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1. WO2020003770 - DISPOSITIF DE COMMANDE DE MOTEUR, PROCÉDÉ DE COMMANDE DE MOTEUR, ET SYSTÈME DE MOTEUR

Document

明 細 書

発明の名称 モータ制御装置、モータ制御方法、およびモータシステム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069  

符号の説明

0070  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : モータ制御装置、モータ制御方法、およびモータシステム

技術分野

[0001]
本開示は、同期モータのためのモータ制御装置、モータ制御方法およびモータシステムに関する。

背景技術

[0002]
永久磁石同期モータなどの同期モータを制御するためにベクトル制御のアルゴリズムが用いられている。ベクトル制御では、速度指令値またはトルク指令値から、ロータの回転に同期して回転するdq座標系における電流ベクトルを決定することが必要である。電流ベクトルを決定するに際して、電流に対するトルクを最大化する最大トルク/電流(MTPA:Maximum Torque Per Ampere)制御が実用化されている。MTPA制御は、同一のトルクを発生させる電流ベクトルのなかで、大きさが最小となる電流ベクトルを選択する制御である。以下、本明細書において電流ベクトルの大きさを「ノルム」と称する。同一トルクで電流ベクトルのノルムを最小にするためには、電流ベクトルを規定するdq座標平面上において、原点から定トルク曲線までの距離が最短になるように電流ベクトルを決定することが必要になる。 
[0003]
このような電流ベクトルの決定は、以下のようにして行われ得る。まず、トルクの多数の値と、それぞれの値を最小のノルムで実現する電流ベクトルとを対応づけたテーブル(またはマップ)を用意しておく。モータの制御時にトルク指令値を受け取ると、そのテーブルから、対応する電流ベクトルを読み出す。 
[0004]
日本国公開公報特開2016-100982号公報に記載されているモータ制御装置は、テーブルのデータ量を減らすため、インダクタンスと電流ベクトルとの関係を規定するマップを備えている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 日本国公開公報:特開2016-100982号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
従来の最大トルク/電流(MTPA)制御は、後述するように、種々の課題を有している。本開示の実施形態は、最大トルク/電流制御に代わる最小電流/トルク制御を実現する、新しいモータ制御装置およびモータ制御方法を提供する。また、本開示の実施形態は、当該モータ制御装置を備えるモータシステムを提供する。

課題を解決するための手段

[0007]
本開示のモータ制御装置は、例示的な実施形態において、ロータに同期して回転するdq座標系における電流ベクトルの指令値をトルク指令値に基づいて決定するモータ制御装置であって、デジタル演算回路と、モータの磁石鎖交磁束Ψ によって規定される係数a、d軸インダクタンスL およびq軸インダクタンスL の差異によって規定される係数b、および極対数N ppを記録しているメモリとを備える。前記デジタル演算回路は、トルク指令値を受け取ると、(a)極対数N ppに対するトルク指令値の比によって規定される係数cを求めること、(b)トルク方程式であるax+2bxy-c=0を満足し、かつf(x)=x +(c-ax) /(2bx) を最小化するxおよびyの値を算出すること、(c)q軸成分としてx、d軸成分としてyを有するベクトルを電流ベクトルの指令値として決定することを実行する。 
[0008]
本開示のモータシステムは、例示的な実施形態において、上記のモータ制御装置と、前記モータ制御装置に接続されたモータ駆動回路と、前記モータ駆動回路に接続されたモータとを備える。 
[0009]
本開示のモータ制御方法は、例示的な実施形態において、ロータに同期して回転するdq座標系における電流ベクトルの指令値をトルク指令値に基づいて決定するモータ制御方法であって、(1)モータの極対数N ppに対するトルク指令値の比によって規定される係数cを求めること、(2)前記モータの磁石鎖交磁束Ψ によって規定される係数をa、d軸インダクタンスL およびq軸インダクタンスL の差異によって規定される係数をbとするとき、トルク方程式であるax+2bxy-c=0を満足し、かつf(x)=x +(c-ax) /(2bx) を最小化するxおよびyの値を算出すること、(3)q軸成分としてx、d軸成分としてyを有するベクトルを電流ベクトルの指令値として決定することを含む。

