができる。
[0169]
 また、改良された手術方法、手術手技、治療方法(手術以外の治療方法)などを習得するための練習において、上記の模擬強膜2および模擬眼球1を用いることができる。
[0170]
 (4)手術や治療に用いられる器具、機器などの改良の検討および使用練習
 上記の模擬強膜2および模擬眼球1の用途としては、例えば、手術や治療に用いられる器具や機器などの改良の検討用途、および、改良品の使用練習用途が挙げられる。
[0171]
 より具体的には、例えば、眼球の手術、治療などに用いられる現存の器具や機器などについて、不具合の改良を検討するために、上記の模擬強膜2および模擬眼球1を用いることができる。
[0172]
 また、改良された器具や機器などの使用方法を習得するための練習において、上記の模擬強膜2および模擬眼球1を用いることができる。
[0173]
 (5)新手術方法、新手術手技、新治療方法などの開発および練習
 上記の模擬強膜2および模擬眼球1の用途としては、例えば、新手術方法、新手術手技、新治療方法などの開発用途、および、その新方法の練習用途が挙げられる。
[0174]
 より具体的には、例えば、新たな手術方法、新たな手術手技、新たな治療方法を開発するための検討において、上記の模擬強膜2および模擬眼球1を用いることができる。
[0175]
 また、例えば、新たな手術方法、新たな手術手技、新たな治療方法を習得するための練習において、上記の模擬強膜2および模擬眼球1を用いることができる。
[0176]
 (6)手術や治療に用いられる新器具、新機器などの開発および使用練習
 上記の模擬強膜2および模擬眼球1の用途としては、例えば、手術方法や治療方法に用いられる新器具や新機器などの開発用途、および、その開発品の使用練習用途が挙げられる。
[0177]
 より具体的には、例えば、新たな眼球の手術方法や、新たな眼球の治療などに用いられる新器具や新機器を開発するために、上記の模擬強膜2および模擬眼球1を用いることができる。また、改良された眼球の手術方法や、改良された眼球の治療などに用いられる新器具や新機器を開発するために、上記の模擬強膜2および模擬眼球1を用いることができる。さらには、現行の眼球の手術方法や、現行の眼球の治療などに用いられる新器具や新機器を開発するために、上記の模擬強膜2および模擬眼球1を用いることができる。
[0178]
 また、これらの新器具や新機器などの使用方法を習得するための練習において、上記の模擬強膜2および模擬眼球1を用いることができる。
[0179]
 これら各種用途において、上記の模擬強膜2および模擬眼球1を用いることにより、人眼を用いないなどといった倫理課題をクリアすることができ、さらに、効率的かつ効果的に、従来技術の改良、新技術の開発などについて検討でき、それら改良技術や新技術を練習することもできる。
[0180]
 (7)医療制度における活用
 上記の模擬強膜2および模擬眼球1の用途としては、例えば、医療制度に対する活用が挙げられる。このような用途において上記の模擬強膜2および模擬眼球1を用いることにより、人眼を用いないなどの倫理課題をクリアすることができ、さらに、効率的かつ効果的に、医療人材を育成することができるため、各種医療制度において活用することができる。
[0181]
 より具体的には、上記の模擬強膜2および模擬眼球1は、例えば、新たな医療制度の策定に資する標準模擬品として使用することができ、また、例えば、認定医制度、専門医制度などにおける試験用模擬品として使用することができる。
[0182]
 (8)医療ロボット、医療支援ロボットなどの開発、改良および使用練習
 上記の模擬強膜2および模擬眼球1の用途としては、例えば、医療ロボット(とりわけ、手術ロボット)および医療支援ロボット(とりわけ、手術支援ロボット)の開発用途、および、その操作習得のための練習用途が挙げられる。
[0183]
 つまり、人間では困難な高度な医療行為や、遠隔操作による医療行為などが期待されている医療ロボットおよび医療支援ロボットについての開発および改良についての検討を、上記の模擬強膜2および模擬眼球1を用いることにより、倫理課題をクリアする方法で、効率的かつ効果的に行うことができ、さらに、改良品の操作などを習得するための練習にも活用できる
 (9)チーム医療への活用
 上記の模擬強膜2および模擬眼球1の用途としては、例えば、チーム医療への活用が挙げられる。
[0184]
 より具体的には、手術現場は、助手や看護師による支援が必要であり、手術を円滑に迅速に行うため、チームとして組織化されている。そのため、事前にチームとして演習するシステムを構築することによって、チームに参加した人が早期に効果的に組織的行動を行うことができる。この点、手術時の共同作業者の行動・所作の模擬練習や、手術前の共同作業の事前検討などにおいて、上記の模擬強膜2および模擬眼球1を用いることができる。
[0185]
 また、上記した眼科医療行動および眼科医療行為についての検討および練習用途の他にも、模擬人体モデルが要求される各種分野(例えば、展示用人体模型など)において、上記の模擬強膜2および模擬眼球1を使用することができる。
