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1. (WO2019003733) SUBSTRAT RÉFLÉCHISSANT LES RAYONS INFRAROUGES
Document

明 細 書

発明の名称 赤外線反射基板

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013   0014  

発明の効果

0015  

図面の簡単な説明

0016  

発明を実施するための形態

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103  

符号の説明

0104  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9a   9b   10a   10b   11  

明 細 書

発明の名称 : 赤外線反射基板

技術分野

[0001]
 本発明は、透明基材上に赤外線反射層の薄膜を備える赤外線反射基板に関する。

背景技術

[0002]
 従来より、ガラスやフィルム等の基材上に赤外線反射層を備える赤外線反射基板が知られている。このような赤外線反射基板は、例えば、基材をガラスとして、その室内側に形成された赤外線反射層と窓ガラスが一体になって、又は、フィルムを基材として、窓ガラスの室内側に貼られることによって、外部から室内へと入射する太陽光等の近赤外線を反射して、遮熱効果を奏する。もっとも窓ガラス以外にもショーケースなど、外部からの光を遮断する必要があれば他の用途に用いることもできる。
[0003]
 このような赤外線反射基板においては、遮熱性は、高い程好ましいと言えるが、遮熱性を高めると、可視光の透過率が低下してしまい、内部からの視認性が悪化する。すなわち、従来技術であっても、光の透過率を下げれば、遮熱性を高めることができるが、このように透過率を下げて、遮熱性を高めると、可視光透過率も下がってしまう。このため、近年、高い遮光性と可視光透過率を両立することが、望まれている。
[0004]
 例えば、気温が高く、太陽光からの熱線が強い、東南アジアといった赤道付近の地域では、可視光透過率は、40%程度と低くても構わないが、0.25以下の遮熱係数を持つようなより高い遮熱性を持つ赤外線反射基板が求められている。一方で、地域によっては、デザイン性や意匠性の観点から65%以上といった高い可視光透過率を維持したまま、遮熱係数0.5以下の遮熱性が求められることもある。
[0005]
 このような赤外線反射基板として、特許文献1は、二層の金属層を含む赤外線反射フィルムを開示している。かかる赤外線反射フィルムは、高い可視光透過率を有すると共に、低い総太陽熱透過率を有することを目標としている。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特表2011-509193号公報
特許文献2 : 特開2013-61370号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 しかしながら、遮熱性と可視光透過率は、トレードオフの関係にあるため、従来、高い遮熱性と可視光透過率を両立することは、困難であった。従来の赤外線反射基板は、例えば、可視光透過率が高く、70%の場合には、遮熱係数は、0.55程度を超えていた。また、可視光透過率が低いもので、40%の赤外線反射基板は、0.35程度を超えていた。実際に、特許文献1に開示の赤外線反射フィルムの実施例1及び2の可視光透過率は、77%及び78%と高いが、日射熱取得率(TSHT)は、55及び53であり、これを遮蔽係数に換算すると、62.5及び60.2という高い値になり、上記実施例1及び2のいずれも、遮熱性が低いことがわかる。
[0008]
 本発明が解決すべき課題は、高い可視光透過率と、高い遮熱性を兼ね備える赤外線反射基板を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0009]
 従来の赤外線反射基板は、高い遮熱性を有していても、例えば、図9bのスペクトルから明らかなように、可視光領域において反射率が高く、その分、可視光透過率が低くなるとい欠点を有していた。また、図10bにスペクトル示される従来の赤外線反射フィルムは、可視光の波長領域が一般に、400nmから700nmであることを考慮して、波長700nm付近まで、反射率を抑えて、透過率を高くし、750nm付近から長波長側にかけて、光の反射率が高まるという反射特性を有していた。しかし、反射率を特定の波長から急激に高くなるように、赤外線反射基板を設計することは、困難である。そのため、750nm付近から反射率が高まるように赤外線反射基板を設計しても、近赤外領域では反射率が十分高まらず、近赤外光の多くは、赤外線反射基板を透過してしまう。その結果、近赤外光が透過することにより、赤外線反射基板の遮熱性が低下していた。
[0010]
 一方で、人間の目の感度は、可視光領域内でも波長に応じて異なり、均一ではない。例えば、可視光領域内でも、550nm付近の波長を持つ光と、700nm付近の波長を持つ光に対する人間の目の感度は、可視光領域の中心付近の波長を持つ光に対する感度よりも低い。そのため、人間が実際に感じる明るさに対応するように、可視光透過率の算出では、目の感度に応じて波長ごとに定められる重課係数を、実際に透過した光の割合に対して乗算して算出される。図1は、可視光透過率を算出するための重課係数を示すグラフである。図1では、横軸が、波長を示し、縦軸が、重課係数を示す。図1によると、550nmの波長においてもっとも重課係数が高く、10弱の値を示すが、650nmから700nmの波長の範囲では、重課係数は、1以下になる。
[0011]
 可視光領域内であっても長波長境界付近では、目の感度が低く可視光透過率の重課係数が低い点を鑑み、可視光領域内の長波長側において、反射率の傾きを大きくすることによって、可視光透過率に与える影響を抑えつつ、近赤外光の反射率を高められることに基づき、本発明の赤外線反射基板は、高い可視光透過率と低い遮熱係数を兼ね備えることができる。
[0012]
 本発明は、一態様において、透明基材と、赤外線反射層とを備える赤外線反射基板であって、前記赤外線反射基板の可視光吸収率は、0.3以下であり、前記赤外線反射基板の700nmと600nmの反射率の傾きdR 700-600が0.12以上であり、前記反射率の傾きdR 700-600(%/nm)は、600nmの波長における前記透明基材側からの反射率をR 600(%)とし、前記赤外線反射フィルムの700nmの波長における前記透明基材側からの反射率をR 700(%)とすると、dR 700-600=(R 700-R 600)/100(nm)で表されることを特徴とする赤外線反射基板を提供する。
[0013]
 前記反射率R 600は、10%以上かつ60%以下であることが好ましい。波長600nmにおける反射率を低くすることにより、可視光透過率を高くすることが可能だからである。また、前記反射率R 700は、25%以上かつ85%以下であることが好ましい。波長700nmにおける反射率を高めることで、可視光透過率に対する影響を低く維持しつつ、遮蔽係数を低下させることが可能となるからである。また、波長600nmの反射率に対する波長700nmの反射率の比率を1.2以上にすることが好ましい。該反射率の比率を高くすることで、偏光フィルム積層体は、一層高い水準で可視光透過率及び遮蔽係数を両立することができる。可視光透過率トップ波長が、450nmから650nmまでの間にすることにより、可視光透過率を高めることができる。また、透明基材は、フィルムであり、前記透明基材の赤外線反射層を備える面とは、逆側の面に、粘着剤層を備えるようにしてもよいし、透明基材をガラスにしてもよい。前記赤外線反射基板はさらに、赤外線反射層上に、透明保護フィルムを備えるようにして、耐久性を向上させることができる。
[0014]
 可視光透過率(VLT)と、遮蔽係数(SC)は、光の透過量(透過率)を減らせば、遮熱係数が低くなることから、トレードオフの関係にあるところ、両パラメータを考慮した赤外線反射フィルムの特性は例えば、VLT(%)-160×SCによって表される。かかる数式は、可視光透過率を1%犠牲にすれば、概ね遮蔽係数を160分の1低下させることが可能であることを根拠とする。本発明の赤外線反射基板は、一態様として、VLT(%)-160×SCが-12以上であるとの特性を備えてもよい。また、当該値は、0以上とすることがより好ましく、10以上とすることがより好ましく、15以上とすることが一層好ましい。また、耐久性といった他の要素を考慮して、該パラメータを20以下としても良いし、17以下としてもよい。

