Traitement en cours

Veuillez attendre...

Paramétrages

Paramétrages

Aller à Demande

1. WO2019124392 - VÊTEMENT DOUBLÉ

Document

明 細 書

発明の名称 裏地付き衣料

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007  

先行技術文献

特許文献

0008  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0009  

課題を解決するための手段

0010   0011  

発明の効果

0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035  

実施例

0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113  

産業上の利用可能性

0114  

符号の説明

0115  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

図面

1   2-1   2-2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : 裏地付き衣料

技術分野

[0001]
 本発明は裏地付き衣料に関する。

背景技術

[0002]
 春夏用の衣料、特にジャケット、パンツからなるスーツは、暑いと感じた時も都度脱ぐことができない場合もあるため、清涼機能が重要である。そこで、できるだけ表地を薄くしたり、裏地をメッシュ調にしたり、裏地を付けない仕様にするなど、清涼性を高める工夫がされている。しかしながら、表地が薄すぎて透けてしまう、破れてしまうなどの問題点や、裏地をメッシュにすることで、むしろ含気量が増え、断熱効果となる、裏地が付かないことによって、接触熱伝導性、及び吸湿・吸水といった汗処理性(以下、併せて熱水分移動特性ともいう。)が劣り、結果として温熱生理学的に清涼性が低下する、という問題がある。
[0003]
 以下の特許文献1には、経糸及び緯糸の一方にポリエステル系繊維からなる仮撚未解撚糸を、他方にポリエステル系繊維からなる沸水処理後の捲縮率40%以上のサイドバイサイド型の捲縮糸を用いた裏地用織物が開示されている。しかしながら、該織物では、しゃり感による清涼感と滑り性を付与することで肌へのベタツキが改善されているものの、ポリエステル系繊維で構成されていることから、裏地の熱水分移動特性、含気量に考慮が無く、清涼性に問題がある。
[0004]
 また、以下の特許文献2には、経糸にセルロース系長繊維、緯糸にポリエステル系長繊維の仮撚糸を用いた裏地用織物が開示されている。
 また、以下の特許文献3には、夏用の上着の前身と背部の後身頃にメッシュ又はネット調の裏地を配置して収納部を作り、折畳み収納に際しては折畳んだままで収納部に収納し、持ち運びに際して型崩れがないジャケットが開示されている。
 しかしながら、特許文献2に開示された裏地用織物と特許文献3に開示されたジャケットにおいては、裏地の熱水分移動特性、裏地の通気抵抗と表地の通気抵抗の関係が考慮されておらず、清涼性は充分発現できていない。
[0005]
 また、以下の特許文献4には、夏用スーツ上下の裏地として、メッシュ裏地が開示され、ジャケットに関して、前裏の脇下領域、背裏の脇下領域、下袖裏の上部領域に該メッシュ裏地を用い、織物の裏地を境界で縫合し、袖の滑り感を損なわず着やすいジャケットとしての縫製方法が開示されている。しかしながら、特許文献4に開示されたメッシュ裏地、ジャケットに関して、メッシュ裏地、織物裏地のいずれでも、裏地の通気抵抗と表地の通気抵抗の関係、裏地の熱水分移動特性は考慮されておらず、ジャケットとしての清涼性は充分発現できていない。
[0006]
 また、以下の特許文献4には、パンツにおいては、前述のメッシュ裏地と織物裏地を縫合し、膝の滑り感を損なわない膝裏としての縫製方法が開示されているものの、いずれの裏地も、裏地の通気抵抗と表地の通気抵抗との関係、裏地の熱水分移動特性に考慮が無く、パンツとしての清涼性が充分発現できていない。
[0007]
 また、以下の特許文献5には、夏用のパンツの前身にメッシュ又はネット調のひざ裏生地を配置して収納部を作り、折畳み収納に際しては折畳んだままで収納部に収納し、持ち運びに際して型崩れがないパンツが開示されているが、いずれも裏地通気抵抗、表地通気抵抗との関係、裏地の熱水分移動特性に考慮が無く、清涼性が充分発現できていない。

先行技術文献

特許文献

[0008]
特許文献1 : 特許第4584762号公報
特許文献2 : 国際公開第99/31309号
特許文献3 : 実用新案登録第3088492号公報
特許文献4 : 特開2007-231490号公報
特許文献5 : 実用新案登録第3102317号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0009]
 前記した従来技術に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、特に夏用の衣料、例えば、ジャケット、パンツの裏地の熱水分移動特性を最適化し、裏地の配置方法をさらに考慮することで、温熱生理学的にも官能においても清涼性を高めた裏地付き衣料を提供することである。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明者は、前記課題を解決すべく、鋭意検討し実験を重ねた結果、以下の要件を満たすことで、温熱生理学的にも、官能的にも、清涼性を高めた裏地付き衣料を提供することができることを見出した。具体的には、衣料最内層の裏地素材に熱伝導性や吸湿性が高いものを選択することが重要であることを明らかにした。
[0011]
 すなわち、本発明は、下記の通りのものである。
 [1]少なくとも内腕かつ上腕の部分、前腕部分、又は、脚の両鼠蹊部から膝までの部分に相当する位置に、接触冷感値Qmaxが120W/m ・℃以上であり、かつ、吸湿率Mが6.0%以上である織物である裏地が表地に固定されている、裏地付き衣料。
 [2]前記裏地の目付が62g/m 以上である、前記[1]に記載の裏地付き衣料。
 [3]前記表地の裏面の接触冷感値Qmaxが150W/m ・℃以上である、前記[1]又は[2]に記載の裏地付き衣料。
 [4]前記衣料がジャケットであり、前記表地の袖部の面積の30%以上に前記裏地が固定されている、前記[1]~[3]のいずれかに記載の裏地付き衣料。
 [5]前記表地の後身頃の面積の30%以上に前記裏地が固定されている、前記[4]に記載の裏地付き衣料。
 [6]前記裏地の通気抵抗値RLが0.1kPa・s/m以下であり、かつ、前記表地の通気抵抗RSが前記裏地の通気抵抗値RLよりも高い、前記[4]又は[5]に記載の裏地付き衣料。
 [7]前記裏地の空隙指数Vが1.0以上3.0以下である、前記[4]~[6]のいずれかに記載の裏地付き衣料。
 [8]前記裏地の経糸と緯糸がいずれも、撚り係数Kfが4000~20000T/mである長繊維撚糸糸条である、前記[4]~[7]のいずれかに記載の裏地付き衣料。
 [9]前記裏地が再生セルロース長繊維を含む、前記[3]~[7]のいずれかに記載の裏地付き衣料。
 [10]前記衣料がパンツであり、前記表地の面積の30%以上に前記裏地が固定されている、前記[1]~[3]のいずれかに記載の裏地付き衣料。
 [11]前記表地の前身頃の面積の50%以上に裏地が固定されている、前記[10]に記載の裏地付き衣料。
 [12]前記裏地の通気抵抗値RLが0.1kPa・s/m以下であり、かつ、前記表地の通気抵抗RSが前記裏地の通気抵抗値RLよりも高い、前記[10]又は[11]に記載の裏地付き衣料。
 [13]前記裏地の空隙指数Vが、1.0以上3.0以下である、前記[10]~[12]のいずれかに記載の裏地付き衣料。
 [14]前記裏地が再生セルロース長繊維を含む、前記[10]~[13]のいずれかに記載の裏地付き衣料。
 [15]前記裏地が前当て又は後ろ当てであり、前記表地と前記裏地の縫い代端が該裏地で覆われている、前記[10]~[14]のいずれかに記載の裏地付き衣料。

