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1. (WO2017002963) COMPOSITION DE GRAISSE/D'HUILE
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明 細 書

発明の名称 油脂組成物

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

0006   0007   0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060  

実施例

0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

明 細 書

発明の名称 : 油脂組成物

技術分野

[0001]
 本発明は、食品の改質剤として好適な油脂組成物に関する。

背景技術

[0002]
 即席麺は通常、原料を配合して混練する工程(配合・混練工程)、混練した生地を圧延して麺帯を得る工程(圧延工程)、麺帯を切り出して麺線を得る工程(切り出し工程)、麺線を蒸す工程(蒸し工程)、蒸した麺をパッケージングに適した形状に成形する工程(成形工程)、成形した麺を乾燥する工程(乾燥工程)を経て製造される。
 上記蒸し工程により、麺線表面の澱粉が糊化(α化)し、麺線外層が強化されるため、その後の乾燥工程における麺線のひび割れ等を防止することができる。また、上記蒸し工程により澱粉が膨潤するため、最終製品である即席麺の湯戻り時間を短縮することができる。したがって、上記蒸し工程は即席麺の製造において必須の工程とされている。
 一方、上記蒸し工程による麺線表面の糊化により、麺線同士が結着する現象も生じる。麺線同士が結着するとその後の成形工程において成形不良が生じやすくなる。また、得られる即席麺は結着部分が湯戻りしにくく、食感が不均一となる。
 このように、上記蒸し工程は即席麺の品質に大きく影響する。
[0003]
 茹で麺や蒸し麺において、麺線同士の結着を防止するために、従来から麺線表面に食用油脂が噴霧され、麺線表面の状態を改質することが行われている。また、麺線への油脂の付着性等を向上させるために、油脂に乳化剤を添加した油脂組成物を麺線表面に付着させることも知られている。
 例えば特許文献1には、エステル化率が20%以下で、かつ、HLBが8~12のポリグリセリン脂肪酸エステルと大豆レシチンを含有する茹で・蒸し麺類用油脂組成物が記載され、この油脂組成物を茹でた中華麺やうどんに噴霧等することにより、麺線のほぐれ性を向上させたことが記載されている。
[0004]
 また、油脂ないし油脂組成物は米飯の結着を抑制(ほぐれ性改善)する目的にも使用されている。例えば特許文献2には、食用油脂に、グリセリンの重合度が2以上のポリグリセリンのモノオレート、モノラウレートおよびモノミリステートより選ばれる少なくとも1種と、酵素分解レシチンおよび/またはレシチンと、エタノールとを配合してなる特定の水溶性油脂調製物が記載され、この水溶性油脂調製物を炊飯時に添加することにより、得られる米飯のほぐれ性を向上させることができ、また、米飯にお茶を注いでも油浮きが生じなかったことが記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2003-169号公報
特許文献2 : 特開2005-323537号公報

発明の概要

[0006]
 本発明は、食用油脂を70.0~96.5質量%、ジグリセリンモノラウレートを0.5~10.0質量%、及びジグリセリンモノオレートを3.0~20.0質量%含有し、該ジグリセリンモノラウレートの含有量と該ジグリセリンモノオレートの含有量が下記数式を満たす、油脂組成物を提供するものである。
[ジグリセリンモノオレートの含有量]×2≧[ジグリセリンモノラウレートの含有量]
[0007]
 また本発明は、上記油脂組成物の油脂を油相として有する水中油型乳化組成物を提供するものである。
 また本発明は、上記油脂組成物又は乳化組成物を用いた食品を提供するものである。
 また本発明は、上記油脂組成物又は乳化組成物と、蒸し工程後の麺線とを接触させることにより、前記麺線表面に前記食用油脂を付着させることを含む、即席麺の製造方法を提供するものである。
 さらに本発明は、上記油脂組成物又は乳化組成物の存在下で炊飯することを含む、米飯の製造方法を提供するものである。
 本発明において、成分含有量は、特に断りのない限り質量基準である。
[0008]
 本発明の上記及び他の特徴及び利点は、下記の記載からより明らかになるであろう。

