Certains contenus de cette application ne sont pas disponibles pour le moment.
Si cette situation persiste, veuillez nous contacter àObservations et contact
1. (WO2018221216) FEUILLE DE CONVERSION DE COULEUR, UNITÉ DE SOURCE DE LUMIÈRE LA COMPRENANT, AFFICHEUR ET DISPOSITIF D'ÉCLAIRAGE
Document

明 細 書

発明の名称 色変換シート、それを含む光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037  

発明の効果

0038  

図面の簡単な説明

0039  

発明を実施するための形態

0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244   0245   0246   0247   0248   0249   0250   0251   0252   0253   0254   0255   0256   0257   0258   0259   0260   0261   0262   0263   0264   0265   0266   0267   0268   0269   0270   0271   0272   0273   0274  

実施例

0275   0276   0277   0278   0279   0280   0281   0282   0283   0284   0285   0286   0287   0288   0289   0290   0291   0292   0293   0294   0295   0296   0297   0298   0299   0300   0301   0302   0303   0304   0305   0306   0307   0308   0309   0310   0311   0312   0313   0314   0315   0316   0317   0318   0319   0320   0321   0322   0323   0324   0325   0326   0327   0328   0329   0330   0331   0332   0333   0334   0335   0336   0337   0338   0339   0340   0341  

産業上の利用可能性

0342  

符号の説明

0343  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : 色変換シート、それを含む光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置

技術分野

[0001]
 発明は、色変換シート、それを含む光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置に関する。

背景技術

[0002]
 色変換方式によるマルチカラー化技術を、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、照明装置等へ応用することが盛んに検討されている。色変換とは、発光体からの発光をより長波長な光へと変換することであり、例えば青色発光を緑色や赤色発光へと変換することを表す。
[0003]
 この色変換機能を有する組成物(以下、「色変換組成物」という)をシート化し、例えば青色光源と組み合わせることにより、青色光源から、青、緑、赤色の3原色を取り出すこと、すなわち白色光を取り出すことが可能となる。このような青色光源と色変換機能を有するシート(以下、「色変換シート」という)とを組み合わせた白色光源をバックライトユニットとし、このバックライトユニットと、液晶駆動部分と、カラーフィルターとを組み合わせることで、フルカラーディスプレイの作製が可能になる。また、液晶駆動部分が無ければ、そのまま白色光源として用いることができ、例えばLED照明等の白色光源として応用できる。
[0004]
 色変換方式を利用する液晶ディスプレイの課題として、色再現性の向上が挙げられる。色再現性の向上には、バックライトユニットの青、緑、赤の各発光スペクトルの半値幅を狭くし、青、緑、赤各色の色純度を高めることが有効である。
[0005]
 これを解決する手段として、無機半導体微粒子による量子ドットを色変換組成物の成分として用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。量子ドットを用いる技術は、確かに緑、赤色の発光スペクトルの半値幅が狭く、色再現性は向上するが、反面、量子ドットは熱、空気中の水分や酸素に弱く、耐久性が十分でなかった。また、カドミウムを含む等の課題もある。
[0006]
 また、量子ドットの代わりに有機物の発光材料を色変換組成物の成分として用いる技術も提案されている。有機発光材料を色変換組成物の成分として用いる技術の例としては、クマリン誘導体を用いたもの(例えば、特許文献2参照)、ローダミン誘導体を用いたもの(例えば、特許文献3参照)、ピロメテン誘導体を用いたもの(例えば、特許文献4参照)が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2012-22028号公報
特許文献2 : 特開2007-273440号公報
特許文献3 : 特開2001-164245号公報
特許文献4 : 特開2011-241160号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 しかし、これらの有機発光材料を用いる技術では、色再現性および輝度の向上の両立が不十分であった。特に、高色純度の発光を示す有機発光材料を用いて広い色域を達成し、かつ、輝度を十分に向上させる技術が、不十分であった。
[0009]
 本発明が解決しようとする課題は、ディスプレイや照明装置等に用いられる色変換シートにおいて、高い色再現性と高輝度を両立することができる色変換シートを提供することである。

課題を解決するための手段

[0010]
 上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る色変換シートは、入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換する色変換シートであって、少なくとも以下の(A)層および(B)層:
(A)層:波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光を用いることによりピーク波長が500nm以上580nm以下の領域に観測される発光を呈する有機発光材料(a)、およびバインダー樹脂を含有する層
(B)層:波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光または前記有機発光材料(a)からの発光のいずれかまたは両方により励起されることにより、ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する有機発光材料(b)、およびバインダー樹脂を含有する層
を含み、
前記(A)層に含まれるバインダー樹脂および前記(B)層に含まれるバインダー樹脂の溶解パラメータであるSP値をそれぞれSP (cal/cm 30.5およびSP (cal/cm 0.5とするとき、SP A>SP Bである、ことを特徴とする。
[0011]
 また、本発明に係る色変換シートは、上記の発明において、前記有機発光材料(a)の発光のピーク波長が500nm以上550nm以下であり、前記有機発光材料(b)の発光のピーク波長が580nm以上680nm以下である、ことを特徴とする。
[0012]
 また、本発明に係る色変換シートは、上記の発明において、前記(B)層に含まれるバインダー樹脂の溶解パラメータであるSP値をSP B(cal/cm 30.5とするとき、SP B≦10.0である、ことを特徴とする。
[0013]
 また、本発明に係る色変換シートは、上記の発明において、前記(B)層に含まれるバインダー樹脂の溶解パラメータであるSP値をSP B(cal/cm 30.5とするとき、9.0≦SP B≦10.0である、ことを特徴とする。
[0014]
 また、本発明に係る色変換シートは、上記の発明において、前記(B)層に含まれるバインダー樹脂がアクリル樹脂である、ことを特徴とする。
[0015]
 また、本発明に係る色変換シートは、上記の発明において、前記(A)層に含まれるバインダー樹脂がポリエステル樹脂である、ことを特徴とする。
[0016]
 また、本発明に係る色変換シートは、上記の発明において、前記(A)層における有機発光材料(a)の含有量w aと、前記(B)層における有機発光材料(b)の含有量w bとが、w a≧w bの関係である、ことを特徴とする。
[0017]
 また、本発明に係る色変換シートは、上記の発明において、前記有機発光材料(a)および前記有機発光材料(b)の少なくとも一方が、一般式(1)で表される化合物である、ことを特徴とする。
[0018]
[化1]


[0019]
(Xは、C-R 7またはNである。R 1~R 9は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基、および隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。)
 また、本発明に係る色変換シートは、上記の発明において、前記有機発光材料(a)および前記有機発光材料(b)がともに前記一般式(1)で表される化合物である、ことを特徴とする。
[0020]
 また、本発明に係る色変換シートは、上記の発明において、前記(A)層が、波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光または前記有機発光材料(a)からの発光のいずれかまたは両方により励起されることにより、ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する有機発光材料(c)をさらに含有する、ことを特徴とする。
[0021]
 また、本発明に係る色変換シートは、上記の発明において、前記(A)層における有機発光材料(a)の含有量w aと前記(A)層における有機発光材料(c)の含有量w cとが、w a≧w cの関係である、ことを特徴とする。
[0022]
 また、本発明に係る色変換シートは、上記の発明において、前記有機発光材料(c)が一般式(1)で表される化合物である、ことを特徴とする。
[0023]
[化2]


[0024]
(Xは、C-R 7またはNである。R 1~R 9は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基、および隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。)
 また、本発明に係る色変換シートは、上記の発明において、前記(B)層が、波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光を用いることによりピーク波長が500nm以上580nm以下の領域に観測される発光を呈する有機発光材料(d)をさらに含有する、ことを特徴とする。
[0025]
 また、本発明に係る色変換シートは、上記の発明において、前記有機発光材料(d)が一般式(1)で表される化合物である、ことを特徴とする。
[0026]
[化3]


[0027]
(Xは、C-R 7またはNである。R 1~R 9は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基、および隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。)
 また、本発明に係る色変換シートは、上記の発明において、前記一般式(1)において、XがC-R 7であり、R 7が一般式(2)で表される基である、ことを特徴とする。
[0028]
[化4]


[0029]
(rは、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基からなる群より選ばれる。kは1~3の整数である。kが2以上である場合、rはそれぞれ同じでも異なってもよい。)
 また、本発明に係る色変換シートは、上記の発明において、前記一般式(1)において、R 1、R 3、R 4およびR 6が、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のフェニル基である、ことを特徴とする。
[0030]
 また、本発明に係る色変換シートは、上記の発明において、前記一般式(1)において、R 1、R 3、R 4およびR 6が、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基である、ことを特徴とする。
[0031]
 また、本発明に係る色変換シートは、上記の発明において、前記(A)層と前記(B)層との間に光取り出し層を有する、ことを特徴とする。
[0032]
 また、本発明に係る光源ユニットは、光源と、上記の発明のいずれかに記載の色変換シートと、を備えることを特徴とする。
[0033]
 また、本発明に係る光源ユニットは、上記の発明において、前記光源と、前記色変換シートに含まれる下記の(A)層および(B)層との配置が、前記光源、前記(A)層および前記(B)層の順に並んだ配置である、ことを特徴とする。
(A)層:波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光を用いることによりピーク波長が500nm以上580nm以下の領域に観測される発光を呈する有機発光材料(a)、およびバインダー樹脂を含有する層
(B)層:波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光または前記有機発光材料(a)からの発光のいずれかまたは両方により励起されることにより、ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する有機発光材料(b)、およびバインダー樹脂を含有する層
 また、本発明に係る光源ユニットは、上記の発明において、前記光源が、波長400nm以上500nm以下の範囲に極大発光を有する発光ダイオードである、ことを特徴とする。
[0034]
 また、本発明に係るディスプレイは、上記の発明のいずれかに記載の光源ユニットを備える、ことを特徴とする。
[0035]
 また、本発明に係るディスプレイは、画面サイズが20インチ以下である、ことを特徴とする。
[0036]
 また、本発明に係るディスプレイは、(u’,v’)色空間において、DCI-P3色域規格に対する色域カバー率が、96%以上である、ことを特徴とする。
[0037]
 また、本発明に係る照明装置は、上記の発明のいずれかに記載の光源ユニットを備える、ことを特徴とする。

発明の効果

[0038]
 本発明に係る色変換シートは、高い色再現性および高輝度を両立することが可能となるという効果を奏する。本発明に係る光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置は、このような色変換シートを用いるため、高い色再現性および高輝度を両立することが可能となるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

[0039]
[図1] 図1は、本発明の実施の形態に係る色変換シートの一例を示す模式断面図である。
[図2] 図2は、本発明の実施の形態に係る色変換シートの別例を示す模式断面図である。
[図3] 図3は、本発明の実施の形態に係る色変換シートに光取り出し層を適用した一例を示す模式断面図である。
[図4] 図4は、本発明の実施の形態に係る色変換シートにバリア層を適用した一例を示す模式断面図である。
[図5] 図5は、本発明の実施の形態に係る色変換シートにバリア層を適用した別例を示す模式断面図である。
[図6] 図6は、本発明の実施例における合成例1の化合物の吸収スペクトルを例示する図である。
[図7] 図7は、本発明の実施例における合成例1の化合物の発光スペクトルを例示する図である。
[図8] 図8は、本発明の実施例における合成例2の化合物の吸収スペクトルを例示する図である。
[図9] 図9は、本発明の実施例における合成例2の化合物の発光スペクトルを例示する図である。
[図10] 図10は、本発明の実施例1における色変換シートの発光スペクトルを例示する図である。