[0186]
 模擬強膜2および模擬眼球1は、切込感および薄切感に優れるため、上記した眼科医療行動および眼科医療行為についての検討および練習用途において、好適に用いられる。
[0187]
 模擬強膜2および模擬眼球1は、より好ましくは、眼球手術練習用途において使用され、とりわけ好ましくは、眼球の緑内障手術の練習において使用される。
[0188]
 模擬眼球1を用いた眼球の緑内障手術の練習では、公知の手術方法が採用され、具体的には、例えば、線維柱体切開術(トラベクロトミー)などが採用される。
[0189]
 線維柱体切開術(トラベクロトミー)は、房水流出抵抗が大きいとされている傍シュレム管内皮網組織を切開して、前房からシュレム管内への房水の流入を改善し、生理的房水流出路の再建を試みる術式である。
[0190]
 より具体的には、この方法では、まず、図9に示されるように、眼球(図1の模擬眼球1)の強膜(図1の模擬強膜2)を、ナイフやメスによって略コ字状に切込む。このとき、より具体的なプロセスの1つは、まず、眼球周方向(紙面横方向)に切込み、次いで、周方向の切込みの一端に繋がるように、眼球径方向(紙面縦方向)へ切込み、その後、図9の仮想線のように、周方向の切込みの他端に繋がるように眼球径方向(紙面縦方向)へ切り込む。
[0191]
 次いで、この方法では、図10に示されるように、眼球(図1の模擬眼球1)の強膜(図1の模擬強膜2)の切込み角を掴んで角膜方向に引っ張りながら、強膜(図1の模擬強膜2)の厚みを確認する。
[0192]
 次いで、図11に示されるように、強膜(図1の模擬強膜2)を角膜方向に引っ張ることにより、強膜の線維(図1の模擬強膜2の繊維層(a))を引き伸ばし、その部位を払うように、切開深さを保って剥離切開、すなわち、薄切する。そして、図12に示されるように、剥離箇所を捲り上げて、角膜(図1の模擬角膜3)と強膜との境界に、剥離切開、すなわち、薄切が達したことを、確認する。
[0193]
 次いで、図13に示されるように、切開部分の一部を掴んで角膜方向に引っ張り、強膜の線維(図1の模擬強膜2の繊維層(a))をさらに引き伸ばして、その部位を払うように、剥離切開、すなわち、薄切を進める。そして、図示しないが、シュレム管に到達したことを確認し、線維柱体を切開する。その後、図14に示されるように、強膜(図1の模擬強膜2)の切開部位を縫合する。
[0194]
 このような方法による、緑内障手術では、強膜の切込みおよび剥離切開(薄切)の練習が要求される。
[0195]
 この点、上記の模擬強膜2および模擬眼球1は、切込感および薄切感に優れるため、人体の眼球に近い感覚で、上記の強膜の切込みおよび剥離切開(薄切)を練習することができる(図9~図11および図13)。
[0196]
 さらに、上記の模擬強膜2および模擬眼球1は、戻り感の向上を図ることもできるため、人体の眼球に近い感覚で、上記の強膜の捲り上げ(図12)を練習することができる。
[0197]
 すなわち、上記の模擬強膜2および模擬眼球1を用いれば、人体の眼球に近い感覚で、眼球の緑内障手術の練習をすることができる。
実施例
[0198]
 次に、本発明を、製造例、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
[0199]
 また、各製造例、各実施例および各比較例において採用される測定方法を下記する。
[0200]
 1.測定方法
<模擬強膜成形前の繊維層の平均繊維径の測定方法>
 材料として準備した繊維層を、キーエンス社製マイクロスコープVHX-D510を用いて観察し、繊維径を測定した。100本測定した平均値を、成形前の繊維層(すなわち、成形前材料)の繊維径とした。
<繊維層の目付量の測定方法>
 繊維層の目付量を、JIS L1913(2010)に準拠して測定した。
<繊維層の厚みの測定方法>
 繊維層の厚みを、JIS L1913(2010)に準拠して、荷重100gf/cm の条件で測定した。
[0201]
 <イソシアネート基濃度(単位:質量%)、イソシアネート基の転化率(単位:質量%)>
 電位差滴定装置(京都電子工業社製、型番:AT-510)を用いて、JIS K-1603-1(2007年)に準拠したトルエン/ジブチルアミン・塩酸法によりイソシアネート基濃度(イソシアネート基含有率)を測定し、以下の式により、測定試料のイソシアネート基の転化率を算出した。
[0202]
 イソシアネート基の転化率=100-(反応終了後の反応混合液のイソシアネート基濃度/反応前の反応液のイソシアネート基濃度×100)
<イソシアネートモノマー濃度(単位:質量%)>
 国際公開第2012/121291号パンフレットの明細書における実施例1と同様にして製造されたペンタメチレンジイソシアネートまたは市販のヘキサメチレンジイソシアネートを標準物質として用い、ジベンジルアミンによりラベル化させ、以下のHPLC測定条件下で得られたクロマトグラムの面積値から作成した検量線により、未反応のイソシアネートモノマー(ペンタメチレンジイソシアネートモノマーまたはヘキサメチレンジイソシアネートモノマー)の濃度を算出した。
