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1. (WO2019065432) COMPOSITION DE RÉSINE THERMODURCISSABLE POUR MATÉRIAU COMPOSITE RENFORCÉ DE FIBRES, PRÉFORME, MATÉRIAU COMPOSITE RENFORCÉ DE FIBRES ET PROCÉDÉ DE PRODUCTION D'UN MATÉRIAU COMPOSITE RENFORCÉ DE FIBRES
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明 細 書

発明の名称 繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物、プリフォーム、繊維強化複合材料及び繊維強化複合材料の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009  

先行技術文献

特許文献

0010  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0011   0012   0013  

課題を解決するための手段

0014   0015   0016   0017   0018   0019  

発明の効果

0020  

発明を実施するための形態

0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067  

実施例

0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097  

産業上の利用可能性

0098  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : 繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物、プリフォーム、繊維強化複合材料及び繊維強化複合材料の製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、繊維強化複合材料に用いられる熱硬化性樹脂組成物、プリフォームおよびそれを用いてなる繊維強化複合材料、繊維強化複合材料の製造方法に関するものである。

背景技術

[0002]
 強化繊維とマトリックス樹脂とからなる繊維強化複合材料は、強化繊維とマトリックス樹脂の利点を生かした材料設計ができるため、航空宇宙分野を始め、スポーツ分野および一般産業分野などに用途が拡大されている。
[0003]
 強化繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維およびボロン繊維などが用いられる。また、マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂のいずれも用いられるが、強化繊維への含浸が容易な熱硬化性樹脂が用いられることが多い。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂およびシアネート樹脂などが用いられる。
[0004]
 一般的に繊維強化複合材料の製造には、プリプレグ法、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、プルトルージョン法およびRTM(Resin Transfer Molding:樹脂注入成形)法、フィルムバッグ成形法、プレス成形法などの方法が適用される。特に、生産性が求められる場合には、生産性に優れるRTM成形法やフィルムバッグ成形法、プレス成形法が好ましく用いられる。
[0005]
 とりわけ炭素繊維強化複合材料をはじめとした繊維強化複合材料は、近年、特に航空機用途および自動車用途向けに需要が拡大している。これら用途において、より汎用的に繊維強化複合材料を適用するために、低コスト、低環境負荷である材料が求められている。
[0006]
 上記のような、従来の繊維強化複合材料の製造方法に使用されているマトリックス樹脂は、強化繊維基材への含浸性を十分とするため、常温において液状や半固形状の樹脂である。かかる樹脂は、使用時に樹脂調合設備や樹脂注入設備内に残存しやすく、ロスが多く発生する傾向がある。例えばプリプレグ法を適用する場合、マトリックス樹脂の樹脂フィルムを作製した後、樹脂を強化繊維に含浸させる工程を行う。この樹脂フィルム作製時に、離型性のあるフィルム等の副資材が必要となることが多く、コストが嵩みやすい。また、常温で液状や半固形状の樹脂組成物とするために、常温で固形状の成分を多量に配合することは難しい。
[0007]
 また、液状や半固形状の熱硬化性樹脂は、あらかじめ主剤、硬化剤および触媒成分を相溶させた1液の樹脂組成物とする場合、樹脂の高速硬化性と保管安定性とのバランスを取ることが難しい。RTMなどの成形法では、高速硬化性に優れる樹脂系を、主剤成分および硬化剤・触媒成分を別々で調製し、使用直前に混合する2液系の樹脂組成物が用いられることもあるが、製造現場での作業や設備が煩雑となる。
[0008]
 特許文献1には、30℃で固体の結晶性エポキシ樹脂と固体の硬化剤を粉砕し、圧着後、再度粉砕して得られる粉末状エポキシ樹脂組成物が開示されている。
[0009]
 特許文献2には、繊維強化複合材料用途向けの結晶性エポキシ樹脂と結晶性硬化剤と硬化促進剤からなる樹脂組成物が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0010]
特許文献1 : 特公平3-29098号公報
特許文献2 : 特許5315057号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0011]
 特許文献1に記載の材料は、樹脂硬化物の組成ムラが発生しにくい固形樹脂組成物である。しかしながら、高速硬化性と保管安定性とのバランスに関する記載はなく、この材料を使用して繊維強化複合材料とした時に、表面ピットや内部ボイドが発生し、強度特性が大きく低下してしまうものであった。
[0012]
 特許文献2に記載の材料は、結晶性エポキシ樹脂と結晶性硬化剤と触媒を相溶させた樹脂組成物である。しかしながら、当該樹脂組成物は、樹脂の高速硬化性と保管安定性のバランスに優れるものではなかった。
[0013]
 本発明の目的は、上記従来技術の欠点を改良し、高速硬化性と保管安定性のバランスに優れ、かつ、常温での取り扱い性、及び、強化繊維基材への含浸性に優れる繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物、並びに、それを用いてなる、繊維強化複合材料用プリフォーム、及び、繊維強化複合材料を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0014]
 上記課題を解決するための本発明は以下のとおりである。
[0015]
 (1)[A]主剤、並びに、[B]硬化剤及び/又は[C]触媒の各成分のドメインを有し、
 比重が0.90~1.30かつ、25℃での動的粘弾性測定における複素粘度η が1×10 Pa・s以上である、繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物。
[0016]
 (2)[A]主剤、並びに、[B]硬化剤及び/又は[C]触媒の各成分のドメインを有し、
 空隙率が0.1~25%かつ、25℃での動的粘弾性測定における複素粘度η が1×10 Pa・s以上である、繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物。
[0017]
 (3)前記(1)または(2)に記載の繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物とドライ強化繊維基材とを有する、繊維強化複合材料用プリフォーム。
[0018]
 (4)前記(1)または(2)に記載の繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物が強化繊維基材に含浸されてなる成形体であって、該成形体において該熱硬化性樹脂組成物が硬化物として存在する、繊維強化複合材料。
[0019]
 (5)前記(1)または(2)に記載の繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物を溶融し、ドライ強化繊維基材に含浸させながら成形する成形工程、及び、該ドライ強化繊維基材に含浸され、成形された該熱硬化性樹脂組成物を硬化させる硬化工程を有する、繊維強化複合材料の製造方法。