発明の効果

[0010]
本開示の実施形態によると、従来の電流ベクトルからトルクを導出する順解法ではなく、トルクから電流ベクトルを導出する逆解法のアルゴルリズムを実行するため、過大なデータ量を要するテーブルまたはマップに頼ることなく、トルク指令値から電流指令値への変換が可能になる。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 図1は、本開示によるモータ制御システムの限定的ではない例示的な実施形態の構成を模式的に示す図である。
[図2] 図2は、本開示によるモータ制御装置のハードウェア構成の例を示す図である。
[図3] 図3は、本開示の実施形態における処理の手順の例を示すフローチャートである。
[図4] 図4は、本開示によるモータ制御装置の実施形態における構成例を示すブロック図である。

発明を実施するための形態

[0012]
本開示の実施形態を説明する前に、まず電流ベクトルからトルクを導出する「順解法(Forward MTPA)」と、トルクから電流ベクトルを導出する「逆解法(Inverse MTPA)」を説明する。 
[0013]
<電流ベクトルからトルクを導出する順解法>

 ベクトル制御理論では、ロータの回転と同期して回転するdq座標系で電圧、電流、磁束、インダクタンスなどの諸量が表現され得る。3相交流同期モータで発生するトルクTは、数式1によって表される。  
[数1]


ここで、N ppは極対数、Ψ はロータの永久磁石による鎖交磁束である。L およびL は、それぞれ、d軸インダクタンスおよびq軸インダクタンス、i およびi は、それぞれ、d軸電流およびq軸電流である。トルクの単位はニュートン・メートル[Nm]、インダクタンスの単位はヘンリ[H]、電流の単位はアンペア[A]である。数式1は、3相のステータ巻線に、それぞれ、2π/3の位相差で正弦波電流が流れることを前提として導出されている。また、インダクタンスおよび鎖交磁束の空間高調波成分は無視されている。これらの高調波成分が無視できない場合、トルクには小さな脈動が表れるが、高調波成分は平均トルクに影響を及ぼさないため、その平均のトルク(定常成分)は数式1のトルクに等しい。 
[0014]
数式1の右辺における第1項は「マグネットトルク」、第2項は「リラクタンストルク」である。L およびL が同じ大きさである非突極性のモータ、例えば表面磁石型モータ(SPM)では、トルクは第1項のマグネットトルクのみである。これに対して、永久磁石がロータに取り付けられていないモータ、例えばスイッチトリラクタンスモータ(SRM)では、トルクは第2項のリラクタンストルクのみである。ロータの内部に永久磁石が埋め込まれた埋込型モータ(IPM)のトルクは、マグネットトルクおよびリラクタンストルクの合計の値を有する。 
[0015]
ベクトル制御を実行するモータ制御装置は、目的とするトルクの値(トルク指令値)が与えられると、そのトルクを実現するために必要な電流ベクトルを決定することが必要になる。電流ベクトルは、dq座標系で定義されるd軸電流I およびq軸電流I を成分とするベクトルであり、ノルムI およびq軸からの進み位相角β によっても表現され得る。以下、電流ベクトルのノルムを「電流ノルム」、電流ベクトルのq軸からの進み位相角を「電流位相角」、または単に「位相角」と呼ぶ場合がある。 
[0016]
d軸電流I およびq軸電流I は、それぞれ、ノルムI および位相角β を用いて下記の数式2に示すように表される。  
[数2]


[0017]
この関係を用いると、トルクTを以下の数式3によって表わすこともできる。  
[数3]


