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1. WO2020158563 - ASSAISONNEMENT LIQUIDE CONTENANT UN INGRÉDIENT CHAUFFÉ CONDITIONNÉ DANS UN RÉCIPIENT ÉTANCHE À L'AIR, PROCÉDÉ POUR LE FABRIQUER, ET PROCÉDÉ D'AMÉLIORATION DES PROPRIÉTÉS PHYSIQUES

Document

明 細 書

発明の名称 加熱処理済み密閉容器入り具材含有液状調味料及びその製造方法、物性の改善方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015  

先行技術文献

特許文献

0016  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0017  

課題を解決するための手段

0018   0019  

発明の効果

0020  

発明を実施するための形態

0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050  

実施例

0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110  

産業上の利用可能性

0111   0112  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

明 細 書

発明の名称 : 加熱処理済み密閉容器入り具材含有液状調味料及びその製造方法、物性の改善方法

技術分野

[0001]
 本開示は、加熱処理済み密閉容器入り具材含有液状調味料及びその製造方法、物性の改善方法に関する。

背景技術

[0002]
 具材を含有する液状調味料において、これを容器に充填する際に、具材と液状調味料を別々に計量、充填する方法がある。
[0003]
 しかしながら、具材と液状調味料を別々に充填する方法は、二系統以上の充填ノズルや付帯設備が必要で、使用時の操作及び使用後の洗浄などの煩雑な操作が必要であるという課題があった。
[0004]
 この課題を解決する手段として、具材と液状調味料を強い撹拌力で混合し、具材を液状調味料中に均一に分散させながら、即座に、これらの混合物を一度の注入操作で容器に充填する(一液充填と呼ぶ)装置が開発されている。
[0005]
 しかしながら、これら装置を用いて具材と液状調味料を一液充填する場合、その強い撹拌力により、具材が崩壊したり、形状を損ねたり、軟化してしまうという課題があった。さらには、撹拌力が弱くなると具材と液状調味料が分離してしまうため、撹拌容器と充填容器の距離は短くなければならず、特別な装置の必要や設置場所の制限が生じてしまうという課題があった。
[0006]
 これら課題の解決手段として、特許文献1には、ペースト状の固形部分とオイル部分を50℃~80℃の温度範囲下で混合・充填することで、両者の分離を防止しながら均一化でき、一つの液として包材に充填する方法が開示されている。特許文献2には、分散剤の含有する調味液体にごま粒子を含有させ、撹拌混合して、ごま粒子を調味液体全体に分散させ、次に食用油脂類を含有させて撹拌混合して食用油脂類を調味液体全体に分散させ、次いで撹拌混合を継続して、ごま粒子と食用油脂類を調味液体全体に共に分散させた状態で包装容器に充填する方法が開示されている。特許文献3には、調味料全体に対して、ねり胡麻を10~20%(w/w)、加工澱粉を1.5~3.0%(w/w)、植物油脂を10~50%(w/w)含有する混合物を75℃未満で調合し、該混合物を一液で容器に充填し密封した後、該容器を75~90℃で加熱する方法が開示されている。
[0007]
 しかしながら、特許文献1の方法によっては、固形部がペースト状である必要があり、様々な態様を有する具材含有液状調味料の製造手段としては、その汎用性に劣っていた。
[0008]
 特許文献2の方法は、一時的にごま粒子や食用油脂類などが分散する程度に分散剤が含有された包装容器入り食用油脂類分離型ごま粒子含有液状調味料に関するものであって、ごまや食用油脂を含まない態様の具材含有液状調味料において、普遍的に応用できる技術ではなかった。具体的には、「本発明の分散剤は、通常の液状調味料に用いられる分散剤であればいずれでもよく、例えば、キサンタンガム、カラギーナン、グアガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガムなどのガム類、ペクチン、ゼラチン、寒天など、また、ポリデキストロース、セルロース類、加工澱粉類(化工澱粉類を含む)、プルラン、カードラン、卵黄などが挙げられ、これらの1種または2種以上が用いられる」(段落0012)との記載があるが、上記の通り、一時的に分散する程度の弱い分散効果を奏するものであった。また、ごま粒子を含有させて撹拌混合して、調味液体全体に均一に分散させ、次に、食用油脂類を含有させて撹拌混合して、食用油脂類を調味液体全体に均一に分散させ、ごま粒子と食用油脂類が分散状態を維持するような撹拌混合をおこないながら、この食用油脂類分離型ごま粒子含有液状調味料を包装容器に充填するという、煩雑な段階的操作(ステップ)を必須とするものであった。さらには、特許文献3に記載の通り、「水層部と油層部との混合物を分離しないように撹拌しながら、一度に容器に充填して製造する場合、長時間の激しい撹拌が継続するため、食用油脂やねり胡麻等の配合原料の風味が劣化するという欠点を有する」(段落0003)という課題があった。
[0009]
 特許文献3では、上記風味劣化の課題を克服する方法として、油層部、水層部、ねり胡麻及び加工澱粉の配合量を調整することで、胡麻風味を豊かに保持したまま容器詰め胡麻含有分離型調味料を製造できることが記載されているものの、食用油脂や加工澱粉を必須とすることが記載されており、上記と同様に、食用油脂を含まない態様で、様々な種類の具材が混在する具材含有液状調味料において、普遍的に応用できる技術ではなかった。
[0010]
 本発明者らは、食用油脂を含まない態様の加熱処理済み具材含有液状調味料について、上記開示技術を参考に、分散剤や加工澱粉を使用して、一液充填可能な具材含有液状調味料の調製を試みた。具体的には、特別な機能を有さない、既存の撹拌機付きブレンドタンクと比較的長い距離の配管(具体的には内径約5cm、長さ約10m)に接続された充填装置を用いて、野菜片などの具材を、食用油脂を含有しない液状調味料に均一に分散させ、具材と液状調味料とを同時に搬送できるようにすることを検討した。しかしながら、その際において、新たな課題が生じることを知見した。
[0011]
 具体的には、特別な装置を用いないで、具材の風味や物性を劣化させないように弱い撹拌力で具材と液状調味料と増粘剤を混合し、具材を液状調味料に均一に分散させ、容器に一液充填可能にする場合、分散剤としての増粘剤の粘度は比較的高い必要があること、そして粘度を高めた場合、最終製品の物性に喫食上、嗜好上の問題点が生じてしまうことが分かった。
[0012]
 前記喫食上、嗜好上の問題点について具体的に説明すると、シチューソースなどの具材含有液状調味料において、喫食時に、とろりとしているが粘り気の切れの良い物性が望まれるところ、一液充填のために配合した増粘剤由来の粘稠性が、具材含有液状調味料の物性に粘り気の切れの悪さを付与してしまい、とろみはあるが粘り気の切れが悪く、喫食性や嗜好性に劣ったものになってしまうというものである。尚、とろみを不要とする具材含有ポン酢などでは、液状調味料に増粘剤由来の特徴的な粘稠性が特に強く発現してしまい、所望する物性に調整することができないというものである。
[0013]
 これら問題に対して、特許文献4には、増粘剤を含む増粘用液体組成物において、高度分岐環状デキストリン及び/又DE1~15のデンプン分解物を添加することで、増粘剤の粘性を低下させる技術が開示されている。また、特許文献5には、弱酸性の有機酸を含有させた、圧力0.2~100MPa、温度120~300℃の熱水中で、水熱反応により多糖類を単糖またはオリゴ糖まで加水分解する技術が開示されている。
[0014]
 しかしながら、特許文献4における方法では、増粘剤の粘性を低下させる効果を有する高度分岐環状デキストリン及び/又DE1~15のデンプン分解物は、特定の閾値濃度以上であれば増粘剤の濃度に関わらず粘性低下効果を奏するが、特定の閾値濃度未満では当該粘性低下効果を奏さないことが記載されている。そのため、液状調味料の使用態様(例えば希釈操作など)によっては、当該効果成分が閾値前後の濃度に変動し、粘性低下効果の不安定性が生じてしまう。したがって、様々な使用態様を有する液状調味料において、粘性低下効果の安定性を担保するためには、当該効果成分を過剰量添加する必要が生じてしまうという課題があった。さらに、当該効果成分は特殊なものでありコスト高であるという課題があった。
[0015]
 特許文献5の方法では、「『多糖類』とは、加水分解によって単糖類を生ずる高分子化合物をいい、具体的には、でんぷん、寒天、グアーガム、セルロース、グルコマンナン及びキシラン」(段落0018)との記載があり、増粘性を有する多様な水溶性多糖が対象に含まれる。しかしながら、本方法によれば、その分解力が甚だしく強く、液状調味料の粘性の一部のみを改善することは不可能で、一液充填による密閉容器入り具材含有液状調味料において、これに望まれる好ましい粘性自体ばかりでなく、具材の食感をも失ってしまうという課題があり、容易に応用できるものではなかった。

