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1. (WO2017002751) SOLUTION D'HORMONE DE GLANDE THYROÏDE STANDARD
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明 細 書

発明の名称 甲状腺ホルモン類標準液

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010  

発明の効果

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026  

実施例

0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081  

産業上の利用可能性

0082  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : 甲状腺ホルモン類標準液

技術分野

[0001]
 本発明は、甲状腺ホルモン類の免疫測定に用いられる標準液に関する。

背景技術

[0002]
 トリヨードサイロニン(T 3)やサイロキシン(T 4)のような甲状腺ホルモン類は、血液中では代謝サイクルに従って生産、分解が繰り返されている。血中のT 3やT 4濃度は、様々な疾患の指標となるので、臨床検査においてT 3やT 4の濃度が測定されている。また、血液中では、T 3やT 4は、大部分が結合タンパク質と結合した状態で存在し、少量が遊離状態で存在するが、細胞内に入ってその機能を発揮するのは遊離型であるので、遊離型のT 3(FT 3)や遊離型のT 4(FT 4)も測定されている。具体的には、血中FT 3濃度は、甲状腺機能亢進症(上昇)並びにLow T 3症候群及び甲状腺機能低下症(以上、減少)の指標として利用されている。血中T 3濃度は、バセドウ病、初期の亜急性甲状腺炎及びプランマー病等(以上、上昇)並びに重症消耗性疾患、下垂体腫瘍及びシーハン症候群など(以上、減少)の指標として利用されている。また、血中FT 4濃度は、甲状腺機能亢進症及びバセドウ病(以上、上昇)並びに甲状腺機能低下症(減少)の指標として利用されており、血中T 4濃度は、バセドウ病、プランマー病及びホルモン不応症等(以上、上昇)並びに慢性甲状腺炎、ヨード欠乏、シーハン症候群など(以上、減少)の指標として利用されている。
[0003]
 これらの甲状腺ホルモン類の血中濃度は、従来から、免疫測定により測定されている。免疫測定においては、検体とは別に、検量線作成用に、既知濃度の各甲状腺ホルモン類を含む標準液の測定が行われる。より正確な免疫測定を可能とするため、標準液には、保存安定性が要求されるが、甲状腺ホルモン類は水溶液中での安定性が低いことが問題となる。現在、甲状腺ホルモン類にとって本来の環境である血液と類似した媒体が標準液の媒体として用いられている。具体的には、活性炭処理により甲状腺ホルモン類、及びこれに類似した成分を除去した健常ヒト血清を媒体としている(特許文献1)。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開平6-94709号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 従来から甲状腺ホルモン類の標準液の媒体として用いられている、活性炭処理した健常ヒト血清では、原料となるヒト血清のロットにより標準液の性能(安定性、再現性)にバラつきが生じやすく、安定的に同等の品質の標準液を提供するにあたり、原料確保が困難な状況にある。
[0006]
 従って、本発明の目的は、ロット間の性能を揃えやすい甲状腺ホルモン類の標準液を提供することである。

課題を解決するための手段

[0007]
 本願発明者らは、鋭意研究の結果、シクロデキストリン又はその誘導体を甲状腺ホルモン類と共存させることにより、ヒト血清を用いることなく、甲状腺ホルモン類を長期に亘って安定に保存することができることを見出し、本発明を完成した。
[0008]
 すなわち、本発明は、甲状腺ホルモン類と、シクロデキストリン又はその誘導体とを緩衝液中に含む甲状腺ホルモン類標準液を提供する。また、本発明は、上記本発明の標準液を含む、甲状腺ホルモン類測定試薬を提供する。
[0009]
 また、本発明は、甲状腺ホルモン類と、シクロデキストリン又はその誘導体とを緩衝液中に含む液の、甲状腺ホルモン類標準液としての使用を提供する。
[0010]
 さらに本発明は、互いに異なる既知濃度の甲状腺ホルモン類と、シクロデキストリン又はその誘導体とを緩衝液中に含む、複数の甲状腺ホルモン類標準液を準備することと、各甲状腺ホルモン類標準液を免疫測定に供し、各甲状腺ホルモン類標準液に含まれる甲状腺ホルモン類の濃度と、免疫測定のシグナルとの関係に基づき検量線を作成することとを含む、免疫測定における検量線の作成方法を提供する。

