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1. WO2021039472 - COMPOSITION COLORANTE, ENCRE POUR IMPRESSION À JET D'ENCRE, PROCÉDÉ D'IMPRESSION À JET D'ENCRE ET COMPOSÉ DE PHTALOCYANINE

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明 細 書

発明の名称 着色組成物、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、及びフタロシアニン化合物

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012  

発明の効果

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121  

実施例

0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149  

産業上の利用可能性

0150   0151  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : 着色組成物、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、及びフタロシアニン化合物

技術分野

[0001]
 本発明は、着色組成物、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、及びフタロシアニン化合物に関する。

背景技術

[0002]
 インクジェット記録方法は、周知のごとくインクジェット記録用インクの小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う方法である。この印刷方法は、安価な装置で高解像度、高品位な画像を高速かつ簡便に印刷をすることができる。
[0003]
 例えば、特許文献1には、スルホ基が置換したアルキルスルホニル基を置換基として有するフタロシアニン化合物を色素として用いたインクジェット記録用インクが記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 日本国特許第3949385号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 近年、インクジェット記録用インクに対して求められる性能は非常に高くなっており、特に、オゾンガスに対する堅牢性について、検討の余地が残されていた。
 また、色素の含有量が多い(例えば、色素の含有量が6~15質量%)着色組成物(「コンクインク」とも呼ぶ。)に溶剤を加えて、色素の濃度を調整してインクジェット記録用インクを作成することがあるが、従来の着色組成物では、コンクインクの状態で長時間貯蔵した際に、pHが変動してしまう場合があり、改善が求められる。
[0006]
 本発明の課題は、オゾンガスに対する堅牢性に優れ、かつコンクインクとした場合の貯蔵安定性に優れる着色組成物、上記着色組成物を含むインクジェット記録用インク、上記インクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法、及び上記着色組成物の色素として用いることができるフタロシアニン化合物を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明者らが鋭意検討したところ、下記手段により上記課題を解決できることを見出した。
[0008]
<1>
 下記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を含有する着色組成物。
[0009]
[化1]


[0010]
 一般式(1)中、R ~R は、それぞれ独立に、水素原子又はニトロ基を表す。ただし、R ~R のうち、x個はニトロ基を表す。
 Q ~Q は、それぞれ独立に、水素原子又は-SO -Z を表す。ただし、Q ~Q のうち、4-x個は-SO -Z を表す。
 Z はスルホ基で置換されたアルキル基、スルホ基で置換されたアリール基、又はスルホ基で置換されたヘテロ環基を表す。Z が複数存在する場合、複数のZ は同一であっても、異なってもよい。
 xは、1~4の数を表す。
 Mは、水素原子又は金属元素を表す。
<2>
 上記Z が、スルホ基で置換されたアルキル基を表す<1>に記載の着色組成物。
<3>
 上記xが1~2の数を表す<1>又は<2>に記載の着色組成物。
<4>
 上記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物の含有量が、6~15質量%である<1>~<3>のいずれか1項に記載の着色組成物。
<5>
 <1>~<4>のいずれか1項に記載の着色組成物を含むインクジェット記録用インク。
<6>
 <5>に記載のインクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法。
<7>
 下記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物。
[0011]
[化2]


[0012]
 一般式(1)中、R ~R は、それぞれ独立に、水素原子又はニトロ基を表す。ただし、R ~R のうち、x個はニトロ基を表す。
 Q ~Q は、それぞれ独立に、水素原子又は-SO -Z を表す。ただし、Q ~Q のうち、4-x個は-SO -Z を表す。
 Z はスルホ基で置換されたアルキル基、スルホ基で置換されたアリール基、又はスルホ基で置換されたヘテロ環基を表す。Z が複数存在する場合、複数のZ は同一であっても、異なってもよい。
 xは、1~4の数を表す。
 Mは、水素原子又は金属元素を表す。

発明の効果

[0013]
 本発明によれば、オゾンガスに対する堅牢性に優れ、かつコンクインクとした場合の貯蔵安定性に優れる着色組成物、上記着色組成物を含むインクジェット記録用インク、上記インクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法、及び上記着色組成物の色素として用いることができるフタロシアニン化合物を提供することができる。

発明を実施するための形態

[0014]
 以下、本発明を詳細に説明する。
[0015]
 本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
[0016]
 本発明の着色組成物は、下記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を含有する。
[0017]
[化3]


