Traitement en cours

Veuillez attendre...

Paramétrages

Paramétrages

Aller à Demande

1. WO2016093152 - FILM MULTICOUCHE DE BARRIÈRE CONTRE LES GAZ ET SON PROCÉDÉ DE FABRICATION

Document

明 細 書

発明の名称 ガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006  

発明の効果

0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056  

実施例

0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086  

産業上の利用可能性

0087  

符号の説明

0088  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : ガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、ガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法に関する。
 本願は、2014年12月8日に日本に出願された特願2014-247716号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

[0002]
 食品や医薬品などの包装に用いられるガスバリア性積層フィルムとしては、フィルム基材の少なくとも一方の面に無機蒸着層を積層した無機蒸着フィルムが広く用いられている。
 無機蒸着フィルムとしては、例えば、以下の(1)~(3)が提案されている。
 (1)ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に、無機酸化物から形成され、屈折率が1.51~1.65の薄膜を設けたフィルム(特許文献1)。
 (2)熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、所定のポリウレタン樹脂から形成されるアンカーコート層を設け、該アンカーコート層上に金属及び金属酸化物のうちの少なくともいずれか1つから形成される層を積層したフィルム(特許文献2)。
 (3)プラスチックフィルムの片面に透明蒸着層を形成し、次いで、酸成分がテレフタル酸とイソフタル酸とからなりジオール成分がエチレングリコールとネオペンチルグリコールとからなるポリエステルと無機微粉末とからなる塗工層を設け、該塗工層に印刷加工を施して得られるフィルム(特許文献3)。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 日本国特開平9-123338号公報
特許文献2 : 日本国特開2010-229291号公報
特許文献3 : 日本国特許第4045559号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 しかし、(1)の無機蒸着フィルムは、耐虐待性が低い。そのため、折り曲げ、延伸などにより応力(虐待)を加えると、無機蒸着層が損傷を受けてガスバリア性が損なわれる。
 (2)~(3)の無機蒸着フィルムの耐虐待性は、(1)の無機蒸着フィルムよりは良好である。しかしながら、これらの耐虐待性は十分ではないことがあり、虐待を加えるとガスバリア性が低下し、虐待前のガスバリア性を保持できないおそれがある。
[0005]
 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、優れたガスバリア性を有し、かつ耐虐待性に優れ、折り曲げ、延伸などによりガスバリア性が劣化し難いガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明は、以下の態様を有する。
 本発明の第一態様に係るガスバリア性積層フィルムは、フィルム基材と、無機蒸着層と、ポリ(メタ)アクリル酸の架橋物を含むガスバリア層とを備えるガスバリア性積層フィルムであって、前記架橋物が、次亜リン酸ナトリウム(C)存在下でのアクリル酸系ポリマー(A)と糖質(B)との反応により形成され、前記アクリル酸系ポリマー(A)が、ポリ(メタ)アクリル酸、またはポリ(メタ)アクリル酸のカルボキシ基の0モル%より大きく25モル%以下が亜鉛により中和された部分中和物であり、前記糖質(B)の構造中のグリコシド結合の数が0個以上10個以下であり、前記アクリル酸系ポリマー(A)の未中和部分の固形分に対する前記次亜リン酸ナトリウム(C)の割合が10質量%以上25質量%以下である。
 上記第一態様において、前記無機蒸着層が、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよび酸化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1種から形成されていてもよい。
 上記第一態様に係るガスバリア性積層フィルムは、前記フィルム基材と前記無機蒸着層との間に形成され、0.01μm以上2μm以下の厚みを有するアンカーコート層をさらに備えていてもよい。
 本発明の第二態様に係るガスバリア性積層フィルムの製造方法は、フィルム基材と、無機蒸着層と、ポリ(メタ)アクリル酸の架橋物を含むガスバリア層とを備えるガスバリア性積層フィルムの製造方法であって、フィルム基材の少なくとも一方の面上に無機蒸着層を形成し、前記無機蒸着層上にアクリル酸系ポリマー(A)と糖質(B)と次亜リン酸ナトリウム(C)と溶媒とを含む塗液を塗工し、180℃以上250℃以下の温度で300秒以下の熱処理を行ってガスバリア層を形成し、前記アクリル酸系ポリマー(A)が、ポリ(メタ)アクリル酸、またはポリ(メタ)アクリル酸のカルボキシ基の0モル%より大きく25モル%以下が亜鉛により中和された部分中和物であり、前記糖質(B)の構造中のグリコシド結合の数が0個以上10個以下であり、前記アクリル酸系ポリマー(A)の未中和部分の固形分に対する前記次亜リン酸ナトリウム(C)の割合が10質量%以上25質量%以下である。
 上記第二態様において、前記フィルム基材の一方の面上に前記無機蒸着層を形成する前に、前記フィルム基材の前記一方の面上にアンカーコート層を形成し、前記アンカーコート層上に前記無機蒸着層を形成してもよい。

発明の効果

[0007]
 本発明の上記態様によれば、優れたガスバリア性を有し、かつ耐虐待性に優れ、折り曲げ、延伸などによりガスバリア性が劣化し難いガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 本発明の第1実施形態に係るガスバリア性積層フィルムを模式的に示す断面図である。
[図2] 本発明の第2実施形態に係るガスバリア性積層フィルムを模式的に示す断面図である。