[0018]
効率的なモータ制御は、高効率制御と呼ばれており、その代表例はMTPA(Maximum Torque Per Ampere)制御である。MTPA制御では、ある電流ノルムに対して最大のトルクが得られるように電流位相角を決める。電流ノルムは銅損に比例するため、MTPAは所定の銅損に対して最大のトルクが得られるように電流位相角を決める方法とも言える。ただし、現実のモータには、銅損以外にも鉄損や風損などの損失があるため、MTPAは必ずしも最適効率解を与えるものではない。しかし、MTPAはモデル化が容易であるため、広く利用されている。特に銅損が支配的な低速・高トルク領域では、MTPAは最適解に十分近い解を与える。 
[0019]
MTPA問題とは、電流ノルムI が一定であるという条件のもと、トルクTを最大にする電流位相角β を求めることである。数式3から明らかなように、L -L =0であれば、与えられたトルクTを実現する電流位相角β は一義的に定まり、β =0°である。一方、リラクタンスモータのようにロータが永久磁石を含まない場合、永久磁石による鎖交磁束Ψ がゼロであるため、電流位相角β =45°でトルクTは最大になる。このように、マグネットトルクおよびリラクタンストルクの一方を無視できるモータでは、トルクTから、そのトルクTを実現する電流ベクトルが一義的に定まる。しかし、例えば埋め込み型磁石のように、マグネットトルクおよびリラクタンストルクの両方の寄与がある場合、与えられた大きさのトルクTを実現する電流ベクトルは無数に存在する。このため、MTPA制御を行うためには、電流ノルムI を固定した状態でトルクTを最大にする電流位相角β を見つけることが必要になる。 
[0020]
トルクTを最大にする電流位相角β は、数式3を電流位相角β で微分した数式4を0にする。  
[数4]


[0021]
数式4の右辺をゼロにすると、数式5が得られる。  
[数5]


[0022]
とL が異なるとき、数式5を解くことにより、以下のように電流位相角β が定まる。  
[数6]


[0023]
もう一つの解き方として、I およびI の一方が与えられた場合において他方を求める方法がある。この方法によると、それぞれ、以下の式に示される解I 、I が得られる。  
[数7]


[0024]
いずれの方法でも、電流ベクトルを規定する2つの値の一方を固定した上で、MTPA条件を用いて他方の値を算出している。従来のMTPA制御では、例えばトルク指令値Tから電流ノルムI を仮決めし、その電流ノルムI に対する電流位相角β を求めている。この方法では、最初に電流ノルムI を恣意的に決めるため、必ずしもトルク指令値を発生する最小電流を得られないという課題がある。その対策として、繰り返し計算をする方法がある。しかし、これでは計算時間が増えてしまうとともに、何回計算をすれば十分な精度が得られるのかも不明であるため、実用的ではない。従来の方法は、逆解法で解くべき問題を順解法で解こうとしている。 
[0025]
このため、上記の計算をオンラインで実行する代わりに、ルックアップテーブルを参照してトルクTを実現する最小の電流を求めることが行われている。具体的には、多数の異なるトルクTと、各トルクTを最小の電流で実現する「電流ノルムおよび電流位相角」(または「IdおよびIq」)の2変数とを対応づけたテーブルを事前計算によってオフラインで作成し、メモリ内に記憶させる。オンラインでは、トルクTの指令値が与えられると、モータ制御装置がテーブルを参照して「電流ノルムおよび電流位相角」(または「IdおよびIq」)の2変数を読み出す。事前計算はソルバー計算等を用いて行うことができる。この方法によれば、モータごとにテーブルの全体を作り直す必要がある。また、モータが同じであって、永久磁石磁束またはインダクタンスなどが変化すると、テーブルを書き換える必要があるため、モータの温度特性変化および経時変化にも対応できない。 
[0026]
モータパラメータの変化に対応するため、様々なパラメータに対応した多数のテーブルを事前に用意しておくことが理論的には可能である。しかし、膨大なデータが必要になるため、実用的ではない。例えば、電流ノルムI および電流位相角β のデータをそれぞれ16ビットとすると、1変数の入力(1個のトルク値)に対する電流ベクトルを表現するために4バイトのデータが必要である。トルク分解能を12ビット分(4096)として、各トルク値に対応する電流ノルムI および電流位相角β のデータを用意した場合、データ量は16.384kバイト(=4バイト×2 12)に達する。安価なマイコンは、32kバイトから128kバイト程度のROM容量を有しているため、16kバイトの容量がこのテーブルに消費されるのは不経済である。 
[0027]
テーブル量を増やすと、容量が急増する。例えばトルク分解能を24ビット、電流32ビットに拡張してテーブルを作成した場合、データ量は約134Mバイト(=8バイト×2 24)という膨大な量になる。この規模ではテーブルを作成して実装することは困難である。 
[0028]
テーブルに頼らず、中央演算処理ユニット(CPU)で計算させる場合を考える。CPUのクロック数が高くなるほど、CPUコスト(マイコンコスト)が上昇する。また、モータはリアルタイムで駆動しているため、キャリア周波数が20kHzのPWM信号で駆動する場合、50μsecごとに信号を更新する必要がある。MTPA計算は、この周期で更新する必要はないが、電気時定数を考えると、1msec~10msecで更新する必要がある。よって、1回の計算に使えるクロック数が少なくなる。MTPA制御計算で多くのクロック数を使ってしまうと、その分のCPUコストの上昇を招く。ところが、MTPA制御自体はモータ駆動に必須ではないので、これだけでマイコンのグレードを上げるのは許容されない。 
[0029]
<トルクから電流ベクトルを導出する逆解法>

