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1. (WO2019009297) SYSTÈME D'ANALYSE, PROCÉDÉ D'ANALYSE, PROGRAMME ET SUPPORT DE STOCKAGE
Document

明 細 書

発明の名称 分析システム、分析方法、プログラム、および記憶媒体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010  

発明の効果

0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123  

実施例

0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20  

図面

1   2   3   4   5A   5B   5C   5D   6A   6B   6C   6D   7A   7B   7C   8A   8B   8C   9A   9B   9C   9D   9E   10   11  

明 細 書

発明の名称 : 分析システム、分析方法、プログラム、および記憶媒体

技術分野

[0001]
 本発明は、分析システム、分析方法、プログラム、および記憶媒体に関する。

背景技術

[0002]
 特定の塩基配列を有する核酸(標的核酸)を分析対象物として定量分析する方法として、デジタルPCR(dPCR;digital Polymerase Chain Reaction)法が注目されている。
[0003]
 デジタルPCRでは、標的核酸を含むサンプルを、標的核酸を増幅するための増幅試薬、標的核酸を検出するための蛍光試薬などと混合して希釈し、物理的に独立した多数の反応場に分割する。このとき、それぞれの反応場に含まれる標的核酸の数が1個または0個のいずれかとなるようにサンプルを希釈(以下、このような希釈を「限界希釈」と称する)しておく。そして、複数の反応場のそれぞれにおいて独立にPCRを生じさせ、標的核酸を増幅して検出可能にする。これにより、増幅後にシグナルが検出された反応場の数(陽性反応場数)および/または増幅後にシグナルが検出されなかった反応場の数(陰性反応場数)から、サンプル中の標的核酸の濃度を取得することができる。
[0004]
 デジタルPCRにおいてサンプルを含む反応液を物理的に独立した多数の反応場に分割する方法として、反応液の液滴をオイル中に形成する方法、すなわち、油中水型エマルジョン(W/Oエマルジョン)を形成する方法がある。この方法では、油中水型エマルジョン中の1つ1つの液滴を反応場として用いる(特許文献1)。
[0005]
 また、限界希釈した場合であっても、1つの反応場に複数の分析対象物が含まれる場合がある。これに起因する誤差を補正する方法として、分析対象物の数または濃度をポアソン(Poisson)モデルに基づいて確率論的に計算する方法が知られている。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特表2012-503773号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 油中水型エマルジョンを形成する方法としては、マイクロ流路デバイスを用いた方法や、機械撹拌を用いる方法などがあるが、油中水型エマルジョンの形成を高速に行うと、液滴のサイズ、すなわち反応場のサイズにばらつきが生じやすい。
[0008]
 それぞれの反応場に分析対象物が含まれる確率は反応場のサイズに依存している。そのため、反応場のサイズのばらつきがある場合には、従来のポアソンモデルに基づく計算を行うだけでは分析結果の信頼度を十分に高くすることができない場合があるという課題があった。
[0009]
 そこで本発明では、上述の課題に鑑み、反応場のサイズのばらつきがある場合であっても、分析結果の信頼度を高めることを目的とする。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明の一側面としての分析システムは、サンプル中の分析対象物の濃度を分析する分析システムであって、前記サンプルを含む液体を分割して生成された複数の反応場について、前記複数の反応場のそれぞれのサイズに関する情報を取得するサイズ情報取得部と、前記複数の反応場のそれぞれにおける前記分析対象物の存在に関する情報を取得分析対象物情報取得部と、前記反応場のサイズの分布を複数の区間に分け、前記区間ごとに、前記分析対象物が検出された反応場である陽性反応場の数に関する情報、および、前記分析対象物が検出されなかった反応場である陰性反応場の数に関する情報、からなる群から選択される少なくとも1つの情報を含む分布データを、前記サイズ情報取得部および前記シグナル情報取得部で取得された情報に基づいて生成する分布データ生成部と、前記陽性反応場の数に関する情報、および、前記陰性反応場の数に関する情報、からなる群から選択される少なくとも1つの情報に基づいて、濃度の導出に用いる区間を決定する区間決定部と、前記分布データのうち、前記区間決定部で決定された区間のデータに基づいて、前記サンプル中の前記分析対象物の濃度を導出する濃度導出部と、を有することを特徴とする。

発明の効果

[0011]
 本発明によれば、反応場のサイズのばらつきがある場合であっても、分析結果の信頼度を高めることができる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] 分析システムの構成を模式的に示す図である。
[図2] 情報処理ユニットのハードウエア構成を模式的に示す図である。
[図3] デジタル分析における、分析対象物を含む反応場の数と、「測定の不確かさ」の関係を示すグラフである。
[図4] 分析システムによる分析処理の手順を示すフローチャートである。
[図5A] サーマルサイクル後のエマルジョン1の蛍光顕微鏡画像である。
[図5B] サーマルサイクル後のエマルジョン2の蛍光顕微鏡画像である。
[図5C] サーマルサイクル後のエマルジョン3の蛍光顕微鏡画像である。
[図5D] サーマルサイクル後のエマルジョン4の蛍光顕微鏡画像である。
[図6A] サーマルサイクル後のエマルジョン5の蛍光顕微鏡画像である。
[図6B] サーマルサイクル後のエマルジョン6の蛍光顕微鏡画像である。
[図6C] サーマルサイクル後のエマルジョン7の蛍光顕微鏡画像である。
[図6D] サーマルサイクル後のエマルジョン8の蛍光顕微鏡画像である。
[図7A] 比較例1における、相対希釈倍率とサンプル中の分析対象物の濃度の計算結果との関係を示すグラフである。
[図7B] 実施例1における、相対希釈倍率とサンプル中の分析対象物の濃度の計算結果との関係を示すグラフである。
[図7C] 実施例2における、相対希釈倍率とサンプル中の分析対象物の濃度の計算結果との関係を示すグラフである。
[図8A] 比較例2における、相対希釈倍率とサンプル中の分析対象物の濃度の計算結果との関係を示すグラフである。
[図8B] 実施例3のそれぞれにおける、相対希釈倍率とサンプル中の分析対象物の濃度の計算結果との関係を示すグラフである。
[図8C] 実施例4のそれぞれにおける、相対希釈倍率とサンプル中の分析対象物の濃度の計算結果との関係を示すグラフである。
[図9A] サーマルサイクル後のエマルジョン9の蛍光顕微鏡画像である。
[図9B] サーマルサイクル後のエマルジョン10の蛍光顕微鏡画像である。
[図9C] サーマルサイクル後のエマルジョン11の蛍光顕微鏡画像である。
[図9D] サーマルサイクル後のエマルジョン12の蛍光顕微鏡画像である。
[図9E] サーマルサイクル後のエマルジョン13の蛍光顕微鏡画像である。
[図10] 比較例3,実施例5のそれぞれにおける調製DNA濃度とサンプル中のDNA濃度の計算結果との関係を表すグラフである。
[図11] エマルジョン9~11それぞれの濃度の計算結果と、市販装置の濃度における、相対希釈倍率とサンプル中の分析対象物の濃度の計算結果との関係を示すグラフである。

