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1. WO2016117559 - COMPOSITION DE POLISSAGE

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明 細 書

発明の名称 研磨用組成物

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008  

発明の概要

0009   0010   0011   0012   0013  

図面の簡単な説明

0014  

発明を実施するための形態

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074  

実施例

0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : 研磨用組成物

技術分野

[0001]
 本発明は、研磨用組成物に関する。

背景技術

[0002]
 半導体デバイス製造プロセスにおいては、半導体デバイスの性能の向上につれて、配線をより高密度かつ高集積に製造する技術が必要とされている。このような半導体デバイスの製造プロセスにおいてCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)は、必須のプロセスとなっている。半導体回路の微細化が進むにつれ、パターンウェハの凹凸に要求される平坦性が高くなり、CMPによりナノオーダーの高い平坦性を実現することが求められている。CMPにより高い平滑性を実現するためには、パターンウェハの凸部を高い研磨速度で研磨する一方で凹部はあまり研磨しないことが好ましい。
[0003]
 ここで、窒化ケイ素膜(SiN膜)からなるパターンウェハを使用する場合、窒化ケイ素膜は通常凹凸を有していることから、このような材料を研磨する際には、凸部だけでなく凹部も一緒に削られてしまい、凹凸が十分に解消されにくい。
[0004]
 さらには、半導体ウェハは、回路を形成する多結晶シリコン、絶縁材料である酸化ケイ素、トレンチまたはビアの一部ではない二酸化ケイ素表面をエッチング中の損傷から保護するための窒化ケイ素といった異種材料から構成される。このため、多結晶シリコンや酸化ケイ素などの比較的柔らかく研磨剤と反応しやすい材料が、その周囲の窒化ケイ素等に比べて過度に削られるディッシングといった現象が起こり、段差が残ってしまう。
[0005]
 これらのことから硬くて化学的に安定な窒化ケイ素などの材料からなるパターンウェハの研磨工程において段差を十分に解消することが求められている。
[0006]
 この要求に応じるための技術として、例えば、特開2012-040671号公報には、窒化ケイ素などの化学反応性に乏しい研磨対象物を高速で研磨可能な研磨用組成物を提供することを目的として、組成物に有機酸を固定化したコロイダルシリカ(スルホン酸修飾水性アニオンシリカゾル)を砥粒として含有させ、pHを6以下とする技術が開示されている。
[0007]
 ここで一般に、コロイダルシリカ等のシリカゾルは酸性条件下においてシリカ粒子どうしが凝集してしまい不安定であるという問題がある。このような安定性の問題を解決するための技術として、特開2010-269985号公報には、pH2以上の酸性においてゼータ電位が-15mV以下であるスルホン酸修飾水性アニオンゾルが開示されている。そして、特開2010-269985号公報には、かようなアニオンゾルの製造方法として、化学的にスルホン酸基に変換できる官能基(例えば、メルカプト基)を有するシランカップリング剤をコロイダルシリカに添加した後、前記官能基をスルホン酸基に変換する技術が開示されている。ここで、特開2010-269985号公報の実施例では、水とメタノールとを分散媒とするシリカゾルを、アルカリ性・常圧条件下で加熱濃縮した後、メルカプト基含有シランカップリング剤(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)を添加し、沸点で還流して熱熟成を行っている。次いで、メタノールおよびアンモニアを水置換し、pHが8以下になった時点で室温まで冷却し、過酸化水素水を添加、加熱することによりメルカプト基をスルホン酸基に変換して、表面がスルホン酸基で修飾されたアニオンシリカゾルを得ている。
[0008]
 さらに、特開2013-41992号公報には、上記特開2010-269985号公報やJ. Ind. Eng. Chem., Vol. 12, No. 6 (2006) 911-917に言及する形で同様のスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルの製造に関する開示がある。ここで、特開2013-41992号公報の実施例では、上記と同様のメルカプト基含有シランカップリング剤の水溶液(酢酸による酸性条件下)に、水を分散媒とするシリカゾルを添加し、室温にて1時間撹拌後、過酸化水素水を添加し、室温にて48時間放置して、スルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルを得ている。

発明の概要

[0009]
 本発明者らは、特開2012-040671号公報に記載の技術を実施するにあたり、特開2010-269985号公報や特開2013-41992号公報に記載の方法によって製造されたスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルを用いることを試みた。その結果、これらの先行技術に記載された技術を用いて製造されたアニオンシリカゾルを含む研磨用組成物を用いてSiNウェハを研磨すると、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)や多結晶シリコン(poly-Si)に対するSiNの研磨レート比が経時的に変動するという問題があることを見出した。
[0010]
 そこで本発明は、スルホン酸修飾水性アニオンゾルを含む研磨用組成物において、SiNを含む研磨対象物を研磨するための研磨用組成物として用いられた場合にSiN研磨レートの経時的な安定性を向上させうる技術を提供することを目的とする。
[0011]
 上記課題を解決すべく、本発明者らは鋭意研究を積み重ねた。その結果、特開2010-269985号公報に記載されているスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルの製造方法において、シランカップリング剤を添加する前のシリカゾルに含まれる微小シリカ粒子の量を低減させた後にシランカップリング剤を添加して同様に反応させ、次いで酸化工程を実施することで、上記課題が解決可能なスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルが得られることが判明した。そして、本発明者らは、上記知見に基づいて、本発明を完成させるに至った。
[0012]
 すなわち、本発明の一形態によれば、pH6以下の研磨用組成物が提供される。この研磨用組成物は、シリカ粒子の表面にスルホン酸が固定化されてなるスルホン酸修飾コロイダルシリカと、水と、を含有する。そして、当該スルホン酸修飾コロイダルシリカは、走査型電子顕微鏡を用いた画像解析によるHeywood径(円相当径)に基づく体積平均粒子径の40%以下の粒径を有する微小粒子の個数分布割合が10%以下である原料コロイダルシリカを、化学的にスルホン酸基に変換できる官能基を有するシランカップリング剤の存在下で加熱して反応物を得る第1反応工程と、前記反応物を処理することにより前記官能基をスルホン酸基へと変換する第2反応工程とを含む製造方法によって製造されたスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾル由来のものである点に特徴がある。
[0013]
 本発明によれば、スルホン酸修飾水性アニオンゾルを含む研磨用組成物において、SiNを含む研磨対象物を研磨するための研磨用組成物として用いられた場合にSiN研磨レートの経時的な安定性を向上させうる技術を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0014]
[図1] 実施例1で得られたスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真である(倍率:100000倍)。
[図2] 実施例1で得られたスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した写真である(倍率:400000倍)。
[図3] 比較例1で得られたスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真である(倍率:100000倍)。
[図4] 比較例1で得られたスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した写真である(倍率:400000倍)。
[図5] 比較例2で得られたスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真である(倍率:100000倍)。
[図6] 比較例2で得られたスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した写真である(倍率:400000倍)。

