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1. WO2020162638 - COMPOSITION D’AMÉLIORATION DE MALADIES TUMORALES MALIGNES

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明 細 書

発明の名称 [規則26に基づく補充 02.03.2020] 悪性腫瘍疾患の改善用組成物

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046  

先行技術文献

特許文献

0047  

非特許文献

0048  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0049   0050   0051  

課題を解決するための手段

0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063  

発明の効果

0064   0065   0066  

図面の簡単な説明

0067  

発明を実施するための形態

0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091  

実施例

0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209  

産業上の利用可能性

0210  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27   28   29  

明 細 書

発明の名称 : [規則26に基づく補充 02.03.2020] 悪性腫瘍疾患の改善用組成物

技術分野

[0001]
 本発明は、悪性リンパ腫および多発性骨髄腫等などの悪性腫瘍治療および/または予防に有用なNF-κB誘導キナーゼ(NIK-MAP3K14としても知られている)を阻害する化合物に関する。また、本発明は、当該化合物を用いた悪性リンパ腫および多発性骨髄腫等などの悪性腫瘍等の予防・治療の組成物、医薬組成物、加工食品に関する。

背景技術

[0002]
 NF-κB(Nuclear factor kappa B)は、免疫応答、細胞増殖、アポトーシスおよび発癌に関与する各種遺伝子発現を調節する転写因子である。このNF-κBは5つのメンバー:NF-κBp65(p65)、RelB、c-Rel、NF-κB1(これは、前駆体p105と切断型p50の両方で存在する)およびNF-κB2(これは、前駆体p100と切断型p52の両方で存在する)から構成されている。主に、NF-κB1(切断型p50;NF-κBp50)とp65がヘテロダイマー、NF-κB2(切断型p52;NF-κBp52)とRelBがヘテロダイマーを形成する。
[0003]
 また、これらNF-κBヘテロダイマーの活性化はリン酸化反応およびタンパク質分解を含む連続事象によって厳密に制御されるシグナル伝達経路であり、古典的経路(Canonical経路)および非古典的経路(Non-canonical経路)の2つの経路に分類される。
[0004]
 NIKはセリン/スレオニンキナーゼであり、両方の経路で役割を担うが、非古典的なシグナル伝達経路では必須なものであり、IKKαをリン酸化することでNF-κBp100を部分分解し、NF-κBp52を遊離させる。
[0005]
 NF-κBp52はRelBとヘテロダイマーを形成することで、核内へと移行し、遺伝子を発現させる。さらに、古典的経路ではIKKα、IKKβおよびIKKγ複合体を活性化させることでp65とNF-κBp50のヘテロダイマーを形成させ、これが核内へと移行することで、遺伝子発現を調節する。
[0006]
 NIKはB細胞活性化因子(BAFF)、CD40リガンドおよび腫瘍壊死因子α(TNFα)などのリガンド等によって活性化され、これらのリガンドによるシグナル伝達経路の活性化にNIKが重要であることが示されている。その重要な役割のために、NIKの発現は厳密に調節されている。
[0007]
 通常の非刺激条件下では、ユビキチンリガーゼであるTNF受容体関連因子(TRAF)とNIKが相互作用することにより、NIKが分解されるため、細胞内におけるNIKタンパク量は少ない。非古典的経路がリガンドによって刺激されると、活性化された受容体により、TRAF-NIK複合体を解離させ、それによりNIK濃度が増加すると考えられている。(Thu and Richmond,Cytokine Growth F.R.2010,21,213-226:非特許文献1)。
[0008]
 BAFFはT細胞、単球/マクロファージ、樹状細胞等から産生・分泌され、B細胞上の3種類の受容体を介してB細胞の分化、活性化、生存等を制御することが知られている(Moore,et al., Science. 1999, 285,260-263:非特許文献2)。
[0009]
 BAFFの受容体としては、BAFF-R(BAFF-Receptor)、TACI(Taransmenbrane activator and calcium modulator and cyclophilin ligand interactor)およびBMCA(B cell maturation antigen)が知られている。
[0010]
 BAFF-RおよびBMCAは主にB細胞に発現しており、TACIはB細胞と活性化T細胞に発現している。BAFFとBAFF-Rとの相互作用はNIKを介した非古典的NF-κBシグナル伝達経路を活性化する。
[0011]
 多発性骨髄腫ではNF-κB経路が恒常的に活性化していることが示されている(Annuziata,et al.Cancer Cell.2007,12,115-130:非特許文献3およびDemchenko,et al.Blood.2010,115,3541-3552:非特許文献4)。また、多発性骨髄腫患者ではNIK遺伝子の増幅、TRAF遺伝子の欠失、TRAF遺伝子の点変異が認められることが示されており、これらによりNIKタンパク発現量が増加し、NIKを恒常的に活性化させることが、NF-κB経路を活性化する要因となっている。また、NIKをshRNA(NIK shRNA)で阻害することでNF-κB活性化を抑制し、多発性骨髄腫細胞株に細胞死を誘導することを示している(Annuziata,et al.Cancer Cell.2007,12,115-130:非特許文献3)。
[0012]
 また多発性骨髄腫患者では血清中のBAFF濃度が上昇していることが示されており、BAFFは単球やマクロファージからだけではなく、多発性骨髄腫細胞からも分泌されること、およびBAFFのオートクリンにより多発性骨髄腫細胞の増殖が亢進されることが報告されている(Sutherland,et al.,Pharmacol.Ther.2006,112,774-786:非特許文献5およびNovak,et al.,Blood.2004,103,689-694:非特許文献6)。
[0013]
 ホジキンリンパ腫患者でも同様にTRAF遺伝子の点変異及びNIKタンパク発現量の増加が認められることが示されており、これらにおいてもNIK shRNAにより細胞死誘導することが報告されている(Ranuncolo,et al.,Blood.2012,120,3756-3763:非特許文献7)。
[0014]
 さらに、成人T細胞白血病細胞でもNIKタンパク質の細胞質量が増加し、NIK shRNA処理でIn vivoにおける成人T細胞白血病の腫瘍増殖を抑制することが示されている(Saitoh,et al.,Blood.2008,111,5118-5129:非特許文献8)。
[0015]
 また、Mucosa associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫において染色体転座(t(11;18)(q21;q21))で産生されるAPI2-MALT1融合タンパク質がNIKの325番目のアルギニンの位置で、タンパク質切断を行うことで、NIKの恒常的活性化を誘導することが示さている。このNIKの恒常的活性化により非古典的NF-κB経路が活性化されることで、細胞接着及びアポトーシス抵抗性に関与する(Rosebeck,et al.,Science.2011,331,468-472;非特許文献9)。
[0016]
 びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)細胞では、BAFF刺激によりNIKが細胞質に高発現する。この高発現によるNIKの活性化は、リンパ腫の増殖に関与する重要なシグナル伝達機構であり、NIK shRNAによりIn vitroでNIK誘導NF-κB活性化を抑制してDLBCL細胞株の増殖を抑制することが示されている(Pham,et al.Blood.2011,117,200-210:非特許文献10)。
[0017]
 また、慢性Bリンパ腫患者から採取したBリンパ腫細胞においてBAFF発現が認められており、このBAFFにより薬剤誘導性アポトーシスが減少することが示されている(Kern,et al.,Blood.2004,103,679-688:非特許文献11)。BAFF過剰発現マウスではBリンパ腫の発生を誘導することも報告されている(Sutherland,et al.,Pharmacol.Ther.2006,112,774-786:非特許文献5)。
[0018]
 さらに、MALTリンパ腫、DLBCL、ホジキンリンパ腫およびバーキットリンパ腫患者の血清中およびリンパ腫細胞においてもBAFF発現が認められており、これによりリンパ腫の細胞増殖およびアポトーシス抵抗性を誘導すること、BAFF高発現リンパ腫患者において低発現患者と比較し、予後が不良であることも示されている(He,et al., J.Immunol.,2004,172,3268-3279:非特許文献12、Novak,et al.,Blood.2004,104,2247-2253:非特許文献13およびOki,et al,Haematologica.2007,92,269-270:非特許文献14)。
[0019]
 末梢Tリンパ腫患者から採取したTリンパ腫において、NIK発現が健常人から採取したT細胞と比較し高く、下流の非古典的NF-κB経路を活性化すること、核内でのNF-κB発現が高い患者は低い患者と比較し、予後不良であることが示されている。また、末梢Tリンパ腫細胞でNIK siRNA処理により、細胞死を誘導できることも示されている(Odqvist,et,al.,Clin.Cancer Res.2013,19,2319-2330:非特許文献15)。
[0020]
 腫瘍細胞の増殖におけるNIKの役割は造血器腫瘍に限らず、ある種の膵臓癌細胞株でNIKが高発現し、その細胞増殖はNIK siRNA処理で抑制されることが示されている(Nishina,et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.2009,388,96-101:非特許文献16)。
[0021]
 また、膵癌患者の血清中では健常人と比較し、BAFF濃度が高いこと、腫瘍増殖および病期の進行とBAFF濃度が相関していることも示されている。さらに、膵癌組織ではBAFF-Rが発現していること、NF-κBp52およびRelBが高発現していること、および膵癌組織の周囲に存在するBリンパ球がBAFFを産生していることも報告されている(Koizumi,et al.,PLoS One.2013,8,e71367:非特許文献17)。
[0022]
 Basal-likeの乳癌細胞株において、NIK高発現がNF-κBの恒常的活性化を誘導することが報告されている(Yamamoto,et al.,Cancer Sci.2010.101,2391-2397:非特許文献18)。
[0023]
 また、悪性黒色腫では組織マイクロアレイ解析による検討により、良性組織と比較して有意にNIK発現が高いことが示されており、NIK shRNAによりIn vivoにおいて腫瘍増殖の抑制、アポトーシス誘導、細胞周期停止が認められている(Thu,et al.,Oncogene.2012,31,2580-2592:非特許文献19)。
[0024]
 さらに、非小細胞肺癌組織および細胞株でNF-κBが活性化していることが示されており、NIK siRNA処理でアポトーシス誘導および足場非依存性細胞増殖を抑制することも認められている(Saitoh,et al.,Lung Cancer.2010,70,263-270:非特許文献20)。
[0025]
 肝癌患者および肝癌細胞株においてもNIKが高発現していることが示されており、NIK siRNA処理およびNIK発現を低下させるmiR-520eによりin vitroでの細胞増殖およびin vivoでの腫瘍増殖を抑制することが示されている(Zhang,et al.,Oncogene,2012,31,3607-3620:非特許文献21)。
[0026]
 ヘリコバクター・ピロリ菌は胃癌発症に深く関与することが知られており、この菌に感染した患者では胃感染部位でNIKが恒常的に活性化し、非古典的NF-κB経路を活性化することが示されている。また、NIKの活性化を抑制する変異体を導入した胃癌細胞ではヘリコバクター・ピロリ菌によるNF-κB活性化を抑制することも報告されている(Feige,et al.,Biochim.Biophys.Acta Mol.Cell Res.2018,1865,545-550:非特許文献22およびMaeda,et al,Gastroenterology.2000,119,97-108:非特許文献23)
[0027]
 非古典的NF-κB経路の活性化は結腸炎および結腸癌の発症と関連しており、NIKを負に調節するNLRP12を欠損させたマウスでは、NIK活性化を介して非古典的NF-κB経路が活性化し、結腸炎および結腸癌を誘発することが示されている。また、大腸癌患者においてNIKを負に調節するOLFM1の発現が癌部と比較し、非癌部で高いこと、大腸癌細胞でのNIK siRNA処理により細胞増殖および運動を抑制することが報告されている(Allen,et al.Immunity 2012,36,742-754:非特許文献24およびShi,et al.,J.Pathol.2016,240,352-365:非特許文献25)
[0028]
 頭頸部腫瘍細胞ではNIKおよびRelBが高発現しており、NIKおよびRelBのsiRNA処理により、腫瘍細胞の運動、浸潤を抑制することが示されている(Das,et al.,Mol.Carcinog.2018,In press:非特許文献26)。
[0029]
 腎癌患者において、NIKおよびRelBの過剰発現が認められており、発現が低い患者と比較し、10年生存率を低下させることが示されており、NIKの発現の状態が予後因子となることが報告されている(Lua,et al.,Urol.Int.2018,101,190-196:非特許文献27)。
[0030]
 グリオーマ細胞ではNIKの過剰発現が腫瘍形成を促進すること、また、NIK活性化による非古典的NF-κB経路活性化がグリオーマ細胞の運動、浸潤を亢進することが示されている(Cherry,et al.,Mol.Cancer.2015,14,9:非特許文献28)。
[0031]
 卵巣癌患者組織では、正常の卵巣組織と比較し、NIK mRNA発現が高いこと、また卵巣癌細胞においてNIK/NF-κB p52(非古典的)経路が活性化しており、NIK shRNA処理により足場依存性および非足場依存性の細胞増殖を抑制すること、さらに、in vivoにおける腫瘍増殖をNIK shRNAで抑制することが示されている(Uno,et al.,PLoS One.2014,9,e88347:非特許文献29)
[0032]
 子宮体癌患者においては、癌組織の分化度が低くなることおよび病気が進行するにつれNIKの活性化が高いことが示されており、NIKの活性化は癌細胞のアポトーシスを抑制すると報告されている(Zhou,et al.,Int.J.Gynecol.Cancer.2015,25,770-778:非特許文献30)。
[0033]
 以上のように、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫(MALTリンパ腫、DLBCL、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、成人T細胞白血病、末梢Tリンパ腫等)、膵癌、乳癌、悪性黒色腫、肺癌、肝癌、胃癌、大腸癌、頭頸部腫瘍、グリオーマ、腎癌、卵巣癌および子宮体癌等の悪性腫瘍では、BAFFの過剰発現およびNIKの過剰発現が生じ、NIKの活性化がNF-κBを活性化させることが、原因の疾患であるのは、すでに科学的常識であると言える。
[0034]
 したがって、BAFFによるNIK活性化およびNIK過剰発現に伴うNIKの活性化を阻害し、非古典的NF-κBシグナル伝達経路を抑制することができる医薬品等は、BAFF過剰発現、NIKおよび非古典的NF-κBシグナル伝達の過剰な活性化が認められる悪性腫瘍に対して治療効果を有する。
[0035]
 また、多発性骨髄腫では特徴的なCRAB(高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨病変)呼ばれる随伴症状を伴うことが知られている。
[0036]
 CRAB発症には多発性骨髄腫細胞が発現する単クローン性免疫グロブリン(Mタンパク)、免疫グロブリン遊離軽鎖、インターロイキン6(IL-6)およびMacrophage inflammatory protein 1α(MIP-1α)等の破骨細胞活性化因子が関与することが報告されている(Rajkumar,et al.,Lancet Oncol.2014,15,e538-548:非特許文献31;Harmer,et al.,Front.Endocrinol.2019,9,788:非特許文献32;Roussou,et al.,Leukemia.2009,23,2177-2181:非特許文献33)。
[0037]
 多発性骨髄腫によるMタンパクおよび免疫グロブリン遊離軽鎖は腎臓に沈着することで腎障害を引き起こすことが知られており、また、全身臓器にも沈着するため種々の臓器でアミロイドーシスを引き起こし、神経障害、不整脈等の多彩な症状を発症させる。さらに、血液においては過粘稠度症候群を引き起こす。
[0038]
 多発性骨髄腫でのIL-6分泌は破骨細胞への分化の亢進および破骨細胞を活性化させることが示されており、これにより骨病変が進行することが報告されている(Harmer,et al.,Front.Endocrinol.2019,9,788:非特許文献32)。また、多発性骨髄腫より分泌されるMIP-1αも破骨細胞への分化や活性化を亢進し、骨病変を亢進させることが示されている(Roussou,et al.,Leukemia.2009,23,2177-2181:非特許文献33;Tsubaki, et al.,J.Cell.Biochem.2010,111,1661-1672:非特許文献34)。これら因子による骨病変の進行により高カルシウム血症を発症することも報告されている(Lee, et al.,Intern.Med.J.2017,47,938-951:非特許文献35)。すなわち、破骨細胞活性化因子により、骨病変、骨病変に伴う高カルシウム血症、病的骨折、脊髄圧迫骨折、脊髄圧迫骨折に伴う脊髄圧迫症状、脊髄圧迫症状に伴う神経症状を発症する。
[0039]
 NF-κB2変異マウスにおいて、骨髄腫を発症し、Mタンパクの発現が亢進することが報告されている(McCarhty,et al.,BMC Cancer.2012,12,203:非特許文献36)。さらに、NF-κB経路の活性化は破骨細胞活性化因子であるIL-6およびMIP-1α等の発現を亢進することも報告されている(Vrabel,et al.,Blood Rev.2019,34,56-66:非特許文献37)。
[0040]
 以上のように、多発性骨髄腫では、NF-κB経路の活性化によりMタンパク発現および破骨細胞活性化因子による骨病変が発症するのは、すでに科学的常識であると言える。
[0041]
 したがって、NIK活性化およびNIK過剰発現に伴うNIKの活性化を阻害し、非古典的NF-κBシグナル伝達経路を抑制することができる医薬品等は、多発性骨髄腫によるMタンパクや免疫グロブリン遊離軽鎖発現亢進による腎障害、アミロイドーシス、過粘稠度症候群や破骨細胞活性化因子発現亢進による骨病変(骨破壊)、骨病変に伴う高カルシウム血症、病的骨折、脊髄圧迫骨折、脊髄圧迫骨折に伴う脊髄圧迫症状、脊髄圧迫症状に伴う神経症状に対して治療効果を有する。すなわちCRABに対して治療効果を有する。
[0042]
 特許文献1(特表2016-531858号公報)には、NIK阻害剤としての、3-(1H-ピラゾール-4-イル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン誘導体が開示されている。ここでは、当該化合物がNIK-MAP3K14としても知られているNF-κB誘導キナーゼの阻害剤であることが示され、当該化合物が癌の予防または治療に使用するための化合物であることが、特許権として認められている。
[0043]
 なお、特許文献1では、当該化合物はJJN-3、L-363、LP-1という3種の癌細胞(いずれも多発性骨髄腫細胞株)に対するEC50を実施例として挙げているだけである。以上のことからも、NIK阻害剤が広く悪性癌細胞への治療効果を有することは、技術常識として認識されている。
[0044]
 また、特許文献2(特開平7-082263号公報)には、(10)式の構造を有するキサントン化合物が抗癌活性を有する点の開示がある。
[0045]
[化1]


