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1. WO2016092822 - PROCÉDÉ DE FABRICATION D'ÉLÉMENT ÉLECTROLUMINESCENT À SEMI-CONDUCTEURS AU NITRURE DU GROUPE III

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明 細 書

発明の名称 III族窒化物半導体発光素子の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019  

発明の効果

0020  

図面の簡単な説明

0021  

発明を実施するための形態

0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071  

実施例

0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094  

産業上の利用可能性

0095  

符号の説明

0096  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : III族窒化物半導体発光素子の製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、III族窒化物半導体発光素子の製造方法に関し、特に、素子の寿命を向上させることができるIII族窒化物半導体発光素子の製造方法に関するものである。

背景技術

[0002]
 従来、Al、Ga、In等とNとの化合物からなるIII族窒化物半導体は、紫外光発光素子の材料として用いられている。中でも、高Al組成のAlGaNからなるIII族窒化物半導体は、紫外発光素子や発光波長300nm以下の深紫外光発光素子(DUV-LED)に用いられている。
[0003]
 発光素子に要求される特性として、例えば高外部量子効率特性や低抵抗特性が挙げられる。特許文献1には、量子井戸構造の発光層とpクラッド層との間に、電子ブロック層と呼ばれる電子のエネルギー障壁となる層を形成することにより、発光効率を高めることが記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2010-205767号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 特許文献1の方法で作製された発光素子は、優れた発光強度を有しているものの、その寿命に改善の余地を有していた。そこで、本発明の目的は、素子の寿命を向上させることができるIII族窒化物半導体発光素子の製造方法を提案することにある。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明者らは、上記課題を解決する方途について鋭意検討した。その結果、電子ブロック層の上にp型クラッド層を設けずにp型コンタクト層を設け、このp型コンタクト層を2層構造として、電子ブロック層の直上に、窒素を主成分とするキャリアガスを用いて第1のp型コンタクト層を形成し、第1のp型コンタクト層の上に、水素を主成分とするキャリアガスを用いて第2のp型コンタクト層を形成することが極めて有効であることを見出した。
[0007]
 本発明者らは、上記方法において素子の寿命を向上させているのは、電子ブロック層上に2層構造のp型コンタクト層を形成したこと自体によるものではなく、電子ブロック層を形成した後、電子ブロック層の表面上に、窒素を主成分とするキャリアガスを少なくとも供給して、電子ブロック層の表面を窒素含有雰囲気下に置いたことによるものであることを見出した。
[0008]
 本発明者らはさらに、上記窒素を主成分とするキャリアガスの供給時には、p型コンタクト層(第1のp型コンタクト層)はむしろ形成させない(すなわち、III族元素ガスを供給しない)方が寿命向上の観点では好ましいことを見出した。すなわち、電子ブロック層の表面を窒素含有雰囲気下に置いた後には、水素を主成分とするキャリアガスを用いてp型コンタクト層(第2のp型コンタクト層)を形成することにより、上記p型コンタクト層を2層構造とした場合よりも寿命をさらに向上させることができることも見出し、本発明を形成するに至った。
[0009]
 すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)n型半導体層と、少なくともAlを含む井戸層と障壁層とを有する量子井戸構造の発光層と、p型半導体層とをこの順に備えるIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法において、前記p型半導体層を形成する工程は、前記発光層の上に前記障壁層よりAl組成の大きい電子ブロック層を形成する電子ブロック層形成工程と、前記電子ブロック層の表面上に、窒素を主成分とするキャリアガスを少なくとも供給する窒素キャリアガス供給工程と、前記窒素キャリアガス供給工程後に、前記電子ブロック層の上にAl yGa 1-yN(0≦y≦0.1)からなる第2のp型コンタクト層を形成する第2p型コンタクト形成工程とを有し、前記第2p型コンタクト形成工程は、水素を主成分とするキャリアガスを用いて行うことを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[0010]
(2)前記窒素キャリアガス供給工程は、AlおよびGaの原料ガスの供給を停止した状態で行う、前記(1)に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[0011]
(3)前記窒素キャリアガス供給工程は、AlおよびGaの原料ガスを供給して、前記電子ブロック層の直上かつ前記第2のp型コンタクト層の直下に、Al xGa 1-xN(0≦x≦0.1)からなり、0nm超え30nm以下の厚みを有する第1のp型コンタクト層を形成する、前記(1)に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[0012]
(4)前記障壁層はAl bGa 1-bN(0.35≦b≦0.95)であり、前記電子ブロック層はAl zGa 1-zN(b<z≦1)である、前記(1)~(3)のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[0013]
(5)前記発光層から放射される光が、中心波長が320nm以下の深紫外光である、前記(1)~(4)のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[0014]
(6)n型半導体層と、少なくともAlを含む井戸層と障壁層とを有する量子井戸構造の発光層と、p型半導体層とをこの順に備えるIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法において、前記p型半導体層を形成する工程は、前記発光層の上に前記障壁層よりAl組成の大きい電子ブロック層を形成する電子ブロック層形成工程と、前記電子ブロック層の直上に、Al xGa 1-xN(0≦x≦0.1)からなる第1のp型コンタクト層を形成する第1p型コンタクト形成工程と、前記第1のp型コンタクト層の直上に、Al yGa 1-yN(0≦y≦0.1)からなる第2のp型コンタクト層を形成する第2p型コンタクト形成工程とを有し、前記第1p型コンタクト形成工程は、窒素を主成分とするキャリアガスを用いて行い、前記第2p型コンタクト形成工程は、水素を主成分とするキャリアガスを用いて行うことを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[0015]
(7)前記第1のp型コンタクト層の厚みは前記第2のp型コンタクト層の厚みよりも小さい、前記(6)に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[0016]
(8)前記第1のp型コンタクト層の厚みは5nm以上30nm以下である、前記(6)または(7)に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[0017]
(9)前記障壁層はAl bGa 1-bN(0.4≦b≦0.95)であり、前記電子ブロック層はAl zGa 1-zN(b<z≦1)である、前記(6)~(8)のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[0018]
(10)前記発光層から放射される光の中心波長が300nm以下である、前記(6)~(9)のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[0019]
(11)前記電子ブロック層形成工程は、水素を主成分とするキャリアガスを用いて行い、前記電子ブロック層形成工程後に、有機金属ガスを流さないで窒素を主成分とするキャリアガスを流す工程を含む、前記(6)~(10)のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。