発明を実施するための形態

[0015]
 以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
[0016]
 本発明の一形態は、pH6以下の研磨用組成物であって、シリカ粒子の表面にスルホン酸が固定化されてなるスルホン酸修飾コロイダルシリカと、水と、を含有し、この際、前記スルホン酸修飾コロイダルシリカは、走査型電子顕微鏡を用いた画像解析によるHeywood径(円相当径)に基づく体積平均粒子径の40%以下の粒径を有する微小粒子の個数分布割合が10%以下である原料コロイダルシリカを、化学的にスルホン酸基に変換できる官能基を有するシランカップリング剤の存在下で加熱して反応物を得る第1反応工程と、前記反応物を処理することにより前記官能基をスルホン酸基へと変換する第2反応工程とを含む製造方法によって製造されたスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾル由来のものである、研磨用組成物である。
[0017]
 本形態に係る研磨用組成物は、シリカ粒子の表面にスルホン酸が固定化されてなるスルホン酸修飾コロイダルシリカ(砥粒)を水に混合し、pHを調整することにより調製される。この研磨用組成物は、窒化ケイ素を研磨する用途で主に使用されることが好ましく、より具体的には、半導体配線基板のような研磨対象物における窒化ケイ素を含んだ表面を研磨する用途で主に使用されることがより好ましい。
[0018]
 [スルホン酸修飾コロイダルシリカ(砥粒)]
 本形態に係る研磨用組成物においては、当該組成物に含まれるスルホン酸修飾コロイダルシリカ(砥粒)が特定の製造方法によって製造されたスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾル由来のものである点に特徴がある。以下、本形態に係る研磨用組成物に含まれるスルホン酸修飾コロイダルシリカを製造するための製造方法について、詳細に説明する。
[0019]
 (第1反応工程)
 第1反応工程では、原料コロイダルシリカを、化学的にスルホン酸基に変換できる官能基を有するシランカップリング剤の存在下で加熱する。これにより、反応物(化学的にスルホン酸基に変換できる官能基を有するシランカップリング剤がシリカ粒子の表面に結合したもの)が得られる。
[0020]
 第1反応工程において用いられる原料コロイダルシリカは表面にシラノール基を有するものであれば特に限定されないが、半導体中に拡散性のある金属不純物や塩素等の腐食性イオンを含まないことが好ましいことから、この点を考慮すると、加水分解可能なケイ素化合物(例えば、アルコキシシランまたはその誘導体)を原料とし、加水分解・縮合により得られるコロイダルシリカを原料コロイダルシリカとして用いることが好ましい。このケイ素化合物としては、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
[0021]
 一実施形態において、上記ケイ素化合物は、下記一般式(1)で表されるアルコキシシランまたはその誘導体であることが好ましい。
[0022]
 Si(OR)  (1)
 一般式(1)中、Rはアルキル基であり、好ましくは炭素数1~8の低級アルキル基であり、より好ましくは炭素数1~4の低級アルキル基である。ここで、上記Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が例示され、Rがメチル基であるテトラメトキシシラン、Rがエチル基であるテトラエトキシシラン、Rがイソプロピル基であるテトライソプロポキシシランが好ましい。また、アルコキシシランの誘導体としては、アルコキシシランを部分的に加水分解して得られる低縮合物が例示される。本発明では、加水分解速度を制御し易い点、シングルnmの微小シリカ粒子が得られ易い点、未反応物の残留が少ない点でテトラメトキシシランを用いることが好ましい。
[0023]
 上記ケイ素化合物は、反応溶媒中で加水分解・縮合されてコロイダルシリカとなる。反応溶媒としては、水または水を含む有機溶媒が用いられうる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等の親水性有機溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒の中でも、特にメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類を使用することが好ましく、反応溶媒の後処理などの観点から、原料のケイ素化合物のアルキル基(R)と同じアルキル基を有するアルコール類(例えば、テトラメトキシシランに対し、メタノール)を使用することがより好ましい。これらの有機溶媒としては、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。有機溶媒の使用量は特に限定されないが、ケイ素化合物1モル当り、5~50モル程度が好ましい。5モル以上であれば、ケイ素化合物との十分な相溶性が確保され、50モル以下であれば、製造効率の低下が抑制される。有機溶媒に添加される水の量は特に限定されず、ケイ素化合物の加水分解に要する量が存在すればよく、ケイ素化合物1モル当り2~15モル程度が好ましい。なお、有機溶媒に混合される水の量は、形成されるコロイダルシリカの粒径に大きく影響する。水の添加量を増加させることで、コロイダルシリカの粒径を大きくすることができる。また、水の添加量を減少させることで、コロイダルシリカの粒径を小さくすることができる。よって、水と有機溶媒との混合比率を変化させることによって、製造されるコロイダルシリカの粒径を任意に調整することができる。
[0024]
 コロイダルシリカを得るためのケイ素化合物の加水分解縮合反応の反応溶媒には、塩基性触媒を添加して反応溶媒をアルカリ性に調整することが好ましい(Stober法)。これにより反応溶媒は好ましくはpH8~11、より好ましくはpH8.5~10.5に調整され、速やかにコロイダルシリカを形成することができる。塩基性触媒としては、不純物の混入を防ぐという観点からは有機アミンやアンモニアが好ましく、特にエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、アンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチル水酸化アンモニウム等が好ましいものとして挙げられる。
[0025]
 反応溶媒中でケイ素化合物を加水分解・縮合させるには、原料であるケイ素化合物を有機溶媒に添加して0~100℃、好ましくは0~50℃の温度条件で攪拌すればよい。水を含む有機溶媒中でケイ素化合物を攪拌しながら加水分解・縮合することにより、球状で粒径のそろったコロイダルシリカを得ることができる。
[0026]
 本形態に係る製造方法の第1反応工程においても、特開2010-269985号公報に記載の技術と同様に、上記の手法によって得られた原料コロイダルシリカに対して「化学的にスルホン酸基に変換できる官能基を有するシランカップリング剤」を添加するが、その際の原料コロイダルシリカに含まれる微小粒子の量が低減されている点で、特開2010-269985号公報に記載の技術に対して改良が施されている。具体的に、本形態に係る製造方法の第1反応工程において用いられる原料コロイダルシリカは、走査型電子顕微鏡を用いた画像解析によるHeywood径(円相当径)に基づく体積平均粒子径の40%以下の粒径を有する微小粒子(以下、単に「微小粒子」とも称する)の個数分布割合が10%以下とされている点に特徴がある。この個数分布割合は、好ましくは5%以下であり、より好ましくは2%以下であり、さらに好ましくは1%以下であり、いっそう好ましくは0.5%以下であり、特に好ましくは0.3%以下であり、最も好ましくは0.2%以下である。本発明の作用効果を得るという観点からは、微小粒子の個数分布割合は小さいほど好ましいため、個数分布割合の下限値には特に制限はないが、例えば0.001%以上である。なお、この個数分布割合の測定方法は、後述する実施例の記載に従うものとする。
[0027]
 原料コロイダルシリカに含まれる微小粒子の個数分布割合を10%以下とするための具体的な手法について特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。かような手法の一例として、上記の加水分解・縮合反応により得られたコロイダルシリカにおける有機溶媒濃度が1質量%以上である場合には、コロイダルシリカ中の残留有機溶媒濃度が1質量%未満となるように、コロイダルシリカと共存している有機溶媒を除去する方法が例示される。ここで、「コロイダルシリカ中の残留有機溶媒濃度が1質量%未満となっているか否か」は、後述する実施例に記載のガスクロマトグラフィーを用いた有機溶媒濃度(実施例ではメタノール濃度)の測定方法において「コロイダルシリカ中に有機溶媒が検出されるか否か」と同義である。つまり、上述した「コロイダルシリカ中の残留有機溶媒濃度が1質量%未満となるように」は「実施例に記載のガスクロマトグラフィーを用いた測定方法によって測定されるコロイダルシリカ中の有機溶媒が検出限界以下となるように」と言い換えることもできる。
[0028]
 このようにコロイダルシリカに含まれる有機溶媒の濃度を低下させることで、原料コロイダルシリカに含まれる微小粒子の量を低減させることが可能となる。この際、コロイダルシリカに含まれる有機溶媒の量を低減させるほど、原料コロイダルシリカに含まれる微小粒子の量を低減させることが可能となる。なお、上述したStober法によって得られたコロイダルシリカにおける有機溶媒濃度は通常、1質量%超である。よって、本発明に係る製造方法の一実施形態は、Stober法によってコロイダルシリカを得た後、得られた当該コロイダルシリカ中の残留有機溶媒濃度が1質量%以下となるように有機溶媒を除去する工程をさらに含む。
[0029]
 コロイダルシリカと共存している有機溶媒を除去するための手法としては、コロイダルシリカの分散液(シリカゾル)を加熱し、有機溶媒を留去する方法が挙げられる。この際、除去される有機溶媒を水に置換することで、コロイダルシリカの分散液の液量を維持することができる。また、有機溶媒を留去する際のコロイダルシリカの分散液のpHについては、pH7以上とすることが好ましい。これにより、有機溶媒の留去と併せて、コロイダルシリカのメイン粒子の表面に微小粒子をオストワルド成長により取り込ませることもでき、微小粒子の量をよりいっそう低減させることが可能となるという利点がある。
[0030]
