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1. (WO2018123027) SYSTÈME DE REPRISE À DISTANCE POUR PANNES D'ASCENSEUR
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明 細 書

発明の名称 エレベーター故障の遠隔復旧システム

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004  

課題を解決するための手段

0005   0006   0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114  

符号の説明

0115  

請求の範囲

1   2   3  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

明 細 書

発明の名称 : エレベーター故障の遠隔復旧システム

技術分野

[0001]
 本発明は、エレベーターで故障が発生した際にこれを遠隔から復旧させるシステムに関する。

背景技術

[0002]
 従来から、例えば特許文献1のように、エレベーターのカゴを昇降させる駆動系機器の異常が検知された際に、駆動系機器の回転電機(巻上機)と、当該回転電機の回転子位相を検出するエンコーダとの磁極ずれを補正する磁極補正運転が行われる場合がある。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2009-280318号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 ところで、駆動系機器の異常の原因は、回転電機とエンコーダの位相ずれに限らず、例えばエンコーダや回転電機の断線等、複数の原因が考えられる。位相ずれ以外の原因で故障した駆動系機器に対して磁極補正を行った場合、駆動系機器が復旧しないのは当然のこと、故障機器の増加など、故障規模の拡大に繋がるおそれもある。そこで本発明は、駆動系機器の異常が検知された際に、磁極補正の実行が妥当であるか否かを予め判定可能な、エレベーター故障の遠隔復旧システムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0005]
 本発明のエレベーター故障の遠隔復旧システムは、エレベーターのカゴを昇降可能な回転電機、回転電機の回転子位相を検出するエンコーダ、及び、回転電機に接続された配線の電流を検出する電流センサを備える駆動系機器と、カゴを制動可能なブレーキと、エンコーダが検出した回転子位相と電流センサが検出した電流値に基づいて駆動系機器を制御するエレベーター制御装置と、エレベーター制御装置と通信し、エレベーター制御装置に故障の復旧動作を行わせる遠隔復旧装置と、を備える。エレベーター制御装置は、回転子位相と電流値に基づいて駆動系機器の異常を検知した際に故障信号を遠隔復旧装置に送信する。遠隔復旧装置は、駆動系機器の故障信号を受信した際に、回転電機に対して力行電力の供給を停止した状態でブレーキの間欠制動にてカゴを昇降させる非常運転(尺取運転)をエレベーター制御装置に実行させる。さらに遠隔復旧装置は、非常運転時の回転子位相及び電流値に基づいて、復旧動作として実行される回転電機に対する磁極補正運転の実行可否を判定する。
[0006]
 また、上記発明において、非常運転時の回転子位相の周波数と、非常運転に伴って回生駆動させられる回転電機から出力された電流値の周波数との差が所定差以内である場合に、遠隔復旧装置は、エレベーター制御装置に対して磁極補正運転を実行させてもよい。
[0007]
 また、上記発明において、非常運転時の回転子位相の波形、及び、非常運転時の電流値の波形の少なくとも一方が非周期的である場合に、遠隔復旧装置は、エレベーター制御装置に対して磁極補正運転の実行を禁止してもよい。

発明の効果

[0008]
 本発明によれば、駆動系機器の異常が検知された際に、磁極補正の実行が妥当であるか否かを予め判定可能となる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 本発明の実施形態におけるエレベーター故障の遠隔復旧システムの構成を示す系統図である。
[図2] 本発明の実施形態におけるエレベーター故障の遠隔復旧システムの機能ブロック図である。
[図3] 図2に示す保守データベースの構成を示す図である。
[図4] 図2に示す復旧診断データベースの構成を示す図である。
[図5] 本発明の実施形態におけるエレベーター故障の遠隔復旧システムの動作を示すフローチャートである。
[図6] 本発明の実施形態におけるエレベーター故障の遠隔復旧システムの動作を示すフローチャートである。
[図7] 他の復旧診断データベースの構成を示す図である。
[図8] 他の復旧診断データベースの構成を示す図である。
[図9] 本発明の実施形態におけるエレベーターの構成を説明する図である。
[図10] 本発明の実施形態におけるエレベーター故障の遠隔復旧システムの機能ブロック図であって、非常運転を実行する機能ブロックが追加された図である。
[図11] 本発明の実施形態におけるエレベーター故障の遠隔復旧システムの動作を示すフローチャートである。
[図12] 本発明の実施形態におけるエレベーター故障の遠隔復旧システムの動作を示すフローチャートであって、非常運転フローを含むフローチャートである。
[図13] 非常運転時の電流センサ及びエンコーダの検出値を例示する図である。

