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1. (WO2019064845) FLUIDE DE TRAITEMENT DE LA VIANDE ET PROCÉDÉ DE FABRICATION DE PRODUIT ALIMENTAIRE CARNÉ TRAITÉ
Document

明 細 書

発明の名称 食肉加工用液および食肉加工食品の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008  

発明の効果

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042  

実施例

0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : 食肉加工用液および食肉加工食品の製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、食肉加工用液および食肉加工食品の製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 食肉加工食品の品質を改善しようとする技術として、特許文献1および2に記載のものがある。
 特許文献1(特開2006-67998号公報)には、オリゴ糖と澱粉質原料とを含む肉類加工品用改良剤について記載されており、かかる肉類加工品用改良剤を肉類に添加することにより、個々の成分の相乗作用によって、加熱調理後の歩留と風味、食感に優れ、更には加熱調理後、冷凍やチルド状態での保存を経た後の、電子レンジ加熱などの再加熱の後でも良好な風味と食感を損なうことがない肉類加工品を提供することができるとされている。
[0003]
 特許文献2(特開平9-308462号公報)には、ヨウ素染色されうる程度に限定分解された冷水可溶性澱粉と結晶構造を持つβ澱粉とをそれぞれ特定量含有する食肉加工ピックル用澱粉について記載されており、かかる澱粉を食肉加工ピックル用として使用するとジューシーな食感を有する製品ができるとされている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2006-67998号公報
特許文献2 : 特開平9-308462号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、近年、食肉加工食品の食感についての要求特性は高まり、上述した技術を用いた場合、食肉加工用液の取り扱い時の作業性に優れるとともに、食肉加工食品をジューシーな食感とすることができる食肉加工用液を得るという点において、改善の余地があることが本発明者により見出された。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明によれば、
 以下の成分(A)~(C):
 (A)冷水膨潤度が1超8未満である澱粉、
 (B)冷水膨潤度が8以上40以下である澱粉、および
 (C)前記成分(B)以外の澱粉およびデキストリンからなる群から選択される1種または2種以上
 を含み、
 前記成分(A)のデキストロース当量が、乾物換算で0超0.8未満であり、
 前記成分(C)のデキストロース当量が、乾物換算で0.8以上10以下である、食肉加工用液が提供される。
[0007]
 また、本発明によれば、上記本発明における食肉加工用液を食肉に適用する工程を含む、食肉加工食品の製造方法が提供される。
 また、本発明によれば、上記本発明における食肉加工食品の製造方法により製造される、食肉加工食品が提供される。
[0008]
 なお、これらの各構成の任意の組み合わせや、本発明の表現を方法、装置等の間で変換したものもまた本発明の態様として有効である。
 たとえば、本発明には、上記本発明における食肉加工食品を食肉に適用する工程を含む、食肉加工食品の改良方法も包含される。

発明の効果

[0009]
 本発明によれば、食肉加工用液の取り扱い時の作業性に優れるとともに、食肉加工食品をジューシーな食感とすることができる食肉加工用液を提供することができる。

