Certains contenus de cette application ne sont pas disponibles pour le moment.
Si cette situation persiste, veuillez nous contacter àObservations et contact
1. (WO2017002853) POLYÉTHYLÈNEGLYCOL MONODISPERSÉ DE TYPE HÉTÉRO, INTERMÉDIAIRE POUR LA PRODUCTION DE POLYÉTHYLÈNEGLYCOL MONODISPERSÉ DE TYPE HÉTÉRO, PROCÉDÉS POUR LEUR PRÉPARATION ET CONJUGUÉ DE POLYÉTHYLÈNEGLYCOL MONODISPERSÉ DE TYPE HÉTÉRO
Document

明 細 書

発明の名称 ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール、ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体及びそれらの製造方法、並びに、ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール結合体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016  

先行技術文献

特許文献

0017  

非特許文献

0018  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0019  

課題を解決するための手段

0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031  

発明の効果

0032  

図面の簡単な説明

0033  

発明を実施するための形態

0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166  

実施例

0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244   0245   0246   0247   0248   0249   0250   0251   0252   0253   0254   0255   0256   0257   0258   0259   0260   0261   0262   0263   0264   0265   0266   0267   0268   0269   0270   0271   0272   0273   0274   0275   0276   0277   0278   0279   0280   0281   0282   0283   0284   0285   0286   0287   0288   0289   0290   0291   0292   0293   0294   0295   0296   0297   0298   0299   0300   0301   0302   0303   0304   0305   0306   0307   0308   0309   0310   0311   0312   0313   0314   0315   0316   0317   0318   0319   0320   0321   0322   0323   0324   0325   0326   0327   0328   0329   0330  

産業上の利用可能性

0331   0332  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27   28   29   30   31   32   33   34   35   36   37   38  

明 細 書

発明の名称 : ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール、ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体及びそれらの製造方法、並びに、ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール結合体

技術分野

[0001]
 本発明は、ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール、ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体及びそれらの製造方法、並びに、ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール結合体に関する。より詳しくは、生体機能性高分子;ドラッグデリバリーシステムにおける薬物や薬物キャリア;診断用材料やデバイス等の修飾に用いられ、特に、抗体結合医薬用のリンカー材料として有用なヘテロ型単分散ポリエチレングリコールに関する。

背景技術

[0002]
 近年、医薬品分野においては、リンカーを介して薬剤と抗体とを結合させ、抗原提示細胞に薬物を能動的に運搬することが可能な抗体結合医薬(Antibody-Drug Conjugate:ADC)が実用化されて高い注目を集めている(Toxins、2011年、3、p.848-883(非特許文献1)、J.Med.Chem.、2011年、54、p.3606-3623(非特許文献2))。
[0003]
 このADCのリンカー材料として利用が進められているものの1つが、ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールである。ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールは、両末端に互いに異なる官能基を有するヘテロ型ポリエチレングリコールを主成分として含有し、かつ、分子量が一定である単分散ポリエチレングリコールである。
[0004]
 前記ADCでは、前記ヘテロ型ポリエチレングリコールをリンカーとして、その各末端に抗体と薬剤とを区別して結合させるため、前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール中に、両末端に互いに同じ官能基を有する化合物(ホモ型ポリエチレングリコール等)が不純物として存在すると、抗体が2つ結合した化合物又は薬剤が2つ結合した化合物が生成する。抗体が2つ結合した化合物は薬剤が結合していないためにADCとしての効果が奏されず、薬剤が2つ結合した化合物は抗体が結合していないために抗原提示細胞以外の箇所に運搬されて副作用を引き起こす原因となる。また、目的の官能基を有するヘテロ型ポリエチレングリコールと異なる組み合わせで官能基を有する他のヘテロ型化合物が不純物として存在する場合も、目的とする抗体又は薬剤のどちらかが欠損した化合物が生成するため、上記と同様の問題が生じる。したがって、薬剤の使用、効果の観点から、前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールとしては、両末端に互いに異なる官能基を有するヘテロ型ポリエチレングリコールを1種のみ、高純度で含有することが重要といえる。
[0005]
 また近年、前記ADCの効果を向上させることを目的として、抗体に対して複数個の薬剤を結合させたADCを使用することが試みられている。このADCを製造する際は、通常、薬剤の結合個数を質量分析計やHPLCを用いて確認するため、リンカー材料として用いる前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール中にエチレングリコール鎖長の異なる化合物が不純物として存在すると、その確認が困難になるという製造上の問題が生じる。その他にも、前記エチレングリコール鎖長の異なる化合物が不純物として存在すると、前記ADC製造時に添加する抗体や薬剤の当量が不明確となるために高価な抗体や薬剤を過剰に使用する必要が生じるという問題や、前記エチレングリコール鎖長の異なる化合物は医薬品申請の際に主たる薬剤とは別の化合物として取り扱われるために、化合物の同定や各種試験の実施、許容量の評価等が更に必要になるという問題がある。したがって、前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールとしては、互いにエチレングリコール鎖長が同じポリエチレングリコールを1種のみ、高純度で含有することも重要といえる。
[0006]
 このように、ADCのリンカー材料として用いるヘテロ型単分散ポリエチレングリコールとしては、主成分として、両末端に互いに異なる官能基を有するヘテロ型ポリエチレングリコールであって前記ヘテロ型ポリエチレングリコール間でエチレングリコール鎖長が互いに同じである化合物を、特に高純度で含有することが望まれていた。
[0007]
 また、前記官能基としては、抗体や薬物等のチオール基と反応するマレイミド基、ヨードアセトアミド基;抗体や薬物等のアミノ基と反応するカルボキシル基、活性エステル基、活性カーボネート基、アルデヒド基;抗体や薬物等のカルボキシル基と反応するアミノ基;クリック反応で使用されるアジド基、アルキニル基等が用いられている。これらの中でも、アミノ基及びカルボキシル基をそれぞれ末端に有するヘテロ型ポリエチレングリコールは、前記ADCのリンカーとしてそのまま使用可能であり、更にこれを原料として官能基変換して使用することが可能であるため、前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールとして有用な化合物である。
[0008]
 前記へテロ型単分散ポリエチレングリコールの製造方法としては、末端官能基化工程と、Wlilliamsonエーテル合成によるエチレングリコール鎖長の延長工程とを含む方法が挙げられる。例えば、米国特許第5672662号明細書(特許文献1)及び日本国特表2007-538111号公報(特許文献2)には、モノメトキシポリエチレングリコールの末端にカルボキシル基を導入する方法が開示されている。特許文献1では、モノメトキシポリエチレングリコールとアクリロニトリルとをマイケル付加反応させ、濃塩酸条件下でニトリルをアミドに変換し、水酸化カリウム水溶液条件下でアミドを加水分解することでカルボキシル基を導入している。しかしながら、このような強酸、強塩基条件下では、マイケル付加反応の逆反応によってカルボキシル基ではなく水酸基を有する化合物が生成したり、エチレングリコール鎖の切断によってエチレングリコール鎖長が短い化合物等が生成するため、純度や収率が不十分であった。なお、かかる純度については、特許文献2の比較例に追試を行った結果が記載されており、末端にメトキシ基のない化合物が生成されることが確認されている。他方、特許文献2では、モノメトキシポリエチレングリコールとtert-ブチルアクリレートとをマイケル付加反応させ、トリフリルオロ酢酸条件下でカルボキシル基を導入している。しかしながら、同文献に開示されている手法では、tert-ブチルアクリレートの導入率が70%以下と低く、末端が水酸基である化合物が残存するという問題を有していた。
[0009]
 また、特許文献1~2に記載の方法では、モノメトキシポリエチレングリコールを原料として用いているが、上記反応を用いた場合、ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを得る場合にも同様に、エチレングリコール鎖長が短い化合物や、末端にカルボキシル基ではなく水酸基を有する化合物が不純物として生成する。このような不純物を含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコールをADCの製造に用いると、エチレングリコール鎖長の短い化合物によって上記のADC製造上の問題が生じたり、末端に水酸基を有する化合物によって抗体又は薬剤のどちらかが欠損した化合物が生成して薬剤としての有効性が低下する原因となる。
[0010]
 また、例えば、末端に水酸基を有する化合物と末端にカルボキシル基を有する目的の化合物との違いは該末端の構造のみであるため、分離精製をすることが困難である。特許文献2では、得られた生成物を陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて精製しているが、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いた方法は汎用性が低い精製方法であること、及び、収率が更に低下することから、簡便性及び収率の点で問題を有していた。
[0011]
 さらに、エチレングリコール鎖長が5以上であるヘテロ型ポリエチレングリコールを含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを製造する場合、一般的にWilliamsonエーテル合成によるエチレングリコール鎖長の延長反応が必要である。これは、エチレングリコール鎖長が4以下のトリエチレングリコールやテトラエチレングリコールは蒸留精製が可能であるため、純度が98%以上の原料を入手可能であるが、エチレングリコール鎖長が5以上の化合物は蒸留精製が行えず、高純度品を安価に入手することが困難なためである。このWilliamsonエーテル合成によるエチレングリコール鎖長の延長反応時には、副反応によって副生成物が生成することが知られている。例えば、Tetrahedron、1997年、53、p.10939-10952(非特許文献3)に記載されているように、エチレングリコールの脱離によって目的化合物よりもエチレングリコール鎖長が1つ短い化合物や、E2脱離によってエチレングリコール鎖長及び末端官能基の異なる化合物が生成する。実際に、Angew.Chem.Int.Ed.、2009年、48、p.1248-1252(非特許文献4)では、Williamsonエーテル合成時にエチレングリコールの脱離によって目的化合物よりもエチレングリコール鎖長が1つ短い化合物が3%生成することが記載されている。このようにエチレングリコール鎖長が1つ短い化合物を含有する混合物を用いてヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを製造すると、得られるヘテロ型単分散ポリエチレングリコールは、目的とする主成分よりもエチレングリコール鎖長が1つ短い化合物を不純物として含有する。そのため、かかるヘテロ型単分散ポリエチレングリコールをADCの製造に用いると、上記のADC製造上の問題が生じる。これらのエチレングリコール鎖長が異なる化合物同士は、化合物の構造が類似しているために分離精製をすることが困難であり、非特許文献4に記載されているように、複数回の逆相クロマトグラフィー等を実施することが必要である。
[0012]
 また、両末端の官能基が互いに異なる前記ヘテロ型ポリエチレングリコールを製造するためには、片末端に保護基や脱離基を有し、他方の片末端に水酸基を有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体を用いることが有用である。このような中間体を得る方法としては、例えば、Org.Lett.、2002年、4、p.2329-2332(非特許文献5)では、テトラエチレングリコールやヘキサエチレングリコールを原料とし、酸化銀を用いて片末端を選択的にトシル化する方法が開示されており、酸化銀を用いることによって効率よく片末端トシル体を得られることが記載されている。しかしながら、この方法では、両末端にトシル基を有する化合物が数%生成するという問題を有していた。
[0013]
 さらに、Polym.Chem.、2014年、5、p.694-697(非特許文献6)では、エチレングリコール鎖長が8の片末端Dmtr体を合成することが開示されている。前記合成経路の一部は次式:
DmtrO-(CH CH O) -Ts + HO-(CH CH O) -H
 → DmtrO-(CH CH O) -H 
       + DmtrO-(CH CH O) 12-Dmtr
[式中、Dmtrは4,4’-ジメトキシトリチル基を示す。]
で表され、非特許文献6には、片末端トシル体とテトラエチレングリコールとの1:1の反応によって8量体の片末端Dmtr体が得られる際に、片末端トシル体とテトラエチレングリコールとの2:1の反応によって12量体の両末端Dmtr体が生成することが記載されている。しかしながら、このように両末端にトシル基やDmtr基を有する化合物を含む混合物を用いて両末端にそれぞれアミノ基とカルボキシル基とを有するヘテロ型ポリエチレングリコールを合成すると、両末端にアミノ基を有する化合物又は両末端にカルボキシル基を有する化合物が不純物として生成する。そのため、かかる不純物を含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコールをADCの製造に用いると、薬剤が2つ結合した化合物又は抗体が2つ結合した化合物が生成し、薬剤としての有効性が低下する原因となる。
[0014]
 他方、ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールの純度の評価方法としては、 H-NMR測定、MS測定、HPLC測定等を用いた方法が挙げられる。しかしながら、上記のように公知の製造方法によってヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを製造した場合には複数の不純物が含有されるため、純度の評価は困難であるといえる。
[0015]
 例えば、両末端にそれぞれアミノ基とカルボキシル基とを有するヘテロ型ポリエチレングリコールを主成分として含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコール中に、両末端にアミノ基を有する化合物と両末端にそれぞれアミノ基と水酸基とを有する化合物の2つが混在していた場合、 H-NMR測定では水酸基のα位のプロトンがエチレングリコール鎖と重なって区別できないため、両末端にそれぞれアミノ基と水酸基とを有する化合物の含有量を測定することができず、それに伴い、両末端にアミノ基を有する化合物の含有量を特定することも困難となる。また、MS測定では、複数の不純物を同定することが可能であるが、化合物の構造によってイオン化の効率が異なるため、定量性が低いという問題がある。不純物の標準化合物を合成して検量線を作成することによって定量することも可能ではあるが、エチレングリコール鎖長の異なる化合物や、末端官能基の組み合わせが異なる化合物の全てを合成して定量することは困難である。さらに、HPLC測定では、全ての不純物を分離することができれば定量することも可能であるが、エチレングリコール鎖長の異なる化合物や末端官能基の組み合わせが異なる化合物が複数存在する場合には当該分離は困難である。
[0016]
 このように、ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールの純度を評価することは困難であり、従来の評価方法では、ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールについて、ADC製造用のリンカーとして用いる際に重要となる、両末端の官能基の組み合わせが目的の化合物と異なる化合物の含有量や、エチレングリコール鎖長が目的の化合物と異なる化合物の含有量を、正確に測定することが困難であるという問題を有していた。

先行技術文献

特許文献

[0017]
特許文献1 : 米国特許第5672662号明細書
特許文献2 : 日本国特表2007-538111号公報

非特許文献

[0018]
非特許文献1 : Toxins、2011年、3、p.848-883
非特許文献2 : J.Med.Chem.、2011年、54、p.3606-3623
非特許文献3 : Tetrahedron、1997年、53、p.10939-10952
非特許文献4 : Angew.Chem.Int.Ed.、2009年、48、p.1248-1252
非特許文献5 : Org.Lett.、2002年、4、p.2329-2332
非特許文献6 : Polym.Chem.、2014年、5、p.694-697

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0019]
 本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、両末端にそれぞれアミノ基とカルボキシル基とを有しており、エチレングリコール鎖長が互いに同じであるヘテロ型ポリエチレングリコールを、主成分として高純度で含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコール、前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体、及びヘテロ型単分散ポリエチレングリコール結合体、並びに、前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール及び前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体を容易に得ることができる製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0020]
 本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、両末端にそれぞれアミノ基とカルボキシル基とを有するヘテロ型ポリエチレングリコールの合成において、合成工程を特定の順序で組み合わせることにより、カラムクロマトグラフィー等の精製方法を用いなくとも、簡便な分液抽出のみで、両末端にそれぞれアミノ基とカルボキシル基とを有し、かつ、エチレングリコール鎖長が互いに同じである1種のヘテロ型ポリエチレングリコールを主成分として特に高純度で含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコールが得られることを見い出した。さらに、前記ヘテロ型ポリエチレングリコールを製造するための中間体を、合成工程を特定の順序で組み合わせて合成することにより、カラムクロマトグラフィー等の精製方法を用いなくとも、簡便な分液抽出のみで、前記中間体を高純度で得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記の[1]~[9]を提供する。
[0021]
 [1] 下記式(1):
  NH -(CH CH O) -CH CH COOH  ・・・(1)
[式(1)中、aは6~40の整数を示す。]
で表される化合物を含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコールにおいて、
 (A)逆相クロマトグラフィーを用いて分離したときの、示差屈折率計で検出されるクロマトグラムの溶出開始点から溶出終了点までを結んだ直線をbaseL とし、baseL から上のポリエチレングリコール由来の全ピーク面積をareaA とし、屈折率差最大ピークP の頂点P 1topのbaseL からの高さをP 1topHとし、溶出開始点からP 1topに向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 1topHの1/4となる点と3/4となる点とを結んだ直線をP とし、P とbaseL とが交わる溶出時間をT aとし、P 1topから溶出終了点に向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 1topHの1/4となる点と3/4となる点とを結んだ直線をP とし、P とbaseL とが交わる溶出時間をT bとし、baseL から上のT aからT bの間のピーク面積をareaP としたとき、areaA とareaP とが、下記式(F1):
    areaP /areaA ≧0.90  ・・・(F1)
で表される条件を満たし、
 (B)陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離したときの、示差屈折率計で検出されるクロマトグラムの溶出開始点から溶出終了点までを結んだ直線をbaseL とし、baseL から上のポリエチレングリコール由来の全ピーク面積をareaA とし、屈折率差最大ピークP の頂点P 2topのbaseL からの高さをP 2topHとし、溶出開始点からP 2topに向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 2topHの1/2となる点と1/8となる点とを結んだ直線をP Lとし、P LとbaseL とが交わる溶出時間をT とし、baseL から上の溶出開始点からT の間のピーク面積をareaB としたとき、areaB とareaA とが、下記式(F2):
 areaB /areaA ≦0.02  ・・・(F2)
で表される条件を満たし、かつ、
 (C)前記式(1)で表される化合物を含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを誘導体化し、下記式(2):
 tBoc-NH-(CH CH O) -CH CH COOH
  ・・・(2)
[式(2)中、tBocはtert-ブトキシカルボニル基を示し、aは6~40の整数を示す。]
で表される化合物を含有する混合物を陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離したときの、示差屈折率計で検出されるクロマトグラムの溶出開始点から溶出終了点までを結んだ直線をbaseL とし、baseL から上のポリエチレングリコール由来の全ピーク面積をareaA とし、屈折率差最大ピークP の頂点P 3topのbaseL からの高さをP 3topHとし、溶出開始点からP 3topに向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 3topHの1/2となる点と1/8となる点とを結んだ直線をP Lとし、P LとbaseL とが交わる溶出時間をT とし、baseL から上の溶出開始点からT の間のピーク面積をareaB としたとき、areaB とareaA とが、下記式(F3):
 areaB /areaA ≦0.02  ・・・(F3)
で表される条件を満たす、
ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール。
[0022]
 [2] [1]に記載のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールの製造方法であり、
 下記式(3)で表される化合物に下記式(4)で表される化合物を5℃以下の温度条件でマイケル付加反応させ、下記式(5)で表される化合物を得る工程Aと、
 TsO-(CH CH O) -H  ・・・(3)
[式(3)中、Tsはトシル基を示し、aは6~40の整数を示す。]
[0023]
[化1]