発明を実施するための形態

[0040]
 以下、本発明に係る色変換シート、それを含む光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置の好適な実施の形態を具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
[0041]
 <色変換シート>
 本発明の実施の形態に係る色変換シートは、光源等の発光体からの入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換する色変換シートであり、少なくとも以下の(A)層および(B)層を含む。(A)層は、少なくとも、有機発光材料(a)およびバインダー樹脂を含有する層である。有機発光材料(a)は、波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光を用いることによりピーク波長が500nm以上580nm以下の領域に観測される発光を呈する、有機物の発光材料である。(B)層は、少なくとも、有機発光材料(b)およびバインダー樹脂を含有する層である。有機発光材料(b)は、波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光または有機発光材料(a)からの発光のいずれかまたは両方によって励起されることにより、ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する、有機物の発光材料である。
[0042]
 有機発光材料(例えば上記の有機発光材料(a)および有機発光材料(b)等)の発光のピーク波長は、その溶液の蛍光スペクトル測定により確認できる。この蛍光スペクトル測定に用いる溶媒は、特に限定されるものではないが、トルエンやジクロロメタン、テトラヒドロフラン等の溶媒を好適に用いることができる。有機発光材料の溶解性に問題がない限り、この溶媒としてトルエンを用いることがより好ましい。
[0043]
 以後、ピーク波長が500nm以上580nm以下の領域に観測される発光は、「緑色の発光」という。ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光は、「赤色の発光」という。
[0044]
 一般に、励起光は、そのエネルギーが大きいほど、材料の分解を引き起こしやすい。しかし、波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光は、比較的小さい励起エネルギーのものである。このため、色変換組成物中の発光材料の分解を引き起こすことなく、色純度の良好な発光が得られる。
[0045]
 波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光の一部は、本発明の実施の形態に係る色変換シートを一部透過するため、それ自体を青色の発光として利用することができる。また、本発明の実施の形態に係る色変換シートは、緑色の発光を示す有機発光材料(a)と赤色の発光を示す有機発光材料(b)とを含む。したがって、本発明の実施の形態に係る色変換シートを発光ピークが鋭い青色LED光源に適用した場合、青、緑、赤の各色において鋭い形状の発光スペクトルを示し、色純度の良い白色光を得ることができる。その結果、特にディスプレイにおいては、色彩が一層鮮やかであり且つより大きな色域を効率的に作ることができる。また、照明用途においては、現在主流となっている青色LEDと黄色蛍光体とを組み合わせた白色LEDに比べ、特に緑色領域および赤色領域の発光特性が改善されるため、演色性が向上した好ましい白色光源を得ることができる。
[0046]
 色域を拡大し、色再現性を向上させるためには、青、緑、赤の各色の発光スペクトルの重なりが小さいことが好ましい。
[0047]
 例えば、適度な励起エネルギーを有する波長400nm以上500nm以下の範囲の青色光を励起光として用いる場合は、ピーク波長が500nm以上の領域に観測される発光を緑色の発光として利用する。この場合、励起光と緑色光との発光スペクトルの重なりが小さくなり、色再現性が向上するため、好ましい。その効果をより大きくする上で、有機発光材料(a)のピーク波長の下限値は、より好ましくは510nm以上であり、さらに好ましくは515nm以上であり、特に好ましくは520nm以上である。
[0048]
 また、励起光と赤色光との発光スペクトルの重なりを小さくするためには、ピーク波長が580nm以下の領域に観測される発光を緑色の発光として利用することが好ましい。その効果をより大きくする上で、有機発光材料(a)のピーク波長の上限値は、より好ましくは550nm以下であり、さらに好ましくは540nm以下であり、特に好ましくは535nm以下である。
[0049]
 さらに、ピーク波長が500nm以上580nm以下の領域に観測される発光を緑色の発光として利用する場合は、ピーク波長が580nm以上の領域に観測される発光を赤色の発光として利用する。この場合、緑色光と赤色光との発光スペクトルの重なりが小さくなり、色再現性が向上するため、好ましい。その効果をより大きくする上で、有機発光材料(b)のピーク波長の下限値は、より好ましくは610nm以上であり、さらに好ましくは620nm以上であり、特に好ましくは630nm以上である。
[0050]
 赤色光のピーク波長の上限は、可視域の上界付近である750nm以下であればよいが、700nm以下である場合、視感度が大きくなるため、より好ましい。その効果をより大きくする上で、有機発光材料(b)のピーク波長の上限値は、さらに好ましくは680nm以下であり、特に好ましくは660nm以下である。
[0051]
 すなわち、波長400nm以上500nm以下の範囲の青色光を励起光として用いる場合、緑色光のピーク波長は、500nm以上580nm以下の領域に観測されることが好ましく、510nm以上550nm以下であることがより好ましく、515nm以上540nm以下であることがさらに好ましく、520nm以上535nm以下であることが特に好ましい。また、赤色光のピーク波長は、580nm以上750nm以下の領域に観測されることが好ましく、610nm以上700nm以下であることがより好ましく、620nm以上680nm以下であることがさらに好ましく、630nm以上660nm以下であることが特に好ましい。
[0052]
 発光スペクトルの重なりを小さくし、色再現性を向上させるためには、青、緑、赤の各色の発光スペクトルの半値幅が小さいことが好ましい。特に、緑色光および赤色光の発光スペクトルの半値幅が小さいことは、色再現性の向上に有効である。
[0053]
 例えば、緑色光の発光スペクトルの半値幅としては、50nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、35nm以下であることがさらに好ましく、30nm以下であることが特に好ましい。赤色光の発光スペクトルの半値幅としては、80nm以下であることが好ましく、70nm以下であることがより好ましく、60nm以下であることがさらに好ましく、50nm以下であることが特に好ましい。
[0054]
 発光スペクトルの形状に関しては、特に制限されるものではないが、励起エネルギーの効率的な利用が可能であり、色純度も高くなることから、単一ピークであることが好ましい。ここで、単一ピークとは、最も強度の強いピークに対して、その強度の5%以上の強度を持つピークがない状態を示す。
[0055]
 本発明の実施の形態に係る色変換シートは、上述したように、有機発光材料(a)を含有する(A)層と有機発光材料(b)を含有する(B)層との、少なくとも2層の色変換層を有する。有機発光材料(a)および有機発光材料(b)は、異なる層に含有されることで材料間の相互作用が抑制されるため、同一層中に分散させた場合よりも高い色純度の発光を示す。また、有機発光材料(a)および有機発光材料(b)の材料間の相互作用が抑制されることで、有機発光材料(a)および有機発光材料(b)が各層中でそれぞれ独立に発光するため、緑色および赤色の発光ピーク波長や発光強度の調整が容易となる。
[0056]
 すなわち、本発明の実施の形態に係る色変換シートでは、高い色純度の発光を示す有機発光材料(a)および有機発光材料(b)等の有機発光材料の特性を悪化させることなく、青色、緑色、赤色の各光の最適な発光ピーク波長や発光強度を設計することが可能である。これにより、色純度の良い白色光を得ることが可能となる。
[0057]
 本発明の実施の形態に係る色変換シートにおいて、有機発光材料は、(A)層および(B)層の各層にそれぞれ少なくとも1種類含まれていればよく、2種類以上含まれていてもよい。(A)層および(B)層の少なくとも一方の層に複数種類の有機発光材料が混合されることにより、青色、緑色、赤色の各光について発光ピーク波長や発光強度の細やかな調整が可能である。
[0058]
 複数種類の有機発光材料の混合例として、例えば、(A)層は、上述した有機発光材料(a)の他に、これと異なる種類の有機発光材料(a’)を含有してもよい。有機発光材料(a’)は、波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光を用いることによりピーク波長が500nm以上580nm以下の領域に観測される発光を呈するものである。(B)層は、上述した有機発光材料(b)の他に、これと異なる種類の有機発光材料(b’)を含有してもよい。有機発光材料(b’)は、波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光または有機発光材料(a)からの発光のいずれかまたは両方によって励起されることにより、ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈するものである。
[0059]
 また、(A)層は、上述した有機発光材料(a)の他に、これと異なる種類の有機発光材料(c)をさらに含有することも好ましい。有機発光材料(c)は、波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光または有機発光材料(a)からの発光のいずれかまたは両方によって励起されることにより、ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈するものである。(B)層は、上述した有機発光材料(b)の他に、これと異なる種類の有機発光材料(d)をさらに含有することも好ましい。有機発光材料(d)は、波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光を用いることによりピーク波長が500nm以上580nm以下の領域に観測される発光を呈するものである。
[0060]
 本発明の実施の形態に係る色変換シート内に、(A)層および(B)層は、それぞれ複数層含まれてもよい。その場合、複数の(A)層の各層における組成や形態は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。同様に、複数の(B)層の各層における組成や形態は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
[0061]
 本発明の実施の形態に係る色変換シートの代表的な構造例として、例えば、以下に示すものが挙げられる。図1は、本発明の実施の形態に係る色変換シートの一例を示す模式断面図である。図1に示すように、本実施の形態の一例である色変換シート1は、基材層10と、(A)層11および(B)層12との積層体である。この色変換シート1の構造例では、(A)層11および(B)層12の積層体が、基材層10の上に、(A)層11、(B)層12の順で積層されてなる。すなわち、色変換シート1は、基材層10を備え、この基材層10の上に、(B)層/(A)層という積層構造の(A)層11および(B)層12を含有する。
[0062]
 図2は、本発明の実施の形態に係る色変換シートの別例を示す模式断面図である。図2に示すように、本実施の形態の別例である色変換シート1aは、(A)層11および(B)層12が複数の基材層10によって挟まれた構造の積層体である。この色変換シート1aの構造例では、(A)層11および(B)層12の積層体が、基材層10の上に、(A)層11、(B)層12の順で積層されてなり、さらに、この(B)層12の上に、もう1つの基材層10が積層されている。すなわち、色変換シート1aは、複数の基材層10を備え、これら複数の基材層10の間に挟まれる態様で、(B)層/(A)層という積層構造の(A)層11および(B)層12を含有する。
[0063]
 また、本発明の実施の形態に係る色変換シートの構造例としては、図1、2に例示した構造例以外に、例えば、(B)層/(A)層/(A)層、(B)層/(B)層/(A)層、(B)層/(B)層/(A)層/(A)層のように、(A)層11や(B)層12が連続する構成も挙げられる。
[0064]
 なお、これらは例示であって、本発明の実施の形態に係る色変換シートの具体的な構成は、これらに限られず、以下の説明から導かれる事項により適宜変更を加えた構成も本発明の範囲に含まれる。
[0065]
 <色変換層>
 本発明の実施の形態に係る色変換シートにおいて、色変換層とは、色変換組成物またはその硬化物を含む層である。また、色変換組成物とは、少なくとも有機発光材料およびバインダー樹脂を含む組成物である。(A)層および(B)層は、色変換層の一例である。
[0066]
 色変換層の厚みは、特に制限はないが、1μm~1000μmであることが好ましく、10μm~1000μmであることがより好ましい。色変換層の厚みが1μmより小さいと、色変換シートの強靭性が小さくなるという問題がある。色変換層の厚みが1000μmを超えると、クラックが生じやすくなり、色変換シート成形が難しい。色変換層の厚みとして、より好ましくは5μm~100μmであり、さらに好ましくは10μm~100μmであり、特に好ましくは15μm~100μmである。
[0067]
 本発明における膜厚(層の厚み)は、JIS K7130(1999)プラスチック-フィルム及びシート-厚さ測定方法における機械的走査による厚さの測定方法A法に基づいて測定される膜厚(平均膜厚)のことをいう。
[0068]
 (有機発光材料)
 本発明の実施の形態に係る色変換シートは、(A)層および(B)層に有機発光材料を含む。ここで、本発明における発光材料とは、何らかの光が照射されたときに、その光とは異なる波長の光を発する材料のことをいう。有機発光材料は、有機物の発光材料である。
[0069]
 高効率な色変換を達成するためには、発光材料が発光量子収率の高い発光特性を示す材料であることが好ましい。一般に、発光材料としては、無機蛍光体、蛍光顔料、蛍光染料、量子ドット等の公知の発光材料が挙げられるが、分散の均一性、使用量の低減、環境負荷の低減の観点から、有機発光材料が好ましい。
[0070]
 有機発光材料としては、以下に示すもの等が挙げられる。例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、フルオランテン、フルオレン、インデン等の縮合アリール環を有する化合物やその誘導体等が、好適な有機発光材料として挙げられる。また、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9-シラフルオレン、9,9’-スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピリジン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン等のヘテロアリール環を有する化合物やその誘導体、ボラン誘導体等が、好適な有機発光材料として挙げられる。
[0071]
 また、1,4-ジスチリルベンゼン、4,4’-ビス(2-(4-ジフェニルアミノフェニル)エテニル)ビフェニル、4,4’-ビス(N-(スチルベン-4-イル)-N-フェニルアミノ)スチルベン等のスチルベン誘導体、芳香族アセチレン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、アルダジン誘導体、ピロメテン誘導体、ジケトピロロ[3,4-c]ピロール誘導体等が、好適な有機発光材料として挙げられる。また、クマリン6、クマリン7、クマリン153等のクマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール等のアゾール誘導体およびその金属錯体、インドシアニングリーン等のシアニン系化合物、フルオレセイン、エオシン、ローダミン等のキサンテン系化合物やチオキサンテン系化合物等が、好適な有機発光材料として挙げられる。
[0072]
 また、ポリフェニレン系化合物、ナフタルイミド誘導体、フタロシアニン誘導体およびその金属錯体、ポルフィリン誘導体およびその金属錯体、ナイルレッドやナイルブルー等のオキサジン系化合物、ヘリセン系化合物、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)-4,4’-ジフェニル-1,1’-ジアミン等の芳香族アミン誘導体等が、好適な有機発光材料として挙げられる。また、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、及びレニウム(Re)等の有機金属錯体化合物等が、好適な有機発光材料として挙げられる。しかし、本発明における有機発光材料は、上述したものに限定されない。
[0073]
 有機発光材料は、蛍光発光材料であっても、リン光発光材料であってもよいが、高い色純度を達成するためには、蛍光発光材料が好ましい。これらの中でも、熱的安定性および光安定性が高いことから、縮合アリール環を有する化合物やその誘導体が好ましい。
[0074]
 また、有機発光材料としては、溶解性や分子構造の多様性の観点から、配位結合を有する化合物が好ましい。半値幅が小さく、高効率な発光が可能である点で、フッ化ホウ素錯体等のホウ素を含有する化合物も好ましい。
[0075]
 例えば、有機発光材料(a)としては、クマリン6、クマリン7、クマリン153等のクマリン誘導体、インドシアニングリーン等のシアニン誘導体、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、カルボキシフルオレセインジアセテート等のフルオレセイン誘導体、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン誘導体、ジイソブチル-4,10-ジシアノペリレン-3,9-ジカルボキシレート等のペリレン誘導体、他にピロメテン誘導体、スチルベン誘導体、オキサジン誘導体、ナフタルイミド誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体、アゾール誘導体、アントラセン等の縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、芳香族アミン誘導体、有機金属錯体化合物等が好適なものとして挙げられる。しかし、有機発光材料(a)は、特にこれらに限定されるものではない。
[0076]
 これらの化合物の中でも、ピロメテン誘導体は、高い発光量子収率を与え、耐久性が良好なので、特に好適な化合物である。ピロメテン誘導体としては、例えば、後述の一般式(1)で表される化合物が、色純度の高い発光を示すことから、好ましい。
[0077]
 有機発光材料(a’)としては、有機発光材料(a)と同様の発光材料が好適なものとして挙げられるが、後述の一般式(1)で表される化合物が特に好ましい。有機発光材料(d)としては、有機発光材料(a)と同様の発光材料が好適なものとして挙げられるが、後述の一般式(1)で表される化合物が特に好ましい。
[0078]
 本発明の実施の形態に係る色変換シートにおいて、有機発光材料(a)と有機発光材料(d)とが含まれる場合、これらの有機発光材料(a)および有機発光材料(d)がともに後述の一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。その場合、有機発光材料(a)と有機発光材料(d)とは、同一の化合物であっても異なる化合物であってもよいが、コストの観点で同一の化合物であることがより好ましい。
[0079]
 有機発光材料(b)としては、4-ジシアノメチレン-2-メチル-6-(p-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピラン等のシアニン誘導体、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン101、スルホローダミン101等のローダミン誘導体、1-エチル-2-(4-(p-ジメチルアミノフェニル)-1,3-ブタジエニル)-ピリジニウム-パークロレート等のピリジン誘導体、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラフェノキシペリレン-3,4:9,10-ビスジカルボイミド等のペリレン誘導体、他にポルフィリン誘導体、ピロメテン誘導体、オキサジン誘導体、ピラジン誘導体、ナフタセンやジベンゾジインデノペリレン等の縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、有機金属錯体化合物等が好適なものとして挙げられる。しかし、有機発光材料(b)は、特にこれらに限定されるものではない。
[0080]
 これらの化合物の中でも、ピロメテン誘導体は、高い発光量子収率を与え、耐久性が良好なので、特に好適な化合物である。ピロメテン誘導体としては、例えば、後述の一般式(1)で表される化合物が、色純度の高い発光を示すことから、好ましい。
[0081]
 有機発光材料(b’)としては、有機発光材料(b)と同様の発光材料が好適なものとして挙げられるが、後述の一般式(1)で表される化合物が特に好ましい。有機発光材料(c)としては、有機発光材料(b)と同様の発光材料が好適なものとして挙げられるが、後述の一般式(1)で表される化合物が特に好ましい。
[0082]
 本発明の実施の形態に係る色変換シートにおいて、有機発光材料(b)と有機発光材料(c)とが含まれる場合、これらの有機発光材料(b)および有機発光材料(c)がともに後述の一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。その場合、有機発光材料(b)と有機発光材料(c)とは、同一の化合物であっても異なる化合物であってもよいが、コストの観点で同一の化合物であることがより好ましい。
[0083]
 (一般式(1)で表される化合物)
 本発明の実施の形態に係る色変換シートにおいて、有機発光材料(a)および有機発光材料(b)の少なくとも一方は、下記の一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
[0084]
[化5]


