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1. (WO2010086933) PROCÉDÉ DE SOUDAGE À L'ARC PAR IMPULSIONS EN COURANT ALTERNATIF
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明 細 書

発明の名称 交流パルスアーク溶接方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

0006   0007   0008   0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071  

産業上の利用可能性

0072  

符号の説明

0073  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

補正された請求の範囲(条約第19条)

1   2   3   4   5  *   6   7  

図面

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : 交流パルスアーク溶接方法

技術分野

[0001]
 本発明は、消耗電極であるワイヤを溶接対象物である母材に向けて送給し、ワイヤと母材との間に電流を供給し、ワイヤがプラス極性の逆極性期間とワイヤがマイナス極性の正極性期間とを交互に繰り返して溶接を行う交流パルスアーク溶接方法に関する。

背景技術

[0002]
 交流パルスアーク溶接方法は、設定したワイヤ送給速度でワイヤを母材に向けて定速供給し、ワイヤと母材との間に、正極性電流と逆極性パルス電流と、を交互に供給して溶接を行う方法である。ここで、正極性電流は、ワイヤがマイナス極性である正極性期間にワイヤを溶融させてワイヤ先端に溶滴を形成させるために流す電流である。また、逆極性パルス電流は、ワイヤがプラス極性である逆極性期間にパルス電流を供給してワイヤ先端の溶滴を母材に移行させるために流す電流である。このような交流パルスアーク溶接方法としては、例えば、アークを安定させるために、ワイヤおよびシールドガス等の条件に応じて逆極性期間におけるピーク電流通電期間とピーク電流値を設定するものが知られている。、また、ワイヤ送給速度に応じて交流周波数と正極性電流値とを一元的に設定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
[0003]
 従来の交流パルスアーク溶接方法では、ワイヤ送給速度に応じて正極性電流値と正極性期間とが一元的に定められる。そのため、逆極性期間と正極性期間との通電比率を任意に変更できず、溶込深さを制御可能な消耗電極式交流パルス溶接の特長を活かすことができなかった。
[0004]
 また、このような課題に対応するために、極性比率や逆極性期間の電流等の各パラメータや正極性期間の電流等の各パラメータを個別に設定可能とした溶接装置も考えられる。しかしながら、このような溶接装置において、極性比率を変更した場合、極性比率以外の各パラメータを別途個別に調整しなければ適正な溶接を行うことができず、適正な溶接条件を見つけるまでに莫大な時間を要してしまうという新たな課題が生じる。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開平1-186279号公報

発明の概要

[0006]
 本発明は、上記従来の課題を解決するもので、1パルス1ドロップの規則正しい溶滴移行を実現してスパッタの発生を抑制した溶接を行い、かつ、逆極性期間と正極性期間との合計期間に対する正極性期間の比率である極性比率を任意に変更できる。これにより、本発明は、母材への入熱を制御して溶け込み深さを調整でき、溶接条件を容易に設定できる交流パルスアーク溶接方法を提供する。
[0007]
 本発明の交流パルスアーク溶接方法は、ピーク電流とベース電流からなる逆極性電流を通電する逆極性期間と、正極性電流を通電する正極性期間と、を交互に繰り返して溶接を行う交流パルスアーク溶接方法であって、ワイヤ送給速度を設定するステップと、上記逆極性期間と上記正極性期間との合計期間に対する上記正極性期間の比率である極性比率を設定するステップと、設定された上記ワイヤ送給速度と設定された上記極性比率とから交流パルス溶接の交流周波数を設定するステップと、を有し、上記ワイヤ送給速度は変更せずに上記極性比率を変更すると上記交流周波数が変更し、上記逆極性期間におけるベース電流期間を変更することで上記交流周波数を変更して溶接する方法からなる。
[0008]
 この方法により、極性比率の増減により正極性期間におけるワイヤの溶融速度が増減してしまうことによるアーク長の変動を回避する。これにより、交流溶接パルス周波数(以下、「交流周波数」とする)を変化させることにより平均熱量を変化させ、ワイヤ溶融速度とワイヤ送給速度とをバランスさせてアーク長を適正長さに保つことができる。
[0009]
 従って、極性比率を増減して母材への入熱、すなわち溶込深さを任意に調整可能としつつ、良好な溶接を実現することができる。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 図1は、本発明の実施の形態1における溶接装置の概略構成を示す図である。
[図2] 図2は、本発明の実施の形態1における交流パルス波形の一例を示す図である。
[図3] 図3は、本発明の実施の形態1におけるワイヤ送給速度と交流周波数の関係を、極性比率をパラメータとして示す図である。
[図4] 図4は、本発明の実施の形態2における溶接装置の概略構成を示す図である。
[図5] 図5は、本発明の実施の形態2におけるワイヤ送給速度と溶接電流の電流積分値の関係を示す図である。

