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1. WO2011058974 - MACHINE AGRICOLE À CONDUIRE

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明 細 書

発明の名称 乗用型農作業機

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008   0009   0010   0011   0012  

課題を解決するための手段

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024  

発明の効果

0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038  

図面の簡単な説明

0039  

発明を実施するための形態

0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113  

産業上の利用可能性

0114  

符号の説明

0115  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22  

明 細 書

発明の名称 : 乗用型農作業機

技術分野

[0001]
 本願発明は、乗用型田植機のようにエンジンで駆動される乗用型農作業機に関するものである。

背景技術

[0002]
 乗用型農作業機の一例として乗用型田植機がある。この乗用型田植機は、主要要素として、前輪及び後輪で支持された走行車体と、この走行車体の後方に配置した苗植装置とを有しており、苗植装置は走行車体に高さ調節可能に連結されている。走行車体には座席と操縦ハンドルとが配置されていると共にエンジンが搭載されており、エンジンの動力によって走行と苗植作業が行われる。なお、走行部と呼ぶことも可能である。
[0003]
 走行車体は鋼管やチャンネル材等のフレーム材(鋼材)で構成されたシャーシ(骨組み・機枠)を有しているのが普通であり、一般に、骨組みの主要部材として前後方向に長く延びる左右のサイドフレームを有しており、左右のサイドフレームを横長の部材で連結している。苗植装置と走行車体とにはリンク装置が相対回動可能に連結されており、走行車体とリンク装置とを油圧シリンダで連結している。
[0004]
 エンジンは操縦フロアを挟んで手前に配置した場合と後ろに配置した場合とがあり、エンジンを運転フロアの手前に配置した場合の具体的な構成が例えば特許文献1,2に記載されている。すなわち、特許文献1ではシャーシを構成する左右のサイドフレームでエンジンを支持しており、サイドフレームのうちエンジンを支持している部分は水平状の姿勢になっている。他方、特許文献2では、サイドフレームの前部は前端に行くほど低くなった傾斜部に形成されており、この傾斜部に連結した部材でエンジンを支持している。
[0005]
 特許文献1に類似した構造が特許文献3に開示されている。すなわちこの特許文献3では、左右のサイドフレーム44をその後半部が後ろに行くに従って高さが高くなるよう側面視で屈曲した形態にして(すなわち後半部を傾斜部と成して)、左右サイドフレーム44の前部を左右横長のフロントフレーム41で連結する一方、左右のサイドフレーム44の後端はそれぞれリアアクスルケース38から立ち上がったリアフレーム43の上部側面に固着し、更に、左右のリア支柱43の上端には左右横長のリアフレームを曲げ形成している。
[0006]
 また、特許文献3では、ミッションケース6はリアアクスルケース38まで延びており、ミッションケース6の後半部に配置した内蔵式チェーンで後輪に動力を伝達している。更に、左右のサイドフレーム44の前後中途部はこれに貫通したミッドフレーム175で連結されており、ミッドフレーム175とミッションケース6とにブラケット176を固定し、このブラケット176に昇降用シリンダを連結している。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 日本国特許第4139669号公報
特許文献2 : 日本国特開2000-201510号公報
特許文献3 : 日本国特許第3804926号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 さて、走行車体は走行安定性の確保という点から重心をできるだけ低くするのが好ましい。そして、エンジンはかなりの重量があるため、エンジンの位置を低くするのは走行車体の重心を低くする上で有益である。この点、特許文献2はエンジンの取り付け高さを低くできるため、走行車体の低重心化に貢献できる。しかし、サイドフレームの前部を傾斜させると、サイドフレームの前部で支持される他の部材の支持構造も大きく変更せねばならず、このため全体としての設計コスト・製造コストが嵩むことが懸念される。
[0009]
 つまり、乗用型農作業機を例に採ると、例えば特許文献1の図2に開示されているように、人が載る車体カバーがエンジンの左右両側まで広がった状態で配置されていることが殆どであり、車体カバーのうちエンジンの左右両側に張り出した部分はサイドフレームで直接に又はブラケットを介して支持されているが、特許文献2のようにサイドフレームの前部を傾斜させると車体カバーの支持構造も変えなくてはならないため、設計及び製造のコストが嵩むことになる。
[0010]
 また、特許文献1の図1,2に記載されているように、乗用型農作業機ではサイドフレームの前部に左右一対の予備苗台を配置しており、これら予備苗台はブラケットを介してサイドフレームに固定されていることが多いが、特許文献2のようにサイドフレームの前部を傾斜させると予備苗台の支持構造も変更せねばならないため、予備苗台の支持部についての設計及び製造のコストが嵩むことになる。
[0011]
 本願発明は、このような現状を改善することを目的の一つとしている。他方、特許文献3ではミッションケースとリアアクスルケースとは他の部材を支持する構造材(強度メンバー)の役割を担っており、このため走行機体の構造の簡素化・コストダウンに貢献できると言える。本願発明は、この特許文献3と同様にミッションケースやリアアクスルケースを走行機体の構造材に兼用した場合において、走行機体の剛性をより一層向上させること等も目的としている。
[0012]
 更に本願では多くの新規な構成を開示しているが、これらの新規な構成を提供することも本願の目的の一部として捉えることが可能である。すなわち、本願で開示した新規な構成は、請求項への記載の有無に関係なく独立した発明たり得ると解すべきである。