発明を実施するための形態

[0009]
 即席麺の製造においては、一般に、蒸し工程後の麺線に対して塩味等の所望の味付けがなされる。この味付けは塩分等の調味成分を溶解してなる水性液(以下、「調味液」という。)を麺線表面に噴霧等することにより行うことができる。したがって、油脂と調味液とを混合して乳化分散させた乳化液を麺線に噴霧等することにより、水相成分による麺線の味付けと、油相成分の麺線表面への付着とを、1ステップで効率的に行うことができる。
[0010]
 上記乳化液に用いる油脂組成物の実用化に際しては、油脂組成物の製剤としての高度な品質安定性(保存安定性)と共に、調味液と混合した際に容易に水中油型に乳化分散できる易乳化性や、この乳化分散状態を高温下においても安定的に維持できる高度な乳化安定性等が要求される。
[0011]
 また、上記の要求を満たす油脂組成物は、米飯のほぐれ性改善においても有用である。炊飯時の水に添加した際に容易に乳化分散して均質な乳化状態を形成することができ、しかも炊飯時の高温に曝されても乳化分散状態を安定に維持できれば、炊き上げた米飯全体に、均質に油脂を付着させることができ、高品質の米飯を得ることができる。
 また、いわゆる炊き込みご飯等を作る際には、炊飯時の水に醤油やダシが加えられる。したがって、調味液中に容易に乳化分散でき、且つこの乳化分散状態が高温下においても安定な油脂組成物は、米飯のほぐれ性改善用途において汎用性が高く、実用性に優れたものとなる。
[0012]
 本発明は、油脂中に乳化剤を安定的に溶解してなる、食品改質剤として好適な油脂組成物であって、水と混合した場合のみならず、塩分等を含む調味液と混合した際にも、緩やかな撹拌で容易に乳化分散して水中油型の乳化液を形成することができ、且つ、かかる乳化液が高温下においても優れた乳化安定性を示す、油脂組成物の提供に関する。
 また本発明は、上記油脂組成物の油脂を油相として有する水中油型乳化組成物の提供に関する。
 また本発明は、上記油脂組成物又は乳化組成物を用いた食品の提供に関する。
 さらに本発明は、上記油脂組成物又は乳化組成物を用いた即席麺ないし米飯の製造方法の提供に関する。
[0013]
 本発明者らは、特定量の食用油脂中に、ジグリセリンモノラウレート及びジグリセリンモノオレートを特定量溶解してなる油脂組成物が、溶解安定性に優れ、保存中に沈殿が生じにくく保存安定性に優れることを見い出した。さらに本発明者らは、当該油脂組成物が、水と混合した場合だけでなく、塩分を含む調味液と混合した際にも、緩やかに撹拌するだけで容易に水中油型の乳化液を形成でき、且つ、当該乳化液が高温下においても優れた乳化安定性を示すことを見い出した。
 本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
[0014]
 本発明の油脂組成物の好ましい実施形態について説明する。
[0015]
 本発明の油脂組成物は、少なくとも食用油脂と、ジグリセリンモノラウレート(以下、「DGML」という。)と、ジグリセリンモノオレート(以下、「DGMO」という。)とを特定量含有する。本発明の油脂組成物を構成する各成分について順に説明する。
[0016]
 本発明に用いる食用油脂は、20℃において液状の油脂であり、好ましくは5℃において液状の油脂である。本明細書において「20℃において液状の油脂」とは、20℃において固体脂含量が1質量%以下である油脂を意味する。また、「5℃において液状の油脂」とは、5℃において固体脂含量が1質量%以下である油脂を意味する。油脂の固体脂含量は、日本油化学協会制定の規準油脂分析試験法の2.2.9固体脂含量 NMR法 に記載の方法に従い測定される。
 本発明に用いる食用油脂は、植物性油脂であることが好ましい。当該植物性油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、米油、ひまわり油、胡麻油、及びこれらのエステル交換油もしくは分別油から選ばれる1種又は2種以上の油脂が挙げられ、大豆油、菜種油、及びコーン油から選ばれる油脂が好ましい。
[0017]
 本発明の油脂組成物中、食用油脂の含有量は70.0~96.5質量%である。油脂組成物の風味の観点から、本発明の油脂組成物中の食用油脂の含有量は75.0質量%以上が好ましく、80.0質量%以上がより好ましく、85.0質量%以上がより好ましく、87.0質量%以上がさらに好ましく、90.0質量%以上がさらに好ましい。また、食品の結着抑制作用の観点から、本発明の油脂組成物中の食用油脂の含有量は、96.0質量%未満が好ましく、95.5質量%以下がより好ましく、95.0質量%以下がさらに好ましく、94.5質量%以下がさらに好ましい。
[0018]
 本発明の油脂組成物中、DGMLの含有量は0.5~10.0質量%である。本発明の油脂組成物が、DGMOと共にDGMLを上記特定量含有することにより、本発明の油脂組成物を用いて水中油型の乳化組成物を調製した際に、当該乳化組成物の耐熱性(高温下における乳化安定性)だけでなく、耐塩・耐熱性(水相に塩分を含む場合における耐熱性)をも、より向上させることができる。乳化組成物の安定性の観点から、本発明の油脂組成物中、DGMLの含有量は0.8質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましい。また、乳化組成物の耐塩・耐熱性の観点から、本発明の油脂組成物中、DGMLの含有量は8.0質量%以下が好ましく、6.0質量%以下がより好ましく、5.0質量%以下がさらに好ましく、4.0質量%以下がさらに好ましく、3.0質量%以下がさらに好ましく、2.0質量%以下がさらに好ましい。
[0019]
 本発明の油脂組成物中、DGMOの含有量は3.0~20.0質量%である。本発明の油脂組成物がDGMOを上記特定量含有することにより、本発明の油脂組成物を水又は水性液と混合した際に、より緩やかな撹拌でも容易に乳化分散して水中油型乳化組成物を形成することができる。油脂組成物の風味の観点から、本発明の油脂組成物中、DGMOの含有量は15.0質量%以下が好ましく、10.0質量%以下がより好ましく、8.0質量%以下がさらに好ましく、6.0質量%以下がさらに好ましい。
[0020]
 本発明の油脂組成物において、DGMLの含有量(質量%)とDGMOの含有量(質量%)は下記数式(I)を満たす関係にある。
  [DGMOの含有量]×2≧[DGMLの含有量]    (I)