発明を実施するための形態

[0009]
 以下、本発明の一実施形態に係るガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法について、添付の図面を用いて説明する。
 なお、以下の実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[0010]
<第1実施形態>
 図1は、本発明の第1実施形態に係るガスバリア性積層フィルムを模式的に示す断面図である。
 本実施形態のガスバリア性積層フィルム10は、フィルム基材1と、フィルム基材1の一方の面(第1の面)上に積層した無機蒸着層3と、無機蒸着層3上に積層したガスバリア層5と、を備える。
[0011]
(フィルム基材)
 フィルム基材1を構成する材質としては、例えばプラスチックス類、紙類、ゴム類等が挙げられる。これらの中でも、フィルム基材1とフィルム基材1上に形成される層との密着性の観点から、プラスチック類が好ましい。
[0012]
 プラスチック類としては、例えばポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリスチレン、ポリアミド(66-ナイロン等)、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリイミド等が挙げられる。これらのプラスチック類をフィルム状に加工してフィルム基材1が形成される。
 プラスチック類のフィルムは、延伸、未延伸のどちらでもよく、機械強度や寸法安定性を有するものが好ましい。特に、二軸方向に任意に延伸されたフィルムが好ましい。
 プラスチック類のフィルムは、ガスバリア性積層フィルム10を包装材料に使用する場合、価格面、防湿性、充填適性、風合い、および廃棄性を考慮すると、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルムが好ましく、ポリエステルフィルムがより好ましい。
[0013]
 フィルム基材1の厚さは、ガスバリア性積層フィルム10の用途に応じて適宜設定できる。例えばガスバリア性積層フィルム10を包装材料に使用する場合、特に制限はないが、包装材料としての適性、および加工性を考慮すると、実用的には3~200μmが好ましく、6~30μmがより好ましい。
[0014]
 フィルム基材1の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤を、必要に応じて適用することができる。
 フィルム基材1の表面に、フィルム基材1上に形成される層と密着性の観点から、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理などの表面活性化処理が施されていてもよい。
[0015]
(無機蒸着層)
 無機蒸着層3は、蒸着法によって無機材料から形成された層である。
 無機蒸着層3は、ガスバリア性積層フィルム10の酸素バリア性、水蒸気バリア性等のガスバリア性、特に水蒸気ガスバリア性を付与するために設けられている。
[0016]
 無機蒸着層3を構成する無機材料としては、酸素バリア性、水蒸気バリア性等のガスバリア性を付与するための無機蒸着層を構成することができる無機材料が適宜選択される。
 無機材料としては、例えば、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化錫等が挙げられる。無機材料は、必要に応じて、1種または2種以上が組み合わせられて用いられる。
 無機材料としては、ガスバリア性が高い点から、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよび酸化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
[0017]
 酸化アルミニウムは、アルミニウム(Al)と酸素(O)との存在比がモル比で、Al:O=1:1.5~1:2.0であることが好ましい。例えば、酸化アルミニウム蒸着層は、アルミニウムを蒸着材料にして、酸素、炭酸ガス、及び不活性ガス等との混合ガスの存在下、薄膜形成を行う反応性蒸着や、反応性スパッタリング、反応性イオンプレーティング等により形成することができる。この時、アルミニウムを酸素と反応させれば、化学量論的にはAl であることから、アルミニウム(Al)と酸素(O)との存在比がモル比で、Al:O=1:1.5であるはずである。しかしながら、蒸着方法によって、一部アルミニウムのまま存在したり、過酸化アルミニウムで存在したりすることもある。そのため、X線光電子分光分析装置(XPS)等を用いて、酸化アルミニウム蒸着層の元素の存在比を測定すると、一概に、アルミニウム(Al)と酸素(O)との存在比がモル比で、Al:O=1:1.5とは言えないことが分かる。一般に、アルミニウム(Al)と酸素(O)との存在比がモル比で、Al:O=1:1.5よりも酸素量が少なく、アルミニウム量が多い場合、酸化アルミニウム蒸着層は緻密になるため、良好なガスバリア性が得られる。しかしながらこの場合、酸化アルミニウム蒸着層は黒く着色し、光線透過量が低くなる傾向がある。一方、アルミニウム(Al)と酸素(O)との存在比がモル比で、Al:O=1:1.5よりも酸素量が多く、アルミニウム量が少ない場合、酸化アルミニウム蒸着層は疎になるため、ガスバリア性は悪いが、光線透過量が高く透明となる。
 酸化ケイ素は、特に無機蒸着層3に耐水性が必要とされる場合に好適に用いられる。
[0018]
 無機蒸着層3の厚さは、ガスバリア性積層フィルム10の用途やガスバリア層5の厚さによっても異なるが、5~300nmであることが好ましく、10~50nmであることがより好ましい。無機蒸着層3の厚さが前記範囲の下限値(5nm)以上であれば、無機蒸着層3の連続性が良好で、ガスバリア性に優れる。無機蒸着層3の厚さが前記範囲の上限値(300nm)以下であれば、無機蒸着層3の柔軟性(可撓性)が優れ、折り曲げ、引っ張り等の外的要因による亀裂が生じにくい。
 無機蒸着層3の厚さは、たとえば、蛍光X線分析装置を用いて、事前に同様のサンプルを透過型電子顕微鏡(TEM)にて測定し得た検量線の結果から算出することができる。
[0019]
(ガスバリア層)
 ガスバリア層5は、ポリ(メタ)アクリル酸の架橋物を含む層である。
 該架橋物は、次亜リン酸ナトリウム(C)存在下での以下のアクリル酸系ポリマー(A)と糖質(B)との反応により形成される。
 ガスバリア層5は、優れた酸素バリア性を有する。また、ガスバリア層5により、虐待を加えたときの無機蒸着層3の損傷が抑制され、ガスバリア性積層フィルム10の耐虐待性が優れる。
[0020]
[アクリル酸系ポリマー(A)]
 アクリル酸系ポリマー(A)は、以下の(A1)または(A2)である。
 (A1):ポリ(メタ)アクリル酸。