[0085]
 一般式(1)において、Xは、C-R 7またはNである。R 1~R 9は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基、および隣接置換基との間に形成される縮合環の中から選ばれる。
[0086]
 上記の全ての基において、水素は重水素であってもよい。このことは、以下に説明する化合物またはその部分構造においても同様である。また、以下の説明において、例えば、炭素数6~40の置換もしくは無置換のアリール基とは、アリール基に置換した置換基に含まれる炭素数も含めて全ての炭素数が6~40となるアリール基である。炭素数を規定している他の置換基も、これと同様である。
[0087]
 また、上記の全ての基において、置換される場合における置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基が好ましく、さらには、各置換基の説明において好ましいとする具体的な置換基が好ましい。また、これらの置換基は、さらに上述の置換基により置換されていてもよい。
[0088]
 「置換もしくは無置換の」という場合における「無置換」とは、水素原子または重水素原子が置換したことを意味する。以下に説明する化合物またはその部分構造において、「置換もしくは無置換の」という場合についても、上記と同様である。
[0089]
 上記の全ての基のうち、アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等の飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。置換されている場合の追加の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、ハロゲン、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができ、この点は、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は、特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、好ましくは1以上20以下、より好ましくは1以上8以下の範囲である。
[0090]
 シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の飽和脂環式炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキル基部分の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、3以上20以下の範囲である。
[0091]
 複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、環状アミド等の炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
[0092]
 アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基等の二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
[0093]
 シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基等の二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。
[0094]
 アルキニル基とは、例えば、エチニル基等の三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
[0095]
 アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のエーテル結合を介して脂肪族炭化水素基が結合した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
[0096]
 アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アルキルチオ基の炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルチオ基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
[0097]
 アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基等、エーテル結合を介した芳香族炭化水素基が結合した官能基を示し、芳香族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
[0098]
 アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アリールチオエーテル基における芳香族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールチオエーテル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
[0099]
 アリール基とは、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ベンゾフェナントリル基、ベンゾアントラセニル基、クリセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ベンゾフルオランテニル基、ジベンゾアントラセニル基、ペリレニル基、ヘリセニル基等の芳香族炭化水素基を示す。中でも、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基が好ましい。アリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは6以上40以下、より好ましくは6以上30以下の範囲である。
[0100]
 R 1~R 9が置換もしくは無置換のアリール基である場合、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基がより好ましい。さらに好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基であり、フェニル基が特に好ましい。
[0101]
 それぞれの置換基がさらにアリール基で置換される場合、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基がより好ましい。特に好ましくは、フェニル基である。
[0102]
 ヘテロアリール基とは、例えば、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、ナフチリジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、カルボリニル基、インドロカルバゾリル基、ベンゾフロカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、ジヒドロインデノカルバゾリル基、ベンゾキノリニル基、アクリジニル基、ジベンゾアクリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基等の、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基を示す。ただし、ナフチリジニル基とは、1,5-ナフチリジニル基、1,6-ナフチリジニル基、1,7-ナフチリジニル基、1,8-ナフチリジニル基、2,6-ナフチリジニル基、2,7-ナフチリジニル基のいずれかを示す。ヘテロアリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリール基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上40以下、より好ましくは2以上30以下の範囲である。
[0103]
 R 1~R 9が置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基が好ましく、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基がより好ましい。特に好ましくは、ピリジル基である。
[0104]
 それぞれの置換基がさらにヘテロアリール基で置換される場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基が好ましく、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基がより好ましい。特に好ましくは、ピリジル基である。
[0105]
 ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選ばれる原子を示す。また、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等が挙げられ、これら置換基は、さらに置換されてもよい。
[0106]
 アミノ基とは、置換もしくは無置換のアミノ基である。置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基等が挙げられる。アリール基、ヘテロアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリニル基が好ましい。これら置換基は、さらに置換されてもよい。炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上50以下、より好ましくは6以上40以下、特に好ましくは6以上30以下の範囲である。
[0107]
 シリル基とは、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基等のアルキルシリル基や、フェニルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリナフチルシリル基等のアリールシリル基を示す。ケイ素上の置換基は、さらに置換されてもよい。シリル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上30以下の範囲である。
[0108]
 シロキサニル基とは、例えば、トリメチルシロキサニル基等のエーテル結合を介したケイ素化合物基を示す。ケイ素上の置換基は、さらに置換されてもよい。また、ボリル基とは、置換もしくは無置換のボリル基である。置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリールエーテル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基等が挙げられる。中でも、アリール基、アリールエーテル基が好ましい。また、ホスフィンオキシド基とは、-P(=O)R 1011で表される基である。R 1011は、R 1~R 9と同様の群から選ばれる。
[0109]
 隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環とは、任意の隣接する2置換基(例えば一般式(1)のR 1とR 2)が互いに結合して、共役または非共役の環状骨格を形成することをいう。このような縮合環および脂肪族環の構成元素としては、炭素以外にも、窒素、酸素、硫黄、リンおよびケイ素から選ばれる元素を含んでいてもよい。また、これらの縮合環および脂肪族環は、さらに別の環と縮合してもよい。
[0110]
 一般式(1)で表される化合物は、高い発光量子収率を示し、かつ、発光スペクトルの半値幅が小さいため、効率的な色変換と高い色純度との双方を達成することができる。さらに、一般式(1)で表される化合物は、適切な置換基を適切な位置に導入することで、発光効率、色純度、熱的安定性、光安定性および分散性等の様々な特性や物性を調整することができる。例えば、R 1、R 3、R 4およびR 6が全て水素である場合に比べ、R 1、R 3、R 4およびR 6の少なくとも1つが置換もしくは無置換のアルキル基や置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合の方が、より良い熱的安定性および光安定性を示す。
[0111]
 R 1、R 3、R 4およびR 6の少なくとも1つが置換もしくは無置換のアルキル基である場合、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基といった炭素数1~6のアルキル基が好ましい。さらに、このアルキル基としては、熱的安定性に優れるという観点から、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基が好ましい。また、濃度消光を防ぎ、発光量子収率を向上させるという観点では、このアルキル基として、立体的にかさ高いtert-ブチル基がより好ましい。また、合成の容易さ、原料入手の容易さという観点から、このアルキル基として、メチル基も好ましく用いられる。
[0112]
 R 1、R 3、R 4およびR 6の少なくとも1つが置換もしくは無置換のアリール基である場合、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基が好ましく、さらに好ましくは、フェニル基、ビフェニル基である。特に好ましくは、フェニル基である。
[0113]
 R 1、R 3、R 4およびR 6の少なくとも1つが置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、キノリニル基、チエニル基が好ましく、さらに好ましくは、ピリジル基、キノリニル基である。特に好ましくは、ピリジル基である。
[0114]
 R 1、R 3、R 4およびR 6が全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基である場合、バインダー樹脂や溶媒への溶解性が良好なため、好ましい。この場合、アルキル基としては、合成の容易さ、原料入手の容易さという観点から、メチル基が好ましい。
[0115]
 R 1、R 3、R 4およびR 6が全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合、より良い熱的安定性および光安定性を示すため、好ましい。この場合、R 1、R 3、R 4およびR 6が全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基であることがより好ましい。
[0116]
 複数の性質を向上させる置換基もあるが、全てにおいて十分な性能を示す置換基は限られている。特に、高発光効率と高色純度との両立が難しい。そのため、一般式(1)で表される化合物に対して複数種類の置換基を導入することで、発光特性や色純度等にバランスの取れた化合物を得ることが可能である。
[0117]
 特に、R 1、R 3、R 4およびR 6が全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基である場合、例えば、R 1≠R 4、R 3≠R 6、R 1≠R 3またはR 4≠R 6等のように、複数種類の置換基を導入することが好ましい。ここで、「≠」は、異なる構造の基であることを示す。例えば、R 1≠R 4は、R 1とR 4とが異なる構造の基であることを示す。上記のように複数種類の置換基を導入することにより、色純度に影響を与えるアリール基と発光効率に影響を与えるアリール基とを同時に導入することができるため、細やかな調節が可能となる。
[0118]
 中でも、R 1≠R 3またはR 4≠R 6であることが、発光効率と色純度とをバランスよく向上させるという観点から、好ましい。この場合、一般式(1)で表される化合物に対して、色純度に影響を与えるアリール基を両側のピロール環にそれぞれ1つ以上導入し、それ以外の位置に発光効率に影響を与えるアリール基を導入することができるため、これら両方の性質を最大限に向上させることができる。また、R 1≠R 3またはR 4≠R 6である場合、耐熱性と色純度との双方を向上させるという観点から、R 1=R 4およびR 3=R 6であることがより好ましい。
[0119]
 主に色純度に影響を与えるアリール基としては、電子供与性基で置換されたアリール基が好ましい。電子供与性基とは、有機電子論において、誘起効果や共鳴効果により、置換した原子団に、電子を供与する原子団である。電子供与性基としては、ハメット則の置換基定数(σp(パラ))として、負の値をとるものが挙げられる。ハメット則の置換基定数(σp(パラ))は、化学便覧基礎編改訂5版(II-380頁)から引用することができる。
[0120]
 電子供与性基の具体例としては、例えば、アルキル基(メチル基のσp:-0.17)やアルコキシ基(メトキシ基のσp:-0.27)、アミノ基(―NH 2のσp:-0.66)等が挙げられる。特に、炭素数1~8のアルキル基または炭素数1~8のアルコキシ基が好ましく、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、メトキシ基がより好ましい。分散性の観点からは、tert-ブチル基、メトキシ基が特に好ましく、これらを上記の電子供与性基とした場合、一般式(1)で表される化合物において、分子同士の凝集による消光を防ぐことができる。置換基の置換位置は、特に限定されないが、一般式(1)で表される化合物の光安定性を高めるには結合のねじれを抑える必要があるため、ピロメテン骨格との結合位置に対してメタ位またはパラ位に結合させることが好ましい。一方、主に発光効率に影響を与えるアリール基としては、tert-ブチル基、アダマンチル基、メトキシ基等のかさ高い置換基を有するアリール基が好ましい。
[0121]
 R 1、R 3、R 4およびR 6が、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基である場合、R 1、R 3、R 4およびR 6は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のフェニル基であることが好ましい。このとき、R 1、R 3、R 4およびR 6は、それぞれ以下のAr-1~Ar-6から選ばれることがより好ましい。この場合、R 1、R 3、R 4およびR 6の好ましい組み合わせとしては、表1-1~表1-11に示すような組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[0122]
[化6]


[0123]
[表1-1]


[0124]
[表1-2]


[0125]
[表1-3]


[0126]
[表1-4]


[0127]
[表1-5]


[0128]
[表1-6]


[0129]
[表1-7]


[0130]
[表1-8]


[0131]
[表1-9]


[0132]
[表1-10]


[0133]
[表1-11]


[0134]
 R 2およびR 5は、水素、アルキル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、アリール基のいずれかであることが好ましい。中でも、熱的安定性の観点から、水素またはアルキル基が好ましく、発光スペクトルにおいて狭い半値幅を得やすいという観点から、水素がより好ましい。
[0135]
 R 8およびR 9は、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素、含フッ素アルキル基、含フッ素ヘテロアリール基または含フッ素アリール基が好ましい。特に、励起光に対して安定であって、より高い発光量子収率が得られることから、R 8およびR 9は、フッ素または含フッ素アリール基であることがより好ましい。さらに、合成の容易さから、R 8およびR 9は、フッ素であることが一層好ましい。
[0136]
 ここで、含フッ素アリール基とは、フッ素を含むアリール基であり、例えば、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基およびペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。含フッ素ヘテロアリール基とは、フッ素を含むヘテロアリール基であり、例えば、フルオロピリジル基、トリフルオロメチルピリジル基およびトリフルオロピリジル基等が挙げられる。含フッ素アルキル基とは、フッ素を含むアルキル基であり、例えば、トリフルオロメチル基やペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
[0137]
 また、一般式(1)において、Xは、C-R 7であることが、光安定性の観点から好ましい。XがC-R 7であるとき、一般式(1)で表される化合物の耐久性、すなわち、この化合物の発光強度の経時的な低下には、置換基R 7が大きく影響する。具体的には、R 7が水素である場合、この部位の反応性が高いため、この部位と空気中の水分や酸素とが容易に反応してしまう。このことは、一般式(1)で表される化合物の分解を引き起こす。また、R 7が例えばアルキル基のような分子鎖の運動の自由度が大きい置換基である場合は、確かに反応性は低下するが、色変換シート中で化合物同士が経時的に凝集し、結果的に濃度消光による発光強度の低下を招く。したがって、R 7は、剛直で、かつ運動の自由度が小さく凝集を引き起こしにくい基であることが好ましく、具体的には、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロアリール基のいずれかであることが好ましい。
[0138]
 より高い発光量子収率を与え、より熱分解しづらい点、また光安定性の観点から、XがC-R 7であり、R 7が置換もしくは無置換のアリール基であることが好ましい。アリール基としては、発光波長を損なわないという観点から、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましい。
[0139]
 さらに、一般式(1)で表される化合物の光安定性を高めるには、R 7とピロメテン骨格との炭素-炭素結合のねじれを適度に抑える必要がある。何故ならば、過度にねじれが大きいと、励起光に対する反応性が高まる等、光安定性が低下するからである。このような観点から、R 7としては、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のビフェニル基、置換もしくは無置換のターフェニル基、置換もしくは無置換のナフチル基が好ましく、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のビフェニル基、置換もしくは無置換のターフェニル基であることがより好ましい。特に好ましくは、置換もしくは無置換のフェニル基である。
[0140]
 また、R 7は、適度にかさ高い置換基であることが好ましい。R 7が、ある程度のかさ高さを有することにより、分子の凝集を防ぐことができ、その結果、一般式(1)で表される化合物の発光効率や耐久性がより向上する。
[0141]
 このようなかさ高い置換基のさらに好ましい例としては、下記一般式(2)で表されるR 7の構造が挙げられる。
[0142]
[化7]


[0143]
 一般式(2)において、rは、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基からなる群より選ばれる。kは、1~3の整数である。kが2以上である場合、rはそれぞれ同じでも異なってもよい。
[0144]
 より高い発光量子収率を与えることができるという観点から、rは、置換もしくは無置換のアリール基であることが好ましい。このアリール基の中でも、特に、フェニル基、ナフチル基が好ましい例として挙げられる。rがアリール基である場合、一般式(2)のkは、1もしくは2であることが好ましく、中でも、分子の凝集をより防ぐという観点から2であることがより好ましい。さらに、kが2以上である場合、rの少なくとも1つは、アルキル基で置換されていることが好ましい。この場合のアルキル基としては、熱的安定性の観点から、メチル基、エチル基およびtert-ブチル基が特に好ましい例として挙げられる。
[0145]
 また、蛍光波長や吸収波長を制御したり、溶媒との相溶性を高めたりするという観点から、rは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基またはハロゲンであることが好ましく、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、メトキシ基がより好ましい。分散性の観点からは、tert-ブチル基、メトキシ基が特に好ましい。rがtert-ブチル基またはメトキシ基であることは、分子同士の凝集による消光を防ぐことについて、より有効である。
[0146]
 また、一般式(1)で表される化合物の別の態様として、R 1~R 7のうち少なくとも1つが電子求引基であることが好ましい。特に、(1)R 1~R 6のうち少なくとも1つが電子求引基であること、(2)R 7が電子求引基であること、または(3)R 1~R 6のうち少なくとも1つが電子求引基であり、かつ、R が電子求引基であること、が好ましい。このように上記化合物のピロメテン骨格に電子求引基を導入することで、ピロメテン骨格の電子密度を大幅に下げることができる。これにより、上記化合物の酸素に対する安定性がより向上し、その結果、上記化合物の耐久性をより向上させることができる。
[0147]
 電子求引基とは、電子受容性基とも呼称し、有機電子論において、誘起効果や共鳴効果により、置換した原子団から、電子を引き付ける原子団である。電子求引基としては、ハメット則の置換基定数(σp(パラ))として、正の値をとるものが挙げられる。ハメット則の置換基定数(σp(パラ))は、化学便覧基礎編改訂5版(II-380頁)から引用することができる。なお、フェニル基も、上記のような正の値をとる例もあるが、本発明において、電子求引基にフェニル基は含まれない。
[0148]
 電子求引基の例として、例えば、-F(σp:+0.06)、-Cl(σp:+0.23)、-Br(σp:+0.23)、-I(σp:+0.18)、-CO 212(σp:R 12がエチル基の時+0.45)、-CONH 2(σp:+0.38)、-COR 12(σp:R 12がメチル基の時+0.49)、-CF 3(σp:+0.50)、-SO 212(σp:R 12がメチル基の時+0.69)、-NO 2(σp:+0.81)等が挙げられる。R 12は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のシクロアルキル基を表す。これら各基の具体例としては、上記と同様の例が挙げられる。
[0149]
 好ましい電子求引基としては、フッ素、含フッ素アリール基、含フッ素ヘテロアリール基、含フッ素アルキル基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のエステル基、置換もしくは無置換のアミド基、置換もしくは無置換のスルホニル基またはシアノ基が挙げられる。何故なら、これらは、化学的に分解しにくいからである。
[0150]
 より好ましい電子求引基としては、含フッ素アルキル基、含フッ素アリール基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のエステル基またはシアノ基が挙げられる。何故なら、これらは、濃度消光を防ぎ、発光量子収率を向上させる効果につながるからである。特に好ましい電子求引基は、置換もしくは無置換のエステル基である。
[0151]
 有機発光材料(a)、有機発光材料(a’)および有機発光材料(d)として好適に用いることができる一般式(1)で表される化合物の好ましい例の1つとして、R 1、R 3、R 4およびR 6が全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基であって、さらに、XがC-R 7であり、R 7が、一般式(2)で表される基である場合が挙げられる。この場合、R 7は、rが置換もしくは無置換のフェニル基として含まれる一般式(2)で表される基であることが特に好ましい。
[0152]
 また、有機発光材料(b)、有機発光材料(b’)および有機発光材料(c)として好適に用いることができる一般式(1)で表される化合物の好ましい例の別の1つとして、R 1、R 3、R 4およびR 6が全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、上述のAr-1~Ar-6から選ばれ、さらに、XがC-R 7であり、R 7が、一般式(2)で表される基である場合が挙げられる。この場合、R 7は、rがtert-ブチル基、メトキシ基として含まれる一般式(2)で表される基であることがより好ましく、rがメトキシ基として含まれる一般式(2)で表される基であることが特に好ましい。
[0153]
 一般式(1)で表される化合物の一例を以下に示すが、この化合物は、これらに限定されるものではない。
[0154]
[化8]


