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1. (WO2017002981) BATTERIE À ÉLECTROLYTE NON AQUEUX ET PROCÉDÉ PERMETTANT DE FABRIQUER CETTE DERNIÈRE
Document

明 細 書

発明の名称 非水電解質電池およびその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008  

先行技術文献

特許文献

0009  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0010   0011   0012   0013  

課題を解決するための手段

0014   0015   0016   0017   0018  

発明の効果

0019   0020  

図面の簡単な説明

0021  

発明を実施するための形態

0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132  

実施例

0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192  

産業上の利用可能性

0193   0194  

符号の説明

0195  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 非水電解質電池およびその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、高温貯蔵を経た後の低温での負荷特性が良好な非水電解質電池と、その製造方法に関するものである。

背景技術

[0002]
 非水電解質電池は、高容量、高電圧などの特性を生かして、種々の用途に利用されている。そして、その適用分野の広がりと共に、非水電解質電池には、各種の特性向上が求められている。
[0003]
 特に、近年では電気自動車の実用化などに伴い、車載用の非水電解質電池の需要が伸びており、電気自動車のモーターの駆動電源への適用が主である一方で、それ以外への適用も進められている。例えば、現在、車両が事故などに遭遇した際に、それを関係各所へ通報するための緊急通報システムの開発が進行中であるが、その電源として、非水電解質電池の適用が検討されている。
[0004]
 そのようなシステムは、実際に作動する機会が限られているものの、緊急時に確実に作動することが必要とされる。そのため、電源となる電池には、長期にわたって貯蔵しても、その特性を良好に維持できる信頼性が要求される。
[0005]
 また、車両の走行中にタイヤがパンクして重大事故につながるケースが散見されるようになったことに鑑み、車両走行中の安全性を確保するために、タイヤ空気圧監視システム〔Tire Pressure Monitoring System(TPMS)〕を装着した車両が普及しつつある。前記システムの電源として、非水電解質電池(一次電池)が利用されているが、高温多湿環境となるタイヤ内にシステムが設置されることから、その電源となる電池に対しても、長期間特性を維持することのできる信頼性が要求される。
[0006]
 そのような非水電解質電池の特性向上を図る技術の一つとして、非水電解液の改良が検討されており、電解液を難燃化して電池の安全性を向上させため、あるいは電池の耐久性や耐電圧性能を向上させるため、特定構造のリン酸エステル化合物などを非水電解液に添加する提案がされている(特許文献1、2)。
[0007]
 ところで、非水電解質一次電池の負極活物質には、金属リチウムや、Li-Al(リチウム-アルミニウム)合金などのリチウム合金が用いられているが、非水電解質二次電池においても、負極活物質としてリチウム合金を用いることができるため、リチウムを吸蔵、放出可能な金属とリチウムの吸蔵、放出能力のない異種金属とのクラッド材を用いて負極を構成することにより、電池特性の安定化を実現することも提案されている(特許文献3)。
[0008]
 また、車載用の電池は、例えば夏季に、車内が高温になる環境下に放置されることがあることから、高温環境下での貯蔵特性に優れることが求められる。こうした状況下での電池の貯蔵特性を高めるために、特許文献4には、リチウム一次電池において、ジニトリル化合物を10質量%以下の範囲で添加した非水電解質を適用することが提案されており、また、特許文献5、6には、リチウム二次電池において、ホウフッ化リチウムや分子内にニトリル基を有する化合物などを添加した非水電解質を適用する技術が提案されている。

先行技術文献

特許文献

[0009]
特許文献1 : 特開2001-319685号公報
特許文献2 : 特開2015-72864号公報
特許文献3 : 特開平8-293302号公報
特許文献4 : 特許第5168317号
特許文献5 : 特開2015-111551号公報
特許文献6 : 特開2015-111552号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0010]
 一般には、前記のようなシステムを車両に搭載する場合、電池が高温環境下に曝される可能性が高く、電池に優れた耐熱性が要求されることになるが、一方、車両が寒冷地で使用されることもあり、高温環境下に長時間置かれた後においても特性劣化が少なく、低温環境下で良好な負荷特性を発揮できる電池が必要とされる。
[0011]
 また、車載用の電池には、高温環境下で長期にわたって貯蔵されても十分な出力特性を維持でき、かつこうした貯蔵を経た後に低温環境下に置かれても、良好に放電し得るような貯蔵特性を確保することの要請もある。
[0012]
 本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高温貯蔵を経た後の低温での負荷特性が良好な非水電解質電池と、その製造方法とを提供することにある。
[0013]
 また、本発明の別の目的は、繰り返しの充電が可能であり、かつ貯蔵特性が良好な非水電解質電池を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0014]
 前記目的を達成し得た本発明の非水電解質電池の第1の態様は、負極、正極および非水電解質を有しており、前記負極は、Li(リチウム)、Li合金、Liと合金化可能な元素および前記元素を含む化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の負極活物質を含有しており、前記非水電解質は、下記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物を8質量%以下の範囲で含有していることを特徴とするものである。
[0015]
[化1]


[0016]
 前記一般式(1)中、XはSi、GeまたはSnであり、R 、R およびR は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基または炭素数6~10のアリール基を表し、水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。
[0017]
 前記第1の態様の非水電解質電池は、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物を8質量%以下の範囲で含有する非水電解質を用いることを特徴とする本発明の製造方法によって製造することができる。
[0018]
 また、本発明の非水電解質電池の第2の態様は、負極、正極および非水電解質を有しており、前記負極は、Liと合金化しない金属基材層と、前記金属基材層の少なくとも片面に接合されたAl活性層とを含有する積層体を有し、前記Al活性層の少なくとも表面側には、Li-Al合金が形成されており、前記非水電解質は、リチウム塩としてLiBF と、有機溶媒としてプロピレンカーボネートとを含有しており、かつニトリル化合物を含有していることを特徴とするものである。

発明の効果

[0019]
 本発明の第1の態様によれば、高温貯蔵を経た後の低温での負荷特性が良好な非水電解質電池と、その製造方法とを提供することができる。
[0020]
 また、本発明の第2の態様によれば、繰り返しの充電が可能であり、かつ貯蔵特性が良好な非水電解質電池を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0021]
[図1] 本発明の非水電解質電池に使用される負極前駆体の一例を模式的に表す断面図である。
[図2] 本発明の非水電解質電池の一例を模式的に表す平面図である。
[図3] 図2の非水電解質電池のI-I線断面図である。