 (A2):ポリ(メタ)アクリル酸のカルボキシ基の0モル%より大きく25モル%以下が亜鉛により中和された部分中和物。
[0021]
 (A1)における「ポリ(メタ)アクリル酸」は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、またはアクリル酸とメタクリル酸との共重合体を意味する。
 (A1)の重合度は、ガスバリア性積層フィルムの耐水性の観点から、20~20,000が好ましく、50~10,000がより好ましい。
 (A1)の重合度が20未満では、ガスバリア性積層フィルムに十分な耐水性を付与することができず、さらに水分によってガスバリア性や透明性が悪化する場合や、白化が発生する場合がある。(A1)の重合度が20,000を超えると、ガスバリア層5を形成するための塗液の塗工時に粘度が高くなり塗工性が損なわれる場合がある。
[0022]
 (A2)におけるポリ(メタ)アクリル酸(亜鉛により中和される前のポリ(メタ)アクリル酸)は、(A1)と同様であり、好ましい重合度も同様である。
 (A2)の亜鉛中和度(ポリ(メタ)アクリル酸のカルボキシ基のうち亜鉛で中和されたカルボキシ基の割合)は、0モル%より大きく25モル%以下であり、5モル%以上25モル%以下が好ましく、10モル%以上25モル%以下がより好ましい。亜鉛中和度が前記の範囲内で高いほど、ガスバリア層5の耐水性が優れる。亜鉛中和度が前記範囲の上限値(25モル%)以下であると、ガスバリア層5を形成するための塗液の安定性が優れる。
[0023]
 (A2)は、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸の水溶液と、亜鉛化合物とを混合することにより調製できる。
 亜鉛化合物としては、例えば、亜鉛の単体や、酸化物、水酸化物、無機酸塩(例えば、炭酸塩)、有機酸塩(例えば、酢酸塩)、アンモニウム錯体、2~4級アミン錯体、またはアンモニウム錯体もしくは2~4級アミン錯体の炭酸塩もしくは有機酸塩等が挙げられる。これらの亜鉛化合物の中でも、工業的生産性の観点から、酸化亜鉛、酢酸亜鉛がより好ましく、酸化亜鉛が特に好ましい。
[0024]
[糖質(B)]
 糖質(B)は、構造中のグリコシド結合の数が0個以上10個以下の糖質である。
 グリコシド結合の数が10個以下であることにより、グリコシド結合の数が11個以上の場合に比べて、アクリル酸系ポリマー(A)との反応性が高く、短時間の熱処理でもエステル化度合い(架橋度)が高い架橋物が得られやすい。そのため、形成されるガスバリア層5の酸素バリア性、防湿性等が優れる。
[0025]
 糖質(B)としては、例えば、以下の(B1)~(B5)、これらの各種置換体・誘導体等が挙げられる。これらのうち、水に可溶な構成が好ましい。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
 (B1):単糖類(グリコシド結合の数が0個)。
 (B2):二糖類(グリコシド結合の数が1個)。
 (B3):グリコシド結合を2~10個有するオリゴ糖類。
 (B4):グリコシド結合を有しない糖アルコール。
 (B5):グリコシド結合を1~10個有する糖アルコール。
[0026]
 (B1):
 単糖類は、加水分解によってそれ以上簡単な分子にならない基本物質で、二糖以上の多糖類の構成単位となる。単糖は、一部の例外はあるが、通常、一般式C 2nで表される。そのうち、炭素数(n)が2、3、4、5、6、7、8、9および10であるものは、それぞれ、ジオース、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトース、ノノースおよびデコースと称される。アルデヒド基を持つ単糖がアルドース、ケトン基を持つ単糖がケトースと分類される。一般式C 2nにおいてn=3以上の単糖は、不斉炭素原子を持ち、不斉炭素原子の数に応じて立体異性体が多数あり得るが、天然に知られているものはその一部である。天然に存在するものは、ペントースとヘキソースが多い。
 (B1)としては、天然に多量に存在することから、一般式C 2nにおいてn=5以上であるアルドースが好ましい。このような単糖としては、例えば、グルコース、マンノース、ガラクトース、キシロース等が挙げられる。これらの中でも、グルコース、ガラクトースがより好ましい。
 (B1)は、必要に応じて、1種または2種以上が組み合わせられて用いられる。
[0027]
 (B2):
 二糖類とは、2個の単糖がグリコシド結合により連結された構造を持つ化合物である。
 (B2)の具体例としては、スクロース、ラクトース、トレハロース、セロビオース、マルトース等が挙げられる。
 (B2)は、必要に応じて、1種または2種以上が組み合わせられて用いられる。
[0028]
 (B3):
 (B3)は、3個以上11個以下の単糖がグリコシド結合により連結された構造を持ち、単糖の数によって三糖~十一糖に分類される。
 (B3)の具体例としては、ラフィノース、スタキオース等が挙げられる。また、それらのオリゴ糖の加水分解生成物(例えばオリゴ糖に有機酸や無機酸を加えた固相、液相または固液混合相にて、該オリゴ糖の加水分解酵素を触媒として、必要に応じて熱を加えることにより、加水分解して得られたもの)等が挙げられる。
 (B3)としては、水に可溶な構成が好ましい。水に可溶な(B3)の中でも、その構成単糖がグルコースのみであることがより好ましい。
[0029]
 (B4):
 「糖アルコール」とは、糖分子のカルボニル基を還元して生成する多価アルコールである。
 (B4)としては、単糖類のカルボニル基を還元して生成する鎖式多価アルコールが好ましい。該鎖式多価アルコールは、通常、一般式C 2n+2(「C n+2(OH) 」とも記載される。)で表される。そのうち、炭素数(n)が3、4、5、6、7、8、9および10であるものは、それぞれ、トリトール、テトリトール、ペンチトール、ヘキシトール、ヘプチトール、オクチトール、ノニトールおよびデシトールと称される。(B1)には、不斉炭素原子の数に応じて立体異性体が多数存在する。
 (B4)の具体例としては、ソルビトールや、マンニトール、ズルシトール、キシリトール、エリトリトール、グリセリン等が挙げられる。
 (B4)としては、一般式C 2n+2においてnが3~6である糖アルコールが好ましい。
[0030]
 (B5):
 (B5)としては、3個以上11個以下の単糖がグリコシド結合により連結された構造を持つ糖のカルボニル基(還元性末端のC1位のカルボニル基)を還元して生成する多価アルコールが挙げられる。該糖としては、前記で挙げた二糖類およびオリゴ糖類(オリゴ糖およびその加水分解生成物)のなかから適宜選択できる。
 (B5)の具体例としては、マルチトール、マルトトリイトール、オリゴ糖アルコール等が挙げられる。
[0031]
 糖質(B)は、必要に応じて、1種または2種以上が組み合わせられて用いられる。