課題を解決するための手段

[0013]
 本願発明に係る乗用型農作業機は、人が載って操縦する走行車体とこれに搭載されたエンジンとを有しており、前記走行車体は、操縦席の下方に配置されたシャーシと走行ミッションケースを有しており、前記シャーシはフレーム材から成っており、前記エンジンから前記走行ミッションケースの内部に動力伝達される、という基本構成である。
[0014]
 本願は多くの発明を有する。このうち第1の発明は、上記の基本構成において、前記シャーシとミッションケースとは、ミッションケースがシャーシの下方に位置した状態で配置されており、前記ミッションケースの前方又は後方若しくは前後両方の部位に、前記ミッションケースの上面よりも下方に位置した部材支持部を設けている。なお、部材支持部の具体例として、例えば、図3に示すエンジン支持用のサポートフレーム55(前側部材支持部の一例)や、図11(A)に示す燃料タンク支持用の受け材38(後ろ側部材支持部の一例)が挙げられる。
[0015]
 第2発明は、第1発明において、前記シャーシのうち前記ミッションケースの前方の部位に、前記ミッションケースの前方に位置した前側部材支持部として、前記エンジンが載るエンジンサポートを、当該エンジンサポートの下端が前記ミッションケースの上面よりも下方に位置した状態に下向き突設しており、前記エンジンが、その下面を前記シャーシの下方に沈ませた状態で前記エンジンサポートで支持されている。
[0016]
 第3発明は、第2発明において、前記シャーシは、前後方向に延びる左右のサイドフレームを横長フレームで連結した構造になっており、前記左右のサイドフレームの前部に前記エンジンサポートを設けている。
[0017]
 第4発明は、第3発明において、前記エンジンサポートは、正面視で上向き開口U字状の形態を成した1本又は複数本のサポートフレームを備えており、このサポートフレームの底部に緩衝体を介して前記エンジンが取付けられている。
[0018]
 第5発明は、第4発明において、前記サポートフレームは前後に並んで複数配置されており、これら複数のサポートフレームが、当該サポートフレームの下方に突出した1つ又は複数の補強体で連結されている。
[0019]
 請求項6は、第1発明において、前記ミッションケースに前輪を支持するフロントアクスル装置が連結されている一方、前記ミッションケースの後方には後輪を回転自在に支持するリアアクスルケースが配置されており、前記ミッションケースとリアアクスルケースとは、前記ミッションケースの上面よりも下方に位置した下部連結体で連結されており、前記下部連結体に、ミッションケースの後ろに位置した後ろ側部材支持部(例えば図11(A)に示す燃料タンク支持用の受け材38)設けている。
[0020]
 第7発明は、第6発明において、前記シャーシは、前後方向に延びる左右のサイドフレームと、前記左右サイドフレームをその前後中途部において連結する左右横長のミドルフレームと、前記左右サイドフレームをその後端部において連結する左右横長のリアフレームとを有しており、前記リアフレームはリア支柱を介してリアアクスルケースで支持されており、かつ、前記ミッドフレーム又は左右サイドフレームと下部連結体とを補強体で連結している。
[0021]
 第8発明は、第7発明において、前記補強体は正面視で上向き開口U字状であって後ろに行くほど低くなるように側面視で前傾しており、前記補強体の底部に設けた後ろ側部材支持部で燃料タンクを支持している。
[0022]
 第9発明は、第7発明において、前記補強体は鋼管製でフレーム構造になっており、この補強体を正面視で略U型又は略V型の形態と成している(逆台形や半円状の形態を採用することも可能である。)。
[0023]
 第10発明は、第7発明において、前記サイドフレームは、ミッドフレームの手前に位置した略水平姿勢の前側サイドフレームと、ミッドフレームの後ろに位置して後方に行くほど高くなるように傾斜した後ろ側サイドフレームとに分かれており、前記後ろ側サイドフレームは前側サイドフレームよりも左右内側においてミッドフレームに固定されている一方、前記補強体は、前記後ろ側サイドフレームの前端部の近傍部で前記ミッドフレームに固定されている。
[0024]
 第11発明は、第1発明において、前記ミッションケースの後ろに配置した後ろ部材支持部として、前記エンジンが載るエンジンサポートを、当該エンジンサポートの下端が前記ミッションケースの上面よりも下方に位置した状態で配置しており、前記エンジンが、その下面を前記シャーシの下方に沈ませた状態で前記エンジンサポートで支持されている。

発明の効果

[0025]
 第1発明によると、ミッションケースの前方又は後方若しくは前後両側に部材支持部を設けたことにより、重心を下げた状態で部材(例えばエンジンや燃料タンク)を配置できる。このため走行車体の重心を低くして走行安定性を向上できる。なお、走行車体は走行部と呼ぶことも可能である。
[0026]
 エンジンは相当の重量があり、その高さ位置は走行車体の重心に影響する。従って、第2発明のように前側部材支持部でエンジンを支持すると、エンジンはシャーシの下方に沈んだ状態で配置されるため、走行車体の重心を低くすることが確実ならしめられる。従って、走行安定性を向上させることに非常に有益である。どのような部材を部材支持部で支持するかは、作業機の種類や構造に応じて選択できる。
[0027]
 特許文献2はサイドフレームの前部を傾斜させるものであるため、エンジンをシャーシの前部に配置したタイプにしか適用できないが、本願では、第11発明として特定しているように、エンジンサポートをミッションケースの後ろに配置することも可能である。換言すると、後ろ側部材支持部として第2発明のエンジンサポートを採用することも可能である。)。従って、本願発明では、エンジンの配置位置の融通性が高いと言える。
[0028]
 また、特許文献2ではエンジンの支持高さを低くするにはフレーム(シャーシ)の傾斜角度を大きくしたり傾斜部の全長を長くしたりして対処せねばならないが、本願の第3発明では、エンジンサポートはシャーシに連結しているものであることから、エンジンサポートはシャーシに制約を受けることなく設計できるのであり、このため、エンジンを支持する高さはシャーシに制約を受けることなく任意に設定することができる。
[0029]
 更に、本願の第3発明では、シャーシはエンジンサポートを設けることのために大きく改変する必要はないため、他の部材の支持構造を大きく改変する必要はないのであり、このため、エンジンサポートを設けることに起因して設計コストや製造コストが嵩むことを防止又は抑制できる。
[0030]
 第3発明の構成では、エンジンサポートが前後に開口したフレーム構造になるため、エンジンの下部は風に当たるオープン構造になっており、このため、走行によって風がシリンダブロックやシリンダヘッドの方にも通り易くなっており、その結果、冷却性能を向上させることが可能になる。また、エンジンサポートが左右のサイドフレームを連結するフレーム補強体を兼用するため、シャーシの剛性向上にも貢献可能である。
[0031]
 エンジンサポートは例えば板金製とするなど様々の形態・構造を採用できるが、第4発明のように正面視U字形のサポートフレームを採用すると、簡単な構造でエンジンをしっかりと支えることができる利点がある。
[0032]
 第4発明の場合、エンジンは前後両側から支持すると安定性を確保でき、従って、サポートフレームは前後に複数配置するのが好適であるが、第5発明のようにサポートフレームを前後に複数設けこれらを補強体で連結すると、エンジンの支持機能はしっかりと確保しつつサポートフレームの剛性を格段に向上できて好適である。また、第5発明の構成では、補強体がサポートフレームの下方に突出しているため、補強体がエンジンを保護するガードの役目も果たしており、このため安全性の点でも優れている。
[0033]
 第6発明では、ミッションケースとリアアクスルケースとを走行機体の強度メンバーに兼用できる。このため、走行車体は軽量化を図りつつ堅牢性を確保できる。そして、下部連結体で例えば燃料タンク等の部材・装置類を支持できるが、下部連結体はミッションケースの上面よりも下に位置しているため、被支持部材はできるだけ低く配置できるのであり、その結果、走行車体の安定性向上やコンパクト化に貢献できる。
[0034]
 第7発明では、サイドフレーム又はミッドフレームと下部連結体とが連結されているため、シャーシと下部構造体とが互いに補強し合っており、その結果、走行機体は格段に高い剛性を確保できる。従って、例えば8条植や10条植のような大型田植機であっても、高い堅牢性を確保できる。また、高い堅牢性を確保できることにより、走行機体に植付け以外の作業機を取付けて重作業を行うことも容易に実現できる。このように堅牢性を確保できる利点は部材支持部を設けなくとも発揮できる。従って、シャーシと下部連結体とを補強体で連結することは独立した発明たり得る。
[0035]
 既述のように、乗用型田植機では油圧シリンダでリンク機構を回動して苗植装置を昇降させているが、油圧シリンダには当然ながら大きな荷重が作用しており、従って、実施形態のように下部連結体にシリンダを連結すると下部連結体には大きな曲げ荷重が作用する。しかし、本願の第7発明ではシャーシと下部連結体とが補強体で連結されていることにより、曲げ力に対する下部連結体の抵抗力を格段に向上させることができ、このため、シリンダを取り付けた場合であっても高い強度を確保できる。
[0036]
 第8発明を採用すると、燃料タンクをシャーシの下方に沈ませた状態に配置できるため、燃料タンクの大容量化が可能になる利点がある。
[0037]
 補強体には板材や型鋼などの各種の材料を使用でき、かつ、その形態も様々に展開できるが、第9発明を採用すると、補強体は鋼管を曲げ加工して簡単に製造できるため、コスト面で優れている。また、走行機体の左右前輪と左右後輪とに作用する荷重は路上の条件等によって相違することが普通であり、このような荷重の不均等に起因して走行機体にはねじり力が作用することが多いが、第9発明では補強体が左右対称形状になるため、走行機体はねじりに対しても強い強度を発揮できる。
[0038]
 第10発明を採用すると、後ろ側サイドフレームの前端がその真下付近において補強体で支持されるため、補強体の補強機能がより的確に発揮されることになり、強度アップに一層好適である。

