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1. WO2008001737 - cellule d'écoulement et son processus de fabrication

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[ JA ]
明 細書

フローセルおよびその製造方法

技術分野

[0001] 本発明は、マイクロ TAS、 Lab-on-a-chip,マイクロコンビナトリアルケミストリ、化学 I C、化学センサ、バイオセンサ、微量分析、電気化学分析、クロマトグラフィ、 QCM測 定、 SPR測定、および ATR測定等の、微量溶液をハンドリングする分野において利 用されるフローセルに関する。より詳しくは、サンプル非親和性基板上に内部がサン プル親和性の多孔質部材を配置し、ポンプなど外部からの送液のための部品が不 要なフローセルに関する。また、本発明は、上蓋をさらに有するフローセルに関する。 本発明は、上記フローセルの製造方法に関する。

背景技術

[0002] 上記の各分野では、微量溶液サンプノレを移送することが必要な場合がある。また該 移送により、各分野における所望の結果を得るための効率、感度および処理能力が 飛躍的に増大することがある。微量溶液サンプノレの移送を実現する手段としては、基 板上に形成した微細な流路を用いることを前提に外部からの圧力でサンプルを移送 させる方法、静電気力で移送させる方法、エレクトロウエツティングによる方法、加熱 による体積変化または気泡の生成を利用する方法、および電気浸透流による方法等 を利用する手段が知られている。

[0003] し力、しながら、これらの手段により微量溶液サンプルを移送するには、微細加工技 術を利用して、基板上に微細な溝を形成すること、および/または電極およびヒータ 一などの構成部品を配設することが必要であった。また、流路形成には基板同士の 接着が必要であった。さらに、外部からの圧力でサンプルを移送する場合には、ボン プおよび配管などの付随的な部品が必要となるば力ではなぐいわゆるデッドボリュ ームが大きくなり、サンプルの微量化を実現するための、測定システム等の小型化に は限界があった。

[0004] 一方、微量溶液サンプルを分析する方法として、水溶液がろ紙へ滲み込む効果を 利用したペーパークロマトグラフィーが従来から知られている。生物関連物質の簡便

かつ安価な検出手段としては、ィムノクロマト法が開発および改良されてきている(例 えば、特許文献 1参照)。また、プラステイクの流路にろ紙を配設した測定チップも類 似技術として開示されている (例えば、非特許文献 1参照)。

[0005] 特許文献 1 :特公平 07— 36017号公報

特許文献 2 :特開 2001— 89134号公報

特許文献 3:特開 2004— 250290号公報

非特許文献 1 :J-E. Kim他, Anal. Chem" 2005, 77, 7901-7907

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0006] し力、しながら、このように、プラスチック等の流路中に加工したろ紙を配設する測定 チップにおいては、プラスチック等にろ紙が接触した場合に、接触した部分に溶液が 流れてしまい、ろ紙の内部を流れて送液したことにはならないおそれがある。また、ろ 紙の加工においても、微細化は限界に達してきている。このように、ろ紙の配設に起 因する問題、および上記微細化についての限界の観点から、流路の形状および機 能には制限があり、前述の測定チップにおいて溶液を自由にハンドリングすることは 困難である。また、ろ紙の加工および配設によって得られる測定チップは、ろ紙と基 板との密着性が悪ぐ SPR (表面プラズモン共鳴)測定において利用することはでき なかった。このため、ろ紙による方法は、複雑な化学分析または合成などを行うには、 必ずしも十分なものではなかった。

[0007] 上述のように、微細加工による溝形成および電極等の構成部品の形成は、大掛か りな設備投資が必要となり、作製コストが大幅に上昇する。このため、これらの形成は 、医療および民生用途などの一回限りの使用を想定する分野においては、そのよう な微細加工を必要とする製品の実用化が困難であった。また、微量溶液サンプルを 移送させるために必要なポンプ、電源等の外部構成品が必要な場合には、測定シス テムとしての大きさおよび重量が増大する。このため、測定システムを所望の場所に 移動して簡易に測定を行う場合 (いわゆるその場測定)にそのようなシステムを応用 することはコスト的に困難であった。さらに、基板上で微量溶液サンプノレを移送させる 構成を低コストで簡便に実現することは重要である。カロえて、溶液サンプルを自由に ハンドリングして、複雑な化学分析または合成などを実現することも望まれてレ、る。

[0008] 以上のように、基板への微細加工技術による溝および電極などの構成部品の形成 を不要とし、ポンプ等の付随的な部品を必要とせず、し力も溶液サンプノレを自由にハ ンドリングして複雑な化学分析または合成などを実現することができる、フローセル等 に対する要求が存在する。

[0009] 従って、本発明の目的は、基板への溝形成および電極等の構成部品の形成が不 要であるとともに、ポンプ等の付随的な部品を必要とせず、しかも複雑な化学分析お よび合成などを実現可能な種々のフローセルを提供することである。特に、 SPR測定 に用いるフローセルにあっては、エバネッセント波の存在領域において分子認識材 料を三次元的に固定することができる構造を提供することが本発明のさらなる目的で ある。また、本発明の別の目的は、このようなフローセルの製造方法を提供することで ある。

課題を解決するための手段

[0010] 本発明のフローセルは、サンプル非親和性基板と、該サンプル非親和性基板上に 設けられた多孔質部材の流路とを含むフローセルであって、前記多孔質部材は、網 目構造である外気非接触領域と、前記外気非接触領域を覆い、前記外気非接触領 域よりも孔密度が低い外気接触領域とからなり、前記多孔質部材内に生ずる毛細管 力が送液の駆動力となることを特徴とする。ここで、前記外気非接触領域は、前記外 気接触領域よりも高いサンプル親和性を有してもよい。前記多孔質部材はセルロー ス類で形成することができる。また、前記多孔質部材が、微粒子をさらに含んでもよい

[0011] 本発明の変形例のフローセルにおいて、前記多孔質部材の外気接触領域の少な くとも一部が剥離されていてもよい。あるいはまた、前記多孔質部材の少なくとも一部 、前記サンプル非親和性基板表面に形成されたドレインとして作用するサンプノレ 親和性領域と連通されてレヽてもよレヽ。

[0012] 本発明のさらなる変形例のフローセルにおいて、前記多孔質部材上に、微小間隙 を介して、配置される第 2のサンプノレ非親和性基板を配置してなるさらに含んでもよ レ、。ここで前記微小間隙の幅が 10〜: 100 /i mの範囲内であることが望ましい。さらに 、前記第 2のサンプル非親和性基板が、前記多孔質部材と対向して配置される段差 部を含んでもよい。