発明の効果

[0012]
 本発明に係る裏地付き衣料は、裏地素材の熱水分移動特性に加え、裏地の配置方法を適切にすることにより、温熱生理学的にも官能的にも清涼性を高めることができる。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 背部のほぼ全面に裏地を配置(総裏仕様)のメンズ用ジャケット胴部型紙例を示す。表地の後身頃の面積に対する裏地面積率が約95%の例である。
[図2-1] 背抜き仕様のメンズ用ジャケット胴部型紙例を示す。図2-1は表地の後身頃の面積に対する裏地面積率が約40%の例である。
[図2-2] 背抜き仕様のメンズ用ジャケット胴部型紙例を示す。図2-2は表地の後身頃の面積に対する裏地面積率が約60%の例である。
[図3] 半裏仕立てのメンズ用ジャケット胴部型紙例を示す。表地の後身頃の面積に対する裏地面積率が約30%の例である。
[図4] 背抜き仕様で且つ観音仕立てのメンズ用ジャケット胴部型紙例を示す。表地の後身頃の面積に対する裏地面積率が約40%の例である。
[図5] メンズ用ジャケット袖部型紙例を示す。表地の袖部の面積に対する裏地面積率が約95%の例である(全袖仕様)。尚、本明細書、図面中、袖部の脇下に近い領域を上腕、袖部の末端に近い領域を前腕とし、上腕と前腕を合わせて全袖とする。また、袖部の体幹側の領域を内袖又は内腕、その反対の領域を外袖又は外腕とする。
[図6] メンズ用ジャケット袖部型紙例を示す。表地の袖部の面積に対する特定の裏地面積率が約60%の例である(上腕仕様)。尚、図6中、「その他袖裏」は、図7に示す前腕に相当する。
[図7] メンズ用ジャケット袖部型紙例を示す。表地の袖部の面積に対する特定の裏地面積率が約35%の例である(前腕仕様)。尚、図7中、「その他袖裏」は、図6に示す上腕に相当する。