発明の効果

[0020]
 本発明によれば、高速硬化性と保管安定性のバランスに優れ、常温での取り扱い性、及び、強化繊維基材への含浸性に優れる繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物、並びに、それを用いてなる、繊維強化複合材料用プリフォーム、及び、繊維強化複合材料を提供することにある。

発明を実施するための形態

[0021]
 以下に、本発明の望ましい実施の形態について説明する。
[0022]
 本発明の繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物の第一の態様は、[A]主剤、並びに、[B]硬化剤及び/又は[C]触媒の各成分のドメインを有し、比重が0.90~1.30かつ、25℃での動的粘弾性測定における複素粘度η が1×10 Pa・s以上である。なお、本発明において、「繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物」を単に「熱硬化性樹脂組成物」という場合がある。
[0023]
 本発明の繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物の第二の態様は、[A]主剤、並びに、[B]硬化剤及び/又は[C]触媒の各成分のドメインを有し、空隙率が0.1~25%かつ、25℃での動的粘弾性測定における複素粘度η が1×10 Pa・s以上である、繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物である。
[0024]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、常温での動的粘弾性測定における複素粘度η が1×10 Pa・s以上である。なお、常温とは25℃のことを指す。熱硬化性樹脂組成物が上記複素粘度η であることにより、常温で固体となる。そのため、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、常温での取扱い性が良く、繊維強化複合材料を製造する際のコストを抑えやすい。なお、前記複素粘度η の上限は、特に限定されないが、通常、1×10 9Pa・s程度である。
[0025]
 動的粘弾性の測定には、ARES-G2(TA Instruments社製)が使用する。かかる測定装置を用いて、試料を8mmのパラレルプレートにセットした後、0.5Hzの牽引周期を加え、昇温速度1.5℃/分で、0~300℃の温度範囲で測定することで複素粘度η を測定することができる。
[0026]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、本発明の要件を満たす範囲で適用され得る、一般的に用いられる各種の熱硬化性樹脂を有するものである。熱硬化性樹脂として、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ウレタン樹脂、ユリア樹脂などが好適に適用できる。
[0027]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いられる[A]主剤とは、加熱により硬化反応が進行し架橋構造を形成する成分である。[A]主剤は、好ましくはモノマー成分である。[A]主剤としては、例えば、エポキシ基を有する化合物、フェノール基を有する化合物、ビニル基を有する化合物、ビスマレイミド構造を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物、オキサジン化合物、水酸基を有する化合物、アミノ基を有する化合物などの熱硬化性成分を使用できる。
[0028]
 前述の熱硬化性樹脂の中でも、強化繊維との接着性、取り扱い性の観点から熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂を含むことが好ましい。そして熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含む場合、[A]主剤としては、一分子内に1個以上、好ましくは2個以上のエポキシ基を有する化合物を含むものということになる。かかるエポキシ樹脂はエポキシ基を有する化合物1種類のみからなるものでも良く、複数種の混合物であっても良い。
[0029]
 本発明で用いられる[B]硬化剤は、主剤と相溶した際に共有結合することにより熱硬化性樹脂を硬化させる成分である。熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、エポキシ基と反応し得る活性基を有する化合物を硬化剤として使用でき、酸無水物やフェノール系化合物などが使用できる。
[0030]
 本発明で用いられる[C]触媒は、主剤の単独硬化反応、及び/又は、主剤と硬化剤との結合形成による硬化反応を速やかに円滑にする成分である。熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、触媒としては、イミダゾール類や有機リン化合物などが使用できる。
[0031]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、[A]主剤、[B]硬化剤、及び/又は、[C]触媒の各成分のドメインを有する熱硬化性樹脂組成物である。本発明において、各成分のドメインを有する、とは、樹脂組成物中の成分が分子レベルで均一には相溶しておらず、各成分がマイクロメートルオーダーのドメイン径を有した状態で分散していることである。通常、各ドメインはそれぞれ界面で接触している形態を有する。なお、ここでマイクロメートルオーダーとは0.1μm~10000μmの範囲のことを指す。
[0032]
 各成分のドメインを有する熱硬化性樹脂組成物は、例えば後述のように、各成分の粉末状原料を混合し、プレス等で圧着することにより製造することができる。ただし、この方法に限定されるものではなく、例えば、各成分を加熱溶融して相溶させた後、冷却し、各成分をドメイン毎に析出させ固化させることで、各成分のドメインを有する熱硬化性樹脂組成物を得ることもできる。
[0033]
 各成分のドメインの分布形態は、各種の2次元マップ化手法を用いて特定できる。特に、紫外光、可視光、赤外光、電子線、X線などの活性エネルギー線を用いたマッピング分析が有効であり、化学組成を識別できるものがさらに好ましい。
[0034]
 特に、各成分のドメイン径は、赤外分光による化学組成マッピングを実施し、各成分の吸光度が閾値以上となる範囲のドメイン幅を100個、計測し、その平均値をドメイン径とする。赤外分光のみでの成分判別が困難な場合には、元素分析を組み合わせて成分を判別してもよい。また、染色剤を利用した顕微鏡により観察された各成分のドメイン幅を100個、計測し、その平均値をドメイン径としてもよい。