[0155]
[化9]


[0156]
[化10]


[0157]
[化11]


[0158]
[化12]


[0159]
[化13]


[0160]
[化14]


[0161]
[化15]


[0162]
[化16]


[0163]
[化17]


[0164]
[化18]


[0165]
[化19]


[0166]
[化20]


[0167]
[化21]


[0168]
[化22]


[0169]
[化23]


[0170]
[化24]


[0171]
[化25]


[0172]
[化26]


[0173]
[化27]


[0174]
[化28]


[0175]
[化29]


[0176]
[化30]


[0177]
[化31]


[0178]
[化32]


[0179]
 一般式(1)で表される化合物は、例えば、特表平8-509471号公報や特開2000-208262号公報に記載の方法で合成することができる。すなわち、ピロメテン化合物と金属塩とを塩基共存下で反応させることにより、目的とするピロメテン系金属錯体が得られる。
[0180]
 また、ピロメテン-フッ化ホウ素錯体の合成については、J.Org.Chem.,vol.64,No.21,pp.7813-7819(1999)、Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.,vol.36,pp.1333-1335(1997)等に記載されている方法を参考にして、一般式(1)で表される化合物を合成することができる。例えば、下記一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物とをオキシ塩化リン存在下、1,2-ジクロロエタン中で加熱した後、下記一般式(5)で表される化合物をトリエチルアミン存在下、1,2-ジクロロエタン中で反応させ、これにより、一般式(1)で表される化合物を得る方法が挙げられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。ここで、R 1~R 9は、上記説明と同様である。Jは、ハロゲンを表す。
[0181]
[化33]


[0182]
 さらに、アリール基やヘテロアリール基の導入の際は、ハロゲン化誘導体とボロン酸あるいはボロン酸エステル化誘導体とのカップリング反応を用いて炭素-炭素結合を生成する方法が挙げられるが、本発明は、これに限定されるものではない。同様に、アミノ基やカルバゾリル基の導入の際にも、例えば、パラジウム等の金属触媒下でのハロゲン化誘導体とアミンあるいはカルバゾール誘導体とのカップリング反応を用いて炭素-窒素結合を生成する方法が挙げられるが、本発明は、これに限定されるものではない。
[0183]
 本発明の実施の形態に係る色変換シートは、一般式(1)で表される化合物以外に、必要に応じてその他の化合物を適宜含有することができる。例えば、励起光から一般式(1)で表される化合物へのエネルギー移動効率を更に高めるために、ルブレン等のアシストドーパントを含有してもよい。また、一般式(1)で表される化合物の発光色以外の発光色を加味したい場合は、所望の有機発光材料、例えば、クマリン系色素、ローダミン系色素等の有機発光材料を添加することができる。その他、これらの有機発光材料以外でも、無機蛍光体、蛍光顔料、蛍光染料、量子ドット等の公知の発光材料を組み合わせて添加することも可能である。
[0184]
 以下に、一般式(1)で表される化合物以外の有機発光材料の一例を以下に示すが、本発明は、特にこれらに限定されるものではない。
[0185]
[化34]


[0186]
 本発明の実施の形態に係る色変換シートにおいて、(A)層および(B)層の各層における有機発光材料の含有量は、化合物のモル吸光係数、発光量子収率および励起波長における吸収強度、ならびに作製する色変換シートの厚みや透過率にもよるが、通常はバインダー樹脂の100重量部に対して、1.0×10 -4重量部~30重量部である。中でも、これらの各層における有機発光材料の含有量は、バインダー樹脂の100重量部に対して、1.0×10 -3重量部~10重量部であることがさらに好ましく、5.0×10 -3重量部~5重量部であることが特に好ましい。
[0187]
 また、本発明の実施の形態に係る色変換シートにおいて、緑色の発光の一部が赤色の発光に変換されることから、(A)層における有機発光材料(a)の含有量w aと、(B)層における有機発光材料(b)の含有量w bとは、w a≧w bの関係であることが好ましい。また、含有量w aと含有量w bとの比率は、w a:w b=1000:1~1:1であり、500:1~2:1であることがさらに好ましく、200:1~3:1であることが特に好ましい。ただし、含有量w aおよび含有量w bは、それぞれ(A)層および(B)層の各層における、バインダー樹脂の重量に対する重量パーセントである。
[0188]
 (A)層および(B)層が有機発光材料(a)および有機発光材料(b)以外の有機発光材料を更に含む場合、追加の有機発光材料の含有量は、有機発光材料(a)および有機発光材料(b)の各発光に過度の影響を与えない量であることが好ましい。
[0189]
 例えば、(A)層が有機発光材料(a)以外に有機発光材料(a’)を含む場合、(A)層における有機発光材料(a)の含有量w aと、(A)層における有機発光材料(a’)の含有量w a’とは、w a≧w a’の関係であることが、有機発光材料(a)の発光に過度の影響を与えないため、好ましい。また、含有量w aと含有量w a’との比率は、w a:w a’=1000:1~1:1であり、500:1~2:1であることがさらに好ましく、200:1~3:1であることが特に好ましい。ただし、含有量w a’は、(A)層における、バインダー樹脂の重量に対する重量パーセントである。
[0190]
 (A)層が有機発光材料(a)以外に有機発光材料(c)を含む場合、(A)層における有機発光材料(a)の含有量w aと、(A)層における有機発光材料(c)の含有量w cとは、w a≧w cの関係であることが、有機発光材料(a)の発光に過度の影響を与えないため、好ましい。また、含有量w aと含有量w cとの比率は、w a:w c=1000:1~1:1であり、500:1~2:1であることがさらに好ましく、200:1~3:1であることが特に好ましい。ただし、含有量w cは、(A)層における、バインダー樹脂の重量に対する重量パーセントである。
[0191]
 また、(A)層における有機発光材料(a)の含有量w aと(A)層における有機発光材料(c)の含有量w cと、(B)層における有機発光材料(b)の含有量w bとは、w a≧w b≧w cの関係であることが、有機発光材料(a)および有機発光材料(b)の各発光に過度の影響を与えないため、好ましい。
[0192]
 一方、(B)層が有機発光材料(b)以外に有機発光材料(b’)を含む場合、(B)層における有機発光材料(b)の含有量w bと、(B)層における有機発光材料(b’)の含有量w b’とは、w b≧w b’の関係であることが、有機発光材料(b)の発光に過度の影響を与えないため、好ましい。また、含有量w と含有量w b’との比率は、w b:w b’=1000:1~1:1であり、500:1~2:1であることがさらに好ましく、200:1~3:1であることが特に好ましい。ただし、含有量w b’は、(B)層における、バインダー樹脂の重量に対する重量パーセントである。
[0193]
 (B)層が有機発光材料(b)以外に有機発光材料(d)を含む場合、(A)層における有機発光材料(a)の含有量w aと、(B)層における有機発光材料(d)の含有量w dとは、w a≧w dの関係であることが、有機発光材料(a)の発光に過度の影響を与えないため、好ましい。また、含有量w aと含有量w dとの比率は、w a:w d=1000:1~1:1であり、500:1~2:1であることがさらに好ましく、200:1~3:1であることが特に好ましい。ただし、含有量w dは、(B)層における、バインダー樹脂の重量に対する重量パーセントである。
[0194]
 (バインダー樹脂)
 本発明の実施の形態に係る色変換組成物および色変換シートにおいて、バインダー樹脂は、成型加工性、透明性、耐熱性等に優れる材料が好適に用いられる。バインダー樹脂の例としては、例えば、アクリル酸系、メタクリル酸系、ポリケイ皮酸ビニル系、環ゴム系等の反応性ビニル基を有する光硬化型レジスト材料、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンゴム、シリコーンゲル等のオルガノポリシロキサン硬化物(架橋物)を含む)、ウレア樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース樹脂、脂肪族エステル樹脂、芳香族エステル樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂等の公知のものが挙げられる。また、バインダー樹脂としては、これらの樹脂の混合物や共重合体を用いても構わない。これらの樹脂を適宜設計することで、本発明の実施の形態に係る色変換シートに有用なバインダー樹脂が得られる。
[0195]
 これらの樹脂の中でも、透明性、耐熱性等の観点から、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂またはこれらの混合物を好適に用いることができる。また、フィルム化のプロセスが容易であることから、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂も好適に用いられる。
[0196]
 (A)層および(B)層の各層における有機発光材料とバインダー樹脂との組み合わせを最適化することで、有機発光材料の発光ピーク波長を望ましい波長にシフトし、色域を拡大することができる。そのため、(A)層に含まれるバインダー樹脂と(B)層に含まれるバインダー樹脂とが異なることが好ましい。こうすることで、青色の光を緑色の光に変換する有機発光材料(a)と、青色および緑色の各光を赤色の光に変換する有機発光材料(b)とをそれぞれ異なるバインダー樹脂中に分散させ、これら有機発光材料(a)および有機発光材料(b)の各発光ピーク波長をそれぞれ個別に最適ピーク波長に調整することができる。なお、2つのバインダー樹脂が異なるとは、樹脂の組成が異なることをいう。
[0197]
 本発明の実施の形態に係る色変換シートにおいて、好ましい白色光を得る上で、(A)層からの発光のピーク波長は、500nm以上580nm以下の領域に観測されることが好ましい。色再現性を向上させる上で、より好ましくは、510nm以上550nm以下であり、さらに好ましくは、515nm以上540nm以下であり、特に好ましくは、520nm以上535nm以下である。
[0198]
 また、本発明の実施の形態に係る色変換シートにおいて、好ましい白色光を得る上で、(B)層からの発光のピーク波長は、580nm以上750nm以下の領域に観測されることが好ましい。色再現性を向上させる上で、より好ましくは、610nm以上700nm以下であり、さらに好ましくは、620nm以上680nm以下であり、特に好ましくは、630nm以上660nm以下である。
[0199]
 バインダー樹脂の溶解パラメータであるSP値と、有機発光材料の発光ピーク波長とには強い関係がある。SP値が大きいバインダー樹脂中では、バインダー樹脂と有機発光材料との間の相互作用により、有機発光材料の励起状態が安定化される。そのため、SP値が小さいバインダー樹脂中と比較して、この有機発光材料の発光ピーク波長は、長波長側にシフトする。したがって、有機発光材料を最適なSP値を持つバインダー樹脂中に分散させることで、有機発光材料の発光ピーク波長の最適化が可能である。色純度の高い有機発光材料の発光の発光ピーク波長を最適化することで、例えば、後述のようにディスプレイの光源に組み込んだ場合、カラーフィルターの濃度を薄くすることができ、ディスプレイを高輝度化することが可能である。
[0200]
 本発明の実施の形態に係る色変換シートにおいては、(A)層に含まれるバインダー樹脂のSP値をSP A(cal/cm 30.5とし、(B)層に含まれるバインダー樹脂のSP値をSP B(cal/cm 30.5とするとき、SP A>SP Bである。この場合、(A)層および(B)層における緑色光と赤色光との発光ピーク波長の差が、単一のバインダー樹脂中に有機発光材料を分散させた場合と比較して小さくなる。その結果、視感度が大きい領域に変換された光が集まることで、輝度が向上する。
[0201]
 中でも、SP B≦10.0であることが好ましい。この場合、(B)層における赤色光の発光ピーク波長の長波長化が抑制され、その結果、(A)層および(B)層における緑色光と赤色光との発光ピーク波長の差が小さくなるため、好ましい。その効果をより大きくするという観点から、より好ましくは、SP B≦9.8であり、さらに好ましくはSP B≦9.7であり、特に好ましくはSP B≦9.6である。
[0202]
 SP Bの下限値は特に限定されないが、SP B≧7.0であるバインダー樹脂は、有機発光材料の分散性がよいため、好適に用いることができる。その効果をより大きくするという観点から、より好ましくはSP B≧8.0であり、さらに好ましくはSP B≧8.5であり、特に好ましくはSP B≧9.0である。
[0203]
 特に好ましいのは、9.0≦SP ≦10.0であることである。SP がこの範囲にある場合、有機発光材料の分散性を損なうことなく、大きな輝度の向上効果を得ることができる。
[0204]
 また、SP A≧10.0であることが好ましい。この場合、(A)層における緑色光の発光ピーク波長がより大きく長波長化し、その結果、(A)層からは、視感度の大きい波長領域の緑色の光を発光することができる。その効果をより大きくするという観点から、より好ましくは、SP A≧10.2であり、さらに好ましくはSP A≧10.4であり、特に好ましくはSP A≧10.6である。
[0205]
 SP Aの上限値は特に限定されないが、SP A≦15.0であるバインダー樹脂は、有機発光材料の分散性がよいため、好適に用いることができる。その効果をより大きくするという観点から、より好ましくはSP A≦14.0であり、さらに好ましくはSP A≦13.0であり、特に好ましくはSP A≦12.0である。
[0206]
 ここで、溶解パラメータ(SP値)は、一般的に用いられている、Poly.Eng.Sci.,vol.14,No.2,pp.147-154(1974)等に記載のFedorsの推算法を用い、樹脂を構成するモノマーの種類と比率から算出される値である。複数種類の樹脂の混合物に関しても、同様の方法により算出できる。例えば、ポリメタクリル酸メチルのSP値は9.7(cal/cm 30.5と算出でき、ポリエチレンテレフタレート(PET)のSP値は10.8(cal/cm 30.5と算出でき、ビスフェノールA系エポキシ樹脂のSP値は10.9(cal/cm 30.5と算出できる。
[0207]
 (A)層および(B)層におけるバインダー樹脂は特に限定されるものではないが、(A)層に好適に用いることができるバインダー樹脂および(B)層に好適に用いることができるバインダー樹脂の種類と、それぞれの樹脂の代表的なSP値とを、表2に示す。(A)層および(B)層におけるバインダー樹脂は、例えば表2に示すような樹脂の中から任意に組み合わせて用いることが好ましい。
[0208]
[表2]