発明の効果

[0011]
 本発明により、ロット間の性能を揃えやすい甲状腺ホルモン類の標準液が提供された。本発明の甲状腺ホルモン類標準液は、ヒト血清を用いていないので、従来法のように原料となる血清ロットごとに性能(安定性、再現性)の差異が生じやすいという問題が起きない。

発明を実施するための形態

[0012]
 上記の通り、本発明の甲状腺ホルモン類の標準液は、緩衝液中に甲状腺ホルモン類と、シクロデキストリン又はその誘導体とを含むものである。
[0013]
 甲状腺ホルモン類としては、T ,T 、FT 及びFT を挙げることができ、FT 及びFT が好ましい。標準液中の甲状腺ホルモン類の濃度は、標準液であるので、既知の設定濃度である。FT の場合は、通常、50pg/mL以下、特に30pg/mL以下の濃度で数段階設定される。FT の場合には、通常、20ng/dL以下、特に10ng/dL以下の濃度で数段階設定される。T の場合には、通常、15ng/mL以下、特に8ng/mL以下の濃度で数段階設定される。T の場合には、通常、50μg/dL以下、特に30μg/dL以下の濃度で数段階設定される。
[0014]
 シクロデキストリンは、特に限定されないが、β-シクロデキストリン及びγ-シクロデキストリンが好ましい。また、シクロデキストリン誘導体としては、アルキル若しくはヒドロキシアルキル置換体が好ましく、これらのアルキル基又はヒドロキシアルキル基中の炭素数は1~6が好ましい。これらの中でも、甲状腺ホルモン類の保存安定性の観点から、ヒドロキシプロピル基で置換された、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBC)が特に好ましい。これらのシクロデキストリン又はその誘導体(以下、単に「シクロデキストリン類」とも称する)は市販もされているので、市販品を好ましく用いることができる。シクロデキストリン類は、1種類でもよいし、複数種類を組み合わせて用いることもできる。
[0015]
 シクロデキストリン類の濃度(複数種類を用いる場合にはその合計濃度)は、0.1重量%~10重量%が好ましく、さらに好ましくは1.0重量%~5.0重量%である。シクロデキストリン類の濃度を0.1重量%以上とすることで、十分な安定性効果を示すことができる。一方、10重量%以下とすることで、測定値に影響を与えることなく、FT 、FT の免疫測定の確実な実施を可能とすることができる。
[0016]
 本発明において用いられる緩衝液は、水を溶媒とする水系緩衝液であり、特に限定されないが、pH6.5~10、特にpH7.5~10、さらにpH8.5~9.5の緩衝液とすることが好ましい。このようなpHの範囲で緩衝能を有する緩衝液の例として、炭酸水素ナトリウム、CABS(4-(シクロヘキシルアミノ)-1-ブタンスルホン酸)、エタノールアミン、AMP(2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール)、CAPSO(N-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-3-アミノプロパンスルホン酸)、メチルアミン及びCAPS (N-シクロヘキシル-3-アミノプロパンスルホン酸)等の緩衝液を挙げることができ、これらの緩衝液を使用することが好ましいが、これらに限定されるものではない。上記の緩衝液のようにpH緩衝能が6.5~10の範囲内にない緩衝液であっても、pH調節剤を用いてpH6.5~10の範囲内に調節することで使用することができる。例えば、MES(2-モルフォリノエタンスルホン酸一水塩)及びリン酸緩衝液のような免疫測定において常用されている他の種々の緩衝液も用いることができる。
[0017]
 本発明の標準液は、必要に応じ、pH調節剤を含んでいてもよい。pH調節剤としては、水酸化ナトリウムのような無機塩基を挙げることができ、pHが6.5~10.0の範囲内になる適量を用いることができる。
[0018]
 本発明の標準液は、さらに、塩化ナトリウムを含んでいてもよい。塩化ナトリウムの濃度は、血液中の塩化ナトリウム濃度と同程度、すなわち、0.85重量%~0.9重量%程度でよい。
[0019]
 本発明の標準液は、さらに、ブロッキング剤を含んでいてもよい。ブロッキング剤は、非特異吸着を防止するために免疫測定において常用されているものであり、ウシ血清アルブミン(BSA)、スキムミルク、ゼラチン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。ブロッキング剤を含む場合、その濃度は特に限定されず、適宜設定されるが、通常1.0重量%~3.0重量%程度、特には1.5重量%~2.5重量%程度である。
[0020]
 本発明の標準液は、腐敗防止のため、アジ化ナトリウムのような汎用される殺菌剤を適量含んでいてもよい。
[0021]
 本発明の甲状腺ホルモン類標準液は、免疫測定において、従来の甲状腺ホルモン類標準液と全く同様に用いることができる。甲状腺ホルモン類の免疫測定自体は周知であり、そのための免疫測定キットも市販されている。本発明の標準液は、それらの市販の免疫測定キットの標準液としても利用可能である。