[0024]
[式(4)中、R は炭素数1~6の炭化水素基を示す。]
 TsO-(CH CH O) -CH CH -COOR   ・・・(5)
[式(5)中、Tsはトシル基を示し、R は炭素数1~6の炭化水素基を示し、aは6~40の整数を示す。]
 前記式(5)で表される化合物をフタルイミドカリウムと反応させ、下記式(6)で表される化合物を得る工程Bと、
 PI-(CH CH O) -CH CH -COOR   ・・・(6)
[式(6)中、PIはフタルイミド基を示し、R は炭素数1~6の炭化水素基を示し、aは6~40の整数を示す。]
 前記式(6)で表される化合物を脱フタルイミド化し、下記式(7)で表される化合物を得る工程Cと、
 H N-(CH CH O) -CH CH -COOR   ・・・(7)
[式(7)中、R は炭素数1~6の炭化水素基を示し、aは6~40の整数を示す。]
 前記工程Cで得られた前記式(7)で表される化合物を含有する反応生成物に分液抽出処理及び酸加水分解処理を施して前記式(1)で表される化合物を含有する前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを得る工程Dと、
を含むヘテロ型単分散ポリエチレングリコールの製造方法。
[0025]
 [3] 前記式(3)及び(5)~(7)中のaが、それぞれ6~10の整数であり、
 前記工程Dが、前記分液抽出処理の後に前記酸加水分解処理を施す工程であり、
 前記分液抽出処理が、前記式(7)で表される化合物を含有する反応生成物に、酸性水溶液に溶解させて有機溶媒で分液洗浄する酸洗浄処理を施す洗浄工程(w1)と、前記洗浄工程(w1)の後に前記式(7)で表される化合物を分液抽出する抽出工程(e1)と、を含む処理であり、かつ、
 前記酸加水分解処理が、前記式(7)で表される化合物を酸加水分解して前記式(1)で表される化合物を含有する前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを得る処理である、
[2]に記載のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールの製造方法。
[0026]
 [4] 前記式(3)及び(5)~(7)中のaが、それぞれ11~40の整数であり、
 前記工程Dが、前記酸加水分解処理の後に前記分液抽出処理を施す工程であり、
 前記酸加水分解処理が、前記反応生成物中の式(7)で表される化合物を酸加水分解して前記式(1)で表される化合物を含有する反応生成物を得る処理であり、かつ、
 前記分液抽出処理が、前記式(1)で表される化合物を含有する反応生成物に、酸性水溶液に溶解させて有機溶媒で分液洗浄する酸洗浄処理、及び、塩基性水溶液に溶解させて有機溶媒で分液洗浄する塩基洗浄処理を施す洗浄工程(w2)と、前記洗浄工程(w2)の後に前記式(1)で表される化合物を含有する前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを分液抽出する抽出工程(e2)と、を含む処理である、
[2]に記載のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールの製造方法。
[0027]
 [5] 下記式(3):
    TsO-(CH CH O) -H  ・・・(3)
[式(3)中、Tsはトシル基を示し、aは6~40の整数を示す。]
で表される化合物を含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体において、
 (D)逆相クロマトグラフィーを用いて分離したときの、示差屈折率計で検出されるクロマトグラムの溶出開始点から溶出終了点までを結んだ直線をbaseL とし、baseL から上のポリエチレングリコール由来の全ピーク面積をareaA とし、屈折率差最大ピークP の頂点P 4topのbaseL からの高さをP 4topHとし、溶出開始点からP 4topに向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 4topHの1/4となる点と3/4となる点とを結んだ直線をP とし、P とbaseL とが交わる溶出時間をT aとし、P 4topから溶出終了点に向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 4topHの1/4となる点と3/4となる点とを結んだ直線をP とし、P とbaseL とが交わる溶出時間をT bとし、baseL から上のT aからT bの間のピーク面積をareaP としたとき、areaA とareaP とが、下記式(F4):
    areaP /areaA ≧0.92  ・・・(F4)
で表される条件を満たす、
ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体。
[0028]
 [6] [5]に記載のヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体の製造方法であり、
 下記式(8)で表される化合物と下記式(9)で表される化合物とを下記式(F5)で表される条件を満たすように求核置換反応させ、下記式(10)で表される化合物を得る工程aと、
    HO-(CH CH O) -H  ・・・(8)
[式(8)中、bは3~37の整数を示す。]
    LO-(CH CH O) -R   ・・・(9)
[式(9)中、Lはトシル基又はメシル基を示し、R はトリチル基又はベンジル基を示し、cは3~37の整数を示す。]
    6≦b+c≦40  ・・・(F5)
[式(F5)中、bは式(8)中のbを示し、cは式(9)中のcを示す。]
    HO-(CH CH O) -R   ・・・(10)
[式(10)中、R はトリチル基又はベンジル基を示し、aは6~40の整数を示す。]
 前記式(10)で表される化合物をトシル化し、下記式(11)で表される化合物を得る工程bと、
    TsO-(CH CH O) -R   ・・・(11)
[式(11)中、Tsはトシル基を示し、R はトリチル基又はベンジル基を示し、aは6~40の整数を示す。]
 前記式(11)で表される化合物を脱トリチル化又は脱ベンジル化し、前記式(3)で表される化合物を得る工程cと、
 前記工程cで得られた前記式(3)で表される化合物を含有する反応生成物を精製して前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体を得る工程dと、
を含むヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体の製造方法。
[0029]
 [7] [1]に記載のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを用いて得られ、かつ、下記式(12)で表される化合物を含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコール。
[0030]
    X-(CH CH O) -CH CH -Y  ・・・(12)
[式(12)中、X及びYは、それぞれ、生体機能性分子に存在する官能基と共有結合を形成し得る官能基を含む原子団を示し、原子団Xに含まれる官能基と原子団Yに含まれる官能基とは互いに異なり、aは6~40の整数を示す。]
 [8] 前記式(12)中の原子団Xに含まれる官能基がマレイミド基、アジド基、アルキニル基及びヨードアセトアミド基からなる群から選択される1種の官能基であり、かつ、前記式(12)中の原子団Yに含まれる官能基がカルボキシル基又は活性エステル基からなる群から選択される1種の官能基である[7]に記載のヘテロ型単分散ポリエチレングリコール。
[0031]
 [9] [1]に記載のヘテロ型単分散ポリエチレングリコール、又は、[7]~[8]のいずれか一項に記載のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを用いて得られ、前記式(1)で表される化合物又は前記式(12)で表される化合物に、生体機能性分子が結合されてなるヘテロ型単分散ポリエチレングリコール結合体。

発明の効果

[0032]
 本発明によれば、両末端にそれぞれアミノ基とカルボキシル基とを有しており、エチレングリコール鎖長が互いに同じであるヘテロ型ポリエチレングリコールを、主成分として高純度で含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコール、前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体及びヘテロ型単分散ポリエチレングリコール結合体、並びに、前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール及び前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体を容易に得ることができる製造方法を提供することが可能となる。

図面の簡単な説明

[0033]
[図1] 本発明に係る(A)逆相クロマトグラフィーを用いて得られるクロマトグラムの模式図である。
[図2] 本発明に係る(B)陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて得られるクロマトグラムの模式図である。
[図3] 本発明に係る(C)陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて得られるクロマトグラムの模式図である。
[図4] 本発明に係る(D)逆相クロマトグラフィーを用いて得られるクロマトグラムの模式図である。
[図5] 実施例1-2で化合物13を含有する精製物について(A)逆相クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図6] 実施例1-2で展開溶媒について逆相クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図7] 実施例1-2で化合物13を含有する精製物について(B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図8] 実施例1-2で化合物13を含有する精製物について検出器に質量分析計を用いた陽イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図9] 実施例1-2で化合物13を含有する精製物を誘導体化し、(C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図10] 実施例1-2で化合物13を含有する精製物を誘導体化し、検出器に質量分析計を用いた陰イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図11] 実施例2-2で化合物23を含有する精製物について(A)逆相クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図12] 実施例2-2で化合物23を含有する精製物について(B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図13] 実施例2-2で化合物23を含有する精製物について検出器に質量分析計を用いた陽イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図14] 実施例2-2で化合物23を含有する精製物を誘導体化し、(C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図15] 実施例2-2で化合物23を含有する精製物を誘導体化し、検出器に質量分析計を用いた陰イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図16] 比較例2-2で比較精製物2について(A)逆相クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図17] 比較例2-2で比較精製物2について(B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図18] 比較例2-2で比較精製物2について検出器に質量分析計を用いた陽イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図19] 比較例2-2で比較精製物2を誘導体化し、(C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図20] 比較例4-2で比較精製物4について(A)逆相クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図21] 比較例4-2で比較精製物4について(B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図22] 比較例4-2で比較精製物4について検出器に質量分析計を用いた陽イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図23] 比較例4-2で比較精製物4を誘導体化し、(C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図24] 比較例4-2で比較精製物4を誘導体化し、検出器に質量分析計を用いた陰イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図25] 比較例5でポリエチレングリコール1について(A)逆相クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図26] 比較例5でポリエチレングリコール1について(B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図27] 比較例5でポリエチレングリコール1について検出器に質量分析計を用いた陽イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図28] 比較例5でポリエチレングリコール1を誘導体化し、(C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図29] 比較例5でポリエチレングリコール1を誘導体化し、検出器に質量分析計を用いた陰イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図30] 比較例6でポリエチレングリコール2について(A)逆相クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図31] 比較例6でポリエチレングリコール2について(B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図32] 比較例6でポリエチレングリコール2について検出器に質量分析計を用いた陽イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図33] 比較例6でポリエチレングリコール2を誘導体化し、(C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図34] 比較例6でポリエチレングリコール2を誘導体化し、検出器に質量分析計を用いた陰イオン交換クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図35] 実施例1-3で化合物8を含有する精製物について(D)逆相クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図36] 実施例1-3で展開溶媒について逆相クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図37] 実施例2-3で化合物18を含有する精製物について(D)逆相クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。
[図38] 比較例1-3で比較精製物1-1について(D)逆相クロマトグラフィー測定を行って得られたクロマトグラムである。

発明を実施するための形態

[0034]
 以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールは、(A)逆相クロマトグラフィー、(B)陽イオン交換クロマトグラフィー、及び(C)陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離したときのクロマトグラムにおいて、特定の条件を満たすことを特徴とするものである。
[0035]
 <ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール>
 本発明において、ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールとは、両末端に互いに異なる官能基を有するヘテロ型ポリエチレングリコールを主成分として含有し、かつ、分子量が一定である単分散ポリエチレングリコールを指す。本発明においては、前記主成分として、下記式(1):
    NH -(CH CH O) -CH CH COOH  ・・・(1)
で表される化合物(ヘテロ型ポリエチレングリコール)を含有する。
[0036]
 前記式(1)において、aは6~40の整数を表し、ADC用のリンカーとして使用する観点からは、aとしては6~24の整数であることが好ましい。本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールは、前記式(1)で表され、エチレングリコール鎖長(すなわちaの値)が互いに同じである化合物(ヘテロ型ポリエチレングリコール)を高純度で含有しており、具体的には、(A)逆相クロマトグラフィー、(B)陽イオン交換クロマトグラフィー、及び(C)陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離したときの示差屈折率計で検出されるクロマトグラムにおいて、下記の特定の条件を満たす。
[0037]
 なお、以下、本発明において、「示差屈折率計で検出されるクロマトグラム」とは、縦軸(y軸)が検出器である示差屈折率計から得られた信号強度を、横軸(x軸)が溶出時間(カラム保持時間)を、それぞれ示すクロマトグラムである。また、「溶出開始点」とは、クロマトグラフィーのカラムを通過した試料が検出器によって最初に検出される溶出時間を示し、「溶出終了点」とは、カラムを通過した試料が検出器によって最後に検出される溶出時間を示す。
[0038]
 さらに、前記クロマトグラムにおいて、「ポリエチレングリコール由来のピーク」とは、展開溶媒等の試料以外の成分に起因するピーク、並びに、使用したカラムや装置に起因するベースラインの揺らぎによる擬似ピークを除いたピークのことを示す。このような展開溶媒等に起因するピークや、使用したカラムや装置に起因するベースラインの揺らぎによる擬似ピークは、試料を含まない展開溶媒のみをカラムにインジェクションして測定することにより特定することができる。
[0039]
 なお、本発明において、前記「ポリエチレングリコール」とは、次式:-(CH CH O)n-[nは正の整数を示す]で表されるエチレングリコール鎖を有する化合物のことを示し、例えば、前記式(1)で表される化合物の他、前記式(1)中のアミノ基(NH )に代えてカルボキシル基(COOH)、水素原子、ハロゲン原子又は他の官能基を有する化合物;前記式(1)中のカルボキシル基に代えてアミノ基、水素原子、ハロゲン原子又は他の官能基を有する化合物;前記式(1)中のaが6~40以外の整数である化合物等の、後述する中間体や不純物等が挙げられる。なお、前記他の官能基としては、特に制限されないが、水酸基、トシル基(Ts)、メシル基(Ms)、フタルイミド基、トリチル基(Trt)、ベンジル基(Bn)、TsOで表される基、MsOで表される基、TrtOで表される基、BnOで表される基、COORで表される基[Rは炭化水素基を示す。]、tert-ブトキシカルボニル基(tBoc)が挙げられ、前記ハロゲン原子としては、塩素原子が挙げられる。
[0040]
 <(A)逆相クロマトグラフィー>
 本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールは、逆相クロマトグラフィーを用いて分離したときの、示差屈折率計で検出されるクロマトグラムの溶出開始点から溶出終了点までを結んだ直線をbaseL とし、baseL から上のポリエチレングリコール由来の全ピーク面積をareaA とし、屈折率差最大ピークP の頂点P 1topのbaseL からの高さをP 1topHとし、溶出開始点からP 1topに向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 1topHの1/4となる点と3/4となる点とを結んだ直線をP とし、P とbaseL とが交わる溶出時間をT aとし、P 1topから溶出終了点に向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 1topHの1/4となる点と3/4となる点とを結んだ直線をP とし、P とbaseL とが交わる溶出時間をT bとし、baseL から上のT aからT bの間のピーク面積をareaP としたとき、areaA とareaP とが、下記式(F1):
    areaP /areaA ≧0.90  ・・・(F1)
で表される条件を満たす。
[0041]
 前記クロマトグラムにおいて、「屈折率差最大ピークP 」は、前記式(1)で表される化合物(ヘテロ型ポリエチレングリコール)に由来するピークを含むピークである。前記式(1)で表される化合物に由来するピークを含むピークであることは、検出器として前記示差屈折率計に代えて質量分析計を用いること以外は同一条件で測定することで確認することができる。
[0042]
 図1に、ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを逆相クロマトグラフィーを用いて分離したときの、示差屈折率計で検出されるクロマトグラムの模式図を示す。逆相カラムに試料溶液を注入して展開すると、試料溶液中に含まれる化合物が親水性の高い化合物から順に溶出される。このときの溶出開始点から溶出終了点までを結んだ直線をbaseL とし、baseL から上の全ピーク面積をareaA とする。次に、屈折率差最大ピークP の頂点をP 1topとし、そのbaseL からの高さをP 1topHとする。溶出開始点からP 1topに向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 1topHの1/4となる点と3/4となる点を結んだ直線をP とし、P とbaseL とが交わる溶出時間をT aとする。さらに、P 1topから溶出終了点に向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 1topHの1/4となる点と3/4となる点を結んだ直線をP とし、P とbaseL とが交わる溶出時間をT bとする。baseL から上のT aからT bの間のピーク面積をareaP とする。
[0043]
 本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールにおいては、このように求められるareaP /areaA が、0.90以上である。areaA の値はポリエチレングリコール由来の全ピーク面積を、areaP の値は屈折率差最大ピークP のピーク面積を示すことから、屈折率差最大ピークP が、前記式(1)で表される化合物のみに由来するピークである場合、areaP /areaA の値は、前記式(1)で表される化合物の含有量に相当する。なお、目的とする前記式(1)で表される化合物とエチレングリコール鎖長が1つ異なる化合物や、末端の官能基が一部異なる化合物等、逆相クロマトグラフィーで分離できない不純物が前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール中に含有されている場合には、これらの化合物の含有量もareaP /areaA の値内に含まれる場合がある。
[0044]
 areaP /areaA の値としては、aが6~24であるときは0.94以上が好ましく、aが25~40であるときは0.90以上が好ましい。なお、本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールにおいては、前記式(1)中、aの値が増加するに伴って製造工程数が増加するため、目的とする前記式(1)で表される化合物とエチレングリコール鎖長の異なる化合物の含有量が増加する傾向にある。areaP /areaA の値が前記下限未満である場合には、前記式(1)で表される化合物とエチレングリコール鎖長が異なる化合物や末端に前記式(1)の組み合わせと異なる官能基を有する化合物等の不純物の含有量が多くなることから、かかるヘテロ型単分散ポリエチレングリコールをADCのリンカー材料として用いると、薬剤の結合個数の確認が困難になる、薬剤添加量が不明確になる、医薬品申請の際に余分な評価が必要になるといった問題が生じたり、抗体又は薬剤のどちらかが欠損した化合物が生成し、薬剤としての有効性が低下する原因となる。
[0045]
 本発明において、前記逆相クロマトグラフィーの測定条件は、下記の条件:
 機器:東ソー(株)社製 ビルドGPCシステム HLC-8220
 検出器:東ソー(株)社製 RI-8020
 カラム:東ソー(株)社製 TSKgel ODS-80Ts (粒子径 5μm、カラムサイズ 4.6mm×25cm)
 流速:0.6mL/min
 サンプル量:0.2mg/g、40μL
であり、さらに、前記式(1)で表される化合物のaが6~10の場合は、
 展開溶媒:5mM酢酸アンモニウム メタノール/蒸留水=25/75
 カラム温度:40℃
であり、前記式(1)で表される化合物のaが11~20の場合は、
展開溶媒:5mM酢酸アンモニウム メタノール/蒸留水=30/70
カラム温度:40℃
であり、前記式(1)で表される化合物のaが21~40の場合は、
 展開溶媒:5mM酢酸アンモニウム メタノール/蒸留水=50/50
 カラム温度:45℃
で測定する。
[0046]
 <(B)陽イオン交換クロマトグラフィー>
 本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールは、陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離したときの、示差屈折率計で検出されるクロマトグラムの溶出開始点から溶出終了点までを結んだ直線をbaseL とし、baseL から上のポリエチレングリコール由来の全ピーク面積をareaA とし、屈折率差最大ピークP の頂点P 2topのbaseL からの高さをP 2topHとし、溶出開始点からP 2topに向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 2topHの1/2となる点と1/8となる点とを結んだ直線をP Lとし、P LとbaseL とが交わる溶出時間をT とし、baseL から上の溶出開始点からT の間のピーク面積をareaB としたとき、areaB とareaA とが、下記式(F2):
    areaB /areaA ≦0.02  ・・・(F2)
で表される条件を満たす。
[0047]
 前記クロマトグラムにおいて、「屈折率差最大ピークP 」は、前記式(1)で表される化合物(ヘテロ型ポリエチレングリコール)に由来するピークを含むピークである。前記式(1)で表される化合物に由来するピークを含むピークであることは、検出器として前記示差屈折率計に代えて質量分析計を用いること以外は同一条件で測定することで確認することができる。
[0048]
 図2に、ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離したときの、示差屈折率計で検出されるクロマトグラムの模式図を示す。陽イオン交換カラムに試料溶液を注入して展開すると、試料溶液中に含まれる化合物のうち、アミノ基を有さない化合物が先に溶出され、次にアミノ基を有する化合物が溶出される。このときの溶出開始点から溶出終了点までを結んだ直線をbaseL とし、baseL から上の全ピーク面積をareaA とする。次に、屈折率差最大ピークP の頂点をP 2topとし、baseL からの高さをP 2topHとする。溶出開始点からP 2topに向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 2topHの1/2となる点と1/8となる点とを結んだ直線をP Lとし、P LとbaseL とが交わる溶出時間をT とする。baseL から上の溶出開始点からT の間のピーク面積をareaB とする。
[0049]
 本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールにおいては、このように求められるareaB /areaA が、0.02以下であり、好ましくは0.01以下である。areaB /areaA の値は、前記式(1)で表される化合物に由来するピークを含む屈折率差最大ピークP よりも前に溶出されるピークの割合であることから、本発明では、主に末端官能基としてアミノ基を有さない不純物の含有量に相当する。前記アミノ基を有さない不純物としては、例えば、前記式(1)中のアミノ基に代えてカルボキシル基を有するポリエチレングリコールや、同アミノ基に代えて水酸基を有するポリエチレングリコールが挙げられる。areaB /areaA の値が前記上限を超える場合には、アミノ基を有さない不純物の含有量が多くなることから、かかるヘテロ型単分散ポリエチレングリコールをADCのリンカー材料として用いると、抗体又は薬剤のどちらかが欠損した化合物が生成し、薬剤としての有効性が低下する原因となる。
[0050]
 本発明において、前記陽イオン交換クロマトグラフィーの測定条件としては、下記の条件:
 機器:東ソー(株)社製 ビルドGPCシステム HLC-8220
 検出器:東ソー(株)社製 RI-8020
 カラム:東ソー(株)社製 TSKgel SP-2SW (粒子径 5μm、カラムサイズ 4.6mm×25cm)
 展開溶媒:5mM酢酸アンモニウム メタノール/蒸留水=10/90
 流速:0.6mL/min
 カラム温度:30℃
 サンプル量:0.2mg/g、20μL
が挙げられる。
[0051]
 <(C)陰イオン交換クロマトグラフィー>
 本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールは、前記式(1)で表される化合物を含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを誘導体化し、下記式(2):
 tBoc-NH-(CH CH O) -CH CH COOH
   ・・・(2)
[式(2)中、tBocはtert-ブトキシカルボニル基を示し、aは6~40の整数を示す。]
で表される化合物を含有する混合物とし、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離したときの、示差屈折率計で検出されるクロマトグラムの溶出開始点から溶出終了点までを結んだ直線をbaseL とし、baseL から上のポリエチレングリコール由来の全ピーク面積をareaA とし、屈折率差最大ピークP の頂点P 3topのbaseL からの高さをP 3topHとし、溶出開始点からP 3topに向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 3topHの1/2となる点と1/8となる点とを結んだ直線をP Lとし、P LとbaseL とが交わる溶出時間をT とし、baseL から上の溶出開始点からT の間のピーク面積をareaB としたとき、areaB とareaA とが、下記式(F3):
 areaB /areaA ≦0.02  ・・・(F3)
で表される条件を満たす。
[0052]
 前記式(1)で表される化合物を含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを、前記式(2)で表される化合物を含有する混合物に誘導体化する方法としては、公知の方法を使用可能であるが、例えば、前記式(1)で表される化合物を含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを水に溶解させ、塩基として水酸化ナトリウムを加え、次いで、二炭酸ジ-tert-ブチルを加えて反応させることで、前記式(1)で表される化合物から前記式(2)で表される化合物を得ることができる。前記式(2)で表される化合物を含有する混合物は、反応後、例えば、塩酸等によってpHを4以下に調整後、塩化ナトリウムを飽和するまで加え、クロロホルム又はジクロロメタンを用いて分液抽出することにより得ることができる。なお、本発明において、前記誘導体化は前記式(1)で表される化合物が消失するまで十分に行うことが必要である。前記式(1)で表される化合物の消失は、質量分析計を用いた測定により確認することができる。
[0053]
 前記クロマトグラムにおいて、「屈折率差最大ピークP 」は、前記式(2)で表される化合物に由来するピークを含むピークである。前記式(2)で表される化合物に由来するピークを含むピークであることは、検出器として前記示差屈折率計に代えて質量分析計を用いること以外は同一条件で測定することで確認することができる。
[0054]
 図3に、前記式(2)で表される化合物を含有する混合物を陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離したときの、示差屈折率計で検出されるクロマトグラムの模式図を示す。陰イオン交換カラムに試料溶液を注入して展開すると、試料溶液中に含まれる化合物のうち、カルボキシル基を有さない化合物が先に溶出され、次にカルボキシル基を有する化合物が溶出される。このときの溶出開始点から溶出終了点までを結んだ直線をbaseL とし、baseL から上の全ピーク面積をareaA とする。次に、屈折率差最大ピークP の頂点をP 3topとし、baseL からの高さをP 3topHとする。溶出開始点からP 3topに向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 3topHの1/2となる点と1/8となる点とを結んだ直線をP Lとし、P LとbaseL とが交わる溶出時間をT とする。baseL から上の溶出開始点からT の間のピーク面積をareaB とする。
[0055]
 本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールは、このように求められるareaB /areaA が0.02以下であり、好ましくは0.01以下である。areaB /areaA の値は、前記式(2)で表される化合物に由来するピークを含む屈折率差最大ピークP よりも前に溶出されるピークの割合であることから、本発明では、主に末端官能基としてカルボキシル基を有さない不純物の含有量に相当する。前記カルボキシル基を有さない不純物としては、例えば、前記式(2)中のカルボキシル基に代えてt-Boc-NHで表される基を有するポリエチレングリコールや、同カルボキシル基に代えて水酸基を有するポリエチレングリコールが挙げられる。areaB /areaA の値が前記上限を超える場合には、カルボキシル基を有さない不純物の含有量が高くなることから、かかるヘテロ型単分散ポリエチレングリコールをADCのリンカー材料として用いると、抗体又は薬剤のどちらかが欠損した化合物が生成し、薬剤としての有効性が低下する原因となる。
[0056]
 本発明において、前記陰イオン交換クロマトグラフィーの測定条件としては、下記の条件:
 機器:東ソー(株)社製 ビルドGPCシステム HLC-8220
 検出器:東ソー(株)社製 RI-8020
 カラム:東ソー(株)社製 TSKgel DEAE-2SW (粒子径 5μm、カラムサイズ 4.6mm×25cm)
 展開溶媒:5mM酢酸アンモニウム メタノール/蒸留水=10/90
 流速:0.6mL/min
 カラム温度:30℃
 サンプル量:0.2mg/g、30μL
が挙げられる。
[0057]
 <ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールの製造方法>
 前記特定の条件を満たす本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールは、本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールの製造方法により得ることができる。本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールの製造方法は、下記の工程A、工程B、工程C及び工程Dを含むことを特徴とするものである。
[0058]
 〔工程A〕
 本発明に係る工程Aは、下記式(3):
 TsO-(CH CH O) -H  ・・・(3)
で表される化合物に、下記式(4):
[0059]
[化2]


