Recherche dans les collections de brevets nationales et internationales
Certains contenus de cette application ne sont pas disponibles pour le moment.
Si cette situation persiste, veuillez nous contacter àObservations et contact
1. (WO2017002445) ENSEMBLE DE CIBLES DE PULVÉRISATION
Document

明 細 書

発明の名称 スパッタリングターゲット組立体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008  

先行技術文献

特許文献

0009  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0010   0011   0012   0013  

課題を解決するための手段

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021  

発明の効果

0022  

図面の簡単な説明

0023  

発明を実施するための形態

0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068  

実施例

0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083  

符号の説明

0084  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1A   1B   2A   2B   3A   3B  

明 細 書

発明の名称 : スパッタリングターゲット組立体

技術分野

[0001]
 本発明は、例えば、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイのような表示装置等に用いられる薄膜トランジスタ(TFT)の半導体層(活性層)として有用な酸化物薄膜をスパッタリング法で成膜するときに用いられるスパッタリングターゲット組立体に関する。より詳細には、バッキングプレート上にボンディング材を介して配置された複数のスパッタリングターゲット部材を備えたスパッタリングターゲット組立体に関するものである。

背景技術

[0002]
 TFTの半導体層に用いられるアモルファス酸化物薄膜(以下、酸化物半導体薄膜と呼ぶ場合がある)は、汎用のアモルファスシリコン(a-Si)に比べて高いキャリア移動度を有し、光学バンドギャップが大きく、低温で成膜できるため、大型・高解像度・高速駆動が要求される次世代ディスプレイおよび耐熱性の低い樹脂基板などへの適用が期待されている。
[0003]
 酸化物半導体薄膜としては、代表的には、インジウム(In)と、さらにガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)およびスズ(Sn)から選択される少なくとも一種以上とを含むものが挙げられる。例えば、In、Ga、ZnおよびOからなるアモルファス酸化物半導体(In-Ga-Zn-O、以下「IGZO」と呼ぶ場合がある。)薄膜は、高いキャリア移動度を有するため、好ましく用いられている。
[0004]
 酸化物半導体薄膜の形成に際して、形成しようとする薄膜と同じ組成を有するスパッタリングターゲットをスパッタリングするスパッタリング法が好適に用いられている。スパッタリング法で形成された薄膜は、薄膜面内における成分組成や膜厚などの面内均一性に優れており、確実にスパッタリングターゲットと同じ成分組成の薄膜を形成できるという長所を有している。
[0005]
 スパッタリング法に用いられるスパッタリングターゲットは、一般的に、金属製のバッキングプレート(支持体)の上に、ボンディング材を用いてスパッタリングターゲット部材を接合した形態のものが使用されており、このような形態はスパッタリングターゲット組立体とも呼ばれる。
[0006]
 バッキングプレートには、耐熱性、導電性、熱伝導性に優れるCu基材料が汎用されており、純CuまたはCu合金が使用されている。ボンディング材としては、熱伝導性と導電性が良好な低融点ハンダ材料(例えば、In基材料、Sn基材料)が汎用されている。
[0007]
 近年、スパッタリング法による大型基板への成膜の需要が増加しており、それに伴ってスパッタリングターゲットの大きさも大型化しつつある。スパッタリングターゲット部材によっては大型化が難しいものもある。このため、例えば、複数のバッキングプレートのそれぞれの上面、または1つバッキングプレートに設けた複数の凸部のそれぞれの上面のような、複数の載置部(ボンディング材を介してスパッタリングターゲット部材を載置接合する部分)上に、ボンディング材を用いて接合した、1または複数の小片のスパッタリングターゲット部材が配置され、複数の載置部が、互いに間隔をあけて配置されているスパッタリングターゲット組立体が用いられている。このようなスパッタリングターゲット組立体では、バッキングプレート同士が接触して異常放電等の問題が生じないように、隣り合う載置部間の隙間部は、室温時に例えばおおむね0.1~2.0mmの間隔(隙間)を有するように形成される。
[0008]
 このようなスパッタリングターゲット組立体に関して、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1は、対向するスパッタリングターゲット部材の側面をバッキングプレートの側面に対して同一平面とするか、後退させることにより、スパッタリングの最中に熱膨張等が発生しても、タイル同士が接触することがなく、タイルの剥がれ、割れまたは剥離による異常放電を防止することができるスパッタリングターゲット組立体を開示している。