発明を実施するための形態

[0013]
 以下、本発明の実施形態に係る分析システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対して適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に含まれる。
[0014]
 [分析システムの構成]
 図1は、本実施形態に係る分析システムの構成を模式的に示す図である。本実施形態に係る分析システム1は、反応場生成ユニットU1と、反応ユニットU2と、検出ユニットU3と、情報処理ユニットU4と、を有する。各ユニット間は、部分的にまたは全体的に、LANまたはインターネットなどのネットワークを介して接続されていてもよい。
[0015]
 <反応場生成ユニット>
 反応場生成ユニットU1は、サンプル中の分析対象物を含む反応液などの液体を分割して、互いに物理的に独立した、複数の反応場を生成するユニットである。
[0016]
 (反応場)
 本明細書において反応場とは、液液界面、気液界面、および固液界面からなる群から選択される少なくとも1つの界面によって囲まれた空間をいう。反応場における反応はこの閉じた空間内で生じ、他の反応場とは独立して反応が進行する。換言すれば、1つの反応場における反応は、上述の界面によって規定される空間内に閉じ込められた物質のみが関与する。
[0017]
 例えば、マイクロプレートのようなプレート上の複数のウエルに反応液がそれぞれ分注されている場合、それぞれのウエルに分注されているそれぞれの反応液が反応場となる。この場合、反応場はウエルの壁面と反応液との間の固液界面と、大気と反応液との間の気液界面と、によって囲まれている。あるいは、反応液が、油中水型エマルジョン(W/Oエマルジョン)などのエマルジョンにおける液滴を形成している場合は、エマルジョン中の各液滴が反応場となる。この場合、反応場は連続相と分散相との間の液液界面によって囲まれている。
[0018]
 (分析対象物)
 本明細書において分析対象物とは、サンプル中に含まれ、定量分析の対象となる化合物や粒子をいう。本実施形態に係る分析対象物は、後述する反応場中での反応によって検出可能にすることができるものであれば、特に限定はされず、例えば、核酸、ペプチド、タンパク質、酵素などが挙げられる。
[0019]
 本明細書において「検出可能にする」とは、後述する反応ユニットU2における反応によって分析対象物に由来するシグナルを検出可能にすることをいう。例えば、もともとは検出不可能な程に微弱だったシグナルが、反応ユニットU2における増幅反応により分析対象物の数または濃度が増加することでシグナルが増強することによって、検出可能になる。また、反応によって所定のシグナルを発する物質が分析対象物から生成されることでも、分析対象物を検出可能にすることができる。あるいは、分析対象物が化学変化するなどしてシグナルを発するように変化しても、分析対象物を検出可能にすることができる。
[0020]
 核酸は、詳しくは後述するが、核酸を増幅させるための増幅試薬と、核酸と相互作用して蛍光を発する蛍光試薬と、核酸を検出可能にするための薬剤として用い、PCRなどの核酸増幅反応によって検出可能にすることができる。また、ペプチドやタンパク質は、ELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)法などによって検出可能にすることができる。なお、分析対象物は上記の核酸、ペプチド、タンパク質などを含む物質であってもよい。例えば、核酸、ペプチド、およびタンパク質の少なくともいずれかが共有結合等で結合または付着した分子、マイクロ粒子、ナノ粒子、細胞などが挙げられる。
[0021]
 例えば、ヒトから採取した血液や、そこから抽出された核酸などを検体とし、該検体に含まれ得る、がんや感染症などの疾病に関わる遺伝子を含む核酸を分析対象物とすれば、当該疾病の診断などに有用な情報が得られると期待できる。また、食品を検体とすれば、遺伝子組換え作物(GMO)の評価などの食品検査を行うことができる。あるいは、環境中の土壌や水を検体とすれば、環境モニタリングを行うことができる。
[0022]
 本実施形態において核酸を分析対象物とする場合、核酸は、増幅の対象になる鋳型核酸であれば特に限定されず、DNA(DeoxyriboNucleic Acid)であってもよいし、RNA(RiboNucleic Acid)であってもよい。核酸の形態も特に限定されず、直鎖状の核酸であってもよく、また環状の核酸であってもよい。また、核酸は単一の塩基配列を有する1種類の核酸であってもよく、また、種々の塩基配列をそれぞれ有する複数種類の核酸(例えば相補的DNAライブラリーなど)であってもよい。
[0023]
 (検体)
 本明細書において検体とは、生物や食品、環境などから採取または抽出された、サンプルの供給源である。一般には、定量分析されたサンプル中の分析対象物の濃度は、検体中の濃度に換算した上で、医療診断や食品、環境の評価などの各種の目的に利用される。
[0024]
 (サンプル)
 本明細書においてサンプルとは、本実施形態に係る分析に供するものをいい、本実施形態では、サンプル中の分析対象物の濃度が測定される。サンプルは、検体そのものであってもよいし、検体に対して精製や濃縮、分析対象物の化学修飾や断片化など、分析のための前処理や調整を施したものであってもよい。サンプル中の分析対象物の濃度(単位体積当たりの数)は特に限定されないが、複数の反応場を生成したときに、複数の反応場のそれぞれに含まれる分析対象物の数が1個または0個となるような量であることが好ましい。このようにすることで、分析結果の信頼度を向上させることができる。
[0025]
 反応場生成ユニットU1は、サンプル注入部101と、反応場生成部102と、容器103と、を有する。
[0026]
 (サンプル注入部)
 サンプル注入部101は、サンプルを含む液体である反応液を反応場生成部102へと注入する部分である。
[0027]
 サンプル注入部101から注入された反応液は、反応場生成部102へと送液される。このとき、反応液は、ポンプ等の送液手段(不図示)によって送液されてもよい。また、サンプル注入部101から注入された反応液は、反応場生成部102へと送液される間に、エマルジョンを形成するための連続相としてのオイルと混合されてもよい。あるいは、サンプル注入部101からサンプルのみが注入され、反応場生成部102へと送液される間に、分析対象物を検出するための薬剤等と混合されて反応液を生成してもよい。
[0028]
 (反応液)
 本明細書において反応液とは、分析対象物を含むサンプルと、当該分析対象物を検出可能にするための薬剤と、を少なくとも含む液体をいう。反応液は、水を含む水性液体であることが好ましい。
[0029]
 (分析対象物を検出可能にするための薬剤)
 分析対象物が核酸である場合は、PCR法に代表されるような、酵素を用いた核酸増幅反応を用いて核酸を増幅することで、分析対象物を検出可能にすることができる。ここで、核酸増幅反応としては、反応場をサーマルサイクルに供することで反応を進行させるPCR法やLCR(Ligase Chain Reaction)法や、反応場をサーマルサイクルに供さずに温度調節することで反応を進行させるSDA(Strand Displacement Amplification)法、ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids)法、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法などを好ましく使用することができる。
[0030]
 核酸増幅反応を用いる場合は、核酸を増幅させるための増幅試薬と、核酸と相互作用して蛍光を発する蛍光試薬と、核酸を検出可能にするための薬剤として用いる。
[0031]
 増幅試薬は、分析対象物である標的核酸の有する所定の塩基配列に相補的な塩基配列を有する1つまたは一対のプライマー(フォワードプライマーおよびリバースプライマー)と、核酸合成反応を促進する生体触媒であるポリメラーゼと、を含有する。ポリメラーゼは、耐熱ポリメラーゼであることが好ましく、耐熱DNAポリメラーゼであることがより好ましい。また、増幅試薬は、核酸の原料としてのdNTP(DeoxyriboNucleotide-5’-TriPhosphate)などのリボ核酸を含有する。さらに、増幅試薬は、反応液中の水素イオン濃度(pH)をコントロールするための緩衝液または緩衝剤や、塩を含むことが好ましい。なお、増幅試薬は、上記各成分を含む市販のキットを用いてもよい。
[0032]
 プライマーとしては、標的核酸の一部の領域の塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、核酸増幅反応に用いることができるオリゴヌクレオチドであれば特に限定されない。ここで、ストリンジェントな条件とは、プライマーと鋳型核酸との間に少なくとも90%以上、好ましくは95%以上の配列同一性があるときに、該プライマーが鋳型核酸に特異的にハイブリダイズできる条件である。プライマーは、標的核酸の塩基配列に基づいて適宜設計できる。また、プライマーは、核酸増幅法の種類に応じて設計されることが望ましい。プライマーの長さは、通常、5~50ヌクレオチド、好ましくは、10~40ヌクレオチドである。なお、プライマーは、分子生物学領域において一般に用いられる核酸合成方法により生成することができる。
[0033]
 緩衝液または緩衝剤としては、任意の適切な緩衝液または緩衝剤を用いることができる。緩衝液または緩衝剤は、反応液の水素イオン濃度(pH)を、所望の反応が効率的に起こり得るpH、または、その近傍に維持するよう構成することが好ましい。PCRを実施する場合、反応液のpHは、例えば6.5~9.0の間で、使用する増幅試薬の各成分にあわせて任意に選択することができる。緩衝液または緩衝剤の種類は、分子生物学領域で一般に使用されるものを使用することができ、例えば、Tris(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)バッファー、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルフォン酸)バッファー、MES(2-モルホリノエタンスルホン酸)バッファーなどを使用することができる。
[0034]
 塩としては、例えば、CaCl 、KCl、MgCl 、MgSO 、NaCl、およびこれらの組み合わせから適宜選択されたものを使用することができる。
[0035]
 蛍光試薬は、核酸と相互作用して蛍光を発する薬剤であり、一般的にPCR法に用いられる、蛍光インターカレーター(蛍光色素)やプローブアッセイ用のプローブ(蛍光標識プローブ)を用いることができる。蛍光インターカレーターとしては、エチジウムブロマイド、SYBR Green I(「SYBR」はモレキュラープローブスの登録商標)、LC Greenなどを好適に用いることができる。蛍光標識プローブとしては、標的核酸に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド(プローブ)であって、一方の末端(5´末端)がレポーターで修飾され、もう一方の末端(3´末端)がクエンチャーで修飾されたものを用いることができる。レポーターとしてはFITC(Fluorescein-5-IsoThioCyanate)やVICなどの蛍光物質を、クエンチャーとしてTAMARAなどの蛍光物質や、Eclipse、DABCYL、MGBなどを用いることができる。蛍光標識プローブとしては、TaqMan(「TaqMan」はロシュダイアグノスティックスの登録商標)プローブなどを用いることができる。なお、ここでは蛍光試薬を用いる場合について説明したが、蛍光以外の発光を利用する発光試薬を使用してもよい。
[0036]
 一方、分析対象物がペプチドやタンパク質である場合は、ELISA法のような、分析対象物を特異的に反応する抗体(または抗原)と酵素を用いた抗原抗体反応および酵素反応により、分析対象物を検出可能にすることができる。より具体的には、例えば、分析対象物に酵素で標識された抗体(または抗原)を抗原抗体反応によって複合化させ、この酵素の酵素反応によって生じる発色または発光物質を検出する。なお、分析対象物と抗原抗体反応を生じさせる抗体(または抗原)は予め酵素標識されていなくてもよく、抗原抗体反応後に酵素によって標識されてもよい。
[0037]
 ELISA法を用いる場合は、抗体(または抗原)と酵素を含む試薬を、分析対象物を検出可能にするための薬剤として用いる。ELISA法に用いる試薬として市販されているキットを用いてもよい。
[0038]
 なお、発生させる蛍光の波長が異なるなど、複数の分析対象物を区別できるようにそれぞれ検出可能にする複数種類の薬剤を用いれば、複数種類の分析対象物を一度の分析でまとめて検出することもできる。
[0039]
 (反応場生成部)
 反応場生成部102は、サンプル注入部101から注入された反応液を分割して、互いに物理的に独立した、複数の反応場を生成する。反応液を分割して複数の反応場を生成する方法としては、例えば、下記の方法が挙げられる。
[0040]
 第1の方法として、マイクロウエルプレートのような、基板上に複数の微小なウエルが形成されたガラスや樹脂の基板を用い、それぞれのウエルに反応液を分注する方法が挙げられる。これにより、微小なウエルのそれぞれの内部が反応場となる。
[0041]
 第2の方法として、表面に所定のパターン形状で撥水処理または撥油処理が施されたガラスや樹脂の基板を用い、基板上に反応液を塗布する方法が挙げられる。例えば格子状に撥水処理が施されたガラス基板上に水性の反応液を塗布すれば、それぞれの格子の内側に液滴が形成され、この複数の液滴のそれぞれが反応場となる。
[0042]
 第3の方法として、反応液と、反応液と相溶しない液体(以下、「非相溶液体」と称する)とから、非相溶液体中に反応液が液滴状に分散しているエマルジョンを形成する方法が挙げられる。この方法は、換言すれば、非相溶液体が連続相であり、反応液が分散相であるエマルジョンを形成する方法である。例えば、水を含む水性液体である反応液と、油性液体(オイル)と、を混同して、油中水型エマルジョン(W/Oエマルジョン)を形成すれば、オイル中に分散している反応液からなる液滴のそれぞれが反応場となる。
[0043]
 反応場生成部102は、これらの中でも第3の方法、すなわち、反応液と非相溶液体とから、非相溶液体中に反応液が液滴状に分散したエマルジョンを形成する方法によって反応場を生成することが好ましい。すなわち、反応場生成部102は、反応液と、反応液と非相溶な非相溶液体とから、エマルジョンを生成するエマルジョン生成部であることが好ましい。
[0044]
 (エマルジョン生成部)
 エマルジョンを生成する方法としては、特に限定はされず、従来公知の乳化方法を利用できる。例えば、撹拌装置や超音波破砕装置などにより機械的エネルギーを付与することでエマルジョンを形成する機械乳化法が挙げられる。また、マイクロ流路乳化法やマイクロ流路分岐乳化法などのマイクロ流路デバイスを用いた方法、乳化膜を用いる膜乳化法などが挙げられる。これらの方法は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも機械的乳化法や膜乳化法は、マイクロ流路デバイスを用いた方法に比べて液滴のサイズのばらつき(分散)が大きくなる傾向にあるものの、スループット良くエマルジョンを形成できるため好ましい。また、エマルジョンを形成する装置の装置構成を単純にできること、液滴のサイズのばらつきが比較的低いエマルジョンを形成できることなどから、膜乳化法が特に好ましい。すなわち、反応場生成部102は、膜乳化手段または機械的乳化手段であることがより好ましく、膜乳化手段であることが特に好ましい。
[0045]
 膜乳化法は、分散相または連続相、あるいは分散相および連続相の混合物を複数の細孔やスリットを有する乳化膜に透過させることでエマルジョンを形成する方法である。膜乳化法において分散相または連続相、あるいは分散相および連続相の混合物を乳化膜に透過させる回数は特に限定はされず、1回であってもよいし、複数回であってもよい。
[0046]
 膜乳化法としては、直接膜乳化法やポンピング乳化法などを用いることができる。直接膜乳化法とは、乳化膜を介して分散相を一定圧力で押し出すことにより、押し出される側をゆっくり流れている連続相中に、エマルジョンを形成する方法である。ポンピング乳化法とは、連続相を採取したシリンジと分散相を採取したシリンジとで乳化膜を挟み、2つのシリンジから液体を交互に押し出して乳化膜を通過させることによって、エマルジョンを調製する方法である。なおポンピング乳化法においては、2つのシリンジの一方に連続相と分散相の混合物を採取しておき、もう一方のシリンジは空にしておいてもよい。ポンピング乳化法においては、それぞれシリンジと接続可能な一対のコネクターの間に乳化膜を挟み込んだポンピング式の乳化デバイスを用いることができる。
[0047]
 膜乳化法で使用する乳化膜としては、複数の細孔を有する多孔質体の膜や、スリットを有する膜を用いることができる。具体的には、SPG(シラス多孔質ガラス)などの多孔質ガラス膜、ポリカーボネート製メンブレンフィルター、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製メンブレンフィルター、などを用いることができる。また、乳化膜の表面は疎水化処理されていることがより好ましい。乳化膜の孔径は、形成しようとする油中水型エマルジョン中の液滴のサイズに応じて選択することができ、0.2μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。
[0048]
 (オイル)
 反応液が水を含む水性液体である場合は、反応液と相溶しない非相溶液体として、油性液体(オイル)を用いることができる。この場合、反応場生成手段102によって、W/Oエマルジョンが生成される。
[0049]
 オイルとしては、炭化水素系オイル、シリコーンオイル、フッ素系オイルなどを用いることができる。炭化水素系オイルとしては、ミネラルオイル;スクワランオイル、オリーブオイルなどの動植物由来のオイル;n-ヘキサデカンなどの炭素原子数10~20のパラフィン系炭化水素;炭素原子数10~20のオレフィン系炭化水素などを用いることができる。炭化水素系オイルの市販品としては、例えば、TEGOSOFT DEC(炭酸ジエチルヘキシル)(エボニック製、「TEGOSOFT」はエボニックの登録商標)を用いることができる。フッ素系オイルとしては、HFE-7500(2-(トリフルオロメチル)-3-エトキシドデカフルオロヘキサン)などを用いることができる。フッ素系オイルの市販品としては、例えば、FLUORINERT FC-40、FLUORINERT FC-40、FLUORINERT FC-3283(スリーエム製、「FLUORINERT」はスリーエムの登録商標)などを用いることができる。また、炭化水素系オイル、シリコーンオイル、フッ素系オイルを適宜組み合わせて用いてもよい。
[0050]
 (その他添加剤)
 エマルジョンを生成する際に、界面活性剤をさらに添加してもよい。界面活性剤を添加することで、エマルジョン中の液滴のサイズの制御やエマルジョンを安定に維持するなどの効果が期待できる。界面活性剤としては、乳化処理において一般的に用いられている従来公知の界面活性剤を用いることができ、例えば、非イオン性界面活性剤、フッ素系樹脂、ホスホコリン含有樹脂などを用いることが好ましい。非イオン系界面活性剤としては炭化水素系界面活性剤や、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を用いることができる。
[0051]
 炭化水素系非イオン性界面活性剤の市販品としては、例えば、Pluronic F-68(ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン ブロックコポリマー)(シグマ-アルドリッチ製、「Pluronic」はBASFの登録商標)、Span 60(ソルビタンモノステアラート)(東京化成工業製、「Span」はクローダインターナショナルの登録商標)、Span 80(ソルビタンモノオレアート)(シグマ-アルドリッチ製、「Span」はクローダインターナショナルの登録商標)、Triton-X100(ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル)(シグマ-アルドリッチ製、「Triton」はユニオンカーバイドの登録商標)、Tween 20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート)、Tween 80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)(以上、シグマ-アルドリッチ製、「Tween」はクローダインターナショナルの登録商標)、などを用いることができる。シリコーン系非イオン性界面活性剤としては、ABIL EM90(セチルジメチコンコポリオール(セチルPEG/PPG10-1ジメチコン))、ABIL EM120(ビス-(グリセリル/ラウリル)グリセリルラウリルジメチコン)、ABIL EM180(セチルPEG/PPG10-1ジメチコン)、ABIL WE09(イソステアリン酸ポリグリセリル-4、セチルジメチコンコポリオール、ラウリン酸ヘキシル)(以上、エボニック製、「ABIL」はエボニックの登録商標)、などを用いることができる。フッ素系樹脂としては、Krytox-AS(「Krytox」はケマーズの登録商標)などを用いることができる。ホスホコリン含有樹脂としては、Lipidure-S(日油製、「Lipidure」は日油の登録商標)などを用いることができる。
[0052]
 エマルジョンにおける界面活性剤の濃度は、特に限定はされないが、0.01質量%以上10質量%以下とすることが好ましく、0.1質量%以上8質量%以下とすることがより好ましく、1質量%以上4質量%以下とすることがさらに好ましい。
[0053]
 エマルジョンにおける、反応液(分散相)に対する非相溶液体(連続相)の体積比は特に限定はされないが、1以上300以下であることが好ましく、1以上150以下であることがより好ましい。
[0054]
 エマルジョン中の液滴のサイズは特に限定はされないが、直径で、1μm以上300μm以下であることが好ましく、1μm以上200μm以下であることがより好ましく、20μm以上150μm以下であることがさらに好ましい。液滴の直径を300μm以下とすることで、臨床検査などのように、検体量やサンプル量が数十~数百μL程度と少ない場合であっても、液滴の数(反応場の数)を多くすることができ、分析の精度が高めることができる。また、液滴の直径を300μm以下とすることで、エマルジョンの安定性を高めることができる。
[0055]
 エマルジョン中の液滴のサイズの分布は、多分散であることが好ましい。なお、本明細書において、多分散とは、単分散ではないこと、すなわち、液滴のサイズが均一でなく、ばらついていることをいう。エマルジョン中の液滴のサイズの分布は、単分散に近い分布(例えば、液滴直径の変動係数(CV)が数%以下)であってもよく、複数のサイズの液滴が混合されていてもよい。機械的乳化法や膜乳化法により生成したエマルジョン中の液滴のサイズの分布は、一般に、液滴直径の変動係数(CV)が10~20%程度、あるいはそれ以上の分布を有する場合が多い。特に、エマルジョンの形成を高速に行った場合は、エマルジョン中の液滴のサイズは多分散になりやすい。本実施形態によれば、液滴のサイズにばらつきがある場合であっても、信頼度の高い定量分析を行うことができる。
[0056]
 エマルジョン中の液滴の数は、100個以上1,000,000,000個以下であることが好ましく、100個以上20,000,000個以下であることがより好ましく、2,000個以上20,000,000個以下であることがより好ましい。後述する通り、本発明者らによる試算では、デジタル分析において分析結果の信頼度を確保するためには、少なくとも100個以上の液滴が分析対象物を含むと判定されることが好ましいため、液滴の数は100個以上であることが好ましい。例えば、臨床検査の場合、反応液の量は一般に、0.01mL~0.5mL程度で設定される場合が多く、液滴のサイズが10μm~200μm程度である場合は、液滴の数としておよそ2,000個~1,000,000,000個の間で設定されることになる。
[0057]
 (容器)
 容器103は、反応場生成部102で生成された複数の反応場を保持する容器である。反応場生成部102がエマルジョン生成部である場合は、容器103は、エマルジョン生成部によって生成されたエマルジョンを収容する容器である。また、反応場生成部102が、基板上に複数の微小なウエルが形成されたガラスや樹脂の基板を用い、それぞれのウエルに反応液を分注することで複数の反応場を生成する場合には、ウエルが形成された基板が容器103となる。
[0058]
 容器103は複数の反応場を保持した状態で、搬送ユニット(不図示)によって反応場生成ユニットU1から反応ユニットU2へ、そして検出ユニットU3へと搬送される。なお、搬送ユニット(不図示)によって容器103をユニット間で搬送する場合について説明するが、これに限定はされず、分析システム1の操作者が容器103を搬送してもよい。
[0059]
 容器103は、サンプル注入部101および反応場生成部102の一部または全部とともに、反応場生成ユニットU1から着脱可能に構成されていることが好ましい。すなわち、反応場生成ユニットU1は、サンプル注入部101、反応場生成部102、容器103の各機能を備えたカートリッジが、反応場生成ユニットU1の本体から着脱可能な構成であることが好ましい。このような構成とすることで、サンプル間でのコンタミを防ぐことができる。なお、当該カートリッジは、後述する反応制御器201を備えていてもよい。
[0060]