[0060]
で表される化合物を5℃以下の温度条件でマイケル付加反応させ、下記式(5):
 TsO-(CH CH O) -CH CH -COOR   ・・・(5)
で表される化合物を得る工程である。
[0061]
 前記式(3)中、Tsはトシル基を表し、aは6~40の整数を示す。また、前記式(4)中、R は炭素数1~6の炭化水素基を示す。前記炭素数1~6の炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基が挙げられる。塩基性条件下での安定性から、R としては、イソプロピル基又はtert-ブチル基であることが好ましい。また、前記式(5)中、Tsはトシル基を示し、R は炭素数1~6の炭化水素基を示し、aは6~40の整数を示す。前記式(5)中のTsは前記式(3)中のTsに由来するものであり、前記式(5)中のR は前記式(4)中のR に由来するものである。
[0062]
 また、前記式(3)で表される化合物としては、適宜公知の合成方法で得られたものを用いることができるが、前記特定の条件を満たす本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを特に容易に得られるという観点から、後述するヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体を前記式(3)で表される化合物を含有する材料として用いることが好ましい。
[0063]
 前記マイケル付加反応は、溶媒中で反応を行うことができる。前記溶媒としては、前記式(3)で表される化合物及び前記式(4)で表される化合物と反応しない溶媒であれば特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン等の有機溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。前記溶媒の使用量としては、前記式(3)で表される化合物に対して、通常、質量比で1~100倍、好ましくは3~50倍、最も好ましくは5~30倍量である。前記溶媒の使用量が前記下限未満である場合には、前記式(3)で表される化合物同士が反応する恐れがあり、他方、前記上限を超える場合には、マイケル付加反応の進行が遅くなる傾向にある。
[0064]
 前記マイケル付加反応において、前記式(4)で表される化合物の使用量としては、前記式(3)で表される化合物に対して、通常、モル比で2~50倍、好ましくは5~25倍である。前記式(4)で表される化合物の使用量が前記下限未満である場合には、マイケル付加反応が完結しない可能性があり、他方、前記上限を超える場合には、前記式(4)で表される化合物の重合体が生成するといった副反応が生じる恐れがある。
[0065]
 前記マイケル付加反応においては、塩基触媒を用いる。前記塩基触媒としては、反応が進行すれば問題ないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機触媒が挙げられ、これらの中でも、水酸化カリウムが好ましく、反応性の観点からは、パウダー状の水酸化カリウムがより好ましい。前記塩基触媒の使用量としては、前記式(3)で表される化合物に対して、通常、モル比で0.1~10倍、好ましくは0.5~5倍量である。
[0066]
 前記マイケル付加反応の反応温度としては、通常10℃以下であり、好ましくは5℃以下、最も好ましくは0℃以下である。前記反応温度が前記上限を超える場合には、前記式(3)で表される化合物同士が反応する恐れがある。また、前記マイケル付加反応の反応時間としては、前記反応温度、前記塩基触媒等の条件により異なるが、通常0.2~12時間程度であることが好ましい。
[0067]
 工程Aにおいては、このようなマイケル付加反応により、前記式(5)で表される化合物を含有する反応生成物を得ることができる。前記反応生成物は、そのまま未精製で次の工程Bに用いてもよく、シリカゲルカラムクロマトグラフィーや分液抽出処理及び吸着剤処理等によって前記式(5)で表される化合物を精製してから用いてもよいが、本発明においては、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製をしなくとも高純度の本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを得ることができる。
[0068]
 〔工程B〕
 本発明に係る工程Bは、前記式(5)で表される化合物をフタルイミドカリウムと反応させ、下記式(6):
 PI-(CH CH O) -CH CH -COOR   ・・・(6)
で表される化合物を得る工程である。
[0069]
 前記式(6)中、PIはフタルイミド基を示し、R は炭素数1~6の炭化水素基を示し、aは6~40の整数を示す。前記炭素数1~6の炭化水素基は、前記式(5)で表される化合物中のR に由来するものであり、前記式(4)中のR と同義である。
[0070]
 工程Bにおける反応は、溶媒中で行うことができる。前記溶媒としては、前記式(5)で表される化合物及びフタルイミドカリウムと反応しない溶媒であれば特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド(DMF)等の有機溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、反応速度の観点からは、テトラヒドロフラン、DMF又はアセトニトリルが好ましい。前記溶媒の使用量としては、前記式(5)で表される化合物に対して、通常、質量比で1~100倍、好ましくは3~50倍、最も好ましくは5~30倍量である。
[0071]
 工程Bにおいて、前記フタルイミドカリウムの使用量としては、前記式(5)で表される化合物に対して、通常、モル比で1.1~10倍、好ましくは1.5~5倍である。フタルイミドカリウムの使用量が前記下限未満である場合には反応が完結しない可能性があり、他方、前記上限を超える場合には、未反応のフタルイミドカリウムが残存するため、これを除去する必要が生じる。
[0072]
 また、工程Bにおける反応温度としては、使用する溶媒により異なるが、通常、10~100℃である。さらに、工程Bにおける反応時間としては、前記反応温度の条件により異なるが、通常1~24時間程度が好ましい。
[0073]
 工程Bにおいては、このような反応により、前記式(6)で表される化合物を含有する反応生成物を得ることができる。前記反応生成物は、そのまま未精製で次の工程Cに用いてもよく、シリカゲルカラムクロマトグラフィーや分液抽出処理及び吸着剤処理等によって前記式(6)で表される化合物を精製してから用いてもよいが、本発明においては、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製をしなくとも高純度の本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを得ることができる。
[0074]
 〔工程C〕
 本発明に係る工程Cは、前記式(6)で表される化合物を脱フタルイミド化し、下記式(7):
 H N-(CH CH O) -CH CH -COOR   ・・・(7)
で表される化合物を得る工程である。
[0075]
 前記式(7)中、R は炭素数1~6の炭化水素基を示し、aは6~40の整数を示す。前記炭素数1~6の炭化水素基は、前記式(6)で表される化合物中のR に由来するものであり、前記式(4)中のR と同義である。
[0076]
 前記脱フタルイミド化反応は、溶媒中で反応を行うことができる。前記溶媒としては、前記式(6)で表される化合物及び前記式(7)で表される化合物と反応しない溶媒であれば特に限定されず、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、クロロホルム等の溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、好ましくはメタノール、エタノールである。前記溶媒の使用量としては、前記式(6)で表される化合物に対して、通常、質量比で1~100倍、好ましくは3~50倍、最も好ましくは5~30倍量である。前記溶媒の使用量が前記下限未満である場合には、脱保護されたフタル酸類が析出して撹拌が困難となる恐れがあり、他方、前記上限を超える場合には反応の進行が遅くなる傾向にある。
[0077]
 前記脱フタルイミド化反応は塩基化合物存在下で行う。前記塩基化合物としては、反応が進行すれば問題ないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基;ヒドラジン・1水和物やエチレンジアミン等の1級アミン類が挙げられ、これらの中でも、副反応を抑制する観点からは、塩基性の弱いヒドラジン・1水和物やエチレンジアミン等の1級アミン類が好ましい。前記塩基化合物の使用量としては、使用する塩基化合物の種類により異なるが、前記式(6)で表される化合物に対して、通常、モル比で1.0~20倍、好ましくは2.0~15倍量である。
[0078]
 前記脱フタルイミド化反応の反応温度としては、使用する塩基化合物や溶媒により異なるが、通常10~100℃である。また、前記脱フタルイミド化反応の反応時間としては、前記反応温度等の条件により異なるが、通常0.5~12時間程度が好ましい。
[0079]
 工程Cにおいては、このような脱フタルイミド化反応により、前記式(7)で表される化合物を含有する反応生成物を得ることができる。前記反応生成物は、そのまま未精製で次の工程Dに用いてもよく、シリカゲルカラムクロマトグラフィーや分液抽出処理及び吸着剤処理等によって前記式(7)で表される化合物を精製してから用いてもよいが、本発明においては、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製をしなくとも高純度の本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを得ることができる。
[0080]
 〔工程D〕
 本発明に係る工程Dは、前記工程Cで得られた前記式(7)で表される化合物を含有する反応生成物に分液抽出処理及び酸加水分解処理を施して前記式(1)で表される化合物を含有する前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを得る工程である。
[0081]
 前記分液抽出処理及び前記酸加水分解処理としてはいずれが先であってもよいが、前記式(1)で表される化合物として、エチレングリコール鎖の短い化合物を製造する場合、具体的には、前記式(3)及び(5)~(7)中のaがそれぞれ6~10の整数である場合(以下、場合により「製造I」という。)には、前記分液抽出処理の後に前記酸加水分解処理を施すことが好ましい。他方、前記式(1)で表される化合物として、エチレングリコール鎖の長い化合物を製造する場合、具体的には、前記式(3)及び(5)~(7)中のaがそれぞれ11~40の整数である場合(以下、場合により「製造II」という。)には、前記酸加水分解処理の後に前記分液抽出処理を施すことが好ましい。
[0082]
 ・酸加水分解処理
 本発明に係る酸加水分解処理は、前記式(7)で表される化合物を酸加水分解して前記式(1)で表される化合物を得る処理である。前記酸加水分解は、溶媒中で反応を行うことができる。前記溶媒としては、例えば、水、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、クロロホルム、ジクロロメタン等の溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、水又はジクロロメタンが好ましい。前記溶媒の使用量としては、前記式(7)で表される化合物に対して、通常、質量比で0.5~50倍、好ましくは0.8~40倍、最も好ましくは1~30倍量である。前記溶媒の使用量が前記下限未満である場合には粘度が高くなって撹拌効率が低下する恐れがあり、他方、前記上限を超える場合には反応の進行が遅くなる傾向にある。
[0083]
 前記酸加水分解においては、酸触媒を用いる。前記酸触媒としては、反応が進行すれば問題ないが、例えば、塩酸、リン酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられ、これらの中でも、副反応を抑制する観点からは、塩酸が好ましい。前記酸触媒の使用量としては、使用する酸触媒の種類により異なるが、例えば、1M塩酸を使用する場合、前記式(7)で表される化合物に対して、通常、重量比で0.5~10倍である。
[0084]
 前記酸加水分解の反応温度としては、使用する酸触媒により異なるが、通常10~100℃である。また、前記酸加水分解の反応時間としては、反応温度等の条件により異なるが、通常0.5~12時間程度であることが好ましい。
[0085]
 ・分液抽出処理
 前記分液抽出処理は、有機溶媒で分液洗浄する洗浄工程(w)と、前記洗浄工程(w)の後に目的の化合物を分液抽出する抽出工程(e)と、を含む処理である。
[0086]
 (洗浄工程)
 前記洗浄工程(w)としては、目的の化合物を酸性水溶液に溶解させて有機溶媒で分液洗浄する酸洗浄処理、及び、目的の化合物を塩基性水溶液に溶解させて有機溶媒で分液洗浄する塩基洗浄処理が挙げられる。前記洗浄工程(w)としては、前記製造Iの場合、前記式(7)で表される化合物を含有する反応生成物を酸性水溶液に溶解させて有機溶媒で分液洗浄する酸洗浄処理を施す洗浄工程(w1)であることが好ましい。他方、前記製造IIの場合、前記酸加水分解処理で得られた前記式(1)で表される化合物を含有する反応生成物に、酸性水溶液に溶解させて有機溶媒で分液洗浄する酸洗浄処理、及び、塩基性水溶液に溶解させて有機溶媒で分液洗浄する塩基洗浄処理を施す洗浄工程(w2)であることが好ましい。また、洗浄工程(w2)において、前記酸洗浄処理及び前記塩基洗浄処理としてはいずれの処理が先であってもよいが、前記酸加水分解処理の後の溶媒をそのまま前記酸性水溶液として用いることができるという観点から、前記酸洗浄処理の後に前記塩基洗浄処理を施すことが好ましい。
[0087]
 前記洗浄工程(w)に用いる有機溶媒としては、酢酸エチル、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン等が挙げられ、不純物の溶解性の観点からは、クロロホルム、ジクロロメタンが好ましい。前記有機溶媒の使用量としては、目的の化合物(製造Iの場合:前記式(7)で表される化合物、製造IIの場合:前記式(1)で表される化合物)に対して、通常、質量比で2~30倍、好ましくは3~20倍である。前記有機溶媒の使用量が前記下限未満である場合には洗浄効率が低下する恐れがあり、他方、前記上限を超える場合には、洗浄効率の向上が見込まれない。
[0088]
 前記酸洗浄処理に用いる酸性水溶液としては、目的の化合物(製造Iの場合:前記式(7)で表される化合物、製造IIの場合:前記式(1)で表される化合物)を分解しない酸強度であれば問題ないが、pH 5以下の酸性水溶液であることが好ましく、例えば、pH 3に調整した塩酸水溶液や塩化アンモニウム水溶液等が挙げられる。前記酸性水溶液の使用量としては、目的の化合物(製造Iの場合:前記式(7)で表される化合物、製造IIの場合:前記式(1)で表される化合物)に対して、通常、質量比で2~30倍、好ましくは3~20倍である。前記酸性水溶液の使用量が前記下限未満である場合には、前記目的の化合物が前記有機溶媒中に溶け込む恐れがあり、他方、前記上限を超える場合には、下記の抽出工程において抽出効率が低下する傾向にある。
[0089]
 前記塩基洗浄処理に用いる塩基性水溶液としては、前記式(1)で表される化合物を分解しない塩基性であれば問題なく、pH 8以上の塩基性水溶液が好ましく、例えば、pH 9に調整した水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等が挙げられる。前記塩基性水溶液の使用量としては、前記式(1)で表される化合物に対して、通常、質量比で2~30倍、好ましくは3~20倍である。前記塩基性水溶液の使用量が前記下限未満である場合には、前記式(1)で表される化合物が前記有機溶媒中に溶け込む恐れがあり、他方、前記上限を超える場合には、下記の抽出工程において抽出効率が低下する。
[0090]
 前記洗浄工程(w)においては、前記酸性水溶液又は前記塩基性水溶液に目的の化合物(製造Iの場合:前記式(7)で表される化合物、製造IIの場合:前記式(1)で表される化合物)を含有する反応生成物を溶解させ、ここに前記有機溶媒を添加して攪拌した後に有機溶媒を除去する分液洗浄を行うことにより、前記有機溶媒中に不純物を溶解させて除去する。前記分液洗浄を行う回数としては、特に限定はなく、薄層クロマトグラフィー(TLC)や質量分析(MS)測定等によって水溶液中に含まれる不純物を確認しながら複数回行うことが好ましい。
[0091]
 前記酸洗浄処理において、前記有機溶媒と前記酸性水溶液との比率としては、通常、質量比で有機溶媒/酸性水溶液の値が、0.2~3.0であり、0.5~2.0であることが好ましい。また、前記塩基洗浄処理において、前記有機溶媒と前記塩基性水溶液との比率としては、通常、質量比で有機溶媒/塩基性水溶液の値が、0.2~3.0であり、0.5~2.0であることが好ましい。
[0092]
 (抽出工程)
 前記抽出工程(e)では、目的の化合物を分液抽出する。前記抽出工程(e)としては、前記製造Iの場合、前記洗浄工程(w1)の後に前記式(7)で表される化合物を分液抽出する抽出工程(e1)であることが好ましく、他方、前記製造IIの場合、前記洗浄工程(w2)の後に前記式(1)で表される化合物を含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを分液抽出する抽出工程(e2)であることが好ましい。
[0093]
 前記抽出工程(e)においては、前記洗浄工程(w)後の水溶液の酸強度を必要に応じ調整し、塩で飽和させる。次いで、この水溶液に有機溶媒を添加して攪拌した後水溶液を除去することにより、前記有機溶媒中に目的の化合物を得ることができる。
[0094]
 前記抽出工程(e)における前記水溶液の酸強度としては、目的の化合物(製造Iの場合:前記式(7)で表される化合物、製造IIの場合:前記式(1)で表される化合物)を分解しない酸強度であれば問題ない。また、前記水溶液を塩で飽和させる際の塩濃度としては、前記目的の化合物を前記有機溶媒で抽出可能な塩濃度であれば問題ない。このような水溶液としては、例えば、pH 3に調整した塩酸水溶液に塩濃度が23%以上となるように塩化ナトリウムや塩化カリウムを加えた水溶液が挙げられる。前記水溶液の使用量としては、目的の化合物(製造Iの場合:前記式(7)で表される化合物、製造IIの場合:前記式(1)で表される化合物)に対して、通常、質量比で2~30倍、好ましくは3~20倍である。前記水溶液の使用量が前記下限未満である場合には水溶液中の不純物が有機溶媒中に抽出される恐れがあり、他方、前記上限を超える場合には、抽出効率が低下する傾向にある。
[0095]
 前記抽出工程(e)に用いる有機溶媒としては、酢酸エチル、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタンが挙げられ、目的の化合物(製造Iの場合:前記式(7)で表される化合物、製造IIの場合:前記式(1)で表される化合物)の溶解性の観点からは、クロロホルム、ジクロロメタンが好ましい。前記有機溶媒の使用量としては、前記目的の化合物に対して、通常、質量比で2~30倍、好ましくは3~20倍である。前記有機溶媒の使用量が前記下限未満である場合には抽出効率が低下し、他方、前記上限を超える場合には、抽出効率の向上が見込まれない。
[0096]
 前記抽出工程(e)において、前記有機溶媒と前記水溶液との比率としては、通常、質量比で有機溶媒/水溶液の値が、0.2~3.0であり、0.5~2.0であることが好ましい。また、抽出工程(e)を行う回数としては、特に限定はなく、TLCやMS測定等によって水溶液中に含まれる前記式(1)で表される化合物又は前記式(7)で表される化合物を確認しながら複数回行うことが好ましい。
[0097]
 工程Dにおいては、前記工程Cで得られた前記式(7)で表される化合物を含有する反応生成物に、このような分液抽出処理及び酸加水分解処理を施すことにより、前記式(1)で表される化合物を高純度で含有する本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを得ることができる。なお、前記製造Iの場合には、前記加水分解処理の後に水を、前記製造IIの場合には、前記分液抽出処理の抽出工程(e2)の後に有機溶媒を、それぞれ除去することにより、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等による精製をしなくとも、前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを得ることができる。
[0098]
 <ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体>
 本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体は、前記本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造に用いられるものであり、主成分として、下記式(3):
    TsO-(CH CH O) -H  ・・・(3)
で表される化合物を含有する。
[0099]
 前記式(3)において、Tsはトシル基を示し、aは6~40の整数を示す。本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体は、前記式(3)で表され、エチレングリコール鎖長(すなわちaの値)が互いに同じである化合物を高純度で含有しており、具体的には、(D)逆相クロマトグラフィーを用いて分離したときの示差屈折率計で検出されるクロマトグラムにおいて、下記の特定の条件を満たす。
[0100]
 <(D)逆相クロマトグラフィー>
 本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体は、逆相クロマトグラフィーを用いて分離したときの、示差屈折率計で検出されるクロマトグラムの溶出開始点から溶出終了点までを結んだ直線をbaseL とし、baseL から上のポリエチレングリコール由来の全ピーク面積をareaA とし、屈折率差最大ピークP の頂点P 4topのbaseL からの高さをP 4topHとし、溶出開始点からP 4topに向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 4topHの1/4となる点と3/4となる点とを結んだ直線をP とし、P とbaseL とが交わる溶出時間をT aとし、P 4topから溶出終了点に向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 4topHの1/4となる点と3/4となる点とを結んだ直線をP とし、P とbaseL とが交わる溶出時間をT bとし、baseL から上のT aからT bの間のピーク面積をareaP としたとき、areaA とareaP とが、下記式(F4):
    areaP /areaA ≧0.92  ・・・(F4)
で表される条件を満たす。
[0101]
 前記クロマトグラムにおいて、「屈折率差最大ピークP 」は、前記式(3)で表される化合物に由来するピークを含むピークである。前記式(3)で表される化合物に由来するピークを含むピークであることは、検出器として前記示差屈折率計に代えて質量分析計を用いること以外は同一条件で測定することで確認することができる。
[0102]
 図4に、ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体を逆相クロマトグラフィーを用いて分離したときの、示差屈折率計で検出されるクロマトグラムの模式図を示す。逆相カラムに試料溶液を注入して展開すると、試料溶液中に含まれる化合物が親水性の高い化合物から順に溶出される。このときの溶出開始点から溶出終了点までを結んだ直線をbaseL とし、baseL から上の全ピーク面積をareaA とする。次に、屈折率差最大ピークP の頂点をP 4topとし、baseL からの高さをP 4topHとする。溶出開始点からP 4topに向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 4topHの1/4となる点と3/4となる点を結んだ直線をP とし、P とbaseL とが交わる溶出時間をT aとする。さらに、P 4topから溶出終了点に向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 4topHの1/4となる点と3/4となる点とを結んだ直線をP とし、P とbaseL とが交わる溶出時間をT bとする。baseL から上のT aからT bの間のピーク面積をareaP とする。