 なお、(R 1 ~R 7 :H、-OH、C1-6 アルキル、C1-6 アルコキシ、エポキシプロポキシ)、およびベンゾフェノン化合物を表す。
[0046]
 また、特許文献3(特開2017-031146号公報)には、マンギフェリンがNIKを阻害し、多発性骨髄腫および悪性黒色腫に有効があることが記載されている。以上のように、キサントン骨格を有する化合物は抗癌活性を有するものが見出されていた。

先行技術文献

特許文献

[0047]
特許文献1 : 特表2016-531858号公報
特許文献2 : 特開平7-082263号公報
特許文献3 : 特開2017-031146号公報

非特許文献

[0048]
非特許文献1 : Thu YM, Richmond A.: Cytokine Growth Factor Rev. 2010, 21, 213-226.
非特許文献2 : Moore PA, Belvedere O, Orr A, Pieri K, LaFleur DW, Feng P, Soppet D, Charters M, Gentz R, Parmelee D, Li Y, Galperina O, Giri J, Roschke V, Nardelli B, Carrell J, Sosnovtseva S, Greenfield W, Ruben SM, Olsen HS, Fikes J, Hilbert DM.: Science. 1999, 285, 260-263.
非特許文献3 : Annunziata CM, Davis RE, Demchenko Y, Bellamy W, Gabrea A, Zhan F, Lenz G, Hanamura I, Wright G, Xiao W, Dave S, Hurt EM, Tan B, Zhao H, Stephens O, Santra M, Williams DR, Dang L, Barlogie B, Shaughnessy JD Jr, Kuehl WM, Staudt LM.: Cancer Cell. 2007, 12, 115-130.
非特許文献4 : Demchenko YN, Glebov OK, Zingone A, Keats JJ, Bergsagel PL, Kuehl WM.: Blood. 2010, 115, 3541-3552.
非特許文献5 : Sutherland AP, Mackay F, Mackay CR.: Pharmacol Ther. 2006, 112, 774-786.
非特許文献6 : Novak AJ, Darce JR, Arendt BK, Harder B, Henderson K, Kindsvogel W, Gross JA, Greipp PR, Jelinek DF.: Blood. 2004, 103, 689-694.
非特許文献7 : Ranuncolo SM, Pittaluga S, Evbuomwan MO, Jaffe ES, Lewis BA.: Blood. 2012, 120, 3756-3763.
非特許文献8 : Saitoh Y, Yamamoto N, Dewan MZ, Sugimoto H, Martinez Bruyn VJ, Iwasaki Y, Matsubara K, Qi X, Saitoh T, Imoto I, Inazawa J, Utsunomiya A, Watanabe T, Masuda T, Yamamoto N, Yamaoka S.: Blood. 2008, 111, 5118-5129.
非特許文献9 : Rosebeck S, Madden L, Jin X, Gu S, Apel IJ, Appert A, Hamoudi RA, Noels H, Sagaert X, Van Loo P, Baens M, Du MQ, Lucas PC, McAllister-Lucas LM.: Science. 2011, 331, 468-472.
非特許文献10 : Pham LV, Fu L, Tamayo AT, Bueso-Ramos C, Drakos E, Vega F, Medeiros LJ, Ford RJ.: Blood. 2011, 117, 200-210.
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発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0049]
 特許文献1に示すようにNIKを抑制する薬剤は、化学物質が使用されているが、特許文献3のマンギフェリンを除いて投薬経路が静脈内投与である場合が多く、患者の負担が重いものとなっている。そこで、経口投与であっても、NIKを阻害し、悪性リンパ腫および多発性骨髄腫等などの悪性腫瘍を改善する治療薬および改善組成剤を提供することを目的とする。
[0050]
 また、特許文献3のマンギフェリンは経口投与によって効果を奏するが、必要な摂取量が多く、経口であっても、容易に摂取できなかった。そこで、より効果あるいは活性の高い治療薬および改善組成物が、求められた。
[0051]
 さらに、NIKなどのキナーゼを阻害する既存の薬剤の新しいまたは改良された形態が、悪性腫瘍を処置するためのより有効な医薬品等を開発するために、常に必要とされている。

課題を解決するための手段

[0052]
 本発明者らは、上記の課題を解決すべくNIKを阻害する化合物を探索したところ、キサントン骨格を有する物質の中に、これまで見出されていない構造を持つものを含め、NIK阻害作用を有するものを見出し、実際に悪性リンパ腫および多発性骨髄腫に細胞死を誘導することを確認した。
[0053]
 また、in vivoでの悪性リンパ腫および多発性骨髄腫の腫瘍増殖を顕著に抑制することを認めた。さらに、多発性骨髄腫の悪性度マーカーであるCD138の発現低下、B細胞マーカーであるCD20の発現増加を誘導することを認めるとともに多発性骨髄腫における単クローン性免疫グロブリン産生、免疫グロブリン遊離軽鎖産生、骨破壊誘導因子産生を阻害することも確認し、本発明を完成するに至った。
[0054]
 すなわち、本発明に係る悪性腫瘍疾患の改善組成物は、以下の(1)式、(2)式、(3)式、(4)式、(5)式、(6)式および(7)式の化合物を含むことを特徴とする。
[0055]
[化2]