発明を実施するための形態

[0022]
 以下には、まず、本発明の非水電解質電池に係る非水電解質および負極の詳細を、第1の態様と第2態様とに分けて説明する。
[0023]
<第1の態様に係る非水電解質>
[0024]
 前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物は、炭素材料を負極活物質に使用した非水電解質電池において、非水電解質に添加されることで、その安全性を高める作用を有していることが知られている。
[0025]
 ところが、Li(金属Li)、Li合金、Liと合金化可能な元素および前記元素を含む化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の負極活物質を用いた非水電解質電池において、前記リン酸化合物を添加した非水電解質を使用した場合には、高温での貯蔵を経た後の低温環境下での負荷特性を高く維持できることが、本発明者らの検討により明らかとなった。
[0026]
 また、前記負極活物質を用いた二次電池において、前記リン酸化合物を添加した非水電解質を使用した場合には、初期充放電効率の向上が可能となることが明らかとなった。
[0027]
 前記リン酸化合物は、炭素材料を負極活物質とする非水電解質電池において、正極表面でSEI(Solid Electrolyte Interface)被膜を形成することが知られているが、一方、前記のような負極活物質を用いた非水電解質電池においては、前記リン酸化合物は、負極にも作用するものと考えられる。ただし、前記リン酸化合物は、ビニレンカーボネートなど負極表面に被膜を形成することが知られている化合物とは異なり、前記負極活物質の表面に、薄くかつ良質な被膜を形成すると考えられる。従って、高温貯蔵での負極の劣化が抑制されると共に、表面被膜形成による負荷特性の低下を抑制することが可能となり、高温貯蔵後においても、低温環境下で負荷特性に優れた電池を構成することができるものと推測される。
[0028]
 また、表面被膜が薄くなることにより、被膜形成の際に必要とされるLiの量が少なくなるため、前記負極活物質を有する二次電池(非水電解質二次電池)においては、負極の不可逆容量が減少して充放電効率の向上につながるものと推測される。
[0029]
 本発明の非水電解質電池の第1の態様において、非水電解質には、下記の非水系溶媒中に、リチウム塩を溶解させることで調製した溶液(非水電解液)が使用できる。そして、非水電解質には、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物を含有させて使用する。
[0030]
 前記リン酸化合物は、リン酸が有する水素原子のうちの少なくとも1つが、前記一般式(1)で表される基で置換された構造を有している。
[0031]
 前記一般式(1)において、XはSi、GeまたはSnであるが、Siがより好ましい。すなわち、前記リン酸化合物は、リン酸シリルエステルであることがより好ましい。また、前記一般式(1)において、R 、R およびR は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基または炭素数6~10のアリール基であり、中でも、メチル基またはエチル基であることがより好ましい。また、R 、R およびR が有する水素原子は、その一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。そして、前記一般式(1)で表される基としては、トリメチルシリル基が特に好ましい。
[0032]
 また、前記リン酸化合物においては、リン酸が有する水素原子のうちの1つのみが前記一般式(1)で表される基で置換されていてもよく、リン酸が有する水素原子のうちの2つが前記一般式(1)で表される基で置換されていてもよく、リン酸が有する水素原子の3つ全てが前記一般式(1)で表される基で置換されていてもよいが、リン酸が有する水素原子の3つ全てが前記一般式(1)で表される基で置換されていることが、より好ましい。
[0033]
 このような前記リン酸化合物としては、例えば、リン酸モノ(トリメチルシリル)、リン酸ジ(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸ジメチルトリメチルシリル、リン酸メチルビス(トリメチルシリル)、リン酸ジエチルトリメチルシリル、リン酸ジフェニル(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリエチルシリル)、リン酸トリス(ビニルジメチルシリル)などを挙げることができ、リン酸モノ(トリメチルシリル)、リン酸ジ(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸ジメチルトリメチルシリル、リン酸メチルビス(トリメチルシリル)が好ましく、リン酸トリス(トリメチルシリル)が、特に好ましいものとして挙げられる。
[0034]
 電池に使用する非水電解質中の、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物の含有量は、その使用による前記の効果をより良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが特に好ましく、0.7質量%以上であることが最も好ましい。また、含有量が多くなりすぎると、電極界面に形成され得るSEI被膜の厚みが増大し、これにより抵抗が大きくなり負荷特性が低下する虞があることから、電池に使用する非水電解質中の、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物の含有量は、8質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが特に好ましく、3質量%以下であることが最も好ましい。 
[0035]
 非水電解質の溶媒には、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ラクトン環を有する化合物、1,2-ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ニトロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、燐酸トリエステル(燐酸トリメチル、燐酸トリエチルなど)、トリメトキシメタン、スルホラン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、ジエチルエーテルなどの非プロトン性有機溶媒もしくはその誘導体(2-メチルテトラヒドロフランなど)などを1種単独で、または2種以上を混合した混合溶媒として用いることができる。中でも、前記リン酸化合物の効果をより生じやすくするために、プロピレンカーボネートを全溶媒中で10体積%以上含有させることが好ましく、20体積%以上含有させることがより好ましい。
[0036]
 非水電解質に係るリチウム塩としては、例えば、LiClO 、LiPF 、LiBF4、LiAsF 、LiSbF 、LiCF SO 、LiCF CO 、Li (SO 、LiN(FSO 、LiN(CF SO 、LiC(CF SO 、LiC 2n+1SO (n≧2)、LiN(RfOSO 〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらのリチウム塩の非水電解質の濃度は、0.6~1.8mol/lであることが好ましく、0.9~1.6mol/lであることがより好ましい。2種以上のリチウム塩を併用することも可能であり、その場合は、それぞれのリチウム塩の濃度の合計が前記範囲となるよう調整すればよい。
[0037]
 なお、電池の低温での放電特性を高め得ることから、非水電解質は、ラクトン環を有する化合物を含有していることが好ましい。ラクトン環を有する化合物としては、γ-ブチロラクトンやα位に置換基を有するラクトン類などが挙げられる。
[0038]
 また、α位に置換基を有するラクトン類は、例えば5員環のもの(環を構成する炭素数が4つのもの)が好ましい。前記ラクトン類のα位の置換基は、1つであってもよく、2つであってもよい。
[0039]
 前記置換基としては、炭化水素基、ハロゲン基(フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基)などが挙げられる。炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが好ましく、その炭素数は1以上15以下(より好ましくは6以下)であることが好ましく、炭化水素基の有する水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。前記置換基が炭化水素基の場合、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基などが更に好ましい。
[0040]
 α位に置換基を有するラクトン類の具体例としては、α-メチル-γ-ブチロラクトン、α-エチル-γ-ブチロラクトン、α-プロピル-γ-ブチロラクトン、α-ブチル-γ-ブチロラクトン、α-フェニル-γ-ブチロラクトン、α-フルオロ-γ-ブチロラクトン、α-クロロ-γ-ブチロラクトン、α-ブロモ-γ-ブチロラクトン、α-ヨード-γ-ブチロラクトン、α,α-ジメチル-γ-ブチロラクトン、α,α-ジエチル-γ-ブチロラクトン、α,α-ジフェニル-γ-ブチロラクトン、α-エチル-α-メチル-γ-ブチロラクトン、α-メチル-α-フェニル-γ-ブチロラクトン、α,α-ジフルオロ-γ-ブチロラクトン、α,α-ジクロロ-γ-ブチロラクトン、α,α-ジブロモ-γ-ブチロラクトン、α,α-ジヨード-γ-ブチロラクトンなどが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、α-メチル-γ-ブチロラクトンがより好ましい。
[0041]
 なお、ラクトン環を有する化合物を使用する場合には、その使用による効果を良好に確保する観点から、非水電解質に使用する全有機溶媒中におけるラクトン環を有する化合物の含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。一方、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物の作用を阻害しないために、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
[0042]
 また、非水電解質は、ニトリル化合物を含有していることが好ましい。非水電解質中のニトリル化合物は、電池内において、主に正極表面で被膜を形成し、正極活物質中の遷移金属(Co、Mnなど)の溶出を抑制するため、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物と共に用いることにより、電池の高温貯蔵特性などをより一層向上させることができる。
[0043]
 ニトリル化合物の具体例としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、アクリロニトリルなどのモノニトリル;マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、1,4-ジシアノヘプタン、1,5-ジシアノペンタン、1,6-ジシアノヘキサン、1,7-ジシアノヘプタン、2,6-ジシアノヘプタン、1,8-ジシアノオクタン、2,7-ジシアノオクタン、1,9-ジシアノノナン、2,8-ジシアノノナン、1,10-ジシアノデカン、1,6-ジシアノデカン、2,4-ジメチルグルタロニトリルなどのジニトリル;ベンゾニトリルなどの環状ニトリル;メトキシアセトニトリルなどのアルコキシ置換ニトリル; などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのニトリル化合物の中でも、アジポニトリルがより好ましい。
[0044]
 電池に使用する非水電解質中のニトリル化合物の含有量は、前記の効果をより良好に確保する観点から、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。ただし、ニトリル化合物は、負極(リチウム)との反応性が高いため、ニトリル化合物の使用量をある程度制限して、これらの間での過剰な反応を抑制することが好ましい。よって、電池に使用する非水電解質中のニトリル化合物の含有量は、8質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
[0045]
 また、これらの非水電解質に、電池の各種特性を更に向上させる目的で、ビニレンカーボネート類、1,3-プロパンスルトン、1,3-プロペンスルトンなどの環状スルトン化合物、ジフェニルジスルフィドなどのジスルフィド化合物、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t-ブチルベンゼンなどのベンゼン類化合物、4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン(FEC)などのフッ素置換された環状カーボネート、リチウムテトラキス(アセテート)ボレートやリチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)などの有機ホウ酸リチウム塩、などの添加剤を適宜加えることもできる。特に、環状スルトン化合物または有機ホウ酸リチウム塩を前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物と共に用いることにより、正極あるいは負極に形成される表面被膜がより好適なものとなり、電池の高温貯蔵特性などをより一層向上させることができるものと考えられる。
[0046]
 更に、非水電解質には、前記の溶液(非水電解液)に、公知のポリマーなどのゲル化剤を用いてゲル状(ゲル状電解質)としたものを用いてもよい。
[0047]
<第2の態様に係る非水電解質>
[0048]
 本発明の非水電解質電池の第2の態様においては、リチウム塩としてLiBF を含有し、かつ有機溶媒としてPCを含有し、更にニトリル化合物を含有する非水電解質(非水電解液)を使用する。このような非水電解質を使用することで、高温貯蔵時の電池の膨れの抑制が可能になると共に、前記の負極を使用したことによる高温貯蔵時の放電特性の維持に加えて、こうした高温貯蔵を経た後の低温環境下(例えば-10℃以下)での放電を可能にすることができるようになる。
[0049]
 有機溶媒として使用するPCは、特に非水電解質電池の低温での放電特性の確保に寄与する。例えば、非水電解質電池に係る非水電解質の有機溶媒にはECを使用することが多いが、PCはECよりも凝固点が低いため、より低温の環境下においても、電池の出力特性を高めることが可能となる。
[0050]
 非水電解質に係る有機溶媒にはPCのみを用いてもよいが、PCと共に他の有機溶媒を使用してもよい。PCと併用し得る他の有機溶媒としては、第1の態様に係る非水電解質用の溶媒として先に例示した各種の溶媒(有機溶媒)のうちのPC以外のものが挙げられる。より良好な特性の電池とするためには、PCと前記例示の鎖状カーボネート(ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなど)との混合溶媒など、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。
[0051]
 非水電解質電池の低温での放電特性をより向上させる観点からは、有機溶媒として、PCと共にラクトン環を有する化合物を使用することが好ましい。
[0052]
 ラクトン環を有する化合物としては、第1の態様に係る非水電解質に使用し得るものとして先に例示した各種化合物が挙げられ、γ-ブチロラクトン、および、α-メチル-γ-ブチロラクトンがより好ましい。
[0053]
 第2の態様に係る非水電解質に使用する全有機溶媒中におけるPCの含有量は、その使用による前記の効果を良好に確保する観点から、10体積%以上であることが好ましく、30体積%以上であることがより好ましい。なお、前記の通り、非水電解質の有機溶媒はPCのみであってもよいことから、非水電解質に使用する全有機溶媒中の、PCの好適含有量の上限値は100体積%である。
[0054]
 なお、第2の態様に係る非水電解質において、ラクトン環を有する化合物を使用する場合には、その使用による効果を良好に確保する観点から、非水電解質に使用する全有機溶媒中におけるラクトン環を有する化合物の含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。ラクトン環を有する化合物は、この好適値を満たし、かつ全有機溶媒中のPCの含有量が前記の好適値を満たす範囲内で使用することが望ましい。そのため、非水電解質に使用する全有機溶媒中におけるラクトン環を有する化合物の含有量は90体積%未満であることが好ましく、70体積%未満であることがより好ましく、50体積%未満であることが特に好ましい。
[0055]
 第2の態様に係る非水電解質において、リチウム塩には、耐熱性が高く、非水電解質電池の高温環境下での貯蔵特性を高め得ることに加えて、電池内で用いるアルミニウムの腐食を抑制する機能を有していることから、LiBF を使用する。
[0056]
 非水電解質に係るリチウム塩にはLiBF のみを用いてもよいが、LiBF と共に他のリチウム塩を使用してもよい。LiBF と併用し得る他のリチウム塩としては、第1の態様に係る非水電解質用のものとして先に例示した各種リチウム塩(LiBF 以外のもの)が挙げられる。
[0057]
 非水電解質中のLiBF の濃度は、0.6mol/l以上であることが好ましく、0.9mol/l以上であることがより好ましい。
[0058]
 なお、第2の態様に係る非水電解質中の全リチウム塩の濃度は、1.8mol/l以下であることが好ましく、1.6mol/l以下であることがより好ましい。よって、リチウム塩にLiBF のみを使用する場合には、その濃度が前記の好適上限値を満たす範囲で使用することが好ましい。他方、LiBF と共に他のリチウム塩を使用する場合には、LiBF の濃度が前記の好適下限値を満たしつつ、全リチウム塩の濃度が前記の好適上限値を満たす範囲で使用することが好ましい。
[0059]
 また、第2の態様に係る非水電解質には、添加剤としてニトリル化合物を含有させる。ニトリル化合物を添加した非水電解質を使用することで、正極活物質の表面にニトリル化合物が吸着して被膜を形成し、この被膜が非水電解質の酸化分解によるガス発生を抑制することから、特に高温環境下で貯蔵した際の電池の膨れを抑えることができる。
[0060]
 非水電解質に添加するニトリル化合物としては、第1の態様に係る非水電解質に含有させ得るものとして先に例示した各種ニトリル化合物が挙げられ、それらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これらのニトリル化合物の中でも、ジニトリルがより好ましく、アジポニトリルが更に好ましい。
[0061]