[0103]
 本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体においては、このように求められるareaP /areaA が、0.92以上である。areaA の値はポリエチレングリコール由来の全ピーク面積を、areaP の値は屈折率差最大ピークP のピーク面積を示すことから、屈折率差最大ピークP が、前記式(3)で表される化合物のみに由来するピークである場合、areaP /areaA の値は、前記式(3)で表される化合物の含有量に相当する。なお、目的とする前記式(3)で表される化合物とエチレングリコール鎖長が1つ異なる化合物や、末端の官能基が一部異なる化合物等、逆相クロマトグラフィーで分離できない不純物が前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体に含有されている場合には、これらの化合物の含有量もareaP /areaA の値内に含まれる可能性がある。
[0104]
 areaP /areaA の値としては、aが6~24であるときは0.95以上が好ましく、25~40であるときは0.92以上が好ましい。なお、本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体においては、前記式(3)中、aの値が増加するに伴って製造工程数が増加するため、目的とする前記式(3)で表される化合物とエチレングリコール鎖長の異なる化合物の含有量が増加する傾向にある。areaP /areaA の値が前記下限未満である場合には、エチレングリコール鎖長が異なる化合物や末端に前記式(3)の組み合わせと異なる官能基を有する化合物等の不純物の含有量が多くなることから、かかるヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体を用いて合成したヘテロ型単分散ポリエチレングリコールをADCのリンカー材料として用いると、薬剤の結合個数の確認が困難になる、薬剤添加量が不明確になる、医薬品申請の際に余分な評価が必要になるといった問題が生じたり、抗体又は薬剤のどちらかが欠損した化合物が生成し、薬剤としての有効性が低下する原因となる。
[0105]
 本発明において、前記逆相クロマトグラフィーの測定条件は、下記の条件:
 機器:東ソー(株)社製 ビルドGPCシステム HLC-8220
 検出器:東ソー(株)社製 RI-8020
 カラム:東ソー(株)社製 TSKgel ODS-80Ts (粒子径 5μm、カラムサイズ 4.6mm×25cm)
 流速:0.6mL/min
 サンプル量:0.2mg/g、40μL
であり、さらに、前記式(3)で表される化合物のaが6~10の場合は、
 展開溶媒:5mM酢酸アンモニウム メタノール/蒸留水=50/50
 カラム温度:40℃
であり、前記式(3)で表される化合物のaが11~20の場合は、
 展開溶媒:5mM酢酸アンモニウム メタノール/蒸留水=60/40
 カラム温度:40℃
であり、前記式(3)で表される化合物のaが21~40の場合は、
 展開溶媒:5mM酢酸アンモニウム メタノール/蒸留水=65/35
 カラム温度:45℃
で測定する。
[0106]
 <ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体の製造方法>
 前記特定の条件を満たす本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体は、本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体の製造方法により得ることができる。本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体の製造方法は、下記の工程a、工程b、工程c及び工程dを含むことを特徴とするものである。
[0107]
 〔工程a〕
 本発明に係る工程aは、下記式(8):
    HO-(CH CH O) -H  ・・・(8)
で表される化合物と下記式(9):
    LO-(CH CH O) -R   ・・・(9)
で表される化合物とを下記式(F5):
    6≦b+c≦40  ・・・(F5)
で表される条件を満たすように求核置換反応させ、下記式(10):
    HO-(CH CH O) -R   ・・・(10)
で表される化合物を得る工程である。
[0108]
 前記式(8)中、bは3~37の整数を示し、前記式(9)中、Lはトシル基又はメシル基を示し、R はトリチル基又はベンジル基を示し、cは3~37の整数を示す。また、式(8)中のb及び式(9)中のcは、b+c=6~40であり、前記式(F5)で表される条件を満たす。
[0109]
 前記式(8)で表される化合物及び式(9)で表される化合物は、市販品を利用できる他、公知の合成方法により得ることができる。また、前記式(9)で表される化合物としては、本工程aにより得られる前記式(10)で表される化合物をトシル化又はメシル化した化合物や、後述する工程bにより得られる式(11)で表される化合物を利用することで、エチレングリコール鎖長の長い、すなわち前記式(10)中のaの数が大きい化合物を合成することが可能である。
[0110]
 前記式(8)で表される化合物と前記式(9)で表される化合物とを塩基存在下で求核置換反応させることにより、前記式(10)で表される化合物を含む反応生成物を得ることができる。前記式(10)中、R はトリチル基又はベンジル基を示し、aは6~40の整数を示す。また、前記式(10)中のR は前記式(9)中のR に由来するものである。なお、前記反応生成物中には、下記式(13):
    R O-(CH CH O) -R   ・・・(13)
で表される化合物を不純物として含有する。前記式(13)中、R はトリチル基又はベンジル基を示し、dは8~80の整数を示す。また、前記式(13)中のR は前記式(9)中のR に由来するものである。
[0111]
 前記求核置換反応は、溶媒中で反応を行うことができる。前記溶媒としては、前記式(8)で表される化合物及び前記式(9)で表される化合物と反応しない溶媒であれば特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、DMF、ジクロロメタン、クロロホルム等の非プロトン性極性溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。前記溶媒の使用量としては、前記式(9)で表される化合物に対して、通常、質量比で1~100倍、好ましくは2~50倍、最も好ましくは3~30倍量である。前記溶媒の使用量が前記下限未満である場合には、前記式(8)で表される化合物の両末端に前記式(9)で表される化合物が結合した、前記式(13)で表される化合物の生成量が多くなる傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、求核置換反応の進行が遅くなる傾向にある。
[0112]
 前記求核置換反応において、前記式(8)で表される化合物の使用量としては、前記式(9)で表される化合物に対して、通常、モル比で1.1~50倍、好ましくは1.5~30倍、更に好ましくは2.0~20倍である。前記式(8)で表される化合物の使用量が前記下限未満である場合には、前記式(8)で表される化合物の両末端に前記式(9)で表される化合物が結合した、前記式(13)で表される化合物の生成量が多くなる傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、求核置換反応の進行が遅くなる傾向にある。
[0113]
 前記求核置換反応に用いる塩基としては、反応が進行すれば問題ないが、例えば、金属ナトリウム、水素化ナトリウム、カリウムtert-ブトキシドが挙げられる。前記塩基の使用量としては、前記式(9)で表される化合物に対して、通常、モル比で1.1~10倍、好ましくは1.2~5倍量である。
[0114]
 前記求核置換反応の反応温度としては、使用する溶媒等により異なるが、通常0~100℃である。前記反応温度が前記下限未満である場合には、反応の進行が遅くなる恐れがあり、他方、前記上限を超える場合には、過剰な温度によって副反応が進行する恐れがある。また、前記求核置換反応の反応時間としては、前記反応温度等の条件により異なるが、通常0.2~48時間程度が好ましい。
[0115]
 工程aにおいては、このような求核置換反応により、前記式(10)で表される化合物及び前記式(13)で表される化合物を含有する反応生成物を得ることができる。前記反応生成物は、そのまま未精製で次の工程bに用いてもよく、シリカゲルカラムクロマトグラフィーや分液抽出処理及び吸着剤処理等によって前記式(10)で表される化合物を精製してから用いてもよいが、前記式(13)で表される化合物は、後述する工程bにおける反応において反応性がなく、また、後述する工程で精製が可能であるため、未精製で用いることができる。
[0116]
 〔工程b〕
 本発明に係る工程bは、前記式(10)で表される化合物をトシル化し、下記式(11):
    TsO-(CH CH O) -R   ・・・(11)
で表される化合物を得る工程である。前記式(11)中、Tsはトシル基を示し、R はトリチル基又はベンジル基を示し、aは6~40の整数を示す。前記R は、前記式(10)中のR に由来するものである。
[0117]
 工程bにおいては、前記工程aで得られた反応生成物とp-トルエンスルホン酸クロライドとを塩基存在下で反応させることにより、前記式(11)で表される化合物と前記式(13)で表される化合物とを含む反応生成物を得ることができる。
[0118]
 工程bにおける反応は、溶媒中で反応を行うことができる。前記溶媒としては、例えば、水、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、DMF、ジクロロメタン、クロロホルム、及びこれらの混合物が挙げられる。前記溶媒の使用量としては、前記式(10)で表される化合物に対して、通常、質量比で1~100倍、好ましくは2~50倍、最も好ましくは3~30倍量である。前記溶媒の使用量が前記下限未満である場合には、反応を制御することが発熱により困難になる恐れがあり、他方、前記上限を超える場合には、反応の進行が遅くなる傾向にある。
[0119]
 工程bにおけるp-トルエンスルホン酸クロライドの使用量としては、前記式(10)で表される化合物に対して、通常、モル比で0.8~5倍、好ましくは0.9~3倍である。p-トルエンスルホン酸クロライドの使用量が前記下限未満である場合には、未反応の前記式(10)で表される化合物が多く残存するため収率が低下し、他方、前記上限を超える場合には、未反応のp-トルエンスルホン酸クロライドが残存し、これを除去することが困難となる。
[0120]
 前記反応に用いる塩基としては、反応が進行すれば問題ないが、例えば、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、ピリジンが挙げられる。前記塩基の使用量としては前記式(10)で表される化合物に対して、通常、モル比で1.1~10倍、好ましくは1.2~5倍量である。
[0121]
 前記反応の反応温度としては、使用する溶媒等により異なるが、通常0~80℃である。前記反応温度が前記下限未満である場合には反応の進行が遅くなる恐れがあり、他方、前記上限を超える場合には、生成した前記式(11)で表される化合物が副反応を起こす恐れがある。また、前記反応の反応時間としては、反応温度等の条件により異なるが、通常0.2~48時間程度が好ましい。
[0122]
 工程bにおいては、このような反応により、前記式(11)で表される化合物と前記式(13)で表される化合物とを含む反応生成物を得ることができる。前記反応生成物は、そのまま未精製で次の工程cに用いてもよく、シリカゲルカラムクロマトグラフィーや分液抽出処理及び吸着剤処理等によって前記式(11)で表される化合物を精製してから用いてもよいが、本発明においては、後述する工程で精製が可能であるため、未精製で用いることができる。
[0123]
 〔工程c〕
 本発明に係る工程cは、前記式(11)で表される化合物を脱トリチル化又は脱ベンジル化し、前記式(3)で表される化合物を得る工程である。前記工程bで得られた反応生成物中の式(11)中、R がトリチル基である場合には脱トリチル化を、R がベンジル基である場合には脱ベンジル化をすることにより、前記式(3)で表される化合物を含む反応生成物を得ることができる。なお、前記反応生成物中には、前記式(13)で表される化合物が脱トリチル化又は脱ベンジル化された、下記式(14):
    HO-(CH CH O) -H  ・・・(14)
で表される化合物を不純物として含有する。前記式(14)中、dは8~80の整数を示す。
[0124]
 前記脱トリチル化及び脱ベンジル化の方法としては、公知の方法が利用可能であり、例えば、GREENE WUTS著、Protective Groups in Organic Sysnthesisに記載されている方法が有効である。また、前記式(11)及び(13)中のR がトリチル基である場合は、酸性条件下での変換反応、接触水素添加等により脱トリチル化させることが可能である。前記酸性条件下での変換反応としては、例えば、1M塩酸中、60℃で反応を行う、又は、メタノール中、触媒量のp-トルエンスルホン酸・1水和物を添加することで反応を行うといった方法が挙げられる。また、前記接触水素添加による方法としては、メタノール溶媒中、水素雰囲気下、触媒量のパラジウム/炭素を加える方法が挙げられる。他方、前記式(11)及び(13)中のR がベンジル基である場合は、接触水素添加により脱ベンジル化させることが可能であり、例えば、メタノール溶媒中、水素雰囲気下、触媒量のパラジウム/炭素を加えることで脱ベンジル化させることができる。
[0125]
 工程cにおいては、このような脱トリチル化又は脱ベンジル化により、前記式(3)で表される化合物及び前記式(14)で表される化合物を含有する反応生成物を得ることができる。前記反応生成物は、そのまま未精製で次の工程dに用いてもよく、シリカゲルカラムクロマトグラフィーや分液抽出処理及び吸着剤処理等によって前記式(3)で表される化合物を精製してから用いてもよいが、本発明においては、後述する工程で精製が可能であるため、未精製で用いることができる。
[0126]
 〔工程d〕
 本発明に係る工程dは、前記工程cで得られた前記式(3)で表される化合物を含有する反応生成物を精製して前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体を得る工程である。
[0127]
 前記工程cで不純物として生成した前記式(14)で表される化合物は、両末端がいずれも水酸基であることから、これを含有する反応生成物は、従来のヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体の合成方法で得られる、両末端の少なくともいずれかに保護基が結合している化合物を含有する組成物と比較して、含まれる化合物の極性差が大きいという特性を有する。したがって、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、分液抽出処理、吸着剤処理等の精製操作によって従来よりも容易に分離除去することが可能である。特に、本発明の製造方法によれば、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製をしなくとも、簡便な分液抽出処理のみで、高純度の本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体を得ることができる。
[0128]
 前記分液抽出処理としては、前記工程cで得られた反応生成物を有機溶媒に溶解させた後に、25℃以下において水溶液で分液洗浄する洗浄工程(w3)を含む方法が挙げられる。前記有機溶媒としては、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタンが挙げられ、これらの中でも、前記式(3)で表される化合物の溶解性の観点から、クロロホルム、ジクロロメタンが好ましい。前記有機溶媒の使用量としては、前記式(3)で表される化合物と前記式(14)で表される化合物とを含む前記反応生成物に対して、通常、質量比で2~30倍、好ましくは3~20倍である。前記有機溶媒の使用量が前記下限未満である場合には、前記式(3)で表される化合物が水層に溶け込む恐れがあり、他方、前記上限を超える場合には、前記式(14)で表される化合物が有機層に溶け込む恐れがある。
[0129]
 前記洗浄工程(w3)において、前記水溶液としては、前記式(14)で表される化合物を溶解可能であれば特に限定されず、例えば、イオン交換水、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の低塩濃度の水溶液が挙げられる。前記水溶液の使用量としては、前記式(3)で表される化合物と前記式(14)で表される化合物とを含む反応生成物に対して、通常、質量比で2~30倍、好ましくは3~20倍である。前記水溶液の使用量が前記下限未満である場合には、前記式(14)で表される化合物の洗浄効率が低下し、他方、前記上限を超える場合には、前記式(3)で表される化合物が水層に溶け込む恐れがある。
[0130]
 前記洗浄工程(w3)において、前記有機溶媒と前記水溶液との比率としては、通常、質量比で有機溶媒/水溶液の値が、0.2~3.0であり、0.5~2.0であることが好ましい。
[0131]
 前記洗浄工程(w3)の温度としては、1~25℃であることが好ましく、5~20℃であることが更に好ましい。前記温度が前記上限を超える場合には、前記式(14)で表される化合物が有機層に溶解して除去することが困難になる傾向にある。また、前記分液洗浄を行う回数としては、特に限定はなく、TLCやMS測定等によって有機溶媒中に含まれる前記式(14)で表される化合物を確認しながら複数回行うことが好ましい。
[0132]
 工程dにおいては、このような分液抽出処理により、前記式(3)で表される化合物を高純度で含有する本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体を容易に得ることができる。本発明によれば、このように簡便な精製によって工程a~工程cで生成する不純物を除去することが可能であるため、各工程において、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等による精製が不要である。なお、得られた前記式(3)で表される化合物を含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体は、そのまま上記本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールの製造に用いることが可能であるが、更に晶析、吸着剤処理、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の処理により精製をして用いてもよい。
[0133]
 <ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール、ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール結合体>
 本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを用いることにより、下記式(12):
    X-(CH CH O) -CH CH -Y  ・・・(12)
で表される化合物を含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを得ることができる。
[0134]
 前記式(12)中、X及びYは、それぞれ、生体機能性分子に存在する官能基と共有結合を形成し得る官能基を含む原子団を示し、原子団Xに含まれる官能基と原子団Yに含まれる官能基とは互いに異なり、aは6~40の整数を示す。
[0135]
 前記原子団Xは、前記式(12)で表されるヘテロ型単分散ポリエチレングリコールのポリエチレングリコール鎖末端に位置する原子団であって、生体機能性分子に存在する官能基と共有結合を形成し得る官能基(X’)を含む。Xは、前記官能基(X’)のみであっても、前記官能基(X’)と前記ポリエチレングリコール鎖への結合部位(W)とからなるものであってもよく、次式:
    X- =X’-W-
で表される。前記式中、X’は生体機能性分子に存在する官能基と共有結合を形成し得る官能基を示し、Wはポリエチレングリコール鎖への結合部位又は単結合を示す。
[0136]
 原子団Yは、前記式(12)で表されるヘテロ型単分散ポリエチレングリコールのポリエチレングリコール鎖末端に位置する原子団であって、生体機能性分子に存在する官能基と共有結合を形成し得る官能基(Y’)を含む。Yは、前記官能基(Y’)のみであっても、前記官能基(Y’)と前記ポリエチレングリコール鎖への結合部位(W’)とからなるものであってもよく、次式:
    Y- =Y’-W’-
で表される。前記式中、Y’は生体機能性分子に存在する官能基と共有結合を形成し得る官能基を示し、W’はポリエチレングリコール鎖への結合部位又は単結合を示す。
[0137]
 結合部位W及びW’としては、それぞれ独立に、ポリエチレングリコール鎖との結合を担うリンカーであり、共有結合によって構成される部位であれば特に制限は無いが、好ましくは、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合、エーテル結合、カーボネート結合、2級アミノ基を含んだ二価の炭化水素基、単結合、及び、二価の炭化水素基が挙げられる。前記炭化水素基としては、炭素数が12以下であることが好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、テトラメチレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。
[0138]
 官能基X’及びY’は、互いに異なる官能基であり、ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールによる修飾の対象となる生体機能性分子(タンパク薬剤、ポリペプチド、酵素、抗体、抗体医薬、遺伝子、オリゴ核酸等を含む核酸化合物、核酸医薬、抗がん剤、低分子薬物等のその他薬剤)に存在する官能基と反応して共有結合を形成し得る官能基であれば特に制限されない。中でも、X’及びY’としては、それぞれ独立に、タンパク質に代表される天然の生体機能性分子に存在する基(アミノ基、チオール基、アルデヒド基、カルボキシル基等)や前記生体機能性高分子に人工的に導入可能な基(マレイミド基、ケトン基、アジド基、アルキニル基等)に温和な条件で、かつ、高い反応効率で反応可能な官能基であることが好ましく、より具体的には、アセタール基、アルデヒド基、マレイミド基、ビニルスルホン基、ヨードアセトアミド基、活性エステル基、活性カーボネート基、カルボキシル基、アミノ基、アミノオキシ基、チオール基、アリル基、ビニル基、アルキニル基、アジド基が好ましい。さらに、反応効率等を考慮すると、X’及びY’としては、アセタール基、アルデヒド基、マレイミド基、活性エステル基、活性カーボネート基、カルボキシル基、アミノ基、アミノオキシ基、アルキニル基、アジド基からなる群から選択される1種の官能基であることが好ましい。
[0139]
 また、X’及びY’としては、それぞれ独立に、対象とする生体機能性分子に存在する官能基がアミノ基である場合には、アセタール基、アルデヒド基、活性エステル基、活性カーボネート基、カルボキシル基であることが好ましく、対象とする生体機能性分子に存在する官能基がチオール基である場合には、マレイミド基、ビニルスルホン基、ヨードアセトアミド基、アリル基、ビニル基であることが好ましく、対象とする生体機能性分子に存在する官能基がアルデヒド基、ケトン基である場合には、アミノ基、アミノオキシ基であることが好ましく、対象とする生体機能性分子に存在する官能基がカルボキシル基である場合には、アミノ基、アミノオキシ基、チオール基であることが好ましく、対象とする生体機能性分子に存在する官能基がマレイミド基である場合には、チオール基であることが好ましく、対象とする生体機能性分子に存在する官能基がアジド基である場合にはアルキニル基であることが好ましく、対象とする生体機能性分子に存在する官能基がアルキニル基である場合にはアジド基であることが好ましい。
[0140]
 原子団X中のX’と原子団Y中のY’との好ましい組み合わせとしては、X’がマレイミド基、アジド基、アルキニル基及びヨードアセトアミド基からなる群から選択される1つの官能基であり、Y’がカルボキシル基又は活性エステル基からなる群から選択される1つの官能基であることが好ましい。
[0141]
 本発明におけるマレイミド基とは、結合部位(W、W’)も含めて次式(15):
[0142]
[化3]