発明の効果

[0015]
 本発明の赤外線反射基板は、高い可視光透過率と、低い遮熱係数を併せ持つ。

図面の簡単な説明

[0016]
[図1] 可視光透過率を算出するための重課係数を示すグラフである。
[図2] 本発明の実施形態となる赤外線反射基板の構成例を模式的に示す断面図である。
[図3] 赤外線反射の使用形態の一例を模式的に表す断面図である。
[図4] 本発明の実施形態となる赤外線反射基板の、基材側から入射する光の透過率及び反射率を示すグラフである。
[図5] 本発明の一実施形態である赤外線反射基板500の層構成を示す概略図である。
[図6] 本発明の一実施形態である赤外線反射基板600の層構成を示す概略図である。
[図7] 実施例1の層構成を示す概略図である。
[図8] 実施例8の層構成を示す概略図である。
[図9a] 実施例1の光学特性を示すグラフである。
[図9b] 比較例1の光学特性を示すグラフである。
[図10a] 実施例9の光学特性を示すグラフである。
[図10b] 比較例4の光学特性を示すグラフである。
[図11] 本発明の実施例及び比較例の遮蔽係数と可視光透過率の関係を表すグラフである。

発明を実施するための形態

[0017]
 図2は、本発明の実施形態となる赤外線反射基板の構成例を模式的に示す断面図である。図2に示されるように、赤外線反射基板100は、透明基材10の一主面上に、赤外線反射層20を備える。本実施形態においては、赤外線反射層20は、透明基材10に直接接しているが、間に別の層を備えてもよい。例えば、耐久性を高めるために、赤外線反射層20と透明基材10との間に、アンダーコート層を設けてもよい。また、赤外線反射層の上面すなわち、透明基材10とは逆側の主面に、赤外線反射層10を保護するための透明保護フィルム(図示せず。)を設けてもよい。
[0018]
 図3は、赤外線反射基板の機能を概略的に説明するために用いられ、赤外線反射の使用形態の一例の断面を模式的に示している。当該使用形態において、赤外線反射基板の透明基材は、フィルム基材である。赤外線反射基板100の透明基材側の主面が、粘着剤層60等を介して、建物や自動車の窓ガラス50の室内側に貼り合わされて用いられる。図3に示されるように、赤外線反射基板100は、屋外からの可視光(VIS)を透過して室内に導入すると共に、屋外からの近赤外線(NIR)を赤外線反射層20で反射する。近赤外線反射により、太陽光等に起因する室外から室内への入射する熱線が抑制される(遮熱効果が発揮される)ため、夏場の冷房効率を高めることができる。
[0019]
 図4は、本発明の実施形態となる赤外線反射基板100の、基材側から入射する光の透過率及び反射率の典型例を示すグラフである。横軸は、波長(nm)であり、縦軸は、透過率(%)及び反射率(%)である。図4においては、JIS A5759-2008(建築窓ガラスフィルム)に準じた単板ガラスに赤外線反射基板が貼られている。なお、赤外線反射基板に入射する光は、透過、反射及び吸収の何れかの帰趨をたどるため、100%から、透過率及び反射率を減じた値が、吸収率となる。
[0020]
 赤外線反射基板100は、可視光領域の内の短波長側に当たる400nmから550nmにおいては、透過率が、70%程度と高い一方で、反射率は、10%程度と低い。550nm付近から長波長側にかけて、反射率が高くなり、可視光領域の長波長側境界付近となる700nmでは、反射率は、50%を超える。そして、可視光領域よりも長波長となる近赤外光領域では、可視光領域に近い波長である700nmから800nmにおいて、赤外線反射基板100は、50%を超える反射率を持つ。このように、近赤外光領域の中でも可視光領域に近い700nmから800nmでありながら、50%を超える高い反射率を持つ理由は、600nmから700nmの波長領域において、反射率の傾きが、高いことにある。そのため、赤外線反射基板100は、可視光領域付近の近赤外光領域であっても、光の反射率が高いことから、遮熱性が高く、遮熱係数は、0.50である。
[0021]
 本願においては、反射率の傾きは、数1に記載される定義に基づいて定められる。
[数1]