[0018]
 一般式(1)中、R ~R は、それぞれ独立に、水素原子又はニトロ基を表す。ただし、R ~R のうち、x個はニトロ基を表す。
 Q ~Q は、それぞれ独立に、水素原子又は-SO -Z を表す。ただし、Q ~Q のうち、4-x個は-SO -Z を表す。
 Z はスルホ基で置換されたアルキル基、スルホ基で置換されたアリール基、又はスルホ基で置換されたヘテロ環基を表す。Z が複数存在する場合、複数のZ は同一であっても、異なってもよい。
 xは、1~4の数を表す。
 Mは、水素原子又は金属元素を表す。
[0019]
 なお、本発明は上記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物にも関する。
[0020]
[一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物]
 一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は、フタロシアニン骨格のα位(一般式(1)におけるR ~R )にx個のニトロ基を、β位(一般式(1)におけるQ ~Q )に4-x個の-SO -Z を有するフタロシアニン化合物である。ただし、xは1~4の数を表す。
[0021]
 本発明において、一般式(1)中のxは、1種の化合物についての値であっても良いし、複数種の化合物を含む混合物についての平均値であっても良い。すなわち、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は、1種単独の化合物を表すものであっても良いし、2種以上の化合物を含む混合物を表すものであっても良い。上記混合物としては、フタロシアニン化合物の合成時に得られる可能性がある全てのフタロシアニン化合物の混合物であっても良いし、そのうちの一部のフタロシアニン化合物の混合物であっても良い。また、特定のフタロシアニン化合物を特定の混合比で含む混合物であっても良い。なお、フタロシアニン化合物の混合物が全体として、一般式(1)で表される限りにおいては、混合物を構成する各フタロシアニン化合物として、一般式(1)におけるxの要件を満たしていないものを含んでも良い。具体的には、例えば-SO -Z 基が4つ置換したフタロシアニン化合物を含んでいてもよい。
[0022]
 一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は、高い電子求引性を有するニトロ基を特定の位置(α位)に有することによって、フタロシアニン化合物のHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital;最高被占軌道)準位を安定化させ、オゾンガスとの反応性を低下させることができるため、オゾンガスに対する堅牢性に優れるものと推察される。
 さらに、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は、意外なことに、コンクインクとしての高い貯蔵安定性をも有する。上記効果を奏するメカニズムは現時点では定かではないが、本発明の一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は典型的には混合物であるため、例えば6~15質量%水溶液として貯蔵した際にも個々のフタロシアニン化合物同士の会合が抑制され、フタロシアニン化合物中のスルホ基が水溶液中で単独で存在することができる。これにより、コンクインクとして貯蔵した際にも会合状態変化が抑制されるために、pHの変動が少なく、安定的に貯蔵できると推察される。
[0023]
 本発明の一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は、化合物とその塩及びこれらの水和物を含む。
[0024]
 一般式(1)中、Z はスルホ基で置換されたアルキル基、スルホ基で置換されたアリール基、又はスルホ基で置換されたヘテロ環基を表す。Z が複数存在する場合、複数のZ は同一であっても、異なってもよい。
[0025]
 Z がスルホ基で置換されたアルキル基を表す場合のアルキル基としては、例えば、直鎖又は分岐状のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基等が挙げられる。上記アルキル基としては、炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~5のアルキル基であることがより好ましく、炭素数3のアルキル基であることが更に好ましく、n-プロピル基であることが特に好ましい。
 上記アルキル基に置換したスルホ基の数は特に限定されないが、1~3個が好ましく、1~2個がより好ましく、1個が更に好ましい。
[0026]
 Z がスルホ基で置換されたアリール基を表す場合のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。上記アリール基としては、炭素数6~20のアリール基であることが好ましく、炭素数6~10のアリール基であることがより好ましく、フェニル基であることが更に好ましい。
 上記アリール基に置換したスルホ基の数は特に限定されないが、1~3個が好ましく、1~2個がより好ましく、1個が更に好ましい。
[0027]
 Z がスルホ基で置換されたヘテロ環基を表す場合のヘテロ環基としては、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基が挙げられ、5員又は6員環の芳香族のヘテロ環基が好ましく、例えば、1,3,4-チアジアゾール-2-イル基、ピリジル基、イミダゾリル基、チエニル基等が挙げられる。上記ヘテロ環基としては、炭素数2~9のヘテロ環基であることが好ましく、炭素数2~5のヘテロ環基であることがより好ましく、1,3,4-チアジアゾール-2-イル基、又はピリジル基であることが更に好ましく、1,3,4-チアジアゾール-2-イル基であることが特に好ましい。
 上記ヘテロ環基に置換したスルホ基の数は特に限定されないが、1~3個が好ましく、1~2個がより好ましく、1個が更に好ましい。
[0028]
 Z は、オゾンガスに対する堅牢性及び溶解性の観点から、スルホ基で置換されたアルキル基であることが好ましく、スルホ基で置換された炭素数1~10のアルキル基であることがより好ましく、スルホ基で置換された炭素数1~5のアルキル基であることが更に好ましく、スルホ基で置換された炭素数3のアルキル基であることが特に好ましく、スルホ基で置換されたn-プロピル基であることが最も好ましい。
[0029]
 なお、Z 中に含まれるスルホ基は、塩の状態であっても良い。すなわち、本発明において、「スルホ基」は、-SO で表され、M は水素原子又はカチオンを表す。カチオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。カチオンの中でもアルカリ金属イオンが好ましく、ナトリウムイオン、及びリチウムイオンは化合物の水性媒体に対する溶解性を高め、コンクインクとしての貯蔵安定性を向上させるため特に好ましい。
[0030]
 一般式(1)中のxは、1~4の数を表す。
 上述のように、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は混合物を表すものであっても良く、xは1つのフタロシアニン骨格に導入されるニトロ基数の平均であり、必ずしも整数でなくても良い。
 xは溶解性及び色相の観点から1~2の数がより好ましく、1が最も好ましい。
[0031]
 一般式(1)中、Mは、水素原子又は金属元素を表す。
 Mとして好ましいものは、水素原子の他に、金属元素として、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。なかでも、オゾンガスに対する堅牢性および色相の観点から、Cu、Ni、Zn、Al、又はMgが好ましく、Cu又はMgがより好ましく、Cuが更に好ましい。
[0032]
(一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物の合成法)
 本発明の一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は、例えば下記式で表されるジカルボニトリル誘導体(一般式(a))および/または1,3-ジイミノイソインドリン誘導体(一般式(b))を一般式(d)で表される金属誘導体と反応させて誘導することができる。水溶性置換フタロシアニン化合物の合成では、あらかじめ一般式(a)および/または一般式(b)にニトロ基や-SO -Z 基を導入したものを原料に用いる方法と、フタロシアニン化合物を得た後にニトロ基や-SO -Z 基を導入して水溶性化する方法がある。
[0033]
[化4]


