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1. WO2016111280 - FILM MINCE PIÉZOÉLECTRIQUE ET TRANSDUCTEUR PIÉZOÉLECTRIQUE

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明 細 書

発明の名称 圧電薄膜及び圧電振動子

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

非特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007  

課題を解決するための手段

0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053  

符号の説明

0054  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : 圧電薄膜及び圧電振動子

技術分野

[0001]
 本発明は、圧電薄膜及び圧電振動子に関する。

背景技術

[0002]
 従来、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いた圧電振動子が知られている。例えば特許文献1には、圧電振動子の圧電薄膜に、AlN(窒化アルミニウム)にSc(スカンジウム)を添加したScAlN(スカンジウム含有窒化アルミニウム)膜を用いることによって、圧電振動子の圧電特性を向上させることが開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2009-010926号公報
特許文献2 : 特開2013-219743号公報
特許文献3 : 特開2006-270506号公報

非特許文献

[0004]
非特許文献1 : Mark-Alexandre Dubois他著、「Stress and piezoelectric properties of aluminum nitride thin films deposited onto metal electrodes by pulsed direct current reactive sputtering」、JOURNAL OF APPLIED PHYSICS、Volume 89、No. 11、2001年6月1日、pp.6389-6395

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 通常、スパッタリング法によってSi(シリコン)などの基板上にこのScAlN膜を成膜すると、成膜されたScAlN膜内に応力すなわち圧縮応力が発生することが知られている。こうした応力は、圧電薄膜のクラックなどの機械的破壊につながるため好ましくない。応力の発生は、AlN結晶において、一部のAl(アルミニウム)原子が、Al原子のイオン半径よりも大きなイオン半径を有するSc(スカンジウム)原子に置き換えられることによって、結晶格子が膨らむように歪むことに起因するものと考えられる。
[0006]
 ScAlNの成膜時、Ar(アルゴン)及びN2(窒素)の混合ガスのガス圧を通常よりも増加させると、ScAlN膜に対するスパッタ粒子の打ち込み効果が減少し、ScAlN膜内の応力を低減することができる。しかしながら、ガス圧の増加によってスパッタ粒子の運動エネルギーが小さくなり、ScAlN膜の結晶性が劣化して圧電特性が低下することが分かっている。従来、応力の低減と圧電特性の向上との両立は困難であった。
[0007]
 本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、圧電特性を十分に確保しつつ応力を低減することができる圧電薄膜及び圧電振動子を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明の一側面に係る圧電薄膜は、AlN結晶と、AlN結晶においてAlと置き換えられる少なくとも1つの第1元素と、第1元素のイオン半径よりも小さく、かつ、Alのイオン半径よりも大きなイオン半径を有し、AlN結晶に添加される第2元素と、を含有する。

発明の効果

[0009]
 本発明によれば、圧電特性を十分に確保しつつ応力を低減することができる圧電薄膜及び圧電振動子を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 一具体例に係る圧電振動装置の外観を概略的に示す斜視図である。
[図2] 一具体例に係る圧電振動装置の構造を概略的に示す分解斜視図である。
[図3] 図2の3-3線に沿った圧電振動子の断面の模式図である。
[図4] 各元素のイオン半径を示す表である。
[図5] 各元素のイオン半径を示す表である。
[図6] 本発明の第1の実施形態における効果を検証した結果を示す表である。
[図7] 他の具体例に係る圧電振動装置の外観を示す構造を概略的に示す分解斜視図である。
[図8] 図7の8-8線に沿った圧電振動子の断面の模式図である。
[図9] 図6に対応し、本発明の第2の実施形態における効果を検証した結果を示す表である。
[図10] 図6に対応し、本発明の第3の実施形態における効果を検証した結果を示す表である。

