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1. (WO2018087944) CONDUCTEUR DE FIL ÉLECTRIQUE, FIL ÉLECTRIQUE REVÊTU, ET FAISCEAU DE CÂBLES
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明 細 書

発明の名称 電線導体、被覆電線、ワイヤーハーネス

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011  

発明の効果

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023  

図面の簡単な説明

0024  

発明を実施するための形態

0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058  

符号の説明

0059  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : 電線導体、被覆電線、ワイヤーハーネス

技術分野

[0001]
 本発明は、電線導体、被覆電線、ワイヤーハーネスに関し、さらに詳しくは、撚線よりなる電線導体、およびそのような電線導体の外周に絶縁被覆を有する絶縁電線、またそのような絶縁電線を含んだワイヤーハーネスに関するものである。

背景技術

[0002]
 扁平状の導体を用いて構成したフラットケーブルが公知である。フラットケーブルを用いることで、断面略円形の導体を備えた一般的な電線を用いる場合と比較して、配策の際に占めるスペースを小さくすることができる。
[0003]
 従来一般のフラットケーブルにおいては、特許文献1等に記載されるように、導体として、平角導体がしばしば用いられる。平角導体は、金属の単線を断面四角形に成形したものである。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2014-130739号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 平角導体は、扁平な断面の高さ(厚さ)方向に沿った方向には、比較的高い柔軟性を有し、折り曲げを行いやすい。しかし、扁平な断面の幅方向に沿った方向には、柔軟性が低く、硬いため、折り曲げを行いにくい。このように、平角導体を有するフラットケーブルは、特定の方向に折り曲げにくく、配策の際の作業性が低くなってしまう。
[0006]
 本発明の課題は、柔軟性と省スペース性を両立することができる電線導体、およびそのような電線導体を備えた被覆電線ならびにワイヤーハーネスを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記課題を解決するため、本発明にかかる電線導体は、複数の素線を撚り合わせた撚線よりなり、前記撚線の軸線方向に交差する断面が、扁平形状を有するものである。
[0008]
 ここで、前記断面が、前記扁平形状の幅方向に沿って、相互に平行な対辺を有するとよい。また、前記断面が、四角形であるとよい。さらに、前記断面が、長方形であるとよい。そして、前記撚線が、相互に対向する第一方向および第二方向と、該第一方向および第二方向と交差して相互に対向する第三方向および第四方向とから、圧延されているとよい。
[0009]
 本発明にかかる被覆電線は、上記のような電線導体と、前記電線導体の外周を被覆する絶縁体と、を有するものである。
[0010]
 本発明にかかるワイヤーハーネスは、上記のような被覆電線を含んでなるものである。
[0011]
 ここで、ワイヤーハーネスは、上記のような被覆電線を複数含み、該複数の被覆電線は、前記電線導体の断面の前記幅方向、および該幅方向に交差する高さ方向の少なくとも一方に沿って、配列されているとよい。また、ワイヤーハーネスは、自動車の床下に配置され、電源幹線を構成するとよい。あるいは、ワイヤーハーネスは、自動車の天井または床を構成するとよい。そして、ワイヤーハーネスは、第一の被覆電線と第二の被覆電線とを含み、前記第一の被覆電線は、前記電線導体がアルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる上記のような被覆電線であり、前記第二の被覆電線は、電線導体が、銅または銅合金よりなり、前記第一の被覆電線の電線導体よりも扁平度が低く、かつ導体断面積が小さいものであるとよい。この場合に、前記第二の被覆電線の導体断面積は、0.13mm 以下であるとよい。