[0013] 上記のフローセルにおいて、前記サンプノレ非親和性基板を透明とし、および前記 サンプノレ非親和性基板と前記多孔質部材との間に金属薄膜をさらに設けて、 SPR測 定に適した構造としてもよい。この際に、多孔質部材が、含水状態において、 SPR測 定に用いるプリズムの屈折率よりも低い平均屈折率を有することが望ましい。

[0014] 本発明のフローセルの製造方法は、

(a) 高揮発性良溶媒と低揮発性貧溶媒との溶媒混合物中に多孔質材料を溶解さ せた塗布溶液を調製する工程と、

(b) 塗布溶液をサンプル非親和性基板上に塗布する工程と、

(c) セルロース類を溶媒に溶かした溶液を塗布し、次いで前記溶媒混合物を蒸発さ せて、網目構造である外気非接触領域と、前記外気非接触領域を覆い、前記外気 非接触領域よりも孔密度が低い外気接触領域とからなる多孔質部材を形成する工程 と

を含むことを特徴とする。ここで、前記多孔質材料がセルロース類であってもよい。ま た、工程 (b)は、(1)分注装置による描画、または(2)前記サンプノレ非親和性基板上 に、所望形状のスクリーンマスクまたはシール部材を設置して、前記スクリーンマスク またはシール部材の開口部に前記塗布溶液を塗布することによって実施してもよレ、。 あるいはまた、工程(a)において、微粒子を含む第 1の塗布溶液と、微粒子を含まな い第 2の塗布溶液とを調製し、工程 (b)において前記第 1および第 2の塗布溶液を別 個に同時塗布することによって複数の部分からなる多孔質部材を形成してもよい。

[0015] 本発明のフローセルの製造方法の変形例は、(d)前記多孔質部材中のサンプル移 送速度を調整する工程をさらに含んでもよい。工程(d)は、金型による押圧、封止材 料の塗布、溶剤蒸気に対する曝露、または界面活性剤の滴下によって実施すること ができる。

[0016] 本発明のフローセルの製造方法の別の変形例は、 (e)多孔質部材の外気接触領 域の一部を剥離する工程をさらに含んでもよい。工程 (e)は、粘着テープによる剥離 、あるいは反応性イオンエッチングによって実施することができる。

[0017] 本発明のフローセルの製造方法のさらなる変形例は、(f)多孔質部材の上に、微小 間隙を介して第 2のサンプノレ非親和性基板を配置する工程をさらに含んでもよい。こ こで、前記微小間隙の幅が 10〜: 100 /i mの範囲内であることが望ましレ、。さらに、前 記第 2のサンプル非親和性基板が、前記多孔質部材と対向して配置される段差部を 含んでもよい。

発明の効果

[0018] 本発明のフローセルは、以上のような構成を採ることにより、以下のような効果を奏 する。

(1)多孔質部材の毛細管力を送液の駆動力とするため、基板への微細加工技術に よる溝形成および電極等の構成部品の形成が不要であり、ポンプ等の付随的な部品 も必要としない。

(2)多孔質部材の形状を適宜設定することにより、溶液サンプルを自由にハンドリン グして複雑な化学分析 (SPR測定など)または合成などを実現することができる。 図面の簡単な説明

[0019] [図 1A]図 1Aは、本発明の実施形態 1のフローセルの平面図である。

[図 1B]図 1Bは、本発明の実施形態 1のフローセルの断面図である。

[図 1C]図 1Cは、本発明の実施形態 1のフローセルの製造方法の例を示す図である

[図 2A]図 2Aは、本発明の実施形態 2のフローセルの断面図である。

[図 2B]図 2Bは、本発明の実施形態 2のフローセルの上面図である。

[図 3]図 3は、例 3で得られた高密度多孔質膜の電子顕微鏡写真を示す図である。

[図 4]図 4は、例 3で得られた低密度多孔質膜の電子顕微鏡写真を示す図である。

[図 5A]図 5Aは、本発明の実施形態 3のパターンユング後のフローセルを示す平面 図である。

[図 5B]図 5Bは、本発明の実施形態 3のフローセルの製造方法において、パターニン グに用いるスクリーンマスクを示す平面図である。

[図 5C]図 5Cは、本発明の実施形態 3のフローセルの製造方法において、パターン二 ング時のサンプル非親和性基板とスクリーンマスクとの積層状態でのスキージによる

膜材料の塗布を示す図である。

[図 6A]図 6Aは、本発明の実施形態 4のフローセルを示す平面図である。

[図 6B]図 6Bは、本発明の実施形態 4のフローセルの多孔質部材の構造を示す概略 図である。

[図 7A]図 7Aは、本発明の実施形態 5のフローセルの平面図である。

[図 7B]図 7Bは、本発明の実施形態 5のフローセルの製造方法を示す図である。 園 7C]図 7Cは、本発明の実施形態 5のフローセルの製造方法に用いられる容器の 底面図である。

園 8]図 8は、本発明の実施形態 6のフローセルを示す平面図である。

園 9A]図 9Aは、本発明の実施形態 7のフローセルの製造方法の一例を示す図であ る。

[図 9B]図 9Bは、本発明の実施形態 7のフローセルの製造方法の一例を示す図であ る。

園 9C]図 9Cは、本発明の実施形態 7のフローセルの製造方法の一例を示す図であ る。

園 10A]図 10Aは、本発明の実施形態 8のフローセルの製造方法の一例を示す図で ある。

園 10B]図 10Bは、本発明の実施形態 8のフローセルの製造方法の一例を示す図で ある。

園 11A]図 11Aは、本発明の実施形態 9のフローセルの製造方法に用いられる加工 前のフローセルを示す平面図である。

[図 11B]図 11Bは、本発明の実施形態 9のフローセルの製造方法に用いられるシャド 一マスクを示す平面図である。

園 11C]図 11Cは、本発明の実施形態 9の製造方法により得られるフローセルを示す 平面図である。

園 11D]図 11Dは、本発明の実施形態 9の製造方法により得られるフローセルの、図 11Cの切断線 XID—XIDに沿った断面図である。

[図 12A]図 12Aは、本発明の実施形態 10において用いられるフローセルの平面図で ある。

[図 12B]図 12Bは、本発明の実施形態 10において用いられる第 2のサンプル非親和 性基板の底面図である。

[図 12C]図 12Cは、本発明の実施形態 10の上蓋付フローセルの断面図である。

[図 12D]図 12Dは、図 12Cの領域 XIIDの拡大断面図である。

[図 12E]図 12Eは、図 12Cの領域 ΧΠΕの拡大断面図である。

符号の説明

[0020] 10 フローセノレ

12 サンプル非親和性基板

14 多孔質部材

14a 外気非接触領域

14b 外気接触領域

18 多孔質材料溶液

20 シリンジ

22 線状パターン

24 サンプル滴下領域

発明を実施するための最良の形態

[0021] 以下、図面を参照しながら、本発明のフローセルおよびその製造方法を詳細に説 明する。

[0022] (実施形態 1)