[0035]
 熱硬化性樹脂組成物が分子レベルで均一に相溶しておらず、各成分のドメインを有する熱硬化性樹脂組成物とすることにより、主剤、硬化剤及び/又は触媒が互いに接触する割合が少ないため、優れた保管安定性を有する熱硬化性樹脂組成物とすることができる。また、高速硬化性に優れた熱硬化性樹脂系を適用することにより、高速硬化性と保管安定性のバランスに優れた熱硬化性樹脂組成物となる。
[0036]
 熱硬化性樹脂組成物中の各成分のドメイン径は、それぞれ0.5~500μmであることが好ましく、1~300μmであることがより好ましく、10~200μmであることがさらに好ましい。各成分のドメイン径が0.5~500μmであることにより、保管安定性が十分に確保されるとともに、熱硬化性樹脂を溶融後、硬化させた時にムラの少ない硬化物となりやすい。
[0037]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、150℃での硬化時間x(分)と、40℃環境で1週間保管時の硬化反応進行率y(%)との積が、以下の(式1)を満たすことが好ましく、(式2)を満たすことが更に好ましい。
[0038]
 0≦x×y≦40・・・(式1)
 0≦x×y≦15・・・(式2)
 (式1)および(式2)において、xは0.1≦x≦300を満たす。また、yは0≦y≦50を満たす。
[0039]
 なお、150℃での硬化時間x(分)は、後述する誘電測定装置を用いて測定したイオン粘度の値から算出されるキュアインデックスの値が90%を越える時の時間を硬化時間として得る。また、硬化反応進行率y(%)は、示差走査熱量測定(DSC)を使用し、調製直後の樹脂組成物の硬化反応による発熱量と、40℃環境で1週間保管後の樹脂組成物の硬化反応による発熱量を測定し、後述する(式5)を用いることで、それらの比率から算出する。
[0040]
 (式1)および(式2)におけるx×yは、熱硬化性樹脂組成物の高速硬化性と保管安定性のバランスを示す指標である。一般的に熱硬化性樹脂の高速硬化性と保管安定性はトレードオフの関係となるが、前記したとおり、本発明の熱硬化性樹脂組成物では、高速硬化性と保管安定性のバランスに優れた樹脂組成物を得ることができる。
[0041]
 上記の高速硬化性と保管安定性を有する観点で、本発明の熱硬化性樹脂組成物は[C]触媒を有し、繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物100質量%に対してその含有量が1~30質量%であることが好ましく、1~20質量%であることがより好ましく、2~15質量%であることがさらに好ましい。[C]触媒の含有量の範囲は、上記の含有量の範囲の上限と下限のいずれを組み合わせた範囲であってもよい。[C]触媒の含有量1~30質量%であることにより、熱硬化性樹脂組成物は良好な高速硬化性を有し、かつ優れた保管安定性を維持しやすい。
[0042]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、[A]主剤中の活性基のモル数に対する[B]硬化剤の活性基のモル数の割合が0.5~2.0の範囲であることが好ましく、0.8~1.6の範囲であることがより好ましい。[A]主剤中の活性基のモル数に対する[B]硬化剤の活性基のモル数の割合を0.5~2.0とすることにより、繊維強化複合材料とした時の力学特性および耐熱性が優れたものとなりやすい。
[0043]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物の第一の態様は、比重が0.90~1.30であり、0.95~1.25であることが好ましく、1.00~1.20であることがより好ましい。比重の範囲は、上記比重の範囲の上限と下限のいずれを組み合わせた範囲であってもよい。比重が0.90未満となる場合、熱硬化性樹脂組成物中に空隙が多く存在し、樹脂が脆くなり、取扱い性が悪くなるとともに、繊維強化複合材料とした時に内部にボイドを多く含む成形体となりやすい。一方、比重が1.30を超える場合、熱硬化性樹脂組成物の密度が高すぎ、溶融しづらくなる場合がある。
[0044]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物の第二の態様は、空隙率が0.1~25%であり、0.1~20%であることが好ましく、0.1~16%であることがより好ましい。空隙率は、熱硬化性樹脂組成物の比重と実質的に空隙のない熱硬化性樹脂組成物の比重の値から以下の(式3)で算出する。実質的に空隙のない熱硬化性樹脂組成物の比重は、熱硬化性組成物中に含まれる成分単体の比重を、配合比の体積分率で足し合わせることにより算出する。
[0045]
 空隙率(%)=100-(熱硬化性樹脂組成物の比重)/(空隙のない熱硬化性樹脂組成物の比重)×100・・・(式3)
 空隙率が0.1~25%であることにより、十分な常温での取扱い性を有しながら、強化繊維基材への含浸性にも優れる。
[0046]
 上記のような、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、例えば、[A]主剤、並びに、[B]硬化剤及び/又は[C]触媒の各成分の粉末状原料を十分に混合した後、加圧し、各成分を圧着することにより製造することができる。この時の加圧の圧力は5~100MPaであることが好ましく、10~50MPaであることがより好ましい。圧力の範囲は、上記圧力の範囲の上限と下限のいずれを組み合わせた範囲であってもよい。圧力を5~100MPaの範囲内とすることにより、各成分が十分に圧着しやすくなり、樹脂組成物の取扱い性が向上しやすくなる。
[0047]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物の形態は、特に限定されるものではないが、塊状、棒状、板状、フィルム、繊維、顆粒など種々の形態のものを使用することができる。特に、強化繊維への含浸性および取り扱い性の観点から、塊状、板状または顆粒であることが好ましい。
[0048]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、長径が1.5mm以上であることが好ましく、長径が3mm以上であることがより好ましく、長径が10mm以上であることが更に好ましい。長径が1.5mm未満である場合、樹脂組成物を加熱溶融し、繊維強化基材へ含浸させる際に空気を含みやすく、樹脂を硬化させた際に成形体内部のボイド量が多くなり、強度特性が低下しやすい。なお、長径とは、該熱硬化性樹脂組成物の中で最も長い部分の長さを指す。長径の上限については特に限定されないが、通常1m(1000mm)程度である。