 第2の態様において、電池に使用する非水電解質における二トリル化合物の含有量は、これらの使用による前記の効果を良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。ただし、非水電解質中のニトリル化合物の量が多すぎると、電池の低温での放電特性が低下する傾向にある。よって、非水電解質中のニトリル化合物の量をある程度制限して、電池の低温での放電特性をより良好にする観点からは、電池に使用する非水電解質中のニトリル化合物の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
[0062]
 また、第2の態様においては、これらの非水電解質に電池の各種特性を更に向上させる目的で、ビニレンカーボネート類、1,3-プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t-ブチルベンゼンなどの添加剤を適宜加えることもできる。
[0063]
 更に、第2の態様に係る前記非水電解質(非水電解液)は、公知のポリマーなどのゲル化剤を用いてゲル状(ゲル状電解質)としてもよい。
[0064]
<第1の態様に係る負極>
 非水電解質電池の第1の態様に係る負極には、Li(金属Li)、Li合金、Liと合金化可能な元素および前記元素を含む化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の負極活物質を含有するものが使用され、例えば、前記金属や合金(化合物)で構成された箔をそのまま、または集電体の片面もしくは両面に貼り付けた構造の負極や、前記負極活物質を含有する負極合剤層を集電体の片面または両面に形成した構造の負極を使用することができる。
[0065]
 Li合金としては、Li-Al合金などが挙げられる。また、Liと合金化可能な元素としては、Si、Snなどが挙げられる。更に、Liと合金化可能な元素を含む化合物としては、Si、Snなどの酸化物などが挙げられる。
[0066]
 負極活物質をLiとする場合には、例えば、Li箔をそのまま使用してもよく、また、負極の表面を微細化させて負荷特性を向上させるため、Li箔の表面にAl箔を積層し、表面にLi-Al合金が形成されたLi層を負極に用いることもできる。
[0067]
 また、負極活物質をLi-Al合金とする場合には、例えば、表面にLi-Al合金が形成されたAl箔(Al合金箔を含む。以下同じ。)を使用できるほか、Al箔などで構成されるAl層(Alを含む層)の表面にLi-Al合金を形成するためのLi層(Liを含む層)を圧着するなどして積層した積層体を使用し、この積層体を電池内で非水電解質と接触させることで、前記Al層の表面にLi-Al合金を形成させて負極とすることもできる。このような負極の場合、Al層の片面のみにLi層を有する積層体を用いてもよく、Al層の両面にLi層を有する積層体を用いてもよい。前記積層体は、例えば、Al箔と金属Li箔(Li合金箔を含む。以下同じ。)とを圧着することで形成することができる。
[0068]
 更に、負極には、Al箔などで構成されるAl層を有する負極前駆体を使用し、この負極前駆体を用いて組み立てた電池を充電することで、Al層の表面にLi-Al合金を形成させて負極とすることもできる。すなわち、負極前駆体に係るAl層の少なくとも表面側のAlを、電池の充電によって非水電解液中のLiイオンと電気化学的に反応させることにより、少なくとも表面側にLi-Al合金が形成された負極とすることも可能である。
[0069]
 負極には集電体を使用することもできる。あらかじめ表面にLi-Al合金が形成されたAl箔を負極に使用する場合には、Al箔の、Li-Al合金が形成されていない側の表面に集電体となる金属箔や金属網などを圧着すればよい。
[0070]
 また、電池内でLi-Al合金を形成して負極とする場合にも、集電体を使用することができる。Li層を有する積層体を使用する場合では、例えば、負極集電体の片面にAl層を有し、かつAl層の負極集電体とは反対側の面にLi層を有する積層体を用いてもよく、負極集電体の両面にAl層を有し、かつ各Al層の負極集電体とは反対側の面にLi層を有する積層体を用いてもよい。また、負極前駆体を用いて組み立てた電池を充電することでLi-Al合金を形成して負極とする場合では、例えば、負極集電体の片面にAl層を有する積層体を負極前駆体として用いてもよく、負極集電体の両面にAl層を有する積層体を負極前駆体として用いてもよい。負極集電体とAl層(Al箔)とは、圧着などにより積層すればよく、銅やニッケルなどで構成された負極集電体(金属箔)とAl層(Al箔)とのクラッド材を用いることもできる。
[0071]
 なお、集電体を有する負極の場合には、後述する第2の態様に係る負極と同じものを使用することができる。
[0072]
 負極を形成するための前記積層体および前記負極前駆体に係るAl層の厚み(ただし、集電体を使用する場合であって、その集電体の両面にAl層を設ける場合は、片面あたりの厚み)は、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが更に好ましく、また、150μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。
[0073]
 負極を形成するための前記積層体に係るLi層の厚み(ただし、集電体を使用する場合であって、その集電体の両面にAl層を設け、各Al層の表面にLi層を設ける場合や、集電体を使用せずにAl層の両面にLi層を設ける場合には、片面あたりの厚み)は、20μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、また、80μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましい。
[0074]
 負極合剤層を有する負極の場合には、負極活物質およびバインダ、更には必要に応じて使用される導電助剤を、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)や水などの溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の負極合剤含有組成物を調製し(ただし、バインダは溶剤に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することができる。
[0075]
 負極合剤層を形成する場合のバインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが挙げられる。また、負極合剤層に導電助剤を含有させる場合、その導電助剤としては、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛などの黒鉛(黒鉛質炭素材料);アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカ-ボンブラック;炭素繊維;などの炭素材料などが挙げられる。
[0076]
 負極合剤層の組成としては、例えば、負極活物質を80~99.8質量%とし、バインダを0.1~10質量%とすることが好ましい。更に、負極合剤層に導電助剤を含有させる場合には、負極合剤層における導電助剤の量を0.1~10質量%とすることが好ましい。また、負極合剤層の厚み(集電体の片面あたりの厚み)は、10~100μmであることが好ましい。
[0077]
 負極に集電体を使用する場合、その集電体には、銅、ニッケル、鉄、ステンレス鋼を素材とするものが挙げられ、その形態としては、平織り金網、エキスパンドメタル、ラス網、パンチングメタル、金属発泡体、箔(板)などが例示できる。集電体の厚みは、例えば、10~50μmであることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。
[0078]
 負極には、常法に従って、電池内の他の部材と電気的に接続するためのリード体を取り付けることができる。
[0079]
<第2の態様に係る負極>
 本発明の非水電解質電池の第2の態様では、特に車載用などのように高温環境下で使用される場合にあっても、高い貯蔵特性と高容量化とを実現することができ、また、ある程度の回数の充電が可能となるように、Li-Al合金を負極活物質として使用する。
[0080]
 更に、本発明の第2の態様では、放電時に負極の形状を安定にし、次回の充電を可能とする目的で集電体を使用する。
[0081]
 負極活物質にLi-Al合金を使用する電池では、Li箔(特に断らない限り、Li合金箔を含む。以下同じ。)とAl箔(特に断らない限り、Al合金箔を含む。以下同じ。)とを貼り合わせて電池内に導入し、非水電解質の共存下でLiとAlとを反応させてLi-Al合金を形成させることが行われている。ところが、更に集電体となる金属箔〔Cu(銅)箔やCu合金箔など〕を、Li箔とAl箔との積層体に単に重ねただけで電池内に挿入すると、貯蔵後(特に高温環境下での貯蔵後)に電池の内部抵抗が増大して、貯蔵特性が十分に向上しない。
[0082]
 これは、電池内において、Li箔とAl箔との積層体でLi-Al合金が形成される際に体積変化が生じたり、Li-Al合金が形成されて微粉化が生じることで負極が非水電解質を吸収しやすくなって体積変化が生じたりして、Li-Al合金の層(Al箔)と集電体との密着性が確保できなくなるためであることが、本発明者らの検討により明らかとなった。
[0083]
 そこで、本発明者らは更に検討を重ねた結果、Li-Al合金を形成するためのAl金属層(Al箔など)と、集電体として作用するLiと合金化しない金属基材層(Cu箔など)とをあらかじめ接合して用い、更に、その金属層の表面にLi層(Li箔など)を積層させ、前記Li層のLiと前記Al金属層のAlとを反応させる方法、あるいは、前記Al金属層と前記金属基材層との接合体をそのまま電池の組み立てに用い、組み立て後の充電によって、前記Al金属層のAlを非水電解質中のLiイオンと電気化学的に反応させる方法などにより、前記Al金属層の少なくとも表面側をLi-Al合金とし、前記金属基材層の表面にAl活性層が接合された負極とすることで、貯蔵時の内部抵抗の増大を抑え得ることを見出した。
[0084]
 また、前記のような負極を備えることに加えて、特定の有機溶媒と特定のリチウム塩と特定の添加剤とを含有する前記特定の非水電解質を使用した場合には、高温環境下での膨れ抑制を可能とし、かつ高温環境下での貯蔵を経た後の低温での放電特性を良好に維持し得ることも見出し、以上の各知見に基づいて、繰り返しの充放電が可能であり、かつ貯蔵特性が良好な本発明の非水電解質電池(第2の態様の電池)を完成するに至った。
[0085]
 本発明の非水電解質電池の第2の態様に係る負極の形成には、第1の方法として、Liと合金化しない金属基材層(以下、単に「基材層」という)とAl金属層(以下、単に「Al層」という)とを接合して形成した積層金属箔の、Al層の表面に、Li箔を貼り合わせるなどの方法によってLi層が形成された積層体を使用する。
[0086]
 前記基材層は、Cu、Ni、Ti、Feなどの金属、またはそれら元素と他の元素との合金(ただし、ステンレス鋼などの、Liと反応しない合金)により構成することができる。具体的には、前記金属または合金の箔や蒸着膜、めっき膜などにより構成される。
[0087]
 前記Al層は、純Al、または、強度の向上などを目的とする添加元素を有するAl合金により構成することができ、具体的には、それらの箔や蒸着膜、めっき膜などにより構成される。
[0088]
 前記Li層の形成には、前記Al層の表面にLi箔を貼り合わせる方法や、蒸着膜を形成する方法などを用いることができる。
[0089]
 図1に、本発明の非水電解質電池の第2の態様に使用される負極を形成するための積層体(負極前駆体)の一例を模式的に表す断面図を示している。図1の負極前駆体100は、基材層101aの両面にAl層101b、101bを接合して構成した積層金属箔101の、Al層101b、101bの表面に、Li箔102、102が貼り合わされて形成された積層体である。
[0090]
 前記の負極前駆体を用いて負極を形成する非水電解質電池では、非水電解質の共存下でLi箔のLiとAl層のAlとが反応して、Al層のLi箔が貼り合わされた側(セパレータ側)の表面にLi-Al合金が形成され、Al活性層に変化する。すなわち、前記負極のAl活性層の少なくとも表面側(Li箔側)には、非水電解質電池内で形成されたLi-Al合金が存在する。
[0091]
 基材層とAl層とを接合して形成した積層金属箔においては、基材層の片面にAl層を接合してもよく、また、図1に示すように基材層の両面にAl層を接合していてもよい。そして、基材層とAl層とを接合して形成した積層金属箔と、Li箔とが貼り合わされて形成された積層体においては、基材層の片面にAl層が接合している場合には、そのAl層の表面(基材層と接合していない面)にLi箔を貼り合わせればよく、図1に示すように基材層の両面にAl層が接合している場合には、両方のAl層の表面(基材層と接合していない面)にLi箔を貼り合わせればよい。
[0092]
 なお、基材層の両面にAl層を接合し、かつ両方のAl層の表面側でLi-Al合金の形成を行った場合には、基材層の片面にAl層を接合し、そのAl層の表面側でLi-Al合金の形成を行う場合に比べて、負極の変形(湾曲など)や、それに伴う電池の特性劣化を更に抑制することが可能となる。
[0093]
 以下では、基材層がNi(Ni箔)である場合を例示して説明するが、基材層がNi以外の材料である場合も同様である。
[0094]
 Ni層とAl層とを接合して形成した積層金属箔としては、Ni箔とAl箔とのクラッド材、Ni箔上にAlを蒸着してAl層を形成した積層膜などが挙げられる。
[0095]
 Ni層とAl層とを接合して形成した積層金属箔に係るNi層としては、Ni(および不可避不純物)からなる層や、合金成分としてZr、Cr、Zn、Cu、Fe、Si、Pなどを合計で20質量%以下の量で含み、残部がNiおよび不可避不純物であるNi合金からなる層などが挙げられる。
[0096]
 また、Ni層とAl層とを接合して形成した積層金属箔に係るAl層としては、Al(および不可避不純物)からなる層や、合金成分としてFe、Ni、Co、Mn、Cr、V、Ti、Zr、Nb、Moなどを合計で50質量%以下の量で含み、残部がAlおよび不可避不純物であるAl合金からなる層などが挙げられる。
[0097]
 Ni層とAl層とを接合して形成した積層金属箔においては、負極活物質となるLi-Al合金の割合を一定以上とするために、Ni層の厚みを100としたときに、Al層の厚み(ただし、Ni層の両面にAl層を接合させる場合には、片面あたりの厚み。以下同じ。)は、20以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましく、70以上であることが特に好ましい。また、集電効果を高め、Li-Al合金を十分に保持するために、Ni層とAl層とを接合して形成した積層金属箔において、Ni層の厚みを100としたときに、Al層の厚みは、500以下であることが好ましく、400以下であることがより好ましく、200以下であることが特に好ましく、180以下であることが最も好ましい。
[0098]
 なお、Ni層の厚みは、10~50μmであることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。また、Al層の厚み(ただし、Ni層の両面にAl層を接合させる場合には、片面あたりの厚みは、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが特に好ましく、一方、150μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが特に好ましい。
[0099]
 Ni層とAl層とが接合して形成された積層金属箔の厚みは、負極の容量を一定以上とするために、50μm以上であることが好ましく、60μm以上であることがより好ましく、また、正極活物質との容量比を適切な範囲とするために、300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることが特に好ましい。
[0100]
 なお、基材層を、Ni層に代えてCu層とする場合、そのCu層としては、Cu(および不可避不純物)からなる層や、合金成分としてZr、Cr、Zn、Ni、Si、Pなどを合計で1質量%以下の量で含み、残部がCuおよび不可避不純物であるCu合金からなる層などが挙げられる。Cu層の好適厚み(Cu層の厚みを100とした場合のAl層の好適厚み)やCu層を用いた場合の積層金属箔の好適厚みは、Ni層を用いた場合と同様である。
[0101]
 負極前駆体に使用するLi箔としては、Ll(および不可避不純物)からなる箔や、合金成分としてFe、Ni、Co、Mn、Cr、V、Ti、Zr、Nb、Moなどを合計で40質量%以下の量で含み、残部がLiおよび不可避不純物であるLi合金からなる箔などが挙げられる。
[0102]
 また、積層金属箔の表面にLi箔が貼り合わされて形成された前記の積層体を負極前駆体として用いて負極のAl活性層を形成する方法以外に、第2の方法として、前記積層金属箔をそのまま負極前駆体として使用して電池を組み立て、組み立て後の電池を充電する方法によっても、負極を構成するAl活性層を形成することができる。
[0103]
 すなわち、前記積層金属箔のAl金属層の少なくとも表面側のAlを、電池の充電によって非水電解液中のLiイオンと電気化学的に反応させることにより、少なくとも表面側にLi-Al合金が形成されたAl活性層とすることも可能である。
[0104]
 Li箔が貼り合わされていない前記積層金属箔を負極前駆体として用いる第2の方法によれば、電池の製造工程を簡略化することができる。ただし、負極前駆体を用いてAl活性層を形成することにより、Li-Al合金の不可逆容量を、負極前駆体のLi層のLiが相殺することになることから、高容量化のためには、第1の方法で負極を形成(負極のAl活性層を形成)することが好ましく、また、第1の方法に係る負極前駆体を用いて電池を組み立て、更に充電を行って負極を形成(負極のAl活性層を形成)してもよい。
[0105]
 非水電解液電池の第2の態様においては、負極活物質として作用する物質の結晶構造を良好に保って負極の電位を安定化させて、より優れた貯蔵特性を確保する観点から、第1の方法および第2の方法のいずれの方法によって負極のAl活性層を形成する場合であっても、負極のAl活性層におけるLiとAlとの合計を100原子%としたときのLiの含有量が、48原子%以下である範囲において電池を使用することが好ましい。すなわち、電池の充電時に、Al活性層のLiの含有量が48原子%を超えない範囲で充電を終止することが好ましく、Liの含有量が、40原子%以下である範囲において充電を終止することがより好ましく、35原子%以下である範囲において充電を終止することが特に好ましい。
[0106]
 前記積層金属箔のAl層は、全体がLiと合金化して活物質として作用してもよいが、Al層のうちの基材層側をLiと合金化させず、Al活性層を、表面側のLi-Al合金層と基材側に残存するAl層との積層構造とすることがより好ましい。
[0107]
