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1. (WO2019004277) PROCÉDÉ ET DISPOSITIF DE FABRICATION DE PRODUIT LIQUIDE
Document

明 細 書

発明の名称 液状製品の製造方法、液状製品の製造装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020  

発明の効果

0021  

図面の簡単な説明

0022  

発明を実施するための形態

0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111  

実施例

0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235  

符号の説明

0236  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : 液状製品の製造方法、液状製品の製造装置

技術分野

[0001]
 本発明は、液状製品の製造方法、液状製品の製造装置に関する。
 本願は、2017年06月27日に出願された日本国特願2017-125399号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

[0002]
 通常の生活において、日常的に食料品や化粧品などの種々の液状体が使用されており、各社の液状製品として数多く流通している。各社においては、これらの液状製品に、製品差別化のための付加価値を付与する検討が行われている。
[0003]
 例えば、液状製品の付加価値として、製品の長寿命化が検討されている。通常、液状製品(液状体)は、使用過程において変質してしまうことが多い。変質の代表例は、食料品における雑菌の増殖を原因としている。このような雑菌の増殖を抑制するため、食料品を殺菌する種々の方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
[0004]
 また、上述の液状体の変質理由は、雑菌の増殖だけには限らない。他の変質理由としては、液状体に溶解または懸濁している物質の酸化が考えられる。これに対し、液状体に含まれる溶存酸素を低減させることで、液状体に溶解または懸濁している物質の酸化を抑制する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
[0005]
 また、液状製品が食料品である場合、液状製品の付加価値として、液状製品を口にしたときの食感(口当たり)の改善が検討されている。液状製品の口当たりを、より消費者に好かれる口当たりとするため、液状製品に乳化剤、増粘剤や各種糖類を添加する方法が知られている。また、長期間熟成させた液状体を液状製品として販売することが知られている。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特許第3098639号公報
特許文献2 : 特開2006-42814号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 これまで、液状体の変質抑制や口当たりの改良を行い、液状製品の付加価値を高めるために種々の方法が検討されてきたが、さらなる改良が求められていた。
[0008]
 本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、液状製品に従来よりも変質抑制や口当たりの改良といった高い付加価値を付与することが可能な液状製品の製造方法を提供することを目的とする。また、従来よりも高い付加価値が付与された液状製品を容易に製造可能とする液状製品の製造装置を提供することを併せて目的とする。

課題を解決するための手段

[0009]
 上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、被処理物である液状体を3MPa以上の圧力にて静水圧処理する工程を有する液状製品の製造方法を提供する。
[0010]
 本発明の一態様においては、前記静水圧処理する工程において、3MPa以上200MPa以下の条件で静水圧処理する製造方法としてもよい。
[0011]
 本発明の一態様においては、前記静水圧処理する工程において、前記液状体の融点以上前記液状体の融点+60℃以下、0.1分以上30分以下の条件で静水圧処理する製造方法としてもよい。
[0012]
 また、本発明の一態様は、液状体を収容する内部空間を有し、液密に設けられた筒状の処理器と、前記処理器の一端側に接続され、前記内部空間に流入する前記液状体が流動する第1配管と、前記処理器の他端側に接続され、前記内部空間において生成する液状製品が流動する第2配管と、前記液状体を加圧して前記内部空間に貯留される前記液状体を加圧する加圧装置と、を有する液状製品の製造装置を提供する。
[0013]
 本発明の一態様においては、前記処理器の内部を洗浄する定置洗浄装置をさらに有する構成としてもよい。
[0014]
 本発明の一態様においては、前記加圧装置は、前記第1配管に設けられ、前記液状体を加圧して前記内部空間に流入させる加圧ポンプである構成としてもよい。
[0015]
 本発明の一態様においては、前記処理器は、前記内部空間を有し液密に設けられた筒状の第1処理器と、前記内部空間を有し液密に設けられた筒状の第2処理器と、を有し、前記第1配管は、前記第1処理器と前記第2処理器とのそれぞれの一端側に対して並列に接続され、前記第2配管は、前記第1処理器と前記第2処理器とのそれぞれの他端側に対して並列に接続されている構成としてもよい。
[0016]
 本発明の一態様においては、前記加圧装置は、前記第1処理器および前記第2処理器のそれぞれに応じて設けられている構成としてもよい。
[0017]
 また本発明の一態様は、上述の液状製品の製造装置を用いた液状製品の製造方法であって、前記処理器内で前記液状体を3MPa以上の圧力にて静水圧処理し、前記液状製品を得る工程と、前記処理器内に前記液状体を流入させると共に、前記処理器内に流入する前記液状体を用いて前記液状製品を押出して、前記処理器内を置換する工程と、を有する液状製品の製造方法を提供する。
[0018]
 本発明の一態様においては、前記置換する工程において、前記液状体により前記処理器内の90体積%以下の前記液状製品を置換する製造方法としてもよい。
[0019]
 本発明の一態様においては、前記液状製品を得る工程において、3MPa以上200MPa以下の条件で静水圧処理する製造方法としてもよい。
[0020]
 本発明の一態様においては、前記液状製品を得る工程において、前記液状体の融点以上前記液状体の融点+60℃以下、0.1分以上30分以下の条件で静水圧処理する製造方法としてもよい。

発明の効果

[0021]
 本発明によれば、液状製品に従来よりも変質抑制や口当たりの改良といった高い付加価値を付与することが可能な液状製品の製造方法を提供することができる。また、従来よりも高い付加価値が付与された液状製品を容易に製造可能とする液状製品の製造装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0022]
[図1] 本願発明における推論内容を説明する説明図。
[図2] 本願発明における推論内容を説明する説明図。
[図3] 第2実施形態に係る液状製品の製造装置の説明図。
[図4] 変形例に係る液状製品の製造装置を示す模式図。
[図5] 実施例1の結果を示すグラフ。
[図6] 実施例3の結果を示すグラフ。
[図7] 実施例4の結果を示すグラフ。
[図8] 実施例12の結果を示すグラフ。
[図9] 実施例13の結果を示すグラフ。