 本発明の油脂組成物中、DGMLの含有量とDGMOの含有量とが上記数式(I)を満たすことにより、DGMOが、DGMLを油脂中に溶解するための可溶化剤として効果的に機能することができ、食用油脂中へのDGMLの溶解安定性をより高めることができる。乳化組成物の耐塩・耐熱性を高める観点から、DGMLの含有量(質量%)とDGMOの含有量(質量%)は下記数式(II)を満たすことが好ましい。
  [DGMOの含有量]≧[DGMLの含有量]×2    (II)
[0021]
 本発明の油脂組成物は、さらにレシチンを含有していてもよい。本発明の油脂組成物がレシチンを含有することにより、本発明の油脂組成物を、塩分を含有する調味液中に乳化分散させた際に、その乳化安定性をより高めることができる。
 本発明の油脂組成物がレシチンを含有する場合、本発明の油脂組成物中のレシチンの含有量は0.5~3.0質量%が好ましく、1.0~2.0質量%がより好ましい。
[0022]
 本発明の油脂組成物は、そのまま、あるいは必要により所望の調味成分を溶解した水相中に乳化分散させた状態で、各種食品に用いることにより、食品のほぐれ性、食感、風味、味、外観等を改質することができる。
 例えば、即席麺の製造において、蒸し工程後の麺線表面に付着させることにより、麺線同士の結着を抑制し、ほぐれ性に優れた即席麺を得ることができる。また、本発明の油脂組成物を調味液中に乳化分散させて乳化液を調製し、当該乳化液を麺線表面に噴霧することにより、麺線のほぐれ性を効果的に改善しながら麺線に所望の味付けをすることができる。しかも、本発明の油脂組成物を用いれば、上記の麺線表面への乳化液の噴霧を、高温下においても安定して実施できる。すなわち本発明の油脂組成物は即席麺等の工業的生産に好ましく適用できる。
[0023]
 また、本発明の油脂組成物は、例えば、炊飯時の水に添加することにより、水中に容易に乳化分散することができ、且つ、この乳化状態が炊飯中の高温下でも安定的に維持されるので、炊き上げた米飯表面に油脂をより均一に付着させることができる。つまり、米飯のほぐれ性を効果的に改善することができる。さらに、炊飯時の水に塩分等の調味成分が含まれていても、本発明の油脂組成物は容易に乳化分散することができ、この乳化状態が高温下でも安定的に維持されるため、炊き込みご飯等を炊き上げた際にも、米飯表面に本発明の油脂組成物をより均一に付着させることができる。
[0024]
 また、本発明の油脂組成物は、例えば、蒸し焼きそばなどのチルド麺に適用することにより、調理時のほぐれ性を向上させることができる。麺を加熱処理した後、油脂組成物もしくは油脂組成物を乳化分散させた乳化液を麺線表面にコーティングすることで、保存時および調理時における麺線の結着を抑制し、ほぐれ性を改善することができる。
[0025]
 また、本発明の油脂組成物は、例えば、ノンフライタイプのスナック菓子の食感向上のために使用することができる。ノンフライタイプのスナック菓子の製造において、熱風乾燥工程前に、油脂組成物を乳化分散させた乳化液中に生地を浸漬し、あるいは生地表面に当該乳化液を噴霧することで、スナック菓子をサクサクとした軽い食感に仕上げることができる。
[0026]
 また、本発明の油脂組成物は、例えば、揚げ菓子の食感保持のために使用することができる。揚げ菓子の生地を油ちょうした後、油脂組成物を菓子表面に塗布又は噴霧し、あるいは油脂組成物中に菓子を浸漬させることにより、揚げ菓子表面を油脂組成物で均一に被覆することができる。これにより、保存中の吸湿による食感劣化を抑えることができ、日が経ってもサクサクとした食感を維持することができる。さらに、油脂組成物を調味液中に乳化分散させた乳化液を用いれば、揚げ菓子の食感を保持しながら揚げ菓子に所望の味付けをすることができる。
[0027]
 本発明の油脂組成物は、食用油脂中に乳化剤が安定的に溶解してなり、沈殿が生じにくく、製剤としての保存安定性が高い。また、本発明の油脂組成物は、水と混合した場合だけでなく、調味液と混合した際にも、緩やかに撹拌するだけで容易に乳化分散して水中油型の乳化液を形成することができ、且つ、かかる乳化液は高温下においても優れた乳化安定性を示す。したがって本発明の油脂組成物は、各種食品の改質剤として汎用性が高い。
[0028]
 なかでも本発明の油脂組成物は、食品の結着抑制剤として用いることが好ましい。当該食品に特に制限はないが、即席麺(麺線)又は米飯が好ましい。即席麺に特に制限はなく、中華麺、うどん、そば、パスタ、フォー等を挙げることができる。また、米飯は白米、玄米、胚芽米等、水で炊き上げる米飯であってもよく、また、いわゆる炊き込みご飯のように、醤油等の塩分やダシを含む調味液で炊き上げる米飯であってもよい。
[0029]
 本発明の油脂組成物の調製方法に特に制限はなく、当該油脂組成物の各成分を均質になるまで混合することにより、本発明の油脂組成物を得ることができる。当該混合は熱を加えて実施することが好ましく、通常は60~90℃程度に加熱しながら均質になるまで混合する。
[0030]
 続いて本発明の水中油型乳化組成物(以下、「本発明の乳化組成物」ともいう。)について説明する。
 本発明の乳化組成物は、本発明の油脂組成物の油脂を油相(分散相)として有する。本発明の乳化組成物を構成する水相(連続相)は、水又は水性液である。当該水相は塩分(食塩)等を含有する調味液であってもよい。本発明の乳化組成物は、水相が塩分を含む場合であっても優れた乳化安定性を示す。そのため、本発明の乳化組成物を食品に付着させることにより、水相が有する塩分等の調味成分により食品に所望の味付けをすることができ、且つ、油相の作用によって食品のほぐれ性、食感、風味、外観等を改質することができる。
[0031]
 本発明の乳化組成物において、水相に対する油相の量比に特に制限はなく、目的に応じて適宜に調整することができる。水相に対する油相の量比は、質量比で、通常は水相/油相=99.5/0.5~90/10であり、99/1~95/5が好ましい。
[0032]
 本発明の乳化組成物を構成する水相が調味液である場合、当該調味液は食塩水であってもよく、また、食塩に加えて、醤油、味噌、魚醤、砂糖、ショ糖、液糖、果糖、みりん、甘味料、畜肉エキス、魚介エキス、野菜エキス、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム、アミノ酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、色素、香辛料等を含有してもよい。本発明の水相が調味液である場合、当該調味液中の固形分含有量に特に制限はなく、目的に応じて適宜に調整される。当該調味液中の食塩の含有量は通常は0.2~20質量%であり、1~10質量%であることが好ましい。
[0033]
 例えば、本発明の乳化組成物を、調味液を水相として有する形態とし、この乳化組成物を、麺線表面に噴霧等することにより、麺線のほぐれ性を効果的に改善し、且つ、麺線に対して所望の味付けをすることができる。しかも上記乳化組成物を用いることにより、上記麺線表面への乳化組成物の噴霧を高温下でも安定的に実施できるため、本発明の乳化組成物は、即席麺等の工業的生産において好ましく使用できる。
[0034]
 また、本発明の乳化組成物は、例えば、炊飯時の水に添加することにより、当該水と均質に混じり合った水中油型の乳化状態となり、しかもこの乳化状態は高温下でも安定であるため、油相成分を米飯表面に均一に付着させることができ、米飯のほぐれ性を効果的に改善することができる。さらに、炊飯時の水が塩分等の調味成分を含む調味液であっても、本発明の水中油型乳化組成物は当該調味液と均一に混じり合った水中油型の乳化状態となり、しかも、この乳化状態は高温下でも安定であるため、炊き込みご飯等を炊き上げた際にも、当該乳化組成物の油相成分を、米飯表面に均一に付着させることができる。なお、本発明の乳化組成物の水相の量や、水相中の調味成分の濃度を適宜に調節することにより、本発明の乳化組成物を炊飯時の水に代えて使用することもできる。