[0022]
 甲状腺ホルモン類の免疫測定自体は周知であり、そのための免疫測定キットも市販されているので、ここで詳しく記載する必要はないが、好ましい免疫測定方法について簡単に述べると、例えば、FT 3の定量では、担体である粒子にT 2(ジヨードサイロニン)を結合したT 2結合粒子と、FT 3を含む検体と、標識抗T 3モノクローナル抗体とを反応させ、粒子を回収して、粒子に結合した標識抗T 3モノクローナル抗体を測定することにより、検体中のFT 3を定量することができる(下記実施例1参照)。担体粒子としては、B/F分離を容易にするために磁性粒子が好ましいが、磁性粒子に限定されるものではない。また、標識としては、アルカリフォスファターゼ等の免疫測定において標識酵素として常用されている酵素を用いることができる。標識酵素を定量するために用いる、標識酵素の基質としても、免疫測定において常用されている、化学発光基質や発色基質等を用いることができる。FT 4の定量のためには、T 3を結合した粒子と、FT 4を含む検体と、標識抗T 4モノクローナル抗体とを反応させ、粒子に結合した標識抗T 4モノクローナル抗体を測定することにより、検体中のFT 4を定量することができる(下記実施例2参照)。なお、これらの方法は、粒子に結合された甲状腺ホルモンと、検体中の甲状腺ホルモンとの競合に基づく競合法であるが、免疫測定方法は、競合法に限定されるものではなく、サンドイッチ法や凝集法等の他の免疫測定方法も用いることができる。
[0023]
 本発明の甲状腺ホルモン類標準液を用いて検量線を作成する場合には、まず、互いに異なる既知濃度の甲状腺ホルモン類と、シクロデキストリン又はその誘導体とを緩衝液中に含む、複数の甲状腺ホルモン類標準液を準備する。準備する甲状腺ホルモン類標準液の数は、通常、2種類以上、好ましくは4種類以上である。上限は特にないが、通常、10種類以下である。
[0024]
 次に、各標準液を、上記のような免疫測定に供して、シグナルを測定する。例えば、上記した競合法では、標識酵素と、該酵素の基質とを反応させ、生じたシグナル(例えば、化学発光基質の場合には化学発光強度)を測定する。
[0025]
 次に、各標準液中の甲状腺ホルモン類の濃度を横軸に、測定されたシグナルを縦軸にプロットして検量線を作成することができる。
[0026]
 以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例
[0027]
実施例1  FT の測定
 実施例1-1  各種シクロデキストリン類含有標準液の安定性試験
 以下の組成を有するFT 標準液を調製した。
 MES   10.7g/L
 NaCl 8.77g/L
 NaN 3 1.00g/L
 4N NaOH 9mL/L
 シクロデキストリン類各種 0.1または1.0重量%
(ただし、甲状腺ホルモン無添加(1濃度目)の場合は含有せず)
 BSA 20.0g/L
 1N NaOH  適量(pHが6.8になるまでの微調整用)
 FT 0pg/mL(無添加、1濃度目)、1.95 pg/mL±20%、2濃度目)又は30pg/mL(6濃度目)(免疫測定に用いた市販のFT 免疫測定キットであるルミパルスFT3-III(商品名、富士レビオ社製)に含まれるFT 標準液の1濃度目~6濃度目のうちの1濃度目、2濃度目及び6濃度目の濃度に調製)
[0028]
 調製した各FT 標準液を、-80℃または37℃で1週間または2週間保存し、保存後の標準液中のFT を免疫測定した。測定は、市販のFT 測定キットであるルミパルスFT3-III(商品名、富士レビオ社製)を用い、測定機器として市販のルミパルスG1200(商品名、富士レビオ社製)を用いて行った。なお、ルミパルスFT3-III(商品名、富士レビオ社製)を用いた免疫測定は、この商品の添付文書に記載されたとおりに行った。
[0029]
 具体的には、次のように行った。まず、キットに含まれるT 結合フェライト粒子懸濁液250μLと、調製した上記各FT 標準液30μLと、キットに含まれるアルカリホスファターゼ(ALP)標識抗T モノクローナル抗体(ヒツジ)溶液50μLとを37℃で20分間反応させた。次に、フェライト粒子を磁石で集め、反応液を除去した後、粒子の洗浄を行った。次いで、基質液(AMPPD、(3-(2'-スピロアダマンタン)-4-メトキシ-4-(3''-ホスホリルオキシ)フェニル-1,2-ジオキセタン・2ナトリウム塩))200μLを粒子に加え、37℃で5分間反応させた。次に波長477nmに発光極大を持つ光の発光量を測定した。なお、当該測定は、単一モノクローナル抗体に対するFT とFT の競合反応を原理としており、発光量は抗体に反応するFT 量と正の相関を示し、反応系中に存在するFT 量と負の相関を示す。したがって、発光量が多いほどFT 濃度が低いことを示す。
[0030]
 1週間後の結果を下記表1-1に、2週間後の結果を表1-2に示す。なお、本明細書において、特に説明のない限り、表中の数値は、-80℃で同期間保存した各濃度の標準液について得られた発光量を100とした相対値で示すものとする。
[0031]
[表1-1]