[0032]
 前記アクリル酸系ポリマー(A)および糖質(B)は、アクリル酸系ポリマー(A)と糖質(B)との質量比(A/B)が95/5~50/50となるように用いられることが好ましい。A/Bは、95/5~60/40であることがより好ましく、95/5~70/30であることがさらに好ましい。A/Bが前記範囲内であれば、エステル化反応に寄与するアクリル酸系ポリマー(A)のカルボキシ基と糖質(B)の水酸基の量が十分であり、ガスバリア層5中の(ポリ)アクリル酸の架橋物の架橋度が十分に高くなる。そのため、ガスバリア性積層フィルム10が、高湿度条件下でも優れた酸素バリア性を有する。
[0033]
[次亜リン酸ナトリウム(C)]
 次亜リン酸ナトリウム(C)は、アクリル酸系ポリマー(A)の未中和部分の固形分(100質量%)に対し、10質量%以上25質量%以下の割合で用いられる。
 次亜リン酸ナトリウム(C)の割合が前記範囲の下限値(10質量%)以上であれば、短時間の熱処理でも十分にアクリル酸系ポリマー(A)と糖質(B)との反応(エステル化反応)が進行する。そのため、ガスバリア層5中の(ポリ)アクリル酸の架橋物の架橋度が十分に高くなり、ガスバリア性積層フィルム10の酸素バリア性、耐虐待性等が優れる。
 次亜リン酸ナトリウム(C)の割合が前記範囲の上限値(25質量%)以下であれば、耐水性が優れる。また、次亜リン酸ナトリウム(C)の割合が前記範囲の上限値(25質量%)を超えても、含有量の増加に伴うエステル化反応への効果はほとんど見られない。
[0034]
 本発明において「アクリル酸系ポリマー(A)の未中和部分の固形分」とは、以下の式により定義される値である。
 アクリル酸系ポリマー(A)の未中和部分の固形分=W×(100-X)/100
 ここで、Wは、糖質(B)と反応させるアクリル酸系ポリマー(A)の質量を示し、Xは、アクリル酸系ポリマー(A)の亜鉛中和度(モル%)を示す。
[0035]
 ガスバリア層5は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記架橋物以外の他の成分をさらに含んでもよい。
 たとえば、アクリル酸系ポリマー(A)、糖質(B)、次亜リン酸ナトリウム(C)、及び各種の添加剤等を含んでもよい。
 添加剤としては、シランカップリング剤や、可塑剤、樹脂、分散剤、界面活性剤、柔軟剤、安定剤、アンチブロッキング剤、膜形成剤、粘着剤、酸素吸収剤等が挙げられる。
 添加剤の含有量は、ガスバリア層5を形成するアクリル酸系ポリマー(A)と添加剤との質量比(アクリル酸系ポリマー(A)/添加剤)で、70/30~99.9/0.1であることが好ましく、80/20~98/2であることがより好ましい。
[0036]
(ガスバリア性積層フィルムの製造方法)
 ガスバリア性積層フィルム10は、例えば、以下の(α1)および(α2)の工程を含む製造方法により製造できる。
 (α1):フィルム基材1の一方の面上に無機蒸着層3を形成する工程。
 (α2):前記フィルム基材1の無機蒸着層3が形成された側の面上に、アクリル酸系ポリマー(A)、糖質(B)、次亜リン酸ナトリウム(C)、及び溶媒を含む塗液を塗工し、180℃以上250℃以下の温度で300秒以下の熱処理を行ってガスバリア層5を形成する工程。
[0037]
[工程(α1)]
 無機蒸着層3を形成する方法としては、公知の種々の蒸着方法を用いることができる。
 例えば、真空蒸着法や、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相成長法等が挙げられる。
 真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては、電子線加熱方式や、抵抗加熱方式、誘導加熱方式等が好ましく用いられる。また、フィルム基材1に対する無機蒸着層3の密着性および無機蒸着層3の緻密性を向上させるためには、前記の加熱手段に加えて、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることもできる。
 蒸着の際、無機蒸着層3の透明性を上げるために、酸素ガス等を吹き込んだりする反応蒸着を行ってもよい。
[0038]
[塗液]
 ガスバリア層5の形成に用いられる塗液中のアクリル酸系ポリマー(A)、糖質(B)はそれぞれ前記と同様である。
 塗液中の次亜リン酸ナトリウム(C)の量は、前記のとおり、アクリル酸系ポリマー(A)の未中和部分の固形分に対する次亜リン酸ナトリウム(C)の割合が10質量%以上25質量%以下となる量であり、好ましい量も前記と同様である。
 塗液中のアクリル酸系ポリマー(A)と糖質(B)との合計量に対する糖質(B)の割合の好ましい範囲も前記と同様である。
[0039]
 塗液の溶媒としては、水、または、水と有機溶媒との混合溶媒が好ましく、水と炭素数1~5の低級アルコールとの混合溶媒がより好ましい。
 混合溶媒においては、水の含有量が20~95質量%で、有機溶媒の含有量が80~5質量%(ただし、水と有機溶媒との合計は100質量%である。)であることが好ましい。
[0040]
 塗液には、アクリル酸系ポリマー(A)、糖質(B)、次亜リン酸ナトリウム(C)、および溶媒以外に、各種の添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、前記と同様のものが挙げられる。好ましい含有量も同様である。
[0041]
[工程(α2)]
 ガスバリア層5を形成する塗液の塗工(塗布)方法としては、特に限定されず、例えば、キャスト法や、ディッピング法、ロールコーティング法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、リバースコート法、スプレーコート法、キットコート法、ダイコート法、メタリングバーコート法、チャンバードクター併用コート法、カーテンコート法等が挙げられる。
[0042]
 必要に応じて、塗液の塗工後、熱処理の前に、乾燥を行ってもよい。乾燥は、塗液の塗工から連続的に行われる。
 乾燥方法としては、特に限定されず、例えば、熱風乾燥法や、熱ロール接触法、赤外線加熱法、マイクロ波加熱法等の方法が挙げられる。これらの方法は、単独でまたは組み合わせて行ってもよい。
 乾燥温度としては、特に限定されず、例えば、溶媒として上述した水や、水と有機溶媒との混合溶媒を用いる場合には、通常、50℃~160℃が好ましい。
 乾燥の際の圧力は、通常、常圧または減圧下で行うことが好ましく、設備の簡便性の観点から、常圧で行うことが好ましい。
[0043]
 なお、ガスバリア層を2層以上積層する場合(例えばフィルム基材の両面上にガスバリア層を積層する場合)、各ガスバリア層を形成するための塗液の塗工および乾燥は、連続的に行ってもよく、巻取り工程や養生工程を経て、不連続的に行ってもよい。
[0044]