発明を実施するための形態

[0023]
[第1実施形態]
 以下、図1,2を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る液状製品の製造方法について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
[0024]
 本実施形態に係る液状製品の製造方法は、被処理物である液状体を3MPa以上の圧力にて静水圧処理する工程を有する。
[0025]
 ここで、本明細書において「液状」とは、常温において一定の流動性を有する状態であることを指す。この意味において「液状」には、物質が液体の状態であることに加え、物質がゲル状またはペースト状であることも含まれる。
[0026]
 また、本明細書において「液状製品」とは、常温において「液状」であり、媒質として水を含む製品を指す。
[0027]
 「液状製品」として、食料品であれば、水、果汁、牛乳、乳飲料、茶飲料、コーヒー飲料、スポーツ飲料、栄養ドリンクなどのアルコールを含まない飲料、ビール、酎ハイ、清酒、ワイン、ウイスキー、ブランデー、焼酎などのアルコールを含む飲料を挙げることができる。
[0028]
 また、「液状製品」として、醤油、液体だし、たれ、ソース、ドレッシング、マヨネーズなどの調味料や、レトルト食品も挙げることができる。
[0029]
 さらに、「液状製品」として、化粧液、化粧乳液、化粧クリームなどの化粧品、点滴液などの医薬品、調製香料などを挙げることができる。
[0030]
 液状体が上記静水圧処理する工程で処理されて得られた液状製品は、酸化による劣化が抑制される。詳しくは、上記静水圧処理する工程で処理された液状製品は、液状製品に含まれる有機物の酸化による劣化が抑制される。
[0031]
 まず、液状製品の酸化は、液状製品に溶解する酸素(溶存酸素)に起因して生じると考えられる。従来の考え方によれば、液状製品中の有機物の酸化を抑制するためには、溶存酸素濃度を低減することが重要である。
[0032]
 これに対し、本発明は、以下のような推論に基づいている。
[0033]
 図1,2は、本願発明における推論内容を説明する説明図である。発明者は、種々の検討の結果から、静水圧処理が施される液状体1には、図1に示すように、異なる2種の形態の溶存酸素10が含まれると考えた。
[0034]
 まず、溶存酸素10として、静水圧処理前の液状体1には、液状体1に単分子溶解する酸素分子11が存在すると考える。
[0035]
 また、静水圧処理前の液状体1には、酸素分子および窒素、二酸化炭素などの酸素以外の気体分子が数個から数十個凝集した分子クラスター12も存在すると考える。図では、分子クラスター12に含まれる酸素分子を符号18、分子クラスター12に含まれる酸素以外の気体分子を符号19としている。
[0036]
 すなわち、本願発明においては、液状体1に含まれる溶存酸素10として、液状体1に単分子溶解した酸素分子11と、酸素分子18を含む分子クラスター12と、の2つの形態が存在すると考える。単分子溶解する酸素分子11と、分子クラスター12とは、液状体1において均等に分散し、偏りがないと考えられる。
[0037]
 ここで、本願明細書において想定する分子クラスター12の大きさは、これまで確認されている微小気泡よりも小さいと考えている。例えば、試料冷却機能付きの透過型電子顕微鏡を用い、凍結水中に平均粒径7nmのナノバブルを観察した例がある(Nonotech Japan Bulletin Vol.8, No.4, 2015)。
[0038]
 本願明細書において想定する分子クラスター12は、例えば7nmよりも小さく、観察できない大きさであるとする。
[0039]
 したがって、液状体1に溶存酸素10が含まれる場合に、溶存酸素10に酸素分子11と分子クラスター12との2つの形態が存在するとしても、分子クラスター12の存在を直接確認することはできない。
[0040]
 これに対し、発明者は、溶存酸素10における上述のような形態の違いは、液状体1に含まれる有機物20への反応性の違いとして現れると考えた。
[0041]
 液状体1に含まれる有機物20が酸化するためには、液状体1において溶存酸素10と接する必要がある。このとき、有機物20が酸素分子11に接した場合、酸化するとしても、酸素1分子分しか酸化が進行しない。そのため、酸化反応に酸素分子11だけが関与する場合には、酸化が進みにくいと考えられる。
[0042]
 一方、有機物20が分子クラスター12に接した場合、分子クラスター12に含まれる複数の酸素分子18が一度に酸化に寄与すると考えられる。
[0043]
 また、分子クラスター12が液状体1に含まれている場合、分子クラスター12に含まれる酸素分子18が有機物20の酸化で消費されたとしても、液状体1に単分子溶解する酸素分子11が、分子クラスター12の中に相平衡で移動すると考えられる。すなわち、分子クラスター12は、液中の酸化反応を促進する触媒作用を呈すると考えられる。
[0044]
 そのため、酸化反応に分子クラスター12が関与する場合には、酸化反応に酸素分子11だけが関与する場合と比べ、有機物20の酸化が進みやすいと考えられる。
[0045]
 これらの推論から、発明者は分子クラスター12の総量を減らすことができれば、液状体1に含まれる有機物20の酸化を抑制できると考えた。
[0046]
 また、液状体1が食料品である場合、液状体1を分析した結果得られる組成には大きな違いが無いにもかかわらず、口当たりが異なることがある。このような口当たりの違いは、液状体1の分析結果には表れない、または分析結果に表れにくい原因に基づくと考えられる。このような経験則から、発明者は液状体1に含まれる分子クラスター12の総量を減らすことができれば、液状体1の口当たりを改変できるのではないかと考えた。
[0047]
 本実施形態の液状製品の製造方法では、液状体1を3MPa以上の圧力で静水圧処理する。これにより、図2に示すように、液状体1の液中で分子クラスター12が崩壊し、分子クラスター12を構成していた各気体分子が液状体1に単分子溶解すると考えられる。その後、加圧状態から常圧に戻したとしても、液中に溶解した各気体分子が再度会合し分子クラスター12を形成する力は存在しないため、加圧前の状態にまで分子クラスター12が再生することはない。したがって、上記静水圧処理を行って得られる液状製品は、分子クラスター12が寄与する酸化が抑制されると考えられる。
[0048]
 また、液状製品が食料品である場合、上述のように液状製品から分子クラスター12の量が減ると、分子クラスター12が寄与する口当たりの違いが認識され、口当たりが改善することが期待される。
[0049]
 静水圧処理の圧力は、5MPa以上でもよく、10MPa以上でもよい。
 静水圧処理の圧力は、例えば200MPa以下でもよく、100MPa以下でもよい。
 静水圧処理の圧力の上限値、下限値は、任意に組み合わせることができる。
[0050]
 静水圧処理の圧力は、液状体1に含まれる溶質の種類、濃度、処理温度および処理時間に応じて決定する。静水圧処理の圧力は、予め予備実験を行っておき、過剰とならない圧力条件を予め検討することにより設定してもよい。
[0051]
 静水圧処理の処理温度は、液状体1の種類に応じて決定する。処理温度は、液状体1の融点より高い温度であって液状体1が熱的に変質しない温度未満であれば、適宜選択することができる。
[0052]
 静水圧処理の処理温度は、例えば[液状体の融点]以上[液状体の融点+60℃]以下でもよい。
[0053]
 静水圧処理の処理時間は、分子クラスター12を消失させることができる範囲内であって、できるだけ短い時間でもよい。なお、「処理時間」とは、静水圧処理の圧力が設定圧力に達した後の保持時間のことを指す。
[0054]
 処理時間は、液状体1に含まれる溶質の種類、濃度、処理圧力および処理温度に応じて決定する。処理時間は、予め予備実験を行っておき、過剰とならない処理時間を予め検討することにより設定してもよい。
[0055]
 液状製品を製造する処理速度を考慮すると、処理時間は、例えば、0.1分以上30分以内であってもよい。処理時間は0.2分以上であってもよい。また、処理時間は10分以内であってもよい。処理時間の上限値下限値は、任意に組み合わせることができる。
[0056]
 また、液状体1を静水圧処理する際、液状体1を常圧から設定圧力にまで加圧するために要する時間は10秒以内であってもよく、5秒以内であってもよい。静水圧処理後の液状体1を加圧状態から常圧に戻すために要する時間は、10秒以内であってもよく、5秒以内であってもよく、2秒以内であってもよい。
 なお、加圧状態から常圧に戻すことを、以下の説明では「除圧」と称することがある。
 加圧するための時間、除圧の時間は、液状体1に含まれる溶質の種類、濃度、処理圧力、処理温度、製造装置の規模などに応じて、任意に組み合わせて設定することができる。
[0057]
 従来の考え方によれば、溶存酸素濃度を低減することにより、液状体1に含まれる有機物の酸化を抑制していた。溶存酸素濃度を低減させる方法としては、まず加熱が考えられる。しかし、加熱による溶存酸素濃度の低減は、例えば食料品を生産する場合、食料品の味や風味を損なうおそれがあり、十分な効果を望めない。
[0058]
 また、溶存酸素濃度を低減させる方法としては、まず減圧(脱気)が考えられる。しかし、脱気により溶存酸素濃度を低減する場合、大量の液状製品を生産するプロセスにおいては、大型の減圧設備を用意する必要があり、実生産に不向きである。
[0059]
 さらに、上述した推論によれば、いずれの方法においても液中に分子クラスター12が残存する限り、分子クラスター12の触媒作用による酸化を抑制することはできず、十分な対策とならないおそれがある。
[0060]
 これに対し、本願発明で採用する静水圧処理は、加圧により分子クラスターを構成する気体分子を単分子溶解させることで、分子クラスターを消失させることができる。
 また、静水圧処理は、加熱処理と比べて、食料品の味や風味を損なうことがない。
 さらに、静水圧処理は、減圧処理と比べて、生産設備を大型化する必要がなく、設備投資やランニングコストも低廉に抑えることができる。
[0061]
 また、発明者が別途行った実験により、このような静水圧処理を施した液状製品が、従来よりも酸化劣化を抑制可能であることを確認した。
[0062]
 したがって、以上のような構成の液状製品の製造方法によれば、従来よりも酸化劣化を抑制することが可能となる。
[0063]
 また、従来の考え方によれば、乳化剤や増粘剤などの添加剤を加えたり、長時間の熟成を行ったりすることにより、液状体1の口当たりの改善を行い、液状製品を得ていた。しかし、添加剤を加えることによって液状製品の口当たりを改善する場合、液状製品の味に影響を及ぼすことがある。また、長時間の熟成により液状製品の口当たりを改善する場合、液状製品の製造に長時間を必要とするため、生産効率が低下する。
[0064]
 これに対し、本願発明で採用する静水圧処理は、添加剤を加えることなく、また熟成と比べて短時間のうちに、液状製品の口当たりを改善することができる。
[0065]
 また、発明者が別途行った実験により、このような静水圧処理を施した液状製品が、従来よりも口当たりを改善可能であることを確認した。
[0066]
 したがって、以上のような構成の液状製品の製造方法によれば、従来よりも口当たりを改善することが可能となる。
[0067]
[第2実施形態]
 図3は、本発明の第2実施形態に係る液状製品の製造装置100の一態様の説明図である。
[0068]
 図に示すように、製造装置100は、処理器110と、第1配管120と、加圧ポンプ(加圧装置)125と、第2配管130と、を有している。また、製造装置100は、定置洗浄装置135と、第3配管140と、を有している。
[0069]
 製造装置100は、上述した被処理物である液状体1を静水圧処理し、液状製品2を製造するために用いる。
 以下、順に説明する。
[0070]
 処理器110は、液状体1を収容する内部空間110Sを有し、液密に設けられた筒状の部材である。処理器110は、例えば円柱状の内部空間110Sを有する部材である。
[0071]
 円柱状である内部空間110Sの直径に対する軸方向の長さの比率は、2以上でもよく、4以上でもよい。
[0072]
 処理器110は、例えば、一端側110aを重力方向下方に向け、他端側110bを重力方向上方に向けて配置し使用する。
[0073]
 処理器110では、内部空間110Sに貯留した液状体1に圧力を加えて静水圧処理を行うことができる。これにより、液状体1に含まれる上述の分子クラスター12が消失し、液状製品2が得られる。
[0074]
 第1配管120は、処理器110の一端側110aに接続されている。第1配管120の内部は、内部空間110Sに流入する液状体1が流動する。
[0075]
 加圧ポンプ125は、第1配管120の経路内に設けられている。加圧ポンプ125は、第1配管120の内部を流動する液状体1を加圧し、内部空間110Sに流入させる。これにより、内部空間110Sでは、液状体1に例えば3MPa以上の圧力が加わり、第1実施形態で説明した静水圧処理を行うことができる。
[0076]
 なお、本実施形態においては、処理器110の内部に貯留する液状体1を加圧する加圧装置として、加圧ポンプ125を用いることとしているが、これに限らない。加圧ポンプ125に代えて、アキュムレータを用いることとしてもよい。また、加圧装置として、処理器110が内部空間110Sの容積を変化させる装置を備えることとしてもよい。