 <反応ユニット>
 反応ユニットU2は、反応制御器201を有し、反応場生成ユニットU1が生成した複数の反応場のそれぞれにおいて反応を進行させるユニットである。この反応により、複数の反応場のそれぞれに含まれている分析対象物を検出可能にすることができる。
[0061]
 (反応)
 分析対象物が核酸である場合は、上述の通り、PCR法に代表されるような、酵素を用いた核酸増幅反応を用いて核酸を増幅することで、分析対象物を検出可能にすることがでる。核酸増幅反応としては、上述の通り、PCR法やLCR法、SDA法、ICAN法、LAMP法などを好ましく用いることができる。これらの核酸増幅反応を行う場合には、反応場をサーマルサイクルに供したり、一定の温度に維持したり、所定のプロファイルで温度を与えたりするなど、反応場の温度を調節することで反応を制御することが好ましい。あるいは、所定の形状のマイクロ流路を有するマイクロ流路デバイスのマイクロ流路中に反応場を流すことで、反応を制御する方法も知られている(Science,280,1046(1998))。
[0062]
 分析対象物がペプチドやタンパク質である場合は、上述の通り、ELISA法のような、酵素反応と抗原抗体反応とを組み合わせた分子生物学的手法によって、分析対象物を検出可能にすることができる。この場合は、反応場の温度を所定の温度に維持するように、反応場の温度を調節することが好ましい。
[0063]
 (反応制御器)
 反応制御器201は、容器103中の複数の反応場のそれぞれにおける反応を制御する。反応制御器201は、容器103中の複数の反応場のそれぞれにおいて反応を進行させる反応部ということもできる。反応制御器201が複数の反応場のそれぞれにおける反応を制御する方法は特に限定はされず、例えば、反応場の温度を制御することで反応を制御してもよいし、マイクロ流路中における反応場の位置や速度を制御することで反応場を制御してもよい。すなわち、反応制御器201は、加熱器や冷却器などの温度調節器を有していてもよいし、マイクロ流路に接続されるポンプを有していてもよい。
[0064]
 また、反応制御器201は、反応場における反応の種類に応じて、複数の反応場のそれぞれに熱、磁場、電場、電流、光、および放射線からなる群から選択される少なくとも1つを付与するものであってもよい。なお、反応ユニットU2としては、市販のサーマルサイクラーを用いることもできる。
[0065]
 <検出ユニット>
 検出ユニットU3は、複数の反応場のそれぞれのサイズの検出と、複数の反応場のそれぞれについて分析対象物の検出と、を行うユニットである。検出ユニットU3は、複数の反応場のそれぞれにおける分析対象物の存在に関する情報を取得する分析対象物情報取得部301と、複数の反応場のそれぞれのサイズに関する情報を取得するサイズ情報取得部302と、を有する。
[0066]
 なお、検出ユニットU3による検出は、容器103に保持された複数の反応場のうち、一部の反応場を取り出して実施してもよいが、計測可能なすべての反応場について実施することが好ましい。これにより、検出を行う反応場の数を増やすことができ、分析結果の信頼度を向上させることができる。
[0067]
 (分析対象物情報取得部)
 分析対象物情報取得部301は、複数の反応場のそれぞれについて分析対象物の検出を行う部分である。分析対象物情報取得部301は、反応ユニットU2において反応が進行した複数の反応場のそれぞれについて、分析対象物に由来するシグナルの検出を行う。分析対象物情報取得部301は、分析対象物に由来するシグナルの検出を行い、複数の反応場のそれぞれについて、分析対象物が含まれていたか否かを判定する。これにより、分析対象物情報取得部301は複数の反応場のそれぞれにおける分析対象物の存在に関する情報(分析対象物情報)を取得する。シグナルとしては、光が好適に用いられる。
[0068]
 本明細書においては、分析対象物情報取得部301によってシグナルが検出された反応場、すなわち、分析対象物が含まれていた反応場を「陽性反応場」と称する。また、分析対象物情報取得部301によってシグナルが検出されなかった反応場、すなわち、分析対象物が含まれていなかった反応場を「陰性反応場」と称する。なお、本明細書においては、分析対象物情報取得部301によって検出されたシグナルの強度が、予め設定された閾値よりも弱い場合にはシグナルは検出されなかったものとみなす。すなわち、反応場に分析対象物が含まれていたか否かは、その反応場からのシグナルの強度を所定の閾値と比較することで行う。
[0069]
 例えば、分析対象物が核酸であり、分析対象物を検出可能にするための薬剤として増幅試薬および蛍光試薬を用いた場合は、分析対象物情報取得部301は、分析対象物に由来するシグナルとして、所定の波長の蛍光を検出することが好ましい。
[0070]
 分析対象物情報取得部301が蛍光などの光をシグナルとして検出する場合、分析対象物情報取得部301は、光源303aと、検出器304aと、制御部(不図示)と、で構成することができる。光源303aは、検出したいシグナルに応じた波長の光を、容器103に保持された複数の反応場のそれぞれに照射する。検出器304aは、光が照射された複数の反応場のそれぞれから発せられたシグナルを検出する。すなわち、光源303aは励起手段として機能し、検出器304aは光検出手段として機能する。
[0071]
 検出器304aとしては、フォトダイオードやラインセンサ、イメージセンサ(撮像素子)等を用いることができ、中でも、多数の反応場について一括してシグナルの検出ができる点で、イメージセンサを用いることが好ましい。イメージセンサとしては、CCD(電荷結合素子、Charge Coupled Device)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体、Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)を用いることができる。あるいは、検出器304aとしては、イメージセンサを備えたデジタルカメラを用いてもよい。また、検出器304aによって光を検出する場合は、光学フィルターを用いて反応場からの光の波長を調整してもよい。
[0072]
 分析対象物情報取得部301は、流路中を流れる複数の反応場について順次検出を行うフローサイトメーターであってもよい。あるいは、分析対象物情報取得部301は、複数の反応場について、二次元的に励起および検出を行うものであってもよい。すなわち、平面状に並べた複数の反応場に対して二次元的に光を照射して励起させ、反応場から発せられたシグナルをイメージセンサを用いて二次元的に検出する構成であってもよい。この構成は、多数の反応場についてスループットよくシグナルの検出を行うことができるため好ましい。
[0073]
 なお、分析対象物情報取得部301の有する光源303aは、互いに異なる複数の波長の光を反応場に照射する光源であってもよい。例えば、光源303aは、波長可変光源であってもよいし、波長が互いに異なる光をそれぞれ発する光源を複数有していてもよい。これにより、発生させる蛍光の波長が異なるなど、複数の分析対象物を区別できるようにそれぞれ検出可能にする複数種類の薬剤を用いることで、複数種類の分析対象物を一度の分析でまとめて検出することができる。
[0074]
 (サイズ情報取得部)
 サイズ情報取得部302は、複数の反応場のそれぞれのサイズの検出を行う部分である。サイズ情報取得部302は、反応ユニットU2において反応が進行した複数の反応場のそれぞれについて、複数の反応場のそれぞれのサイズの検出を行う。
[0075]
 サイズ情報取得部302は、検出器304bと、制御部(不図示)と、で構成することができる。検出器304bは、反応場からの光を検出する。検出器304bとしては、検出器304aと同様の検出器を用いることができる。また、検出器304aが検出器304bの機能を兼ね備えてもよい。サイズ検出部302は、光源303bをさらに有していてもよい。光源303bは、光源303aと波長の異なる光を発する光源であることが好ましい。なお、光源303bが波長可変光源である場合は、光源303bが光源303aの機能を兼ね備えてもよい。
[0076]
 サイズ情報取得部302は、反応場からの散乱光を検出して、反応場のサイズの検出を行うことが好ましい。また、サイズ情報取得部302が有する検出器304bとしては、多数の反応場を一括して検出できる点で、イメージセンサを用いることが好ましい。
[0077]
 サイズ情報取得部302は、視野内に多数の反応場が含まれる反応場の画像を取得し、制御部(不図示)によってその画像データから反応場のサイズを取得することが特に好ましい。この場合は、例えば、一般に使用されている画像解析ソフトウエアを用いて、取得した画像データを解析して、それぞれの反応場のサイズに関する情報を取得することができる。例えば、反応場が液滴の場合で、該液滴の形状が真球とみなせる場合は、前記画像より液滴の半径、直径、断面積、および体積からなる少なくとも1つの情報を取得することができる。
[0078]
 <情報処理ユニット>
 情報処理ユニットU4は、検出ユニットU3の検出結果(反応場のそれぞれのサイズに関する情報および反応場のそれぞれにおける分析対象物の存在に関する情報)に基づいて、サンプル中の分析対象物の濃度を導出するユニットである。
[0079]
 図2は、情報処理ユニットU4のハードウエア構成図である。情報処理ユニットU4は、ハードウエア的には、CPU451と、ROM452と、RAM453と、ストレージ454と、入出力I/F455と、通信I/F456と、画像出力I/F457と、を有する。
[0080]
 CPU451は、ROM452に記憶されているプログラムまたはRAM453にロードされたプログラムを実行し、情報処理ユニットU4が有する各部の制御を行う。ROM452は、不揮発性のメモリであり、情報処理ユニットU4の初期動作において必要なプログラムなどを記憶する。RAM453は、揮発性のメモリであり、ROM452またはストレージ454、あるいは外部記憶装置(不図示)に格納されているプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM453は、これらのプログラムを実行するときに、CPU451の作業領域としても利用される。
[0081]
 ストレージ454には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU451に実行させるための種々のプログラムおよびプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。ストレージ454には、検出ユニットU3から与えられた測定データを解析し、分析結果を出力するためのプログラムがインストールされている。
[0082]
 ストレージ454のような記憶媒体に格納されたプログラムをRAM453にロードし、RAM453にロードされたプログラムに従ってCPU451が動作することにより、図1に示す各部の機能、および後述する図4に示す各処理が実行される。
[0083]
 入出力インターフェース(I/F)455には、マウスやキーボード、タッチパネルなどで構成された入力部407が接続されており、ユーザが入力部407を使用することにより、情報処理ユニットU4にデータが入力される。画像出力インターフェース(I/F)457は、液晶パネル等で構成された表示部408に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部408に出力する。表示部408は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また、情報処理ユニットU4は、通信インターフェース(I/F)456を介して反応場生成ユニットU1、反応ユニットU2、検出ユニット、搬送ユニット(不図示)の各ユニットに接続されている。情報処理ユニットU4は、通信インターフェース456により、上述の各ユニットに対してデータの送受信が可能となる。
[0084]
 情報処理ユニットU4は、その機能として、図1に示すように、記憶部401と、制御部402と、分布データ生成部403と、区間決定部404と、濃度導出部405と、を有する。
[0085]
 記憶部401は、検出ユニットU3または入力部407から受信したデータや情報処理ユニットU4による処理によって生成されたデータを記憶する部分である。制御部402は、反応場生成ユニットU1、反応ユニットU2、検出ユニットU3、搬送ユニット(不図示)の各部の動作を制御する部分である。
[0086]
 (分布データ生成部)
 分布データ生成部403は、反応場のそれぞれのサイズに関する情報と、反応場のそれぞれにおける分析対象物の存在に関する情報と、を検出ユニットU3から取得し、これらの情報を統合して、分布データを生成する。なお、以下の説明においては、検出ユニットU3から取得される、反応場のそれぞれのサイズに関する情報と、反応場のそれぞれにおける分析対象物の存在に関する情報と、を含むデータを検出データと称することもある。より具体的には、分布データ生成部403は、反応場のサイズの分布を複数の区間(階級)に分け、区間ごとに、陽性反応場の数に関する情報、および、陰性反応場の数に関する情報、からなる群から選択される少なくとも1つの情報を含む分布データを生成する。なお、ここでいう「数に関する情報」とは、例えば、数そのもの、または割合などが挙げられる。
[0087]
 例えば、複数の反応場のそれぞれの形状がほぼ球形である場合において、反応場のサイズが球相当径で最小10μm、最大210μmであったとする。この場合、分布データ生成部403は、例えば、反応場のサイズの分布を20μm刻みで10個の区間に分ける。そして、各区間に含まれるサイズを有する複数の反応場について、陽性反応場の数および陰性反応場の数を集計する。またこのとき、区間ごとに、陽性反応場の数と陰性反応場の数の合計、すなわちその区間に含まれる反応場の総数を集計したり、その区間に含まれる全反応場に対する陽性反応場の割合や陰性反応場の割合を集計したりしてもよい。なお、分布データ生成部403が分布データを生成する際の区間の数や区間の幅については特に限定はされず、サイズ情報取得部302の分解能に応じて決定してもよいし、統計処理における一般的な方法によって決定してもよい。
[0088]
 なお、検出ユニットU3から取得される反応場のサイズに関する情報は、当該反応場が分析対象物を含んでいたか否か(陽性反応場または陰性反応場のいずれであるか)の情報と紐付けられて取得される。分析対象物情報取得部301およびサイズ情報取得部302がいずれもイメージセンサを用いて画像データを取得する手段を含む場合には、それぞれから取得される画像データを重ねあわせることで、上述の情報の紐付けを行うことができる。
[0089]
 (区間決定部)
 区間決定部404は、分布データ生成部403が生成した分布データのうち、後述する濃度導出部405における濃度の導出に用いるデータを決定する。より具体的には、区間決定部404は、陽性反応場の数に関する情報、および、陰性反応場の数に関する情報からなる群から選択される少なくとも1つの情報に基づいて、分布データを構成する複数の区間の中から、濃度の導出に用いる区間を決定する。
[0090]
 本実施形態において、区間決定部404は、分布データを構成する複数の区間のそれぞれについて、陽性反応場の数もしくは割合、または、陰性反応場の数もしくは割合が、予め設定された数値範囲に含まれる否かを判定する。そして区間決定部404は、予め設定された数値範囲に含まれると判定された区間を、濃度の導出に用いる区間として決定する。
[0091]
 デジタルPCRに代表されるデジタル分析では、分析対象物を含む液体を非常に多くの反応場に分割することで、各反応場に含まれる分析対象物の数が1個または0個のいずれかとなるようにする。これにより、各反応場における反応の後、分析対象物が検出された反応場の数をカウントすることで、分割前の液体中に含まれていた分析対象物の数を計測することができる。しかしながら、限界希釈してから複数の反応場に分割した場合であっても、実際には1つの反応場に2つ以上の分析対象物が含まれる場合も確率的に生じてしまう。そこでそのような場合にはポアソンモデルに基づいて確率論的に計算することで、計算結果を真の値に近づけ、分析結果の信頼度を向上させることができる。このような従来の計算方法については、詳しくは後述する。
[0092]
 しかしながら、反応場のサイズのばらつきが大きい場合には、例えば、反応場のサイズが小さい領域では限界希釈状態に近くても、反応場のサイズが大きい領域ではほとんどの反応場のそれぞれが2つ以上の分析対象物を含んでしまうような場合もある。本発明者らの検討の結果、このような場合は、反応場のサイズが小さい領域ではポアソンモデルに基づく計算によって計算結果を真の値に近づける効果が得られるが、反応場のサイズが大きい領域ではその効果が十分に得られない場合もあることがわかった。
[0093]
 そこで本実施形態では、区間決定部404が、陽性反応場の数もしくは割合、または、陰性反応場の数もしくは割合が、予め設定された数値範囲に含まれる区間を選択し、それを濃度の導出に用いる区間として決定する。そして濃度導出部405は、区間決定部404によって選択された、全区間のうちの少なくとも一部の区間のデータ(各反応場のサイズに関する情報および各反応場における分析対象物の存在に関する情報)を用いて、サンプル中の分析対象物の濃度を導出する。
[0094]
 区間決定部404は、ポアソンモデルに基づく計算結果の信頼度を確保できる区間を選択することが好ましい。区間決定部404は、陽性反応場の割合が高すぎる区間または陰性反応場の割合が低すぎる区間以外の区間を選択することが好ましい。陽性反応場の割合が高すぎる区間または陰性反応場の割合が低すぎる区間においては、1つの反応場に2つ以上の分析対象物が含まれている確率が高くなりすぎ、ポアソンモデルに基づく計算を行っても、真の値に十分に近づけることができない可能性がある。
[0095]
 この場合、区間決定部404は、陽性反応場の割合が100%未満の区間を選択することが好ましく、90%未満の区間を選択することがより好ましく、80%未満の区間を選択することがさらに好ましい。また、区間決定部404が陽性反応場の割合が10%未満の区間を選択することで、濃度導出部405においてポアソンモデルに基づくことなく計算を行うこともできる。このように、選択される区間の陽性反応場の割合の上限を低下させていく、あるいは、陰性反応場の割合の下限を上昇させていくことで、ポアソンモデルに基づく計算結果の信頼度を高めることができる。ただし、区間を狭めすぎると区間に含まれる反応場の数が減少し、濃度の導出に用いる反応場の数が減少しすぎるとそれによる計算結果の信頼度の低下の影響が出るため、注意が必要である。なお、区間決定部404が選択する区間の陽性反応場の割合の数値範囲の下限は特に限定はされず、0%以上であってもよいし、5%以上であってもよい。または、区間決定部404は、陰性反応場の割合が0%より大きい区間を選択することが好ましく、10%より大きい区間を選択することがより好ましく、20%より大きい区間を選択することがさらに好ましい。なお、区間決定部404が選択する区間の陰性反応場の割合の数値範囲の上限は特に限定はされず、100%以下であってもよいし、95%以下であってもよい。陽性反応場の割合や陰性反応場の割合に関するこれらの数値範囲は、分析に求められる精度に応じて適宜決定される。
[0096]
 あるいは、区間決定部404は、陽性反応場の数が少なすぎる区間以外の区間を選択することが好ましい。陽性反応場の数が少なすぎると、分析結果の信頼度が低下する傾向にあるため、陽性反応場の数が少なすぎる区間以外の区間のデータを用いて濃度を導出することで、分析結果の信頼度を高めることができる。本発明者らは、陽性反応場の数と分析結果のばらつきとの関係を知るために、陽性反応場の数を変えた場合の「測定の不確かさ(relative uncertainty)」を、技術文献Lab Chip,14,1176(2014)の記載に基づき試算した。試算した結果を図3に示す。図3によれば、「測定の不確かさ」を10%以下とするためには、反応場のサイズによらず、分析対象物が検出された陽性反応場の数がおよそ100個以上必要であることがわかる。そのため、区間決定部404が、陽性反応場の数が100個以上の区間を選択することで、「測定の不確かさ」が10%以下となる程度に分析結果の信頼度を高めることができる。なお、要求される「測定の不確かさ」の許容範囲は分析の目的により変わり得るものであり、上記数値に限定されるものではない。例えば、要求される「測定の不確かさ」を20%以下であれば、区間決定部404は陽性反応場の数が30個以上の区間を選択すればよい。
[0097]
 上述のように、本実施形態に係る区間決定部404は、陽性反応場の数もしくは割合、または、陰性反応場の数もしくは割合が所定の範囲に含まれる少なくとも1つの区間を選択して、濃度の導出に用いる区間として決定する。しかし、本発明に係る区間決定部404はこれに限定はされず、濃度の導出に用いない区間を棄却して、濃度の導出に用いる区間として決定してもよい。すなわち、区間決定部404は、分布データ生成部403によって生成された分布データの一部を選択するデータ選択部であってもよいし、前記分布データの一部を棄却するデータ棄却部であってもよい。
[0098]
 区間決定部404が、濃度の導出に用いない区間を棄却して、濃度の導出に用いる区間として決定する場合、棄却する区間は、上述の区間を選択する方法と同様の方法で決定することができる。より具体的には、区間決定部404は、分布データを構成する複数の区間のそれぞれについて、陽性反応場の数もしくは割合、または、陰性反応場の数もしくは割合が、所定の範囲に含まれない区間のデータを棄却してもよい。
[0099]
 例えば、この場合、区間決定部404は、陽性反応場の割合が100%の区間を棄却することが好ましく、90%以上の区間を棄却することがより好ましく、80%以上の区間を棄却することがさらに好ましい。また、区間決定部404は、陽性反応場の割合が10%以上の区間を棄却してもよい。
[0100]
 なお、区間決定部404は濃度の導出に用いる区間を決定して、分布データ生成部403が生成した分布データからその区間のデータを抽出してもよい。この場合、区間決定物404は、分布データ生成部403が生成した分布データを加工するデータ加工部ということもできる。すなわち、データ加工部は、陽性反応場の数に関する情報、および、陰性反応場の数に関する情報からなる群から選択される少なくとも1つの情報に基づいて、分布データ生成部403が生成した分布データを加工する。
[0101]
 なお、データ加工部は、区間決定部404によって濃度の導出に用いる区間を決定する代わりに、陽性反応場の数に関する情報、および、陰性反応場の数に関する情報からなる群から選択される少なくとも1つの情報に基づいて、各区間の重みづけを変えてもよい。例えば、データ加工部は、複数の区間のそれぞれに含まれるデータに、陽性反応場の数に関する情報、および、陰性反応場の数に関する情報からなる群から選択される少なくとも1つの情報に基づく補正係数を掛ける処理を行ってもよい。
[0102]
 (濃度導出部)
 濃度導出部405は、分布データ生成部403が生成した分布データのうち、区間決定部404によって決定された区間のデータに基づいて、サンプル中の分析対象物の濃度を導出する。すなわち、濃度導出部405は、分布データ生成部403が生成した分布データのうちの少なくとも一部のデータを用いて、サンプル中の分析対象物の濃度を導出する。
[0103]
 濃度導出部405は、分布データの区間ごとに下記の計算処理の一部または全部を行ってもよい。濃度導出部405は、分布データの区間のそれぞれについて、当該区間に含まれる分析対象物をポアソンモデルに基づいて導出することが好ましい。そして、濃度導出部405は、導出された区間ごとの分析対象物の数を合計し、それを計算に用いた反応場の総体積で割ることで濃度を導出することが好ましい。あるいは、濃度導出部405は、区間ごとに分析対象物の濃度を導出し、それを加重平均して、反応液またはサンプル中の分析対象物の濃度を導出することが好ましい。このように、区間ごとにポアソンモデルに基づいて分析対象物の数または濃度を導出することで、分析結果の信頼性を高めることができる。
[0104]
 以下、濃度導出部405がサンプル中の分析対象物の濃度を導出する際の計算処理について説明する。
[0105]
 (分析対象物の濃度の計算)
 分析対象物の濃度の計算は、従来行われているデジタル分析における濃度計算方法を採用して実施することができる。反応ユニットU2における反応の前に、それぞれの反応場が含む分析対象物が1個または0個のいずれかであるとみなせる場合について説明する。この場合は、分析対象物が検出された反応場(陽性反応場)の数xを、検出ユニットU3が分析対象物の検出の対象とした体積Vsの反応液中に含まれていた分析対象物の数とみなすことができる。よって、下記式(1)により、反応液中の分析対象物の濃度λ を計算することができる。なお、検出ユニットU3が分析対象物の検出の対象とした体積Vsは、検出ユニットU3から取得される反応場のサイズに関する情報に基づいて算出することができる。
 λ =x/Vs・・・式(1)
[0106]
 また、例えば、反応ユニットU2における反応の前に、1つの反応場に複数個の分析対象物が入り得るとみなせる場合は、ポアソンモデルによる補正を行うことで、分析対象物の濃度を計算することができる。この場合は、反応ユニットU2における反応の前にそれぞれの反応場に含まれていた分析対象物の平均個数Cを推定することにより、分析対象物の濃度算出を行う。具体的には、検出ユニットU3が分析対象物の検出の対象とした反応場について、1つの反応場に含まれる分析対象物の平均個数をCとすると、1つの反応場にn個の分析対象物が含まれる確率は、ポアソンモデルの式から、下記式(2)のように表される。
[0107]
[数1]