λ:波長(nm)(upperは、長波長側、lowerは、短波長側の波長であることを示す。)R λ:波長λにおける反射率(%)
dR λupper-λlower:波長λupperと波長λlowerとの間における反射率の傾き(%/nm)
[0022]
 赤外線反射基板100は、波長領域600nmから700nmにかけて、反射率が高くなるように設計されているため、透過率は低下する。しかしながら、図1に示されるように、波長600nmから700nmでは、可視光透過率算出における重課係数が低いので、可視光透過率に与える影響が小さい。そのため、赤外線反射基板100は、遮熱性が高いにも関わらず、可視光透過率は、68%と高い値を有する。
[0023]
 以下、各層の構成や材料等の好ましい実施形態について、順に説明する。
[0024]
[透明基材]
 透明基材10としては、可視光線透過率が80%以上のものが好適に用いられる。なお、可視光線透過率は例えば、JIS A5759-2008(建築窓ガラスフィルム)に準じて測定される。
[0025]
 透明基材10の厚みは、特に限定されないが、典型的には10μmから10mm程度である。透明基材としては、ガラス板や可撓性の透明樹脂フィルム等が用いられる。赤外線反射基板の生産性を高め、かつ窓ガラス等へ赤外線反射基板を貼り合わせる際の施工を容易とする観点からは、透明基材10には、可撓性の透明樹脂フィルムが好適に用いられる。透明基材として透明樹脂フィルムが用いられる場合、その厚みは10μm~300μm程度の範囲が好適であり、100μm以下が、好ましく、50μm以下が一層好ましく、40μm以下がより一層好ましい。また、透明基材10上に、金属層や金属酸化物層等が形成される際に、高温での加工が行われる場合があるため、透明樹脂フィルム基材を構成する樹脂材料は、耐熱性に優れるものが好ましい。透明樹脂フィルム基材を構成する樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)等が挙げられる。
[0026]
 透明基材10が、透明樹脂フィルム基材である場合、赤外線反射基板の機械的強度を高める等の目的で、透明フィルムに加えて、該透明フィルムの表面に硬化樹脂層を備えるものが好適に用いられる。また、透明フィルムの赤外線反射層20形成面側に硬化樹脂層を備えることで、赤外線反射層20や、その上に形成され得る透明保護層等の耐擦傷性が高められる傾向がある。硬化樹脂層12は、例えばアクリル系、シリコーン系等の適宜な紫外線硬化型樹脂の硬化被膜を、透明フィルム上に付設する方式等により形成できる。硬化樹脂層としては、硬度の高いものが好適に用いられる。
[0027]
 透明基材10の赤外線反射層20が形成される面側には、密着性向上等の目的で、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、オゾン処理、プライマー処理、グロー処理、ケン化処理、カップリング剤による処理等の表面改質処理が行われてもよい。
[0028]
[粘着剤層]
 透明基材10が、樹脂フィルム基剤の場合には、透明基材10の赤外線反射層20が形成される面と反対側の面に、赤外線反射基板と窓ガラス等との貼り合せに用いるための粘着剤層60等が付設されてもよい。粘着剤層60は、可視光線透過率が高く、透明基材10との屈折率差が小さいことが好ましく、例えば、アクリル系の粘着剤(感圧粘着剤)は、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性を示し、耐候性や耐熱性等に優れることから、透明フィルム基材に付設される粘着剤層の材料として好適である。
[0029]
 粘着剤層60は、可視光線の透過率が高く、かつ紫外線透過率が小さいものが好ましい。粘着剤層60の紫外線透過率を小さくすることにより、太陽光等の紫外線に起因する赤外線反射層の劣化を抑制できる。粘着剤層の紫外線透過率を小さくする観点から、粘着剤層は紫外線吸収剤を含有することが好ましい。なお、紫外線吸収剤を含有する透明フィルム基材等を用いることによっても、屋外からの紫外線に起因する赤外線反射層の劣化を抑制できる。粘着剤層の露出面は、赤外線反射基板が実用に供されるまでの間、露出面の汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされることが好ましい。これにより、通例の取扱状態で、粘着剤層の露出面の外部との接触による汚染を防止できる。
[0030]
 なお、透明基材10が可撓性フィルムである場合でも、例えば、特許文献2に開示されているように、赤外線反射基板を枠体等に嵌め込んで用いることもできる。当該形態では、透明基材10に粘着剤層60を付設する必要がないため、粘着剤層による遠赤外線の吸収が生じない。そのため、透明基材10として、C=C結合、C=O結合、C-O結合、芳香族環等の官能基の含有量が少ない材料(例えば環状ポリオレフィン)を用いることにより、透明基材10側からの遠赤外線を赤外線反射層20で反射させることができ、赤外線反射基板の両面側に断熱性を付与できる。このような構成は、例えば冷蔵ショーケースや冷凍ショーケース等で特に有用である。
[0031]
[赤外線反射層]
 本発明の実施形態における赤外線反射層20は、波長600nmから波長700nmにかけて光の反射率の傾きが高いものであり、例えば、以下のような実施形態が存在するが、本発明は、これらの形態に限定されるわけではない。
[0032]
<2層の金属層構成>
 図5は、本発明の実施形態における赤外線反射層500を示す。図5における赤外線反射層500は、2層の金属層によって、ファブリペロー共振器を形成する。該2層の金属層は、ファブリペロー共振器におけるハーフミラーの役割を果たす。そして、この2層の金属薄膜間に、透明スペーサ層を配置して、特定の波長の光を選択的に透過させ、他の波長の光を反射あるいは干渉・減衰させることにより光が遮蔽される。ファブリペロー共振器では、2層の金属薄膜間にある透明スペーサ層の光学膜厚(屈折率と物理的な膜厚の積)を調整することによって、透過させる光の波長の範囲と、反射させる光の波長の範囲を変更することができる。
[0033]
 赤外線反射層500は、基材10側から順に、第1の積層体510、透明スペーサ層530、第2の積層体550を備える。また、第1の積層体510は基材10側から順に、第1の金属酸化物層512、第1の金属層514、第2の金属酸化物層516を備え、第2の積層体は基材10側から順に、第3の金属酸化物層552、第2の金属層554、第4の金属酸化物層556を備える。第1の金属層514と、第2の金属層554が、ハーフミラーの役割を果たす上記2層の金属層に対応する。第1の金属層と、第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層とは、直接接しているが、金属層の保護のため、あるいは、界面の屈折率差を調節するために、両者の間に他の層を含んでもよい。同様に、第2の金属層と、第3の金属酸化物層及び第4の金属酸化物層とは、直接接しているが、両者の間に他の層を含んでもよい。
[0034]
<金属層>
 金属層514及び554は、赤外線反射の中心的な役割を有する。金属層514及び5554の材料としては、銀、金、銅、アルミニウム等の近赤外線の反射率の高い金属が好ましく用いられる。中でも、積層数を増加させることなく、可視光線透過率と近赤外線反射率を高める観点から、金属酸化物層の間に挟持される金属層として、銀を主成分とする銀合金層が好適に用いられる。銀は高い自由電子密度を有するため、近赤外線・遠赤外線の高い反射率を実現することができ、赤外線反射層20を構成する層の積層数が少ない場合でも、遮熱効果および断熱効果に優れる赤外線反射フィルムが得られる。
[0035]
 金属層514及び554は、銀を75~99.9重量%含有することが好ましい。可視光透過率を高める観点から、金属層15の銀の含有量は、80重量%以上がより好ましく、85重量%以上がさらに好ましく、90重量%以上が特に好ましい。例えば、銀の含有量を96重量%以上とすることで、透過率および反射率の波長選択性を高め、可視光線透過率を高めることができる。金属層514、554における銀の含有量が増加するにしたがって、赤外線反射フィルムの可視光線透過率が高められる傾向がある。
[0036]
 一方で、銀は、水分、酸素、塩素等が存在する環境下に暴露された場合や、紫外光や可視光が照射された場合に、酸化や腐食等の劣化を生じる場合がある。そのため、金属層514、554は、耐久性を向上させる目的で、銀以外の金属を含有する銀合金層であることが好ましい。例えば、金属層514、554は、銀以外の金属を0.1重量%以上含有することが好ましく、0.2重量%以上含有することがより好ましく、0.3重量%以上含有することがさらに好ましい。金属層の耐久性を高める目的で添加される金属としては、パラジウム(Pd),金(Au),銅(Cu),ビスマス(Bi),ゲルマニウム(Ge),ガリウム(Ga)等が好ましい。中でも、銀に高い耐久性を付与する観点から、Pdが最も好適に用いられる。Pd等の添加量を増加させると、金属層の耐久性が向上する傾向がある。一方で、Pd等の添加量が過度に多いと、赤外線反射フィルムの可視光線透過率が低下する傾向がある。そのため、金属層中の銀以外の金属の含有量は、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、3重量%以下がさらに好ましく、1重量%以下が特に好ましい。
[0037]
 また、金属層は、銀合金に限られるものではなく、例えば、耐久性を高める観点から、金単体又は金を主成分とする金合金を用いてもよい。金合金における金の含有量は、75~99.9重量%含有することが好ましい。特に、可視光透過率を高める観点から、金属層の金の含有量は、80重量%以上がより好ましく、85重量%以上がさらに好ましく、90重量%以上が特に好ましい。また、銀を不純物とすることが好ましく、例えば、銀を1から25重量%含有することが好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下がさらに好ましい。
[0038]
 第1の金属層514と第2の金属層554は、異なる金属であってもよく、例えば、表面に近く、高い耐久性が必要となる第2の金属層を金合金とする一方で、第1の金属層を安価な銀合金としてもよい。
[0039]
 第1の金属層514及び第2の金属層554の膜厚は、金属層がハーフミラーとして機能するように、材料の屈折率等を勘案して適宜に設定される。金属層514、554の膜厚は、4nm~25nmが好ましく、5nm~20nmがより好ましい。