 本開示の実施形態において、モータ制御装置はトルク指令値を受け取ると、以下のモータ制御方法の各処理を実行することにより、電流ベクトルを導出する。 
[0030]

 (1)モータの極対数N ppに対するトルク指令値の比によって規定される係数cを求める。 
[0031]

 (2)モータの磁石鎖交磁束Ψ によって規定される係数をa、d軸インダクタンスL およびq軸インダクタンスL の差異によって規定される係数をbとするとき、トルク方程式であるax+2bxy-c=0を満足し、かつf(x)=x +(c-ax) /(2bx) を最小化するxおよびyの値を算出する。 
[0032]

 (3)q軸成分としてx、d軸成分としてyを有するベクトルを電流ベクトルの指令値として決定する。 
[0033]
以下、上記の処理を詳細に説明する。 
[0034]
極対数N ppに対するトルク指令値Tの比は、T/N ppである。ここでは、最も簡単な例として、c=T/N ppとおく。また、磁石鎖交磁束Ψ によって規定される係数aについては、a=Ψ とおく。d軸インダクタンスL およびq軸インダクタンスL の差異によって規定される係数bについては、b=(L -L )/2とおく。また、電流ベクトルのq軸成分については、i =xとおき、電流ベクトルのd軸成分については、i =yとおく。 
[0035]
上記のa、b、c、x、およびyを用いると、トルク方程式を規定する数式1は、以下の式に変形され得る。  
[数8]


[0036]
数式8については、両辺に任意の数、例えば極対数N ppを乗算しても等式は成立する。また、トルクの基準値で両辺を割っても等式は成立する。このため、上記の等式が成立するように、a、b、およびcを規格化することも可能である。例えば、基準電圧V [V]、基準電流I [A]、基準電気角速度ω [rad/sec]をモータごとに異なる電圧方程式に代入することにより、基準トルクT を求めることができる。数式8のトルクTが基準トルクT に等しいときc=1となるように、aおよびbを規格化してもよい。以下、a、b、およびcのパラメータは、それぞれ、a=Ψ 、(L -L )/2、およびT/N ppに限定されず、それらの規格値であってもよい。そのような規格値a、b、およびcも、それぞれ、前述した「・・・によって規定される係数」に該当する。 
[0037]
上記の定義から明らかなように、係数cは、トルクTに依存するパラメータであるため、トルク指令値が与えられると、係数cの大きさが決まる。また、係数a、bは、モータによって固有の大きさを有する。このため、「逆解法」とは、モータに固有の係数a、bのもとで、係数cの大きさが指定されたとき、数式8を満足するxおよびyのうちで、ノルム(x +y )を最小にするx、yを求めることである。ノルム(x +y )は、数式8におけるxとyの関係に基づいて、以下の式で表される。  
[数9]


[0038]
モータが決まると係数a、bが決まり、トルク指令値が与えられると係数cが決まる。本開示の実施形態では、係数a、b、cが既知の状況において、数式9の関数f(x)を最小にするxを算出する。xが決まると、以下の式に基づいてyが求められる。  
[数10]