 CD:シクロデキストリン
[0032]
[表1-2]


 CD:シクロデキストリン
[0033]
 -80℃保存の標準液を用いた場合との発光量の相違は、±20%以内であることを要し、±10%以内であることが好ましく、±5%以内であることがより好ましい。表1の結果より、FT 標準液は、いずれのシクロデキストリン類を添加しても良好な安定性を示すことが判明した。また、特にHPBCで良好な安定性を示すことが判明した。
[0034]
 実施例1-2  至適pHの検討
 シクロデキストリン類をヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、濃度を1.0重量%、pHを6.8、8.0又は9.0とした以外は、実施例1-1と同様の方法でFT3標準液を調製した。
[0035]
 調製した各FT 標準液を、-80℃または37℃で1週間保存し、保存後の標準液中のFT を免疫測定した。結果を下記表2に示す。
[0036]
[表2]


[0037]
 表2の結果より、FT 標準液において、pH8.0~pH9.0が至適pHであることが判明した。
[0038]
 実施例1-3  至適濃度の検討
 シクロデキストリン類をHPBCまたはβ-シクロデキストリン、濃度を0.02重量%、0.1重量%、0.5重量%、1.0重量%、5.0重量%、または10.0重量%、pHを8.0とした以外は、実施例1-1と同様の方法でFT3標準液を調製した。
[0039]
 調製した各FT 標準液を、-80℃または37℃で1週間保存し、保存後の標準液中のFT を免疫測定した。結果を下記表3に示す。
[0040]
[表3]