[0040]
 金属層514、554の形成方法としては、スパッタ法、真空蒸着法、電子線蒸着法等のドライプロセスが好ましい。中でも、ロールトゥーロール成膜が可能であり、金属酸化物層と共通の成膜方法を採用でき、かつ成膜レートが高いことから、スパッタ法が好ましい。
[0041]
<金属酸化物層>
 金属酸化物層512、516、552及び556は、金属層との界面における可視光線の反射量を制御して、高い可視光線透過率と、赤外線反射率とを両立させる等の目的で設けられる。また、金属酸化物層は、金属層514、554の劣化を防止するための保護層としても機能し得る。赤外線反射層における反射および透過の波長選択性を高める観点から、金属酸化物層の可視光に対する屈折率は、1.5以上が好ましく、1.6以上がより好ましく、1.7以上がさらに好ましい。
[0042]
 上記の屈折率を有する材料としては、チタン(Ti),ジルコン(Zr),ハフニウム(Hf),ニオブ(Nb),亜鉛(Zn),アルミニウム(Al),ガリウム(Ga),インジウム(In),タリウム(Tl),錫(Sn)等の金属の酸化物、あるいはこれらの金属の複合酸化物が挙げられる。特に、本発明においては、金属酸化物層512、516、552及び556の材料として、酸化亜鉛を含有する複合金属酸化物が好適に用いられる。また、これらの金属酸化物層は、金属層を保護する機能をも有するため、非晶質であることが好ましい。金属酸化物層が酸化亜鉛を含有する非晶質層である場合、金属酸化物層自体の耐久性が高められると共に、金属層に対する保護層としての作用が増大するため、銀合金からなる金属層の劣化が抑制される。
[0043]
 金属酸化物層512、516、552及び556中の酸化亜鉛の含有量は、金属酸化物の合計100重量部に対して、3重量部以上が好ましく、5重量部以上がより好ましく、7重量部以上がさらに好ましい。酸化亜鉛の含有量が上記範囲であれば、金属酸化物層が非晶質層となりやすく、耐久性が高められる傾向がある。一方、酸化亜鉛の含有量が過度に大きいと、逆に耐久性が低下したり、可視光線透過率が低下する傾向がある。そのため、金属酸化物層512、516、552、556中の酸化亜鉛の含有量は、金属酸化物の合計100重量部に対して、60重量部以下が好ましく、50重量部以下がより好ましく、40重量部以下がさらに好ましい。
[0044]
 酸化亜鉛を含有する複合金属酸化物としては、可視光線透過率、屈折率、耐久性の全てを満足するとの観点から、インジウム-亜鉛複合酸化物(IZO)、亜鉛-錫複合酸化物(ZTO)、インジウム-錫-亜鉛複合酸化物(ITZO)等が好ましい。これらの複合酸化物は、さらにAlやGa等の金属や、これらの金属の酸化物を含有していてもよい。
[0045]
 金属酸化物層512、516、552、556の厚みは、赤外線反射層が、可視光線を透過し近赤外線を選択的に反射するように、材料の屈折率等を勘案して適宜に設定される。金属酸化物層512、516、552、556の厚みは、例えば、3nm~80nm、好ましくは3nm~50nm、より好ましくは3~35nmの範囲で調整され得る。金属酸化物層の製膜方法は特に限定されないが、金属層と同様に、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法、電子線蒸着法等のドライプロセスによる製膜が好ましい。
[0046]
<透明スペーサ層>
 透明スペーサ層530は、その厚みを調整して第1の金属層と第2の金属層との間の光学距離を変更するスペーサとしての役割を果たす。そして、上記の光学距離を変更することによって、基材側からの光の透過率及び反射率といった光学特性を調整することで、600nmの波長においては、高透過率・低反射率であり、かつ、700nmの波長において、低透過率・高反射率の赤外線反射フィルムを得ることができる。このような光学特性は、透明スペーサ層の屈折率、金属層及び金属酸化物層の材料及び膜厚に応じて定められ、例えば、透明スペーサ層の光学膜厚(物理的な厚みと屈折率の積)は、70nmから300nmが好ましく、80nmから250nmがより好ましく、90nmから200nmが一層好ましい。すなわち、透明スペーサ層の屈折率が、一般に1.3から1.7の範囲内にあることを考慮すれば、透明スペーサ層の物理的な厚みは例えば、40nmから200nmが好ましく、50nmから180nmがより好ましく、60nmから160nmがより一層好ましい。
[0047]
 赤外線反射基板500は、透明フィルム基材10上に、透明スペーサ層530を含む各層を順次形成してもよいが、透明スペーサ層530に接着機能を与えて、透明フィルム基材10とは異なる透明フィルム基材上(図示せず。)に、第2の積層体530を形成し、透明フィルム基材10上に形成された第1の積層体510に、透明スペーサ層530を介して貼り合わせて、作成することもできる。この貼り合わせ方式の方が、順次層を形成する方式よりも、透明フィルム基材10と金属酸化物層512、556との間、透明スペーサ層530と金属酸化物層516、552との間の接着性に優れる。
[0048]
 透明フィルム基材10上に第1の積層体510を形成後、金属酸化物層516上に樹脂溶液を塗布することにより、透明スペーサ層530が形成される。金属酸化物層516、552間の接着性を高めるために、透明スペーサ層530は、接着剤が好ましく用いられる。接着剤としては、ポリウレタン系接着剤、ポリウレア系接着剤、ポリアクリレート系接着剤、ポリエステル系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤等が好ましく用いられる。接着剤は、2種以上を混合して用いてもよく、二液硬化型接着剤や二液溶剤型接着剤等を用いてもよい。
[0049]
 接着剤は、架橋剤を有することが好ましい。架橋性の接着剤を介して第一の積層体510と第二の積層体550とを対向するように重ね合わせた後、加熱やUV照射等により架橋を行うことにより、第2及び第3の金属酸化物516、552間の接着性が高められる。架橋剤としては、多官能ビニル化合物、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、イミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤等が挙げられる。
[0050]
 第一の積層体510と第二の積層体550との貼り合わせは、いずれか一方の赤外線反射層上に接着剤を塗布後、ただちに貼り合わせを行うウェットラミネート法、および接着剤を乾燥させた後に貼り合わせを行うドライラミネート法のいずれで行ってもよい。本発明においては、透明スペーサ層530として形成される接着剤層が、赤外線反射フィルムの透過・反射の波長選択性等の光学特性に大きな影響を与える。そのため、接着剤層の精密な厚み調整が可能であるドライラミネート法による貼り合わせが好ましい。ドライラミネート法による貼り合わせには、ドライラミネート接着剤が用いられる。
[0051]
 ドライラミネート接着剤としては、二液硬化型接着剤、二液溶剤型接着剤、一液無溶剤型接着剤等が挙げられる。二液硬化型接着剤としてはアクリル系、二液溶剤型接着剤としては、ポリエステル系、ポリエステル/ポリウレタン系、ポリエーテル/ポリウレタン系、エポキシ系、一液無溶剤型接着剤(湿気硬化型タイプ)としてはポリエーテル/ポリウレタン系、エポキシ系等を用いることができる。
[0052]
 接着剤等の樹脂溶液の塗布は、グラビアコート、キスロールコート、リバースコート、マイヤーバーコート等の各種のロールコート法、スプレーコート、カーテンコート、リップコート等の公知の方法により行い得る。樹脂溶液の固形分濃度および塗布厚みを調整することにより、透明スペーサ層の厚みを所望の範囲とすることができる。
[0053]
 必要に応じて溶媒を乾燥後に、第二の金属酸化物層516と第三金属酸化物層552とが対向するように、第一の積層体510と第二の積層体550との貼り合わせが行われる。貼り合わせの際には、必要に応じて加熱を行ってもよい。架橋性接着剤が用いられる場合は、貼り合わせ後に、加熱やUV照射等により架橋処理が行われることが好ましい。
[0054]
 また、透明スペーサ層530としての接着剤を介して第一の積層体510と第二の積層体530とが貼り合わせられた赤外線反射基板500は、金属層および金属酸化物層が2枚の透明フィルム基材の間に配置され、第2の積層体を形成した透明基材を、後述する保護層として機能させているため、耐擦傷性等の物理的耐久性に優れる。さらに、2枚の透明フィルム上のそれぞれに、他の樹脂層を介さずに直接金属酸化物層が設けられ、かつ金属層の両面に接して金属酸化物層が設けられているため、水分等の侵入が抑制される。そのため、本発明の赤外線反射フィルムは高い化学的耐久性を有し、高温高湿環境下に曝された場合でも金属層の劣化がなく、高い遮熱性および透明性を維持できる。もっとも、第4の金属酸化物層上にある透明フィルム基材は、必須の構成ではないから、第1の積層体510と第2の積層体530とを貼り合わせた後に、除去してもよい。
[0055]
[透明保護層]
 本発明において、透明保護層(図示せず。)は、必須ではないが、赤外線反射層の第二金属酸化物層上には、金属酸化物層や金属層の擦傷や劣化を防止する目的で、透明保護層を設けてもよい。フィルム基材の耐熱温度の範囲内で透明保護層を形成する観点から、透明保護層の材料としては有機物が用いられるが、無機物であってもよい。
[0056]
 透明保護層は、高い可視光線の透過率を有することに加えて、遠赤外線の吸収が小さいことが好ましい。遠赤外線の吸収率が大きいと、室内の遠赤外線が透明保護層で吸収され、熱伝導によって外部に放熱されるため、赤外線反射フィルムの断熱性が低下する傾向がある。一方、透明保護層による遠赤外線の吸収が少ない場合、遠赤外線は、赤外線反射層の金属層514及び554により室内に反射されるため、赤外線反射フィルムの断熱効果が高められる。透明保護層による遠赤外線吸収量を小さくする方法としては、透明保護層の厚みを小さくする方法や、透明保護層の材料として遠赤外線の吸収率が小さいものを用いる方法が挙げられる。
[0057]
 透明保護層の厚みを調整して遠赤外線吸収を小さくする場合、透明保護層の厚みは、300nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、100nm以下がさらに好ましい。透明保護層の厚みが小さい場合、遠赤外線吸収量の低減によって断熱効果を高められる一方で、赤外線反射層の耐久性を高めるための保護層としての機能が低下する場合がある。そのため、透明保護層の厚みが200nm以下の場合は、透明保護層として強度に優れる材料が用いられると共に、赤外線反射層自体の耐久性も高められることが好ましい。赤外線反射層自体の耐久性を高める方法としては、金属層514及び554における銀の含有量を小さくして、パラジウム等の成分の含有量を大きくする方法が挙げられる。例えば、金属層514及び554が、銀とパラジウムの合金である場合、銀:パラジウムの含有量を重量比で、96:4~98:2程度に調整することが好ましい。