[0203]
 装置;Prominence(島津製作所社製)
 ポンプLC-20AT
 デガッサDGU-20A3
 オートサンプラSIL-20A
 カラム恒温槽COT-20A
 検出器SPD-20A
 カラム;SHISEIDO SILICA SG-120
 カラム温度;40℃
 溶離液;n-ヘキサン/メタノール/1,2-ジクロロエタン=90/5/5(体積比)
 流量;0.2mL/min
 検出方法;UV225nm
<粘度(単位:mPa・s)>
 東機産業社製のE型粘度計TV-30(ローター角度:1°34’、ローター半径:24cm)を用いて、JIS K5600-2-3(2014年)のコーンプレート粘度計法に準拠して、25℃で測定試料の粘度を測定した。測定時のコーンプレートの回転数は、粘度が高くなるのに合わせて、100rpmから2.5rpmまでの間で順次変更した。
H-NMRによるアロファネート基とイソシアヌレート基とのモル比率>
 下記の装置および条件にて H-NMRを測定し、脂肪族ポリイソシアネートにおける、イソシアヌレート基1モルに対するアロファネート基の含有割合(アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比率)を以下の式により算出した。なお、化学シフトppmの基準として、D -DMSO溶媒中のテトラメチルシラン(0ppm)を用いた。
[0204]
 装置;JNM-AL400(JEOL製)
 条件;測定周波数:400MHz、溶媒:D -DMSO、溶質濃度:5質量%
 イソシアヌレート基(イソシアヌレート基に直接結合するメチレン基(CH 基))のプロトンの帰属ピーク(6H):3.8ppm
 アロファネート基(アロファネート基内のNH基)のプロトンの帰属ピーク(1H):8.3~8.7ppm
 アロファネート基/イソシアヌレート基(モル比率)=アロファネート基のプロトンの帰属ピークの積分値/(イソシアヌレート基のプロトンの帰属ピークの積分値/6)<平均イソシアネート基数(平均官能基数)>
 脂肪族ポリイソシアネートの平均イソシアネート基数を、イソシアネート基濃度、固形分濃度(NV)、および、以下の装置および条件にて測定されるゲルパーミエーションクロマトグラフィーの数平均分子量から、下記式により算出した。
[0205]
 平均イソシアネート基数=A/B×C/42.02
 (式中、Aは、イソシアネート基濃度を示し、Bは、固形分濃度を示し、Cは、数平均分子量を示す。)
 装置:HLC-8220GPC(東ソー製)
 カラム:TSKgelG1000HXL、TSKgelG2000HXL、およびTSKgelG3000HXL(東ソー製)を直列連結
 検出器:示差屈折率計
 測定条件
 注入量:100μL
 溶離液:テトラヒドロフラン
 流量:0.8mL/min
 温度:40℃
 検量線:106~22450の範囲の標準ポリエチレンオキシド(東ソー製、商品名:TSK標準ポリエチレンオキシド)
<平均水酸基数(平均官能基数)>
 水酸基価を、ポリオキシアルキレンポリオール1g中の水酸基に相当する水酸化カリウムのmg数と定義した。そして、JIS K1557(2007年)6.4項「水酸基価」に従って、ポリオールの水酸基価を測定した。
[0206]
 2.原料
(1)繊維層(A)
 以下に示す繊維層を、準備した。
[0207]
 繊維層(a-1)・・・ポリプロピレン樹脂を用いてスパンボンド法の熱エンボス加工により得られる、平均繊維径(成形前材料)15.0μm、目付15g/m 、厚さ0.18mmの不織布を、繊維層(a-1)とした。
[0208]
 繊維層(a-2)・・・ポリプロピレン樹脂を用いてスパンボンド法の熱エンボス加工により得られる、平均繊維径(成形前材料)20.0μm、目付20g/m 、厚さ0.21mmの不織布を、繊維層(a-2)とした。
[0209]
 繊維層(a-3)・・・ポリプロピレン樹脂を用いてメルトブローン法のカレンダー加工により得られる、平均繊維径(成形前材料)0.46μm、目付15g/m 、厚さ0.16mmの不織布を、繊維層(a-3)とした。
[0210]
 繊維層(a-4)・・・ポリプロピレン樹脂を用いてメルトブローン法のカレンダー加工により得られる、平均繊維径(成形前材料)0.60μm、目付15g/m 、厚さ0.16mmの不織布を、繊維層(a-4)とした。
[0211]
 繊維層(a-5)・・・ポリプロピレン樹脂を用いてメルトブローン法のカレンダー加工により得られる、平均繊維径(成形前材料)0.90μm、目付15g/m 、厚さ0.16mmの不織布を、繊維層(a-5)とした。
[0212]
 繊維層(a-6)・・・ポリプロピレン樹脂を用いてスパンボンド法の熱エンボス加工により得られる、平均繊維径(成形前材料)20.1μm、目付16g/m 、厚さ0.18mmの不織布を、繊維層(a-6)とした。
[0213]