[0077]
 第2配管130は、処理器110の他端側110bに接続されている。第2配管130の内部は、内部空間110Sにおいて生成する液状製品2が流動する。処理器110における第1配管120の接続位置と、処理器110における第2配管130の接続位置と、は、できるだけ離すほうがよい。
[0078]
 第2配管130は、内部空間110Sにおいて最も高い位置(重力方向において最も上方の位置)に開口するように、処理器110に接続するとよい。このような位置に接続することにより、処理器110内の液状体1または液状製品2を流出させる際、液状体1または液状製品2が流動しにくいデッドスペースが生じ難い。そのため、第2配管130を介して処理器110内の液状体1または液状製品2を流出させやすくなる。
[0079]
 第2配管130には、経路内に三方弁131が設けられている。三方弁131には、配管132を介して定置洗浄装置135が接続されている。
[0080]
 定置洗浄装置135は、定期的または液状体1の交換に際して、水、熱水、洗浄液、酸、アルカリ溶液、水蒸気などを内部空間110Sに導入し、処理器110を分解することなく内部空間110Sを自動的に洗浄、殺菌するための装置である。定置洗浄装置135としては、通常知られた構成の装置を適宜採用することができる。
[0081]
 第3配管140は、処理器110の一端側110aに接続されている。第3配管140の内部は、内部空間110Sに流入する液状体1が流動する。
[0082]
 第3配管140の経路内には、送液ポンプ141が設けられている。送液ポンプ141は、液状体1を内部空間110Sに向けて送液する。
[0083]
 第3配管140には、経路内に三方弁142が設けられている。三方弁142には、ドレイン配管143が接続されている。ドレイン配管143は、主として処理器110や第3配管140内の液状体1や、処理器110の内部洗浄時の洗浄廃液などを払いだすために用いる。
[0084]
 このような製造装置100を用いて液状製品2を製造する場合、例えば、次のような製造方法を採用することができる。
[0085]
 まず、処理器110内で液状体1を3MPa以上の圧力にて静水圧処理し、液状製品2を得る(液状製品を得る工程)。
[0086]
 具体的には、まず、第3配管140を介し送液ポンプ141を用いて、処理器110に液状体1を流入させる。処理器110内に液状体1が満たされた後は、第1配管120を介し加圧ポンプ125を用いて、処理器110に液状体1を流入させる。これにより、処理器110内の液状体1を3MPa以上に加圧する。
[0087]
 加圧ポンプ125を用いた静水圧処理の条件(圧力、温度、時間)としては、上記第1実施形態と同様の条件を採用することができる。
[0088]
 次いで、処理器110内に液状体1を流入させると共に、処理器110内に流入する液状体1を用いて液状製品2を押出して、処理器110内を置換する(置換する工程)。
[0089]
 具体的には、まず三方弁131を開いて処理器110内の圧力を解放する。次いで、三方弁142を開き送液ポンプ141を用いて、処理器110に液状体1を流入させる。これにより、処理器110内に流入する液状体1が押出し流れ(Plug Flow)を形成して処理器110内の液状製品2を押出し、処理器110内を置換することができる。
[0090]
 上記置換する工程においては、液状体1により処理器110内の90体積%以下の液状製品2を置換することとしてもよい。
[0091]
 以下の説明においては、液状体1により処理器110内の液状製品2を置換する体積割合のことを「置換率」と称する。置換率は、下記式によって求めることができる。例えば、液状体1により処理器110内の90体積%の液状製品2を置換する場合、置換率は90%であるということができる。また、処理器110の容積を超えるほど液状体1を流入させた場合、液状体1により処理器110内の90体積%の液状製品2を置換したうえでさらに処理器110内に液状体1が流入することになる。この場合、下記式から求められる置換率は100%を超えることになる。
[置換率]=A/B×100
(A:置換する工程において処理器110に流入する液状体1の体積
B:置換する工程の前に処理機110に充填されていた液状製品2の体積)
[0092]
 また、製造効率を向上させるため、置換する工程においては、液状体1により処理器110内の60体積%以上の液状製品2を置換する、すなわち置換率を60%以上としてもよい。
[0093]
 例えば、液状の食料品(液状食品)を製造する製造装置、製造方法において、液状食品を加圧して殺菌する方法は知られている。しかし殺菌を目的とする場合、通常は、殺菌処理を行う前の液状食品と、殺菌処理を行った液状食品とが接しないように製造装置が構成されている。これは、殺菌処理後の液状食品に殺菌処理前の液状食品が接触すると、殺菌処理後の液状食品に雑菌が混入してしまい、殺菌処理を行ったにもかかわらず液状食品中で雑菌が増殖するおそれが増すためである。
[0094]
 そのため、殺菌を目的とする場合、上述のように、処理器110内の液状製品2を処理前の液状体1で押出して、処理器110内を液状体1で置換するという方法は採用し得ない。
[0095]
 対して、本願発明の液状製品の製造方法においては、静水圧処理によって液状体1内の分子クラスターが消失すると推定している。また、液状体1への加圧を止めても、消失した分子クラスターが再生することは考えにくい。
[0096]
 そのため、上述のように、処理器110内の液状製品2を処理前の液状体1で押出し、液状製品2と処理前の液状体1とが接したとしても、液状製品2に少量の分子クラスターが混入する程度の影響しかない。
[0097]
 また、上述のように処理器110の置換率を90%以下とし、置換率が100%を超えないように制御すると、液状製品2と処理前の液状体1とが混合した境界部分は、大半が処理器110の内部に留まることになる。そのため、処理器110の置換率が100%を超えないように制御すると、置換に用いた液状体1に含まれる分子クラスターが処理器110から押し出された液状製品2に混入することを抑制することができる。
[0098]
 液状体1による処理器110内の置換が終了した後は、再度、第1配管120を介し加圧ポンプ125を用いて、処理器110に液状体1を流入させる。これにより、処理器110内の液状体1を静水圧処理し、液状製品2を得ることができる(液状製品を得る工程)。
[0099]
 実際の液状製品の製造ラインにおいては、最終的に液状製品に含まれる原料液体を静水圧処理することにより、本願発明の効果を得ることができる。この観点において、上記製造装置は、製造ラインのどの位置に組み込んでも構わない。
[0100]
 例えば、液状製品の原料である水を静水圧処理するために、上記製造装置を用いてもよい。この場合、得られた静水圧処理水が、本発明における「液状製品」に該当する。
[0101]
 また、例えば液状体として牛乳を処理する場合、牛乳を加熱殺菌する前、および牛乳を加熱殺菌した後に容器に充填する前のいずれか一方または両方で、上記製造装置を用いて静水圧処理することとしてもよい。この場合、工程上最も後に静水圧処理した後の牛乳が、本発明における「液状製品」に該当する。上記例において、牛乳の静水圧処理を、牛乳を加熱殺菌する前、および牛乳を加熱殺菌した後に容器に充填する前の両方で行う場合、容器に充填する前に静水圧処理した後の牛乳が「液状製品」である。
[0102]
 なお、液状製品2の製造工程を設計する際には、静水圧処理後の液状製品2に、上述した酸素分子18を含む分子クラスター12が混入し得る工程を設けないように設計する。
 「分子クラスター12が混入し得る工程」とは、例えば、液状製品2に静水圧処理前の液状体1が混入し得る工程を挙げることができる。
[0103]
 以上のような液状製品の製造装置によれば、従来よりも酸化劣化を抑制することが可能な液状製品を容易に製造可能とする液状製品の製造装置を提供することができる。
 また、以上のような液状製品の製造方法によれば、従来よりも酸化劣化を抑制することが可能となる。
[0104]
 なお、本実施形態においては、製造装置100は処理器110を1つ備えることとしたが、これに限らない。
[0105]
 図4は、変形例に係る液状製品の製造装置200の一態様を示す模式図である。図に示す製造装置200は、第1処理器111と、第2処理器112と、第1処理器111の一端側111aおよび第2処理器112の一端側112aにそれぞれ接続された第1配管120と、第1処理器111の他端側111bおよび第2処理器112の他端側112bにそれぞれ接続された第2配管130と、第1配管120に設けられた加圧ポンプ125と、を有している。
[0106]
 その他、製造装置200は、図3で示した定置洗浄装置135、第3配管140などの各構成を備えていてもよい。また、図4において第1配管120、第2配管130に設けられる各バルブについては記載を省略している。
[0107]
 製造装置200において、第1配管120は、分岐点129において分岐し、第1処理器111の一端側111aと、第2処理器112の一端側112aと、に対して並列に接続している。
[0108]
 また、製造装置200において、第2配管130は、分岐点139において分岐し、第1処理器111の他端側111bと、第2処理器112の他端側112bと、に対して並列に接続している。
[0109]
 また、加圧ポンプ125は、第1処理器111および第2処理器112のそれぞれに応じ、分岐点129から各処理器までの間の第1配管120の経路内に設けられている。
[0110]
 このような構成を採用することにより、液状体1に対する静水圧処理を並列処理することが可能となり、生産効率が向上する。
[0111]
 以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせなどは一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求などに基づき種々変更可能である。
実施例
[0112]
 以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
[0113]
[実施例1]
(実施例1-1)
 活性炭カートリッジ、逆浸透膜、イオン交換カートリッジを直列に配した逆浸透純水製造装置(アクエリアス:型番PWR-1601、ADVANTEC社製)を用いて製造した精製水に、アルデヒドであるヘキサナール、オクタナール、デカナールをそれぞれ10mg/kgと、内部標準としてヘプタノール10mg/kgとを溶解した試料を調製した。
[0114]
 用いた逆浸透膜の孔径は、概ね2nmであることから、本実施例で用いた精製水においては、2nmよりも大きい分子クラスターや微小な泡(ナノバブル)は除去されていると考える。
[0115]
 得られた試料を容積100mLのポリエチレンテレフタレート製のボトルに充填した。その際、ボトルの上部に空間(ヘッドスペース)が生じないように注意して、試料をボトルに充填した。
[0116]
 このように試料を充填したボトルを、卓上CIP装置(エヌピーエーシステム社製)を用いて静水圧処理した。静水圧処理の条件は、圧力5.0MPa、処理温度18℃、圧力保持時間5分とし、加圧および加圧状態から常圧に戻すまでに要した時間はそれぞれ20秒以内とした。ボトルが変形することにより、ボトル内の試料は加圧され、静水圧処理された実施例1-1の試料が得られた。
[0117]
(実施例1-2~1-6)
 静水圧処理の圧力条件を10MPa、25MPa、50MPa、100MPa、200MPaとしたこと以外は実施例1-1と同様にして、実施例1-2~実施例1-6の試料を得た。
[0118]
(比較例1-1)
 静水圧処理を行わなかった、すなわち静水圧処理の圧力条件を0MPaとしたこと以外は実施例1-1と同様にして、比較例1-1の試料を得た。
[0119]
(評価)
 得られた各試料を、内径16mm、深さ67mmの透明ガラス瓶に、ヘッドスペースが内容積の40%となるように充填した。ヘッドスペースは、貯蔵中の試料の溶存酸素濃度を飽和濃度に保つために設けた。
[0120]
 充填後、テフロン(登録商標)ライナー付きスクリューキャップを用いてガラス瓶を密閉した。その後、ガラス瓶に充填した試料を、30℃、暗所で7日間貯蔵した。
[0121]
 貯蔵前後の各試料について、ガラス瓶中のヘッドスペースに揮発したアルデヒド量を固相マイクロ抽出(Solid Phase Micro Extraction、SPME)法を用いて定量した。
 具体的には、ガラス瓶中のヘッドスペースに揮発したアルデヒド、および内部標準のヘプタノールを、SPMEファイバー(SUPELCO社製)を用いて30℃の環境下、30分間捕集した。捕集したアルデヒドを、ガスクロマトグラフ-質量分析計(GC-MS 2010Plus、島津製作所社製)を用いて測定し、内部標準に対するピーク面積比として求めた。
[0122]
 図5は、実施例1の結果を示すグラフである。縦軸は、各アルデヒドの残存率(%)を示す。
 残存率(%)は、「貯蔵前のアルデヒドのピーク面積比」と「貯蔵後のアルデヒドのピーク面積比」とについて、下記式(1)により求めた比率である。なお、残存率を下記式(1)のように定義することにより、GC-MSによる測定結果として「貯蔵前のアルデヒドのピーク面積比」よりも「貯蔵後のアルデヒドのピーク面積比」の方が大きい値である場合には、計算上、残存率が100%を超えることがある。
[0123]
[数1]


