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1. (WO2018061331) ÉLÉMENT OPTIQUE COMPOSITE
Document

明 細 書

発明の名称 複合光学素子

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010  

発明の効果

0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056  

産業上の利用可能性

0057   0058  

符号の説明

0059  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5   6A   6B   7A   7B   8A   8B   9  

明 細 書

発明の名称 : 複合光学素子

技術分野

[0001]
 本発明は、複合光学素子に関する。

背景技術

[0002]
 ガラス基材の表面に樹脂層が設けられてなる複合光学素子は、典型的にはガラス基材の表面の中央部と成形型の成形面との間に挟み込まれた樹脂組成物が、ガラス基材の表面に沿って外径側に向けて押し広げられ、押し広げられた樹脂組成物が硬化されて製造される(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
[0003]
 特許文献1に記載された複合光学素子では、樹脂層は、ガラス基材の表面の中央部に設けられている光学素子面だけでなく、光学素子面の外周に設けられている切り欠き面にも形成されており、樹脂層の密着性を高める観点から、切り欠き面は粗面とされている。
[0004]
 特許文献2に記載された複合光学素子では、樹脂層が、ガラス基材の表面の中央部だけでなく外周部にも形成されており、ガラス基材の外周部に形成されている樹脂層の光学有効外部には、外径側に向けて次第に薄くなる傾斜部分が形成されている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 日本国特開2008-299148号公報
特許文献2 : 日本国特開2013-254200号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 上記の複合光学素子の製造方法において、樹脂組成物はガラス基材の表面の中央部から円状に均一に広げられることが望ましいが、樹脂組成物の広がりが不均一となる場合がある。例えば、特許文献1に記載された複合光学素子では、樹脂層が形成される光学素子面の外周に設けられている切り欠き面が粗面とされており、ガラス基材の表面の樹脂組成物に対する濡れ性が光学素子面と切り欠き面とで相違し、この濡れ性の変化に影響されて樹脂組成物の広がりが不均一となる場合がある。樹脂組成物の広がりが不均一であると、ガラス基材の表面の同一円周上で樹脂層によって覆われている部分と樹脂層によって覆われていない部分とが生じ、外観不良となる虞があり、またゴーストが発生する虞もある。
[0007]
 樹脂組成物の不均一な広がりに対し、特許文献2に記載された複合光学素子では、樹脂層の光学有効外部に、外径側に向けて次第に薄くなる傾斜部分が形成されている。樹脂層の傾斜部分を成形するガラス基材の表面と成形型の成形面との間の成形空間(以下、傾斜部分成形空間という)は外径側に向けて次第に狭められ、外径側に向けて次第に狭まる空間形状に起因して、樹脂組成物の傾斜部分成形空間における外径側に向けた流動抵抗は円周方向の流動抵抗に比べて高くなる。このため、ガラス基材の表面に沿って外径側に向けて押し広げられる樹脂組成物が傾斜部分成形空間に達すると、樹脂組成物は傾斜部分成形空間を円周方向に流動する。この結果、傾斜部分成形空間が樹脂組成物によって満たされ、樹脂組成物の不均一な広がりが抑制される。
[0008]
 しかし、樹脂組成物の外径側に向けた流動抵抗と円周方向の流動抵抗との差を利用して傾斜部分成形空間に樹脂組成物を充填するには、外径側に向けた流動抵抗と円周方向の流動抵抗との間に比較的大きな差を生じさせる必要がある。このため、相応の粘度が樹脂組成物に求められるが、粘度が高くなる程に樹脂組成物をガラス基材の表面に沿って押し広げるのに時間を要し、製造効率が低下する。また、樹脂組成物を押し広げる時間を短縮しようとすると成形型の成形面の僅かな濡れ性の変化によっても樹脂組成物に気泡を噛み込む虞がある。
[0009]
 本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、ガラス基材の表面上で均一に広がった樹脂層を備え、製造効率に優れる複合光学素子を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明の一態様の複合光学素子は、光学面及び上記光学面の外周に設けられているフランジ面を有するガラス基材と、上記光学面及び上記フランジ面の上に形成されている樹脂層と、を備え、上記樹脂層は、上記フランジ面に重なるフランジ面領域に、外周に向けて次第に厚くなる少なくとも一つの環状凸部を有し、光軸を含む断面において、上記環状凸部表面の内径側エッジにおける接線と上記フランジ面とのなす角度が60°以上90°以下である。