[0035]
 また、本発明の乳化組成物は、例えば、加熱処理し水洗した後の麺に噴霧したり、当該麺を乳化組成物中に浸漬させたりすることにより、油相成分を麺線表面に均一に付着させることができ、その後冷却して保存した際の麺の結着を効果的に抑制することができる。すなわち、本発明の乳化組成物を用いることにより、再加熱した際のほぐれ性に優れた調理しやすいチルド麺を得ることができる。
[0036]
 また、本発明の乳化組成物は、ノンフライタイプのスナック菓子を製造する際に、生地表面に噴霧等することにより、サクサクとした食感のスナック菓子に仕上げることができる。さらに、本発明の乳化組成物は、水相成分として調味液を用いた場合でも安定な乳化状態をとるため、調味液を水相成分とする本発明の乳化組成物を生地表面に噴霧等することにより、スナック菓子にサクサクとした食感を付与しながら、スナック菓子表面を均一に味付けすることができる。
[0037]
 さらに、本発明の乳化組成物は、揚げ菓子表面に噴霧することで、日が経っても揚げ菓子のサクサクとした食感を維持することができ、また、揚げ菓子の味付けにも使用することができる。
[0038]
 本発明の乳化組成物は、高温下においても乳化安定性に優れ、また、水相成分が調味液であっても乳化安定性に優れる。したがって本発明の水中油型乳化組成物は、各種食品の改質剤として汎用性が高い。
[0039]
 なかでも本発明の乳化組成物は、食品の結着抑制剤として用いることが好ましい。当該食品に特に制限はないが、即席麺(麺線)又は米飯が好ましい。即席麺に特に制限はなく、中華麺、うどん、そば、パスタ、フォー等を挙げることができる。また、米飯は白米、玄米、胚芽米等、水で炊き上げる米飯であってもよく、また、いわゆる炊き込みご飯のように、醤油等の塩分を含む調味液で炊き上げる米飯であってもよい。
[0040]
 本発明の乳化組成物は、本発明の油脂組成物と水又は水性液とを混合することで得ることができる。本発明の油脂組成物は、水又は水性液と混合し、緩やかに撹拌するだけで、容易に水中油型に乳化分散し、本発明の乳化組成物が得られる。
[0041]
 本発明の食品は、本発明の油脂組成物又は乳化組成物を用いてなる(すなわち、食品の製造工程において、本発明の油脂組成物又は乳化組成物が配合された食品である)。本発明の食品は、本発明の油脂組成物ないし乳化組成物により、ほぐれ性、食感、風味、味、外観等が改質されており、かかる食品の例としては即席麺、米飯、チルド麺、調理麺、スナック菓子、麺スナック菓子、揚げ菓子等を挙げることができる。
 本発明の食品は、各種食品の通常の製造工程において、本発明の油脂組成物ないし乳化組成物を配合することで得ることができる。なかでも、本発明の食品は、当該食品の製造工程において、食品表面に本発明の油脂組成物ないし乳化組成物を付着させ、当該付着液を食品に浸透させ、あるいは食品表面になじませた形態が好ましい。本発明の食品が即席麺あるいは米飯である場合を例にとって、その生産方法の一例を説明する。
[0042]
 即席麺は、通常、原料を配合して混練する工程(配合・混練工程)、混練した生地を圧延して麺帯を得る工程(圧延工程)、麺帯を切り出して麺線を得る工程(切り出し工程)、麺線を蒸す工程(蒸し工程)、蒸した麺をパッケージングに適した形状に成形する工程(成形工程)、及び、成形した麺を乾燥する工程(乾燥工程)を少なくとも経て製造される。この即席麺の製造において、本発明の油脂組成物又は乳化組成物と、上記蒸し工程後の麺線(少なくとも表面の澱粉がα化した麺線)とを接触させ、この接触により麺線表面に食用油脂を付着させる工程を組み込むことにより、本発明の食品の一実施形態である即席麺を得ることができる。本明細書において「麺線表面に食用油脂を付着させる」とは、麺線表面に食用油脂が存在している状態のみならず、食用油脂の一部が、麺線の生地中に浸み込んで存在していてもよい。
[0043]
 本発明の油脂組成物又は乳化組成物と、蒸し工程後の麺線との接触方法に特に制限はなく、本発明の油脂組成物中又は乳化組成物中に麺線を浸漬したり、本発明の油脂組成物又は乳化組成物を麺線表面に噴霧したりすることにより、本発明の油脂組成物又は乳化組成物と麺線とを接触させることができる。本発明の油脂組成物又は乳化組成物と麺線との接触により、蒸し工程においてα化した麺線同士の結着をほぐしながら、麺線表面に油脂を付着させることができる。特に本発明の乳化組成物を用いることにより、α化した麺線の結着を水分によってより効率的にほぐすことができる。また、乳化組成物の水相を調味液とすれば、麺線に所望の味付けをすることができる。麺線表面に付着した水分は、所望により乾燥除去される。
 蒸し工程後の麺線と本発明の油脂組成物又は乳化組成物とを接触させる際には、当該麺線100質量部に対し、食用油脂が0.01~0.8質量部付着するように接触させることが好ましく、0.05~0.5質量部付着するように接触させることがさらに好ましい。
[0044]
 本発明において「即席麺」とは、上述の通り乾燥工程を経た乾麺であり、湯戻しして食される。上記方法により得られる即席麺は、蒸し工程において生じた麺線の結着が良好にほぐれており、その後の再結着も高度に抑えられているため、成形性に優れ歩留りが良好で、且つ、より均一に湯戻りし、食した際の食感に優れる。
[0045]
 上記即席麺の製造方法によれば、麺線同士の結着が抑えられ、ほぐれやすく湯戻りしやすい、品質に優れた即席麺を製造することができる。
[0046]
 米飯は、生米を炊飯することにより製造される。炊飯の際には生米(洗米後の生米)と水あるいは調味液とを共存させ、加熱することにより米飯が得られる。炊飯時の水あるいは調味液中に、本発明の油脂組成物又は乳化組成物を添加することにより、炊飯中に油脂が、米全体に、より均質に行き渡り、本発明の食品の一実施形態である米飯を得ることができる。当該米飯は、生米100質量部に対して食用油脂が0.1~5質量部となるように、本発明の油脂組成物又は乳化組成物を添加して得られたものであることが好ましい。本発明の油脂組成物又は乳化組成物を添加する時期に特に制限はなく、炊飯開始前であっても炊飯中、炊飯後であってもよいが、炊飯開始前に添加することが好ましい。
[0047]
 上記米飯の製造方法によれば、米飯全体に、より均一に油脂を付着させることができるため、米粒同士の結着が効果的に抑えられ、ほぐれ性に優れ、風味と外観も良好な米飯を得ることができる。
[0048]
 上述した実施形態に関し、本発明は以下の油脂組成物、水中油型乳化組成物、食品、即席麺の製造方法、及び米飯の製造方法を開示する。
[0049]
<1>
 食用油脂を70.0~96.5質量%、DGMLを0.5~10.0質量%、及びDGMOを3.0~20.0質量%含有し、該DGMLの含有量と該DGMOの含有量が下記数式を満たす、油脂組成物。
[DGMOの含有量]×2≧[DGMLの含有量]
[0050]
<2>
 前記食用油脂が、好ましくは20℃において液状の油脂であり、より好ましくは5℃において液状の油脂である、前記<1>に記載の油脂組成物。
<3>