発明を実施するための形態

[0010]
 以下、本発明の実施の形態について、各成分の具体例を挙げて説明する。なお、各成分はいずれも単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0011]
 (食肉加工用液)
 本実施形態において、食肉加工用液は、以下の成分(A)~(C)を含む。
 (A)冷水膨潤度が1超8未満である澱粉であって、当該成分(A)のデキストロース当量が乾物換算で0超0.8未満
 (B)冷水膨潤度が8以上40以下である澱粉
 (C)前記成分(B)以外の澱粉およびデキストリンからなる群から選択される1種または2種以上であって、当該成分(C)のデキストロース当量が0.8以上10以下
 また、本実施形態における食肉加工用液は、食肉、具体的には、牛、豚、羊、山羊等の哺乳動物の肉;鶏、アヒル、七面鳥、ガチョウ、鴨等の鳥類の肉;ワニ等の爬虫類;カエル等の両生類;魚、エビ等の魚介類の肉等に適用される食肉加工用液である。
[0012]
 (成分(A))
 成分(A)は、冷水膨潤度が1超8未満である澱粉である。そして、成分(A)のデキストロース当量は、乾物換算で0超0.8未満である。
 ここで、成分(A)および後述する成分(B)の冷水膨潤度は、「澱粉・関連糖質実験法」、279-280頁、1986年、学会出版センターに記載される方法で測定することができる。
 具体的には、試料を乾物換算で1g精秤し、遠心管にとり、メチルアルコール1mLで含浸させ、ガラス棒で撹拌しながら、25℃の純水を加え正確に50mLとする。ときどき振盪し、25℃で20分間放置する。25℃で30分間、4500rpmで遠心分離し、上清を傾斜して、秤量瓶にとり、蒸発乾固させ、110℃にて3時間減圧乾燥し、秤量し溶解分を求める。沈澱部分の質量をもとめ、次式で溶解度、冷水膨潤度を算出する。
溶解度(S)db%=上清乾燥質量(mg)/1000×100
冷水膨潤度=沈澱部質量(mg)/(1000×(100-S)/100)
[0013]
また、成分(A)および後述の成分(C)のデキストロース当量は、DEとも呼ばれ、代表的な還元糖であるブドウ糖の還元力を100とした、還元力の相対的な尺度であり、澱粉類の分解度合いの指標となる。澱粉およびデキストリンのデキストロース当量は、「澱粉・関連糖質実験法」、41-42頁、1986年、学会出版センターに記載される方法で測定することができる。
(Somogyi銅試薬)
 無水Na 2CO 324gとロッシェル塩12gを250mLの蒸留水に溶解する。この溶液に10%結晶硫酸銅(CuSO 4・5H 2O)水溶液40mLとNaHCO 316gを加えて溶解する。無水Na SO 18gを500mLの沸騰水に溶解する。冷却後、2つの溶液を合わせて、蒸留水を加えて1Lにする。35℃で1週間放置後濾過をして、褐色瓶に室温で保存する。
(Nelson試薬)
 モリブデン酸アンモニウム25gを450mLの蒸留水に溶解し、濃硫酸21mLを加える。ヒ酸二ナトリウム(Na 2HAsO 4・7H 2O)3gを25mLの蒸留水に溶解する。2つの溶液を合わせて、蒸留水を加えて1Lにする。35℃に24時間放置後、褐色瓶に室温で保存する。
(測定方法)
 乾物換算で0.035gの試料をジメチルスルホキシド4mLに分散させて、沸騰浴槽内で10分間静置し、試料溶液を得る。口径10~12mmの小試験管に試料溶液0.25mLにSomogyi銅試薬0.25mLを加え、ガラス玉で蓋をして、正確に20分間沸騰湯浴中で加熱する。流水中で冷却後、Nelson試薬0.5mLを加えて良く混合する。15分間放置後蒸留水4mLを加えて、500nmで吸光度を測定する。次に、ブドウ糖溶液を用いて、500nmにおける吸光度と還元糖濃度の関係を示す検量線を作成し、この検量線から試料中の還元糖質量を求め、以下の式に基づきDEを算出する。
DE=試料中の還元糖質量g/0.035g×100
[0014]
 成分(A)の冷水膨潤度は、食肉加工食品のジューシーな食感を向上させる観点から1超8未満であり、好ましくは1超4以下であり、より好ましくは2以上3以下である。
[0015]
 成分(A)のデキストロース当量は、食肉加工食品のジューシーな食感を向上させる観点から、乾物換算で0超0.8未満であり、好ましくは0.1以上0.7以下、さらに好ましくは0.2以上0.6以下である。
[0016]
 成分(A)としては、冷水膨潤度およびデキストロース当量が所定の範囲に収まる澱粉であれば制限はなく、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、コムギ澱粉、コメ澱粉、サゴ澱粉、甘藷澱粉、緑豆澱粉、エンドウ豆澱粉およびこれらの化工澱粉、たとえばアセチル化;エーテル化;リン酸架橋化、アジピン酸架橋化等の架橋化を単独もしくは組み合わせたもの等が挙げられる。
