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1. WO2001079894 - FILM ANTIREFLET ET PROCEDE DE FABRICATION

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[ JA ]
明 細 書

反射防止膜およびその製造方法

[技術分野]

本発明は、 C R T (陰極線管)、 L C D (液晶表示器)、プラズマデ イスプレイ、エレクトロルミネッセンスなどの方式によるテレビ、ノソ コン、ワープロ、携帯電話、携帯情報端末などの個人用途及び商業用途 ディスプレイ、太陽電池、レンズ、建築物の窓ガラス、乗り物の窓ガラ ス、カーブミラー、ノくックミラ一、ゴーグルなどに用いられ、視認性、 効率などを向上させることができる反射防止膜およびその製造方法に関 するものである。

[背景技術]

従来の反射防止膜の製法としては、基材上に低屈折率層と高屈折率層 の厚みを制御して任意の層数積層する方法が汎用されている。しかしな がら、この方法は、一般に真空装置が必要でコストパフォーマンスの高 い製法ではないという問題があった。そのため、真空装置が必要でない 製法、層数を少なくできる構造が種々、提案されている。

このうち、反射防止特性を飛躍的に向上させるため、低屈折率層を、 空孔 ■空隙を導入した超低屈折率層とする手法としては、例えば、塗布 法により、基材上に微粒子層を粒子間に空隙を有した状態で一層設ける 方法を挙げることができる。このような方法によれば、微粒子の表面形 状効果による屈折率連続変化による低反射性、さらには粒子間の空隙(空 隙の屈折率は 1 ) を利用したバルタ(粒径で規定される厚みの層)の屈 折率低下 (平均屈折率低下)による低反射性により、シンプルな製法で 高い性能を有する反射防止膜を得る事ができる。

このような方法の例としては、例えば、微粒子が最密充填した塗膜 およびその製法 (特開平 7 - 1 9 8 9 0 4号公報)、厚さが粒径よりも 薄いバインダ層で微粒子を一層分散 · 保持した塗膜(特開平 5 - 4 2 2 1 1号公報)、多孔質微粒子を一層基材上に形成した塗膜(特開平 5— 1 3 0 2 1号公報)、超微粒子がバインダにより一層分散 ' 保持された 膜のバインダ部をドライエッチングにより除去して粒子間に空隙を導入 した構造の反射防止膜およびその製法(特開平 7 - 1 0 4 1 0 3号公報) などを挙げることができる。

また、塗布された層の微細な凹凸により、上記の粒子層と類似の作用 を持たせた反射防止膜も報告されている。例えば、超微粒子とバインダ から成る層をェツチング処理することにより微細な凹凸を設けた反射防 止膜及びその製法 (特許第 2 8 5 8 8 2 1号公報)、ポリマーブレンド 薄膜のミク口相分離とそのポリマ一内の特定成分の溶媒抽出により微細 な空隙 · 空孔を形成する製法による反射防止膜(U l l r i ch S t e i ner ら、 Sc i ence , 283卷、 520ページ、 1999年)などがある。

上記の様々な手法は、全て簡便なプロセスをコンセプトとしたもので あるが、それぞれ問題点をかかえている。すなわち、まず、粒子層を一 層設ける様々な手法において、基材上に粒子層を一層設ける工程は、ス ライドコーティング法に代表されるようなコーティング法あるいはディ ップコ一ティング法で行われる。このスライドコーティング法に代表さ れるようなコーティング法においては、粒子を不規則な塊として凝集さ せることなく、また粒子が存在しない領域を視認性が損なわれない程度 の面積に抑えて均一に塗布するのは非常に困難であるという問題があり、 さらにコーティング速度もあまり上げることができないという問題があ つた。

一方、ディップコーティング法においても同様な問題を抱えており、 特にコ一ティング速度 (基材引き上げ速度)については、均一な粒子 最密充填構造を得るには、数十 μ ms ecT1程度にする必要があり(Nagayama ら、 Lan gmu i r、 12卷、 1303ページ、 1999年;特許第 2 9 0 5 7 1 2号 公報)、工業的現実性に極めて乏しいものである。

[発明の開示]

本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、基材表面と微粒 子懸濁液、ェマルジヨンあるいはラテックス中の微粒子表面の静電的相 互作用を積極的に用いることにより、透明基材上に微粒子を不規則な塊 で凝集させることなく、かつ粒子が存在しない領域を視認性が損なわれ ない程度の大きさで生じさせることなく形成された微粒子層を有する反 射防止膜、およびこのような反射防止膜の製造方法であって、原理的に 微粒子層の成膜速度を従来法より格段に高めることのでき、したがって 製造効率の良好な反射防止膜の製造方法を提供することを主目的とする ものである。

上記目的を達成するために、本発明は、透明基材と、上記透明基材表 面に配され、少なくとも単層の微粒子を有する微粒子層とを有し、上記 透明基材表面と上記微粒子とが少なくとも静電的相互作用により付着し、 さらに上記微粒子層のバルタの屈折率が上記透明基材の屈折率より低い ことを特徴とする反射防止膜を提供する。

このように本発明においては、透明基材表面と微粒子との静電的相互 作用により透明基材表面に微粒子を配し、微粒子層とするものであるの で、単に透明基材を、例えば比較的濃厚な微粒子懸濁液、ェマルジョン、 あるいはラテックス等の微粒子分散液に浸漬する等の方法により塗布し、 その後、透明基材と静電的相互作用により付着していない粒子を洗浄除

去するだけで、微粒子層を形成することが可能であり、微粒子層中の微 粒子間の空隙 (空隙中に空気が存在する場合の屈折率は 1 ) を利用し たバルタ (微粒子等により形成される微粒子層全体)の屈折率低下によ る低反射性を利用した反射防止膜とすることができ、簡便な工程で、性 能の良好な反射防止膜を得ることができる。

本発明においては、上記透明基材表面と上記微粒子との静電的相互作 用による付着が、上記透明基材表面上に高分子電解質からなる高分子電 解質膜が形成され、この高分子電解質膜が有する極性と異なる極性を有 する微粒子を用いることによりなされることが好ましい。

透明基材表面と微粒子とを静電的相互作用により付着させるためには. 透明基材表面に微粒子とは異なる極性、すなわち正負いずれかの極性を 付与する必要がある。この際、透明基材表面の正負いずれかの電荷密度 が高ければ、透明基材上に均一に微粒子が付着した微粒子層を形成する ことができ、高品質な反射防止膜とすることができる。また、高分子電 解質はァニオン性、カチオン性、それらの密度やバランスを任意に選択 できるので、微粒子表面の電荷がァユオン、カチオンのいずれか一方に 限定されることがない。これらの理由により、上記透明基材表面上に高 分子電解質からなる高分子電解質膜を形成し、この高分子電解質膜が有 する極性と異なる極性を有する微粒子を用いることが好ましいのである この際、上記高分子電解質膜が、互いに極性の異なる 2種以上の高分 子電解質が積層されて形成された多層膜であることが好ましい。微粒子 層内の微粒子の不必要な多層化を防ぎ、均一で電荷密度の高い高分子電 解質膜とすることができるからである。

上述した発明においては、上記高分子電界質膜が、架橋された高分子 電解質からなる膜であることが好ましい。同様に微粒子層内の微粒子の 不必要な多層化を防ぎ、均一で電荷密度の高い高分子電解質膜とするこ とができるからである。

上記反射防止膜においては、上記透明基材表面と上記微粒子との付 着が、上記静電的相互作用による付着に加えて、さらに補強的付着手段 により付着されていることが好ましい。

静電的相互作用のみでは、透明基材表面に対する微粒子の付着力が不 足する場合があり、反射防止膜としての耐擦傷性に問題が生じる可能性 がある。したがって、静電的相互作用に加えてさらに補強的付着手段に より微粒子を透明基材表面に付着させることにより、微粒子が透明基材 表面に強力に付着し、耐擦傷性の良好な反射防止膜とすることができる。

この際、上記補強的付着手段が、上記透明基材表面と上記微粒子とを 化学的かつ不可逆的に結合させる手段、上記透明基材表面と上記微粒子 とを融着させる手段、および上記微粒子層表面に高分子薄膜を形成する 手段からなる群から選択される少なくとも一つの手段であることが好ま しい。このような補強的付着手段もしくはこれらを組み合わせて用いる ことにより、より耐擦傷性の良好な反射防止膜とすることが可能となる からである。

本発明は、さらに、透明基材と、上記透明基材表面に配され、少なく とも単層の微粒子を有し、かつ上記透明基材の屈折率より低いバルクの 屈折率を有する微粒子層とを少なくとも具備し、上記微粒子層が、他の 基材表面において基材表面と微粒子との静電的相互作用により基材表面 に微粒子を付着させることにより形成した微粒子層であり、この微粒子 層を上記透明基材上に転写させることにより形成されたものであること を特徴とする反射防止膜を提供する。

このように、本発明の反射防止膜における微粒子層を、他の基材上に 静電的相互作用により形成し、これを透明基材上に転写することにより 形成すれば、正または負の電荷を有する基材を繰り返し使用することが 可能となり、コスト面で有利となるからである。

この場合、上記他の基材表面と上記微粒子との静電的相互作用によ る付着が、上記他の基材表面上に高分子電解質からなる高分子電解質膜 が形成され、この高分子電解質膜が有する極性と異なる極性を有する微 粒子を用いることによりなされることが好ましい。

上述した場合と同様の理由から、基材上に均一に微粒子が付着した微 粒子層を形成することができ、これを転写することにより高品質な反射 防止膜とすることができ、さらに、同様微粒子表面の電荷がァニオン、 カチオンのいずれか一方に限定されることがなく、材料選択の幅が広が るからである。