発明を実施するための形態

[0011]
 以下、添付の図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。図1は、一具体例に係る圧電振動装置10の外観を概略的に示す斜視図である。この圧電振動装置10は、下側基板11と、下側基板11との間に振動空間を形成する上側基板12と、下側基板11及び上側基板12の間に挟み込まれる圧電振動子13と、を備えている。圧電振動子13は、MEMS技術を用いて製造されるMEMS振動子である。この圧電振動装置10は、例えばスマートフォンなどの電子機器内に組み込まれるタイミングデバイスとして機能する。
[0012]
 図2は、一具体例に係る圧電振動装置10の構造を概略的に示す分解斜視図である。図2に示すように、圧電振動子13は、図2の直交座標系におけるXY平面に沿って矩形の枠状に広がる支持枠14と、支持枠14の一端から支持枠14内にXY平面に沿って平板状に広がる基部15と、基部15の一端に接続された固定端から自由端に向かってXY平面に沿って延びる複数の振動腕16と、を備えている。本実施形態では、Y軸に平行に4本の振動腕16が延びている。なお、振動腕16の数は、4本に限定されず、例えば3本以上の任意の数に設定される。
[0013]
 図3は、図2の3-3線に沿った圧電振動子13の断面の模式図である。図3を併せて参照すると、一具体例に係る圧電振動装置10では、下側基板11はXY平面に沿って平板状に広がっており、その上面に凹部17が形成されている。凹部17は、例えば平たい直方体形状に形成されており、振動腕16の振動空間の一部を形成する。その一方で、上側基板12はXY平面に沿って平板状に広がっており、その下面に凹部18が形成されている。凹部18は、例えば平たい直方体形状に形成されており、振動腕16の振動空間の一部を形成する。
[0014]
 この圧電振動装置10では、凹部17の外側に規定される下側基板11の上面の周縁部上に圧電振動子13の支持枠14が受け止められ、圧電振動子13の支持枠14上に、凹部18の外側に規定される上側基板12の下面の周縁が受け止められる。こうして下側基板11と上側基板12との間に圧電振動子13が保持され、下側基板11と上側基板12と圧電振動子13の支持枠14とによって振動腕16の振動空間が形成される。この振動空間は気密に保持され、真空状態が維持されている。
[0015]
 下側基板11及び上側基板12はともにSi(シリコン)から形成されている。圧電振動子13では、振動腕16は、SiO 2層21と、SiO 2層21上に積層されたSi層22と、Si層22上に積層された圧電薄膜23と、圧電薄膜23を挟み込むように圧電薄膜23の上面及び下面に形成された下側電極24及び上側電極25と、を備えている。なお、SiO 2層21は、圧電薄膜23の上面や下面に形成されてもよい。
[0016]
 SiO 2層21には、Si ab層(a及びbは整数)の適宜の組成を含む酸化ケイ素材料が用いられる。SiO 2層21の厚さを調整することによって、圧電振動子13の周波数温度係数を補正することができる。Si層22は、縮退半導体であるn型のSi半導体から形成されており、n型ドーパントとしてP(リン)やAs(ヒ素)、Sb(アンチモン)などの第15族元素などを含む。本実施形態では、Si層22のn型ドーパントとしてP(リン)を用いている。
[0017]
 下側電極24及び上側電極25には、例えば、Mo(モリブデン)、Ru(ルテニウム)、Pt(白金)、Ti(チタニウム)、Cr(クロム)、Al(アルミニウム)、Cu(銅)、Ag(銀)、又は、これらの合金などの金属材料が用いられる。下側電極24及び上側電極25はそれぞれ、圧電振動装置10の外部に設けられた交流電源(図示せず)に接続される。接続にあたって、例えば上側基板12の上面に形成された電極(図示せず)や上側基板12内に形成されたスルーシリコンビア(TSV)(図示せず)などが用いられる。
[0018]
 圧電薄膜23は、主成分であるAlN(窒化アルミニウム)結晶と、AlN結晶においてAlと置き換えられる少なくとも1つの第1元素と、第1元素のイオン半径よりも小さく、かつ、Al(アルミニウム)のイオン半径よりも大きなイオン半径を有し、AlN結晶に添加される第2元素と、を含有する。第1元素には、例えば第3族元素のみが含有されてもよく、第2族元素及び第4族元素の両方が含有されてもよく、第2族元素及び第5族元素の両方が含有されてもよく、第12族元素及び第4族元素の両方が含有されてもよく、又は、第12族元素及び第5族元素の両方が含有されてもよい。
[0019]
 具体的には、第3族元素には、例えばSc(スカンジウム)又はY(イットリウム)が選択される。第2族元素には、例えばMg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)又はSr(ストロンチウム)が選択される。第4族元素には、例えばTi(チタニウム)、Zr(ジルコニウム)又はHf(ハフニウム)が選択される。第5族元素には、例えばV(バナジウム)又はNb(ニオブ)が選択される。第12族元素には例えばZn(亜鉛)が選択される。
[0020]