 CD:シクロデキストリン
 N.D.:溶解不能により実施せず
 *:FT 濃度  4.52 pg/mL ±20%
[0041]
 表3に示すように、HPBCを用いた場合においては5.0重量%付近が至適濃度であり、β-シクロデキストリンを用いた場合においては、0.1重量%付近が至適濃度であることが判明した。
[0042]
 実施例1-4  長期保存安定性試験
 以下の組成を有するFT 標準液(A標準液)を調製した。A標準液は、従来の活性炭処理健常ヒト血清をベースとして用いた標準液である。
<A標準液>
 活性炭処理健常ヒト血清に0.1%(w/v)のアジ化ナトリウムを加え、FT 濃度が下記の濃度となるようにT を添加した。
 FT 0pg/mL(無添加、1濃度目)、1.95 pg/mL±20%、2濃度目)又は30pg/mL(6濃度目)
[0043]
 一方、以下の組成を有するFT 標準液(B1標準液)を調製した。B1標準液は、本発明に係る標準液である。
<B1標準液>
 MES   10.7g/L
 NaCl 8.77g/L
 NaN 3 1.00g/L
 4N NaOH 9mL/L (pH 8.0まで滴定)
 HPBC 1.00重量%(ただし、甲状腺ホルモン無添加(1濃度目)の場合は含有しない)
 BSA 20.0g/L
 FT 0pg/mL(無添加、1濃度目)、1.95 pg/mL±20%、2濃度目)又は30pg/mL(6濃度目)
[0044]
 調製した各FT 標準液を、-80℃、10℃又は25℃で1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月又は5ヶ月保存し、保存後の標準液中のFT を免疫測定した。
 結果を下記表4に示す。
[0045]
[表4]


[0046]
 表4に示されるように、本発明のFT 標準液は、従来の血清ベースの標準液と比しても、実用に耐える優れた長期保存安定性を示した。
[0047]
 実施例1-5 緩衝液の検討
 以下の組成を有するFT 標準液(A標準液)を調製した。A標準液は、従来の活性炭処理健常ヒト血清をベースとして用いた標準液である。
<A標準液>
 活性炭処理健常ヒト血清に0.1%(w/v)のアジ化ナトリウムを加え、FT 濃度が下記の濃度となるようにT を添加した。
 FT 0pg/mL(無添加、1濃度目)、1.95 pg/mL±20%、2濃度目)又は30pg/mL(6濃度目)
[0048]
 一方、以下の組成を有するFT 標準液(B1~B3標準液)を調製した。B1~B3標準液は、本発明に係る標準液である。
<B1標準液(MES:pKa=6.15)>
 MES   10.7g/L
 NaCl 8.77g/L
 NaN 3 1.00g/L
 4N NaOH  (pH 8.0まで滴定)
 HPBC 1.00重量%(ただし、甲状腺ホルモン無添加(1濃度目)の場合は含有しない)
 BSA 20.0g/L
 FT 0pg/mL(無添加、1濃度目)、1.95 pg/mL±20%、2濃度目)又は30pg/mL(6濃度目)
[0049]
<B2標準液(NaHCO :pKa=10.3)>
 NaHCO 3 8.40g/L
 NaCl 8.77g/L
 NaN 3 1.00g/L
 4N NaOH (pH 9.0まで滴定)
 HPBC 2.00重量%(ただし、甲状腺ホルモン無添加(1濃度目)の場合は含有しない)
 BSA 20.0g/L
 FT 0pg/mL(無添加、1濃度目)、1.95 pg/mL±20%、2濃度目)又は30pg/mL(6濃度目)
[0050]
<B3標準液(CAPS:pKa=10.4)>
 CAPS 22.1g/L
 NaCl 8.77g/L
 NaN 3 1.00g/L
 4N NaOH (pH 9.0まで滴定)
 HPBC 2.00重量%(ただし、甲状腺ホルモン無添加(1濃度目)の場合は含有しない)
 BSA 20.0g/L
 FT 0pg/mL(無添加、1濃度目)、1.95 pg/mL±20%、2濃度目)又は30pg/mL(6濃度目)
[0051]
 調製した各FT 標準液を、-80℃、10℃又は25℃で6ヶ月保存し、保存後の標準液中のFT を免疫測定した。
 結果を下記表5に示す。
[0052]
[表5]