先行技術文献

特許文献

[0009]
特許文献1 : 特開2004-143548号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0010]
 前述したように、通常、スパッタリングターゲット組立体では、隣り合う載置部間の隙間部(隙間)は、室温時におおむね0.1~2.0mmの間隔(幅)を有する。隙間部から露出したバッキングプレートのCu基材料もスパッタリングされ、形成される酸化物半導体薄膜中にCuが混入する。このCuの混入により酸化物半導体薄膜の特性が低下し、TFT特性が劣化する場合がある。TFT特性の劣化は、表示装置の画像ムラの主な要因となる。
[0011]
 この課題の解決を試みた先行技術はほとんどない。特許文献1のスパッタリングターゲット組立体は、複数のバッキングプレートを互いに間隔をあけて並べるものであるが、隙間部に露出したバッキングプレートからのCuの混入という課題およびその解決手段についての開示はない。
[0012]
 またバッキングプレートのCu基材料からのCuの混入を防止する先行技術として、特開2014-19930号公報は、同一のパッキンプレート(同一の載置部)上に配置された隣り合うスパッタリングターゲット部材間の隙間において、スパッタリングターゲット部材とバッキングプレートの間に裏打ち部材を配置することを開示している。しかしながらスパッタリングターゲット組立体の隣り合う載置部の間の隙間部に、このような裏打ち部材を配置することは困難であり、このような裏打ち部材を隣り合う載置部の間の隙間部に適用することはできない。
[0013]
 本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、隣り合う載置部の間の隙間部からCuがスパッタリングされるのを抑制できるスパッタリングターゲット組立体を提供するものである。

課題を解決するための手段

[0014]
 上述の課題を解決できる本発明のスパッタリングターゲット組立体は、バッキングプレート上に配置された複数の載置部であって、互いに間隔を空けて配置され、それぞれの上にボンディング材を介して、1つ以上のスパッタリングターゲット部材が配置された複数の載置部を含み、隣り合う前記載置部の間の隙間部にNi基材料のコーティングを有する。
[0015]
 本発明の好ましい実施形態において、隣り合う前記載置部が異なるバッキングプレート上に配置されている。
[0016]
 本発明の好ましい実施形態において、隣り合う前記載置部が同一のバッキングプレート上に配置されている。
[0017]
 本発明の好ましい実施形態において、前記Ni基材料のコーティングが電解めっき膜または無電解めっき膜である。
[0018]
 本発明の好ましい実施形態において、前記Ni基材料のコーティングが純NiまたはNi-P合金からなる。
[0019]
 本発明の好ましい実施形態において、前記バッキングプレートが純CuまたはCu合金からなる。
[0020]
 本発明の好ましい実施形態において、前記スパッタリングターゲット部材がIn、Ga、ZnおよびSnよりなる群から選択される一種または二種以上の元素を含む。
[0021]
 本発明の好ましい実施形態において、前記コーティングの膜厚が5~30μmである。

発明の効果

[0022]
 本発明に係るスパッタリングターゲット組立体では、隣り合う載置部間の隙間部に、Ni基材料のコーティングを有することにより、当該隙間部からバッキングプレートに含まれるCuがスパッタリングされるのを抑制できる。

図面の簡単な説明

[0023]
[図1A] 図1Aは、本発明に係るスパッタリングターゲット組立体100を示す概略平面図である。
[図1B] 図1Bは、図1AのIb-Ib線断面を示す概略断面図である。
[図2A] 図2Aは、スパッタリングターゲット組立体100の変形例であるスパッタリングターゲット組立体100Aを示す概略平面図である。
[図2B] 図2Bは、図2AのIIb-IIb線断面を示す概略断面図である。
[図3A] 図3Aは、スパッタリングターゲット組立体100の別の変形例であるスパッタリングターゲット組立体100Bを示す概略平面図である。
[図3B] 図3Bは、図3AのIIIb-IIIb線断面を示す概略断面図である。