[0034]
 上記一般式(a)中のRa 、及び一般式(b)中のRb は、上記一般式(1)中のR 、R 、R 、及びR に相当し、上記一般式(a)中のRa 、及び一般式(b)中のRb は、上記一般式(1)中のR 、R 、R 、及びR に相当し、上記一般式(a)中のQa 、及び一般式(b)中のQb は、上記一般式(1)中のQ 、Q 、Q 、及びQ に相当し、上記一般式(a)中のQa 、及び一般式(b)中のQb は、上記一般式(1)中のQ 、Q 、Q 、及びQ に相当する。
[0035]
 本発明の一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物の製造方法おいて、上記式で表されるジカルボニトリル誘導体(一般式(a))および/または1,3-ジイミノイソインドリン誘導体(一般式(b))と、一般式(d)で表される金属誘導体との反応条件について詳細に説明する。
[0036]
 一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物の合成においては、酸及び塩基の少なくとも1種を用いることができる。酸としては、特に制限されるものではないが、25℃における水溶液中の解離指数pKaが7.0以下のものであれば有機化合物および無機化合物のいずれでも好ましい。pKaは酸解離定数の逆数の対数値を表し、イオン強度0.1、25℃で求められた値を示す。このpKa0.0~7.0の酸としては、リン酸などの無機酸、酢酸、マロン酸、クエン酸等の有機酸のいずれであってもよい。また、有機酸にあってもカルボキシル基を有する有機酸が最も好ましい。pKaが0.0~7.0の有機酸は一塩基性有機酸であっても多塩基性有機酸であってもよい。多塩基性有機酸の場合、そのpKaが上記0.0~7.0の範囲にあれば金属塩(例えばナトリウム塩やカリウム塩)やアンモニウム塩として使用できる。また、pKa0.0~7.0の有機酸は2種以上混合使用することもできる。本発明に使用するpKa0.0~7.0の有機酸の好ましい具体例を挙げると、ギ酸、酢酸、モノクロル酢酸、モノブロモ酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、モノクロルプロピオン酸、乳酸、ピルビン酸、アクリル酸、酪酸、イソ酪酸、ピバル酸、アミノ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸などの脂肪族系一塩基性有機酸;アスパラギン、アラニン、アルギニン、エチオニン、グリシン、グルタミン、システイン、セリン、メチオニン、ロイシンなどのアミノ酸系化合物;安息香酸及びクロロ、ヒドロキシ等のモノ置換安息香酸、ニコチン酸等の芳香族系一塩基性有機酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、オキサロ酢酸、グルタル酸、アジピン酸等の脂肪族系二塩基性有機酸;アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタル酸、シスチン、アスコルビン酸等のアミノ酸系二塩基性有機酸;フタル酸、テレフタル酸等の芳香族二塩基性有機酸;クエン酸などの三塩基性有機酸など各種有機酸を列挙することができる。本発明においては、有機酸の中でも、脂肪族系一塩基性有機酸が好ましくギ酸、酢酸、プロピオン酸が最も好ましい。
[0037]
 pKaが7.0以下の化合物の使用量は、上記式で表されるジカルボニトリル誘導体(一般式(a))および/または1,3-ジイミノイソインドリン誘導体(一般式(b))の使用量に対して0.05~20当量であり、好ましくは0.1~10倍量を仕込むことで、上記式で表されるジカルボニトリル誘導体(一般式(a))および/または1,3-ジイミノイソインドリン誘導体(一般式(b))の分解抑制作用が得られる。
[0038]
 本反応で使用する塩基としては無機塩基、もしくは有機塩基であることが好ましい。無機塩基としては、例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等の無機塩基を、有機塩基としては、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等を使用することができる。他に酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、シュウ酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩等の有機酸塩を使用することもできる。但し、これら塩基は反応溶媒に溶解することで緩衝液として働くため、溶解性の高い塩基が好ましく、有機塩基やアルカリ金属イオンからなる有機酸塩が最も好ましい。アルカリ金属イオンの中でもリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンが好ましく、中でもリチウムイオン、ナトリウムイオンの有機酸塩が最も好ましい。塩基の使用量としては上記式で表されるジカルボニトリル誘導体(一般式(a))および/または1,3-ジイミノイソインドリン誘導体(一般式(b))の使用量に対して0.05~30.0当量であり、好ましくは0.5~15.0当量である。
[0039]
 緩衝液とは、溶液中のある成分濃度の変化に対する緩衝作用が大きい溶液である。例えば酢酸など弱酸(AH)とその共役塩基(A )の混合溶液は、少量のH またはOH を添加しても、pH変化をわずかに抑えことができる。弱塩基(B)と共役酸(BH )を含む系も同様な作用を示す。実用的なpH緩衝液としては多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、長倉三郎編「理化学辞典」第5版(1999年 岩波書店)に詳しい。
[0040]
 本発明のフタロシアニン化合物の製造方法では、上記式で表されるジカルボニトリル誘導体(一般式(a))および/または1,3-ジイミノイソインドリン誘導体(一般式(b))と上記一般式(d)で示される金属誘導体を上記pKaが14.0以下の酸及び塩基の少なくとも1種の存在下で反応させるのが望ましいものであるが、この際の反応条件としては、反応温度が30~220℃、好ましくは40~200℃、更に好ましくは50~180℃である。
[0041]
 本発明の反応に添加する上記一般式(d)で示される金属誘導体としては、導入しようとする金属または金属酸化物に対する金属、金属水酸化物のほか、金属塩化物、金属酢酸塩、また錯体としては金属のアコ錯体、アンミン錯体を用いることができる。
[0042]
 上記一般式(d)において、好ましいM としては、金属原子、またはその酸化物、水酸化物、及びハロゲン化物を挙げることができる。
[0043]
 金属原子としては、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。
[0044]
 酸化物としては、VO、GeO等が挙げられる。
[0045]
 水酸化物としては、Si(OH) 、Cr(OH) 、Sn(OH) 等が挙げられる。
[0046]
 ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl 、VCl、VCl 、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。
[0047]
 中でも、M としては、Cu、Ni、Zn、Al、Mg等が好ましく、Cu、Mgが最も好ましい。
[0048]
 上記一般式(d)において、Z は、ハロゲン原子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素などの1価又は2価の配位子を表し、n は、1~4の整数を表す。
[0049]