 なお、上記では原料コロイダルシリカに含まれる微小粒子の個数分布割合を10%以下とするための手法として、コロイダルシリカと共存している有機溶媒を除去する方法を例に挙げて詳細に説明したが、これとは異なる手法により原料コロイダルシリカに含まれる微小粒子の個数分布割合を10%以下としてもよい。かような手法としては、例えば、原料にオリゴマーを使う、合成時の組成を最適化する、合成後に高温・加圧処理を行う、合成後に遠心分離を行うなどの手法が挙げられるが、これら以外の手法が用いられてももちろんよい。
[0031]
 必要に応じて、第1反応工程の前に、上記で得られた原料コロイダルシリカに対して各種の処理工程を施してもよい。かような処理工程としては、例えば、原料コロイダルシリカの粘度を低減させる工程が例示される。原料コロイダルシリカの粘度を低減させる工程は、例えば、原料コロイダルシリカにアルカリ溶液(アンモニア水等の各種塩基の水溶液)または有機溶媒を添加する工程が挙げられる。この際に添加されるアルカリ溶液または有機溶媒の量については特に制限はなく、添加後に得られる原料コロイダルシリカの粘度を考慮して適宜設定すればよい。このように、原料コロイダルシリカの粘度を低下させる工程を実施することで、カップリング剤のコロイダルシリカへの初期分散性の向上やシリカ同士の凝集を抑制できるという利点がある。
[0032]
 第1反応工程では、上記のように微小粒子の含有量の少ない原料コロイダルシリカを、化学的にスルホン酸基に変換できる官能基を有するシランカップリング剤の存在下で加熱する。これにより、反応物が得られる。このように、スルホン酸基とは異なる官能基を有するシランカップリング剤と原料コロイダルシリカとを反応させた後に上記官能基をスルホン酸基へと変換させる(後述の第2反応工程)ようにしているのは、一般的にスルホン酸基を置換した形のシランカップリング剤が安定して得られにくいからである。
[0033]
 化学的にスルホン酸基に変換できる官能基を有するシランカップリング剤としては、例えば、1)加水分解によりスルホン酸基に変換できるスルホン酸エステル基を有するシランカップリング剤、2)酸化によりスルホン酸基に変換できるメルカプト基および/またはスルフィド基を有するシランカップリング剤が挙げられる。なお、コロイダルシリカ表面のスルホン酸修飾は溶液中で行われるため、修飾効率を高めるためには、後者のメルカプト基および/またはスルフィド基を有するカップリング剤を用いることが好ましい。
[0034]
 メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。また、スルフィド基を有するカップリング剤としては、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド等が挙げられる。
[0035]
 また、シランカップリング剤を酸であらかじめ加水分解させておいてから、原料コロイダルシリカへ縮合反応させてもよい。
[0036]
 上述したように、原料コロイダルシリカに含まれる微小粒子の個数分布割合を10%以下とするための手法として、コロイダルシリカと共存している有機溶媒を除去する方法を採用した場合、原料コロイダルシリカは有機溶媒を実質的に含んでおらず、原料コロイダルシリカの分散媒は実質的に水からなっている。一方、シランカップリング剤は水に溶解しにくいことから、シランカップリング剤を溶解させる目的で、一定量以上の有機溶媒(親水性溶媒)を用いることが好ましい。かような有機溶媒(親水性溶媒)としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の上述した有機溶媒が例示される。なかでも、上述したケイ素化合物の加水分解により生成するアルコールと同種のアルコールを用いることが好ましい。これは、ケイ素化合物の加水分解により生成するアルコールと同種のアルコールを用いることにより、溶媒の回収、再利用を容易化できるためである。なお、このような有機溶媒(親水性溶媒)は、原料コロイダルシリカに対して添加されてもよいし、シランカップリング剤を予め当該有機溶媒(親水性溶媒)と混合して混合液を得ておき、当該混合液を原料コロイダルシリカに添加することとしてもよいが、後者の方法がより好ましい。なお、特開2010-269985号公報には、「カップリング剤の溶解性を考えるとコロイダルシリカに親水性有機溶媒を含むことが好ましい。この点、アルコキシシランを塩基性触媒によりアルコール-水溶媒中で加水分解・縮合するストーバー法によってコロイダルシリカを得た場合にはアルコールが反応液中に含まれるので更に親水性有機溶媒を添加する必要はない。」と記載されている。しかしながら、本発明の好ましい実施形態では、Stober法によって得られる原料コロイダルシリカに含まれている有機溶媒の量をいったん検出限界以下にまで低減させた後、シランカップリング剤を添加するという一見迂遠な構成を採用している。本発明の好ましい実施形態によれば、このように迂遠な構成を採用したとしても、本発明に係る課題を解決することができることが判明したのである。したがって、上述のように従来の技術常識に反する構成を採用しているにもかかわらず当業者が予測できなかったと思われる作用効果を奏することが見出された本発明は、特に特開2010-269985号公報の記載に接した当業者であっても容易に発明をすることができたものではないといえる。また、本発明に係る研磨用組成物に含まれるスルホン酸修飾コロイダルシリカが由来するスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルは、シリカ粒子の表面がスルホン酸基で修飾されたアニオンシリカゾルであるという点では、特開2010-269985号公報に記載の技術と同じである。しかしながら、製造方法が異なることに起因して、得られた物(スルホン酸修飾水性アニオンシリカゾル)の構造が異なっていることは、後述する実施例の欄に記載の実験結果からも明らかである。ただし、分析上の限界から、得られた物(スルホン酸修飾水性アニオンシリカゾル)の構造の観点から、特開2010-269985号公報に記載の物と区別して本発明に係るスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルおよびこれに由来するスルホン酸修飾コロイダルシリカを特定することはできない。
[0037]
 なお、第1反応工程において用いられるシランカップリング剤の添加量について特に制限はないが、原料コロイダルシリカに含まれるシリカ粒子100質量%に対して、好ましくは0.5~10質量%であり、より好ましくは1~5質量%であり、さらに好ましくは1~3質量%である。シランカップリング剤の添加量が0.5質量%以上であれば、シリカ粒子の表面を十分にアニオン化させることができ、研磨剤(研磨用組成物における砥粒)として用いられた場合に優れた性能を発揮させることが可能となる。一方、シランカップリング剤の添加量が10質量%以下であれば、得られる反応物(表面修飾シリカゾル)の経時的なゲル化が防止されうる。また、シランカップリング剤を溶解させるのに用いられる有機溶媒(親水性溶媒)の量は、シランカップリング剤の量100質量%に対して、好ましくは500~10000質量%程度であり、より好ましくは1000~5000質量%である。
[0038]
 シランカップリング剤を添加する際の温度は限定されないが、常温(約20℃)から反応温度の沸点までの範囲が好ましい。反応時間も限定されないが、10分~10時間が好ましく、30分~2時間がより好ましい。ただし、カップリング剤の加水分解を終了させるという観点から、第1反応工程は、90℃以上の温度条件を30分間以上継続させる条件で実施されることが好ましい。添加時のpHも限定されないが、7以上11以下が好ましい。
[0039]
 (第2反応工程)
 第2反応工程では、上記第1反応工程で得られた反応物(化学的にスルホン酸基に変換できる官能基を有するシランカップリング剤がシリカ粒子の表面に結合したもの)を処理する。これにより、上記シランカップリング剤の有する「化学的にスルホン酸基に変換できる官能基」をスルホン酸基へと変換する。
[0040]
 上記シランカップリング剤の有する「化学的にスルホン酸基に変換できる官能基」をスルホン酸基へと変換するために行う上記「処理」の具体的な形態について特に制限はなく、用いられるシランカップリング剤の構造に応じて適宜選択されうる。例えば、第1反応工程において上記1)加水分解によりスルホン酸基に変換できるスルホン酸エステル基を有するシランカップリング剤を用いた場合には、上記反応物に対して加水分解処理を施すことで、シランカップリング剤の有する官能基(スルホン酸エステル基)を加水分解することができる。これにより、当該スルホン酸エステル基はスルホン酸基へと変換される。
[0041]
 また、第1反応工程において上記2)酸化によりスルホン酸基に変換できるメルカプト基および/またはスルフィド基を有するシランカップリング剤を用いた場合には、上記反応物に対して酸化処理を施すことで、シランカップリング剤の有する官能基(メルカプト基および/またはスルフィド基)を酸化することができる。これにより、当該メルカプト基またはスルフィド基はスルホン酸基へと変換される。
[0042]
 上記反応物に対して酸化処理を施すには、例えば、上記反応物を酸化剤と反応させればよい。酸化剤としては、例えば、硝酸、過酸化水素、酸素、オゾン、有機過酸(過カルボン酸)、臭素、次亜塩素酸塩、過マンガン酸カリウム、クロム酸等が挙げられる。これらの酸化剤の中でも過酸化水素および有機過酸(過酢酸、過安息香酸類)が比較的取り扱いが容易で酸化収率も良好である点で好ましい。なお、反応で副生する物質を考慮すれば、過酸化水素を用いることが最も好ましい。反応に必要な量を確保し、残留する酸化剤を低減させるという観点から、酸化剤の添加量は、シランカップリング剤の3~5モル倍が好ましい。酸化剤の添加量をかような範囲内の値とすることで、得られる水性アニオンシリカゾル中の残留酸化剤濃度を最小限に抑えることが可能となる。得られる水性アニオンシリカゾル中の残留酸化剤濃度の具体的な数値について特に制限はないが、好ましくは1000質量ppm以下であり、より好ましくは700質量ppm以下であり、特に好ましくは500質量ppm以下である。ここで、得られる水性アニオンシリカゾル中の残留酸化剤濃度が1000質量ppmを超えると、アニオンシリカゾル自体や当該シリカゾルが砥粒として添加されてなる研磨用組成物が密閉容器中に封入された状態で保管・輸送された際に過酸化水素等の酸化剤が分解して酸素等のガスが発生し、容器の内圧が上昇する可能性がある。一方、上述のように、得られる水性アニオンシリカゾル中の残留酸化剤濃度が低減されることで、かような内圧の上昇の虞が低減されるため、好ましい。また、研磨用組成物として用いられた場合に、多量の酸化剤を含有するときに生じうるウェハディッシングといった問題の発生も抑制されうるという利点もある。なお、コロイダルシリカおよびシランカップリング剤については、スルホン酸基に酸化(変換)される官能基以外は酸化反応において安定な構造を有するので、副生成物は存在しない。