先行技術文献

特許文献

[0016]
特許文献1 : 特開2016-182071号公報
特許文献2 : 特開2002-369665号公報
特許文献3 : 特開2015-139408号公報
特許文献4 : 国際公開第2017/002722号
特許文献5 : 特開2009-195189号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0017]
 本開示は、特殊な装置や煩雑な処理条件、特殊な原料を必要とせずに、具材や液状調味料の風味や物性を損なうことなく、通常の装置を用い、簡易な操作と一般的な原料で製造することができる、喫食性や嗜好性を阻害する水溶性多糖由来の粘稠性の物性が改善された、具材と液状調味料との一液充填式の加熱処理済み密閉容器入り具材含有液状調味料及びその製造方法、物性の改善方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0018]
 本発明者らは、上記の事情に鑑みて鋭意研究した結果、従来の技術にない、食品原料の組み合わせと配合量の調整効果に着目し、上記課題を簡易に解決できることを新規に知見した。そして、本発明者らは上記の知見に基づいてさらに鋭意研究を進めることにより、下記の開示を完成させるに至った。
[0019]
 すなわち、本開示は、次の[1]~[11]を提供するものである。
[1]具材と液状調味料との一液充填式の密閉容器入り具材含有液状調味料であって、酢酸と、水溶性多糖含有食材と、を含有し、加熱処理済みであることを特徴とする具材含有液状調味料。
[2]加熱処理前の具材の最長辺の長さが1.0mm以上80mm以下であって、加熱処理前後の具材の質量増加率が0.5倍以上10倍以下である、前記[1]に記載の具材含有液状調味料。
[3]酢酸の配合量が、具材含有液状調味料全量に対して、0.05質量%以上である、前記[1]又は[2]に記載の具材含有液状調味料。
[4]加熱処理前の水溶性多糖含有食材由来の水溶性多糖の配合量が、具材含有液状調味料全量に対して、0.01質量%以上0.45質量%以下である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の具材含有液状調味料。
[5]水溶性多糖含有食材が、コンニャクイモ粉、コンブ抽出物、ナガイモ類粉末から選ばれる1種以上である、前記[1]~[4]のいずれかに記載の具材含有液状調味料。
[6]加熱処理温度が70℃以上100℃未満であり、加熱処理時間が5分間以上~60分間以下である、前記[1]~[5]のいずれかに記載の具材含有液状調味料。
[7]原料として生でんぷんを含有し、最終製品における粘度(B型粘度計、20℃)が500mPa・s以上である、前記[1]~[6]のいずれかに記載の具材含有液状調味料。
[8]原料として乳化作用を有する食材と食用油脂とを含有し、最終製品の液性が油水分離型である、前記[1]~[7]のいずれかに記載の具材含有液状調味料。
[9]具材と、酢酸と、水溶性多糖含有食材と、を混合する工程;
 上記工程で得られた混合物を容器に一液充填する工程;
 当該容器を密閉した後又はその前に、加熱処理する工程;及び、
 上記工程で得られた密閉容器入り具材含有液状調味料を略常温に冷却する工程;からなる、具材と液状調味料との一液充填式の密閉容器入り具材含有液状調味料の製造方法。
[10]具材と液状調味料との一液充填式の密閉容器入り具材含有液状調味料の物性改善方法において、具材と、酢酸と、水溶性多糖含有食材と、を混合し、得られた混合物を容器に一液充填した後に、当該容器を密閉した後又はその前に、加熱処理し、次いで得られた密閉容器入り具材含有液状調味料を略常温に冷却することを特徴とする、具材含有液状調味料の物性改善方法。
[11]前記物性改善方法により、容器毎の具材と液状調味料の均等充填性が向上し、かつ、液状調味料における水溶性多糖に由来する粘稠性が特異的に消失することを特徴とする、前記[10]に記載の具材含有液状調味料の物性改善方法。