発明を実施するための形態

[0011]
 以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同じ構成要素については同じ符号を付しているので説明を省略する場合がある。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
[0012]
 (実施の形態1)
 図1は、本発明の実施の形態1における溶接装置の概略構成を示す図である。図2は、本発明の実施の形態1における交流パルス波形の一例を示す図である。図3は、本発明の実施の形態1におけるワイヤ送給速度と交流周波数の関係を、極性比率をパラメータとして示す図である。
[0013]
 図1の溶接装置において、入力した三相交流電源1からの電力を1次整流器2により全波整流し、平滑用コンデンサ3により平滑して直流電圧にする。1次インバータ回路4は平滑された直流電圧を入力し、スイッチング動作により交流を発生させて溶接用トランス5の一次側に出力する。溶接用トランス5は、2次側に接続された2次整流器6に交流出力を出力する。2次整流器6は溶接用トランス5の出力を入力して全波整流し、2次整流器6の出力は直流リアクタ7により電流リップルが抑制され、直流出力となる。直流リアクタ7の直流出力を2次インバータ回路8により交流パルス溶接に必要な交流出力に変換し、プラス側出力をワイヤ10に、マイナス側出力を母材12に出力し、交流パルスアーク溶接を行う。
[0014]
 次に、本実施の形態の溶接装置における溶接出力の設定について説明する。溶接装置の使用者が、溶接電流設定器13を操作することにより所定の大きさの溶接電流が設定されると、設定された溶接電流の大きさに対応したワイヤ送給速度がワイヤ送給速度設定器14により一元的に設定される。なお、ワイヤ送給速度設定器14には、溶接電流の大きさとワイヤ送給速度との組み合わせを複数記憶しており、溶接電流の大きさに基づいてワイヤ送給速度を決定するものである。そして、ワイヤ送給速度設定器14からの信号に基づいてワイヤ送給用モータ11が駆動することにより、溶接用トーチ9に保持されたワイヤ10が、設定されたワイヤ送給速度で母材12に向けて定速送給される。
[0015]
 また、設定された溶接電流の大きさに基づいてワイヤ送給速度を設定する。このワイヤ送給速度に基づき、一元的に、交流パルス波形を構成する各種パルスパラメータが設定される。ここで、パルスパラメータは、図2に示すように逆極性期間Tepにおけるピーク電流値Ip、ベース電流値Ib、ピーク電流期間Tp、正極性期間Tenおよび正極性期間Tenにおける正極性電流値Ienなどである。
[0016]
 これらの各種パルスパラメータは、ワイヤ送給速度に対応付けられてパルスパラメータ設定器15にテーブルとして複数記憶されている。そして、各種パルスパラメータは、設定されたワイヤ送給速度に基づいてパルスパラメータ設定器15で選択され、1次インバータ回路4に出力されるものである。そして、溶接出力が、これら各種パルスパラメータと整合するように1次インバータ回路4が制御され、交流パルスアーク溶接に必要な溶接出力を得ることができる。なお、図2は、各種パルスパラメータを含む交流パルス波形の一例を示す。
[0017]
 また、溶接装置の使用者が極性比率設定器16を操作することにより極性比率が設定される。設定された極性比率と設定されたワイヤ送給速度とから、交流周波数設定器17により交流溶接の交流周波数が一元的に決定されて設定される。なお、交流周波数の設定は、ワイヤ送給速度と極性比率とにより決まる交流周波数に関する計算式を予め交流周波数設定器17に記憶させておき、設定されたワイヤ送給速度と設定された極性比率とから、交流周波数設定器17において交流周波数が算出されて設定される。
[0018]