 図4は、主成分のAlN(Al、N)及び第1元素(Sc、Y、Mg、Ca、Sr、Zr、Hf、V、Nb、Zn)の各々の価数、配位数及びイオン半径を示す表である。この表に示されるように、例えば主成分であるAlN結晶におけるAlのイオン半径は、Alが例えば3価陽イオンとして存在し、かつ、配位数が4である場合に、0.39pm(ピコメートル)である。また、第1元素である各元素のイオン半径は図4の表に示すとおりである。
[0021]
 圧電薄膜23は、ウルツ鉱構造を有しており、Si層22に対してほぼ垂直にc軸に配向している。下側電極24及び上側電極25によってc軸方向に電圧が印加されると、圧電薄膜23はc軸にほぼ垂直な方向に伸縮する。この伸縮によって、振動腕16は、Z軸方向に屈曲変位して下側基板11及び上側基板12の内面に向かってその自由端を変位させ、面外の屈曲振動モードで振動する。
[0022]
 第2元素は、上述したように、第1元素のイオン半径よりも小さく、かつ、Al(アルミニウム)のイオン半径よりも大きなイオン半径を有する。また、後述するように、第2元素は3価陽イオンとして存在していることが好ましい。本実施形態では、第2元素には、例えばW(タングステン)、Zr(ジルコニウム)、Fe(鉄)、Ta(タンタル)、Cr(クロム)、Ti(チタニウム)及びNi(ニッケル)のうちから選択された少なくとも1つの元素が用いられる。図5は、第2元素の各々の価数、配位数及びイオン半径を示す表である。なお、Zrについては図4に示す。
[0023]
 本実施形態では、第1元素として第3族元素のScを選択している。このとき、圧電薄膜23におけるAlの原子数とScの原子数との総量に対して、Scの原子数が占める割合(以下、「Sc組成比」とも呼ぶ。)は0.03以上0.50以下に設定されることが好ましい。また、圧電薄膜23におけるAlの原子数とScの原子数の総量に対する、第2元素の原子数の比率(以下、「含有量」とも呼ぶ。)は0.01at%以上1.00at%以下に設定されることが好ましい。これらの数値範囲の詳細については以下に説明する。
[0024]
 本発明者は上記本発明の効果を検証した。検証にあたって、比較例及び実施例についてそれぞれ圧電薄膜を形成し、形成した圧電薄膜における応力及び圧電特性を測定した。圧電薄膜の形成にあたって、3インチ径を有する所定の組成の合金ターゲットに基づき、3インチ径のSi基板上にRFマグネトロンスパッタリングを実施した。こうしてSi基板上に所定の組成の圧電薄膜を1.0μmの厚さで形成した。この検証では、第1元素として例えばScを用い、第2元素として例えばW、Zr、Ta、Ti、Cr、Ni、Feを用いた。
[0025]
 具体的には、比較例及び実施例の圧電薄膜の形成にあたって、圧電薄膜の組成に応じてターゲットの組成を調整した。RFマグネトロンスパッタリングにおいて、RFパワーを300Wに設定し、チャンバ内において、Ar(アルゴン)ガスの流量を30sccm、及び、N2(窒素)ガスの流量を15sccmにそれぞれ設定した。また、Si基板の温度を200℃に設定し、背圧を1.0×10-4Paに設定し、さらに、成膜圧力を1.0×10-1Paに設定した。
[0026]
 以上の条件で形成された圧電薄膜内の応力[MPa]及び圧電薄膜の圧電特性(圧電定数d33)[pC/N]を計測した。圧電定数は、Piezotest社製の測定装置PM100を用いてBerlincourt法に基づき測定した。圧電薄膜の組成は、LA-ICP-MS法(レーザアブレーションICP質量分析法:Laser Ablation Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry)に基づき分析した。圧電薄膜に含まれる元素の価数及び配位数は、X線吸収分光分析法(XAFS:X-ray Absorption Fine Structure)に基づき分析した。
[0027]
 図6は、本発明の効果を検証した結果を示す表である。ここでは、Sc組成比は、上述のとおり圧電薄膜23におけるAlの原子数、及び第1元素の原子数の総量に対して、Scの原子数が占める割合を意味している。また、含有量は、圧電薄膜23におけるAlの原子数とScの原子数の総量に対する第2元素の原子数の比率を意味しており、原子組成百分率(at%)で表記している。この表に示されるように、比較例1~8の圧電薄膜としてScAlN膜を形成した。比較例1~8の圧電薄膜ではSc組成比を変化させた。圧電薄膜には第2元素を添加しなかった。すなわち、比較例1~8では、Sc組成比を0.03~0.55の範囲で変化させたことを意味している。その結果、図6の表から明らかなように、Sc組成比を増加させていくと、応力が増大していき、それに伴って圧電定数も増大していく傾向があることを確認することができた。
[0028]
 その一方で、実施例1~7の圧電薄膜では、Sc組成比を比較例1~7と同様に増加させていく一方で、Scのイオン半径よりも小さくかつAlのイオン半径よりも大きなイオン半径を有する第2元素としてWを添加した。Wの含有量は0.50at%に設定した。含有量の定義は上述したとおりである。例えば実施例1にでは、Sc組成比が0.03であり、Wの含有量が0.50at%であることを意味している。その結果、図6の表から明らかなように、実施例1~7の圧電薄膜では、比較例1~7と比較して、応力が低減している一方で圧電定数が増大している。これらの実施例1~7の結果によれば、第2元素Wの含有によって応力の低減と圧電定数の増大とを同時に実現することができた。
[0029]