発明の効果

[0020]
 本開示によれば、特殊な装置や煩雑な処理条件、特殊な原料を必要とせずに、具材や液状調味料の風味や物性を損なうことなく、通常の装置を用い、簡易な操作と一般的な原料で製造することができる、喫食性や嗜好性を阻害する水溶性多糖由来の粘稠性の物性が改善された、具材と液状調味料との一液充填式の加熱処理済み密閉容器入り具材含有液状調味料及びその製造方法、物性の改善方法を提供できる。

発明を実施するための形態

[0021]
 本開示の第一の実施形態は、具材と液状調味料との一液充填式の密閉容器入り具材含有液状調味料であって、酢酸と、水溶性多糖含有食材と、を含有し、加熱処理済みであることを特徴とする具材含有液状調味料に関する。
[0022]
 本実施形態における一液充填式とは、具材を液状調味料中に均一に分散させ、容器中に、一本の注入管を用いて一度の注入で充填を完了する充填方式を指す。すなわち、本実施形態において、具材は液状調味料中に均一に分散され、液状調味料とともに搬送され、容器に充填されることになる。
[0023]
 具材とは、容器への注入時に、液状調味料に完全溶解している状態以外の固形状の食材であれば何ら制限されない。但し、液状調味料中への均一分散性、液状調味料による搬送性を鑑みると、具材の大きさは、加熱処理前の最長辺の長さの上限として、通常80mm以下であればよく、60mm以下であることが好ましく、50mm以下であることがより好ましく、40mm以下であることがさらに好ましい。一方で、加熱処理前の最長辺の長さの下限としては、具材としての混合意義(見栄えや食感)の観点から、1.0mm以上が好ましく、中でも1.5mm以上がより好ましく、2.0mm以上がさらに好ましい。
[0024]
 さらに、具材の液状調味料中への均一分散性、液状調味料による搬送性の観点から、具材の加熱処理前後の吸水や脱水等による質量増加率の上限としては、通常10倍以下であればよく、9倍以下が好ましく、8倍以下がより好ましい。一方で、下限としては、具材としての混合意義(見栄えや食感)の観点から、通常0.5倍以上であればよく、0.7倍以上が好ましい。なお、加熱処理前後の具材の質量増加率とは、加熱処理前の具材の質量に対する加熱処理後の具材の質量の比率である。
[0025]
 液状調味料とは、一般的に液状調味料と呼ばれるものであれば、何ら制限されないが、例えば、シチューソース、カレーソース、パスタソース、中華ソース、スープソースなどが挙げられる。但し、充填時において、本開示の効果(具材の均一分散性及び具材の搬送性の向上)が奏される範囲の液性を有すればよい。
[0026]
 尚、液状調味料の具材含有液状調味料中における配合割合としては、上記具材の質量増加率を鑑み、最終的な製品が液状を保つ程度に適宜調整すればよい。具材の配合割合についても同様の考え方で適宜調整すればよい。
[0027]
 本実施形態における密閉容器とは、具材と液状調味料の充填後、ただちに蓋や包装容器がシールされ密閉可能な容器のことを指す。その後の処理において、加熱処理が必要なものはその温度に対する耐熱性を有するものであればよく、大きさや形状、資材の種類などは所望の目的に合わせて適宜選択すればよい。
[0028]
 本実施形態における酢酸としては、これを含有する食材を用いてもよい。具体的には、酢酸発酵物である食酢などが例示される。
[0029]
 尚、具材含有液状調味料中の酢酸の含量としては、本開示の効果の奏効の観点から、下限としては、0.05質量%以上であればよく、0.075質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。一方で、酢酸含量の上限としては、酸味や酸臭が液状調味料の所望の風味である場合には特に制限はないが、酸味や酸臭が所望の風味でない場合には、液状調味料の風味への影響の観点から、通常1.0質量%以下であればよく、0.75質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
[0030]
 本実施形態における水溶性多糖含有食材としては特に制限されるものではないが、食品添加物である増粘剤を含有するものでなく、天然に水溶性多糖を含有する食材であればよい。具体的な例としては、植物類としては、コンニャクイモ(Amorphophallus konjac)、ヤマイモ(ジネンジョ、ジネンジョウ、ヤマノイモ)(Dioscorea japonica)、ナガイモ類(ヤマトイモ、ツクネイモ)(D. opposita(D. polystachya))、ヤムイモ、キクイモ、タロイモ(サトイモ、エビイモ、エグイモ、カラノイモ、タケノコイモ、タイモ)、レンコン等のイモ類、オクラ、モロヘイヤ、ツルムラサキ、アシタバ、キンジソウ、ジュンサイ、オカワカメ、アロエベラ、サボテン類等の野菜類、ナメコ等のキノコ類、コンブ類(特にはトロロコンブ、ガゴメコンブ等)、ワカメ類(特にはメカブ等)、モズク、アカモク、クロメ、テングサ、オゴノリ等の藻類、ナットウ等の豆類加工品、ジャックフルーツ、ヤドリギ、サボテン類等の果実類や種実類が挙げられる。動物性食品類としては、カスピ海ヨーグルト、その他粘質発酵乳等の乳類加工品が挙げられる。また、これらの粉末、抽出物、精製物を用いることもできる。中でも、乾燥のしやすさの観点から、植物類が好ましく、さらには、夾雑成分の少なさから、イモ類、藻類が好ましく、特には、コンブ抽出物、コンニャクイモ粉、ナガイモ類粉末(特にヤマトイモ粉)が好ましい。但し、これらの中でも、本開示の効果の奏効の観点、及び、液状調味料の風味に影響を与えない観点から、コンニャクイモ粉が特に好ましい。なお、上記の水溶性多糖含有食材は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することもできる。なお、上記「ヤマトイモ」とは、ナガイモ(D. opposita(D. polystachya))の一種であり、ツクネイモと称することもある。
[0031]
 尚、加熱処理前の具材含有液状調味料に対する水溶性多糖含有食材の配合量としては、具材を液状調味料中に十分に均一に分散させ、かつ、長距離(例えば内径5cm、長さ10mの管を用いた)の搬送が可能であるという観点から、下限としては、0.02質量%以上であればよく、0.025質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましい。一方で上限としては、液状調味料に付与される粘稠性への影響の観点から、0.9質量%以下であればよく、0.75質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。
[0032]