 前記食用油脂が、好ましくは植物性油脂であり、より好ましくは大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、米油、ひまわり油、胡麻油、及びこれらのエステル交換油もしくは分別油から選ばれる1種又は2種以上の油脂であり、さらに好ましくは大豆油、菜種油、及びコーン油から選ばれる1種又は2種以上の油脂である、前記<1>又は<2>に記載の油脂組成物。
<4>
 前記油脂組成物中、食用油脂の含有量が、好ましくは75.0質量%以上であり、より好ましくは80.0質量%以上であり、さらに好ましくは85.0質量%以上であり、さらに好ましくは87.0質量%以上であり、さらに好ましくは90.0質量%以上である、前記<1>~<3>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<5>
 前記油脂組成物中、食用油脂の含有量が、好ましくは96.0質量%未満であり、より好ましくは95.5質量%以下であり、さらに好ましくは95.0質量%以下であり、さらに好ましくは94.5質量%以下である、前記<1>~<4>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<6>
 前記油脂組成物中、食用油脂の含有量が、好ましくは75.0~96.5質量%であり、より好ましくは80.0~96.5質量%であり、さらに好ましくは80.0質量%以上96.0質量%未満であり、さらに好ましくは85.0~95.5質量%であり、さらに好ましくは85.0~95.0質量%であり、さらに好ましくは87.0~94.5質量%であり、さらに好ましくは90.0~94.5質量%である、前記<1>~<5>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
[0051]
<7>
 前記油脂組成物中、DGMLの含有量が、好ましくは0.8質量%以上であり、より好ましくは1.0質量%以上である、前記<1>~<6>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<8>
 前記油脂組成物中、DGMLの含有量が、好ましくは8.0質量%以下であり、より好ましくは6.0質量%以下であり、さらに好ましくは5.0質量%以下であり、さらに好ましくは4.0質量%以下であり、さらに好ましくは3.0質量%以下であり、さらに好ましくは2.0質量%以下である、前記<1>~<7>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<9>
 前記油脂組成物中、DGMLの含有量が、好ましくは0.5~8.0質量%であり、より好ましくは0.5~6.0質量%であり、さらに好ましくは0.5~5.0質量%であり、さらに好ましくは0.8~4.0質量%であり、さらに好ましくは0.8~3.0質量%であり、さらに好ましくは1.0~2.0質量%である、前記<1>~<8>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
[0052]
<10>
 前記油脂組成物中、DGMOの含有量が、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは10.0質量%以下であり、さらに好ましくは8.0質量%以下であり、さらに好ましくは6.0質量%以下である、前記<1>~<9>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<11>
 前記油脂組成物中、DGMOの含有量が、好ましくは3.0~15.0質量%であり、より好ましくは3.0~10.0質量%であり、さらに好ましくは3.0~8.0質量%であり、さらに好ましくは3.0~6.0質量%である、前記<1>~<10>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
[0053]
<12>
 前記油脂組成物中の、DGMLの含有量(質量%)とDGMOの含有量(質量%)が、好ましくは下記数式を満たす、前記<1>~<11>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
  [DGMOの含有量]≧[DGMLの含有量]×2
[0054]
<13>
 前記油脂組成物が、好ましくはレシチンを含有する、前記<1>~<12>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<14>
 前記油脂組成物中、レシチンの含有量が、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1.0質量%以上である、前記<13>に記載の油脂組成物。
<15>
 前記油脂組成物中、レシチンの含有量が、好ましくは3.0質量%以下であり、より好ましくは2.0質量%以下である、前記<13>又は<14>に記載の油脂組成物。
<16>
 前記油脂組成物中、レシチンの含有量が、好ましくは0.5~3.0質量%であり、より好ましくは1.0~2.0質量%である、前記<13>~<15>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
[0055]
<17>
 前記油脂組成物が、好ましくは食品の改質剤であり、より好ましくは食品の結着抑制剤である、前記<1>~<16>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<18>
 前記食品が、好ましくは即席麺、米飯、チルド麺、調理麺、スナック菓子、麺スナック菓子又は揚げ菓子である、前記<17>に記載の油脂組成物。
<19>
 前記即席麺、チルド麺及び調理麺が、好ましくは中華麺、うどん、そば、パスタ又はフォーである、前記<18>に記載の油脂組成物。
[0056]
<20>
 前記<1>~<19>のいずれか1つに記載の油脂組成物の油脂を油相として有する水中油型乳化組成物。
<21>
 前記水中油型乳化組成物中、水相に対する油相の量比が、質量比で、好ましくは水相/油相=99.5/0.5~90/10であり、より好ましくは水相/油相=99/1~95/5である、前記<20>に記載の水中油型乳化組成物。
<22>
 前記水中油型乳化組成物の水相が、好ましくは調味液である、前記<20>又は<21>に記載の水中油型乳化組成物。
<23>
 前記調味液が、好ましくは食塩を含む、前記<22>に記載の水中油型乳化組成物。
<24>
 前記調味液が、好ましくは醤油、味噌、魚醤、砂糖、ショ糖、液糖、果糖、みりん、甘味料、畜肉エキス、魚介エキス、野菜エキス、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム、アミノ酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、色素及び香辛料から選ばれる成分を含む、前記<23>に記載の水中油型乳化組成物。
<25>
 前記調味液中の食塩の含有量が、好ましくは0.2~20質量%であり、より好ましくは1~10質量%である、<23>又は<24>に記載の水中油型乳化組成物。
[0057]
<26>
 前記水中油型乳化組成物が、好ましくは食品の改質剤であり、より好ましくは食品の結着抑制剤である、前記<20>~<25>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<27>
 前記食品が、好ましくは即席麺、米飯、チルド麺、調理麺、スナック菓子、麺スナック菓子又は揚げ菓子である、<26>に記載の水中油型乳化組成物。
<28>
 前記即席麺、チルド麺及び調理麺が、好ましくは中華麺、うどん、そば、パスタ又はフォーである、前記<27>に記載の水中油型乳化組成物。
[0058]