 すなわち、前記の状態で充電を終止することにより、前記Al層のセパレータ側(正極側)を、Liと反応させてLi-Al合金(α相とβ相との混合相またはβ相)とし、一方、前記基材層との接合部付近のAl層は、実質的にLiと反応させずに元のAl層のまま残存するか、あるいは、セパレータ側よりもLiの含有量が低くなると推測され、元のAl層と基材層との優れた密着性を維持することができ、セパレータ側に形成されたLi-Al合金を基材層上に保持しやすくなると考えられる。特に、前記Al層のセパレータ側に形成されるLi-Al合金に、α相が混在した状態で充電を終止することがより好ましい。
[0108]
 なお、本発明では、「実質的にLiと合金化していないAl」は、Al層がLiを含有していない状態のほか、Liを数at%以下の範囲で固溶したα相の状態のものも対象とし、「実質的にLiと反応させない」とは、Liを数at%以下の範囲で固溶した状態も含め、Alがα相の状態のままで維持されることを指すものとする。
[0109]
 また、非水電解質電池の第2の態様においては、容量および重負荷放電特性をより高める観点から、LiとAlとの合計を100原子%としたときのLiの含有量が、20原子%以上となる範囲まで電池を充電することが好ましく、30原子%以上となる範囲まで電池を充電することがより好ましい。
[0110]
 負極におけるLiとAlとの合計を100原子%としたときのLiの含有量は、例えば誘導結合プラズマ(ICP)元素分析によって求めることができる。前記Liの含有量を求める負極を有する電池をArボックス中で分解して負極を取り出し、その正極と対向していた部分を略10mm四方に切り取って酸に溶解させ、これをICPによって元素分析することでAlとLiとの比を求め、その値から前記Liの含有量を算出する。本明細書で後記する実施例において示す値は、この方法により求めた値である。
[0111]
 前記のような電池の使用状況を実現しやすくするために、非水電解質電池の第2の態様において、第1の方法により負極を形成する場合に使用する負極前駆体では、電池組み立て時における、Al層の厚みを100としたときの前記Al層に貼り合せるLi層の厚みを、20以上とすることが望ましく、30以上とすることがより望ましく、一方、80以下とすることが望ましく、70以下とすることがより望ましい。
[0112]
 具体的なLi箔の厚みは、前記積層体の片面あたり20μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、また、80μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましい。
[0113]
 Li箔とAl層との貼り合わせは、圧着などの常法により行うことができる。
[0114]
 第1の方法で負極を形成する場合に用いる負極前駆体として使用する前記積層体は、Ni層とAl層とを接合した箔のAl層の表面に、Li箔を貼り合わせる方法で製造することができる。
[0115]
 負極を形成する第1の方法および第2の方法で用いる負極前駆体として使用する前記積層体におけるNi層には、常法に従って負極リード体を設けることができる。
[0116]
 次に、本発明の非水電解質二次電池に係る第1の態様と第2の態様とで共通する構成要素および構造の詳細について説明する。
[0117]
<正極>
 正極は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極活物質と、導電助剤と、バインダとを含有する正極合剤を有するものであり、例えば、前記正極合剤からなる層(正極合剤層)を集電体の片面または両面に有する構造のものや、前記正極合剤の成形体が挙げられる。
[0118]
 正極合剤に係る正極活物質としては、一次電池を構成する場合は、二酸化マンガン、フッ化黒鉛、二硫化鉄など、通常の非水電解質一次電池の正極活物質として使用されている材料を例示することができる。また、二次電池を構成する場合には、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なもので、通常の非水電解質二次電池の正極活物質として使用されているリチウム含有複合化合物などを例示することができる。このようなリチウム含有複合化合物としては、Li 1+x(-0.1<x<0.1、M :Co、Ni、Mn、Al、Mg、Ti、Zrなどより選択される1種以上の元素)で表される層状構造のリチウム含有複合酸化物、LiMn やその元素の一部を他元素で置換したスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物、Li 4/3Ti 5/3やその元素の一部を他元素で置換したスピネル構造のリチウムチタン複合酸化物、LiMn などの組成で表される、低温で合成されるリチウムマンガン複合酸化物、LiM PO (M :Co、Ni、Mn、Feなどより選択される1種以上の元素)で表されるオリビン型化合物などが挙げられる。前記層状構造のリチウム含有複合酸化物としては、LiCoO などのコバルト酸リチウムや、LiNi 1-aCo a-bAl (0.1≦a≦0.3、0.01≦b≦0.2)、少なくともCo、NiおよびMnを含む酸化物(LiMn 1/3Ni 1/3Co 1/3、LiMn 5/12Ni 5/12Co 1/6、LiNi 3/5Mn 1/5Co 1/5など)などのリチウム含有ニッケル複合酸化物、などを例示することができる。
[0119]
 二次電池の正極活物質が不可逆容量の大きな材料である場合には、負極集電体とAl層との積層体を負極前駆体として用いて電池を組み立て、組み立てた電池を充電して負極のLi-Al合金を形成するようにすれば、正極の不可逆容量の一部または全部を負極で相殺することができるので好ましい。
[0120]
 正極合剤に係るバインダには、負極合剤層に含有させ得るものとして先に例示した各種バインダと同じもの(PVDF、PTFE、SBR、CMCなど)などや、イミド系バインダ(ポリアミドイミド、ポリイミドなど)、アミド系バインダ(ポリアミド、アラミドなど)などを用いることができる。
[0121]
 また、正極合剤に係る導電助剤には、負極合剤層に含有させ得るものとして先に例示した各種導電助剤と同じもの〔天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛などの黒鉛(黒鉛質炭素材料);アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカ-ボンブラック;炭素繊維;などの炭素材料など〕を用いることができる。
[0122]
 正極は、正極合剤の成形体の場合には、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを混合して調製した正極合剤を所定の形状に加圧成形することで製造することができる。
[0123]
 また、正極合剤層と集電体とを有する形態の正極の場合には、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを水またはNMPなどの有機溶媒に分散させて正極合剤含有組成物(スラリー、ペーストなど)を調製し(バインダは溶媒に溶解していてもよい)、これを集電体上に塗布し乾燥し、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することができる。
[0124]
 正極合剤における正極活物質の含有量は、80~98.8質量%であることが好ましい。また、正極合剤における導電助剤の含有量は、1.5~10質量%であることが好ましい。更に、正極合剤におけるバインダの含有量は、0.3~10質量%であることが好ましい。
[0125]
 正極合剤の成形体の場合、その厚みは、0.15~4mmであることが好ましい。他方、正極合剤層と集電体とを有する形態の正極の場合、正極合剤層の厚み(集電体の片面あたりの厚み)は、30~300μmであることが好ましい。
[0126]
 正極の集電体としては、AlやAl合金などの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、Al箔が好適に用いられる。正極集電体の厚みは、10~30μmであることが好ましい。
[0127]
 正極には、常法に従って、電池内の他の部材と電気的に接続するためのリード体を取り付けることができる。
[0128]
<電極体>
 非水電解質電池において、正極と負極とは、セパレータを介して重ねて構成した積層体(巻回などされず、例えば電池の外装体の扁平面に略平行に、正極と負極とがセパレータを介して重ねられた状態で配置される積層電極体)や、この積層体を渦巻状に巻回して形成された巻回体(巻回電極体)の形態で使用される。
[0129]
<セパレータ>
 セパレータは、80℃以上(より好ましくは100℃以上)170℃以下(より好ましくは150℃以下)において、その孔が閉塞する性質(すなわちシャットダウン機能)を有していることが好ましく、通常の非水電解質二次電池などで使用されているセパレータ、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン製の微多孔膜を用いることができる。セパレータを構成する微多孔膜は、例えば、PEのみを使用したものやPPのみを使用したものであってもよく、また、PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜との積層体であってもよい。セパレータの厚みは、例えば、10~30μmであることが好ましい。
[0130]
 また、耐熱性を高めるために、前記のようなポリオレフィン製の微多孔膜の表面に、無機フィラーなどを含有する耐熱性の多孔質層を設けた積層型のセパレータや、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルペンテン、セルロース、アラミド、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの耐熱樹脂製の不織布セパレータなどを使用することもできる。
[0131]
<非水電解質電池の形態>
 非水電解質電池は、例えば、積層電極体を外装体内に装填し、更に外装体内に非水電解質を注入して非水電解質中に電極体を浸漬させた後、外装体の開口部を封止することで製造される。外装体には、スチール製やアルミニウム製、アルミニウム合金製の外装缶や、金属を蒸着したラミネートフィルムで構成される外装体などを用いることができる。外装缶を有する電池としては、より具体的には、外装缶と封口板とをガスケットを介してカシメ封口したり、外装缶と封口板とを溶接して封口したりする電池ケースを有する扁平形(コイン形、ボタン形を含む);有底筒形(円筒形、角筒形など)の外装缶の開口部に蓋体を配し、ガスケットを介してカシメ封口したり、外装缶と蓋体とを溶接して封口したりする筒形;などが挙げられる。
[0132]
 組み立て後の電池(第1の態様において負極活物質にLi-Al合金を使用する電池や、第2の態様の電池)は、満充電とした状態で比較的高温(例えば60℃)でエージング処理を施すことが好ましい。前記のエージング処理によって負極においてLi-Al合金の形成が進むため、電池の容量や負荷特性がより向上する。
実施例
[0133]
 以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
[0134]
(第1の態様の実施例)
実施例1
 厚みが40μmのNi箔の両面に、それぞれ、厚さ30μmのAl箔を積層した25mm×37mmの大きさのクラッド材(積層金属箔)を用意し、前記クラッド材の端部に、集電用のCu箔を超音波溶接し、更にそのCu箔の端部に、電池外部との導電接続のためのNiタブを超音波溶接したものを、負極を形成するための負極前駆体として電池の組み立てに用いた。
[0135]
 一方、正極は、以下のようにして作製した。コバルト酸リチウム:97.26質量部と、導電助剤であるアセチレンブラック:1.5質量部と、人造黒鉛:0.08質量部と、バインダであるPVDF:1.06質量部と、分散剤であるポリビニルピロリドン:0.09質量部とを、NMPに分散させたスラリーを調製し、これを厚みが12μmのAl箔の片面に塗布し、乾燥し、プレス処理を行うことにより、Al箔集電体の片面におよそ18mg/cm の質量の正極合剤層を形成した。なお、スラリーの塗布面の一部には正極合剤層を形成せず、Al箔が露出する箇所を設けた。更に、100℃で12時間の熱処理を行い、次いで、前記Al箔集電体を20mm×42mmの大きさに切断し、前記Al箔が露出する箇所に、電池外部との導電接続のためのAlタブを超音波溶接することにより、集電体の片面に20mm×29mmの大きさの正極合剤層を有する正極を作製した。
[0136]
 ベーマイト粒子をアクリル樹脂で結着した厚さ2μmの多孔質膜が、厚さ16μmのPE製の微多孔フィルムの片面に形成されてなる市販のセパレータを用い、以下のようにして電池を組み立てた。前記Niタブを溶接した負極前駆体の両側に、前記セパレータを介して前記正極をそれぞれ積層し、一組の積層電極体を作製した。また、PCとMECとの体積比1:2の混合溶媒に、LiBF を1.2mol/lの濃度で溶解させ、更に、3質量%となる量のアジポニトリルと、0.5質量%となる量のγ-ブチロラクトンと、1質量%となる量のリン酸トリス(トリメチルシリル)とを添加することにより、非水電解液を調製した。前記電極体を真空中60℃で15時間乾燥させた後、前記非水電解液と共にラミネートフィルム外装体の中に封入することにより、定格容量が20mAhで、図2に示す外観を有し、図3に示す断面構造の非水電解質二次電池を作製した。
[0137]
 ここで、図2および図3について説明すると、図2は非水電解質電池(二次電池)を模式的に表す平面図であり、図3は、図2のI-I線断面図である。非水電解質電池1は、2枚のラミネートフィルムで構成したラミネートフィルム外装体2内に、正極5と負極6とをセパレータ7を介して積層して構成した積層電極体と、非水電解液(図示しない)とを収容しており、ラミネートフィルム外装体2は、その外周部において、上下のラミネートフィルムを熱融着することにより封止されている。なお、図3では、図面が煩雑になることを避けるために、ラミネートフィルム外装体2を構成している各層、正極5および負極6の各層、並びにセパレータ7の各層を区別して示していない。
[0138]
 正極5は、電池1内でリード体を介して正極外部端子3と接続しており、また、図示していないが、負極6も、電池1内でリード体を介して負極外部端子4と接続している。そして、正極外部端子3および負極外部端子4は、外部の機器などと接続可能なように、片端側がラミネートフィルム外装体2の外側に引き出されている。
[0139]
実施例2
 非水電解液中のリン酸トリス(トリメチルシリル)の添加量を2質量%とした以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
[0140]
実施例3
 非水電解液中のリン酸トリス(トリメチルシリル)の添加量を5質量%とした以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
[0141]
実施例4
 非水電解液中のリン酸トリス(トリメチルシリル)の添加量を8質量%とした以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
[0142]
実施例5
 非水電解液の混合溶媒として、ECとMECとの体積比1:2の混合溶媒を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
[0143]
実施例6
 非水電解液にリン酸トリス(トリメチルシリル)を添加せず、アジポニトリル:3質量%とγ-ブチロラクトン:0.5質量%のみを添加した非水電解液を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
[0144]
実施例7
 非水電解液中のリン酸トリス(トリメチルシリル)の添加量を10質量%とした以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
[0145]
比較例1
 リン酸トリス(トリメチルシリル)、アジポニトリルおよびγ-ブチロラクトンを添加せず、PCとMECとの体積比1:2の混合溶媒に、LiBF を1.2mol/lの濃度で溶解させただけの非水電解液を調製した。前記電解液を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
[0146]
比較例2
 平均粒径が20μmの人造黒鉛と、スチレンブタジエンゴムと、カルボキシメチルセルロースとを有する負極合剤層をCu集電箔上に形成し、黒鉛系の負極活物質を有する負極を作製した。前記負極を用いた以外は、実施例5と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
[0147]
 実施例1~7および比較例1、2の非水電解質二次電池について、以下のようにして、初期充放電効率、および高温貯蔵後の特性(放電容量および低温負荷特性)について評価を行った。
[0148]
<初期充放電効率の評価>
 実施例1~7および比較例1、2の各電池について、定電流(4mA)-定電圧(4.0V)充電を行い、充電電流が0.2mAまで低下した時点で充電を終止して初期充電容量を測定した。この充電により、負極前駆体のAlはLi-Al合金に変化した。次いで、充電後の各電池を、4mAの定電流で放電(放電終止電圧:2V)させて、初期放電容量を測定した。そして、各電池について、初期放電容量を初期充電容量で除した値を百分率で表して、初期充放電効率を算出した。
[0149]
<高温貯蔵後の特性評価>
 実施例1~7および比較例1、2の各電池(ただし、初期充放電効率測定に用いたのとは別の電池)について、定電流(4mA)-定電圧(4.0V)充電を行い、充電電流が0.2mAまで低下した時点で充電を終止した。次いで、充電後の各電池を、4mAの定電流で放電(放電終止電圧:2V)させた。
[0150]
 次いで、前記放電後の各電池を、前記と同じ条件で定電流-定電圧充電をした後に、100℃の環境下で5日間貯蔵し、貯蔵後に室温まで冷却してから、4mAの定電流で放電(放電終止電圧:2V)させた。続いて、各電池について、前記と同じ条件で定電流-定電圧充電をした後に、4mA(0.2C)の定電流で放電(放電終止電圧:2V)させて、高温貯蔵後の室温での放電容量を測定した。
[0151]
 また、実施例1~7および比較例1、2の各電池(ただし、初期充放電効率測定および高温貯蔵後の放電容量測定に用いたのとは別の電池)について、高温貯蔵後の放電容量測定と同じ条件で、定電流-定電圧充電、放電、定電流-定電圧充電、および100℃の環境下での5日間貯蔵を行い、冷却後に定電流放電を行った。続いて、各電池について、前記と同じ条件で定電流-定電圧充電をした後に、-20℃の環境下に静置し、各電池の温度が低下してから28mA(1.4C)の定電流で放電(放電終止電圧:2V)させて、高温貯蔵後の低温での放電容量を測定した。このときの放電容量により高温貯蔵後の低温負荷特性を評価した。
[0152]
 前記の各評価結果を表1に示す。
[0153]
[表1]