[0124]
 評価の結果、静水圧処理を行わない比較例1-1の試料と比べ、静水圧処理を行った実施例1-1~1-6の各試料は、残存率が高かった。特に、50MPaで静水圧処理を行った実施例1-4のサンプルにおいては、極めて高い効果があることが分かった。
[0125]
 また、比較例1-1の試料では、アルデヒドの構成炭素数が増すほど、残存率が低下する傾向にあった。アルデヒドは、構成炭素数が多いほど疎水性が増す。そのため、構成炭素数が多いアルデヒドは試料中の分子クラスターに吸着されやすく、分子クラスターに含まれる酸素による酸化を受けやすいためと推測している。
[0126]
 なお、静水圧処理の前後における各試料の溶存酸素を測定したところ、静水圧処理の前後共に、いずれも8.4ppmであった。溶存酸素の測定には、溶存酸素計(Seven2Go 型番S9、METTLER TOLEDO社製)を用いた。
[0127]
 さらに、静水圧処理の前後における各試料について、密度、粘度、表面張力、酸化還元電位を測定した。
[0128]
 密度の測定には、ポータブル密度比重計(DA-130N、京都電子工業株式会社製)を用いた。
 粘度の測定には、振動式粘度計(VM-10A、株式会社セコニック製)を用いた。
 酸化還元電位は、防水ORP計(ORP-6041、株式会社カスタム社製)を用いた。
[0129]
 各試料について、上記測定方法にて測定した密度、粘度、酸化還元電位は、静水圧処理前後で差が無かった。
[0130]
[実施例2]
 実施例1と同様に、精製水のみを容積100mLのポリエチレンテレフタレート製のボトルに充填し、卓上CIP装置を用いて静水圧処理した。静水圧処理の条件は、圧力50MPa、処理温度18℃、圧力保持時間5分とし、加圧および除圧に要した時間はそれぞれ20秒以内とした。
[0131]
 得られた静水圧処理水に、ヘキサナール、オクタナール、デカナールをそれぞれ10mg/kgと、内部標準としてヘプタノール10mg/kgとを溶解し、実施例2の試料を得た。
[0132]
 このように調製した試料を、実施例1-1と同様にガラス瓶に充填し、スクリューキャップを用いてガラス瓶を密閉した。その後、ガラス瓶に充填した試料を、30℃、暗所で7日間貯蔵した。
[0133]
 貯蔵後のアルデヒド量を定量したところ、実施例1-4と同様の結果が得られた。
[0134]
[実施例3]
(実施例3-1~3-5)
 静水圧処理における、圧力保持時間を0.2分、0.5分、3分、5分、10分としたこと以外は実施例1-4と同様にして、実施例3-1~3-5の試料を得た。
[0135]
(比較例3-1)
 比較例1-1と同様にして、比較例3-1の試料を得た。
[0136]
(評価)
 図6は、実施例3の試料について、実施例1と同様に評価を行った結果を示すグラフである。
[0137]
 評価の結果、実施例3-4の条件(静水圧処理の処理時間5分)が最も酸化防止の効果があることが分かった。
[0138]
[実施例4]
(実施例4-1~4-4)
 牛乳を容積100mLのポリエチレンテレフタレート製のボトルに充填した。その際、ボトルの上部に空間(ヘッドスペース)が生じないように注意して、牛乳をボトルに充填した。
[0139]
 このように牛乳を充填したボトルを、卓上CIP装置を用いて静水圧処理した。静水圧処理の条件は、処理温度18℃、圧力保持時間5分とし、加圧および除圧に要した時間はそれぞれ20秒以内とした。
[0140]
 その際、圧力条件を、25MPa、50MPa、100MPa、200MPaとして、それぞれ実施例4-1~4-4の試料を得た。
[0141]
(比較例4-1)
 牛乳を容積100mLのポリエチレンテレフタレート製のボトルに充填し、静水圧処理を行わないこととして、比較例4-1の試料とした。
[0142]
(評価)
 実施例4-1~4-4、および比較例4-1の各試料を、内径16mm、深さ67mmの透明ガラス瓶に、ヘッドスペースが内容積の40%となるように充填し、テフロンライナー付きスクリューキャップで密閉して、蛍光灯照射用試料とした。得られた蛍光灯照射用試料を、蛍光灯から10cmの位置に静置し、3時間光照射を行った。蛍光灯照射により、光増感の酸化劣化が促進すると考えられる。
[0143]
 また、参考例として、比較例4-1と同様の試料を、10℃の暗所で3時間保管した試料を用意した。
[0144]
 評価は、5名の官能評価により行った。官能評価は、暗所保存後の参考例の香りを「最も劣化していない香り」として「0」と評価し、比較例4-1の試料の香りを「最も劣化した香り」として「10」と評価して、0から10までの11段階で評価した。以下の説明では、上記0から10までの数値について、試料がどの程度劣化が進行しているかを示す度合を意味する「劣化度」と称することがある。
 この基準に基づいて、実施例4-1~4-4の試料の劣化度を求めた。結果は、5名の評価結果の算術平均値として求めた。
[0145]
 求めた劣化度は、小さいほど試料の劣化が進行していないことを示している。すなわち、劣化度は小さいほど良好であると言える。
[0146]
 評価結果を下記表1に示す。
[0147]
[表1]