[0039]
電流ベクトルはxおよびyの値によって決まる。f(x)を最小にするxは、f(x)の微分を0にする。このことから、xは、以下の方程式の解である。  
[数11]


[0040]
数式11の4次方程式は、未知数xの3次の項を有していない。このことに着目し、本発明者は、この4次方程式を代数的に解くため、フェラーリの方法を用いて媒介変数uを導出した。媒介変数uは、以下の数式10に示される値を有することがわかった。  
[数12]


[0041]
本開示の実施形態では、モータ制御装置が、メモリ20に記憶されている係数a、b、cの値をメモリ20から読み出し、上記の式に基づいて媒介変数uの値を決定する。モータ制御装置は、次に、媒介変数uの値を以下の式に代入する。  
[数13]


[0042]
こうしてモータ制御装置は、xの値を決定した後、数式10にxの値を代入してyを得る。 
[0043]
このように、本開示の実施形態では、トルク指令値Tが与えられると、最小のノルムでトルク指令値Tを実現する電流ベクトルを代数解法によって決定することが可能になる。本開示の実施形態によれば、膨大なデータ量を有するテーブルを前もって用意してメモリ内に記憶させる必要がない。モータ制御装置は、上述の式に基づく計算を1回行うだけで電流ベクトルを決定することができ、理論上の誤差もない。トルク指令値が更新されるごとに上記の計算を行えば、すぐにノルムが最小化された電流ベクトルを求めることができる。 
[0044]
<例示的な実施形態>

 以下、添付の図面を参照しながら、本開示によるモータ制御装置の一例を説明する。なお、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。本発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供する。これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図しない。 
[0045]
図1を参照する。図1は、本開示の実施形態にかかるモータシステムの概略構成を示す図である。図1に示されるモータシステム1000は、ロータ30およびステータ32を備える永久磁石同期モータ(以下、単に「モータ」と称する)300と、モータ300のステータ32が有する巻線34に電圧を印加するモータ駆動回路200と、巻線34を流れる電流を測定する電流センサ250と、モータ駆動回路200に接続されたモータ制御装置100とを備える。 
[0046]
本実施形態におけるロータ30は、コア中に埋め込まれた複数の永久磁石を有している。本開示の実施形態は、この例に限定されない。ロータ30は、永久磁石を有しないでリラクタンストルクのみを発生して回転してもよい。ロータ30は多様な形態をとり得る。 
[0047]
モータ駆動回路200は、インバータを主回路として有する電力変換器である。主回路は、複数の電力半導体素子(図1において不図示)を構成要素として含む。モータ制御装置100は、モータ駆動回路200内における個々の電力半導体素子をスイッチングさせる制御信号(ゲート信号)を生成して出力する。図示される例において、電流センサ250は、カレントトランス(CT:Current Transformer)であるが、電流センサ250の例は、これに限定されない。モータ駆動回路200が1個または複数個のシャント抵抗を有する場合、各シャント抵抗の電圧降下を測定することにより、巻線34を流れる電流を測定することができる。 
[0048]
図示されているモータ制御装置100は、「デジタル演算回路」として機能するプロセッサ10と、プロセッサ10の動作を制御するソフトウェアプログラムが記録されたメモリ20とを備えている。プロセッサ10は、例えばCPUまたはデジタル信号処理プロセッサなどの集積回路(IC)チップであり得る。メモリ20は、プロセッサ10の動作を制御するコンピュータプログラムを格納した記録媒体である。メモリ20は、単一の記録媒体である必要はなく、複数の記録媒体の集合であり得る。メモリ20は、後述するように、例えばRAMなどの半導体揮発性メモリ、フラッシュROMなどの半導体不揮発性メモリ、およびハードディスクドライブなどのストレージ装置を含み得る。メモリ20の少なくとも一部は、取り外し可能な記録媒体であってもよい。 
[0049]
図1のモータ制御装置100は、ロータ30の回転に同期して回転するdq座標系における電流ベクトルの指令値をトルク指令値に基づいて決定する。 
[0050]
モータの磁石鎖交磁束Ψ によって規定される係数a、d軸インダクタンスL およびq軸インダクタンスL の差異によって規定される係数b、および極対数N ppがメモリ20に記憶されている。 
[0051]
モータ制御装置100のプロセッサ(デジタル演算回路)10は、トルク指令値を受け取ると、以下の処理を実行する。