 図3は、交流周波数、ワイヤ送給速度および極性比率の関係を示す。図3に示すように、極性比率をパラメータとして、交流周波数はワイヤ送給速度に対して線形的に増加する傾向にあることを実験的に見出している。また、極性比率、すなわち正極性比率(以下、「EN比率」とする)が増加するに従って交流周波数は低下する傾向にあり、これらの関係に基づいてワイヤ送給速度とEN比率とから交流周波数を求める計算式を決定している。なお、計算式ではなく、ワイヤ送給速度、EN比率および交流周波数の組み合わせを複数有するテーブルを交流周波数設定器17に記憶させておき、ワイヤ送給速度とEN比率に基づいて交流周波数を決定するようにしてもよい。
[0019]
 そして、EN比率と交流周波数が2次インバータ回路8に出力され、2次インバータ回路8が動作することにより、ワイヤ10と母材12との間に印加される溶接出力が、設定された交流パルス波形となるように制御される。
[0020]
 なお、ワイヤ送給速度は変更せずにEN比率を変更すると交流周波数が変更される。しかしながら、ワイヤ送給速度に対応付けられた図2に示すような交流パルス波形の逆極性期間Tepにおけるピーク電流値Ip、ベース電流値Ib、ピーク電流期間Tp、正極性期間Tenおよび正極性期間Tenにおける正極性電流値Ienは変わらない。そして、EN比率の変更に応じて逆極性期間Tepにおけるベース電流が流れている期間であるベース電流期間Tbを増減することで交流周波数を変えるものである。
[0021]
 ここで、ワイヤ10を使用した消耗電極式の交流パルスアーク溶接の場合、冷陰極となり熱輸送は陽イオンに支配されることが一般的に知られており、入熱は陰極側で高くなる。故に、本実施の形態1における消耗電極式交流パルスアーク溶接の場合、逆極性期間では母材12が陰極側となるので母材12への入熱が高くなる。一方、正極性期間ではワイヤ10が陰極側となるのでワイヤ10への入熱が高くなる。
[0022]
 従って、ワイヤ送給速度を変更せずにEN比率を変更した場合、ワイヤ送給速度がEN比率に関わらず一定であるため、EN比率を高めると、母材12への入熱が低減される代わりに、ワイヤ10への入熱量が増加する。このためワイヤ10の溶融速度が増加し、溶接現象としてはワイヤ10が燃え上がることになり、アーク長が長くなる。この場合には、交流周波数を低減して単位時間あたりの平均熱量を低減することによりワイヤ溶融速度が低下する。これにより、ワイヤ送給速度とワイヤ溶融速度とをつりあわせることが可能となり、適切なアーク長を実現することができる。
[0023]
 一方、EN比率を低くして逆極性比率(以下、「EP比率」(=1-(EN比率))とする)を高めると、母材12への入熱が増加する代わりに、ワイヤ10への入熱量が減少する。そのため、ワイヤ10の溶融速度が減少してアーク長が短くなり、溶接現象としてはワイヤ10が母材12に突っ込んで、短絡が増加することになる。この場合には、交流周波数を増加して単位時間あたりの平均熱量を増加させることによりワイヤ溶融速度が増加する。これにより、ワイヤ送給速度とワイヤ溶融速度とをつりあわせることが可能となり、適切なアーク長を実現することができる。
[0024]
 なお、交流周波数は、上述したように、設定されたワイヤ送給速度と設定されたEN比率とに基づいて交流周波数設定器17で決定されるものである。
[0025]
 以上のように、母材12の溶け込みを調整するために行うEN比率の増減により、正極性期間におけるワイヤの溶融速度が増減してしまうことによるアーク長の変動を回避する。そのため、EN比率に応じて交流溶接の交流周波数を変化させることにより、ワイヤ10に与えられる平均熱量を変化させる。これにより、本実施の形態1の交流パルスアーク溶接方法は、ワイヤ溶融速度とワイヤ送給速度とをバランスさせてアーク長を適正長さに保つことができる。
[0026]
 従って、EN比率を増減して母材への入熱、すなわち溶込深さを任意に調整可能としつつ、良好な溶接を実現することができる。
[0027]