発明を実施するための形態

[0024]
 以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一の部分又は部材を示す。
 さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのスパッタリングターゲット組立体を例示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、理解を容易にする等のために誇張している場合がある。
[0025]
 本発明者らは、隣り合う載置部(バッキングプレートの部分であって、ボンディング材を介してスパッタリングターゲット部材が載置接合されている部分)間の隙間部からバッキングプレートに含まれるCuがスパッタリングされるのを抑制するため、隙間部(隙間部から露出しているバッキングプレートの部分)へのコーティングについて検討を重ねてきた。その結果、Ni基材料のコーティングが有効であることを見出し、本発明を完成した。
[0026]
 本発明に到達した経緯について説明する。隣り合う載置部の間の隙間部に形成し、隙間部から露出しているバッキングプレートに含まれるCuがスパッタリングされるのを抑制できるコーティングを検討した。加えて、形成したコーティング材料がスパッタリングされ、得られた酸化物半導体薄膜中に混入したとしても当該酸化物半導体薄膜の特性の劣化を抑制し、従って酸化物半導体薄膜を含むTFTの特性の劣化を抑制するコーティングを検討した。その結果、Ni基材料のコーティングを用いることが効果的であることを突き止め本発明に至ったものである。
[0027]
 図1Aは、本発明に係るスパッタリングターゲット組立体100を示す概略平面図であり、図1Bは、図1AのIb-Ib線断面を示す概略断面図である。図2Aは、スパッタリングターゲット組立体100の変形例であるスパッタリングターゲット組立体100Aを示す概略平面図であり、図2Bは、図2AのIIb-IIb線断面を示す概略断面図である。図3Aは、スパッタリングターゲット組立体100の別の変形例であるスパッタリングターゲット組立体100Bを示す概略平面図であり、図3Bは、図3AのIIIb-IIIb線断面を示す概略断面図である。
[0028]
 なお、スパッタリングターゲット組立体100A、100Bは、特段の断りのない構成について、スパッタリングターゲット組立体100と同じ構成を有してよい。
[0029]
 なお、図1A、図2Aでは、上面視した形状がほぼ正方形の形状のスパッタリングターゲット組立体を示しているが、これに限定されものではなく、本発明に係るスパッタリングターゲット組立体の上面視した形状は、スパッタリングターゲットの分野で通常用いられる任意の形状であってよい。このような形状として、図3Aに示すような円形に加えて、長方形および楕円形を例示できる。
[0030]
 スパッタリングターゲット組立体100は、互いに間隔を空けて配置された複数のバッキングプレート2を有している。図1A、図1Bに示す実施形態では、スパッタリングターゲット組立体100は、3つのバッキングプレート2を有している。それぞれのバッキングプレート2の載置部2a(図1Aおよび図1Bに示す実施形態ではバッキングプレート2の上面の少なくとも一部)には、1つまたは複数のスパッタリングターゲット部材3がボンディング材4を介して配置されている。すなわち、スパッタリングターゲット部材3は、ボンディング材4によりバッキングプレート2の載置部2aに接合されている。
[0031]
 一方、スパッタリング組立体100Bでは、図3Aおよび図3Bに示すように、1つのバッキングプレート2に複数(図3Aの実施形態では4つ)の載置部2aが設けられている。スパッタリングターゲット組立体100Bでは、1つのバッキングプレート2が複数の凸部を有しており、当該複数の凸部それぞれの上面の少なくとも一部が載置部2aとなっている。そして、それぞれの載置部2aには、1つまたは複数のスパッタリングターゲット部材3がボンディング材4を介して配置されている。
 このように、バッキングプレート2上に配置された複数の載置部2aは、異なるバッキングプレート2の上に配置されてもよく、また同一のバッキングプレート2の上に配置されてもよい。
[0032]
 スパッタリングターゲット組立体100では、1つの載置部2aに1つのスパッタリングターゲット部材3が配置されている。一方、スパッタリングターゲット組立体100Aでは、1つの載置部2aに複数(図2Aに示す実施形態では3つ)のスパッタリングターゲット部材3が互いに隙間を空けて配置されている。このように、1つの載置部2aに隙間を空けて複数のスパッタリングターゲット部材3を配置する場合、隣り合うスパッタリングターゲット部材3の間の隙間からバッキングプレート2が露出しないように、この隙間にCu基材料以外の材料からなる部材を配置することが好ましい。このような部材として、ボンディング材4または特開2014-19930号公報に記載の裏打ち部材を用いてよい。
[0033]
 また、スパッタリングターゲット組立体100Bでは、1つの載置部2aに1つのスパッタリングターゲット部材3が配置されている。これに代えて、1つの載置部2aに複数のスパッタリングターゲット部材3を配置してもよい。
[0034]
 なお、図1A、図2Aおよび図3Aに示す実施形態では、上面視においてスパッタリングターゲット組立体100、100Aおよび100Bの外周部分にバッキングプレート2が露出している。しかし、通常この部分にはスパッタリングのための電圧(酸化物半導体薄膜を形成する際にスパッタリングターゲット部材3に印加される負電圧)がほとんど印加されないように工夫されているため、この露出部からCuがスパッタリングされることはほとんどない。また、図1B、図2Bおよび図3Bは、それぞれ、上述のように図1AのIb-Ib線断面、図2AのIIb-IIb線断面および図3AのIIIb-IIIb線断面の断面図であるが、隙間部10内の構成をより容易に理解できるように、隙間部10の幅について、それぞれ、図1A、図2Aおよび図3Aよりも誇張して示していることに留意されたい。
[0035]
 スパッタリングターゲット組立体100、100Aおよび100Bは、互いに間隔を空けて配置されている複数の載置部2aのうち、隣り合う載置部2aの間の隙間部10にNi基材料のコーティング1を有している。
[0036]
 スパッタリングターゲット組立体100、100Aでは、隣り合う載置部2aは、異なるバッキングプレート2に形成されている。このため、隙間部10は、複数のバッキングプレート2の間に形成されている。
[0037]
 一方、スパッタリングターゲット組立体100Bでは、隣り合う載置部2aは、同一のバッキングプレート2に形成されている。このため、隙間部10は、同一のバッキングプレート2に形成された複数の凸部の間に形成されている。