[0056]
[化3]


[0057]
[化4]


[0058]
[化5]


[0059]
[化6]


[0060]
[化7]


[0061]
[化8]


[0062]
 また、上記の化合物を含む悪性腫瘍疾患の改善組成物は、NIK過剰発現が関与する悪性腫瘍疾患およびBAFF過剰発現が関与する悪性腫瘍疾患に対しても改善組成物として利用できる。また、悪性腫瘍疾患の治療薬としても利用できる。
[0063]
 また、上記の化合物は悪性腫瘍となった形質細胞をB細胞様へ脱分化誘導薬として利用できる。さらに、上記の化合物は、多発性骨髄腫では特徴的なCRAB(高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨病変)呼ばれる随伴症状を改善薬としても利用することができる。

発明の効果

[0064]
 本発明に係る悪性リンパ腫および多発性骨髄腫等などの悪性腫瘍治療剤および改善組成剤は、悪性リンパ腫および多発性骨髄腫等を改善させることができる。例えば悪性リンパ腫細胞および多発性骨髄腫細胞等の悪性腫瘍細胞に対して効果的に細胞死を誘導することができる。また、悪性腫瘍細胞に細胞死を誘導する濃度において正常細胞に影響を及ぼさない。
[0065]
 また、上述した悪性腫瘍は、NIKタンパクの過剰発現によって悪性腫瘍細胞の発生、増殖および生存を亢進することが考えられている。したがって、本発明に係る悪性リンパ腫、および多発性骨髄腫等などの悪性腫瘍改善組成物は、実施例で示される悪性腫瘍だけでなく、他の悪性腫瘍に対しても改善効果を有すると考えられる。
[0066]
 さらに、多発性骨髄腫に伴う単クローン性免疫グロブリン産生、免疫グロブリン遊離軽鎖産生および骨破壊誘導因子の産生を阻害することができる。したがって、これら産生に伴うMタンパクや免疫グロブリン遊離軽鎖発現亢進による腎障害、アミロイド―シス、過粘稠度症候群や破骨細胞活性化因子発現亢進による骨病変(骨破壊)、骨病変に伴う高カルシウム血症、病的骨折、脊髄圧迫骨折、脊髄圧迫骨折に伴う脊髄圧迫症状、脊髄圧迫症状に伴う神経症状を抑制することができる。すなわち、CRABの発現を抑制することができる。

図面の簡単な説明

[0067]
[図1] ノラチリオールの合成手順を示す図である。
[図2] Raji細胞を用いて、各薬剤による細胞死誘導効果についてトリパンブルーダイ法で検討した結果を示すグラフである。
[図3] CCRF-SB細胞を用いて、各薬剤による細胞死誘導効果についてトリパンブルーダイ法で検討した結果を示すグラフである。
[図4] Namalwa細胞を用いて、各薬剤による細胞死誘導効果についてトリパンブルーダイ法で検討した結果を示すグラフである。
[図5] Z138細胞を用いて、各薬剤による細胞死誘導効果についてトリパンブルーダイ法で検討した結果を示すグラフである。
[図6] SU-DHL-5細胞を用いて、各薬剤による細胞死誘導効果についてトリパンブルーダイ法で検討した結果を示すグラフである。
[図7] L363細胞を用いて、各薬剤による細胞死誘導効果についてトリパンブルーダイ法で検討した結果を示すグラフである。
[図8] KMS-28BM細胞を用いて、各薬剤による細胞死誘導効果についてトリパンブルーダイ法で検討した結果を示すグラフである。
[図9] ARH77細胞を用いて、各薬剤による細胞死誘導効果についてトリパンブルーダイ法で検討した結果を示すグラフである。
[図10] IM9細胞を用いて、各薬剤による細胞死誘導効果についてトリパンブルーダイ法で検討した結果を示すグラフである。
[図11] RPMI1788細胞を用いて、各薬剤による細胞死誘導効果についてトリパンブルーダイ法で検討した結果を示すグラフである。
[図12] IM9細胞を用いて、各薬剤によるNIK阻害作用について、イムノブロティングの結果を示す写真である。
[図13] IM9細胞を用いて、各薬剤により、NIKの下流シグナルであるIKK、NF-κB p65、NF-κB p52の活性化動態について、イムノブロティングの結果を示す写真である。
[図14] L363細胞を用いて、各薬剤によるCD138発現抑制についてFlow cytometryで検討した結果を示すパネルである。
[図15] L363細胞を用いて、各薬剤によるCD138発現抑制についてFlow cytometryで検討した結果を示すパネルである。
[図16] L363細胞を用いて、各薬剤によるCD20発現増加についてFlow cytometryで検討した結果を示すパネルである。
[図17] L363細胞を用いて、各薬剤によるCD20発現増加についてFlow cytometryで検討した結果を示すパネルである。
[図18] L363細胞を用いて、各薬剤によるIgG分泌抑制について酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)で検討した結果を示すグラフである。
[図19] L363細胞を用いて、各薬剤による免疫グロブリン遊離軽鎖のλ鎖の分泌抑制について、ELISA法で検討した結果である。
[図20] L363細胞を用いて、各薬剤による骨破壊関連因子抑制効果についてELISA法で検討した結果を示すグラフである。
[図21] KMS-28BM細胞を用いて、マンギフェリン、マンギフェリン8a、ノラチリオールによるCD138発現抑制についてFlow cytometryで検討した結果を示すパネルである。
[図22] KMS-28BM細胞を用いて、マンギフェリン、マンギフェリン8a、ノラチリオールによるCD20発現増加についてFlow cytometryで検討した結果を示すパネルである。
[図23] KMS-28BM細胞を用いて、マンギフェリン、マンギフェリン8a、ノラチリオールによるIgG分泌抑制についてELISA法で検討した結果を示すグラフである。
[図24] KMS-28BM細胞を用いて、マンギフェリン、マンギフェリン8a、ノラチリオールによる免疫グロブリン遊離軽鎖のλ鎖の分泌抑制についてELISA法で検討した結果を示すグラフである。
[図25] KMS-28BM細胞を用いて、マンギフェリン、マンギフェリン8a、ノラチリオールによる骨破壊関連因子抑制効果についてELISA法で検討した結果を示すグラフである。
[図26] Raji細胞をNOD/ShiJic-scidJclマウスに移植し、ノラチリオールを経口投与した場合の腫瘍増殖の経時変化を示すグラフである。
[図27] 図26で27日目の無処置のマウスの腫瘍を示す写真およびノラチリオールを投与したマウスの腫瘍を示す写真である。
[図28] L363細胞をNOD/ShiJic-scidJclマウスに移植し、ノラチリオールを経口投与した場合の腫瘍増殖の経時変化を示すグラフである。
[図29] 図28で8日目の無処置のマウスの腫瘍を示す写真およびノラチリオールを投与したマウスの腫瘍を示す写真である。

発明を実施するための形態

[0068]
 以下に本発明に係る悪性リンパ腫および多発性骨髄腫等などの悪性腫瘍改善組成物について説明を行う。なお、以下の説明は本発明の一実施の形態および一実施例についての例示であって、本発明は以下の説明に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、以下の実施の形態は変更することができる。
[0069]
 本発明に係る悪性リンパ腫および多発性骨髄腫等などの悪性腫瘍治療剤はキサントン骨格を有する(1)式、(2)式、(3)式、(4)式、(5)式、(6)式および(7)式で表される物質を有効成分として含む。(1)式は、1,2’,3’,4’,6-ペンタ-O-プロピオニルマンギフェリンであり、以下「マンギフェリン8a」と称する。なお、マンギフェリンを(8)式に示す。
[0070]
 また(2)式は、1,3,6,7-テトラヒドロキシキサントンであり、以下「ノラチリオール」と呼ぶ。(3)式は、1,3,5,6-テトラヒドロキシキサントンであり、以下「テトラヒドロキシキサントン」と呼ぶ。(4)式は、1,3,6-トリヒドロキシ-メトキシキサントンであり、以下「メトキシキサントン」と呼ぶ。(5)式は、9-ヒドロキシキサンテンであり、以下「キサントヒドロール」と呼ぶ。(6)式は、1,3,6-トリヒドロキシ-7-メトキシ-2,8-ビス(3-メチル-2-ブテン-1-イル)-9H-キサンテン-9-オンであり、以下「α-マンゴスチン」と呼ぶ。(7)式は、1,3,6,7-テトラヒドロキシ-2,8-ビス(3-メチル-2-ブテン-1-イル)-9H-キサンテン-9-オンであり、以下「γ-マンゴスチン」と呼ぶ。
[0071]
[化9]


[0072]
[化10]


[0073]
[化11]


[0074]
[化12]


[0075]
[化13]


[0076]
[化14]


[0077]
[化15]


[0078]
[化16]