この際、上記高分子電解質膜が、互いに極性の異なる 2種以上の高分 子電解質が積層されて形成された多層膜であることが好ましい。基材上 に形成される微粒子層内の微粒子の不必要な多層化を防ぎ、均一で電荷 密度の高い高分子電解質膜とすることができるからである。

上述した発明においては、上記高分子電界質膜が、架橋された高分子 電解質からなる膜であることが好ましい。同様に微粒子層内の微粒子の 不必要な多層化を防ぎ、均一で電荷密度の高い高分子電解質膜とするこ とができると同時に、微粒子層の転写時における高分子電解質膜の損傷 を防止することができ、基材上に形成された高分子電解質膜の転写耐久 性が向上し、転写可能な回数が増加することから、低コストで反射防止 膜を得ることができるからである。

また、上記反射防止膜においては、上記微粒子層中の微粒子と上記透 明基材表面との付着が、上記透明基材表面と上記微粒子とを化学的かつ 不可逆的に結合させる手段、上記透明基材表面と上記微粒子とを融着さ せる手段、上記微粒子層表面に高分子薄膜を形成する手段、および上記 透明基材表面に粘着層を形成し上記微粒子を上記粘着層上に粘着させる 手段からなる群から選択される少なくとも一つの付着手段によりなされ ることが好ましい。微粒子の透明基材上への付着力を増加させ、反射 防止膜の耐擦傷性を向上させることができるからである。

上記反射防止膜においては、上記微粒子層の膜厚が 5 0 n m〜 3 0 0 n mの範囲內であることが好ましい。上記範囲内とすることにより、可 視光域における微粒子層の反射防止効果を向上させることができるから である。

また、上述した反射防止膜においては、上記微粒子層に用いられる微 粒子が、ポリマ一類の微粒子およびシリ力微粒子からなる群から選択さ れる少なくとも 1種類以上の微粒子であり、その平均粒径が 5 0 η π!〜 3 0 0 n mの範囲内であることが好ましい。上記範囲より平均粒径が小 さい場合は、例えば微粒子を単層で形成した場合等においては、微粒子 層の膜厚が薄すぎて十分な反射防止効果を得られない可能性があるから である。また、平均粒径が上記範囲を超えた場合は、単粒子膜が入射し た可視光を散乱 · 拡散反射してしまい、可視光透過率を下げてしまう可 能性があるからである。

一方、上述した反射防止膜においては、上記微粒子層が少なくとも二 つの層から構成されており、その内の一層の膜厚が、 5 0 n m〜3 0 0 n mの範囲内であり、もう一つの層の膜厚が、 l n π〜5 0 n mの範囲 内であることが好ましい。このようにすることにより、微粒子層全体の 膜厚を調整することが可能となり、最も反射防止効果の高い波長を移動 させて、反射防止効果が最も効率的となる位置とすることができるから である。

さらに、上記反射防止膜においては、上記微粒子層中の微粒子の体積 分率が、 1 0体積%~ 9 0体積%の範囲内であることが好ましい。上記 範囲より体積分率が小さい場合は、微粒子層が光学的に層として認識さ れず、反射防止効果を奏することができないからである。また、上記範 囲より体積分率が大きい場合は、微粒子間の間隙が少なくなり、この 間隙により微粒子層のバルクの屈折率を低減させ、反射防止効果を上げ るという本発明の特徴的な効果を奏し得ない点で好ましくない。

また、上記反射防止膜においては、上記微粒子層のバルタの屈折率が、 1 . 0 5〜 1 . 7 0の範囲内であることが好ましい。バルタの屈折率を 上記範囲内となるように微粒子層内に微粒子を充填することにより、得 られる反射防止膜の反射防止効果を最も良好とすることができるからで ある。

本発明においては、透明基材表面に電荷を付与する電荷付与工程と、 この透明基材表面に付与された電荷と逆符号の表面電荷を有する微粒子 を含有する微粒子分散液を上記透明基材上に塗布し、微粒子層を形成す る微粒子層形成工程と、上記微粒子層が形成された透明基材を洗浄する 洗浄工程とを含むことを特徴とする反射防止膜の製造方法を提供する。

このように、透明基材上への微粒子層の形成が、微粒子を含有する微 粒子分散液を塗布し、その後洗浄することにより行うことができること から、製造工程が簡略であり、かつ効率的である。したがって、コスト 的に有利に反射防止膜を製造することが可能である。

この際、上記透明基材表面に電荷を付与する電荷付与工程が、透明基 材表面に、極性の異なる少なくとも 2種類以上の高分子電解質を積層し て形成した多層膜からなる高分子電解質膜および Zまたは架橋された高 分子電解質からなる高分子電解質膜を設ける工程であることが、上述し た理由により好ましい。

さらに本発明は、基材表面に電荷を付与する電荷付与工程と、この基 材表面に付与された電荷と逆符号の表面電荷を有する微粒子を含有する 微粒子分散液を上記透明基材上に塗布し、微粒子層を形成する微粒子層 形成工程と、上記微粒子層が形成された基材を洗浄する洗浄工程と、上 記基材上に形成された微粒子層を透明基材上に転写する転写工程とを 有することを特徴とする反射防止膜の製造方法を提供する。

このように、基材上に一旦微粒子層を形成し、これを透明基材上に転 写することにより反射防止膜を形成するようにすれば、基材表面にのみ 電荷を付与する電荷付与工程を施し、この基材を繰り返し用いることに より、透明基材上に電荷付与工程をおこなう必要がない。したがって、 例えば高分子電解質膜の形成等の電荷付与工程を各透明基材毎に行う必 要がないことから、工程を簡略化することが可能であり、コスト的に有 利に反射防止膜を形成することができる。

この場合、上記転写工程において、上記微粒子層中の微粒子と上記透 明基材表面との付着手段が、上記透明基材表面と上記微粒子とを化学的 かつ不可逆的に結合させる手段、上記透明基材表面と上記微粒子とを融 着させる手段、上記微粒子層表面に高分子薄膜を形成する手段、および 上記透明基材表面に粘着層を形成し上記微粒子を上記粘着層上に粘着さ せる手段からなる群から選択される少なくとも一つの手段であることが 好ましい。最終的に得られる反射防止膜の耐擦傷性を向上させるためで ある。

さらに、本発明は、基材表面に電荷を付与する電荷付与工程と、この 基材表面に付与された電荷と逆符号の表面電荷を有する微粒子を含有す る微粒子分散液を上記透明基材上に塗布し、微粒子層を形成する微粒子 層形成工程と、上記微粒子層が形成された基材を洗浄する洗浄工程と、 上記洗浄工程で洗浄された上記透明基材上の微粒子層を原版として刷版 材料により型取りして刷版を作製する刷版作製工程と、上記刷版作製ェ 程で製造された刷版を用いて透明基材上に微粒子複製層を形成する微粒 子複製層形成工程とを有することを特徴とする反射防止膜の製造方法を 提供する。このように刷版を作製して、これを用いて反射防止膜を複製 することにより、従来のレンズフィルムや光拡散フィルムの製造工程 をそのまま用いることができるので、初期投資が少なくて済み、結果的 に得られる反射防止膜のコストを低下させることができるからである。 上記本発明の反射防止膜の製造方法においては、上記基材表面に電荷 を付与する電荷付与工程が、基材表面に、極性の異なる少なくとも 2種 類以上の高分子電解質を積層して形成した多層膜からなる高分子電解質 膜および/または架橋された高分子電解質からなる高分子電解質膜を設 ける工程であることが好ましい。

[図面の簡単な説明]

図 1は、本発明の第 2実施態様における付着手段の一例を説明する説 明図である。

図 2は、本発明の第 3実施態様の製造方法における刷版作製工程の一 例を示す説明図である。

図 3は、実施例 1および実施例 2で得た試料の透過率を示すグラフで ある。

図 4は、実施例 3および実施例 4で得た試料の反射率(入射角 5 ° ) を示すグラフである。

図 5は、実施例 5および実施例 6で得た試料の透過率を示すダラフで ある。

図 6は、実施例 5および実施例 6で得た試料の反射率(入射角 5 ° ) を示すグラフである。

図 7 ( a ) および( b ) は、実施例 5で得た試料の平面および断面を 示す走査型電子顕微鏡写真である。

図 8は、実施例 7で得た試料の反射率(入射角 5 ° ) を示すグラフで ある。

図 9 ( a ) および( b ) は、実施例 7で得た加熱処理前の試料の平 面および断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。

図 1 0 ( a ) および( b ) は、実施例 7で得た加熱処理後の試料の平 面および断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。

図 1 1は、実施例 8〜実施例 1 0で得た試料の透過率を示すグラフで ある。

図 1 2は、実施例 1 1および実施例 1 2で得た試料の透過率を示すグ ラフである。

図 1 3は、実施例 5および実施例 1 1で得た試料の反射率を示すダラ フである。

図 1 4は、実施例 1 3で得た試料の透過率を示すグラフである。

[発明を実施するための最良の形態]

本発明者は、公知の現象である、基材表面の電荷と希薄微粒子懸濁液 中の微粒子表面の電荷との静電的相互作用により、基材表面に微粒子が 吸着、付着あるいは接着する現象が反射防止膜の製造方法に適用でき、 さらに上記基材表面に微粒子が付着してなる微粒子膜の成膜条件を種々 検討することにより、高速で成膜できることを見出し、本発明を完成さ せるに至ったものである。以下、このような本発明の反射防止膜につい て詳細に説明する。

本発明の反射防止膜は、透明基材上に直に微粒子層を設けることによ り形成された第 1実施態様と、微粒子層が一旦他の基材上に形成され、 この微粒子層を透明基材上に転写することにより形成された第 2実施態 様に分けることができる。以下、各々の実施態様について説明する。