発明の効果

[0012]
 上記発明にかかる電線導体は、単線ではなく、撚線よりなっているため、高い柔軟性を有している。そして、扁平形状の断面を有していることにより、断面略円形の一般的な電線導体に比べて、電線として配策する際に要するスペースを削減することができる。また、導体断面積を大きくする際に、扁平形状の幅方向を広げれば、高さ方向の寸法を小さく抑えることができるので、省スペース性を維持したまま、大断面積化が可能となる。
[0013]
 ここで、電線導体の断面が、扁平形状の幅方向に沿って、相互に平行な対辺を有する場合には、配策した電線の高さ(厚さ)方向外側に、大きなスペースを確保しやすく、高い省スペース性を実現することができる。特に、複数の電線を重ねて配策する際に、無駄なスペースを生じにくい。
[0014]
 また、電線導体の断面が、四角形である場合には、複数の電線を並べた際や重ねた際に、電線相互間に生じる無駄なスペースを小さくし、電線を高密度に集積することが可能となる。
[0015]
 さらに、電線導体の断面が、長方形である場合には、複数の電線を並べた際や重ねた際に、電線相互間に生じる無駄なスペースを特に小さくすることができ、省スペース性にとりわけ優れたものとなる。
[0016]
 そして、撚線が、相互に対向する第一方向および第二方向と、該第一方向および第二方向と交差して相互に対向する第三方向および第四方向とから、圧延されている場合には、電線導体が、断面四角形に近いものとなりやすく、省スペース性に優れた電線導体となる。
[0017]
 本発明にかかる被覆電線は、上記のような電線導体を有するため、電線導体の撚線構造による柔軟性と扁平形状による省スペース性を両立することができる。よって、複数本の被覆電線を並べたり重ねたりして配策する場合をはじめ、高い自由度をもって、かつスペースを削減しながら、配策を行うことができる。
[0018]
 本発明にかかるワイヤーハーネスは、上記のような扁平形状の電線導体を有する被覆電線を含んでなるため、柔軟性と省スペース性に優れ、自動車内等、限られた空間において、配線材として好適に利用することができる。
[0019]
 ここで、ワイヤーハーネスが、上記のような被覆電線を複数含み、該複数の被覆電線が、電線導体の断面の幅方向、および該幅方向に交差する高さ方向の少なくとも一方に沿って、配列されている場合には、それら複数の被覆電線の間の空隙を小さく抑えてワイヤーハーネスを構成することができるので、特に高い省スペース性を達成することができる。
[0020]
 また、ワイヤーハーネスが、自動車の床下に配置され、電源幹線を構成する場合には、従来一般の銅板を用いた電源幹線と比較して、生産性を高めることができるとともに、エンジン振動等による疲労破壊の発生を抑制することができる。
[0021]
 あるいは、ワイヤーハーネスが、自動車の天井または床を構成する場合には、自動車内において、特に無駄なく空間を活用して配策経路を確保することができるとともに、大電流を流す場合にも、高い放熱性を達成することができる。また、被覆電線の配置に応じて、様々な形状の天井面や床面を構成することが可能となる。
[0022]
 そして、ワイヤーハーネスが、第一の被覆電線と第二の被覆電線とを含み、第一の被覆電線が、電線導体がアルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる上記のような被覆電線であり、第二の被覆電線が、電線導体が、銅または銅合金よりなり、第一の被覆電線の電線導体よりも扁平度が低く、かつ導体断面積が小さいものである場合には、アルミニウムやアルミニウム合金の導電率の低さにより、大面積化しがちな第一の被覆電線に対する省スペース化と、第二の被覆電線における銅や銅合金が有する高導電率等の特性の利用とを、両立することができる。
[0023]
 この場合に、第二の被覆電線の導体断面積が、0.13mm 以下であれば、ワイヤーハーネス全体として、高い省スペース性を確保しやすい。

図面の簡単な説明

[0024]
[図1] 本発明の一実施形態にかかる電線導体を示す斜視図である。
[図2] 上記電線導体の断面図である。
[図3] 原料撚線の圧延を説明する断面図である。
[図4] 電線導体の種々の断面形状を示す図であり、(a)~(d)はそれぞれ異なる形態を示している。(b)~(d)では素線は省略している。