発明を実施するための形態

[0014]
 以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
 本実施形態の衣料は、使用する裏地の物性及び配置方法に特徴がある。
 本実施形態の衣料は、表地に接触冷感値Qmaxが120W/m ・℃以上であり、かつ、吸湿率Mが6.0%以上である裏地が固定されている裏地付き衣料である。以下、かかる裏地を「特定の裏地」ともいう。
 裏地では、衣料着用時、人体と接触する都度、熱伝導により人体産熱を有効に移行させる機能が重要であり、熱移動特性が高い素材を選定するとよい。具体的には、裏地の接触冷感値Qmaxは、120W/m ・℃以上、好ましくは140W/m ・℃以上、より好ましくは160W/m ・℃以上である。
 また、皮膚からの不感蒸泄を吸収し、蒸れ感を抑制するために、裏地として吸湿性の高い素材を選定し、この吸湿率Mは、6.0%以上であり、好ましくは8.0%以上、より好ましくは10%以上である。
[0015]
 本実施形態の衣料がジャケットの場合、表地の袖部(袖表地)において、前記特定の裏地が、少なくとも動脈に近い内腕かつ上腕、又は、動静脈吻合に近い手首及び前腕に相当する位置に配置されていることが好ましい。ジャケットの下に半袖シャツを着用する場合は、肌に接触する前腕に特定の裏地を配置することが特に好ましい。袖部は、比表面積が大きく、熱放散性が高い上肢を覆うパーツであり、清涼性への寄与が大きい。
[0016]
 本実施形態の衣料がジャケットの場合は、裏地の配置については、前記特定の裏地が、表地の袖部の面積の30%以上に配されていることが好ましく、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは60%以上、よりさらに好ましくは90%以上である。「特定の裏地」を表地の袖部の面積の30%以上の領域に用いるとき、それ以外の部分、例えば、図6、7における「その他袖裏」には、当該「特定の裏地」以外の裏地を使ってもよい。一般に、前腕だけに裏地を付けることは困難であるため、図7に示すように、前腕に特定の裏地を配する場合、上腕にも裏地を配することが好ましい。
[0017]
 本実施形態のジャケットにおいては、胴部の一部又は全体に前記特定の裏地を配することができ、総裏仕様(前身頃、脇身頃、後身頃、袖のほぼ全面に配置)が好ましい。本実施形態のジャケットの裏地は、表地の後身頃(背部ともいう)の面積の30%を占めていることが好ましく、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは60%以上、よりさらに好ましくは90%以上である。
 裏地を後身頃に配置する場合、図1に示す背部全面(面積比90%以上)の仕様、図2-1、図2-2に示す背抜き仕様、図3に示す半裏仕様、図4に示す背抜き観音仕様のいずれでもよく、表地の後身頃の面積の30%以上に配置されていることが好ましい。特に背部全面に配置される仕様は、背中心のパイピング作業が省略できる利点がある。更に、後身頃の裏地は、後身頃の表地面積の30%以上を、体幹に近い肩部から襟部に優先的に用いられることがより好ましい。前身頃及び脇身頃にも配置すると、着用時、表地裏面や縫い代のチクチク感、ごろつきを防ぐことができるなどの利点があり、また、吸湿性が高まるため好ましい。特に、ボタンをとめて着用するのが礼儀とされるメンズジャケットにおいては、裏地により、閉鎖的な衣環境における湿度処理機能が必要とされる。脇部(脇身頃)、前部(前身頃)に配置される裏地は特に限定されず、背部(後身頃)と同一でも異なっていてもよい。
[0018]
 本実施形態の衣料がパンツの場合は、前記特定の裏地が、脚の両鼠蹊部から膝までの部分に配されていることが好ましい。下肢、特に鼠蹊部や大腿前上部は熱放散効率が高いため、前記部分に特定の裏地を配置することは温熱生理学的にも最適である。
[0019]
 本実施形態のパンツは、特定の裏地が表地の面積の20%以上に配置されていることが好ましく、より好ましくは30%以上であり、また、前身頃の面積の40%以上に配置されていることが好ましく、より好ましくは50%以上である。特定の裏地の配置は、総裏仕様、前当て仕様、後ろ当て仕様でもよいが、総裏仕様は表地のチクチク感や表地縫代の摩擦を防ぐことができるうえ、下肢全体の不感蒸泄を処理することができるため、より好ましい。前当てか後ろ当てのいずれかの部分仕様とする場合は、前当て仕様にすることが好ましい。その理由は、前当て仕様の場合は、歩くたびに皮膚と裏地とが接触し、熱交換効率が高くなるためである。裏地の丈については、膝動作性向上の観点から、膝下までの長さがあることが好ましい。また、膝下まであれば、歩行や座位等の動作時においても、効果的に大腿部と接触することができる。
[0020]
 長時間着用における衣服内の湿度上昇を抑制するためには、水蒸気移行性を考慮し、衣料最内層にある裏地の通気抵抗値RLは、0.1kPa・s/m以下であり、かつ、表地の通気抵抗RSが裏地の通気抵抗値RLよりも高くする、換言すれば、裏地の通気抵抗RLを表地の通気抵抗RSよりも低く(小さく)する、すなわちRL<RSとすることが好ましい。裏地の通気抵抗RLは、より好ましくは0.05kPa・s/m以下である。
[0021]
 裏地の通気抵抗RLについては、0.1kPa・s/mを超えると長時間の着用において水蒸気移行性が乏しく、素材の吸湿性のみでは蒸れ感を抑制できない。また、裏地の通気抵抗RLが表地の通気抵抗RSよりも高いと、最内層の水蒸気が効果的に排出されず、水蒸気が留まりやすくなる。従って、RLが0.1kPa・s/m以下、且つ、RL<RSを満たすことが好ましい。裏地の通気抵抗を下げる定法としては、単に構成糸条の密度を下げる他に、長繊維の場合、構成糸条を収束させ、糸に撚り又は捲縮を加える、短繊維の場合、撚り係数を高めに設定する等がある。
[0022]
 所望の熱水分移動特性を達成するためには、裏地の含気量を考慮した空隙指数V、すなわち、二次元的な空隙率から算出した空隙面積と厚みの乗算値から求められる空隙指数Vが1.0以上3.0以下であることが好ましい。
[0023]
 裏地に空隙を過剰に与えると、通気抵抗は大きく下がるものの、含気量が多く断熱効果が高まり、接触による熱移動が作用しにくくなる傾向にある。従って、熱伝導性と水蒸気移行性を両立するためには、空隙指数Vをコントロールすることが重要である。
 布帛の空隙率は、一般的にカバーファクター(繊維占有率)から算出する等、二次元でとらえるのが定法であったが、本発明者は含気量を考慮した空隙指数Vが重要であり、三次元、つまり二次元的な空隙率から算出される空隙面積と厚みの乗算値でとらえられることを明らかにした。この空隙指数Vは前述の通り、熱伝導性と水蒸気移行性の両立のため長時間での着用を想定する場合、1.0以上3.0以下であることが好ましい。3.0を超えると、水蒸気移行性は達成しても、含気量が多く断熱効果が高まることがある。他方、1.0を下回ると、含気量が少ないため断熱効果は低減できるが、水蒸気移行性が達成できないことがある。
[0024]
 通気抵抗を0.1以下、且つ、空隙指数Vを1.0以上3.0以下にコントロールするためには、構成糸条の密度と形態、(空隙率につながる)に加えて、厚み(空隙率に乗算し、空隙指数)を考慮する必要がある。通気抵抗を下げるため、単に糸条を収束させると、糸条収束による厚み増は空隙量も増大させることから、厚み増は必要最小限に留める必要があり、同時に、構成糸条自体の含気量も低減することが望ましい。
 空隙指数Vを減ずるために、裏地の厚みを小さくすることが好ましく、そのためには糸条製造技術の他に、裏地の最終仕上げ工程にてコールドカレンダーやホットカレンダー等を併用し、厚みを10%から20%低減するとなおよい。これにより、空隙量を減じる効果だけではなく、平滑にすることで、接触冷感性、熱伝導性を高めることができる。
[0025]
 裏地のQmaxを120W/m ・℃以上にするためには、構成繊維として、毛羽を有する短繊維よりも毛羽の少ない短繊維、更には毛羽のない長繊維を用いることが好ましい。毛羽が多いと熱移動の妨げとなる。従って、短繊維を用いる場合、単糸繊度は2dtex以下が好ましく、繊維長は25mm以上が好ましく、より好ましくは38mm以上である、比較的繊維長が長い短繊維を選定するとよい。短繊維の太さは、好ましくは40番手~60番手(綿番手)、より好ましくは50番手~60番手である。撚数は糸の硬さ、風合いの面から20回/inch~30回/inchが好ましい。また、以下の式:
   撚り係数Ks(sは短繊維を示す)=撚数(回/inch)/綿番手 0.5
で計算される撚り係数Ksは3~4であることが好ましい。撚係数Ksが3~4であれば、より収束しやすく、含気量を抑制することができる。
[0026]
 裏地を構成する繊維として長繊維を用いる場合、ヤーンの繊度が30dtex以上130dtex以下の繊維を選定することが好ましい。30dtex以上130tex以下にすることで、耐摩擦、引裂き等の強度物性と、柔らかさ等の風合い特性とのバランスを保つことができる。30dtex未満では摩擦や引き裂き強度に劣り、他方、130dtexを超えると、風合いが硬くなる。単繊維の断面形状については、皮膚とアウターとの摩擦を低減する観点から、三角や十字等の角のある形状よりも、丸や楕円等が好ましい。単糸繊度は、細いほど生地が柔らかくなることから、4dtex以下であることが好ましい。構成糸条の形態は、単一素材でも二種以上素材を予め複合しても、機上で複合しても、一本交互等の複合使用でもよいが、表面の平滑性が低い仮撚加工糸、エア交絡糸よりは、平滑性が高く充填度の高い原糸、撚糸が好ましい。また、繊維内水分率が高い素材は熱伝導性が高いため好適である。裏地を構成する素材例としては、例えば、セルロース系繊維では、天然繊維の綿、麻、再生セルロース繊維のビスコースレーヨン、銅アンモニウムレーヨン(キュプラアンモニウムレーヨン、キュプラ、ベンベルグ(登録商標)ともいう)、精製セルロース、半合成繊維のアセテート等が挙げられ、合成繊維では、ナイロン、ポリエステル等が挙げられる。ポリマー中に熱伝導性が高い金属酸化物等を練り込むと、熱伝導性をより高めることができる。
[0027]