[0079]
 マンギフェリン8aは、(1)式を見てわかるように、マンギフェリン((8)式参照)の一部のヒドロキシ基の位置にプロピオニル基をエーテル結合させたものである。この化合物は、以下の実施例でも示されるように、マンギフェリンよりも優れたNIKおよびIKK活性阻害を示し、悪性リンパ腫および多発性骨髄腫等の悪性腫瘍に対して高い細胞死誘導効果を示す。
[0080]
 ノラチリオール(CAS番号3542-72-1)はキサントン(CAS番号:90-47-1)の一部にヒドロキシ基をつけたものであり、マンギフェリン8a同様にキサントン骨格を有している。そして、マンギフェリン8a同様に、マンギフェリンよりもNIKおよびIKK活性阻害を示し、悪性リンパ腫および多発性骨髄腫等の悪性腫瘍に対して高い細胞死誘導効果を示す。
[0081]
 テトラヒドロキシキサントン(CAS番号5084-31-1)はキサントンの一部にヒドロキシ基をつけたものであり、マンギフェリン8a同様にキサントン骨格を有している。そして、マンギフェリン8a同様に、マンギフェリンよりもNIKおよびIKK活性阻害を示し、悪性リンパ腫および多発性骨髄腫等の悪性腫瘍に対して高い細胞死誘導効果を示す。
[0082]
 メトキシキサントン(CAS番号41357-84-0)はキサントンの一部にヒドロキシ基およびその一部のヒドロキシ基にメチル基をエーテル結合させたものであり、マンギフェリン8a同様にキサントン骨格を有している。そして、マンギフェリン8a同様に、マンギフェリンよりもNIKおよびIKK活性阻害を示し、悪性リンパ腫および多発性骨髄腫等の悪性腫瘍に対して高い細胞死誘導効果を示す。
[0083]
 キサントヒドロール(CAS番号96-46-0)はキサントンのケトンの位置がヒドロキシ基となっているものであり、キサントン骨格を有している。そして、マンギフェリン8a同様に、マンギフェリンよりもNIKおよびIKK活性阻害を示し、悪性リンパ腫および多発性骨髄腫等の悪性腫瘍に対して高い細胞死誘導効果を示す。
[0084]
 α-マンゴスチン(CAS番号6147-11-1)はキサントンの一部にビスメチルブテニル基およびヒドロキシ基を結合させたものであり、キサントン骨格を有している。そして、マンギフェリン8a同様に、マンギフェリンよりもNIKおよびIKK活性阻害を示し、悪性リンパ腫および多発性骨髄腫等の悪性腫瘍に対して高い細胞死誘導効果を示す。
[0085]
 γ-マンゴスチン(CAS番号96-46-0)はキサントンの一部にビスメチルブテニル基、ヒドロキシル基およびこのヒドロキシル基の一部にメチル基を結合させたものであり、キサントン骨格を有している。そして、マンギフェリン8a同様に、マンギフェリンよりもNIKおよびIKK活性阻害を示し、悪性リンパ腫および多発性骨髄腫等の悪性腫瘍に対して高い細胞死誘導効果を示す。
[0086]
 これらの化合物は、マンギフェリン同様に比較的低分子量化合物で、水に良く溶け、経口摂取が可能である。本発明に係る悪性腫瘍疾患の改善用組成物は、これら7つの化合物の少なくとも何れかを有効成分として含む。またその他の薬剤として許容される成分を含んでいて良い。
[0087]
 本発明に係る悪性腫瘍疾患の改善用組成物は、悪性腫瘍疾患治療薬(B細胞様への脱分化誘導薬やCARB改善薬を含む医薬組成物)として提供することが可能である。医薬組成物として本発明に係る組成物は、経口投与することで効果を発揮することができる。したがって、内用剤として提供することができる。例えば、粉末状の悪性腫瘍疾患改善用組成物を、カプセル剤、顆粒剤、散剤、錠剤等に製剤化して提供されうる。経口剤とする際には、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、矯味剤、防腐剤、抗酸化剤、安定化剤といった添加剤を加え、カプセル剤、顆粒剤、散剤、錠剤を常法によって製造することができる。
[0088]
 さらに、本発明に係る医薬組成物は、液剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル化剤、貼付剤、エアゾール剤といった外用剤に製剤化し、非経口投与してもよい。外用剤とする際には、水、低級アルコール、溶解補助剤、界面活性剤、乳化安定剤、ゲル化剤、粘着剤、その他必要とされる基剤成分を配合することができる。また、血管膨張剤、副腎皮質ホルモン、角質溶解剤、保湿剤、殺菌剤、抗酸化剤、清涼化剤、香料、色素といった添加剤を適宜配合してもよい。
[0089]
 また、本発明に係る悪性腫瘍疾患の改善用組成物は加工食品として提供することも可能である。つまり、本発明に係る悪性腫瘍疾患改善用組成物は加工食品として摂取しても、本発明に係る改善用組成物と同等の効果を奏する。
[0090]
 本発明に係る加工食品としては、例えば、飴、ガム、ゼリー、ビスケット、クッキー、煎餅、パン、麺、魚肉・畜肉練製品、茶、清涼飲料、コーヒー飲料、乳飲料、乳清飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト、アイスクリーム、プリン等といった嗜好食品や健康食品を含む一般加工食品だけでなく、厚生労働省の保健機能食品制度に規定された特定保健用食品や栄養機能食品などの保健機能食品を含み、さらに、栄養補助食品(サプリメント)、飼料、食品添加物等も加工食品に含まれる。
[0091]
 これらの加工食品の原料中に、悪性腫瘍疾患の改善用組成物を添加することで、本発明に係る加工食品を調製することができる。なお、これらの加工食品にノラチリオール、α-マンゴスチンおよびγ-マンゴスチンを添加する場合は、そもそも原料にノラチリオール、α-マンゴスチンおよびγ-マンゴスチンを含む材料を使用する場合は適用から除外される。以下実施例に基づいて本発明に係る悪性腫瘍疾患の改善用組成物を説明する。
実施例
[0092]
<実施例1:マンギフェリン8aの合成>
 マンギフェリン8aは、原料となる1,3,2’,3’,4’,6,6’,7-オクタ-O-プロピオニルマンギフェリンを合成し、それを元にさらに合成する2段階で得た。
(1)1,3,2’,3’,4’,6,6’,7-オクタ-O-プロピオニルマンギフェリンの合成
[0093]
 マンギフェリン(2.1g,4.98mmol)、無水プロピオン酸(12.8mL,99.4mmol)および乾燥ピリジン(60mL)を80°Cで5時間加熱した。反応液を氷水(400mL)に注加し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を氷冷した10%硫酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=1/1)を用いて精製し,(9)式の1,3,2’,3’,4’,6,6’,7-オクタ-O-プロピオニルマンギフェリン(3.71g,86%)を無色固体として得た。
[0094]
[化17]


[0095]
  H-NMR(800MHz,DMSO-d )δ:0.70-1.26(24H,m,COCH CH ),1.92-2.89(16H,m,COCH CH ),3.83-3.91(1H,m,H-6’a),4.05-4.15(2H,m,H-5’ and H-6’b),4.98-5.05(1H,m,H-4’),5.09-5.21(1H,m,H-1’),5.43-5.51(2H,m,H-3’ and H-2’),7.50-7.54(1H,m,H-4),7.68-7.71(1H,m,H-5),7.96-7.98(1H,m,H-8).
  13C-NMR(200MHz,DMSO-d )δ:8.68/8.77/8.79/8.92/8.95/8.98/9.00/9.01/9.04/9.06/9.17/9.19/9.28 (COCH CH ), 26.6/26.7/26.9/26.8/26.93/26.97/27.00/27.09/27.35/27.37 (COCH CH ), 62.1/62.2 (C6’),68.20/68.23 (C4’), 69.6/70.1(C2’), 70.9/71.3(C1’), 73.6/73.7 (C3’), 75.06/75.10 (C5’), 110.3/111.8 (C4), 111.7/112.6 (C9a), 113.3/113.4 (C5), 118.9/119.0 (C2), 119.7/119.7 (C8a), 120.36/120.40 (C8), 139.57/139.59 (C7’), 147.9 (C6), 149.1/150.9 (C1), 152.5/152.6 (C8b), 153.4/154.8 (C4a), 156.6/156.8 (C3), 171.09/171.13/171.15/171.20/171.72/171.79/171.82/171.93/172.37/172.44/172.78/172.87/173.16/173.23/173.26 (COCH CH ), 173.56/173.60 (C9).
 HRMS (FAB) m/z: [M+Na]  Calcd for C 435019Na 893.2844; Found 893.2883.
[0096]
(2)マンギフェリン8a(1,2’,3’,4’,6-ペンタ-O-プロピオニルマンギフェリン)の合成
 1,3,2’,3’,4’,6,6’,7-オクタ-O-プロピオニルマンギフェリン(3.7g,4.25mmol)、酢酸アンモニウム(3.8g,49.4mmol)、メタノール(80mL)および水(40mL)の混合溶液を室温で5.5時間撹拌した。反応液から減圧濃縮によりメタノールを留去した後、残渣を酢酸エチル(100mL)で希釈した。その混合物を、水および飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー[CHCl /CH OH(20:1)]を用いて精製して得た淡黄色固体(2.54g)をメタノール(80mL)に溶解し、活性炭で脱色して(1)式のマンギフェリン8a(2.16g,73%)を無色固体として得た。
[0097]
  H-NMR(800MHz,DMSO-d )δ::0.92-1.24(15H,m,COCH CH ),1.92-2.32(10H,m,COCH CH ),3.85(0.5H,dd-like,J=ca. 12.5,1.5,H-6a’),4.02-4.13(2H,m,H-5’,H-6a’,H-6b’),4.21(0.5H,dd,J=12.5,4.7,H-6b’),4.95(0.5H,d,J=10.0,H-1’),5.00(0.5H,dd,J=9.6,9.6,H-1’),5.01(0.5H,dd,J=9.6,9.6,H-4’),5.15(0.5H,d,J=10.0,H-1’),5.31(0.5H,dd,J=9.6,9.6,H-3’),5.39(0.5H,dd,J=9.6,9.6,H-3’),5.48(0.5H,dd,J=10.0,9.6,H-2’),5.84(0.5H,dd,J=10.0,9.6,H-2’),6.71/6.73(each 0.5H,s,H-4),6.79/6.80(each 0.5H,s,H-5),7.278/7.279(each 0.5H,s,H-8),9.00-11.5(3H,br s,OH×3).
  13C-NMR(200MHz,DMSO-d )δ::8.84/8.89/9.00/9.05/9.10/9.14/9.15/9.21/9.23 (COCH CH ), 26.7/26.92/26.96/26.98/27.04/27.08/27.12/27.4 (COCH CH ), 62.1/62.4 (C-6’), 68.2/68.4 (C-4’), 68.8/70.5 (C-2’), 71.0/71.1 (C-1’), 73.8/74.2 (C-3’), 74.7/75.3 (C-5’), 99.6/100.8 (C-4), 102.50/102.52 (C-5), 106.6/107.7 (C-9a), 109.1 (C-8), 113.4 (C-2), 114.0/114.1 (C-8a), 143.87/143.88 (C-7), 149.83/149.89 (C-6), 151.3 (C-1), 153.4 (C-8b), 157.6/157.7 (C-4a), 161.0/162.4 (C-3), 171.2/172.0/172.3/172.9/173.2/173.5/173.6 (COCH CH ) 172.7/172.8 (C-9).
 HRMS (FAB)m/z:[M+Na]  Calcd for C 3438NaO 16 725.2058; Found. 725.2074.
[0098]
<実施例2:ノラチリオールの合成>
ノラチリオールを非特許文献38の方法に従って合成した。
 本実施例に示す合成方法を簡単に説明すると次のとおりである。すなわち、文献記載(非特許文献38)の方法に従って、2,4,5-トリメトキシ安息香酸(化合物II)を塩化チオニルで処理して2,4,5-トリメトキシ安息香酸クロリド(化合物III)を得た。次に、得られた化合物(化合物III)と1,3,5-トリメトキシベンゼン(化合物IV)とのフリーデル-クラフト反応により2-ヒロドキシ-2’,4,4’,5,6’-ペンタメトキシベンゾフェノン(化合物V)を得た。さらに、この化合物(V)にテトラブチルアンモニウムヒドロキシドを処理して、1,3,6,7-テトラメトキシキサントン(化合物VI)を得、その後、脱メチル化を行い、ノラチリオール(化合物I)を収率39%で得た。
[0099]
 以下に、本実施例の合成経路を詳細に説明する。なお、図1を参照する。
(1)2,4,5-トリメトキシ安息香酸クロリド(化合物III)の製造方法
 2,4,5-トリメトキシ安息香酸(化合物II、8.49g、0.040mol)にアルゴン雰囲気下、室温で塩化チオニル(5mL)を徐々に加えて溶解させたのち、6時間加熱還流を行った。反応終了後、反応混合物を減圧下留去し、2,4,5-トリメトキシ安息香酸クロリド(化合物III、8.30g、90%)を得た。得られた化合物(III)は、ただちに次の反応へ用いた。
[0100]
(2)2-ヒロドキシ-2’,4,4’,5,6’-ペンタメトキシベンゾフェノン(化合物V)の製造方法
 上述のようにして得られた2,4,5-トリメトキシ安息香酸クロリド(化合物III、8.07g、0.035mol)、1,3,5-トリメトキシベンゼン(化合物IV、6.48g、0.0385mol)および無水ジエチルエーテル(500mL)の混合懸濁物にアルゴン雰囲気下、室温で塩化アルミニウム(16g)を徐々に加えた後、反応混合物を室温で48時間攪拌した。反応液を減圧下溶媒留去した後、残渣に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ひだ折りろ紙にて乾燥剤を濾別後、ろ液を減圧下溶媒留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=1:1,v/v)により精製し、2-ヒロドキシ-2’,4,4’,5,6’-ペンタメトキシベンゾフェノン(化合物V、8.43g、69%)を得た。
[0101]
(3)1,3,6,7-テトラメトキシキサントン(化合物VI)の製造方法
 上述のようにして得られた2-ヒロドキシ-2’,4,4’,5,6’-ペンタメトキシベンゾフェノン(化合物V、6.97g、0.020mol)をピリジン(10mL)と水(10mL)との混合溶媒を溶かし、40%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(5mL)を加えて6時間加熱還流を行った。得られた反応混合物を5%塩酸に注加した後、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ひだ折りろ紙にて乾燥剤を濾別後、ろ液を減圧下溶媒留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=1:1,v/v)により精製し、1,3,6,7-テトラメトキシキサントン(化合物VI、5.82g、92%)を得た。
[0102]
(4)ノラチリオール(化合物I)の製造方法
 上述のようにして得られた1,3,6,7-テトラメトキシキサントン(化合物VI、4.74g、0.015mol)とピリジン塩酸塩(5.00g)の混合物を6時間、200℃にて加熱攪拌した。得られた反応混合物を室温まで放冷後、5%塩酸に注加した後、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ひだ折りろ紙にて乾燥剤を濾別後、ろ液を減圧下溶媒留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=7:1,v/v)により精製し、(2)式のノラチリオール(化合物I、2.65g、68%)を得た。
[0103]
<実施例3:Raji細胞に対する各薬剤の細胞死誘導効果の検討>
 Raji細胞(悪性リンパ腫細胞株)は5%CO 、37℃の条件下で、培養を行った。培養液はRPMI-1640培地に100μg/mLペニシリン、100U/mLストレプトマイシンとウシ胎児血清を添加したものを用いた。Raji細胞を96-well plateに播種後、各濃度の薬剤を添加し、トリパンブルーダイ法により細胞生存率を測定した。結果を図2に示す。
[0104]
 なお、グラフ中で、マンギフェリン8a投与群は、「Mangiferin 8a」、ノラチリオール投与群は「Norathyriol」、テトラヒドロキサントン投与群は、「1,3,5,6-tetrahydroxyxanthone」、メトキシキサントン投与群は「1,3,6-trihydroxy-5-methoxyxanthone」、キサントヒドール投与群は「Xanthydrol」、α-マンゴスチン投与群は「α-mangostin」、γ-マンゴスチン投与群は「γ-mangostin」と示した(以下同じ)。
[0105]
 横軸は各薬剤の濃度を示し、縦軸は細胞生存率(%)を示す。また、試薬の溶解に用いた0.5%DMSO in PBSのみを添加したものをcontrolとした。いずれの薬剤においても濃度依存的に細胞生存率の低下が確認された。また、表1にIC50(半数阻害濃度:以下同じ)値を算出した結果を示す。マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群、テトラヒドロキシキサントン投与群、メトキシキサントン投与群、キサントヒドロール投与群、α-マンゴスチン投与群およびγ-マンゴスチン投与群では、マンギフェリンより低い濃度で細胞死を誘導することが認められた。
[0106]
[表1]