<29>
 前記<1>~<19>のいずれか1つに記載の油脂組成物、又は、前記<20>~<28>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物を用いた食品。
<30>
 前記食品が、好ましくは即席麺、米飯、チルド麺、調理麺、スナック菓子、麺スナック菓子又は揚げ菓子である、前記<29>に記載の食品。
<31>
 前記即席麺、チルド麺及び調理麺が、好ましくは中華麺、うどん、そば、パスタ又はフォーである、前記<30>に記載の食品。
[0059]
<32>
 前記<1>~<19>のいずれか1つに記載の油脂組成物、又は、前記<20>~<28>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物と、蒸し工程後の麺線とを接触させることにより、前記麺線表面に前記食用油脂を付着させることを含む、即席麺の製造方法。
<33>
 前記油脂組成物又は前記水中油型乳化組成物と、前記蒸し工程後の麺線との接触が、前記油脂組成物中又は前記乳化組成物中に麺線を浸漬するか、又は、前記油脂組成物又は前記乳化組成物を麺線表面に噴霧することにより行われる、前記<32>に記載の即席麺の製造方法。
<34>
 前記油脂組成物又は前記水中油型乳化組成物と、前記蒸し工程後の麺線との接触を、前記麺線100質量部に対し、前記食用油脂が0.01~0.8質量部付着するように行う、前記<32>又は<33>に記載の即席麺の製造方法。
[0060]
<35>
 前記<1>~<19>のいずれか1つに記載の油脂組成物、又は、前記<20>~<28>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物の存在下で炊飯することを含む、米飯の製造方法。
<36>
 生米100質量部に対し、食用油脂が0.1~5質量部となるように、炊飯時の水あるいは調味液中に前記油脂組成物又は前記水中油型乳化組成物を添加し、炊飯することを含む、前記<35>に記載の米飯の製造方法。
実施例
[0061]
 本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[0062]
[調製例1] 油脂組成物の調製
 食用油脂としては、
ナタネ油(商品名:菜種サラダ油(S)、日清オイリオ社製)、
コーン油(商品名:コーン油(S)、日清オイリオ社製)
を用いた。
[0063]
 乳化剤としては、
DGMO(商品名:サンソフトQ-17D、太陽化学社製、HLB7.5)、
DGML(商品名:サンソフトQ-12D、太陽化学社製、HLB8.5)、
ジグリセリンセスキオレート(商品名:サンソフトQ-17B、太陽化学社製、HLB6.5)、
トリグリセリンモノステアレート(商品名:SYグリスターMS-3S、阪本薬品工業社製、HLB8.4)、
テトラグリセリンモノオレート(商品名:SYグリスターMO-3S、阪本薬品工業社製、HLB8.8)、
ペンタグリセリントリオレート(商品名:サンソフトA173E、太陽化学社製、HLB7.0)、
ペンタグリセリントリミリステート(商品名:サンソフトA143E、太陽化学社製、HLB8.0)、
ヘキサグリセリントリステアレート(商品名:SYグリスターTS-5S、阪本薬品工業社製、HLB7.4)、
テトラグリセリンモノラウレート(商品名:SYグリスターMS-310、阪本薬品工業社製、HLB10.3)、
ペンタグリセリンモノラウレート(商品名:サンソフトA-121E、太陽化学社製、HLB14.0)、
ペンタグリセリンモノステアレート(商品名:サンソフトA-181E、太陽化学社製、HLB13.0)、
ヘキサグリセリンモノラウレート(商品名:SYグリスターML-500、阪本薬品工業社製、HLB13.5)、
ヘキサグリセリンモノオレート(商品名:SYグリスターMO-5S、阪本薬品工業社製、HLB11.6)、
ヘキサグリセリンモノステアレート(商品名:SYグリスターMS-5S、阪本薬品工業社製、HLB12.0)、
デカグリセリンモノラウレート(商品名:リョートーポリグリエステルL-7D、三菱化学フーズ社製、HLB15.5)、
デカグリセリンモノオレート(商品名:SYグリスターMO-7S、阪本薬品工業社製、HLB12.9)、
デカグリセリンモノステアレート(商品名:サンソフトQ-18S、太陽化学社製、HLB11.6)
を用いた。
[0064]
 レシチンとしては、
Yelkin-TS(商品名、Archer Daniels Midland Company社製)
を用いた。
[0065]
 上記各原料を用いて、下表に示す成分組成(単位:質量%)の油脂組成物を調製した。レシチンを配合しない場合には、食用油脂と乳化剤とを混合し、80℃で30分間撹拌することにより油脂組成物を得た(実施例1~15、比較例1~15、比較例19~24)。また、レシチンを配合する場合には、食用油脂と乳化剤とを混合し、80℃で30分間撹拌した後、レシチンを配合し、さらに80℃で10分間撹拌し、油脂組成物を得た(実施例16~26、比較例16~18、比較例25~42)。
[0066]
[試験例1] 油脂組成物の風味の評価
 上記調製例1で調製した各油脂組成物を室温まで冷却し、油脂組成物の風味について5名の専門パネルの各々が、後述の評価基準に従って風味を評価した。風味の評価基準を以下に示す。5名の専門パネルの評価結果はすべて同じとなった。
(風味の評価基準)
 A:乳化剤の異味を感じない。
 B:乳化剤の異味を感じる。
[0067]
[試験例2] 乳化剤の溶解安定性
 上記調製例1で調製した各油脂組成物を室温まで冷却し、各油脂組成物につき、50mLずつ、5本の瓶(底面φ4.0cm、高さ7.5cm)に分注して密封した。20℃で1週間静置した後、外観を目視観察し、下記評価基準により評価した。結果を下表に示す。
(乳化剤の溶解安定性評価基準)
 A:5つの瓶すべてにおいて沈殿が生じなかった。
 B:1つ以上の瓶で沈殿が生じた。
[0068]
 上記試験例2の評価結果がAであったものについて、下記の乳化安定性試験(耐熱性試験、耐熱・耐塩試験)を実施した。
[0069]
[試験例3] 水中油型乳化組成物の耐熱性試験
 上記調製例1で調製した各油脂組成物1gに対し、純水49.0gを混合して5分間、緩やかに撹拌し、水中油型に乳化分散させた。次いで80℃のウォーターバス中で1時間、緩やかに撹拌を続けた。その後、室温に戻して20分間静置し、乳化状態を目視観察し、下記評価基準により評価した。結果を下表に示す。なお、各油脂組成物について、同じ試験を5回実施したが、いずれも同じ評価結果となった。この試験では評価4を合格とした。
(評価基準)
 4:全体が均質に白濁しており、均一な乳化分散状態である。
 3:表面にクリーミング層が生じている。クリーミング層以外の部分は均質に白濁しており、光が透過しない状態である。
 2:表面にクリーミング層が生じている。クリーミング層以外の部分は均質に白濁しているが、白濁の度合がやや薄く、光が透過する状態である。
 1:油水が分離しており、全体が透明である。
[0070]
[試験例4] 水中油型乳化組成物の耐熱・耐塩性試験
 上記調製例1で調製した各油脂組成物1gに対し、10質量%食塩水49.0gを混合して5分間、緩やかに撹拌し、水中油型に乳化分散させた。次いで60℃のウォーターバス中で1時間、緩やかに撹拌を続けた。その後、室温に戻して20分間静置し、乳化状態を目視観察し、上記試験例3と同じ評価基準により評価した。結果を下表に示す。なお、各油脂組成物について、同じ試験を5回実施したが、いずれも同じ評価結果となった。この試験では評価2以上を合格とした。
[0071]
[表1]