発明を実施するための形態

[0010]
 以下、図面を参照しながら本実施形態のエレベーター故障の遠隔復旧システム100について説明する。図1に示すように、遠隔復旧システム100は、ビル10の昇降路11の中に配置されたエレベーター20の駆動制御を行うエレベーター制御装置200と、エレベーター制御装置200と通信し、エレベーター20に故障の復旧動作を行わせる遠隔復旧装置300とを備えている。遠隔復旧装置300が復旧動作を行わせるエレベーター20は、1台でもよいし複数台であってもよい。また、エレベーター20が複数の場合には、各エレベーター20は同一のビル10に設置されていてもよいし、異なるビル10に設置されていてもよい。
[0011]
 エレベーター制御装置200は、エレベーター20の駆動制御を行う制御盤210と通信装置250とを含んでいる。制御盤210は内部にCPUとメモリとを含むコンピュータである。また、遠隔復旧装置300は、通信装置320と監視盤330を含む遠隔監視センター310と、情報処理装置360と、保守データベース370と、復旧診断データベース380とを含んでいる。遠隔監視センター310と情報処理装置360と保守データベース370と復旧診断データベース380とは同じ場所に設置されていてもよいし、別々の場所に設置されてお互いをインターネット回線等によって接続するようにしてもよい。
[0012]
 通信装置250は、制御盤210に接続され、制御盤210からの出力を通信ネットワーク30に発信する。また、通信装置250は、情報処理装置360が復旧診断データベース380を参照して選択した制御盤210に対する指令を通信装置320、通信ネットワーク30を介して受信し、制御盤210に出力する。通信装置320は、制御盤210からの信号を通信装置250、通信ネットワーク30を介して受信し、情報処理装置360に出力する。また、通信装置320は、情報処理装置360が選択した制御盤210に対する指令を通信ネットワーク30に発信する。通信装置250、320は無線通信を行う機器であってもよいし有線通信を行う機器であってもよい。また、通信ネットワーク30は、インターネット通信網であってもよいし、電話回線網であってもよい。
[0013]
 遠隔監視センター310は、情報処理装置360とデータの授受を行い、エレベーター20の運行状況、故障状況を監視する監視盤330が配置されている。監視盤330には、エレベーター20の運行状況、故障状況、情報処理装置360からの通知等が表示されるディスプレイ331と、ディスプレイ331の表示を操作するスイッチ332とが設けられている。また、監視盤330には通信ネットワーク35を介してサービスセンター340との通信を行う電話333が備えられている。
[0014]
 保守データベース370は、エレベーター20の仕様や検査、保守、修理等の履歴データが格納されている。復旧診断データベース380は、エレベーター20の制御盤210から出力された故障コードに対応する複数の故障要因とその件数および復旧率等のデータが格納されている。
[0015]
 情報処理装置360は、内部にCPUとメモリとを含むコンピュータである。情報処理装置360には、エレベーター20に故障が発生した際に制御盤210が出力する故障信号が通信装置250、320、通信ネットワーク30を介して入力される。情報処理装置360は、故障信号が入力されると復旧診断データベース380のデータを参照して故障信号に含まれる故障コードに対応する復旧指令と復旧診断指令を選択する。選択された復旧指令と復旧診断指令とは、通信装置250、320と通信ネットワーク30を介して制御盤210に入力され、エレベーター20に復旧動作、復旧診断動作を実行させる。
[0016]
 図2に示すように、保守データベース370には、エレベーター仕様データ371、検査履歴データ372、保守作業履歴データ373、遠隔点検履歴データ374、変調履歴データ375、修理工事履歴データ376、故障履歴データ377、故障要因別データ378、運転履歴データ379が格納されている。運転履歴データ379のデータ構造については後述する。
[0017]
 以下、図3を参照しながら、エレベーター仕様データ371、検査履歴データ372、保守作業履歴データ373、遠隔点検履歴データ374、変調履歴データ375、修理工事履歴データ376、故障履歴データ377、故障要因別データ378のデータ構造について説明する。
[0018]
 エレベーター仕様データ371は、エレベーター20の管理番号、機種、製造日、製造番号、設置ビルの名称、設置ビルの用途のデータを格納するデータ構造を有している。設置ビルの用途とは、例えば、事務所、一般居住用、飲食店、学校等である。
[0019]
 検査履歴データ372は、エレベーター20の管理番号、技術者350が現地で行った検査の日時、検査項目、検査結果のデータを格納するデータ構造を有している。検査とは、例えば、図1に示すエレベーター20のドア13、26の開閉状態の検査、各階の停止位置の検査(階床12とカゴ22の床27との高さずれ量の点検)、ワイヤ23の検査、走行速度の検査等である。また、検査結果には、検査の結果、異常が発見されたかどうかや、異常は発見されなかったが清掃等の保守作業が必要、あるいは、近々部品交換が必要である等が入力されている。なお、図1において符号25は錘を示す。
[0020]
 保守作業履歴データ373は、エレベーター20の管理番号、技術者350が現場で行ったエレベーター20の保守作業日時、保守作業項目、保守作業結果を格納するデータベース構造を有している。保守作業項目とは、例えば、エレベーター20の運転状態の点検、エレベーター20のドアレールの清掃、図1に示す駆動装置24への給油、エレベーター20のブレーキの調整等である。保守作業結果には、点検、清掃、給油、調整等を実施した実績が入力されている。
[0021]
 遠隔点検履歴データ374は、エレベーター20の管理番号、遠隔点検日時、遠隔点検項目、遠隔点検結果を格納するデータ構造を有している。エレベーター20の遠隔点検は、例えば、一か月に1回等予め設定されたスケジュールに従って、エレベーター20の制御盤210によって実施される。エレベーター20の制御盤210は、図1に示すエレベーター20のカゴ22を所定の階に移動させる。この移動の際にエレベーター20に取り付けられた各種のセンサによって運転性能(加速度、異常音の有無)、ドア開閉、ブレーキ、非常用バッテリ、外部連絡装置等に異常がないかを点検する。その点検結果を通信装置250、320、通信ネットワーク30を介して情報処理装置360から遠隔点検履歴データ374に格納するものである。なお、遠隔点検は、遠隔監視センター310からの指示によって行うようにしてもよい。
[0022]
 変調履歴データ375は、エレベーター20の管理番号、変調発生日時、変調項目、変調対応結果を格納するデータ構造を有している。エレベーター20の変調とは、技術者350による検査、点検、保守作業、あるいは遠隔点検の結果が異常値には達しないが、そのエレベーター20の通常の値よりも変化しているような場合をいう。例えば、走行速度の検査を行った結果、許容値内に入っているが、前回点検の際、あるいはそのエレベーター20の今までの検査結果の値からのずれが大きいような場合に、変調項目の中に「走行速度」と記録される。
[0023]
 修理工事履歴データ376は、エレベーター20の管理番号、修理工事日時、修理工事項目、修理工事結果を格納するデータ構造を有している。修理工事とは、ワイヤ23の交換、ハンガローラ交換、ブレーキパッド交換、制御基板交換、リレー交換等の部品交換による復旧工事である。従って、修理工事項目には、「ワイヤ交換」、「ハンガローラ交換」、「ブレーキパッド交換」等の交換部品の名称が入力され、修理工事結果の欄には、「修理工事終了」、「再修理必要」等の事項が入力される。
[0024]
 故障履歴データ377は、エレベーター20の管理番号、故障発生日時、故障コード、復旧方法、復旧判定結果を格納するデータ構造を有している。故障コードとは、エレベーター20に故障が発生した際に制御盤210から出力される数字あるいは数字と英文字とを組み合わせたコードである。故障コードの種類は、例えば、1000種類程度である。復旧方法の項目には、例えば、技術者350が出動して検査、点検、復旧を行った場合には「技術者出動」のように入力される。また、復旧方法の項目には、例えば、遠隔復旧システム100によって復旧した場合には「遠隔復旧」のように入力される。復旧判定結果の項目には、エレベーター20が復旧して運行再開した場合には、「復旧」のように入力される。また、復旧判定結果の項目には、エレベーター20が復旧に失敗した場合には、「失敗」のように入力される。
[0025]
 故障要因別データ378は、ある故障コードが制御盤210から出力された際に、技術者350が現場に出動して検査、点検した結果によるその故障コードに対応する故障要因の件数、および、遠隔復旧システム100で復旧した場合のその故障コードに対応する故障要因の件数の合計件数が格納されている。例えば、故障コードがドア13、26に関する故障を示す0001の場合、技術者350が現地で点検した結果、その故障コード「0001」の出力された要因がドア敷居のゴミ詰まり(故障要因1)であったり、ドア開閉装置のスイッチの接触不良(故障要因2)であったり、その他の故障要因3であったりする。そこで、故障要因別データは、故障コード「0001」が出力された場合、ドア敷居のゴミ詰まり要因(故障要因1)の場合が100件、ドア開閉装置のスイッチの接触不良が要因(故障要因2)の場合が50件、その他の故障要因3の場合が10件というようなデータ構造で、その件数が多い順にデータが並べられるように構成されている。遠隔復旧システム100による復旧の場合、復旧指令によってエレベーター20の復旧に成功した場合にその復旧指令の基礎となった故障コードに対応する故障要因の件数が全体の故障要因の件数に追加される。
[0026]
 図4に示すように、復旧診断データベース380は、故障要因別データ378の故障要因の件数の多い順に、復旧指令と復旧診断指令のセットである復旧診断指令セットと、その復旧指令の実行によってエレベーター20の故障が復旧した割合である復旧率(%)が格納されている。復旧診断データベース380は、先に説明した故障要因別データ378に復旧診断指令セットと復旧率とをリンクさせたデータベースである。
[0027]