 加熱処理前の具材含有液状調味料に対する水溶性多糖としての配合量は、上記と同様の観点から、下限としては、0.01質量%以上であればよく、0.0125質量%以上がより好ましく、0.025質量%以上がさらに好ましい。一方で上限としては、上記と同様の観点から、0.45質量%以下であればよく、0.375質量%以下がより好ましく、0.25質量%以下がさらに好ましい。
[0033]
 特に、水溶性多糖含有食材としてコンニャクイモ粉を用いる場合、水溶性多糖であるグルコマンナンの具材含有液状調味料全量に対する配合量は、下限としては、0.01質量%以上であればよく、0.0125質量%以上がより好ましく、0.025質量%以上がさらに好ましい。一方で上限としては、上記と同様の観点から、0.45質量%以下であればよく、0.375質量%以下がより好ましく、0.25質量%以下がさらに好ましい。
[0034]
 本実施形態において、液状調味料に使用される原料としては、前記具材及び水溶性多糖含有食材を除き、本開示の効果(具材の均一分散性及び具材の搬送性)が阻害されない範囲において、砂糖、塩、食酢、味噌、醤油などの基礎調味料や乳化剤、増粘剤、着色料、香料、保存料などの食品添加物、食用油脂、果汁などの他、一般に食品の製造に使用される食品原料を、所望の風味や物性に応じて適宜選択し、用いることができる。
[0035]
 本実施形態において、液状調味料の原料には、さらに、生でんぷんを含有してもよい。この場合、密閉容器への充填後、配合した生でんぷんの糊化温度以上の加熱処理を施すことで、増粘剤の添加では得られない、とろりとした好ましい粘性を付与することができる。尚、生でんぷんの起源原料やうるち系やもち系などの種類などは何ら制限されず、所望のとろみの物性を付与できるものを適宜選択すればよい。
[0036]
 この際の生でんぷんの配合量としては、具材含有液状調味料に強く好ましいとろみを付与する観点から、最終製品の液状調味料におけるB型粘度計(20℃)での測定粘度が、500mPa・s以上になるように生でんぷんの配合量を適宜調整すればよい。但し、生でんぷんを使用しない具材含有液状調味料においては上記粘度に限定されない。
[0037]
 尚、液状調味料の粘度測定方法としては、B型粘度計(例えば、東機産業社製の「B-II」など)によって測定できる。具体的には、液状調味料をB型粘度計の測定用容器に適量充填し、20℃に調整後、容器をB型粘度計にセットし、測定粘度に適合したローターを用いて適切な回転数で測定することで粘度を測定する。具体的には、東機産業社製の「B-II」を用いる場合は、ローターはNo.3もしくはNo.4を用い、回転数30rpmで測定する。
[0038]
 また、本実施形態においては、液状調味料に乳化作用を有する食材として、食品添加物としての乳化剤(例えばレシチンなど)や、乳化作用を有する食品(例えば卵黄や味噌など)を配合してもよく、さらには、食用油脂を配合してもよい。この場合、原料の混合・充填、その後の加熱処理工程において、食用油脂と水層が乳化混合され、食用油脂部に具材や原料由来の風味成分が抽出され、油層部への風味づけが可能となる。また、さらに加熱処理を進めることで、乳化作用を有する食材を壊し(乳化作用を消失させ)、その後の略常温への冷却、静置に伴って、具材含有液状調味料は油層部にも十分に風味づけがなされた(香味油化された)油水分離型の具材含有液状調味料とすることができる。このような油水分離型の調味料とすることを所望するのであれば、前記乳化作用を有する食材は、加熱処理により壊れやすいものを選択すればよく(例えば味噌など)、乳化状態を維持することを所望するのであれば耐熱性の乳化作用を有する食材を適宜選択すればよい(例えば大豆レシチン)。
[0039]
 本実施形態には、原料として乳化作用を有する食材と食用油脂とを含有し、最終製品の液性が油水分離型である、密閉容器入り具材含有液状調味料も含まれる。また、本実施形態には、原料として乳化作用を有する食材と食用油脂とを含有し、最終製品の液性が乳化型である、密閉容器入り具材含有液状調味料も含まれる。
[0040]
 本実施形態において、酢酸存在下での加熱処理は、水溶性多糖の部分的加水分解を引き起こし、水溶性多糖によって液状調味料に付与される特徴的な粘稠性を実質的に消失させるために行われる。したがって、具材含有液状調味料を密閉容器に充填した後の加熱処理温度としては、上記の効果を奏し、かつ、その好ましい風味や物性に影響を及ぼさなければ何ら制限されない。例えば、レトルト処理が可能な具材含有液状調味料と包装容器であれば、加熱処理温度を70℃以上130℃以下とすることができるが、レトルト処理が不能な具材含有液状調味料と包装容器であれば、70℃以上100℃未満とすることが好ましい。加熱処理時間は温度条件に応じて適宜調整すればよいが、例えば70℃以上100℃未満で加熱処理する場合は15分間以上60分間以下とすることができ、100℃以上130℃以下で加熱処理する場合は5分間以上20分間以下とすることができる。尚、本実施形態においては、酢酸を含有することから、その静菌作用が期待されること、具材や液状調味料に対する熱負荷による風味や物性の劣化が生じる虞の観点から、加熱処理温度は70℃以上100℃未満の低温殺菌が好ましく、加熱処理時間は15分間以上60分間以下が好ましい。
[0041]
 尚、加熱処理は、一液充填の前であっても、後であってもよく、加熱処理前後の所望する液性に合わせて適宜選択すればよい。
 また、充填後に加熱処理を行う場合は、加熱処理の前に容器を密閉してもよく、加熱処理の後に容器を密閉してもよい。
[0042]
 また、本実施形態における密閉容器入り具材含有液状調味料は、水溶性多糖含有食材を含有し、具材と液状調味料とを容器に一液充填できるが、水溶性多糖は前記課題で述べたように、喫食性や嗜好性を阻害する粘稠性の物性を液状調味料に付与してしまう。しかしながら、同時に配合される酢酸存在下での加熱処理による緩慢な水溶性多糖の部分的加水分解作用によって、水溶性多糖由来の特徴的で好ましくない粘稠性の物性を特異的に消失させることができるものと思われる。これによって、特殊な装置や煩雑な処理条件、特殊な原料を必要とせずに、具材や液状調味料の風味や物性を損なうことなく、通常の装置を用い、簡易な操作と一般的な原料で製造することができる、喫食性や嗜好性を阻害する水溶性多糖由来の粘稠性の物性が改善された、具材と液状調味料との一液充填式の密閉容器入り具材含有液状調味料及びその製造方法、物性の改善方法を提供できる。
[0043]
 尚、本実施形態においては、上述した、原料として生でんぷんを含有させ、加熱処理して好ましいとろみを生成させた態様においても、その好ましいとろみの物性に影響を及ぼすことなく、酢酸を配合しない場合にその粘性の一部に感じられる、水溶性多糖由来の特徴的で好ましくない粘稠性の物性のみを特異的に消失させ、好ましいとろみのみを液状調味料に付与することができる。