発明を実施するための形態

[0025]
 以下、図面を用いて、本発明の一実施形態にかかる電線導体および被覆電線、そしてワイヤーハーネスについて詳細に説明する。本発明の一実施形態にかかる電線導体の外周を絶縁体で被覆したものが、本発明の一実施形態にかかる被覆電線に当たる。そして、本発明の一実施形態にかかる絶縁電線を含む複数の絶縁電線を束ねたものが、本発明の一実施形態にかかるワイヤーハーネスに当たる。
[0026]
[電線導体]
 図1に、本発明の一実施形態にかかる電線導体10の外観を斜視図にて示す。また、図2に、電線導体10の軸線方向(長手方向)に垂直に交差する断面を示す。
[0027]
 電線導体10は、複数の素線1を相互に撚り合わせた撚線として構成されている。そして、電線導体10は、扁平な外形を有している。つまり、電線導体10の軸線方向に垂直に交差する断面が、扁平形状を有している。
[0028]
 ここで、電線導体10の断面が扁平形状を有しているとは、断面を構成する辺と平行に断面を横切り、断面全体を範囲に含む直線のうち、最長の直線の長さである幅Wが、その直線に直交し、断面全体を範囲に含む直線の長さである高さHよりも、大きい状態を指す。図2に示す本実施形態にかかる電線導体10の断面、および図4に示す各形態の電線導体の断面において、幅Wが高さHよりも大きくなっている。
[0029]
 電線導体10の断面は扁平形状を有していれば、どのような具体的形状よりなってもよいが、本実施形態においては、電線導体10の断面は、扁平形状の幅Wの方向(幅方向x)に沿って、相互に平行な対辺11,12を有している。つまり、電線導体10の断面を構成する外側の素線1に外接させて、幅方向xに平行に2本の直線11,12を引くことができる。なお、本明細書において、電線導体10の形状に関して、平行、垂直等、線や面の関係を示す概念には、概ね±15°程度の角度のずれや、角部が面取りされたR形状等、幾何的な概念からの誤差を含むものとする。
[0030]
 さらに、本実施形態において、電線導体10の断面は、長方形よりなっている。つまり、幅方向xに平行な2本の外接線11,12に垂直な方向である高さHの方向(高さ方向y)に沿って、断面を構成する外側の素線1に外接させて、2本の直線13,14を引くことができる。断面が扁平形状であることから、直線13,14は、直線11,12よりも短くなっている。
[0031]
 なお、本実施形態においては、分かりやすいように、電線導体10を構成する素線1の本数を少なくして示している。そのため、図2に示した断面において、高さ方向yに沿った直線13,14は、それぞれ1本の素線1にしか外接しておらず、その断面形状は、長方形に近似できると同時に、図4(b)に示したような小判形にも近似しうる。しかし、図4(a)に示すように、素線1の本数が十分に多い場合には、高さ方向yに沿った直線13,14を、それぞれ複数の素線1に外接するように引くことができ、断面が長方形である場合を、小判形である場合から区別することができる。
[0032]
 本実施形態にかかる電線導体10は、断面が扁平形状を有していることにより、同じ導体断面積を有する断面略円形の電線導体よりも、被覆電線等の形で配策した際に、配策に必要なスペースを小さくすることができる。つまり、ある電線の周囲に、他の電線や別の部材を配置することができないスペースを小さくすることができる。特に、高さ方向yに沿って電線が占めるスペースを小さくすることができ、省スペース化を達成しやすい。その結果、高さ方向上下(±y方向)の電線の外側のスペースに、他の電線や別の部材を配置しやすくなる。例えば、配策面に沿わせるようにして電線を配策する際に、電線の扁平面、つまり幅方向xに平行な面を配策面に沿わせるようにすれば、電線の上方(電線を挟んで配策面に対向する方向)に、スペースを確保しやすい。さらに、電線導体10の導体断面積を大きくしたい場合にも、高さHを小さくしたまま、幅Wを大きくすることで、高さ方向yにおける省スペース性を維持することができる。
[0033]