発明の効果

[0020]
 本発明によれば、素子の寿命を大きく向上させることができる。

図面の簡単な説明

[0021]
[図1] 従来例のIII族窒化物半導体発光素子の模式断面図である。
[図2] 本発明の第1の実施形態の好適態様に係るIII族半導体発光素子の製造方法のフローチャートである。
[図3] (A)発明例および(B)従来例の伝導帯のバンド構造を示す図である。

発明を実施するための形態

[0022]
(第1の実施形態:III族窒化物半導体発光素子の製造方法)
 以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、説明を省略する。また、各図において、説明の便宜上、サファイア基板および各層の縦横の比率を実際の比率から誇張して示している。
[0023]
 本発明の第1の実施形態に係るIII族半導体発光素子の製造方法は、n型半導体層と、少なくともAlを含む井戸層と障壁層とを有する量子井戸構造の発光層と、p型半導体層とをこの順に有するIII族半導体発光素子を製造する方法である。ここで、上記p型半導体層を形成する工程は、発光層の上に障壁層よりAl組成の大きい電子ブロック層を形成する電子ブロック層形成工程と、電子ブロック層の直上に、Al xGa 1-xN(0≦x≦0.1)からなる第1のp型コンタクト層を形成する第1p型コンタクト形成工程と、第1のp型コンタクト層の直上にAl yGa 1-yN(0≦y≦0.1)からなる第2のp型コンタクト層を形成する第2p型コンタクト形成工程とを有し、第1p型コンタクト形成工程は、窒素を主成分とするキャリアガスを用いて行い、第2p型コンタクト形成工程は、水素を主成分とするキャリアガスを用いて行うことが肝要である。
[0024]
 本発明者らは、従来の半導体発光素子よりも素子の寿命を向上させるために、図1に示した従来例の発光素子100におけるp型半導体層50に注目した。このp型半導体層50を構成する電子ブロック層51、p型クラッド層52およびp型コンタクト層53は、水素を主成分とするキャリアガスとしてトリメチルガリウム(TMG)等の原料ガスをチャンバに供給することにより形成するのが通例である。本発明者らは、p型クラッド層52の機能効果の確認のため、電子ブロック層51の上に、p型クラッド層52を形成せずに直接、水素を主成分とするキャリアガスを用いてp型コンタクト層53を形成して発光素子を作製し、その発光特性を調べたところ、素子は発光しなかった。この段階では、p型クラッド層52は必要であると考えられた。
[0025]
 本発明者らは、上述のようにして得られた素子が発光しなかった原因は、キャリアガスに含まれる水素が電子ブロック層51をエッチングして結晶性を悪化させ、その結果、電子ブロック層51が十分な機能を果たさなかったためと考えた。次に、一旦p型クラッド層52が有る状態に戻して、p型コンタクト層53のみを、水素ではなく窒素を主成分とするキャリアガスを用いて形成した。その結果、得られた素子は発光したものの、その寿命は、従来のものよりもむしろ低下してしまうことが判明した。ここで、p型コンタクト層53を、水素ではなく窒素を主成分とするキャリアガスを用いて形成したうえで、p型クラッド層52を無くしてみたところ、従来と同等かわずかに良い寿命を持つ発光素子を得ることができた。それでも、市場が求める寿命に対しては改善の余地がある。
[0026]
 p型クラッド層52を無くした場合において、キャリアガスとして窒素を主成分とするガスを使用したことにより、素子が発光を回復したことから、電子ブロック層51の結晶性が維持されて発光層40の電子を十分にブロックできていると考えた。そして、上記寿命の低下は、p型コンタクト層53自体の結晶性の悪化によるものと考えた。
[0027]
 そこで、p型クラッド層52を無くした場合においても、電子ブロック層51の機能を悪化させることなく、かつp型コンタクト層53の高い結晶性を実現する方途について鋭意検討した結果、p型コンタクト層53を2層構造とし、電子ブロック層51の直上に、窒素を主成分とするキャリアガスを用いて第1のp型コンタクト層を形成し、この第1のp型コンタクト層の直上に、水素を主成分とするキャリアガスを用いて第2のp型コンタクト層を形成したところ、従来のものよりも素子の寿命が大きく向上することが判明し、本発明を完成させるに至ったのである。
[0028]
 図3(A)に本発明例、図3(B)従来例の伝導帯のバンド構造を示す図を示す。本発明においては、従来必要と考えられていたクラッド層が無い。本発明の結果から考察すると、わずかな欠陥の変化により、p型キャリアの濃度が低下してキャリア注入効率が悪化し経時変化しやすい層は可能な限り使用しないことが好ましく、電子ブロック層とp型コンタクト層のみという最小限の構成とすることにより、キャリア注入効率の変化を低減し、発光素子の経時変化を低減させることができたと考えられる。そして、電子ブロック層上に直接形成する第1のp型コンタクト層には窒素を主成分とするキャリアガスを用い、それ以外は水素を主成分とするキャリアガスを用いることで、クラッド層が無くとも従来クラッド層が担うと考えられた役割を、電子ブロック層とpコンタクト層との界面近傍に担わせることができ、優れた発光特性を維持しつつ寿命が長い発光素子を達成できたと考えられる。
[0029]
 このように、本発明は、発光層40上に設けられたp型半導体層50の形成に特徴を有するものであり、このp型半導体層50の下方に設けられたサファイア基板11、AlN層21、アンドープ層22、n型半導体層32および発光層40の具体的な構成は何ら限定されない。
[0030]
 図2は、本発明の第1の実施形態の好適態様に係るIII族窒化物半導体発光素子の製造方法のフローチャートを示している。まず、図2(A)に示すように、サファイア基板11を用意する。サファイア基板11の主面11Aは、オフ角θを設けるための傾斜方向の結晶軸方位は、m軸方向またはa軸方向のいずれでもよく、上述の通りオフ角θの有無は任意であるが、例えば特願2014-224637号に記載のようにC面が0.5度のオフ角θで傾斜した面とすることができる。
[0031]
 次に、図2(B)に示すように、サファイア基板11上にAlN層21をエピタキシャル成長させる。AlN層21は、例えば、有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法や分子線エピタキシ(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、スパッタ法などの公知の薄膜成長方法により形成することができる。