[0148]
 また、参考例、比較例4-1および実施例4-2の試料については、実施例1と同様の方法でアルデヒドの分析を行い、ノナナールおよびデカナールを検出した。結果を図7に示す。図7は、検出結果を示すグラフである。図7では、各検出結果について、参考例におけるノナナールおよびデカナールの濃度をそれぞれ100としたときの相対濃度を示している。
[0149]
 評価の結果、比較例4-1の試料では、牛乳特有の甘いミルク臭が大幅に減退して感じられた。これは、図7の結果が示すように、脂質の酸化によって生成したノナナールおよびデカナールによってミルク臭が隠蔽されたことが主な原因と考えられる。
[0150]
 対して、静水圧処理を施した実施例4-1~4-4の各試料については、香りの劣化は軽微であった。これは、図7に示す結果において、実施例4-2の試料ではノナナールおよびデカナールがほとんど検出されなかったことと傾向が一致した。
 しかしながら、実施例4-2と参考例の試料のアルデヒド濃度を比較すると、実施例4-2ではアルデヒド濃度が低いにも拘わらず、軽微な香りの劣化が認められた。これはノナナールやデカナール以外の成分の寄与、例えば揮発性の含硫化合物の生成などが考えられる。
[0151]
 以上のように、静水圧処理していない試料では、蛍光灯照射によってノナナールおよびデカナールが生成する一方、静水圧処理した試料では蛍光灯照射後においてノナナールおよびデカナールはほとんど認められなかった。すなわち、ノナナールおよびデカナールの量と劣化度とに相関があることが判明した。
[0152]
[実施例5]
(実施例5-1~5-4)
 牛乳の代わりにビールを用いたこと以外は、実施例4と同様にして、実施例5-1~5-4の各試料を得た。
[0153]
(比較例5-1)
 ビールを容積100mLのポリエチレンテレフタレート製のボトルに充填し、静水圧処理を行わないこととして、比較例5-1の試料とした。
 また、参考例として、ビールを容積100mLのポリエチレンテレフタレート製のボトルに充填し、静水圧処理を行わないまま暗所保存した試料を用意した。
[0154]
(評価)
 実施例4と同様にして評価を行った。
[0155]
 ビールに光を照射すると、例えば日向臭と呼ばれるオフフレーバー(異臭)が発生する。日向臭は、ホップの苦み成分であるイソフムロンが溶存酸素と光増感酸化により反応した結果生じると考えられている。詳しくは、イソフムロンの酸化分解により生じる分解物と、ビール中の含硫アミノ酸から生成する硫化水素とが反応して生じる3-メチル-2-ブタン-1-チオールが原因物質とされている。
[0156]
 その他、ビールのオフフレーバーとしては、カーボード臭、老化臭が知られている。
[0157]
 官能評価は、暗所保存後の参考例のオフフレーバーを「0」とし、比較例5-1の試料のオフフレーバーを「10」として、オフフレーバーの程度を11段階で評価した。結果は、5名の評価結果の算術平均値として求めた。
[0158]
 求めたオフフレーバーの程度は、小さいほど試料の劣化が進行していないことを示している。すなわち、オフフレーバーの程度は小さいほど良好であると言える。
[0159]
 評価結果を下記表2に示す。
[0160]
[表2]