1 . 第 1実施態様

本発明における第 1実施態様の反射防止膜は、透明基材と、上記透明 基材表面に配され、少なくとも単層の微粒子を有する微粒子層とを有 し、上記透明基材表面と上記微粒子とが少なくとも静電的相互作用によ り付着し、さらに上記微粒子層のバルタの屈折率が上記透明基材の屈折 率より低いことを特徴とするものである。

このような本実施態様の特徴は、透明基材表面と微粒子との静電的相 互作用により透明基材表面に微粒子を配し、微粒子層とする点にある。 本実施形態は、このような特徴を有するものであるので、単に透明基材 を、後述するような種々の塗布方法により、比較的濃厚な微粒子懸濁液、 ェマルジョン、あるいはラテックス等の微粒子分散液を塗布し、その後、 透明基材と静電的相互作用により付着していない粒子を洗浄除去するだ けで、均一に微粒子層を形成することが可能である。したがって、従来 提案されていた反射防止膜製造方法では困難であった透明基材上への微 粒子の均一な塗布が可能となり、より品質の良い反射防止膜とすること ができる。さらに、本実施態様においては、上述した透明基材上への上 記微粒子分散液の塗布は、例えばディップコ一ト法等を用いることによ り短時間で行うことが可能である。したがって、従来の微粒子を用いた 反射防止膜を製造する方法に対して、短時間で製造することが可能であ り、このため最終的に得られる反射防止膜のコストを低減させることが できる。さらにまた、本実施態様においては、例えばディップコート法 等を用いることにより、平面のみならず、曲面、筒状構造物の内面、複 雑な形状の表面等であっても反射防止膜を形成することができる。

以下、このような第 1実施態様の反射防止膜を、各構成に分けて説明 する。

(透明基材)

本実施態様に用いられる透明基材は、通常反射防止膜に用いられる可 視光域において透明な透明基材であればいかなるものであっても用いる ことができる。具体的な材料としては、樹脂、ガラス、金属、セラミ ックス等が適用でき、形状的にはフィルム、シート、板の他、上述した ように曲面を有する形状、筒状構造物、複雑な形状等のいかなる形状の 透明基材であっても用いることができる。

樹脂基材としては、トリァセチルセルロース、ジァセチルセルロース、 アセテートブチレ一トセルロース、ポリエーテルサルホン、ポリアクリ ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポ リスルホン、ポリエーテル、トリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、 (メタ)アクリロニトリル等を挙げることができる。

本実施態様に用いられる透明基材としては、 P E T、ガラス等を材料 として用いたものが一般的である。

(微粒子)

本実施態様に用いられる微粒子は、可視光域において透明な微粒子で あり、かつ後述する微粒子層を形成した際にバルタの屈折率として透明 基材の屈折率より小さい屈折率とすることができる微粒子であれば特に 限定されるものでない。

具体的に用いることができる無機材料の微粒子としては、 M g F 2 (屈 折率 1. 3 8 ) 、 S i O 2 (屈折率 1. 4 6 ) 、 A 1 F 3 (屈折率 1. 3 3〜: I . 3 9 ) 、 C a F 2 (屈折率 1. 4 4 ) 、 L i F (屈折率 1. 3 6〜 1. 3 7 ) 、 N a F (屈折率 1 . 3 2〜: 1. 3 4 ) 、 T h F 4 (屈 折率 1. 4 5〜 1. 5 ) などの微粒子が挙げられる。

また、有機材料の微粒子としては、ポリマー類の微粒子を挙げること ができ、具体的には、架橋アクリル微粒子(例えば、綜研化学(株)製 の MXシリーズ、 MRシリーズ)、非架橋アクリル微粒子(例えば、綜 研化学 (株)製の MPシリーズ)、架橋ポリスチレン微粒子(例えば、 綜研化学 (株)製の S G Pシリーズ)、非架橋ポリスチレン微粒子、架 橋度の高い単分散ポリメチルメタクリレート微粒子(例えば、綜研化 学 (株)製の M Sシリーズ、 Mシリーズ)、これらの複合化微粒子、官 能基導入微粒子等の微粒子を挙げることができる。

本実施態様においては、上記微粒子の材料の内、シリカ( S i 〇 2) 微粒子もしくはポリマー類の微粒子を用いることが好ましい。

本実施態様に用いることができる微粒子の平均粒径としては、 5 0 η m以上 3 0 0 n m以下が望ましく、 7 0 n m以上 2 5 0 n m以下がさら に望ましい。平均粒径が上記範囲より小さい場合は、微粒子を単層で形 成して微粒子層とした場合に、微粒子層の膜厚が薄すぎて十分な反射防 止効果を得られない可能性があることから好ましくない。また、平均粒 径が上記範囲を越える場合は、微粒子を単層とした場合に、微粒子層が 入射した可視光を散乱 · 拡散反射してしまい、可視光透過率を下げてし まうことから好ましくない。なお、この現象は、斜めから観察した時に 特に顕著である。つまり、上記範囲を超えた微粒子で形成した場合は、 透過率が低く角度依存性の高い反射防止膜となり、反射防止膜としては、 一般的に不良となる可能性が高い。

また、用いる微粒子の粒径分布は特に限定されるものではないが、比 較的粒径分布の小さいものが好ましい。具体的には、粒径が 3 0 0 n m を越える微粒子を含まない、つまり、粒径分布範囲が 3 0 0 n m以下で あることが好ましい。

さらに、上記微粒子の屈折率は、後述する微粒子層を形成した際に、 微粒子層の屈折率が透明基材の屈折率より小さくなるように形成できる 程度の屈折率であれば特に限定されるものではないが、好ましくは屈折 率が小さいものが用いられる。望ましい微粒子の屈折率としては、 1 .

0 5〜 1 . 7 0の範囲内、特に 1 . 0 5〜 1 . 5 5の範囲であることが 望ましい。

本発明においては、また反射防止効果に加えて帯電防止効果をも付 与できる点から、微粒子として導電性微粒子を用いることも可能である。 この導電性微粒子は単独で用いてもよく、また S i o 2等の屈折率の低 い微粒子と併用するようにしてもよい。

このような導電性微粒子としては、ある程度の導電性を有する微粒子 であれば特に限定されるものではないが、例えば、酸化スズ( S n〇 2 )、 アンチモンドープ酸化スズ、リンドープ酸化スズ、酸化亜鉛(Z n O ) 、 酸化ィンジゥム ( I n 2 0 3 ) 、スズドープ酸化ィンジゥム等を挙げるこ とができる。

このような導電性微粒子を用いる場合の微粒子の平均粒径としては、 帯電防止性の観点から、 1 n m以上 5 0 n m未満であることが好ましく、 特に 1 n m以上 3 5 n m未満、中でも 1 n m以上 3 0 n m未満であるこ とが好ましい。また、導電性微粒子が針状粒子である場合は、短軸の長 さが上記平均粒径条件を満たしていれば、好適に用いることができる。

(微粒子層)

このような微粒子が透明基材上に付着されて微粒子層が形成される。 この微粒子層中の微粒子は、単層で付着されていても、複数層で形成さ れていてもよい。また、複数層で形成される場合は、複数の種類の微粒 子、例えば屈折率の異なる微粒子をそれぞれの層に用いてもよい。

また、本実施態様においては、この微粒子層を基材の片面のみに形成 してもよいし、基材が板状の基板である場合はその両面に形成するよう にしてもよい。

本実施態様における微粒子層においては、上記微粒子の透明基材上へ の好ましい付着量、言い換えれば微粒子層中への微粒子の好ましい充填 量としては、この付着量を微粒子層中の微粒子の体積百分率、すなわち 微粒子層の単位体積当たりの微粒子占有率とした場合、 1 0体積%〜 9 0体積%の範囲内が好ましく、 特に 2 0体積%〜 8 0体積%の範囲内 であることが好ましい。微粒子の体積分率が上記範囲より小さい場合は、 微粒子層が光学的に層として認識されない可能性があり、反射防止効果 を奏し得ない可能性がある点で好ましくない。一方、体積分率が上記範 囲より大きい場合は、微粒子間の間隙が少なくなつてしまい、微粒子間 の間隙により微粒子層のバルタの屈折率を低減させ反射防止効果を向上 させるという本発明の特徴的な作用効果を奏し得ない可能性があるので 好ましくない。なお、微粒子が真球状で単分散である場合の微粒子の微 粒子層中の体積百分率の上限は、上記範囲にかかわらず、微粒子層中の 微粒子が単層である場合は 6 0体積%であり、多層である場合は 7 4体 積。/。となる。

本実施態様における上記微粒子の微粒子層内における体積分率、すな わち微粒子層の単位体積当たりの微粒子占有率は、以下の二つの方法に より求める。

第 1の方法は、体積分率を Φとした場合、次式( a ) を用いて算出す る方法である。

= a 3 N// 6 S d、ただし d ≥ a n ( a )

ここで、 Sは基材表面積、 aは微粒子の平均粒径、 dは全粒子層厚み、 nは粒子層数、 Nは粒子数を示す。これらの値は、微粒子層表面および 断面写真からの実測等により得る。

特に粒子層が一層の場合は、 d = aみなして次式( b ) を用いること ができる。

Φ = π 3 2Ν/ 6 5 ( b )

第 2の方法は、次式( c ) を用いて算出する方法である。

Φ = ( n cal - n air) / ( n p - n air) ( c )

ここで n pは粒子の屈折率を示し、 n a irは粒子間の間隙の屈折率を示し、 n ca l はシュミレーションにより求められた微粒子層のバルクの屈折率 を示す。なお、本発明の微粒子層は十分透明であることから、微粒子層 が単層であっても、多層であっても反射スぺクトルなどのデータを用い てシユミレーションにより微粒子層のバルクの屈折率を求めることがで さる。