図面の簡単な説明

[0039]
[図1] 実施形態を示す図で、車体カバーを取り外した状態での田植機の全体側面図である。
[図2] (A)は田植機全体の平面図、(B)は横方向から見た走行車体の斜視図である。
[図3] (A)(B)とも走行車体の骨組みを示す斜視図である。
[図4] 走行車体の一部分離斜視図である。
[図5] (A)はエンジンを分離した走行車体の斜視図、(B)は要部の概略側面図である。
[図6] エンジンの支持構造を示す分離斜視図である。
[図7] エンジンの支持構造を示す図で、(A)はエンジンと支持部材との分離斜視図、(B)は支持ユニットの分離斜視図、(C)は緩衝ユニットの斜視図である。
[図8] (A)は走行車体の前部の側面図、(B)は走行車体の部分正面図である。
[図9] (A)は走行車体の前部の部分平面図である。
[図10] 一部部材を省略した状態での変形例の平面図である。
[図11] (A)は要部の分離斜視図、(B)は下部連結体とミッションケースとの連結状態を示す斜視図、(C)は下部連結体とリアアクスルケースとの連結状態を示す斜視図である。
[図12] (A)は要部の分離側面図、(B)は燃料タンクの取り付け構造を示す下方からの斜視図である。
[図13] 燃料タンクを横にずらした状態での平面図である。
[図14] 要部の底面図である。
[図15] 要部の部分側面図である。
[図16] (A)は燃料タンクを裏返した状態での要部の分離斜視図、(B)は要部を斜め後ろから見た図である。
[図17] リンク装置の連結構造を示す一部破断側面図である。
[図18] リンク装置の連結構造を示す分離斜視図である。
[図19] 変形例を示す図で、(A)は分離斜視図、(B)は分離側面図、(C)は(B)のC-C視断面図である。
[図20] 他の実施形態を示す図で、(A)は側面図、(B)は斜視図である。
[図21] 更に他の実施形態を示す分離斜視図である。
[図22] 更に他の実施形態を示す概略側面図である。