 成分(A)は、食肉加工用液中の澱粉の沈降を抑制して、食肉加工用液の取り扱い時の作業性を高める観点、および、食肉加工食品のジューシーな食感を向上させる観点から、好ましくはワキシーコーンスターチ、コーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉およびコメ澱粉からなる群から選択される1種または2種以上であり、より好ましくはワキシーコーンスターチおよびコメ澱粉からなる群から選択される1種または2種である。
[0017]
 食肉加工用液中の成分(A)の含有量は、食肉加工用液中の澱粉の沈降を抑制して、食肉加工用液の取り扱い時の作業性を高める観点、食肉加工食品の歩留を向上させる観点、食肉加工食品のベタツキを抑制する観点、および、食肉加工食品のジューシーな食感を向上させる観点から、食肉加工用液全体に対して好ましくは0.8質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上、さらにより好ましくは6質量%以上である。
 また、食肉加工食品のジューシーな食感を向上させる観点から、食肉加工用液中の成分(A)の含有量は、好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは22質量%以下、さらにより好ましくは18質量%以下である。
[0018]
 (成分(B))
 成分(B)は、冷水膨潤度が8以上40以下の澱粉である。ここで、冷水膨潤度が8以上40以下の澱粉としては、たとえばジェットクッカー処理、ドラムドライヤー処理、エクストルーダー処理等を施した澱粉が挙げられる。
[0019]
 成分(B)の冷水膨潤度は、食肉加工用液中の澱粉の沈降を抑制して、食肉加工用液の取り扱い時の作業性を高める観点および食肉加工食品のジューシーな食感を向上させる観点から、8以上であり、好ましくは9以上であり、より好ましくは10以上である。
 また、成分(B)の冷水膨潤度の上限は食肉加工食品のベタツキを抑制する観点から、40以下であり、好ましくは35以下である。
[0020]
 成分(B)は、α化澱粉が好ましい。α化澱粉の原料澱粉に制限はなく、たとえばコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、コムギ澱粉、コメ澱粉、サゴ澱粉、甘藷澱粉、緑豆澱粉、エンドウ豆澱粉およびこれらの化工澱粉、たとえばアセチル化、エーテル化、架橋化を単独もしくは組み合わせたもの等が挙げられる。
 成分(B)は、食肉加工用液中の澱粉の沈降を抑制して、食肉加工用液の取り扱い時の作業性を高める観点、および、食肉加工食品のジューシーな食感を向上させる観点から、好ましくはワキシーコーンスターチ、コーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉およびこれらの架橋澱粉の、α化物からなるからなる群から選択される1種または2種以上であり、より好ましくはα化ワキシーコーンスターチである。
 ここで、上記架橋澱粉には、アセチル化架橋澱粉を含む。
[0021]
 食肉加工用液中の成分(B)の含有量は、食肉加工用液中の澱粉の沈降を抑制して、食肉加工用液の取り扱い時の作業性を高める観点から、食肉加工用液全体に対して好ましくは0.08質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.15質量%以上、さらにより好ましくは0.25質量%以上である。
 また、食肉加工食品のベタツキを抑制する観点から、食肉加工用液中の成分(B)の含有量は、好ましくは6質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらにより好ましくは1質量%以下である。
[0022]
(成分(C))
 成分(C)は、成分(B)以外の澱粉およびデキストリンからなる群から選択される1種または2種以上である。そして、成分(C)のデキストロース当量は、乾物換算で0.8以上10以下である。
[0023]
 成分(C)のデキストロース当量は、食肉加工用液中の澱粉の沈降を抑制して、食肉加工用液の取り扱い時の作業性を高める観点、および食肉加工食品のジューシーな食感を向上させる観点から、乾物換算で0.8以上であり、好ましくは0.9以上である。
 また、成分(C)のデキストロース当量は、食肉加工食品の製造歩留まりを向上させる観点から、乾物換算で10以下であり、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは5以下である。
[0024]
 食肉加工用液中の成分(C)の含有量は、食肉加工用液中の澱粉の沈降を抑制して、食肉加工用液の取り扱い時の作業性を高める観点から、食肉加工用液全体に対して好ましくは0.08質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.15質量%以上、さらにより好ましくは0.25質量%以上である。