 また、比較例9として、比較例8に対してさらに第2元素としてWを添加した圧電薄膜を形成した。その結果、比較例9の圧電薄膜では比較例8の圧電薄膜と比較して、応力を低減することができたが、圧電定数が0になることが分かった。この結果によれば、Sc組成比は0.03(実施例1)以上0.50(実施例7)以下に設定されることが好ましいことが分かった。
[0030]
 実施例8~13として、第2元素としてZr、Ta、Ti、Cr、Ni、Feをそれぞれ含有する圧電薄膜を形成した。実施例8~13では、Sc組成比を0.40に設定するとともに、第2元素の含有量を0.50at%に設定した。その結果、Sc組成比が0.40である比較例6と比較して、すべての実施例8~13において、応力が低減している上に圧電定数が増大している。これらの実施例8~13の結果によれば、第2元素Zr、Ta、Ti、Cr、Ni又はFeの含有によって応力の低減と圧電定数の増大とを同時に実現することができることが分かった。
[0031]
 実施例14~21として、第2元素としてFeを含有する圧電薄膜を形成した。実施例14~21では、Sc組成比を0.40に設定するとともに、第2元素の原子数の含有量を0.005(実施例14)at%以上1.10(実施例21)at%以下に設定した。その結果、Sc組成比が0.40である比較例6と比較して、すべての実施例14~21で応力の低減と圧電定数の増大とを同時に実現することができた。さらに、第2元素の含有量が増大するにつれて、応力が低減している一方で、圧電定数を高く維持することができることが確認された。
[0032]
 ただし、図6の表から明らかなように、第2元素の含有量を1.10at%に設定した実施例21では、第2元素の含有量を1.00at%に設定した実施例20と比較して圧電定数が比較的大きく減少している。また、実施例14では、第2元素の含有量が0.005at%に設定されているが、この場合、Sc組成比が0.40である比較例6に比べて応力の減少はわずかである。この点を考慮すると、圧電薄膜内における第2元素の含有量は、0.005at%以上1.10at%以下であることが好ましく、0.01at%以上1.00at%以下であることが特に好ましいことが確認された。
[0033]
 また、第2元素が、実施例9~21のように3価陽イオンとして存在する場合に、応力が特に減少する傾向にあること、かつ、圧電定数が特に増大する傾向にあることが確認された。この結果によれば、第2元素が3価陽イオンとして存在している場合に特に効果があることが分かった。また、第2元素の配位数が実施例1~21のように4又は6である場合に特に効果があることが分かった。以上のことから、第2元素において、第1元素の組成比、第2元素の含有量、価数、配位数が上記数値範囲に設定された場合に特に効果があることが確認された。
[0034]
 図7は、他の具体例に係る圧電振動装置30の外観を示す構造を概略的に示す分解斜視図である。この圧電振動装置30は、前述の屈曲振動モードで振動する圧電振動子13に代えて、面内振動モードで振動する圧電振動子33を備えている。圧電振動子33は、前述の圧電振動子13と同様に、下側基板11及び上側基板12の間に挟み込まれる。下側基板11及び上側基板12の構成については、前述の構造と同一であるため、重複した説明は省略する。
[0035]
 圧電振動子33は、図7の直交座標系におけるXY平面に沿って矩形の枠状に広がる支持枠34と、支持枠34の内側に配置されて、支持枠34と同様にXY平面に沿って矩形に広がる振動部35と、支持枠34と振動部35とを互いに接続する1対の連結部36、36と、を備えている。振動部35は、後述するように、XY平面に沿ってY軸方向に伸縮を繰り返すことによって振動する。
[0036]
 支持枠34は、X軸に平行に延びる1対の長辺の枠体34a、34aと、Y軸に平行に延びてその両端で枠体34a、34aの両端にそれぞれ接続される1対の短辺の枠体34b、34bと、を備えている。本実施形態では、連結部36、36は、X軸に平行な一直線上で延びて枠体34b、34bと振動部35とを互いに接続する。連結部36、36の位置は、振動部35のY軸方向の中間位置すなわち振動部35の振動方向の中心位置の端部(ノード点)に設定される。
[0037]
 図8は、図7の8-8線に沿った断面の模式図である。図8から明らかなように、圧電振動子33では、支持枠34や振動部35、連結部36は、SiO 2(二酸化ケイ素)層41と、SiO 2層41上に積層されたSi層42と、Si層42上に積層された圧電薄膜43と、圧電薄膜43の上面及び下面に形成されて圧電薄膜43を挟み込む下側電極44及び上側電極45と、から形成されている。圧電薄膜43や下側電極44、上側電極45は、前述の圧電薄膜23や下側電極24、上側電極25と同様に構成されている。
[0038]
 この圧電振動装置30では、圧電薄膜43は、Si層42に対してほぼ垂直にC軸配向している。下側電極44と上側電極45との間でほぼC軸方向に交番電界が印加されることによって、振動部35が励振される。その結果、振動部35が、短辺方向すなわちY軸方向に伸縮振動する。言い替えると、Y軸方向において、振動部35が伸びている状態と振動部35が縮んでいる状態とを繰り返す伸縮振動が生じる。こうした圧電振動装置30においても、圧電薄膜43が前述の圧電薄膜23と同様に構成されることによって、同様の作用効果を実現することができる。