 以下、故障コードがドア13、26に関する故障を示す「0001」の場合の復旧診断データベース380のデータ構成について説明する。ドア敷居のゴミ詰まりが要因(故障要因1)の場合、復旧診断データは、故障要因1の件数データに復旧指令として「ドア回路リセット+ドア高トルク開閉」、復旧診断指令として「ドア開閉診断」、の2つの指令のセットである復旧診断指令セットAと、この復旧指令による復旧動作による復旧率x%とをリンクさせたデータ構成となっている。同様に、ドア開閉装置のスイッチの接触不良が要因(故障要因2)の場合には、復旧診断データは、故障要因2の件数データに復旧指令として「ドア回路リセット+ドア開閉リトライ」、復旧診断指令として「ドア開閉診断」の2つの指令のセットである復旧診断指令セットBと、この復旧指令による復旧動作の復旧率y%とをリンクさせたデータ構成となっている。同様に、故障要因3の場合には、復旧診断データは、故障要因3の件数データに復旧診断指令セットCと復旧率z%とをリンクさせたデータ構成となっている。このように、復旧診断データベース380は、故障コードと、その故障コードに対応する故障要因と、その故障要因の件数と、復旧指令と復旧診断のセットである復旧診断指令セットと、復旧率とを対応づけてデータベースに格納したものである。なお、本実施形態では、復旧率y%は復旧率x%、z%よりも大きな数値であり、復旧診断指令セットBは復旧診断指令セットA、復旧診断指令セットCよりも復旧率が高くなっている。
[0028]
 以下、図2および図5、図6を参照して、エレベーター20から故障信号が発信された場合の遠隔復旧システム100の動作について説明する。以下の説明では、最初にドア13、26に関する故障コード信号「0001」が発信された場合の遠隔復旧動作について説明する。次に、制御盤210の中に組み込まれている制御回路に関する故障コード「0002」が発信された場合の遠隔復旧動作について説明する。その次に、駆動装置24の中のブレーキに関する故障コード「0003」が発信された場合の遠隔復旧動作について説明する。なお、遠隔復旧システム100は、上記以外の部分に関する故障コードが発信された場合にも対応可能である。
[0029]
 図2および図5のステップS101に示すように、エレベーター20の制御盤210は、エレベーター20に故障が発生したか否かの判断を行う。エレベーター20のドア13、26に関する故障、例えば、ドア開閉不良等の故障が発生した場合、制御盤210は、故障発生日時と故障がドアに関する故障であることを示す故障コード「0001」を通信装置250に出力する。エレベーター20に故障が発生しない場合には、制御盤210は、ステップS101の最初に戻ってエレベーター20の監視を継続する。
[0030]
 通信装置250は制御盤210から故障コード「0001」が入力されると、図2および図5のステップS102に示すように、故障コード「0001」およびエレベーター20の管理番号および故障発生日時を含む故障信号を通信ネットワーク30に発信する。図2および図5のステップS103に示すように、遠隔監視センター310の通信装置320は、通信ネットワーク30を介して通信装置250が発信した故障信号を受信する。通信装置320は、故障信号を受信すると、故障信号に含まれる故障コード「0001」とエレベーター20の管理番号、および、故障発生日時を情報処理装置360に出力する。情報処理装置360は、入力された故障コード「0001」とエレベーター20の管理番号、故障発生日時を保守データベース370の故障履歴データ377に格納する。
[0031]
 そして、情報処理装置360は、図5のステップS104に示すように、故障の発生したエレベーター20が遠隔復旧可能かどうかを判断する。情報処理装置360は、図2および図3に示すように、エレベーター20の管理番号を用いてエレベーター仕様データ371からエレベーター20の機種、製造日、製造番号を取得する。情報処理装置360は、取得した仕様データに基づいて、そのエレベーター20が遠隔復旧装置300からの復旧指令、復旧診断指令によって復旧動作、復旧診断動作が可能な仕様であるかどうか確認する。情報処理装置360は、エレベーター20が遠隔復旧動作の不可能な機種である場合には、図2および図5のステップS124に示すように、遠隔監視センター310に遠隔復旧不可を通知する信号を出力する。
[0032]
 また、情報処理装置360は、図2に示すように、検査履歴データ372、保守作業履歴データ373、遠隔点検履歴データ374、変調履歴データ375、修理工事履歴データ376、故障履歴データ377を参照して、以下の(a)~(f)について確認する。
(a)エレベーター20が最近の検査で調整手直し指示があったものである。
(b)エレベーター20が最近、あるいは、当日に保守計画があり調整ミスの可能性が予測されるものである。
(c)遠隔点検でエレベーター20に異常の診断結果があった。
(d)最近、エレベーター20に変調の発生があった。
(e)エレベーター20が、最近、修理工事が実施されているものである。
(f)エレベーター20が、最近、同様の故障コード「0001」による故障信号を発信している。
[0033]
 そして、上記(a)~(f)のいずれか1つまたは複数に該当する場合には、情報処理装置360は、遠隔復旧システム100による復旧よりも技術者350をビル10に派遣した方が良いと判断し、図5のステップS104でNOと判断する。そして、図2および図5のステップS124に示すように、情報処理装置360は、遠隔監視センター310に遠隔復旧不可の通知を出力する。
[0034]
 更に、情報処理装置360は、エレベーター20の管理番号を用いてエレベーター仕様データ371と故障履歴データ377から、ビル10が故障信号の誤発信の多い建物であるかを確認する。このような場合には、情報処理装置360は、故障信号の誤発信の可能性が大きいので、遠隔復旧システム100による復旧よりも技術者350をビル10に派遣した方が良いと判断し、図5のステップS104でNOと判断する。そして、情報処理装置360は、図2および図5のステップS124に示すように、遠隔監視センター310に遠隔復旧不可の通知を出力する。
[0035]
 情報処理装置360から遠隔監視センター310に出力された遠隔復旧不可の通知は、図2に示すように、遠隔監視センター310のディスプレイ331に表示される。監視者334は、この表示を確認したら、図2および図6のステップS125に示すように、エレベーター20の運行休止の指示、および、アナウンス動作を行わせる。そして、監視者334は、電話333によって図2および図6のステップS126に示すように、ビル10近隣のサービスセンター340に技術者350をビル10に派遣するように指示する。
[0036]
 図5のステップS104でエレベーター20が遠隔復旧不可との判断をした場合は、情報処理装置360はステップS103において、入力された故障コード「0001」とエレベーター20の管理番号、故障発生日時を保守データベース370の故障履歴データ377に格納する。そして、情報処理装置360は、保守データベース370の他のデータの更新、並びに、復旧診断データベース380の更新は行わずに遠隔復旧動作を終了する。
[0037]
 一方、図5に示すステップS104において、情報処理装置360は、図2に示すように、検査履歴データ372、保守作業履歴データ373、遠隔点検履歴データ374、変調履歴データ375、修理工事履歴データ376、故障履歴データ377を参照して以下の(g)~(n)について確認する。
(g)エレベーター20が遠隔復旧装置300からの復旧指令、復旧診断指令によって復旧動作、復旧診断動作が可能な仕様である。
(h)エレベーター20が最近の検査で調整手直し指示があったものではない。
(i)エレベーター20が、最近、あるいは、当日に保守計画がなく調整ミスの可能性が予測されるものではない。
(j)遠隔点検でエレベーター20に異常の診断結果がない。
(k)最近、エレベーター20に変調の発生がない。
(l)エレベーター20が、最近、修理工事が実施されているものではない。
(m)エレベーター20が、最近、同様の故障コード「0001」による故障信号を発信していない。
(n)ビル10が故障信号の誤発信の多い建物ではない。
[0038]
 そして、上記(g)~(n)の全ての要件を満たす場合には、情報処理装置360は、図5に示すステップS104でYESと判断し、ステップS105で遠隔監視センター310に遠隔復旧開始を通知する。この信号は、遠隔監視センター310のディスプレイ331に表示される。これにより遠隔監視センター310の監視者334にエレベーター20の遠隔復旧が開始されることが通知される。
[0039]
 情報処理装置360は、ステップS105で遠隔監視センター310に遠隔復旧開始を通知したら、図5に示すステップS106に進み、故障コード「0001」に対応する復旧指令と復旧診断指令を選択する。先に、図4を参照して説明したように、復旧診断データベース380は、故障要因別データ378に復旧診断指令セットと復旧率とをリンクさせたデータベースである。以下、故障コードがドア13、26に関する故障を示す「0001」の場合の復旧診断データベース380のデータ構成について再度簡単に説明しておく。ドア敷居のゴミ詰まりが要因(故障要因1)の場合には、復旧診断データは、故障要因1の件数データに復旧指令として「ドア回路リセット+ドア高トルク開閉」、復旧診断指令として「ドア開閉診断」、の2つの指令のセットである復旧診断指令セットAと、この復旧指令による復旧動作による復旧率x%とをリンクさせたデータ構成となっている。同様に、ドア開閉装置のスイッチの接触不良が要因(故障要因2)の場合には、復旧診断データは、故障要因2の件数データに復旧指令として「ドア回路リセット+ドア開閉リトライ」、復旧診断指令として「ドア開閉診断」の2つの指令のセットである復旧診断指令セットBと、この復旧指令による復旧動作の復旧率y%とをリンクさせたデータ構成となっている。同様に故障要因3の場合には、復旧診断データは、故障要因3の件数データに復旧診断指令セットCと復旧率z%とをリンクさせたデータ構成となっている。また、先に説明したように、復旧率y%は復旧率x%、z%よりも大きな数値であり、復旧診断指令セットBは復旧診断指令セットA、復旧診断指令セットCよりも復旧率が高くなっている。
[0040]