[0049]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物100質量%において、全ての結晶性成分の含有量が70質量%以上100質量%以下であることが好ましく、80質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、90質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。ここで、全ての結晶性成分の含有量とは、複数の異なる結晶性成分を含む場合には、それらの合計の含有量を意味する。結晶性成分の合計の含有量が70質量%以上となることで、熱硬化性樹脂組成物の室温での取り扱い性と、高温に加熱した時の強化繊維への含浸性を両立しやすくなる。
[0050]
 ここで結晶性成分とは、常温以上の温度に融点を有する、常温で固体の成分のことである。融点は、後述するように、JIS K 7121:2012に従って、示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。
[0051]
 常温で固体である成分には、ガラス状固形成分もあるが、ガラス状固形成分は高温に加熱しても粘度が低下しにくいため、高温に加熱した時の強化繊維への含浸性に劣る。なお、ガラス状固形成分とは、常温以上の温度に融点を有さず、ガラス転移温度を有する成分である。ガラス転移温度は、JIS K 7121:1987に従って、示差走査熱量測定(DSC)により求めたものをいう。ガラス転移温度の測定を行う試料をアルミサンプルパンに採取し、窒素雰囲気下において、40℃/minの昇温速度で測定を行う。こうして得られるDSC曲線におけるベースラインが吸熱側にシフトする領域の変位の中間点をガラス転移温度として採用する。
[0052]
 また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物100質量%において、含有量が10質量%以上である結晶性成分が複数存在し、該結晶性成分の中で、融点が最も高い結晶性成分の融点と、融点が最も低い結晶性成分の融点との差が60℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、40℃以下であることがさらに好ましい。結晶性成分間の融点の差を60℃以下とすることにより、該当組成物を加熱、加圧した時に、各成分が同時に溶融し始めやすく、得られる硬化物が均一な組成となりやすい。
[0053]
 なお、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、他の成分を含んでいても良い。
[0054]
 本発明において、ドライ強化繊維には、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維およびボロン繊維等、種々の有機および無機繊維が用いられる。中でも、軽量でありながら、強度や、弾性率等の力学物性が優れる繊維強化複合材料が得られるという理由から、炭素繊維が好適に用いられる。
[0055]
 なお、本発明において、ドライ強化繊維とは、強化繊維にマトリックス樹脂が含浸していない状態の強化繊維を指す。したがって、本発明の繊維強化複合材料用プリフォームは、マトリックス樹脂が強化繊維に含浸されたプリプレグとは異なるものである。ただし、本発明におけるドライ強化繊維は、少量のバインダーが含浸していてもかまわない。なお、バインダーとは、積層した強化繊維基材の層間をバインドする成分である。また、後述する本発明の繊維強化複合材料においては、樹脂組成物が含浸されている状態であるから、ドライ強化繊維とは言わない。
[0056]
 強化繊維は、短繊維および連続繊維いずれであってもよく、両者を併用することもできる。高い繊維体積含有率(高Vf)の繊維強化複合材料を得るためには、連続繊維が好ましく用いられる。
[0057]
 本発明において、ドライ強化繊維はストランドの形態で用いられることもあるが、強化繊維をマット、織物、ニット、ブレイド、一方向シート等の形態に加工したドライ強化繊維基材が好適に用いられる。中でも、高Vfの繊維強化複合材料が得やすく、かつ取扱い性に優れた織物が好適に用いられる。
[0058]
 繊維強化複合材料とした時に高い比強度、あるいは比弾性率をもつためには、その強化繊維の繊維体積含有率Vfが、好ましくは30~85%であり、より好ましくは35~70%の範囲内である。繊維体積含有率Vfの範囲は、上記の繊維体積含有率Vfの範囲の上限と下限のいずれを組み合わせた範囲であってもよい。ここでいう、繊維強化複合材料の繊維体積含有率Vfとは、ASTM D3171(1999)に準拠して、下記により定義され、測定される値である。つまり、強化繊維に対して熱硬化性樹脂組成物を含浸させ、当該組成物を硬化した後の状態で測定される値をいう。よって繊維強化複合材料の繊維体積含有率Vfの測定は、繊維強化複合材料の厚みhから、下記の(式4)を用いて表すことができる。
[0059]
 ・繊維体積含有率Vf(%)=(Af×N)/(ρf×h)/10 ・・・(式4)
 ・Af:繊維基材1枚・1m 当たりの質量(g/m
 ・N:繊維基材の積層枚数(枚)
 ・ρf:強化繊維の密度(g/cm
 ・h:繊維強化複合材料(試験片)の厚み(mm)
 強化繊維基材1枚・1m 当たりの質量Afや、繊維基材の積層枚数Nおよび強化繊維の密度ρfが明らかでない場合は、JIS K 7075(1991)に基づく燃焼法、硝酸分解法および硫酸分解法のいずれかにより、繊維強化複合材料の繊維体積含有率を測定することができるが、この中では硫酸分解法を優先的に選択できる。この場合に用いられる強化繊維の密度は、JIS R 7603(1999)に基づき測定した値を用いる。
[0060]
 具体的な繊維強化複合材料の厚みhの測定方法としては、繊維強化複合材料の厚みを正しく測定できる方法であり、JIS K 7072(1991)に記載されているように、JIS B 7502(1994)に規定のマイクロメーターまたはこれと同等以上の精度をもつもので測定する。繊維強化複合材料が複雑な形状をしていて、測定ができない場合には、繊維強化複合材料からサンプル(測定用としてのある程度の形と大きさを有しているサンプル)を切り出して、測定することができる。
[0061]
 本発明の繊維強化複合材料用プリフォームは、本発明の熱硬化性樹脂組成物とドライ強化繊維基材とを有する。該繊維強化複合材料用プリフォームは、熱硬化性樹脂組成物がドライ強化繊維基材の表面に、直接もしくは間接的に接触した形態である。例えば、ドライ強化繊維基材の上に該熱硬化性樹脂組成物が乗った形態であってもよいし、熱硬化性樹脂組成物の上にドライ強化繊維基材が乗った形態であってもよいし、これらのいずれかが積層された形態であってもよい。また、熱硬化性樹脂組成物とドライ強化繊維基材が、フィルムや不織布などを介して間接的に接触した形態であっても良い。
[0062]