[0108]
 ここで、1つの反応場が分析対象物を1つも含まない確率は、式(2)においてn=0として、下記式(3)で表される。
 P(0,C)=e -C ・・・式(3)
[0109]
 反応ユニットU2における反応の前に1つの反応場中に少なくとも1つの分析対象物が含まれていれば、その反応場からはシグナルを検出することができるが、反応の前にその反応場に含まれていた分析対象物の数の情報までは分からない。そこで、検出ユニットU3が検出対象とした反応場の総数に対する、分析対象物が検出されなかった反応場の割合(シグナルが検出されなかった反応場の割合)に基づいて、式(3)を用いて、検出対象とした反応液中に含まれていた分析対象物の個数を推定する。
[0110]
 具体的には、シグナルが検出された反応場の個数またはシグナルが検出されなかった反応場の個数と、検出対象とした反応場の総数とから、シグナルが検出されなかった反応場の割合F を算出する。そして、下記式(4)から、検出対象とした反応場に、反応ユニットU2における反応の前に1つの反応場に含まれていた分析対象物の平均個数Cを推定する。
 C=-ln(F ) ・・・式(4)
[0111]
 ここで、検出ユニットU3が分析対象物の検出対象とした反応場の平均体積をvとすると、下記式(5)により、反応液中の分析対象物の濃度λ を計算することができる。なお、検出ユニットU3が分析対象物の検出の対象とした平均体積vは、検出ユニットU3から取得される反応場のサイズに関する情報に基づいて算出することができる。
 λ =C/v ・・・式(5)
[0112]
 なお、反応液中の分析対象物の濃度λ は、分析対象物の平均個数Cと反応場の数を乗じて得られる分析対象物の総数と、反応場の平均体積vと反応場の数を乗じて得られる反応場の総体積と、に基づいて算出してもよい。
[0113]
 このようにして得られた、反応液中の分析対象物の濃度は、検体またはサンプルから反応液を調整した際の希釈倍率を用いることによって、検体またはサンプル中の分析対象物の濃度に換算することができる。
[0114]
 [分析方法]
 次に、本実施形態に係る分析システム1を用いた分析方法について、図4を用いて説明する。図4は、分析システムによる分析処理の手順を示すフローチャートである。
[0115]
 S401にて、分析対象物の定量分析を行うサンプルが準備される。ここでは、検体を希釈、前処理するなどして、サンプルを準備する。なお、サンプルの準備は、分析システム1内で行ってもよいし、分析システム1外の装置、例えば、市販の検体前処理装置を用いて行ってもよい。
[0116]
 S402にて、反応場生成ユニットU1は、サンプルを含む反応液を分割して、互いに独立した、複数の反応場を生成する。
[0117]
 S403にて、反応ユニットU2は、複数の反応場のそれぞれにおいて反応を進行させ、分析対象物を検出可能にする。
[0118]
 S404にて、検出ユニットU3は、複数の反応場のそれぞれについて、分析対象物の検出と、複数の反応場のそれぞれのサイズの検出と、を行う。これにより、複数の反応場のそれぞれについて、サイズに関する情報と分析対象物の存在に関する情報とを取得する。
[0119]
 S405にて、情報処理ユニットU4は、反応場のそれぞれのサイズに関する情報と、反応場のそれぞれにおける分析対象物の存在に関する情報と、を検出ユニットU3から取得し、これらの情報を統合して、分布データを生成する。
[0120]
 S406にて、情報処理ユニットU4は、陽性反応場の数もしくは割合、または、陰性反応場の数もしくは割合に基づいて、分析対象物の濃度の導出に用いる区間を決定する。このとき、情報処理ユニットU4は、陽性反応場の数もしくは割合、または、陰性反応場の数もしくは割合と、予め設定された数値範囲と、を比較して、分析対象物の濃度の導出に用いる区間を決定する。
[0121]
 S407にて、情報処理ユニットU4は、S406で決定された区間のデータを用いて、分析対象物の濃度を導出する。
[0122]
 [その他の実施形態]
 本発明の実施形態として分析システム1について説明したが、本発明はこれに限定はされず、本発明は分析システム1を構成する各部の一部からなる分析システムによっても実現可能である。
[0123]
 また、本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
実施例
[0124]
 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。
[0125]
 (準備例1)
 <エマルジョン1の生成>
 QuickPrimer Control DNA 5(5ng/μL、型番MR405、タカラバイオ社製)の10倍希釈液を2μL、QuickPrimer Escherichia / Shigella group(16S rDNA)(フォワードプライマー、リバースプライマーそれぞれ2.0μM、型番MR201、タカラバイオ社製)を4μL、SYBR Premix Ex Taq(Tli RNaseH Plus)(型番RR420、タカラバイオ社製)を10μL、滅菌蒸留水を4μL、用意して混合した。
[0126]
 この混合液に下記のサーマルサイクル条件でサーマルサイクルを施してPCRを行い、大腸菌16S rDNAのアンプリコンを取得した。アガロースゲル電気泳動により413bpの増幅産物が得られたことを確認した。アンプリコンの濃度がおおよそ5×10 コピー/μL程度となるよう溶液を希釈して、テンプレート1とした。
[0127]
 [サーマルサイクル条件]
 1)初期変性(95℃2分間) 1サイクル
 2)PCR(95℃20秒間、55℃20秒間、74℃20秒間)35サイクル
 3)保持(4℃)1サイクル
[0128]
 市販のインターカレーター法のPCR試薬(ddPCR EvaGreen Supermix、バイオ・ラッドラボラトリーズ社製)10μLに、上述のテンプレート1を2μL、QuickPrimer Escherichia / Shigella group(16S rDNA)(フォワードプライマー、リバースプライマーそれぞれ2.0 μM、型番MR201、タカラバイオ社製)を1μL、滅菌蒸留水を7μL、それぞれ添加し混合し、分散相とした。
[0129]
 上述の分散相に、連続相として、市販のデジタルPCR用のオイル(Droplet Generator Oil for Evagreen、バイオ・ラッドラボラトリーズ社製)を50μL添加した。この混合液をボルテックスミキサーで撹拌して、油中水型エマルジョンであるエマルジョン1を生成した。
[0130]
 <エマルジョンを用いたPCR>
 得られたエマルジョン1に下記のサーマルサイクル条件でサーマルサイクルを施してPCRを行った。
[0131]
 [サーマルサイクル条件]
 1)酵素活性化(95℃5分間) 1サイクル
 2)PCR(95℃30秒間、55℃1分間) 50サイクル
 3)信号安定化(4℃5分間、90℃5分間) 1サイクル
 4)保持(4℃) 1サイクル
[0132]
 <サーマルサイクル後の液滴の計測>
 サーマルサイクル後のエマルジョン1を、ガラス製沈査用プレート(MUR-300、松浪硝子工業株式会社)に20μL採取し、蛍光顕微鏡(BZ-8000、株式会社キーエンス)を用いて観察した。観察は、1つの視野につき、同一視野において可視光像と蛍光像(励起波長480/30nm、吸収波長510nm)を内蔵のカメラ(撮像素子:150万画素CCDイメージセンサ)で撮影し、これを5つの視野において行った。撮影した画像の一例を図5Aに示す。
[0133]
 得られた可視光像より、画像処理ソフトウエアを用いて、それぞれの液滴の直径を計測した。このとき、計測の分解能は10μmであり、直径10μm以下の液滴は計測対象外とした。また、得られた蛍光像より、目視による判定によって、それぞれの液滴について遺伝子増殖による蛍光増強の有無を判定し、分析対象物が検出されたか否かを判定した。可視光像と蛍光像とを重ね合わせることで、それぞれの液滴のサイズの情報と分析対象物が検出されたか否かの情報とを対応付けたデータを作成した。
[0134]
 得られたデータについて、液滴のサイズを複数の区間に分け、度数分布データを作成した。具体的には、液滴径が20μm以上30μm未満を1つの区間として、以降同様にして、計測の分解能である10μmを区間の幅として、液滴径を18個の区間に分けた。そして、区間ごとに液滴の数、陽性液滴の数、陰性液滴の数、をそれぞれ集計した。この結果を表1にまとめて示す。
[0135]
[表1]