 中でも、電線導体10が、断面において、幅方向xに平行な対辺11,12を有している場合に、配策した電線の高さ方向上下(±y方向)に、広いスペースを確保することができ、省スペース性に優れる。特に、1本の電線の上方に他の電線を重ねるようにして複数の電線を集積する際に、高さ方向yに沿って複数の電線の間に生じる隙間を小さくすることができる。なお、複数の電線を集積するとは、複数の電線を絶縁材料等で一体にまとめてワイヤーハーネスとする場合、および、独立した複数の電線を近接させて配置する場合の両方を含むものである。
[0034]
 さらに、電線導体10が長方形の断面を有する場合に、電線導体10の上下(±y方向)および側方(±x方向)に、広いスペースを確保することができ、省スペース性を一層高めることができる。特に、1本の電線の上方に他の電線を重ねるようにして、また、1本の電線の側方に他の電線を並べるようにして、複数の電線を集積する際に、高さ方向yおよび幅方向xに沿って複数の電線の間に生じる隙間を、小さくすることができる。
[0035]
 上記のように、本実施形態にかかる電線導体10は、複数の素線1が撚り合わせられた撚線よりなっており、その撚線が、扁平な外形を有している。そのため、電線導体10は、各方向に、高い柔軟性を有している。特許文献1に示されるような平角導体は、扁平形状の高さ方向にはある程度の柔軟性を示すものの、幅方向の柔軟性は低く、幅方向には硬くて曲げにくい。これに対し、撚線よりなる本実施形態にかかる電線導体10は、高さ方向yのみならず、幅方向xにも高い柔軟性を有しており、曲げやすくなっている。
[0036]
 このように、本実施形態にかかる電線導体10は、柔軟性による配策の自由度と、省スペース性を両立するものとなっている。例えば、自動車において、近年の高機能化により、設置される電線や部品の数が増加している。また、電気自動車等において、大電流化が進み、電線径も太くなっている。よって、個々の電線を配策可能なスペースが減少してきている。しかし、本実施形態にかかる電線導体10を用いれば、省スペース性と柔軟性を利用することで、小さなスペースを有効に利用して、電線の配策を行うことができる。多数の電線を集積させる場合や、導体断面積の大きい電線を用いる場合に、特にその効果が大きくなる。
[0037]
 ここまで説明した本実施形態においては、電線導体10は、長方形の断面を有していた。しかし、上記のように、電線導体10の断面は、扁平形状であれば、どのような形状を有していてもよい。図4(b)~(d)に、断面形状の別の例を示す。なお、これらの図では、素線1を省略し、断面の外形、つまり電線導体全体の断面を近似する外接図形だけを示している。図4(b)は、小判形(長方形の両端に半円を有する形状)の断面を示している。そして、上記のような長方形以外の四角形の断面として、図4(c)は台形の断面、図4(d)は平行四辺形の断面を示している。電線導体10が四角形の断面を有することで、高さ方向yおよび幅方向xに、多数の電線導体10を小さな隙間で並べることができ、多数の電線を集積する際の省スペース性に優れる。この効果は、上記のように、断面形状が長方形である場合に特に顕著となる。
[0038]
 さらに、本実施形態にかかる電線導体10において、電線導体10全体の外形として、断面が扁平形状になっていれば、電線導体10を構成する各素線1の断面形状はどのようなものであってもよい。一般的な金属素線は、略円形の断面を有しており、本実施形態においても、そのような素線1を適用することができる。しかし、複数の素線1の少なくとも一部が、扁平形状等、円形から逸脱した断面を有していてもよい。後述するように、原料撚線10’を圧延して扁平形状にする際に、素線1を構成する材料等によっては、少なくとも一部の素線1が扁平形状に変形する場合がある。このような変形は、原料撚線10’の外側に配置された素線1において起こりやすい。特に、圧延後の電線導体10の断面の長方形において角部に配置される素線1は、複雑な形状に変形する場合がある。
[0039]
 電線導体10を構成する素線1は、金属材料をはじめとし、いかなる導電性材料よりなってもよい。素線1を構成する代表的な材料として、銅および銅合金、そしてアルミニウムおよびアルミニウム合金を挙げることができる。これらの金属材料は、撚線を構成して圧延し、扁平形状とする加工が行いやすく、またその扁平形状を維持しやすいという点において、本実施形態にかかる電線導体10を構成するのに好適である。電線導体10を構成する素線1としては、全て同じ材料よりなるものを用いても、異なる材料よりなる複数種の素線1を混合して用いてもよい。