[0058]
 一方、透明保護層の材料として遠赤外線の吸収率が小さいものを用いれば、保護層の厚みを大きくしても、遠赤外線吸収量を小さく保つことができるため、赤外線反射層に対する保護効果を高めることができる。当該構成によれば、金属層514及び554中のパラジウム等の含有量を過度に増大させることなく、赤外線反射フィルムの耐久性を高められることから、可視光線透過率と耐久性の両方を向上する上で好ましい。透明保護層の材料としては、遠赤外線の吸収を小さくする観点から、C=C結合、C=O結合、C-O結合、芳香族環等の含有量が小さい化合物が好適に用いられる。透明保護層を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンや、シクロオレフィン系ポリマー等の脂環式ポリマー、ゴム系ポリマー等が好適に用いられる。
[0059]
 透明保護層を構成する材料は、遠赤外線の吸収率が小さいことに加えて、可視光線透過率が高く、赤外線反射層との密着性に優れ、かつ耐擦傷性に優れるものが好適に用いられる。かかる観点から、ゴム系の材料が特に好ましく、中でもニトリルゴム系の材料が好適に用いられる。
[0060]
 透明保護層の形成方法は特に限定されないが、例えば、水素化ニトリルゴム等の高分子を、必要に応じて架橋剤と共に溶剤に溶解させて溶液を調整し、この溶液を赤外線反射層20上に塗布した後、溶媒を乾燥させることにより形成される。溶剤は、上記高分子を溶解可能なものであれば、特に限定されないが、メチルエチルケトン(MEK)、塩化メチレン等の低沸点溶剤が好適に用いられる。溶剤として、メチルエチルケトン(沸点:79.5℃)や塩化メチレン(沸点:40℃)等の低沸点溶剤が用いられた場合、赤外線反射層20上に溶液を塗布後の乾燥を低温で行い得るため、赤外線反射層20や透明フィルム基材10に対する熱ダメージが抑制される。また、上述のように、透明基材上に第2の積層体550を形成し、かかる第2の積層体550を、接着剤からなる透明スペーサ層530を介して、第1の積層体510に貼り合わせて、赤外線反射基板500を形成する場合に、上記透明基材が、透明保護層に適した厚み、材料であるようにして、上記透明基材を透明保護層として利用してもよい。
[0061]
 なお、透明保護層の材料としては、ポリマー以外に、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤滑剤、可塑剤、着色防止剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤が含まれていてもよい。これらの添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜に調整され得るが、透明保護層中のポリマーの含有量は80重量%以上であることが好ましい。例えば、透明保護層の材料として、水素化ニトリルゴムが用いられる場合、透明保護層中の水素化ニトリルゴムの含有量は、90重量%以上が好ましく、95重量%以上がより好ましく、99重量%以上がさらに好ましい。
[0062]
 透明保護層の材料として、水素化ニトリルゴム等の遠赤外線の吸収率が小さいものが用いられる場合、透明保護層の厚みは、1μm~20μmが好ましく、2μm~15μmがより好ましく、3μm~10μmがさらに好ましい。透明保護層の厚みが上記範囲であれば、保護層自体が十分な物理的強度を有し、かつ赤外線反射層の保護機能が高められると共に、遠赤外線の吸収量が小さくすることができる。
[0063]
[その他の層]
 上記のように、本発明の赤外線反射基板500は、透明フィルム基材10の一主面上に、第1金属酸化物層、第1の金属層、第2金属酸化物層、接着剤層、第3金属酸化物層、第2の金属層、第4金属酸化物層からなる赤外線反射層を有するが、使用状況に応じて追加の層を設けてもよい。透明フィルム基材10と赤外線反射層20との間、および、透明保護層を配置した場合には赤外線反射層20と透明保護層30との間に、各層の密着性を高める目的や、赤外線反射フィルムの強度を高める等の目的で、ハードコート層や易接着層等が設けられていてもよい。易接着層やハードコート層等の材料や形成方法は特に限定されないが、可視光線透過率の高い透明な材料が好適に用いられる。
[0064]
[赤外線反射層500を含む赤外線反射基板の特性]
 赤外線反射層500では、各層の屈折率(材料)及び厚みを調整して、600nm以下の波長の可視光の透過率を50%以上にすることができ、55%以上にすることが一層好ましく、60%以上がより一層好ましい。特に、450nmから550nmの間の透過率を55%以上にすることが好ましく、60%以上が一層好ましく、65%以上がより一層好ましく、70%以上とすることが最も好ましい。また、赤外線反射層500は、600nmの波長から700nmの波長に向けて、反射率が高まるように、第2及び第3の金属酸化物層516、552の種類及び厚み、並びに、透明スペーサ層530の種類及び厚みを調整し、第1及び第2の金属層間の光学距離が調整される。赤外線反射層500においては、600nmと700nmとの間では、反射率の傾き(dR 700-600(%/nm))が、0.12以上であり、0.15以上が、好ましく、0.20以上が、一層好ましく、0.25以上がより一層好ましい。
[0065]
<3層の金属構成>
 本発明の別の実施形態である赤外線反射基板600は、3層の金属層を含む赤外線反射層を備える。赤外線反射層600は、3層の金属層を備えるため、複雑な光学特性を設計することが可能になる。図6に示される赤外線反射基板600は、基材と基材上にある赤外線反射層を備えるが、赤外線反射層は、基材側から順に、第1の金属酸化物層612、第1の金属層614、第2の金属酸化物層616、第2の金属層618、第3の金属酸化物層620、第3の金属層622及び第4の金属酸化物層624からなる。なお、本実施形態は、3層の金属層を備えるが、本発明は、4層以上の金属層を備え、3層の金属層を備える構成と同様に、金属層と、金属酸化物層を交互に備えてもよい。
[0066]
 赤外線反射層600では、各層の屈折率(材料)及び厚みを調整して、600nm以下の波長の可視光の透過率を50%以上にすることができ、55%以上にすることが一層好ましく、60%以上がより一層好ましい。特に、450nmから550nmの間の透過率を55%以上にすることが好ましく、60%以上が一層好ましく、65%以上がより一層好ましく、70%以上とすることが最も好ましい。また、赤外線反射層600は、600nmの波長から700nmの波長に向けて、反射率が高まるように、各層の種類及び厚み、が調整される。赤外線反射層500においては、600nmと700nmとの間では、反射率の傾き(dR 700-600(%/nm))が、0.12以上であり、0.15以上が、好ましく、0.20以上が、一層好ましく、0.25以上がより一層好ましい。
[0067]
 赤外線反射基板600の金属層及び金属酸化物層には、赤外線反射基板500に関連して説明された金属及び金属酸化物を用いることができる。また、赤外線反射基板500と同様に、必要に応じて、粘着剤層、保護フィルム及びハードコート層を用いてもよい。
[0068]
<有機多層構成>
 本発明の更に別の実施形態である赤外線反射基板は、2種類以上の有機樹脂を多層に組み合わせた赤外線反射層を備える。赤外線反射基板は、基材と基材上にある赤外線反射層を備えるが、赤外線反射層は、屈折率の異なる2種類の有機樹脂を交互に備える。具体的には、赤外線反射層は、複数の第1種の有機物層と、複数の第2種の有機物層とを交互に備え、それぞれの厚みを基材側から徐々に薄くした2種樹脂積層体を複数備える。すわなち、第2種の有機物層は、その直下にある第1種の有機物層と同一の厚みを有し、複数の第1種の有機物層及び複数の第2種の有機物層が、基材側から徐々にうすくなっている。本実施形態における赤外線反射層は、第1種の有機物層の主面上に、同一の厚みの第2種有機物層を形成し、その上に、一定の厚みだけ薄くした第1種有機物層を形成し、さらにその上に、同一の厚みの第2種有機物層を形成し、それを繰り返して、2種樹脂積層体を形成する。さらに、その2種樹脂積層体を複数重ねることで、赤外線反射基板を形成する。
[0069]
 第1種及び第2種有機物層の材料及び各層の厚さを規定することによって、600nm以下の波長の可視光の透過率を50%以上にすることが可能であり、55%以上とすることが一層好ましく、60%以上とすることがより一層好ましい。また、450nmから550nmの間の透過率を55%以上にすることが好ましく、60%以上が一層好ましく、65%以上がより一層好ましく、70%以上とすることが最も好ましい。600nmから長波長側に向けて、反射率が高まる。赤外線反射層500においては、600nmと700nmとの間では、反射率の傾き(dR 700-600(%/nm))が、0.12以上であり、0.15以上が、好ましく、0.20以上が、一層好ましく、0.25以上がより一層好ましい。
[0070]
 2種樹脂積層体の厚みは、必要な光学特性及び使用する材料によって異なるが、例えば、最も厚い層で、180nmから240nmが好ましく、190nmから230nmがより好ましく、200nmから220nmがさらに好ましい。また、最も薄い層で、120nmから180nmが好ましく、130nmから170nmがより好ましく、140nmから160nmがさらに好ましい。第1種及び第2種の有機物層の厚みの変化量は、1nmから20nmが好ましく、2nmから10nmがより好ましく3nmから7nmが一層好ましい。各2種樹脂積層体が有する第1樹脂層及び第2樹脂層の層数は、5から30層が好ましく、8から20層がより好ましく、10から15層が一層好ましい。また、赤外線反射基板が備える2種樹脂積層体の積層体数は、10層以上が好ましいが、層数を増加させることによって、屈折率及び透過率のスペクトルをより精密に規定することができるため、15層以上備えることが好ましく、20層以上備えることが一層好ましい。もっとも赤外線反射基板の製造工程を少なくする観点からは、35層以下が好ましく、25層以下がより好ましい。
[0071]