発明の効果

[0011]
 本発明によれば、ガラス基材の表面上で均一に広がった樹脂層を備え、製造効率に優れる複合光学素子を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] 本発明の実施形態を説明するための、複合光学素子の一例の断面図である。
[図2] 図1の破線円IIで囲まれた部分の拡大図である。
[図3] 図1の複合光学素子の変形例の要部を拡大して示す断面図である。
[図4] 図1の複合光学素子の製造に用いられる成形型の断面図である。
[図5] 図4の破線円Vで囲まれた部分の拡大図である。
[図6A] 図1の複合光学素子の製造過程における硬化性樹脂組成物の挙動を示す模式図である。
[図6B] 図1の複合光学素子の製造過程における硬化性樹脂組成物の挙動を示す模式図である。
[図7A] 図1の複合光学素子の製造過程における硬化性樹脂組成物の挙動を示す模式図である。
[図7B] 図1の複合光学素子の製造過程における硬化性樹脂組成物の挙動を示す模式図である。
[図8A] 図1の複合光学素子の製造過程における硬化性樹脂組成物の挙動を示す模式図である。
[図8B] 図1の複合光学素子の製造過程における硬化性樹脂組成物の挙動を示す模式図である。
[図9] 図4の成形型の変形例の断面図である。

発明を実施するための形態

[0013]
 図1及び図2は、本発明の実施形態を説明するための、複合光学素子の一例を示す。
[0014]
 図1及び図2に示す複合光学素子1は、ガラス基材2と、ガラス基材2の一方の表面に重なる樹脂層3とを備える。
[0015]
 樹脂層3が重なるガラス基材2の一方の表面は、円形状の光学面4と、光学面4の外周に設けられているフランジ面5とを有する。光学面4は、図示の例では凹球面状に形成されているが、凹球面状に限定されず、平坦面状に形成されてもよいし、凸球面状に形成されてもよい。
[0016]
 樹脂層3は、光学面4と同心の円形状に形成されており、光学面4に重なる光学面領域6と、フランジ面5に重なるフランジ面領域7とを有し、光学面4及びフランジ面5の上に形成されている。なお、フランジ面領域7はフランジ面5の全体に重なっている必要はなく、図示の例では、フランジ面領域7の外縁は、フランジ面5の面内に配置されている。
[0017]
 フランジ面5の面内に配置されている樹脂層3のフランジ面領域7の外縁がガラス基材2の他方の表面側から視認されることを阻止し、また使用時におけるフレア及びゴーストの発生を抑制するため、本例では、フランジ面5は粗面化されており、フランジ面5の表面粗さは光学面4の表面粗さよりも大きくなっている。フランジ面5を粗面化する方法としては、フランジ面5を粗い研削砥石を用いて研削することによってフランジ面5を粗面化する方法、粗面化した成形型を用いてフランジ面5を成形することによってフランジ面5を粗面化する方法、及びフランジ面5のみ露出させるマスキングをレンズに施した上でサンドブラストを行うことによってフランジ面5を粗面化する方法を例示することができる。樹脂層3の外縁を遮蔽し、またフレア及びゴーストの発生を抑制する観点では、フランジ面5の面粗さは、算術平均粗さRaで0.3μm以上が好ましい。
[0018]
 図2に示すように、樹脂層3のフランジ面領域7には、光軸x(図1参照)を中心とする環状凸部8が設けられている。環状凸部8は、外周に向けて次第に厚くなるように形成されており、光軸xを含む断面において、環状凸部8の表面の内径側エッジ8eにおける接線t1とフランジ面5とのなす角度θ1が60°以上90°以下とされている。なお、図1及び図2に示す例では、一つの環状凸部8がフランジ面領域7に設けられているが、図3に示す例のように、複数の環状凸部8がフランジ面領域7に同心円状に設けられていてもよい。
[0019]
 図4及び図5は、複合光学素子1の製造に用いられる成形型を示す。
[0020]
 複合光学素子1の製造方法は、ガラス基材2の光学面4と成形型10の成形面11との間に硬化性樹脂組成物Rを挟み込むステップと、光学面4と成形面11との間に挟み込んだ硬化性樹脂組成物Rをガラス基材2の光学面4及びフランジ面5に沿って外径側に向けて押し広げるステップと、光学面4及びフランジ面5に沿って押し広げられた硬化性樹脂組成物Rを硬化させて樹脂層3を形成するステップと、を備える。