[0038]
 なお、本明細書において、「隙間部10にコーティング1を有する」とは、バッキングプレート2の部分であって、隙間部10から露出している部分(換言すれば、バッキングプレート2の部分であって、隙間部10を規定している部分)の少なくとも一部にコーティング1が形成されていることを意味する。
[0039]
 コーティング1は、好ましい1つの実施形態では、図3Aおよび図3Bに示すように隙間部10の表面全体(すなわち、隙間部10から露出しているバッキングプレート2の部分の全体)に形成される。これにより、隙間部10内において、バッキングプレート2に含まれるCuがスパッタリングされるのを確実に抑制できるからである。
[0040]
 好ましい別の1つの実施形態では、図1A、図1B、図2Aおよび図2Bに示すように(図3Aおよび図3Bはこの実施形態にも該当する)、コーティング1は、隙間部10の表面のうち上面視において露出している部分の全体(すなわち、上面視において、隙間部10から露出しているバッキングプレート2の部分の全体)に形成される。
[0041]
 スパッタリングに寄与するイオンは、バッキングプレート2の上面側から隙間部10に侵入することから、隙間部10の表面のうち上面視において露出している部分にコーティング1が形成されていれば、隙間部10内において、バッキングプレート2に含まれるCuがスパッタリングされるのを確実に抑制できるからである。
[0042]
 隙間部10内におけるコーティング1の配置は、上述の好ましい実施形態に限定されるものではない。隙間部10の表面の少なくとも一部分(すなわち、隙間部10から露出しているバッキングプレート2の部分の少なくとも一部分)にコーティング1が形成されていれば、隙間部10内において、バッキングプレート2に含まれるCuがスパッタリングされるのを抑制する効果を得ることができる。
[0043]
 以下にコーティング1、バッキングプレート2、スパッタリングターゲット部材3およびボンディング材4の詳細を説明する。
[0044]
(1)コーティング
 コーティング1は、上述のようにNi基材料から構成される。Ni基材料とは、その材料を構成する元素のうち、質量比でNiが最も多い材料を言い、好ましくはその材料全体に対してNiの含有量が質量比で50%以上(≧50質量%)である。また、Ni基材料は不純物レベルを超えるCuを含まないことが好ましい。
[0045]
 コーティング1をNi基材料により構成することにより、スパッタリング時に、Cu基材料により構成されるバッキングプレート2のCuがイオンにより弾き出され、得ようとする酸化物半導体薄膜中にCuが混入するのを抑制できる。さらに、Ni基材料は、喩え、スパッタリングにより形成される酸化物半導体薄膜中に混入したとしても、酸化物半導体薄膜の特性を劣化させない。このため、酸化物半導体薄膜中に混入したとしても、TFT特性の劣化を抑制でき、良好なTFT特性を保つことができることから、表示装置の品質の著しい劣化を抑制することが可能である。
[0046]
 またNi基材料は、導電性および熱伝導性に優れている。このため、隣り合う載置部2aの間の隙間部10にNi基材料により構成されたコーティング1を形成しても、スパッタリング放電等の異常の発生を抑制できる。
[0047]
 Ni基材料は、純NiおよびNi合金を含む任意の既知の材料であってよい。
[0048]
 コーティング1は、電解めっき膜または無電解めっき膜が好ましい。電解めっき膜または無電解めっき膜が大型のバッキングプレート2の上(隙間部10から露出したバッキングプレート2の部分)に膜厚が均一になるように形成可能なためである。
[0049]
 好ましい、Ni基材料として、純NiおよびNi-P合金を挙げることができる。電解めっきあるいは無電解めっきによって容易に形成できる材料であるからである。
[0050]
 コーティング1の膜厚は、おおむね5~30μmであることが好ましい。コーティング1の膜厚が5μmより薄い場合、スパッタリングターゲット組立体の使用時間が長くなると、コーティング1がスパッタリングにより除去され、コーティング1が形成されていた部分からバッキングプレート2が露出し、この結果、酸化物半導体薄膜にCuが混入する場合があるからである。一方、コーティング1の膜厚が30μmを超えると、隣接するバッキングプレート1の間の隙間部10内で異常放電が発生するおそれがあるからである。コーティング1のより好ましい膜厚は、おおむね10~20μmである。
[0051]
 なお、コーティング1の膜厚は、例えば、断面を走査型電子顕微鏡により観察することにより確認できる。
[0052]
(2)バッキングプレート
 バッキングプレート2はCu基材料で構成されている。Cu基材料は、耐熱性、導電性および熱伝導性に優れるからである。
[0053]
 Cu基材料とは、その材料を構成する元素のうち、質量比でCuが最も多い材料を言い、好ましくはその材料全体に対してCuの含有量が質量比で50%以上(≧50質量%)である。
[0054]
 Cu基材料は、純Cuおよび例えばCu-Cr合金のような銅合金を含む、スパッタリングターゲットの分野で通常用いられる任意の材料であってよい。好ましくCu基材料として純Cuを例示できる。
[0055]
 上述のように、スパッタリングターゲット組立体100は、複数の載置部2aを有しており、隣り合う載置部2aの間に隙間部10が設けられている。隙間部10は、好ましくは0.1~2.0mmの幅(長さ)を有している。隙間部10の幅が0.1mm未満だと、バッキングプレート2同士が接触して異常放電等の問題が生じる場合があり、隙間部10の幅が2.0mmを超えると膜厚が面内で不均一な酸化物半導体薄膜が形成される場合があるからである。
[0056]
 なお、図1B、図2Bおよび図3Bに示す実施形態では、隙間部10は、バッキングプレート2の一部により形成された側面と底面を有している。
[0057]
 スパッタリングターゲット組立体100および100Aでは、隣り合うバッキングプレート2の一方(図1Bおよび図2Bでは、中央のバッキングプレート2)の底部に外側に突出した凸部を有し、隣り合うバッキングプレート2の他方(図1Bおよび図2Bでは、左側または右側のバッキングプレート2)の底部に内側に向かって突出した凹部を有し、当該凹部に当該凸部が入り込むことで隙間部10の底面を形成している。また、隣り合うバッキングプレート2のそれぞれの側面が隙間部10の側面を形成している。
[0058]
 一方、スパッタリングターゲット組立体100Bでは、1つのバッキングプレート2に上方向に突出した複数の凸部(図3Bには2つの凸部が示されている)が形成されており、隣り合う凸部の側面が隙間部10の側面を形成している。
[0059]