 第1種及び第2種有機物層に用いられる材料としては、屈折率が異なる2種類の有機物材料であればよい。例えば、屈折率は、1.3から1.7が好ましく、1.4から1.6がさらに好ましい。また、2種類の有機物の屈折率の差は、0.01から0.2であれば好ましく、0.03から0.1であればさらに好ましい。例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂を用いることができる。ポリエステル樹脂として用いうるものとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどが代表的なものである。特にポリエチレンテレフタレートは、安価であるため、非常に多岐にわたる用途に用いることができ好ましい。また、好ましい非晶性ポリエステル樹脂は、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分が合わせて少なくとも3種以上用いて重縮合して得られる構造を有するものである。非晶性のポリエステル樹脂は非晶性である限り2種以上のポリエステル樹脂が混合されたものであってもよい。
[0072]
<実施例>
 以下に、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[0073]
[実施例1]
 厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材の一方の面上に、スパッタリングによって、厚み2nmの酸化チタン(TiO 2)、厚み10nmの銅(2.5%)を不純物として含む銀合金、厚み2nmの酸化チタン(TiO 2)を形成し、第1の積層体を基材上に形成した。そして、第1の積層体上に、光硬化性のウレタンアクリレート樹脂溶液を塗布し、乾燥後に紫外線を照射することによって、樹脂溶液を硬化させて、透明スペーサ層を形成した。樹脂溶液の量は、樹脂を硬化させた透明スペーサ層の厚みが、100nmとなるように、調整された。硬化した透明スペーサ層に対して、厚み2nmの酸化チタン(TiO 2)、厚み10nmの銅(2.5wt%)を不純物として含む銀合金、厚み2nmの酸化チタン(TiO 2)を形成した基材側の面に、アクリル系粘着剤からなる厚み17μmの粘着層を貼り合わせて、実施例1の偏光フィルム積層体を形成した。実施例1の偏光フィルム積層体の層構成を図7に示す。
[0074]
[実施例2]
 実施例2の偏光フィルム積層体は、第1の積層体及び第2の積層体の銀合金の金属層の厚みが、12nmである点及び、接着剤層の厚みが、70nmである点のみ、実施例1の偏光フィルム積層体と異なり、その他の点では、同一である。
[0075]
[実施例3]
 実施例3の偏光フィルム積層体は、第1の積層体及び第2の積層体の銀合金の金属層の厚みが、12nmである点のみ、実施例1の偏光フィルム積層体と異なり、その他の点では、同一である。
[0076]
[実施例4]
 実施例4の偏光フィルム積層体は、第1の積層体及び第2の積層体の銀合金の金属層の厚みが、20nmである点及び、接着剤層の厚みが、70nmである点のみ、実施例1の偏光フィルム積層体と異なり、その他の点では、同一である。
[0077]
[実施例5]
 実施例5の偏光フィルム積層体は、第1の積層体及び第2の積層体の銀合金の金属層の厚みが、15nmである点のみ、実施例1の偏光フィルム積層体と異なり、その他の点では、同一である。
[0078]
[実施例6]
 実施例6の偏光フィルム積層体は、第1の積層体及び第2の積層体の銀合金の金属層の厚みが、20nmである点のみ、実施例1の偏光フィルム積層体と異なり、その他の点では、同一である。
[0079]
[実施例7]
 実施例7の偏光フィルム積層体は、第1の積層体及び第2の積層体の銀合金の金属層の厚みが、25nmである点のみ、実施例1の偏光フィルム積層体と異なり、その他の点では、同一である。
[0080]
[実施例8]
 実施例8の偏光フィルム積層体は、3層の金属層を備える。厚み23μmのPETフィルム基材の一方の面上に、スパッタリングによって、厚み4nmの酸化チタン、厚み10nmの銀合金、厚み40nmの酸化チタン、厚み9nmの銀合金、厚み40nmの酸化チタン、厚み10nmの銀合金、厚み4nmの酸化チタンをこの順で形成した。銀合金はいずれも、銅2.5wt%を不純物として含む。また、PETフィルム基材の他方の面上に、実施例1と同様の粘着層を貼合せた。図8に実施例8の積層構造を示す。
[0081]
[実施例9]
 実施例9の偏光フィルム積層体は、屈折率1.5のウレタンエステル樹脂(低屈折率樹脂)と、屈折率1.55のウレタンエステル樹脂(高屈折率樹脂)の2種類のウレタンエステル樹脂を、交互に積層して作成した。ウレタン樹脂の厚みは、貼合せの粘着剤層の側から、210nmから、150nmまで、5nmずつ変化させて、各材料を13層備える積層体である2種樹脂積層体を作成した。すなわち、2種樹脂積層体は、210nmの低屈折率樹脂の層の上に、210nmの高屈折率樹脂の層を作成し、その上に、205nmの低屈折率樹脂の層を作成し、また、その上に、205nmの高屈折率樹脂の層を作成する、という操作を繰り返して作成された。そして、かかる2種樹脂積層体の作成作業を20回繰り返して、2種樹脂積層体を20層重ね、実施例9の偏光フィルム積層体を作成した。
[0082]
[比較例1]
 接着剤層の厚みを50nmとした点を除き、実施例1と同様の方法により、比較例1の偏光フィルム積層体を作成した。
[0083]
[比較例2]
 厚み24μmのPETフィルムによって構成される第1の基材の一方の面上に、スパッタリングによって、厚みの3nmの鉄-クロム-ニッケルの複合酸化物層、厚み20nmの銅層及び厚みの3nmの鉄-クロム-ニッケルの複合酸化物層をこの順で形成した。また、第1の基材とは別の厚み24μmのPETフィルムによって構成される第2の基材の一方の面状に、ウレタン系接着剤溶液で構成される、厚み2.9μmの接着剤を塗布し、上記の第1の基材を含む積層体を、鉄、クロム及びニッケル酸化物層側から貼合せて、接着した。そして、第2の基材の接着剤層とは、逆側に、アクリル系粘着剤で構成される、厚み6.2μmの粘着層を貼合せて、比較例2の偏光フィルム積層体を作成した。
[0084]
[比較例3]
 比較例3の偏光フィルム積層体は、3層の金属層を備える。厚み23μmのPETフィルム基材の一方の面上に、スパッタリングによって、厚み4nmの酸化チタン、厚み10nmの銀合金、厚み50nmの酸化チタン、厚み10nmの銀合金、厚み50nmの酸化チタン、厚み10nmの銀合金、厚み4nmの酸化チタンをこの順で形成した。銀合金はいずれも、銅2.5wt%を不純物として含む。また、PETフィルム基材の他方の面上に、実施例1と同様の粘着層を貼合せた。
[0085]
[比較例4]
 実施例4の偏光フィルム積層体は、実施例9と同様に、屈折率1.5のウレタンエステル樹脂(低屈折率樹脂)と、屈折率1.55のウレタンエステル樹脂(高屈折率樹脂)の2種類のウレタンエステル樹脂を、交互に積層して作成した。ウレタン樹脂の厚みは、貼合せの粘着剤層の側から、175nmから115nmまで、5nmずつ変化させて、13層の積層体である交互配置積層体を作成した。そして、かかる交互配置積層体の作成作業を20回繰り返して、交互積層体を20層重ね、実施例9の偏光フィルム積層体を作成した。
[0086]
 以下に、偏光フィルム積層体の特性を測定する方法を記載する。
[0087]
[各層の厚み]
 赤外線反射層を構成する各層の厚みは、集束イオンビーム加工観察装置(日立製作所製、製品名「FB-2100」)を用いて、集束イオンビーム(FIB)法により試料を加工し、その断面を、電界放出形透過電子顕微鏡(日立製作所製、製品名「HF-2000」)により観察して求めた。基材上に形成されたハードコート層、および透明保護層の厚みは、瞬間マルチ測光システム(大塚電子製、製品名「MCPD3000」)を用い、測定対象側から光を入射させた際の可視光の反射率の干渉パターンから、計算により求めた。
[0088]
[可視光線透過率、可視光反射率及び可視光吸収率]
 可視光線透過率(VLT)及び可視光反射率は、分光光度計(日立ハイテク製 製品名「U-4100」)を用いて、JIS A5759-2008(建築窓ガラスフィルム)に準じて求めた。
[0089]
[反射率の傾き]
 上記分光光度計によって得られた反射率のスペクトルを用いて、波長600nmの反射率(R 600)と波長700nmの反射率(R 700)との間の反射率の傾き(dR 700-600)を求めた。反射率の傾きは、数1によって求められる。また、反射率を、波長600nm又は700nmの一点の値を採用すると、スペクトルの測定誤差の影響を受け易いから、前後25nmの値との平均値を用いた。すなわち、波長600nmの反射率(R 600)として、575nm、600nm及び625nmの反射率の平均値を、波長700nmの反射率(R 700)として、675nm、700nm及び725nmの反射率の平均値を用いた。
[0090]
[反射率の比率]
 反射率の比率(R 700/R 600)は、波長700nmの反射率を波長600nmの反射率で除算することによって算出した。
[0091]
[可視光透過率のトップ波長]
 上記分光光度計によって得られた透過率のスペクトルを用いて、波長400nmから700nmまでの間で、最も高い透過率を持つ波長を、可視光透過率のトップ波長とした。
[0092]
[遮蔽係数]
 分光光度計(日立ハイテク製 製品名「U-4100」)を用いて、日射透過率τeおよび日射反射率ρeを測定し、JIS A5759-2008(建築窓ガラスフィルム)A法により、遮蔽係数(SC)を算出した。
[0093]
[可視光透過率と遮蔽係数とのバランス]
 可視光透過率は、遮蔽係数を大きくすることで(つまり、遮蔽の程度を弱めることで)、高めることができる。すなわち、遮蔽の程度を弱めることで、多くの光が透過できるようになるため、両者は、トレードオフの関係にあり、一方の水準のみを高めることは、比較的容易といえる。両者を高い水準で有する偏光フィルムが、高性能の偏光フィルムと言える。そこで、160×SC-12の値を算出し、VLTを比較した。VLTが、160×SC-12の値以上である場合について「良好」と記載し、VLTが、該値未満である場合を「良好」と記載した。また、図10に、横軸に遮蔽係数、縦軸にVLTとしたグラフを示す。該グラフには、VLT=160×SC-12を表す線を記した。すなわち、VLT≧160×SC-12の条件を充足するものが、「良好」であり、充足しないものが、「不良」となる。
[0094]
 以下の表1に測定結果を示す。
[0095]
[表1]