 情報処理装置360は、故障コード「0001」に対応する複数の故障要因の内の件数が最も多い故障要因に応じた指令を復旧指令として選択してもよい。また、情報処理装置360は、故障コード「0001」に対応する複数の指令の内の復旧率が最も高い指令を復旧指令として選択してもよい。そして情報処理装置360は、選択した復旧指令に対応する復旧診断指令が選択した復旧指令とセットとなっている復旧診断指令セットを選択する。
[0041]
 まず、情報処理装置360が、故障コード「0001」に対応する複数の故障要因の内で件数が最も多い故障要因に応じた指令を復旧指令として選択する場合について説明する。情報処理装置360は、復旧診断データベース380を参照して、復旧指令として故障コード「0001」の場合に最も件数の多い故障要因を確認する。そして、情報処理装置360は、最も件数の多い故障要因であるドア敷居のゴミ詰まり(故障要因1)に対応する復旧動作を実行させる復旧指令である「ドア回路リセット+ドア高トルク開閉」と、この復旧動作の結果に対応する復旧診断動作を実行させる復旧診断指令である「ドア開閉診断」の2つからなる復旧診断指令セットAを選択する。
[0042]
 次に、情報処理装置360が、故障コード「0001」に対応する複数の指令の内の復旧率が最も高い指令を復旧指令として選択する場合について説明する。情報処理装置360は、復旧診断データベース380を参照して、復旧指令として故障コード「0001」に対応する復旧率が最も高い復旧率を確認する。そして、情報処理装置360は、最も高い復旧率y%であるスイッチの接触不良が要因(故障要因2)に対応する復旧動作を実行させる復旧指令である「ドア回路リセット+ドア開閉リトライ」と、この復旧動作の結果に対応する復旧診断動作を実行させる復旧診断指令である「ドア開閉診断」の2つからなる復旧診断指令セットBを選択する。
[0043]
 復旧診断指令セットを選択する場合、故障コード「0001」に対応する最も件数の多い故障要因に基づくか、故障コード「0001」に対応する復旧診断指令セットの復旧率に基づくかの選択は次のように行ってもよい。例えば、最大件数と次の件数との比率(件数比率)と最大復旧率と次の復旧率の比率(復旧率比率)のうち、比率が大きくなっている方、つまり、次の数値に対して最大値が突出している方を選択してもよい。また、例えば、前回の遠隔復旧で失敗した場合には、前回と異なる選択方法をとるようにしてもよい。また、復旧診断指令セットの選択は、例えば、エレベーター20の機種、仕様等によって決定してもよい。
[0044]
 以下の説明では、情報処理装置360が故障コード「0001」に対応する最も件数の多い故障要因1に基づいて復旧診断指令セットAを選択した場合について説明する。
[0045]
 図5のステップS106で復旧診断指令セットAを選択したら、情報処理装置360は、図2および図5のステップS107に示すように、選択した復旧診断指令セットAを通信装置320から発信する。図2および図5のステップS108に示すように、通信装置250は、通信装置320から復旧診断指令セットAを受信したら、復旧指令と復旧診断指令とを制御盤210に出力する。
[0046]
 制御盤210は、まず、図5のステップS109に示すように、エレベーター20が停止していること、カゴ22の重量センサ、カゴ22内のカメラ、カゴ22内の人物センサ等の出力からカゴ22の中に乗客がいないことを確認する。そして、制御盤210は、エレベーター20が停止していること、カゴ22の中に乗客がいないことを確認したら、カゴ22の中に設置された通話装置のスピーカーから「これから遠隔復旧を開始します。エレベーターのドアが開閉します。」等のアナウンスを行う。
[0047]
 制御盤210は、アナウンスが終了したら、図5のステップS110に進み、復旧指令に従って復旧動作を実行する。いま、受信している復旧指令は、ドア敷居のゴミ詰まり(故障要因1)に対応する復旧動作を実行させる復旧指令である「ドア回路リセット+ドア高トルク開閉」であるから、制御盤210は、まず、制御盤210のドア回路をリセットする。この動作は、ドア回路がドア13またはドア26が開閉不能で、開(または閉)状態、あるいは半開(または半閉)状態を検知している状態をリセットし、ドア13またはドア26を開閉動作可能とする動作である。次に、制御盤210は、ドア13およびドア26の駆動モータのトルクを通常よりも20~30%高くして通常よりも大きな力でドア13およびドア26を開閉動作させる。この動作は、ドアの敷居に詰まっていたゴミを敷居から移動させ、ドア13、26の開閉動作を通常状態に復旧する動作である。上記動作によってドア13、26の敷居に詰まっていたゴミが移動し、ドア13、26の開閉が復旧したかどうかを確認するため、制御盤210は、図5のステップS111に示すように、復旧診断指令である「ドア開閉診断」を実行する。制御盤210は、通常のトルクでドア13およびドア26の開閉を行い、所定の開閉時間で開閉動作ができているか、ドア13およびドア26の駆動モータの電流が通常よりも大きくなっていないかを確認する。次に制御盤210は、駆動モータのトルクを通常よりも20%程度低くしてドア13およびドア26を開閉し、開閉時間に異常がないかを確認する。
[0048]
 そして、制御盤210は、図5のステップS112に示すように、復旧診断動作によってドア13、26が通常状態に復旧したと判断した場合には、図5のステップS113に進む。ステップS113において、制御盤210は、エレベーター20が復旧したという判定結果信号を出力する。この信号は、通信装置250から通信ネットワーク30に発信される。発信された判定結果信号は、図6のステップS114に示すように通信装置320で受信され、判定結果は情報処理装置360に入力される。また、判定結果は、図6のステップS115に示すように、情報処理装置360から遠隔監視センター310に通知され、その結果が遠隔監視センター310のディスプレイ331に表示される。遠隔監視センター310の監視者334は、この表示を確認したら、図6のステップS116に示すように、エレベーター20の運行再開、および、アナウンス動作を行わせる。また、情報処理装置360は、図6のステップS117、ステップS118に示すように、保守データベース370と、復旧診断データベース380とを更新する。
[0049]
 一方、制御盤210は、復旧診断動作の結果、図5のステップS112でNOと判断した場合には、図5のステップS119に進む。ステップS119において制御盤210は、エレベーター20の復旧に失敗したという判定結果信号を出力する。この信号は、通信装置250から通信ネットワーク30に発信される。発信された判定結果信号は、図6のステップS120に示すように通信装置320で受信され、判定結果は情報処理装置360に入力される。また、判定結果は、図6のステップS121に示すように、情報処理装置360から遠隔監視センター310に通知され、その結果が遠隔監視センター310のディスプレイ331に表示される。監視者334は、この表示を確認したら、図6のステップS122に示すように、エレベーター20の運行休止の指示、および、アナウンス動作を行わせる。また、監視者334は、電話333によって図2および図6のステップS123に示すように、ビル10近隣のサービスセンター340に技術者350をビル10に派遣するように指示する。また、情報処理装置360は、図6のステップS117、ステップS118に示すように、保守データベース370と、復旧診断データベース380とを更新する。
[0050]
 情報処理装置360は、図5のステップS113に示すようなエレベーター20が復旧したという判定信号が入力された場合、次のように、保守データベース370を更新する。
[0051]
 図5のステップS113に示すようなエレベーター20が復旧したという判定信号が入力された場合には、情報処理装置360は、故障履歴データ377の復旧方法の項目に「遠隔復旧」、復旧判定結果の項目に「復旧」を格納する。先に、説明したように、通信装置320が故障信号を受信した際に、情報処理装置360は、通信装置320から入力された故障コード「0001」とエレベーター20の管理番号、故障発生日時を保守データベース370の故障履歴データ377に格納している。従って、今回の復旧方法、復旧判定結果の格納により、故障履歴データ377の全ての項目が更新されることになる。
[0052]
 また、今回の遠隔復旧において情報処理装置360は、復旧診断データベース380を参照して、復旧指令として故障コード「0001」の場合に最も件数の多い故障要因であるドア敷居のゴミ詰まり(故障要因1)に対応する復旧動作を実行させる復旧指令である「ドア回路リセット+ドア開閉リトライ」と、この復旧動作の結果に対応する復旧診断動作を実行させる復旧診断指令である「ドア開閉診断」の2つからなる復旧診断指令セットAを選択して復旧動作および復旧診断動作を実行させている。従って、エレベーター20の復旧に成功した場合には、復旧診断データベース380の故障コード「0001」、故障要因1(ドア敷居のゴミ詰まり)の件数を1件多くし、復旧に成功した分だけ復旧率を高くする。また、情報処理装置360は、故障要因別データ378の故障コード「0001」の故障要因1の件数を1件多くする。
[0053]
 一方、情報処理装置360は、図5のステップS119に示すようなエレベーター20の復旧に失敗したという判定信号が入力された場合、次のように、保守データベース370と復旧診断データベース380を更新する。図5のステップS119に示すようなエレベーター20の復旧に失敗したという判定信号が入力された場合には、情報処理装置360は、故障履歴データ377の復旧方法の項目に「遠隔復旧」、復旧判定結果の項目に「失敗」を格納する。また、復旧診断データベース380の故障コード「0001」、故障要因1(ドア敷居のゴミ詰まり)の件数はそのままとし、復旧に失敗した分だけ復旧率を低下させる。なお、復旧に失敗した場合には、故障要因別データ378の故障コード「0001」の故障要因1の件数は変更されない。
[0054]
 以上の説明では、情報処理装置360が故障コード「0001」に対応する最も件数の多い故障要因に基づいて復旧診断指令セットAを選択した場合について説明した。情報処理装置360が故障コード「0001」に対応する復旧診断指令セットの復旧率に基づいて復旧診断指令セットBを選択した場合には、「ドア高トルク開閉」の復旧動作に代えて、通常のトルクでドア13、26の開閉動作を再度行う「ドア開閉リトライ」の復旧動作を行う点が異なる。その他の動作は復旧診断指令セットAを選択した場合と同様である。