(a)極対数N ppに対するトルク指令値の比によって規定される係数cを求めること、

(b)トルク方程式であるax+2bxy-c=0を満足し、かつf(x)=x +(c-ax) /(2bx) を最小化するxおよびyの値を算出すること、および、

(c)q軸成分としてx、d軸成分としてyを有するベクトルを電流ベクトルの指令値として決定すること。 
[0052]
これらの処理の内容は、前述した通りであり、ここでは同じ説明を繰り返さない。なお、トルク指令値は、外部にある上位のコンピュータまたはコントローラからプロセッサ10に入力され得る。また、コンピュータまたはコントローラからプロセッサ10に与えられた信号に基づいてプロセッサ10の内部でトルク指令値が生成されてもよい。 
[0053]
本開示の実施形態において、プロセッサ10は、f(x)を最小化するxおよびyの値を算出するとき、4次方程式の解の公式を用いて、x +(ac/4b )x-c /(4b )=0の正の実数解を求める。このため、繰り返し演算も大容量のテーブルデータも必要なくなる。 
[0054]
本実施形態において、メモリ20は、係数aおよび/または係数bについて、モータ300の状態に応じて異なる複数の値を含むルックアップテーブルを記憶している。モータ300の状態は、モータの動作温度、磁気飽和の程度、ロータ30が永久磁石を有する場合における永久磁石の減磁の程度、および使用期間を含み得る。 
[0055]
プロセッサ10は、磁石鎖交磁束Ψ 、d軸インダクタンスL 、および/またはq軸インダクタンスL の変化に応じて、メモリ20に記録されている係数aおよび/または係数bの値を更新してもよい。前述したように、係数aは、磁石鎖交磁束Ψ によって規定されるため、モータ300の永久磁石の強さに依存する。永久磁石の強さは、モータ動作中の熱減磁によって低下し得る。このため、永久磁石の強さが変化した場合、その変化に基づいて係数aの値を更新してもよい。例えば、モータの動作温度または巻線電流を検知し、温度および/または巻線電流に応じて係数aを変化させても良い。温度および/または巻線電流と係数aとの関係は、テーブルデータとしてメモリに記憶され得る。また、この関係を近似する関数をメモリに記憶させておいても良よい。係数bは、d軸インダクタンスL およびq軸インダクタンスL の差異によって規定されるため、磁気飽和によってインダクタンスが変化する場合は、その変化に基づいて係数bを更新してもよい。巻線電流と係数bとの関係もテーブルデータとしてメモリに記憶され得る。 
[0056]
本実施形態において、プロセッサ10は、電流ベクトルの測定値を受け取ると、電流ベクトルの測定値と電流ベクトルの指令値の間にある差異に基づいて電圧ベクトルの指令値を決定する。 
[0057]
本実施形態におけるモータ300は、埋め込み型の永久磁石同期モータであるが、本開示におけるモータは、この例に限定されない。 
[0058]
図2は、本開示によるモータモジュールにおけるモータ制御装置100のハードウェア構成の例を示す図である。 
[0059]
モータ制御装置100は、例えば図2に示されるハードウェア構成を有していても良い。この例におけるモータ制御装置100は、互いにバス接続されたCPU154、PWM回路155、ROM(リードオンリーメモリ)156、RAM(ランダムアクセスメモリ)157、およびI/F(入出力インタフェース)158を有している。図示されていない他の回路またはデバイス(AD変換器など)がバスに接続されていてもよい。PWM回路155は、図1のモータ駆動回路200にPWM信号を与える。CPU154の動作を規定するプログラムおよびデータは、ROM156およびRAM157の少なくとも一方に記憶されている。このようなモータ制御装置100は、例えば32ビットの汎用的なマイクロコントローラによって実現され得る。そのようなマイクロコントローラは、例えば1個または複数の集積回路チップから構成され得る。 
[0060]
モータ制御装置100が行う各種の動作の詳細については、後述する。典型的には、モータ制御装置100が行う各種の動作は、メモリ20に記憶されているプログラムによって規定されている。プログラムの内容の一部または全部を更新することにより、モータ制御装置100の動作の一部または全部を変更することが可能である。そのようなプログラムの更新は、プログラムを格納した記録媒体を用いて行ってもよいし、有線または無線の通信によって行っても良い。通信は、図2のI/F158を用いて行うことができる。図2に示されるCPU154の演算量を低減するために、モータ制御装置100が行う各種の動作の一部、例えばベクトル演算の一部が、その演算専用のハードウェア回路によって実行されてもよい。 