 繊維層(a-7)・・・ポリプロピレン樹脂を用いてスパンボンド法の熱エンボス加工により得られる、平均繊維径(成形前材料)20.3μm、目付30g/m 、厚さ0.28mmの不織布を、繊維層(a-7)とした。
[0214]
 繊維層(a-8)・・・ポリプロピレン樹脂を用いてスパンボンド法の熱エンボス加工により得られる、平均繊維径(成形前材料)33.0μm、目付15g/m 、厚さ0.20mmの不織布を、繊維層(a-8)とした。
[0215]
 繊維層(a-9)・・・ポリプロピレン樹脂を用いてスパンボンド法の単層ニードルパンチ加工により得られる、平均繊維径(成形前材料)34.9μm、目付量100g/m 、厚さ1.40mmの不織布を、繊維層(a-9)とした。
[0216]
 繊維層(a-10)・・・Clever社製:商品名ポリプロピレンメッシュ線経100μm、厚み0.195mm
 繊維層(a-10)の目付量は28.8g/m であった。
[0217]
 繊維層(a-11)・・・Clever社製:商品名ポリプロピレンメッシュ線経150μm、厚み0.315mm
 繊維層(a-11)の目付量は49.0g/m であった。
[0218]
 繊維層(a-12)・・・Clever社製:商品名ポリプロピレンメッシュ線経200μm、厚み0.350mm
 繊維層(a-12)の目付量は67.0g/m であった。
[0219]
 繊維層(a-13)・・・JIS L0803準拠染色堅ろう度試験用添付白布ナイロン、日本規格協会Webdeskより購入
 繊維層(a-13)は、平均繊維径(成形前材料)19.3μm、目付量29.1g/m 、厚さ0.106mmであった。
[0220]
 繊維層(a-14)・・・JIS L0803準拠染色堅ろう度試験用添付白布繊維層(a-14)は、平均繊維径(成形前材料)14.8μm、目付量32.1g/m 、厚さ0.086mmであった。
[0221]
 繊維層(a-15)・・・ポリプロピレン樹脂を用いてメルトブローン法のカレンダー加工により得られる、平均繊維径(成形前材料)3.0μm、目付15g/m 、厚さ0.30mmの不織布を、繊維層(a-15)とした。
(2)樹脂層(B)
(2-1)脂肪族ポリイソシアネート(b-1)
 調製例1(イソシアネート(b-1-1)(PDIのアルコール変性イソシアヌレート誘導体))
 温度計、撹拌装置、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、国際公開第2012/121291号パンフレットの明細書における実施例1と同様にして製造されたペンタメチレンジイソシアネート(以下、PDIとする。)を500質量部、イソブチルアルコールを6.9質量部、2,6-ジ(tert-ブチル)-4-メチルフェノールを0.3質量部、トリス(トリデシル)ホスファイトを0.3質量部、それぞれ、装入し、80℃で2時間反応させた。
[0222]
 次いで、イソシアヌレート化触媒としてN-(2-ヒドロキシプロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウム-2-エチルヘキサノエートを0.05質量部配合した。イソシアネート基濃度を測定し、その濃度が、48.3質量%(すなわち、転化率10質量%)に至るまで反応を継続した。20分後に所定の転化率(転化率10質量%)に達したところで、o-トルエンスルホンアミドを0.12質量部添加した。得られた反応混合液を薄膜蒸留装置(温度:150℃、真空度:0.093kPa)に通液して未反応のペンタメチレンジイソシアネートモノマーを除去し、さらに、得られたろ物100質量部に対し、o-トルエンスルホンアミドを0.02質量部および塩化ベンゾイルを0.003質量部添加し、PDIのアルコール変性イソシアヌレート誘導体を得た。これを、イソシアネート(b-1-1)とした。
[0223]
 イソシアネート(b-1-1)の平均イソシアネート基数は、2.8、イソシアネートモノマー濃度は0.4質量%、イソシアネート基濃度は23.4質量%、25℃における粘度は950mPa・sであった。
[0224]
 また、 H-NMR測定によるアロファネート基とイソシアヌレート基とのモル比率は、アロファネート基/イソシアヌレート基=33.0/100であった。
[0225]
 調製例2(イソシアネート(b-1-2)(HDIのアルコール変性イソシアヌレート誘導体)
 PDIをヘキサメチレンジイソシアネート(三井化学社製、商品名:タケネート700(以下、HDIとする。))に変更した以外は、調製例1と同じ方法で、HDIのアルコール変性イソシアヌレート誘導体を得た。これを、イソシアネート(b-1-2)とした。
[0226]
 イソシアネート(b-1-2)の平均イソシアネート基数は、2.9、イソシアネートモノマー濃度は0.5質量%、イソシアネート基濃度は22.1質量%、25℃における粘度は840mPa・sであった。
[0227]
 また、 H-NMR測定によるアロファネート基とイソシアヌレート基とのモル比率は、アロファネート基/イソシアヌレート基=34.3/100であった。