[0043]
 上記の方法に従って得られたスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルが水以外の溶媒を含んでいる場合には、当該シリカゾルの長期保存安定性を高めるために、必要に応じて、反応溶媒を主とする分散媒を水で置換してもよい。なお、この水置換は、シランカップリング剤を添加後、酸化剤を添加する前に行ってもよい。水以外の溶媒を水で置換する方法は特に限定されず、例えば、当該シリカゾルを加熱しながら水を一定量ずつ滴下する方法が挙げられる。また、当該シリカゾルを沈殿・分離、遠心分離等により水以外の溶媒と分離した後に、水に再分散させる方法も挙げられる。
[0044]
 本発明に係る製造方法により得られるスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルは、ゾル中のシリカ粒子の表面にスルホン酸基が固定化されている。言い換えれば、ゾル中のシリカ粒子の表面と末端にスルホン酸基を有する有機材料が結合した状態にある。このため、酸性の分散媒を用いた場合であっても、当該シリカゾルの凝集やゲル化が抑制され、長期間安定に分散可能である。例えば、酸性条件下であっても、調製後2週間以上、凝集またはゲル化が防止されている。このため、本形態に係る研磨用組成物(pH6以下である)に含まれても長期間にわたって高い安定性を発揮することが可能となる。
[0045]
 また、本発明に係る製造方法により得られるスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルは、表面がアニオン化されたシリカ粒子からなる微小粒子の含有量が少ない。これを定性的に表現すると、本発明により提供される他の形態に係る研磨用組成物は、以下のものである:窒化ケイ素を研磨する用途で使用される、pH6以下の研磨用組成物であって、シリカ粒子の表面にスルホン酸が固定化されてなるスルホン酸修飾コロイダルシリカを含有し、この際、前記スルホン酸修飾コロイダルシリカは、pH2の条件下でSiNウェハに浸漬処理を施し、次いで純水で洗浄したときに、前記SiNウェハの表面に付着する体積平均粒子径の40%未満の粒径を有する粒子の個数が、同様に付着する体積平均粒子径の40%以上の粒径を有する粒子の個数に対して50%以下である、スルホン酸修飾水性アニオンシリカゾル由来のものである、研磨用組成物。この割合は、好ましくは30%以下であり、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。一方、この割合の下限値について特に制限はないが、例えば0.1%以上である。なお、この割合の測定方法は、以下の通りである(実施例の欄にも「条件8」として記載した)。
[0046]
 (スルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルについてのSiNウェハの付着性観察試験)装置:走査型電子顕微鏡 SU8000(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)
手順:得られたアニオン変性コロイダルシリカをシリカ濃度14質量%に希釈してpH調整剤でpH2とする。SiNウェハを10秒間浸漬させたのち、純水中で30秒間揺浴させる。その後N ガスで完全に乾燥させたのち、走査型電子顕微鏡SU8000を用いて、倍率100000倍にて10視野観察を行う。
[0047]
 なお、上述した付着性観察試験において、付着粒子の間隔はシリカ粒子の粒子径により異なることから、当該試験を実施する際には、観察を行いやすいようにコロイダルシリカ中のシリカ濃度を任意に変更することができ、このように変更しても測定結果に影響はない。
[0048]
 さらに、本発明に係る製造方法により得られるスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルは、金属不純物の含有量が低減されているという点でも好ましいものである。ここで、金属不純物としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、鉄、チタン、ニッケル、クロム、銅、亜鉛、鉛、銀、マンガン、コバルト等の重金属および軽金属などが挙げられる。本発明の好ましい実施形態に係るスルホン酸修飾アニオンシリカゾルでは、金属不純物の合計含有量が、1質量ppm以下とされる。この合計含有量は、好ましくは0.5質量ppm以下である。なお、この金属不純物の合計含有量の測定方法は、後述する実施例の記載に従うものとする。また、上記スルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルは、腐食性を有する塩素、臭素等のハロゲン元素をも含有しないため、好ましい。
[0049]
 本発明に係るスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルに含まれるシリカ粒子の粒子径について特に制限はなく、例えば1000nm以下であり、好ましくは5~500nmであり、より好ましくは10~300nmである。なお、シリカ粒子の粒子径は、後述する実施例に記載の手法により測定されるHeywood径(円相当径)に基づく体積平均粒子径を意味するものとする。
[0050]
 本発明に係るスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルは、幅広いpH領域において長期間の分散安定性に優れる。シリカゾルの安定性は、シリカゾルのゼータ電位を測定することで評価することができる。ゼータ電位とは、互いに接している固体と液体とが相対運動を行なったときの両者の界面に生じる電位差のことであり、ゼータ電位の絶対値が増加すれば、粒子間の反発が強く粒子の安定性は高くなり、ゼータ電位の絶対値がゼロに近づくほど、粒子は凝集し易くなる。
[0051]
 特に本発明に係るスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルは酸性領域において高い安定性を有する。変性剤としてアニオン性基を有するカップリング剤を用いるため、分散媒がpH2以上の酸性のときのゼータ電位は負電位(-15mV以下)であり、分散媒が酸性であっても高い分散安定性を有する。このようにゼータ電位の絶対値が大きいため高い分散安定性を有し、これに伴いシリカゾルの動粘度も小さい。このため、本形態に係る研磨用組成物(pH6以下である)に含まれても長期間にわたって高い安定性を発揮することが可能となる。
[0052]
 本発明に係るスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルは、本発明に係る研磨用組成物に砥粒として含まれることで、広いpH範囲で長期間安定分散可能である。上述したように、SiNウェハに付着する微小粒子の割合が低く抑えられている本発明に係るスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルは、特に半導体ウェハ(SiNウェハ)のCMP研磨用の研磨剤として用いられると、研磨レートの経時的な変動が最小限に抑えられる(経時的な安定性に優れる)ことから、当該用途にきわめて好適に用いられ、微細化に伴う高度性能要求に対しても十分に対応することが可能となる。
[0053]
 [水]
 本発明の研磨用組成物は、各成分を分散または溶解するための分散媒または溶媒として水を含む。他の成分の作用を阻害することを抑制するという観点から、不純物をできる限り含有しない水が好ましく、具体的には、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去した後、フィルタを通して異物を除去した純水や超純水、または蒸留水が好ましい。この「水」としては、上述したスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルに含まれているものをそのまま用いることができる。
[0054]
 [pH調整剤]
 本発明の研磨用組成物のpHの値は、6以下である。pHの値が6を超えると、窒化ケイ素といった研磨対象物の表面の正の電荷が小さくなるため、表面が負に帯電した本発明に係る砥粒(スルホン酸修飾コロイダルシリカ)を用いて研磨対象物を高速度で研磨することが困難になる。研磨用組成物により窒化ケイ素などの研磨対象物を十分な研磨速度で研磨する観点から、研磨用組成物のpHの値は、好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下であり、特に好ましくは3以下である。研磨用組成物のpHの値はまた、安全性の観点から1以上であることが好ましく、より好ましくは1.5以上である。
[0055]
 研磨用組成物のpHを所望の値に調整するために、本発明の研磨用組成物はpH調整剤を含みうる。pH調整剤としては、下記のような酸もしくは塩基またはキレート剤を用いることができる。
[0056]
 酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸、アミノ酸、ニトロカルボン酸といったカルボン酸やメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、10-カンファースルホン酸、イセチオン酸、タウリンなどのスルホン酸が挙げられる。また、炭酸、塩酸、硝酸、リン酸、次亜リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸などの無機酸が挙げられる。
[0057]
 塩基としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン、水酸化第四アンモニウムなどの有機塩基、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、およびアンモニア等が挙げられる。これらの中でも、入手容易性から水酸化カリウムまたはアンモニアが好ましい。
[0058]
 また、前記の酸の代わりに、または前記の酸と組み合わせて、前記酸のアンモニウム塩やアルカリ金属塩等の塩をpH調整剤として用いてもよい。特に、弱酸と強塩基、強酸と弱塩基、または弱酸と弱塩基の組み合わせとした場合には、pHの緩衝作用を期待することができ、さらに強酸と強塩基との組み合わせとした場合には、少量で、pHだけでなく電導度の調整が可能である。
[0059]
 キレート剤としては、ポリアミン、ポリホスホン酸、ポリアミノカルボン酸、ポリアミノホスホン酸等が挙げられる。
[0060]
 これらのpH調整剤は、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。これらpH調整剤の中でも、無機酸、カルボン酸が好ましい。