[0044]
 本開示の第二の実施形態は、具材と、酢酸と、水溶性多糖含有食材を混合した後、容器に一液充填し、密閉した後又はその前に、加熱処理し、略常温に冷却することからなる、具材と液状調味料との一液充填式の密閉容器入り具材含有液状調味料の製造方法に関する。その詳細は上記したとおりである。
 すなわち、本実施形態の製造方法は、混合工程、一液充填工程、加熱処理工程及び冷却工程を含む。
[0045]
 混合工程においては、具材と、酢酸と、水溶性多糖含有食材と、を混合し、具材と液状調味料との混合物を調製する。これにより、具材は液状調味料中に均一に分散され、液状調味料と共に搬送され、容器に一液充填可能となる。
 原料である具材、酢酸及び水溶性多糖含有食材については、上記したとおりである。また、これらの配合量については、上記した最終製品における含有量となるように適宜調整すればよい。
 上記原料を混合する手段については、特に限定されず、一般的な混合撹拌機能を備えたブレンダーなどを用いればよい。
[0046]
 一液充填工程においては、上記混合工程で得られた混合物を容器に一液充填する。
 一液充填とは、具材を液状調味料中に均一に分散させ、容器中に、一本の注入管を用いて一度の注入で充填を完了する充填方式を指す。すなわち、本工程において、具材は液状調味料中に均一に分散され、液状調味料とともに搬送され、容器に充填される。
 一液充填に用いられる装置としては、従来公知のものを用いても良いが、本実施形態においては水溶性多糖含有食材を含有することにより具材と液状調味料との均等充填性が向上しているため、従来の特殊な装置を用いることなく、一般的な混合撹拌槽と、当該混合撹拌槽に接続された注入管(内径1cm~10cm、長さ2m~20m)と、を備えた充填装置を用いることもできる。
 なお、容器については上記したとおりである。
[0047]
 加熱処理工程においては、上記一液充填工程において充填後の容器を密閉した後又はその前に、加熱処理を行う。あるいは、加熱処理前後の具材含有液状調味料の液性によっては、一液充填の前に加熱処理を行うこともできる。
 本工程において、酢酸存在下で加熱処理を行うことにより、水溶性多糖が特異的に部分的加水分解されるため、水溶性多糖由来の粘稠性が実質的に消失し、好ましい物性及び風味はそのまま維持することができる。
 加熱処理条件については上記したとおりである。また、容器を密閉する手段については特に限定されず、従来公知の方法で行えばよい。
[0048]
 冷却工程においては、上記加熱処理工程で得られた密閉容器入り具材含有液状調味料を略常温に冷却する。
 本工程において、冷却手段は特に限定されないが、例えば、密閉容器を室温下で放置して放冷する方法や、常温以下の水温の水中に密閉容器を漬けて冷却する方法などが挙げられる。
 なお、「略常温」とは15℃以上35℃以下を指す。
[0049]
 さらに本開示の第三の実施形態は、具材と、酢酸と、水溶性多糖含有食材と、を混合し、得られた混合物を容器に一液充填した後に、当該容器を密閉した後又はその前に、加熱処理し、次いで得られた密閉容器入り具材含有液状調味料を略常温に冷却することを特徴とする、密閉容器入り具材含有液状調味料における、具材含有液状調味料の物性改善方法に関する。その詳細については上記したとおりである。
[0050]
 本実施形態において、物性改善とは、容器毎の具材と液状調味料の均等充填性が向上し、かつ、液状調味料における水溶性多糖に由来する粘稠性が特異的に消失することを指す。ここで、「特異的に」とは、水溶性多糖に由来する粘稠性のみが実質的に消失するが、液状調味料が有する好ましい物性や風味は維持されることを意味する。上記の物性改善の原理については、上記したとおりである。
実施例
[0051]
[実験例1]具材の大きさに関する検討
 酢酸を含む醸造酢、水溶性多糖含有食材の代表としてコンニャクイモ粉を選択した。ここで、表1、2に示す大きさの異なる具材を組み合わせ、それらのブレンドタンク内での分散均一性や容器への均等充填性、具材の見栄えに対して具材の大きさが及ぼす影響について検討を行った。
[0052]
 具材、液状調味料の配合量は表1、2に示したとおりである。これらを60℃の温水を入れたブレンドタンク内に投入し、混合した(その後定量になるまで加水調整した)。その後、ブレンドタンク内での液状調味料中における具材の分散均一性を目視で確認、評価した。さらに、調製した具材含有液状調味料を、内径5cm、長さ10mの注入管を介して、透明の150mL容量のプラ容器20個に充填し、容器毎の具材と液状調味料の均等充填性、具材の見栄えについて目視で確認、評価した。
[0053]
 尚、各評価は、熟練した開発技術担当者5名によって、目視で観察し、以下の評価基準によって評点を付け、その平均値(小数点以下四捨五入)として示した。
[0054]
<評価項目1>ブレンドタンク内での具材と液状調味料の分散均一性。
5:各具材と液状調味料が均一に分散しており優れる。
4:各具材と液状調味料がほぼ均一に分散しておりやや優れる。
3:各具材と液状調味料の分散にわずかに不均一な部分があるが、許容範囲。
2:各具材と液状調味料の分散にやや不均一な部分がありやや劣る。
1:各具材と液状調味料の分散が明らかに不均一で劣る。
[0055]
<評価項目2>容器への充填後の具材と液状調味料の均等充填性
5:容器毎に具材と液状調味料が均等に充填されており優れる。
4:容器毎に具材と液状調味料がほぼ均等に充填されておりやや優れる。
3:容器毎の具材と液状調味料の均等性にわずかに差があるが許容範囲。
2:容器毎の具材と液状調味料の均等性にやや差がありやや劣る。
1:容器毎の具材と液状調味料の均等性に明らかに差があり劣る。
[0056]
<評価項目3>容器への充填後の具材の見栄え
5:具材含有液状調味料として、見栄えが良く優れる。
4:具材含有液状調味料として、やや見栄えが良くやや優れる。
3:具材含有液状調味料として、わずかに見栄えに劣るが許容範囲。
2:具材含有液状調味料として、やや見栄えが悪くやや劣る。
1:具材含有液状調味料として、明らかに見栄えが悪く劣る。
[0057]
<評価項目4>総合評価(大量生産時の具材と液状調味料の分散均一性、均等充填性、見栄え)
5:具材含有液状調味料の大量生産の点で問題はなく優れる。
4:具材含有液状調味料の大量生産の点でほぼ問題はなくやや優れる。
3:具材含有液状調味料の大量生産の点でわずかに問題はあるが許容範囲。
2:具材含有液状調味料の大量生産の点でやや問題がありやや劣る。
1:具材含有液状調味料の大量生産の点で明らかに問題があり劣る。
[0058]
 結果を表1、2に示す。
[0059]
[表1]