 塗液を塗工した後の熱処理温度は、180℃(453K)以上250℃(523K)以下であり、190℃(463K)以上230℃(503K)以下が好ましく、200℃(473K)以上210℃(483K)以下がより好ましい。
 熱処理温度が前記範囲の下限値(180℃)以上であれば、300秒以下の熱処理時間で、アクリル酸系ポリマー(A)と糖質(B)とが十分に反応する。そのため、高度の酸素バリア性が達成され、ガスバリア性積層フィルム10の生産性が優れる。
 熱処理温度が高くなるほど、短い熱処理時間で高い酸素バリア性を得ることができるが、熱処理温度が高過ぎると、変色や分解のおそれがある。熱処理温度が前記範囲の上限値(250℃)以下であれば、変色や分解が生じにくい。
[0045]
 熱処理時間は、300秒以下であり、1秒以上300秒以下が好ましく、5秒以上300秒以下がより好ましい。
 熱処理時間が300秒以下であれば、ガスバリア性積層フィルム10の生産性が優れる。また、熱処理時間が長くなると変色や分解のおそれがあるが、300秒以下であれば変色や分解が生じにくい。熱処理時間の好ましい上限は、ガスバリア性積層フィルムが分解したり溶融したりしないように、熱処理温度等を考慮して設定される。
[0046]
(作用効果)
 ガスバリア性積層フィルム10は、無機蒸着層3と、特定量の次亜リン酸ナトリウム(C)の存在下でアクリル酸系ポリマー(A)と糖質(B)との反応により形成されたポリ(メタ)アクリル酸架橋物を含むガスバリア層5と、を備える。それによって、酸素バリア性、水蒸気バリア性等のガスバリア性に優れる。該ガスバリア性は、吸湿により低下しにくい。また、耐虐待性に優れ、折り曲げ、延伸等の虐待を加えたときにガスバリア性が劣化し難く、虐待後も優れたガスバリア性が保持される。
 上記の効果を奏する理由としては、各層が前記の範囲内である場合は、形成される架橋物の架橋度が高いことが考えられる。架橋度が高いことで、ガスバリア層5の酸素バリア性、防湿性等が優れる。また、ガスバリア層5と無機蒸着層3との密着性が高い。これにより、折り曲げ、延伸等の虐待を加えたときに無機蒸着層3が損傷しにくく、無機蒸着層3の損傷によるガスバリア性の低下が生じにくいと考えられる。
 また、グリコシド結合の数が10個以下の糖質(B)は、アクリル酸系ポリマー(A)との反応性が高い。かかる糖質(B)と、特定量の次亜リン酸ナトリウム(C)とを組み合わせることで、熱処理時のエステル化の進行が速くなる。そのため、ガスバリア性積層フィルム10の製造においては、比較的短時間(例えば300秒以下)の熱処理で、優れた酸素バリア性を有するガスバリア層5を形成でき、生産性に優れる。
[0047]
<第2実施形態>
 図2は、本発明の第2実施形態に係るガスバリア性積層フィルムを模式的に示す断面図である。なお、以下に示す実施形態において、第1実施形態に対応する構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
 本実施形態のガスバリア性積層フィルム20は、フィルム基材1と、フィルム基材1の一方の面(第1の面)上に積層したアンカーコート層7と、アンカーコート層7上に積層した無機蒸着層3と、無機蒸着層3上に積層したガスバリア層5と、を備える。
 ガスバリア性積層フィルム20は、フィルム基材1と無機蒸着層3との間にアンカーコート層7をさらに備える以外は、第1実施形態のガスバリア性積層フィルム10と同様である。
[0048]
(アンカーコート層)
 アンカーコート層7は、フィルム基材1と無機蒸着層3との密着性を高めるために設けられている。
 アンカーコート層7を構成する材料としては、例えば、ウレタン系樹脂や、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等の樹脂が挙げられる。
 また、用途に応じて、これらの材料に、硬化剤、シランカップリング剤等の添加物が添加されていてもよい。特に、添加剤として、アクリルポリオール、イソシアネート化合物、及びシランカップリング剤を組み合わせて用いることが好ましい。このような組成を有するアンカーコート層を形成することにより、フィルム基材1と無機蒸着層3との間に、安定した高い密着性を得ることができる。
[0049]
 アンカーコート層7の厚さは、フィルム基材1の面上における厚みが均一になる範囲であれば特に限定されないが、0.01~2μmであることが好ましく、0.05~0.5μmであることがより好ましい。
 アンカーコート層7の厚さが前記範囲の下限値(0.01μm)以上であれば、アンカーコート層7の厚さの均一性が高く、フィルム基材1に対する無機蒸着層3の密着性がより優れる。アンカーコート層7の厚さが前記範囲の上限値(2μm)以下であれば、アンカーコート層7の柔軟性(可撓性)が良好で、外的要因による亀裂が生じにくい。
[0050]
(ガスバリア性積層フィルムの製造方法)
 ガスバリア性積層フィルム20は、例えば、以下の(β1)、(β2)および(β3)の工程を含む製造方法により製造できる。
 (β1):フィルム基材1の一方の面上にアンカーコート層7を形成する工程。
 (β2):前記フィルム基材1のアンカーコート層7が形成された側の面上に無機蒸着層3を形成する工程。
 (β3):前記フィルム基材1のアンカーコート層7および無機蒸着層3が形成された側の面上に、アクリル酸系ポリマー(A)、糖質(B)、次亜リン酸ナトリウム(C)、及び溶媒を含む塗液を塗工し、180℃以上250℃以下の温度で300秒以下の熱処理を行ってガスバリア層5を形成する工程。
[0051]
[工程(β1)]
 アンカーコート層7の形成方法は特に限定されず、公知の方法を適宜選択できる。例えば、前述の樹脂と、溶媒と、必要に応じて添加剤とを含むアンカーコート剤を塗工し、乾燥することによりアンカーコート層7を形成できる。
 アンカーコート剤の塗工方法は特に限定されず、オフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を用いることができる。アンカーコート剤を塗工し、形成された塗膜を乾燥することで、溶媒の除去と硬化が進み、アンカーコート層7が形成される。
[0052]
[工程(β2)]
 工程(β2)は、第1実施形態における工程(α1)と同様にして行うことができる。
[0053]
[工程(β3)]
 工程(β3)は、第1実施形態における工程(α2)と同様にして行うことができる。
[0054]
(作用効果)
 ガスバリア性積層フィルム20は、無機蒸着層3およびガスバリア層5を備えることで、第1実施形態と同様に、酸素バリア性、水蒸気バリア性等のガスバリア性に優れる。該ガスバリア性は、吸湿により低下しにくい。また、アンカーコート層7を備えることで、フィルム基材1と無機蒸着層3との間の密着性が優れる。
 また、ガスバリア性積層フィルム20は、第1実施形態と同様に、その製造に際して、比較的短時間(例えば300秒以下)の熱処理で優れたガスバリア性を有するガスバリア層5を形成でき、生産性に優れる。