[0143]
で表される基であり、チオール基等の求核性基と反応する基である。前記式(15)中、R としては、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。本発明における原子団X中のX’がマレイミド基である場合、或いは、原子団Y中のY’がマレイミド基である場合の原子団X及び原子団Yとしては、例えば、次式:
[0144]
[化4]


[0145]
で表される原子団が挙げられる。前記式中、eは2~5の整数を示し、R は前記式(15)中のR と同義である。
[0146]
 本発明における活性エステル基とは、結合部位(W、W’)も含めて次式(16):
[0147]
[化5]


[0148]
で表される基であり、アミノ基等の求核性基と反応する。前記式(16)中、R としては、フェニル基、3-ピリジル基、スクシンイミド基、2-ベンゾチアゾール基、又は1-ベンゾトリアゾール基が好ましく、スクシンイミド基又は1-ベンゾトリアゾール基がより好ましく、スクシンイミド基が最も好ましい。本発明における原子団X中のX’が活性エステル基である場合、或いは、原子団Y中のY’が活性エステル基である場合の原子団X及び原子団Yとしては、例えば、次式:
[0149]
[化6]


[0150]
で表される原子団が挙げられる。前記式中、R は前記式(16)中のR と同義である。
[0151]
 本発明におけるアルキニル基とは、結合部位(W、W’)も含めて次式(17)~(20):
[0152]
[化7]


[0153]
のうちのいずれかで表される基であり、アジド基等と反応する。前記式(17)中、R としては、炭素数8以下の飽和炭化水素基又は水素原子が好ましく、水素原子がより好ましい。本発明における原子団X中のX’がアルキニル基である場合、或いは、原子団Y中のY’がアルキニル基である場合の原子団X及び原子団Yとしては、例えば、次式(21)~(23):
[0154]
[化8]


[0155]
で表される原子団が挙げられる。前記式(21)中、fは2~5の整数を示し、R は前記式(17)中のR と同義である。また、前記式(23)中、gは1~6の整数を示す。
[0156]
 本発明における原子団X中のX’がヨードアセトアミド基である場合、或いは、原子団Y中のY’がヨードアセトアミド基である場合の原子団X及び原子団Yとしては、次式:
[0157]
[化9]


[0158]
で表される原子団が挙げられる。
[0159]
 本発明における原子団X中のX’がカルボキシル基である場合、或いは、原子団Y中のY’がカルボキシル基である場合の原子団X及び原子団Yとしては、次式:
[0160]
[化10]


[0161]
で表される原子団が挙げられる。
[0162]
 前記式(12)で表される化合物を得る方法としては、適宜公知の合成方法を利用することができる。例えば、マレイミド基を導入する方法としては、3-マレイミドプロピオン酸やマレイミド酪酸等を1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩等の縮合剤と反応させた後、式(1)で表される化合物を主成分として含有する本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールと反応させる方法や、トリエチルアミン等の塩基存在下、式(1)で表される化合物を主成分として含有する本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールに対して3-マレイミドプロピオン酸N-スクシンイミジルやマレイミド酪酸N-スクシンイミジルを反応させる方法が挙げられる。また、例えば、活性エステル基を導入する方法としては、式(1)で表される化合物を主成分として含有する本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールに対して、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩等の縮合剤存在下、N-ヒドロキシスクシンイミドを反応させる方法が挙げられる。さらに、例えば、ヨードアセトアミド基を導入する方法としては、式(1)で表される化合物を主成分として含有する本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールに対して、トリエチルアミン等の塩基存在下、二(ヨード酢酸)無水物等を反応させる方法が挙げられる。また、例えば、アルキレン基を導入する方法としては、式(1)で表される化合物を主成分として含有する本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールに対して、トリエチルアミン等の塩基存在下、Propargyl chloroformate、(1R,8S,9S)-Bicyclo[6.1.0]non-4-yn-9-ylmethyl N-succinimidyl carbonate、Dibenzocyclooctyne-N-hydroxysuccinimidyl ester等を反応させる方法が挙げられる。
[0163]
 このようにして、前記式(12)で表される化合物を主成分として含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを得ることができる。本発明の式(1)で表される化合物を含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを用いて得られたヘテロ型単分散ポリエチレングリコールは、前記式(12)で表され、エチレングリコール鎖長(すなわちaの値)が互いに同じである化合物(ヘテロ型ポリエチレングリコール)を高純度で含有することができる。
[0164]
 また、本発明の式(1)で表される化合物を含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコール、又は、式(12)で表される化合物を含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを用いることにより、これらの化合物(ヘテロ型ポリエチレングリコール)と生体機能性分子とが結合されてなるヘテロ型単分散ポリエチレングリコール結合体を得ることができる。本発明においては、上記の本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを用いることにより、両末端に薬剤が導入された化合物や、両末端にターゲッティング分子が導入された化合物の生成を十分に抑制することができる。
[0165]
 前記生体機能性分子としては、タンパク薬剤、ポリペプチド、酵素、抗体、抗体医薬、遺伝子、オリゴ核酸等を含む核酸化合物、核酸医薬、抗がん剤、低分子薬物等のその他薬剤が挙げられる。
[0166]
 前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール結合体を得る方法としては、例えば、先ず、前記式(1)で表される化合物、又は、前記式(12)で表される化合物の一方の末端、すなわち、前記式(1)中のアミノ基又はカルボキシル基、前記式(12)中の原子団Xに対して抗体やペプチドリガンド等のターゲティング分子を導入し、もう一方の末端、すなわち、前記式(1)中のアミノ基又はカルボキシル基、前記式(12)中の原子団Yに対して抗がん剤やタンパク薬剤といった薬剤を結合する方法が挙げられる。なお、薬剤及びターゲッティング分子を導入する末端は逆であってもよい。
実施例
[0167]
 以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各合成例において、核磁気共鳴( H-NMR)測定には日本電子社製 JMTC-400を用い、質量分析(ESI-MS)測定にはWaters(株)社製Quattro micro タンデム型質量分析計を用いた。
[0168]
 <ポリエチレングリコールの合成>
 (実施例1-1)
  式(1)中のaが8である化合物13の合成
 〔合成例I〕
  式(3)中のaが8である化合物8の合成
 〔合成例I-1〕
  式(9)中のcが4であり、Lがトシル基であり、R がトリチル基である化合物4の合成
[0169]
[化11]


[0170]
 先ず、前記式に示す反応経路のとおり、化合物2を合成した。すなわち、二口ナスフラスコにテトラエチレングリコール1(200mL、1.15mol)を入れ、トルエン(50mL×2回)を用いて共沸脱水を2回行った。ナスフラスコ内を窒素パージし、ピリジン(18mL、0.22mol)及びトリチルクロリド(TrtCl、40g、0.144mol)を加え、室温で3時間撹拌した。3時間後、薄層クロマトグラフィー(TLC、ヘキサン:酢酸エチル=1:1(体積比))を用いてTrtClの消失を確認し、イオン交換水 200mLを加えた。得られた混合液にトルエン 100mLを加えた後に分液し、有機層をイオン交換水/飽和食塩水の混合溶液 100mL(イオン交換水:飽和食塩水=4:1(体積比))で1回、1M 塩酸水溶液 50mLで1回、飽和食塩水 50mLで4回洗浄した。得られた有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過し、ろ液にトルエン(50mL×3回)を加えて共沸脱水を3回行い、淡黄色透明液体の化合物2を含有する反応生成物を得た。また、ESI-MS測定により、得られた反応生成物中には上記化合物3も含まれていることを確認した。
[0171]
 収量:63.3g
 MS(ESI ): 化合物2 454.5[M+NH 、 化合物3 696.9[M+NH
[0172]
[化12]


[0173]
 次いで、前記式に示す反応経路のとおり、化合物4を合成した。すなわち、ナスフラスコに上記化合物2を含有する反応生成物(化合物2: 62.8g、0.144mol未満)及びテトラヒドロフラン(THF)200mLを入れ、0℃に冷却した。水酸化ナトリウム水溶液(20.0g、0.50mol/60mL)を加え、0℃で20分間撹拌した。反応混合液にトシルクロリド(TsCl)/THF溶液(30.0g、0.157mol/60mL)を30分かけて滴下し、0℃で4時間撹拌した。4時間後、TLC(ヘキサン:酢酸エチル=1:1(体積比))を用いて化合物2の消失を確認した後、未反応のTsClを消失させるため、室温で15時間撹拌した。15時間後、TLCでTsClの消失を確認し、イオン交換水 30mLとジエチルエーテル 50mLを加えた。混合液を飽和重曹水 50mLで1回、飽和食塩水 50mLで3回洗浄した。有機層に活性炭 0.5gと硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、淡黄色透明液体の化合物4を含有する反応生成物を得た。また、ESI-MS測定により、得られた反応生成物中には上記化合物3も含まれていることを確認した。
[0174]
 収量:81.8g
 MS(ESI ): 化合物4 608.7[M+NH 、 化合物3 696.8[M+NH
[0175]
 〔合成例I-2(工程a)〕
  式(10)中のaが8であり、R がトリチル基である化合物5の合成
[0176]
[化13]


[0177]
 前記式に示す反応経路のとおり、化合物5を合成した。すなわち、二口ナスフラスコに水素化ナトリウム(8.1g)を入れ、窒素置換した。脱水ヘキサン(50mL×2回)で2回洗浄し、THF 180mLを加えて0℃に冷却した。ここにトルエン 50mLで3回共沸脱水したテトラエチレングリコール1(式(8)中のbが4である化合物、200mL、1.15mol)を滴下ロートに入れ、30分かけて滴下した。滴下終了後、トルエン 50mLで3回共沸脱水した上記合成例I-1で得られた化合物4を含有する反応生成物(化合物4: 81.3g、0.144mol未満)にTHF 100mLを混合し、同じ滴下ロートに入れ、15分かけて滴下した。滴下終了後、反応混合液を40℃に昇温し、19時間撹拌した。19時間後、TLC(酢酸エチル)を用いて化合物4が消失したことを確認し、室温へと放冷した。反応混合液にイオン交換水 200mL及び飽和食塩水 200mLを加え、分液した。水層にジエチルエーテル 50mLを加えて抽出した。分液した有機層を混合し、イオン交換水/飽和食塩水の混合溶液 50mL(イオン交換水:飽和食塩水=1:1(体積比))で1回、飽和食塩水 50mLで5回洗浄した。有機層に活性炭 0.5gと硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、淡黄色透明液体の化合物5を含有する反応生成物を得た。また、ESI-MS測定により、得られた反応生成物中には上記化合物3及び6も含まれていることを確認した。
[0178]
 収量:78.8g
 MS(ESI ): 化合物5 630.8[M+NH 、 化合物3 696.8[M+NH 、 化合物6 1048.4[M+NH
[0179]
 〔合成例I-3(工程b)〕
  式(11)中のaが8であり、R がトリチル基である化合物7の合成
[0180]
[化14]


[0181]
 前記式に示す反応経路のとおり、化合物7を合成した。すなわち、ナスフラスコに上記合成例I-2で得られた化合物5を含有する反応生成物(化合物5: 77.8g、0.144mol未満)及びTHF 200mLを入れ、0℃に冷却した。水酸化ナトリウム水溶液(20.0g、0.50mol/60mL)を加え、0℃で20分間撹拌した。反応混合液にTsCl/THF溶液(29.5g、0.157mol/60mL)を30分かけて滴下し、0℃で1.5時間撹拌した。1.5時間後、TLC(酢酸エチル)を用いて化合物5が消失したことを確認した。過剰のTsClを失活させるため、さらに室温で12.5時間撹拌した。12.5時間後、TLCでTsClの消失を確認し、イオン交換水 50mL及びジエチルエーテル 50mLを加えた。混合液を飽和重曹水 50mLで1回、飽和食塩水 50mLで3回洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、淡黄色透明液体の上記化合物7を含有する反応生成物を得た。また、ESI-MS測定により、得られた反応生成物中には上記化合物3及び6も含まれていることを確認した。
[0182]
 収量:86.1g
 MS(ESI ): 化合物7 785.2[M+NH 、 化合物3 697.0[M+NH 、 化合物6 1048.7[M+NH
[0183]
 〔合成例I-4(工程c~d)〕
  式(3)中のaが8である化合物8の合成
[0184]
[化15]


[0185]
 前記式に示す反応経路のとおり、化合物8を合成した。すなわち、先ず、ナスフラスコに上記合成例I-3で得られた化合物7を含有する反応生成物(化合物7: 85.6g、0.144mol未満)、メタノール 200mL、パラジウム炭素(Pd/C) 2gを入れ、ナスフラスコ内を水素置換して室温で18時間撹拌した。18時間後、TLC(酢酸エチル)を用いて化合物7の消失を確認し、Pd/Cをセライトろ過により除去した。ろ液にイオン交換水 130mLを加え、生成した固体(トリフェニルメタン)をろ過して除去した。ろ液にトリフェニルメタンが残存していたため、ヘキサン 100mLで5回洗浄し、トリフェニルメタンを除去した。メタノール/イオン交換水層を減圧濃縮し、化合物8を含む粗生成物を得た。ESI-MS測定の結果、得られた粗生成物中には上記化合物1及び9も含まれていることを確認した。
[0186]
 次いで、上記粗生成物にジクロロメタン 120mLを加え、20℃の条件下、イオン交換水 100mLで3回、飽和食塩水 100mLで2回洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、淡黄色透明液体の化合物8を含有する精製物を得た。
精製物
 収量:52.0g
 MS(ESI ): 化合物8 542.4[M+NH
  H-NMR(CDCl 、400MHz): 7.80(d,2H), 7.35(d,2H), 4.16(t,2H), 3.65(m,30H), 2.73(t,1H), 2.45(s, 3H)
粗生成物
 MS(ESI ): 化合物8 542.4[M+NH 、 化合物1 212.7[M+NH 、 化合物9 564.5[M+NH
[0187]
 〔合成例II〕
  式(1)中のaが8である化合物13の合成
 〔合成例II-1(工程A)〕
  式(5)中のaが8であり、R がtert-ブチル基である化合物10の合成
[0188]
[化16]


[0189]
 前記式に示す反応経路のとおり、化合物10を合成した。すなわち、ナスフラスコに上記合成例Iで得られた化合物8を含有する精製物(化合物8: 1.0g、1.91mmol)、アクリル酸tert-ブチル(式(4)中のR がtert-ブチル基である化合物、1.82mL、19.1mmol)及びトルエン(25mL)を入れた。0℃まで冷却した後、水酸化カリウム(powder、53mg、0.9mmol)を加え、0℃で1時間攪拌した。1時間後、ESI-MSにより化合物8の消失を確認し、混合液にイオン交換水 20mLを加え分液した。有機層を飽和食塩水 20mLで1回洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、淡黄色透明液体の化合物10を含有する反応生成物を得た。
[0190]
 収量:1.06g
 MS(ESI ): 化合物10 670.6[M+NH
  H-NMR(CDCl 、400MHz): 7.80(d,2H), 7.34(d,2H), 4.16(t,2H), 3.64(m,32H), 2.50(t,2H), 2.45(s,3H), 1.45(s,9H)。
[0191]
 〔合成例II-2(工程B)〕
  式(6)中のaが8であり、R がtert-ブチル基である化合物11の合成
[0192]
[化17]