本実施態様における微粒子層は、通常上記微粒子とその間に存在する 気体 (通常は空気)とにより形成されるものである。しかしながら、本 実施態様においては、これに限定されるものでなく、例えば後述する補 強的付着手段を用いる場合等においては、所定の樹脂等が上記気体の代 わりに存在してもよい。

本実施態様においては、このような微粒子およびその間に存在する気 体、さらにはその他の成分として存在する樹脂等を合わせたバルクとし ての微粒子層の屈折率が、上記透明基材の屈折率より小さい必要がある。 バルタの屈折率が透明基材の屈折率と同じもしくは大きい場合は、反射 防止効果を付与することができないからである。

この微粒子層におけるバルタの屈折率は、反射防止効果に大きな影響 を与える重要な因子である。本実施態様においては、この微粒子層のバ ルクの屈折率を比較的容易に調整することができる。すなわち、付着さ せる微粒子の種類、付着させる量等を調節することにより、容易にバル クの屈折率を最適値とすることが可能であり、これにより最良の反射防 止効果を有する反射防止膜を得ることができる。このバルクの屈折率の 最適値は、透明基材の種類により変化するものではあるが、透明基材が 汎用のガラス、 P E T等であるとした場合は、通常 1 . 0 5〜 1 . 6 0 の範囲内であり、特に 1 . 0 5〜: 1 . 5 0の範囲内、中でも 1 . 0 5〜 1 . 4 6範囲内であることが望ましい。

また、微粒子層の膜厚も反射防止効果に大きな影響を与えるものであ るが、本実施態様においては、 5 0 n m〜 3 0 0 n mの範囲内である ことが好ましく、特に 7 0 n m〜 2 5 0 n mの範囲内であることが好ま しい。微粒子層の膜厚が上記範囲を外れると、最終的に得られる反射防 止膜の反射防止効果が低減してしまうからである。

本発明においては、上述したように微粒子層を複数層としてもよいの であるが、この際、一つの層を比較的粒径の大きな微粒子を用いた膜厚 の厚い層とし、他の層を比較的粒径の小さな微粒子を用いた膜厚の薄い 層とした 2層構造とすることが好ましい。これは、以下の理由によるも のである。

一般に、微粒子層の膜厚、すなわち微粒子層内の微粒子の粒径を変化 させることにより、その膜が反射を最も防止する波長を変化させること ができる。具体的には、微粒子層の膜厚(微粒子の粒径)が大きくなれ ば、その膜が反射を最も防止する光の波長も大きくなるのである。した がって、反射防止の用途に応じて、微粒子の粒径を選択して用い、反射 防止効果が最も良好となるように微粒子層を形成するようにすればよい t しかしながら、市販されている微粒子の粒径は、一定の粒径に限定され ている場合が多く、必要な粒径の微粒子が入手できない場合がある。

このような場合に、上記市販されている一定の粒径を有する微粒子を 用いて微粒子層を形成し (大きな粒径の微粒子を用いた微粒子層)、さ らに小さい粒径の微粒子を用いた微粒子層を形成することにより、最も 反射防止効果の高い波長を移動させて、反射防止効果が最も効率的とな る位置に調整することができる。

この場合、粒径の大きな微粒子を用いた微粒子層においては、微粒子 層の膜厚が 5 0〜 3 0 0 n mの範囲内であることが好ましく、特に 7 0 〜 1 8 0 n mの範囲内であることが好ましい。そして、この場合用いる 微粒子の平均粒径が 5 0〜 3 0 0 n mの範囲内の微粒子を用いることが 好ましく、特に平均粒径が 7 0〜 1 8 0 n mの範囲内となる微粒子を 用いることが好ましい。これは、上述したように、平均粒径が上記範囲 より小さい場合は、微粒子層の膜厚が薄すぎて十分な反射防止効果を得 られない可能性があることから好ましくないからであり、また、平均粒 径が上記範囲を越える場合は、微粒子層が入射した可視光を散乱 · 拡散 反射してしまい、可視光透過率を下げてしまうことから好ましくないか らである。

一方、粒径の小さな微粒子を用いた微粒子層においては、微粒子層の 膜厚が 1〜 5 0 n mの範囲内であり、特に 1〜 3 0 n mの範囲内である ことが好ましい。そしてこの場合用いる微粒子の平均粒径が 1〜 5 0 n mの範囲内となる微粒子を用いることが好ましく、特に平均粒径が 1〜 3 0 n mの範囲内となる微粒子を用いることが好ましい。微粒子の平均 粒径が小さければ小さいほど最も反射防止効果の高い波長の位置を細か く調整することができる点で好ましいが、上記範囲より平均粒径が小さ い場合は、微粒子の取扱に問題が生じる可能性があるからである。

本発明において、上記粒径の大きな微粒子を用いた層は単一の層に限 定されるものではなく、複数の層から構成されてもよい。また上記粒径 の小さな微粒子を用いた層も同様に単一の層である必要がなく、複数の 層であってもよい。また、上記粒径の大きな微粒子を用いた層と、粒径 の小さな微粒子を用いた層とは、透明基材上にいずれが先に形成されて いてもよレヽ。

また、本発明においては、上記粒径の大きな層に用いられる微粒子の 材質と、上記粒径の小さな層に用いられる微粒子の材質とが、同一の材 質であっても、異なる材質であってもよい。例えば、粒径の大きな粒子 の材質として、 S i O 2等の比較的屈折率の小さい材質のものを選択し、 粒径の小さい粒子の材質として、上述した酸化すず等の導電性微粒子を 用いるようにしてもよい。これにより、最も反射防止効果の高い波長 の位置を調整して、全体としての反射防止効果を向上させると共に、反 射防止膜に帯電防止効果を付与することが可能となる。

(静電的相互作用)

本実施態様の特徴の一つに、上記透明基材上に微粒子が少なくとも静 電的相互作用により付着している点がある。このように、透明基材上へ の微粒子の付着、言い換えると透明基材上での微粒子層の形成が静電的 相互作用により行われているので、本実施態様においては微粒子が均一 に透明基材上に配置され、反射防止効果の高い微粒子層を透明基材上に 形成することができるのである。

このような静電的相互作用により透明基材上に微粒子を付着させる場 合は、特に限定されるものではないが、通常透明基材上に正負いずれか の電荷を付与し、この電荷と反対の極性を有する微粒子を用いることに より微粒子を静電的相互作用により透明基材上に付着させる方法が採ら れる。

透明基材表面に電荷を付与する方法としては、単に物理的に透明基材 表面を帯電させる場合と、物理的あるいは化学的に透明基材表面にィォ ン性官能基を付与する場合がある。本実施態様においては、前者は電荷 の安定性に乏しいことから、後者の基材表面にイオン性官能基を付与す る方法によることが好ましい。

この基材表面にイオン性官能基を導入する手法としては、コロナ放電 処理、グロ一放電処理、プラズマ処理、加水分解処理、シランカツプリ ング処理、高分子電解質の塗布、高分子電解質多層膜の形成などが挙げ られるが、本実施態様においては、高分子電解質を塗布等することによ り得られる高分子電解質膜を形成することが好ましい。これは、以下の 理由による。

まず、一般に透明基材表面の電荷密度が高い方が透明基材上に均一 に微粒子が付着した反射防止効果の高い微粒子層を形成できる。一方、 透明基材上に高分子電解質膜を形成することにより、他の方法と比較し て電荷密度を高くすることができる。したがって、高分子電解質膜を透 明基材上に形成し、この高分子電解質膜と微粒子との静電的相互作用に より微粒子を透明基材上、すなわち高分子電解質上に付着させることに より、微粒子が均一に付着した微粒子層とすることができ、反射防止効 果の高い反射防止膜とすることができる。

また、コロナ放電処理、グロ一放電処理、プラズマ処理、及び加水分 解処理では、一般的に導入されるイオン性官能基はァニオン性基である ことが多い。したがって、微粒子表面の電荷はカチオンに限定されるこ とになる。一方、高分子電解質はァニオン性、カチオン性、それらの密 度やバランスを任意に選択できるので、微粒子表面の電荷がァニオン、 カチオンのいずれか一方に限定されることがない。この点からも透明基 材表面に電荷を付与する方法としては、高分子電解質からなる高分子電 解質膜を形成することが好ましい。

なお、透明基材表面は、疎水性であることが多いことから、上記手法 を併用することも基材表面に十分な電荷を付与する手法として効果的で ある。例えば、基材表面に、コロナ放電処理、グロ一放電処理、プラズ マ処理、加水分解処理、シランカップリング処理の少なくとも一つを施 した後、高分子電解質塗布または、高分子電解質多層膜形成を行なうこ とも可能であり、好ましい方法である。

高分子電解質膜を形成して透明基材表面に電荷を付与する場合、高分 子電解質膜の膜厚は微粒子の平均粒径より薄いことが好ましく、さらに 高分子電解質の膜厚を微粒子の平均粒径の 5 0 %未満とすることが好ま しい。高分子電解質膜の膜厚が微粒子の平均粒径以上であると、微粒子 が部分的に二層以上積層されて入射する可視光を散乱したり、微粒子 間の空隙を減少する、あるいは埋めるなど、反射防止膜としては不良の 膜となってしまう可能性があるので好ましくない。