[0021]
 成形型10の成形面11は、ガラス基材2の光学面4に対向して配置される光学面領域12と、フランジ面5に対向して配置されるフランジ面領域13とを有する。光学面領域12は、図示の例では凸球面状に形成されているが、凸球面状に限定されるものではない。硬化性樹脂組成物Rの硬化物である樹脂層3のフランジ面領域7には、上記のとおり外周に向けて次第に厚くなる環状凸部8(図2参照)が形成され、硬化性樹脂組成物Rを成形する成形面11のフランジ面領域13には、樹脂層3の環状凸部8に対応して、外周に向けて次第に深くなる環状凹部14が設けられており、環状凹部14の表面の内径側エッジ14eにおける接線t2とフランジ面5とのなす角度θ2は60°以上90°以下とされている。
[0022]
 図6A及び図6Bは、ガラス基材2のフランジ面5に沿って外径側に向けて押し広げられる過程の硬化性樹脂組成物Rの挙動を模式的に示し、図6Aは、角度θ2が相対的に小さい場合の硬化性樹脂組成物Rの挙動を示し、図6Bは、角度θ2が相対的に大きい場合の硬化性樹脂組成物Rの挙動を示す。
[0023]
 硬化性樹脂組成物Rがフランジ面5に沿って外径側に向けて押し広げられる過程において、硬化性樹脂組成物Rは成形面11のフランジ面領域13に濡れ広がるが、硬化性樹脂組成物Rの成形面11上での縁が環状凹部14の表面の内径側エッジ14eに達すると、内径側エッジ14eにて硬化性樹脂組成物Rの濡れ広がりが一旦堰き止められる。
[0024]
 硬化性樹脂組成物Rが内径側エッジ14eを超えて環状凹部14の表面に濡れ広がる際の、硬化性樹脂組成物Rのフランジ面5に沿った変位量Δrに対する硬化性樹脂組成物Rの環状凹部14の表面に沿った変位量Δhを検討すると、角度θ2が大きいほど変位量Δhは大きくなる。すなわち、角度θ2が大きいほど、環状凹部14の表面に沿った硬化性樹脂組成物Rの濡れ広がりが抑制される。
[0025]
 このように環状凹部14の表面に沿った硬化性樹脂組成物Rの濡れ広がりが抑制されることにより、フランジ面5に沿った硬化性樹脂組成物Rの局所的な広がりが抑制され、硬化性樹脂組成物Rの広がりが円状に均一化される。環状凹部14の表面に沿った硬化性樹脂組成物Rの濡れ広がりは、硬化性樹脂組成物Rの表面張力に関連することから、硬化性樹脂組成物Rの粘性にかかわらず、ガラス基材2の光学面4及びフランジ面5上で均一に広がった樹脂層3を効率よく形成することが可能となる。
[0026]
 そして、環状凹部14の表面の内径側エッジ14eにおける接線t2とフランジ面5とのなす角度θ2を60°以上とすることにより、フランジ面5に沿った硬化性樹脂組成物Rの局所的な広がりを十分に抑制でき、ガラス基材2の光学面4及びフランジ面5上で円状に均一に広がった樹脂層3を効率よく形成することができる。一方、角度θ2が90°より大きいと、樹脂層3の環状凸部8に所謂アンダーカットが形成され、成形型10の取り外しが困難となる。このため、角度θ2、及び環状凹部14によって成形される樹脂層3の環状凸部8の表面の内径側エッジ8eにおける接線t1とフランジ面5とのなす角度であって角度θ2に対応する角度θ1は60°以上90°以下とされている。
[0027]
 図7A及び図7B、並びに図8A及び図8Bは、ガラス基材2のフランジ面5に沿って外径側に向けて押し広げられる過程の硬化性樹脂組成物Rの挙動を模式的に示し、図7Aは、成形型10の環状凹部14の表面の内径側エッジ14eとガラス基材2のフランジ面5との間隔Dが相対的に大きい場合の硬化性樹脂組成物Rの挙動を示し、図7Bは、間隔Dが相対的に小さい場合の硬化性樹脂組成物Rの挙動を示す。なお、間隔Dはフランジ面5の法線方向の距離である。また、図8Aは、フランジ面5の面粗さが相対的に大きい場合の硬化性樹脂組成物Rの挙動を示し、図8Bは、フランジ面5の面粗さが相対的に小さい場合の硬化性樹脂組成物Rの挙動を示す。
[0028]
 内径側エッジ14eにて堰き止められている硬化性樹脂組成物Rの液面の内径側エッジ14eにおける接線t3と内径側エッジ14eを通るフランジ面5の法線nとのなす角度を濡れ広がり角βとして、硬化性樹脂組成物Rを円状に均一に広げる観点では、濡れ広がり角βを小さくすることが好ましい。
[0029]