[0060]
[表2]


[0061]
 結果、具材の大きさが小さいもの同士であるほど、具材の見栄えの評点が低くなる傾向があったが、総合的に大きな問題は生じないことが分かった。逆に、具材の大きさが、小さいものと大きいものとが混在する場合、具材の液状調味料中への分散均一性、容器への均等充填性の評点が下がる傾向にあることが分かった。
[0062]
 具体的には、具材の大きさとしては、その最長片の下限としては1.0mm以上であればよいが、具材の見栄えの点で1.5mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましいことが分かった。一方、上限としては、80mm以下であればよいが、分散均一性、容器への均等充填性の観点から、60mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましく、40mm以下がさらに好ましいことが分かった。尚、最長辺とは、具材の立体構造中で最も長い距離を指す(例えば立方体状であれば対角線の長さ)。
[0063]
[実施例1]具材の加熱処理前後の質量増加率が具材含有液状調味料の製造に及ぼす影響の検討
 具材は、液状調味料中への混合及び加熱処理により、吸水又は脱水、膨潤又は収縮し、大きさや質量が変化する。これらの変化が具材含有液状調味料の製造に及ぼす影響を検討した。表3に示す、質量増加率の異なる具材を用いて具材含有液状調味料を実験例1と同様に調製した。さらに、容器を密閉した後、70℃で30分間加熱処理して、常温で放置することで、略常温(15~35℃)まで冷却した。評価は実験例1と同様に行った。
[0064]
 なお、具材の加熱処理前後の質量増加率とは、加熱処理前の具材の質量に対する加熱処理後の具材の質量の比率である。具体的には、予め各具材の加熱処理前の質量を測定し、それを上記と同様の条件で加熱処理した後に再び質量を測定し、当該加熱処理後の質量を当該加熱処理前の質量で除して質量増加率を求めた。
[0065]
[表3]


[0066]
 結果を表4に示す。
[0067]
[表4]


[0068]
 結果、質量増加率の異なる具材を用いて具材含有液状調味料を調製した場合において、問題となる事象は生じなかった。
[0069]
 具体的には、加熱処理前後の具材の質量増加率が、0.5倍以上であればよく、10倍以下であれば何ら問題は生じないものと思われた。
[0070]
[実施例2]具材含有液状調味料中の酢酸含量の範囲の検討
 ここでは、酢酸を含有する醸造酢を用い、表5に示す通り、酢酸の含有量を異にした具材含有液状調味料を調製した。調製は実施例1と同様に行った。
[0071]
 次いで、加熱処理後の具材含有液状調味料について、水溶性多糖由来の粘稠性、風味の違和感、について官能評価試験を行った。以下の評価基準によって評点を付け、その平均値(小数点以下四捨五入)として示した。尚、備考として官能検査員の見解をまとめたものを記した。詳細は後述する。
[0072]
<評価項目5>水溶性多糖由来の粘稠性
5:水溶性多糖由来の粘稠性は全く感じられず、優れる。
4:水溶性多糖由来の粘稠性はほぼ感じられず、やや優れる。
3:水溶性多糖由来の粘稠性がわずかに感じられるが許容範囲。
2:水溶性多糖由来の粘稠性がやや感じられ、やや劣る。
1:水溶性多糖由来の粘稠性が感じられ、劣る。
[0073]
<評価項目6>風味の違和感
5:酢酸由来の酸味や酸臭による風味の違和感を覚えず、優れる。
4:酢酸由来の酸味や酸臭による風味の違和感をほとんど覚えず、やや優れる。
3:酢酸由来の酸味や酸臭による風味の違和感をわずかに覚えるが許容範囲。
2:酢酸由来の酸味や酸臭による風味の違和感をやや覚え、やや劣る。
1:酢酸由来の酸味や酸臭による風味の違和感を覚え、劣る。
[0074]
<評価項目7>物性・風味の総合評価
5:具材含有液状調味料としての物性・風味に優れる。
4:具材含有液状調味料としての物性・風味にやや優れる。
3:具材含有液状調味料としての物性・風味にわずかに劣るが許容範囲。
2:具材含有液状調味料としての物性・風味にやや劣る。
1:具材含有液状調味料としての物性・風味に劣る。
[0075]
 尚、官能検査員としては、下記A)~C)の識別訓練を実施した上で、特に成績が優秀で、商品開発経験があり、食品の味や食感といった品質についての知識が豊富で、各官能検査項目に関して絶対評価を行うことが可能な検査員を選抜した。
[0076]
 A)五味(甘味:砂糖の味、酸味:酒石酸の味、旨み:グルタミン酸ナトリウムの味、塩味:塩化ナトリウムの味、苦味:カフェインの味)について、各成分の閾値に近い濃度の水溶液を各1つずつ作製し、これに蒸留水2つを加えた計7つのサンプルから、それぞれの味のサンプルを正確に識別する味質識別試験。
 B)濃度がわずかに異なる5種類の食塩水溶液、酢酸水溶液の濃度差を正確に識別する濃度差識別試験。
 C)メーカーA社醤油2つにメーカーB社醤油1つの計3つのサンプルからB社醤油を正確に識別する3点識別試験。
[0077]
 また、前記の何れの評価項目でも、事前に検査員全員で標準サンプルの評価を行い、評価基準の各スコアについて標準化を行った上で、10名によって客観性のある官能検査を行った。各評価項目の評価は、各項目の5段階の評点の中から、各検査員が自らの評価と最も近い数字をどれか一つ選択する方式で評価した。評価結果の集計は、10名のスコアの算術平均値から算出した。
[0078]
 結果を表5に示す。
[0079]
[表5]