[0061]
 pH調整剤の添加量は特に制限されず、上記pHの範囲となるような添加量を適宜選択すればよい。
[0062]
 [分散媒または溶媒]
 本発明の研磨用組成物は、水を含む。不純物による研磨用組成物の他の成分への影響を防ぐ観点から、できる限り高純度な水を使用することが好ましい。具体的には、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去した後フィルタを通して異物を除去した純水や超純水、または蒸留水が好ましい。また、分散媒または溶媒として、研磨用組成物の他の成分の分散性などを制御する目的で、有機溶媒などをさらに含んでもよい。
[0063]
 [他の成分]
 本発明の研磨用組成物は、必要に応じて、錯化剤、金属防食剤、防腐剤、防カビ剤、酸化剤、還元剤、界面活性剤、水溶性高分子等の他の成分をさらに含んでもよい。以下、酸化剤、防腐剤、防カビ剤、水溶性高分子について説明する。
[0064]
 〔酸化剤〕
 研磨用組成物に添加されうる酸化剤は、研磨対象物の表面を酸化する作用を有し、研磨用組成物による研磨対象物の研磨速度を向上させる。
[0065]
 使用可能な酸化剤は、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、有機酸化剤、オゾン水、銀(II)塩、鉄(III)塩、過マンガン酸、クロム酸、重クロム酸、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、亜塩素酸、過塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、過硫酸、ジクロロイソシアヌル酸及びそれらの塩等が挙げられる。これら酸化剤は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。これらの中でも、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過ヨウ素酸、次亜塩素酸、及びジクロロイソシアヌル酸ナトリウムが好ましい。
[0066]
 研磨用組成物中の酸化剤の含有量は0.1g/L以上であることが好ましく、より好ましくは1g/L以上であり、さらに好ましくは3g/L以上である。酸化剤の含有量が多くになるにつれて、研磨用組成物による研磨対象物の研磨速度はより向上する。
[0067]
 研磨用組成物中の酸化剤の含有量はまた、200g/L以下であることが好ましく、より好ましくは100g/L以下であり、さらに好ましくは40g/L以下である。酸化剤の含有量が少なくなるにつれて、研磨用組成物の材料コストを抑えることができるのに加え、研磨使用後の研磨用組成物の処理、すなわち廃液処理の負荷を軽減することができる。また、酸化剤による研磨対象物表面の過剰な酸化が起こる虞を少なくすることもできる。
[0068]
 〔防腐剤および防カビ剤〕
 本発明に係る研磨用組成物に添加し得る防腐剤および防カビ剤としては、例えば、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンや5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン等のイソチアゾリン系防腐剤、パラオキシ安息香酸エステル類、及びフェノキシエタノール等が挙げられる。これら防腐剤および防カビ剤は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。
[0069]
 〔水溶性高分子〕
 本発明に係る研磨用組成物には、研磨対象物表面の親水性を向上させることや砥粒の分散安定性を向上させることを目的として水溶性高分子を添加してもよい。水溶性高分子としては、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリ(N-アシルアルキレンイミン)等のイミン誘導体;ポリビニルアルコール;変性(カチオン変性、またはノニオン変性)ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリビニルカプロラクタム;ポリオキシエチレン等のポリオキシアルキレン等;並びにこれらの構成単位を含む共重合体が挙げられる。これら水溶性高分子は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
[0070]
 上述したように、本発明に係る研磨用組成物は、窒化ケイ素を研磨する用途に用いられることが好ましい。つまり、研磨対象物は窒化ケイ素を必須に含むものであることが好ましい。ここで、研磨対象物は、窒化ケイ素を含む層と、窒化ケイ素とは異なる材料を含む層と、を有していてもよい。窒化ケイ素とは異なる材料の例としては、例えば、多結晶シリコン、単結晶シリコン、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、酸化ケイ素等が挙げられる。これら材料は、単独でもまたは2種以上の組み合わせであってもよい。なお、研磨対象物である窒化ケイ素とは異なる材料を含む層は、単層構造でもよいし2種以上の多層構造であってもよい。多層構造の場合、各層は同じ材料を含んでもよいし、異なる材料を含んでもよい。また、本発明に係る研磨用組成物は、窒化ケイ素を高速度で研磨することができる一方、多結晶シリコンについては高速度で研磨しないものであってもよい。窒化ケイ素だけでなく多結晶シリコンも含んだ研磨対象物の表面を研磨する用途で研磨用組成物を使用する場合にはそのような性能が求められることがある。この場合、多結晶シリコンの研磨速度に対する窒化ケイ素の研磨速度の比は2以上であることが好ましく、より好ましくは4以上、さらに好ましくは6以上、特に好ましくは8以上である。
[0071]
 [研磨用組成物を用いた研磨方法]
 上述のように、本発明に係る研磨用組成物は、窒化ケイ素の研磨に好適に用いられる。よって、本発明のさらに他の形態によれば、窒化ケイ素を本発明に係る研磨用組成物を用いて研磨する工程を含む、研磨方法が提供される。また、本発明のさらに他の形態によれば、窒化ケイ素を前記研磨方法で研磨する工程を含む基板の製造方法もまた、提供される。
[0072]
 本発明に係る研磨用組成物を用いて窒化ケイ素を研磨する際には、通常の金属研磨に用いられる装置や条件を用いることができる。一般的な研磨装置としては、片面研磨装置や両面研磨装置がある。片面研磨装置では、キャリアと呼ばれる保持具を用いて基板を保持し、上方より研磨用組成物を供給しながら、基板の対向面に研磨パッドが貼付した定盤を押し付けて定盤を回転させることにより研磨対象物の片面を研磨する。このとき、研磨パッドおよび研磨用組成物と、研磨対象物との摩擦による物理的作用と、研磨用組成物が研磨対象物にもたらす化学的作用とによって研磨される。前記研磨パッドとしては、不織布、ポリウレタン、スウェード等の多孔質体を特に制限なく使用することができる。研磨パッドには、研磨液が溜まるような加工が施されていることが好ましい。
[0073]
 本発明による研磨方法における研磨条件として、研磨荷重、定盤回転数、キャリア回転数、研磨用組成物の流量、研磨時間が挙げられる。これらの研磨条件に特に制限はないが、例えば、研磨荷重については、基板の単位面積当たり0.1psi以上10psi以下であることが好ましく、より好ましくは0.5psi以上8.0psi以下であり、さらに好ましくは1.0psi以上6.0psi以下である。一般に荷重が高くなればなるほど砥粒による摩擦力が高くなり、機械的な加工力が向上するため研磨速度が上昇する。この範囲であれば、十分な研磨速度が発揮され、荷重による基板の破損や、表面に傷などの欠陥が発生することを抑制することができる。定盤回転数、およびキャリア回転数は、10~500rpmであることが好ましい。研磨用組成物の供給量は、研磨対象物の基板全体が覆われる供給量であればよく、基板の大きさなどの条件に応じて調整すればよい。
[0074]
 なお、本発明に係る研磨用組成物は一液型であってもよいし、二液型をはじめとする多液型であってもよい。また、本発明に係る研磨用組成物は、研磨用組成物の原液を水などの希釈液を用いて例えば10倍以上に希釈することによって調製されてもよい。
実施例
[0075]
 本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
[0076]
 [実施例1]
 フラスコ内でメタノール4080g、水610g、29質量%アンモニア水溶液168gを混合して液温を20℃に保ち、そこにメタノール135gとテトラメトキシシラン(TMOS)508gとの混合液を滴下時間25分で滴下した。その後、pH7以上の条件下で熱濃縮水置換を行い、19.5質量%のシリカゾルを1000g得た。このときのメタノール濃度は1質量%未満(検出限界以下)であることを、ガスクロマトグラフィー(下記条件1)にて確認した。
[0077]
 (条件1:ガスクロマトグラフィーを用いたメタノール濃度の測定条件)
 装置:ガスクロマトグラフィー GC-14B(株式会社島津製作所製)
 測定:10μLシリンジを用いてサンプルを4μL抜取り、本装置に注入する。測定で得られた水分量とメタノール量とからメタノール濃度を算出する。
[0078]
 一方、上記で得られたシリカゾルを走査型電子顕微鏡(SEM)(下記条件2)で観察し(図1)、SEM写真に基づき画像解析ソフト(下記条件3)を用いて粒度分布の解析を行ったところ、SEM画像解析体積平均粒子径の40%以下のサイズの微小粒子個数分布割合は1%未満であった。また、シリカ粒子の表面状態を透過型電子顕微鏡(TEM)(下記条件4)で観察したところ、シリカ粒子の表面は滑らかな状態を示していた(図2)。
[0079]
 (条件2:SEM観察の条件)
 装置:走査型電子顕微鏡 S4700(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)
 手順:シリカゾルを有機溶媒中で分散させ、試料台上で乾固させたものを本体に設置し、本装置で12kVにて電子線照射を行い、倍率100000倍にて10視野を観察;
 (条件3:SEM写真に基づく画像解析の条件)
 装置:画像解析ソフト MacView Ver.4(株式会社マウンテック製)
 手順:撮影されたSEM写真を用いて、本装置にて粒子数500個をカウント。その後、Heywood径(円相当径)に基づく体積平均粒子径を算出し、個数割合での粒度分布を算出;
 (条件4:TEM観察の条件)
 装置:透過型電子顕微鏡 HD-2700(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)