 しかし、隙間部10の形態は、これらに限定されるものではなく、バッキングプレート2が隙間部10の少なくとも一部分を構成する限り、隙間部10は任意の形態であってよい。例えば、スパッタリングターゲット組立体100および100Aにおいて、バッキングプレート2が上述の凸部および凹部を有せず、バッキングプレート2が隙間部10の側面のみを形成し、他の部材(例えば、スパッタリングターゲット組立体100の使用時にバッキングプレート2を支持する部材)が隙間部10の底面を形成してもよい。
[0060]
(3)スパッタリングターゲット部材
 スパッタリングターゲット部材3は、スパッタリングにより基板上に酸化物半導体薄膜を形成できる任意の既知の材料であってよい。好ましくは、スパッタリングターゲット部材3は、得ようとする酸化物半導体薄膜と実質的に同じ組成を有する。
[0061]
 In、Ga、ZnおよびSnよりなる群から選択される一種または二種以上を含む酸化物で構成されるスパッタリングターゲット部材3を好ましい実施形態として例示できる。具体的には、In-Ga-O(IGO)、In-Zn-O(IZO)、In-Sn-O(ITO)、In-Ga-Zn-O(IGZO)、In-Zn-Sn-O(IZTO)、In-Ga-Sn-O(IGTO)、In-Ga-Zn-Sn-O(IGZTO)が挙げられる。各元素の含有比率は、基板上に成膜しようとする酸化物半導体薄膜の組成に応じて適切に決定してよい。
[0062]
(4)ボンディング材
 ボンディング材4は、バッキングプレート2の載置部2aに配置され、載置部2aとスパッタリングターゲット部材3との間に介在し、スパッタリングターゲット部材3を載置部2a(すなわち、バッキングプレート2)に接合する。
[0063]
 ボンディング材4は、In基材料およびSn基材料を含む、スパッタリングターゲットの分野で用いられている任意のボンディング材であってよい。好適なボンディング材4として、例えば、In基材料で構成されたボンディング材を挙げることができる。具体的なIn基材料としては、例えば純InまたはIn-Ag合金のようなインジウム合金が挙げられる。より好ましいボンディング材4は純Inである。
[0064]
 以上、本発明に係るスパッタリングターゲット組立体について詳述した。
 本発明のスパッタリングターゲット組立体は既知の任意の製造方法により作られてよく、製造方法は、特に限定されない。例えば、前述した特開2014-19930号公報に記載の製造方法および同公報を参照して導かれる製造方法を用いてよい。
[0065]
 好ましい製造方法の実施形態の一例を以下に示す。
 まず、Cu基材料により構成された、複数の載置部2のうち、隣り合う載置部2aの間の隙間部10にNi基材料のコーティングを行う。
[0066]
 次に、バッキングプレート2を加熱し、載置部2aの上にIn基材料のボンディング材4を充填し、このボンディング材4を融点以上に加熱して溶融状態とする。
[0067]
 次いで、この溶融状態のボンディング材4の上にスパッタリングターゲット部材3を配置した後、バッキングプレート2を冷却する。冷却によりボンディング材4が再凝固してスパッタリングターゲット部材3が、載置部2aに接合される。
[0068]
 これにより、隣り合う載置部2aの間の隙間部10にNi基材料のコーティング1を有し、スパッタリングターゲット部材3とバッキングプレート2の載置部2aとがボンディング材4を介して接合されたスパッタリングターゲット組立体100が得られる。
実施例
[0069]
 以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されず、また、前述および後術の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[0070]
 本実施例では、隣り合う載置部2aの間の隙間部10に、コーティング(無電解Ni-Pめっき膜、電解Niめっき膜またはCrめっき膜)を有する場合、およびコーティングを有しない場合の酸化物半導体薄膜の特性への影響を調査した。
[0071]
 図3Aおよび図3Bに示す隙間部10を有する純Cu製のバッキングプレート2を製作した。より詳細には、バッキングプレート2は直径126mm、厚さ7mm(載置部2aのある部分の厚さ)であり、隙間部10の幅は1.0mmであった。
[0072]
 隙間部10の側面と底面に対して、以下の(1)~(4)の処理を行った。
(1)無電解Ni-Pめっき膜(膜厚5、10、20、30、40μm)のコーティング
(2)電解Niめっき膜(膜厚5、10、20、30、40μm)のコーティング
(3)Crめっき膜(膜厚2、5、10、20、30、40μm)のコーティング
(4)コーティング無し
[0073]
 そしてバッキングプレート2に形成された4つの載置部2aそれぞれに、純Inのボンディング材4を使用してIn-Ga-Zn-Oのスパッタリングターゲット部材3(直径101.6mm相当、厚さ:5mm)を接合し、スパッタリングターゲット組立体100Bを製作した。また、スパッタリングターゲット部材3のIn、Ga、Znの組成比(原子比)はIn:Ga:Zn=1:1:1であった。
[0074]
 そして得られた、スパッタリングターゲット組立体100Bのそれぞれを用い、DCマグネトロンスパッタリング法によってガラス基板(コーニング社製イーグル2000、直径100mm×厚さ0.7mm)上にIn-Ga-Zn-Oの酸化物半導体薄膜(膜厚:100nm)を成膜した。得られた酸化物半導体薄膜のIn、Ga、Znの組成比(原子比)はIn:Ga:Zn=1:1:1であった。
[0075]
 なお使用したスパッタリング装置は株式会社島津製作所製「スパッタリングシステムHSR-542S」であった。まスパッタリング条件は次の通りとした。
  背圧:5.0×10 -6Torr以下
  ガス圧:1.0×10 -3Torr
  Arガス流量:27sccm
  O ガス流量:3sccm
  スパッタリングパワー:200W
  極間距離:52mm
  基板温度:室温
[0076]
 スパッタリングの放電の合計時間を30時間とした。そして2、4、6、8、10、20、26、28、30時間の時にIn-Ga-Zn-Sn-Oの薄膜を成膜した。
[0077]
 このようにして成膜されたIn-Ga-Zn-Sn-Oの酸化物半導体薄膜について、μ-PCD法によってライフタイムを測定し、純Cu製バッキングプレート2からのCuの混入およびコーティング材料1の混入の影響を調査した。酸化物半導体薄膜の隙間部10に対向する部分でライフタイムの低下(In-Ga-Zn-Sn-O薄膜の劣化)が確認されなかったものを合格(A)、ライフタイムの低下が確認されたものを不合格(B)と判定した。なおスパッタリング放電の異常が発生し、放電継続不能となったものを成膜中止(-)とした。
 これらの結果を表1に示す。
[0078]
[表1]