 本発明の繊維強化複合材料は、本発明の熱硬化性樹脂組成物が強化繊維基材に含浸されてなる成形体であって、該成形体において熱硬化性樹脂組成物が硬化物として存在するものである。例えば、本発明の熱硬化性樹脂組成物をドライ強化繊維基材に含浸させ、成形し、当該組成物を硬化させることで、本発明の繊維強化複合材料が得られる。
[0063]
 本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、本発明の熱硬化性樹脂組成物を溶融し、ドライ強化繊維基材に含浸させながら成形する成形工程、及び、該ドライ強化繊維基材に含浸され、成形された該熱硬化性樹脂組成物を硬化させる硬化工程を有する。
[0064]
 本発明の繊維強化複合材料の製造方法においては、プレス成形法やフィルムバッグ成形法、オートクレーブ成形法など種々の方法を用いることができる。これらのうち、生産性や成形体の形状自由度という観点から、特にプレス成形法が好適に用いられる。
[0065]
 フィルムバッグ成形法は、剛体オープンモールドと可撓性のフィルムの間に熱硬化性樹脂組成物と強化繊維から構成されるプリフォームを配置し、内部を真空吸引して、大気圧を付与しつつ加熱成形する、あるいは、気体や液体により加圧しつつ加熱成形することができる。
[0066]
 プレス成形法の中の一例を用いて、本発明の繊維強化複合材料の製造方法について説明する。本発明の繊維強化複合材料は、例えば、特定温度に加熱した成形型内に、本発明の熱硬化性樹脂組成物とドライ強化繊維を有する繊維強化複合材料用プリフォームを配置した後、プレスで加圧・加熱することにより、樹脂組成物が溶融し、強化繊維基材に含浸した後、そのまま硬化することにより製造することができる。
[0067]
 プレス成形時の成形型の温度は、強化繊維基材への含浸性の点から、使用する樹脂組成物の複素粘度η が1×10 Pa・sまで低下する温度以上の温度とすることが好ましい。
実施例
[0068]
 以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明する。
[0069]
 <樹脂原料>
 各実施例の熱硬化性樹脂組成物を得るために、次の樹脂原料を用いた。表1~表3中の樹脂組成物の含有割合の単位は、特に断らない限り「質量部」を意味する。
[0070]
 1.主剤
 ・“jER”(登録商標)YX4000(三菱化学(株)製):結晶性ビフェニル型エポキシ樹脂、融点=105℃
 ・“jER”(登録商標)1004AF(三菱化学(株)製):ガラス状固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂、融点なし
 2.硬化剤
 ・“リカシッド”(登録商標)TH(新日本理化(株)製):1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸、融点=101℃
 ・無水フタル酸(関東化学(株)製):融点=131℃
 ・TS-G(四国化成(株)製):グリコールウリル骨格チオール化合物、融点=78℃
 3.触媒
 ・TPP(ケイ・アイ化成(株)製):トリフェニルホスフィン、融点=80℃
 ・2-メチルイミダゾール(関東化学(株)製):融点=142℃
 <熱硬化性樹脂組成物の調製>
 表1~表3に記載した樹脂原料を、それぞれハンマーミルにて、孔サイズ1mmのスクリーンを使用して粉砕した後、篩いを通すことで、粉末状原料を得た。また、10μm以下のさらに小さい粒子径の粉末状原料を得る場合にはジェットミルを使用して粉砕した。その後、得られた粉末状原料を用いて、表1~表3に記載のとおりの配合比で原料を十分に混合し、キャビティの長径が1.5mm、10mm、100mmである金型にキャビティ体積の70体積%の量を投入し、各実施例、比較例に記載の圧力で加圧することによって熱硬化性樹脂組成物を得た。
[0071]
 <結晶性成分の融点測定>
 使用した各樹脂原料の融点は、JIS K 7121:2012に従って、示差走査熱量測定(DSC)により測定した。測定装置としてはPyris1 DSC(Perkin Elmer製)を使用した。結晶性成分をアルミサンプルパンに採取し、窒素雰囲気下において、10℃/minの昇温速度で測定を行った。得られたDSC曲線において、成分の融解による吸熱ピークの頂点の温度を融点として測定した。
<熱硬化性樹脂組成物の長径測定>
 前記のように調製した熱硬化性樹脂組成物の長径をノギスによって測定した。5個の測定値の平均値をそのサンプルの長径とした。
<熱硬化性樹脂組成物の比重測定>
 前記のように調製した熱硬化性樹脂組成物の、常温においての空気中及び水中での重量を測定し、アルキメデス法によって比重を算出した。なお、測定するサンプルは、サンプルのサイズによらず、空気中の重量で約3gとなる量とした。5個の測定値の平均値をそのサンプルの比重とした。
<熱硬化性樹脂組成物の空隙率>
 前記のように調製した熱硬化性樹脂組成物中に含まれる各成分の比重をアルキメデス法によって算出した。算出した各成分の比重を熱硬化性樹脂組成物に含まれる配合比の体積分率で足し合わせることにより、実質的に空隙のない熱硬化性樹脂組成物の比重を算出した。得られた比重から、前記した(式3)式を用いて熱硬化性樹脂組成物の空隙率を算出した。
<熱硬化性樹脂組成物のドメイン径測定>
 前記のように調製した熱硬化性樹脂組成物を試料として、試料表面の赤外分光(全反射測定法)により、各成分特有の赤外吸収のピーク強度から二次元の化学組成マッピングを得た。得られた二次元の化学組成マッピングにおいて、各成分の赤外吸収ピーク強度が連続的に最大値の1/3以上となる範囲をその成分のドメインと見なし、マッピング図に引いた任意のX軸方向の直線上でのドメインの幅を計測した。ドメイン幅を100カ所計測し、その平均値をドメイン径として採用した。
<熱硬化性樹脂組成物の粘度測定>
 前記のように調製した熱硬化性樹脂組成物を試料として、動的粘弾性測定により測定した。測定装置にはARES-G2(TA Instruments社製)を使用した。試料を8mmのパラレルプレートにセットし、0.5Hzの牽引周期を加え、25℃での複素粘度η を測定した。
<熱硬化性樹脂組成物の150℃硬化時間xの測定>
 前記のように調製した熱硬化性樹脂組成物の高速硬化性確認のため、150℃加熱時の硬化時間を誘電測定により確認した。誘電測定装置として、Holometrix―Micromet社製のMDE-10キュアモニターを使用した。TMS-1インチ型センサーを下面に埋め込んだプログラマブルミニプレスMP2000の下面に内径32mm、厚さ3mmのバイトン製Oリングを設置し、プレスの温度を150℃に設定し、Oリングの内側に樹脂組成物をセット、プレスを閉じ、樹脂組成物のイオン粘度の時間変化を追跡した。誘電測定は1、10、100、1000、および10000Hzの各周波数で行い、付属のソフトウェアを用いて、周波数非依存のイオン粘度の対数Log(α)を得た。