[0055]
 以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係るガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。上記実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
[0056]
 本発明の各実施形態に係るガスバリア性積層フィルムは、強度付与、シール性やシール時の易開封性付与、意匠性付与、光遮断性付与などの目的で、他の基材が積層されていてもよい。他の基材は、目的に応じて適宜選択されるが、通常、プラスチックフィルム類や紙類が用いられる。プラスチックフィルム類や紙類は、1種を単独で用いても、2種以上を積層して用いてもよい。例えばプラスチックフィルム類と紙類を積層して用いてもよい。
 ガスバリア性積層フィルムに他の基材を積層する方法としては、例えば、接着剤を用いてラミネート法により積層する方法が挙げられる。具体的なラミネート法としては、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、押出しラミネート法などが挙げられる。
 意匠性付与、光遮断性付与、防湿性付与などの観点から、他の基材に印刷や蒸着が施されていてもよい。
実施例
[0057]
 以下、実施例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[0058]
<コーティング液の調製>
[調製例1]
 アクリル酸系ポリマー(A)としてポリアクリル酸(商品名:アロンA-10H、数平均分子量200,000、25質量%水溶液、東亜合成社製)を蒸留水で溶解し、固形分濃度10質量%のポリアクリル酸(PAA)水溶液を調製した。
 このPAA水溶液と、糖質(B)として糖アルコールであるマンニトール(商品名:マリンクリスタル、三菱商事フードテック社製)と、次亜リン酸ナトリウムとを混合した。
 該混合は、表1に示すように、アクリル酸系ポリマー(A)と糖質(B)との質量比(固形分比)(以下、「A/B」ともいう。)が90/10になり、アクリル酸系ポリマー(A)の未中和部分の固形分に対する次亜リン酸ナトリウムの割合が20質量%になるように行った。これにより得られた水溶液の固形分濃度を5質量%として、塗液(1)を調製した。
[0059]
[調製例2、3]
 調製例1と同様にして得た固形分濃度10質量%のPAA水溶液に、酸化亜鉛を、Zn量がポリアクリル酸水溶液中のカルボキシル基のモル数(100モル%)に対し10モル%になるよう添加し、ポリアクリル酸のZnによる部分中和物(PAAZn)水溶液を調製した。
 このPAAZn水溶液(Zn中和度10モル%)と、糖質(B)としてマンニトール(商品名:マリンクリスタル、三菱商事フードテック社製)と、次亜リン酸ナトリウムと、を混合した。該混合は、表1に示すように、A/Bが90/10または70/30になり、アクリル酸系ポリマー(A)の未中和部分の固形分に対する次亜リン酸ナトリウムの割合が20質量%になるように行った。これにより得られた水溶液の固形分濃度を5質量%として、塗液(2)、(3)を調製した。
[0060]
[調製例4、5]
 調製例1と同様にして得た固形分濃度10質量%のPAA水溶液に、酸化亜鉛を、Zn量がポリアクリル酸水溶液中のカルボキシル基のモル数に対し20モル%になるよう添加し、PAAZn水溶液を調製した。
 このPAAZn水溶液(Zn中和度20モル%)と、糖質(B)としてマンニトール(商品名:マリンクリスタル、三菱商事フードテック社製)と、次亜リン酸ナトリウムと、を混合した。該混合は、表1に示すように、A/Bが90/10または70/30になり、アクリル酸系ポリマー(A)の未中和部分の固形分に対する次亜リン酸ナトリウムの割合が20質量%になるように行った。これにより得られた水溶液の固形分濃度を5質量%として、塗液(4)、(5)を調製した。
[0061]
[調製例6~8]
 調製例4と同様にして得たPAAZn水溶液(Zn中和度20モル%)と、糖質(B)としてマンニトール(商品名:マリンクリスタル、三菱商事フードテック社製)と、次亜リン酸ナトリウムと、を混合した。該混合は、表1に示すように、A/Bが90/10になり、アクリル酸系ポリマー(A)の未中和部分の固形分に対する次亜リン酸ナトリウムの割合が12質量%、22質量%または30質量%になるように行った。これにより得られた水溶液の固形分濃度を5質量%として、塗液(6)、(7)、(8)を調製した。
[0062]
[調製例9]
 マンニトールを還元澱粉糖化物(商品名:PO20、70質量%水溶液、三菱商事フードテック社製、グリコシド結合数4個以上10個以下の糖アルコールを主成分とする糖質)に置き換えた以外は、調製例4と同様の操作を行い、固形分濃度5質量%の塗液(9)を調製した。
[0063]
[調製例10]
 澱粉類として可溶性澱粉(Alfa Aesar社製)を蒸留水で溶解し、固形分濃度10質量%の可溶性澱粉水溶液を調製した。
 マンニトールを、同じ固形分量の可溶性澱粉水溶液に置き換えた以外は、調製例4と同様の操作を行い、固形分濃度5質量%の塗液(10)を調製した。
[0064]
[調製例11]
 次亜リン酸ナトリウムを添加しないこと以外は、調製例4と同様の操作を行い、固形分濃度5質量%の塗液(11)を調製した。
[0065]
[調製例12]
 マンニトールを添加しないこと以外は、調製例4と同様の操作を行い、固形分濃度5質量%の塗液(12)を調製した。
[0066]
[調製例13]
 マンニトールを、三糖であるラフィノース(D(+)-ラフィノース五水和物、和光純薬工業社製)に置き換えた以外は、調製例4と同様の操作を行い、固形分濃度5質量%の塗液(13)を調製した。
[0067]
[調製例14]
 マンニトールを、七糖であるマルトヘプタオース(東京化成工業社製)に置き換えた以外は、調製例4と同様の操作を行い、固形分濃度5質量%の塗液(14)を調製した。
[0068]
<ガスバリア性積層フィルムの作製>
[実施例1]
 2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:ルミラーP60、厚さ12μm、内側コロナ処理、東レ社製)上に、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、金属アルミニウムを蒸発させ、そこに酸素ガスを導入し、酸化アルミニウムを蒸着して、厚さ20nmの無機蒸着層を形成した。
 次に、この無機蒸着層上に、バーコーターにより、塗液(1)を塗工し、乾燥機で210℃、180秒間の熱処理を行って、膜厚約0.6μmのガスバリア層を形成し、ガスバリア性積層フィルムを得た。
[0069]
[実施例2~7]