図 1Aは本実施形態のフローセルの上面図であり、図 1Bは本実施形態のフローセ ルの断面図であり、および図 1Cは本発明のフローセルの製造方法を説明する図で ある。図 1Aおよび図 1Bに示すように、本発明のフローセル 10は、サンプル非親和性 基板 12と、基板 12上に設けられた多孔質部材 14とから構成されている。多孔質部 材 14は、外気非接触領域 14aと、外気非接触領域 14aを覆い、外気非接触領域 14 aよりも孔密度が低い外気接触領域 14bとから構成される。外気非接触領域 14aは、 網目構造を有し、よりサンプル親和性が高い領域である。外気接触領域 14bは、外 気非接触領域 14aよりもサンプル非親和性の領域である。これら両領域 14a, 14bに より、全体として網目構造の流路が形成されている。本発明における用語「孔密度」と は、網目構造内の所定領域における孔の存在する割合を意味し、例えば、孔密度が 高い状態とは、網目構造を構成する網目要素の存在する割合が少ない状態をいう。

[0023] このような構成の下、フローセノレ 10は、多孔質部材 14内に生ずる毛細管力を送液 の駆動力とする。その駆動原理は以下のとおりである。すなわち、フローセル 10の多 孔質部材 14の一端に微量溶液サンプノレを滴下する際、当該サンプルは、サンプノレ 非親和性基板 12およびサンプル非親和性の外気接触領域 14bに対する当該サン プノレの表面張力の差のため、液滴としてその場に留まる。したがって、サンプルはサ ンプル非親和性基板 12上に展開することはなぐ多孔質部材 14の外気接触領域 14 bを通してその内部に浸透する。次いで、外気接触領域 14bを通して外気非接触領 域 14aに到達したサンプルは、サンプル親和性の外気非接触領域 14aの網目構造 による毛細管現象により、徐々に拡散、浸透する。ここで、外気接触領域 14bに均質 に形成された多数の微細孔がガス抜き孔として作用するため、サンプノレが外気非接 触領域 14aに到達した後に多孔質部材 14の内部圧力が上昇することはない。したが つて、サンプノレは多孔質部材 14の反対側まで何の障害も無く到達することができる。 なお、外気接触領域 14bの側面部分に微細孔があっても、基板 12がサンプノレ非親 和性であるため、サンプノレ非親和性基板 12上にはサンプノレが漏れ出すことはない。

[0024] 上記した各構成要素について説明する。サンプノレ非親和性基板 12としては、ガラ ス、プラスチック、金属、半導体等、およびそれらの表面を化学修飾等によりサンプル 非親和性化処理した基板等を用いることができる。すなわち、水性のサンプノレを用い る場合にはサンプル非親和性基板 12は疎水性であり、非水性のサンプルを用いる 場合にはサンプノレ非親和性基板 12は親水性である。また、製造上の観点から、優れ た平面性および耐溶媒性を有する基板を用いることが好ましい。

[0025] 内部にサンプル親和性領域を有する多孔質部材 14としては、セルロース類、多孔 質ガラス、ゼォライト等の部材を用いることができ、製造コストの観点からは、特に、セ ルロース類を用いることが好ましレ、。上記セルロース類としてはニトロセルロース、セ ノレロースアセテート、メチルセルロース等を用いることができ、サンプル非親和性基板 12との密着性および孔密度を考慮して、所望の構造が得られる材料を選択する必

要がある。ここで、多孔質部材 14は、外気非接触領域 14aと、外気接触領域 14bとか らなる。また、外気非接触領域 14aは、外気接触領域 14bよりも高いサンプル親和性 を有することが望ましい。本発明において、両領域 14a、 bの「サンプル親和性」およ び「サンプノレ非親和性」とは、両領域 14a、 14bの相対的なサンプル親和性ほたは サンプノレ非親和性)の程度を意味する。即ち、セルロース類を用いた多孔質部材 14 においては、外気非接触領域 14aでは、親水性の

[0026] ( ΐ ϊο ) 面

[0027] が優先的に存在し、外気接触領域 14bでは疎水性の(110)面が優先的に存在す る。

[0028] 次に、本実施形態のフローセルの製造方法について説明する。このようなフローセ ル 10を製造するには、まず、例えば、ガラス材料に金の薄膜を形成し、次いでサンプ ル非親和性処理を施し、サンプル非親和性基板 12を用意する。次に、セルロース類 に対して、より高揮発性の良溶媒 (例えば、ケトン類)とより低揮発性の貧溶媒 (例え ば、アルコール類または水)とを所定の割合で混合した混合溶媒をカ卩えて、多孔質材 料溶液 18を用意する。次いで、この溶液 18を、図 1Cに示すようなシリンジ 20などの 分注手段に収容し、溶液 18を吐出させながら、シリンジ 20を矢印の方向に移動させ て、線状パターン 22を描画塗布する。また、多孔質ガラスを用いる場合、ガラス材料 粒子とバインダーとの混合物の塗布および焼成を反復し、その際にガラス材料の粒 子を順次細かくしてレ、くことによって、多孔質部材 14を形成することができる。また、 ゼォライトを用いる場合、たとえば、電気泳動堆積法を用いてサンプル非親和性基板 12上に膜を形成し、引き続いて水熱処理などによる緻密化を行うことによって多孔質 部材 14を形成することができる(特許文献 2参照)。あるいはまた、原料成分が連続 的に供給される希薄溶液中での緩やかな膜形成方法を用いて、ゼォライトからなる 多孔質部材 14を形成することができる(特許文献 3参照)。

[0029] さらに、サンプル非親和性基板 12に形成された線状パターン 22を、室温の大気中 に放置し、パターン 22中の溶媒成分を蒸発させる。この蒸発工程時において、当初 透明であった線状パターン 22が徐々に白濁し、多孔質部材 14が形成され、フローセ ノレ 10が得られる。また、蒸発工程時における 2つの溶媒成分の蒸発挙動の相違によ り、外気非接触領域 14aと外気接触領域 14bとは、異なる孔密度を有する。ここで、 線状パターン 22全体にわたって均一(例えば、等方的)に溶媒成分を蒸発させて、 外気接触領域 14bの厚みに大きな局所的な差が出ないようにすることが好ましい。