[0136]
 表中、液滴径は液滴の平均直径、Totalは液滴の総数、Positiveは蛍光増強があった液滴(陽性液滴)の数、Negativeは蛍光増強がなかった液滴(陰性液滴)の数、をそれぞれ示す(以降、同様である)。
[0137]
 (準備例2)
 準備例1において、テンプレート1を10倍に希釈して、テンプレート2とした。すなわち、テンプレート2では、アンプリコンの濃度がおおよそ5×10 コピー/μL程度となっている。テンプレート1の代わりにテンプレート2を用いて分散相を形成したこと以外は準備例1と同様にして、エマルジョン2を生成した。
[0138]
 このエマルジョン2について、準備例1と同様にサーマルサイクルを施してPCRを行い、準備例1と同様にサーマルサイクル後の液滴を計測した。撮影した画像の一例を図5Bに示す。計測結果を表1にまとめて示す。
[0139]
 (準備例3)
 準備例1において、テンプレート1を100倍に希釈して、テンプレート3とした。すなわち、テンプレート3では、アンプリコンの濃度がおおよそ5×10 コピー/μL程度となっている。テンプレート1の代わりにテンプレート3を用いて分散相を形成したこと以外は準備例1と同様にして、エマルジョン3を生成した。
[0140]
 このエマルジョン3について、準備例1と同様にサーマルサイクルを施してPCRを行い、準備例1と同様にサーマルサイクル後の液滴を計測した。撮影した画像の一例を図5Cに示す。計測結果を表1にまとめて示す。
[0141]
 (準備例4)
 準備例1において、テンプレート1を1000倍に希釈して、テンプレート4とした。すなわち、テンプレート4では、アンプリコンの濃度がおおよそ5×10コピー/μL程度となっている。テンプレート1の代わりにテンプレート4を用いて分散相を形成したこと以外は準備例1と同様にして、エマルジョン4を生成した。
[0142]
 このエマルジョン4について、準備例1と同様にサーマルサイクルを施してPCRを行い、準備例1と同様にサーマルサイクル後の液滴を計測した。撮影した画像の一例を図5Dに示す。計測結果を表1にまとめて示す。
[0143]
 (準備例5)
 準備例1において、16S rDNA(QuickPrimer Escherichia / Shigella group)の代わりにHuman β-Actin(Human ACTB Endogenous Control、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)を用いたこと以外は準備例1と同様にして、PCRを行った。Human β-Actinのアンプリコンの濃度がおおよそ5×10 コピー/μL程度となるよう溶液を希釈して、テンプレート5とした。テンプレート1の代わりにテンプレート5を用いて分散相を形成したこと以外は準備例1と同様にして、エマルジョン5を生成した。
[0144]
 このエマルジョン5について、準備例1と同様にサーマルサイクルを施してPCRを行い、準備例1と同様にサーマルサイクル後の液滴を計測した。撮影した画像の一例を図6Aに示す。計測結果を表2にまとめて示す。
[0145]
[表2]