[0032]
 AlN層21のAl源としては、トリメチルアルミニウム(TMA)を用いることができる。また、N源としては、アンモニア(NH 3)ガスを用いることができる。これらの原料ガスを、キャリアガスとして水素ガスを用いることにより、AlN層21を形成することができる。
[0033]
 なお、AlN層21の成長温度としては、1270℃以上1350℃以下が好ましく、1290℃以上1330℃以下がより好ましい。この温度範囲であれば、続く熱処理工程の後にAlN層21の結晶性を向上することができる。また、チャンバ内の成長圧力については、例えば5Torr~20Torrとすることができる。より好ましくは、8Torr~15Torrである。
[0034]
 また、NH 3ガスなどのV族元素ガスと、TMAガスなどのIII族元素ガスの成長ガス流量を元に計算されるIII族元素に対するV族元素のモル比(以降、V/III比と記載する)については、例えば130以上190以下とすることができる。より好ましくは140以上180以下である。なお、成長温度および成長圧力に応じて最適なV/III比が存在するため、成長ガス流量を適宜設定することが好ましい。
[0035]
 続いて、上述のようにして得られた、サファイア基板11上のAlN層21に対して、このAlN層21の成長温度よりも高温で熱処理を施すことが好ましい。この熱処理工程は、公知の熱処理炉を用いて行うことができる。かかる熱処理を行うことにより、AlN層21の(10-12)面のX線ロッキングカーブの半値幅を400秒以下とし、高い結晶性を実現することができる(図2(C))。
[0036]
 その後、図2(D)に例示するように、AlN層21上に、アンドープ層22およびn型半導体層32をこの順に有する積層構造を形成することができる。
[0037]
 次に、図2(E)に示すように、発光層40を形成する。この発光層40は、少なくともAlを含み、例えばAl aGa 1-aN材料(0<a≦1)で形成することができる。ここで、Alの組成は、所望の波長の光を発光するように適切に設定するが、Al組成aが0.35以上の場合、発光層40から放射される光の中心波長が300nm以下となり、最終的に作製されるIII族窒化物半導体発光素子1はDUV-LEDとなる。
[0038]
 この発光層40は、Al組成の異なるAlGaNからなる井戸層41と障壁層42とを繰り返し形成した多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)で構成することができる。井戸層41のAl組成aは、例えば0.3~0.8である。障壁層42のAl組成bは、井戸層41のAl組成aより大きく、例えば0.40~0.95である。また、井戸層41および障壁層42の繰り返し回数は、例えば1~10回である。さらに、井戸層41の厚みは、0.5nm~5nm、障壁層42の厚みは、3nm~30nmである。
[0039]
 発光層40をAlGaN材料で形成する場合、Al源としてはTMA、Ga源としてはトリメチルガリウム(TMG)、N源としてはNH 3ガスを用いることができる。これらの原料ガスを、キャリアガスとして水素ガスを用いてチャンバ内に供給することにより、発光層40を形成することができる。発光層40をMQW構造とする場合には、Al源の流量とGa源の流量の比を適切に変更することにより、MQW構造を有する発光層40を形成することができる。
[0040]
 発光層40をAl aGa 1-aN材料(0<a≦1)で形成する場合、Al aGa 1-aN材料の成長温度としては、1000℃以上1400℃以下が好ましく、1050℃以上1350℃以下がより好ましい。
[0041]
 また、NH 3ガスなどのV族元素ガスと、TMAガスなどのIII族元素ガスの成長ガス流量を元に計算されるIII族元素に対するV族元素のモル比(以降、V/III比と記載する)については、例えば100以上100000以下とすることができる。より好ましくは300以上30000以下である。成長温度および成長圧力に応じて最適なV/III比が存在するため、成長ガス流量を適宜設定することが好ましいのはAlN層21の場合と同様である。
[0042]
 続いて、図2(F)に示すように、発光層40の上にp型半導体層150を形成する。上述のように、本発明においては、p型半導体層150が、図1に示したp型クラッド層52に対応する層を含まず、電子ブロック層51と、該電子ブロック層51の直上に設けられたp型コンタクト層153とを有するように構成する。また、p型コンタクト層153は、第1のp型コンタクト層54と第2のp型コンタクト層55とからなる2層構造とする。
[0043]
 電子ブロック層51は、通常、発光層とp型クラッド層との間に設けることにより、電子を堰止めして、電子を発光層40(MQWの場合には井戸層41)内に注入して、電子の注入効率を高めるための層である。特に、発光層40のAl組成が高い場合には、p型半導体層のホール濃度が低いため、ホールを発光層40に注入しにくく、一部の電子がp型半導体層側に流れてしまうが、電子ブロック層51を設けることにより、こうした電子の流れを防止することができる。なお、本発明において、「電子ブロック層」のAl組成zは、発光層40を構成する障壁層42のAl組成bよりも大きく、バンドギャップが大きな層を意味している。対して、「クラッド層」のAl組成は、電子ブロック層のAl組成よりも0.1を超えて小さく、p型コンタクト層よりも0.1を超えて大きいものを指す。なお、中心波長が300nm以下において使用されるp型のAlGaNはAl組成が大きいほど電流が流れにくいため、従来クラッド層として使用されるAl組成は障壁層のAl組成以下であることが多い。このため、本発明における電子ブロック層と従来技術におけるクラッド層とは障壁層のAl組成を基準としても区別できる。
[0044]
 電子ブロック層51は、例えばp型のAl zGa 1-zN材料(b<z≦1)で形成することができる。障壁層42のAl組成にもよるが、例えばこの電子ブロック層51のAl組成は、0.5以上1.0以下とすることが好ましい。これにより、井戸層41への電子の注入効率を高めることができる。また、電子ブロック層51の厚みは、例えば6nm~60nmであることが好ましい。電子ブロック層51の厚さが6nmより薄くても60nmを超えても、出力の大幅な減少がみられるためである。なお、障壁層の厚みよりは厚いことが好ましい。
[0045]