[0061]
次に、図3を参照して、本開示の実施形態におけるモータ制御動作の基本的なフローを説明する。 
[0062]
まず、ステップS1において、CPU154は、トルク指令値の入力を受け取る。次に、ステップS2において、CPU154は、上記の4次方程式を規定する係数a、b、cを決定する。係数cは、ステップS1で受け取ったトルク指令値に依存する大きさを有する。ステップS3において、CPU154は、解の公式を用いて4次方程式の解を算出する。ステップS4において、CPU154は、4次方程式の解からd軸電流指令値およびq軸電流指令値を決定する。ステップS5において、CPU154は、係数a、bの値を更新または維持する。更新は、モータの状態が変化した場合に実行され得る。 
[0063]
次に、図4を参照して、本開示の実施形態におけるモータ制御装置の限定的ではない例示的な構成および動作の例を説明する。図示されている例において、本実施形態のモータシステム1000におけるモータ制御装置100は、上記の処理により、トルク指令値Tからd軸電流指令値i およびq軸電流指令値i を生成する電流指令値生成モジュールを有している。更に、モータ制御装置100は、電流制御回路12と、第1座標変換回路14Aと、PWM回路16とを備えている。電流制御回路12は、d軸電流指令値i およびq軸電流指令値i からd軸電圧指令値V およびq軸電圧指令値V を決定する。第1座標変換回路14Aは、電圧指令値をdq座標系からUVW座標系に変換する。PWM回路16は、第1座標変換回路14Aから出力される電圧指令値(V 、V 、V )に基づいてパルス幅変調信号を生成する。これらの回路12、14A、16の構成および動作は、公知の例に従う。 
[0064]
モータ制御装置100は、更に、第2座標変換回路14Bと、位置検出回路18Aと、速度演算回路18Bとを備えている。第2座標変換回路14Bは、インバータからモータ300に供給される3相U、V、Wの巻線電流の検出値i 、i について、UVW座標系からdq座標系に変換する。位置検出回路18Aは、モータ300におけるロータの機械角位置θ を検出する。速度演算回路18Bは、ロータの機械角位置θ からロータの機械角速度ω を算出する。 
[0065]
第2座標変換回路14Bから、dq座標系に変換されたd軸電流i 、q軸電流i は、電流制御回路12に与えられ、それぞれ、d軸電流指令値i およびq軸電流指令値i と比較される。電流制御回路12の典型例は、比例積分(PI)制御器である。ロータの機械角位置θ からはロータの電気角位置θが算出される。ロータの電気角位置θは、dq座標系とUVW座標系との間の座標変換に利用される。ロータの機械角速度ω は、トルク指令値Tの決定に利用され得る。 
[0066]
モータ駆動回路200のインバータの前段には、PWM信号に基づいてインバータ内のトランジスタをスイッチングするゲート駆動信号を生成するゲートドライバが設けられ得る。これらの要素は公知であり、簡単のため、記載が省略されている。 
[0067]
上記の各回路の一部または全部は、集積回路装置によって実現され得る。このような集積回路装置は、典型的には1個または複数個の半導体部品によって形成され得る。集積回路装置は、位置センサからのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータと、モータ300の巻線を流れる電流を検出するセンサ(不図示)からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータとを含み得る。 
[0068]
インバータの少なくとも一部が集積回路装置に含まれていても良い。このような集積回路装置は、典型的には、1個また複数個の半導体チップを1個のパッケージ内で相互に接続することによって実現される。集積回路装置の一部または全部は、例えば汎用的なマイクロコントローラユニット(MCU)に本開示に特有のプログラムを書き込むことによって実現され得る。 
[0069]
本開示のモータ制御装置、モータ制御方法、モータシステムは、高効率動作が求められる種々の同期モータに利用され得る。