 裏地の吸湿性を達成するためにも、前述のセルロース系繊維を含むことが好ましい。ポリマー中の疎水基を、吸湿性を示す親水基で改質するのもよい。
 中でも繊維内水分率が高いことから熱伝導性が高い、再生セルロース繊維が最も好ましい。セルロース系繊維の混率は、裏地重量の30%以上であることが好ましく、40%以上、更には50%以上であると吸湿性が高まりより好ましい。セルロース系繊維が30%未満になると、吸湿性が不足し、蒸れを感じやすくなる。セルロース系繊維は、カレンダー工程後にテカリやギラツキ、熱融着が生じにくいため合成繊維よりも好ましく、中でも、再生セルロース繊維を30重量%以上、より好ましくは40重量%以上含むとよい。再生セルロース繊維が、長繊維糸条であれば糸条内の含気量も抑制でき、なおよい。
[0028]
 構成糸として長繊維を用いると、短繊維よりも相対的に糸条内の含気量が少ないのでより好ましい。合成繊維の仮撚加工糸を用いることもできるが、この場合、糸条のトータル繊度を130dtex以下、より好ましくは84dtex以下、さらに好ましくは56dtex以下とし、且つ、嵩高にならないよう、仮撚数、ヒーター温度、糸速等を調整し、捲縮伸長率(JIS-L-1090合成繊維嵩高加工糸試験方法、5.7伸縮法B法に基づく)を20%以下とした低捲縮糸を選定するのがよい。捲縮伸長率は5%~10%が最も好ましい。二種以上の糸条を予めエア交絡した後、追撚する方法を用いると、より一層含気量を抑制できるため、なおよい。なお、仮撚加工糸として、少なくとも経糸は、糸長方向に加撚時の撚り状態を保持している部分(いわゆる「未解撚部分」)と、解撚作用が集中して形成された解撚と同一方向の撚りとなっている過剰解撚部分とを有している融着延伸仮撚加工糸ではない方が好ましい。融着延伸仮撚加工糸は、未解撚部と過剰解撚部の共存で、嵩高な構造となりやすく、含気量が高く、断熱効果が高いためである。
 なお、本実施形態の衣料においては、裏地を構成する織物の経糸が、ジャケットの袖であれば略腕の長さ方向、ジャケットの胴部やパンツであれば略身長方向に配向して固定されていることを想定している。
[0029]
 撚糸は、糸条中の空気を排除することで含気量を抑制できるため好ましい。単一素材による撚糸、二種以上の糸条を合撚して得た合撚糸でもよいが、裏地を構成する経糸、緯糸の少なくともいずれか一方は撚糸であることが好ましく、両方が撚糸であることがより好ましい。また、撚糸は、以下の式:
   撚り係数Kf(fは長繊維を示す)=撚数(回/m)×繊度 0.5
で計算される撚り係数Kfが4000~20000であることが好ましく、より好ましくは4500~20000、さらに好ましくは5000~18000である。撚り係数Kfを4000~20000に設定すると、より収束しやすく、含気量を抑制できる。撚糸作製時は、撚り止めセット条件温度を高く、時間を長めに設定するとよい。好ましい条件は、セット温度70℃~90℃、セット時間は一回なら40~60分、二回なら20分~30分、セルロース系繊維は、セット温度は80℃~90℃と高めに設定することが好ましい。セット時間は二回実施することが好ましい。機上で原糸と撚糸、原糸と仮撚加工糸と、仮撚加工糸と撚糸を併用することも可能であるが、糸条内の含気量が少ない、撚糸と撚糸の組み合わせが最もよい。仮撚加工糸よりも仮撚追撚、撚糸、更には強撚の方が、糸条内の含気量が低減できるため好ましい。
[0030]
 本実施形態の衣料に用いる裏地は、目付が50g/m 以上が好ましく、60g/m 以上がより好ましく、62g/m 以上が更に好ましい。50g/m 未満になると強度等の物性が低くなる場合がある。また、本実施形態の衣料に用いる裏地の目付は100g/m 以下が好ましく、85g/m 以下がより好ましく、80g/m 以下が更に好ましい。100g/m を超えると裏地が厚ぼったくなる場合がある。
[0031]
 本実施形態の衣料に用いる裏地の組織は、特に限定はなく、通常の織機を用いて製造することができる。織物の組織としては、平織、綾織、朱子織、その変化組織等が挙げられる。
[0032]
 製織後の後加工は、精練、プレセット、染色、仕上げ加工の順で行うとよいが、この限りではない。精練は、一般的なオープンソーパー型の拡布連続精練機が好ましく用いられる。精練時の温度は40℃~90℃の範囲で、乾燥温度は100℃~195℃の範囲で適宜選定すればよい。
 プレセットは、ピンテンター型の処理機にて150℃~195℃の範囲で適宜選定すればよい。また、セット幅は、精練・乾燥後の幅から適宜選定すればよい。
 染色は、液流染色法やビーム染色法、ジッガー染色法、拡布連続型のコールドパッドバッチ染色法、パッドスチーム染色方法でもよく、上記染色方法を組み合わせてもよい。また、染色工程を削減するために原着糸を使用してもよい。
 仕上げ加工は、拡布状態で行うことが好ましく、セルロース系繊維使用の場合は、防縮や防皺を目的として、ノンホルマリン系樹脂加工を施すとよい。この場合、樹脂加工剤に加えて柔軟剤、撥水剤やスリップ防止剤を適宜添加しても構わない。前述のカレンダー加工については、厚み低減、平滑性、接触冷感性を高めるために好ましく用いられ、ホットカレンダー加工の場合は、なお一層、平滑性、接触冷感性向上効果が高まる。好ましいカレンダー圧は0.1MPa~0.5MPa、より好ましくは、0.2MPa~0.3MPa、好ましいホットカレンダー温度は80℃~110℃、より好ましくは90℃~100℃であるとよい。
[0033]
 本実施形態の衣料の裏地は、表地の少なくとも一部分に固定されていればよく、裏地の隅全てが表地と固定されていてもよい。表地への裏地の固定方法は、縫製に限定されるものではなく、接着でもよい。裏地を本縫いミシンで縫製する場合には、縫製部位強度保持、ヒケ防止の面から、4針~5針/1cmのピッチで縫うことが好ましい。本縫製方法をA法とする。なお、本実施形態においては、前身頃、襟、袖口、脇等に芯地等の副資材を適宜利用してよい。
 本実施形態の衣料がパンツであり、前当てか後ろ当てのいずれかの部分使用とする場合、表地と裏地の縫い代端が裏地で覆われていると、表地と裏地の縫い代が皮膚に接触、摩擦せず、不快に感じることが少ないため、好ましい。表地と裏地の縫い代端が裏地で覆われるようにするためには、表地を中表にして、両脇を縫い、裏地を外表にし、表地を中表にして縫製した縫い代に、表地の縫い目よりも外側に重ねるように縫い、最終的には裏地を一番上に三枚重ねてひっくり返しにする方法(この縫製方法をB法とする)で、裏地の表側を最内層としたパンツに縫い仕上げることができる。この方法で縫うと、表地と裏地を縫い込む通常の縫い方(定法)に比べ、パンツ脇部のパッカリングを防ぐことができ、縫い目が美しいパンツとなり、また、着用感を向上させるという効果もある。何故なら、定法では、厚みや伸度の違う表地と裏地を縫い合わせるため、厚みや伸度差によりパッカリングが、更には伸度差により動作時の伸び不足が伴うことがあるためである。
[0034]
 本実施形態の衣料の表地の素材や、短繊維、長繊維等の繊維の物理形態について限定はないが、前記した裏地の通気抵抗と表地の通気抵抗の相対関係を満たすことが好ましい。また、吸湿性が比較的高い素材、例えば、ウール、シルク等の動物繊維、セルロース系繊維や、半合成繊維ではアセテート系繊維が混用されていることが好ましい。合成繊維では、ポリアミド系繊維、吸湿性が改質されたポリエステル系繊維等も挙げられ、これらと吸湿性の高い繊維との混紡、混繊形態でも構わない。また、表地の裏面の接触冷感値Qmaxが高いと、特に裏地が付かない部分での清涼感向上効果が得られるため、好ましい。表地の裏面のQmaxとしては、120W/m ・℃以上が好ましく、140W/m ・℃以上がより好ましく、150W/m ・℃以上がさらに好ましい。尚、表地の裏面の接触冷感値Qmaxを高めるための方法としては、表地の裏面へのカレンダー加工が挙げられる。この場合、審美性の観点より、裏面のみカレンダー加工することが好ましい。
[0035]
 本実施形態のジャケットの表地の組織については、織、編限定はないが、前記した裏地の通気抵抗と表地の通気抵抗の相対関係を満たすことが好ましく、これにより、裏地が付かないよりも、付いた方が清涼性の高いジャケットを提供することができる。
実施例
[0036]
 以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。まず、実施例で用いた測定方法及び評価方法について説明する。尚、下記測定方法における布帛、表地、裏地は、衣料から切り出したものである。
[0037]
(1)性量(経糸密度、緯糸密度、目付、厚み)
 20℃×65%RHの環境に保たれた恒温室にて布帛(表地と裏地)を一昼夜保管した後、同じく恒温室内で測定した。
  経糸・緯糸密度(inchあたりの本数):デンシメーターで計測
  目付(g/m ):精密電子天秤
  厚み:JIS L 1096規格に準拠した厚み計により測定、例えば、ピーコック 定圧厚み計 FFA10、接圧:2.4N/cm
[0038]
(2)接触冷感値Qmax
 同恒温室内で、カトーテック社製KES-F7 サーモラボIIを用い、布帛の肌に接する面(表地は裏面、裏地は表面)の最大熱移動量(Qmax値)、環境温度20℃、湿度65%RH、接触圧力98cN/cm 、接触面積9cm (3cm×3cm)を測定した。断熱材として、発泡スチロールを用いた。測定回数はN=5とし、その平均値を得た。
[0039]
(3)吸湿率M(裏地吸湿性)
 80℃の送風乾燥機で1時間予備乾燥をし、次いで、20℃×65%RHの恒温室にて布帛(裏地)を一昼夜保管した後、同じく恒温室内で布帛重量を測定した。測定回数はN=5とし、その平均値を得た。
[0040]
(4)通気抵抗R(裏地の通気抵抗RL、表地の通気抵抗RS)
 同恒温室内で、カトーテック社製KES-F8通気抵抗測定器を用い、表地(RS)、裏地(RL)の通気抵抗を測定した。測定回数は測定箇所を変え、N=5とし、その平均値を得た。
[0041]
(5)空隙指数V
 走査型電子顕微鏡(50倍~100倍が好ましい)で裏地表面写真を5箇所撮影、画像解析装置の二値化法により、繊維糸条の面積占有率(%)を求め、平均値を得、この値から空隙率(%)を算出した(空隙率=100-面積占有率)。空隙率と厚みを乗算し、空隙指数Vを算出した。
[0042]