 この電子ブロック層51をp型とするためのドーパントとしては、マグネシウム(Mg)や亜鉛(Zn)を用いることができる。Mg源としては、シクロペンタジニエルマグネシウム(CP 2Mg)を用いることができ、Zn源としては、塩化亜鉛(ZnCl 2)を用いることができる。
[0046]
 電子ブロック層51をp型のAl zGa 1-zN材料(b<z≦1)で形成する場合、キャリアガスとして、水素を主成分とするガスを用いることができる。そして、キャリアガスとともに原料ガスであるTMA、TMGおよびNH 3ガス、ならびに不純物ガスである、例えばCP 2Mgをチャンバ内に供給することにより、ブロック層51を形成することができる。なお、電子ブロック層51の形成に最初から窒素を主成分とするガスを用いた場合は、発光しなくなる。
[0047]
 電子ブロック層51をAl zGa 1-zN材料(b<z≦1)で形成する場合、Al bGa 1-bN材料の成長温度としては、1000℃以上1400℃以下が好ましく、1050℃以上1350℃以下がより好ましい。また、チャンバ内の成長圧力については、例えば10Torr~760Torrとすることができる。より好ましくは、20Torr~380Torrである。
[0048]
 また、NH 3ガスなどのV族元素ガスと、TMAガスなどのIII族元素ガスの成長ガス流量を元に計算されるIII族元素に対するV族元素のモル比(以降、V/III比と記載する)については、例えば100以上100000以下とすることができる。より好ましくは300以上30000以下である。成長温度および成長圧力に応じて最適なV/III比が存在するため、成長ガス流量を適宜設定することが好ましいのはAlN層21の場合と同様である。
[0049]
 続いて、電子ブロック層51上に、2層構造を有するp型コンタクト層153を形成する。その際、電子ブロック層51の直上に形成される第1のp型コンタクト層54は、窒素を主成分とするキャリアガスを用いて行い、第1のp型コンタクト層54の直上に形成される第2のp型コンタクト層55は、水素を主成分とするキャリアガスを用いて行う。
[0050]
 なお、本発明において、「窒素を主成分とするキャリアガス」とは、キャリアガス全体の体積に対する窒素ガスの体積の比が60%以上であるキャリアガスを意味している。より好ましくは85%以上である。また、「水素を主成分とするキャリアガス」とは、キャリアガス全体の体積に対する水素ガスの体積の比が60%以上であるキャリアガスを意味している。より好ましくは85%以上である。なお、半導体製造用として市販される純度を有するガスを用いればよい。なお、ここでのキャリアガスの体積比は、チャンバ内に供給されウェーハ近傍の空間を通るガスを対象としており、ヒーターやチャンバ内壁のパージを主目的としてウェーハ近傍の空間を通らずに排気されるガスは含めない。つまり、ヒーターやチャンバ内壁に水素を大流量流して排気していても、ウェーハ近傍には実質的に窒素を流している場合には、窒素を主成分とするキャリアガスとなる。
[0051]
 p型コンタクト層153は、p型のAl cGa 1-cN材料で形成する。p型コンタクト層153は、この上に形成されるp型電極70と電子ブロック層51との間の接触抵抗を低減するための層である。そのため、このp型コンタクト層153のAl組成cは0≦c≦0.1とする。つまり、第1のp型コンタクト層54(Al xGa 1-xN)のAl組成xを0≦x≦0.1とし、第2のp型コンタクト層55(Al yGa 1-yN)のAl組成yを0≦y≦0.1とする。これにより、p型コンタクト層153上に形成されるp型電極70との接触抵抗を十分に低減することができる。特に、x=0およびy=0とすることが好ましい。
[0052]
 このp型コンタクト層153をp型とするためのドーパントとしては、電子ブロック層51の場合と同様、マグネシウム(Mg)や亜鉛(Zn)を用いることができる。Mg源としては、シクロペンタジニエルマグネシウム(CP 2Mg)を用いることができ、Zn源としては、塩化亜鉛(ZnCl 2)を用いることができるのも同様である。
[0053]
 以下に、本実施形態におけるガスの切り替え方法の一例を説明する。電子ブロック層51形成後、有機金属ガス(III族元素ガスおよびドーパント源ガス)を一旦チャンバ内からベントに切り替えた上で、チャンバ内に流れるキャリアガスを水素から窒素に切り替え、p型コンタクト層の成長条件にチャンバ内の温度や圧力を切り替えた後、有機金属ガスをチャンバ内に供給して、電子ブロック層51上に第1のp型コンタクト層54を形成する。次いで、再度有機金属ガスの流路を一旦チャンバ内からベントに切り替えた上で、チャンバ内に流れるキャリアガスを水素ガスに切り替えた後、有機金属ガスをチャンバ内に供給して、第2のp型コンタクト層55を形成することにより行うことが好ましい。ベントへ切り替えずにキャリアガスを変えた場合は、ガスの流れが急変するため異常な成長を起こす恐れがある。なお、V族元素ガスは電子ブロック層からV族元素が分離しないようにチャンバ内へ流したままとする。また、上記のように有機金属ガスを一旦チャンバ内からベントに切り替えることで電子ブロック層51上への結晶成長を中断し、電子ブロック層51上の雰囲気を水素から窒素に入れ替えて窒素雰囲気となる間の時間、電子ブロック層51は水素分圧が下がりながらキャリアガスおよびV族元素ガスに晒された状態で加熱される。これが電子ブロック層51とp型コンタクト層153との界面付近のキャリア密度向上に好ましい効果を及ぼしたとも考えられる。完全に窒素に切り替わった後に、有機金属ガスをチャンバ内に供給するまでに、1秒以上の時間を空けることも好ましい様態である。
[0054]
 p型コンタクト層153の成長温度としては、800℃以上1400℃以下が好ましく、900℃以上1300℃以下がより好ましい。また、チャンバ内の成長圧力については、例えば10Torr~760Torrとすることができる。より好ましくは、20Torr~600Torrである。
[0055]
 また、NH 3ガスなどのV族元素ガスと、TMAガスなどのIII族元素ガスの成長ガス流量を元に計算されるIII族元素に対するV族元素のモル比(以降、V/III比と記載する)については、例えば100以上100000以下とすることができる。より好ましくは300以上30000以下である。成長温度および成長圧力に応じて最適なV/III比が存在するため、成長ガス流量を適宜設定することが好ましいのはAlN層21の場合と同様である。
[0056]
 ここで、第1のp型コンタクト層54の厚みは第2のp型コンタクト層55の厚みよりも小さいことが好ましい。これにより、水素を主成分とするキャリアガスを用いて成長した、結晶性の高い第2のコンタクト層55が、p型コンタクト層153全体に占める割合が高くなり、p型コンタクト層153全体の結晶性を高めて素子の寿命を向上させることができる。