[0079]
 実施例サンプルは、いずれも少なくとも8時間は効果が持続した。
 電解Niめっき膜のコーティング有りのサンプルのうち、コーティングの膜厚が5~30μmの範囲内である、実施例No.1~4は30時間まで効果が持続した。膜厚の厚い実施例No.5は、効果が8時間持続した後、スパッタリング放電の異常が発生し、放電継続不能となった。
[0080]
 無電解Ni-Pめっき膜のコーティング有りのサンプルの内、コーティングの膜厚が5~30μmの範囲内である、実施例No.6~9は30時間まで効果が持続した。膜厚の厚い実施例No.10は、効果が8時間持続した後、スパッタリング放電の異常が発生し、放電継続不能となった。
[0081]
 Crめっき膜のコーティング有りサンプルは、最大でも効果が4時間しか持続しなかった。
 コーティングの膜厚が5~30μmの範囲内である、比較例No.12~15でも4時間しか効果が持続しなかった。膜厚の薄い比較例No.11は、効果が得られず、膜厚の厚い比較例No.16は、効果が僅か2時間だけ持続した後、スパッタリング放電の異常が発生し、放電継続不能となった。
[0082]
 コーティングを有しない比較例No.17は効果が得られなかった。
[0083]
 本出願は、出願日が2015年6月30日である日本国特許出願、特願第2015-130969号を基礎出願とする優先権主張を伴う。特願第2015-130969号は参照することにより本明細書に取り込まれる。