 金属誘導体{一般式(d)で表される金属誘導体}の具体例としては、Al、Si、Ti、V、Mn,Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Pt、Pb等のハロゲン化物、カルボン酸誘導体、硫酸塩、硝酸塩、カルボニル化合物、酸化物、錯体等が挙げられる。さらに具体的には、塩化銅、臭化銅、沃化銅、酢酸銅、塩化ニッケル、臭化ニッケル、酢酸ニッケル、塩化コバルト、臭化コバルト、酢酸コバルト、塩化鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、沃化亜鉛、酢酸亜鉛、塩化バナジウム、オキシ三塩化バナジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、塩化アルミニウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、アセチルアセトンマンガン、塩化マンガン、塩化鉛、酢酸鉛、塩化インジウム、塩化チタン、塩化スズ等が挙げられる。
[0050]
 その中でも特に、塩化第二銅(CuCl )、酢酸銅が好ましく、特に塩化第二銅(CuCl )が好ましい。
[0051]
 使用量としては、上記式で表されるジカルボニトリル誘導体(一般式(a))および/または1,3-ジイミノイソインドリン誘導体(一般式(b))の使用量に対して、0.01~10倍当量が好ましく、更に0.05~5倍当量が好ましく、特に好ましい量は、0.1~3倍当量である。
[0052]
 また、本発明では触媒を同時に用いてよい。本発明の触媒としては通常フタロシアニン化合物の合成に用いられるすべての触媒を使用することができ、その例としてはモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸、リンモリブデン酸アンモニウム、酸化モリブデン等のモリブデン化合物、タンクステン酸アンモニウム、リンタングステン酸アンモニウム等のタングステン化合物、ヒ素バナジウム化合物、ほう酸、またはチタン、スズ、アンチモンのハロゲン化物あるいはオキシハロゲン化物が有り、中でもモリブデン酸アンモニウムが優れている。
[0053]
 本発明のフタロシアニン化合物の製造において使用することができる溶剤は特に限定されず、一般的な有機溶剤を使用することができる。中でもヒドロキシル基を有する有機溶媒や、極性溶剤(例、アセトニトリル、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、プロピレンカーボネート、N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、N,N-ジエチルドデカンアミド)が好ましい。より好ましいアルコールの例としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ペンタノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、フルフリルアルコール、アニスアルコールが挙げられる。またモノ-のみならずオリゴ-(特にジ-及びトリ-)及びポリ-C2~C4-アルキレングリコール(簡単にいうと「グリコール」)並びにこれらのモノ-C1~C8-アルキル-及びモノアリールエーテル(簡単にいうと「グリコールモノエーテル」)も好適である。またエチレンを基礎とする化合物も有利である。例として、エチレングリコール、1,2-及び1,3-プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、トリ-及びテトラエチレングリコール、ジ-、トリ-及びテトラプロピレングリコール、ポリエチレン-及びポリプロピレングリコール、エチレングリコールモノメチル-、-モノエチル-、-モノプロピル-、-モノブチル-及び-モノヘキシルエーテル及びプロピレングリコールモノメチル-、-モノエチル-、-モノプロピル-、-モノブチル-及び-モノヘキシルエーテル、ジ-、トリ-及びテトラエチレングリコールモノメチル-、-モノエチル-及び-モノブチルエーテル及びジ-、トリ-及びテトラプロピレングリコールモノメチル-、-モノエチル-及び-モノブチルエーテル並びにエチレン-及びプロピレングリコールモノフェニルエーテルが挙げられる。その中でも、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、1,2-及び1,3-プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリ-及びテトラエチレングリコール、ジ-、トリ-及びテトラプロピレングリコールが好ましく、特に、エチレングリコール、ジエチレングリコールが最も好ましい。
[0054]
 また本発明のフタロシアニン化合物の製造では、工業的に使用される不活性溶剤を使用することもできる。例としてニトロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、メチルナフタレン、ナフタレン、アルキルベンゼン、パラフィン、ナフテン、ケロシンが挙げられる。
[0055]
 これらは1種もしくは互いに影響しない組み合わせであれば2種以上を適当に混合していて用いても良い。溶媒の使用量は上記式で表されるジカルボニトリル誘導体(一般式(a))および/または1,3-ジイミノイソインドリン誘導体(一般式(b))の1~100質量倍、好ましくは1~20質量倍であり、更に好ましくは1~5質量倍である。
[0056]
 本反応において、反応時間として好ましくは96時間未満であり、更に好ましくは48時間未満であり、更に好ましくは30時間未満である。
[0057]
 本発明のフタロシアニン化合物の製造方法においては、これらの反応によって得られる生成物(フタロシアニン化合物)は通常の有機合成反応の後処理方法に従って処理した後、精製してあるいは精製せずに供することができる。
[0058]
 すなわち、例えば、反応系から遊離したものを精製せずに、あるいは再結晶、カラムクロマトグラフィー(例えば、ゲルパーメーションクロマトグラフィー(SEPHADEXTMLH-20:Pharmacia製)等にて精製する操作を単独、あるいは組み合わせて行ない、供することができる。
[0059]
 また、反応終了後、反応溶媒を留去して、あるいは留去せずに水、又は氷にあけ、中和してあるいは中和せずに遊離したものを精製せずに、あるいは再結晶、カラムクロマトグラフィー等にて精製する操作を単独に、あるいは組み合わせて行なった後、供することもできる。
[0060]
 また、反応終了後、反応溶媒を留去して、あるいは留去せずに水、又は氷にあけ中和して、あるいは中和せずに、有機溶媒/水溶液にて抽出したものを精製せずに、あるいは晶析、カラムクロマトグラフィーにて精製する操作を単独あるいは組み合わせて行なった後、供することもできる。
[0061]
 以下、本発明の一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物の具体例を挙げるが、本発明は、これら具体例に限定されるわけではない。
[0062]
 下記具体例における置換基種及び置換数は、本発明のフタロシアニン化合物の合成における縮合反応時の-SO -Z 置換ジカルボニトリル誘導体(上記一般式(a)におけるQa 又はQa がSO -Z で置換されたジカルボニトリル誘導体)およびニトロフタロニトリル化合物(上記一般式(a)におけるRa 又はRa がニトロ基で置換された化合物)の種類及び仕込み比(eq./eq.)に由来するものであり、得られたフタロシアニン化合物の混合物において、フタロシアニン化合物1分子に対して、ニトロ基、-SO -Z の各置換基が平均していくつ置換されているかを表したものである。「eq.」は当量(モル当量)を表す。
[0063]
[化5]