[0154]
 本発明の各実施例の電池は、リン酸トリス(トリメチルシリル)を電解液に添加しなかった比較例1の電池に比べて、初期充放電効率および高温貯蔵後の低温での負荷特性が向上した。特に、前記添加剤の添加量を最も好適な範囲とした実施例2の電池において、特に優れた特性が得られた。
[0155]
 また、プロピレンカーボネートを電解液の全溶媒中で20体積%以上含有させた実施例1~4の電池は、プロピレンカーボネートをエチレンカーボネートに置き換えた実施例5の電池に比べ、前記添加剤の効果が明確となり、高温貯蔵後の低温での負荷特性を大幅に向上させることができた。
[0156]
 一方、実施例6の電池は、前記添加剤を添加しなかったため、その効果が発揮されず、また、実施例7の電池は、前記添加剤の添加量が多すぎたため、抵抗の増大による負荷特性の低下が認められた。そのため、これら実施例の電池は、実施例1~4の電池に比べると高温貯蔵後の放電容量が低下したものの、第2の態様に係る非水電解質を用いたことにより、電解液に添加剤を全く含有しない比較例3の電池に比べ、高温貯蔵後の特性を改善することができた。また、比較例2の電池は、黒鉛を負極活物質としたため、Li-Al合金を負極活物質とした実施例5の電池に比べ、リン酸トリス(トリメチルシリル)を電解液に添加する効果が低減した。
[0157]
実施例8
 厚みが40μmのNi箔の両面に、それぞれ、厚さ30μmのAl箔を積層した160mm×25mmの大きさのクラッド材(積層金属箔)とした以外は実施例1と同様にして、負極を形成するための負極前駆体として電池の組み立てに用いた。
[0158]
 正極は、厚みが12μmのAl箔集電体を164mm×20mmの大きさに切断し、前記Al箔が露出する箇所に、電池外部との導電接続のためのAlタブを超音波溶接することにより、集電体の片面に89mmの長さの正極合剤層を有し、他面に149mmの長さの正極合剤層を有する正極を作製した。
[0159]
 前記負極前駆体と正極とを実施例1と同様のセパレータを介して渦巻状に巻回した後、押圧して扁平状の巻回電極体を作製し、この巻回電極体を用いた以外は実施例1と同様にして、定格容量が82mAhの非水電解質二次電池を作製した。
[0160]
<初期充放電効率の評価>
 実施例8の電池について、定電流(16.4mA)-定電圧(4.0V)充電を行い、充電電流が0.82mAまで低下した時点で充電を終止して初期充電容量を測定した。この充電により、負極前駆体のAlはLi-Al合金に変化した。次いで、充電後の各電池を、16.4mAの定電流で放電(放電終止電圧:2V)させて、初期放電容量を測定した。そして、各電池について、初期放電容量を初期充電容量で除した値を百分率で表して、初期充放電効率を算出した。
[0161]
<高温貯蔵後の特性評価>
 実施例8の電池(ただし、初期充放電効率測定に用いたのとは別の電池)について、定電流(16.4mA)-定電圧(4.0V)充電を行い、充電電流が0.82mAまで低下した時点で充電を終止した。次いで、充電後の各電池を、16.4mAの定電流で放電(放電終止電圧:2V)させた。
[0162]
 次いで、前記放電後の各電池を、前記と同じ条件で定電流-定電圧充電をした後に、100℃の環境下で5日間貯蔵し、貯蔵後に室温まで冷却してから、16.4mAの定電流で放電(放電終止電圧:2V)させた。続いて、各電池について、前記と同じ条件で定電流-定電圧充電をした後に、16.4mA(0.2C)の定電流で放電(放電終止電圧:2V)させて、高温貯蔵後の室温での放電容量を測定した。定格容量に対する高温貯蔵後の放電容量の割合(回復率)により、各電池の高温貯蔵特性を評価した。
[0163]
 また、実施例8の電池(ただし、初期充放電効率測定および高温貯蔵後の放電容量測定に用いたのとは別の電池)について、高温貯蔵後の放電容量測定と同じ条件で、定電流-定電圧充電、放電、定電流-定電圧充電、および100℃の環境下での5日間貯蔵を行い、冷却後に定電流放電を行った。続いて、各電池について、前記と同じ条件で定電流-定電圧充電をした後に、-20℃の環境下に静置し、各電池の温度が低下してから114.8mA(1.4C)の定電流で放電(放電終止電圧:2V)させて、高温貯蔵後の低温での放電容量を測定した。このときの放電容量により高温貯蔵後の低温負荷特性を評価した。
[0164]
 前記の各評価結果を表2に示す。表2には、実施例1の電池における前記の評価結果も併記する。
[0165]
[表2]