(2-2)ポリオール(b-2)
 準備例1(ポリオール(b-2-1))
 ポリオキシアルキレンポリオール(プロピレングリコールにプロピレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオール、数平均分子量(Mn)=3000、平均官能基数2、水酸基価37mgKOH/g、全オキシアルキレン中のエチレンオキサイド濃度=0質量%)を、ポリオール(b-2-1)とした。
[0228]
 なお、ポリオール(b-2-1)は、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)である。
[0229]
 準備例2(ポリオール(b-2-2))
 ポリオキシアルキレンポリオール(プロピレングリコールにプロピレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオール、数平均分子量(Mn)=2000、平均官能基数2、水酸基価56mgKOH/g、全オキシアルキレン中のエチレンオキサイド濃度=0質量%)を、ポリオール(b-2-2)とした。
[0230]
 なお、ポリオール(b-2-2)は、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)である。
[0231]
 準備例3(ポリオール(b-2-3))
 ポリオキシアルキレンポリオール(プロピレングリコールにプロピレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオール、数平均分子量(Mn)=1000、平均官能基数2、水酸基価112mgKOH/g、全オキシアルキレン中のエチレンオキサイド濃度=0質量%)を、ポリオール(b-2-3)とした。
[0232]
 なお、ポリオール(b-2-3)は、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)である。
[0233]
 準備例4(ポリオール(b-2-4))
 ポリオキシアルキレンポリオール(プロピレングリコールにプロピレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオール、数平均分子量(Mn)=700、平均官能基数2、水酸基価240gKOH/g、全オキシアルキレン中のエチレンオキサイド濃度=0質量%)を、ポリオール(b-2-4)とした。
[0234]
 なお、ポリオール(b-2-4)は、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)である。
[0235]
 準備例5(ポリオール(b-2-5))
 数平均分子量3000のポリオール(b-2-1)と、数平均分子量2000のポリオール(b-2-2)とを、80:20(b-2-1:b-2-2(質量比))となるように混合し、混合物として、ポリオール(b-2-5)を得た。
[0236]
 ポリオール(b-2-5)の数平均分子量は約2130、平均官能基数2、水酸基価53mgKOH/g、全オキシアルキレン中のエチレンオキサイド濃度0質量%であった。
[0237]
 なお、ポリオール(b-2-5)は、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)である。
[0238]
 準備例6(ポリオール(b-2-6))
 数平均分子量2000のポリオール(b-2-2)と、数平均分子量1000のポリオール(b-2-3)とを、75:25(b-2-2:b-2-3(質量比))となるように混合し、混合物として、ポリオール(b-2-6)を得た。
[0239]
 ポリオール(b-2-6)の数平均分子量は約1600、平均官能基数2、水酸基価70mgKOH/g、全オキシアルキレン中のエチレンオキサイド濃度0質量%であった。
[0240]
 なお、ポリオール(b-2-6)は、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)である。
[0241]
 準備例7(ポリオール(b-2-7))
 数平均分子量1800の非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコール(旭化成せんい社製、商品名:PTXG、水酸基価60mgKOH/g、平均官能基数2、テトラヒドロフランとネオペンチルグリコールとの共重合体)
(3)可塑剤(b-3)
 ジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート(BASF社製、商品名:Hexamol DINCH)
(4)触媒(b-4)
 東京化成工業社製、試薬ジブチルチンジラウレート(ウレタン化触媒)
(5)消泡剤(b-5)
 ビックケミー・ジャパン社製、商品名:BYK-088
(6)シリコーン樹脂(b-6)
 (b-6-1)主剤;東レダウコーニング社製、商品名:シリコーンMG7-9800A