 また、本実施の形態1の交流パルスアーク溶接方法によれば、EN比率を変えると交流周波数が自動的に設定される。そして、ワイヤ送給速度を変えずにEN比率を変えても逆極性期間におけるピーク電流値、ベース電流値、ピーク電流期間、正極性期間および正極性期間における正極性電流は変わらない。
[0028]
 従って、EN比率を変更した場合、EN比率以外の各パラメータを溶接装置の操作者が別途個別に調整する必要がなく、適正な溶接条件の設定を容易に行うことができる。
[0029]
 すなわち、本実施の形態1の交流パルスアーク溶接方法は、ピーク電流とベース電流からなる逆極性電流を通電する逆極性期間と、正極性電流を通電する正極性期間と、を交互に繰り返して溶接を行う交流パルスアーク溶接方法である。そして、本交流パルスアーク溶接方法は、ワイヤ送給速度を設定するステップと、極性比率を設定するステップと、交流パルス溶接の交流周波数を設定するステップと、を有している。そして、ワイヤ送給速度は変更せずに極性比率を変更すると交流周波数が変更し、逆極性期間におけるベース電流期間を変更することで交流周波数を変更して溶接する交流パルスアーク溶接方法である。ここで、極性比率を設定するステップは、逆極性期間と正極性期間との合計期間に対する前記正極性期間の比率を設定する。また、交流周波数を設定するステップは、設定されたワイヤ送給速度と設定された極性比率とから交流パルス溶接の交流周波数を設定する。
[0030]
 この方法により、極性比率の増減により正極性期間におけるワイヤの溶融速度が増減してしまうことによるアーク長の変動を回避する。これにより、交流周波数を変化させることにより平均熱量を変化させ、ワイヤ溶融速度とワイヤ送給速度とをバランスさせてアーク長を適正長さに保つことができる。
[0031]
 また、本発明の交流パルスアーク溶接方法は、設定された極性比率と設定された交流周波数とから正極性期間における正極性電流値を設定するステップをさらに有し、ワイヤ送給速度は変更せずに極性比率を変更すると、交流周波数と正極性電流値とを変更して溶接する方法としてもよい。
[0032]
 この方法により、極性比率を増減して母材への入熱、すなわち溶込深さを任意に調整可能としつつ、良好な溶接を実現することができる。
[0033]
 また、本発明の交流パルスアーク溶接方法は、ワイヤ送給速度は変更せずに極性比率を変更すると、逆極性期間におけるピーク電流期間、ピーク電流値、ベース電流値および正極性期間は変更せずに、交流周波数と正極性電流値を変更して溶接する方法としてもよい。
[0034]
 この方法により、極性比率を増減して母材への入熱、すなわち溶込深さを任意に調整可能としつつ、良好な溶接を実現することができる。さらには、交流周波数の調整に加えて、1パルスで1つの溶滴を離脱させる1ドロップの溶接を規則正しく行うために必要な正極性電流を設定することができる。これにより、アーク長を安定化でき、スパッタ発生を抑制した美麗なビードを得る良好な溶接が可能となる。
[0035]
 また、逆極性期間におけるベース電流期間を変更することで交流周波数を変更して溶接する方法としてもよい。
[0036]
 この方法により、極性比率を増減して母材への入熱、すなわち溶込深さを任意に調整可能としつつ、良好な溶接を実現することができる。
[0037]
 (実施の形態2)
 図4は、本発明の実施の形態2における溶接装置の概略構成を示す図である。図5は、本発明の実施の形態2におけるワイヤ送給速度と溶接電流の電流積分値の関係を示す図である。
[0038]
 図4に示す溶接装置に関し、実施の形態1において図1を用いて説明した溶接装置と異なる主な点は、正極性電流設定器18を設けた点であり、EN比率の変更に応じて正極性期間における正極性電流値を変更するようにした点である。
[0039]
 以下に、本実施の形態2における溶接出力の設定について、主に実施の形態1と異なる点を説明する。
[0040]
 実施の形態1と同様に本実施の形態2においても、EN比率に応じて交流周波数を変更した場合、アーク長は略一定に保たれる。