[0166]
 表2に示す通り、巻回電極体を用いた実施例8の非水電解質二次電池は、積層電極体を用いた実施例1の電池と同様に、初期充放電効率および高温貯蔵後の低温負荷特性が良好であった。
[0167]
(第2の態様の実施例)
実施例9
 厚さ30μmのNi箔の両面に、それぞれ、厚さ30μmのAl箔を積層した25mm×40mmの大きさのクラッド材(積層金属箔)を負極前駆体として用いた。前記クラッド材の端部に、集電用のCu箔を超音波溶接し、更にそのCu箔の端部に、電池外部との導電接続のためのNiタブを超音波溶接したものを電池の組み立てに用いた。
[0168]
 一方、正極は、以下のようにして作製した。コバルト酸リチウム:97質量部と、導電助剤であるアセチレンブラック:1.5質量部と、バインダであるPVDF:1.5質量部とを、NMPに分散させたスラリーを調製し、これを厚さ12μmのAl箔の片面に塗布し、乾燥し、プレス処理を行うことにより、Al箔集電体の片面におよそ23mg/cm の質量の正極合剤層を形成した。なお、スラリーの塗布面の一部には正極合剤層を形成せず、Al箔が露出する箇所を設けた。次いで、前記Al箔集電体を20mm×45mmの大きさに切断し、前記Al箔が露出する箇所に、電池外部との導電接続のためのAlタブを超音波溶接することにより、集電体の片面に20mm×30mmの大きさの正極合剤層を有する正極を作製した。
[0169]
 前記Niタブを溶接した負極前駆体の両側に、厚さ16μmのPE製の微多孔フィルムよりなるセパレータを介して前記正極をそれぞれ積層し、一組の電極体を作製した。また、プロピレンカーボネート(PC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との体積比1:2の混合溶媒に、LiBF を1mol/lの濃度で溶解させ、更にアジポニトリルを3質量%となる量で添加することで、非水電解液を調製した。前記電極体を真空中60℃で15時間乾燥させた後、前記非水電解液とともにラミネートフィルム外装体の中に封入することにより、定格容量が30mAhで、図2に示す外観を有し、図3に示す断面構造の非水電解液電池を作製した。
[0170]
実施例10
 厚さ30μmのCu箔の両面に、それぞれ、厚さ30μmのAl箔を積層した25mm×40mmの大きさのクラッド材(積層金属箔)を負極前駆体として用いた以外は、実施例9と同様にして、定格容量30mAhの非水電解液電池を作製した。
[0171]
実施例11
 厚さ30μmのNi箔の片面に、厚さ30μmのAl箔を積層した25mm×40mmの大きさのクラッド材(積層金属箔)を負極前駆体として用いた。前記クラッド材の端部に、集電用のCu箔を超音波溶接し、更にそのCu箔の端部に、電池外部との導電接続のためのNiタブを超音波溶接したものを電池の組み立てに用いた。
[0172]
 一方、正極は、以下のようにして作製した。実施例9と同様のスラリーを厚さ12μmのAl箔の両面にそれぞれ塗布し、乾燥し、プレス処理を行うことにより、Al箔集電体の両面それぞれに、およそ23mg/cm の質量の正極合剤層を形成した。なお、Al箔の一部には、両面とも正極合剤層を形成せず、Al箔が露出する箇所を設けた。次いで、前記Al箔集電体を20mm×45mmの大きさに切断し、前記Al箔が露出する箇所に、電池外部との導電接続のためのAlタブを超音波溶接することにより、集電体の両面にそれぞれ20mm×30mmの大きさの正極合剤層を有する正極を作製した。
[0173]
 前記正極の両側に、厚さ16μmのPE製の微多孔フィルムよりなるセパレータを介して前記負極をそれぞれ積層し、一組の電極体を作製した。以下、実施例9と同様にして、定格容量30mAhの非水電解液電池を作製した。
[0174]
実施例12
 アジポニトリルの含有量を0.9質量%に変更した以外は実施例9と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例9と同様にして非水電解液電池を作製した。
[0175]
実施例13
 γ-ブチロラクトンを0.5質量%となる量で添加した以外は実施例9と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例9と同様にして非水電解液電池を作製した。
[0176]
比較例3
 PCに変えてエチレンカーボネートを用いた以外は実施例9と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例9と同様にして非水電解液電池を作製した。
[0177]
比較例4
 アジポニトリルを添加しなかった以外は実施例9と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例9と同様にして非水電解液電池を作製した。
[0178]
比較例5
 LiBF に代えてLiPF を用いた以外は実施例9と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例9と同様にして非水電解液電池を作製した。
[0179]
 実施例9~13および比較例3~5の各電池について、組み立てから24時間放置した後、以下の化成処理を施してから、以下の項目について評価を行った。化成処理では、各電池について、定電流(6mA)-定電圧(4.0V)充電を行い、充電電流が0.3mAまで低下した時点で充電を終止して満充電状態とし、更に60℃で24時間エージングを実施し、2時間冷却した後に、更に前記と同じ条件で定電流定電圧充電を行った。
[0180]
<負極の平坦性>
 実施例9~13および比較例3~5の各電池をアルゴンガス雰囲気中で分解して負極を取り出し、その変形の程度を目視で確認した。なお、いずれの負極についても、クラッド材を構成するAl箔の正極合剤層と対向する部分にLi-Al合金が形成されており、周縁部の正極合剤層と対向していない部分は、Liと反応せずAlのままの状態で存在していた。
[0181]
 また、負極のAl活性層におけるLiとAlとの合計を100原子%としたときのLiの含有量は、実施例および比較例のいずれの電池においても、31原子%であった。
[0182]
 なお、平坦性は、基材層の両面にAl層を有し、更にこれらのAl層の表面にLi層を形成したものを使用した実施例9、10、12、13の電池に係る負極の方が、基材層の片面にのみAl層を有し、その表面にLi層を形成したものを使用した実施例11の電池に係る負極よりも優れていた。
[0183]
<貯蔵特性>
 実施例9~13および比較例3~5の各電池について、定電流(6mA)-定電圧(4.0V)充電を行い、充電電流が0.3mAまで低下した時点で充電を終止した。次いで、6mAの定電流で放電(放電終止電圧:2V)させて放電容量(初期放電容量)を測定し、更に、前記充電条件で充電を行って電池を満充電状態とした。
[0184]
 この満充電状態の各電池を細い絹糸でぶら下げ、純水の中に電池が完全に水面下に沈むまで水没させて水中での重量を測定した。
[0185]
 満充電状態とした各電池を、85℃で10日間貯蔵した後、室温まで冷却してから、先と同様にして水中での重量を測定し、貯蔵前の水中での重量との差を求めた。貯蔵前と比較して貯蔵後に電池の体積が膨張した分だけ、水没させた際に押しのけられる水の体積が大きくなり、その押しのけられた水の分だけ電池の重量が軽くなる。このようにして貯蔵前後の電池の水中での重量差から貯蔵前後での電池の体積差を算出し、この体積差をガスの発生量とした。
[0186]
 また、前記のガス量測定後の各電池を6mAの定電流で放電(放電終止電圧:2V)させた。その後、各電池について、前記充電条件での充電と、6mAでの放電(放電終止電圧:2V)とを行い、高温貯蔵後の放電容量(回復容量)を測定した。初期放電容量に対する回復容量の割合(容量回復率)により、各電池の高温貯蔵特性を評価した。
[0187]
 また、回復容量測定後の各電池について、前記充電条件での充電と、-20℃の環境下で30mAでの放電(放電終止電圧:2V)とを行い、高温貯蔵後の低温環境下での放電容量を測定した。
[0188]
 各電池の貯蔵特性の評価結果を表3に示す。
[0189]
[表3]