 塗液(1)を、表1に示すように、塗液(2)、(3)、(4)、(5)、(6)または(7)に変更した以外は実施例1と同様にして、ガスバリア性積層フィルムを得た。
[0070]
[実施例8~9]
 熱処理温度を、表1に示すように、180℃または250℃に変更した以外は実施例4と同様にして、ガスバリア性積層フィルムを得た。
[0071]
[実施例10~12]
 塗液(1)を、塗液(9)、(13)または(14)に変更した以外は実施例1と同様にして、ガスバリア性積層フィルムを得た。
[0072]
[実施例13~14]
 熱処理時間を、表1に示すように、120秒間または240秒間に変更した以外は実施例4と同様にして、ガスバリア性積層フィルムを得た。
[0073]
[実施例15]
 アクリルポリオールとトリイジルイソシアネートとをアクリルポリオールのOH基に対し、NCO基が等量となるように加えた。得られた物質の全固形分が5wt%になるよう酢酸エチルで希釈し、β-(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランを全固形分に対し、5wt%添加して混合した溶液を得た。得られた溶液を、膜厚0.1μmになるようにバーコーターにて2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:ルミラーP60、厚さ12μm、内側コロナ処理、東レ社製)上に塗工し、アンカーコート層を設けた。
 そのアンカーコート層上に電子線加熱方式による真空蒸着装置により、金属アルミニウムを蒸発させ、そこに酸素ガスを導入し、酸化アルミニウムを蒸着して、厚さ20nmの無機蒸着層を形成した。
 次に、この無機蒸着層上に、バーコーターにより、塗液(4)を塗工し、乾燥機で210℃、180秒間の熱処理を行って、膜厚約0.6μmのガスバリア層を形成し、ガスバリア性積層フィルムを得た。
[0074]
[比較例1]
 2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:ルミラーP60、厚さ12μm、内側コロナ処理、東レ社製)上に、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、金属アルミニウムを蒸発させ、そこに酸素ガスを導入し、酸化アルミニウムを蒸着して、厚さ20nmの無機蒸着層を形成し、ガスバリア性積層フィルムを得た。
[0075]
[比較例2~5]
 塗液(1)を、表1に示すように、塗液(10)、(11)、(12)または(8)に変更した以外は実施例1と同様にして、ガスバリア性積層フィルムを得た。
[0076]
[1.ガスバリア性(虐待前)の評価]
 実施例1~14および比較例1~5で得られたガスバリア性積層フィルムについて、以下の手順で、酸素透過度および水蒸気透過度を測定した。
[0077]
(酸素透過度の測定)
 酸素透過試験器(OXTRAN2/20、Modern Control社製)を用いて、温度30℃、相対湿度70%の条件で、サンプルの酸素透過度を測定した。測定方法は、JIS K-7126「B法(等圧法)」、および、ASTM D3985-81に準拠して、測定値を単位:cm (STP)/(m ・day・MPa)で表記した。ここで、(STP)は酸素の体積を規定するための標準条件(0℃、1気圧)を意味する。
[0078]
(水蒸気透過度の測定)
 水蒸気透過試験器(PERMATRAN3/31、Modern Control社製)を用いて、温度40℃、相対湿度90%の条件で、サンプルの水素透過度を測定した。
 測定方法は、JIS K-7129、および、ASTM F1249-90に準拠して、測定値を単位:g(STP)/(m ・day)で表記した。
[0079]
[2.耐虐待性の評価]
(2-1.ラミネートフィルムの作製)
 実施例1~15および比較例1~5で得られたガスバリア性積層フィルムを用い、以下の手順で、2種のラミネートフィルム(I)、(II)を作製した。
 ガスバリア性積層フィルムの積層面に、Ny(延伸ナイロンフィルム)と、CPP(ポリプロピレンフィルム)とを、接着剤を用いて、HIRANO TECSEED社製のマルチコーターTM-MCにより順次貼り合わせた。その後、40℃にて3日間養生して、ガスバリア性積層フィルム/接着剤/Ny/接着剤/CPPの構成を有するラミネートフィルム(I)を得た。
 ガスバリア性積層フィルムの積層面に、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレンフィルム)を、接着剤を用いて、HIRANO TECSEED社製のマルチコーターTM-MCにより貼り合わせた。その後、40℃にて3日間養生して、ガスバリア性積層フィルム/接着剤/LLDPEの構成を有するラミネートフィルム(II)を得た。
 なお、積層面とは、無機蒸着層およびガスバリア層(または無機蒸着層のみ)が積層した面のことである。
[0080]
 接着剤としては、三井化学社製の2液硬化型接着剤、タケラックA620(主剤)/タケネートA65(硬化剤)を用いた。
 Nyとしては、ユニチカ社製の延伸ナイロンフィルム、エンブレムONMB(15μm)を用いた。
 CPPとしては、東レフィルム加工社製のポリプロピレンフィルム、トレファンZK93FM(60μm)を用いた。
 LLDPEとしては、三井化学東セロ社製の直鎖状低密度ポリエチレンフィルム、TUX-TCS(60μm)を用いた。
[0081]
 得られたラミネートフィルム(I)、(II)について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
[0082]
(2-2.耐屈曲性の評価)
 ラミネートフィルム(I)を縦295mm×横210mmの大きさに切り出してサンプルとした。該サンプルについて、以下の虐待試験を行った。
 サンプルを、テスター産業社製のゲルボフレックステスターの固定ヘッドに、サンプルを、直径87.5mm×210mmの円筒状になるよう取り付けた。サンプルの両端を保持し、初期把持間隔175mmとし、ストロークの87.5mmで440度のひねりを加え、この動作の繰り返し往復運動を速度40回/分で50回行い、屈曲した。
 この虐待試験の前および後のサンプルについて、酸素透過度および水蒸気透過度を前記の測定方法により測定した。
[0083]
(2-3.耐延伸性の評価)
 ラミネートフィルム(II)を縦200mm×横150mmの大きさで切り出してサンプルとした。該サンプルについて、以下の虐待試験を行った。
 サンプルを、東洋ボールドウィン社製のテンシロンを用いて、速度100μm/秒で縦方向に5%延伸し、その状態を1分間保持した後、同様の速度でサンプルを元の位置に戻した。
 この虐待試験の前および後のサンプルについて、酸素透過度および水蒸気透過度を前記の測定方法により測定した。
[0084]
[表1]