[0041]
 しかし、交流周波数は、図2に示す逆極性期間Tepにおけるベース電流期間Tbを増減することで変更されるので、EN比率を変えることにより逆極性期間Tepが増減する。そして、1パルスでワイヤ10に印加できる熱量が増減するため、1パルスで1ドロップの適正で規則正しいワイヤ10からの溶滴離脱を確保できない場合が生じることがある。
[0042]
 このように、交流周波数を制御すると、マクロ的にはアーク長が一定に保たれるものの、溶接条件によっては、ワイヤ10への入熱過多もしくはワイヤ10への入熱不足となる場合がある。従って、理想の1パルス1ドロップとはならず、複数パルス1ドロップや、スパッタが発生するためパルス溶接では発生してはいけない大きな短絡現象が発生することがある。そして、アークが不安定となり、溶接ビード周辺の際の揃いや、スマット(アルミニウム酸化物)の発生等も生じる場合がある。
[0043]
 従って、1パルスで必要な熱量をワイヤ10に印加できるように熱量を調整する必要がある。そして、1パルス1ドロップに適正な熱量となるように正極性電流値を調整することで、次のパルスの印加で離脱するためのワイヤ10に対する予熱効果を適正化することができる。
[0044]
 そこで、本実施の形態2では、極性比率設定器16で設定されたEN比率と、交流周波数設定器17で設定された交流周波数を正極性電流設定器18に入力し、正極性電流設定器18により適正な正極性電流値(Ien)を決定して設定する。そして、正極性電流設定器18で設定された正極性電流値(Ien)をパルスパラメータ設定器15に入力し、交流出力に必要な制御を1次インバータ回路4にて行う。
[0045]
 なお、正極性電流値(Ien)の決定は、EN比率、交流周波数および正極性電流値(Ien)の関係を表す後述する計算式を、予め正極性電流設定器18に記憶させておく。この設定されたEN比率と設定された交流周波数から正極性電流値(Ien)が算出されて設定される。なお、計算式ではなく、EN比率、交流周波数および正極性電流値(Ien)との組み合わせを複数有するテーブルを正極性電流設定器18に記憶させておき、EN比率と交流周波数に基づいて正極性電流値(Ien)を決定するようにしてもよい。
[0046]
 次に、正極性電流値(Ien)の設定について説明する。極性比率設定器16により正極性比率、すなわちEN比率を増加した場合、交流周波数設定器17において交流周波数は減少する。そして、正極性期間での溶接電流積分値Qは増加することとなる。これにより、1パルス1ドロップを実現するためにはワイヤ10の溶融量を低減することが必要となり、正極性電流設定器18において、正極性電流値(Ien)は、EN比率を増加する前と比べて低減した値が選択されて設定される。
[0047]
 一方、極性比率設定器16によりEN比率を減少した場合、交流周波数設定器17において交流周波数は増加する。そのため、正極性期間での溶接電流積分値Qは減少することとなる。そして、1パルス1ドロップを実現するためには溶融量を増加することが必要となり、正極性電流設定器18において、正極性電流値(Ien)は、EN比率を減少する前と比べて増加した値が選択されて設定される。
[0048]
 このように、EN比率を増加すると、増加する前と比べて正極性電流を減少させ、EN比率を減少すると、減少する前と比べて正極性電流を増加させる。このことにより、EN比率が変更された場合でも、適正アーク長を維持し、かつ、規則正しい1パルス1ドロップの溶滴離脱を実現することができる。
[0049]
 次に、正極性電流値(Ien)の算出について説明する。ワイヤ10を溶融してアーク長を一定にするための熱量である1秒間での溶接電流積分値Qと、ワイヤ送給速度WFとの関係は、図5に示すように線形増加することを実験的に見出した。
[0050]
 そして、溶接電流積分値Qは、次式で表すことができる。
[0051]
[数1]