発明を実施するための形態

[0040]
 次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は乗用型田植機(以下、単に「田植機」と略す)に適用している。以下の説明及び請求項で方向を特定するために「前後」「左右」の文言を使用するが、これらの文言は、田植機の前進方向を向いて着座したオペレータを基準にして表示している。正面視方向は、田植機の前進方向と相対向した方向から見た方向である。
[0041]
 (1).田植機の概要
 まず、田植機の概要を説明する。図1~図2に示すように、田植機は基本要素として走行車体1と苗植部2とを有しており、苗植部2はリンク装置3を介して走行車体1の後部に昇降自在に連結されている。苗植部2は、リンク装置3に対して着脱自在とすることも可能であるし、非着脱式とすることも可能である。
[0042]
 走行車体1は左右の前輪4と後輪5とで支持されており、前輪4と後輪5とは動力で駆動される。なお、後輪5は補助輪を付けてダブル方式又はトリプル方式に構成可能である。更に、走行車体1は運転者が腰掛ける背もたれ付き座席6とその前方に配置された操縦ハンドル7とを有している。座席6と操縦ハンドル7は走行車体1の左右中間位置に配置されている。座席6の前方でかつ左右両側の部分には予備苗台8(図2参照)を配置している。なお、図2において予備苗台8は骨組みしか表示していない。
[0043]
 例えば図3~5から概ね理解できるように、走行車体1は、前後方向に延びる左右の前部サイドフレーム9及び後部サイドフレーム10を備えている。左右の後部サイドフレーム10は前部サイドフレーム9よりも間隔が狭くなっており、前後サイドフレーム9,10は左右横長のミッドフレーム11を介して連結されている。左右の前サイドフレーム9は、その前端部においてフロントフレーム12で連結されている。
[0044]
 後部サイドフレーム10は後ろに行くに従って高さが高くなるように側面視で後傾しており、左右の後部サイドフレーム10の後端に、左右横長のリアフレーム13が連結されている。リアフレーム13には、これを支持する左右のリア支柱14が固着されている。リア支柱14は後部サイドフレーム10よりも内側に配置されている。各フレームのうちミッドフレーム11とリアフレーム13とは丸パイプ(丸形鋼管)を使用しており、他のフレームは角パイプ(角形鋼管)を使用している。
[0045]
 リアフレーム13のやや手前には後部横長ステー17が配置されており、この後部横長ステー17は正面視略U字形のハンガーブラケット18(図4,5参照)に固着されており、更に、ハンガーブラケット18は後部サイドフレーム10に溶接されている。
[0046]
 左右の後部サイドフレーム10の前端部には下向き開口の門型(逆U型)フレーム19が固着されており、この門型フレーム19にシート支持ユニット20(図1参照)の前端部を固着している。シート支持ユニット20の後部は図示しないステーに固定されている。座席6の下方には燃料タンク21を配置しており、座席6を前倒し回動させると燃料タンク21に注油できる。
[0047]
 前部サイドフレーム9には左右外側に突出した複数本の外向き枝フレーム15が固着されており、枝フレーム15で予備苗台8を支持している。また、サイドフレーム9,10の外側には前後長手の補助フレーム23が配置されており、補助フレーム23は枝フレーム15や後部横長ステー17、リアフレーム13に固着されている。
[0048]
 本実施形態では、前後サイドフレーム9,10、ミッドフレーム11、フロントフレーム12、リアフレーム13等のフレーム材でシャーシ(フレーム構造体)が構成されている。図2に示すように、走行車体1のうち人が載る部分は車体カバー24で覆われており、車体カバー24は、前部サイドフレーム9や枝フレーム15、補助フレーム23、後部横長ステー17、リアフレーム13等で支持されている。座席6の後ろには施肥装置を配置することが多いが、本実施形態では図示を省略している。
[0049]
 操縦ハンドル7はハンドルポスト25に内蔵したハンドル軸に取り付けられている。図2に示すように、車体カバー24のうち座席6とハンドルポスト25との間の部位は、人が立ったり着座状態で足を載せたりする操縦フロア24aになっており、操縦フロア24aの手前側にエンジン26を配置している(エンジン26の支持構造は後述する。)。エンジン26はボンネットで前後から覆われている。
[0050]
 例えば図5に示すように、エンジン26の後ろには、ギア群を内蔵したミッションケース27が配置されている。例えば図3に示すように、ミッションケース27の左側面には無段変速機の一例としてのHST(静油圧式無段変速機)28を取り付けており、エンジン26の動力は一次的にはHST28にベルト29で伝達され、それからギア群に伝達される。ミッションケース27にはギア群の他にもクラッチやブレーキなどが内蔵されているが、本願発明との直接の関連はないので説明は省略する。
[0051]
 例えば図5に示すように、ベルト29には下方からテンションプーリ30が当接している。テンションプーリ30は回動式アーム31の先端に取り付けられている。ミッションケース27の前部にはパワーステアリングユニット32を取り付けており、パワーステアリングユニット32にハンドルポスト25を固定している。
[0052]
 例えば図3に示すように、ミッションケース27の左右側面にはフロントアクスル装置33を取り付けており、フロントアクスル装置33に前輪4を取り付けている。後輪5はリアアクスルケース34に付けられている。リアアクスルケース34は左右の後ろ向き張り出し部34aを有しており、後ろ向き張り出し部34aに突設した車軸に後輪5を固定している。また、左右の後ろ向き張り出し部34aに横梁部材35を差し渡して固定し、横梁部材35にリア支柱14を固定している。
[0053]
 図3~5から理解できるように、ミッションケース27の後端とリアアクスルケース34の前端とは丸パイプ製の下部連結体(ジョイント)36で連結されており、下部連結体36とミッドフレーム11とは、補強体の一例としての正面視U型の補強フレーム37で連結されている。下部連結体36と座席6との間に燃料タンク21を配置しており、燃料タンク21は受け材38を介して下部連結体36で支持されている。受け材はリアサポートと呼ぶことも可能である。
[0054]
 また、図3,4に示すように、下部連結体36には、側面視後傾姿勢の昇降シリンダ(油圧シリンダ)39がその前端を中心にして回動するようにブラケット40を介して連結されている。図1に示すリンク装置3は昇降シリンダ39の伸縮動によって回動し、これに伴って苗植部2が昇降する。
[0055]
 例えば図3に示すように、下部連結体36を挟んで左側には後輪ドライブ軸41が配置されて、右側には作業動力軸42が配置されている。当然ながら、後輪5は前輪4と同期して回転する。整地ロータを設けている場合は、整地ロータは後輪ドライブ軸41で駆動される。作業動力軸42で苗植部2が駆動される(施肥装置を設けている場合はこれも作業動力軸42で駆動される。)。作業動力軸42は、株間調節装置43を介して苗植部2に動力伝達する。
[0056]
 (2).エンジン及びその支持構造
 次に、エンジン26を説明する。本実施形態のエンジン26は水冷ディーゼルエンジンであり、クランク軸を左右横長にした横置き姿勢で配置されている。エンジン26は基本的には従来と同様の構成であり、例えば図6から容易に把握できるように、大きな要素として、クランクケースやシリンダブロックやシリンダヘッドを包含する機関本体44と、機関本体44の右側に配置したラジェータ45を有している。
[0057]
 図6に明示するように、エンジン26の出力軸(クランク軸)48は機関本体44の左側面から突出しており、この出力軸48にフライホイール49と出力プーリ50とが固定されている。出力プーリ50に巻き掛けられたベルト29で既述のHST28に動力伝達される(図1,4,5,10参照)。
[0058]
 フライホイール49の左真横には消音器51を配置している。消音器51は平面視で前部サイドフレーム9と補助フレーム23との間に配置されており、前部サイドフレーム9と補助フレーム23とに固定されたステー52で吊支されている。消音器51はカバー53で覆われている(図9参照)。
[0059]