[0030] この蒸発挙動の相違により異なる孔密度の領域が形成される原理は、以下のとおり である。すなわち、蒸発の初期過程においては、蒸発速度の高い良溶媒が主に蒸発 し、蒸発速度の低い貧溶媒が残存する。そのため、線状パターン 22の内部では網目 構造が形成される。一方、線状パターン 22の外気に触れる部分では、内部から蒸発 する良溶媒が通過していくためセルロース類は溶解している状態である。この際に、 外気に触れる部分では貧溶媒も蒸発しているため、貧溶媒の割合が低下する。内部 力 の良溶媒の蒸発が終了した後には、外気に触れる部分でも蒸発が起きるが、貧 溶媒の割合が低下しているため網目が緻密になる。このようにして、孔密度の低い外 気接触領域 14bが形成される。蒸発の最終過程では貧溶媒が蒸発し、空気と入れ替 わる。空気と網目要素との大きな屈折率差のため、多孔質部材 14は、光の散乱によ り白濁した外観を有する。

[0031] (例 1)

本発明者らは、実際に、図 1に示すフローセル 10を作製し、微量溶液サンプルの 移送速度について調査した。すなわち、サンプル非親和性基板 12上に、長さ lcm、 幅 lmmの多孔質部材 14を形成し、図 1 Aに示した多孔質部材 14の一端の領域 24 に、色素(赤色 102号 (共立食品株式会社製))入りのサンプノレ水溶液を 5マイクロリツ トル滴下した。該水溶液は当初液滴として留まっていたが、直ちに多孔質部材 14中 に浸透してレ、き、 4分後には多孔質部材 14の反対側の端部まで到達した。

[0032] この滴下においては、サンプノレ水溶液が反対側に到達するまで、多孔質部材 14の 側面からのサンプノレ水溶液のサンプル非親和性基板 12への滲み出しは皆無であつ た。以上のように、移送速度が約 2. 5mm/分のポンプ不要のフローセルを好適に 作製することができた。

[0033] (実施形態 2)

本実施形態は、表面プラズモン共鳴(SPR)測定に適したフローセルに関する。図 2Aに、本実施形態のフローセルの構成例の断面図を示し、図 2Bに本実施形態のフ

ローセルの構成例の上面図を示す。本実施形態のフローセルは、サンプル非親和 性基板 12が透明である点、およびサンプル非親和性基板 12と多孔質部材 14との間 に金属薄膜 13が設けられてレ、る点を除レ、て、実施形態 1と類似してレ、る。

[0034] 本発明において、「透明」なサンプル非親和性基板 12とは、測定に用いる励起光( 入射光)および反射光の波長において透明である基板を意味する。本実施形態のサ ンプル非親和性基板 12は、実施形態 1に記載の材料のうち、透明な材料 (たとえば、 ガラスなど)を用いて形成することができる。

[0035] 金属薄膜 13は、金属表面に存在する表面プラズモンを励起させるための金属製の 薄膜である。金属薄膜 13は、金、銀、銅などの金属を用いて作製することができる。 また、多孔質部材 14中のエバネッセント波と表面プラズモンとを効率よく結合させる ため、 40〜50nm程度の膜厚を有することが望ましい。金属薄膜 13は、蒸着、スパッ タ、イオンプレーティング、レーザーアブレーシヨンなどの当該技術において知られて レ、る任意の方法を用いて形成することができる。

[0036] 多孔質部材 14は、実施形態 1に記載の材料および方法を用いて形成することがで きる。本実施形態においても、多孔質部材 14は、外気非接触領域 14aと、外気非接 触領域 14aを覆い、外気非接触領域 14aよりも孔密度が低い外気接触領域 14bとか ら構成される。本実施形態において、多孔質部材 14はセルロース類を用いて作製す ることが望ましい。本実施形態の多孔質部材 14は、含水状態において、表面プラズ モン共鳴測定に用いるプリズムの屈折率よりも低い平均屈折率を有することが望まし レ、。そのような範囲内の屈折率を有することによって、エバネッセント波の励起条件を 満たすという利点が得られる。なお、本明細書における「平均屈折率」とは、微細構造 (細孔など)を有する膜を均一の構造を有する膜であると仮定して測定した屈折率を 意味する。また、本明細書における「含水状態」とは、多孔性膜に対して純水を含浸 させ平衡に達した状態を意味する。

[0037] 多孔質部材 14の形成前に金属薄膜 13の上にシール部材 15 (図 2Aおよび図 2B 参照)を配設して、多孔質部材 14の形成位置および形状を画定してもよい。シール 部材 15を用いることによって、多孔質部材 14の形成にスピンコート法などの塗布法 を用いることができる。シール部材 15を形成するための材料としては、パターユング 可能な材料を用いることができ、そのような材料は、たとえばフォトレジストなどの高分 子材料、または SiO 2、 Al 2〇 3、 Si 3 N 4、 A1Nなどの無機酸化物あるいは窒化物、金属

、半導体などを含む。シール部材 15の形成は、当該技術において知られている任意 の方法を用いて実施することができる。

[0038] 以上のようにして形成される多孔質部材の細孔は、抗体、酵素、および核酸 (オリゴ ヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含む)などの分子認識材料をエバネッセント波の存 在領域に三次元的に固定化するのに適当な構造を提供する。それら分子認識材料 は、セルロース誘導体の表面に物理的に吸着してもよいし、あるいは、セルロース類 の表面の官能基(ヒドロキシル基など)と反応する官能基を用いてセルロース類の表 面に化学的に結合してもよい。

[0039] セルロース類を含む塗布溶液の配合比率などを変化させることにより、多孔質部材

14 (特に外気非接触領域 14a)内の細孔の大きさを 1 μ m以下から約 10 μ m程度ま で変化させることができる。また、セルロース類を含む塗布溶液の配合比率に加えて 、塗布条件および溶媒の蒸発条件などを変化させることによって、約 500nm〜約 10 β mまでの範囲内で変動する膜厚を有する多孔質部材 14を得ることができる。このこ とによって、種々の分子認識材料を固定化するのに最適な多孔質部材 14を得ること ができ、多様な種類の測定対象分子の測定に有用なフローセルを得ることができる。

[0040] また、本明細書に記載の他の実施形態のフローセルも、透明なサンプル非親和性 基板を用いること、およびサンプル非親和性基板と多孔質部材との間に金属薄膜を さらに設けることによって、 SPR測定に適したフローセルとすることができる。

[0041] (例 2)