本実施態様において、このような高分子電解質膜としては、互いに極 性の異なる 2種以上の高分子電解質が積層されて形成された多層膜であ ることが好ましい。このような高分子電解質多層膜の形成方法としては、 公知のいわゆる交互吸着膜作製法(Layer- by- Layer Assembly 法)を好 適に用いることができる。この方法は、基材をカチオン性高分子電解質 水溶液とァニオン性高分子電解質水溶液とに交互に浸漬することによつ て、ナノオーダーの膜厚制御で基材上に高分子電解質多層膜を形成する 手法である(例えば Gero Decher ら、 Science, 277卷、 1232ページ、 1997 年 ;白鳥世明ら、信学技報、 0ME98 - 106、 1998年; Joseph B. Schlenoff ら、 Macromolecules、 32卷、 8153ページ、 1999年)。この方法による と、高分子電解質多層膜が微粒子の粒径以上の厚膜であっても、微粒子 膜は、単粒子膜で形成される。なぜなら、高分子電解質多層膜は、媒体

(主に水)不溶の高分子錯体になっており、ほとんど媒体に拡散せず、 微粒子は高分子電解質多層膜の、ほとんど表面とのみ相互作用するから である。

高分子電解質と微粒子を用いて交互多層膜を作製した例、あるいは単 粒子膜を作製した例は、既に多く報告されている(例えば、交互多層膜: Kunitake ら、 Chemistry Letters, 125ページ、 1997年;単粒子膜: Akashi ら、 Langmuir、 14卷、 4088ページ、 1998年)。し力、し、これらを含む 先行技術において、単粒子膜の反射防止機能に着目した報告 · 記述は皆 無である。

また本実施態様においては、上記高分子電解質膜を形成する高分子電

解質が架橋された高分子電解質であることが好ましい。架橋された高分 子電解質を用いることにより、微粒子層において不必要で不都合な粒 子の多層化を防止することができるからである。この架橋された高分子 電解質は、高分子電解質を単層で形成する場合も、上記高分子電解質多 層膜とした場合も好適に用いられ、高分子電解質多層膜とした場合は、 その最上層のみ架橋された高分子電解質を用いてもよいし、全ての層を 架橋された高分子電解質で形成してもよい。

本実施態様において、このような高分子電解質膜を用いた静電相互作 用により微粒子層を形成する場合であって、微粒子を複数層形成する場 合は、高分子電解質膜を形成してこれに微粒子を付着させた後、さらに その上に高分子電解質膜を形成し再度微粒子を付着させる工程を繰り返 す方法、また高分子電解質を所定の膜厚で形成し、これと微粒子分散液 と接触させることにより高分子電解質膜を膨潤させ、この高分子電解質 膜中に微粒子を取り込むことにより微粒子を複数層形成する方法等を用 いることができる。

本実施態様に用いられる高分子電解質としては、ポリエチレンィミン およびその 4級化物、ポリジァリルジメチルアンモニゥムクロライド、 ポリ (N , N ' —ジメチル一 3, 5—ジメチレン一ピペリジニゥムクロ ライド)、ポリアリルァミンおよびその 4級化物、ポリジメチルァミノ ェチル (メタ)ァクリレートおよびその 4級化物、ポリジメチルァミノ プロピル(メタ)アタリルァミドおよびその 4級化物、ポリジメチル(メ タ)アタリルァミドおよびその 4級化物、ポリ(メタ)アタリル酸およ びそのイオン化物、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリ( 2—ァ クリルァミド一 2—メチルー 1 一プロパンスルホン酸)、ポリアミック 酸、ポリビュルスルホン酸カリウム、さらには上記ポリマーを構成する モノマーと (メタ)アクリルアミド、 2—ヒドロキシェチル(メタ)ァ クリレート、 N—イソプロピル(メタ)アクリルアミドなどのノニオン 性水溶液モノマーとの共重合体などを上げることができる。

本実施態様においては、中でもポリエチレンィミン 4級化物、ポリジ ァリルジメチルアンモニゥムクロライド、ポリ(N, N ' —ジメチルー 3 , 5—ジメチレン一ピベリジニゥムクロライド)、ポリアリルアミン 4級化物、 ポリジメチルァミノエチル(メタ)アタリレート 4級化物、 ポリジメチルァミノプロピル(メタ)アタリルァミド 4級化物、ポリジ メチル (メタ)アタリルァミド 4級化物、ポリ(メタ)アタリル酸ナト リウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリ( 2—アクリルアミ ドー 2 —メチルー 1 —プロパンスノレホン酸)、ポリビニノレスルホン酸力 リウム、さらには上記ポリマーを構成するモノマーと(メタ)アタリノレ アミド、 2 —ヒドロキシェチル(メタ)アタリレート、 N—イソプロピ ル (メタ)アクリルアミドなどのノニオン性水溶液モノマーとの共重合 体を用いることが好ましい。

また、架橋された高分子電解質としては、上記高分子電解質を構成す るモノマ一とメチレンビスァクリルァミドなどの多官能モノマーとの架 橋体や上記高分子電解質とアルデヒド類との反応による架橋体、上記高 分子電解質への電子線、ガンマ線照射による架橋体などを挙げることが できる。

(補強的付着手段)

本実施態様の反射防止膜は、透明基材上に静電的相互作用により微粒 子が付着して微粒子層を形成してなるものであるが、この微粒子が静電 的相互作用によってのみ透明基材上に付着している場合は、実際の使用 に際して耐擦傷性等に問題が生じる場合がある。このような場合は、微 粒子の透明基材上への付着力を向上させる補強的付着手段を用いてもよ い。

このような補強的付着手段としては、これに限定されるものではない 力 透明基材表面と微粒子とを化学的かつ不可逆的に結合させる手段、 透明基材表面と微粒子とを融着させる手段、微粒子層表面に高分子薄膜 を形成する手段等を挙げることができ、これらを単独で、もしくは組合 わせて用いることができる。

上記透明基材表面と微粒子とを化学的かつ不可逆的に結合させる手段 とは、一般的なエステル結合、ウレタン結合、アミド結合、エーテル結 合などを透明基材表面と微粒子との間に形成する手段である。すなわち、 透明基材表面および微粒子表面にそれぞれ結合することにより上述した ような化学的かつ不可逆的な結合を形成し得る官能基を導入し、静電的 相互作用による微粒子層の形成時もしくはその後の工程において、この 官能基を反応させて上述したような化学的かつ不可逆的な結合を形成す る手段である。どのような化学的結合を用いるか、もしくは導入する官 能基の種類等は、透明基材、微粒子の種類、反応性等を考慮して適宜選 択することができる。

上記透明基材表面と微粒子とを融着させる手段とは、静電的相互作用 により微粒子層を形成した後、微粒子および/または透明基材を加熱し、 透明基材表面と微粒子とを融着させる手段である。この手段を用いる際、 微粒子としてシリカなどの無機酸化物や金属酸化物を用いる場合は、透 明基材は無機ガラスであることが好ましレ、。透明基材が高分子であると、 微粒子が融着する温度に上記透明基材が耐えられないからである。一方、 微粒子が高分子の場合は、透明基材に高分子を用いる事ができることは 言うまでもない。この場合は、微粒子のガラス転移温度よりも透明基材 のガラス転移温度が高いことが好ましく、さらに好ましくは、微粒子の 最低造膜温度よりも透明基材のガラス転移温度が高いことが好ましい。

この手段を用いる場合において、ポリマー類の微粒子(高分子微粒子) は透明基材に融着可能な程度に架橋されていてもよい。また、高分子微 粒子は、ガラス転移温度が高いコアとガラス転移温度が低いシェルを 有する、いわゆるコア-シェル粒子であってもよレ、。この場合、コアのガ ラス転移温度は、基材のガラス転移温度よりも高くてもよい。

さらにこの手段を用いる場合は、 2種以上の微粒子を併用しても良い。 例えば、シリ力微粒子と高分子微粒子を併用して高分子透明基材に単粒 子膜を形成し、その後、高分子微粒子を基材及びシリカ粒子と適度に融 着させることにより、密着性と耐擦傷性の両方に優れた反射防止膜を得 ることが可能となる。

上記微粒子層表面に高分子薄膜を形成する手段とは、透明基材上に静 電的相互作用により微粒子を付着させ、微粒子層を形成した後、この微 粒子層上に、高分子薄膜を形成する手段である。このような方法によつ ても、反射防止膜の耐擦傷性を高めることができ、さらにこの高分子薄 膜にフッ素樹脂を用いることにより防汚性を高めることも可能となる。 なお、このように微粒子層表面に高分子薄膜を形成する手段を用いた場 合においては、上述したようにこの高分子薄膜を含む微粒子層のバルタ としての屈折率を透明基材ょり小さくすることが必要である。

この場合、より高い耐擦傷性を得るために上記高分子薄膜は架橋した ものを用いることも可能である。この場合、微粒子表面の官能基と高分 子薄膜を形成している高分子に含まれる官能基が反応する場合も架橋に 含まれるものとする。

(その他)

本実施態様の反射防止膜には、通常の反射防止膜と同様に透明基材と 微粒子層との間に他の層、例えば高屈折率層、中屈折率層、ハードコー ト等を形成してもよい。

2 . 第 1実施態様の製造方法

上記第 1実施態様の反射防止膜は、透明基材表面に電荷を付与する電 荷付与工程と、この透明基材表面に付与された電荷と逆符号の表面電 荷を有する微粒子を含有する微粒子分散液を上記透明基材上に塗布し、 微粒子層を形成する微粒子層形成工程と、上記微粒子層が形成された透 明基材を洗浄する洗浄工程とにより製造することができる。以下、この 第 1実施態様の製造方法について説明する。

(電荷付与工程)

本実施態様の製造方法においては、まず透明基材表面に電荷を付与す る電荷付与工程が行われる。この透明基材に対する電荷の付与方法につ いては、上記第 1実施態様の説明における(静電的相互作用)の欄で説 明した内容と同様の方法により透明基材に対して電荷を付与するもので あるので、ここでの詳しい内容の説明は省略するが、最も好ましい方法 (工程)は、上記説明と同様に、透明基材表面に極性の異なる少なくと も 2種類以上の高分子電解質が積層されて形成された多層膜を設けるェ 程である。