[0039]
 [第2の実施形態]
 本実施形態では、第1元素として第2族元素のMg(価数 2、配位数 4、イオン半径 0.5nm)及び第5族元素のNb(価数 4、配位数 8、イオン半径 0.79nm)の両方を選択し、第2元素としてFe(価数 3、配位数4、イオン半径 0.49nm)を選択している。
[0040]
 本実施形態において、圧電薄膜23におけるAlの原子数とMgの原子数とNbの原子数との総量に対して、Mgの原子数が占める割合(以下、「Mg組成比」とも呼ぶ。)及びNbの原子数が占める割合(以下、「Nb組成比」とも呼ぶ。)は、いずれも0.2に設定される。
[0041]
 また、Alの原子数とMgの原子数とNbの原子数との総量に対する、第2元素Feの原子数の比率(以下、「含有量」とも呼ぶ。)は、0.005at%以上1.10at%以下に設定されることが好ましく、より好適には0.005at%以上1.00at%以下である。これらの数値範囲の詳細について以下に説明する。
なお、効果の検証方法については第1の実施形態と同様である。
[0042]
 図9は、本実施形態に係る効果を検証した結果を示す表である。図9の表に示すように、比較例2-1の圧電薄膜では、Mg組成比及びNb組成比をいずれも0.2とし、第2元素を添加しなかった。他方で、実験例2-1~2-8の圧電薄膜では、Mg組成比及びNb組成比をいずれも0.2に設定するとともに、第2元素Feの含有量を0.005(実験例2-1)at%以上1.10(実験例2-8)at%以下に設定した。
[0043]
 その結果、Feを添加しない比較例2-1と比較して、実験例2-1~2-8において、応力の低減と圧電定数の維持を実現することができた。ただし、図9から明らかなようにFeの含有量を1.10at%に設定した実験例2-8においては、応力の低減は実現できている一方で、Feを添加していない比較例2-1と比較して圧電定数が比較的大きく減少している。さらに実験例2-8における応力の低減量は、Feの含有量を1.0at%に設定した比較例2-7と比較してその減少量はわずかである。
[0044]
 この点を考慮すると、Mg組成比及びNb組成比がいずれも0.2である圧電薄膜内において、Feの含有量は、0.005at%以上1.10at%以下が好ましく、0.005at%以上1.00at%以下がより好適であることが確認された。
[0045]
 その他の効果・構成は第1の実施形態と同様である。
[0046]
 [第3の実施形態]
 本実施形態では、第1元素として第2族元素のMg(価数 2、配位数 4、イオン半径 0.5nm)及び第5族元素のHf(価数 4、配位数 8、イオン半径 0.83nm)の両方を選択し、第2元素としてFe(価数 3、配位数4、イオン半径 0.49nm)を選択している。
[0047]
 本実施形態において、圧電薄膜23におけるAlの原子数とMgの原子数とHfの原子数との総量に対して、Mgの原子数が占める割合(以下、「Mg組成比」とも呼ぶ。)及びHfの原子数が占める割合(以下、「Hf組成比」とも呼ぶ。)は、いずれも0.25に設定される。
[0048]
 また、Alの原子数とMgの原子数とHfの原子数との総量に対する、第2元素Feの原子数の比率(以下、「含有量」とも呼ぶ。)は、0.005at%以上1.10at%以下に設定されることが好ましく、より好適には0.005at%以上1.00at%以下である。これらの数値範囲の詳細について以下に説明する。
なお、効果の検証方法については第1の実施形態と同様である。
[0049]
 図10は、本実施形態に係る効果を検証した結果を示す表である。図10の表に示すように、比較例3-1の圧電薄膜では、Mg組成比及びHf組成比をいずれも0.25とし、第2元素を添加しなかった。他方で、実験例3-1~3-8の圧電薄膜では、Mg組成比及びHf組成比をいずれも0.25に設定するとともに、第2元素Feの含有量を0.005(実験例3-1)at%以上1.10(実験例3-8)at%以下に設定した。
[0050]
 その結果、Feを添加しない比較例3-1と比較して、実験例3-1~3-8において、応力の低減と圧電定数の維持を実現することができた。ただし、図10から明らかなようにFeの含有量を1.10at%に設定した実験例3-8においては、応力の低減は実現できている一方で、Feを添加していない比較例3-1と比較して圧電定数が比較的大きく減少している。
[0051]
 この点を考慮すると、Mg組成比及びHf組成比がいずれも0.25である圧電薄膜内において、Feの含有量は、0.005at%以上1.10at%以下が好ましく、0.005at%以上1.00at%以下がより好適であることが確認された。
[0052]
 その他の効果・構成は第1の実施形態と同様である。
[0053]
 なお、以上の各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更/改良され得るととともに、その等価物も含む。すなわち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更されてもよい。また、各実施形態が備える各要素は技術的に可能な限りにおいて組み合わせられ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。