[0193]
 前記式に示す反応経路のとおり、化合物11を合成した。すなわち、ナスフラスコに上記合成例II-1で得られた化合物10を含有する反応生成物(化合物10: 1.06g、1.60mmol)及びアセトニトリル(MeCN) 25mLを入れた。ナスフラスコ内を窒素パージし、フタルイミドカリウム塩(PIK、520mg、2.80mmol)を加え、80℃で8時間撹拌した。8時間後、ESI-MS及び H-NMR(CDCl )により化合物10の消失を確認し、反応溶液を減圧濃縮した。ジクロロメタン 7mLを加え固形分をろ過した後に、ろ液を0.1M 水酸化ナトリウム水溶液 7mLで1回、飽和食塩水 10mLで1回洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、淡黄色透明液体の化合物11を含有する反応生成物を得た。
[0194]
 収量:965mg
 MS(ESI ): 化合物11 945.7[M+NH
  H-NMR(CDCl 、400MHz): 7.85(dd,2H), 7.71(dd,2H), 3.90(t,2H), 3.63(m,32H), 2.50(t,2H), 1.45(s,9H)。
[0195]
 〔合成例II-3(工程C~D(分液抽出処理))〕
  式(7)中のaが8であり、R がtert-ブチル基である化合物12の合成
[0196]
[化18]


[0197]
 前記式に示す反応経路のとおり、化合物12を合成した。すなわち、ナスフラスコに上記合成例II-2で得られた化合物11を含有する反応生成物(化合物11: 510mg,0.80mmol)、エタノール 10mL、及びヒドラジン・1水和物(334mg、6.70mmol)を入れ、85℃で45分間撹拌した。45分後、ESI-MSにより化合物11の消失を確認し、室温まで冷却した。析出した白色固体を溶解させるため、12%炭酸カリウム水溶液 5mLを加えた後に、この混合溶液を減圧濃縮してトルエン 5mLで2回共沸脱水し、固体の化合物12を含有する反応生成物を得た。
[0198]
 次いで、得られた反応生成物にイオン交換水 3mlを加え濃塩酸 0.6mLを滴下し、pH 3に調整し、固形分をろ過した。ろ液をジクロロメタンで3回洗浄し、水層にNaCl 2gを加え飽和させた。この水溶液をジクロロメタンで5回抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、淡黄色透明液体の化合物12を含有する精製物を得た。
[0199]
 収量:400mg
 MS(ESI ): 化合物12 498.4[M+H]
  H-NMR(CDCl 、400MHz): 7.97(s,2H), 3.94(t,2H), 3.66(m,30H), 3.19(t,2H), 2.50(t,2H), 1.45(s,9H)。
[0200]
 〔合成例II-4(工程D(酸加水分解処理))〕
  式(1)中のaが8である化合物13の合成
[0201]
[化19]


[0202]
 前記式に示す反応経路のとおり、化合物13を合成した。すなわち、ナスフラスコに上記合成例II-3で得られた化合物12を含有する精製物(化合物12: 400mg、0.80mmol)及び1M 塩酸水溶液 502μLを入れ、60℃で5時間攪拌した。5時間後、ESI-MSにより化合物12の消失を確認し、1M 水酸化ナトリウム水溶液を加え反応液をpH 5に調整した。水分をトルエン(5mL)で2回共沸脱水して得られた固形分にジクロロメタン 10mLを加え、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、淡黄色固体の化合物13を含有する精製物を得た。
[0203]
 収量:320mg
 MS(ESI ): 化合物13 442.4[M+H]
  H-NMR(D O、400MHz): 3.60(m,32H), 3.12(t,2H), 2.51(t,2H)。
[0204]
 (実施例2-1)
  式(1)中のaが12である化合物23の合成
 〔合成例III〕
  式(3)中のaが12である化合物18の合成
 〔合成例III-1〕
  式(9)中のcが8であり、Lがメシル基であり、R がトリチル基である化合物14の合成
[0205]
[化20]


[0206]
 先ず、前記式に示す反応経路のとおり、化合物14を合成した。すなわち、ナスフラスコに合成例I-2で合成した化合物5を含有する反応生成物(化合物5: 72.7g、0.119mol未満)及びトルエン(350mL)を入れ、ナスフラスコ内を窒素パージし、トリエチルアミン(19.8mL、0.143mol)を加えた。0℃で塩化メタンスルホニル(10.1mL、0.131mol)を滴下し、室温で2時間攪拌した。2時間後、ESI-MS測定により化合物5の消失を確認し、1M HClaq. 100mLを加え、分液した。有機層を1M 塩酸水溶液 100mLで1回、飽和重曹水 100mLで2回、飽和食塩水 100mLで1回洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、淡黄色透明液体の化合物14を含有する反応生成物を得た。また、ESI-MS測定により、得られた反応生成物中には上記化合物3及び6も含まれていることを確認した。
[0207]
 収量:80.1g
 MS(ESI ): 化合物14 708.3[M+NH 、化合物3 696.4[M+NH 、 化合物6 1048.5[M+NH
[0208]
 〔合成例III-2(工程a)〕
  式(10)中のaが12であり、R がトリチル基である化合物15の合成
[0209]
[化21]


[0210]
 前記式に示す反応経路のとおり、化合物15を合成した。すなわち、二口ナスフラスコに水素化ナトリウム(6.58g)を入れ、窒素置換した。脱水ヘキサン(50mL×2回)で2回洗浄し、MeCN 200mLを加えて0℃に冷却した。トルエン 50mLで3回共沸脱水したテトラエチレングリコール1(式(8)中のbが4である化合物、180g、0.927mol)にMeCN 50mLを混合し、滴下ロートに入れて30分かけて滴下した。滴下終了後、トルエン 50mLで3回共沸脱水した上記合成例III-1で得られた化合物14を含有する反応生成物(化合物14:80.1g、0.116mol未満)にMeCN 50mLを混合し、同じ滴下ロートに入れて15分かけて滴下した。滴下終了後、反応混合液を80℃に昇温し、3時間撹拌した。3時間後、 H-NMR(CDCl )により化合物14が消失したことを確認し、室温へと放冷した。反応混合液を減圧濃縮し、残渣にトルエン 200mLを加えた。このトルエン溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液 100mLで2回、飽和食塩水 100mLで3回洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、淡黄色透明液体の化合物15を含有する反応生成物を得た。また、ESI-MS測定により、得られた反応生成物中には上記化合物3、6及び16も含まれていることを確認した。
[0211]
 収量:85.4g
 MS(ESI ): 化合物15 806.4[M+NH 、 化合物3 696.6[M+NH 、 化合物6 1048.1[M+NH 、 化合物16 1400.9[M+NH
[0212]
 〔合成例III-3(工程b)〕
  式(11)中のaが12であり、R がトリチル基である化合物17の合成
[0213]
[化22]


[0214]
 前記式に示す反応経路のとおり、化合物17を合成した。すなわち、ナスフラスコに上記合成例III-2で得られた化合物15を含有する反応生成物(化合物15:57.3g、72.7mmol未満)及びジクロロメタン(280mL)を入れ、ナスフラスコ内を窒素パージし、トリエチルアミン(10.1mL、72.7mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP、888mg、7.27mmol)、TsCl(12.5g、65.5mmol)を加え、室温で4.5時間攪拌した。4.5時間後、 H-NMRによりTsClの消失を確認し、1M 塩酸水溶液 150mLを加え、分液した。有機層を1M 塩酸水溶液 150mLで1回、飽和重曹水 150mLで2回、飽和食塩水 150mLで1回洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、淡黄色透明液体の化合物17を含有する反応生成物を得た。また、ESI-MS測定により、得られた反応生成物中には上記化合物3、6及び16も含まれていることを確認した。
[0215]
 収量:69.1g
 MS(ESI ): 化合物17 960.3[M+NH 、 化合物3 696.3[M+NH 、 化合物6 1048.2[M+NH 、 化合物16 1400.8[M+NH
[0216]
 〔合成例III-4(工程c~d)〕
  式(3)中のaが12である化合物18の合成
[0217]
[化23]


[0218]
 前記式に示す反応経路のとおり、化合物18を合成した。すなわち、先ず、ナスフラスコに上記合成例III-3で得られた化合物17を含有する反応生成物(化合物17: 69.1g、73.3mmol未満)及びメタノール(550mL)を入れた後、TsOH・H O(6.97g、36.7mmol)、ヘキサン(200mL)を加え、室温で30分攪拌した。30分後、ヘキサン層を除去した後にヘキサン(200mL)を加え、室温で30分攪拌した。同様の操作を6回行った後、ESI-MSにより化合物17の消失を確認し、0℃で飽和重曹水 200mLを加えた。この混合溶液をヘキサン 200mLで2回洗浄し、トリチルメチルエーテルを除去した。メタノール溶液を減圧濃縮し、化合物18を含む粗生成物を得た。MS測定の結果、得られた粗生成物中には上記化合物1、9及び19も含まれていることを確認した。
[0219]
 次いで、上記粗生成物にジクロロメタン 200mLを加え、20℃の条件下、イオン交換水 200mLで3回、飽和食塩水 200mLで1回洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、淡黄色透明液体の化合物18を含有する精製物を得た。
精製物
 収量:52.0g
 MS(ESI ): 化合物18 718.3[M+NH
  H-NMR(CDCl 、400MHz): 7.80(d,2H), 7.34(d,2H), 4.16(t,2H), 3.65(m,46H), 2.65(t,1H), 2.45(s,3H)
粗生成物
 MS(ESI ): 化合物18 718.3[M+NH 、 化合物1 212.3[M+NH 、 化合物9 564.5[M+NH 、 化合物19 916.4[M+NH
[0220]
 〔合成例IV〕
  式(1)中のaが12である化合物23の合成
 〔合成例IV-1(工程A)〕
  式(5)中のaが12であり、R がtert-ブチル基である化合物20の合成
[0221]
[化24]


[0222]
 前記式に示す反応経路のとおり、化合物20を合成した。すなわち、ナスフラスコに上記合成例IIIで得られた化合物18を含有する精製物(化合物18: 4.96g、7.08mmol)、アクリル酸tert-ブチル(式(4)中のR がtert-ブチル基である化合物、3.09mL、21.2mmol)及びトルエン(100mL)を入れた。0℃で水酸化カリウム(powder、199mg、3.54mmol)を加え、0℃で1時間攪拌した。1時間後、ESI-MSにより化合物18の消失を確認し、飽和塩化アンモニウム水溶液 50mLを加えた。この混合溶液を分液後、有機層を飽和食塩水 50mLで1回洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、無色透明液体の化合物20を含有する反応生成物を得た。
[0223]
 MS(ESI ): 化合物20 847.0 [M+NH 、 432.6[M+2NH 2+
  H-NMR(CDCl 、400MHz): 7.80(d,2H), 7.34(d,2H), 4.16(t,2H), 3.64(m,48H), 2.49(t,2H), 2.45(s,3H), 1.45(s,9H)。
[0224]
 〔合成例IV-2(工程B)〕
  式(6)中のaが12であり、R がtert-ブチル基である化合物21の合成
[0225]
[化25]


[0226]
 前記式に示す反応経路のとおり、化合物21を合成した。すなわち、ナスフラスコに上記合成例IV-1で得られた化合物20を含有する反応生成物(化合物20: 5.43g、6.55mmol)、アセトニトリル(45mL)を入れ、窒素置換した。フタルイミドカリウム塩(1.58g、8.52mmol)を加え、80℃で18時間攪拌した。18時間後、 H-NMRにより化合物20が消失したことを確認し、反応溶液を減圧濃縮した。残渣にジクロロメタン 50mLを加え、不溶物をろ過した。ろ液を0.1M 水酸化ナトリウム水溶液 50mLで1回、飽和食塩水 50mLで1回洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、淡黄色透明液体の化合物21を含有する反応生成物を得た。
[0227]
 収量:4.26g
 MS(ESI ): 化合物21 821.8[M+NH 、 420.0[M+2NH 2+
  H-NMR(CDCl 、400MHz): 7.84(dd,2H), 7.77(dd,2H), 3.90(t,2H), 3.64(m,48H), 2.50(t,2H), 1.45(s,9H)。
[0228]
 〔合成例IV-3(工程C)〕
  式(7)中のaが12であり、R がtert-ブチル基である化合物22の合成
[0229]
[化26]


[0230]
 前記式に示す反応経路のとおり、化合物22を合成した。すなわち、ナスフラスコに上記合成例IV-2で得られた化合物21を含有する反応生成物(化合物21: 4.26g、5.30mmol)、ヒドラジン・1水和物(3.86mL、79.5mmol)及びエタノール(60mL)を入れ、85℃で1時間攪拌した。1時間後、ESI-MSにより化合物21の消失を確認し、室温まで冷却した。析出した白色固体を溶解させるため12%炭酸カリウム水溶液 5mLを加えた後に、この混合溶液を減圧濃縮してトルエン 10mLで2回共沸脱水した。残渣をイオン交換水 20mLに溶解させ、35%塩酸を加えてpH 3とした。析出した固体をろ過し、ろ液に塩化ナトリウム 6gを加えて飽和させた。この水溶液をジクロロメタン 20mLで2回抽出した。有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、淡黄色透明液体の化合物22を含有する反応生成物を得た。
[0231]
 収量:3.13g
 MS(ESI ): 化合物22 674.8[M+H] 、 346.4[M+H+NH 2+
  H-NMR(CDCl 、400MHz): 7.95(s,2H), 3.94(t,2H), 3.66(m,46H), 3.18(t,2H), 2.50(t,2H), 1.45(s,9H)。
[0232]
 〔合成例IV-4(工程D)〕
  式(1)中のaが12である化合物23の合成
[0233]
[化27]


[0234]
 前記式に示す反応経路のとおり、化合物23を合成した。すなわち、先ず、ナスフラスコに上記合成例IV-3で得られた化合物22を含有する反応生成物(化合物22: 3.13g、4.65mmol)及び1M 塩酸水溶液(3mL)を入れ、60℃で2時間攪拌した。2時間後、ESI-MS測定により化合物22が消失したことを確認し、室温まで冷却した。
[0235]
 次いで、反応溶液をイオン交換水 5mLで希釈し、ジクロロメタン 10mLで3回洗浄した。水層に2M 水酸化ナトリウム水溶液及び0.1M 水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH 9とした。この水溶液をジクロロメタン 10mLで3回洗浄し、水層に塩化ナトリウム 2gを加えて飽和させた。この水溶液をクロロホルム 10mLで3回抽出し、有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、淡黄色透明液体の化合物23を含有する反応生成物を2.32g得た。得られた反応生成物(1.96g)に酢酸エチル 10mLを加えて攪拌した。固体をろ過し、3時間減圧乾燥させて白色固体の化合物23を含有する精製物を得た。
[0236]
 収量:1.82g
 MS(ESI ): 化合物23 618.5[M+H] 、 318.3[M+H+NH 2+
  H-NMR(D O、400MHz): 3.61(m,48H), 3.12(t,2H), 2.56(t,2H)。
[0237]
 (比較例1-1)
 合成例I-4における粗生成物(比較精製物1-1)をそのまま用いたこと以外は合成例IIと同様にして固体状の精製物1-2を得た。
[0238]
 (比較例2-1)
 先ず、上記合成例II-3と同様にして固体状の化合物12を含有する反応生成物を得た。次いで、これにイオン交換水 3mlを加え濃塩酸 0.6mLを滴下し、pH 3に調整し、固形分をろ過した後、ろ液に塩化ナトリウム 2gを加えて飽和させた。この水溶液をジクロロメタンで5回抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、淡黄色透明液体の化合物を含有する比較精製物を得た。上記合成例II-3で得られた化合物12を含有する精製物に代えてこの精製物を用いたこと以外は合成例II-4と同様にして固体状の比較精製物2を得た。
[0239]
 (比較例3-1)
 先ず、上記合成例IV-4と同様にしてナスフラスコに上記合成例IV-3で得られた化合物22を含有する反応生成物(化合物22: 3.13g、4.65mmol)及び1M 塩酸水溶液(3mL)を入れ、60℃で2時間攪拌した。2時間後、ESI-MS測定により化合物22が消失したことを確認し、室温まで冷却した。次いで、得られた反応溶液をそのまま減圧濃縮して固体状の比較精製物3を得た。
[0240]
 (比較例4-1)
  アクリロニトリルを用いたヘテロ型単分散ポリエチレングリコールの合成
[0241]
[化28]


[0242]
 先ず、前記式に示す反応経路のとおり、化合物24を合成した。すなわち、ナスフラスコに上記合成例I-4で得られた化合物8を含有する精製物(化合物8: 10.0g、19.1mmol)を入れ、0℃にて水酸化カリウム(1.6g、1.5eq.)の水溶液(10mL)を加えた。アクリロニトリル(14.6mL、12eq.)を滴下ロートに入れ、0℃にて滴下した後、0℃で3時間攪拌した。3時間後、ESI-MS測定により化合物8の消費を確認し、85%リン酸を1.6mL加えてpHが6より小さくなるように調整した。この溶液をトルエン 100mLで希釈した後、イオン交換水 100mLで2回、飽和食塩水 100mLで1回洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、無色透明液体の化合物24を含有する反応生成物を得た。
[0243]
 収量:10.8g
 MS(ESI ): 化合物24 595.5[M+NH
  H-NMR(CDCl 、400MHz): 7.80(d,2H), 7.34(d,2H), 4.16(t,2H), 3.64(m,32H), 2.62(t,2H), 2.35(s,3H)。
[0244]
[化29]


[0245]
 次いで、前記式に示す反応経路のとおり、化合物25を合成した。すなわち、ナスフラスコに上記化合物24を含有する反応生成物(化合物24: 2.62g、4.54mmol)、アセトニトリル(20mL)を入れ、窒素置換した。フタルイミドカリウム塩(1.2g、1.2eq.)を加え、80℃にて4.5時間攪拌した。4.5時間後、 H-NMR測定によりTs基のピークの消失を確認して化合物24の消失を確認し、室温まで放冷した。反応溶液を減圧濃縮した後、残渣にジクロロメタン 20mLを加え、固形分をろ過により除去した。ろ液を0.1M 水酸化ナトリウム水溶液 20mLで1回、飽和食塩水 10mLで1回洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、無色透明液体の化合物25を含有する反応生成物を得た。
[0246]
 収量:2.1g
 MS(ESI ): 化合物25 570.6[M+NH
  H-NMR(CDCl 、400MHz): 7.84(dd,2H), 7.71(dd,2H), 3.90(t,2H), 3.64(m,32H), 2.63(t,2H)。
[0247]
[化30]


[0248]
 次いで、前記式に示す反応経路のとおり、化合物26を合成した。すなわち、ナスフラスコに上記化合物25を含有する反応生成物(化合物25: 1.03g、1.87mmol)、エタノール(15mL)を入れた。ヒドラジン・1水和物(1.4mL、15eq.)を加え、85℃で45分間攪拌した。45分後、ESI-MS測定により化合物25の消失を確認した。析出した白色固体を溶解させるため12%炭酸カリウム水溶液 7.5mLを加えた後に、この混合溶液を減圧濃縮してトルエン 10mLで2回共沸脱水した。残渣をイオン交換水 20mLに溶解させ、35%塩酸を加えてpH 3とした。析出した固体をろ過し、ろ液を減圧濃縮してトルエン 10mLで2回共沸脱水した。残渣をジクロロメタン 20mLに溶解し、硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、淡黄色透明液体の化合物26を含有する反応生成物を得た。
[0249]
 収量:736mg
 MS(ESI ): 化合物26 423.4[M+H]
  H-NMR(CDCl 、400MHz): 7.96(s,2H), 3.69(m,32H), 3.20(t,2H), 2.66(t,2H)。
[0250]
[化31]