[0107]
<実施例4:CCRF-SB細胞に対する各薬剤の細胞死誘導効果の検討>
 CCRF-SB細胞(悪性リンパ腫細胞株)は5%CO 、37℃の条件下で、培養を行った。培養液はRPMI-1640培地に100μg/mLペニシリン、100U/mLストレプトマイシンとウシ胎児血清を添加したものを用いた。CCRF-SB細胞を96-well plateに播種後、各濃度の薬剤を添加し、トリパンブルーダイ法により細胞生存率を測定した。結果を図3に示す。
[0108]
 横軸は各薬剤の濃度を示し、縦軸は細胞生存率(%)を示す。また、試薬の溶解に用いた0.5%DMSO in PBSのみを添加したものをcontrolとした。いずれの薬剤においても濃度依存的に細胞生存率の低下が確認された。また、表2にIC50値を算出した結果を示す。マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群、テトラヒドロキシキサントン投与群、メトキシキサントン投与群、キサントヒドロール投与群、α-マンゴスチン投与群およびγ-マンゴスチン投与群では、マンギフェリンより低い濃度で細胞死を誘導することが認められた。
[0109]
[表2]


[0110]
<実施例5:Namalwa細胞に対する各薬剤の細胞死誘導効果の検討>
 Namalwa細胞(悪性リンパ腫細胞株)は5%CO 、37℃の条件下で、培養を行った。培養液はRPMI-1640培地に100μg/mLペニシリン、100U/mLストレプトマイシンとウシ胎児血清を添加したものを用いた。Namalwa細胞を96-well plateに播種後、各濃度の薬剤を添加し、トリパンブルーダイ法により細胞生存率を測定した。結果を図4に示す。
[0111]
 横軸は各薬剤の濃度を示し、縦軸は細胞生存率(%)を示す。また、試薬の溶解に用いた0.5%DMSO in PBSのみを添加したものをcontrolとした。いずれの薬剤においても濃度依存的に細胞生存率の低下が確認された。また、表3にIC50値を算出した結果を示す。マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群、テトラヒドロキシキサントン投与群、メトキシキサントン投与群、キサントヒドロール投与群、α-マンゴスチン投与群およびγ-マンゴスチン投与群では、マンギフェリンより低い濃度で細胞死を誘導することが認められた。
[0112]
[表3]


[0113]
<実施例6:Z138細胞に対する各薬剤の細胞死誘導効果の検討>
 Z138細胞(悪性リンパ腫細胞株)は5%CO 、37℃の条件下で、培養を行った。培養液はRPMI-1640培地に100μg/mLペニシリン、100U/mLストレプトマイシンとウシ胎児血清を添加したものを用いた。Z138細胞を96-well plateに播種後、各濃度の薬剤を添加し、トリパンブルーダイ法により細胞生存率を測定した。結果を図5に示す。
[0114]
 横軸は各薬剤の濃度を示し、縦軸は細胞生存率(%)を示す。また、試薬の溶解に用いた0.5%DMSO in PBSのみを添加したものをcontrolとした。いずれの薬剤においても濃度依存的に細胞生存率の低下が確認された。また、表4にIC50値を算出した結果を示す。マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群、テトラヒドロキシキサントン投与群、メトキシキサントン投与群、キサントヒドロール投与群、α-マンゴスチン投与群およびγ-マンゴスチン投与群では、マンギフェリンより低い濃度で細胞死を誘導することが認められた。
[0115]
[表4]


[0116]
<実施例7:SU-DHL-5細胞に対する各薬剤の細胞死誘導効果の検討>
 SU-DHL-5細胞(悪性リンパ腫細胞株)は5%CO 、37℃の条件下で、培養を行った。培養液はRPMI-1640培地に100μg/mLペニシリン、100U/mLストレプトマイシンとウシ胎児血清を添加したものを用いた。SU-DHL-5細胞を96-well plateに播種後、各濃度の薬剤を添加し、トリパンブルーダイ法により細胞生存率を測定した。結果を図6に示す。
[0117]
 横軸は各薬剤の濃度を示し、縦軸は細胞生存率(%)を示す。また、試薬の溶解に用いた0.5%DMSO in PBSのみを添加したものをcontrolとした。いずれの薬剤においても濃度依存的に細胞生存率の低下が確認された。また、表5にIC50値を算出した結果を示す。マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群、テトラヒドロキシキサントン投与群、メトキシキサントン投与群、キサントヒドロール投与群、α-マンゴスチン投与群およびγ-マンゴスチン投与群では、マンギフェリンより低い濃度で細胞死を誘導することが認められた。
[0118]
[表5]


[0119]
<実施例8:L363細胞に対する各薬剤の細胞死誘導効果の検討>
 L363細胞(多発性骨髄腫細胞株)は5%CO 、37℃の条件下で、培養を行った。培養液はRPMI-1640培地に100μg/mLペニシリン、100U/mLストレプトマイシンとウシ胎児血清を添加したものを用いた。L363細胞を96-well plateに播種後、各濃度の薬剤を添加し、トリパンブルーダイ法により細胞生存率を測定した。結果を図7に示す。
[0120]
 横軸は各薬剤の濃度を示し、縦軸は細胞生存率(%)を示す。また、試薬の溶解に用いた0.5%DMSO in PBSのみを添加したものをcontrolとした。いずれの薬剤においても濃度依存的に細胞生存率の低下が確認された。また、表6にIC50値を算出した結果を示す。マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群、テトラヒドロキシキサントン投与群、メトキシキサントン投与群、キサントヒドロール投与群、およびγ-マンゴスチン投与群では、マンギフェリンより低い濃度で細胞死を誘導することが認められた。
[0121]
[表6]


[0122]
<実施例9:KMS-28BM細胞に対する各薬剤の細胞死誘導効果の検討>
 KMS-28BM細胞(多発性骨髄腫細胞株)は5%CO 、37℃の条件下で、培養を行った。培養液はRPMI-1640培地に100μg/mLペニシリン、100U/mLストレプトマイシンとウシ胎児血清を添加したものを用いた。KMS-28BM細胞を96-well plateに播種後、各濃度の薬剤を添加し、トリパンブルーダイ法により細胞生存率を測定した。結果を図8に示す。
[0123]
 横軸は各薬剤の濃度を示し、縦軸は細胞生存率(%)を示す。また、試薬の溶解に用いた0.5%DMSO in PBSのみを添加したものをcontrolとした。いずれの薬剤においても濃度依存的に細胞生存率の低下が確認された。また、表7にIC50値を算出した結果を示す。マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群、テトラヒドロキシキサントン投与群、メトキシキサントン投与群、キサントヒドロール投与群、およびγ-マンゴスチン投与群では、マンギフェリンより低い濃度で細胞死を誘導することが認められた。
[0124]
[表7]


[0125]
<実施例10:ARH77細胞に対する各薬剤の細胞死誘導効果の検討>
 ARH77細胞(多発性骨髄腫腫細胞株)は5%CO 、37℃の条件下で、培養を行った。培養液はRPMI-1640培地に100μg/mLペニシリン、100U/mLストレプトマイシンとウシ胎児血清を添加したものを用いた。ARH77細胞を96-well plateに播種後、各濃度の薬剤を添加し、トリパンブルーダイ法により細胞生存率を測定した。結果を図9に示す。
[0126]
 横軸は各薬剤の濃度を示し、縦軸は細胞生存率(%)を示す。また、試薬の溶解に用いた0.5%DMSO in PBSのみを添加したものをcontrolとした。いずれの薬剤においても濃度依存的に細胞生存率の低下が確認された。また、表8にIC50値を算出した結果を示す。マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群、テトラヒドロキシキサントン投与群、メトキシキサントン投与群、キサントヒドロール投与群、α-マンゴスチン投与群およびγ-マンゴスチン投与群では、マンギフェリンより低い濃度で細胞死を誘導することが認められた。
[0127]
[表8]


[0128]
<実施例11:IM9細胞に対する各薬剤の細胞死誘導効果の検討>
 IM9細胞(多発性骨髄腫腫細胞株)は5%CO 、37℃の条件下で、培養を行った。培養液はRPMI-1640培地に100μg/mLペニシリン、100U/mLストレプトマイシンとウシ胎児血清を添加したものを用いた。IM9細胞を96-well plateに播種後、各濃度の薬剤を添加し、トリパンブルーダイ法により細胞生存率を測定した。結果を図10に示す。
[0129]
 横軸は各薬剤の濃度を示し、縦軸は細胞生存率(%)を示す。また、試薬の溶解に用いた0.5%DMSO in PBSのみを添加したものをcontrolとした。いずれの薬剤においても濃度依存的に細胞生存率の低下が確認された。また、表9にIC50値を算出した結果を示す。マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群、テトラヒドロキシキサントン投与群、メトキシキサントン投与群、キサントヒドロール投与群、α-マンゴスチン投与群およびγ-マンゴスチン投与群では、マンギフェリンより低い濃度で細胞死を誘導することが認められた。
[0130]
[表9]


[0131]
<実施例12:RPMI1788細胞に対する各薬剤の細胞死誘導効果の検討>
 RPMI1788細胞(正常Bリンパ球細胞株)は5%CO 、37℃の条件下で、培養を行った。培養液はRPMI-1640培地に100μg/mLペニシリン、100U/mLストレプトマイシンとウシ胎児血清を添加したものを用いた。RPMI1788細胞を96-well plateに播種後、各濃度の薬剤を添加し、トリパンブルーダイ法により細胞生存率を測定した。結果を図11に示す。
[0132]
 横軸は各薬剤の濃度を示し、縦軸は細胞生存率(%)を示す。また、試薬の溶解に用いた0.5%DMSO in PBSのみを添加したものをcontrolとした。いずれの薬剤においても細胞生存率の低下が認められなかった。また、表10にIC50値を算出した結果を示す。全ての薬剤でIC50値は100μM以上であった。
[0133]
 したがって、本発明に係る悪性腫瘍疾患の改善用組成物は正常細胞に影響を与えない濃度で悪性腫瘍細胞に対して細胞死を誘導することが分かった。
[0134]
[表10]