(微粒子層形成工程)

このようにして電荷が付与された透明基材上に微粒子分散液を塗布し て微粒子層を形成する。この際の塗布方法としては、特に限定されるも のではなく、公知の種々の塗布方法、例えばスプレーコート、バーコ一 ト等を用いることも可能であるが、微粒子分散液に電荷が付加された透 明基材を浸漬する方法が特に好適に用いられる。

本工程において用いられる微粒子分散液は、微粒子を、適当な媒体に 分散 · 懸濁して形成されるものである。媒体系としては、水系が最も好 ましい。これは、本実施態様が、透明基材表面と微粒子表面の静電的相 互作用を利用しているからである。また、微粒子を安定に分散,懸濁さ せるために乳化剤や分散安定剤を用いてもよい。この場合、乳化剤及び 分散安定剤はイオン性であるものが好ましく、基材表面の電荷と逆の符 号、つまり、微粒子の表面電荷と同符号のイオン性であることが好ま しい。

このような組成の微粒子分散液としては、市販品を用いることが可能 である。具体的には、日産化学工業(株)製の各種コロイダルシリカ、 J S R (株)製の各種アクリルェマルジヨンや各種ラテックスなどが挙 げられる。また、綜研化学(株)製の各種高分子微粒子粉体などの微粒 子を粉体として入手し、適当な乳化剤や分散安定剤存在下、水に分散さ せて微粒子分散液を作ることもできる。

上記のような市販の微粒子分散液の p Hは、酸性からアルカリ性まで 様々である。上記電荷付与工程において、透明基材上の高分子電解質膜 あるいは、高分子電解質が積層されてなる多層膜の表面が弱電解質高分 子で形成されている場合であり、かつそれがカルボン酸系高分子のよう な弱ァニオン性高分子電解質の場合は、微粒子分散液の p Hは中性から アルカリ性であることが好ましい。これは、酸性下ではカルボキシル基 のような弱ァニオンは、イオン解離しないからである。また、例えば、 イミン系高分子のような弱カチオン性高分子電解質の場合は、微粒子分 散液の p Hは中性から酸性であることが好ましい。なぜなら、アルカリ 性下では、イミノ基のような弱カチオンはイオン解離しないからである。 ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩のような強ァニオン性高分子電解 質ゃポリ塩化ジァリルジメチルァンモニゥムのような強力チオン性高分 子電解質を用いた場合は、酸性からアル力リ性までの微粒子分散液を用 いることができる。これは、強電解質は、イオン解離性において p Hの 影響を受けにくいからである。

このような微粒子分散液の濃度を調整することにより、形成される微 粒子層中の微粒子の密度を変化させることが可能である。そしてこの微 粒子層中の微粒子の密度を変化させることにより微粒子層中のバルクの 屈折率を変化させることが可能であることから、微粒子分散液中の微 粒子の濃度は得られる反射防止膜の反射性能に大きく影響を与える因子 であるといえる。このような微粒子分散液中の微粒子の濃度としては、 目標とする微粒子層のバルタの屈折率や、微粒子の種類、どのような分 散液であるか等の種々の要因によって大きく変化するものであるが、一 般的には、 3重量%〜 6 0重量%、好ましくは 5重量%〜 5 0重量%の 範囲内のものが用いられる。

本実施態様の製造方法における微粒子層形成工程は、いわゆるラング ミユア-ブロジェット法ゃディップコ一ティング法のような基材引き下 げ時あるいは基材引き上げ時に成膜する手法とは、全く異なるものであ る。本工程の好ましい態様においては、透明基材を微粒子分散液に浸漬 している状態において成膜する手法である。従って、枚葉式の成膜の場 合は、基材の大小に関わらず成膜時間は原理的に同じである。言い換え れば、基材の微粒子分散液への必要な浸漬時間は、基材の大小に関わら ず同じである。一方、ラングミュア-ブロジェット法ゃディップコ一ティ ング法の場合は、基材引き下げ最適速度あるいは基材引き上げ最適速度 が規定されるため、基材が大きくなれば成膜時間も長くなる。さらに付 け加えれば、本工程では、浸漬時間を数秒にすることも可能である。ま た、本工程では、枚葉式のみならず、いわゆる巻き取り式にも適用可能 であるといった利点を有する。

(洗浄工程)

このようにして微粒子層形成工程を行った後、洗浄工程を行うことに より、上記微粒子形成工程において静電的相互作用により透明基材に付 着していない微粒子が洗浄除去される。この洗浄工程は、一般的な洗浄 工程と同様にして行うことができる。

(その他)

その他、必要であれば、上記第 1実施態様の(補強的付着手段)の 欄で説明したものと同様にして補強的付着手段を付加する工程を行って もよい。このような工程を行うことにより、得られる反射防止膜の耐擦 傷性を向上させることができる。

3 . 第 2実施態様

本発明の反射防止膜の第 2実施態様は、透明基材と、上記透明基材表 面に配され、少なくとも単層の微粒子を有し、かつ上記透明基材の屈折 率より低いバルタの屈折率を有する微粒子層とを少なくとも具備し、 上記微粒子層が、他の基材表面において基材表面と微粒子との静電的 相互作用により基材表面に微粒子を付着させることにより形成した微粒 子層であり、この微粒子層を上記透明基材上に転写させることにより形 成されたものであることを特徴とするものである。

本実施態様が第 1実施態様と異なる点は、本実施態様は、静電的相互 作用による微粒子層を、反射防止膜の透明基材とは異なる他の基材上に 予め形成し、これを透明基材上に転写することにより形成されている点 にある。このような構成とすることにより、第 2実施態様は以下のよう な利点を有する。

すなわち、本実施態様においては、他の基材上に予め電荷を付与して おくことにより、この他の基材を繰り返して用いることが可能である。 したがって、各反射防止膜の製造に際して、常に電荷付与工程を行う必 要がないことから、コスト面で有利となる。

また、微粒子層を形成する他の基材は、これ自身が最終的な反射防止 膜の透明基材となることがないので、透明である等の限定は必要なく、 材料選択の幅が広い。したがって、この基材表面に対する電荷の付与を 容易に行うことができるという利点を有する。

このような基材に用いられる材料としては、上記第 1実施態様の説明 中の透明基材の欄で説明した材料に加えて、不透明な材料を選択する ことも可能である。具体的には例えば、金属、ゴム、エラストマ一等を 用いることも可能であり、この基材上での微粒子層の形成をより容易に 行うことができる。

また、基材の形状としては、板状のもの等を挙げることができるが、 ドラム状の基材であってもよい。基材をドラム状とすることにより、後 述する転写工程を容易に行うことが可能となるからである。

第 2実施態様における基板と微粒子との静電的相互作用は、上記第 1 実施態様における透明基材と微粒子との静電的相互作用で説明したもの と同様であり、好ましい例として高分子電解質膜を用いる点も同様であ る。本実施態様においては、特に高分子電解質膜に架橋された高分子電 解質を用いることが好ましい。これは、上記第 1実施態様で説明した理 由に加えて、架橋された高分子電解質を用いた場合は、架橋のないもの と比較して強度があることから、微粒子層を基材から透明基材に転写す る際に高分子電解質膜が損傷することが少なく、高分子電解質膜の転写 耐久性を向上させることが可能である。よって、一つの基板で多数の反 射防止膜を製造でき、反射防止膜としてのコストを低減することができ る。

また、上記他の基材上に形成された微粒子層は、従来より用いられて いる転写方法 (例えば、特開平 0 7— 2 2 5 3 0 2号公報参照)を応用 することにより容易に透明基材上に転写することができる。この転写時 もしくは転写後の透明基材と微粒子層との付着手段としては、上記第 1 実施態様において説明した付着補強手段をそのまま用いることが可能で あり、これらに加えて、透明基材表面に粘着層を形成し微粒子層中の微 粒子をこの粘着層上に粘着させる手段を用いることも可能である。この

粘着層の粘着力は、基材に対する微粒子の静電的相互作用による付着力 より大きい必要があり、粘着層に用いることができる材料としては、 この程度の粘着力を粒子に対して有するものであり、かつ可視光域にお いて透明であれば特に限定されるものではない。具体的には、粘着性を 示し透明性を有する感圧性粘着剤であればよく、このようなものとして は、例えばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコン系粘着剤、 酢酸ビニル系粘着剤、およびそれらの適当な混合系粘着剤等を挙げるこ とができる。より好ましくは、室温で粘着性を示すものがよい。この粘 着層は、粒子を粘着させて粒子層をその上に転写させた後、熱、紫外光、 電子線等により硬化されてもよい。

上記各付着手段は、本実施態様においては複数組み合わせて用いるこ とができる。

なお、他の構成に関しては、上記第 1実施態様と同様であるので、こ こでの説明は省略する。また、本実施態様においても、上記第 1実施態 様と同様に、微粒子層と透明基材との間に必要であれば他の層、具体的 には高屈折率層や中屈折率層等を形成してもよい。

4 . 第 2実施態様の製造方法

本発明の反射防止膜の第 2実施態様の製造方法は、基材表面に電荷を 付与する電荷付与工程と、この基材表面に付与された電荷と逆符号の表 面電荷を有する微粒子を含有する微粒子分散液を上記透明基材上に塗布 し、微粒子層を形成する微粒子層形成工程と、上記微粒子層が形成され た基材を洗浄する冼浄工程と、上記基材上に形成された微粒子層を透明 基材上に転写する転写工程とを有することを特徴とするものである。 本実施態様の製造方法が上記第 1の実施態様の製造方法と異なる点は. 電荷付与工程が、透明基材ではなく他の基材に対して行われている点、 およびこの他の基材上に形成された微粒子層を透明基材上に転写する転 写工程がある点である。したがつてこれ以外の点に関しては既に説明さ れたものと同様であるのでここでの説明は省略する。また上記相違点 に関しても、上記第 2実施態様の説明の欄ですでに説明しているので、 ここでの説明は省略する。