[0040]
 電線導体10の導体断面積は、所望される導電率等に応じて任意に選択すればよい。しかし、導体断面積が大きいほど、圧延等によって扁平形状を形成しやすく、また、一旦形成した扁平形状を強固に維持しやすい。好適な導体断面積として、電線導体10を構成する素線1が銅または銅合金よりなる場合に、16~40mm 、また、アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる場合に、40~100mm を例示することができる。また、これらの場合に、電線導体10を構成する各素線1の好適な外径として、0.3~1.0mmを例示することができる。
[0041]
 電線導体10の断面において、扁平形状の縦横比(H:W)は、所望される省スペース性等を考慮して適宜選択すればよいが、1:2~1:8程度を例示することができる。この範囲であれば、撚線を無理なく扁平形状に成形することができるとともに、高い省スペース性を確保することができる。また、電線導体10を自動車内の配線に用いる場合等において、高さHを3mm以下とする形態を好ましいものとして例示することができる。
[0042]
 本実施形態にかかる電線導体10は、図3に示すように、複数の素線1を断面略円形に撚り合わせた原料撚線10’を、圧延することで、形成することができる。この際、原料撚線10’の軸線方向に垂直な、相互に対向する第一方向と第二方向から、力F1,F2を印加し、原料撚線10’を圧縮することで、力F1,F2の印加方向を高さ方向yとする扁平な電線導体10を得ることができる。
[0043]
 さらに、第一方向および第二方向からの力F1,F2に加え、第一方向および第二方向と交差して相互に対向する第三方向および第四方向から、力F3,F4を原料撚線10’に印加することで、得られる電線導体10を断面四角形に成形しやすくなる。特に、力F1,F2に垂直な方向から、力F3,F4を印加することで、得られる電線導体10を断面長方形に成形しやすい。これらの場合において、力F1,F2を力F3,F4よりも大きくしておくことで、扁平度の高い(W/Hの値が大きい)電線導体10を得ることができる。また、力F1,F2と力F3,F4は同時に印加してもよいが、最初に力F1,F2を印加した後、再度それらと同じ方向から力F1’,F2’を印加するとともに、同時に力F3,F4を印加することで、扁平度が高く、かつ断面四角形(特に長方形)によく成形された電線導体10を得ることができる。原料撚線10’への力の印加は、例えば、ローラを対向して設けておき、それらローラの間に原料撚線10’を通すことで行えばよい。
[0044]
[被覆電線]
 上述したとおり、本発明の一実施形態にかかる被覆電線は、上記のような本発明の一実施形態にかかる電線導体10と、電線導体10の外周を被覆する絶縁体とを有している。
[0045]
 絶縁体を含む被覆電線全体の外形は、電線導体10の外形を反映したものとなり、電線導体10が扁平な形状を有していることにより、被覆電線も扁平な形状となる。また、電線導体10が各方向に高い柔軟性を有していることにより、被覆電線も、各方向に高い柔軟性を有する。
[0046]
 絶縁体の材料は特に限定されるものではなく、種々の高分子材料より構成することができる。また、高分子材料には、適宜、充填剤や添加剤を含有させることができる。ただし、電線導体10の高い柔軟性を損なうことがないように、絶縁体の材料および厚さは、絶縁体の柔軟性が電線導体10の柔軟性よりも高くなるように選定することが好ましい。また、絶縁体の厚さは、電線導体10の扁平形状が被覆電線全体の形状として十分反映され、被覆電線全体の断面が扁平形状を有するように選定することが好ましい。
[0047]
 絶縁体は、電線導体10の全周を一体的に取り囲む形態とすることができる。この場合に、絶縁体となる高分子材料を、押し出し等によって電線導体10の全周に成形することで、絶縁体を設けることができる。あるいは、シート状の絶縁体が、電線導体10の高さ方向上下(±y方向)から電線導体10を挟み込む形態とすることができる。この場合には、2枚のシート状に成形した高分子材料を電線導体10の上下に配置し、適宜、融着や接着等により、シート間を接合すればよい。