ガラス基板 12の上に、真空蒸着法を用いて膜厚 50nmの金薄膜 13を形成した。次 いで、金薄膜 13を覆い、所望の形状の開口部を有するシール部材 15をフォトレジス トを用いて形成した。次に、アセトン Zエタノール混合溶媒中のセルロースアセテート 溶液を滴下するスピンコート法を用いて、該開口部に試料導入部 17a、流路 17b (長 さ 1 cm X幅 2mm X膜厚: 1 μ m)および試料排出部 17 cから構成される多孔質部材 1 4を形成して、図 2Aおよび図 2Bに示すようなセンサ基板を得た。

[0042] 得られたセンサ基板の試料導入部 17aに対して、純水、リン酸緩衝液 (PBS)、 PB

Sと抗体または抗原の混合溶液などの液体試料を滴下したところ、液体試料は流路 1 7bを通って試料排出部 17cへと円滑に送液された。また、得られたセンサ基板の多 孔質部材 14は、屈折率 1. 51のプリズムを用いる SPR測定に適当である、含水状態 の平均屈折率を有した。

[0043] (例 3)

膜厚 50nmの金薄膜を形成したガラス基板上に、アセトン Zイソプロパノール (IPA )混合溶媒中のニトロセルロース溶液(ニトロセルロース含量約 9. 2重量%)を滴下す るスピンコート法を用いて多孔質部材を形成した。その結果、図 3に示すような単位 体積当たりの細孔数が多ぐ分子認識材料に対してより多くの固定部位を提供するこ とができる多孔質部材が得られた。

[0044] 一方、別のアセトン ZIPA混合溶媒中のニトロセルロース溶液(ニトロセルロース含 量約 7. 8重量%)用いたことを除いて、同様の条件のスピンコート法を用いて多孔質 部材を形成した。その結果、図 4に示すような単位体積当たりの細孔数が少ないが、 細孔のサイズが大きぐより大きなサイズの分子認識材料の固定に適した多孔質部材 が得られた。

[0045] 以上のように、使用するセルロース誘導体の溶液の配合を変化させることによって、 所望の適性を有する多孔質部材を作り分けることができることが明らかとなった。

[0046] (例 4)

膜厚 50nmの金薄膜を形成したガラス基板上に、アセトン/イソプロパノール混合 溶媒中のニトロセルロース溶液を滴下し、 lOOOrpmで 10秒間、続いて 4000i"pmで 60秒間の条件のスピンコート法を用いて多孔質部材を形成した。得られた多孔質部 材は 1. 3 x mの膜厚を有した。

[0047] 一方、同様の基板および溶液を用レ、、スピンコート法の条件を lOOOrpmで 10秒間 、続いて 8000rpmで 60秒間に変更して多孔性膜を形成した。得られた多孔質部材 は 500nmの膜厚を有した。

[0048] 以上のように、使用するスピンコート法の条件を変化させることによって、所望の膜 厚を有する多孔質部材を形成できることが明らかとなった。

[0049] (実施形態 3)

本実施形態は、スクリーン印刷を使用した本発明のフローセルの製造方法の改良 型に関する。図 5Aはパターニング後のフローセルを示す平面図、図 5Bはパター二 ングに用いるスクリーンマスクを示す平面図、および図 5Cはパターニング時のサンプ ル非親和性基板とスクリーンマスクとの積層状態での、スキージによる膜材料の塗布 態様を示す側面図である。なお、図 5B中の斜線および図 5Cの点線は、スクリーンの 網目を示す。

[0050] 実施形態 1 (図 1C)のような描画方法では、パターンは描画された部分力順に、 継続的に実施される描画中に溶媒が蒸発する。このような状況では、例えば合流流 路または分岐流路のような比較的複雑なパターンを描画する場合には、合流部およ び分岐部の付近を描画するに際し、再度同じ場所およびその近辺を塗布しなければ ならない。このため、所望されるパターン全体を通した連続的な描画が実現されず、 全体として網目構造が不連続な多孔質部材が形成される恐れがある。このように、網 目構造が不連続な多孔質部材を含むフローセルは、液体サンプルの移送速度を予 測することが困難なため、所定の流路として使用するには不適である。

[0051] このような欠点を克服すベぐ本実施形態の方法によれば、図 5Cに示すように、サ ンプル非親和性基板 32上にスクリーンマスク 34を積層し、次レ、で多孔質部材の材料 を含む溶液 36をスクリーンマスク 34上に準備して、スキージ 38を例えば矢印の方向 に移動させて、パターンを塗布する。このような方法によれば、たとえば図 5Aに示す ように、連続的な網目構造を有する多孔質部材からなる合流流路 40aを有するフロ 一セル 40を得ることができる。

[0052] 本実施形態においては、メッシュ 120、メッシュ 230 (太陽精機株式会社製)に対し て流路パターンを転写することによって、スクリーンマスク 34を作製することができる。 メッシュ 120は、セルロース類を高濃度で溶解させた粘度の高い溶液を用いて線幅 1 mm程度の多孔質部材 (流路)を作製する場合に好適である。また、メッシュ 230は、 セルロース類を低濃度で溶解させた粘度の低レ、溶液を用いて線幅 0. 5mm程度の 多孔質部材 (流路)を作製する場合に好適である。さらに、スキージ 38の移動速度は 、特に限定するものではなぐ上記多孔質部材の網目構造を連続的なものとし、しか も、その網目構造を均質にすることができれば、レ、かなる速度を採用することもできる [0053] 本実施形態の製造方法によれば、例えば合流流路または分岐流路のような複雑な パターンを塗布する場合においても、所望のパターンを連続的に塗布することができ る。これにより、所望パターン形状内において、溶媒の蒸発が同時に起こる。したがつ て、所望パターン全体として連続的な多孔質部材を含む、所定の流路が精度高く形 成されたフローセルを得ることができる。

[0054] (実施形態 4)

図 6Aは、実施形態 1のフローセルの改良型の一例を示す平面図である。本実施形 態においては、良溶媒と貧溶媒とを所定割合で混合した混合溶媒によりセルロース 類を溶解した溶液に、微粒子を混合して、その懸濁液を分注手段(図 1Cに示すシリ ンジなど)に収容した。次いで、実施形態 1と同様の方法で、線状パターンを描画し、 その後乾燥させた。なお、本実施形態において、実施形態 2に示したシール部材を 伴うスピンコート法、または実施形態 3に示したスクリーン印刷法を使用して、多孔質 部材を形成してもよい。