(6)裏地面積占有率(%)
 CADを用いた画像処理により、表地の型紙と裏地の型紙の面積比から、裏地の面積占有率を算出した。なお、前記型紙は、製品を分解して生地を平面にし、デジタイザーでスキャンすることで作製することができる。
[0043]
 次に、実施例、比較例で用いたジャケットの着用試験方法について説明する。
(7)ジャケットの着用官能試験
 被験者は身長170~175cm、体重60~70kgの健全な男性10名を選定した。上半身には、肌着として綿60%、キュプラ20%、ポリエステル20%のフライス(グンゼ社製YG-X)、半袖シャツとして、綿65%、ポリエステル35%の混紡糸よりなる半袖シャツを供試した。いずれの被験者にも、ノーネクタイとし、シャツの第一ボタンをはめずに着用させた。ジャケットは二つボタンの仕様とし、第一ボタンのみはめさせた。下半身は、裏地なしの綿100%のパンツの下に綿100%のブリーフ、綿、ポリエステル混の靴下を着用させた。
 30℃×50%RHの環境にて、まずは裏地なしの綿100%パンツ、半袖シャツ着用の状態で15分坐位安静にさせた。続いて、試作のジャケットを1種ずつランダムに着用(乱数表使用)、以下の指定動作をさせ、1着ごと官能評価を実施した。回答は、SD法による以下の5段階評定とし、その平均値を示した。
[0044]
[指定動作]
 袖通し-安静5分-両腕前方曲げ伸ばし繰り返し5回(初期清涼感評価)-安静5分(持続的清涼感評価)、の官能試験を実施、ジャケットを脱衣して、次のジャケットの着用試験に移行。初期清涼感評価(初期清涼性)、及び持続的な清涼感評価(持続清涼性)の評価基準を以下に示す。これら2つの観点での清涼性が共に高いことで、温熱生理学的にも官能においても清涼性の高い裏地付きジャケットとなる。
[0045]
[初期清涼感評価(初期清涼性)]
  5:非常に清涼
  4:清涼
  3:どちらともいえない
  2:やや暑い
  1:非常に暑い
[持続的な清涼感評価(持続清涼性)]
  5:非常に清涼
  4:清涼
  3:どちらともいえない
  2:やや暑い
  1:非常に暑い
[0046]
 以下、実施例、比較例で用いたパンツの着用試験方法について説明する。
(8)パンツの着用官能試験
 被験者は身長170~175cm、体重60~70kgの健全な男性10名を選定した。下半身は、後述するパンツの下に綿100%のブリーフ、綿、ポリエステル混の靴下、上半身は、肌着として綿60%、キュプラ20%、ポリエステル20%のフライス(グンゼ社製YG-X)、半袖シャツとして、綿65%、ポリエステル35%の混紡糸よりなる半袖シャツを供試した。いずれの被験者にも、ノーネクタイとし、シャツ第一ボタンをはめずに着用させた。
 30℃×50%RHの環境にて、まずは裏地なしの綿100%パンツ着用の状態で15分坐位安静にさせた。続いて、試作のパンツを1種ずつランダムに着用(乱数表使用)、以下の指定動作をさせ、1着ごと官能評価を実施した。回答は、SD法による以下の5段階評定とし、その平均値を示した。
[指定動作]
 脚曲げ伸ばし繰り返し5回-座り、立ち繰り返し5回、パンツを脱衣して綿100%パンツを着用し5分安静後、次のパンツの着用試験へ移行
[清涼感評価(清涼性)]
  5:非常に清涼
  4:清涼
  3:どちらともいえない
  2:やや暑い
  1:非常に暑い
[0047]
(9)パンツの着用生理試験
 被験者は身長170~175cm、体重60~70kgの健全な男性5名を選定した。各被験者共にサーカディアンリズムを考慮し、摂食コントロールのもとで1日1着の実験を行った。
 下半身は、パンツの下に綿100%のブリーフ、綿、ポリエステル混の靴下、上半身は、肌着として綿60%、キュプラ20%、ポリエステル20%フライス(グンゼ社製YG-X)、半袖シャツとして、綿65%、ポリエステル35%混紡を供試した。いずれの被験者にも、ノーネクタイとし、シャツ第一ボタンをはめずに着用させた。
 32℃×50%RHの環境にて、試作パンツを着用した状態で30分間坐位安静後、時速5kmにて10分間トレッドミル上で歩行させ、終了後10分座位安静にさせた。着用試験中は、安静開始から歩行後安静終了まで10秒ごとの平均皮膚温を得た。皮膚温は5人分のデータを時間軸に平均した後、測定開始から終了までの区間平均値を得た。平均皮膚温はラマナサンの4点法に従い、皮膚温度センサー(グラム社製LT-2N-12)を被験者の右胸、上腕、大腿、下腿に貼り付けて採取した。歩行後安静時に、各パンツの清涼性についての官能評価を実施した。回答は、SD法による以下の5段階評定とし、その平均値を示した。この歩行後清涼性が高いことで、温熱生理学的にも官能においても清涼性の高い裏地付きパンツとなる。
[清涼感評価(歩行後清涼性)]
  5:非常に清涼
  4:清涼
  3:どちらともいえない
  2:やや暑い
  1:非常に暑い
[0048]
[表地の作製]
[ウール/ポリエステル混紡表地X]
 経糸2/72、緯糸2/72のウールとポリエステルの混紡糸のトップ染めを経て紡績糸を得、仕上げ密度が経64本/inch、緯55本/inch、通気抵抗値が0.083kPa・s/mの平織表地Xを用意した。この表地の裏面の接触冷感値Qmaxは139W/m ・℃であった。
[ウール表地Y]
 経糸2/60、緯糸2/60のウール紡績糸を得、定法の染色加工の後、仕上げ密度が経62本/inch、緯48本/inch、通気抵抗が0.100kPa・s/mの平織表地Yを用意した。この表地の裏面の接触冷感値Qmaxは148W/m ・℃であった。
[ウール表地Z]
 経糸2/60、緯糸2/60のウール紡績糸を得、定法の染色加工の後、仕上げ密度が経62本/inch、緯48本/inchの平織表地Yを用い、仕上げ工程で裏面のみに片面カレンダー加工を行った。この表地の通気抵抗は0.110kPa・s/m、裏面の接触冷感値Qmaxは158W/m ・℃であった。
[0049]
[裏地の作製]
[裏地1]
 経糸用にキュプラアンモニウムレーヨン(旭化成社製ベンベルグ(登録商標))56dtex/45fを、S方向に撚った糸を、処理温度85℃、処理時間20分を二回、撚り止めセットを実施し、撚数1000回/mのS撚糸を得た。続いて、緯糸用にベンベルグ(登録商標)84dtex/45fを、S方向に撚った糸、及び、Z方向に撚った糸を、それぞれ、処理温度85℃、処理時間20分を二回、撚り止めセットを実施し、撚数1825回/mのS撚糸とZ撚糸を得た。経糸には前者のS撚糸を配するよう、緯糸には後者のS撚糸およびZ撚糸を交互に配するよう、エアージェットルーム織機に供給し、平織物を得た後、以下の染色加工工程1により裏地1を得た。
<染色加工工程1>
 連続精練-プレセット-パッドスチーム染色・ソーピング・乾燥-柔軟樹脂加工-ホットペーパーカレンダー(温度90℃、1000N/cm)-検査
 裏地の厚みはカレンダー前後で0.147mmから0.128mmに13%変化した。
[0050]
[裏地2]
 経糸にキュプラアンモニウムレーヨン(旭化成社製ベンベルグ(登録商標))84dtex/45f、緯糸に同110dtex/75fを用いて、エアージェットルーム織機により、平織物を得た後、以下の染色加工工程2により裏地2を得た。
 裏地の厚みはカレンダー前後で0.104mmから0.100mmに4%変化した。
<染色加工工程2>
 連続精練-プレセット-パッドスチーム染色・ソーピング・乾燥-柔軟樹脂加工-コールドペーパーカレンダー(温度常温、1000N/cm)-検査
[0051]
[裏地3]
 経糸用にポリエステル56dtex/24fをS方向に撚った糸を、処理温度80℃、処理時間30分で撚り止めセットを実施し、撚数600回/mのS撚糸を得た。緯糸用にビスコースレーヨン84dtex45fを、S方向に撚った糸、及び、Z方向に撚った糸を、それぞれ、処理温度80℃、処理時間40分で撚り止めセットを実施し、撚数1825回/mのS撚糸とZ撚糸を得た。経糸には前者のS撚糸を配するよう、緯糸には後者のS撚糸とZ撚糸を交互に配するよう、エアージェットルーム織機に供給し、平織物を得た後、以下の染色加工工程3により裏地3を得た。裏地の厚みはカレンダー前後で0.154mmから0.140mmに9%変化した。
<染色加工工程3>
 連続精練-プレセット-液流染色・ソーピング-乾燥-パッドスチーム染色・ソーピング・乾燥-樹脂加工-コールドペーパーカレンダー(温度常温、1000N/cm)-検査
[0052]
[裏地4]
 経糸用にキュプラアンモニウムレーヨン(旭化成社製ベンベルグ(登録商標))84dtex/45fを、S方向に撚った糸を、処理温度70℃、処理時間40分で撚り止めセットを実施し、撚数600回/mのS撚糸を得た。続いて、緯糸用にベンベルグ(登録商標)84dtex/45fを、S方向に撚った糸、及び、Z方向に撚った糸を、それぞれ、処理温度70℃、処理時間40分で撚り止めセットを実施し、撚数600回/mのS撚糸とZ撚糸を得た。経糸には前者のS撚糸を配するよう、緯糸には後者のS撚糸とZ撚糸を交互に配するよう、エアージェットルーム織機に供給して、平織物を得た後、前記した染色加工工程2により裏地4を得た。裏地の厚みはカレンダー前後で0.154mmから0.140mmに9%変化した。
[0053]
[裏地5]
 経糸、緯糸共に、キュプラアンモニウムレーヨン(旭化成社製ベンベルグ(登録商標))短繊維60/-(単糸1.4dtex、繊維長38mm、Ks=3.8)を用いて、エアージェットルーム織機により平織物を得た後、前記した染色加工工程2により裏地5を得た。
 裏地の厚みはカレンダー前後で0.176mmから0.160mmに8%変化した。
[0054]
[裏地6]
 経糸、緯糸共に、ポリエステルの融着延伸仮撚加工糸100dtex/36fを用いて、ウォータージェットルーム織機により平織物を得た後、以下の染色加工工程4により裏地6を得た。
<染色加工工程4>
 連続精練-プレセット-液流染色・ソーピング-乾燥-仕上げ加工-検査
[0055]
[裏地7]
 経糸にポリエステル56dtex/36f、緯糸にポリエステル84dtex/36fを用いて、ウォータージェットルーム織機により平織物を得た後、前記した染色加工工程4により裏地7を得た。
[0056]
 こうして得た裏地1~7の糸使い、各種物性を以下の表1に示す。
[表1]