[0146]
 (準備例6)
 準備例5において、テンプレート5を10倍に希釈して、テンプレート6とした。すなわち、テンプレート6では、アンプリコンの濃度がおおよそ5×10 コピー/μL程度となっている。テンプレート5の代わりにテンプレート6を用いて分散相を形成したこと以外は準備例5と同様にして、エマルジョン6を生成した。
[0147]
 このエマルジョン6について、準備例5と同様にサーマルサイクルを施してPCRを行い、準備例5と同様にサーマルサイクル後の液滴を計測した。撮影した画像の一例を図6Bに示す。計測結果を表2にまとめて示す。
[0148]
 (準備例7)
 準備例5において、テンプレート5を100倍に希釈して、テンプレート7とした。すなわち、テンプレート7では、アンプリコンの濃度がおおよそ5×10 コピー/μL程度となっている。テンプレート5の代わりにテンプレート7を用いて分散相を形成したこと以外は準備例5と同様にして、エマルジョン7を生成した。
[0149]
 このエマルジョン7について、準備例5と同様にサーマルサイクルを施してPCRを行い、準備例5と同様にサーマルサイクル後の液滴を計測した。撮影した画像の一例を図6Cに示す。計測結果を表2にまとめて示す。
[0150]
 (準備例8)
 準備例5において、テンプレート5を1000倍に希釈して、テンプレート8とした。すなわち、テンプレート8では、アンプリコンの濃度がおおよそ5×10コピー/μL程度となっている。テンプレート5の代わりにテンプレート8を用いて分散相を形成したこと以外は準備例5と同様にして、エマルジョン8を生成した。
[0151]
 このエマルジョン8について、準備例5と同様にサーマルサイクルを施してPCRを行い、準備例5と同様にサーマルサイクル後の液滴を計測した。撮影した画像の一例を図6Dに示す。計測結果を表2にまとめて示す。
[0152]
 (比較例1)
 準備例1~4のエマルジョン1~4について、液滴を用いるデジタルPCRで一般に行われている方法で、サンプル中の分析対象物(標的核酸)の濃度を計算した。具体的には、全区間の液滴の総数の合計、全区間の陰性液滴の数の合計を用いて陰性液滴の割合を計算し、式(4)を用いて1つの反応場に含まれていた分析対象物の平均個数Cを算出した。そして、平均個数Cと全区間の液滴の総数の合計とを掛け合わせて、検出対象とした全液滴に含まれていた分析対象物の総数を算出した。その後、各区間の液滴の総数とその区間の液滴の液滴径とから、各区間に含まれる液滴の体積を計算し、検出対象とした液滴の総体積を計算した。そして、検出対象とした全液滴に含まれていた分析対象物の総数を検出対象とした全液滴の総体積で割ることで反応液における濃度を算出し、それに希釈倍率10倍を掛けることで、サンプル中の分析対象物の濃度に換算した。結果を表3に示す。
[0153]
[表3]


[0154]
 (実施例1)
 エマルジョン1について、分布データのうち、陽性液滴の割合が0%以上100%未満の区間のデータのみを用いてサンプル中の分析対象物の濃度を計算した。具体的には表4に示すように、陽性液滴の割合が100%であった区間10,14,15,17についてはデータを棄却して、それ以外の区間のデータを用いて計算を行った。棄却されなかった区間のそれぞれについて、区間ごとに比較例1~4と同様の計算によって分析対象物の数を計算した。また、棄却されなかった区間のそれぞれについて、区間ごとに区間内の液滴の総体積を計算した。そして、得られた各区間の分析対象物の数を合計したものを、各区間の液滴の総体積を合計したもので割ることで反応液における濃度を算出し、それにサンプルの希釈率10倍を掛けることで、サンプル中の分析対象物の濃度に換算した。
[0155]
[表4]