 (b-6-2)硬化剤;東レダウコーニング社製、商品名:シリコーンMG7-9800B
(7)コーティング剤(C)
 (c-1)主剤:富士塗料工業所社製、商品名:モールドコートZ UN-750(ポリオール成分)
 (c-2)硬化剤:富士塗料工業所社、商品名:UB-1300(ポリイソシアネート成分:ヘキサメチレンジイソシアネート誘導体)
 (c-3)希釈剤:富士塗料工業所社、商品名:マイステルシンナーTM-5510(石油系有機溶剤)
 3.硬度測定用樹脂の製造方法
 参考実施例1
 表1に示す質量割合で、イソシアネート(b-1-1)と、ポリオール(b-2-4)とを準備した。
[0242]
 次いで、25℃に調整したポリオール(b-2-4)100質量部と、ポリイソシアネート(a-1)15.58質量部(水酸基に対するイソシアネート基の当量比(NCO/水酸基=0.70))と、触媒のジブチルチンジラウレート(b-4)0.1重量部と、消泡剤(b-5)0.2重量部とを、プラスチック容器に入れ、スリーワンモーター(新東科学社製:商品名:HEIDOM FBL3000)を使用して、800rpmの撹拌下、30秒間撹拌混合した。
[0243]
 その後、直ちに減圧脱泡し、混合液の泡を取り除いた後、テフロン(登録商標)で予めコーティングし80℃に温調したcm×5cm×高さ15mmの角ブロック金型に、泡が入らないように注意しながら、混合液を流し込み、80℃にて1時間反応させ、ポリウレタンゲルを得た。
[0244]
 このポリウレタンゲルを23℃、相対湿度55%の室内で1日間静置した後、硬度を測定した。
[0245]
 参考実施例2~26および参考比較例1~4
 表1~表3に示す処方に変更した以外は、参考実施例1と同じ方法で、硬度測定用の樹脂層を得た。
[0246]
 4.模擬強膜(平板状)の製造
 実施例1
 表1に示す質量割合で、イソシアネート(b-1-1)と、ポリオール(b-2-4)とを準備した。
[0247]
 次いで、25℃に調整したポリオール(b-2-4)100質量部と、ポリイソシアネート(b-1-1)15.58質量部(水酸基に対するイソシアネート基の当量比(NCO/水酸基=0.70))と、触媒のジブチルチンジラウレート(b-4)0.1重量部と、消泡剤(b-5)0.2重量部とを、プラスチック容器に入れ、スリーワンモーター(新東科学社製:商品名:HEIDOM FBL3000)を使用して、800rpmの撹拌下、30秒間撹拌混合した。
[0248]
 その後、直ちに減圧脱泡し、混合液の泡を取り除いた。
[0249]
 一方、表1に示す枚数の繊維層を積層させ、繊維層積層体を得た。
[0250]
 次いで、繊維層積層体を、テフロン(登録商標)で予めコーティングし80℃に温調した厚さ1mmのシート金型に配置した。
[0251]
 次いで、上記の混合液を、泡が入らないように注意しながら、シート金型に流し込み、80℃にて1時間反応させて、厚み1.0mmの樹脂-繊維複合材(平板状)を得た。
[0252]
 次いで、25℃に調整した主剤(c-1)と硬化剤(c-2)と希釈剤(c-3)とを、表1に示す質量割合で混合し、コーティング剤を得た。
[0253]
 その後、コーティング剤を、樹脂-繊維複合材(平板状)の両面にスプレーで塗布した後に、80℃で1時間乾燥させ、表面コート層を形成した。
[0254]
 これにより、模擬強膜(平板状)を得た。
[0255]
 この模擬強膜(平板状)を23℃、相対湿度55%の室内で1日間静置した後、各種物性測定、および、眼科医による手術評価に供した。
[0256]
 実施例2~22、24~25および比較例1~4
 表1~表3に示す処方に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、手術練習用模擬強膜を得た。
[0257]
 5.模擬強膜(眼球状)の製造
 実施例23
 表2に示す枚数の繊維の各層に、スプレー糊(3M社製、商品名スプレーのり55)を吹き付けて、積層し、繊維層積層体を得た。次いで、得られた繊維層積層体を、厚み1.0mmの眼球形状金型において、80℃で1時間加熱し、眼球形状に賦形した。
[0258]
 次いで、繊維層積層体のうち、角膜に相当する部分をポンチで打ち抜き、強膜に相当する部分のみの形状とした。
[0259]
 次いで、表2に示す質量割合で、イソシアネート(b-1-1)と、ポリオール(b-2-4)とを準備した。
[0260]
 次いで、25℃に調整したポリオール(b-2-4)100質量部と、ポリイソシアネート(b-a-1)15.68質量部(水酸基に対するイソシアネート基の当量比(NCO/水酸基=0.70))と、触媒のジブチルチンジラウレート(b-4)0.5重量部と、消泡剤(b-5)0.2重量部とを、プラスチック容器に入れ、スリーワンモーター(新東科学社製:商品名:HEIDOM FBL3000)を使用して、800rpmの撹拌下、30秒間撹拌混合した。
[0261]
 その後、直ちに減圧脱泡し、混合液の泡を取り除いた。
[0262]