 図7A及び図7Bに示すとおり、間隔Dが小さいほど濡れ広がり角βは小さくなる。好ましくは、間隔D、及び環状凹部14によって成形される樹脂層3の環状凸部8の表面の内径側エッジ8eにおける厚みであって間隔Dに対応する厚みT(図2参照)は0.5mm以下である。
[0030]
 フランジ面5は、樹脂層3の外縁を遮蔽し、またフレア及びゴーストの発生を抑制する観点から粗面とされているが、フランジ面5の面粗さが大きいほど硬化性樹脂組成物Rがフランジ面5に濡れ広がりやすく、図8A及び図8Bに示すとおり、フランジ面5の面粗さが小さいほど濡れ広がり角βは小さくなる。好ましくは、フランジ面5の面粗さは、算術平均粗さRaで2.0μm以下である。
[0031]
 また、濡れ広がり角βは、硬化性樹脂組成物Rの表面張力に関連し、表面張力が大きいほど濡れ広がり角βは小さくなる。表面張力が比較的大きい硬化性樹脂組成物としては、重合性芳香族含有モノマーを含む硬化性樹脂組成物を例示することができ、硬化性樹脂組成物の全固形分に対して40質量%以上の重合性芳香族含有モノマーを含有することが好ましい。
[0032]
 重合性芳香族含有モノマーは、その構造中に芳香族基を含み、かつ(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の重合性不飽和二重結合を含む化合物である。芳香族基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、複素環等を例示することがで、複素環としては、モルホリン環、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環等を例示することができる。重合性芳香族含有モノマーとしては、例えば、特開2012-140579号公報、特開2014-198819号公報、特開2015-178547号公報、特開2015-193809号公報、特開2012-082386号公報に記載の重合性芳香族含有モノマーを用いることができる。
[0033]
 なお、図9に示すように、複数の環状凹部14が成形面11のフランジ面領域13に同心円状に設けられていてもよく、この場合、図3に示したように、複数の環状凸部8が樹脂層3のフランジ面領域7に同心円状に設けられる。複数の環状凹部14が設けられることにより、成形面11のフランジ面領域13に濡れ広がる硬化性樹脂組成物Rの濡れ広がりが環状凹部14それぞれの内径側エッジ14eにて都度堰き止められので、硬化性樹脂組成物Rの広がりをさらに均一化できる。
[0034]
 以下、実験例について説明する。
[0035]
<ガラス基材>
 図1示したとおり、光学面4及び光学面4の外周に設けられているフランジ面5を有するガラス基材を用意した。光学面4は、外径36mm且つ曲率半径20mmの凹球面状に形成した。また、フランジ面5には砥石を用いた研削加工を施し、研削されたフランジ面5の算術平均粗さRaを評価した。
[0036]
 フランジ面5の算術平均粗さRaは、ガラス基材の径方向におけるフランジ面5の形状プロファイルを(x 、f(x ))として、下式によって定義した。三次元測定機(商品名:UA3P パナソニック社製)を用い、Δx =1μmとして、ガラス基材の径方向にフランジ面5の形状を1mm測定し、測定された形状プロファイルを用いて評価した。
[0037]
 Ra=∫|f(x)|dx=Σ|f(x )|Δx ・・・(1)
ここで、式(1)中、Δx =x i+1-x である。
[0038]
<硬化性樹脂組成物の調製>
 重合性芳香族非含有ポリマー(ベースポリマー)としてトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(商品名:A-DCP 新中村化学工業社製)を、また重合性芳香族含有モノマーとしてO-フェニルフェニルアクリレート(商品名:PhOEA 東京化成工業社製)又はアクリル酸ベンジル(商品名:BnA アルドリッチ社製)を、光ラジカル重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:Irg184 BASF社製)を、表1に示す組成比率に従って混合し、全固形分に対する重合性芳香族含有モノマーの含有量が互いに異なる硬化性樹脂組成物1~硬化性樹脂組成物4を調整した。
[0039]
[化1]