[0064]
[化6]


[0065]
[化7]


[0066]
[化8]


[0067]
[化9]


[0068]
[化10]


[0069]
[着色組成物]
 本発明の着色組成物は、上記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を含有する。本発明の着色組成物に含まれる一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物の種類は1種でも良いし、2種以上でも良い。
[0070]
 本発明の着色組成物は、更に媒体を含有させることができるが、媒体として溶媒を用いた場合は特にインクジェット記録用インクとして好適である。本発明の着色組成物は、媒体として、親油性媒体又は水性媒体を用いて、それらの中に、一般式(1)で表される化合物を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。水性媒体については後述する。本発明の着色組成物には、媒体を除いたインク用組成物も含まれる。
[0071]
 本発明において、着色組成物中に含まれる一般式(1)で表される化合物の含有量は、特に限定されず、用いられる一般式(1)で表される化合物における置換基の種類、及び着色組成物を製造するために用いる溶媒成分の種類等により決められる。例えば、着色組成物をインクジェット記録用インクとして用いる場合、着色組成物中の一般式(1)で表される化合物の含有量の合計が、着色組成物の総質量に対して0.1~20質量%であることが好ましく、0.2~10質量%であることがより好ましく、1~10質量%であることが更に好ましく、2~6質量%であることが特に好ましい。
[0072]
 着色組成物中に含まれる一般式(1)で表される化合物の含有量の合計を1質量%以上にすることで、印刷したときの記録媒体上におけるインクの印画濃度を良好にできる。また、着色組成物中に含まれる一般式(1)で表される化合物の含有量の合計を10質量%以下にすることで、インクジェット記録方法に用いた場合に着色組成物の吐出性を良好にでき、しかもインクジェットノズルが目詰まりしにくい等の効果が得られる。
[0073]
 なお、本発明の着色組成物は、一般式(1)で表される化合物を6~15質量%含むコンクインクであっても良い。本発明の着色組成物は、コンクインクとしての貯蔵安定性にも優れ、例えば一般式(1)で表される化合物を10質量%含む水溶液として貯蔵した際にも、pHの変動が少なく、貯蔵安定性に優れる。
[0074]
 本発明の着色組成物は、必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有しうる。その他の添加剤としては、後述のインクジェット記録用インクに使用しうる添加剤が挙げられる。
[0075]
[インクジェット記録用インク]
 次に本発明のインクジェット記録用インクについて説明する。
 本発明のインクジェット記録用インクは、上記着色組成物を含む。
 インクジェット記録用インクは、親油性媒体や水性媒体中に上記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いたインクである。
[0076]
 必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有される。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相または水相に添加してもよい。
[0077]
 乾燥防止剤はインクジェット記録方式に用いるノズルのインク噴射口においてインクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で好適に使用される。
[0078]
 上記乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3-スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いても良いし2種以上併用しても良い。これらの乾燥防止剤はインク中に10~50質量%含有することが好ましい。
[0079]
 浸透促進剤は、インクジェット用インクを紙により良く浸透させる目的で好適に使用される。浸透促進剤としてはエタノール、イソプロパノール、ブタノール,ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2-ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これらはインク中に5~30質量%含有すれば通常充分な効果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
[0080]
 紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。紫外線吸収剤としては特開昭58-185677号公報、同61-190537号公報、特開平2-782号公報、同5-197075号公報、同9-34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46-2784号公報、特開平5-194483号公報、米国特許第3214463号明細書等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48-30492号公報、同56-21141号公報、特開平10-88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4-298503号公報、同8-53427号公報、同8-239368号公報、同10-182621号公報、特表平8-501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチ・ディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
[0081]
 褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。上記褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチ・ディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62-215272号公報の127頁~137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
[0082]
 防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン-1-オキシド、p-ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンおよびその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02~1.00質量%使用するのが好ましい。
[0083]
 pH調整剤としては中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。上記pH調整剤はインクジェット記録用インクの保存安定性を向上させる目的で、インクジェット記録用インクがpH6~10となるように添加するのが好ましく、pH7~10となるように添加するのがより好ましい。
[0084]
 表面張力調整剤としてはノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。なお、本発明のインクジェット用インクの表面張力は25~70mN/mが好ましい。さらに25~60mN/mが好ましい。また本発明のインクジェット記録用インクの粘度は30mPa・s以下が好ましい。更に20mPa・s以下に調整することがより好ましい。界面活性剤の例としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤である日信化学工業(株)製のサーフィノール(登録商標)シリーズも好ましく用いられる。また、N,N-ジメチル-N-アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59-157,636号の第(37)~(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
[0085]
 消泡剤としては、フッ素系、シリコーン系化合物やエチレンジアミン四酢酸(EDTA)に代表されるキレート剤等も必要に応じて使用することができる。
[0086]
 本発明の一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を水性媒体に分散させる場合は、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物と油溶性ポリマーとを含有する着色微粒子を水性媒体に分散したり、高沸点有機溶媒に溶解した一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を水性媒体中に分散したりしても良い。分散時には、分散剤や界面活性剤を使用することができる。分散装置としては、簡単なスターラーやインペラー攪拌方式、インライン攪拌方式、ミル方式(例えば、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル等)、超音波方式、高圧乳化分散方式(高圧ホモジナイザー;具体的な市販装置としてはゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、DeBEE2000等)を使用することができる。
[0087]
 水性媒体は、水を主成分とし、所望により、水混和性有機溶剤を添加した混合物を用いることができる。上記水混和性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、モルホリン、N-エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、2-オキサゾリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。尚、上記水混和性有機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。
[0088]
(一般式(II)で表される化合物)
 本発明のインクジェット記録用インクは、下記一般式(II)で表される化合物(添加剤)を含有しても良い。
[0089]
[化11]