[0057]
 裏地1、裏地3、裏地4は、吸湿率Mが6.0%以上で、通気抵抗値RLが0.045kPa・s/m以下で、表地X、Yの通気抵抗値RSよりも低く、接触冷感値Qmaxが120W/m ・℃以上である。
 他方、裏地2は、通気抵抗値RLが0.1kPa・s/m以下でなく、かつ、通気抵抗値RLが表地X、Yの通気抵抗値RSより高いが、接触冷感値Qmaxは、185W/m ・℃で最も高い。
 裏地5は、通気抵抗値RLが0.1kPa・s/m以下で、表地Yの通気抵抗値RSよりも低く、接触冷感値Qmaxが120W/m ・℃以上である。
 裏地6と7はいずれも、接触冷感値Qmaxが120W/m ・℃未満であり、かつ、吸湿率Mは6.0%未満である。
[0058]
[裏地付きジャケットの試作]
 表地Xと表地Y、裏地1~7を用い、ジャケットをJIS標準サイズA6にて縫製した。裏地の縫製時には、織機上の経糸方向が胴体経方向になるように縫製した。
 実施例13では表地Yを用い、それ以外の実施例1~12、14~26、比較例1~10では表地Xを用いた。脇身頃と前身頃については、総裏仕様では、表地面積の95%、背抜き仕様では、表地面積の40%、そして半裏仕様では、表地面積の30%、となるように、実施例26を除いて、背裏と同じ裏地を配した。ここで、脇身頃、前身頃における表地面積とは、図1における2と3で記した領域の面積である。背裏が無い場合は、脇身頃と前身頃も裏地無とした。また、比較例7として、裏地を全く付けないジャケットも用意した。尚、縫製時の表地と裏地の縫製状態は以下の評価基準で判定した。
[縫製状態評価]
  ◎:大変良好
  ○:良好
  △:どちらともいえない
  ×:やや悪い
[0059]
[実施例1]
 胴部には図1に示す総裏仕様で裏地1を、袖部に図5に示す全袖仕様で裏地1を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。
[0060]
[実施例2]
 胴部には図2-1に示す背抜き仕様で裏地1を、袖部に図5に示す全袖仕様で裏地1を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。
[0061]
[実施例3]
 胴部には、裏地を付けず(背無)、袖部に図5に示す全袖仕様で裏地1を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。
[0062]
[実施例4]
 胴部には裏地を付けず(背無)、袖部に図6に示す上腕に裏地1を、前腕に裏地2を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。上腕と前腕は内袖、外袖共に肘下部で切り替えとし、上腕の面積比=60%、前腕の面積比=35%とした。
[0063]
[実施例5]
 胴部には図1に示す総裏仕様で裏地1を、袖部に図6に示す上腕に裏地1を、前腕に裏地2を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。上腕と前腕は内袖、外袖共に肘上部で切り替えし、上腕の面積比=30%、前腕の面積比=65%とした。
[0064]
[実施例6]
 胴部には図3に示す半裏仕様で裏地1を、袖部に図6に示す上腕に裏地1を、前腕に裏地2を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。上腕と前腕は内袖、外袖共に肘上部で切り替えし、上腕の面積比=30%、前腕の面積比=65%とした。
[0065]
[実施例7]
 胴部には裏地を付けず(背無)、袖部に図5に示す内腕に裏地1を、外腕に裏地2を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。内腕の面積比=40%、外腕の面積比=55%とした。
[0066]
[実施例8]
 胴部に裏地を付けず(背無)、袖部に図6に示す上腕に裏地1を、前腕に裏地2を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。上腕と前腕は内袖、外袖共に肘上部で切り替えし、上腕の面積比=30%、前腕の面積比=65%とした。
[0067]
[実施例9]
 胴部に図2-2に示す背抜き仕様で裏地4を、袖部に図5に示す全袖仕様で裏地2を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。
[0068]
[実施例10]
 胴部に図2-1に示す背抜き仕様で裏地1を、袖部に図5に示す全袖仕様で裏地2を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。
[0069]
[実施例11]
 胴部に図2-1に示す背抜き仕様で裏地3を、袖部に図5に示す全袖仕様で裏地1を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。
[0070]
[実施例12]
 胴部に図2-1に示す背抜き仕様で裏地4を、袖部に図5に示す全袖仕様で裏地3を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。
[0071]
[実施例13]
 胴部に図1に示す総裏仕様で裏地5を、袖部に図5に示す全袖仕様で裏地5を使用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。前記したように、実施例13では、表地Yを用いてジャケットを作製した。
[0072]
[実施例14]
 胴部に裏地を付けず(背無)、袖部に図7に示す前腕に裏地1を、上腕に裏地6を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。上腕と前腕は内袖、外袖共に肘上部で切り替えし、上腕の面積比=35%、前腕の面積比=60%とした。
[0073]
[実施例15]
 胴部に図1に示す総裏仕様で裏地1を、袖部に図7に示す前腕に裏地1を、上腕に裏地6を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。上腕と前腕は内袖、外袖共に肘下部で切り替えし、上腕の面積比=65%、前腕の面積比=30%とした。
[0074]
[実施例16]
 胴部には図3に示す半裏仕様で裏地1を、袖部に図7に示す前腕に裏地1を、上腕に裏地6を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。上腕と前腕は内袖、外袖共に肘下部で切り替えし、上腕の面積比=65%、前腕の面積比=30%とした。
[0075]
[実施例17]
 背部に裏地を付けず(背無)、袖部に図5に示す内腕に裏地1を、外腕に裏地6を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。内腕の面積比=40%、外腕の面積比=55%とした。
[0076]
[実施例18]
 胴部に裏地を付けず(背無)、袖部に図7に示す前腕に裏地1を、上腕に裏地6を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。上腕と前腕は内袖、外袖共に肘下部で切り替えし、上腕の面積比=65%、前腕の面積比=30%とした。
[0077]
[実施例19]
 胴部に図1に示す総裏仕様で裏地1を、袖部に図7に示す前腕に裏地2を、上腕に裏地6を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。上腕と前腕は内袖、外袖共に肘下部で切り替えし、上腕の面積比=65%、前腕の面積比=30%とした。
[0078]
[実施例20]
 胴部には図3に示す半裏仕様で裏地1を、袖部に図7に示す前腕に裏地2を、上腕に裏地6を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。上腕と前腕は内袖、外袖共に肘下部で切り替えし、上腕の面積比=65%、前腕の面積比=30%とした。
[0079]
[実施例21]
 胴部に裏地を付けず(背無)、袖部に図5に示す内腕に裏地2を、外腕に裏地6を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。内腕の面積比=40%、外腕の面積比=55%とした。
[0080]
[実施例22]
 胴部に裏地を付けず(背無)、袖部に図6に示す上腕に裏地1を、前腕に裏地6を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。上腕と前腕は内袖、外袖共に肘下部で切り替えし、上腕の面積比=70%、前腕の面積比=25%とした。
[0081]
[実施例23]
 胴部に裏地を付けず(背無)、袖部に図5に示す外腕に裏地1を、内腕に裏地6を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。内腕の面積比=35%、外腕の面積比=60%とした。
[0082]
[実施例24]
 胴部に裏地を付けず(背無)、袖部に図7に示す前腕に裏地2を、上腕に裏地6を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。上腕と前腕は内袖、外袖共に肘下部で切り替えし、上腕の面積比=65%、前腕の面積比=30%とした。
[0083]
[実施例25]
 胴部に裏地を付けず(背無)、袖部に図5に示す内腕に裏地2を、外腕に裏地6を用いてジャケットをA法の縫製方法で作製した。内腕の面積比=35%、外腕の面積比=60%とした。
[0084]
[実施例26]
 脇部(脇身頃)、前部(前身見頃)に裏地6を配する以外は実施例1(裏地1)と同様にしてジャケットを作製した。
[0085]
[比較例1]
 胴部に図1に示す総裏仕様で裏地6を、袖部に図5に示す全袖仕様で裏地6を用いてジャケットを6針/1cmのピッチで縫製し、作製した。
[0086]
[比較例2]
 胴部に図2-1に示す背抜き仕様で裏地7を、袖部に図5に示す全袖仕様で裏地7を用いてジャケットを6針/1cmのピッチで縫製し、作製した。
[0087]
[比較例3]
 胴部に裏地を付けず(背無)、袖部に図5に示す全袖仕様で裏地6を用いてジャケットを6針/1cmのピッチで縫製し、作製した。
[0088]
[比較例4]
 胴部に裏地を付けず(背無)、袖部に図6に示す上腕に裏地7を、前腕に裏地6を用いてジャケットを3針/1cmのピッチで縫製し、作製した。上腕と前腕は内袖、外袖共に肘下部で切り替えし、上腕の面積比=60%、前腕の面積比=35%とした。
[0089]
[比較例5]
 胴部に図1に示す総裏仕様で裏地7を、袖部に図6に示す上腕に裏地7を、前腕に裏地6を用いてジャケットを3針/1cmのピッチで縫製し、作製した。上腕と前腕は内袖、外袖共に肘上部で切り替えし、上腕の面積比=30%、前腕の面積比=65%とした。
[0090]
[比較例6]
 胴部に図3に示す半裏仕様で裏地7を、袖部に図6に示す上腕に裏地7を、前腕に裏地6を用いてジャケットを3針/1cmのピッチで縫製し、作製した。上腕と前腕は内袖、外袖共に肘上部で切り替えし、上腕の面積比=30%、前腕の面積比=65%とした。
[0091]
[比較例7]
 裏地を全く付けないジャケットを作製した。
[0092]
[比較例8]
 胴部に図3に示す半裏仕様で裏地2を、袖部に図7に示す前腕に裏地1を、上腕に裏地7を用いてジャケットを3針/1cmのピッチで縫製し、作製した。上腕と前腕は内袖、外袖共に肘下部で切り替えし、上腕の面積比=75%、前腕の面積比=20%とした。
[0093]
[比較例9]
 胴部に図3に示す半裏仕様で裏地2を、袖部に図7に示す前腕に裏地2を、上腕に裏地7を用いてジャケットを3針/1cmのピッチで縫製し、作製した。上腕と前腕は内袖、外袖共に肘下部で切り替えし、上腕の面積比=75%、前腕の面積比=20%とした。
[0094]
[比較例10]
 胴部に裏地を付けず(背無)、袖部に図7に示す前腕に裏地2を、上腕に裏地7を用いてジャケットを3針/1cmのピッチで縫製し、作製した。上腕と前腕は内袖、外袖共に肘下部で切り替えし、上腕の面積比=75%、前腕の面積比=20%とした。
[0095]
 背部、袖部の裏地の配置方法、表地に対する裏地の面積比、縫製の仕上がり、着用試験の結果を以下の表2に示す。
[0096]
[表2]