[0209]
 中でも、(B)層のバインダー樹脂としては、可視域で透明性が高いことから、オレフィン系樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン系樹脂を好適に用いることができる。より好ましくはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂であり、特に好ましくはアクリル樹脂である。
[0210]
 また、(A)層のバインダー樹脂としては、可視域で透明性が高いことから、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂を好適に用いることができる。より好ましくはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂であり、特に好ましくはポリエステル樹脂である。
[0211]
 (その他の添加剤)
 本発明の実施の形態に係る色変換組成物および色変換シートは、有機発光材料(a)、有機発光材料(b)およびバインダー樹脂以外に、酸化防止剤、加工および熱安定化剤、紫外線吸収剤等の耐光性安定化剤、塗布膜安定化のための分散剤やレベリング剤、可塑剤、エポキシ化合物等の架橋剤、アミン、酸無水物、イミダゾール等の硬化剤、シート表面の改質剤としてシランカップリング剤等の接着補助剤、色変換材沈降抑制剤としてシリカ粒子やシリコーン微粒子等の無機粒子およびシランカップリング剤等、その他の添加剤を含有することができる。
[0212]
 酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール等のフェノール系酸化防止剤を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらの酸化防止剤は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
[0213]
 加工および熱安定化剤としては、例えば、トリブチルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、トリエチルホスフィン、ジフェニルブチルホスフィン等のリン系安定化剤を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらの安定化剤は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
[0214]
 耐光性安定化剤としては、例えば、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらの耐光性安定化剤は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
[0215]
 これらの添加剤は、光源からの光や発光材料の発光を阻害しないという観点から、可視域での吸光係数が小さいことが好ましい。具体的には、波長400nm以上800nm以下の波長域全域で、これらの添加剤のモル吸光係数εは、1000以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましい。さらに好ましくは200以下であり、100以下であることが特に好ましい。
[0216]
 また、耐光性安定化剤としては、一重項酸素クエンチャーとしての役割を持つ化合物も好適に用いることができる。一重項酸素クエンチャーは、酸素分子が光のエネルギーにより活性化してできた一重項酸素をトラップして不活性化する材料である。色変換シート中に一重項酸素クエンチャーが共存することで、発光材料が一重項酸素により劣化することを防ぐことができる。
[0217]
 一重項酸素は、ローズベンガルやメチレンブルーのような色素の三重項励起状態と、基底状態の酸素分子との間で電子とエネルギーの交換が起こることで生じることが知られている。
[0218]
 本発明の実施の形態に係る色変換シートは、含有される有機発光材料が励起光により励起され、励起光とは異なる波長の光を発光することで光の色変換を行う。この励起-発光のサイクルが繰り返されるため、生じた励起種と、色変換シート中に含まれる酸素との相互作用により、一重項酸素が生成する確率は高まる。そのため、有機発光材料と一重項酸素との衝突確率も高まるため、有機発光材料の劣化が進みやすい。
[0219]
 有機発光材料は、無機発光材料と比べて一重項酸素の影響を受けやすい。特に、一般式(1)で表される化合物は、ペリレン等の縮合アリール環を有する化合物やその誘導体に比べて一重項酸素との反応性が高く、一重項酸素による耐久性への影響が大きい。そこで、発生した一重項酸素を、一重項酸素クエンチャーによって速やかに不活性化させることで、発光量子収率および色純度に優れた一般式(1)で表される化合物の耐久性を向上させることができる。
[0220]
 一重項酸素クエンチャーとしての役割を持つ化合物としては、例えば、特定の、3級アミン、カテコール誘導体およびニッケル化合物を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらの化合物(耐光性安定化剤)は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
[0221]
 3級アミンとは、アンモニアのN-H結合がすべてN-C結合に置き換わった構造を持つ化合物を示す。窒素原子上の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基および隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。また、これらの置換基は、さらに上述の置換基により置換されていてもよい。
[0222]
 上記3級アミンの窒素原子上の置換基としては、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基が、光安定性の観点から好ましい。中でも、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基がより好ましい。
[0223]
 この場合のアリール基としては、光源からの光や発光材料の発光を阻害しないため、フェニル基またはナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。また、窒素原子上のアリール基が増加すると、可視域の光の吸収が増加する懸念があるため、窒素原子上の3つの置換基のうち、アリール基は、2つ以下が好ましく、1つ以下であることがより好ましい。窒素原子上の3つの置換基のうち、少なくとも1つが置換もしくは無置換のアルキル基である場合、より効率的に一重項酸素をトラップすることができるため、好ましい。中でも、3つの置換基のうち2つ以上が置換もしくは無置換のアルキル基であることが好ましい。
[0224]
 好ましい3級アミンとしては、トリエチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリ-n-ブチルアミン、N,N-ジエチルアニリン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
[0225]
 カテコール誘導体とは、レゾルシノールやヒドロキノン等の異性体を含む、ベンゼン環上に2つ以上の水酸基を有する化合物を示す。これらの化合物は、ベンゼン環上の水酸基が1つであるフェノール誘導体と比較して、より効率的に一重項酸素をトラップすることができる。
[0226]
 カテコール誘導体のベンゼン環上の置換基としては、水酸基以外にも、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基、および隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。また、これらの置換基は、さらに上述の置換基により置換されていてもよい。
[0227]
 中でも、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、ハロゲンが、光安定性の観点から好ましく、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、ハロゲンがより好ましい。さらに、一重項酸素クエンチャーとの反応後の変色が小さいことから、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、ハロゲンがより好ましい。特に好ましくは、置換もしくは無置換のアルキル基である。
[0228]
 カテコール誘導体におけるベンゼン環上の水酸基の位置としては、少なくとも2つの水酸基が隣接することが好ましい。これは、レゾルシノール(1,3-置換)やヒドロキノン(1,4-置換)に比べて光酸化されにくいためである。また、酸化された後も可視域の光の吸収が小さいため、色変換シートの変色を防ぐことができる。
[0229]
 好ましいカテコール誘導体としては、4-tert-ブチルベンゼン-1,2-ジオール、3,5-ジ-tert-ブチルベンゼン-1,2-ジオール等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
[0230]
 ニッケル化合物とは、ニッケルを含む化合物である。ニッケル化合物としては、例えば、塩化ニッケル等の無機塩やビスアセチルアセトナトニッケル等の錯体、カルバミン酸ニッケル塩等の有機酸塩等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。ここで、有機酸とは、カルボキシル基、スルホニル基、フェノール性水酸基、チオール基を有する有機化合物を示す。中でも、ニッケル化合物としては、色変換シート中で均一に分散するという観点から、錯体および有機酸塩が好ましい。
[0231]
 一重項酸素クエンチャーとして好適に用いることができるニッケル錯体および有機酸のニッケル塩としては、例えば、アセチルアセトナート系ニッケル錯体、ビスジチオ-α-ジケトン系ニッケル錯体、ジチオレート系ニッケル錯体、アミノチオレート系ニッケル錯体、チオカテコール系ニッケル錯体、サリチルアルデヒドオキシム系ニッケル錯体、チオビスフェノレート系ニッケル錯体、インドアニリン系ニッケル化合物、カルボン酸系ニッケル塩、スルホン酸系ニッケル塩、フェノール系ニッケル塩、カルバミン酸系ニッケル塩、ジチオカルバミン酸系ニッケル塩等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
[0232]
 これらの中でも、ニッケル化合物としては、有機酸のニッケル塩、アセチルアセトナート系ニッケル錯体およびチオビスフェノレート系ニッケル錯体のうち少なくとも1つであることが好ましい。特に、合成の容易さ、および安価であるという観点から、有機酸のニッケル塩が好ましい。また、可視域におけるモル吸光係数が小さく、光源や発光材料の発光を吸収することがないという観点から、スルホン酸系ニッケル塩が好ましい。さらに、より良い一重項酸素クエンチ効果を示すという観点からは、アリールスルホン酸のニッケル塩がより好ましく、幅広い種類の溶媒への溶解性の観点からは、アルキルスルホン酸のニッケル塩が好ましい。アリールスルホン酸のアリール基としては、置換もしくは無置換のフェニル基が好ましく、溶媒への溶解性および分散性の観点から、アルキル基で置換されたフェニル基がより好ましい。
[0233]
 また、ニッケル化合物としては、有機溶剤への溶解性および可視域におけるモル吸光係数が小さいという観点から、アセチルアセトナート系ニッケル錯体およびチオビスフェノレート系ニッケル錯体の双方が好ましい。これらの錯体におけるニッケル上の配位子は、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基等の置換基により置換されていてもよい。また、これらの置換基は、さらに上述の置換基により置換されていてもよい。
[0234]
 中でも、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、ハロゲンが、光安定性の観点から好ましく、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、ハロゲンがより好ましい。さらに、一重項酸素クエンチャーとの反応後の変色が小さいことから、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、ハロゲンがより好ましい。特に好ましくは、置換もしくは無置換のアルキル基である。
[0235]
 波長400nm以上800nm以下の波長域全域でモル吸光係数εが100以下であるニッケル化合物としては、例えば、p-トルイルスルホン酸のニッケル塩やアセチルアセトンニッケル(II)錯体、ヘキサフルオロアセチルアセトンニッケル(II)錯体、2,2’-チオビスフェノレート-n-ブチルアミンニッケル(II)錯体、[2,2’-チオビス(4-tert-オクチルフェノレート)]-2-エチルヘキシルアミンニッケル(II)錯体等が挙げられる。しかし、ニッケル化合物としては、これらのニッケル塩やニッケル錯体に限定されず、上述した各種のニッケル化合物のうち、波長400nm以上800nm以下の波長域全域でモル吸光係数εが100以下であるものが、好適に用いられる。
[0236]
 また、耐光性安定化剤としては、ラジカルクエンチャーとしての役割を持つ化合物も好適に用いることができる。中でも、ヒンダードアミン系化合物が好適な例として挙げられる。ヒンダードアミン系化合物の例としては、例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ヒドロキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-メトキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、セバシン酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、メタクリル酸2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル、メタクリル酸1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル等のピペリジン誘導体やその酸化物が挙げられる。
[0237]
 本発明の実施の形態に係る色変換組成物および色変換シートにおいて、これらの添加剤の含有量は、化合物のモル吸光係数、発光量子収率および励起波長における吸収強度、ならびに作製する色変換シートの厚みや透過率にもよるが、通常はバインダー樹脂の100重量部に対して、1.0×10 -3重量部以上であることが好ましく、1.0×10 -2重量部以上であることがより好ましく、1.0×10 -1重量部以上であることがさらに好ましい。また、これらの添加剤の含有量は、バインダー樹脂の100重量部に対して、30重量部以下であることが好ましく、15重量部以下であることがより好ましく、10重量部以下であることがさらに好ましい。
[0238]
 <基材層>
 本発明の実施の形態に係る色変換シートにおいて、上述した色変換層としての(A)層および(B)層は、基材層(例えば図1、2に示した基材層10)の上に形成されることが好ましい。
[0239]
 基材層としては、特に制限無く公知の金属、フィルム、ガラス、セラミック、紙等を使用することができる。具体的には、基材層として、アルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、銅、鉄等の金属板や箔、セルロースアセテート、PET、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、アラミド、シリコーン、ポリオレフィン、熱可塑性フッ素樹脂、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体(ETFE)等のプラスチックのフィルム、α-ポリオレフィン樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂およびこれらとエチレンとの共重合樹脂からなるプラスチックのフィルム、前記プラスチックがラミネートされた紙、または前記プラスチックによりコーティングされた紙、前記金属がラミネートまたは蒸着された紙、前記金属がラミネートまたは蒸着されたプラスチックフィルム等が挙げられる。また、基材層が金属板である場合、その表面にクロム系やニッケル系等のメッキ処理やセラミック処理が施されていてもよい。
[0240]
 これらの中でも、色変換シートの作製のし易さや色変換シートの成形のし易さから、ガラスや樹脂フィルムが好ましく用いられる。また、フィルム状の基材層を取り扱う際に破断等の恐れがないように、強度が高いフィルムが好ましい。それらの要求特性や経済性の面で樹脂フィルムが好ましく、これらの中でも、経済性、取り扱い性の面でPET、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリプロピレンからなる群より選ばれるプラスチックフィルムが好ましい。また、色変換シートを乾燥させる場合や色変換シートを押し出し機により200℃以上の高温で圧着成形する場合は、耐熱性の面でポリイミドフィルムが好ましい。シートの剥離のし易さから、基材層は、予め表面が離型処理されていてもよい。同様に、層間の接着性の向上のため、基材層は、予め表面が易接着処理されていてもよい。
[0241]
 基材層の厚さは、特に制限はないが、下限としては12μm以上が好ましく、38μm以上がより好ましい。また、上限としては5000μm以下が好ましく、3000μm以下がより好ましい。
[0242]
 <光取り出し層>
 本発明の実施の形態に係る色変換シートは、光取り出し効率を向上させるために、(A)層および(B)層以外に、光取り出し層を更に有していてもよい。光取り出し層は、隣接する2層の間の界面における反射を低減する層である。
[0243]
 図3は、本発明の実施の形態に係る色変換シートに光取り出し層を適用した一例を示す模式断面図である。図3に示すように、色変換シート1bは、複数(図3の例では2つ)の基材層10を備え、これら複数の基材層10の間に挟まれる態様で、(A)層11と、(B)層12と、光取り出し層13とを含有する。好ましくは、図3に示すように、色変換シート1bは、(A)層11と(B)層12との間に、光取り出し層13を有する。この色変換シート1bの構造例では、基材層10の上に、(A)層11と光取り出し層13と(B)層12とが、この順で積層され、これにより、(B)層/光取り出し層/(A)層という積層構造の積層体が、この基材層10の上に形成されている。さらに、この積層体における(B)層12の上には、図3に示すように、もう1つの基材層10が積層されている。
[0244]
 図3に示す色変換シート1bの構造例では、(A)層11と光取り出し層13と(B)層12との積層体が複数の基材層10の間に挟まれているが、本発明の実施の形態に係る色変換シートは、この構造例に限定されるものではない。この積層体は、複数の基材層10の間に挟まれる態様とせずに、基材層10の上に形成されてもよい。また、光取り出し層13は、図3に例示されるように(A)層11の積層方向上側の一端面と(B)層12の積層方向下側の一端面との間に形成されてもよいし、(B)層12の積層方向上側の一端面や(A)層11の積層方向下側の一端面に形成されてもよい。中でも、図3に例示されるように、(A)層11と(B)層12との間に光取り出し層13が形成されている場合、(A)層11における有機発光材料の発光が効率的に(B)層12に進入することから、これらの層間での発光のロスが低減して色変換効率が上がり、色変換後の白色光の輝度が向上するため、好ましい。
[0245]
 また、(A)層11と(B)層12との間に光取り出し層13が形成されている場合、(A)層11、(B)層12および光取り出し層13の各屈折率は特に限定されるものではないが、(A)層11、(B)層12および光取り出し層13の波長589.3nmの光に対する屈折率をそれぞれn A、n B、n Cとするとき、n A≦n C≦n Bまたはn B≦n C≦n Aであることが好ましい。これらの場合、(A)層11と光取り出し層13との界面ならびに(B)層12と光取り出し層13との界面における各光の反射を低減させることができる。
[0246]
 <バリア層>
 本発明の実施の形態に係る色変換シートは、(A)層および(B)層以外に、バリア層を更に有していてもよい。バリア層は、(A)層および(B)層に例示される色変換層に対して酸素、水分や熱による劣化を防ぐために適宜用いられる。このバリア層としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物や、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化窒化ケイ素等の無機窒化物、またはこれらの混合物、またはこれらに他の元素を添加した金属酸化物薄膜や金属窒化物薄膜、あるいはポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、酢酸ビニルのケン化物等のポリビニルアルコール系樹脂等の各種樹脂から成る膜を挙げることができる。
[0247]
 本発明でバリア層に好適に用いられるバリア性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体等の樹脂およびこれらの樹脂の混合物が挙げられる。中でも、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールは酸素透過係数が非常に小さいため、バリア性樹脂は、これらの樹脂を含むことが好ましい。さらに、バリア性樹脂は、変色しにくさから、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含むことがより好ましく、環境負荷の小ささから、ポリビニルアルコールまたはエチレン-ビニルアルコール共重合体を含むことが特に好ましい。これらの樹脂は、単一で用いてもよいし、異なる樹脂と混合して用いてもよいが、フィルムの均一性およびコストの観点から、単一樹脂からなるフィルムがより好ましい。
[0248]
 ポリビニルアルコールとしては、例えば、アセチル基を98モル%以上ケン化したポリ酢酸ビニルのケン化物を用いることができる。また、エチレン-ビニルアルコール共重合体としては、例えば、アセチル基を98モル%以上ケン化したエチレン含有率20%~50%のエチレン-酢酸ビニル共重合体のケン化物を用いることができる。
[0249]
 また、バリア層としては、市販されている樹脂やフィルムを使用することも可能である。具体例としては、株式会社クラレ製のポリビニルアルコール樹脂PVA117や株式会社クラレ製のエチレン-ビニルアルコール共重合体(“EVAL”(登録商標))樹脂L171B、F171BやフィルムEF-XL等がある。
[0250]
 バリア層には、色変換層の発光および耐久性に過度な影響を与えない範囲で、必要に応じて、酸化防止剤、硬化剤、架橋剤、加工および熱安定化剤、紫外線吸収剤等の耐光性安定化剤等が添加されてもよい。
[0251]
 バリア層の厚みは、特に制限はないが、色変換シート全体の柔軟性やコストの観点から、100μm以下であることが好ましい。より好ましくは50μm以下であり、さらに好ましくは20μm以下である。特に好ましくは、10μm以下であり、1μm以下であってもよい。ただし、層形成の容易さの観点から、バリア層の厚みは、0.01μm以上であることが好ましい。
[0252]
 上述したバリア層が適用された色変換シートの代表的な構造例として、例えば、以下に示すものが挙げられる。図4は、本発明の実施の形態に係る色変換シートにバリア層を適用した一例を示す模式断面図である。図4に示すように、色変換シート1cは、複数(図4の例では2つ)の基材層10を備え、これら複数の基材層10の間に挟まれる態様で、(A)層11と、(B)層12と、複数(図4の例では2つ)のバリア層14とを含有する。これら複数のバリア層14は、(A)層11と(B)層12との積層体を、その積層方向両側から挟むように形成される。この色変換シート1cの構造例では、基材層10の上に、バリア層14と、(A)層11と、(B)層12と、もう1つのバリア層14とが、この順で積層される。これにより、バリア層/(B)層/(A)層/バリア層という積層構造の積層体が、この基材層10の上に形成されている。さらに、この積層体における積層方向上側のバリア層14の上には、図4に示すように、もう1つの基材層10が積層されている。
[0253]
 図5は、本発明の実施の形態に係る色変換シートにバリア層を適用した別例を示す模式断面図である。図5に示すように、色変換シート1dは、複数(図5の例では2つ)の基材層10を備え、これら複数の基材層10の間に挟まれる態様で、(A)層11と、(B)層12と、複数(図5の例では3つ)のバリア層14とを含有する。これら複数のバリア層14は、(A)層11をその積層方向両側から挟み且つ(B)層12をその積層方向両側から挟むように、形成される。この色変換シート1dの構造例では、基材層10の上に、バリア層14と、(A)層11と、もう1つのバリア層14と、(B)層12と、更にもう1つのバリア層14とが、この順で積層される。これにより、バリア層/(B)層/バリア層/(A)層/バリア層という積層構造の積層体が、この基材層10の上に形成されている。さらに、この積層体における積層方向上端のバリア層14の上には、図5に示すように、もう1つの基材層10が積層されている。
[0254]
 本発明において、バリア層は、図4に例示したバリア層14のように(A)層と(B)層との積層体における積層方向両側の各端面に設けられてもよいし、この積層体における積層方向両側のうち一端面に設けられてもよい。また、バリア層は、図5に例示したバリア層14のように(A)層における積層方向両側の各端面と(B)層における積層方向両側の各端面との両方に設けられてもよいし、これらの各端面のうち少なくとも1つの端面に設けられてもよい。
[0255]
 <その他の機能性層>
 本発明の実施の形態に係る色変換シートには、要求される機能に応じて、光拡散層、反射防止機能、防眩機能、反射防止防眩機能、ハードコート機能(耐摩擦機能)、帯電防止機能、防汚機能、電磁波シールド機能、赤外線カット機能、紫外線カット機能、偏光機能、調色機能を有した補助層をさらに設けてもよい。
[0256]
 <接着層>
 本発明の実施の形態に係る色変換シートにおいて、それぞれの層の間には、必要に応じて接着層を設けてもよい。接着層としては、色変換シートの発光および耐久性に過度な影響を与えないものであれば、特に制限無く、公知の材料を用いることができる。例えば、強固な接着が必要な場合、接着層としては、光硬化材料や熱硬化材料、嫌気性硬化材料、熱可塑性材料を好ましく用いることができる。中でも、熱硬化材料がより好ましく、特に、0℃~150℃での硬化が可能である熱硬化材料が好ましい。
[0257]
 接着層の厚みは、特に制限はないが、0.01μm~100μmであることが好ましく、より好ましくは0.01μm~25μmである。さらに好ましくは、0.05μm~5μmであり、特に好ましくは、0.05μm~1μmである。
[0258]
 <色変換シートの製造方法>
 以下に、本発明の実施の形態に係る色変換シートの作製方法の一例を説明する。この色変換シートの作製方法では、まず、色変換層作製用の組成物を以下のように作製する。
[0259]
 前述した有機発光材料、バインダー樹脂、後述する溶媒等の材料を所定量混合する。これらの材料を所定の組成になるよう混合した後、ホモジナイザー、自公転型攪拌機、3本ローラー、ボールミル、遊星式ボールミル、ビーズミル等の撹拌・混練機で均質に混合分散することで、色変換層作製用の組成物、すなわち、色変換組成物が作製される。混合分散後、もしくは混合分散の過程で、真空もしくは減圧条件下で脱泡することも好ましく行われる。また、ある特定の成分を事前に混合することや、エージング等の処理をしても構わない。エバポレーターによって溶媒を除去して所望の固形分濃度にすることも可能である。
[0260]
 溶媒は、流動状態の樹脂の粘度を調整でき、発光物質の発光および耐久性に過度な影響を与えないものであれば、特に限定されない。このような溶媒として、例えば、水、2-プロパノール、エタノール、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ヘキサン、アセトン、テルピネオール、テキサノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、1-メトキシ-2-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられ、これらの溶媒を2種類以上混合して使用することも可能である。これらの溶媒の中で特にトルエンは、一般式(1)で表される化合物の劣化に影響を与えない点で好適に用いられる。また、メチルエチルケトンは、乾燥後の残存溶媒が少ない点で好適に用いられる。
[0261]
 次に、上述した方法で作製した色変換組成物を、基材層やバリア層等の下地上に塗布し、乾燥させる。このようにして、色変換層(例えば色変換シートに適用する(A)層および(B)層)を作製する。塗布は、リバースロールコーター、ブレードコーター、スリットダイコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、キスコーター、ナチュラルロールコーター、エアーナイフコーター、ロールブレードコーター、リバースロールブレードコーター、トゥーストリームコーター、ロッドコーター、ワイヤーバーコーター、アプリケーター、ディップコーター、カーテンコーター、スピンコーター、ナイフコーター等により、行うことができる。色変換層の膜厚均一性を得るためには、スリットダイコーターで塗布することが好ましい。
[0262]
 色変換層の乾燥は、熱風乾燥機や赤外線乾燥機等の一般的な加熱装置を用いて行うことができる。色変換シートの加熱には、熱風乾燥機や赤外線乾燥機等の一般的な加熱装置が用いられる。この場合、加熱条件は、通常、40℃~250℃で1分~5時間、好ましくは60℃~200℃で2分~4時間である。また、ステップキュア等の段階的に加熱硬化することも可能である。
[0263]
 色変換層を作製した後、必要に応じて基材層を変更することも可能である。この場合、簡易的な方法としては、例えば、ホットプレートを用いて貼り替えを行なう方法や、真空ラミネーターやドライフィルムラミネーターを用いた方法等が挙げられるが、これらに限定されない。
[0264]
 各層を積層させる方法は、塗布やドライラミネート等、公知の方法を用いることができる。本発明において各層の積層方法は特に限定されないが、例えば、(A)層と(B)層とを積層させる場合、(A)層の上に(B)層を塗布および乾燥により形成する手法や、(B)層の上に(A)層を塗布および乾燥により形成する手法、(A)層の上に別途成形した(B)層用自立フィルムを貼り合わせる手法、(B)層の上に別途成形した(A)層用自立フィルムを貼り合わせる手法、「基材層/(A)層」という積層構造の積層ユニットと「(B)層/基材層」という積層構造の積層ユニットとを貼り合わせる等のように、個々に作製した積層ユニットを貼り合わせる手法が挙げられる。色変換シートの安定性を高めるため、各層を積層させた後に、さらに熱硬化工程や光硬化工程、熟成工程等を行うことも好ましい。
[0265]
 <励起光>
 励起光の種類は、本発明に用いられる有機発光材料が吸収可能な波長領域に発光を示すものであれば、いずれの励起光でも用いることができる。例えば、熱陰極管や冷陰極管、無機エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の蛍光性光源、有機EL素子光源、LED光源、白熱光源、あるいは太陽光等、いずれの光源からの励起光でも利用可能である。中でも、LED光源からの励起光が好適である。ディスプレイや照明用途では、青色光の色純度を高められる点で、400nm以上500nm以下の波長範囲の励起光を持つ青色LED光源からの励起光が、さらに好適である。
[0266]
 励起光の極大発光波長としては、430nm以上500nm以下であることが、励起エネルギーがより小さくなり、有機発光材料の劣化を抑止できるため、より好ましく、440nm以上500nm以下であることがさらに好ましい。特に好ましくは450nm以上500nm以下である。また、励起光の極大発光波長としては、励起光と緑色光との発光スペクトルの重なりを小さくし、色再現性を向上させることができるため、480nm以下であることがより好ましく、470nm以下であることがさらに好ましい。
[0267]
 励起光は、1種類の発光ピークを持つものでもよく、2種類以上の発光ピークを持つものでもよいが、色純度を高めるためには、1種類の発光ピークを持つものが好ましい。また、発光ピークの種類の異なる複数の励起光源を任意に組み合わせて使用することも可能である。
[0268]
 <光源ユニット>
 本発明の実施の形態に係る光源ユニットは、少なくとも上述の光源および色変換組成物または色変換シートを備える構成である。光源ユニットが色変換組成物を備える場合は、光源と色変換組成物との配置方法については特に限定されず、光源に色変換組成物を直接塗布した構成を取ってもよいし、光源とは離したフィルムやガラス等に色変換組成物を塗布した構成を取ってもよい。光源ユニットが色変換シートを備える場合は、光源と色変換シートとの配置方法については特に限定されず、光源と色変換シートとを密着させた構成を取ってもよいし、光源と色変換シートとを離したリモートフォスファー形式を取ってもよい。また、光源ユニットは、色純度を高める目的で、さらにカラーフィルターを備える構成を取ってもよい。
[0269]
 前述の通り、色変換シートにおいて、(B)層は、励起光の光源または(A)層のいずれかまたは両方が発する光の色を変換する。このため、光源および色変換シートを備える光源ユニットにおいて、光源と、色変換シートに含まれる(A)層および(B)層との配置は、光源、(A)層および(B)層の順に並んだ配置であることが好ましい。この場合、色変換シートによる光源からの光の色変換効率が高くなる。
[0270]
 また、前述の通り、波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光は、比較的小さい励起エネルギーであり、一般式(1)で表される化合物等の発光物質の分解を防止できる。したがって、光源ユニットが備える光源は、波長400nm以上500nm以下の範囲に極大発光を有する発光ダイオードであることが好ましい。さらに、この光源は、波長430nm以上480nm以下の範囲に極大発光を有することが好ましく、波長450nm以上470nm以下の範囲に極大発光を有することが、さらに好ましい。本発明における光源ユニットは、ディスプレイ、照明、インテリア、標識、看板等の用途に使用できるが、特にディスプレイや照明用途に好適に用いられる。
[0271]
 <ディスプレイ、照明装置>
 本発明の実施の形態に係るディスプレイは、少なくとも、上述したように光源および色変換シート等を含む光源ユニットを備える。例えば、液晶ディスプレイ等のディスプレイには、バックライトユニットとして、上述の光源ユニットが用いられる。
[0272]
 本発明の実施の形態に係るディスプレイは、他の技術手段で同定度の色再現性を示すディスプレイと比較した場合に、より高い輝度を実現できる。そのため、本発明の実施の形態に係るディスプレイを、テレビ、モニター、パソコン、タブレットパソコン、スマートフォン、モバイルフォン、およびその他のモバイル機器用の小型ディスプレイとして用いた場合、電力効率の向上を実現できる。特に、ノートパソコン、タブレットパソコン、スマートフォン等のモバイル機器では、高い電力効率が求められるため、本発明の実施の形態に係るディスプレイを好適に用いることができる。そのため、特に限定されるものではないが、本発明の実施の形態に係るディスプレイの好ましい態様の1つとして、画面サイズが20インチ以下であることが挙げられる。特に高い電力効率が求められることから、画面サイズが16インチ以下であることがより好ましく、14インチ以下であることがさらに好ましい。画面サイズの下限は、特に制限はないが、色再現性の高い画像を活かすことができる点で、4インチ以上であることが好ましい。
[0273]
 本発明の実施の形態に係るディスプレイの好ましい態様の1つとして、(u’,v’)色空間において、DCI-P3色域規格に対する色域カバー率が、96%以上であることも挙げられる。本発明の実施の形態に係る色変換シートは、色純度の高い有機発光材料を用いるため、上述のように光源ユニットに組み込んだ場合、カラーフィルターの濃度を薄くすることができる。それにより、DCI-P3色域規格に対する色域カバー率が96%以上という高い色再現性を実現するために、公知の技術を用いた場合と比較して高輝度化することが可能である。(u’,v’)色空間において、DCI-P3色域規格に対する色域カバー率が、97%以上である場合、高輝度化の効果がより大きくなるため、さらに好ましく、(u’,v’)色空間において、DCI-P3色域規格に対する色域カバー率が、98%以上である場合、高輝度化の効果はさらに大きくなるため、特に好ましい。
[0274]
 また、本発明の実施の形態に係る照明装置は、少なくとも、上述したように光源および色変換シート等を含む光源ユニットを備える。例えば、この照明装置は、光源ユニットとしての青色LED光源と、この青色LED光源からの青色光をこれよりも長波長の光に変換する色変換シートまたは色変換組成物とを組み合わせて、白色光を発光するように構成される。
実施例
[0275]
 以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。下記の実施例および比較例において、化合物G-1、G-2、G-3、R-1、R-2は、以下に示す化合物である。
[0276]
[化35]