[0135]
<実施例13:各薬剤投与によるNIK活性化阻害の検討>
 IM9細胞を用いて各薬剤投与によるNIK阻害作用について、イムノブロテッィングで検討した結果、NIK活性化阻害作用を認めた(図12)。
[0136]
 IM9細胞を150cm フラスコに播種し、37℃、5%CO の条件下で72時間培養したもの(Control)、IM9細胞を150cm フラスコに播種し、24時間前培養後、100μM マンギフェリン、10μM マンギフェリン8a、10μM ノラチリオール、10μM メトキシキサントン、50μM テトラヒドロキシキサントン、10μM キサントヒドロール、50μM α-マンゴスチンおよび50μM γ-マンゴスチンの終濃度になるように添加し、37℃、5%CO の条件下で72時間培養した。これらの細胞浮遊液から細胞溶解液にてタンパク質を抽出し、サンプルとした。なお、NF-κB p65核移行阻害剤である50μM DMFを対象として用いた。
[0137]
 各サンプルをSDS-PAGE後、PVDF膜に転写し、抗phospho-NIK抗体および抗NIK抗体を用いてNIKのリン酸化を検討した。
[0138]
 イムノブロテッィングの結果を図12に示す。写真の横方向にはControl、50μM DMF、100μM マンギフェリン、10μM マンギフェリン8a、10μM ノラチリオール、10μM メトキシキサントン、50μM テトラヒドロキシキサントン、Control、10μM キサントヒドロール、50μM α-マンゴスチン、50μM γ-マンゴスチンを添加された場合を並べて示した。
[0139]
 縦方向には抗体種を示した。具体的には、抗phospho-NIK抗体の場合(「Phospho-NIK」と表示した)及び抗NIK抗体の場合(「NIK」と表示した)を示した。抗NIK抗体の写真ではControlと比較し、NIKのバンドの濃さの低下は認められなかった。一方、抗phospho-NIK抗体の場合は、マンギフェリン、マンギフェリン8a、ノラチリオール、メトキシキサントン、テトラヒドロキシキサントン、キサントヒドロール、α-マンゴスチンおよびγ-マンゴスチンではサンプルのイムノブロテッィングの結果は薄くなった。NF-κB p65核移行阻害剤であるDMFではControlと比較し、薄くはならなかった。
[0140]
<実施例14:各薬剤投与によるNIKの下流シグナルの検討>
 各薬剤投与により、NIKの下流シグナルであるIKK、NF-κB p52、NF-κB p65の活性化動態について検討した結果、IKKの活性阻害、NF-κB p52およびNF-κB p65の核移行阻害を認めた(図13)。
[0141]
 実施例13と同様に各サンプルを用意し、SDS-PAGE後、PVDF膜に転写し、抗phospho-IKK抗体および抗IKK抗体、抗NF-κBp52抗体および抗NF-κBp65抗体、抗Lamin抗体を用いてアッセイを行った。
[0142]
 イムノブロテッィングの結果を図13に示す。写真の横方向にはControl、50μM DMF、100μM マンギフェリン、10μM マンギフェリン8a、10μM ノラチリオール、10μM メトキシキサントン、50μM テトラヒドロキシキサントン、Control、10μM キサントヒドロール、50μM α-マンゴスチン、50μM γ-マンゴスチンを添加された場合を並べて示した。
[0143]
 縦方向には抗体種を示した。具体的には、抗phospho-IKK抗体(「Phospho-IKK」と記載)および抗IKK抗体(「IKK」と記載)、抗NF-κBp52抗体(「NF-κBp52nuclear」と記載)、抗NF-κBp65抗体(「NF-κBp65nuclear」と記載)および抗Lamin抗体(「Lamin」と記載)である。
[0144]
 また、細胞から核と細胞質基質を分離するのは、メルク株式会社製のProteoExtract(登録商標) Subcellular Proteome Extraction Kitを用いて細胞質分画および核分画を抽出した。
[0145]
 抗IKK抗体の写真ではControlと比較し、IKKのバンドの濃さの低下は認められなかった。一方、抗phospho-IKK抗体の場合は、マンギフェリン、マンギフェリン8a、ノラチリオール、メトキシキサントン、テトラヒドロキシキサントン、キサントヒドロール、α-マンゴスチンおよびγ-マンゴスチンではサンプルのイムノブロテッィングの結果は薄くなった。NF-κB p65核移行阻害剤であるDMFではControlと比較し、薄くはならなかった。
[0146]
 次に、細胞核内物質に対する抗NF-κBp52抗体(「NF-κBp52nuclear」と記載)、抗NF-κBp65抗体(「NF-κBp65nuclear」と記載)、および抗Lamin抗体(「Lamin」と記載)を参照する。Laminは、全ての薬剤に係らず存在しているが、核内のNF-κBp52はマンギフェリン、マンギフェリン8a、ノラチリオール、メトキシキサントン、テトラヒドロキシキサントン、キサントヒドロール、α-マンゴスチンおよびγ-マンゴスチンで薄くなっているのが確認できたが、DMFではControlと比較し、増加が認められた。また、核内のNF-κBp65は、全ての薬剤で、減少した(影が薄くなった)。
[0147]
 ラミン(Lamin)は、細胞核内で構造の維持と転写の調節を行う繊維状タンパク質である。したがって、全てのサンプルで核内物質を検出している状態で、各薬剤を添加した場合には核内のNF-κBp65やNF-κBp52は存在しない若しくは、存在しても非常に少ないことを示している。
[0148]
<実施例15:L363細胞での各薬剤投与によるCD138発現抑制効果>
 L363細胞を用いて各薬剤投与によるCD138発現抑制作用について、Flow cytometryで検討した結果、CD138発現抑制作用を認めた。
[0149]
 L363細胞を75cm フラスコに播種し、37℃、5%CO の条件下で10日間培養したもの(Control)、L363細胞を75cm フラスコに播種し、4時間前培養後、50μM マンギフェリン、1μM マンギフェリン8a、1μM ノラチリオール、5μM テトラヒドロキシキサントン、5μM メトキシキサントン、1μM キサントヒドロール、50μM α-マンゴスチンおよび5μM γ-マンゴスチンの終濃度になるように添加し、37℃、5%CO の条件下で10日間培養した。10日間培養後、細胞を多発性骨髄腫の悪性度マーカーである抗CD138抗体を用いて染色し、BD LSRFortessaを用いて、CD138の発現を測定した。
[0150]
 結果を図14および図15に示す。横軸はCD138の発現量を表し、縦軸は細胞数を表す。また、パネル内の実線は抗CD138抗体および薬剤を処理していないNegative control、点線は薬剤を処理せず、抗CD138抗体で処理したPositive control、破線は薬剤および抗CD138抗体を処理したものを示す。
[0151]
 薬剤および抗CD138抗体無処理のNegative control群と比較し、Positive controlではCD138発現が顕著に増加していた。マンギフェリン投与群(図14(a))、マンギフェリン8a投与群(図14(b))、ノラチリオール投与群(図14(c))、テトラヒドロキシキサントン投与群、(図14(d))、メトキシキサントン投与群、(図15(e))、キサントヒドロール投与群(図15(f))、α-マンゴスチン投与群(図15(g))、γ-マンゴスチン投与群(図15(h))ではPositive controlと比較し、顕著にCD138発現量が低下し、ほぼNegative controlと同程度になっていた。すなわち、マンギフェリン、マンギフェリン8a、ノラチリオール、テトラヒドロキシキサントン、メトキシキサントン、キサントヒドロール、α-マンゴスチン、γ-マンゴスチンは多発性骨髄腫の悪性度マーカーであるCD138発現を抑制することが分かった。
[0152]
<実施例16:L363細胞での各薬剤投与によるCD20発現増加効果>
 L363細胞を用いて各薬剤投与によるCD20発現増加作用について、Flow cytometryで検討した結果、CD20発現増加作用を認めた。
[0153]
 L363細胞を75cm フラスコに播種し、37℃、5%CO の条件下で10日間培養したもの(Control)、L363細胞を75cm フラスコに播種し、4時間前培養後、50μM マンギフェリン、1μM マンギフェリン8a、1μM ノラチリオール、5μM テトラヒドロキシキサントン、5μM メトキシキサントン、1μM キサントヒドロール、50μM α-マンゴスチンおよび5μM γ-マンゴスチンの終濃度になるように添加し、37℃、5%CO の条件下で10日間培養した。10日間培養後、細胞をB細胞マーカーである抗CD20抗体を用いて染色し、BD LSRFortessaを用いて、CD20の発現を測定した。なお、CD20陽性コントロールとしてCCRF-SB細胞を用いた。
[0154]
 結果を図16および図17に示す。横軸はCD20の発現量を表し、縦軸は細胞数を表す。また、パネル内の実線は抗CD20抗体および薬剤を処理していないNegative control、点線は薬剤を処理せず、抗CD20抗体で処理したPositive control、破線は薬剤および抗CD20抗体を処理したものを示す。一点鎖線はCCRF-SB細胞を抗CD20抗体で処理したものを示す。
[0155]
 薬剤および抗CD20抗体無処理のNegative control群と比較し、Positive controlではCD20発現がほとんど増加しておらず、Negative controlと同程度であった。つまり、L363細胞はCD20を発現していないことが分かる。一方、CD20陽性コントロールとして用いたCCRF-SB細胞ではL363細胞のNegative controlおよびPositive controlと比較して、CD20発現が顕著に増加していた。このことはCCRF-SB細胞がCD20を発現していることを示す。
[0156]
 さらに、マンギフェリン投与群(図16(a))、マンギフェリン8a投与群(図16(b))、ノラチリオール投与群(図16(c))、テトラヒドロキシキサントン投与群、(図16(d))メトキシキサントン投与群(図17(e))、キサントヒドロール投与群(図17(f))、α-マンゴスチン投与群(図17(g))、γ-マンゴスチン投与群(図17(h))ではPositive controlと比較し、顕著にCD20発現量が増加していた。
[0157]
 すなわち、マンギフェリン、マンギフェリン8a、ノラチリオール、テトラヒドロキシキサントン、メトキシキサントン、キサントヒドロール、α-マンゴスチン、γ-マンゴスチンは多発性骨髄腫の悪性度マーカーである抗CD138抗体を抑制し、B細胞マーカーであるCD20発現を増加させた。結果、上記の物質は、多発性骨髄腫細胞をB細胞様へ転換することが分かった。
[0158]
 多発性骨髄腫では、通常、CD20は発現しておらず、CD20に結合して抗腫瘍効果を発揮する抗CD20抗体リツキシマブの効果は認められない。しかし、本発明に係るマンギフェリン8a、ノラチリオール、テトラヒドロキシキサントン、メトキシキサントン、キサントヒドロール、α-マンゴスチン、γ-マンゴスチンを含む組成物によるCD20の発現増加は、リツキシマブが細胞に結合することを可能にし、抗腫瘍効果を発揮することができる。すなわち、上記の物質によって多発性骨髄腫をB細胞様に転換させることで、リツキシマブによる抗腫瘍効果を期待することができる。
[0159]
 なお、マンギフェリン8a、ノラチリオール、テトラヒドロキシキサントン、メトキシキサントン、キサントヒドロール、α-マンゴスチン、γ-マンゴスチンを含む組成物とリツキシマブを用いた多発性骨髄腫の改善は本発明としてもよい。
[0160]
<実施例17:L363細胞での各薬剤投与によるIgG分泌抑制効果>
 L363細胞を用いて各薬剤投与によるIgG分泌抑制作用について、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)で検討した結果、IgG分泌抑制作用を認めた。
[0161]
 L363細胞を75cm フラスコに播種し、37℃、5%CO の条件下で10日間培養したもの(Control)、L363細胞を75cm フラスコに播種し、4時間前培養後、50μM マンギフェリン、1μM マンギフェリン8a、1μM ノラチリオール、5μM テトラヒドロキシキサントン、5μM メトキシキサントン、1μM キサントヒドロール、50μM α-マンゴスチンおよび5μM γ-マンゴスチンの終濃度になるように添加し、37℃、5%CO の条件下で10日間培養した。10日間培養後、培養上清を回収し、ELISAによってIgG分泌量を測定した。この測定にはヒト抗IgG抗体ELISAキット(フナコシ)を用いて行った。
[0162]
 結果を図18に示す。横軸はサンプル群を表し、縦軸はIgG分泌量(ng/mL)を表す。ControlではIgGが2861ng/mLであるのに対し、マンギフェリン投与群、マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群、テトラヒドロキシキサントン投与群、メトキシキサントン投与群、キサントヒドロール投与群、α-マンゴスチン投与群、γ-マンゴスチン投与群ではそれぞれ、140ng/mL、40ng/mL、59ng/mL、145ng/mL、67ng/mL、106ng/mL、24ng/mL、61ng/mLであった。
[0163]
 以上のようにマンギフェリン投与群はIgGの分泌を低下させることが認められ、マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群、テトラヒドロキシキサントン投与群、メトキシキサントン投与群、キサントヒドロール投与群、α-マンゴスチン投与群、γ-マンゴスチン投与群ではマンギフェリン投与群よりも低用量で顕著にIgG分泌を抑制することが分かった。
[0164]
 すなわち、対照群はIgG産生により腎障害、アミロイドーシス、過粘稠度症候群を引き起こし、マンギフェリン投与群、マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群、テトラヒドロキシキサントン投与群、キサントヒドロール投与群、α-マンゴスチン投与群、γ-マンゴスチン投与群は、腎障害、アミロイドーシス、過粘稠度症候群を抑制したといえる。
[0165]
<実施例18:L363細胞での各薬剤投与による免疫グロブリン遊離軽鎖のλ鎖の分泌抑制効果>
 L363細胞を用いて各薬剤投与による免疫グロブリン遊離軽鎖のλ鎖の分泌抑制作用について、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)で検討した結果、免疫グロブリン遊離軽鎖のλ鎖の分泌抑制作用を認めた。
[0166]
 L363細胞を75cm フラスコに播種し、37℃、5%CO の条件下で10日間培養したもの(Control)、L363細胞を75cm フラスコに播種し、4時間前培養後、50μM マンギフェリン、1μM マンギフェリン8a、1μM ノラチリオール、5μM テトラヒドロキシキサントン、5μM メトキシキサントン、1μM キサントヒドロール、50μM α-マンゴスチンおよび5μM γ-マンゴスチンの終濃度になるように添加し、37℃、5%CO の条件下で10日間培養した。10日間培養後、培養上清を回収し、ELISAによって免疫グロブリン遊離軽鎖のλ鎖分泌量を測定した。この測定にはヒト抗λ鎖抗体ELISAキット(フナコシ)を用いて行った。
[0167]
 結果を図19に示す。横軸はサンプル群を表し、縦軸はλ鎖分泌量(μg/L)を表す。ControlではIgGが142μg/Lであるのに対し、マンギフェリン投与群、マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群、テトラヒドロキシキサントン投与群、メトキシキサントン投与群、キサントヒドロール投与群、α-マンゴスチン投与群、γ-マンゴスチン投与群ではそれぞれ、30μg/L、23μg/L、23μg/L、33μg/L、31μg/L、29μg/L、30μg/L、31μg/Lであった。
[0168]
 以上のようにマンギフェリン投与群はλ鎖の分泌を低下させることが認められ、マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群、テトラヒドロキシキサントン投与群、メトキシキサントン投与群、キサントヒドロール投与群、α-マンゴスチン投与群、γ-マンゴスチン投与群ではマンギフェリン投与群よりも低用量で顕著にλ鎖分泌を抑制することが分かった。すなわち、対照群はλ鎖産生により腎障害、アミロイドーシス、過粘稠度症候群を引き起こし、マンギフェリン投与群、マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群、テトラヒドロキシキサントン投与群、キサントヒドロール投与群、α-マンゴスチン投与群、γ-マンゴスチン投与群は、腎障害、アミロイドーシス、過粘稠度症候群を抑制したといえる。
[0169]