[0052]
 式(1)において、Qは1秒間の溶接電流積分値を示しており、これは、逆極性期間(Tep)における溶接電流積分値と正極性期間(Ten)における溶接電流積分値とを加算したものを周波数倍したものである。ここで、fは交流周波数を表している。
[0053]
 なお、実施の形態1でも示したように、ワイヤ10を使用した消耗電極式の交流パルスアーク溶接の場合、冷陰極となり熱輸送は陽イオンに支配されることが一般的に知られており、入熱は陰極側で高くなる。故に、本実施の形態2における消耗電極式交流パルスアーク溶接の場合、逆極性期間では母材12が陰極側となるので母材12への入熱が高くなり、一方、正極性期間ではワイヤ10が陰極側となるのでワイヤ10への入熱が高くなる。
[0054]
 このように、正極性期間ではワイヤへの入熱が、逆極性期間でのワイヤへの入熱よりも高くなることがわかっている。従って、正極性期間(Ten)での電流積分値に対しては係数α倍することとしてQを算出している。ここでαは、ワイヤ10の材質やワイヤ径を考慮して、1<α<10程度の係数とすることが好ましい。
[0055]
 溶接装置の使用者が溶接電流設定器13を操作することにより溶接電流が設定されると、設定された溶接電流に対応したワイヤ送給速度がワイヤ送給速度設定器14により一元的に設定される。
[0056]
 設定された溶接電流に基づいて設定されたワイヤ送給速度に基づき、一元的に、逆極性期間におけるピーク電流値、ベース電流値、ピーク電流期間および正極性期間などの交流波形を構成する各種パルスパラメータが設定される。これら各種パルスパラメータは、ワイヤ送給速度に対応付けられてパルスパラメータ設定器15にテーブルとして複数記憶されており、設定されたワイヤ送給速度に基づいてパルスパラメータ設定器15で選択される。
[0057]
 また、溶接装置の使用者が極性比率設定器16を操作することによりEN比率が設定され、実施の形態1と同様に本実施の形態2においても、設定されたEN比率と設定されたワイヤ送給速度とから、交流周波数設定器17により交流溶接の交流周波数が一元的に決定されて設定される。
[0058]
 そして、上記の各種パルスパラメータと交流周波数とから、式(1)に基づいて正極性期間における正極性電流値を求めることができる。
[0059]
 より具体的には、溶接電流積分値Qを交流周波数で除すことにより交流パルス波形1サイクルあたりに必要な熱量Q1が求められる。そして、逆極性期間におけるピーク電流値、ベース電流値、ピーク電流期間およびベース電流期間とから求めることができる逆極性期間の熱量Qepを熱量Q1から減じる。このことにより、正極性期間の熱量Qenを求めることができる。そして、この熱量Qenを係数αで除して、さらに正極性期間で除すことにより正極性電流値を求めることができる。
[0060]
 なお、上述の計算は、上述の手順に従って正極性電流設定器18において行われる。
[0061]
 以上のように、本実施の形態2によれば、ワイヤ送給速度を変えずにEN比率を変更すると、逆極性期間におけるピーク電流値、ベース電流値、ピーク電流期間および正極性期間といったパルスパラメータは変わらないが、EN比率に応じて交流周波数と正極性電流は変わるものである。