[0096]
 表1から理解されるように、実施例1から9はいずれも、波長600nmと波長700nmの間の反射率の傾きが、0.12以上であり、かつ、可視光吸収率が、30%未満である。そのため、実施例1から9のいずれも、高い可視光透過率を備えると共に、低い遮蔽係数を備え、可視光透過率と遮蔽係数のバランスが、いずれも良好となっている。この結果は、反射率の傾きが高く、近赤外線における、反射率が高いので、遮蔽係数が低くなる一方で、可視光領域において、反射率が低いと共に、可視光吸収率が低いため、可視光透過率が高くなることによる。また、いずれの実施例においても、可視光透過率のトップ波長が、450nmから650nmまでの範囲内にあるため、可視光領域の中でも両端、すなわち400nmと700nmと離れた位置に可視光トップ波長が存在し、高い可視光透過率を有している。
[0097]
 一方で、比較例1、比較例3及び比較例4は、反射率の傾きが0.12よりも小さく、可視光透過率と遮蔽係数のバランスが悪化している。特に、比較例1では、435nmが、可視光透過率のトップ波長であり、可視光領域全体では透過率低い。また、比較例4では、反射率の傾きが0.00であることから、可視光透過率と遮蔽係数のバランスが、不良となっており、160×SC-12の値が122となり、可視光透過率92%を大幅に超えている。
[0098]
 また、比較例2は、反射率の傾きは、0.16と高い値を持つが、可視光吸収率が41%と高いため、可視光透過率が低く、可視光透過率と遮蔽係数のバランスが悪くなっている。
[0099]
 図9aに実施例1の350nmから800nmの透過、吸収、反射スペクトルを、図9bに比較例1の同様のスペクトルを示す。実施例1では、波長600nmにおいて、反射率が10%であり、低い一方で、波長700nmにおいて、30%近くにまで高まっており、波長600nmと波長700nmにおいて、反射率の傾きが大きくなっている。一方で、比較例1では、反射率が波長400nmから長波長側にかけてなだらかに高まっている。そのため、遮蔽係数は、可視光透過率が低く、56%にとどまる。
[0100]
 また、図10aに実施例9の400nmから900nmの透過、吸収、反射スペクトルを、図10bに比較例4の同様のスペクトルを示す。実施例9では、波長600nmにおいて、反射率が10%以下であり、低い一方で、波長700nmにおいて、40%を超えており、波長600nmと波長700nmとの間において、反射率の傾きが大きくなっている。一方で、比較例4では、波長600nm及び700nmのいずれにおいても反射率が、10%を下回っている。そして、750nm付近よりも長波長側において、反射率の傾きが大きくなり、波長850nm近辺で40%を超える。そのため、比較例4の遮蔽係数が、極めて高くなり、0.84となっている。一方で、比較例4の可視光透過率は、実施例9よりも高いが、実施例9の90%に対し比較例4の92%とわずか2%しか向上していない。これは、700nm付近においては、重課係数が低いため、700nm付近における透過率を増加させても、可視光透過率全体における増加率は、限定的であるからである。
[0101]
 図11に、実施例及び比較例の遮蔽係数と可視光透過率の関係を表すグラフを示す。横軸が遮蔽係数であり、縦軸が、可視光透過率である。なお、実施例1と8は、遮蔽係数及び可視光透過率が同一の値であったため、一つの点として示されている。
[0102]
 図11によると、実施例では、いずれもVLT≧160×SC-12の条件を充足する。一方で、比較例では、かかる条件を充足しない。また、当業者であれば、実施例に基づき、遮蔽係数を高めて、可視光透過率を上げる、また、その逆を行うことができる。例えば、実施例2では、VLT-160×SCの値が、17になるため、実施例2の構成を基に、VLT=160×SC+17を充足する高性能の偏光フィルムを製造することができる。
[0103]
 以上、本発明を特定の実施形態について図示し、説明したが、本発明は、図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲の請求項によってのみ定まるものである。