<実施例19:L363細胞での各薬剤投与による骨破壊関連因子の分泌抑制効果>
 L363細胞を用いて各薬剤投与による骨破壊関連因子の分泌抑制作用について、Luminexで検討した結果、骨破壊関連因子の分泌抑制作用を認めた。
[0170]
 L363細胞を75cm フラスコに播種し、37℃、5%CO の条件下で10日間培養したもの(Control)、L363細胞を75cm フラスコに播種し、4時間前培養後、50μM マンギフェリン、1μM マンギフェリン8a、1μM ノラチリオール、5μM テトラヒドロキシキサントン、5μM メトキシキサントン、1μM キサントヒドロール、50μM α-マンゴスチンおよび5μM γ-マンゴスチンの終濃度になるように添加し、37℃、5%CO の条件下で10日間培養した。10日間培養後、培養上清を回収し、Luminexによって骨破壊関連因子であるMIP-1αの分泌量を測定した。この測定にはHuman Magnetic Luminex Assay(R&D)を用いて行った。
[0171]
 結果を図20に示す。横軸はサンプル群を表し、縦軸はMIP-1αの分泌量(pg/mL)を表す。ControlではMIP-1αの分泌量が245pg/mLであった。また、マンギフェリン投与群、マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群、テトラヒドロキシキサントン投与群、メトキシキサントン投与群、キサントヒドロール投与群、α-マンゴスチン投与群、γ-マンゴスチン投与群ではMIP-1α分泌量はそれぞれ、0pg/mL、0pg/mL、0pg/mL、0pg/mL、0.73pg/mL、0pg/mL、0pg/mL、0pg/mLであった。
[0172]
 以上のようにマンギフェリン投与群はMIP-1αの分泌を低下させることが認められ、マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群、テトラヒドロキシキサントン投与群、メトキシキサントン投与群、キサントヒドロール投与群、α-マンゴスチン投与群、γ-マンゴスチン投与群ではマンギフェリン投与群よりも低用量で顕著にMIP-1α分泌を抑制することが分かった。すなわち、対照群はMIP-1α産生により骨病変(骨破壊)、骨病変に伴う高カルシウム血症、病的骨折、脊髄圧迫骨折、脊髄圧迫骨折に伴う脊髄圧迫症状、脊髄圧迫症状に伴う神経症状を引き起こし、マンギフェリン投与群、マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群、テトラヒドロキシキサントン投与群、キサントヒドロール投与群、α-マンゴスチン投与群、γ-マンゴスチン投与群は、骨病変(骨破壊)、骨病変に伴う高カルシウム血症、病的骨折、脊髄圧迫骨折、脊髄圧迫骨折に伴う脊髄圧迫症状、脊髄圧迫症状に伴う神経症状を抑制したといえる。
[0173]
<実施例20:KMS-28BM細胞での各薬剤投与によるCD138発現抑制効果>
 KMS-28BM細胞を用いて各薬剤投与によるCD138発現抑制作用について、Flow cytometryで検討した結果、CD138発現抑制作用を認めた。
[0174]
 KMS-28BM細胞を75cm フラスコに播種し、37℃、5%CO の条件下で10日間培養したもの(Control)、KMS-28BM細胞を75cm フラスコに播種し、4時間前培養後、1μM マンギフェリン、0.1μM マンギフェリン8a、0.05μM ノラチリオールの終濃度になるように添加し、37℃、5%CO の条件下で10日間培養した。10日間培養後、細胞を多発性骨髄腫の悪性度マーカーである抗CD138抗体を用いて染色し、BD LSRFortessaを用いて、CD138の発現を測定した。
[0175]
 結果を図21に示す。横軸はCD138の発現量を表し、縦軸は細胞数を表す。また、パネル内の実線は抗CD138抗体および薬剤を処理していないNegative control、点線は薬剤を処理せず、抗CD138抗体で処理したPositive control、破線は薬剤および抗CD138抗体を処理したものを示す。薬剤および抗CD138抗体無処理のNegative control群と比較し、Positive controlではCD138発現が顕著に増加していた。
[0176]
 マンギフェリン投与群(図21(a))、マンギフェリン8a投与群(図21(b))、ノラチリオール投与群(図21(c))ではPositive controlと比較し、顕著にCD138発現量が低下し、ほぼNegative controlと同程度になっていた。すなわち、マンギフェリン、マンギフェリン8a、ノラチリオールは多発性骨髄腫の悪性度マーカーであるCD138発現を抑制することが分かった。
[0177]
<実施例21:KMS-28BM細胞での各薬剤投与によるCD20発現増加効果>
 KMS-28BM細胞を用いて各薬剤投与によるCD20発現増加作用について、Flow cytometryで検討した結果、CD20発現増加作用を認めた。
[0178]
 KMS-28BM細胞を75cm フラスコに播種し、37℃、5%CO の条件下で10日間培養したもの(Control)、KMS-28BM細胞を75cm フラスコに播種し、4時間前培養後、1μM マンギフェリン、0.1μM マンギフェリン8a、0.05μM ノラチリオールの終濃度になるように添加し、37℃、5%CO の条件下で10日間培養した。10日間培養後、細胞をB細胞マーカーである抗CD20抗体を用いて染色し、BD LSRFortessaを用いて、CD20の発現を測定した。なお、CD20陽性コントロールとしてCCRF-SB細胞を用いた。
[0179]
 結果を図22に示す。横軸はCD20の発現量を表し、縦軸は細胞数を表す。また、パネル内の実線は抗CD20抗体および薬剤を処理していないNegative control、点線は薬剤を処理せず、抗CD20抗体で処理したPositive control、破線は薬剤および抗CD20抗体を処理したものを示す。一点鎖線はCCRF-SB細胞を抗CD20抗体で処理したものを示す。
[0180]
 薬剤および抗CD20抗体無処理のNegative control群と比較し、Positive controlではCD20発現がほとんど増加しておらず、Negative controlと同程度であった。つまり、KMS-28BM細胞はCD20を発現していないことが分かる。一方、CD20陽性コントロールとして用いたCCRF-SB細胞ではKMS-28BM細胞のNegative controlおよびPositive controlと比較して、CD20発現が顕著に増加していた。このことはCCRF-SB細胞がCD20を発現していることを示す。さらに、マンギフェリン投与群(図22(a))、マンギフェリン8a投与群(図22(b))、ノラチリオール投与群(図22(c))ではPositive controlと比較し、顕著にCD20発現量が増加していた。
[0181]
 すなわち、マンギフェリン、マンギフェリン8a、ノラチリオールは多発性骨髄腫の悪性度マーカーである抗CD138抗体を抑制し、B細胞マーカーであるCD20発現を増加させた。結果、上記の物質は、多発性骨髄腫細胞(KMS-28BM細胞)をB細胞様へ転換することが分かった。
[0182]
<実施例22:KMS-28BM細胞での各薬剤投与によるIgG分泌抑制効果>
 KMS-28BM細胞を用いて各薬剤投与によるIgG分泌抑制作用について、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)で検討した結果、IgG分泌抑制作用を認めた。
[0183]
 KMS-28BM細胞を75cm フラスコに播種し、37℃、5%CO の条件下で10日間培養したもの(Control)、KMS-28BM細胞を75cm フラスコに播種し、4時間前培養後、1μM マンギフェリン、0.1μM マンギフェリン8a、0.05μM ノラチリオールの終濃度になるように添加し、37℃、5%CO の条件下で10日間培養した。10日間培養後、培養上清を回収し、ELISAによってIgG分泌量を測定した。この測定にはヒト抗IgG抗体ELISAキット(フナコシ)を用いて行った。
[0184]
 結果を図23に示す。横軸はサンプル群を表し、縦軸はIgG分泌量(ng/mL)を表す。ControlではIgGが2018ng/mLであるのに対し、マンギフェリン投与群、マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群ではそれぞれ、106ng/mL、40ng/mL、0ng/mLであった。
[0185]
 以上のようにマンギフェリン投与群はIgGの分泌を低下させることが認められ、マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群ではマンギフェリン投与群よりも低用量で顕著にIgG分泌を抑制することが分かった。すなわち、対照群はIgG産生により腎障害、アミロイドーシス、過粘稠度症候群を引き起こし、マンギフェリン投与群、マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群は、腎障害、アミロイドーシス、過粘稠度症候群を抑制したといえる。
[0186]
<実施例23:KMS-28BM細胞での各薬剤投与による免疫グロブリン遊離軽鎖のλ鎖の分泌抑制効果>
 KMS-28BM細胞を用いて各薬剤投与による免疫グロブリン遊離軽鎖のλ鎖の分泌抑制作用について、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)で検討した結果、免疫グロブリン遊離軽鎖のλ鎖の分泌抑制作用を認めた。
[0187]
 KMS-28BM細胞を75cm フラスコに播種し、37℃、5%CO の条件下で10日間培養したもの(Control)、KMS-28BM細胞を75cm フラスコに播種し、4時間前培養後、1μMマンギフェリン、0.1μMマンギフェリン8a、0.05μMノラチリオールの終濃度になるように添加し、37℃、5%CO の条件下で10日間培養した。10日間培養後、培養上清を回収し、ELISAによって免疫グロブリン遊離軽鎖のλ鎖分泌量を測定した。この測定にはヒト抗λ鎖抗体ELISAキット(フナコシ)を用いて行った。
[0188]
 結果を図24に示す。横軸はサンプル群を表し、縦軸はλ鎖分泌量(μg/L)を表す。ControlではIgGが16μg/Lであるのに対し、マンギフェリン投与群、マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群ではそれぞれ、0μg/L、0μg/L、6.9μg/Lであった。
[0189]
 以上のようにマンギフェリン投与群はλ鎖の分泌を低下させることが認められ、マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群ではマンギフェリン投与群よりも低用量で顕著にλ鎖分泌を抑制することが分かった。すなわち、対照群はλ鎖産生により腎障害、アミロイドーシス、過粘稠度症候群を引き起こし、マンギフェリン投与群、マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群は、腎障害、アミロイドーシス、過粘稠度症候群を抑制したといえる。
[0190]
<実施例24:KMS-28BM細胞での各薬剤投与による骨破壊関連因子の分泌抑制効果>
 KMS-28BM細胞を用いて各薬剤投与による骨破壊関連因子の分泌抑制作用について、Luminexで検討した結果、骨破壊関連因子の分泌抑制作用を認めた。
[0191]
 KMS-28BM細胞を75cm フラスコに播種し、37℃、5%CO の条件下で10日間培養したもの(Control)、KMS-28BM細胞を75cm フラスコに播種し、4時間前培養後、1μM マンギフェリン、0.1μM マンギフェリン8a、0.05μM ノラチリオールの終濃度になるように添加し、37℃、5%CO の条件下で10日間培養した。10日間培養後、培養上清を回収し、Luminexによって骨破壊関連因子であるIL-6の分泌量を測定した。この測定にはHuman Magnetic Luminex Assay(R&D)を用いて行った。
[0192]
 結果を図25に示す。横軸はサンプル群を表し、縦軸はIL-6の分泌量(pg/mL)を表す。ControlではIL-6の分泌量が153pg/mLであった。また、マンギフェリン投与群、マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群ではIL-6分泌量はそれぞれ、36pg/mL、28pg/mL、43pg/mLであった。
[0193]
 以上のようにマンギフェリン投与群はIL-6の分泌を低下させることが認められ、マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群ではマンギフェリン投与群よりも低用量で顕著にIL-6分泌を抑制することが分かった。すなわち、対照群はIL-6産生により骨病変(骨破壊)、骨病変に伴う高カルシウム血症、病的骨折、脊髄圧迫骨折、脊髄圧迫骨折に伴う脊髄圧迫症状、脊髄圧迫症状に伴う神経症状を引き起こし、マンギフェリン投与群、マンギフェリン8a投与群、ノラチリオール投与群は、骨病変(骨破壊)、骨病変に伴う高カルシウム血症、病的骨折、脊髄圧迫骨折、脊髄圧迫骨折に伴う脊髄圧迫症状、脊髄圧迫症状に伴う神経症状を抑制したといえる。
[0194]
<実施例25:Raji細胞でのin vivoにおけるノラチリオール投与による腫瘍増殖抑制効果>
 Raji細胞をNOD/ShiJic-scidJclマウスに移植し、ノラチリオールを経口投与した場合の腫瘍増殖抑制作用について検討した結果、顕著な腫瘍増殖抑制作用を認めた。
[0195]
 Raji細胞をNOD/ShiJic-scidJclマウスに移植し、腫瘍体積の平均が100mm を超えた時点を0日目として、ノラチリオールを100mg/kgでマウスに27日間連日経口投与し、腫瘍体積を測定した。
[0196]
 Raji細胞を移植しただけのグループを対象群、ノラチリオールを投与した群をノラチリオール投与群と呼ぶ。それぞれの群は5匹で構成した。
[0197]
 結果を図26に示す。図を参照して、横軸は経過日数(日)を示し、縦軸は腫瘍体積(mm )を示す。白丸印は対象群(「Control」と表示)を示す。黒菱形印はノラチリオール投与群(「100mg/kg norathyriol」と表示)を示す。また、対象群に対して有意な差(P<0.01)であったものには「*」を示した。
[0198]
 対象群(白丸印「-O-」)は経過日数とともに腫瘍増殖が認められ、27日後には5790mm となった。ノラチリオール投与群(黒ひし形印「-◆-」)では、著しい腫瘍増殖抑制を認めた。
[0199]
 すなわち、ノラチリオール投与群は対象群よりも有意に腫瘍増殖を抑えた。
[0200]
 図27には、投薬開始27日目の腫瘍の写真を示す。図27(a)は対象群、図27(b)はノラチリオール投与群の中の1匹のマウスの腫瘍の写真を示す。図27(a)の対象群では、腫瘍の増大が顕著に認められる。一方、図27(b)のノラチリオール投与群では、対象群と比較して顕著な体積の低下が認められた。
[0201]
  以上のように、ノラチリオール投与群は顕著に腫瘍増殖を抑制することが分かった。
[0202]
<実施例26:L363細胞でのin vivoにおけるノラチリオール投与による腫瘍増殖抑制効果>
 L363細胞をNOD/ShiJic-scidJclマウスに移植し、ノラチリオールを経口投与した場合の腫瘍増殖抑制作用について検討した結果、顕著な腫瘍増殖抑制作用を認めた。
[0203]
 L363細胞をNOD/ShiJic-scidJclマウスに移植し、腫瘍体積の平均が100mm を超えた時点を0日目として、ノラチリオールを100mg/kgでマウスに8日間連日経口投与し、腫瘍体積を測定した。
[0204]
 L363細胞を移植しただけのグループを対象群、ノラチリオールを投与した群をノラチリオール投与群と呼ぶ。それぞれの群は5匹で構成した。
[0205]
 結果を図28に示す。図を参照して、横軸は経過日数を示し、縦軸は腫瘍体積を示す。白丸印は対象群(「Control」と表示)を示す。黒菱形印はノラチリオール投与群(「100mg/kg norathyriol」と表示)を示す。また、対象群に対して有意な差(P<0.01)であったものには「*」を示した。
[0206]
 対象群(白丸印「-O-」)は経過日数とともに腫瘍増殖が認められ、8日後には745mm となった。ノラチリオール投与群(黒ひし形印「-◆-」)では、著しい腫瘍増殖抑制を認めた。
[0207]
 すなわち、ノラチリオール投与群は対象群よりも有意に腫瘍増殖を抑えた。
[0208]
 図29には、投薬開始8日目の腫瘍の写真を示す。図29(a)は対象群、図29(b)はノラチリオール投与群の中の1匹のマウスの腫瘍の写真を示す。図29(a)の対象群では、腫瘍の増大が顕著に認められる。一方、図29(b)のノラチリオール投与群では、対象群と比較して顕著な体積の低下が認められた。
[0209]
  以上のように、ノラチリオール投与群は顕著に腫瘍増殖を抑制することが分かった。