符号の説明

[0084]
  1 コーティング
  2 バッキングプレート
  2a 載置部
  3 スパッタリングターゲット部材
  4 ボンディング材
  10 隙間部
  100,100A,100B スパッタリングターゲット組立体

請求の範囲

[請求項1]
 バッキングプレート上に配置された複数の載置部であって、互いに間隔を空けて配置され、それぞれの上にボンディング材を介して、1つ以上のスパッタリングターゲット部材が配置された複数の載置部を含み、
 隣り合う前記載置部の間の隙間部にNi基材料のコーティングを有することを特徴とするスパッタリングターゲット組立体。
[請求項2]
 隣り合う前記載置部が異なるバッキングプレート上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲットターゲット組立体。
[請求項3]
 隣り合う前記載置部が同一のバッキングプレート上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲットターゲット組立体。
[請求項4]
 前記Ni基材料のコーティングが電解めっき膜または無電解めっき膜であることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット組立体。
[請求項5]
 前記Ni基材料のコーティングが純NiまたはNi-P合金からなることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット組立体。
[請求項6]
 前記バッキングプレートが純CuまたはCu合金からなることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット組立体。
[請求項7]
 前記スパッタリングターゲット部材がIn、Ga、ZnおよびSnよりなる群から選択される一種または二種以上の元素を含むことを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット組立体。
[請求項8]
 前記コーティングの膜厚が5~30μmであることを特徴とする請求項4または5に記載のスパッタリングターゲット組立体。

図面

[ 図 1A]

[ 図 1B]

[ 図 2A]

[ 図 2B]

[ 図 3A]

[ 図 3B]