[0055] 本実施形態にぉレ、て、微粒子は、ガラス、ゼォライトなどの無機材料、および均一 な粒径を有するプラスチック材料などを用いることができる。本実施形態においては、 無機多孔質粉末としては、溶液サンプルの吸収力、およびセルロース網目構造との 密着性の観点から、微粒子として、多数の微細孔を有する無機多孔質粉末 58を用 レ、ることが好ましい。本実施形態において用いることができる無機多孔質粉末 58は、 バイコーノレガラス、ゼォライト、メソポーラスシリカなどを含む。

[0056] このような方法によって形成されたフローセル 50は、図 6Aに示すように、サンプノレ 非親和性基板 52上に多孔質部材 54が形成されており、この多孔質部材 54は、実施 形態 1で説明したように、網目構造の外気非接触領域 54aと、外気非接触領域 54a を覆う外気接触領域 54bとから形成されている。また、本形態では、多孔質部材 54は 、図 6Bに示すように、網目構造を構成する網目要素 (スケルトン) 56と無機多孔質微 粉末 58とからなり、同部分に示すように、微粉末 58は不規則に網目要素 56中に分 散されている。

[0057] (例 5)

本発明者らは、実際に、図 6Aに示すフローセルを作製し、微量溶液サンプルの移 送速度について調査した。すなわち、サンプル非親和性基板 52上に、長さ lcm、幅 lmmの無機多孔質微粉末 58入りの多孔質部材 54を形成した。次に、該部材 54の 一端に、色素 (赤色 102号 (共立食品株式会社製))入りの水溶液を 5マイクロリットル 滴下した。該水溶液は当初液滴として留まっていた力その後多孔質部材 54中に浸 透していき、 30秒後には反対側の端部まで到達した。

[0058] この際の微量溶液サンプルの移送速度は 20mm/分であり、例 1のフローセルの 移送速度より大きかった。このサンプルの移送速度の増大は、多孔質部材 54が無機 多孔質微粉末 58がセルロースからなる網目要素 56中に入り込んだ構造となった結 果、実施形態 1の多孔質部材に比べて吸水力が向上したためである。このように、実 施形態 3においては、移送速度が約 20mmZ分のポンプ不要のフローセルを好適 に作製することができた。

[0059] (実施形態 5)

本実施形態は、実施形態 1のフローセルの改良型の一例およびその製造方法に関 する。図 7Aは該フローセルの平面図であり、図 7Bは該フローセルの製造方法の一 例を示す図である。この例は、図 7Aに示すように、サンプル非親和性基板 62に、実 施形態 1で使用した溶液 (無機多孔質微粉末を含まない多孔質材料溶液)を塗布し た部分 64aと、実施形態 3で使用した溶液 (無機多孔質微粉末を含む多孔質材料溶 液)を塗布した部分 64bとからなる多孔質部材 64を形成したフローセル 60を得る例 である。

[0060] このようなフローセル 60を得るには、図 7Bに示すように、例えば、塗布溶液を 3部 屋 66a〜66cに分割して各部屋をそれぞれ気密封止可能な容器 66を用いる。容器 6 6は、たとえばテフロン (登録商標)を用いて作製することができる。容器 66は、その 底面 74に必要とする流路形状を点描するように複数の微小な開口を有する。また、 容器 66はチューブ 68を介してシリンジ 70などの加圧手段に連結されており、加圧手 段(シリンジ 70)からの空気圧により、サンプル非親和性基板 62上に各溶液 72a、 72 bを塗布する。

[0061] 図 7Cは、各溶液 72a、 72bの塗布を実施するための容器 66の底面 74を示す図で ある。このような塗布を行うことによって、異なる溶液 72a、 72bを用いて部分的に移 送速度の異なる構成要素 64a、 64bを有する多孔質部材 64を好適に形成することが できる。なぜなら、所望する多孔質部材 64の各構成要素 64a、 64bを同時に塗布、 乾燥により形成することができるからである。

[0062] (例 6)

本発明者らは、実際に、図 7Aに示すフローセル 60を作製し、微量溶液サンプルの 移送速度について調査した。すなわち、サンプル非親和性基板 62上に、長さ lcm、 幅 lmmの多孔質部材 64を形成した。この多孔質部材 64は、長手方向において、そ の両端の 1/3ずつの領域を無機多孔質微粉末を含有しない部分であり、その中央 領域を無機多孔質微粉末を含有する部分であった。このようなフローセル 60に対し、 多孔質部材 64の一端に、色素 (赤色 102号 (共立食品株式会社製))入りの水溶液 を 5マイクロリットノレ滴下した。溶液サンプルは、当初液滴として留まっていたが、その 後多孔質部材 64中に浸透していき、 2. 5分後に反対側の端部まで到達した。

[0063] この滴下においては、液滴が反対側に到達するまで、多孔質部材 64の側面からの 溶液サンプノレのサンプル非親和性基板 62への滲み出しは皆無であり、そのサンプ ル移送速度は、 4mm/分であった。この移送速度は、例 1 (実施形態 1)に示すフロ 一セルの場合に比べて高い値である力例 5 (実施形態 3)に示すフローセルの場合 に比べて低い値であった。これは、多孔質部材 64の中央部に部分的に吸水性の高 い無機微粉末を含有させたことによる。したがって、実施形態 1 , 4および 5により、多 孔質部材の一部に吸水性の高い無機微粉末を含有させた部分を介在させ、かつそ の長手方向における長さを適宜変更することにより、多孔質部材の一端力他端まで のサンプル移動時間(すなわちサンプノレ移送速度)を調節すること力 Sできること力 S半 IJ 明した。

[0064] (実施形態 6)

図 8は、実施形態 1のフローセルの改良型の一例を示す平面図である。この例は、 同一の溶液サンプルを用いて、複数の測定または試験を同時に行うために使用する フローセルに関する例である。即ち、図 8に示すフローセル 80は、サンプル非親和性 基板 82上に、 3本の多孑し質部材 84, 86, 88カ形成され、さらにこれら部材 84, 86, 88へ通ずる円筒形のサンプノレのリザーバ 90が形成された構造を有している。

[0065] このタイプのフローセル 80は、リザーバ 90にサンプルを供給したのち、サンプルが 同時に各多孔質部材 84, 86, 88の一端に浸透する。本例では 3つの測定または試 験を同時に行うことを所望しているため、各多孔質部材 84, 86, 88に浸透したサン プルは、その他端に同時に到達することが望まれる。図 8に示す例では、中央に形成 した多孔質部材 86とその両側に形成した多孔質部材 84, 88とは長さが異なるもの である。よって、サンプノレの他端への到達時間を全て同じにするために、比較的長い 多孔質部材 84, 88は、吸水力の高い無機多孔質微粉末を含まない部分 84a、 88a と、該粉末を含む部分 84b、 88bとから形成されており、部分 84b, 88bにおけるサン プノレ移送速度を他の部分 84a、 86、 88aに比して増大するようにしている。