 手順:シリカゾルを有機溶媒中で分散させ、専用Cuメッシュ表面上に滴下したのち乾固させ、本装置で200kVにて電子線照射を行い、倍率400000倍にて10視野観察。
[0080]
 続いて、上記で得られたシリカゾル1000gに29質量%アンモニア水1.7gを投入して粘度を低下させ、別途メタノール22.5gと混合した3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(製品名:KBM-803、信越化学工業株式会社製)2.5gを流速5mL/minで滴下してその後加熱し、沸騰後6時間水置換を行った。このときのメタノール濃度は検出外の数値となっていることを上記と同様の手法(ガスクロマトグラフィー法)により確認した。
[0081]
 次いで、反応液を一旦25℃まで冷却後、31質量%過酸化水素水4.2gを投入して再び沸騰させた。沸騰後4時間水置換を行った後、室温まで冷却して、本実施例のスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾル(pH=2.5)を、研磨用組成物として得た。
[0082]
 このようにして得られたアニオンシリカゾル中の13種の金属元素不純物量を誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置による金属不純物濃度測定(下記条件5)により行い、併せて、得られたアニオンシリカゾル中の上澄みSi量を誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置による上澄みSi濃度測定(下記条件6)により行った。なお、上澄みSi濃度は、アニオンシリカゾルを遠心分離した上澄み液を誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置で測定することにより得られる値であり、この値が経時的に変化するということは、微小粒子量が凝集や大粒子への取り込みが起きて物性が変化したことを意味する。
[0083]
 さらに、300mmCMP片面研磨装置(株式会社荏原製作所製)にてSiN研磨速度の試験を行った(下記条件7)。
[0084]
 また、SiNウェハへの付着性試験も行い、付着させたウェハを走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて観察した(下記条件8)。そして、SEM写真からの小粒子の個数割合の解析を行った(上記条件3)。
[0085]
 なお、走査型電子顕微鏡(SEM)でのSEM写真からの粒度分布解析、並びに透過型電子顕微鏡(TEM)での高倍率での表面形状観察により、完成品の物性面の検証を行った。TEMでの表面形状観察の結果から、第1および第2反応工程の実施によってもシリカ粒子の表面性状に変化は見られなかった。
[0086]
 (条件5:ICP発光分析装置による金属不純物濃度測定の条件)
測定装置:
Ni,Cu:Agilent 7500cs ICP-MS(アジレント・テクノロジー株式会社製)
Ni,Cu以外:ICPS-8100(株式会社島津製作所製)
手順:試料10mlを採取し、硝酸3ml、フッ化水素酸10mlを加え、蒸発乾固させる。乾固後、硝酸0.5ml、超純水約20mlを加え蒸気がでるまで加熱した。全量を回収し、超純水で50gに合わせ、上記装置それぞれを用いて測定を行った。
[0087]
 (条件6:ICP発光分析装置による上澄みSi濃度測定の条件)
 遠心装置:高機能高速冷却遠心分離機 Avanti HP-30I(ベックマン・コールター社製)
 ICP測定装置:ICP-AES SPS3510(株式会社日立ハイテクサイエンス製)
 手順:専用樹脂製チューブにシリカゾルを入れ、26000rpmにて2時間遠心分離を行う。続いて、ICP-AESにて0、25、50、75ppmのSi標準試料にて検量線を引き、上記遠心分離を行った上澄み液を1g採取し、超純水で20倍希釈した後、本装置で測定を行う;
 (条件7:300mmCMP片面研磨装置によるSiN研磨速度の試験条件)
 装置:300mmCMP片面研磨装置(株式会社荏原製作所製)
 研磨パッド:発泡ポリウレタン
 研磨ウェハ:300mmSiNベアウェハ
 回転数:60rpm
 圧力:70hPa
 スラリー流速:300mL/min
 研磨時間:60Sec
 研磨速度[Å/min]=1分間研磨した時の膜厚の変化量
 光干渉式膜厚測定装置を用いて測定される研磨前後の各ウェハ厚み差を研磨時間で除することにより算出した。
[0088]
 (条件8:SiNウェハの付着性観察試験)
装置:走査型電子顕微鏡 SU8000(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)
手順:得られた変性コロイダルシリカをシリカ濃度14質量%に希釈してpH調整剤でpH2とする。SiNウェハを10秒間浸漬させたのち、純水中で30秒間揺浴させる。その後N2ガスで完全に乾燥させたのち、走査型電子顕微鏡SU8000を用いて、倍率100000倍にて10視野観察を行った。
[0089]
 [比較例1:特開2010-269985号公報の実施例1に相当]       
 フラスコ内の純水551.5g、26質量%アンモニア水550.2g、メタノール9047gの混合液に、テトラメトキシシラン(TMOS)1065.5gとメタノール289.1gとの混合液を、液温を35℃に保ちつつ55分かけて滴下し、水およびメタノールを分散媒とするシリカゾルを得た。
[0090]
 上記で得られたシリカゾルを常圧下で3500mLまで加熱濃縮した。この混合液のメタノール濃度を上記と同様に測定したところ、71質量%であった。また、上記で得られたシリカゾルを上記と同様に走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し(図3)、SEM写真に基づき画像解析ソフトを用いて粒度分布の解析を行ったところ、SEM画像解析体積平均径の40%以下のサイズの微小粒子個数分布割合は47.6%であった。また、上記と同様にしてシリカ粒子の表面状態を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、シリカ粒子の表面には凹凸状態の存在が確認された(図4)。
[0091]
 続いて、上記で得られたシリカゾル3500mLに3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(製品名:KBM-803、信越化学工業株式会社製)24.2gを加え、沸点で還流して熱熟成を行った。その後、容量を一定に保つために純水を追加しながらメタノールおよびアンモニアを水置換し、pHが8以下になった時点で一旦シリカゾルの液温を室温に下げた。次いで、35質量%過酸化水素水を37.5g添加して再び加熱し、8時間反応を続け、室温まで冷却後、本比較例のスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾル(pH=6.5)を、研磨用組成物として得た。
[0092]
 このようにして得られたアニオンシリカゾルについて、上記と同様に、13種の金属元素不純物量を誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置による金属不純物濃度測定により行い、併せて、得られたアニオンシリカゾル中の上澄みSi量を誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置による上澄みSi濃度測定により行った。
[0093]
 さらに、上記と同様にして300mmCMP片面研磨装置(株式会社荏原製作所製)にてSiN研磨速度の試験を行った。
[0094]
 続いて、SiNウェハへの付着性試験も行い、付着させたウェハを走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)にて観察を行った。そして、SEM写真からの小粒子の個数割合の解析を行った。
[0095]
 なお、上記と同様にして、走査型電子顕微鏡(SEM)でのSEM写真からの粒度分布解析、並びに透過型電子顕微鏡(TEM)での表面観察により、完成品の物性面の検証を行った。TEMでの表面観察の結果から、第1および第2反応工程の実施によってもシリカ粒子の表面性状に変化は見られなかった。
[0096]
 [比較例2]
 純水133g、29質量%アンモニア水64.8g、メタノール1223gの混合液に、テトラメトキシシラン(TMOS)1015gとメタノール76gとの混合液および純水239gを、液温を35℃に保ちつつ150分かけて同時滴下し、水およびメタノールを分散媒とするシリカゾルを得た。この混合液のメタノール濃度を上記と同様に測定したところ、65質量%であった。また、上記で得られたシリカゾルを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し(図5)、SEM写真に基づき画像解析ソフトを用いて粒度分布の解析を行ったところ、SEM画像解析体積平均径の40%以下のサイズの微小粒子個数分布割合は83.9%であった。また、上記と同様にしてシリカ粒子の表面状態を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、シリカ粒子の表面には凹凸状態の存在が確認された(図6)。
[0097]
 続いて、上記で得られたシリカゾル(19.5質量%換算で約2000g)に、メタノール45.0gと混合した3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(製品名:KBM-803、信越化学工業株式会社製)5.0gを流速5mL/minで滴下してその後加熱し、容量を一定に保つために純水を追加しながらメタノールおよびアンモニアを水置換し、pHが8以下になった時点で一旦シリカゾルの液温を室温に下げた。室温まで冷却した後、31質量%過酸化水素水を8.4g投入して再び沸騰させた。沸騰後、4時間水置換を行い、室温まで冷却して、本比較例のスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾル(pH=6.5)を、研磨用組成物として得た。
[0098]
 このようにして得られたアニオンシリカゾル中の上澄みSi量を、上記と同様にしてICP発光分析装置による金属不純物濃度測定により行い、さらに、上記と同様にして300mmCMP片面研磨装置(株式会社荏原製作所製)にてSiN研磨速度の試験を行った。
[0099]
 なお、上記と同様にして、走査型電子顕微鏡(SEM)でのSEM写真からの粒度分布解析、並びに透過型電子顕微鏡(TEM)での表面観察により、完成品の物性面の検証を行った。TEMでの表面観察の結果から、第1および第2反応工程の実施によってもシリカ粒子の表面性状に変化は見られなかった。
[0100]
[表1]