[0072]
 次に、(式5)によりキュアインデックスを求め、キュアインデックスが90%に到達する時間を150℃硬化時間x(分)として算出した。
[0073]
 キュアインデックス={log(αt)-log(αmin)}/{log(αmax)-log(αmin)}×100 ・・・(式5)
  キュアインデックス:(単位:%)
  αt:時間tにおけるイオン粘度(単位:Ω・cm)
  αmin:イオン粘度の最小値(単位:Ω・cm)
  αmax:イオン粘度の最大値(単位:Ω・cm)。
<熱硬化性樹脂組成物の40℃・1週間保管時反応進行率yの測定>
 前記のように調製した熱硬化性樹脂組成物の保管安定性確認のため、40℃環境で1週間保管後の硬化反応進行率を測定した。測定には、示差走査熱量測定(DSC)を使用した。調製直後の樹脂組成物の硬化反応による発熱量(E )、40℃に設定した熱風オーブン内で1週間保管後の樹脂組成物の硬化反応による発熱量(E )を測定した。以下の(式6)により、40℃・1週間反応進行率y(%)を算出した。
[0074]
 反応進行率y=(E -E )/E ×100 ・・・(式6)
<熱硬化性樹脂組成物の室温での取り扱い性>
 前記のように調製した熱硬化性樹脂組成物の室温での取り扱い性を次の3段階で比較評価した。熱硬化性樹脂組成物を手で持ち上げた際に、破壊、変形がないものを「A」、一部欠けたり、僅かに変形があるものを「B」、持ち上げた際に容易に割れたり変形してしまうものを「C」とした。
[0075]
 <繊維強化複合材料の作製>
 下記のプレス成形法によって繊維強化複合材料を製造した。350mm×700mm×2mmの板状キャビティを有し、所定の温度(成形温度)に保持した金型内にて、強化繊維として炭素繊維織物CO6343(炭素繊維:T300-3K、組織:平織、目付:198g/m 、東レ(株)製)を9枚積層した基材の上に、前記のように調製した熱硬化性樹脂組成物を約290gをセットした。その後、プレス装置で型締めを行った。この時、金型内を真空ポンプにより大気圧-0.1MPaに減圧した後、最大4MPaの圧力でプレスした。金型温度は、使用する熱硬化性樹脂組成物中に含まれる結晶性成分の内で最も高い融点を有する成分の融点よりも10℃高い温度に設定した。プレス開始後30分で金型を開き、脱型して、繊維強化複合材料を得た。
[0076]
 <強化繊維への樹脂含浸性>
 前記の繊維強化複合材料を作製する際の樹脂の強化繊維への含浸性について、繊維強化複合材料中のボイド量を基準に次の3段階で比較評価した。
[0077]
 繊維強化複合材料中のボイド量が1%未満と、ボイドが実質的に存在しないものを「A」、繊維強化複合材料の外観に樹脂未含浸部分は認められないが、繊維強化複合材料中のボイド量が1%以上3%未満かつ維強化複合材料の外観に樹脂未含浸部分が認められないものを「B」、繊維強化複合材料中のボイド量が3%以上、または外観に樹脂未含浸部分が認められるものを「C」とした。
[0078]
 上記繊維強化複合材料中のボイド量は、平滑に研磨した繊維強化複合材料にて任意に選定した断面を平滑に研磨した面を落斜型光学顕微鏡で観察し、繊維強化複合材料中のボイドの面積率から算出した。
[0079]
 <繊維強化複合材料の組成ムラ>
 前記のようにして得られた繊維強化複合材料の組成ムラについて、次の3段階で比較評価した。
[0080]
 得られた繊維強化複合材料から均一に17箇所以上の試料を切り出してJIS K 7121:2012に従って、示差走査熱量測定(DSC)により繊維強化複合材料のガラス転移温度(Tg)を測定した結果、測定結果の最大値と最小値の差が15℃未満であるものを「A」、15℃以上を30℃未満であるものを「B」、30℃以上であるものを「C」とした。
[0081]
 (実施例1)
 表1に示したように、結晶性ビフェニル型エポキシ樹脂「“jER”(登録商標)YX4000」100質量部、1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸「“リカシッド”(登録商標)TH」83質量部、トリフェニルホスフィン「TPP」5質量部のそれぞれの粉末状原料を十分に混合し、直径100mmの円状の金型に適量投入後、5MPaの圧力で加圧することにより、板状の熱硬化性樹脂組成物を調製した。この熱硬化性樹脂組成物は、25℃での複素粘度η が2.3×10 8Pa・sであり、手で持ち上げた際に、一部欠けが生じたが、十分な取り扱い性を有するものであった。また、この熱硬化性樹脂組成物は、成分のドメイン径は87μmであった。この熱硬化性樹脂組成物は、高速硬化性と保管安定性のバランスに優れるものであった。
[0082]
 上記のように作製した樹脂組成物5個(計290g)とドライ強化繊維基材を用いて作製した繊維強化複合材料は、内部にボイドを若干含むものの、表面に未含浸部は無かった。したがって、熱硬化性樹脂組成物は十分な含浸性を示していた。繊維強化複合材料から均一に17箇所試料を切り出し、Tgを測定した結果、位置によるムラはほぼなく、均一な繊維強化複合材料が得られた。
[0083]
 (実施例2~4)
 熱硬化性樹脂組成物を調製する際の加圧する圧力を、それぞれ10MPa、30MPa、50MPaとしたこと以外は、実施例1と同様に実施した。いずれの熱硬化性樹脂組成物とも、25℃での複素粘度η が2.3×10 8Pa・sであり、手で持ち上げた際に欠けることはなく、取り扱い性に優れるものであった。また、高速硬化性と保管安定性のバランスに優れるものであった。これらの熱硬化性樹脂組成物とドライ強化繊維基材を用いて作製した繊維強化複合材料は、内部にボイドがほぼなく、ムラもほぼない均一な繊維強化複合材料が得られた。このような繊維強化複合材料が得られたことから、熱硬化性樹脂組成物が含浸性に優れていることが示された。
[0084]
 (実施例5)
 使用する金型の直径が1.5mmのものを用い、顆粒状の熱硬化性樹脂組成物としたこと以外は、実施例3と同様に実施した。この熱硬化性樹脂組成物は、25℃での複素粘度η が2.3×10 8Pa・sであり、手で持ち上げた際にも欠けることはなく、取り扱い性に優れていた。また、高速硬化性と保管安定性のバランスに優れるものであった。上記熱硬化性樹脂組成物290g分とドライ強化繊維基材を用いて作製した繊維強化複合材料は、内部にボイドを若干含むものの、表面に未含浸部は無く、ムラがほぼない均一な繊維強化複合材料が得られた。このような繊維強化複合材料が得られたことから、熱硬化性樹脂組成物が十分な含浸性を有することが示された。
[0085]
 (実施例6)