[0053]
 表5に示す通り、pKa値の高いNaHCO バッファー、CAPSバッファーを用いてpH9.0付近で標準液を調製した場合に、pKa値の低いMESを用いてpH8.0付近で標準液を調製した場合と比して、高い安定性を示すことが示唆された。
[0054]
実施例2  FT の測定
 実施例2-1  各種シクロデキストリン類含有標準液の安定性試験
 以下の組成を有するFT 標準液を調製した。
 MES   10.7g/L
 NaCl 8.77g/L
 NaN 3 1.00g/L
 4N NaOH 9mL/L
 シクロデキストリン類各種 0.1または1.0重量%
(ただし、甲状腺ホルモン無添加(1濃度目)の場合は含有せず)
 BSA 20.0g/L
 1N NaOH  適量(pHが6.8になるまでの微調整用)
 FT 0ng/dL(無添加、1濃度目)、0.24ng/dL±20%、2濃度目)又は10ng/dL(6濃度目)(免疫測定に用いた市販のFT 免疫測定キットであるルミパルスFT4-N(商品名、富士レビオ社製)に含まれるFT 標準液の1濃度目~6濃度目のうちの1濃度目、2濃度目及び6濃度目の濃度に調製)
[0055]
 調製した各FT 標準液を、-80℃又は37℃で1週間又は2週間保存し、保存後の標準液中のFT を免疫測定した。測定は、市販のFT 測定キットであるルミパルスFT4-N(商品名、富士レビオ社製)を用い、測定機器として市販のルミパルスG1200(商品名、富士レビオ社製)を用いて行った。なお、ルミパルスFT4-N(商品名、富士レビオ社製)を用いた免疫測定は、この商品の添付文書に記載されたとおりに行った。
[0056]
  具体的には、次のように行った。まず、キットに含まれるT 結合フェライト粒子250μLと、調製した上記各FT 標準液10μLと、キットに含まれるアルカリホスファターゼ(ALP)標識抗T モノクローナル抗体(マウス)50μLとを37℃で20分間反応させた。次に、フェライト粒子を磁石で集め、反応液を除去した後、粒子の洗浄を行った。次いで、基質液(AMPPD、(3-(2'-スピロアダマンタン)-4-メトキシ-4-(3''-ホスホリルオキシ)フェニル-1,2-ジオキセタン・2ナトリウム塩))200μLを粒子に加え、37℃で5分間反応させた。次に波長477nmに発光極大を持つ光の発光量を測定した。なお、当該測定は、単一モノクローナル抗体に対するFT とFT の競合反応を原理としており、発光量は抗体に反応するFT 量と正の相関を示し、反応系中に存在するFT 量と負の相関を示す。したがって、発光量が多いほどFT 濃度が低いことを示す。
[0057]
 1週間後の結果を下記表6-1に、2週間後の結果を表6-2に示す。なお、表中の数値は、-80℃で同期間保存した各濃度の標準液について得られた発光量を100とした相対値で示す。
[0058]
[表6-1]


 CD:シクロデキストリン
[0059]
[表6-2]


 CD:シクロデキストリン
[0060]
 -80℃保存の標準液を用いた場合との発光量の相違は、±20%以内であることを要し、±10%以内であることが好ましく、±5%以内であることがより好ましい。表1の結果より、FT 標準液は、いずれのシクロデキストリン類を添加しても濃度を調整することで良好な安定性を示すことが判明した。また、特にγ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンで良好な安定性を示すことが判明した。
[0061]
 実施例2-2  至適pHの検討
 シクロデキストリン類をヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、濃度を1.0重量%、pHを6.8、8.0又は9.0とした以外は、実施例2-1と同様の方法でFT 標準液を調製した。
[0062]
 調製した各FT 標準液を、-80℃または37℃で1週間保存し、保存後の標準液中のFT を免疫測定した。結果を下記表7に示す。
[0063]
[表7]