[0097]
[裏地付きパンツの試作]
 表地Xと表地Yと表地Zと、各種裏地を用いたパンツを、JIS標準サイズA6にて縫製した。裏地の縫製時には、織機上の経糸方向が胴体経方向になるように縫製した。
[0098]
[実施例27、31、32]
 裏地1を、実施例27、については、前当て仕様、KL(ニーライン)よりも20cm下(前当て通常長さ)としてパンツをA法及びB法により縫製した。裏地面積は表地面積対比42%、表地前身対比84%で、パンツの仕立て映えは良好あった。実施例31については、総裏仕様としてパンツを縫製した。裏地面積は表地面積対比90%で、パンツの仕立てには、欠点はなかった。実施例32については、前当て仕様、KLよりも15cm下(前当て短め)としてパンツをA法及びB法により縫製した。裏地面積は表地面積対比36%、表地前身対比72%、パンツの仕立て映えは良好であった。
[0099]
[実施例28]
 裏地3を、前当て仕様、KL(ニーライン)よりも20cm下(前当て通常長さ)としてパンツをA法及びB法により縫製した。裏地面積は表地面積対比42%、表地前身対比84%で、パンツの仕立て映えは良好であった。
[0100]
[実施例29]
 経糸用にキュプラアンモニウムレーヨン(旭化成(製)ベンベルグ)56dtex/45fを、S方向に撚った糸を、処理温度70℃、処理時間20分を二回、撚り止めセットを実施し、撚数1000回/mのS撚糸を得た。続いて、緯糸用にベンベルグ84dtex/45fを、S方向に撚った糸、および、Z方向に撚った糸を、それぞれ処理温度70℃、処理時間20分を二回、撚り止めセットを実施し、撚数1825回/mのS撚糸およびZ撚糸を得た。経糸には前者のS撚糸を配するよう、緯糸には後者のS撚糸およびZ撚糸を交互に配するよう、エアージェットルーム織機に供給して、平織物を得た後、前記した染色加工工程1により裏地8を得た。
 裏地の厚みはカレンダー前後で0.146mmから0.133に10%変化した。
 裏地8は、吸湿率Mが6.0%以上で、通気抵抗値RLが0.1kPa・s/m以下で、表地X、Yの通気抵抗値RSよりも低く、接触冷感値Qmaxが120W/m ・℃以上であるが、空隙指数Vが3.0を超えていた。
 この裏地8を、前当て仕様、KL(ニーライン)よりも20cm下(前当て通常長さ)としてパンツをA法及びB法により縫製した。裏地面積は表地面積対比42%、表地前身対比84%で、パンツの仕立て映えは良好であった。
[0101]
[実施例30]
 裏地4を、前当て仕様、KL(ニーライン)よりも20cm下(前当て通常長さ)としてパンツをA法及びB法により縫製した。裏地面積は表地面積対比42%、表地前身対比84%で、パンツの仕立て映えは良好であった。
[0102]
[実施例33]
 経糸用にキュプラアンモニウムレーヨン(旭化成(製)ベンベルグ)56dtex/45fを、S方向に撚った糸を、処理温度85℃、処理時間20分を二回、撚り止めセットを実施し、撚数1000回/mのS撚糸を得た。続いて、緯糸用にベンベルグ84dtex/45fを、S方向に撚った糸、および、Z方向に撚った糸を、それぞれ処理温度85℃、処理時間20分を二回、撚り止めセットを実施し、撚数1825回/mのS撚糸およびZ撚糸を得た。経糸には前者のS撚糸を配するよう、緯糸には後者のS撚糸およびZ撚糸を交互に配するよう、エアージェットルーム織機に供給して、平織物を得た後、前記した染色加工工程3により裏地9を得た。
 裏地の厚みはカレンダー前後で0.147mmから0.135mmに8%変化した。
 裏地9は、吸湿率Mが6.0%以上で、通気抵抗値RLが0.1kPa・s/m以下で、表地X、Yの通気抵抗値RSよりも低く、接触冷感値Qmaxが120W/m ・℃以上であり、空隙指数Vが2.97であった。
 この裏地9を、前当て仕様、KL(ニーライン)よりも20cm下(前当て通常長さ)としてパンツをA法及びB法により縫製した。裏地面積は表地面積対比42%、表地前身対比84%で、パンツの仕立て映えは良好であった。
[0103]
[実施例34]
 経糸用にキュプラアンモニウムレーヨン(旭化成(製)ベンベルグ)56dtex/45fを、S方向に撚った糸を、処理温度70℃、処理時間20分を二回、撚り止めセットを実施し、撚数1000回/mのS撚糸を得た。続いて、緯糸用にベンベルグ84dtex/45fを、S方向に撚った糸、および、Z方向に撚った糸を、それぞれ処理温度70℃、処理時間20分を二回、撚り止めセットを実施し、撚数1825回/mのS撚糸およびZ撚糸を得た。経糸には前者のS撚糸を配するよう、緯糸には後者のS撚糸およびZ撚糸を交互に配するよう、エアージェットルーム織機に供給して、平織物を得た後、染色加工工程3により裏地10を得た。
 裏地の厚みはカレンダー前後で0.147mmから0.137mmに7%変化した。
 裏地10は、吸湿率Mが6.0%以上で、通気抵抗値RLが0.1kPa・s/m以下で、表地X、Yの通気抵抗値RSよりも低く、接触冷感値Qmaxが120W/m ・℃以上であったが、空隙指数Vが3.0を超えていた。
 この裏地10を、前当て仕様、KL(ニーライン)よりも20cm下(前当て通常長さ)としてパンツをA法及びB法により縫製した。裏地面積は表地面積対比42%、表地前身対比84%で、パンツの仕立て映えは良好であった。
[0104]
[実施例35]
 表地Yを用い、裏地5を、前当て仕様、KL(ニーライン)よりも20cm下(前当て通常長さ)としてパンツをA法及びB法により縫製した。裏地面積は表地面積対比42%、表地前身対比84%で、パンツの仕立て映えは良好であった。
[0105]
[実施例36]
 表地Zを用い、裏地5を、前当て仕様、KL(ニーライン)よりも20cm下(前当て通常長さ)としてパンツをA法及びB法により縫製した。裏地面積は表地面積対比42%、表地前身対比84%で、パンツの仕立て映えは良好であった。
[0106]
[比較例12、16]
 比較例12については、裏地6を用いて、総裏仕様としてパンツを縫製した。裏地面積は表地面積対比90%であった。
 比較例16については、同じく裏地6を用いて、前当て仕様として、KL(ニーライン)よりも20cm下(前当て通常長さ)としてパンツをA法及び定法により縫製した。裏地面積は表地面積対比42%、表地前身対比84%で、パンツの仕立てには、欠点はなかった。
[0107]
[比較例13]
 裏地7を用いて、前当て仕様として、KL(ニーライン)よりも20cm下(前当て通常長さ)としてパンツをA法及び定法により縫製した。裏地面積は表地面積対比42%、表地前身対比84%で、パンツの仕立てとして、パッカリングの欠点があった。
[0108]
[比較例14]
 裏地5を用いて、前当て仕様として、KL(ニーライン)よりも20cm下(前当て通常長さ)としてパンツをA法及び定法により縫製した。裏地面積は表地面積対比42%、表地前身対比84%で、パンツの仕立て映えとして、パッカリングの欠点があった。
[0109]
[比較例15]
 表地Xを用いて、裏地無しのパンツを縫製した。
[0110]
[比較例17]
 経緯糸に、キュプラアンモニウムレーヨン(旭化成(製)ベンベルグ)短繊維60/-(単糸1.4dtex、繊維長38mm、Ks=3.3)を用いて、エアージェットルーム織機により平織物を得た後、前記した染色加工工程3により裏地11を得た。
 裏地の厚みは0.172mmから0.165mmに4%変化した。
 裏地11は、吸湿率Mが6.0%以上で、通気抵抗値RLが0.1kPa・s/mを超え、表地X、Yの通気抵抗値RSよりも高く、また、接触冷感値Qmaxが120W/m ・℃以上であったが、空隙指数Vが3.0を超えていた。
 この裏地11を用いて、前当て仕様として、KL(ニーライン)よりも20cm下(前当て通常長さ)としてパンツをA法及び定法により縫製した。裏地面積は表地面積対比42%、表地前身対比84%で、パンツの仕立て映えとして、パッカリングの欠点があった。
[0111]
 こうして得たパンツの裏地の構成、物性、配置場所、面積占有率及び着用試験結果を、以下の表3-1、3-2に示す。
[0112]
[表3-1]