 使用する金型の直径が10mmのものを用い、塊状の熱硬化性樹脂組成物としたこと以外は、実施例3と同様に実施した。この熱硬化性樹脂組成物は、25℃での複素粘度η が2.3×10 8Pa・sであり、手で持ち上げた際にも欠けることはなく、取り扱い性に優れていた。また、高速硬化性と保管安定性のバランスに優れるものであった。上記熱硬化性樹脂組成物290g分とドライ強化繊維基材を用いて作製した繊維強化複合材料は、内部にボイドがほぼなく、含浸性に優れており、ムラがほぼない均一な繊維強化複合材料が得られた。このような繊維強化複合材料が得られたことから、熱硬化性樹脂組成物が十分な含浸性を有することが示された。
[0086]
 (実施例7)
 表2に示したように、使用する触媒を、2-メチルイミダゾール0.5質量部としたこと以外は、実施例2と同様に実施した。この熱硬化性樹脂組成物は、25℃での複素粘度η が2.2×10 8Pa・sであり、手で持ち上げた際に欠けることはなく、取り扱い性に優れるものであった。また、高速硬化性がやや低下するものの、十分な高速硬化性と保管安定性のバランスを有するものであった。これらの熱硬化性樹脂組成物とドライ強化繊維基材を用いて作製した繊維強化複合材料は、内部にボイドがほぼなく、ムラもほぼない均一な繊維強化複合材料が得られた。このような繊維強化複合材料が得られたことから、熱硬化性樹脂組成物が含浸性に優れていることが示された。
[0087]
 (実施例8、9)
 使用する触媒2-メチルイミダゾールの配合量を、それぞれ1質量部、15質量部としたこと以外は、実施例7と同様に実施した。これらの熱硬化性樹脂組成物は、25℃での複素粘度η が2.2×10 8Pa・sであり、手で持ち上げた際に欠けることはなく、取り扱い性に優れるものであった。また、十分な高速硬化性と保管安定性のバランスを有するものであった。これらの熱硬化性樹脂組成物とドライ強化繊維基材を用いて作製した繊維強化複合材料は、内部にボイドがほぼなく、ムラもほぼない均一な繊維強化複合材料が得られた。このような繊維強化複合材料が得られたことから、熱硬化性樹脂組成物が含浸性に優れていることが示された。
[0088]
 (実施例10)
 使用する触媒2-メチルイミダゾールの配合量を、30質量部としたこと以外は、実施例7と同様に実施した。この熱硬化性樹脂組成物は、25℃での複素粘度η が2.2×10 8Pa・sであり、手で持ち上げた際に欠けることはなく、取り扱い性に優れるものであった。また、十分な高速硬化性と保管安定性のバランスを有するものであった。これらの熱硬化性樹脂組成物とドライ強化繊維基材を用いて作製した繊維強化複合材料は、内部にボイドを若干含んだが、ムラもほぼない均一な繊維強化複合材料が得られた。このような繊維強化複合材料が得られたことから、熱硬化性樹脂組成物が十分な含浸性を有することが示された。
[0089]
 (実施例11)
 表2に示したように、結晶性ビフェニル型エポキシ樹脂「“jER”(登録商標)YX4000」50質量部、ガラス状固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂「“jER”(登録商標)1004AF」50質量部、1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸「“リカシッド”(登録商標)TH」49質量部、トリフェニルホスフィン「TPP」5質量部のそれぞれの粉末状原料を十分に混合し、実施例3と同様に実施した。この熱硬化性樹脂組成物は、25℃での複素粘度η が1.7×10 8Pa・sであり、手で持ち上げた際に、欠けることなく、十分な取り扱い性を有するものであった。また、高速硬化性と保管安定性のバランスに優れるものであった。この熱硬化性樹脂組成物とドライ強化繊維基材を用いて作製した繊維強化複合材料は、内部にボイドを若干含むものの、表面に未含浸部は無かった。このような繊維強化複合材料が得られたことから、熱硬化性樹脂組成物が十分な含浸性を有することが示された。
[0090]
 (実施例12)
 使用する硬化剤を無水フタル酸80質量部としたこと以外は、実施例2と同様に実施した。この熱硬化性樹脂組成物は、25℃での複素粘度η が1.5×10 8Pa・sであり、手で持ち上げた際に欠けることはなく、取り扱い性に優れるものであった。また、十分な高速硬化性と保管安定性のバランスを有するものであった。この熱硬化性樹脂組成物とドライ強化繊維基材を用いて作製した繊維強化複合材料は、ムラもほぼない均一な繊維強化複合材料が得られた。このような繊維強化複合材料が得られたことから、熱硬化性樹脂組成物が含浸性に優れていることが示された。
[0091]
 (実施例13)
 使用する硬化剤をグリコールウリル骨格チオール化合物51質量部とし、触媒を除いたこと以外は、実施例3と同様に実施した。この熱硬化性樹脂組成物は、25℃での複素粘度η が1.0×10 8Pa・sであり、手で持ち上げた際に欠けることはなく、取り扱い性に優れるものであった。また、十分な高速硬化性と保管安定性のバランスを有するものであった。この熱硬化性樹脂組成物とドライ強化繊維基材を用いて作製した繊維強化複合材料は、内部にボイドを若干含んだが、十分に均一な繊維強化複合材料が得られた。
[0092]
 (実施例14~17)
 表3に示したように、ドメイン径が1μm、15μm、284μm、492μmとなるよう、粉末状原料のサイズを変更したこと以外は、実施例3と同様に実施した。いずれの熱硬化性樹脂組成物とも、25℃での複素粘度η が2.3×10 8Pa・sであり、手で持ち上げた際に欠けることはなく、取り扱い性に優れるものであった。また、高速硬化性と保管安定性のバランスに優れるものであった。これらの熱硬化性樹脂組成物とドライ強化繊維基材を用いて作製した繊維強化複合材料は、内部にボイドがほぼなく、ムラもほぼない均一な繊維強化複合材料が得られた。このような繊維強化複合材料が得られたことから、これらの熱硬化性樹脂組成物は含浸性に優れていることが示された。
[0093]
 (比較例1)
 熱硬化性樹脂組成物を調製する際の加圧する圧力を、1MPaとしたこと以外は、実施例1と同様に実施した。この熱硬化性樹脂組成物は、25℃での複素粘度η が2.3×10 8Pa・sであるが、手で持ち上げた際に容易に欠けてしまい、取り扱い性が不足するものであった。この熱硬化性樹脂組成物とドライ強化繊維基材を用いて作製した繊維強化複合材料は、ボイドを多く含む繊維強化複合材料となった。
[0094]
 (比較例2)
 熱硬化性樹脂組成物を調製する際に各成分の融点以上に加熱し、溶融・攪拌して、十分に相溶させた後、長径100mmとなる金型に適量投入後、冷却して熱硬化性樹脂組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様に実施した。この熱硬化性樹脂組成物は、25℃での複素粘度η が2.5×10 8Pa・sであり、取り扱い性に優れるものの、各成分が相溶しているため、保管安定性が不足するものであった。
[0095]
[表1]