[0066] (実施形態 7)

本実施形態は、実施形態 1により形成されたフローセルを追加の工程によってさら に加工し、多孔質部材の少なくとも一部の孔密度または濡れ性を制御することにより 、サンプノレ移送速度を調整する改良型の製造方法に関する。図 9Aは金型による押 圧を用いる改良型を示し、図 9Bは封止材料の塗布による改良型を示し、図 9Cは溶 媒蒸気に対する曝露による改良型を示す図である。

[0067] 図 9Aに示すフローセルの後加工の例は、図 1Cの方法に従いサンプル非親和性 基板 102上に多孔質部材 104が形成されたフローセル 100の上方から、金型 106に より多孔質部材 104を押圧し、その圧力によって任意の位置の網目構造を圧縮し、 サンプノレ移送速度を調整する例である。このように、金型 106により圧縮された多孔 質部材 104の領域では、圧縮によって多孔質部材の液体流路が小さくなることから、 吸水力が低くなる。このため、図 9Aに示す後加工は、移送速度をより低くする場合に 用いる後加工として有利である。

[0068] 図 9Bに示すフローセルの後加工は、図 1Cの方法に従いサンプル非親和性基板 1 12上に多孔質部材 114が形成されたフローセル 110の上方から、分注手段(例えば シリンジ 116など)により封止材料 118を塗布し、サンプル移送速度を調整する例で ある。ここで、封止材料 118として、パラフィン、紫外線硬化樹脂など、液相から固層 へ容易に変化させることができる材料を用いることが好ましい。このように、封止材料 118が塗布され、乾燥された多孔質部材 114の領域では、サンプノレの蒸発が阻止さ れる効果、ならびに流路が狭くなる効果が奏される。このため、図 9Bに示す後加工を 施したフローセルは、移送速度を低くしてもサンプノレの蒸発が起こりにくいため、長時 間の測定を完遂できるという効果を奏する。

[0069] 図 9Cに示すフローセルは、図 1Cの方法に従いサンプル非親和性基板 122上に多 孔質部材 124が形成されたフローセル 120の多孔質部材 124と対向する側(同図に おいては下方)から、例えば、アセトン等の溶媒蒸気 128に曝露して、サンプル移送 速度を調整する例である。ここで、蒸気源と多孔質部材との間に、たとえばシャドーマ スク 126を配置して、多孔質部材 124の溶媒蒸気 128に曝露される領域 129を画定 すること力 Sできる。溶媒蒸気 128に暴露された領域 129では、外気非接触領域 124a の外側に位置し、該領域 124aよりも孔密度が小さい外気接触領域 124bの孔密度が 小さくなる。なぜなら、領域 129の外気接触領域 124bの材料が溶媒蒸気に溶解し、 再組織化するためである。これによつて領域 129におけるサンプルの蒸発が抑制さ れ、多孔質部材 124の吸水力が低くなる。よって、図 9Cに示す後加工は、移送速度 をより低くする場合に用いる後加工として有利である。

[0070] また、後加工の別法として、図 1に従い形成したフローセルの所定箇所に、界面活 性剤入りの溶液を滴下、浸潰させた後、乾燥して、多孔質部材内部の外気非接触領 域のサンプル親和性をさらに増大させる例を挙げることができる。この例は、多孔質 部材の少なくとも一部の濡れ性を制御することにより、サンプルの吸水力を高め、サ ンプルの移送速度を増大させる例である。界面活性剤としては、 tween20 (GEヘル スケアバイオサイエンス株式会社製)等を用いることができる。たとえば、 0. 05%の t ween20と 99. 95%の水との混合溶液を多孔質部材の所定箇所に滴下し、浸漬、 乾燥させる。このような後加工は、移送速度をより増大させる場合に用いる後加工とし て有利である。

[0071] (実施形態 8)

図 10Aおよび図 10Bは、実施形態 1のフローセルの改良型の一例を示す側面図で あり、図 1 OAは粘着テープによる改良型を示し、図 10Bは反応性イオンエッチング法 (以下、「RIE法」と称する場合がある)による改良型を示す図である。これらの例のい ずれも、実施形態 7と同様に、実施形態 1の方法により形成されたフローセルを後加 ェして、サンプノレ移送速度を調整する例である。

[0072] 図 10Aに示すフローセルは、図 1Cの方法に従いサンプル非親和性基板 132上に 、外気非接触領域 134aと外気接触領域 134bとからなる多孔質部材 134が形成され たフローセル 130の一端の外気接触領域 134bの一部を粘着テープにより剥離し、 サンプノレ移送速度を調整する例である。このような構成のフローセル 130の一端に色 素を含む溶液サンプル 136を滴下すると、実施形態 1の例 1に比べてより短時間でサ ンプルが剥離部分 138に到達した。また、この滴下により、該剥離部分 138にサンプ ルが集中した。これは、外気接触領域 134bの剥離により、サンプルの蒸発速度が増 大したため、当該部分 138に色素が濃縮したことによって確認できた。よって、図 10 Aに示す後加工は、移送速度をより増大させるとともに、流路中の任意の位置に溶液 サンプノレの高濃度領域をパターユングする場合に用いる後加工として有利である。

[0073] 図 10Bに示すフローセルは、図 1Cの方法に従いサンプル非親和性基板 142上に 、外気非接触領域 144aと外気接触領域 144bとからなる多孔質部材 144が形成され たフローセル 140の一端の外気接触領域 144bの一部(同図においては 2箇所)を、 シャドーマスクを用いる RIE法により剥離し、サンプル移送速度を調整する例である。 このような構成のフローセル 140の一端に色素を含む溶液サンプル 146を滴下する と、実施形態 1の例 1に比べてより短時間でサンプルが剥離部分 148, 150に到達し た。また、この滴下により、該剥離部分 148, 150にサンプノレが集中した。これは、当 該剥離部分 148, 150で溶媒の蒸発速度が増大したため、当該部分 148, 150に色 素が濃縮したことによって確認できた。よって、図 10Bに示す後加工は、移送速度を より増大させるとともに、流路中の任意の位置に溶液サンプルの高濃度領域をパター ユングする場合に用いる後加工として有利である。

[0074] (実施形態 9)

図 11A〜Dは、実施形態 1のフローセルの改良型の一例とその製造例を示す図で あり、図 11Aは図 1Cの方法に従い形成されたフローセルの平面図であり、図 11Bは 図 11Aに示すフローセルを後加工するために用いるシャドーマスクの平面図であり、 図 11Cは図 11Aのフローセルを後加工した後の本例のフローセルの平面図であり、 図 11Dは、図 11Cに示すフローセルの切断線 XID— XIDに沿った断面図である。