また、本実施態様の製造方法においても、上記第 1の実施態様の製造 方法と同様に、必要であれば微粒子と透明基材との付着力を向上させ、 耐擦傷性を向上させるために付着手段を設けることが可能である。この 付着手段も上記第 1実施態様における説明と同様であるので、ここでの 説明は省略するが、第 2実施態様特有の付着手段である上記粘着層を用 いた付着手段についてのみ、図 1 を用いて説明する。

図 1 は、上記粘着層を用いた付着手段の一例を説明するためのもので ある。電荷付与工程により、ドラム状(管状)の基材 1上に高分子電解 質膜 2が形成され、さらに微粒子層形成工程によりこの高分子電解質膜 上に静電的相互作用により微粒子層 3を付着させる。一方、透明基材 4 表面には粘着層 5を形成する。(図 1 ( a ) ) 。次いで、上記基材 1 を 粘着層 5上に所定の圧力を加えつつ回転させることにより、微粒子層 3 、粘着層 5上に転写される(図 1 ( b ) ) 。微粒子層が除去された基 材 1 は再利用される。そして、この粘着層 5上に、熱、紫外線、電子線 等のエネルギー 6を照射することにより硬化させ、微粒子層 3を粘着層 5上に強固に付着させるのである。

なお、図 1 ( a ) において、微粒子層 3 と高分子電解質膜 2 との間に 空間があるかのように描かれているが、本発明において微粒子層 3はあ くまで高分子電解質膜 2上に付着して形成されてなるものである。

5 . 第 3実施態様

本発明の第 3実施態様は、基材上に微粒子層を形成し、これを原版と して刷版を形成し、この刷版を用いて形成された反射防止膜である。以

下、本発明の第 3実施態様の製造方法について説明する。

本発明の第 3実施態様の反射防止膜の製造方法は、基材表面に電荷 を付与する電荷付与工程と、この基材表面に付与された電荷と逆符号の 表面電荷を有する微粒子を含有する微粒子分散液を上記透明基材上に塗 布し、微粒子層を形成する微粒子層形成工程と、上記微粒子層が形成さ れた基材を洗浄する洗浄工程と、上記洗浄工程で洗浄された上記透明基 材上の微粒子層を原版として刷版材料により型取りして刷版を作製する 刷版作製工程と、上記刷版作製工程で製造された刷版を用いて透明基材 上に微粒子複製層を形成する微粒子複製層形成工程とを有することを特 徴とするものである。

このような方法により反射防止膜を製造すれば、従来の製造工程を用 いることが可能であることから、得られる反射防止膜のコスト面で有利 となる。

上述した第 3の実施態様の製造方法の内、電荷付与工程、微粒子層形 成工程、および洗浄工程は上記第 2実施態様の製造方法と同様であるの で、ここでの説明は省略する。

洗浄工程後、得られた微粒子層を有する基板は、刷版作製工程に供さ れる。この刷版作製工程は、透明基材上に形成された微粒子層を原版と して、刷版材料により型取りして刷版を作製する工程であるが、ここで 用いられる型取り方法としては、例えばシリコーンゴムによる型取り、 ァクリル樹脂による型取り、ゲル化する材料による型取り、熱プレス法、 めっき法等を挙げることができ、中でも、シリコーンゴムによる型取り、 アクリル樹脂による型取り、熱プレス法、めっき法が好ましい。

具体的な刷版作製工程の一例について、図 2を用いて説明する。まず、 電荷付与工程により基材 1上に高分子電解質膜 2を形成し、微粒子層形 成工程においてこの高分子電解質膜 2上に静電相互作用により付着した 微粒子層 3を形成し、洗浄工程において不要な微粒子が除去された基材 1 を準備する(図 2 ( a ) ) 。次いで、この微粒子層 3上に刷版材料 7を塗布等することにより、微粒子層 3の型取りを行う(図 2 ( b ) ) 。 そして、微粒子層 3中の微粒子を除去することにより刷版 8を得ること ができる。

なお、このようにして得られる刷版 8中の微粒子の型は、図では正確 に型取りされた例となっているが、本実施態様においては正確に型取り されていなくてもよい。すなわち、後述する微粒子複製層形成工程にお いて、透明基材上に微粒子複製層が形成された際に、反射防止効果を奏 する程度に型取りされていればよいのである。

このような刷版作製工程に用いられる刷版材料としては、シリコーン ゴム、ァクリノレ樹脂、ゾル一ゲル材料、ポリプロピレン、ポリエチレン、 ポリカーボネート、ニッケル、銅、銀、金、クロム等を挙げることがで き、シリコーンゴム、アクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、 ポリカーボネート、ニッケル、銅、クロムが好ましい。

そして上記刷版作製工程により、得られた刷版を用いて、透明基材上 に微粒子複製層を形成す微粒子複製層形成工程を行う。この微粒子複製 層形成工程は、刷版を用いて透明基材上に微粒子の複製を形成すること ができる方法であれば特に限定されるものではない。具体的には、例え ば、刷版の凹部にインク(微粒子複製層形成用材料)を充填し、これを 透明基材上にプリントする方法を挙げることができる。なお、微粒子複 製層形成用材料によっては、透明基材上にプリントされた後に熱、紫外 線、電子線等により処理して硬化させるようにしてもよレ、。また、他の 方法の例としては、透明基材上に予め微粒子複製層形成用材料を一層形 成し、この層に刷版を押圧して刷版凹部に微粒子複製層形成用材料を挿 入し、刷版を剥がすことにより透明基材上に微粒子複製層を形成する方

法等も用いることができる。この場合も、微粒子複製層形成用材料によ つては熱、紫外線、電子線等を照射して硬化させることも可能である 力 この場合の照射のタイミングとしては、刷版を剥離する前後のいず れであつてもよい。

このような微粒子複製層形成用材料としては、透明で成型可能な材料 であれば特に限定されるものではないが、具体的には、ァクリル系材料、 ウレタン系材料、シリコーン系材料、酢酸ビニル系材料、ポリカーボネ 一ト等を挙げることができ、中でも、アタリル系材料、ゥレタン系材料、 ポリカーボネートが好ましい。

上述した微粒子複製層形成工程において形成された微粒子複製層の形 状は、原版である微粒子層と同一である必要はなく、微粒子複製層とし て反射防止効果を奏する程度に変形されたものであってもよい。

なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施 形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と 実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる ものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

[実施例]

以下、本発明の反射防止膜について、実施例を通じてさらに具体的に 説明する。

[実施例 1 ]

(基材への電荷付与:高分子電界質膜の形成)

交互吸着膜作製法によ りポリ塩化ジァリルジメチルアンモニゥム ( PDDA) (アルドリッチ社製、分子量 10 万〜 20 万) 2 0 m M (モノマ 一単位換算)水溶液(純水に溶解)とポリスチレンスルホン酸ナトリウ ム(PSS) (アルドリツチ社製、分子量 7万) 2 0 m M (モノマー単位換算) 水溶液 (純水に溶解)を用いて、ガラス基板の両面に交互吸着膜を成膜 した。最上層の成膜は、 PDDAで行なった。

(単粒子膜成膜:微粒子層の形成)

上記基材をシリ力ゾル(日産化学(株)製、スノーテック Zし、粒径 70 〜100nin) に 3 0秒間、室温で浸漬した後に十分洗浄し、乾燥させて基材 両面に単粒子膜が形成された試料 1 を作製した。

[実施例 2 ]

(基材への電荷付与:高分子電解質膜の形成)

スビンコ一ティングにより、ガラス基板表面にカチオン性高分子電解 質 (第一工業製薬(株)製、 C- 200H) 超薄膜を形成した。

(単粒子膜成膜:微粒子層の形成)

実施例 1 と同じシリカゾルを用い、実施例 1 と同様にして基材片面に 単粒子膜を形成し試料 2を作製した。

[実施例 3 ]

(基材への電荷付与:高分子電解質膜の形成)

トリァセチル化セルロース(TAC) フィルムを 2規定水酸化力リウム水 溶液で 7 0 °Cで 2分間処理し、表面を親水化処理した。処理後の T A C フィルムを用い、 PDDAと PSSをそれぞれ実施例 1 と同じ濃度で 0. 1 NaCl 水に溶かした水溶液を用いてフィルム表面に交互吸着膜を成膜した。

(単粒子膜成膜:微粒子層の形成)

上記基材を実施例 1 と同一材料を用い、同様に処理し、両面に単粒子 膜が形成された試料 3を作製した。

[実施例 4 ]

(単粒子膜成膜:微粒子層の形成)

実施例 3 と同じ作製法の T A C基材を固形分 2 O wt %のァクリルエマ ルジョン(粒子径 130nm) に 3 0秒間浸漬し、その後洗浄し、フィルム 両面に単粒子膜が形成された試料 4を作製した。

[実施例 5 ]

(基材への電荷付与:高分子電解質膜の形成)

実施例 1で用いた高分子電解質溶液を用いてガラス基板の両面に交互 吸着膜を作製した。表面プローブ顕微鏡(SPM)で測定した膜厚は、 2〜4 n mであつ 7こ。

(単粒子膜成膜:微粒子層の形成)

コロイダルシリカ(日産化学(株)製、 MP- 1040、平均粒径 l l O n m ) に上記基材を 1 0秒間浸漬し、その後洗浄し、単粒子膜を成膜した。両 面に成膜したものを試料 5、片面に成膜したものを試料 6 とする。