[0057]
 特に、第1のp型コンタクト層54の厚みを5nm以上30nm以下とすることが好ましい。これにより、第2のp型コンタクト層55の形成の際にキャリアガスに含まれる水素による電子ブロック層51へのエッチングを防止することができる必要最小限の厚みの第1のp型コンタクト層54を確保しつつ、残りを結晶性の高い第2のp型コンタクト層55に割り当てて、p型コンタクト層153全体の結晶性を最大限に高めて、寿命の向上効果を最大化することができる。
[0058]
 最後に、図2(G)に示すように、発光層40およびp型半導体層150の一部をエッチング等により除去し、露出したn型半導体層32上にn型電極60を、第2のp型コンタクト層55上にp型電極70をそれぞれ形成する。こうして、本発明の第1の実施形態の好適態様に係る窒化物半導体発光素子1を作製することができる。
[0059]
 ここで、n型電極60は、例えばTi含有膜およびこのTi含有膜上に形成されたAl含有膜を有する金属複合膜とすることができ、その厚み、形状およびサイズは、発光素子の形状およびサイズに応じて適宜選択することができる。また、p型電極70についても、例えばNi含有膜およびこのNi含有膜上に形成されたAu含有膜を有する金属複合膜とすることができ、その厚み、形状およびサイズは、発光素子の形状およびサイズに応じて適宜選択することができる。
[0060]
(第2の実施形態:III族窒化物半導体発光素子)
 また、本発明の第2の実施形態に係るIII族窒化物半導体発光素子は、上で説明した第1の実施形態に係るIII族窒化物半導体発光素子の製造方法によって製造されたものである。得られたIII族窒化物半導体発光素子1は、従来よりも高い寿命を有するものである。
[0061]
(第3の実施形態:III族窒化物半導体発光素子の製造方法)
 続いて、本発明の第3の実施形態に係るIII族半導体発光素子の製造方法について説明する。本発明の第3の実施形態に係るIII族半導体発光素子の製造方法は、n型半導体層と、少なくともAlを含む井戸層と障壁層とを有する量子井戸構造の発光層と、p型半導体層とをこの順に有するIII族半導体発光素子を製造する方法である。ここで、上記p型半導体層を形成する工程は、発光層の上に障壁層よりAl組成の大きい電子ブロック層を形成する電子ブロック層形成工程と、電子ブロック層の表面上に、窒素を主成分とするキャリアガスを少なくとも供給する窒素キャリアガス供給工程と、窒素キャリアガス供給工程後に、電子ブロック層の上にAl yGa 1-yN(0≦y≦0.1)からなる第2のp型コンタクト層を形成する第2p型コンタクト形成工程とを有し、第2p型コンタクト形成工程は、水素を主成分とするキャリアガスを用いて行うことが肝要である。
[0062]
 上記第1の実施形態に係るIII族半導体発光素子の製造方法においては、電子ブロック層51の上にp型クラッド層52を設けずにp型コンタクト層150を設け、このp型コンタクト層150を2層構造として、電子ブロック層51の直上に、窒素を主成分とするキャリアガスを用いて第1のp型コンタクト層54を形成し、第1のp型コンタクト層54の上に、水素を主成分とするキャリアガスを用いて第2のp型コンタクト層55を形成している。
[0063]
 上述のように、本発明者らは、第1の実施形態に係るIII族半導体発光素子の製造方法において、素子の寿命を向上させているのは、電子ブロック層51上に2層構造のp型コンタクト層150を形成したこと自体によるものではなく、電子ブロック層51を形成した後、電子ブロック層51の表面上に、窒素を主成分とするキャリアガスを少なくとも供給して、電子ブロック層51の表面を窒素含有雰囲気下に置いたことによるものであることを見出した。
[0064]
 本発明者らはさらに、上記窒素を主成分とするキャリアガスの供給時には、p型コンタクト層(第1のp型コンタクト層54)はむしろ形成させない(すなわち、AlおよびGaの原料ガスを供給しない)方が素子寿命の観点では好ましく、電子ブロック層51の表面を窒素含有雰囲気下に置いた後には、水素を主成分とするキャリアガスを用いてp型コンタクト層(第2のp型コンタクト層55)を形成することにより、p型コンタクト層を2層構造とした場合よりも寿命をさらに向上させることができることも見出した。
[0065]
 そこで、本実施形態においては、上記第1の実施形態に係るIII族半導体発光素子の製造方法において、第1p型コンタクト層形成工程に代えて、電子ブロック層51の表面上に、窒素を主成分とするキャリアガスを少なくとも供給する窒素キャリアガス供給工程を行い、この窒素キャリアガス供給工程後に、水素を主成分とするキャリアガスを用いて第2p型コンタクト形成工程55を行う。
[0066]
 窒素キャリアガス供給工程は、AlおよびGaの原料ガスの供給を停止した状態で行ってもよいし、AlおよびGaの原料ガスを供給して、電子ブロック層51の直上かつ第2のp型コンタクト層55の直下に第1のp型コンタクト層54を形成してもよい。後の実施例に示すように、素子の寿命の点では、窒素キャリアガス供給工程において、AlおよびGaの原料ガスを供給しないことが好ましい。
[0067]
 窒素キャリアガス供給工程における窒素ガスの供給から停止までの時間は、少なくとも炉内に滞留する水素を追い出すまでの時間を含めることが好ましく、炉内のサイズにも拠るが、例えば、30秒以上600秒以下とすることが好ましい。これにより、ブロック層51と、後に形成する第2のp型コンタクト層55との間で結晶性の良好な界面を形成することができる。
[0068]
 また、AlおよびGaの原料ガスを供給して第1のp型コンタクト層54を形成する場合には、その厚みは30nm以下とすることが好ましい。
[0069]
 本実施形態においては、発光層40の障壁層42のAl組成bは、第1の実施形態よりも広い範囲とすることができ、0.35~0.95とすることが好ましい。また、電子ブロック層51は、Al zGa 1-zN(b<z≦1)であることが好ましい。さらに、本実施形態に係るIII族半導体発光素子の製造方法は、発光層40から放射される光が、中心波長が320nm以下の深紫外光を発するIII族半導体発光素子の製造に好適である。
[0070]
(第4の実施形態:III族窒化物半導体発光素子)
 また、本発明の第4の実施形態に係るIII族窒化物半導体発光素子は、上で説明した第3の実施形態に係るIII族窒化物半導体発光素子の製造方法によって製造されたものである。得られたIII族窒化物半導体発光素子1は、従来よりも高い寿命を有するものである。