 また、食肉加工食品のベタツキを抑制する観点、および食肉加工用液中の澱粉の沈降を抑制して、食肉加工用液の取り扱い時の作業性を高める観点から、食肉加工用液中の成分(C)の含有量は、好ましくは6質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、さらにより好ましくは2質量%以下である。
[0025]
 次に、食肉加工用液中の成分(A)~(C)の質量比について説明する。
 まず、食肉加工用液中の成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量の割合である((B)/(A))は、質量比で、食肉加工用液中の澱粉の沈降を抑制して、食肉加工用液の取り扱い時の作業性を高める観点から、好ましくは0.005以上であり、より好ましくは0.01以上、さらに好ましくは0.02以上、さらにより好ましくは0.03以上である。
 また、食肉加工食品のベタツキを抑制する観点から、上記質量比((B)/(A))は、好ましくは7以下であり、より好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下である。
[0026]
 また、食肉加工用液中の成分(C)の含有量に対する成分(B)の含有量の割合である((B)/(C))は、質量比で、食肉加工用液中の澱粉の沈降を抑制して、食肉加工用液の取り扱い時の作業性を高める観点から、好ましくは0.05以上であり、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.2以上である。
 また、食肉加工食品のベタツキを抑制する観点から、上記質量比((B)/(C))は、好ましくは5以下であり、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下、さらにより好ましくは0.3以下である。
[0027]
 食肉加工用液中の成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計は、食肉加工食品のジューシーな食感を向上させる観点から、食肉加工用液全体に対して好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは8質量%以上である。
 また、食肉加工用液中の澱粉の沈降を抑制して、食肉加工用液の取り扱い時の作業性を高める観点から、食肉加工用液中の成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計は、食肉加工用液全体に対して好ましくは47質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは24質量%以下、さらにより好ましくは21質量%以下である。
[0028]
 食肉加工用液は、成分(A)~(C)以外の成分を含んでもよい。具体的には、食肉加工用液は、さらに、以下の成分(D)を含むことが好ましい。
成分(D):デキストロース当量が、乾物換算で10超40以下である、デキストリンおよびオリゴ糖から選択される1種または2種以上。
[0029]
 成分(D)のデキストロース当量は、食肉加工食品のジューシーな食感を向上させる観点から、乾物換算で好ましくは10超であり、より好ましくは12以上である。
 また、成分(D)のデキストロース当量は、食肉加工用液中の澱粉の沈降を抑制して、食肉加工用液の取り扱い時の作業性を高める観点から、乾物換算で好ましくは40以下であり、より好ましくは38以下である。
[0030]
 食肉加工用液中の成分(D)の含有量は、食肉加工食品のジューシーな食感を向上させる観点から、食肉加工用液全体に対して好ましくは0.4質量%以上であり、より好ましくは0.6質量%以上、さらに好ましくは0.8質量%以上である。
 また、食肉加工用液中の澱粉の沈降を抑制して、食肉加工用液の取り扱い時の作業性を高める観点から、食肉加工用液中の成分(D)の含有量は、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1.2質量%以下である。
[0031]
 また、本実施形態において、食肉加工用液は、成分(A)~(D)以外の成分を含んでもよい。
 たとえば、食肉加工用液は水を含んでもよく、水の含有量は、たとえば食肉加工用液中の水以外の成分を除いた残部とすることができる。
 また、食肉加工用液中の水の含有量は、食肉加工食品のジューシーな食感を向上させる観点から、食肉加工用液全体に対してたとえば40質量%以上であり、好ましくは50質量%、より好ましくは53質量%以上である。