[0090]
 一般式(II)中、Ar 20はベンゼン環又はナフタレン環を表す。R 21~R 28はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R 21とR 22が結合して環を形成してもよい。R 23とR 24が結合して環を形成してもよい。R 25とR 26が結合して環を形成してもよい。R 27とR 28が結合して環を形成してもよい。R 29は置換基を表す。Ar 20がベンゼン環を表す場合、kは0~4の整数を表す。Ar 20がナフタレン環を表す場合、kは0~6の整数を表す。R 29が複数存在する場合、複数のR 29はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R 29が複数存在する場合、複数のR 29が結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(II)で表される化合物は、少なくとも1つの親水性基を有する。
[0091]
 一般式(II)で表される化合物は、1分子中に10を超える非局在化π電子を有する無色の水溶性平面状化合物であることが好ましい。
[0092]
 非局在化したπ電子系を構成するπ電子の数が増え、π電子系が広がると可視域に吸収を持つことが多い。本発明で無色とは、画像に影響を及ぼさない範囲で極わずかに着色している状態も含まれる。また、一般式(II)で表される水溶性化合物は、蛍光性の化合物であっても良いが、蛍光のない化合物が好ましく、さらに好ましくは最も長波側の吸収ピークの波長(λmax)が350nm以下、より好ましくは320nm以下で、且つモル吸光係数が1万以下の化合物である。
[0093]
 一般式(II)で表される化合物の1分子中の非局在化π電子の数の上限に特に制限はないが、80個以下が好ましく、中でも50個以下が好ましく、特に30個以下が好ましい。また、10個を超えるπ電子が1つの大きな非局在系を形成していてもよいが、2つ以上の非局在系を形成していてもよい。特に、1分子中に2つ以上の芳香族環を有する化合物が好ましい。芳香族環は、芳香族炭化水素環であっても良いしヘテロ原子を含む芳香族ヘテロ環であっても良く、縮環して1つの芳香族環を形成するものであっても良い。芳香族環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環などを挙げることができる。
[0094]
 一般式(II)で表される化合物は、水溶性であることが好ましく、20℃において100gの水に対して少なくとも1g以上溶解する化合物であることが好ましい。より好ましくは5g以上溶解する化合物であり、最も好ましくは10g以上溶解する化合物である。
[0095]
 一般式(II)中、R 21~R 28はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。上記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアルキニル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、置換又は無置換のアルキルオキシ基、置換又は無置換のアリールオキシ基、置換又は無置換のヘテロ環オキシ基、置換又は無置換のアルキルカルボニル基、置換又は無置換のアルキルカルボニルオキシ基、置換又は無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換又は無置換のアリールカルボニル基、置換又は無置換のアリールカルボニルオキシ基、置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のカルバモイルオキシ基、置換又は無置換のアミノ基、置換又は無置換のメルカプト基、置換又は無置換のアルキルチオ基、置換又は無置換のアリールチオ基、置換又は無置換のヘテロ環チオ基、置換又は無置換のスルファモイル基、置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、置換又は無置換のアリールスルフィニル基、置換又は無置換のアルキルスルホニル基、置換又は無置換のアリールスルホニル基、置換又は無置換のホスフィノ基、置換又は無置換のホスフィニル基、置換又は無置換のシリル基、置換又は無置換のシリルオキシ基、イオン性親水性基が挙げられる。これらの置換基が更に1個以上の置換基を有することができる場合は、その更なる置換基として上記した置換基から選択した置換基を有する基も置換基の例に含まれる。
[0096]
 R 21~R 28はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表すことが好ましい。上記アルキル基は、炭素数1~12のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~8のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることが最も好ましい。上記アルキル基は、前述の親水性基を置換基として有することが水系インクの保存安定性の観点から好ましい。
[0097]
 R 21とR 22、R 23とR 24、R 25とR 26、R 27とR 28はそれぞれ結合して環を形成してもよい。環としては、特に限定されないが、芳香族環であっても、非芳香族環であってもよく、5員環又は6員環であることが好ましい。また、上記環は、R 21~R 28が結合している窒素原子以外にヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子)を含んでいてもよい。
[0098]
 R 29は置換基を表し、上記置換基としては、前述のR 21~R 28が置換基を表す場合の置換基として説明したものと同様である。
 R 29はイオン性親水性基又は置換若しくは無置換のアルキル基を表すことが好ましい。上記アルキル基は、炭素数1~12のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~8のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることが最も好ましい。
 R 29が複数存在する場合、複数のR 29はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R 29が複数存在する場合、複数のR 29が結合して環を形成してもよい。環としては、特に限定されないが、芳香族環であっても、非芳香族環であってもよく、5員環又は6員環であることが好ましい。また、上記環はヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子)を含んでいてもよい。
[0099]
 R 21~R 29のいずれか少なくとも1つは親水性基を有する。1分子中に3つ以上の芳香族環を有する化合物の場合には、分子中の芳香族環に結合している少なくとも2つの親水性基を有することが特に好ましい。
 親水性基は、新有機概念図―基礎と応用―(三共出版社)にて概説されている{0:有機性値}と{I:無機性値}のI/O計算値や化合物の疎水性パラメーターの値として化学・医薬学分野で広く用いられている、logP値(通常,1-オクタノール/水系における分子の分配係数P)またはその計算値ClogP値及び官能基の酸解離定数(pKa値)から容易に置換基として選定できる。また、親水性基としては、化学大辞典第4版(共立出版株式会社)の「親水基」の説明における「強親水性の基」及び「あまり親水性の強くない基」も好ましい。本発明の着色組成物(インクジェット記録用インク)は塩基性での使用形態が好ましいため、親水性基の酸解離定数(pKa値)が高い、あまり親水性の強くない基も適用可能である。具体的には-NH 、-OH、-CO H(またはカルボキシ基のアルカリ金属塩)が挙げられる。
 更に好ましい親水性基としては、イオン性親水性基に加えて、ヒドロキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、4級アンモニウム基などが含まれるが、これらに限定されない。親水性基としては、イオン性親水性基が好ましく、スルホ基(-SO M)、カルボキシ基(-CO M)がより好ましく、スルホ基(-SO M)が最も好ましい。
[0100]
 上記イオン性親水性基は、スルホ基(-SO M)、カルボキシ基(-CO M)、チオカルボキシ基、スルフィノ基(-SO M)、ホスホノ基(-PO(OT)(OM)、ジヒドロキシホスフィノ基、リン酸基(-PO(OM) )、4級アンモニウム基、アシルスルファモイル基(-SO COT)、スルホニルカルバモイル基(-CON SO -T)、及びスルホニルアミノスルホニル基(-SO SO -T)から選択される基である。上記Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。上記Tは一価の置換基(例えば、アルキル基又はアリール基)である。
 上記イオン性親水性基は、酸性基であることが好ましく、スルホ基(-SO M)、カルボキシ基(-CO M)、及びリン酸基(-PO(OM) )の少なくとも1種であることがより好ましく、スルホ基(-SO M)又はカルボキシ基(-CO M)であることが更に好ましく、スルホ基(-SO M)であることが最も好ましい。
[0101]
 上記Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。
 Mがカウンターカチオンを表す場合、例えば、アンモニウムイオン(NH )、アルカリ金属イオン(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、有機カチオン(例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン)等が挙げられる。
 Mは水素原子、アルカリ金属カチオン又はアンモニウムイオンであることが好ましく、アルカリ金属イオンであることがより好ましく、リチウムイオン、ナトリウムイオン又はカリウムイオンであることが更に好ましく、リチウムイオン又はナトリウムイオンであることが特に好ましい。また、カウンターカチオンは1種のみ(単独塩)であっても良いし、2種以上(混合塩)であっても良い。
[0102]
 なお、Mは2価のカウンターカチオンであってもよい。Mが2価のカウンターカチオンである場合は、例えば、2つの-SO のカウンターカチオンを1つのMが兼ねる形態などをとり得る。水溶性の観点から、Mは1価のカウンターカチオンであることが好ましい。
[0103]
 一般式(II)で表される化合物は、1分子中に、親水性基を1~10個有することが好ましく、2~8個有することがより好ましい。
 一般式(II)で表される化合物は、1分子中に、イオン性親水性基を2~6個有することが好ましく、2~4個有することがより好ましい。
 一般式(II)中のR 21~R 29のいずれか少なくとも1つがイオン性親水性基を有することが好ましく、-SO Mを有することがより好ましく、R 21~R 29の2~6つが-SO Mを有することが更に好ましく、R 21~R 29の2~4つが-SO Mを有することが特に好ましい。
[0104]
 一般式(II)中、Ar 20はベンゼン環又はナフタレン環を表し、ベンゼン環を表すことが好ましい。
 Ar 20がベンゼン環を表す場合、kは0~4の整数を表し、0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
 Ar 20がナフタレン環を表す場合、kは0~6の整数を表し、0~4の整数であることが好ましく、0~2の整数であることがより好ましく、0又は1であることが更に好ましい。
[0105]
 一般式(II)で表される化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
[0106]
[化12]


[0107]
[化13]


[0108]
[化14]


[0109]
[化15]


[0110]
[化16]


[0111]
[化17]


[0112]
[化18]