[0071]
 こうして、従来よりも向上した寿命を有するIII族窒化物半導体発光素子を製造することができる。
実施例
[0072]
(発明例1)
 以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。図2に示したフローチャートに従って、III族窒化物半導体発光素子を作製した。まず、サファイア基板(直径2インチ、厚さ:430μm、面方位:(0001)、m軸方向オフ角θ:0.5度、テラス幅:100nm、ステップ高さ:0.20nm)を用意した(図2(A))。次いで、MOCVD法により、上記サファイア基板上に中心膜厚0.60μm(平均膜厚0.61μm)のAlN層を成長させ、AlNテンプレート基板とした(図2(B))。その際、AlN層の成長温度は1300℃、チャンバ内の成長圧力は10Torrであり、V/III比が163となるようにアンモニアガスとTMAガスの成長ガス流量を設定した。V族元素ガス(NH 3)の流量は200sccm、III族元素ガス(TMA)の流量は53sccmである。なお、AlN層の膜厚については、光干渉式膜厚測定機(ナノスペックM6100A;ナノメトリックス社製)を用いて、ウェーハ面内の中心を含む、等間隔に分散させた計25箇所の膜厚を測定した。
[0073]
 次いで、上記AlNテンプレート基板を熱処理炉に導入し、10Paまで減圧後に窒素ガスを常圧までパージすることにより炉内を窒素ガス雰囲気とした後に、炉内の温度を昇温してAlNテンプレート基板に対して熱処理を施した(図2(C))。その際、加熱温度は1650℃、加熱時間は4時間とした。
[0074]
 続いて、MOCVD法により、アンドープ層として、Al 0.7Ga 0.3Nからなる層厚1μmのアンドープAl 0.7Ga 0.3N層を形成した。次に、アンドープ層上に、n型半導体層として、Al0 .62Ga 0.38Nからなり、Siドープした層厚2μmのn型Al 0.62Ga 0.38N層を上記AlN層上に形成した(図2(D))。なお、SIMS分析の結果、n型半導体層のSi濃度は1.0×10 19atoms/cm 3である。
[0075]
 続いて、n型半導体層上に、Al 0.45Ga 0.55Nからなる層厚3nmの井戸層およびAl 0.65Ga 0.35Nからなる層厚7nmの障壁層を交互に3.5組繰り返して積層した発光層を形成した(図2(E))。3.5組の0.5は、発光層の最初と最後を障壁層としたことを表す。この発光層の発光波長は280nmである。
[0076]
 その後、発光層上に、水素ガスをキャリアガスとして、Al 0.68Ga 0.32Nからなり、Mgドープした層厚40nmの電子ブロック層を形成した。次いで、窒素ガスをキャリアガスとして、GaNからなり、Mgドープした層厚10nmの第1のp型コンタクト層を形成した。その際、チャンバ内の成長圧力は300mbarであった。また、キャリアガスである窒素ガス、NH 3ガス、TMG、Cp 2Mgの流量は、それぞれ30slm、30slm、150sccmおよび1000sccmであった。続いて、キャリアガスを水素ガスに切り替えた後、Mgドープした層厚170nmの第2のp型コンタクト層を形成した。キャリアガスである水素ガスの流量は、30slmとし、その他の条件は第1のp型コンタクト層の形成と同じにした。なお、層厚170nmの内の電極に接する厚さ30nmの領域においては、TMGガスの流量を減らしてMgの存在確率を上げ、かつ、成長速度を落とすことにより高Mg濃度の層とした。その後、第2のp型コンタクト層の上にマスクを形成してドライエッチングによるメサエッチングを行い、n型半導体層を露出させた。次いで、第2のp型コンタクト層上に、Ni/Auからなるp型電極を形成し、露出したn型半導体層上には、Ti/Alからなるn型電極を形成した。なお、p型電極のうち、Niの厚みは50Åであり、Auの厚みは1500Åである。また、n型電極のうち、Tiの厚みは200Åであり、Alの厚みは1500Åである。最後に550℃でコンタクトアニール(RTA)を行って、電極を形成した。こうして本発明に係るIII族窒化物半導体発光素子を作製した。
[0077]
(発明例2)
 第1のp型コンタクト層の厚みを30nm、第2のp型コンタクト層の厚みを150nmとした以外の条件は発明例1と全て同じとして、発明例2に係る窒化物半導体発光素子を作製した。
[0078]
(従来例)
 電子ブロック層を形成した後に、水素をキャリアガスとして、MgをドープしたAl 0.35Ga 0.65Nからなるp型クラッド層(厚み:50nm)を形成した後、水素をキャリアガスとして、MgドープしたGaNからなり、1層構造を有するp型コンタクト層(厚み:180nm)を順に形成した以外の条件は発明例1と全て同じとして、従来例に係る窒化物半導体発光素子を作製した。
[0079]
(比較例1)
 p型コンタクト層を1層構造とし、MgをドープしたGaNで構成し、このp型コンタクト層を、電子ブロック層の形成時からキャリアガスを変更することなく、キャリアガスとして水素を用いて形成した以外の条件は、発明例1と全て同じとして、比較例1に係る窒化物半導体発光素子を作製した。
[0080]
(比較例2)
 p型コンタクト層を、キャリアガスとして窒素を用いて形成した以外の条件は、比較例1と全て同じとして、比較例2に係る窒化物半導体発光素子を作製した。
[0081]
(比較例3)
 p型コンタクト層を、キャリアガスとして窒素を用いて形成した以外の条件は、従来例と全て同じとして、比較例3に係る窒化物半導体発光素子を作製した。
[0082]
<発光特性の評価>
 発明例1について、作製したフリップチップ型のIII族窒化物半導体発光素子を、積分球により電流20mAのときの発光出力Po(mW)を測定したところ、2.7mWであった。発明例2についても、同様に評価し、発光出力を測定したところ、2.8mWであった。これに対して、従来例および、発光しなかった比較例1を除く比較例2および3について、発光出力を測定したところ、発光出力はそれぞれ3.1mW(従来例)、2.9mW(比較例2)、3.0mW(比較例3)であった。このように、発明例1および2では、従来例、並びに比較例2および3と同程度の発光出力が得られていることが分かる。得られた結果を表1に示す。なお、表1において、p型コンタクト層が1層構造を有する場合には、第1のp型コンタクト層とし、第2のp型コンタクト層については「-」で表記した。
[0083]
[表1]