[0277]
 また、実施例および比較例における構造分析に関する評価方法は、以下に示す通りである。
[0278]
 < 1H-NMRの測定>
 化合物の 1H-NMRは、超伝導FTNMR EX-270(日本電子株式会社製)を用い、重クロロホルム溶液にて測定を行った。
[0279]
 <吸収スペクトルの測定>
 化合物の吸収スペクトルは、U-3200形分光光度計(日立製作所株式会社製)を用い、化合物をトルエンに1×10 -6mol/Lの濃度で溶解させて測定を行った。
[0280]
 <蛍光スペクトルの測定>
 化合物の蛍光スペクトルは、F-2500形分光蛍光光度計(日立製作所株式会社製)を用い、化合物をトルエンに1×10 -6mol/Lの濃度で溶解させ、波長460nmで励起させた際の蛍光スペクトルを測定した。
[0281]
 <樹脂の屈折率の測定>
 バインダー樹脂等の樹脂の屈折率は、反射分光計 FE-3000(大塚電子株式会社製)を用い、PETフィルム上に塗布して形成した樹脂膜の波長589.3nmの光に対する屈折率を測定した。樹脂膜は、平均膜厚が30μmのものであり、ベーカー式アプリケーターを用いて、樹脂溶液を、“ルミラー”U48(東レ株式会社製、厚さ50μm)上に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して形成した。
[0282]
 <色変換特性の測定>
 色変換特性の測定では、発光ピーク波長447nmの青色LED素子を搭載した面状発光装置に各色変換シートおよびプリズムシートを載せた状態で、この面状発光装置に30mAの電流を流して、この青色LED素子を点灯させ、分光放射輝度計(CS-1000、コニカミノルタ社製)を用いて、発光スペクトル、色度および輝度を測定した。
[0283]
 <色域の算出>
 上記色変換特性の測定によって得られた発光スペクトルと、カラーフィルターの透過率のスペクトルデータとから、カラーフィルターにより色純度を向上させた場合の(u’,v’)色空間における色域を算出した。また、算出された(u’,v’)色空間における色域は、DCI-P3色域規格に対するカバー率により、以下の基準で評価した。この(u’,v’)色空間における色域の評価結果として、「A」は、上記のカバー率が98%以上であることを示す。「B」は、上記のカバー率が97%以上98%未満であることを示す。「C」は、上記のカバー率が96%以上97%未満であることを示す。「D」は、上記のカバー率が96%未満であることを示す。この評価結果において、上記のカバー率が高いほど、色域が広く、色変換シートの色再現性が良好である。
[0284]
 (合成例1)
 以下に、本発明における合成例1の化合物G-1の合成方法について説明する。化合物G-1の合成方法では、3,5-ジブロモベンズアルデヒド(3.0g)、4-t-ブチルフェニルボロン酸(5.3g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.4g)、炭酸カリウム(2.0g)をフラスコに入れ、窒素置換した。これに、脱気したトルエン(30mL)および脱気した水(10mL)を加え、4時間還流した。この反応溶液を室温まで冷却し、有機層を、分液した後に飽和食塩水で洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去した。得られた反応生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、3,5-ビス(4-t-ブチルフェニル)ベンズアルデヒド(3.5g)を白色固体として得た。
[0285]
 次に、3,5-ビス(4-t-ブチルフェニル)ベンズアルデヒド(1.5g)と2,4-ジメチルピロール(0.7g)とを反応溶液に入れ、脱水ジクロロメタン(200mL)およびトリフルオロ酢酸(1滴)を加えて、窒素雰囲気下、4時間撹拌した。続いて、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(0.85g)の脱水ジクロロメタン溶液を加え、さらに1時間撹拌した。反応終了後、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(7.0mL)およびジイソプロピルエチルアミン(7.0mL)を加えて、4時間撹拌した後、さらに水(100mL)を加えて撹拌し、有機層を分液した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去した。得られた反応生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、化合物(0.4g)を得た(収率18%)。この得られた化合物の 1H-NMR分析結果は次の通りであり、これが化合物G-1であることが確認された。
H-NMR(CDCl 3,ppm):7.95(s,1H)、7.63-7.48(m,10H)、6.00(s,2H)、2.58(s,6H)、1.50(s,6H)、1.37(s,18H)。
[0286]
 なお、この化合物G-1の吸収スペクトルは、図6に示す通りとなり、青色の励起光源(460nm)に光の吸収特性を示した。また、この化合物G-1の蛍光スペクトルは、図7に示す通りとなり、緑色領域に鋭い発光ピークを示した。発光量子収率は83%を示し、この化合物G-1は効率的な色変換が可能な化合物であった。
[0287]
 (合成例2)
 以下に、本発明における合成例2の化合物R-1の合成方法について説明する。化合物R-1の合成方法では、4-(4-t-ブチルフェニル)-2-(4-メトキシフェニル)ピロール(300mg)、2-メトキシベンゾイルクロリド(201mg)およびトルエン(10mL)の混合溶液を窒素気流下、120℃で6時間加熱した。この加熱溶液を室温に冷却後、エバポレートした。ついで、エタノール(20mL)で洗浄し、真空乾燥した後、2-(2-メトキシベンゾイル)-3-(4-t-ブチルフェニル)-5-(4-メトキシフェニル)ピロール(260mg)を得た。
[0288]
 次に、2-(2-メトキシベンゾイル)-3-(4-t-ブチルフェニル)-5-(4-メトキシフェニル)ピロール(260mg)、4-(4-t-ブチルフェニル)-2-(4-メトキシフェニル)ピロール(180mg)、メタンスルホン酸無水物(206mg)および脱気したトルエン(10mL)の混合溶液を窒素気流下、125℃で7時間加熱した。この加熱溶液を室温に冷却後、水(20mL)を注入し、ジクロロメタン(30mL)で有機層を抽出した。この有機層を水(20L)で2回洗浄し、エバポレートし、真空乾燥して、ピロメテン体を得た。
[0289]
 次に、得られたピロメテン体とトルエン(10mL)との混合溶液を、窒素気流下、ジイソプロピルエチルアミン(305mg)および三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(670mg)を加えて室温で3時間、攪拌した。その後、水(20mL)を注入し、ジクロロメタン(30mL)で有機層を抽出した。この有機層を水(20mL)で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートした。続いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、真空乾燥した後、赤紫色粉末(0.27g)を得た。得られた赤紫色粉末の 1H-NMR分析結果は次の通りであり、上記のようにして得られた赤紫色粉末が化合物R-1であることが確認された。
1H-NMR(CDCl 3,ppm):1.19(s,18H)、3.42(s,3H)、3.85(s,6H)、5.72(d,1H)、6.20(t,1H)、6.42-6.97(m,16H)、7.89(d,4H)。
[0290]
 なお、この化合物R-1の吸収スペクトルは、図8に示す通りとなり、青色および緑色の励起光源に光の吸収特性を示した。また、この化合物R-1の蛍光スペクトルは、図9に示す通りとなり、赤色領域に鋭い発光ピークを示した。発光量子収率は90%を示し、この化合物R-1は効率的な色変換が可能な化合物であった。
[0291]
 化合物G-2、R-2は、上記合成例と同様に、公知の手法を用いて合成した。また、G-3は、純度98%品をシグマアルドリッチ社から購入して使用した。
[0292]
 (実施例1)
 本発明の実施例1では、バインダー樹脂としてポリエステル樹脂T11(SP値=10.7(cal/cm 30.5)を用い、このバインダー樹脂の100重量部に対して、有機発光材料(a)として化合物G-1を0.25重量部、溶剤としてメチルエチルケトンを100重量部、混合した。その後、これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”KK-400(クラボウ製)を用いて300rpmで20分間撹拌・脱泡し、これにより、(A)層作製用の色変換組成物を得た。
[0293]
 同様に、バインダー樹脂としてアクリル樹脂T1(SP値=9.5(cal/cm 30.5)を用い、このバインダー樹脂の100重量部に対して、有機発光材料(b)として化合物R-1を0.03重量部、溶剤としてトルエンを300重量部、混合した。その後、これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”KK-400(クラボウ製)を用いて300rpmで20分間撹拌・脱泡し、これにより、(B)層作製用の色変換組成物を得た。
[0294]
 ついで、スリットダイコーターを用いて、(A)層作製用の色変換組成物を、基材層Aである“ルミラー”U48(東レ株式会社製、厚さ50μm)上に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して、平均膜厚15μmの(A)層を形成した。このようにして、基材層Aと(A)層とを含む積層体のユニットを作製した。
[0295]
 同様に、スリットダイコーターを用いて、(B)層作製用の色変換組成物を、基材層Bと光拡散層とを備えた光拡散フィルムである ケミカルマット125PW(株式会社きもと製、厚さ138μm)のPET基材層側(基材層B側)に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して、平均膜厚13μmの(B)層を形成した。このようにして、光拡散層と基材層Bと(B)層とを含む積層体のユニットを作製した。
[0296]
 次に、上記2つのユニットを、(A)層と(B)層とが直接積層されるように加温ラミネートした。これにより、「基材層A/(A)層/(B)層/基材層B/光拡散層」という構成の色変換シートを作製した。
[0297]
 この色変換シートを用いて発光ピーク波長447nmの青色LED光を色変換させたところ、発光スペクトルは図10に示す通り赤色領域と緑色領域と青色領域とに鋭い発光ピークを示し、XY色座標が(X,Y)=(0.25,0.22)である白色光が得られた。緑色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長530nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅29nmの高色純度緑色発光が得られた。また、赤色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長630nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅49nmの高色純度赤色発光が得られた。(u’,v’)色空間におけるDCI-P3色域規格に対するカバー率は98%であった。実施例1の評価結果は、後述の表3に示す。表3において、「色座標(X,Y)」は、XY色座標の値である。「色域カバー率」は、(u’,v’)色空間におけるDCI-P3色域規格に対するカバー率である。また、「色域カバー率」欄の「A」~「C」は、この色域カバー率の評価結果を示すものである。これらのことは、各表について同様である。さらに、「相対輝度」は実施例1における色変換後の白色光の輝度を100%として、実施例1と後述の実施例2~13および比較例1~3とで輝度を比較した。
[0298]
 (実施例2~7および比較例1)
 本発明の実施例2~7および本発明に対する比較例1では、(A)層の有機発光材料(a)として表3に記載した有機発光材料(化合物G-1、G-2、G-3)を適宜用い、(B)層の有機発光材料(b)として表3に記載した有機発光材料(化合物R-1、R-2)を適宜用い、(A)層および(B)層の各バインダー樹脂として表3に記載したバインダー樹脂(アクリル樹脂T1、アクリル樹脂T2、ポリエステル樹脂T11、ポリエステル樹脂T12、シクロオレフィン樹脂T21、フェノキシ樹脂T31)を適宜用い、色変換特性の測定で白色光のXY色座標が(X,Y)=(0.25,0.22)となるように各層の膜厚を調整した以外は、実施例1と同様にして、色変換シートを作製して評価した。実施例2~7および比較例1の評価結果は、表3に示す。
[0299]
 (比較例2)
 本発明に対する比較例2では、バインダー樹脂としてポリエステル樹脂T11(SP値=10.7(cal/cm 30.5)を用い、このバインダー樹脂の100重量部に対して、有機発光材料(a)として化合物G-1を0.25重量部、有機発光材料(c)として化合物R-1を0.014重量部、溶剤としてメチルエチルケトンを100重量部、混合した。その後、これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”KK-400(クラボウ製)を用いて300rpmで20分間撹拌・脱泡し、これにより、色変換層作製用の色変換組成物を得た。
[0300]
 ついで、スリットダイコーターを用いて、色変換層作製用の色変換組成物を、基材層Aである“ルミラー”U48(東レ株式会社製、厚さ50μm)上に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して、平均膜厚16μmの色変換層を形成した。このようにして、これらの基材層Aと色変換層とを含む積層体のユニットを作製した。
[0301]
 次に、基材層Bと光拡散層とを備えた光拡散フィルムである ケミカルマット125PW(株式会社きもと製、厚さ138μm)の基材層B側と、上記ユニットの色変換層側とが直接積層されるように、この光拡散フィルムと上記ユニットとを加温ラミネートした。これにより、「基材層A/色変換層/基材層B/光拡散層」という構成の色変換シートを作製した。
[0302]
 この色変換シートを用いて発光ピーク波長447nmの青色LED光を色変換させたところ、XY色座標が(X,Y)=(0.25,0.22)である白色光が得られた。緑色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長532nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅33nmの高色純度緑色発光が得られた。また、赤色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長633nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅50nmの高色純度赤色発光が得られた。(u’,v’)色空間におけるDCI-P3色域規格に対するカバー率は95%であった。比較例2の評価結果は、表3に示す。
[0303]
 (比較例3)
 本発明に対する比較例3では、有機発光材料(a)として表3に記載した有機発光材料(化合物G-3、R-1)を用いた以外は、比較例2と同様にして、色変換シートを作製して評価した。比較例3の評価結果は、表3に示す。
[0304]
 (実施例8)
 本発明の実施例8では、バインダー樹脂としてポリエステル樹脂T11(SP値=10.7(cal/cm 30.5)を用い、このバインダー樹脂の100重量部に対して、有機発光材料(a)として化合物G-1を0.25重量部、有機発光材料(c)として化合物R-1を0.008重量部、溶剤としてメチルエチルケトンを100重量部、混合した。その後、これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”KK-400(クラボウ製)を用いて300rpmで20分間撹拌・脱泡し、これにより、(A)層作製用の色変換組成物を得た。
[0305]
 同様に、バインダー樹脂としてアクリル樹脂T1(SP値=9.5(cal/cm 30.5)を用い、このバインダー樹脂の100重量部に対して、有機発光材料(b)として化合物R-1を0.018重量部、溶剤としてトルエンを300重量部、混合した。その後、これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”KK-400(クラボウ製)を用いて300rpmで20分間撹拌・脱泡し、これにより、(B)層作製用の色変換組成物を得た。
[0306]
 ついで、スリットダイコーターを用いて、(A)層作製用の色変換組成物を、基材層Aである“ルミラー”U48(東レ株式会社製、厚さ50μm)上に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して、平均膜厚15μmの(A)層を形成した。このようにして、基材層Aと(A)層とを含む積層体のユニットを作製した。
[0307]
 同様に、スリットダイコーターを用いて、(B)層作製用の色変換組成物を、基材層Bと光拡散層とを備えた光拡散フィルムである ケミカルマット125PW(株式会社きもと製、厚さ138μm)のPET基材層側(基材層B側)に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して、平均膜厚13μmの(B)層を形成した。このようにして、光拡散層と基材層Bと(B)層とを含む積層体のユニットを作製した。
[0308]
 次に、上記2つのユニットを、(A)層と(B)層とが直接積層されるように加温ラミネートした。これにより、「基材層A/(A)層/(B)層/基材層B/光拡散層」という構成の色変換シートを作製した。
[0309]
 この色変換シートを用いて発光ピーク波長447nmの青色LED光を色変換させたところ、図10に類似の発光スペクトルが得られ、XY色座標が(X,Y)=(0.25,0.22)である白色光が得られた。緑色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長530nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅29nmの高色純度緑色発光が得られた。また、赤色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長632nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅51nmの高色純度赤色発光が得られた。(u’,v’)色空間におけるDCI-P3色域規格に対するカバー率は99%であった。実施例8の評価結果は、表3に示す。
[0310]
 (実施例9)
 本発明の実施例9では、バインダー樹脂としてポリエステル樹脂T11(SP値=10.7(cal/cm 30.5)を用い、このバインダー樹脂の100重量部に対して、有機発光材料(a)として化合物G-1を0.25重量部、溶剤としてメチルエチルケトンを100重量部、混合した。その後、これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”KK-400(クラボウ製)を用いて300rpmで20分間撹拌・脱泡し、これにより、(A)層作製用の色変換組成物を得た。
[0311]
 同様に、バインダー樹脂としてアクリル樹脂T1(SP値=9.5(cal/cm 30.5)を用い、このバインダー樹脂の100重量部に対して、有機発光材料(b)として化合物R-1を0.03重量部、有機発光材料(d)として化合物G-1を0.015重量部、溶剤としてトルエンを300重量部、混合した。その後、これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”KK-400(クラボウ製)を用いて300rpmで20分間撹拌・脱泡し、これにより、(B)層作製用の色変換組成物を得た。
[0312]
 ついで、スリットダイコーターを用いて、(A)層作製用の色変換組成物を、基材層Aである“ルミラー”U48(東レ株式会社製、厚さ50μm)上に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して、平均膜厚15μmの(A)層を形成した。このようにして、基材層Aと(A)層とを含む積層体のユニットを作製した。
[0313]
 同様に、スリットダイコーターを用いて、(B)層作製用の色変換組成物を、基材層Bと光拡散層とを備えた光拡散フィルムである ケミカルマット125PW(株式会社きもと製、厚さ138μm)のPET基材層側(基材層B側)に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して、平均膜厚11μmの(B)層を形成した。このようにして、光拡散層と基材層Bと(B)層とを含む積層体のユニットを作製した。
[0314]
 次に、上記2つのユニットを、(A)層と(B)層とが直接積層されるように加温ラミネートした。これにより、「基材層A/(A)層/(B)層/基材層B/光拡散層」という構成の色変換シートを作製した。
[0315]
 この色変換シートを用いて発光ピーク波長447nmの青色LED光を色変換させたところ、図10に類似の発光スペクトルが得られ、XY色座標が(X,Y)=(0.25,0.22)である白色光が得られた。緑色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長532nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅30nmの高色純度緑色発光が得られた。また、赤色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長630nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅50nmの高色純度赤色発光が得られた。(u’,v’)色空間におけるDCI-P3色域規格に対するカバー率は97%であった。実施例9の評価結果は、表3に示す。
[0316]
 (実施例12および13)
 本発明の実施例12および13では、(A)層および(B)層の各バインダー樹脂として表3に記載したバインダー樹脂(アクリル樹脂T1、ポリエステル樹脂T11、フェノキシ樹脂T31)を適宜用い、色変換特性の測定で白色光のXY色座標が(X,Y)=(0.25,0.22)となるように各層の膜厚を調整した以外は、実施例1と同様にして、色変換シートを作製して評価した。実施例12および13の評価結果は、表3に示す。
[0317]
 実施例1~3では、高色純度発光を示す有機発光材料(化合物G-1、G-2、R-1、R-2)を用い、(A)層および(B)層でバインダー樹脂のSP値の関係をSP A>SP Bにすることで、(u’,v’)色空間におけるDCI-P3色域規格に対するカバー率が98%以上の広い色域と高い輝度との両立を達成することができた。一方で、SP値の関係がSP A<SP Bである比較例1では、色域は広いものの、輝度が実施例1と比べて15%低くなっており、色域と輝度との両立が達成できていない。さらに、単一層中に複数種類の有機発光材料(化合物G-1および化合物R-1)を分散させた比較例2では、輝度は比較的高いものの、色域がDCI-P3色域規格に対するカバー率が95%程度となり、こちらの場合も色域と輝度との両立が達成できていない。
[0318]
 実施例4では、有機発光材料(a)として化合物G-3を用い、有機発光材料(b)として化合物R-1を用いた。この結果、実施例4は、高色純度発光を示す化合物G-1やG-2を有機発光材料(a)として用いた実施例1~3には劣るものの、単一層中に複数種類の有機発光材料(化合物G-3および化合物R-1)を分散させた比較例3と比較して、色域と輝度との両方を向上できた。
[0319]
 実施例5では、高色純度発光を示す有機発光材料(化合物G-1、R-1)を用い、(A)層にSP値が9.9のアクリル樹脂を用い、(B)層にSP値が9.5のアクリル樹脂を用いた。この結果、(A)層にSP値が10.7のポリエステル樹脂を用いた実施例1と比較して化合物G-1の発光が短波長になることで、視感度が悪くなり、輝度は少し低下したものの、広い色域と高い輝度との両立を達成することができた。
[0320]
 実施例6では、高色純度発光を示す有機発光材料(化合物G-1、R-1)を用い、(A)層にSP値が9.5のアクリル樹脂を用い、(B)層にSP値が8.9のシクロオレフィン樹脂を用いた。この結果、(B)層にSP値が9.5のアクリル樹脂を用いた実施例5と比較して化合物R-1の分散性が落ちることで、発光効率が低下し、輝度は少し低下したものの、広い色域と高い輝度との両立を達成することができた。
[0321]
 実施例7では、高色純度発光を示す有機発光材料(化合物G-1、R-1)を用い、(A)層にSP値が10.9のポリエステル樹脂を用い、(B)層にSP値が10.7のポリエステル樹脂を用いた。この結果、(B)層にSP値が9.5のアクリル樹脂を用いた実施例1と比較して化合物R-1の発光が長波長になることで、視感度が悪くなり、輝度は低下したものの、広い色域と高い輝度との両立を達成することができた。
[0322]
 実施例8および9では、高色純度発光を示す有機発光材料(化合物G-1、R-1)を用い、(A)層および(B)層でバインダー樹脂のSP値の関係をSP A>SP Bにすることに加え、(A)層および(B)層のいずれかにおいて複数種類の有機発光材料を混合した。この結果、発光のピーク波長の細やかな調整が可能となり、実施例8では実施例1から輝度をほぼ維持したまま色域を広くすることができ、実施例9ではDCI-P3色域規格に対するカバー率を97%以上を維持したまま、実施例1よりも輝度を向上させることができた。
[0323]
 実施例12では、高色純度発光を示す有機発光材料(化合物G-1、R-1)を用い、(A)層にSP値が10.9のフェノキシ樹脂を用い、(B)層にSP値が9.5のアクリル樹脂を用いた。この結果、(A)層にポリエステル樹脂を用いた実施例1と比較して、化合物G-1の発光が長波長になりすぎたことで色域が狭くなり、また、バインダー樹脂の透明性が落ちたことで、輝度も低下したものの、広い色域と高い輝度との両立を達成することができた。
[0324]
 実施例13では、高色純度発光を示す有機発光材料(化合物G-1、R-1)を用い、(A)層にSP値が10.9のフェノキシ樹脂を用い、(B)層にSP値が10.7のポリエステル樹脂を用いた。この結果、(A)層にポリエステル樹脂を用いた実施例1と比較して、化合物G-1の発光が長波長になりすぎたことで色域が狭くなり、また、(B)層にSP値が9.5のアクリル樹脂を用いた実施例1と比較して化合物R-1の発光が長波長になることで、視感度が悪くなり、輝度は低下したものの、広い色域と高い輝度との両立を達成することができた。
[0325]
[表3]