[0113]
 本発明の着色組成物及びインクジェット記録用インクが一般式(II)で表される化合物を含有する場合、一般式(II)で表される化合物の含有量は、着色組成物及びインクジェット記録用インクの全質量を基準として、0.1~1.0質量%であることが好ましく、0.3~0.7質量%であることがより好ましく、0.4~0.6質量%であることが更に好ましい。
[0114]
 一般式(II)で表される化合物は公知の方法(例えば、特許第4686151号公報などに記載の方法)で合成することが可能である。
[0115]
 本発明の着色組成物及びインクジェット記録用インクが一般式(II)で表される化合物を含有する場合、一般式(II)で表される化合物の種類は1種でも良いし、2種以上でも良い。
[0116]
 本発明の着色組成物及びインクジェット記録用インクは、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物とともに、他の色素を併用してもよい。2種類以上の色素を併用する場合は、色素の含有量の合計が前述の範囲となっているのが好ましい。
[0117]
 本発明のインクジェット記録用インクは、粘度が30mPa・s以下であるのが好ましい。また、その表面張力は25mN/m以上70mN/m以下であるのが好ましい。粘度及び表面張力は、種々の添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、防黴剤、防錆剤、分散剤及び界面活性剤を添加することによって、調整できる。
[0118]
 本発明のインクジェット記録用インクは、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができ、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。
[0119]
[インクジェット記録方法]
 本発明のインクジェット記録方法は、上記インクジェット記録用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8-169172号公報、同8-27693号公報、同2-276670号公報、同7-276789号公報、同9-323475号公報、特開昭62-238783号公報、特開平10-153989号公報、同10-217473号公報、同10-235995号公報、同10-337947号公報、同10-217597号公報、同10-337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フイルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。
[0120]
 画像を形成する際に、光沢性や耐水性を与えたり、耐候性を改善する目的からポリマー微粒子分散物(ポリマーラテックスともいう)を併用してもよい。ポリマーラテックスを受像材料に付与する時期については、着色剤を付与する前であっても,後であっても、また同時であってもよく、したがって添加する場所も受像紙中であっても、インク中であってもよく、あるいはポリマーラテックス単独の液状物として使用しても良い。具体的には、特願2000-363090号、同2000-315231号、同2000-354380号、同2000-343944号、同2000-268952号、同2000-299465号、同2000-297365号等の各明細書に記載された方法を好ましく用いることが出きる。
[0121]
 以下に、本発明のインクを用いてインクジェットプリントをするのに用いられる記録紙及び記録フィルムについて説明する。
 記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10~250μm、坪量は10~250g/m が望ましい。
 支持体には、そのままインク受容層及びバックコート層を設けてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、インク受容層及びバックコー卜層を設けてもよい。更に支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。本発明では支持体として、両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそれらのコポリマー)でラミネートした紙及びプラスチックフィルムがより好ましく用いられる。
 ポリオレフィン中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け染料(例えば、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
実施例
[0122]
 以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[0123]
<合成例1:例示化合物1-1の合成>
 例示化合物1-1のフタロシアニン化合物(混合物)は、例えば下記合成ルートから誘導することができる。Acはアセチル基を表す。
[0124]
[化19]


[0125]
 冷却管の付いた三つ口フラスコに、ジエチレングリコール50mL加え、そこに化合物A10.0g(特許第3949385号公報の実施例の段落番号0169及び0170記載の方法で合成)、3-ニトロフタロニトリル1.7g(東京化成)、塩化銅(II)1.3g、酢酸ナトリウム5.5g、酢酸アンモニウム0.8gを加え、内温100℃まで加温して、同温度で24時間撹拌した。40℃まで冷却した後、超純水50mLを注入して、同温度で1時間攪拌した。次に、反応液を室温まで冷却した後、メタノールを120mL滴下し、析出した固体をヌッチェでろ過し、50mLのメタノールで洗浄した。続いて得られた固体を塩化ナトリウムで飽和した100mLの1mol/L塩酸水溶液に加え、未反応の銅塩を溶かし出した。不溶物をろ過した後、ろ液に300mLのメタノールを滴下して晶析した後、得られた粗結晶をヌッチェでろ過し、200mLのメタノールで洗浄した。粗結晶を、50mLの水に溶解させた後、水溶液を攪拌しながら酢酸ナトリウムの飽和メタノール溶液100mLを徐々に添加して造塩した。更に、攪拌しながら還流温度まで加温し、同温度で1時間撹拌した。室温まで冷却した後、析出した結晶をろ過し、メタノールで洗浄した。引き続き、80%メタノール100mLに得られた結晶を加え、1時間還流下撹拌し、室温まで冷却した後、析出した結晶をろ過し、メタノ-ル100mLで洗浄後乾燥して、5.2gの例示化合物1-1を青色結晶として得た。λmax(吸収極大波長):624nm;εmax(吸収極大波長におけるモル吸光係数)=4.91×10 (水溶液中)。
[0126]
 得られた化合物(混合物)を高速液体クロマトグラフィー及びMALDI-MS(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization-Mass Spectrometry)を用いて分析した結果、フタロシアニン化合物1分子中のニトロ基/-SO -Z 基の置換数が、0/4、1/3、2/2、3/1である上記化合物(a1)、(a2)、(a3)、(a4)を含む混合物であり、全体を平均して表すと例示化合物1-1であることが確認できた。MALDI-MS計算値 C 3519CuN 1111:896.00、C 3826CuN 1014:1036.98、C 4133CuN 17:1177.96、C 4440CuN 20:1318.94実測値([M+H] )896.99、1037.97、1178.95、1319.92。
[0127]
 その他の例示化合物については、原料及びその比率を変更した以外は、上記合成例1と同様にして合成した。
 比較化合物1、2及び3は特許第3949385号公報に記載の方法を用いて合成した。
 比較化合物4は合成例1で用いた3-ニトロフタロニトリルを4-ニトロフタロニトリルに変更することで同様に合成した。
[0128]
(インクジェット記録用インクの調製)
 下記の成分に超純水を加え、8gとした後、30~40℃で加熱しながら1時間攪拌した。その後10mol/LのNaOH水溶液にてpHを8.0に調整し、再度超純水を加え全体を10gとした後、平均孔径0.20μmのミクロフィルターで減圧濾過し、インクジェット記録用インクであるシアン用インク液Aを調製した。
[0129]
インク液Aの組成:
 フタロシアニン化合物(例示化合物1-1)     0.48g
 グリセリン                    1.48g
 トリエチレングリコールモノブチルエーテル     1.45g
 2-ピロリドン                  0.34g
 トリエチレングリコール              0.29g
 サーフィノール465               0.14g
[0130]
 なお、上記サーフィノール465は、界面活性剤であり、日信化学工業(株)製のサーフィノール(登録商標)465である。
[0131]
(インク液B~E、101~104の調製)
 フタロシアニン化合物(例示化合物1-1)を、下記表1に示すように変更した以外は、インク液Aの調製と同様にして、インクジェット記録用インクであるインク液B~E、101~104を調製した。
[0132]
[化20]


[0133]
[化21]


[0134]
[化22]


[0135]
[化23]


[0136]
(インク液Fの調製)
 下記の成分に超純水を加え、8gとした後、30~40℃で加熱しながら1時間攪拌した。その後10mol/LのNaOH水溶液にてpHを8.0に調整し、再度超純水を加え全体を10gとした後、平均孔径0.20μmのミクロフィルターで減圧濾過し、インクジェット記録用インクであるシアン用インク液Fを調製した。
[0137]
インク液F組成:
 フタロシアニン化合物(例示化合物1-1)     0.48g
 グリセリン                    1.48g
 トリエチレングリコールモノブチルエーテル     1.45g
 2-ピロリドン                  0.34g
 トリエチレングリコール              0.29g
 サーフィノール465               0.14g
 化合物X                     0.05g
[0138]
[化24]