 また、食肉加工食品の歩留まりを向上させる観点から、食肉加工用液中の水の含有量は、たとえば98質量%以下であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
[0032]
 また、食肉加工用液は、上述した成分以外の成分を含んでもよく、たとえば、砂糖、食酢、酒、食塩、醤油、胡椒、グルタミン酸ナトリウム等の調味料;乳化剤;香料;酵素製剤、アルカリ製剤、リン酸塩、タンパク質素材等の食肉改良剤等の通常、食品に用いられる成分を含んでもよい。
[0033]
 本実施形態においては、食肉加工用液が成分(A)~(C)を含むため、食肉加工用液の取り扱い時の作業性に優れる。さらに具体的には、本実施形態における食肉加工用液は成分(A)~(C)を含むため、食肉加工用液の調製後の時間の経過に伴う澱粉の沈降を抑制することができる。このため、本実施形態の食肉加工用液は食肉への適用時の取り扱い性および作業性に優れたものである。
 また本実施形態においては、食肉加工用液が成分(A)~(C)を含むため、食肉加工食品をジューシーな食感とすることができる。
[0034]
 (食肉加工食品)
 本実施形態において、食肉加工食品は、上述した本実施形態における食肉加工用液を用いて製造される。
 食肉加工食品の原料である食肉の具体例として、牛、豚、羊、山羊等の哺乳動物の肉;鶏、アヒル、七面鳥、ガチョウ、鴨等の鳥類の肉;ワニ等の爬虫類;カエル等の両生類;魚、エビ等の魚介類の肉等が挙げられる。
 使用可能な部位に制限はないが、牛肉ではバラ、かたロース、リブロース、サーロイン、ヒレ、らんぷ、もも等、豚肉ではかたロース、ロース、ヒレ、バラ、もも、そともも等、鶏肉ではむね、もも、ささみ等の部位に適用すると、ジューシーな食感を向上させることができる。
 また、食肉加工食品のジューシーな食感を向上させる観点から、食肉加工食品の原料である食肉は、好ましくは塊肉である。
[0035]
 本実施形態における食肉加工食品としては、ハム;焼き肉、焼き鳥、ステーキ、焼き魚、焼きエビ等の焼肉類;トンカツ、ビーフカツ、チキンカツ、唐揚げ、竜田揚げ、フライドチキン、鮭フライ、アジフライ、ホッケフライ、サバフライ、タラ等の白身魚のフライ、エビフライ等のフライ(様)食品;カレー、シチュー等の煮込み;ホッケの開き等の干物が挙げられる。
[0036]
 中でも、食肉加工食品のジューシーな食感を向上させる観点から、食肉加工食品がフライ(様)食品であることが好ましい。
 フライ(様)食品は、油中で揚げる(油ちょうする)工程を経て得られるフライ食品であってもよいし、油ちょうする工程は経ず、少量の油による焼成調理やスチーム調理で製造される、フライ食品様の食味食感を有するフライ様食品(ノンフライ食品)であってもよい。
 本明細書において、フライ食品およびフライ様食品をあわせて「フライ(様)食品」と呼ぶ。
[0037]
 次に、本実施形態における食肉加工食品の製造方法を説明する。
 本実施形態において、食肉加工食品の製造方法は、食肉加工用液を食肉に適用する工程を含む。
[0038]
 食肉加工用液を食肉に適用する工程は、食肉加工食品における食肉加工用液の効果を高める観点から、好ましくは、インジェクション、タンブリング、浸漬、噴霧および塗布からなる群から選択される1または2以上の方法により食肉加工用液を食肉に適用する工程であり、さらに好ましくはインジェクションまたはタンブリングであり、よりいっそう好ましくはインジェクションまたは減圧条件下でのタンブリングである。
[0039]
 食肉加工用液の添加量は、原料として用いる食肉の種類、大きさ、適用方法等により設定できるが、食肉加工食品における食肉加工用液の効果を高める観点から、食肉原料として用いる食肉100質量部に対して、たとえば5質量部以上であり、好ましくは10質量部以上である。
 また、原料として用いる食肉の好ましい味または食感の劣化を抑制する観点から、食肉加工用液の添加量は、食肉原料として用いる食肉100質量部に対して、たとえば150質量部以下であり、好ましくは100質量部以下である。
[0040]
 また、本実施形態において、食肉加工食品の製造方法は、食肉加工用液を食肉に適用する工程の後、食肉を加熱調理して食肉加工食品を得る工程をさらに含んでもよい。
[0041]
 加熱調理工程における加熱調理方法は、食肉加工食品の種類に応じて選択される。
 たとえば、フライ(様)食品においては、加熱調理の具体例として、140℃~220℃の食用油中での油ちょう、油をひいたフライパンや鉄板上での加熱が挙げられる。また、オーブン等で乾熱調理、マイクロ波加熱調理(電子レンジ調理)または過熱水蒸気調理等により加熱調理をおこなってもよい。
 また、フライ(様)食品は、種物となる食肉に食肉加工用液を適用し、適宜衣材を被覆した後、予備油ちょう等の加熱処理工程、冷凍保存等の保存工程、再油ちょう等の再加熱工程を経て得られるものであってもよい。