 なお、例えば図5に示すように、機関本体44の左側面部にはフライホイール49の内側に位置した円板54を固定しており、テンションプーリ50が取り付いた回動式アーム31はブラケットを介して円板54に取り付けられている。
[0060]
 図5,6に明示するように、左右前部サイドフレーム9の略前半部にはサポートフレーム55が連結されており、エンジン26の機関本体44はこのサポートフレーム55で支持されている。サポートフレーム55は丸パイプ(丸鋼管)から成っており、左右の垂直部(縦長部)とその下端に連結した下水平部とを有する正面視横長U字形になっており、左右の前部サイドフレーム9に吊り下げた状態で取付けられている。なお、サポートフレーム55は前部サポートと呼ぶことも可能である。
[0061]
 前後のサポートフレーム55はその左右中間部においてフレーム補強体(連結フレーム)56で連結されており、これらサポートフレーム55とフレーム補強体56とで請求項に記載したエンジンサポート(前側部材支持部)が構成されている。フレーム補強体56は側面視で下向き突形に曲がっており、サポートフレーム55の下方に突出している。従って、フレーム補強体56はエンジン26のガード機能も果たしている。
[0062]
 前後サポートフレーム55の右側部にはサイドブラケット57を固着しており、このサイドブラケット57でラジェータ45を支持している。ラジェータ45はゴム等の緩衝材を介してサイドブラケット57で支持されている。サイドブラケット57は前後長手の基部とその前後両端から横向き突出した内向き張り出し部とを有する形態である。サポートフレーム55は前部サイドフレーム9の下面に溶接しているが、前部サイドフレーム9の内側面又は外側面に溶接又はボルト止めすることも可能である。敢えて述べるまでもないが、サポートフレーム55はブラケットを介して前部サイドフレーム9に固定してもよい。
[0063]
 前後サポートフレーム55の下水平部には、エンジン26を支持する左右一対ずつの下ブラケット59が溶接で固定されている。前側の下ブラケット59は前側のサポートフレーム55から前向きに延びて、後ろ側の下ブラケット59は後ろ側のサポートフレーム55から後ろ向きに延びており、かつ、各下ブラケット59はその先端が高くなるように水平に対して傾斜している。従って、前後の下ブラケット59は、側面視で下方に行くに従って間隔が狭まる傾斜姿勢になっている。
[0064]
 他方、図7に明示するように、機関本体44の下部の前後両面にはそれぞれ左右横長の上ブラケット60がボルト61で固定されている。上ブラケット60は断面略L形を成しており、その左右両端部に、下ブラケット59と平行に延びる支持片60aを設けて、この支持片60aと下ブラケット59との間に吸振ユニット62を介在させている。
[0065]
 吸振ユニット62は上板63と下板64との間にゴム等の緩衝材65を挟んで全体を一体化した構造になっており、上板63と下板64と緩衝材65とにボルト66を貫通させて、ボルト66にナット67をねじ込むことで上ブラケット60と下ブラケット59とを締結している。吸振ユニット62の上板63と下板54とには、補強を兼ねる側板63a,64aが折り曲げ形成されている。ボルト66は、上板63と下板64とのうちいずれか一方に固定しておいてもよいし、両者に単に貫通させただけでもよい。
[0066]
 上ブラケット60の支持片60aには吸振ユニット62のボルト66が嵌まる丸穴68が空いている一方、下ブラケット59には吸振ユニット62のボルト66を嵌め込むための溝穴69が切り開き形成されている。下ブラケット59にも丸穴を空けることは可能であるが、本実施形態のように溝穴69を形成してボルト66を前又は後ろから嵌め込む方式を採用すると、エンジン26の組み付け作業を容易に行える利点がある。
[0067]
 実施形態では溝穴69の開口部はテーパ状に広がっており、このためボルト66の嵌め込みを容易に行える。また、実施形態のように前後の下ブラケット59を側面視で下方に行くに従って間隔が狭まる傾斜姿勢にすると、エンジン26はその自重によって前後の下ブラケット59の間に位置保持される傾向を呈するため、姿勢保持機能に優れている。
[0068]
 図6に示すように、後ろ側のサポートフレーム55の略左右中間部には後ろ向きに突出したリアブラケット70が連結されている。図6に示すようにリアブラケット70の先端にはピン71が貫通しており、リアブラケット70はこのピン71でミッションケース27に連結されている。従って、本実施形態ではミッションケース27も走行車体1の構造材(強度メンバー)を兼用している。
[0069]
 つまり、本実施形態では、前後左右のサイドフレーム9,10、フロントフレーム12、ミッドフレーム11、リアフレーム13、リア支柱14といったフレーム材によってシャーシが構成されていると共に、これらシャーシとミッションケース27、下部連結体36、リアアクスルケース34が協同して走行車体1の骨組みを構成している。
[0070]
 (3).まとめ
 以上の構成において、エンジン26は前部サイドフレーム9の下面よりも下方に沈んだ状態になっていると共にミッションケース27の上面よりも下方に沈んだ状態になっており、このように下方に沈んだ状態でサポートフレーム55によって支持されているため、走行車体1の重心を低くして走行安定性を向上させることができる。
[0071]
 そして、前部サイドフレーム9は水平姿勢のままでよいため、車体カバー24や予備苗台8を支持するに当たっては、外向き枝フレーム15を前部サイドフレーム9に固定してこれに補助フレーム23を固定するといった単純な支持構造を採用するだけでよい。従って、エンジン26を低くしたことに起因して当該エンジン26の周囲の構成が複雑化することを防止できる。
[0072]
 本実施形態のように前部サイドフレーム9に固定されたサポートフレーム55でエンジン26を支持すると、フロントフレーム12と左右の前部サイドフレーム9とで囲われた空間がエンジン26の配置空間になるため、フロントフレーム12と左右の前部サイドフレーム9とは実質的にエンジン26のガードとしての機能も果たしている。この点、本実施形態の利点であると言える。
[0073]
 エンジン26はクランク軸が前後方向に延びる姿勢の縦置きで配置することも可能であるが、エンジン26はクランク軸の軸方向に長くなるのが一般的であるため、縦置きにすると走行車体の全長が長くなるおそれがある。これに対して本実施形態のようにエンジン26を横置きに配置すると、走行車体1が長くなることを抑制できる利点がある。また、変速装置への動力伝達もベルト29で簡単に行える。
[0074]
 また、エンジン26の動力をベルト29でミッションケース27(HST28)に伝達すると、エンジン26とミッションケース27とにはベルト29によって互いに引き合うような外力が作用するが、本実施形態では後ろ側のサポートフレーム55とミッションケース27とがリアブラケット70を介して連結されており、サポートフレーム55とミッションケース27との間隔は一定に保持されているため、サポートフレーム55にはこれを後ろに引っ張るような外力が作用することはないのであり、その結果、エンジン26とミッションケース27との位置関係をしっかりと保持できると共に、前部サイドフレーム9に対するサポートフレーム55の固定強度も確保できる。
[0075]
 ラジェータ45を載せるサイドブラケット57は前部サイドフレーム9に固定することも可能であるが、本実施形態のように前後のサポートフレーム55に固定すると、サイドブラケット57が前後サポートフレーム55を固定する補強体を兼用するため、サポートフレーム55を主体として構成されるエンジン支持構造体の堅牢性が格段に向上する利点がある。
[0076]
 (4).消音器の冷却
 さて、エンジン26の消音器51は排気ガスによって高温になるため、可能なら冷却するのが好ましい。しかし、従来、消音器51を冷却する工夫はなされていないのが実情である。さりとて、消音器51を冷却するためのファンやダクトを設けるのはコスト面でのデメリットが大きい。
[0077]
 これに対して本実施形態では、コストアップを抑制した状態で消音器51を冷却することができる。すなわち、フライホイール49の横に消音器51を配置していることを利用して、図10に変形例として模式的に示すように、フライホイール49の外面に冷却ファン72を固定し、この冷却ファン72の風で消音器51を冷却するのである。