[0040]
[化2]


[0041]
[化3]


[0042]
[表1]


[0043]
<硬化性樹脂組成物の成形>
 ガラス基材の光学面4と、ガラス基材のフランジ面5に、樹脂層3との密着を強くするためのシランカップリング処理を施した。そして、シランカップリング処理を施したガラス基材の光学面4の中央部に0.66mlの硬化性樹脂組成物を配置し、成形型を用いて硬化性樹脂組成物を成形した。成形型としては、成形面11のフランジ面領域13に一つの環状凹部14が設けられている図4及び図5に示した成形型、又は成形面11のフランジ面領域13に二つの環状凹部14が設けられている図9に示した成形型を用い、環状凹部14の表面の内径側エッジ14eにおける接線t2とフランジ面5とのなす角度θ2(図5参照)は実験例毎に設定した。なお、成形面11は、全ての実験例の成形型に共通して外径37mm且つ曲率半径21mmの凸球面状に形成した。そして、成形型の環状凹部14の表面の内径側エッジ14eとガラス基材のフランジ面5との間隔D(図7A及び図7B参照)が実験例毎に設定された値となるまでガラス基材と成形型とを0.1mm/sの速度で相対的に接近させ、硬化性樹脂組成物をガラス基材の光学面4及びフランジ面5に沿って外径側に向けて押し広げることにより、硬化性樹脂組成物を光学面4及びフランジ面5と成形面11との間に充填した。光学面4及びフランジ面5と成形面11との間に充填した硬化性樹脂組成物に対して、紫外線照射ランプから紫外光を照射することによって硬化性樹脂組成物を硬化させて樹脂層3を形成した。
[0044]
<充填性評価>
 上記の硬化性樹脂組成物の成形を実験例毎に10回行い、最も外側に位置する環状凹部14の内側において、ガラス基材の表面と成形型の成形面11との間に硬化性樹脂組成物が空隙なく充填されている確率(充填成功率)を評価した。評価結果を、実験例毎の角度θ2、間隔D、表面粗さ(算術平均粗さ)Ra、環状凹部14の数、用いた硬化性樹脂組成物の種類と併せて、表2に示す。
[0045]
[表2]