[0080]
 結果、酢酸含量が0.025質量%の場合は、水溶性多糖由来の粘稠性が感じられ、総合的に劣るものであった。これに対して、酢酸含量が0.05質量%以上の場合には、水溶性多糖由来の粘稠性、酢酸由来の風味の違和感を覚えず、総合的に評価が優れるものであった。ただし、酢酸含量が0.75質量%以上の場合は、具材含有液状調味料の品質として、酢酸由来の酸味や酸臭が所望しない風味である場合は、それが風味の違和感として覚えられる傾向にあったが、酸味や酸臭が所望する品質である場合には、風味に問題を生じることはないと考えられた。
[0081]
 具体的には、酢酸含量の下限としては、0.05質量%以上であればよく、0.075質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましいことが分かった。一方で、上限としては、酸味や酸臭が液状調味料の所望の風味である場合には特に制限はないが、酸味や酸臭が所望の風味でない場合には、液状調味料の風味への影響の観点から、通常1.0質量%以下であればよく、0.75質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましいことが分かった。
[0082]
[実施例3]具材含有液状調味料中の水溶性多糖含量の範囲の検討
 ここでは、水溶性多糖含有食材の代表としてコンニャクイモ粉(グルコマンナン含量:47.5質量%)を用いて、表6に示すようにその含量を異にした具材含有液状調味料を、実施例1と同様に調製し、実験例1、実施例2と同様に評価を行った。尚、総合評価は実施例2の<評価項目7>物性・風味の総合評価に記載の評価基準に基づいて行った。
[0083]
 結果を表6に示す。
[0084]
[表6]


[0085]
 結果、水溶性多糖含有食材の含量が0.01質量%の場合には、液状調味料の粘稠性が弱すぎるためか容器への均等充填性に劣り、生産の観点から問題が生じることが分かった。一方で、1.0質量%の場合には、粘稠性が高すぎるためか、均一分散性、風味の評点がやや低く、水溶性多糖由来の粘稠性が明らかに感じられた。
[0086]
 具体的には、水溶性多糖含有食材の含量の下限としては、0.02質量%以上であればよく、0.025質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましいことが分かった。一方で、上限としては、0.9質量%以下であればよく、0.75質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましいことが分かった。また、水溶性多糖としての含量の下限としては、0.01質量%以上であればよく、0.0125質量%以上が好ましく、0.025質量%以上がより好ましいことが分かった。一方で、上限としては、0.45質量%以下であればよく、0.375質量%以下が好ましく、0.25質量%以下がより好ましいことが分かった。
[0087]
[実施例4]具材含有液状調味料に対して配合する水溶性多糖含有食材の種類の検討
 実施例1~3では水溶性多糖含有食材の代表としてコンニャクイモ粉を用いたが、その他の水溶性多糖含有食材による本開示の効果について検証した。
[0088]
 表7に示す各水溶性多糖含有食材や増粘剤としての水溶性多糖を用いて実施例1と同様に具材含有液状調味料を調製し、実験例1、実施例2と同様に、評価を行った。尚、総合評価は実施例2の<評価項目7>物性・風味の総合評価に記載の評価基準に基づいて行った。
 なお、コンブ抽出物としては、コンブの熱水抽出物粉末を用いた。また、ナガイモ類粉末としては、ナガイモの一種であるヤマトイモの粉末を用いた。
[0089]
 結果を表7に示す。
[0090]
[表7]


[0091]
 結果、コンニャクイモ粉以外の各水溶性多糖含有食材においても本開示の効果が奏されることが分かった。具体的には、コンニャクイモ粉、コンブ抽出物(水溶性多糖含量:85質量%)、ナガイモ類粉末(水溶性多糖含量:35質量%)のいずれにおいても具材含有液状調味料を調製でき、水溶性多糖由来の粘稠性や酢酸由来の風味の違和感はほとんど感じられなかった。中でも、本開示の効果の奏効の観点、液状調味料の風味に影響を与えない観点から、コンニャクイモ粉が特に好ましいことが分かった。一方で、食品添加物としての増粘剤である、キサンタンガム、ローカストビーンガム、加工澱粉では、加熱処理後においても水溶性多糖由来の粘稠性が残り、本開示の効果は奏されなかった。
[0092]
[実施例5]具材含有液状調味料の加熱処理温度の検討
 実施例1~4では、加熱処理温度の代表として、70℃を設定したが、ここでは、表8に示す各種温度にて加熱処理を行い、実施例1と同様に具材含有液状調味料を調製し、実験例1、実施例2と同様に、評価を行った。尚、評価項目として次の一項目を追加した。また、110℃以上の加熱処理条件においては、容器としてレトルトパウチを用い、各温度でレトルト加熱処理を行った。尚、総合評価は次の<評価項目9>調味液の物性・風味、具材の物性の総合評価に記載の評価基準に基づいて行った。
[0093]
<評価項目8>加熱処理前後の具材の物性
5:具材の軟化の程度は所望の品質範囲内で優れる。
4:具材の軟化の程度はほぼ所望の品質範囲内でやや優れる。
3:具材の軟化の程度がわずかに進んでいるが許容範囲。
2:具材の軟化の程度がやや進んでおり、やや劣る。
1:具材の軟化の程度が進み過ぎており、劣る。
[0094]
<評価項目9>調味液の物性・風味、具材の物性の総合評価
5:具材含有液状調味料としての物性・風味に優れる。
4:具材含有液状調味料としての物性・風味にやや優れる。
3:具材含有液状調味料としての物性・風味にわずかに劣るが許容範囲。
2:具材含有液状調味料としての物性・風味にやや劣る。
1:具材含有液状調味料としての物性・風味に劣る。
[0095]
 結果を表8に示す。
[0096]
[表8]


[0097]
 結果、70℃から130℃の加熱処理において、問題なく密閉容器入り具材含有液状調味料が調製できることが分かった。但し、加熱処理温度が110℃以上のレトルト加熱処理においては、酸味や酸臭以外の風味への影響として、レトルト臭の付与が確認されるとともに、具材の軟化が進む傾向にあることが認められた。なお、110℃以上の加圧状態での加熱処理の場合、処理時間を短縮しても具材の軟化の程度は小さくなるものの、具材が軟化する傾向は依然として認められた。
[0098]
 具体的には、本開示の密閉容器入り具材含有液状調味料の加熱処理温度としては、その上限として、130℃以下であればよいが、100℃未満であることがより好ましいことが分かった。一方、その下限としては通常70℃以上であればよいことが分かった。
[0099]
[実施例6] 具材含有液状調味料の加熱処理時間の検討
[0100]
 ここでは、表9に示す温度にて各種時間での加熱処理を行い、実施例5と同様に具材含有液状調味料を調製し、実験例1、実施例2、5と同様に、評価を行った。尚、総合評価は実施例5の<評価項目9>調味液の物性・風味、具材の物性の総合評価に記載の評価基準に基づいて行った。
[0101]
 結果を表9に示す。
[0102]
[表9]