[0078]
 このようにフライホイール49の外面に冷却ファン72を固定するだけの簡単な構成であるため、大きなコストアップにはならない。フライホイール49に送風用フィンを一体形成することも可能である。なお、消音器51はアフターバーナー機能や排気ガス浄化機能を備えていてもよい。
[0079]
 (5).走行車体の後半部の構造
 次に、走行車体1のうちミッションケース27よりも後ろ側の部位の詳細を説明する。まず、下部連結体36とミッションケース27、及び、下部連結体36とリアアクスルケース34との連結構造を説明する。この連結構造は図11(A)に明瞭に示されている。すなわち、下部連結体36の前端には前支持板74を溶接によって固着してこれをミッションケース27の後面にボルト74′で締結し、下部連結体36の後端にはリア支持板75を溶接によって固着しており、このリア支持板75をリアアクスルケース34の前面にボルト75′で締結している。
[0080]
 支持板74,75は四角形になっているが、必要に応じて任意の形状を選択できる。図15に示すように、下部連結体36の前端には前支持板74の前方に突出する雄型嵌合部36aを設けている一方、ミッションケース27の後面には雄型嵌合部36aがきっちり嵌まる雌型嵌合部(図示せず)が形成されており、これらの雌雄嵌合部の嵌まり合いによって締結強度のアップを図っている。下部連結体36とリアアクスルケース34とに嵌合部を設けることも可能である。
[0081]
 補強フレーム37は丸パイプ(丸鋼管)で製造されている。この補強フレーム37を次に説明する。例えば図12に示すように、ミッションケース27はミッドフレーム11の上面よりも下方に配置されており、かつ、下部連結体36はミッションケース27の下端部に固定されている。更に述べると、ミッションケース27の内部においてギア群が上下に高さを変えて配置されており、このためミッションケース27は上下寸法がかなり大きい。
[0082]
 下部連結体36はミッションケース27の下端部に固定されており、このため、下部連結体36は前部サイドフレーム9及びミッドフレーム11のかなり下方に配置されており、後輪ドライブ軸41は、側面視において下部連結体36と略平行な姿勢でリアアクスルケース34に接続されている。
[0083]
 そして、補強フレーム37は下に行くに従って高さが低くなるように側面視で前傾姿勢になっており、左右の上端はミッドフレーム11に溶接で固着されている。また、図16(A)に明示するように、補強フレーム37の底部37aに、左右の下向き片38aを有する正面視下向き開口溝形の受け材38が固着されている一方、下部連結体36には受け材38が被さるように嵌まり込む支持ブラケット77を固着し、受け材38と支持ブラケット77を左右横長のピン78で連結している。なお、ピン78に変えてボルト及びナットを使用し、これらで締結してもよいし、或いは、補強フレーム37を下部連結体36に溶接で固定することも可能である。
[0084]
 受け材38には左右一対のゴム座79を設けており、このゴム座79で燃料タンク21の下面を支持している。図16(A)に示すように、燃料タンク21の下面のうちゴム座79による支持部の手前には下向き膨出部21aを設けており、この下向き膨出部21aに燃料の出口80を設けており、燃料は出口80からフィルター(図示せず)を介してエンジン26に送られる。エンジン26はディーゼル方式であって燃料はポンプで強制的に送られるため、燃料タンク21の出口70がエンジン26より下方にあっても差し支えない。
[0085]
 図12(B)に明示するように、燃料タンク21には前後一対のフランジ81,82を設けており、前部フランジ81はミッドフレーム11に固着されたタンクブラケット83にビスで固定されている。他方、燃料タンク21の後部フランジ82は、図4,5に示すハンガーブラケット18に設けたブラケット板18aにビスで締結されている。燃料タンク21の注油口84は座席6の下方に位置しており、座席6を前に倒すと注油口54が露出する。
[0086]
 例えば図12(B)から良く理解できるように、燃料タンク21の上面には左側方と前方とに開いた段部85を形成している。この段部85の箇所には、例えば油圧ユニット86を配置できる。油圧ユニット86により、油圧シリンダ39等の油圧機器が制御される。もとより、段部85の箇所には他の部材を配置してもよいし、段部85は設けなくてもよい。
[0087]
 (6).リンク機構・油圧シリンダ
 次に、リンク機構3と油圧シリンダ39とを説明する。図17及び図18に示すように、リンク機構3は上下に分かれて配置されたトップリンク88とロアリンク89とを有しており、両リンク88,89の後端には第1ピン90及び第2ピン91でヒッチ92が相対回動可能に連結されている。ヒッチ92の下端部には図示しないキングピンが後ろ向きに突設されており、このキングピンを介して苗植部2が連結されている。従って、苗植部2は走行機体1に対してある程度の角度だけローリングし得る。
[0088]
 トップリンク88は各パイプ又はチャンネル材から成っていて基本的には直線状の形態であり、その前端に上軸受け筒93を固着し、この上軸受け筒93を左右リア支柱14に固着された上支軸94に嵌め込んでいる。従って、トップリンク88はその前端を中心に上下回動するようにリア支柱14に連結されている。上支軸94は筒型であり、第3ピン95が嵌まっている。
[0089]
 ロアリンク89は前部が1本で後ろ向きに分岐した略Y形になっており、前端には下軸受け筒96を固着し、これをリア支柱14に固着した下支軸97に嵌めており、従って、ロアリンク89もその前端を中心に上下回動するようにリア支柱14に連結されている。下支軸97も筒型であり、第4ピン98が嵌まっている。
[0090]
 ロアリンク89には、前後長手の中間リンク99がその後端部を中心にして回動するように第5ピン100で連結されている。中間リンク99は下向き開口溝形の形態になっており、その前端部に左右横長で中空の第6ピン101が挿通している。他方、ロアリンク89の前端部には左右一対のアーム102が上向きに突設されており、左右アーム102で第6ピン101を下方から支持している。
[0091]
 他方、油圧シリンダ39は筒体39aとピストンロッド39bとを有しており、筒体39aの基端が下部連結体36に固定したブラケット40に第7ピン104で連結されている一方、ピストンロッド39bの先端には例えば図17に示すように板状の丸穴付きフック105が固着されており、フック105と中間リンク99とが既述の第6ピン101(図17,18参照)で連結されている。
[0092]
 従って、油圧シリンダ39が伸びるとリンク装置3は下向きに回動して苗植部2は下降し、油圧シリンダ39が縮むとリンク装置3は上向きに回動して苗植部2は上昇する。油圧シリンダ39における筒部39aの先端には、衝撃緩和のための緩衝用のアキュームレータ106を設けている。なお、中間リンク99を使用せずに油圧シリンダ39をアーム102に直接に連結してもよい。
[0093]
 (7).走行車体の後半部に関するまとめ
 以上のとおり、本実施形態において、ミッションケース27とリアアクスルケース34とが走行機体1の構造材を兼用しているため、それだけ走行機体1の構造を簡素化してコスト圧縮や軽量化に貢献できる(ミッションケース27やリアアクスルケース34はその機能からして頑丈な構造であるため、強度メンバーとしての機能を十分に発揮する。)。そして、補強フレーム37で下部連結体36とミッドフレーム11とが連結されているため、ミッションケース27等から成る下部構造体とサイドフレーム9,10等から成るシャーシとが互いに補強しあっており、その結果、全体として極めて頑丈な構造になっている。
[0094]
 さて、油圧シリンダ39には苗植部2の荷重が引っ張り力として作用しており、この引っ張り力によって下部連結体36には曲げ力が作用する。しかして、補強フレーム37が上から下部連結体36に突っ張った状態になっているため、下部連結体36やミッションケース27等から成る下部構造体の撓み変形を著しく抑制でき、その結果、高い耐久性を確保できる。
[0095]