[0161]
 評価の結果、比較例5-1の試料では、強いオフフレーバーが認められた。
 対して、静水圧処理を施した実施例5-1~5-4の各試料については、オフフレーバーの増加が抑えられた。
[0162]
[実施例6]
(実施例6-1~6-4)
 牛乳の代わりに醤油を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、実施例6-1~6-4の各試料を得た。
[0163]
(比較例6-1)
 醤油を容積100mLのポリエチレンテレフタレート製のボトルに充填し、静水圧処理を行わないこととして、比較例6-1の試料とした。
 また、参考例として、醤油を容積100mLのポリエチレンテレフタレート製のボトルに充填し、静水圧処理を行わないまま暗所保存した試料を用意した。
[0164]
(評価)
 実施例4と同様にして評価を行った。
[0165]
 醤油に光を照射すると、オフフレーバーとして焦げ臭をはじめとする刺激臭が発生する。官能評価は、暗所保存後の参考例のオフフレーバーを「0」とし、比較例6-1の試料のオフフレーバーを「10」として、オフフレーバーの程度を11段階で評価した。結果は、5名の評価結果の算術平均値として求めた。
[0166]
 評価結果を下記表3に示す。
[0167]
[表3]


[0168]
 評価の結果、比較例6-1の試料では、強いオフフレーバーが認められた。
 対して、静水圧処理を施した実施例6-1~6-4の各試料については、オフフレーバーの増加が抑えられた。
[0169]
[実施例7]
(実施例7-1)
 実施例6-2と同様に作製した試料を実施例7-1の試料とした。
[0170]
(比較例7-1)
 比較例6-1と同様に作製した試料を比較例7-1の試料とした。
[0171]
(評価)
 各試料について、長期保存による変化を確認した。
 試料を30℃の実験室において、日中は照明を点灯、夜間は消灯して40日間保存した。比較例7-1を40日間保存した試料において、オフフレーバーが最も強く感じられたため、このときのオフフレーバーの程度を「10」とし、実施例7-1の保存0日におけるオフフレーバーの程度を「0」として、各試料のオフフレーバーの程度を11段階で評価した。
[0172]
 評価結果を下記表4に示す。
[0173]
[表4]


[0174]
 評価の結果、静水圧処理を施した実施例7-1では、40日に渡ってオフフレーバーの増加が抑えられた。
[0175]
[実施例8]
(実施例8-1~8-6)
 市販のペットボトル入りのナチュラルミネラルウォーターを、容積100mLのポリエチレンテレフタレート製のボトルに充填し密栓した。その際、ボトルの上部に空間(ヘッドスペース)が生じないように注意して、充填した。
[0176]
 ナチュラルミネラルウォーターを充填したボトルを、卓上CIP装置を用いて静水圧処理して、実施例8-1~8-6の各試料を得た。静水圧処理の処理圧力および圧力保持時間については、表5に記載のとおりとした。また、処理温度は25℃であった。いずれの処理においても、加圧および除圧に要する時間は、それぞれ20秒以内であった。
[0177]
(比較例8-1)
 ナチュラルミネラルウォーターを容積100mLのポリエチレンテレフタレート製のボトルに充填し、静水圧処理を行わないこととして、比較例8-1の試料とした。
[0178]
 静水圧処理後、直ちに3名で官能評価を行った。
[0179]
 本実施例8の各試料は無味無臭であり、味覚および嗅覚による評価はできなかった。しかしながら、各試料を口に含んだときの、口当たり、食感と呼ばれるところの口腔内の物理的感覚において、違いが認められた。
[0180]
 なお、液状食品の口当たりは通常、粘度で評価される。しかし、粘度には違いが無い液状食品であっても、口にしたときのまろやかさ(mildness)、なめらかさ(smoothness)に差があることがある。これらの感覚は、機器により計測することが困難である。そこで、本実施例においては、口当たりの変化を官能評価で評価した。
[0181]
 口当たりを評価するにあたり、「まろやかさ」「なめらかさ」という2つの用語は、液状食品についてほぼ同様の特性を表していると考えられる。本実施例においては、静水圧処理により変化する試料の口当たりについて、なめらかさ(smoothness)を評価用語として採用した。
[0182]
 本実施例8における官能評価は、各試料を口に含んだときの口当たりに基づいて行った。
[0183]
 評価は、静水圧処理を施していない比較例8-1のナチュラルミネラルウォーターの口当たりを「0」とし、実施例8-6の試料の口当たりを「10」として、実施例8-1~8-5の試料について、0から10までの11段階で評価した。結果は、3名の評価結果の算術平均値として求めた。
[0184]
 評点「0」は、試料を口に含んだときにざらつき(roughness)を感じ、なめらかさに乏しいことを意味する。評点「10」は、試料を口に含んだときにざらつきがなく、充分になめらかなことを意味する。したがって、口当たりの評点が高いほどなめらかさが強く、ざらつき感が弱い。すなわち、口当たりの評点は高いほど良好であると言える。
[0185]
 評価結果を下記表5に示す。
[0186]
[表5]