[0064]
 表7の結果より、FT 標準液において、pH8.0~pH9.0が至適pHであることが判明した。
[0065]
 実施例2-3  至適濃度の検討
 シクロデキストリン類をHPBCまたはβ-シクロデキストリン、濃度を0.02重量%、0.1重量%、0.5重量%、1.0重量%、5.0重量%、または10.0重量%、pHを8.0とした以外は、実施例2-1と同様の方法でFT4標準液を調製した。
[0066]
 調製した各FT 標準液を、-80℃または37℃で1週間保存し、保存後の標準液中のFT を免疫測定した。結果を下記表8に示す。
[0067]
[表8]


 CD:シクロデキストリン
 N.D.:溶解不能により実施せず
 *:FT 濃度 0.57 ng/dL ± 20%
[0068]
 表8に示すように、HPBCを用いた場合においては5.0重量%付近が至適濃度であり、β-シクロデキストリンを用いた場合においては、0.5重量%付近が至適濃度であることが判明した。
[0069]
 実施例2-4 長期保存安定性試験
 以下の組成を有するFT 標準液(C標準液)を調製した。C標準液は、従来の活性炭処理健常ヒト血清をベースとして用いた標準液である。
<C標準液>
 活性炭処理健常ヒト血清に0.1%(w/v)のアジ化ナトリウム(NaN 3)を加え、FT 濃度が下記の濃度となるようにT を添加した。
 FT 0ng/dL(無添加、1濃度目)、0.24 ng/dL±20%、2濃度目)又は10ng/dL(6濃度目)
[0070]
 以下の組成を有するFT 標準液(D1標準液)を調製した。D1標準液は、本発明に係る標準液である。
<D1標準液>
 MES   10.7g/L
 NaCl 8.77g/L
 NaN 3 1.00g/L
 4N NaOH 9mL/L
 HPBC 1.00重量%(ただし、甲状腺ホルモン無添加(1濃度目)の場合は含有しない)
 BSA 20.0g/L
 1N NaOH  適量(pHが8.0になるまでの微調整用)
 FT 0ng/dL(無添加、1濃度目)、0.24ng/dL±20%、2濃度目)又は10ng/dL(6濃度目)(免疫測定に用いた市販のFT 免疫測定キットであるルミパルスFT4-N(商品名、富士レビオ社製)に含まれるFT 標準液の1濃度目~6濃度目のうちの1濃度目、2濃度目及び6濃度目の濃度に調製)
[0071]
 調製した各FT 標準液を、-80℃、10℃又は25℃で1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月又は5ヶ月保存し、保存後の標準液中のFT を免疫測定した。
[0072]
 結果を下記表9に示す。
[0073]
[表9]