[0156]
 エマルジョン2~3についてもエマルジョン1と同様にして計算を行い、サンプル中の分析対象物の濃度を計算した。計算結果をまとめて表5に示す。
[0157]
[表5]


[0158]
 (実施例2)
 実施例1において、液滴径の区間の幅を10μmから20μmに変更した以外は実施例1と同様にして、サンプル中の分析対象物の濃度を計算した。エマルジョン1について液滴径の区間の幅を10μmから20μmに変更した場合の度数分布データと計算結果を表6に示す。
[0159]
[表6]


[0160]
 エマルジョン2~4についてもエマルジョン1と同様にして計算を行い、サンプル中の分析対象物の濃度を計算した。計算結果をまとめて表7に示す。
[0161]
[表7]


[0162]
 <比較例1と実施例1,2の比較>
 表3,5,7に示されるように、比較例1、実施例1,2のそれぞれにおいて、エマルジョン1,2,3,4は、それぞれ、エマルジョン1に対する相対希釈倍率が1倍、10倍、100倍、1000倍に相当する。したがって、エマルジョン1,2,3,4においてサンプル中の分析対象物の濃度は、それぞれ、エマルジョン1に対して1倍、0.1倍、0.01倍、0.001倍となるはずである。
[0163]
 図7は、比較例1、実施例1,2のそれぞれにおける、相対希釈倍率とサンプル中の分析対象物の濃度の計算結果との関係を示すグラフである。図7Aは比較例1の結果、図7Bは実施例1の結果、図7Cは実施例2の結果を、横軸を相対希釈倍率、縦軸を濃度の計算結果とした両対数グラフでそれぞれ示している。
[0164]
 上述のように、相対希釈倍率と濃度は、相対希釈倍率をy、濃度をxとすると、y=ax -1が成り立つ。したがって、両対数グラフにおいては両者の関係は傾きが-1の直線で表されるはずである。図7A~Cにおいて、エマルジョン1においてサンプル中の分析対象物の濃度が5×10 コピー/μLであったと仮定したときの相対希釈倍率と濃度の関係を、点線で示した。また、図7A~Cにおいて、実線は両対数グラフにおいて比較例1、実施例1,2の結果を累乗近似したときの近似曲線を示している。図7A~Cを比較すると、図7B,Cでは、図7Aよりも、実線の傾きが点線の傾きに近いことがわかった。具体的には、近似曲線の傾きは、比較例1では-0.78、実施例1では-0.86、実施例2では-0.86となった。このことから、実施例1,2では、比較例1よりも真の値に近い結果が得られたこと、すなわち、定量分析の信頼度が高いことがわかった。実施例1,2では、特に希釈倍率の低い部分、すなわち、サンプル中の分析対象物の濃度が高い部分において、真の値に近い結果が得られることがわかった。以上から、本発明によれば、液滴のサイズにばらつきがある場合であっても、信頼度の高い分析結果が得られることがわかった。
[0165]
 (比較例2)
 準備例5~8のエマルジョン5~8について、比較例1と同様の手順で、サンプル中の分析対象物の濃度を計算した。結果を表8に示す。
[0166]
[表8]


[0167]
 (実施例3)
 準備例5~8のエマルジョン5~8について、実施例1と同様の手順で、サンプル中の分析対象物の濃度を計算した。結果を表9に示す。
[0168]
[表9]


[0169]
 (実施例4)
 準備例5~8のエマルジョン5~8について、実施例2と同様の手順で、サンプル中の分析対象物の濃度を計算した。結果を表10に示す。
[0170]
[表10]


[0171]
 <比較例2と実施例3,4の比較>
 表8,9,10に示されるように、比較例2、実施例3,4のそれぞれにおいて、エマルジョン5,6,7,8は、それぞれ、エマルジョン5に対する相対希釈倍率が1倍、10倍、100倍、1000倍に相当する。したがって、エマルジョン5,6,7,8においてサンプル中の分析対象物の濃度は、それぞれ、エマルジョン5に対して1倍、0.1倍、0.01倍、0.001倍となるはずである。
[0172]
 図8は、比較例2、実施例3,4のそれぞれにおける、相対希釈倍率とサンプル中の分析対象物の濃度の計算結果との関係を示すグラフである。図8Aは比較例2の結果、図8Bは実施例3の結果、図8Cは実施例4の結果を、横軸を相対希釈倍率、縦軸を濃度の計算結果とした両対数グラフでそれぞれ示している。
[0173]
 上述のように、相対希釈倍率と濃度は、相対希釈倍率をy、濃度をxとすると、y=ax -1が成り立つ。したがって、両対数グラフにおいては両者の関係は傾きが-1の直線で表されるはずである。図8A~Cにおいて、エマルジョン5においてサンプル中の分析対象物の濃度が5×10 コピー/μLであったと仮定したときの相対希釈倍率と濃度の関係を、点線で示した。また、図8A~Cにおいて、実線は両対数グラフにおいて比較例2、実施例3,4の結果を累乗近似したときの近似曲線を示している。図8A~Cを比較すると、図8B,Cでは、図8Aよりも、実線の傾きが点線の傾きに近いことがわかった。具体的には、近似曲線の傾きは、比較例2では-0.73、実施例3では-0.88、実施例4では-0.89となった。このことから、実施例3,4では、比較例2よりも真の値に近い結果が得られたこと、すなわち、定量分析の信頼度が高いことがわかった。実施例3,4では、特に希釈倍率の低い部分、すなわち、サンプル中の分析対象物の濃度が高い部分において、真の値に近い結果が得られることがわかった。以上から、本発明によれば、液滴のサイズにばらつきがある場合であっても、信頼度の高い分析結果が得られることがわかった。
[0174]
 (準備例9)
 <エマルジョン9の生成>
 定量用デオキシリボ核酸(DNA)水溶液(型番6205-a 産業技術総合研究所 計量標準総合センター製)を分散相最終濃度として25コピー/μL、前記DNAに対応するように設計したプライマー(フォワードプライマー、リバースプライマーそれぞれ)を分散相最終濃度として0.5μM、DNA増幅を検出するための蛍光色素としてFAMを標識したプローブを分散相最終濃度として0.25μMとなるように加え、Premix Ex Taq(型番 RR390A、タカラバイオ社製)、滅菌蒸留水をさらに混合して、エマルジョン9の分散相を調製した。
[0175]
 界面活性剤であるKF-6038(信越化学工業製)をイソパラフィン系脂肪族炭化水素であるアイソパーL(エクソンモービル製)に溶解させ、エマルジョン9を調製した。本実施例では、油性組成物全体を100質量%としたときに界面活性剤の濃度が4質量%となるように油性組成物を調製した。
[0176]
 前記水性組成物を採取したシリンジ(08040、ニプロ製)の先端に、乳化膜であるシラス多孔質ガラス(SPG)膜(DC20U、SPGテクノ製)を接続した。シリンジをシリンジポンプ(SPS-1、アズワン製)にセットし、シリンジの先端の乳化膜を上記油性組成物9mL中に浸し、油性組成物を少量吸い上げてから、5mL/hの乳化流速(水性組成物注入速度)で分散相を注入して、油中水型エマルジョンであるエマルジョン9を生成した。
[0177]
 <エマルジョンを用いたPCR>
 得られたエマルジョン9に下記のサーマルサイクル条件でサーマルサイクルを施してPCRを行った。
[0178]
 [サーマルサイクル条件]
 1)酵素活性化(95℃30秒間) 1サイクル
 2)PCR(95℃5秒間、60℃30秒間) 40サイクル
 3)保持(4℃) 1サイクル
[0179]
 <サーマルサイクル後の液滴の計測>
 サーマルサイクル後のエマルジョン9を、ガラス製沈査用プレート(MUR-300、松浪硝子工業株式会社)に20μL採取し、蛍光顕微鏡(BZ-8000、株式会社キーエンス)を用いて観察した。観察は、1つの視野につき、同一視野において可視像と蛍光像(励起波長480/30nm、吸収波長510nm)を内蔵のカメラ(撮像素子:150万画素CCDイメージセンサ)で撮影し、これを10視野以上で行った。撮影した画像の一例を図9Aに示す。
[0180]
 得られたエマルジョンの顕微鏡像より、画像処理ソフトウエア(ImageJ)を用いて、それぞれの液滴の直径を計測した。このとき、直径40μm以下の液滴はノイズとの分離が困難であったために計測対象外とした。さらに、前記の画像処理ソフトウエアを用いて、それぞれの液滴について遺伝子増殖による蛍光増強の有無を判定し、それぞれの液滴のサイズの情報と分析対象物が検出されたか否かの情報とを対応付けたデータを作成した。
[0181]
 得られたデータについて、液滴のサイズを複数の区間に分け、度数分布データを作成した。具体的には、液滴径が40μm以上50μm未満を1つの区間として、以降同様にして、計測の分解能である10μmを区間の幅として、液滴径を19個の区間に分けた。そして、区間ごとに液滴の数、陽性液滴の数、陰性液滴の数、をそれぞれ集計した。この結果を表11にまとめて示す。
[0182]
[表11]


[0183]
 上記表11中、液滴径は液滴の平均直径、Totalは液滴の総数、Positiveは蛍光増強があった液滴(陽性液滴)の数、Negativeは蛍光増強がなかった液滴(陰性液滴)の数、をそれぞれ示す(以降、同様である)。
[0184]
 (準備例10)
 <エマルジョン10の生成>
 DNA濃度を250コピー/μLとした以外は準備例9と同様にして、エマルジョン10を生成した。
[0185]
 このエマルジョン10について、準備例9と同様にサーマルサイクルを施してPCRを行い、準備例9と同様にサーマルサイクル後の液滴の総数(Total)、陽性液滴数(Positive)、および陰性液滴数(Negative)を計測した。撮影した画像の一例を図9Bに示す。計測結果を表11にまとめて示す。
[0186]
 (準備例11)
 <エマルジョン11の生成>
 DNA濃度を2500コピー/μLとした以外は準備例9と同様にして、エマルジョン11を生成した。
[0187]
 このエマルジョン11について、準備例9と同様にサーマルサイクルを施してPCRを行い、準備例9と同様にサーマルサイクル後の液滴の総数、陽性液滴数、および陰性液滴数を計測した。撮影した画像の一例を図9Cに示す。計測結果を表11にまとめて示す。
[0188]
 (準備例12)
 <エマルジョン12の生成>
 DNA濃度を6250コピー/μLとした以外は準備例9と同様にして、エマルジョン12を生成した。
[0189]
 このエマルジョン12について、準備例9と同様にサーマルサイクルを施してPCRを行い、準備例9と同様にサーマルサイクル後の液滴の総数、陽性液滴数、および陰性液滴数を計測した。撮影した画像の一例を図9Dに示す。計測結果を表11にまとめて示す。
[0190]
 (準備例13)
 <エマルジョン13の生成>
 DNA濃度を20000コピー/μLとした以外は準備例9と同様にして、エマルジョン13を生成した。
[0191]
 このエマルジョン13について、準備例9と同様にサーマルサイクルを施してPCRを行い、準備例9と同様にサーマルサイクル後の液滴の総数、陽性液滴数、および陰性液滴数を計測した。撮影した画像の一例を図9Eに示す。計測結果を表11にまとめて示す。
[0192]
 (比較例3)
 準備例9~13のエマルジョン9~13について、比較例1と同様に検出対象とした全液滴に含まれていた分析対象物の総数、および、各サンプル中の分析対象物濃度を算出した。さらに、各サンプルで算出した分析対象物濃度と各サンプルの分散相濃度との乖離率を算出した。これらの結果を表12に示す。
[0193]
[表12]