 燃料タンク21は補強フレーム37で囲われた状態になっており、このため補強フレーム37の存在に関係なく燃料タンク21の高さをできるだけ低くすることができる。また、本実施形態では、補強フレーム37を連結するための受け材38が燃料タンク21の支持部材に兼用されているため、それだけ構造を簡素化できる利点がある。また、例えば図12(A)に示すように、燃料タンク21の下面には油圧シリンダ39の動きを許容するための凹所107を形成しており、このため、油圧シリンダ39の機能を損なうことなく燃料タンク21をできるだけ低くすることができる。この点も本実施形態の利点の一つである。
[0096]
 本実施形態では、サイドフレームを前部サイドフレーム9と後部サイドフレーム10とに分離して、前後のサイドフレーム9,10をミッドフレーム11で連結したことにより、前部サイドフレーム9と後部サイドフレーム10との大きさ(太さ)や位置・姿勢を簡単に変えることができる。この点は本実施形態の利点の一つである。
[0097]
 また、本実施形態では、リアアクスルケース34に固定した横梁部材35でリア支柱14を支持している。このように横梁部材35を使用することにより、リアアクスルケース34に作用する負担を軽減して耐久性を向上すると共に、左右リア支柱14の間隔も後ろ向き張り出し部34aの間隔に規制されることなく自由に設定できる。
[0098]
 (8).更なる補強構造
 圃場にしても路上にしても凹凸が存在しており、このため、例えば1つの車輪が浮いた状態で走行するというように4つの車輪4,5の支持状態(接地抵抗)がアンバランスになり、このため、走行車体1には、自身の重量が前後長手の軸心回りにねじる外力として作用することがある。この点、実施形態のように補強フレーム37を設けると、シャーシとミッションケース27と下部連結体36とリアアクスルケース34とリア支柱27との全体で構成される構造体の剛性が格段に高くなるため、ねじりに対する抵抗力も格段に向上できる。
[0099]
 そして、図19に明示するように、本実施形態では、ねじりに対する剛性を一層向上できるように補強機能を講じている。すなわち、補強フレーム37の左右両側部とを前後長手の補強ステー113で連結し、補強フレーム37と左右の補強ステー113とリアアクスルケース34とで平面視略四角形の枠組みを構成することにより、ねじりに対する抵抗アップを図っている(当然ながら曲げに対する強度もアップしている。)。
[0100]
 補強ステー113は角形鋼管を使用しており、その前端部には外向き開口溝形の前部補助ブラケット114を溶接している。一方、補強フレーム37の左右両側部には平面視略L形の支持ブラケット115を溶接しており、前部補助ブラケット114と支持ブラケット115とを複数本のボルト116及びナット117で締結している。
[0101]
 また、補強ステー113の後端には側面視扇形の後部補助ブラケット118が溶接されており、後部補助ブラケット118をリアアクスルケース34の前部の側面にボルト119で固定している。リアアクスルケース34の前部側面にはボルト119がねじ込まれる受け座120を設けている。受け座120は前後に1対ずつ形成されており、より高い強度を要する場合は、補助ブラケット118を一点鎖線で示すように後ろに広げて4つの受け座120に締結したらよい。
[0102]
 (9).他の実施形態
 図20に示す実施形態では、エンジン26の支持機構において、フレーム補強体56を板金製として、これに上下開口の複数の貫通穴56aを空けている。この実施形態ではフレーム補強体56の平面積が大きいため、ねじりに対する剛体が高いと共にエンジン26のガード機能も高い。また、貫通穴56aの存在により、軽量化できると共に通風機能も確保できる。
[0103]
 また、図20の実施形態では、前側のサポートフレーム55の手前に平面視後ろ向き開口U型のバンパー122が配置されている。バンパー122は前に行くに従って高さが高くなるように側面視で傾斜しており、その左右後端は前側のサポートフレーム55に溶接されており、かつ、バンパー122の前端はフロントフレーム12にフロントブラケット123を介して連結されている。
[0104]
 さて、従来のバンパーは単なる横長の形態に過ぎず、フロントフレームに固定されているに過ぎなかった。すなわち、従来のバンパーは走行車体の前端のガード機能を持つに過ぎず、他の機能を併有することはなかった。
[0105]
 これに対して本実施形態では、バンパー123とフロントフレーム12と前部のサポートフレーム55とが連結されているためシャーシの前部の堅牢性が格段に高くなっている。すなわち、バンパー123がシャーシ(走行車体)の補強機能を有している。
[0106]
 また、バンパー122は前側のサポートフレーム55に固定されているため、エンジン26の保護部材としても機能するのであり、このため、エンジン26を前部サイドフレーム9の下方に沈ませた状態に配置した構成でありながら、エンジン26の保護機能をより一層向上できる(通風性は阻害されないため、エンジン26の冷却機能も高い。)。この実施形態では、図20(A)に示すように、ミッションケース27の上部後面に油圧ユニット86を取付けている。
[0107]
 図21では全体の骨組みの別例を示している。この実施形態では、補助フレーム23の外側に内外2本ずつのアウターフレーム124を配置し、前後複数のアウターブラケット125でアウターフレーム124を支持している。そして、アウターフレーム124で補助カバー126を支持している。昇降用ステップ128も外側のアウターフレーム124に固定している。また、車体カバー24はその後部が高くなった肩部24bになっているが、段部24bの周囲には囲い枠(安全柵)127を配置している。左右の囲い枠127は外側のアウターフレーム124に固定されている。
[0108]
 アウターフレーム124はサイドフレーム9,10の左右外側に大きく張り出した状態で配置されている。そこで、下部連結体36から左右外側に延びる左右一対のつっかい棒128を設け、つっかい棒128で後端に位置したアウターブラケット125を支持している。このため、人が載る部位の堅牢性を格段に向上できる。なお、つっかい棒128は下部連結体36に固定したブラケットに連結している。
[0109]
 図22に示す実施形態では、エンジン26をミッションケース27の後ろに配置している。この実施形態では、ミッションケース27とリアアクスルケース34とは従前の実施形態と同様に下部連結体36で連結され、かつ、前部補強体37と後部補強体37′とを有している。後部補強体37′は、左右の後部サイドフレーム10に連結した横長フレーム130に固着されている。補強体37,37′は下部連結体36にブラケットを介して取付けているが、溶接やボルト止め等で直接取り付けてもよい。
[0110]
 前後の補強体37,37′には底板131が取付けられており、エンジン26は防振ゴム(図示せず)を介して底板131で支持されている。前後の補強体37,37′は正面視でU形の形態である。本実施形態では、燃料タンクはミッションケース27の手前に配置可能である。
[0111]
 前後の補強体37,37′を縦長部の下水平部とを有する正面視略L形に形成して、下水平部の先端を下部連結体36の側面に固着することも可能である。また、正面視U型に形成された補強体37,37′の下水平部を下部連結体36の下面に固着することも可能である。前部補強体37は、ミッドフレーム11のうち後部サイドフレーム10の外側の部分に固着してもよい。
[0112]
 (10). その他
 本願発明は以上の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば適用対象は乗用型田植機に限るものではなく、苗移植機、芝刈機など各種の農作業機に適用できる。実施形態の苗植部を他の作業装置や運搬台車に付け替えることも可能である。走行機体は車輪による走行方式には限らず、クローラによる走行方式を採用することも可能である。
[0113]
 サイドフレームは前後別部材に分かれている必要はないのであり、全体が一本に繋がっていてもよい。ミッドフレームと下部連結体とに連結された補強体の形態も限定はないのであり、様々な形態を採用できる。下部連結体も丸パイプ製としたり複数本方式にするなど、多くのバリエーションを採用できる。下部連結体に油圧シリンダを連結した場合、ミッョンケースとミッドフレーム又はサイドフレームとを補強体で連結することも可能であり、この場合も本願発明と同じ効果を発揮し得る。