[0055]
 エレベーター20の遠隔復旧に成功すると、それまで、故障コード「0001」の場合に最も件数の多い故障要因であったドア敷居のゴミ詰まり(故障要因1)の件数が多くなる。このため、遠隔復旧システム100が故障コード「0001」に対応する最も件数の多い故障要因に基づいて復旧診断指令セットを選択する場合、次の遠隔復旧の際に故障コード「0001」が入力された際に、情報処理装置360は、再度、復旧診断指令セットAを選択する。また、復旧診断指令セットAの復旧率が復旧診断指令セットBの復旧率よりも高くなった場合には、情報処理装置360が故障コード「0001」に対応する複数の指令の内で復旧率が最も高い指令を復帰指令として選択する場合でも、復旧診断指令セットAを選択する。
[0056]
 一方、エレベーター20の遠隔復旧に失敗すると、故障要因別データ378の故障コード「0001」の故障要因1の件数は変更されないが、復旧診断指令セットAの復旧率が低下する。これにより、復旧診断指令セットBの復旧率が相対的に高くなる。つまり、復旧診断指令セットBの復旧診断指令セットAに対する復旧率比率が高くなる。この復旧率比率が故障要因2の件数に対する故障要因1の件数の比率として計算される件数比率よりも大きくなると、情報処理装置360は、故障コード「0001」に対応する複数の指令の内で復旧率が最も高い指令を復帰指令として選択するようになる。このため、情報処理装置360は、次の遠隔復旧の際に故障コード「0001」が入力された場合には、復旧率が最も高い復旧診断指令セットBを選択する。また、情報処理装置360が前回の遠隔復旧で復旧に失敗した復旧診断指令セットAを選択しない場合には、故障要因1の次に故障コード「0001」に対応する件数の多い故障要因2にリンクした復旧診断指令セットBを選択する。
[0057]
 また、情報処理装置360が故障コード「0001」に対応する複数の指令の内で復旧率が最も高い復旧診断指令セットBを選択してエレベーター20の復旧に成功した場合には、復旧診断指令セットBの復旧率が高くなる。従って、情報処理装置360は、次の遠隔復旧では、前回と同様、復旧診断指令セットBを選択する。一方、復旧診断指令セットBでエレベーター20の復旧に失敗した場合には復旧診断指令セットBの復旧率が低くなる。そして、復旧診断指令セットBの復旧率が復旧診断指令セットAの復旧率よりも低くなったら、情報処理装置360は、復旧診断指令セットAを選択する。なお、情報処理装置360が前回の遠隔復旧で復旧に失敗した復旧診断指令セットBを選択しない場合には、復旧診断指令セットBの次に故障コード「0001」に対応する復旧率の高い復旧診断指令セットAを選択する。
[0058]
 このように、遠隔復旧システム100は、遠隔復旧に成功すると故障要因の件数、選択した復旧診断指令セットの復旧率を増加させる。また、遠隔復旧システム100は、遠隔復旧に失敗すると故障要因の件数はそのままで、選択した復旧診断指令セットの復旧率を低下させる。このため、遠隔復旧に成功すると、その遠隔復旧で選択した復旧診断指令セットが次の遠隔復旧の際に選択される可能性が高くなる。また、遠隔復旧に失敗するとその遠隔復旧で選択した復旧診断指令セットが次の遠隔復旧の際に選択される可能性が低くなる。このため、遠隔復旧の回数が多くなるに従って、情報処理装置360は、復旧診断データベース380から故障コードに対応した復旧可能性の高い復旧診断指令セットを選択できるようになり、エレベーター20の復旧の確実性を向上させていくことができる。
[0059]
 以上説明した実施形態では、制御盤210からドア13、26に関する故障であることを示す故障コード「0001」が出力された場合の遠隔復旧システム100の動作について説明した。次に、制御盤210から、制御回路に関する故障であることを示す故障コード「0002」が出力された場合について説明する。なお、故障コード「0001」が出力された場合と同様の動作については、説明は省略する。
[0060]
 故障コードが制御回路に関する故障を示す「0002」の場合、技術者350が現地で点検した結果、その故障コード「0002」の出力された要因が制御盤210に取り付けられているリレーに不具合のある場合(故障要因4)であったり、リレーを駆動するリレー駆動回路に不具合がある場合(故障要因5)であったり、その他の故障要因6であったりする。故障要因別データ378は、故障コード「0002」の場合、リレーに不具合が要因(故障要因4)の場合が100件、リレー駆動回路の不具合が要因(故障要因5)の場合が50件、その他の故障要因6の場合が10件というようなデータ構造で、その件数が多い順にデータが並べられるように構成されている。先に説明したと同様、遠隔復旧システム100による復旧の場合、復旧指令によってエレベーター20の復旧に成功した場合にその復旧指令の基礎となった故障コードに対応する故障要因の件数が全体の故障要因の件数に追加される。
[0061]
 図7に示すように、復旧診断データベース380は、故障要因別データ378に復旧診断指令セットと復旧率とをリンクさせたデータベースである。以下、故障コードが制御回路に関する故障を示す「0002」の場合の復旧診断データベース380のデータ構成について説明する。リレーに不具合のある場合(故障要因4)には、復旧診断データは、故障要因4の件数データに復旧指令として「制御回路リセット+低速アップ、ダウン運転」、復旧診断指令として「各階運転、高速運転診断」、の2つの指令のセットである復旧診断指令セットDと、この復旧診断指令による復旧動作による復旧率a%とをリンクさせたデータ構成となっている。リレー駆動回路に不具合がある場合(故障要因5)には、復旧診断データは、故障要因5の件数データに復旧指令として「制御回路リセット+最上階、最下階間運転」、復旧指令として「各階運転、高速運転診断」、の2つの指令のセットである復旧診断指令セットEと、この復旧診断指令による復旧動作による復旧率b%とをリンクさせたデータ構成となっている。同様に故障要因6の場合には、復旧診断データは、故障要因6の件数データに復旧診断指令セットFと復旧率c%とをリンクさせたデータ構成となっている。このように、復旧診断データベース380は、故障コードと、その故障コードに対応する故障要因と、その故障要因の件数と、復旧指令と復旧診断のセットである復旧診断指令セットと、復旧率とを対応づけてデータベースに格納したものである。なお、復旧率は、復旧診断指令セットEのb%が最も高くなっている。
[0062]
 故障コードが「0002」の場合、情報処理装置360が、情報処理装置360が故障コード「0002」に対応する最も件数の多い故障要因に基づいて復旧診断指令セットDを選択した場合、情報処理装置360は、復旧診断指令セットDを制御盤210に送信する。制御盤210は、制御回路リセット動作を実行した後、エレベーター20のカゴ22を低速で上昇、下降させる低速アップ、ダウン運転を実行する。その後、制御盤210は、ドア13、26の開閉を行わずに各階に停止する各階運転、複数の階間を高速で運転する高速運転を実行し、各階に停止する運転、および、高速での走行運転に異常がないかを確認する。制御盤210は、各階運転、高速運転で異常のない場合には、エレベーター20の復旧に成功した判定結果を出力する。また、各階運転、高速運転で異常が検出された場合には、制御盤210は、エレベーター20の復旧に失敗した判定結果を出力する。この判定結果は、制御盤210から通信装置250、320を介して情報処理装置360に入力される。情報処理装置360は、先に説明したと同様、判定結果に基づいてより復旧可能性の高い復旧診断指令セットを選択することができるように、故障履歴データ377、故障要因別データ378、復旧診断データベース380を更新する。
[0063]
 また、情報処理装置360が故障コード「0002」に対応する復旧率が最も高い復旧診断指令セットEを選択した場合、情報処理装置360は、復旧診断指令セットEを制御盤210に送信する。制御盤210は、制御回路リセット動作を実行した後、エレベーター20のカゴ22を最下階と最上階との間で移動させる最下階、最上階間運転を実行する。次に、制御盤210は、先に説明した各階運転、高速運転を実行し、エレベーター20の復旧診断を行い、エレベーター20の復旧に成功したか失敗したかの判定結果を出力する。先に説明したと同様、この判定結果は、制御盤210から通信装置250、320を介して情報処理装置360に入力される。情報処理装置360は、判定結果に基づいてより復旧可能性の高い復旧診断指令セットを選択することができるように、故障履歴データ377、故障要因別データ378、復旧診断データベース380を更新する。
[0064]
 次に、故障コードがブレーキに関する故障であることを示す「0003」の場合について説明する。
[0065]
 故障コードがブレーキに関する故障を示す0003の場合、技術者350が現地で点検した結果、その故障コード「0003」の出力された要因が制御盤210のブレーキ回路の異常が要因(故障要因7)であったり、その他の故障要因8、故障要因9であったりする。そこで、故障要因別データ378は、故障コード「0003」の場合、ブレーキ回路の異常が要因(故障要因7)の場合が100件、故障要因8の場合が50件、その他の故障要因9の場合が10件というようなデータ構造で、その件数が多い順にデータが並べられるように構成されている。先に説明したと同様、遠隔復旧システム100による復旧の場合、復旧指令によってエレベーター20の復旧に成功した場合にその復旧指令の基礎となった故障コードに対応する故障要因の件数が全体の故障要因の件数に追加される。
[0066]
 図8に示すように、復旧診断データベース380は、故障要因別データ378に復旧診断指令セットと復旧率とをリンクさせたデータベースである。以下、故障コードがブレーキに関する故障を示す「0003」の場合の復旧診断データベース380のデータ構成について説明する。ブレーキ回路の異常が要因(故障要因7)の場合には、復旧診断データは、故障要因7の件数データに復旧指令として「制御回路リセット」、復旧診断指令として「ブレーキトルク診断」、の2つの指令のセットである復旧診断指令セットGと、この復旧診断指令による復旧動作による復旧率d%とをリンクさせたデータ構成となっている。故障要因8、故障要因9の場合には、復旧診断データは、故障要因8および故障要因9の各件数データに復旧診断指令セットHと復旧率e%、復旧診断指令セットIと復旧率f%をそれぞれリンクさせたデータ構成となっている。このように、復旧診断データベース380は、故障コードと、その故障コードに対応する故障要因と、その故障要因の件数と、復旧指令と復旧診断のセットである復旧診断指令セットと、復旧率とを対応づけてデータベースに格納したものである。なお、復旧率は、復旧診断指令セットHのe%が最も高くなっている。