[0194]
 (実施例5)
 エマルジョン9~12について、実施例1と同様の手順で、サンプル中の分析対象物の濃度を計算した。結果をまとめたものを表13に示す。
[0195]
[表13]


[0196]
 <比較例3と実施例5の比較>
 図10は、比較例3、実施例5におけるエマルジョン9~13の各エマルジョンに対する調製濃度とサンプル中の分析対象物の濃度の計算結果との関係を表すグラフである。図10と表12、13との結果から、液滴サイズを考慮した実施例ではサンプル濃度との乖離率が9%を下回っており、比較例と比べても値の振れが小さいことがわかった。さらに今回用いたDNA試料は真の値に対して95%信頼区間で9.2%の誤差を許容されるものである。以上から、本発明によれば、液滴のサイズにばらつきがある場合であっても、真の値に近い計算結果が得られることがわかった。
[0197]
 (比較例4)
 エマルジョン9~11に対応する25、250、2500コピー/μLのDNA濃度に関して、市販の液滴型デジタルPCR装置(型式:QX200 Droplet Digital PCRシステム、バイオラッド・ラボラトリー社製)で両者の比較を行った。
[0198]
 液滴の分散相は、実施例5と同様にプライマー(フォワードプライマー、リバースプライマーそれぞれ)を分散相最終濃度として0.5μM、FAM標識プローブを分散相最終濃度0.25μMとなるように加え、PCRミックス(型番 186-3023、バイオラッド・ラボラトリー社製)、滅菌蒸留水をさらに混合して、エマルジョン9~11に対応する分散相を調製した。
[0199]
 調製した分散相を液滴生成装置(Automated Droplet Generatorシステム、バイオラッド・ラボラトリー社製)で液滴を生成し、下記のサーマルサイクル条件でサーマルサイクルを施してPCRを行った。
[0200]
 [サーマルサイクル条件]
 1)酵素活性化(95℃10分間) 1サイクル
 2)PCR(95℃30秒間、60℃1分間) 50サイクル
 3)保持(4℃) 1サイクル
 上記以外の濃度計測までの操作はシステムのプロトコルに従った。
[0201]
 表14に市販装置の分析結果を示す。表に示す相対希釈倍率とは、エマルジョン11に相当するDNA濃度である2500コピー/μLを1としたものであり、エマルジョン10に相当する250コピー/μLは10、エマルジョン9に相当する25コピー/μLは100となる。表4から、市販装置において得られた値は、サンプル濃度との乖離率が9.2%を下回っており、真の値と近いことがわかった。
[0202]
[表14]


[0203]
 <比較例4と本実施例のエマルジョン9~11の比較>
 図11は、エマルジョン9~11の実施例の結果と比較例4で実施した結果を、横軸に相対希釈倍率、縦軸は濃度の計算結果とした両対数グラフで示している。
[0204]
 図において、黒点線は本実施例、の灰点線は市販装置における比較例の結果を累乗近似した時の近似曲線をそれぞれ示している。両者を比較すると近似曲線の傾きはそれぞれ-1.002と-0.966であり、理想的な-1に近い値が得られていることがわかった。さらに、両者のプロットは検討した濃度範囲においていずれも真の値から9%以内の乖離率であったことから、両者では真の値に近い結果と高い定量性が得られていることがわかった。以上から、本発明の実施例によれば、液滴のサイズにばらつきがある場合であっても、信頼度の高い分析結果が得られることがわかった。
[0205]
 本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために以下の請求項を添付する。
[0206]
 本願は、2017年7月6日提出の日本国特許出願特願2017-132911と2018年6月29日提出の日本国特許出願特願2018-125187を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てをここに援用する。

請求の範囲

[請求項1]
 サンプル中の分析対象物の濃度を分析する分析システムであって、
 前記サンプルを含む液体を分割して生成された複数の反応場について、前記複数の反応場のそれぞれのサイズに関する情報を取得するサイズ情報取得部と、
 前記複数の反応場のそれぞれにおける前記分析対象物の存在に関する情報を取得する分析対象物情報取得部と、
 前記反応場のサイズの分布を複数の区間に分け、前記区間ごとに、前記分析対象物が検出された反応場である陽性反応場の数に関する情報、および、前記分析対象物が検出されなかった反応場である陰性反応場の数に関する情報、からなる群から選択される少なくとも1つの情報を含む分布データを、前記サイズ情報取得部および前記分析対象物情報取得部で取得された情報に基づいて生成する分布データ生成部と、
 前記陽性反応場の数に関する情報、および、前記陰性反応場の数に関する情報、からなる群から選択される少なくとも1つの情報に基づいて、濃度の導出に用いる区間を決定する区間決定部と、
 前記分布データのうち、前記区間決定部で決定された区間のデータに基づいて、前記サンプル中の前記分析対象物の濃度を導出する濃度導出部と、を有することを特徴とする分析システム。
[請求項2]
 前記区間決定部は、前記陽性反応場の数もしくは割合、または、前記陰性反応場の数もしくは割合が所定の範囲に含まれる少なくとも1つの前記区間を、濃度の導出に用いる区間と決定することを特徴とする請求項1に記載の分析システム。
[請求項3]
 前記区間決定部は、前記陽性反応場の数もしくは割合、または、前記陰性反応場の数もしくは割合が前記所定の範囲に含まれない少なくとも1つの前記区間を棄却し、棄却されなかった区間を濃度の導出に用いる区間と決定する請求項1に記載の分析システム。
[請求項4]
 前記濃度導出部が、前記区間のそれぞれについて、当該区間に含まれる前記分析対象物の数をポアソンモデルに基づいて導出することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の分析システム。
[請求項5]
 前記サイズ情報取得部および前記分析対象物情報取得部が、前記複数の反応場の少なくとも一部を撮像する撮像手段を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の分析システム。
[請求項6]
 前記液体を分割して前記複数の反応場を生成する反応場生成部をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の分析システム。
[請求項7]
 前記反応場生成部が、前記液体が、前記液体と非相溶な第2の液体中に液滴状に分散されたエマルジョンを生成する手段であることを特徴とする請求項6に記載の分析システム。
[請求項8]
 前記反応場生成部が、膜乳化法または機械乳化法によって前記エマルジョンを生成する手段であることを特徴とする請求項7に記載の分析システム。
[請求項9]
 前記液体は前記分析対象物を検出可能にするための薬剤を含有しており、
 前記複数の反応場のそれぞれにおいて前記薬剤による反応を進行させ、前記分析対象物を検出可能にする反応部をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の分析システム。
[請求項10]
 前記分析対象物が、核酸であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の分析システム。
[請求項11]
 前記薬剤が、前記核酸を増幅させるための増幅試薬と、前記核酸と相互作用して蛍光を発する蛍光試薬と、を含むことを特徴とする請求項10に記載の分析システム。
[請求項12]
 前記反応が、PCRを含むことを特徴とする請求項10または請求項11に記載の分析システム。
[請求項13]
 前記反応部が、前記複数の反応場のそれぞれの温度を調節する温度調節器を有することを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれか一項に記載の分析システム。
[請求項14]
 前記複数の反応場のサイズの分布が、多分散であることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の分析システム。
[請求項15]
 前記区間決定部が、前記陽性反応場の割合が、0%以上100%未満である少なくとも1つの前記区間を濃度の導出に用いる区間と決定することを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載の分析システム。
[請求項16]
 前記区間決定部が、前記陽性反応場の割合が、0%以上90%未満である少なくとも1つの前記区間を濃度の導出に用いる区間と決定することを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載の分析システム。
[請求項17]
 サンプル中の分析対象物の濃度を分析する分析方法であって、
 前記サンプルを含む液体を分割して生成された複数の反応場について、前記複数の反応場のそれぞれのサイズに関する情報を取得するサイズ情報取得工程と、
 前記複数の反応場のそれぞれにおける前記分析対象物の存在に関する情報を取得する分析対象物情報取得工程と、
 前記反応場のサイズの分布を複数の区間に分け、前記区間ごとに、前記分析対象物が検出された反応場である陽性反応場の数に関する情報、ならびに、前記分析対象物が検出されなかった反応場である陰性反応場の数に関する情報、からなる群から選択される少なくとも1つの情報を含む分布データを、前記サイズ情報取得工程および前記分析対象物情報取得工程で取得された情報に基づいて生成する分布データ生成工程と、
 前記分布データのうち、前記陽性反応場の数もしくは割合、または、前記陰性反応場の数もしくは割合が、所定の範囲に含まれる前記複数の区間のうちの一部の区間のデータに基づいて、前記サンプル中の前記分析対象物の濃度を導出する濃度導出工程と、を有することを特徴とする分析方法。
[請求項18]
 コンピュータに、分析対象物を含むサンプルを含む液体を分割して生成された複数の反応場に関する、前記複数の反応場のそれぞれのサイズに関する情報と、前記複数の反応場のそれぞれにおける前記分析対象物の存在に関する情報と、を含む検出データの処理を実行させるプログラムであって、
 前記処理が、
 前記反応場のサイズの分布を複数の区間に分け、前記区間ごとに、前記分析対象物が検出された反応場である陽性反応場の数に関する情報、ならびに、前記分析対象物が検出されなかった反応場である陰性反応場の数に関する情報、からなる群から選択される少なくとも1つの情報を含む分布データを、前記検出データから生成する分布データ生成ステップと、
 前記分布データのうち、前記陽性反応場の数もしくは割合、または、前記陰性反応場の数もしくは割合が、所定の範囲に含まれる前記複数の区間のうちの一部の区間のデータに基づいて、前記サンプル中の前記分析対象物の濃度を導出する濃度導出ステップと、を有することを特徴とするプログラム。
[請求項19]
 請求項18に記載のプログラムを格納した、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
[請求項20]
 サンプル中の分析対象物の濃度を分析する分析システムであって、
 前記サンプルを含む液体を分割して生成された複数の反応場について、前記複数の反応場のそれぞれのサイズに関する情報を取得するサイズ情報取得部と、
 前記複数の反応場のそれぞれにおける前記分析対象物の存在に関する情報を取得する分析対象物情報取得部と、
 前記反応場のサイズの分布を複数の区間に分け、前記区間ごとに、前記分析対象物が検出された反応場である陽性反応場の数に関する情報、および、前記分析対象物が検出されなかった反応場である陰性反応場の数に関する情報、からなる群から選択される少なくとも1つの情報を含む分布データを、前記サイズ情報取得部および前記分析対象物情報取得部で取得された情報に基づいて生成する分布データ生成部と、
 前記陽性反応場の数に関する情報、および、前記陰性反応場の数に関する情報、からなる群から選択される少なくとも1つの情報に基づいて、前記分布データを加工するデータ加工部と、
 前記データ加工部で加工された前記分布データに基づいて、前記サンプル中の前記分析対象物の濃度を導出する濃度導出部と、を有することを特徴とする分析システム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5A]

[ 図 5B]

[ 図 5C]

[ 図 5D]

[ 図 6A]

[ 図 6B]

[ 図 6C]

[ 図 6D]

[ 図 7A]

[ 図 7B]

[ 図 7C]

[ 図 8A]

[ 図 8B]

[ 図 8C]

[ 図 9A]

[ 図 9B]

[ 図 9C]

[ 図 9D]

[ 図 9E]

[ 図 10]

[ 図 11]