[0101]
 表1に示す結果から、本発明に係る製造方法によって製造された実施例1の研磨用組成物に含まれるスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルは、滑らかなシリカ粒子の表面形状を示し、また、SiNウェハに付着する微小粒子の量も大幅に低減されていた。さらに、得られたシリカゾル中に含まれる上澄みSi量(微小粒子の量に依存する)も低減されており、さらにこの上澄みSi量は経時的にも変化しなかった。その結果、実施例1の研磨用組成物のSiN研磨レート比も経時的に変化せず、きわめて経時的な安定性に優れる研磨用組成物であることが確認された。
[0102]
 一方、比較例1~2の製造方法によって製造された研磨用組成物に含まれるシリカゾルは、シリカ粒子の表面に凹凸を有しており、SiNウェハに付着する微小粒子の量も多量であった。そして、得られたシリカゾル中に含まれる上澄みSi量も多く、しかもこの上澄みSi量は経時的に変化した。その結果、比較例1~2の研磨用組成物のSiN研磨レート比も経時的に大きく変動してしまい、経時的な安定性に劣るものであることが確認された。
[0103]
 なお、上述した金属不純物量の測定結果を、下記の表2に示す。
[0104]
[表2]


[0105]
 表2に示す結果から、本発明に係る研磨用組成物に用いられるスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルは、金属不純物の含有量もきわめて小さいものであることがわかる。
[0106]
 本出願は、2015年1月19日に出願された日本特許出願番号2015-008052号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として組み入れられている。