[0046]
 成形型の環状凹部14の表面の内径側エッジ14eにおける接線t2とフランジ面5とのなす角度θ2が60°未満である実験例1~実験例7では、充填成功率が40%以下であるのに対し、角度θ2が60°以上である実験例8~実験例16では、充填成功率70%以上となった。このことから、角度θ2を60°以上とすることにより、フランジ面5に沿った硬化性樹脂組成物の局所的な広がりを十分に抑制でき、結果として、ガラス基材の光学面4及びフランジ面5上で円状に均一に広がった樹脂層を形成できることがわかる。
[0047]
 また、成形型の環状凹部14の表面の内径側エッジ14eとガラス基材のフランジ面5との間隔Dのみ異にする実験例2及び実験例3を比較すると、間隔Dが1000μmである実験例3では充填成功率が10%であるのに対し、間隔Dが500μmである実験例2では充填成功率が40%に向上している。このことから、硬化性樹脂組成物を円状に均一に広げる観点では、間隔Dは500μm以下(0.5mm以下)が好ましいことがわかる。特に、間隔Dが250μmである実験例10では充填成功率が100%となっており、間隔Dは250μm以下がより好ましいことがわかる。
[0048]
 また、フランジ面5の表面粗さRaのみ異にする実験例15及び実験例16を比較すると、フランジ面5の表面粗さRaが2.0μmより大きい2.08μmである実験例16では充填成功率が80%であるのに対し、フランジ面5の表面粗さRaが2.0μm以下の1.12μmである実験例15では充填成功率が90%に向上している。また、環状凹部14の数のみ異にする実験例12及び実験例15を比較すると、環状凹部14の数が1つである実験例15の充填成功率が90%であるのに対し、環状凹部14の数が2つである実験例12では充填成功率が100%に向上している。このことから、硬化性樹脂組成物を円状に均一に広げる観点では、フランジ面5の表面粗さRaは2.0μm以下が好ましく、環状凹部14は複数設けられることが好ましいことがわかる。
[0049]
 また、硬化性樹脂組成物の種類のみ異にする実験例2、実験例5、実験例6、及び実験例7を比較すると、重合性芳香族含有モノマーを含有しない硬化性樹脂組成物1を用いた実験例5の重点成功率が20%であり、重合性芳香族含有モノマーの含有量が40質量%未満である硬化性樹脂組成物2を用いた実験例6の充填成功率が25%であるのに対し、重合性芳香族含有モノマーの含有量が40質量%以上である硬化性樹脂組成物3又は硬化性樹脂組成物4を用いた実験例2及び実験例7では充填成功率が40%に向上している。同様に、硬化性樹脂組成物の種類のみ異にする実験例9、実験例13、及び実験例14を比較しても、重合性芳香族含有モノマーの含有量が40質量%未満である硬化性樹脂組成物2を用いた実験例13の充填成功率が75%であるのに対し、重合性芳香族含有モノマーの含有量が40質量%以上である硬化性樹脂組成物3又は硬化性樹脂組成物4を用いた実験例9及び実験例14では充填成功率が90%に向上している。このことから、硬化性樹脂組成物を円状に均一に広げる観点では、硬化性樹脂組成物としては、表面張力が比較的大きい重合性芳香族含有モノマーを含む硬化性樹脂組成物が好適であり、全固形分に対する重合性芳香族含有モノマーの含有量は40質量%以上がより好ましいことがわかる。
[0050]
 以上説明したとおり、本明細書に開示された複合光学素子は、光学面及び上記光学面の外周に設けられているフランジ面を有するガラス基材と、上記光学面及び上記フランジ面の上に形成されている樹脂層と、を備え、上記樹脂層は、上記フランジ面に重なるフランジ面領域に、外周に向けて次第に厚くなる少なくとも一つの環状凸部を有し、光軸を含む断面において、上記環状凸部表面の内径側エッジにおける接線と上記フランジ面とのなす角度が60°以上90°以下である。
[0051]
 また、本明細書に開示された複合光学素子は、上記環状凸部表面の内径側エッジにおける厚みが0.5mm以下である。
[0052]
 また、本明細書に開示された複合光学素子は、上記フランジ面の表面粗さが、上記光学面の表面粗さよりも大きい。
[0053]
 また、本明細書に開示された複合光学素子は、上記フランジ面の算術平均粗さRaが0.3μm以上2.0μm以下である。
[0054]
 また、本明細書に開示された複合光学素子は、上記樹脂層が、上記フランジ面領域に、複数の上記環状凸部を有する。
[0055]
 また、本明細書に開示された複合光学素子は、上記樹脂層が、重合性芳香族含有モノマーを含む硬化性組成物の硬化物である。
[0056]
 また、本明細書に開示された複合光学素子は、上記硬化性組成物中の上記重合性芳香族含有モノマーの含有量が、上記硬化性組成物の全固形分に対して40質量%以上である。