 次いで、上記の繊維層積層体を、あらかじめ80℃に加温し、離型剤(ネオス社製フリリース310)を塗布した厚み1.0mmの模擬眼球金型に配置した。
[0263]
 次いで、上記の混合液を、泡が入らないように注意しながら、模擬眼球金型に流し込み、80℃にて2時間反応させて、厚み1.0mmの樹脂-繊維複合材(眼球形状)を得た。
[0264]
 次いで、25℃に調整した主剤(c-1)と硬化剤(c-2)と希釈剤(c-3)とを、表2に示す質量割合で混合し、コーティング剤を得た。
[0265]
 その後、コーティング剤を、樹脂-繊維複合材(眼球形状)の両面にスプレーで塗布した後に、80℃で1時間乾燥させ、表面コート層を形成した。
[0266]
 これにより、模擬強膜(眼球形状)を得た。
[0267]
 この模擬強膜(眼球形状)を23℃、相対湿度55%の室内で1日間静置した後、各種物性測定、および、眼科医による手術評価に供した。
[0268]
 実施例26
 表3に示す処方に変更した以外は、実施例23と同じ方法で、手術練習用模擬強膜(眼球形状)を得た。
[0269]
 5.評価
 以下の手順で、ポリウレタンゲルおよび模擬強膜を評価した。その結果を、表3~表4に示す。
<模擬強膜成形後の繊維層の平均繊維径の測定方法>
 模擬強膜(平板状および眼球形状)から繊維層を取り出し、その繊維層を、キーエンス社製マイクロスコープVHX-D510を用いて観察し、繊維径を測定した。100本測定した平均値を模擬強膜中の繊維層(成形後)の繊維径とした。
<模擬強膜の剥離強度>
 平板状の模擬強膜を、幅5mm、長さ50mmに切り出し、テストピースとした。繊維層界面の2層目または1層目をあらかじめ剥離20mm剥離させ、引張圧縮試験機(インテスコ社製、Model205N)を用いてJIS K6854-2(1999)に準拠して剥離強度を測定した。
[0270]
 また、眼球形状の模擬強膜を、幅5mm、長さ10mmに切り出し、テストピースとした。繊維層界面の2層目をあらかじめ3mm剥離させた。次いで、剥離させた部分の表面側に幅5mm、長さ50mmの模擬強膜をシアノアクリレート接着剤(コニシ社製、商品名:アロンアルファ)で接着して引張試験機のチャックで掴む部分を延長させ、JISK6854-2(1999)に準拠して剥離強度を測定した。
<ポリウレタンゲルのアスカーC硬度>
 各参考実施例および各参考比較例で得られたポリウレタンゲルのアスカーC硬度を、JIS K7312(1996年)のタイプC硬さ試験により測定した。
<ポリウレタンゲルのアスカーF硬度>
 各参考実施例および各参考比較例で得られたポリウレタンゲルのアスカーF硬度を、JIS K7312(1996年)のタイプC硬さ試験と同様の方法により測定した。
<模擬強膜の切込性>
 模擬強膜(平板状および眼球形状)を用いて、眼科医による緑内障手術を実施した。模擬強膜にメスで切込みを入れる際の感触を評価し、以下の4段階に分類した。
[0271]
 1:メスで切ったときの感触が強膜実物のコラーゲン線維を切っているときと同様の繊維質を感じる抵抗感が適度にあり、実物の強膜を切っているときと同様の感触である。
[0272]
 2:メスで切ったときの感触が強膜実物のコラーゲン線維を切っているときと同様の繊維質を感じる抵抗感があるが、抵抗が弱いか、または強く、実物の強膜とは似ているがわずかに違和感がある。
[0273]
 3:メスで切ったときの感触が強膜実物のコラーゲン線維を切っているときと同様の繊維質を感じる抵抗感があるが、抵抗が弱いか、または強く、実物の強膜とは似ているが同じではない感触。
[0274]
 4:メスで切ったときに繊維の抵抗が全く感じないか、または強すぎて実物の強膜とは全く異なる感触。
<模擬強膜の薄切性>
 模擬強膜(平板状および眼球形状)を用いて、眼科医による緑内障手術を実施した。模擬強膜をメスで薄切する際の感触を評価し、以下の5段階に分類した。
[0275]
 1:剥離を進行させていく時に、フラップをピンセットで摘まみながら軽くメスを押し当てると剥離が拡大し、実物の強膜を薄切しているときと同様の感触である。
[0276]
 2:剥離を進行させていく時に、フラップをピンセットで摘まみながら軽くメスを押し当てると剥離が拡大するが、押し当てる力が弱くても剥離が拡大してしまい、実物の強膜に近い触感だが、わずかに違和感がある。
[0277]
 3:剥離を進行させていく時に、フラップをピンセットで摘まみながら軽くメスを押し当てると剥離が拡大するが、摘まんだピンセットを強引張ると剥離が拡大してしまい、実物の強膜とは似ているが、異なる感触である。
[0278]
 4:剥離を進行させていく時に、フラップをピンセットで摘まむだけで容易に剥離が拡大してしまい、実物の強膜とは全く異なる。
[0279]
 5:層状に剥離させることができず、実物の強膜と全く異なる
<模擬強膜の戻り性>
 模擬強膜(平板状および眼球形状)を用いて、眼科医による緑内障手術を実施した。模擬強膜をメスで薄切して作成したフラップを90°以上にめくって後の戻りを評価し、以下の4段階に分類した。
[0280]