[0096]
[表2]


[0097]
[表3]


産業上の利用可能性

[0098]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、高速硬化性と保管安定性のバランスに優れ、かつ、強化繊維基材への含浸性に優れるため、調整した樹脂を長期保管可能であり、プレス成形法などによって、より簡便に繊維強化複合材料を高い生産性で提供可能となる。これにより、特に自動車や航空機用途への繊維強化複合材料の適用が進み、これらの更なる軽量化による燃費向上、地球温暖化ガス排出削減への貢献が期待できる。

請求の範囲

[請求項1]
 [A]主剤、並びに、[B]硬化剤及び/又は[C]触媒の各成分のドメインを有し、
 比重が0.90~1.30かつ、
 25℃での動的粘弾性測定における複素粘度η が1×10 Pa・s以上である、繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物。
[請求項2]
 [A]主剤、並びに、[B]硬化剤及び/又は[C]触媒の各成分のドメインを有し、
 空隙率が0.1~25%かつ、
 25℃での動的粘弾性測定における複素粘度η が1×10 Pa・s以上である、繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物。
[請求項3]
 長径が1.5mm以上である、請求項1または2に記載の繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物。
[請求項4]
 150℃での硬化時間x(分)と、40℃環境で1週間保管時の硬化反応進行率y(%)との積が、以下の(式1)を満たす、請求項1~3のいずれかに記載の繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物。
0≦x×y≦40・・・(式1)
((式1)において、xは0.1≦x≦300を満たす。また、yは0≦y≦50を満たす。)
[請求項5]
 [C]触媒を有し、繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物100質量%に対してその含有量が1~30質量%である、請求項1~4のいずれかに記載の繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物。
[請求項6]
 請求項1~5のいずれかに記載の繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物とドライ強化繊維基材とを有する、繊維強化複合材料用プリフォーム。
[請求項7]
 請求項1~5のいずれかに記載の繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物が強化繊維基材に含浸されてなる成形体であって、
 該成形体において該熱硬化性樹脂組成物が硬化物として存在する、繊維強化複合材料。
[請求項8]
 請求項1~5のいずれかに記載の繊維強化複合材料用熱硬化性樹脂組成物を溶融し、ドライ強化繊維基材に含浸させながら成形する成形工程、及び、
 該ドライ強化繊維基材に含浸され、成形された該熱硬化性樹脂組成物を硬化させる硬化工程を有する、繊維強化複合材料の製造方法。