[0103]
 結果、95℃における、5分間以上60分間以下の加熱処理において、問題なく密閉容器入り具材含有液状調味料が調製できることが分かった。
[0104]
[実施例7]各種具材含有液状調味料の調製の検証
 ここでは、実験例1、実施例1~6で得られた知見をもとに、表10、表11(表11-1、表11-2)に示す各種具材、各種原料を用いて異なる風味、異なる液性の調味料を調製して本開示の効果が汎用的に適用できるか否かを検証した。加熱処理条件を95℃、30分間としたこと以外は実施例1と同様に具材含有液状調味料を調製し、実験例1、実施例2、5と同様に、評価を行った。また、加熱処理前後の液状調味料の液性について、目視で確認した。尚、各種調味料において、酢酸を含有しない比較例を調製し、これを対照として評価を行った。尚、総合評価は実施例5の<評価項目9>調味液の物性・風味、具材の物性の総合評価に記載の評価基準に基づいて行った。
[0105]
 尚、加熱処理後の粘度測定値は、B型粘度計(東機産業社製の「B-II」)によって測定した。具体的には、加熱処理後の液状調味料をB型粘度計の測定用容器に適量充填し、20℃に調整後、容器をB型粘度計にセットし、測定粘度に適合したローターを用いて適切な回転数で測定することで粘度を測定した。具体的には、ローターはNo.3を用い、回転数30rpmで測定した。
[0106]
[表10]


[0107]
 結果を表11(表11-1、表11-2)に示す。
[0108]
[表11-1]


[0109]
[表11-2]


[0110]
 結果、大きく4種のタイプ((i)生でんぷんを用いない一液タイプ、(ii)生でんぷんを用いて粘性を付与した一液タイプ、(iii)生でんぷんを用いて粘性を付与し、食用油脂を用いる、加熱前一液で加熱後二液のタイプ、(iv)生でんぷんを用いて粘性を付与し、食用油脂を用いる、加熱前後とも二液のタイプ)ともに、酢酸を使用しない場合(各比較例)は、品質において、水溶性多糖由来の粘稠性が目立ち、それ以外の評価基準での評点は高いものの、これがネックとなり、総合的な評価は著しく低下した。これに対して、酢酸と水溶性多糖含有食材を併用した場合(各試験例)は、水溶性多糖由来の粘稠性が完全に消失しており、総合的にも高い品質であることが確認された。

産業上の利用可能性

[0111]
 本開示の加熱処理済み密閉容器入り具材含有液状調味料及びその製造方法、物性の改善方法は、前述の特殊な装置や煩雑な処理条件、特殊な原料を必要とせずに、具材や液状調味料の風味や物性を損なうことなく、通常の装置を用い、簡易な操作と一般的な原料で製造することができること、喫食性や嗜好性を阻害する水溶性多糖由来の粘稠性の物性が改善できる効果において、食品分野での応用が期待される。

関連出願の相互参照

[0112]
 本出願は、2019年1月30日に日本国特許庁に出願された特願2019-014312に基づいて優先権を主張し、その全ての開示は完全に本明細書で参照により組み込まれる。

請求の範囲

[請求項1]
 具材と液状調味料との一液充填式の密閉容器入り具材含有液状調味料であって、酢酸と、水溶性多糖含有食材と、を含有し、加熱処理済みであることを特徴とする具材含有液状調味料。
[請求項2]
 加熱処理前の具材の最長辺の長さが1.0mm以上80mm以下であって、加熱処理前後の具材の質量増加率が0.5倍以上10倍以下である、請求項1に記載の具材含有液状調味料。
[請求項3]
 酢酸の含有量が、具材含有液状調味料全量に対して、0.05質量%以上である、請求項1又は2に記載の具材含有液状調味料。
[請求項4]
 加熱処理前の水溶性多糖含有食材由来の水溶性多糖の配合量が、具材含有液状調味料全量に対して、0.01質量%以上0.45質量%以下である、請求項1~3のいずれかに記載の具材含有液状調味料。
[請求項5]
 水溶性多糖含有食材がコンニャクイモ粉、コンブ抽出物、ナガイモ類粉末から選ばれる1種以上である、請求項1~4のいずれかに記載の具材含有液状調味料。
[請求項6]
 加熱処理温度が70℃以上100℃未満であり、加熱処理時間が5分間以上~60分間以下である、請求項1~5のいずれかに記載の具材含有液状調味料。
[請求項7]
 原料として生でんぷんを含有し、最終製品における粘度(B型粘度計、20℃)が500mPa・s以上である、請求項1~6のいずれかに記載の具材含有液状調味料。
[請求項8]
 原料として乳化作用を有する食材と食用油脂とを含有し、最終製品の液性が油水分離型である、請求項1~7のいずれかに記載の具材含有液状調味料。
[請求項9]
 具材と、酢酸と、水溶性多糖含有食材と、を混合する工程;
 上記工程で得られた混合物を容器に一液充填する工程;
 当該容器を密閉した後又はその前に、加熱処理する工程;及び、
 上記工程で得られた密閉容器入り具材含有液状調味料を略常温に冷却する工程;からなる、具材と液状調味料との一液充填式の密閉容器入り具材含有液状調味料の製造方法。
[請求項10]
 具材と液状調味料との一液充填式の密閉容器入り具材含有液状調味料の物性改善方法において、具材と、酢酸と、水溶性多糖含有食材と、を混合し、得られた混合物を容器に一液充填した後に、当該容器を密閉した後又はその前に、加熱処理し、次いで得られた密閉容器入り具材含有液状調味料を略常温に冷却することを特徴とする、具材含有液状調味料の物性改善方法。
[請求項11]
 前記物性改善方法により、容器毎の具材と液状調味料の均等充填性が向上し、かつ、液状調味料における水溶性多糖に由来する粘稠性が特異的に消失することを特徴とする、請求項10に記載の具材含有液状調味料の物性改善方法。