[0190]
 表3に示す通り、基材層と、基材層の少なくとも片面に接合されたAl層とを含有する積層体を有し、Al層の少なくとも表面側にLi-Al合金が形成されている負極を備え、かつLiBF 、PCおよびニトリル化合物(アジポニトリル)を含有する非水電解液を使用した実施例9~13の電池は、高温貯蔵後において、容量回復率が高くかつガス発生が抑えられており、更に高温貯蔵を経た後においても低温環境下で良好に放電できており、優れた貯蔵特性を有していた。また、非水電解液におけるアジポニトリルの含有量を高めた実施例12の電池や、非水電解液にγ-ブチロラクトンを添加した実施例13の電池は、高温貯蔵を経た後の低温環境下での放電特性が特に良好であった。
[0191]
 これに対し、PCに代えてエチレンカーボネートを用いた非水電解液を使用した比較例3の電池、およびLiBF に代えてLiPF を用いた非水電解液を使用した比較例5の電池は、高温貯蔵を経た後の低温環境下での放電特性が劣っていた。また、比較例5の電池は、高温貯蔵後の容量回復率が低く、高温貯蔵後のガス発生量も多かった。更に、アジポニトリルを添加しない非水電解液を使用した比較例4の電池は、高温貯蔵後のガス発生量が多かった。
[0192]
 本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、前記以外の形態としても実施が可能である。本出願に開示された実施形態は一例であって、本発明は、これらの実施形態には限定されない。本発明の範囲は、前記の明細書の記載よりも、添付されている請求の範囲の記載を優先して解釈され、請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更は、請求の範囲に含まれる。