 1:フラップを90°以上にめくった後に、戻る方向にやや変形しながらもめくれた状態を保持し、実物の強膜のフラップと同様の状態になる。
[0281]
 2:フラップを90°以上にめくった後に、フラップが戻る力は弱すぎて強膜部に一部貼り付くか、または戻る強さが強すぎてめくれた状態を保持できず、実物の強膜とは似ているが、わずかに違和感がある。
[0282]
 3:フラップを90°以上にめくった後に、フラップが戻る力は弱く、強膜部に半分程度貼り付くか、または戻る強さが強く、徐々にフラップが元の状態に戻ってしまうため、実物の強膜とは似ているが、違和感がある。
[0283]
 4:フラップを90°以上にめくった後に、フラップが戻る力は非常に弱くて強膜部にべったりと貼り付いてしまう、または戻る強さが非常に強く、摘まんだピンセットを話すとすぐに元の状態に戻ってしまい、実物の強膜とは全く異なる。
<模擬強膜のべとつき(タック性)>
 模擬強膜(平板状および眼球形状)を用いて、眼科医による緑内障手術を実施した。模擬強膜の表面を触ったときの感触を、以下の3段階に分類した。
[0284]
 1.表面にはべとつきがなく、実物の強膜の取り扱いと違和感がない。
[0285]
 2.表面にべとつきがあり、実際の強膜に似ているが、違和感がある。
[0286]
 3.表面のべとつきが強すぎて、触れたものにまとわりついてしまい、実際の強膜とは全く異なる。
<手術練習評価>
 実施例23および実施例26で得られた手術練習用模擬強膜(眼球形状)を、線維柱体切開術(トラベクロトミー)の練習に供した。
[0287]
 具体的には、まず、得られた手術練習用模擬強膜へ切込みを設け(図9参照)、その切込み角を掴んで角膜方向に引っ張りながら、強膜の厚みを確認した(図10参照)。次いで、強膜を角膜方向に引っ張りながら、払うように剥離切開、すなわち、薄切した(図11参照)。そして、剥離箇所を捲り上げて、角膜と強膜との境界に、剥離切開、すなわち、薄切が達したことを、確認した(図12参照)。その後、切開部分の一部を掴んで角膜方向に引っ張り、強膜の線維を払うように、剥離切開、すなわち、薄切を進めた(図13参照)。
[0288]
 以上の練習では、実施例23および実施例26で得られた手術練習用模擬強膜のいずれも、人体の眼球に近い感覚が得られた。
[0289]
 実施例26で得られた手術練習用模擬強膜を剥離切開し、捲り上げた工程(図13相当)の写真を、図15に示す。また、その後、手術練習用模擬強膜の切開部位を縫合した工程(図14相当)の写真を、図16に示す。
[0290]
[表1]


[0291]
[表2]


[0292]
[表3]


[0293]
[表4]


[0294]
[表5]


[0295]
[表6]


[0296]
 なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。当該当技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記請求の範囲に含まれる。

産業上の利用可能性

[0297]
 本発明の模擬強膜、模擬眼球、および、模擬強膜の製造方法は、眼球の緑内障手術の練習において、好適に用いられる。

請求の範囲

[請求項1]
 複数の繊維層(a)と、前記繊維層(a)に接触する樹脂(b)とを含み、
 前記繊維層(a)を構成する繊維の繊維径が、0.6μm以上170.0μm以下であることを特徴とする、模擬強膜。
[請求項2]
 複数の前記繊維層(a)の間の剥離強度が、0.20N/cm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の模擬強膜。
[請求項3]
 前記樹脂(b)のアスカーF硬度が45以上95以下、または、前記樹脂(b)のアスカーC硬度が5以上35以下であることを特徴とする、請求項1に記載の模擬強膜。
[請求項4]
 前記繊維層(a)が不織布を備えることを特徴とする、請求項1に記載の模擬強膜。
[請求項5]
 前記樹脂(b)が、ポリウレタンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の模擬強膜。
[請求項6]
 さらに、表面コート層(c)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の模擬強膜。
[請求項7]
 眼球手術練習用の模擬強膜であることを特徴とする、請求項1に記載の模擬強膜。
[請求項8]
 請求項1に記載の模擬強膜を含むことを特徴とする、模擬眼球。
[請求項9]
 複数の繊維層(a)と、前記繊維層(a)に接触する樹脂(b)とを含み、
 前記繊維層(a)を構成する繊維の繊維径が、0.6μm以上170.0μm以下である模擬強膜の製造方法であって、
 複数の繊維層(a)を積層する工程と、
 積層された前記繊維層(a)に樹脂(b)を含浸させる工程とを備えることを特徴とする、模擬強膜の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]