[0084]
(発明例3)
 発光層上に、水素ガスをキャリアガスとして、Al 0.68Ga 0.32Nからなり、Mgドープした層厚40nmの電子ブロック層を形成した。次いで、キャリアガスの水素ガスを停止して窒素ガスの供給を開始するとともに、有機金属ガス(TMGおよびCp 2Mg)の供給を停止した。その後、再びキャリアガスの窒素を停止して水素ガスの供給を開始するとともに、有機金属ガス(TMGおよびCp 2Mg)の供給を開始し、GaNからなり、Mgドープした層厚180nmの第2のp型コンタクト層を形成した。ここで、窒素ガスの供給開始から供給停止までの時間は200秒とし、その間のキャリアガスである窒素ガス、NH 3ガスの流量は、それぞれ30slm、30slmとした。また、第2のp型コンタクト層形成時のチャンバ内の成長圧力は300mbarであり、キャリアガスである水素ガス、NH 3ガス、TMG、Cp 2Mgの流量は、それぞれ30slm、30slm、150sccmおよび1000sccmであった。上記によって第1のp型コンタクト層の厚みを0nmとし、第2のp型コンタクト層の厚みを180nmとした以外の条件は発明例1と同じとして、発明例3に係る窒化物半導体発光素子を作製した。
[0085]
<発光寿命の評価>
 III族窒化物半導体発光素子の寿命特性を測定するために、発明例1の6時間通電後の残存出力(6時間通電後の出力/初期発光出力)を測定したところ、初期の出力に対して97%であった。発明例2についても、同様に6時間経過後の残存出力を測定したところ、96%、発明例3では98%であった。これに対して、従来例および比較例1~3について、残存出力は、89%(従来例)、発光せず(比較例1)、94%(比較例2)、82%(比較例3)であった。このように、発明例1~3では、従来例および比較例に対して発光寿命が大きく向上していることが分かる。得られた結果を表1に示す。
[0086]
(発明例4)
 発明例1におけるAlNテンプレート基板を用いて、以下のように発明例4のIII族窒化物半導体発光素子を作製した。まず、MOCVD法により、アンドープ層として、層厚1μmのアンドープAl 0.55Ga 0.45N層を形成した。次に、アンドープ層上に、n型半導体層として、Siドープした層厚2μmのn型Al 0.45Ga 0.55N層を形成した(図2(D))。なお、SIMS分析の結果、n型半導体層のSi濃度は1.0×10 19atoms/cm 3である。
[0087]
 続いて、n型半導体層上に、Al 0.3Ga 0.7Nからなる層厚3nmの井戸層およびAl 0.5Ga 0.5Nからなる層厚7nmの障壁層を交互に3.5組繰り返して積層した発光層を形成した(図2(E))。3.5組の0.5は、発光層の最初と最後を障壁層としたことを表す。この発光層の発光波長は310nmである。
[0088]
 その後、発光層上に、水素ガスをキャリアガスとして、Al 0.58Ga 0.42Nからなり、Mgドープした層厚40nmの電子ブロック層を形成した。次いで、キャリアガスの水素ガスを停止して窒素ガスの供給を開始するとともに、III族元素ガスおよびドーパントガスの供給を停止し、成長温度を1300℃からp型コンタクト層(第2のp型コンタクト層)の形成温度である1050℃まで下げる工程を介し、その後、窒素ガスを停止して水素ガスへキャリアガスを切り替えるとともに、III族元素ガスおよびドーパントガスの供給を再開して第2のp型コンタクト層の形成を開始した。なお、窒素キャリアガスを用いて成長させる第1のp型コンタクト層は、III族元素ガス供給を停止しているため、残留ガスを考慮しても、その膜厚は0nmと見なせる。また、窒素ガスの供給開始から供給停止までの時間は200秒とした。
[0089]
 キャリアガスを窒素にしている間の窒素ガス、NH 3ガスの流量は、それぞれ30slm、30slmであり、TMGおよびCp 2Mgの流量は0である。また、第2のp型コンタクト層を成長する際の、チャンバ内の成長圧力は300mbarであり、また、キャリアガスである水素ガス、NH 3ガス、TMG、Cp 2Mgの流量は、それぞれ30slm、30slm、150sccmおよび1000sccmであった。なお、層厚180nmの内の電極に接する厚さ30nmの領域においては、TMGガスの流量を減らしてMgの存在確率を上げ、かつ、成長速度を落とすことにより高Mg濃度の層とした。
[0090]
 その後、第2のp型コンタクト層の上にマスクを形成してドライエッチングによるメサエッチングを行い、n型半導体層を露出させた。次いで、第2のp型コンタクト層上に、Ni/Auからなるp型電極を形成し、露出したn型半導体層上には、Ti/Alからなるn型電極を形成した。なお、p型電極のうち、Niの厚みは50Åであり、Auの厚みは1500Åである。また、n型電極のうち、Tiの厚みは200Åであり、Alの厚みは1500Åである。最後に550℃でコンタクトアニール(RTA)を行って、電極を形成した。
[0091]
(比較例4)
 p型コンタクト層を、キャリアガスとして窒素を用いて形成した以外の条件は、発明例4とすべて同じとして、比較例4に係る窒化物半導体発光素子を作製した。
[0092]
<発光特性、寿命特性の評価>
 発明例4について、作製したフリップチップ型のIII族窒化物半導体発光素子を、積分球により電流20mAのときの発光出力Po(mW)を測定したところ、2.4mWであった。これに対し、比較例4では表面荒れが発生してしまうことによって、ドライエッチング等を経てチップ加工することができず、特性評価ができなかった。
[0093]
 発明例4の6時間通電後の残存出力(6時間通電後の出力/初期発光出力)を測定したところ、初期の出力に対して99%であった。従来例や比較例1~4(比較例4はチップ化不可)に対して発光寿命が大きく向上しており、発明例1~3と同様の結果が得られている。得られた結果を表2に示す。なお、表2において、p型コンタクト層が1層構造を有する場合には、第1のp型コンタクト層とし、第2のp型コンタクト層については「-」で表記した。
[0094]
[表2]