[0085]
 表1中、次亜リン酸ナトリウムの添加量(質量%)は、アクリル酸系ポリマー(A)の未中和部分の固形分に対する割合である。
[0086]
 上記結果に示すとおり、実施例1~15のガスバリア性積層フィルムは、虐待前の酸素透過度および水蒸気透過度が共に比較例1~5よりも小さく、ガスバリア性に優れていた。また、それらのガスバリア性積層フィルムを用いたラミネートフィルムは、虐待(屈曲、延伸)後の酸素透過度が比較例1~5よりも小さく、水蒸気透過度も比較例1~5と同等かそれよりも小さく、虐待後も十分に優れたガスバリア性を保持していた。

産業上の利用可能性

[0087]
 本発明のガスバリア性積層フィルムは、高いガスバリア性を有し、折り曲げ、延伸といった虐待後も優れたガスバリア性を保持することができる。
 そのため、本発明のガスバリア性積層フィルムは、印刷工程やドライラミネート、溶融押し出しラミネート、熱圧着ラミネート等の後加工が行われても、優れたガスバリア性を保持することができる。
 したがって、本発明のガスバリア性積層フィルムを用いることにより、真空断熱材、生活素材(食品、医薬品)等の包装分野に用いられる実用範囲の広い包装材料を提供することが可能である。

符号の説明

[0088]
  1 フィルム基材
  3 無機蒸着層
  5 ガスバリア層
  7 アンカーコート層
 10 ガスバリア性積層フィルム
 20 ガスバリア性積層フィルム

請求の範囲

[請求項1]
 フィルム基材と、無機蒸着層と、ポリ(メタ)アクリル酸の架橋物を含むガスバリア層と、を備えるガスバリア性積層フィルムであって、
 前記架橋物は、次亜リン酸ナトリウム(C)存在下でのアクリル酸系ポリマー(A)と糖質(B)との反応により形成され、
 前記アクリル酸系ポリマー(A)が、ポリ(メタ)アクリル酸、またはポリ(メタ)アクリル酸のカルボキシ基の0モル%より大きく25モル%以下が亜鉛により中和された部分中和物であり、
 前記糖質(B)の構造中のグリコシド結合の数が0個以上10個以下であり、
 前記アクリル酸系ポリマー(A)の未中和部分の固形分に対する前記次亜リン酸ナトリウム(C)の割合が10質量%以上25質量%以下であることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
[請求項2]
 前記無機蒸着層が、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、および酸化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1種から形成される、請求項1に記載のガスバリア性積層フィルム。
[請求項3]
 前記フィルム基材と前記無機蒸着層との間に形成され、0.01μm以上2μm以下の厚みを有するアンカーコート層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層フィルム。
[請求項4]
 フィルム基材と、無機蒸着層と、ポリ(メタ)アクリル酸の架橋物を含むガスバリア層とを備えるガスバリア性積層フィルムの製造方法であって、
 フィルム基材の少なくとも一方の面上に無機蒸着層を形成し、
 前記無機蒸着層上に、アクリル酸系ポリマー(A)と糖質(B)と次亜リン酸ナトリウム(C)と溶媒とを含む塗液を塗工し、
 180℃以上250℃以下の温度で300秒以下の熱処理を行ってガスバリア層を形成し、
 前記アクリル酸系ポリマー(A)が、ポリ(メタ)アクリル酸、またはポリ(メタ)アクリル酸のカルボキシ基の0モル%より大きく25モル%以下が亜鉛により中和された部分中和物であり、
 前記糖質(B)の構造中のグリコシド結合の数が0個以上10個以下であり、
 前記アクリル酸系ポリマー(A)の未中和部分の固形分に対する前記次亜リン酸ナトリウム(C)の割合が10質量%以上25質量%以下であることを特徴とするガスバリア性積層フィルムの製造方法。
[請求項5]
 前記フィルム基材の一方の面上に前記無機蒸着層を形成する前に、前記フィルム基材の前記一方の面上にアンカーコート層を形成し、前記アンカーコート層上に前記無機蒸着層を形成することを特徴とする請求項4に記載のガスバリア性積層フィルムの製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]