産業上の利用可能性

[0114]
 本願発明は田植機等の乗用型農作業機に具体化して有用性を発揮する。従って、産業上利用できる。

符号の説明

[0115]
  1 走行車体
  2 作業装置の一例としての苗植部
  3 リンク装置
  4 前輪
  5 後輪
  9 前部サイドフレーム
11 ミッドフレーム
 12 フロントフレーム
 13 リアフレーム
 21 燃料タンク
 24 車体カバー
 24a 操縦フロア
 26 エンジン
 27 ミッションケース
 38 後ろ側部材支持部の一例としての受け部
 39 油圧シリンダ
 55 前側部材支持部の一例としてのエンジンサポートを構成するサポートフレーム
 56 エンジンサポートを構成するフレーム補強体

請求の範囲

[請求項1]
 人が載って操縦する走行車体とこれに搭載されたエンジンとを有しており、前記走行車体は、操縦席の下方に配置されたシャーシと走行ミッションケースを有しており、前記シャーシはフレーム材から成っており、前記エンジンから前記走行ミッションケースの内部に動力伝達される、
という構成であって、
 前記シャーシとミッションケースとは、ミッションケースがシャーシの下方に位置した状態で配置されており、前記ミッションケースの前方又は後方若しくは前後両方の部位に、前記ミッションケースの上面よりも下方に位置した部材支持部を設けている、
乗用型農作業機。
[請求項2]
 前記シャーシのうち前記ミッションケースの前方の部位に、前記ミッションケースの前方に位置した前側部材支持部として、前記エンジンが載るエンジンサポートを、当該エンジンサポートの下端が前記ミッションケースの上面よりも下方に位置した状態に下向き突設しており、前記エンジンが、その下面を前記シャーシの下方に沈ませた状態で前記エンジンサポートで支持されている、
請求項1に記載した乗用型農作業機。
[請求項3]
 前記シャーシは、前後方向に延びる左右のサイドフレームを横長フレームで連結した構造になっており、前記左右のサイドフレームの前部に前記エンジンサポートを設けている、
請求項2に記載した乗用型農作業機。
[請求項4]
 前記エンジンサポートは、正面視で上向き開口U字状の形態を成した1本又は複数本のサポートフレームを備えており、このサポートフレームの底部に緩衝体を介して前記エンジンが取付けられている、
請求項3に記載した乗用型農作業機。
[請求項5]
 前記サポートフレームは前後に並んで複数配置されており、これら複数のサポートフレームが、当該サポートフレームの下方に突出した1つ又は複数のフレーム補強体で連結されている、
請求項4に記載した乗用型農作業機。
[請求項6]
 前記ミッションケースに前輪を支持するフロントアクスル装置が連結されている一方、前記ミッションケースの後方には後輪を回転自在に支持するリアアクスルケースが配置されており、前記ミッションケースとリアアクスルケースとは、前記ミッションケースの上面よりも下方に位置した下部連結体で連結されており、前記下部連結体に、ミッションケースの後ろに位置した後ろ側部材支持部を設けている、
請求項1に記載した乗用型農作業機。
[請求項7]
 前記シャーシは、前後方向に延びる左右のサイドフレームと、前記左右サイドフレームをその前後中途部において連結する左右横長のミドルフレームと、前記左右サイドフレームをその後端部において連結する左右横長のリアフレームとを有しており、前記リアフレームはリア支柱を介してリアアクスルケースで支持されており、
 かつ、前記ミッドフレーム又は左右サイドフレームと下部連結体とを補強体で連結している、
請求項6に記載した乗用型農作業機。
[請求項8]
 前記補強体は正面視で上向き開口U字状であって後ろに行くほど低くなるように側面視で前傾しており、前記補強体の底部に設けた後ろ側部材支持部で燃料タンクを支持している、
請求項7に記載した乗用型農作業機。
[請求項9]
 前記補強体は鋼管製でフレーム構造になっており、この補強体を正面視で略U型又は略V型の形態と成している、
請求項7に記載した乗用型農作業機。
[請求項10]
 前記サイドフレームは、ミッドフレームの手前に位置した略水平姿勢の前側サイドフレームと、ミッドフレームの後ろに位置して後方に行くほど高くなるように傾斜した後ろ側サイドフレームとに分かれており、前記後ろ側サイドフレームは前側サイドフレームよりも左右内側においてミッドフレームに固定されている一方、前記補強体は、前記後ろ側サイドフレームの前端部の近傍部で前記ミッドフレームに固定されている、
請求項7に記載した乗用型農作業機。
[請求項11]
 前記ミッションケースの後ろに配置した後ろ部材支持部として、前記エンジンが載るエンジンサポートを、当該エンジンサポートの下端が前記ミッションケースの上面よりも下方に位置した状態で配置しており、前記エンジンが、その下面を前記シャーシの下方に沈ませた状態で前記エンジンサポートで支持されている、
請求項1に記載した乗用型農作業機。

図面

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[ 図 3]

[ 図 4]

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[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

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[ 図 11]

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