産業上の利用可能性

[0057]
 本発明は、ガラス基材の表面に樹脂層が設けられてなる複合光学素子に用いることができる。
[0058]
 以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。本出願は、2016年9月29日出願の日本特許出願(特願2016-191673)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

符号の説明

[0059]
1 複合光学素子
2 ガラス基材
3 樹脂層
4 ガラス基材の光学面
5 ガラス基材のフランジ面
6 樹脂層の光学面領域
7 樹脂層のフランジ面領域
8 環状凸部
8e 環状凸部表面の内径側エッジ
10 成形型
11 成形面
12 成形面の光学面領域
13 成形面のフランジ面領域
14 環状凹部
14e 環状凹部表面の内径側エッジ
D 間隔
n 法線
R 硬化性樹脂組成物
T 厚み
t1 接線
t2 接線
t3 接線
x 光軸
β 濡れ広がり角
Δh 変位量
Δr 変位量
θ1 角度
θ2 角度

請求の範囲

[請求項1]
 光学面及び前記光学面の外周に設けられているフランジ面を有するガラス基材と、
 前記光学面及び前記フランジ面の上に形成されている樹脂層と、
 を備え、
 前記樹脂層は、前記フランジ面に重なるフランジ面領域に、外周に向けて次第に厚くなる少なくとも一つの環状凸部を有し、
 光軸を含む断面において、前記環状凸部表面の内径側エッジにおける接線と前記フランジ面とのなす角度が60°以上90°以下である複合光学素子。
[請求項2]
 請求項1記載の複合光学素子であって、
 前記環状凸部表面の内径側エッジにおける厚みは0.5mm以下である複合光学素子。
[請求項3]
 請求項1又は2記載の複合光学素子であって、
 前記フランジ面の表面粗さは、前記光学面の表面粗さよりも大きい複合光学素子。
[請求項4]
 請求項1から3のいずれか一項記載の複合光学素子であって、
 前記フランジ面の算術平均粗さRaは0.3μm以上2.0μm以下である複合光学素子。
[請求項5]
 請求項1から4のいずれか一項記載の複合光学素子であって、
 前記樹脂層は、前記フランジ面領域に、複数の前記環状凸部を有する複合光学素子。
[請求項6]
 請求項1から5のいずれか一項記載の複合光学素子であって、
 前記樹脂層は、重合性芳香族含有モノマーを含む硬化性組成物の硬化物である複合光学素子。
[請求項7]
 請求項6記載の複合光学素子であって、
 前記硬化性組成物中の前記重合性芳香族含有モノマーの含有量は、前記硬化性組成物の全固形分に対して40質量%以上である複合光学素子。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6A]

[ 図 6B]

[ 図 7A]

[ 図 7B]

[ 図 8A]

[ 図 8B]

[ 図 9]