[0113]
[表3-2]


産業上の利用可能性

[0114]
 本発明の裏地付き衣料は、裏地素材や物性だけではなく、裏地の配置方法を適切にすることにより、裏地がつかないよりも、温熱生理学的にも官能的にも清涼性を高めることができる。

符号の説明

[0115]
 1  後身頃(背部)
 2  脇身頃(脇部)
 3  前身頃(前部)
 4  胴部
 11  裏地が配された背部
 12  裏地が配された脇部
 13  裏地が配された前部
 21  裏地が配されていない背部
 22  裏地が配されていない脇部
 23  裏地が配されていない前部

請求の範囲

[請求項1]
 少なくとも内腕かつ上腕の部分、前腕部分、又は、脚の両鼠蹊部から膝までの部分に相当する位置に、接触冷感値Qmaxが120W/m ・℃以上であり、かつ、吸湿率Mが6.0%以上である織物である裏地が表地に固定されている、裏地付き衣料。
[請求項2]
 前記裏地の目付が62g/m 以上である、請求項1に記載の裏地付き衣料。
[請求項3]
 前記表地の裏面の接触冷感値Qmaxが150W/m ・℃以上である、請求項1又は2に記載の裏地付き衣料。
[請求項4]
 前記衣料がジャケットであり、前記表地の袖部の面積の30%以上に前記裏地が固定されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の裏地付き衣料。
[請求項5]
 前記表地の後身頃の面積の30%以上に前記裏地が固定されている、請求項4に記載の裏地付き衣料。
[請求項6]
 前記裏地の通気抵抗値RLが0.1kPa・s/m以下であり、かつ、前記表地の通気抵抗RSが前記裏地の通気抵抗値RLよりも高い、請求項4又は5に記載の裏地付き衣料。
[請求項7]
 前記裏地の空隙指数Vが1.0以上3.0以下である、請求項4~6のいずれか1項に記載の裏地付き衣料。
[請求項8]
 前記裏地の経糸と緯糸がいずれも、撚り係数Kfが4000~20000T/mである長繊維撚糸糸条である、請求項4~7のいずれか1項に記載の裏地付き衣料。
[請求項9]
 前記裏地が再生セルロース長繊維を含む、請求項4~8のいずれか1項に記載の裏地付き衣料。
[請求項10]
 前記衣料がパンツであり、前記表地の面積の30%以上に前記裏地が固定されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の裏地付き衣料。
[請求項11]
 前記表地の前身頃の面積の50%以上に裏地が固定されている、請求項10に記載の裏地付き衣料。
[請求項12]
 前記裏地の通気抵抗値RLが0.1kPa・s/m以下であり、かつ、前記表地の通気抵抗RSが前記裏地の通気抵抗値RLよりも高い、請求項10又は11に記載の裏地付き衣料。
[請求項13]
 前記裏地の空隙指数Vが、1.0以上3.0以下である、請求項10~12のいずれか1項に記載の裏地付き衣料。
[請求項14]
 前記裏地が再生セルロース長繊維を含む、請求項10~13のいずれか1項に記載の裏地付き衣料。
[請求項15]
 前記裏地が前当て又は後ろ当てであり、前記表地と前記裏地の縫い代端が該裏地で覆われている、請求項10~14のいずれか1項に記載の裏地付き衣料。

図面

[ 図 1]

[ 図 2-1]

[ 図 2-2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]