[0072]
[表2]


[0073]
[表3]


[0074]
[表4]


[0075]
[表5]


[0076]
 上記各表に示されるように、油脂組成物が乳化剤としてDGMOのみを含有する場合、油脂組成物の製剤としての保存安定性は良好であるが、水中油型乳化組成物を形成した際の耐熱性、耐塩性に劣る結果となった(比較例1~5)。
 また、油脂組成物が乳化剤としてDGMLのみを含有する場合には、油脂組成物の保存中に沈殿が生じ、実用性に劣るものであった(比較例7及び8)。ここで、油脂組成物がDGMOを含有しない場合であっても、DGMLの含有量を所定のレベルまで減らすことにより、油脂組成物の保存安定性は高まるが、この場合には、水中油型乳化組成物を形成した際の乳化安定性に劣る結果となった(比較例6)。
 また、油脂組成物がDGMOとDGMLの両乳化剤を含有する場合でも、DGMOの含有量が本発明で規定するよりも少ないと、塩分を含む水性液中に乳化分散させた際に、高温下において乳化形態を安定的に維持することができず(比較例9、10、16~18)、逆にDGMOの含有量が本発明で規定するよりも多い場合にも、水中に乳化分散させた際に、高温下において乳化形態を安定的に維持することができなかった(比較例14)。
 また、油脂組成物中のDGMOの含有量とDGMLの含有量が、本発明で規定する関係を満たさない場合には、油脂組成物の保存中に沈殿が生じ、実用性に劣る結果となった(比較例11及び12)。
 また、油脂組成物がDGMOとDGMLの両乳化剤を含有する場合でも、DGMLの含有量が本発明で規定するよりも少なかったり多かったりすると、水中に乳化分散させた際に、高温下において乳化形態を安定的に維持することができなかった(比較例13、15)。
 また、DGMLの含有量を本発明で規定する範囲内とした上で、DGMOに代えて他の乳化剤を配合した油脂組成物は、油脂組成物の保存中に沈殿が生じて実用性に劣る結果となったり(比較例20~24)、乳化安定性に劣る結果となったりした(比較例19)。
 また、DGMOの含有量を本発明で規定する範囲内とした上で、DGMLに代えて他の乳化剤を配合した油脂組成物は、油脂組成物の保存中に沈殿が生じ、実用性に劣る結果となった(比較例25~42)。
[0077]
 これに対し、DGMOとDGMLの含有量がいずれも本発明で規定する範囲内にあり、且つ、DGMOの含有量とDGMLの含有量とが本発明で規定する関係を満たす油脂組成物は、製剤としての保存安定性に優れ、当該油脂組成物を油相とする水中油型乳化組成物を調製した際には、高温下においても優れた乳化安定性を示し、しかも、水相が高濃度の塩分を含有する場合であっても、高温下において一定の乳化安定性を示すことがわかった(実施例1~26)。
[0078]
[調製例2] 米飯の調製
 生米(新潟産コシヒカリ、平成26年産)600gを洗米後、20℃の水に1.5時間浸漬し、ざるに上げて水切りした。この浸漬米700gに水700gを加え、更に、ナタネ油6g、又は、実施例2、実施例10、実施例22、比較例4もしくは比較例10の油脂組成物6gを加えて軽くかき混ぜた後、電気炊飯器により炊飯した。
 炊き上がった米飯をバットに広げてしゃもじで約1分間ほぐし、室温で30分間静置することで粗熱をとって試験用米飯とした。
[0079]
[試験例5] 米飯への分散性の評価
 上記調製例2において、ナタネ油6g又は油脂組成物6gに代えて、ナタネ油6g又は油脂組成物6gにβカロテン(DSMニュートリションジャパン社製)を0.1質量%濃度となるように混合したものを使用し、βカロテンの色の広がり度合に基づき、ナタネ油及び油脂組成物の米飯に対する分散性を、下記評価基準により評価した。
(米飯に対する分散性評価基準)
 A:米飯全体が均質に着色している(米飯全体に油脂がなじんでいる)。
 B:米飯がほぼ均一に着色している。
 C:着色が偏っている(米飯のところどころに油脂が偏在している)。
[0080]
[試験例6] ほぐれ性の評価
 上記調製例2で得られた試験用米飯について、ほぐれ性を下記評価基準により評価した。結果を下表に示す。
(ほぐれ性の評価基準)
 A:全体的に米粒同士の結着が抑えられてほぐし易い。
 B:全体的にほぐし易いがやや塊がある。
 C:全体として米粒同士の結着が強くほぐし難い。
[0081]
[試験例7] 味の評価
 上記調製例2で得られた試験用米飯を15℃で2時間保存したもの、及び15℃で24時間保存したものを食し、下記評価基準により味を評価した。結果を下表に示す。
(味の評価基準)
 A:油脂由来の油っぽさを感じない。
 B:油っぽさを感じる。
[0082]
[試験例8] 外観の評価
 上記調製例2で得られた試験用米飯を15℃で2時間保存したもの、及び15℃で24時間保存したものについて、外観を目視観察し、下記評価基準により評価した。結果を下表に示す。
(外観の評価基準)
 A:米飯全体にツヤがある。
 B:米飯全体にツヤがない。
[0083]
[表6]