[0187]
 評価の結果、実施例8-1~8-6のすべての試料において、口に含んだ時の「なめらかさ」が増大した。
 処理条件を変更したところ、処理圧力50MPa、処理時間0.2分の静水圧処理(実施例8-4)や、処理圧力5.0MPa、処理時間10分の静水圧処理(実施例8-1)においても、効果が認められた。
[0188]
[実施例9]
(実施例9-1~9-6)
 ナチュラルミネラルウォーターの代わりに市販の牛乳を用いたこと以外は、実施例8と同様にして、実施例9-1~9-6の各試料を得た。静水圧処理の処理圧力および圧力保持時間については、表6に記載のとおりとした。また、処理温度は25℃であった。いずれの処理においても、加圧および除圧に要する時間は、それぞれ20秒以内であった。
[0189]
(比較例9-1)
 上記の牛乳を容積100mLのポリエチレンテレフタレート製のボトルに充填し、静水圧処理を行わないこととして、比較例9-1の試料とした。
[0190]
 静水圧処理後、直ちに3名で官能評価を行った。
[0191]
 評価は、静水圧処理を施していない比較例9-1の牛乳の口当たりを「0」とし、実施例9-6の試料の口当たりを「10」として、実施例9-1~9-5の試料について、0から10までの11段階で評価した。結果は、3名の評価結果の算術平均値として求めた。
[0192]
 評点「0」は、試料を口に含んだときにざらつきを感じ、なめらかさに乏しいことを意味する。評点「10」は、試料を口に含んだときにざらつき感がなく、充分になめらかなことを意味する。したがって、口当たりの評点は高いほど良好であると言える。
 なお、牛乳の評価においては、なめらかさを強く感じる試料ほど牛乳の甘さをより強く感じた。
[0193]
 評価結果を下記表6に示す。
[0194]
[表6]


[0195]
 評価の結果、実施例9-1~9-6のすべての試料において、口に含んだ時の「なめらかさ」が増大した。また、比較例9-1の試料と比べ、実施例9-1~9-6のすべての試料において、甘味を強く感じた。
 処理条件を変更したところ、処理圧力50MPa、処理時間0.2分の静水圧処理(実施例9-4)や、処理圧力5.0MPa、処理時間10分の静水圧処理(実施例9-1)においても、明瞭な効果が認められた。
[0196]
[実施例10]
(実施例10-1~10-6)
 ナチュラルミネラルウォーターの代わりに市販のペットボトル入り緑茶飲料を用いたこと以外は、実施例8と同様にして、実施例10-1~10-6の各試料を得た。静水圧処理の処理圧力および圧力保持時間については、表7に記載のとおりとした。また、処理温度は25℃であった。いずれの処理においても、加圧および除圧に要する時間は、それぞれ20秒以内であった。
[0197]
(比較例10-1)
 上記の緑茶飲料を容積100mLのポリエチレンテレフタレート製のボトルに充填し、静水圧処理を行わないこととして、比較例10-1の試料とした。
[0198]
 静水圧処理後、直ちに3名で官能評価を行った。
[0199]
 評価は、静水圧処理を施していない比較例10-1の緑茶飲料の口当たりを「0」とし、実施例10-6の試料の口当たりを「10」として、実施例10-1~10-5の試料について、0から10までの11段階で評価した。結果は、3名の評価結果の算術平均値として求めた。
[0200]
 評点「0」は、試料を口に含んだときにざらつきを感じ、なめらかさに乏しいことを意味する。評点「10」は、試料を口に含んだときにざらつき感がなく、充分になめらかなことを意味する。したがって、口当たりの評点は高いほど良好であると言える。
[0201]
 評価結果を下記表7に示す。
[0202]
[表7]


[0203]
 評価の結果、実施例10-1~10-6のすべての試料において、口に含んだ時の「なめらかさ」が増大した。また、実施例10-1~10-6のすべての試料において、渋味が弱まった。
 処理条件を変更したところ、処理圧力50MPa、処理時間0.2分の静水圧処理(実施例10-4)や、処理圧力5.0MPa、処理時間10分の静水圧処理(実施例10-1)においても、効果が認められた。
[0204]
[実施例11]
(実施例11-1~11-6)
 ナチュラルミネラルウォーターの代わりに市販のウイスキー(アルコール分40%)を用いたこと以外は、実施例8と同様にして、実施例11-1~11-6の各試料を得た。静水圧処理の処理圧力および圧力保持時間については、表8に記載のとおりとした。また、処理温度は25℃であった。いずれの処理においても、加圧および除圧に要する時間は、それぞれ20秒以内であった。
[0205]
(比較例11-1)
 上記のウイスキーを容積100mLのポリエチレンテレフタレート製のボトルに充填し、静水圧処理を行わないこととして、比較例11-1の試料とした。
[0206]
 静水圧処理後、直ちに3名で官能評価を行った。
[0207]
 評価は、静水圧処理を施していない比較例11-1のウイスキーの口当たりを「0」とし、実施例11-6の試料の口当たりを「10」として、実施例11-1~11-5の試料について、0から10までの11段階で評価した。結果は、3名の評価結果の算術平均値として求めた。
[0208]
 評点「0」は、試料を口に含んだときにざらつきを感じ、なめらかさに乏しいことを意味する。評点「10」は、試料を口に含んだときにざらつき感がなく、充分になめらかなことを意味する。したがって、口当たりの評点は高いほど良好であると言える。
[0209]
 評価結果を下記表8に示す。
[0210]
[表8]