符号の説明

[0054]
 13 圧電振動子
 23 圧電薄膜
 24 電極(下側電極)
 25 電極(上側電極)
 33 圧電振動子
 43 圧電薄膜
 44 電極(下側電極)
 45 電極(上側電極)

請求の範囲

[請求項1]
 AlN結晶と、
 前記AlN結晶においてAlと置き換えられる少なくとも1つの第1元素と、
 前記第1元素のイオン半径よりも小さく、かつ、Alのイオン半径よりも大きなイオン半径を有し、前記AlN結晶に添加される第2元素と、を含有する圧電薄膜。
[請求項2]
 前記第1元素が、第3族元素、又は、第2族元素及び第4族元素、又は、第2族元素及び第5族元素、又は、第12族元素及び第4族元素、又は、第12族元素及び第5族元素である、請求項1に記載の圧電薄膜。
[請求項3]
 前記第1元素がScであり、前記圧電薄膜における前記Alの原子数と前記Scの原子数との総量に対して、前記Scの原子数が占める割合は0.03以上0.50以下である、請求項2に記載の圧電薄膜。
[請求項4]
 前記第2元素が、3価陽イオンとして存在している、請求項1~3のいずれか1項に記載の圧電薄膜。
[請求項5]
 前記第2元素が、W、Zr、Fe、Ta、Cr、Ti及びNiのうちから選択された少なくとも1つの元素である、請求項1~4のいずれか1項に記載の圧電薄膜。
[請求項6]
 前記圧電薄膜における前記Alの原子数と前記第1元素の原子数との総量に対する、前記第2元素の原子数の比率は0.01at%以上1.00at%以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の圧電薄膜。
[請求項7]
 圧電薄膜と、
 前記圧電薄膜を挟み込む1対の電極と、を備え、
 前記圧電薄膜は、
 AlN結晶と、
 前記AlN結晶においてAlと置き換えられる少なくとも1つの第1元素と、
 前記第1元素のイオン半径よりも小さく、かつ、Alのイオン半径よりも大きなイオン半径を有し、前記AlN結晶に添加される第2元素と、を含有する、圧電振動子。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]