[0326]
 (実施例10)
 本発明の実施例10では、バインダー樹脂としてポリエステル樹脂T12(SP値=10.9(cal/cm 30.5、屈折率n A=2.42)を用い、このバインダー樹脂の100重量部に対して、有機発光材料(a)として化合物G-2を0.3重量部、溶剤としてメチルエチルケトンを100重量部、混合した。その後、これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”KK-400(クラボウ製)を用いて300rpmで20分間撹拌・脱泡し、これにより、(A)層作製用の色変換組成物を得た。
[0327]
 同様に、バインダー樹脂としてアクリル樹脂T2(SP値=9.9(cal/cm 30.5、屈折率n B=2.22)を用い、このバインダー樹脂の100重量部に対して、有機発光材料(b)として化合物R-1を0.03重量部、溶剤としてトルエンを300重量部、混合した。その後、これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”KK-400(クラボウ製)を用いて300rpmで20分間撹拌・脱泡し、これにより、(B)層作製用の色変換組成物を得た。
[0328]
 ついで、スリットダイコーターを用いて、(A)層作製用の色変換組成物を、基材層Aである“ルミラー”U48(東レ株式会社製、厚さ50μm)上に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して、平均膜厚15μmの(A)層を形成した。このようにして、基材層Aと(A)層とを含む積層体のユニットを作製した。
[0329]
 同様に、スリットダイコーターを用いて、(B)層作製用の色変換組成物を、基材層Bと光拡散層とを備えた光拡散フィルムである ケミカルマット125PW(株式会社きもと製、厚さ138μm)のPET基材層側(基材層B側)に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して、平均膜厚13μmの(B)層を形成した。このようにして、光拡散層と基材層Bと(B)層とを含む積層体のユニットを作製した。
[0330]
 次に、上記2つのユニットを、(A)層と(B)層とが直接積層されるように加温ラミネートした。これにより、「基材層A/(A)層/(B)層/基材層B/光拡散層」という構成の色変換シートを作製した。
[0331]
 この色変換シートを用いて発光ピーク波長447nmの青色LED光を色変換させたところ、図10に類似の発光スペクトルが得られ、XY色座標が(X,Y)=(0.25,0.22)である白色光が得られた。緑色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長530nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅29nmの高色純度緑色発光が得られた。また、赤色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長630nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅49nmの高色純度赤色発光が得られた。(u’,v’)色空間におけるDCI-P3色域規格に対するカバー率は98%であった。また、この実施例10における色変換後の白色光の輝度を100として、実施例10と後述の実施例11とで輝度を比較した。実施例10の評価結果は、後述の表4に示す。表4において、「相対輝度(%)」は、実施例10と実施例11との相対的な輝度である。
[0332]
 (実施例11)
 本発明の実施例11では、バインダー樹脂としてポリエステル樹脂T12(SP値=10.9(cal/cm 30.5、屈折率n A=2.42)を用い、このバインダー樹脂の100重量部に対して、有機発光材料(a)として化合物G-2を0.3重量部、溶剤としてメチルエチルケトンを100重量部、混合した。その後、これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”KK-400(クラボウ製)を用いて300rpmで20分間撹拌・脱泡し、これにより、(A)層作製用の色変換組成物を得た。
[0333]
 同様に、バインダー樹脂としてアクリル樹脂T2(SP値=9.9(cal/cm 30.5、屈折率n B=2.22)を用い、このバインダー樹脂の100重量部に対して、有機発光材料(b)として化合物R-1を0.03重量部、溶剤としてトルエンを300重量部、混合した。その後、これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”KK-400(クラボウ製)を用いて300rpmで20分間撹拌・脱泡し、これにより、(B)層作製用の色変換組成物を得た。
[0334]
 さらに、光取り出し層用の樹脂としてポリエステル樹脂T13(SP値=10.6(cal/cm 30.5、屈折率n C=2.32)を用い、この樹脂の100重量部に対して、溶剤として、トルエンを50重量部、1-メトキシ-2-プロパノールを50重量部、混合した。その後、これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”KK-400(クラボウ製)を用いて300rpmで20分間撹拌・脱泡し、これにより、光取り出し層作製用の組成物を得た。
[0335]
 ついで、スリットダイコーターを用いて、(A)層作製用の色変換組成物を、基材層Aである“ルミラー”U48(東レ株式会社製、厚さ50μm)上に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して、平均膜厚15μmの(A)層を形成した。このようにして、基材層Aと(A)層とを含む積層体のユニットを作製した。
[0336]
 さらに、スリットダイコーターを用いて、光取り出し層作製用の組成物を、この(A)層上に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して、平均膜厚8μmの光取り出し層を形成した。このようにして、基材層Aと(A)層と光取り出し層とを含む積層体のユニット(ユニット1)を作製した。
[0337]
 同様に、スリットダイコーターを用いて、(B)層作製用の色変換組成物を、基材層Bと光拡散層とを備えた光拡散フィルムである ケミカルマット125PW(株式会社きもと製、厚さ138μm)のPET基材層側(基材層B側)に塗布し、100℃で20分加熱、乾燥して、平均膜厚13μmの(B)層を形成した。このようにして、光拡散層と基材層Bと(B)層とを含む積層体のユニット(ユニット2)を作製した。
[0338]
 次に、上記2つのユニット(ユニット1とユニット2)を、(B)層と光取り出し層とが直接積層されるように加温ラミネートした。これにより、「基材層A/(A)層/光取り出し層/(B)層/基材層B/光拡散層」という構成の色変換シートを作製した。
[0339]
 この色変換シートを用いて発光ピーク波長447nmの青色LED光を色変換させたところ、図10に類似の発光スペクトルが得られ、XY色座標が(X,Y)=(0.25,0.22)である白色光が得られた。緑色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長530nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅29nmの高色純度緑色発光が得られた。また、赤色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長630nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅49nmの高色純度赤色発光が得られた。(u’,v’)色空間におけるDCI-P3色域規格に対するカバー率は98%であった。また、実施例10における色変換後の白色光の輝度を100とした場合の、実施例11の相対輝度は、104であった。実施例11の評価結果は、表4に示す。
[0340]
 実施例10では、実施例1と同様、広い色域と高い輝度を両立することができた。さらに、実施例11では、(A)層、(B)層および光取り出し層の波長589.3nmの光に対する屈折率n A、n B、n Cをn A≧n C≧n Bの関係に設計することで、(A)層と光取り出し層との界面ならびに(B)層と光取り出し層との界面における各光の反射を低減させることができ、この結果、色変換後の白色光の輝度の向上を達成することができた。
[0341]
[表4]