[0042]
 本実施形態において得られる食肉加工食品は、成分(A)~(C)を含む食肉加工用液が適用されたものであるため、食肉加工食品をジューシーな食感とすることができる。
実施例
[0043]
 以下に本発明の実施例を示すが、本発明の趣旨はこれらに限定されるものではない。
[0044]
 (原材料)
 原材料として、主に以下のものを使用した。
(成分(A))
澱粉A-1:J-オイルミルズワキシーコーンスターチY、株式会社J-オイルミルズ製、ワキシーコーンスターチ(冷水膨潤度2.7、デキストロース当量0.2)
澱粉A-2:J-オイルミルズコーンスターチY、株式会社J-オイルミルズ製、コーンスターチ(冷水膨潤度2.6、デキストロース当量0.3)
澱粉A-3:株式会社J-オイルミルズ製、タピオカ澱粉(冷水膨潤度2.1、デキストロース当量0.2)
澱粉A-4:ジェルコールBP-200、株式会社J-オイルミルズ製、馬鈴薯澱粉(冷水膨潤度2.2、デキストロース当量0.3)
澱粉A-5:モチールB、上越スターチ株式会社製、コメ澱粉(冷水膨潤度2.5、デキストロース当量0.5)
(成分(B))
澱粉B-1:アルファワキシースターチ、株式会社J-オイルミルズ製、α化ワキシーコーンスターチ(冷水膨潤度33.0)
澱粉B-2:200質量部の水に攪拌しながら100質量部の澱粉A-2を混ぜてスラリーを調製し、攪拌しながらスラリーをオンレーター(出口温度100℃前後)で糊化させ、この糊液をただちに常法によりドラムドライヤーに薄く広げ、150℃で加熱、乾燥した後、粉砕機で粉砕して得られたα化コーンスターチ(冷水膨潤度10.0)
澱粉B-3:ジェルコールGT-α、株式会社J-オイルミルズ製、α化アセチル架橋タピオカ澱粉(冷水膨潤度14.0)
澱粉B-4:ジェルコールB-α、株式会社J-オイルミルズ製、α化架橋馬鈴薯澱粉(冷水膨潤度23.0)
(成分(C))
澱粉C-1:ジェルコールAH-F、株式会社J-オイルミルズ製(デキストロース当量1.0)
デキストリンC-2:ジェルコールFZ-100、株式会社J-オイルミルズ製(デキストロース当量4.1)
デキストリンC-3:サンデック♯30:三和澱粉工業株式会社製(デキストロース当量4.6)
(成分(D))
デキストリンD-1:サンデック♯150、三和澱粉工業株式会社製(デキストロース当量14.0)
デキストリンD-2:サンデック♯300、三和澱粉工業株式会社製(デキストロース当量21.0)
オリゴ糖D-3:ピュアトースP、群栄化学工業株式会社製(デキストロース当量36.0)
[0045]
 (実施例1~23、比較例1~3)
 表1~表5に示す各成分を混合して、各例の食肉加工用液を得た。得られた食肉加工用液の作業性について、沈降体積および沈降性を以下の方法で評価した。また、得られた食肉加工用液をピックル液として用いて以下の方法で唐揚げを作製し、ジューシーさを以下の方法で評価した。評価結果を表1~表5にあわせて示す。
[0046]
(作業性の評価方法)
(沈降体積)
 表1~6に示す各比較例、各実施例のうち、砂糖、白胡椒、グルタミン酸ナトリウムの代わりに水を用いて、各成分を混合し食肉加工用液50mLを得た。得られた食肉加工用液を50mL容メスシリンダーに移し、30分静置した後の沈降体積(mL)を読み取った。
 沈降体積(mL)が大きいほど作業性が良い。
[0047]
(沈降性)
 上述の方法で得られた沈降体積を成分(A)、(B)、(C)および(D)の総量(g)で除して、沈降性を算出した。
 沈降性が1.7mL/g以上であるものを合格とした。沈降性の数値が1.7mL/gより大きければ、それだけピックル液中で澱粉が沈澱を起こさず、混合しやすいため好ましい。
[0048]
(唐揚げの作製方法)
 ピックル液200gを、皮を除去し、20~30gに切断した鶏モモ肉500gとともにロータリータンブラー(株式会社大道産業製)に入れ、600mmHgまで吸気した後、12rpm、10℃で1時間タンブリングをおこなった。
 タンブリングをおこなった鶏モモ肉を一晩5℃の冷蔵庫で保存した後、小麦粉にまぶし、170~180℃に熱した植物油で5分加熱し、唐揚げを作製した。
[0049]
(唐揚げの評価方法)
 各例で得られた唐揚げについて、ジューシー感を評価した。評価は、専門パネラー4名で非常にジューシーなものを5点としジューシーさが感じられないものを1点として1~5点の5段階で評価し、3.5点以上を合格とした。
 また、各例で得られた唐揚げのベタツキについて、専門パネラー4名の合議により、平均的評価で表した。評価基準を以下に示す。◎、○および△を合格とした。
◎:ベタツキを全く感じない
〇:ベタツキをほとんど感じない
△:ベタツキをやや感じる
×:ベタツキを強く感じる
[0050]
[表1]