[0075] この例に示すフローセルの形成方法は以下のとおりである。最初に、実施形態 1に 従レ、、サンプノレ非親和性基板 152上に多孔質部材 154を形成して、図 11Aに示す 線状の多孔質部材 154を有するフローセル 150を得る。次いで、フローセノレ 150上 に図 11Bに示すシャドーマスク 160を積層し、 RIE装置内でのプラズマ処理を施す。 このプラズマ処理により、図 11Cに示すように、プラズマ処理領域において一部が剥 離した多孔質部材 172が形成されるとともに、サンプル非親和性基板の一部 174が サンプル親和性となる。その結果、一部が剥離した多孔質部材 172およびサンプル 親和性化されたサンプノレ非親和性基板の一部 174からなるサンプル親和性部分 17 6が形成されたサンプル非親和性基板 178を含むフローセル 170が得られる。この例 は、サンプル非親和性基板の少なくとも一部の濡れ性を制御することにより、サンプ ル移送速度を調整する例である。

[0076] このフローセル 170は、図 11Dに示すように、サンプル非親和性基板 178上に、外 気非接触領域 154aと外気接触領域 154bとからなる多孔質部材 154が形成されて いる。ここで、一部が剥離した多孔質部材 172およびサンプノレ非親和性基板の一部 174から構成されるサンプル親和性部分 176は、多孔質部材 154と連通されてレ、る。 このような構成のフローセル 170の一端に色素を含有する溶液サンプル 180を滴下 した場合には、サンプノレは同図の左端のサンプル親和性部分 176まで達し、さらに サンプル親和性部分 176に展開する。この際、サンプル親和性部分 176がドレイン( 排出口)の役割を担うため、連続的に送液を行うことができるフローセル 170を得るこ とができる。

[0077] (実施形態 10)

図 12A〜Eは、実施形態 7のフローセルのうち、界面活性剤によるサンプル親和性 化処理を施したフローセルの改良型の一例を示し、図 12Aは該サンプル親和性処 理を施したフローセルの平面図を示し、図 12Bは図 12Aのフローセルと組み合わせ て使用する段差付きサンプル非親和性基板の底面図を示し、図 12Cは図 12Aに示 すフローセルと図 12Bに示す段差付き第 2サンプノレ非親和性基板とを、微小間隙を 介して、段差部 202と多孔質部材 194とが対向するように配置した上蓋付フローセル の側面図を示し、図 12Dは図 12Cに示す領域 XIIDの拡大断面図を示し、図 12Eは 図 12Cに示す領域 ΧΠΕの拡大断面図を示す。

[0078] 図 12Aに示すフローセル 190は、サンプル非親和性基板 192上に多孔質部材 19 4が形成されたものを、例えば、多孔質部材 194についてサンプル親和性化処理し たものである。また、図 12Bに示す第 2サンプル非親和性基板 200には、段差部 202 と、開口形状の溶液サンプル供給部 204が形成されている。第 2サンプノレ非親和性 基板 200は、サンプル非親和性化処理を施したガラス基板などを用いて作製するこ とができる。この第 2サンプノレ非親和性基板 200は、以下に示す上蓋付フローセル 2 10における上蓋の役割を担う部材である。

[0079] 本例の上蓋付フローセル 210は、図 12Cに示すように、フローセノレ 190と第 2サン プノレ非親和性基板 200とを配置するに際し、これらの間に微小間隙 220を形成する 。微小間隙 220の幅(同図の鉛直方向幅)は、毛細管力が働くよう十分に狭くする必 要がある。好ましくは、微小間隙の幅は、 10〜: 100 μ ΐηの範囲内である。図 12Cに示 す上蓋付フローセル 210は、この微小間隙 220の形成により、上述した実施形態:!〜 9の各種フローセルと比較して、以下のような利点を有する。

[0080] 溶液サンプルを図 12Cに示す溶液サンプル供給部 204から供給すると、サンプノレ は多孔質部材 194に到達する。この際、図 12Dに示すように、溶液サンプル 230の 一部が多孔質部材 194中に浸透すると同時に、その他の部分は多孔質部材 194と 第 2サンプノレ非親和性基板 200との間に画成された微小間隙 220内に働く毛細管力 により、同図の左側に向かって移動する。この部分においては、毛細管力により移動 する溶液サンプル 230の量力多孔質部材 194に浸透する溶液サンプル 230の量よ りも多い。

[0081] 次いで、溶液サンプノレが第 2サンプル非親和性基板 200の段差部 202まで到達す ると、図 12Eに示すように、上記毛細管力により移動する溶液サンプル 230の量に比 ベて、多孔質部材 194へ浸透する溶液サンプル 230の量が増大する。カロえて、この 部分においては、段差部 202において、サンプル中の溶媒が蒸発するが、飽和蒸気 圧に達すると第 2サンプノレ非親和性基板 200が蓋の役割をする。このため、サンプノレ 溶液の濃度変化が小さぐ比較的長時間の反応時間を必要とする分析を行うのに有

利である。

[0082] このような構成の上蓋付フローセル 210は、 3本の流路に対応する段差部 202に到 達するまでの領域(図 12Dに示す領域)においては、サンプノレの移動は 3本の流路 においてほぼ同時に比較的高速で達成される。これに対し、図 12Eに示すように段 差部分 202への到達後においては、段差部 202において毛細管力が働かないため 、サンプノレは多孔質部材 194の中を比較的低速で流れるようになる。これは、実施形 態 6と同様の効果を単一の多孔質部材によって実現できたことを意味する。以上のよ うな作用を示す上蓋付フローセルによれば、生体関連物質の検出を行う場合、 1本の 流路をリファレンスとし、他の 2本の流路にそれぞれ異なる抗体を固定化し、リファレン スに対する差を見ることで、高感度な検出を実現することができる。たとえば、それぞ れの流路への異なる種類の抗体の固定化は、スポッティング装置(NanoPlotter(GeSi M社、ドイツ)など)によるスポッティングによって実施することができる。

産業上の利用可能性

[0083] 本発明のフローセルは、マイクロ TAS、 Lab-on-a-chip,マイクロコンビナトリアルケ ミストリ、化学 IC、化学センサ、バイオセンサ、微量分析、電気化学分析、クロマトダラ フィ、 QCM測定、 SPR測定、および ATR測定などの、微量化学物質溶液をハンドリ ングする全ての分野において応用可能である。