請求の範囲

[請求項1]
 pH6以下の研磨用組成物であって、
 シリカ粒子の表面にスルホン酸が固定化されてなるスルホン酸修飾コロイダルシリカと、水と、を含有し、
 この際、前記スルホン酸修飾コロイダルシリカは、走査型電子顕微鏡を用いた画像解析によるHeywood径(円相当径)に基づく体積平均粒子径の40%以下の粒径を有する微小粒子の個数分布割合が10%以下である原料コロイダルシリカを、化学的にスルホン酸基に変換できる官能基を有するシランカップリング剤の存在下で加熱して反応物を得る第1反応工程と、
 前記反応物を処理することにより前記官能基をスルホン酸基へと変換する第2反応工程と、
を含む製造方法によって製造されたスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾル由来のものである、研磨用組成物。
[請求項2]
 前記製造方法は、有機溶媒濃度が1質量%以上であるコロイダルシリカ中の残留有機溶媒濃度が1質量%未満となるように、コロイダルシリカと共存している有機溶媒をpH7以上の条件下で留去して前記原料コロイダルシリカを得る有機溶媒留去工程をさらに含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
[請求項3]
 前記官能基がメルカプト基である、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
[請求項4]
 前記処理が過酸化水素を用いた酸化処理である、請求項3に記載の研磨用組成物。
[請求項5]
 前記酸化剤の添加量が前記シランカップリング剤の添加量に対して3~5モル倍であり、得られた水性アニオンシリカゾル中の残留酸化剤濃度が500質量ppm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
[請求項6]
 前記製造方法は、前記第1反応工程の前に、前記原料コロイダルシリカにアルカリ溶液または有機溶媒を添加することにより、前記原料コロイダルシリカの粘度を低下させる工程をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
[請求項7]
 前記製造方法において、前記第1反応工程を、90℃以上の温度条件を30分間以上継続させる条件で実施する、請求項1~6のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
[請求項8]
 窒化ケイ素を研磨する用途で使用される、請求項1~7のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
[請求項9]
 窒化ケイ素を研磨する用途で使用される、pH6以下の研磨用組成物であって、
 シリカ粒子の表面にスルホン酸が固定化されてなるスルホン酸修飾コロイダルシリカを含有し、
 この際、前記スルホン酸修飾コロイダルシリカは、pH2の条件下でSiNウェハに浸漬処理を施し、次いで純水で洗浄したときに、前記SiNウェハの表面に付着する体積平均粒子径の40%未満の粒径を有する粒子の個数が、同様に付着する体積平均粒子径の40%以上の粒径を有する粒子の個数に対して50%以下である、スルホン酸修飾水性アニオンシリカゾル由来のものである、研磨用組成物。
[請求項10]
 前記スルホン酸修飾コロイダルシリカにおける金属不純物の合計含有量が1質量ppm以下である、請求項9に記載の研磨用組成物。
[請求項11]
 前記スルホン酸修飾コロイダルシリカは、請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたものである、請求項9または10に記載の研磨用組成物。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]