符号の説明

[0070]
10・・・プロセッサ(デジタル演算回路)、20・・・メモリ、100・・・モータ制御装置、200・・・モータ制御装置、300・・・モータ、1000・・・モータシステム

請求の範囲

[請求項1]

 ロータに同期して回転するdq座標系における電流ベクトルの指令値をトルク指令値に基づいて決定するモータ制御装置であって、

 デジタル演算回路と、

 モータの磁石鎖交磁束Ψ によって規定される係数a、d軸インダクタンスL およびq軸インダクタンスL の差異によって規定される係数b、および極対数N ppを記録しているメモリと、

を備え、

 前記デジタル演算回路は、トルク指令値を受け取ると、

 (a)極対数N ppに対するトルク指令値の比によって規定される係数cを求めること、

 (b)トルク方程式であるax+2bxy-c=0を満足し、かつf(x)=x +(c-ax) /(2bx) を最小化するxおよびyの値を算出すること、

 (c)q軸成分としてx、d軸成分としてyを有するベクトルを電流ベクトルの指令値として決定すること、

を実行するモータ制御装置。
[請求項2]

 前記デジタル演算回路は、

 f(x)を最小化するxおよびyの値を算出するとき、

 4次方程式の解の公式を用いて、x +(ac/4b )x-c /(4b )=0の正の実数解を求める、請求項1に記載のモータ制御装置。
[請求項3]

 前記メモリは、前記係数aおよび/または係数bについて、モータの状態に応じて異なる複数の値を含むルックアップテーブルを記憶している、請求項1または2に記載のモータ制御装置。
[請求項4]

 前記モータの状態は、モータの動作温度、磁気飽和の程度、前記ロータが永久磁石を有する場合における前記永久磁石の減磁の程度、および使用期間を含む、請求項3に記載のモータ制御装置。
[請求項5]

 前記デジタル演算回路は、磁石鎖交磁束Ψ 、d軸インダクタンスL 、および/またはq軸インダクタンスL の変化に応じて、前記メモリに記録されている前記係数aおよび/または係数bの値を更新する、請求項1または2に記載のモータ制御装置。
[請求項6]

 前記デジタル演算回路は、電流ベクトルの測定値を受け取り、前記電流ベクトルの測定値と前記電流ベクトルの指令値の間にある差異に基づいて電圧ベクトルの指令値を決定する、請求項1から5のいずれかに記載のモータ制御装置。
[請求項7]

 前記モータは、埋め込み型の永久磁石同期モータである、請求項1から6のいずれかに記載のモータ制御装置。
[請求項8]

 請求項1から7のいずれかに記載のモータ制御装置と、

 前記モータ制御装置に接続されたモータ駆動回路と、

 前記モータ駆動回路に接続されたモータと、

を備える、モータシステム。
[請求項9]

 ロータに同期して回転するdq座標系における電流ベクトルの指令値をトルク指令値に基づいて決定するモータ制御方法であって、

 (1)モータの極対数N ppに対するトルク指令値の比によって規定される係数cを求めること、

 (2)前記モータの磁石鎖交磁束Ψ によって規定される係数をa、d軸インダクタンスL およびq軸インダクタンスL の差異によって規定される係数をbとするとき、トルク方程式であるax+2bxy-c=0を満足し、かつf(x)=x +(c-ax) /(2bx) を最小化するxおよびyの値を算出すること、

 (3)q軸成分としてx、d軸成分としてyを有するベクトルを電流ベクトルの指令値として決定すること、

を含む、モータ制御方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]