[0251]
 次いで、前記式に示す反応経路のとおり、化合物13を合成した。すなわち、ナスフラスコに上記化合物26を含有する反応生成物(化合物26: 629mg、1.49mmol)、35%塩酸(6mL)、及びギ酸(6mL)を加え、100℃にて1.5時間攪拌した。1.5時間後、ESI-MS測定により化合物26の消失を確認し、室温まで放冷した。反応溶液を減圧濃縮し、トルエン 10mLで2回共沸脱水して淡黄色透明液体の化合物13を含有する比較精製物4を得た。また、ESI-MS測定により、得られた組成物中には[M+H] が370.3の化合物が確認され、この化合物は化合物13が分解されて生成した、末端にアミノ基及び水酸基を有する化合物であることを確認した。
[0252]
 収量:512mg
 MS(ESI ): 化合物13 442.4[M+H] 、 NH2-EG8-OH 370.3[M+H]
  H-NMR(D O、400MHz): 3.56(m,32H), 3.08(t,2H), 2.53(t,2H)。
[0253]
 <カラムクロマトグラフィー測定>
 (実施例1-2)
 実施例1-1で得られた化合物13を含有する精製物について、(A)逆相クロマトグラフィー測定、(B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定、(C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定を行った。
[0254]
 (A)逆相クロマトグラフィー測定
 逆相クロマトグラフィー測定は、機器に東ソー(株)社製 ビルドGPCシステム HLC-8220を、検出器(示差屈折率計)に東ソー(株)社製 RI-8020を、カラムに東ソー(株)社製 TSKgel ODS-80Ts (粒子径 5μm、カラムサイズ 4.6mm×25cm)を、展開溶媒に5mM酢酸アンモニウム メタノール/蒸留水=25/75を、それぞれ用い、流速 0.6mL/min、カラム温度 40℃、サンプル濃度 0.2mg/g、注入量 40μLの条件で行った。
[0255]
 得られたクロマトグラムを図5に示す。なお、以下、クロマトグラムの縦軸は検出器から得られた信号強度を、横軸は溶出時間(カラム保持時間)を示す。溶出開始点の溶出時間は9.10分、溶出終了点の溶出時間は15.58分、P 1topの溶出時間は11.98分であり、T aは11.58分、T bは12.34分であった。areaP を算出したところ4025.419であり、areaA を算出したところ4288.511であり、areaP /areaA の値は0.94であった。結果を表1に示す。
[0256]
 なお、サンプルを含まない展開溶媒のみをインジェクションし、同一条件で測定して得られたクロマトグラムを図6に示す。これより、上記測定で溶出時間8.25分より前に検出されたピークは、展開溶媒等に起因するピークや、使用したカラムや装置に起因するベースラインの揺らぎによる擬似ピークであることを確認した。
[0257]
 (B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定
 陽イオン交換クロマトグラフィーの測定条件は、機器に東ソー(株)社製 ビルドGPCシステム HLC-8220を、検出器(示差屈折率計)に東ソー(株)社製 RI-8020を、カラムに東ソー(株)社製 TSKgel SP-2SW (粒子径 5μm、カラムサイズ 4.6mm×25cm)を、展開溶媒に5mM酢酸アンモニウム メタノール/蒸留水=10/90を、それぞれ用い、流速 0.6mL/min、カラム温度 30℃、サンプル濃度 0.2mg/g、注入量 20μLの条件で行った。
[0258]
 得られたクロマトグラムを図7に示す。溶出開始点の溶出時間は3.95分、溶出終了点の溶出時間は6.24分、P 2topの溶出時間は5.38分であり、T は5.15分であった。areaB を算出したところ21.651であり、areaA を算出したところ6610.714であり、areaB /areaA の値は0.00であった。結果を表1に示す。
[0259]
 なお、同サンプルを、機器にWaters(株)社製Alliance2695を、検出器(質量分析計)にWaters(株)社製Quattro micro タンデム型質量分析計を、カラムに東ソー(株)社製 TSKgel SP-2SW (粒子径 5μm、カラムサイズ 4.6mm×25cm)を、展開溶媒に50mM酢酸アンモニウム メタノール/蒸留水=10/90を、それぞれ用い、流速 0.6mL/min、カラム温度 30℃、サンプル濃度 0.01mg/g、注入量 5μLの条件で測定し、得られたクロマトグラムを図8に示す。これより、上記測定で溶出時間4.60分に検出されたピークは、展開溶媒等に起因するピークや、使用したカラムや装置に起因するベースラインの揺らぎによる擬似ピークであることを確認した。
[0260]
 (C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定
 (誘導体化)
 実施例1-1で得られた化合物13を含有する精製物(化合物13: 60mg)をイオン交換水 1mLに溶解した。水酸化ナトリウム(16.3mg、3eq.)、二炭酸ジ-tert-ブチル(0.086mL、2.8eq.)を加え、室温で18時間攪拌した。18時間後、ESI-MS測定により化合物13の消費を確認し、1M 塩酸水溶液を加えてpH 3とした。この水溶液に塩化ナトリウム 300mgを加えて飽和させた。この水溶液をジクロロメタン 2mLで2回抽出し、有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、無色透明液体の前記式(2)中のaが8である化合物を含有する混合物を得た(収量:45mg)。これを下記の陰イオン交換クロマトグラフィーの試料に用いた。
[0261]
 (陰イオン交換クロマトグラフィー)
 陰イオン交換クロマトグラフィーの測定条件は、機器に東ソー(株)社製 ビルドGPCシステム HLC-8220を、検出器(示差屈折率計)に東ソー(株)社製 RI-8020を、カラムに東ソー(株)社製 TSKgel DEAE-2SW (粒子径 5μm、カラムサイズ 4.6mm×25cm)を、展開溶媒に50mM酢酸アンモニウム メタノール/蒸留水=10/90を、それぞれ用い、流速 0.6mL/min、カラム温度 30℃、サンプル濃度 0.2mg/g、注入量 30μLの条件で行った。
[0262]
 得られたクロマトグラムを図9に示す。溶出開始点の溶出時間は9.60分、溶出終了点の溶出時間は11.64分、P 3topの溶出時間は10.42分であり、T は10.11分であった。areaB を算出したところ46.036であり、areaA を算出したところ1158.267であり、areaB /areaA の値は0.00であった。結果を表1に示す。
[0263]
 なお、同サンプルを、機器にWaters(株)社製Alliance2695を、検出器(質量分析計)にWaters(株)社製Quattro micro タンデム型質量分析計を、カラムに東ソー(株)社製 TSKgel DEAE-2SW (粒子径 5μm、カラムサイズ 4.6mm×25cm)を、展開溶媒に50mM酢酸アンモニウム メタノール/蒸留水=10/90を、それぞれ用い、流速 0.6mL/min、カラム温度 30℃、サンプル濃度 0.01mg/g、注入量 5μLの条件で測定し、得られたクロマトグラムを図10に示す。これより、上記測定で溶出時間3.90~8.00分の間に検出されたピークは、展開溶媒等に起因するピークや、使用したカラムや装置に起因するベースラインの揺らぎによる擬似ピークであることを確認した。
[0264]
 (実施例2-2)
 実施例2-1で得られた化合物23を含有する精製物について、(A)逆相クロマトグラフィー測定、(B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定、(C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定を行った。
(A)逆相クロマトグラフィー測定
 展開溶媒を5mM酢酸アンモニウム メタノール/蒸留水=30/70に変更したこと以外は、実施例1-2と同様にして測定を行った。得られたクロマトグラムを図11に示す。溶出開始点の溶出時間は8.50分、溶出終了点の溶出時間は25.67分、P 1topの溶出時間は19.30分であり、T aは18.93分、T bは20.19分であった。areaP を算出したところ11053.332であり、areaA を算出したところ11659.029であり、areaP /areaA の値は0.95であった。結果を表1に示す。
[0265]
 なお、サンプルを含まない展開溶媒のみをインジェクションし、同一条件で測定した結果、上記測定で溶出時間7.10分より前に検出されたピークは、展開溶媒等に起因するピークや、使用したカラムや装置に起因するベースラインの揺らぎによる擬似ピークであることが確認された。
[0266]
 (B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定
 実施例1-2と同様にして測定を行った。得られたクロマトグラムを図12に示す。溶出開始点の溶出時間は4.93分、溶出終了点の溶出時間は5.90分、P 2topの溶出時間は5.28分であり、T は5.10分であった。areaB を算出したところ52.561であり、areaA を算出したところ11372.510であり、areaB /areaA の値は0.00であった。結果を表1に示す。
[0267]
 なお、実施例1-2と同様にして、同サンプルを質量分析計により検出したクロマトグラムを図13に示す。これより、上記測定で溶出時間4.60分に検出されたピークは、展開溶媒等に起因するピークや、使用したカラムや装置に起因するベースラインの揺らぎによる擬似ピークであることが確認された。
[0268]
 (C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定
 実施例1-2と同様にして誘導体化及び測定を行った。得られたクロマトグラムを図14に示す。溶出開始点の溶出時間は8.02分、溶出終了点の溶出時間は9.56分、P 3topの溶出時間は8.47分であり、T は8.18分であった。areaB を算出したところ60.675であり、areaA を算出したところ12484.535であり、areaB /areaA の値は0.00であった。結果を表1に示す。
[0269]
 なお、実施例1-2と同様にして、同サンプルを質量分析計により検出したクロマトグラムを図15に示す。これより、溶出時間3.90~5.20分に検出されたピークは、展開溶媒等に起因するピークや、使用したカラムや装置に起因するベースラインの揺らぎによる擬似ピークであることが確認された。
[0270]
 (比較例1-2)
 比較例1-1で得られた比較精製物1-2について、実施例1-2と同様にして(A)逆相クロマトグラフィー測定、(B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定、(C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定を行った。
[0271]
 (A)逆相クロマトグラフィー測定
 溶出開始点の溶出時間は9.10分、溶出終了点の溶出時間は24.23分、P 1topの溶出時間は19.31分であり、T aは18.94分、T bは20.20分であった。areaP を算出したところ11000.190であり、areaA を算出したところ12088.121であり、areaP /areaA の値は0.91であった。結果を表1に示す。
[0272]
 なお、上記測定では溶出時間23.61分にピークが検出されたが、同サンプルを、機器にWaters(株)社製Alliance2695を、検出器(質量分析計)にWaters(株)社製Quattro micro タンデム型質量分析計を、カラムに東ソー(株)社製 TSKgel ODS-80Ts (粒子径 5μm、カラムサイズ 4.6mm×25cm)を、展開溶媒に5mM酢酸アンモニウム メタノール/蒸留水=10/90を、それぞれ用い、流速 0.6mL/min、カラム温度 40℃、サンプル濃度 0.01mg/g、注入量 5μLの条件で測定した結果、上記の溶出時間23.61分に検出されたピークは化合物9の両末端がカルボン酸である化合物に由来するピークであることが確認された。
(B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定
 溶出開始点の溶出時間は3.42分、溶出終了点の溶出時間は6.46分、P 2topの溶出時間は5.40分であり、T は5.14分であった。areaB を算出したところ442.050であり、areaA を算出したところ11051.251であり、areaB /areaA の値は0.04であった。結果を表1に示す。
[0273]
 なお、上記測定では溶出時間3.97分にピークが検出されたが、実施例1-2と同様にして、同サンプルを質量分析計により検出した結果、上記の溶出時間3.97分に検出されたピークは、化合物9の両末端がカルボン酸である化合物に由来するピークであることが確認された。
[0274]
 (C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定
 溶出開始点の溶出時間は9.55分、溶出終了点の溶出時間は11.99分、P 3topの溶出時間は10.37分であり、T は10.40分であった。areaB を算出したところ50.414であり、areaA を算出したところ11709.544であり、areaB /areaA の値は0.00であった。結果を表1に示す。
[0275]
 (比較例2-2)
 比較例2-1で得られた比較精製物2について、実施例1-2と同様にして(A)逆相クロマトグラフィー測定、(B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定、(C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定を行った。
[0276]
 (A)逆相クロマトグラフィー測定
 得られたクロマトグラムを図16に示す。溶出開始点の溶出時間は9.14分、溶出終了点の溶出時間は15.65分、P 1topの溶出時間は11.90分であり、T aは11.62分、T bは12.45分であった。areaP を算出したところ11239.879であり、areaA を算出したところ12178.507であり、areaP /areaA の値は0.92であった。結果を表1に示す。
[0277]
 なお、比較例1-2と同様に同サンプルを質量分析計により検出した結果、上記の溶出時間15.19分に検出されたピークは、化合物13のアミノ基に代えて水酸基を有する化合物に由来するピークであることが確認された。
[0278]
 (B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定
 得られたクロマトグラムを図17に示す。溶出開始点の溶出時間は3.39分、溶出終了点の溶出時間は6.44分、P 2topの溶出時間は5.37分であり、T は5.17分であった。areaB を算出したところ583.115であり、areaA を算出したところ10146.686であり、areaB /areaA の値は0.06であった。結果を表1に示す。
[0279]
 また、実施例1-2と同様にして、同サンプルを質量分析計により検出したクロマトグラムを図18に示す。これより、上記測定で溶出時間4.08分に検出されたピークは、化合物13のアミノ基に代えて水酸基を有する化合物に由来するピークであることが確認された。
[0280]
 (C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定
 得られたクロマトグラムを図19に示す。溶出開始点の溶出時間は9.54分、溶出終了点の溶出時間は12.12分、P 3topの溶出時間は10.40分であり、T は10.00分であった。areaB を算出したところ120.731であり、areaA を算出したところ11006.335であり、areaB /areaA の値は0.01であった。結果を表1に示す。
[0281]
 (比較例3-2)
 比較例3-1で得られた比較精製物3について、実施例2-2と同様にして(A)逆相クロマトグラフィー測定、(B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定、(C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定を行った。
[0282]
 (A)逆相クロマトグラフィー測定
 溶出開始点の溶出時間は8.50分、溶出終了点の溶出時間は25.69分、P 1topの溶出時間は19.31分であり、T aは18.94分、T bは20.19分であった。areaP を算出したところ10319.256であり、areaA を算出したところ11216.583であり、areaP /areaA の値は0.92であった。結果を表1に示す。
[0283]
 (B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定
 溶出開始点の溶出時間は3.13分、溶出終了点の溶出時間は5.92分、P 2topの溶出時間は5.30分であり、T は5.11分であった。areaB を算出したところ43.769であり、areaA を算出したところ10094.224であり、areaB /areaA の値は0.04であった。結果を表1に示す。
[0284]
 なお、上記測定では溶出時間3.98分にピークが検出されたが、実施例1-2と同様にして、同サンプルを質量分析計により検出した結果、上記の溶出時間3.98分に検出されたピークは、化合物23のアミノ基に代えて水酸基を有する化合物に由来するピークであることが確認された。
[0285]
 (C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定
 溶出開始点の溶出時間は3.39分、溶出終了点の溶出時間は9.59分、P 3topの溶出時間は8.48分であり、T は8.18分であった。areaB を算出したところ116.216であり、areaA を算出したところ11639.907であり、areaB /areaA の値は0.01であった。結果を表1に示す。
[0286]
 (比較例4-2)
 比較例4-1で得られた比較精製物4について、実施例1-2と同様にして(A)逆相クロマトグラフィー測定、(B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定、(C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定を行った。
[0287]
 (A)逆相クロマトグラフィー測定
 得られたクロマトグラムを図20に示す。溶出開始点の溶出時間は9.03分、溶出終了点の溶出時間は18.24分、P 1topの溶出時間は11.78分であり、T aは11.44分、T bは12.30分であった。areaP を算出したところ3255.869であり、areaA を算出したところ3460.413であり、areaP /areaA の値は0.94であった。結果を表1に示す。
[0288]
 なお、比較例1-2と同様に同サンプルを質量分析計により検出した結果、ピークP の前方に重なるピークとして、化合物13のカルボキシル基に代えて水酸基を有する化合物に由来するピークが確認された。
[0289]
 (B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定
 得られたクロマトグラムを図21に示す。溶出開始点の溶出時間は3.56分、溶出終了点の溶出時間は13.70分、P 2topの溶出時間は5.34分であり、T は5.16分であった。areaB を算出したところ364.429であり、areaA を算出したところ8113.224であり、areaB /areaA の値は0.04であった。結果を表1に示す。
[0290]
 また、実施例1-2と同様にして、同サンプルを質量分析計により検出したクロマトグラムを図22に示す。これより、上記測定で溶出時間4.60分に検出されたピークは、展開溶媒等に起因するピークや、使用したカラムや装置に起因するベースラインの揺らぎによる擬似ピークであることが確認された。
[0291]
 (C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定
 得られたクロマトグラムを図23に示す。溶出開始点の溶出時間は3.50分、溶出終了点の溶出時間は11.27分、P 3topの溶出時間は10.41分であり、T は10.08分であった。areaB を算出したところ449.532であり、areaA を算出したところ9572.405であり、areaB /areaA の値は0.05であった。結果を表1に示す。
[0292]
 また、実施例1-2と同様にして、同サンプルを質量分析計により検出したクロマトグラムを図24に示す。これより、上記測定で溶出時間4.30~5.70分に検出されたピークは、展開溶媒等に起因するピークや、使用したカラムや装置に起因するベースラインの揺らぎによる擬似ピークであり、溶出時間3.83分に検出されたピークは、化合物13のカルボキシル基に代えて水酸基を有する化合物が誘導体化された化合物に由来するピークであることが確認された。
[0293]
 (比較例5)
 実施例1-1で得られた化合物13を含有する精製物に代えて、市販の化合物13を含有するポリエチレングリコール1(和光純薬工業(株)社製、商品名:Amino-dPEGR8-acid)を用いたこと以外は実施例1-2と同様にして(A)逆相クロマトグラフィー測定、(B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定、(C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定を行った。
[0294]
 (A)逆相クロマトグラフィー測定
 得られたクロマトグラムを図25に示す。溶出開始点の溶出時間は9.45分、溶出終了点の溶出時間は17.80分、P 1topの溶出時間は11.68分であり、T aは11.43分、T bは12.27分であった。areaP を算出したところ4719.533であり、areaA を算出したところ5044.844であり、areaP /areaA の値は0.94であった。結果を表1に示す。
[0295]
 (B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定
 得られたクロマトグラムを図26に示す。溶出開始点の溶出時間は3.56分、溶出終了点の溶出時間は5.97分、P 2topの溶出時間は5.34分であり、T は5.17分であった。areaB を算出したところ631.391であり、areaA を算出したところ10590.395であり、areaB /areaA の値は0.06であった。結果を表1に示す。
[0296]
 また、実施例1-2と同様にして、同サンプルを質量分析計により検出したクロマトグラムを図27に示す。これより、上記測定で溶出時間4.60分に検出されたピークは、展開溶媒等に起因するピークや、使用したカラムや装置に起因するベースラインの揺らぎによる擬似ピークであることが確認された。
[0297]
 (C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定
 得られたクロマトグラムを図28に示す。溶出開始点の溶出時間は3.72分、溶出終了点の溶出時間は11.35分、P 3topの溶出時間は10.40分であり、T は10.40分であった。areaB を算出したところ511.882であり、areaA を算出したところ8378.781であり、areaB /areaA の値は0.06であった。結果を表1に示す。
[0298]
 また、実施例1-2と同様にして、同サンプルを質量分析計により検出したクロマトグラムを図29に示す。これより、上記測定で溶出時間4.30~5.30分に検出されたピークは、展開溶媒等に起因するピークや、使用したカラムや装置に起因するベースラインの揺らぎによる擬似ピークであることが確認された。
[0299]
 (比較例6)
 実施例2-1で得られた化合物23を含有する精製物に代えて、市販の化合物23を含有するポリエチレングリコール2(和光純薬工業(株)社製、商品名:Amino-dPEGR12-acid)を用いたこと以外は実施例2-2と同様にして(A)逆相クロマトグラフィー測定、(B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定、(C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定を行った。
[0300]
 (A)逆相クロマトグラフィー測定
 得られたクロマトグラムを図30に示す。溶出開始点の溶出時間は8.90分、溶出終了点の溶出時間は25.36分、P 1topの溶出時間は19.11分であり、T aは18.72分、T bは20.18分であった。areaP を算出したところ17977.875であり、areaA を算出したところ18751.068であり、areaP /areaA の値は0.96であった。結果を表1に示す。
[0301]
 (B)陽イオン交換クロマトグラフィー測定
 得られたクロマトグラムを図31に示す。溶出開始点の溶出時間は3.29分、溶出終了点の溶出時間は25.36分、P 2topの溶出時間は5.28分であり、T は5.09分であった。areaB を算出したところ600.199であり、areaA を算出したところ9111.849であり、areaB /areaA の値は0.07であった。結果を表1に示す。
[0302]
 また、実施例2-2と同様にして、同サンプルを質量分析計により検出したクロマトグラムを図32に示す。これより、上記測定で溶出時間4.60分に検出されたピークは、展開溶媒等に起因するピークや、使用したカラムや装置に起因するベースラインの揺らぎによる擬似ピークであることが確認された。
[0303]
 (C)陰イオン交換クロマトグラフィー測定
 得られたクロマトグラムを図33に示す。溶出開始点の溶出時間は7.90分、溶出終了点の溶出時間は9.46分、P 3topの溶出時間は8.50分であり、T は8.22分であった。areaB を算出したところ92.903であり、areaA を算出したところ11168.932であり、areaB /areaA の値は0.01であった。結果を表1に示す。
[0304]
 また、実施例2-2と同様にして、同サンプルを質量分析計により検出したクロマトグラムを図34に示す。これより、上記測定で溶出時間4.30~5.10分に検出されたピークは、展開溶媒等に起因するピークや、使用したカラムや装置に起因するベースラインの揺らぎによる擬似ピークであることが確認された。
[0305]
[表1]