[0067]
 次に制御盤210がブレーキに関する故障発生を検出した場合の遠隔復旧システム100の動作について説明する。
[0068]
 故障コードが「0003」の場合、情報処理装置360が、図5のステップS106で情報処理装置360が故障コード「0003」に対応する最も件数の多い故障要因に基づいて復旧診断指令セットGを選択した場合、情報処理装置360は、復旧診断指令セットGを制御盤210に送信する。
[0069]
 故障コードが「0003」の場合、この復旧診断指令セットGを受信したら、制御盤210は、図5のステップS109に示す現場確認において、ブレーキトルク診断動作を実行する。ブレーキトルク診断動作は、機械的なブレーキで駆動装置24の中の巻上機が回転しない状態とし、巻上機に駆動力を与えてブレーキの保持力で巻上機が回転しないことを確認する動作である。この動作で異常がなければ、制御盤210は、図5のステップS109でエレベーター20の現場確認ができたとして遠隔復旧のアナウンスを行う。その後、図5のステップS110に進んで、制御盤210は、制御回路リセット動作を実行する。
[0070]
 その後、制御盤210はブレーキトルク診断動作を実行する。制御盤210は、この動作により巻上機の回転がない場合には、エレベーター20の復旧に成功した判定結果を出力する。また、巻上機が回転した場合には、制御盤210は、エレベーター20の復旧に失敗した判定結果を出力する。この判定結果は、制御盤210から通信装置250、320を介して情報処理装置360に入力される。情報処理装置360は、判定結果に基づいて復旧可能性の高い復旧診断指令セットを選択することができるように、故障履歴データ377、故障要因別データ378、復旧診断データベース380を更新する。
[0071]
 また、先に説明したと同様、情報処理装置360が故障コード「0003」に対応する復旧率が最も高い復旧診断指令セットHを選択して制御盤210に復旧動作および復旧診断動作を実行させることもできる。
[0072]
 なお、制御盤210は、ブレーキトルク診断動作で異常があった場合には、遠隔復旧を開始できないと判断し、遠隔復旧動作を実行せず、遠隔監視センター310に遠隔復旧不可を通知する。
[0073]
 以上説明したように、遠隔復旧システム100は、エレベーター20でいろいろな故障が発生した場合に、エレベーター20から離れた場所に配置された遠隔復旧装置300からの指令でエレベーター20に復旧動作、復旧診断動作を実行させてエレベーター20の復旧を行うことができる。このため、エレベーター20に故障が発生した際に技術者350を現地に出動させることなくエレベーター20を短時間で復旧することができ、エレベーター20の運行サービス向上を図ることができる。
[0074]
 また、遠隔復旧システム100は、復旧判定結果に基づいて次回の遠隔復旧の際により復旧可能性が高い復旧診断指令セットを選択することができるように、故障履歴データ377、故障要因別データ378、復旧診断データベース380を更新する。このため、遠隔復旧の回数が多くなるに従って、情報処理装置360は、復旧診断データベース380から故障コードに対応したより適切な復旧診断指令セットを選択できるようになる。これにより、更に、エレベーター20の復旧を確実に行うことができ、復旧にかかる時間を短縮してエレベーター20の運行サービス向上を図ることができる。
[0075]
<駆動系機器の遠隔復旧システム>
 図9~図13を用いて、駆動系機器に対する遠隔復旧対応が含まれる遠隔復旧システムについて説明する。図9には、図1で示したエレベーター20の拡大図が例示されている。
[0076]
 カゴ22はワイヤ23に吊架されており、ワイヤ23の他端には錘25(カウンターウエイト)が吊架される。ワイヤ23は駆動装置24である回転電機400(巻上機)に掛け渡され、当該回転電機400によって、カゴ22(及び錘25)が昇降可能となっている。回転電機400は例えば三相交流同期モータから構成される。
[0077]
 回転電機400及びカゴ22を制動可能とするため、回転電機400にはブレーキ401が設けられる。ブレーキ401は例えば回転電機400の回転軸に取り付けられたブレーキドラムとそのブレーキドラムに圧接/離間可能なブレーキシューを備える。ブレーキ401の係合(圧接)/解放(離間)は制御盤210(エレベーター制御装置200)によって制御可能となっている。
[0078]
 回転電機400には三相配線403u、403v、403wが接続されており、三相配線403u、403v、403wの他端にはインバータ402が接続される。インバータ402は回転電機400の力行時に、商用電源等の電源を変換し、三相配線403u、403v、403wを介して回転電機400に供給する。またインバータ402は回転電機400の回生時に、回転電機400から三相配線403u、403v、403wを介して供給される回生電力を変換して図示しない蓄電装置等に供給する。
[0079]
 インバータ402は例えば三相インバータから構成される。例えばインバータ402は一相につき2個のスイッチング素子を備えており、三相で6個のスイッチング素子が設けられている。これらスイッチング素子のオン/オフは制御盤210(エレベーター制御装置200)によって制御される。
[0080]
 三相配線403u、403v、403wには電流センサが設けられる。図9に示す例では、u相配線403uに電流センサ404uが設けられ、v相配線403vに電流センサ404vが設けられる。三相電流の和は0になるとの特性を持つから、電流センサ404u及び電流センサ404vの値からw相電流Iwを求めることができる。電流センサ404u及び電流センサ404vの検出値Iu及びIvはエレベーター制御装置200(制御盤210)に送信される。
[0081]
 エンコーダ406は回転電機400の回転子に設けられ、回転子位相θを検出する。また回転子位相θを微分することで回転電機400の回転速度を求めることができる。エンコーダ406による回転子位相θはエレベーター制御装置200(制御盤210)に送信される。
[0082]
 エレベーター制御装置200は、エンコーダ406から受信する回転子位相θ、ならびに、電流センサ404u及び電流センサ404vの検出値Iu及びIvに基づいて駆動系機器を制御する。例えばエレベーター制御装置200には、回転電機400に対するフィードバックループ制御システムが構築されている。例えばエレベーター制御装置200は、回転子位相θ、電流値Iu及びIvと、所定の指令値(例えばトルク指令)とに基づいて、インバータ402のスイッチング素子を制御するPWM制御信号を生成する。インバータ402の制御を介して、回転電機400が駆動制御される。
[0083]
 また、回転電機400の回転子位置とエンコーダ406との基準位置との位置にずれが生じる磁極ずれが生じた場合、エレベーター制御装置200は磁極ずれを解消する磁極補正運転を実行可能となっている。例えば回転電機400に対してdq座標系を用いた非干渉制御を行う場合、補償電圧の値から磁極ずれ判定が可能となる。また、d軸電流を0とするようなエンコーダ406の位相角補正により、磁極ずれが解消可能となる。
[0084]
 すなわち、非干渉制御においては、トルク発生に基本的に不要なd軸電流は0に制御される。例えば、回転電機400が回転すると誘起電圧が生じ、d軸電圧にはq軸電流による影響が現れ、q軸電圧にはd軸電流による影響が生じる。非干渉制御ではd軸電流を0に維持するために、q軸電圧に対する補償電圧が出力される。言い換えるとq軸電圧がd軸電流を干渉しないように補償電圧を出力する。この補償電圧が所定の閾値電圧を超過すると、回転電機400の回転子位置とエンコーダ406の基準位置との磁極ずれが生じたと判定される。磁極ずれ発生判定後、磁極補正が実行される。すなわち、エンコーダ406が検出する位相角に補正を加えて、そのときのd軸電流の変化を測定し、これが0に収束したときに、回転電機400の回転子位置とエンコーダ406の基準位置とが一致した(揃った)と判定される。
[0085]
 つまり、仮にエレベーター20の駆動系機器に異常が生じたとしても、その原因が回転電機400とエンコーダ406の磁極ずれにあるときには、基本的には部品交換等、現地に作業員を派遣することなしに、エレベーター20の復旧が可能となっている。後述するように、磁極補正は遠隔復旧装置300からの指令にて実行することが可能であり、したがって遠隔復旧が可能となっている。
[0086]
 なお、以下ではエレベーター20の駆動系機器として、回転電機400、インバータ402、エンコーダ406、及び電流センサ404u、404vが含まれるものとする。
[0087]
 本実施形態では、駆動系機器に関する故障信号が発信されたときに、磁極補正の実行前に、当該磁極補正の実行可否を予め判定する。駆動系機器の故障原因が磁極補正とは異なるものである場合、磁極補正を行っても駆動系機器が復旧しないばかりか、故障の拡大に繋がるおそれがある。本実施形態のように、予め磁極補正実行の妥当性を検討することで、磁極補正による復旧率を向上させ、故障の拡大を抑制可能となる。
[0088]
 図10には、本実施形態に係る遠隔復旧システム100の概要が示されている。図2との違いは、遠隔復旧装置300の情報処理装置360について、その機能ブロックに、非常運転実行指令部が追加されている点にある。その他は図2と同様の構成となっている。
[0089]
 図11には、本実施形態に係る遠隔復旧動作のフローチャートが例示されている。図5との違いは、ステップS103とステップS104との間にステップS1002が挿入され、さらにステップS1002から図12のステップに移行する参照記号4が設けられた点にある。以下では図5と同一のステップについては、適宜説明を省略する。
[0090]