産業上の利用可能性

[0193]
 本発明の非水電解質電池の第1の態様および第2の態様は、高温環境下での貯蔵を経ても、低温下においても優れた負荷特性を発揮し得るものであることから、こうした特性を生かして、車両緊急通報システムの電源用途のように、高温環境下に置かれた後に、低温下でも良好に放電できることが求められる用途に好ましく適用することができる。また、本発明の非水電解質電池の第1の態様は、負極の不可逆容量が減少するため、二次電池を構成した場合には、初期の充放電効率を向上させることができる。
[0194]
 本発明の非水電解質電池の第2の態様は、繰り返しの充電が可能であり、かつ貯蔵特性が良好であることから、こうした特性を生かして、車両緊急通報システムの電源用途のように、高温環境下で長期にわたって容量を良好に維持できることが求められたり、高温環境下での貯蔵を経た後に低温環境下で良好に放電できることが求められたりする用途に好ましく適用することができる。

符号の説明

[0195]
   1 非水電解質電池(二次電池)
   2 ラミネートフィルム外装体
   5 正極
   6 負極
   7 セパレータ
 100 負極前駆体
 101 積層金属箔
 101a 金属基材層
 101b Al金属層
 102 Li箔

請求の範囲

[請求項1]
 負極、正極および非水電解質を有する非水電解質電池であって、
 前記負極は、Li、Li合金、Liと合金化可能な元素および前記元素を含む化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の負極活物質を含有しており、
 前記非水電解質は、下記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物を8質量%以下の範囲で含有していることを特徴とする非水電解質電池。
[化1]


〔前記一般式(1)中、XはSi、GeまたはSnであり、R 、R およびR は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基または炭素数6~10のアリール基を表し、水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。〕
[請求項2]
 前記負極が負極活物質としてLi-Al合金を含有している請求項1に記載の非水電解質電池。
[請求項3]
 前記非水電解質は、トリメチルシリル基を分子内に有するリン酸化合物を含有している請求項1または2に記載の非水電解質電池。
[請求項4]
 前記非水電解質は、プロピレンカーボネートを全溶媒中で10体積%以上含有している請求項1~3のいずれかに記載の非水電解質電池。
[請求項5]
 前記非水電解質は、更にニトリル化合物を含有している請求項1~4のいずれかに記載の非水電解質電池。
[請求項6]
 前記非水電解質は、更にラクトン環を有する化合物を含有している請求項1~5のいずれかに記載の非水電解質電池。
[請求項7]
 請求項1~6のいずれかに記載の非水電解質電池を製造する方法であって、
 前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物を8質量%以下の範囲で含有する非水電解質を用いることを特徴とする非水電解質電池の製造方法。
[請求項8]
 前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物の、前記非水電解質における含有量が、0.1質量%以上である請求項7に記載の非水電解質電池の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]