[0211]
 評価の結果、実施例11-1~11-6のすべての試料において、口に含んだ時の「なめらかさ」が増大した。
 処理条件を変更したところ、処理圧力50MPa、処理時間0.2分の静水圧処理(実施例11-4)や、処理圧力5.0MPa、処理時間10分の静水圧処理(実施例11-1)においても、明瞭な効果が認められた。
[0212]
[実施例12]
 リボフラビンは、光照射下で三重項酸素を一重項酸素に励起することが知られている。また、葉酸は一重項酸素で分解し、定量的にPteridine(プテリジン)誘導体を生成することが知られている。液状体中に存在する酸素分子のうち、単分子溶解している酸素分子は、上述の光増感酸素酸化反応に利用されにくいと考えた。
[0213]
 そこで、実施例12では、リボフラビンと葉酸とが共存した水溶液に光照射を行い、生じるPteridine誘導体を定量することで、評価する試料において単分子溶解している酸素分子の影響を評価した。
[0214]
(実施例12-1)
 活性炭カートリッジ、逆浸透膜、イオン交換カートリッジを直列に配した逆浸透純水製造装置(アクエリアス:型番PWR-1601、ADVANTEC社製)を用いて製造した精製水に、リボフラビン(ビタミンB2)と、葉酸とを溶解した水溶液を調製した。水溶液におけるリボフラビンの濃度は1μmol/Lであり、水溶液における葉酸の濃度は1μmol/Lであった。
[0215]
 調製した水溶液を、容積100mLのポリエチレンテレフタレート製のボトルに充填し、卓上CIP装置を用いて静水圧処理して実施例12-1の試料を得た。
 静水圧処理の条件は、圧力50MPa、処理温度18℃、圧力保持時間2分とし、加圧および除圧に要した時間はそれぞれ10秒以内とした。
[0216]
(実施例12-2)
 静水圧処理の圧力条件を60MPaとしたこと以外は、実施例12-1と同様にして、実施例12-2の試料を得た。
[0217]
(比較例12-1)
 調製した水溶液に静水圧処理を行わないこととして、比較例12-1の試料を得た。
[0218]
(評価)
 調製した試料を、それぞれ実施例1-1と同様にガラス瓶に充填し、スクリューキャップを用いてガラス瓶を密閉した。
 その後、ガラス瓶に充填された各試料に対し、光を15分間照射した。光照射は、20Wの蛍光管(FPL-XE N)を用い、光源から10cmの距離で行った。
[0219]
 光照射後の各試料について、生成したPteridine誘導体を蛍光分析により定量した。
 蛍光分析には、蛍光分光光度計(RF-5300PC、株式会社島津製作所製)を使用した。365nmの光で励起したときの、400nmから600nmの波長域の蛍光スペクトルを測定した。Pteridine誘導体に対応する蛍光スペクトルは、450nm近傍にピークを有することが予め分かっている。
[0220]
 また、参考例として、調製した水溶液に静水圧処理を行わないままガラス瓶に封入し、暗所で15分間保存したものを評価した。
[0221]
 図8は、光照射後の各試料についての蛍光分析の結果を示すグラフである。図に示すグラフは、横軸が測定波長(単位:nm)、縦軸が蛍光強度を示す。
[0222]
 図に示すように、暗所保存した参考例では、葉酸の分解物であるPteridine誘導体のピークが観察されなかった。これに対し、光照射を行った実施例12-1,12-2、比較例12-1では、いずれもPteridine誘導体のピークが観察された。
[0223]
 また、比較例12-1に対し、静水圧処理を行った実施例12-1,12-2は、Pteridine誘導体の蛍光ピークが小さく、静水圧処理を行ったことにより、葉酸の光分解を抑制できていることが分かった。
[0224]
 また、実施例12-1と実施例12-2との比較により、静水圧処理の処理圧力が相対的に高い方が、光分解を抑制しやすいことが分かった。
[0225]
[実施例13]
(実施例13-1)
 実施例1と同様に、精製水のみを容積100mLのポリエチレンテレフタレート製のボトルに充填し、卓上CIP装置を用いて静水圧処理することで、実施例13-1の試料を得た。
 静水圧処理の条件は、圧力50MPa、処理温度18℃、圧力保持時間2分とし、加圧および除圧に要した時間はそれぞれ10秒以内とした。
[0226]
(比較例13-1)
 静水圧処理を行う前の精製水そのものを比較例13-1の試料とした。
[0227]
 本実施例では、各試料について、Wilhelmy法(プレート法)により表面張力の精密測定を行った。実施例13-1の試料については、試料の調製後すぐに表面張力の測定を行った。
(測定条件)
白金プレート:協和界面科学株式会社製、24mm×10mm×厚さ0.1mm
電子天秤:OHAUS社製、PA114JPモデル
恒温プレート:AS ONE社製、COOL PLATE
試料温度:25±0.2℃
[0228]
 アルマイト製の直径60mmのシャーレに試料を採取した。試料の量は、試料の液面がシャーレ底面から約3mmの高さ位置となるまでとした。
[0229]
 試料を採取したシャーレを恒温プレート上に置き、温度制御を行った。試料の温度が設定温度に到達した後、すぐに表面張力を測定した。
 その後、最初の表面張力の測定から0.5、1.0、2.0、3.0時間経過したときに、それぞれ表面張力を測定した。表面張力の測定は、それぞれ5回行い、各測定値の算術平均値を、求める表面張力として採用した。
[0230]
 評価結果を図9に示す。図9は、各試料の表面張力の測定結果を示すグラフである。図に示すグラフは、横軸が経過時間(放置時間)(単位:時間)、縦軸が表面張力(単位:mN/m)を示す。
[0231]
 比較例13-1の試料について上記方法で表面張力を測定したところ、標準偏差0.1mN/m以下の精度で測定することができた。0時間放置時の表面張力の測定値は、72.0mN/mであった。
[0232]
 実施例13-1の試料について表面張力を測定したところ、0時間放置時の表面張力の測定値は、72.8mN/mであった。実施例13-1の試料の表面張力は、比較例13-1の試料の表面張力と比べて明らかに高かった。
[0233]
 また、図に示すように、実施例13-1の試料の表面張力は、0.5、1.0、2.0、3.0時間経過した後にも、比較例13-1の試料の表面張力と比べて明らかに高かった。
[0234]
 以上の結果より、精製水を静水圧処理して得られた試料は、静水圧処理を行っていない精製水と比べて、液体表面の物理的性質が異なっていることが分かった。
[0235]
 以上の結果から、本発明が有用であることが確かめられた。

符号の説明

[0236]
 1…液状体、2…液状製品、100,200…製造装置、110…処理器、110a,111a,112a…一端側、110b,111b,112b…他端側、110S…内部空間、111…第1処理器、112…第2処理器、120…第1配管、125…加圧ポンプ、125…加圧ポンプ(加圧装置)、130…第2配管、132…配管、135…定置洗浄装置

請求の範囲

[請求項1]
 被処理物である液状体を3MPa以上の圧力にて静水圧処理する工程を有する液状製品の製造方法。
[請求項2]
 前記静水圧処理する工程において、3MPa以上200MPa以下の条件で静水圧処理する請求項1に記載の液状製品の製造方法。
[請求項3]
 前記静水圧処理する工程において、前記液状体の融点以上前記液状体の融点+60℃以下、0.1分以上30分以下の条件で静水圧処理する請求項1または2に記載の液状製品の製造方法。
[請求項4]
 液状体を収容する内部空間を有し、液密に設けられた筒状の処理器と、
 前記処理器の一端側に接続され、前記内部空間に流入する前記液状体が流動する第1配管と、
 前記処理器の他端側に接続され、前記内部空間において生成する液状製品が流動する第2配管と、
 前記液状体を加圧して前記内部空間に貯留される前記液状体を加圧する加圧装置と、を有する液状製品の製造装置。
[請求項5]
 前記処理器の内部を洗浄する定置洗浄装置をさらに有する請求項4に記載の液状製品の製造装置。
[請求項6]
 前記加圧装置は、前記第1配管に設けられ、前記液状体を加圧して前記内部空間に流入させる加圧ポンプである請求項4または5に記載の液状製品の製造装置。
[請求項7]
 前記処理器は、前記内部空間を有し液密に設けられた筒状の第1処理器と、前記内部空間を有し液密に設けられた筒状の第2処理器と、を有し、
 前記第1配管は、前記第1処理器と前記第2処理器とのそれぞれの一端側に対して並列に接続され、
 前記第2配管は、前記第1処理器と前記第2処理器とのそれぞれの他端側に対して並列に接続されている請求項4から6のいずれか1項に記載の液状製品の製造装置。
[請求項8]
 前記加圧装置は、前記第1処理器および前記第2処理器のそれぞれに応じて設けられている請求項7に記載の液状製品の製造装置。
[請求項9]
 請求項4から8のいずれか1項に記載の液状製品の製造装置を用いた液状製品の製造方法であって、
 前記処理器内で前記液状体を3MPa以上の圧力にて静水圧処理し、前記液状製品を得る工程と、
 前記処理器内に前記液状体を流入させると共に、前記処理器内に流入する前記液状体を用いて前記液状製品を押出して、前記処理器内を置換する工程と、を有する液状製品の製造方法。
[請求項10]
 前記置換する工程において、前記液状体により前記処理器内の90体積%以下の前記液状製品を置換する請求項9に記載の液状製品の製造方法。
[請求項11]
 前記液状製品を得る工程において、3MPa以上200MPa以下の条件で静水圧処理する請求項9または10に記載の液状製品の製造方法。
[請求項12]
 前記液状製品を得る工程において、前記液状体の融点以上前記液状体の融点+60℃以下、0.1分以上30分以下の条件で静水圧処理する請求項9から11のいずれか1項に記載の液状製品の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]