[0306]
 上記の結果から、比較例1-2~比較例6に用いたサンプル(比較例1-1~4-1で得られた精製物及び市販のポリエチレングリコール1~2)はareaB /areaA の値が0.02よりも大きく、アミノ基を有さない化合物が不純物として混在していることが確認された。また、比較例4-2~5に用いたサンプル(比較例4-1で得られた精製物及び市販のポリエチレングリコール1)はareaB /areaA の値が0.02よりも大きく、カルボキシル基を有さない化合物が不純物として混在していることが確認された。
[0307]
 (実施例1-3)
 実施例1-1の合成例I-4で得られた化合物8を含有する精製物について、(D)逆相クロマトグラフィー測定を行った。
[0308]
 (D)逆相クロマトグラフィー測定
 逆相クロマトグラフィー測定は、機器に東ソー(株)社製 ビルドGPCシステム HLC-8220を、検出器(示差屈折率計)に東ソー(株)社製 RI-8020を、カラムに東ソー(株)社製 TSKgel ODS-80Ts (粒子径 5μm、カラムサイズ 4.6mm×25cm)を、展開溶媒に5mM酢酸アンモニウム メタノール/蒸留水=50/50をそれぞれ用い、流速 0.6mL/min、カラム温度 40℃、サンプル濃度 0.2mg/g、注入量 40μLの条件で行った。
[0309]
 得られたクロマトグラムを図35に示す。溶出開始点の溶出時間は15.00分、溶出終了点の溶出時間は32.38分、P topの溶出時間は27.57分であり、T aは27.13分、T bは28.63分であった。areaP を算出したところ16481.986であり、areaA を算出したところ17130.905であり、areaP /areaA の値は0.96であった。
[0310]
 なお、サンプルを含まない展開溶媒のみをインジェクションし、同一条件で測定して得られたクロマトグラムを図36に示す。これより、上記測定で溶出時間10.50分より前に検出されたピークは、展開溶媒等に起因するピークや、使用したカラムや装置に起因するベースラインの揺らぎによる擬似ピークであることを確認した。
[0311]
 (実施例2-3)
 実施例2-1の合成例III-4で得られた化合物18を含有する精製物について、(D)逆相クロマトグラフィー測定を行った。
[0312]
 (D)逆相クロマトグラフィー測定
 展開溶媒を5mM酢酸アンモニウム メタノール/蒸留水=60/40に変更したこと以外は、実施例1-3と同様にして測定を行った。得られたクロマトグラムを図37に示す。溶出開始点の溶出時間は12.01分、溶出終了点の溶出時間は16.34分、P 4topの溶出時間は15.24分であり、T aは14.96分、T bは15.78分であった。areaP を算出したところ10898.672であり、areaA を算出したところ11427.921であり、areaP /areaA の値は0.95であった。
[0313]
 また、サンプルを含まない展開溶液のみをインジェクションし、同一条件で測定した結果、上記測定で溶出時間10.50分より前に検出されたピークは、展開溶媒等に起因するピークや、使用したカラムや装置に起因するベースラインの揺らぎによる擬似ピークであることが確認された。
[0314]
 (比較例1-3)
 比較例1-1で得られた比較精製物1-1について、実施例1-3と同様にして(D)逆相クロマトグラフィー測定を行った。
[0315]
 (D)逆相クロマトグラフィー測定
 得られたクロマトグラムを図38に示す。溶出開始点の溶出時間は8.20分、溶出終了点の溶出時間は32.02分、P 4topの溶出時間は27.59分であり、T aは27.16分、T bは28.66分であった。areaP を算出したところ16677.178であり、areaA を算出したところ18301.775であり、areaP /areaA の値は0.91であった。
[0316]
 なお、同サンプルを、機器にWaters(株)社製Alliance2695を、検出器(質量分析計)にWaters(株)社製Quattro micro タンデム型質量分析計を、カラムに東ソー(株)社製 TSKgel ODS-80Ts (粒子径5 μm、カラムサイズ 4.6mm×25cm)を、展開溶媒に5mM酢酸アンモニウム メタノール/蒸留水=10/90を、それぞれ用い、流速 0.6mL/min、カラム温度 40℃、サンプル濃度 0.01mg/g、注入量 5μLの条件で測定した。これにより、上記測定で溶出時間8.52分に検出されたピークは化合物9に由来するピークであることが確認された。
[0317]
 (実施例3)
  式(12)中のaが8であり、原子団Xがマレイミド基を含む原子団であり、原子団Yが活性エステル基を含む原子団である化合物27の合成
[0318]
[化32]


[0319]
 前記式に示す反応経路のとおり、化合物27を合成した。すなわち、先ず、実施例1-1で得られた化合物13を含有する精製物(化合物13: 1.00g、2.26mmol)をアセトニトリル 10mLに溶解し、ここに3-マレイミドプロピオン酸-N-スクシンイミジル(0.56g、2.49mmol)及びトリエチルアミン(0.275g、2.72mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。3時間後、ESI-MS測定により化合物13の消費を確認し、反応溶液を減圧濃縮した。残渣に0.1M 水酸化ナトリウム水溶液 10mLを加え、ジクロロメタン 10mLで3回抽出した。有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、無色透明液体のマレイミド化体を含有する反応生成物を1.21gを得た。
[0320]
 次いで、前記反応生成物をDMF 5mLに溶解し、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(0.47g、2.45mmol)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(0.23g、2.45mmol)を加え、室温で18時間攪拌した。18時間後、ESI-MS測定によってマレイミド化体の消費を確認し、酢酸エチル 15mLを加え、1M 塩酸 10mLで2回、飽和食塩水 10mLで2回有機層を洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、無色透明液体の化合物27を含有する精製物を得た。
[0321]
 収量:1.20g
 MS(ESI ): 化合物27 707.4 [M+NH
  H-NMR(CDCl 、400MHz): 6.67 (s,2H), 3.80(m,4H), 3.60(m,28H), 3.49(t,2H), 3.37(m,2H), 2.86(t,2H), 2.80(s,4H), 2.46(t,2H)。
[0322]
 (実施例4)
  式(12)中のaが12であり、原子団Xがヨードアセトアミド基を含む原子団であり、原子団Yがカルボキシル基を含む原子団である化合物28の合成
[0323]
[化33]


[0324]
 前記式に示す反応経路のとおり、化合物28を合成した。すなわち、ナスフラスコに実施例2-1で得られた化合物23を含有する精製物(化合物23: 1.00g、1.62mmol)、トリエチルアミン(0.18g、1.78mmol)及びジクロロメタン(8mL)を入れ、溶解させた。混合液を0℃に冷却し、ジクロロメタン(2mL)に溶解した、二(ヨード酢酸)無水物(0.63g、1.78mmol)を10分間かけて滴下した。滴下終了後、反応混合液を室温まで昇温し、遮光下で18時間反応させた。ESI-MS測定により化合物23が消失したことを確認し、反応混合液を飽和重曹水 5mLで1回、飽和食塩水 5mLで2回洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、淡黄色透明液体の化合物28を含有する精製物を得た。
[0325]
 収量:1.16g
 MS(ESI ): 化合物28 803.4[M+NH 、 410.5[M+2NH 2+
  H-NMR(CDCl 、400MHz): 8.07(s,1H), 7.23(br s,1H), 3.79(t,2H), 3.74(s,2H), 3.61(m,46H), 3.48(m,2H), 2.56(t,2H)。
[0326]
 (実施例5)
  式(12)中のaが12であり、原子団Xがアルキニル基を含む原子団であり、原子団Yがカルボキシル基を含む原子団である化合物29の合成
[0327]
[化34]


[0328]
 前記式に示す反応経路のとおり、化合物29を合成した。すなわち、ナスフラスコに実施例2-1で得られた化合物23を含有する精製物(化合物23: 1.00g、1.62mmol)、トリエチルアミン(0.18g、1.78mmol)及びジクロロメタン(8mL)を入れ、溶解させた。混合液を0℃に冷却し、ジクロロメタン(2mL)に溶解した(1R,8S,9s)-Bicyclo[6.1.0]non-4-yn-9-ylmethyl N-succinimidyl carbonate(0.52g、1.78mmol)を10分間かけて滴下した。滴下終了後、反応混合液を室温まで昇温し、5時間反応させた。ESI-MS測定により(1R,8S,9s)-Bicyclo[6.1.0]non-4-yn-9-ylmethyl N-succinimidyl carbonateが消失したことを確認し、反応混合液を1M 塩酸 5mLで2回、飽和食塩水で2回洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、白色透明液体の化合物29を含有する精製物を得た。
[0329]
 収量:1.16g
 MS(ESI ): 化合物29 811.6[M+NH 、 414.8[M+2NH 2+
  H-NMR(CDCl 、400MHz): 5.24(br s,1H), 4.14(d,2H), 3.79(t,2H), 3.65(m,44H), 3.56(t,2H), 3.33(m,2H), 2.56(t,2H), 2.25(m,6H), 1.60(m,2H), 1.35(m,1H), 0.95(m,2H)。
[0330]
 本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
 なお、本願は、2015年6月30日付で出願された日本国特許出願(2015-131744)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。

産業上の利用可能性

[0331]
 以上説明したように、本発明によれば、両末端にそれぞれアミノ基とカルボキシル基を有し、エチレングリコール鎖長が互いに同じである化合物を、主成分として、特に高純度で含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを提供することが可能となる。このように、本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールは、エチレングリコール鎖長の異なる化合物や末端官能基が異なる化合物の含有量が少ないという特徴を有するため、ADCのリンカー材料として用いた場合、エチレングリコール鎖長の異なる化合物に起因するADC製造上の問題や医薬品申請上の問題が少なく、また、末端官能基が異なる化合物に起因する、ADC製造時の薬剤が2つ結合した化合物や抗体が2つ結合した化合物、更には薬剤又は抗体が結合していない化合物といった薬剤として有効性のない副生成物の生成を十分に抑制することができる。
[0332]
 さらに、本発明のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールの製造方法は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等を用いず、分液抽出のみで上記の高純度なヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを製造可能であることから、工業化に特に適した製造方法である。

請求の範囲

[請求項1]
 下記式(1):
NH -(CH CH O) -CH CH COOH  ・・・(1)
[式(1)中、aは6~40の整数を示す。]
で表される化合物を含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコールにおいて、
 (A)逆相クロマトグラフィーを用いて分離したときの、示差屈折率計で検出されるクロマトグラムの溶出開始点から溶出終了点までを結んだ直線をbaseL とし、baseL から上のポリエチレングリコール由来の全ピーク面積をareaA とし、屈折率差最大ピークP の頂点P 1topのbaseL からの高さをP 1topHとし、溶出開始点からP 1topに向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 1topHの1/4となる点と3/4となる点とを結んだ直線をP とし、P とbaseL とが交わる溶出時間をT aとし、P 1topから溶出終了点に向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 1topHの1/4となる点と3/4となる点とを結んだ直線をP とし、P とbaseL とが交わる溶出時間をT bとし、baseL から上のT aからT bの間のピーク面積をareaP としたとき、areaA とareaP とが、下記式(F1):
    areaP /areaA ≧0.90  ・・・(F1)
で表される条件を満たし、
 (B)陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離したときの、示差屈折率計で検出されるクロマトグラムの溶出開始点から溶出終了点までを結んだ直線をbaseL とし、baseL から上のポリエチレングリコール由来の全ピーク面積をareaA とし、屈折率差最大ピークP の頂点P 2topのbaseL からの高さをP 2topHとし、溶出開始点からP 2topに向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 2topHの1/2となる点と1/8となる点とを結んだ直線をP Lとし、P LとbaseL とが交わる溶出時間をT とし、baseL から上の溶出開始点からT の間のピーク面積をareaB としたとき、areaB とareaA とが、下記式(F2):
    areaB /areaA ≦0.02  ・・・(F2)
で表される条件を満たし、かつ、
 (C)前記式(1)で表される化合物を含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを誘導体化し、下記式(2):
tBoc-NH-(CH CH O) -CH CH COOH
  ・・・(2)
[式(2)中、tBocはtert-ブトキシカルボニル基を示し、aは6~40の整数を示す。]
で表される化合物を含有する混合物を陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離したときの、示差屈折率計で検出されるクロマトグラムの溶出開始点から溶出終了点までを結んだ直線をbaseL とし、baseL から上のポリエチレングリコール由来の全ピーク面積をareaA とし、屈折率差最大ピークP の頂点P 3topのbaseL からの高さをP 3topHとし、溶出開始点からP 3topに向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 3topHの1/2となる点と1/8となる点とを結んだ直線をP Lとし、P LとbaseL とが交わる溶出時間をT とし、baseL から上の溶出開始点からT の間のピーク面積をareaB としたとき、areaB とareaA とが、下記式(F3):
    areaB /areaA ≦0.02  ・・・(F3)
で表される条件を満たす、
ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール。
[請求項2]
 請求項1に記載のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールの製造方法であり、
 下記式(3)で表される化合物に下記式(4)で表される化合物を5℃以下の温度条件でマイケル付加反応させ、下記式(5)で表される化合物を得る工程Aと、
    TsO-(CH CH O) -H  ・・・(3)
[式(3)中、Tsはトシル基を示し、aは6~40の整数を示す。]
[化1]


[式(4)中、R は炭素数1~6の炭化水素基を示す。]
 TsO-(CH CH O) -CH CH -COOR
  ・・・(5)
[式(5)中、Tsはトシル基を示し、R は炭素数1~6の炭化水素基を示し、aは6~40の整数を示す。]
 前記式(5)で表される化合物をフタルイミドカリウムと反応させ、下記式(6)で表される化合物を得る工程Bと、
 PI-(CH CH O) -CH CH -COOR
  ・・・(6)
[式(6)中、PIはフタルイミド基を示し、R は炭素数1~6の炭化水素基を示し、aは6~40の整数を示す。]
 前記式(6)で表される化合物を脱フタルイミド化し、下記式(7)で表される化合物を得る工程Cと、
 H N-(CH CH O) -CH CH -COOR
  ・・・(7)
[式(7)中、R は炭素数1~6の炭化水素基を示し、aは6~40の整数を示す。]
 前記工程Cで得られた前記式(7)で表される化合物を含有する反応生成物に分液抽出処理及び酸加水分解処理を施して前記式(1)で表される化合物を含有する前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを得る工程Dと、
を含む、ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールの製造方法。
[請求項3]
 前記式(3)及び(5)~(7)中のaが、それぞれ6~10の整数であり、
 前記工程Dが、前記分液抽出処理の後に前記酸加水分解処理を施す工程であり、
 前記分液抽出処理が、前記式(7)で表される化合物を含有する反応生成物に、酸性水溶液に溶解させて有機溶媒で分液洗浄する酸洗浄処理を施す洗浄工程(w1)と、前記洗浄工程(w1)の後に前記式(7)で表される化合物を分液抽出する抽出工程(e1)と、を含む処理であり、かつ、
 前記酸加水分解処理が、前記式(7)で表される化合物を酸加水分解して前記式(1)で表される化合物を含有する前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを得る処理である、
請求項2に記載のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールの製造方法。
[請求項4]
 前記式(3)及び(5)~(7)中のaが、それぞれ11~40の整数であり、
 前記工程Dが、前記酸加水分解処理の後に前記分液抽出処理を施す工程であり、
 前記酸加水分解処理が、前記反応生成物中の式(7)で表される化合物を酸加水分解して前記式(1)で表される化合物を含有する反応生成物を得る処理であり、かつ、
 前記分液抽出処理が、前記式(1)で表される化合物を含有する反応生成物に、酸性水溶液に溶解させて有機溶媒で分液洗浄する酸洗浄処理及び塩基性水溶液に溶解させて有機溶媒で分液洗浄する塩基洗浄処理を施す洗浄工程(w2)と、前記洗浄工程(w2)の後に前記式(1)で表される化合物を含有する前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを分液抽出する抽出工程(e2)と、を含む処理である、
請求項2に記載のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールの製造方法。
[請求項5]
 下記式(3):
    TsO-(CH CH O) -H  ・・・(3)
[式(3)中、Tsはトシル基を示し、aは6~40の整数を示す。]
で表される化合物を含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体において、
 (D)逆相クロマトグラフィーを用いて分離したときの、示差屈折率計で検出されるクロマトグラムの溶出開始点から溶出終了点までを結んだ直線をbaseL とし、baseL から上のポリエチレングリコール由来の全ピーク面積をareaA とし、屈折率差最大ピークP の頂点P 4topのbaseL からの高さをP 4topHとし、溶出開始点からP 4topに向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 4topHの1/4となる点と3/4となる点とを結んだ直線をP とし、P とbaseL とが交わる溶出時間をT aとし、P 4topから溶出終了点に向かうP 上の溶出曲線において、baseL からの高さがP 4topHの1/4となる点と3/4となる点とを結んだ直線をP とし、P とbaseL とが交わる溶出時間をT bとし、baseL から上のT aからT bの間のピーク面積をareaP としたとき、areaA とareaP とが、下記式(F4):
    areaP /areaA ≧0.92  ・・・(F4)
で表される条件を満たす、
ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体。
[請求項6]
 請求項5に記載のヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体の製造方法であり、
 下記式(8)で表される化合物と下記式(9)で表される化合物とを下記式(F5)で表される条件を満たすように求核置換反応させ、下記式(10)で表される化合物を得る工程aと、
    HO-(CH CH O) -H  ・・・(8)
[式(8)中、bは3~37の整数を示す。]
    LO-(CH CH O) -R   ・・・(9)
[式(9)中、Lはトシル基又はメシル基を示し、R はトリチル基又はベンジル基を示し、cは3~37の整数を示す。]
    6≦b+c≦40  ・・・(F5)
[式(F5)中、bは式(8)中のbを示し、cは式(9)中のcを示す。]
    HO-(CH CH O) -R   ・・・(10)
[式(10)中、R はトリチル基又はベンジル基を示し、aは6~40の整数を示す。]
 前記式(10)で表される化合物をトシル化し、下記式(11)で表される化合物を得る工程bと、
    TsO-(CH CH O) -R   ・・・(11)
[式(11)中、Tsはトシル基を示し、R はトリチル基又はベンジル基を示し、aは6~40の整数を示す。]
 前記式(11)で表される化合物を脱トリチル化又は脱ベンジル化し、前記式(3)で表される化合物を得る工程cと、
 前記工程cで得られた前記式(3)で表される化合物を含有する反応生成物を精製して前記ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体を得る工程dと、
を含む、ヘテロ型単分散ポリエチレングリコール製造用中間体の製造方法。
[請求項7]
 請求項1に記載のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを用いて得られ、かつ、下記式(12)で表される化合物を含有するヘテロ型単分散ポリエチレングリコール。
 X-(CH CH O) -CH CH -Y  ・・・(12)
[式(12)中、X及びYは、それぞれ、生体機能性分子に存在する官能基と共有結合を形成し得る官能基を含む原子団を示し、原子団Xに含まれる官能基と原子団Yに含まれる官能基とは互いに異なり、aは6~40の整数を示す。]
[請求項8]
 前記式(12)中の原子団Xに含まれる官能基がマレイミド基、アジド基、アルキニル基及びヨードアセトアミド基からなる群から選択される1種の官能基であり、かつ、前記式(12)中の原子団Yに含まれる官能基がカルボキシル基又は活性エステル基からなる群から選択される1種の官能基である請求項7に記載のヘテロ型単分散ポリエチレングリコール。
[請求項9]
 請求項1に記載のヘテロ型単分散ポリエチレングリコール、又は、請求項7~8のいずれか一項に記載のヘテロ型単分散ポリエチレングリコールを用いて得られ、前記式(1)で表される化合物又は前記式(12)で表される化合物に、生体機能性分子が結合されてなるヘテロ型単分散ポリエチレングリコール結合体。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]

[ 図 25]

[ 図 26]

[ 図 27]

[ 図 28]

[ 図 29]

[ 図 30]

[ 図 31]

[ 図 32]

[ 図 33]

[ 図 34]

[ 図 35]

[ 図 36]

[ 図 37]

[ 図 38]