[0139]
 (画像記録及び評価)
 各実施例(インク液A~F)及び比較例(インク液101~104)のインクジェット記録用インクについて、下記評価を行った。その結果を表1に示した。なお、表1における、オゾンガスに対する堅牢性及び色相の評価は、各インクジェット記録用インクを、インクジェットプリンター(EPSON(株)社製:PX-045A)でフォト光沢紙(EPSON(株)社製PM写真用紙<光沢>)に画像を記録した後で評価したものである。
[0140]
<オゾンガスに対する堅牢性>
 シーメンス型オゾナイザーの二重ガラス管内に乾燥空気を通しながら、5kV交流電圧を印加し、これを用いてオゾンガス濃度が10.0±0.5ppm(parts per million)、室温(20℃)、暗所に設定されたボックス内に、画像を形成したフォト光沢紙を60時間放置し、オゾンガス下放置後の画像濃度を、ステータスAフィルター(Red)が標準装備された反射濃度計(商品名i1 PUBLISH PRO 2、エックスライト社製)を用いて測定し、初期の画像濃度Ciとオゾンガス下放置後の画像濃度Cfから色素残存率を算出した。なお、初期の画像濃度Ciは光学反射濃度1付近のものを使用して測定し、経時20時間(オゾン堅牢性1)および60時間目(オゾン堅牢性2)の色素残存率を評価することで、オゾンガスに対する堅牢性を評価した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG-EM-01)を用いて設定した。
 次式より色素残存率を求め、下記判定基準によりオゾンガスに対する堅牢性を評価した。
 色素残存率(%)=(Cf/Ci)×100
[0141]
<オゾン堅牢性1>
 A: 20時間で色素残存率が95%以上の場合
 B: 20時間で色素残存率が90%以上95%未満の場合
 C: 20時間で色素残存率が90%未満の場合
[0142]
<オゾン堅牢性2>
 A: 60時間で色素残存率が85%以上の場合
 B: 60時間で色素残存率が75%以上85%未満の場合
 C: 60時間で色素残存率が75%未満の場合
[0143]
<色相>
 前述のインクジェットプリンター及び記録用紙の組み合わせで、各実施例(インク液A~F)及び比較例(インク液101~104)のインクジェット記録用インクを用いてOD(Optical Density)値が0.7~1.8になるように階段状に濃度が変化した画像パターンを印画した。ODが1±0.2である画像を用いa*及びb*を測定した。その画像のa*及びb*の値から、下記式に基づいて色相角H゜の値を算出した。
 a*≧0、b*≧0(第一象現)においては、色相角H°=tan -1(b*/a*)
 a*≦0、b*≧0(第二象現)においては、色相角H°=180+tan -1(b*/a*)
 a*≦0、b*≦0(第三象現)においては、色相角H°=180+tan -1(b*/a*)
 a*≧0、b*≦0(第四象現)においては、色相角H°=360+tan -1(b*/a*)。
 得られたH°の値から、以下に示す評価基準にしたがって色相角を評価した。
 A:H°が225°以上235°未満
 B:H°が0°以上225°未満、又は、235°以上360°未満
[0144]
[表1]


[0145]
(コンクインクA~E、101~104の作成)
 蒸留水4.0gに対して下記表2に示すフタロシアニン化合物0.5gを溶解させ、10mol/LのNaOH水溶液にてpHを8.5に調整し、再度蒸留水を加え全体を5gとすることで、フタロシアニン化合物を10質量%含むコンクインクを作成した。
[0146]
(コンクインクFの作成)
 蒸留水4.0g対して例示化合物(1-1)を0.5gと化合物Xを0.05g溶解させ、10mol/LのNaOH水溶液にてpHを8.5に調整し、再度蒸留水を加え全体を5gとすることで、例示化合物(1-1)を10質量%含むコンクインクFを作成した。
[0147]
<コンクインクの貯蔵安定性>
 作成したコンクインクの入ったガラス製容器を密閉した後60℃条件下で7日間放置し、初期のpH(pHa)と60℃条件下で7日間放置した後のpH(pHb)の変化を測定することで、pHの変化量pHa-pHb=△pHを算出した。評価は以下に示されるように定義した。結果を下記表2に示した。
 AA:△pHが0.2未満の場合
  A: △pHが0.2以上0.3未満の場合
  B: △pHが0.3以上の場合
[0148]
[表2]


[0149]
 表1及び表2から明らかなように、本発明のフタロシアニン化合物を含むインクジェット記録用インクは、オゾンガスに対する堅牢性に優れ、かつ本発明のフタロシアニン化合物を含むコンクインクは貯蔵安定性に優れることが分かった。
 また、コンクインクFはコンクインクAと比較してコンクインクの貯蔵安定性が更に良化する結果が得られた。

産業上の利用可能性

[0150]
 本発明によれば、オゾンガスに対する堅牢性に優れ、かつコンクインクとした場合の貯蔵安定性に優れる着色組成物、上記着色組成物を含むインクジェット記録用インク、上記インクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法、及び上記着色組成物の色素として用いることができるフタロシアニン化合物を提供することができる。
[0151]
 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
 本出願は、2019年8月28日出願の日本特許出願(特願2019-156086)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

請求の範囲

[請求項1]
 下記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を含有する着色組成物。
[化1]



 一般式(1)中、R ~R は、それぞれ独立に、水素原子又はニトロ基を表す。ただし、R ~R のうち、x個はニトロ基を表す。
 Q ~Q は、それぞれ独立に、水素原子又は-SO -Z を表す。ただし、Q ~Q のうち、4-x個は-SO -Z を表す。
 Z はスルホ基で置換されたアルキル基、スルホ基で置換されたアリール基、又はスルホ基で置換されたヘテロ環基を表す。Z が複数存在する場合、複数のZ は同一であっても、異なってもよい。
 xは、1~4の数を表す。
 Mは、水素原子又は金属元素を表す。
[請求項2]
 前記Z が、スルホ基で置換されたアルキル基を表す請求項1に記載の着色組成物。
[請求項3]
 前記xが1~2の数を表す請求項1又は2に記載の着色組成物。
[請求項4]
 前記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物の含有量が、6~15質量%である請求項1~3のいずれか1項に記載の着色組成物。
[請求項5]
 請求項1~4のいずれか1項に記載の着色組成物を含むインクジェット記録用インク。
[請求項6]
 請求項5に記載のインクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法。
[請求項7]
 下記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物。
[化2]



 一般式(1)中、R ~R は、それぞれ独立に、水素原子又はニトロ基を表す。ただし、R ~R のうち、x個はニトロ基を表す。
 Q ~Q は、それぞれ独立に、水素原子又は-SO -Z を表す。ただし、Q ~Q のうち、4-x個は-SO -Z を表す。
 Z はスルホ基で置換されたアルキル基、スルホ基で置換されたアリール基、又はスルホ基で置換されたヘテロ環基を表す。Z が複数存在する場合、複数のZ は同一であっても、異なってもよい。
 xは、1~4の数を表す。
 Mは、水素原子又は金属元素を表す。