[0084]
 表6に示されるように、炊飯時の水に本発明の油脂組成物を添加することにより、油脂組成物が水中に均質に乳化分散し、米飯全体に均質になじみ(分散し)、ほぐれ性に優れた米飯が得られた。さらに当該米飯は、油脂組成物由来の異味を感じず、良好なツヤも有していた。
[0085]
[試験例8] 麺のほぐれ性評価
 生めん(商品名:細麺、麺心屋社製)を沸騰水中で1分間茹でた後、湯切りし、イオン交換水で麺の表面のぬめりを除去した。得られた麺の20gを、実施例2、実施例8、実施例10、実施例14、実施例22、比較例4又は比較例10の油脂組成物の含有量が2.0質量%になるように水で希釈して得た、水中油型の乳化液である希釈液(ほぐし液)30mL中に、30秒間浸漬した。次いで麺を取り出し、麺に付着した過剰の希釈液をエアーブローで除去し、カップに入れた。同様にして、希釈液に浸漬後、過剰の希釈液を除去した麺の入ったカップを9個用意した(合計10カップ)。各カップに入った麺について、当該カップに入れてから10分間静置後に、麺線10本を1本ずつ引き上げた。引き上げた合計100本(10本×10カップ)の麺線について、各々の麺線のほぐれ性を下記評価基準により評価した。この評価結果に基づき下記式からほぐれ率を算出した。結果を表7に示す。
[0086]
-ほぐれ性の評価基準-
A:麺線が切断されずに一本ずつ引き上げられる
B:麺線を引き上げた際に、麺線が切断されてしまう、又は、麺線に結着してからまった麺塊が浮上する
[0087]
 ほぐれ率(%)=100×[A評価の本数]/[A評価の本数とB評価の本数の合計(i.e.,100本)]
[0088]
[表7]


[0089]
 表7に示されるように、実施例の油脂組成物を用いることにより、麺線のほぐれ性が大きく向上することがわかった。
[0090]
[調製例3] 即席中華麺の調製
 水35質量部に食塩1.5質量部、粉末かん水(オリエンタル酵母工業社製)0.4質量部を溶解し、かんすい水を調製した。このかん水を小麦粉100質量部に加え、15分間混合してそぼろ状の麺生地とした。
 製麺ロールを用い、ロール間隙4.5mm、3.0mm、2.0mmの順に圧延し、次いで麺帯をさらに製麺ロールで圧延し、約1.25mm厚の麺帯とした。その後、切刃♯18角を用いて麺線(幅1.25mm)に切り出し、さらにこの麺線を長さ約30cmに切り、生中華麺を得た。得られた生中華麺を、蒸し器を用いて3分間蒸し、蒸し中華麺を得た。蒸し中華めん80gを、上述したほぐし液のうち、実施例22の乳化組成物を用いたほぐし液100mLに浸漬し、金網上で直径10cmの円柱状に成型した。次いで余分なほぐし液をエアブローにて除去した後、熱風乾燥器を用いて水分が10%程度になるように乾燥し、即席中華麺を調製した。
 調製した即席中華麺を沸騰水で4分間湯戻しした。湯戻した麺は、箸を用いて麺を2~3回ほぐすだけで、麺全体が素早く簡単にほぐれた。
[0091]
 本発明をその実施形態及び実施例とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
[0092]
 本願は、2015年7月2日に日本国で特許出願された特願2015-133831に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。

請求の範囲

[請求項1]
 食用油脂を70.0~96.5質量%、ジグリセリンモノラウレートを0.5~10.0質量%、及びジグリセリンモノオレートを3.0~20.0質量%含有し、該ジグリセリンモノラウレートの含有量と該ジグリセリンモノオレートの含有量が下記数式を満たす、油脂組成物。
[ジグリセリンモノオレートの含有量]×2≧[ジグリセリンモノラウレートの含有量]
[請求項2]
 前記油脂組成物中、前記食用油脂の含有量が85.0~96.5質量%、前記ジグリセリンモノラウレートの含有量が0.5~5.0質量%、前記ジグリセリンモノオレートの含有量が3.0~10.0質量%であり、該ジグリセリンモノラウレートの含有量と該ジグリセリンモノオレートの含有量が下記数式を満たす、請求項1に記載の油脂組成物。
[ジグリセリンモノオレートの含有量]≧[ジグリセリンモノラウレートの含有量]×2
[請求項3]
 前記油脂組成物がレシチンを0.5~3.0質量%含有する、請求項1又は2に記載の油脂組成物。
[請求項4]
 食品の結着抑制剤である、請求項1~3のいずれか1項に記載の油脂組成物。
[請求項5]
 請求項1~4のいずれか1項に記載の油脂組成物の油脂を油相として有する水中油型乳化組成物。
[請求項6]
 前記水中油型乳化組成物を構成する水相が塩分を含有する、請求項5に記載の水中油型乳化組成物。
[請求項7]
 食品の結着抑制剤である、請求項5又は6に記載の水中油型乳化組成物。
[請求項8]
 請求項1~4のいずれか1項に記載の油脂組成物又は請求項5~7のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物を用いた食品。
[請求項9]
 前記食品が即席麺又は米飯である、請求項8に記載の食品。
[請求項10]
 請求項1~4のいずれか1項に記載の油脂組成物又は請求項5~7のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物と、蒸し工程後の麺線とを接触させることにより、前記麺線表面に前記食用油脂を付着させることを含む、即席麺の製造方法。
[請求項11]
 請求項1~4のいずれか1項に記載の油脂組成物又は請求項5~7のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物の存在下で炊飯することを含む、米飯の製造方法。