[0048]
 被覆電線は、単一の電線導体10の外周を絶縁体で被覆した単線の状態で使用しても、被覆材等を用いて複数の被覆電線を一体的にまとめたワイヤーハーネスの形態で使用してもよい。ワイヤーハーネスの形態で使用する場合について、次に説明する。
[0049]
[ワイヤーハーネス]
 本発明の一実施形態にかかるワイヤーハーネスは、複数の被覆電線を束ねたものよりなっており、それら複数の被覆電線の少なくとも一部が、上記のような扁平な電線導体10を有する本発明の実施形態にかかる被覆電線よりなる。ワイヤーハーネスは、上記のような扁平な電線導体10を有する被覆電線のみを用いて構成しても、そのような被覆電線と、断面略円形の一般的な電線導体を有する被覆電線等、他種の被覆電線を併用して構成してもよい。また、扁平な電線導体10を有する被覆電線を複数用いてワイヤーハーネスを構成する場合に、それら複数の被覆電線を構成する電線導体10や絶縁体の材質や形状、寸法等は、相互に同じであっても、異なっていてもよい。
[0050]
 扁平な電線導体10を有する被覆電線を複数用いてワイヤーハーネスを構成する際に、それら複数の被覆電線をどのような位置関係で配置してもよいが、扁平な電線導体10の幅方向x(横方向)に並べる形態や、高さ方向yに重ねる形態、あるいは、幅方向xに複数の被覆電線を並べたものを高さ方向yに複数重ねたマトリクス状の形態を例示することができる。つまり、幅方向xと高さ方向yの少なくとも一方に沿って、複数の被覆電線を配列する形態を例示することができる。このように、扁平な電線導体10を備えた複数の被覆電線を整然と配置することで、ワイヤーハーネスを構成する被覆電線の間の空隙を小さくすることができ、特に省スペース性に優れたワイヤーハーネスとなる。
[0051]
 なかでも、複数の被覆電線を、扁平な電線導体10の幅方向xに並べて配置することが好ましい。これにより、電線導体10の扁平形状によって高さ方向yに沿ってもたらされる省スペース性を有効に利用して、ワイヤーハーネスを構成し、配策に用いることができる。
[0052]
 このように、扁平な電線導体10を有する被覆電線を含むワイヤーハーネスは、例えば、自動車用の配線材として用いることで、優れた省スペース性を有効に利用することができる。そのようなワイヤーハーネスを、例えば、車両の床やフレーム等に沿わせて配策することで、床下やフレーム周辺の限られたスペースを、有効に配策に利用することができる。この際、電線導体10の幅方向xが床面やフレーム材の面に略平行になるようにワイヤーハーネスを沿わせることで、特に優れた省スペース性が得られる。
[0053]
 従来一般のワイヤーハーネスは、略円形の断面を有する被覆電線を束にして構成されており、ワイヤーハーネス全体としてかさ高くなるため、自動車内でその配策スペースを確保しようとすれば、居住空間(乗員が滞在できる空間)が狭くなってしまう場合がある。しかし、上記のように、扁平な電線導体10を含むワイヤーハーネスを用いて、ワイヤーハーネスの配策に要する空間を小さく抑えることで、居住空間を広く確保することが可能となる。
[0054]
 本実施形態にかかるワイヤーハーネスは、自動車において、どのような用途の配線材として用いられてもよいが、好適な用途として、床下に配置する電源幹線としての用途を例示することができる。従来一般の自動車用電源幹線は、銅板を並べたものに絶縁シートを貼り付けて構成されていたが、大型の銅板を連続成形するのは困難であり、生産性が悪かった。また、金属の連続体よりなるため、自動車のエンジン振動などの影響で材料の疲労破壊につながる可能性があった。これに対し、本実施形態のワイヤーハーネスを用いて電源幹線を構成すれば、電線導体10を構成する素線1の成形、素線1の撚り合わせ、撚り合わせて得た原料撚線10’の扁平形状への成形のいずれもが、長尺状の材料の各部に対して連続して実施しうる工程であり、高い生産性を達成することができる。また、電線導体10は細い素線1の集合よりなるため、電線導体10全体として、屈曲や振動に対して高い耐性を有する。よって、エンジン振動等による疲労破壊が起きにくい。
[0055]