[0051]
 表1のように、食肉加工用液中に成分(B)を含まない比較例1に比べ、食肉加工用液中に成分(A)、(B)および(C)を含む実施例1~4では、沈降性が大きく、作業性が良かった。また実施例1~4をピックル液として使用し得られた唐揚げは、ジューシーな食感に優れていた。
 また、ピックル液中に成分(A)、(B)および(C)を含む実施例1~4で得られた唐揚げについて、成分(C)を2種類含む実施例3および4は、成分(C)を1種類含む実施例1および2よりもジューシーな食感にさらに優れていた。
[0052]
[表2]


[0053]
 表2のように、実施例1および5~7で得られた唐揚げについて、ピックル液中に成分(A)~(C)を含む実施例1より、成分(A)~(C)に加えて(D)を含む実施例5~7はさらにジューシーな食感に優れていた。ただし、成分(D)としてオリゴ糖D-3を加えた実施例7では、実施例1に比べて若干水っぽさを感じた。
[0054]
[表3]


[0055]
 表3のように、成分(A)の種類が異なる実施例8~12の食肉加工用液について、いずれも、比較例2よりも沈降性が大きく作業性が良かった。実施例8~12の中で、澱粉A-1(ワキシーコーンスターチ)を含む実施例8、および、澱粉A-5(コメ澱粉)を含む実施例12が、とりわけ沈降性が大きく作業性が良かった。
 また、成分(A)の種類が異なる実施例8~12で得られた唐揚げについて、いずれも、比較例2よりジューシーな食感に優れていた。実施例8~12の中で、澱粉A-1(ワキシーコーンスターチ)を含む実施例8、および、澱粉A-5(コメ澱粉)を含む実施例12は、とりわけジューシーな食感に優れていた。
[0056]
[表4]


[0057]
 表4のように、成分(B)の種類が異なる実施例8および13~15の食肉加工用液について、いずれも、比較例1よりも沈降性が大きく作業性が良かった。実施例8および13~15の中で、澱粉B-1(α化ワキシーコーンスターチ)を含む実施例8が、最も沈降性が高く作業性が良かった。
 また、成分(B)の種類が異なる実施例8および13~15から得られた唐揚げについて、いずれも、比較例1よりもジューシーな食感に優れていた。実施例8、13~15の中で、澱粉B-1(α化ワキシーコーンスターチ)を含む実施例8が、最もジューシーな食感に優れていた。
[0058]
[表5]