 ステップS101にて、エレベーター制御装置200により、エレベーター20に故障が発生したか否かが判定される。例えば駆動系機器の故障の場合、エレベーター制御装置200が受信するエンコーダ406の回転子位相θ、電流センサ404u,404vから得られる電流Iu,Iv,Iwに基づいて故障有無が判定される。例えば磁極ずれの場合、回転電機400の制御系(フィードバックループ制御システム)において、回転子位相θ及び電流Iu,Iv,Iwに基づいて定められる補償電圧の値が所定の上限閾値を超過する。このとき、エレベーター制御装置200から遠隔復旧装置300に故障信号が発信される。
[0091]
 またステップS103にて情報処理装置360が故障コードを受信すると、情報処理装置360は、当該故障コードが駆動系機器故障を示すコード「0011」であるか否かを判定する(S1002)。コード「0011」と異なる場合は、ステップS104に進む。
[0092]
 受信した故障コードが「0011」である場合、図12に示すように、情報処理装置360は、ブレーキ401の間欠制動による非常運転の実行指令をエレベーター制御装置200(制御盤210)に送信する(S1004)。
[0093]
 駆動系機器故障が発生したとき、遠隔復旧動作を実行する前に、カゴ22内の乗員を速やかにカゴ外に退避させる必要がある。またカゴ22を動かす際に、カゴ22内に乗員がいる状態で、故障判定されている駆動系機器を稼動させることは避けた方が適切である。そこでエレベーター制御装置200は、回転電機400に対して力行電力の供給を停止した状態でブレーキ401を間欠制動させ、つまりブレーキ係合と解放とを交互に行うことで、カゴ22を昇降させる非常運転を実行する。カゴ22の移動方向(昇り/降り)は、錘25とカゴ22の重量差で決まる。
[0094]
 このとき、エレベーター制御装置200は(制御盤210)は、非常運転時における電流センサ404u、404v、及びエンコーダ406の検出値を受信して順次遠隔復旧装置300に送信する。遠隔復旧装置300では、遠隔監視センター310及び情報処理装置360を介して保守データベース370の運転履歴データとしてこれらの値が記憶される。
[0095]
 エレベーター制御装置200は、カゴ22が最寄階に到達したか否かを判定する(S1006)。例えばカゴに設けられた着床スイッチ408が昇降路11内に設けられたドアゾーンプレート(図示せず)に近接してオン信号が出力されたか否かを判定する。最寄階に到着していない場合はステップS1006に戻る。
[0096]
 カゴ22が最寄階に到達した場合は、エレベーター制御装置200は、ブレーキ401を係合状態とする。また、ドア13(図1参照)、26を開放させるとともに、カゴ22内の表示器、音声出力器等を用いて退避警告動作を実行する(S1008)。例えばカゴ22から階床12(図1参照)に退避する旨の文字表示及び音声出力を行う。
[0097]
 さらにカゴ22内の監視カメラ(図示せず)によりカゴ22内に乗員がいるか否かが判定される(S1010)。例えばエレベーター制御装置200は、画像認識により乗員の有無を判定する。または、監視カメラの画像を遠隔監視センター310に送信して監視者により乗員の有無を判定してもよい。
[0098]
 ステップS1010にてカゴ22内に乗員がいる場合、ステップS1008に戻って退避警告動作を継続させる。退避が完了してカゴ22内に乗員がいなくなると、エレベーター制御装置200は非常運転を終了させ(S1012)、遠隔復旧装置300からの指示を待機する。
[0099]
 情報処理装置360は、エレベーター制御装置200から非常運転終了の信号を受信すると、保守データベース370から、電流センサ404u,404v、及びエンコーダ406の、非常運転時の運転履歴データを取得する(S1014)。なお取得する電流として三相すべての電流の代わりに、いずれか一相の電流であってもよい。図12に示す例では電流センサ404uから電流Iuを取得している。以下の説明では、便宜上、電流の代表値として電流Iuを用いるが、電流Iv,Iwを代わりに用いてもよい。
[0100]
 非常運転時には、カゴ22及び錘25の昇降に伴い、ワイヤ23が掛け渡された回転電機400が回転させられる。これにより回転子が駆動され、エンコーダ406がその回転子位相θの変化を検出する。また回転子の駆動に伴って回転電機400が回生駆動させられるから、これに伴い電流センサ404u,404vは電流(回生電流)を検知する。
[0101]
 図13上段には、電流センサ404uによる電流Iuの検出値が示され、同図下段には、エンコーダ406による回転子位置θの検出値の波形が例示されている。図13上段のグラフは縦軸に電流Iu、横軸に時間が示され、図13下段のグラフは縦軸に回転子位置θ、横軸に時間が示される。横軸は両グラフとも同期されている。またグラフ中Bk_OFFはブレーキ401が解放されている期間(カゴ22が昇降する期間)を表し、Bk_ONはブレーキ401が係合されている期間(カゴ22が静止する期間)を指している。つまり、グラフの始点から時刻t1まではブレーキ401の係合期間であり、時刻t1から時刻t2まではブレーキ401の解放期間であり、時刻t3以降は再びブレーキ401の係合期間となる。
[0102]
 図13では、磁極ずれが発生しているものの、エンコーダ406及び電流センサ404u,404vが正常である、つまり磁極ずれとは異なる異常は発生していない例が示されている。この図に示すように、仮にエンコーダ406に磁極ずれが生じていた場合であっても、回転子位相θと電流Iu,Iv,Iwの変化は位相ずれを伴いながらほぼ同周波数で推移する。
[0103]
 一方、エンコーダ406及び電流センサ404u,404vに、磁極ずれとは異なる異常、例えば断線等がある場合、図13とは異なる波形が表れる。例えば回転電機400が回生駆動されているにも拘らず電流Iuが一定である場合や、回転子が回転させられているにも拘らずエンコーダ406の検出する回転子位相が一定である場合が挙げられる。
[0104]
 以上を踏まえて、情報処理装置360は、非常運転時の回転子位相θ及び電流値Iu,Iv,Iwに基づいて、前記回転電機400に対して復旧動作として実行される磁極補正運転の実行可否を判定する。
[0105]
 具体的には、情報処理装置360は、電流Iu,Iv,Iwの波形が周期的であるか否かを判定する(S1016)。例えば上述したように値が一定のまま変化がなかったり、周期が乱高下するような波形は非周期と判定される。非周期と判定された場合、ステップS1028に進む。
[0106]
 電流Iu,Iv,Iwの波形が周期的であると判定された場合、情報処理装置360は、電流値Iu,Iv,Iwの少なくともいずれか一つの波形の極値をサンプリングして、電流周波数fIu_k、fIv_k、fIw_kの少なくともいずれか一つを求める(S1018)。以降では適宜代表値として電流周波数fIu_kを用いる。kはブレーキ401の解放期間における波数を示している。図13の例ではk=1~5である。
[0107]
 次に情報処理装置360は、エンコーダ406の検出した回転子位相θの波形が周期的であるか否かを判定する(S1020)。例えば電流Iu,Iv,Iwと同様に、値が一定のまま変化がなかったり、周期が乱高下するような波形は非周期と判定される。非周期と判定された場合、ステップS1028に進む。
[0108]
 回転子位相θの波形が周期的であると判定された場合、情報処理装置360は、エンコーダ406の波形の極値(ピーク)をサンプリングして、回転子位相周波数fE_kを求める(S1022)。電流周波数fIu_kと同様に、kはブレーキ401の解放期間における波数を示している。図13の例ではk=1~5である。
[0109]
 さらに情報処理装置360は、電流周波数fIu_kと回転子位相周波数fE_kの差分を求め、この差分が所定差以内に収まっているか否かを判定する。例えばfIu_1とfE_1との差分、fIu_2とfE_2との差分、・・・、fIu_5とfE_5との差分を足し合わせてこれを5で割ってこれを差分値とする(差分値=Σ(fIu_k-fE_k)/k)。さらに情報処理装置360は、得られた値(差分値)が所定の閾値差分Δf_th未満であるか否かを判定する(S1024)。差分値が閾値差分Δf_th以上である場合、ステップS1028に進む。
[0110]
 ステップS1028にて、情報処理装置360は、エレベーター制御装置200に対する磁極補正の実行を禁止し、遠隔復旧は不可能であると判定する。さらに図6のステップS125に進む。
[0111]
 ステップS1024にて差分値Σ(fIu_k-fE_k)/kが閾値差分Δf_th未満である場合、情報処理装置360は、エレベーター制御装置200に対して磁極補正運転実行指令を出力する(S1026)。その後、復旧診断動作(S111)が実行される。例えば駆動系機器を所定の保守運転モードにて運転させる。その後の復旧判定(S112)では、復旧診断動作時における故障信号の発信有無を判定する。故障信号が発信されていなければ、判定結果(復旧)発信ステップ(S113)にて正常運転への切り替えが実行され、故障信号が発信されていれば、判定結果(復旧失敗)発信(S119)ステップにて遠隔復旧装置300に復旧が失敗した旨の信号が送信される。以降のステップは上述にて説明済みであるのでここでは説明を省略する。
[0112]
 以上説明したように、本実施形態に係る遠隔復旧装置では、駆動系機器の異常が検知された際に、磁極補正の実行が妥当であるか否かを予め判定できる。このようにすることで、無駄な(復旧失敗の可能性の高い)磁極補正の実行を抑制可能となり、また、磁極補正の実行に伴う故障の拡大を抑制可能となる。
[0113]
 なお上述の実施形態では、磁極補正の実行可否の判定を、エレベーター制御装置200及び遠隔復旧装置300との協働にて行っていたが、この形態に限らない。例えばエレベーター制御装置200単独で磁極補正の実行可否を判定してもよい。具体的には、エレベーター制御装置200の機能部として非常運転実行指令部を設ける。さらに、エレベーター制御装置200が駆動系機器の異常を検知した際に、図12のフローを実行する。ここでは参照記号4が、駆動系機器の異常検知に置き換わり、図12のフローを実行するトリガーとなる。図12のフローにおける各ステップをエレベーター制御装置200が実行し、その結果(復旧成功/失敗)が遠隔復旧装置300に送信される。
[0114]
 なお、本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲により規定されている本発明の技術的範囲ないし本質から逸脱することない全ての変更および修正を包含するものである。