 また、本実施形態にかかるワイヤーハーネスを、自動車の床下等に沿わせて配策する形態のみならず、床や天井そのものを本実施形態にかかるワイヤーハーネスで形成する形態を挙げることができる。自動車においては、エンジン等の部品と干渉しないようにワイヤーハーネスを配策する必要があるが、そのような配策経路は限定されている。特に、ハイブリッド車や電気自動車のように大電流を必要とする自動車では、導体断面積の大きい電線を配策することが必要となり、そのような大断面積の電線を含むワイヤーハーネスを配策できる経路は限られている。しかし、床や天井を本実施形態にかかるワイヤーハーネスで構成することで、無駄なく空間を活用して配策経路を確保するとともに、居住空間も広く確保することができ、省スペース性と大電流化に伴う要請とを両立することが可能となる。また、大電流用の被覆電線においては、電線導体の発熱によって絶縁体が劣化しやすいが、ワイヤーハーネスを床や天井として配置することで、放熱性を確保しやすくなる。その結果、それほど耐熱性の高くない安価な絶縁体を用いて被覆電線を構成したとしても、絶縁体の劣化が問題となりにくくなる。さらに、扁平な電線導体10を備えた被覆電線は、扁平な面を有しており、ワイヤーハーネスを構成する際に、被覆電線を様々に配置することで、その扁平な面の組み合わせにより、任意の面形状を有する床や天井を構成することができる。なお、本実施形態にかかるワイヤーハーネスを用いて床や天井を構成する場合に、適宜、ワイヤーハーネスの外側に被覆材を設けることで、ワイヤーハーネスを天井面や床面に直接露出させないようにすることができる。
[0056]
 上記のように、本発明の実施形態にかかるワイヤーハーネスは、本発明の実施形態にかかる扁平な電線導体10を有する被覆電線と、他種の被覆電線とを、併用して構成することができる。本発明の実施形態にかかる被覆電線および他種の被覆電線の具体的な構成材料および形状、寸法等は、どのような組み合わせとしてもよい。その中で、本発明の実施形態にかかる被覆電線(第一の被覆電線)として、アルミニウムまたはアルミニウム合金(アルミ系材料)よりなる扁平な電線導体10を備えたものを用い、他種の被覆電線(第二の被覆電線)として、銅または銅合金(銅系材料)よりなり、断面略円形等、第一の被覆電線の電線導体10よりも扁平度の低い電線導体を備えたものを用いる形態を例示することができる。この場合に、第一の被覆電線の導体断面積よりも、第二の被覆電線の導体断面積の方が小さいことが好ましい。
[0057]
 アルミ系材料は、自動車全体の軽量化のために、自動車用電線導体の材料として銅系材料の代わりに使用されるようになってきているが、アルミ系材料を用いる場合の方が銅系材料を用いる場合よりも、材料としての導電率が低いことから、電線導体の導体断面積が大きくなりがちである。そのようなアルミ系材料よりなる電線導体を従来一般の断面円形の導体として構成し、ワイヤーハーネスに用いるとすれば、電線導体の大径化により、ワイヤーハーネスの配策に要する空間が大きくなってしまうが、扁平形状の電線導体10とすることで、大きな導体断面積を確保しながらも、配策に要する空間を削減することが可能となる。一方、銅系材料を用いた電線導体であっても、導体断面積の小さい細径線であれば、自動車の軽量化において大きな妨げとならない。また、ワイヤーハーネスの配策に要する空間を大きくするのにも寄与しにくい。そこで、アルミ系材料の扁平な電線導体10を有する第一の被覆電線に、それよりも導体断面積の小さい銅系材料よりなる断面略円形の電線導体を有する第二の被覆電線を組み合わせて用いることで、省スペース性を確保しながら、高い導電率等、銅系材料の優れた特性を、ワイヤーハーネスの一部位の特性として利用することが可能となる。第二の被覆電線を構成する電線導体としては、導体断面積が0.13mm あるいはそれより小さい、銅合金細線を例示することができる。このような銅合金細線は、信号線として好適に用いることができる。第二の被覆電線をこのように細いものとすることで、第一の被覆電線として扁平な電線導体10を有するものを用いることによる省スペース化の効果を、有効に利用することができる。
[0058]
 以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。