[0059]
 表5のように、成分(A)、成分(B)および成分(C)を含む実施例1および16~23の食肉加工用液は、いずれも、沈降性が高く作業性に優れ、それを用いた唐揚げは、ジューシーな食感に優れていた。ただし、成分(A)を1質量%含む実施例16の場合、実施例1および17~23に比べて唐揚げにややベタツキが感じられた。
 一方、食肉加工用液中に成分(C)を含まない比較例3の食肉加工用液は沈降性が低く作業性が劣り、それを用いた唐揚げは、ジューシーな食感も劣っていた。
 また、食肉加工用液中の成分(A)、成分(B)および成分(C)の比率を変えても、(B)/(A)の比および(C)/(B)が範囲内であれば沈降性は良好であり、それを用いて得られる唐揚げは、ジューシーな食感に優れていた。
[0060]
 表1~表5より、各実施例においては、各比較例に比べて、食肉加工溶液中での澱粉の沈降が抑制されており、鶏肉への適用工程における作業性に優れていた。
 また、各実施例で得られた唐揚げは、ジューシーな食感に優れていた。
[0061]
 (実施例24、比較例4)
 表6に示す各成分を混合して、各例の食肉加工用液を得た。得られた食肉加工用液の沈降体積および沈降性を前述の方法で測定した。また、得られた食肉加工用液をピックル液として用いて以下の方法で豚カツを作製した。
[0062]
(豚カツの作製方法)
 一晩流水解凍した冷凍豚ロース肉(食肉加工業者より入手)500gにインジェクター(株式会社トーニチ製、スーパーインジェクターTN-SP18)を用いて、ピックル液をインジェクション(肉質量の35%のピックル液の添加)した。
 インジェクション後の豚ロース肉をロータリータンブラー(株式会社大道産業製)に入れ、600mmHgまで吸気した後、12rpm、10℃で60分タンブリングをおこなった。タンブリングが終わった豚ロース肉を、ケースに入れて-18℃で一晩冷凍し、再び0℃まで解凍した後、ハムスライサー(花木製作所株式会社製)で厚さ1cm、質量80gに成型した。
 このように成型された肉に、小麦粉、液卵、パン粉をつけ170℃の植物油で6分フライし、豚カツを作製した。
[0063]
(豚カツの評価方法)
 得られた豚カツについて、ジューシー感を評価した。評価は、専門パネラー4名で非常にジューシーなものを5点としジューシーさが感じられないものを1点として1~5点の5段階で評価し、3.5点以上を合格とした。
 評価結果を表6にあわせて示す。
[0064]
[表6]


[0065]
 表6のように、比較例4に比べて、実施例24では食肉加工用液中での澱粉の沈降が抑制されており、豚肉への適用工程における作業性に優れていた。また、実施例24で得られた豚カツは、ジューシーな食感に優れていた。
[0066]
 この出願は、2017年9月28日に出願された日本出願特願2017-187565号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。

請求の範囲

[請求項1]
 以下の成分(A)~(C):
 (A)冷水膨潤度が1超8未満である澱粉、
 (B)冷水膨潤度が8以上40以下である澱粉、および
 (C)前記成分(B)以外の澱粉およびデキストリンからなる群から選択される1種または2種以上
 を含み、
 前記成分(A)のデキストロース当量が、乾物換算で0超0.8未満であり、
 前記成分(C)のデキストロース当量が、乾物換算で0.8以上10以下である、食肉加工用液。
[請求項2]
 前記成分(A)が、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉およびコメ澱粉からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1に記載の食肉加工用液。
[請求項3]
 当該食肉加工用液中の前記成分(A)の含有量が、当該食肉加工用液全体に対して0.8質量%以上35質量%以下である、請求項1または2に記載の食肉加工用液。
[請求項4]
 前記成分(B)が、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉およびこれらの架橋澱粉の、α化物からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1乃至3いずれか1項に記載の食肉加工用液。
[請求項5]
 さらに、以下の成分(D):
 (D)デキストリンおよびオリゴ糖からなる群から選択される1種または2種以上
 を含み、前記成分(D)のデキストロース当量が、乾物換算で10超40以下である、請求項1乃至4いずれか1項に記載の食肉加工用液。
[請求項6]
 当該食肉加工用液中の前記成分(A)の含有量に対する前記成分(B)の含有量((B)/(A))が、質量比で0.005以上7以下である、請求項1乃至5いずれか1項に記載の食肉加工用液。
[請求項7]
 当該食肉加工用液中の前記成分(C)の含有量に対する前記成分(B)の含有量((B)/(C))が、質量比で0.05以上5以下である、請求項1乃至6いずれか1項に記載の食肉加工用液。
[請求項8]
 当該食肉加工用液中の前記成分(A)、前記成分(B)および前記成分(C)の含有量の合計が、当該食肉加工用液全体に対して2質量%以上47質量%以下である、請求項1乃至7いずれか1項に記載の食肉加工用液。
[請求項9]
 請求項1乃至8いずれか1項に記載の食肉加工用液を食肉に適用する工程を含む、食肉加工食品の製造方法。
[請求項10]
 食肉加工用液を食肉に適用する前記工程が、インジェクション、タンブリング、浸漬、噴霧および塗布からなる群から選択される1または2以上の方法により前記食肉加工用液を前記食肉に適用する工程である、請求項9に記載の食肉加工食品の製造方法。