産業上の利用可能性

[0342]
 以上のように、本発明に係る色変換シート、それを含む光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置は、色再現性の向上と輝度の向上との両立に有用であり、特に、高い色再現性と高い輝度との両立が可能となる色変換シート、それを含む光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置に適している。

符号の説明

[0343]
 1、1a、1b、1c、1d  色変換シート
 10 基材層
 11 (A)層
 12 (B)層
 13 光取り出し層
 14 バリア層

請求の範囲

[請求項1]
入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換する色変換シートであって、
少なくとも以下の(A)層および(B)層:
(A)層:波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光を用いることによりピーク波長が500nm以上580nm以下の領域に観測される発光を呈する有機発光材料(a)、およびバインダー樹脂を含有する層
(B)層:波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光または前記有機発光材料(a)からの発光のいずれかまたは両方により励起されることにより、ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する有機発光材料(b)、およびバインダー樹脂を含有する層
を含み、
前記(A)層に含まれるバインダー樹脂および前記(B)層に含まれるバインダー樹脂の溶解パラメータであるSP値をそれぞれSP A(cal/cm 30.5およびSP B(cal/cm 30.5とするとき、SP A>SP Bである、
ことを特徴とする色変換シート。
[請求項2]
前記有機発光材料(a)の発光のピーク波長が500nm以上550nm以下であり、
前記有機発光材料(b)の発光のピーク波長が580nm以上680nm以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の色変換シート。
[請求項3]
前記(B)層に含まれるバインダー樹脂の溶解パラメータであるSP値をSP (cal/cm 30.5とするとき、SP ≦10.0である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の色変換シート。
[請求項4]
前記(B)層に含まれるバインダー樹脂の溶解パラメータであるSP値をSP (cal/cm 30.5とするとき、9.0≦SP ≦10.0である、ことを特徴とする請求項3に記載の色変換シート。
[請求項5]
前記(B)層に含まれるバインダー樹脂がアクリル樹脂である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の色変換シート。
[請求項6]
前記(A)層に含まれるバインダー樹脂がポリエステル樹脂である、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の色変換シート。
[請求項7]
前記(A)層における有機発光材料(a)の含有量w aと、前記(B)層における有機発光材料(b)の含有量w bとが、w a≧w bの関係である、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の色変換シート。
[請求項8]
前記有機発光材料(a)および前記有機発光材料(b)の少なくとも一方が、一般式(1)で表される化合物である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の色変換シート。
[化1]


(Xは、C-R 7またはNである。R 1~R 9は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基、および隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。)
[請求項9]
前記有機発光材料(a)および前記有機発光材料(b)がともに前記一般式(1)で表される化合物である、ことを特徴とする請求項8に記載の色変換シート。
[請求項10]
前記(A)層が、波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光または前記有機発光材料(a)からの発光のいずれかまたは両方により励起されることにより、ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する有機発光材料(c)をさらに含有する、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一つに記載の色変換シート。
[請求項11]
前記(A)層における有機発光材料(a)の含有量w aと前記(A)層における有機発光材料(c)の含有量w cとが、w a≧w cの関係である、ことを特徴とする請求項10に記載の色変換シート。
[請求項12]
前記有機発光材料(c)が一般式(1)で表される化合物である、ことを特徴とする請求項10または11に記載の色変換シート。
[化2]


(Xは、C-R 7またはNである。R 1~R 9は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基、および隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。)
[請求項13]
前記(B)層が、波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光を用いることによりピーク波長が500nm以上580nm以下の領域に観測される発光を呈する有機発光材料(d)をさらに含有する、ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一つに記載の色変換シート。
[請求項14]
前記有機発光材料(d)が一般式(1)で表される化合物である、ことを特徴とする請求項13に記載の色変換シート。
[化3]


(Xは、C-R 7またはNである。R 1~R 9は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基、および隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。)
[請求項15]
前記一般式(1)において、XがC-R 7であり、R 7が一般式(2)で表される基である、ことを特徴とする請求項8、9、12、14のいずれか一つに記載の色変換シート。
[化4]


(rは、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基からなる群より選ばれる。kは1~3の整数である。kが2以上である場合、rはそれぞれ同じでも異なってもよい。)
[請求項16]
前記一般式(1)において、R 1、R 3、R 4およびR 6が、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のフェニル基である、ことを特徴とする請求項8、9、12、14、15のいずれか一つに記載の色変換シート。
[請求項17]
前記一般式(1)において、R 1、R 3、R 4およびR 6が、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基である、ことを特徴とする請求項8、9、12、14~16のいずれか一つに記載の色変換シート。
[請求項18]
前記(A)層と前記(B)層との間に光取り出し層を有する、
ことを特徴とする請求項1~17のいずれか一つに記載の色変換シート。
[請求項19]
光源と、
請求項1~18のいずれか一つに記載の色変換シートと、
を備えることを特徴とする光源ユニット。
[請求項20]
前記光源と、前記色変換シートに含まれる下記の(A)層および(B)層との配置が、前記光源、前記(A)層および前記(B)層の順に並んだ配置である、ことを特徴とする請求項19に記載の光源ユニット。
(A)層:波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光を用いることによりピーク波長が500nm以上580nm以下の領域に観測される発光を呈する有機発光材料(a)、およびバインダー樹脂を含有する層
(B)層:波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光または前記有機発光材料(a)からの発光のいずれかまたは両方により励起されることにより、ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する有機発光材料(b)、およびバインダー樹脂を含有する層
[請求項21]
前記光源が、波長400nm以上500nm以下の範囲に極大発光を有する発光ダイオードである、ことを特徴とする請求項19または20に記載の光源ユニット。
[請求項22]
請求項19~21のいずれか一つに記載の光源ユニットを備える、
ことを特徴とするディスプレイ。
[請求項23]
画面サイズが20インチ以下である、ことを特徴とする請求項22に記載のディスプレイ。
[請求項24]
(u’,v’)色空間において、DCI-P3色域規格に対する色域カバー率が、96%以上である、ことを特徴とする請求項22に記載のディスプレイ。
[請求項25]
請求項19~21のいずれか一つに記載の光源ユニットを備える、
ことを特徴とする照明装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]