符号の説明

[0059]
1     素線
10    電線導体
10’   原料撚線
H     高さ
W     幅
x     幅方向
y     高さ方向

請求の範囲

[請求項1]
 複数の素線を撚り合わせた撚線よりなり、
 前記撚線の軸線方向に交差する断面が、扁平形状を有することを特徴とする電線導体。
[請求項2]
 前記断面が、前記扁平形状の幅方向に沿って、相互に平行な対辺を有することを特徴とする請求項1に記載の電線導体。
[請求項3]
 前記断面が、四角形であることを特徴とする請求項1または2に記載の電線導体。
[請求項4]
 前記断面が、長方形であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電線導体。
[請求項5]
 前記撚線が、相互に対向する第一方向および第二方向と、該第一方向および第二方向と交差して相互に対向する第三方向および第四方向とから、圧延されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電線導体。
[請求項6]
 請求項1から5のいずれか1項に記載の電線導体と、
 前記電線導体の外周を被覆する絶縁体と、を有することを特徴とする被覆電線。
[請求項7]
 請求項6に記載の被覆電線を含んでなることを特徴とするワイヤーハーネス。
[請求項8]
 請求項6に記載の被覆電線を複数含み、該複数の被覆電線は、前記電線導体の断面の前記幅方向、および該幅方向に交差する高さ方向の少なくとも一方に沿って、配列されていることを特徴とする請求項7に記載のワイヤーハーネス。
[請求項9]
 自動車の床下に配置され、電源幹線を構成することを特徴とする請求項7または8に記載のワイヤーハーネス。
[請求項10]
 自動車の天井または床を構成することを特徴とする請求項7または8に記載のワイヤーハーネス。
[請求項11]
 前記ワイヤーハーネスは、第一の被覆電線と第二の被覆電線とを含み、
 前記第一の被覆電線は、前記電線導体がアルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる請求項6に記載の被覆電線であり、
 前記第二の被覆電線は、電線導体が、銅または銅合金よりなり、前記第一の被覆電線の電線導体よりも扁平度が低く、かつ導体断面積が小さいことを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載のワイヤーハーネス。
[請求項12]
 前記第二の被覆電線の導体断面積は、0.13mm 以下であることを特徴とする請求項11に記載のワイヤーハーネス。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]