[0074]
 表9に示されるように、本発明のFT 標準液は、従来の血清ベースの標準液と比しても、実用に耐える優れた保存安定性を示した。
[0075]
(実施例2-5) 緩衝液組成の検討
 以下の組成を有するFT 標準液(C標準液)を調製した。C標準液は、従来の活性炭処理健常ヒト血清をベースとして用いた標準液である。
<C標準液>
 活性炭処理健常ヒト血清に0.1%(w/v)のアジ化ナトリウム(NaN 3)を加え、FT 濃度が下記の濃度となるようにT を添加した。
 FT 0ng/dL(無添加、1濃度目)、0.24 ng/dL±20%、2濃度目)又は10ng/dL(6濃度目)
[0076]
 一方、以下の組成を有するFT 標準液(D1~D3標準液)を調製した。D1~D3標準液は、本発明に係る標準液である。
<D1標準液(MES:pKa=6.15)>
 MES   10.7g/L
 NaCl 8.77g/L
 NaN 3 1.00g/L
 4N NaOH (pH8.0まで滴定)
 HPBC 1.00重量%(ただし、甲状腺ホルモン無添加(1濃度目)の場合は含有しない)
 BSA 20.0g/L
 FT 0ng/dL(無添加、1濃度目)、0.24ng/dL±20%、2濃度目)又は10ng/dL(6濃度目)
[0077]
<D2標準液(NaHCO :pKa=10.3)>
 NaHPO 4 8.40g/L
 NaCl 8.77g/L
 NaN 3 1.00g/L
 4N NaOH (pH 9.0まで滴定)
 HPBC 2.00重量%(ただし、甲状腺ホルモン無添加(1濃度目)の場合は含有しない)
 BSA 20.0g/L
 FT 0ng/dL(無添加、1濃度目)、0.24ng/dL±20%、2濃度目)又は10ng/dL(6濃度目)
[0078]
<D3標準液(CAPS)>
 CAPS 22.1g/L
 NaCl 8.77g/L
 NaN 3 1.00g/L
 4N NaOH (pH 9.0まで滴定)
 HPBC 2.00重量%(ただし、甲状腺ホルモン無添加(1濃度目)の場合は含有しない)
 BSA 20.0g/L
 FT 0ng/dL(無添加、1濃度目)、0.24ng/dL±20%、2濃度目)又は10ng/dL(6濃度目)
[0079]
 調製した各FT 4標準液を、-80℃、10℃又は25℃で6ヶ月保存し、保存後の標準液中のFT を免疫測定した。
 結果を下記表10に示す。
[0080]
[表10]


[0081]
 表10に示す通り、pKa値の高いNaHCO バッファー、CAPSバッファーを用いてpH9.0付近で標準液を調製した場合に、pKa値の低いMESを用いてpH8.0付近で標準液を調製した場合と比して、高い安定性を示すことが示唆された。

産業上の利用可能性

[0082]
 本発明は、甲状腺ホルモンに関連する多様な疾患を診断する上で重要な、血液サンプル中の甲状腺ホルモン類の測定の信頼性を高めるのに有用な標準液を提供するものである。

請求の範囲

[請求項1]
 甲状腺ホルモン類と、シクロデキストリン又はその誘導体とを緩衝液中に含む甲状腺ホルモン類標準液。
[請求項2]
 前記甲状腺ホルモン類が、トリヨードサイロニン、遊離トリヨードサイロニン、サイロキシン又は遊離サイロキシンである請求項1記載の標準液。
[請求項3]
 前記シクロデキストリン又はその誘導体が、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン又はこれらのアルキル若しくはヒドロキシアルキル置換体である請求項1又は2に記載の標準液。
[請求項4]
 前記シクロデキストリン又はその誘導体が、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンである請求項3記載の標準液。
[請求項5]
 前記シクロデキストリン又はその誘導体の濃度が、0.1重量%~10重量%である請求項1~4のいずれか1項に記載の標準液。
[請求項6]
 pHが6.5~10である請求項1~5のいずれか1項に記載の標準液。
[請求項7]
 請求項1~6のいずれか1項に記載の標準液を含む、甲状腺ホルモン類測定試薬。
[請求項8]
 甲状腺ホルモン類と、シクロデキストリン又はその誘導体とを緩衝液中に含む液の、甲状腺ホルモン類標準液としての使用。
[請求項9]
 互いに異なる既知濃度の甲状腺ホルモン類と、シクロデキストリン又はその誘導体とを緩衝液中に含む、複数の甲状腺ホルモン類標準液を準備することと、各甲状腺ホルモン類標準液を免疫測定に供し、各甲状腺ホルモン類標準液に含まれる甲状腺ホルモン類の濃度と、免疫測定のシグナルとの関係に基づき検量線を作成することとを含む、免疫測定における検量線の作成方法。