符号の説明

[0104]
100 赤外線反射基板
10 透明基材
20 赤外線反射層
50 窓ガラス
60 粘着剤層
500 赤外線反射層500
510 第1の積層体
512 第1の金属酸化物層
514 第1の金属層
516 第2の金属酸化物層
530 透明スペーサ層
550 第2の積層体
552 第3の金属酸化物層
554 第2の金属層
556 第4の金属酸化物層
600 赤外線反射基板
612 第1の金属酸化物層
614 第1の金属層
616 第2の金属酸化物層
618 第2の金属層
620 第3の金属酸化物層
622 第3の金属層
624 第4の金属酸化物層

請求の範囲

[請求項1]
 透明基材と、前記基材上に赤外線反射層とを備える赤外線反射基板であって、
 前記赤外線反射基板の可視光吸収率は、0.3以下であり、
 前記赤外線反射基板の700nmと600nmの反射率の傾きdR 700-600が0.12以上であり、
 前記反射率の傾きdR 700-600(%/nm)は、600nmの波長における前記透明基材側からの反射率をR 600(%)とし、前記赤外線反射フィルムの700nmの波長における前記透明基材側からの反射率をR 700(%)とすると、
dR 700-600=(R 700-R 600)/100(nm)
で表される、
 ことを特徴とする赤外線反射基板。
[請求項2]
 前記反射率R 600は、10%以上かつ60%以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の赤外線反射基板。
[請求項3]
 前記反射率R 700は、25%以上かつ85%以下である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の赤外線反射基板。
[請求項4]
 前記反射率R 600に対する前記反射率R 700の比率R 700/R 600は、1.2以上である、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の赤外線反射基板。
[請求項5]
 可視光透過率トップ波長が、450nmから650nmまでの間にある、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の赤外線反射基板。
[請求項6]
 前記透明基材が、フィルムであり、
 前記透明基材の赤外線反射層を備える面とは、逆側の面に、粘着剤層を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の赤外線反射基板。
[請求項7]
 前記透明基材が、ガラスであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の赤外線反射基板。
[請求項8]
 前記赤外線反射基板はさらに、赤外線反射層上に、透明保護フィルムを備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の赤外線反射基板。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9a]

[ 図 9b]

[ 図 10a]

[ 図 10b]

[ 図 11]