産業上の利用可能性

[0095]
 本発明によれば、素子の寿命を大きく向上させることができるため、発光素子の製造において有用である。

符号の説明

[0096]
1,100 III族窒化物半導体素子
11 サファイア基板
11A 基板の主面
21 AlN層
22 アンドープ層
32 n型半導体層
40 発光層
41 井戸層
42 障壁層
50,150 p型半導体層
51 電子ブロック層
52 p型クラッド層
53,153 p型コンタクト層
54 第1のp型コンタクト層
55 第2のp型コンタクト層
60 n型電極
70 p型電極

請求の範囲

[請求項1]
 n型半導体層と、少なくともAlを含む井戸層と障壁層とを有する量子井戸構造の発光層と、p型半導体層とをこの順に備えるIII族窒化物半導体発光素子を製造する方法において、
 前記p型半導体層を形成する工程は、
 前記発光層の上に前記障壁層よりAl組成の大きい電子ブロック層を形成する電子ブロック層形成工程と、
 前記電子ブロック層の表面上に、窒素を主成分とするキャリアガスを少なくとも供給する窒素キャリアガス供給工程と、
 前記窒素キャリアガス供給工程後に、前記電子ブロック層の上にAl yGa 1-yN(0≦y≦0.1)からなる第2のp型コンタクト層を形成する第2p型コンタクト形成工程と、
を有し、
 前記第2p型コンタクト形成工程は、水素を主成分とするキャリアガスを用いて行うことを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[請求項2]
 前記窒素キャリアガス供給工程は、AlおよびGaの原料ガスの供給を停止した状態で行う、請求項1に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[請求項3]
 前記窒素キャリアガス供給工程は、AlおよびGaの原料ガスを供給して、前記電子ブロック層の直上かつ前記第2のp型コンタクト層の直下に、Al xGa 1-xN(0≦x≦0.1)からなり、0nm超え30nm以下の厚みを有する第1のp型コンタクト層を形成する、請求項1に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[請求項4]
 前記障壁層はAl bGa 1-bN(0.35≦b≦0.95)であり、前記電子ブロック層はAl zGa 1-zN(b<z≦1)である、請求項1~3のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[請求項5]
 前記発光層から放射される光が、中心波長が320nm以下の深紫外光である、請求項1~4のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[請求項6]
 n型半導体層と、少なくともAlを含む井戸層と障壁層とを有する量子井戸構造の発光層と、p型半導体層とをこの順に備えるIII族窒化物半導体発光素子の製造方法において、
 前記p型半導体層を形成する工程は、
 前記発光層の上に前記障壁層よりAl組成の大きい電子ブロック層を形成する電子ブロック層形成工程と、
 前記電子ブロック層の直上に、Al xGa 1-xN(0≦x≦0.1)からなる第1のp型コンタクト層を形成する第1p型コンタクト形成工程と、
 前記第1のp型コンタクト層の直上に、Al yGa 1-yN(0≦y≦0.1)からなる第2のp型コンタクト層を形成する第2p型コンタクト形成工程と、
を有し、
 前記第1p型コンタクト形成工程は、窒素を主成分とするキャリアガスを用いて行い、
 前記第2p型コンタクト形成工程は、水素を主成分とするキャリアガスを用いて行うことを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[請求項7]
 前記第1のp型コンタクト層の厚みは前記第2のp型コンタクト層の厚みよりも小さい、請求項6に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[請求項8]
 前記第1のp型コンタクト層の厚みは5nm以上30nm以下である、請求項6または7に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[請求項9]
 前記障壁層はAl bGa 1-bN(0.4≦b≦0.95)であり、前記電子ブロック層はAl zGa 1-zN(b<z≦1)である、請求項6~8のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[請求項10]
 前記発光層から放射される光が、中心波長が300nm以下の深紫外光である、請求項6~9のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[請求項11]
 前記電子ブロック層形成工程は、水素を主成分とするキャリアガスを用いて行い、前記電子ブロック層形成工程後に、有機金属ガスを流さないで窒素を主成分とするキャリアガスを流す工程を含む、請求項6~10のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]