[実施例 6 ]

(基材への電荷付与:高分子電解質膜の形成)

実施例 3で用いた高分子電解質溶液を用いてガラス基板上に交互吸着 膜を成膜した。 SPMで測定した膜厚は 1 5〜 2 0 n mであった。

(単粒子膜成膜:微粒子層の形成)

実施例 5 と同じコロイダルシリ力を用いて、実施例 5 と同様にして単 粒子膜を成膜した。両面に成膜したものを試料 7、片面に成膜したもの を試料 8 とする。

[実施例 7 ]

(基材への電荷付与:高分子電解質膜の形成)

ガラス基板上に、実施例 6 と同様にして片面に交互吸着膜を成膜した。

(単粒子膜成膜:微粒子層の形成および熱処理)

上記ガラス基板上に、実施例 4で用いたァクリルェマルジョンを用い て単粒子膜を成膜し、次いで、 7 5 °Cで所定時間、熱処理した。これを 試料 9 とする。なお、アタリル粒子のガラス転移温度は、 6 9 °Cである。

[実施例 8 ]

(基材への電荷の付与:高分子電解質膜の形成)

実施例 6 と同様にして、基板両面に交互吸着膜を作製した。

(単粒子膜成膜:微粒子層の形成)

J S R (株)製ェマルジヨン A E 1 3 7 (商品名)を用い、実施例 1 と同様にして単粒子膜を両面に成膜し、試料 1 0を作製した。

[実施例 9 ]

(基材への電荷の付与:高分子電解質膜の形成)

実施例 6 と同様にして、基板両面に交互吸着膜を作製した。

(単粒子膜成膜:微粒子層の形成)

J S R (株)製ラテックス J S R 0 6 9 3 (商品名)を用い、実施例 1 と同様にして単粒子膜を両面に成膜し、試料 1 1 を作製した。

[実施例 1 0 ]

(基材への電荷の付与:高分子電解質膜の形成)

実施例 6 と同様にして、基板両面に交互吸着膜を作製した。

(単粒子膜成膜:微粒子層の形成)

J S R (株)製ェマルジヨン A E 3 7 3 B (商品名)を用い、実施例 1 と同様にして単粒子膜を両面に成膜し、試料 1 2を作製した。

[実施例 1 1 ]

(基材への第一の電荷の付与:高分子電解質膜の形成)

実施例 1 と同様にして、ガラス基板両面に交互吸着膜を作製した。

(二層粒子膜成膜:第 1の微粒子層の形成)

日産化学社製シリ力ゾルであるスノーテックス 5 0 (商品名)を用い、 実施例 1 と同様にして第 1の微粒子層を形成した。

(第 1 の微粒子層への電荷の付与:高分子電解質膜の形成)

第 1の微粒子層を形成した基材を P D D A溶液に 2分間浸漬した後、 純水で洗浄した。

(二層微粒子膜成膜:第 2の微粒子層の形成)

日産化学社製コロイダルシリ力 MP- 1040 (商品名)を用い、実施例 1 と同様にして第 2の微粒子層を形成し、試料 1 3 とした。

[実施例 1 2 ]

(基材への電荷の付与:高分子電解質膜の形成)

アルドリツチ社製(ジァリルジメチルァンモェゥムクロライド一ァク リノレアミド)共重合体(DDA - Co- AAm)の 2 0 m M水溶液(0. 1M N a C 1 含有)と実施例 3で用いた P S S水溶液を用レ、、交互吸着膜を成膜した。 最上層は DDA-co - AAmとした。

(微粒子膜成膜:二層微粒子層の形成)

実施例 1 と同じスノーテック Z L (商品名)を用い、実施例 1 と同様 に成膜したと ころ、一度に二層積層された試料 1 4が作製された。 DDA-co-AAmは、 PDDA と比べて微粒子と強い相互作用のない AAm成分を有 するため微粒子分散相への拡散距離が長く、そのため微粒子層が一度に 二層積層されたものと推定される。

[実施例 1 3 ]

(基材への第 1電荷付与:高分子電解質膜の形成)

T A Cフィルムを実施例 3 と同様の方法でアルカリ処理した。このフ ィルム両面に、実施例 1 と同様の方法で交互吸着膜を作製した。

(帯電防止膜製膜:第 1の微粒子層形成)

石原産業製針状スズ(アンチモンド一プ)水分散体 F S— 1 0 D (商 品名)を用い、第 1の微粒子層を形成した。形成後のフィルムに濁りは ほとんど認められなかった。表面抵抗値は、 6 . 8 Χ 1 0 9 Ω /口であ つた。

(第 1の微粒子層への電荷付与:高分子電解質膜の形成)

第 1の微粒子層を形成した基材を P D D Α溶液に 2分間浸漬した後、

純水で洗浄した。

(反射防止膜製膜:第 2の微粒子層形成)

日産化学社製コロイダルシリカ MP- 1040 (商品名)を用い、実施例 1 と同様にして第 2の微粒子層を形成し、試料 1 5 とした。表面抵抗値は 2 . 5 X 1 0 1 ° Ωノロであり、シリカ粒子層を形成してもなお、帯電防 止性を保持していた。

[実施例 1 4 ]

(微粒子層の転写)

実施例 5 と同様にして片面に微粒子層を形成した試料を用い、セロハ ンテープ上に微粒子層を転写した。転写後のガラス基材の透過スぺクト ルは素ガラスと同様であり、転写が良好に行われた。微粒子層が転写さ れたセロハンテープの透過率は、素セロハンテープよりも向上した。

[実施例 1 5 ]

(微粒子層の型取り)

実施例 4で用いたァクリルェマルジョンを用いて成膜した試料を用い 無電解メツキ法によりこの試料表面に二ッケルをめつきした。このメッ キ物をガラス基材から注意深く剥離した後、トルエンを用いてアクリル 粒子を除き、刷版を作製した。

(刷版を用いた微粒子層の複製)

上記刷版上に紫外線硬化型アクリル系組成物をキャストし、紫外線に より硬化させた後、注意深く刷版より剥離した。この剥離物の透過率は、 ガラス基板上にァク リル系組成物をキャストし硬化させたものより約 2 %高かった。

[評価]

上記実施例 1から実施例 7までの試料 1〜 9を、下記の測定方法によ り透過率および反射率を測定した。

(透過率スぺクトルの測定方法)

島津製作所製分光光度計 UV- 3100PCを用い、入射角 0 ° (垂直入射) で測定した。

(反射率スぺクトルの測定方法)

UV-3100PC、島津製作所製大型試料台 MPC-3100、及び島津製作所製入 射角 5 ° 用絶対反射率測定装置 ASR- 3105を用いた。試料には、基材の裏 面反射を除くために、裏面に黒色テープを貼り付けた。

(表面抵抗率の測定方法)

三菱化学製ハイレスター U P M C P— H T 4 5 0 ( U R Sプローブ) を用い、電圧 1 0 V、湿度 4 0 %雰囲気で測定した。

(試料 1及び試料 2の特性)

図 3に試料 1 (点線)、試料 2 (破線)の透過率スペクトルをレファ レンスの素ガラス (実線)のスペクトルと共に示した。明らかに反射に よる透過率ロスが低減しており、反射防止膜として機能していることが わかる。

(試料 3及び試料 4の特性)

試料 3、試料 4、及び素 TAC フィルムの片面に黒テープを貼り付けた 試料の入射角 5 ° の正反射スぺクトルを図 4に示した。試料 3が点線、 試料 4が破線、レファレンス(素 TAC) が実線である。試料 3、試料 4 共にレファレンスと比較して反射率が低く、反射防止膜として機能して いることがわかる。

(試料 5〜 8の特性)

図 5 に試料 5〜 8の透過率スぺクトル、図 6 に試料 6および試料 8の 反射率スぺクトノレをレファレンスのガラスのスぺクトノレと共に示した。 これらのデータより、高い反射防止能を有する膜が成膜できていること 力 Sわ力る„

図 7 ( a ) および( b ) に、実施例 5の膜断面及び表面の走査型電子 顕微鏡(SEM)写真を示した。

(試料 9の特性)

図 8に試料 9の反射スぺクトルをレファレンスのガラス基板の反射ス ぺクトルと共に示した。この結果は、熱処理条件を制御することにより、 最低反射率を示す波長を制御できることを示している。粒子変形の効果 と推定される。また、熱処理により、基材への粒子の密着性も向上した。 図 9 ( a ) 、( b ) および図 1 0 ( a ) 、( b ) に、試料 9の熱処理 前及び 7 5 °Cで 1 0 0秒処理した後の SEM写真を示した。

(試料 1 0〜 1 2の特性)

図 1 1 に透過スぺクトルを示した。実線は試料 1 0、破線は試料 1 1、 点線は試料 1 2を示す。

(試料 1 3および試料 1 4の特性)

図 1 2に透過スぺクトルを示した。実線は試料 1 3、破線は試料 1 4 を示す。

(二層品による最適反射防止波長の制御)

図 1 3に反射スぺクトルを示した。試料 6は、 MP- 1040のみの一層品、 試料 1 3はスノーテックス 5 0 と MP- 1040の二層品である。二層品にす ることにより、最適反射防止波長を約 480nmから約 580nmにシフトさせ ることができた。

(耐電防止性反射防止膜の分光特性)

図 1 4に試料 1 5の透過スぺクトルを示した。図より明らかなように、 可視光域において、透過率は 9 5 %を越え、最高 9 7 . 8 %であった。 素 T A Cの透過率は、素ガラスと同程度( 9 2 %弱)であった。なお、 420nm 以下の透過率ロスは、用いた T A Cフィルムの添加剤に基づく吸 収によるものである。