産業上の利用可能性

[0210]
 本発明に係る悪性腫瘍疾患の改善用組成物は、選択的NIK阻害剤としてNF-κB p52およびNF-κB p65が活性化し発症する悪性腫瘍疾患に対して有用な医薬組成物とすることができる。また、本発明に係る悪性腫瘍疾患の改善用組成物は、多発性骨髄腫に伴う骨病変(骨破壊)、骨病変に伴う高カルシウム血症、病的骨折、脊髄圧迫骨折、脊髄圧迫骨折に伴う脊髄圧迫症状、脊髄圧迫症状に伴う神経症状、腎障害、アミロイドーシス、過粘稠度症候群に対して有用な医薬組成物とすることができる。

請求の範囲

[請求項1]
 キサントン骨格を有する(1)式、(2)式、(3)式、(4)式、(5)式、(6)式および(7)式の少なくとも1の化合物を有効成分とする悪性腫瘍疾患の改善用組成物。
[化100]


[化101]


[化102]


[化103]


[化104]


[化105]


[化106]


[請求項2]
キサントン骨格を有する(1)式、(2)式、(3)式、(4)式、(5)式、(6)式および(7)式の少なくとも1の化合物を有効成分とするNIK過剰発現が関与する悪性腫瘍疾患の改善用組成物。
[化107]


[化108]


[化109]


[化110]


[化111]


[化112]


[化113]


[請求項3]
 キサントン骨格を有する(1)式、(2)式、(3)式、(4)式、(5)式、(6)式および(7)式の少なくとも1の化合物を有効成分とするBAFF過剰発現が関与する悪性腫瘍疾患の改善用組成物。
[化114]


[化115]


[化116]


[化117]


[化118]


[化119]


[化120]


[請求項4]
 キサントン骨格を有する(1)式、(2)式、(3)式、(4)式、(5)式、(6)式および(7)式の少なくとも1の化合物を有効成分とする悪性腫瘍疾患治療薬。
[化121]


[化122]


[化123]


[化124]


[化125]


[化126]


[化127]


[請求項5]
 キサントン骨格を有する(1)式、(2)式、(3)式、(4)式、(5)式、(6)式および(7)式の少なくとも1の化合物を含む加工食品。
[化128]


[化129]


[化130]


[化131]


[化132]


[化133]


[化134]


[請求項6]
 キサントン骨格を有する(1)式、(2)式、(3)式、(4)式、(5)式、(6)式および(7)式の少なくとも1の化合物を含む多発性骨髄腫でのB細胞様への脱分化誘導薬。
[化135]


[化136]


[化137]


[化138]


[化139]


[化140]


[化141]


[請求項7]
 キサントン骨格を有する(1)式、(2)式、(3)式、(4)式、(5)式、(6)式および(7)式の少なくとも1の化合物を含む多発性骨髄腫に伴うCRAB改善薬。
[化142]


[化143]


[化144]


[化145]


[化146]


[化147]


[化148]



図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]

[ 図 25]

[ 図 26]

[ 図 27]

[ 図 28]

[ 図 29]