符号の説明

[0115]
 10 ビル、11 昇降路、12 階床、13,26 ドア、20 エレベーター、22 カゴ、23 ワイヤ、24 駆動装置、25 錘、27 床、30,35 通信ネットワーク、100 遠隔復旧システム、200 エレベーター制御装置、210 制御盤、250,320 通信装置、300 遠隔復旧装置、310 遠隔監視センター、330 監視盤、331 ディスプレイ、332 スイッチ、333 電話、334 監視者、340 サービスセンター、350 技術者、360 情報処理装置、370 保守データベース、371 エレベーター仕様データ、372 検査履歴データ、373 保守作業履歴データ、374 遠隔点検履歴データ、375 変調履歴データ、376 修理工事履歴データ、377 故障履歴データ、378 故障要因別データ、379 運転履歴データ、380 復旧診断データベース、400 回転電機、401 ブレーキ、402 インバータ、403u,403v,403w 三相配線、404u,404v 電流センサ、406 エンコーダ、408 着床スイッチ、fE_k 回転子位相周波数、fIu_k 電流周波数。

請求の範囲

[請求項1]
 エレベーター故障の遠隔復旧システムであって、
 前記エレベーターのカゴを昇降可能な回転電機、前記回転電機の回転子位相を検出するエンコーダ、及び、前記回転電機に接続された配線の電流を検出する電流センサを備える駆動系機器と、
 前記カゴを制動可能なブレーキと、
 前記エンコーダが検出した前記回転子位相と、前記電流センサが検出した電流値に基づいて、前記駆動系機器を制御するエレベーター制御装置と、
 前記エレベーター制御装置と通信し、前記エレベーター制御装置に故障の復旧動作を行わせる遠隔復旧装置と、
を備え、
 前記エレベーター制御装置は、前記回転子位相と前記電流値に基づいて前記駆動系機器の異常を検知した際に故障信号を前記遠隔復旧装置に送信し、
 前記遠隔復旧装置は、
  前記駆動系機器の故障信号を受信した際に、前記回転電機に対して力行電力の供給を停止した状態で前記ブレーキの間欠制動にて前記カゴを昇降させる非常運転を前記エレベーター制御装置に実行させ、
  前記非常運転時の前記回転子位相及び前記電流値に基づいて、前記復旧動作として実行される前記回転電機に対する磁極補正運転の実行可否を判定する、
エレベーター故障の遠隔復旧システム。
[請求項2]
 請求項1に記載のエレベーター故障の遠隔復旧システムであって、
 前記非常運転時の前記回転子位相の周波数と、前記非常運転に伴って回生駆動させられる前記回転電機から出力された前記電流値の周波数との差が所定差以内である場合に、前記遠隔復旧装置は、前記エレベーター制御装置に対して前記磁極補正運転を実行させる、エレベーター故障の遠隔復旧システム。
[請求項3]
 請求項1に記載のエレベーター故障の遠隔復旧システムであって、
 前記非常運転時の前記回転子位相の波形、及び、前記非常運転時の前記電流値の波形の少なくとも一方が非周期的である場合に、前記遠隔復旧装置は、前記エレベーター制御装置に対して前記磁極補正運転の実行を禁止する、エレベーター故障の遠隔復旧システム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]