[0062]
 これにより、本実施の形態2においても、実施の形態1と同様の効果を実現することができる。さらに、EN比率の変更に応じて正極性電流を変更するので、適正アーク長を維持し、かつ、規則正しい1パルス1ドロップの溶滴離脱を実現することができ、良好な溶接結果を得ることができる。
[0063]
 なお、図5に示すように、溶接電流積分値Qとワイヤ送給速度とは線形増加する関係にあることを実験的に見出した。さらに、アルミニウムでの交流パルスMIG溶接の一例ではあるが、ワイヤ径が大きいワイヤほど溶接電流積分値Qが大きくなり、ワイヤ径が小さいワイヤほど溶接電流積分値Qが小さくなることも確認している。
[0064]
 具体的には、図5に示すように、ワイヤ送給速度が同じときに、ワイヤ径が、φ1.6mmのワイヤの方が、φ1.2mmのワイヤよりも溶接電流積分値Qが大きい。逆に、ワイヤ径が、φ1.0mmのワイヤの方が、φ1.2mmのワイヤよりも溶接電流積分値Qが小さいことを実験的に確認している。
[0065]
 すなわち、本発明の交流パルスアーク溶接方法は、ワイヤ送給速度は変更せずにEN比率を変更する場合、変更前に比べてEN比率が大きくなり正極性期間の比率が大きくなる場合には交流周波数を低くし、変更前に比べてEN比率が小さくなり正極性期間の比率が小さくなる場合には交流周波数を高くして溶接する方法としてもよい。
[0066]
 この方法により、EN比率の変更に応じて一元的に交流溶接の交流周波数や正極性電流を求めるものであり、パルスパラメータを自動設定することができるので、溶接条件の設定が容易な溶接方法を実現することができる。
[0067]
 また、本発明の交流パルスアーク溶接方法は、ワイヤ送給速度は変更せずにEN比率を変更する場合、変更前に比べてEN比率が大きくなり正極性期間の比率が大きくなる場合には正極性電流値を減少させ、変更前に比べてEN比率が小さくなり正極性期間の比率が小さくなる場合には正極性電流値を増加させて溶接する方法としてもよい。
[0068]
 この方法により、EN比率の変更に応じて一元的に交流溶接の交流周波数や正極性電流を求めるものであり、パルスパラメータを自動設定することができるので、溶接条件の設定が容易な溶接方法を実現することができる。
[0069]
 また、本発明の交流パルスアーク溶接方法は、熱量を設定するステップと、適正電流積分値を算出するステップと、正極性期間に必要な電流積分値を算出するステップと、正極性電流値を決定するステップと、を有する方法としてもよい。ここで、熱量を設定するステップは、ワイヤを溶融してアーク長を一定にするための熱量を、設定されたワイヤ送給速度に基づいて設定するステップである。適正電流積分値を算出するステップは、熱量を設定された交流周波数で除して交流溶接の電流波形1サイクルの期間に必要な熱量である適正電流積分値を算出するステップである。正極性期間に必要な電流積分値を算出するステップは、この適正電流積分値から逆極性期間の溶接電流積分値を減じて正極性期間に必要な電流積分値を算出するステップである。正極性電流値を決定するステップは、正極性期間に必要な電流積分値と正極性期間とから正極性電流値を決定するステップである。
[0070]
 この方法により、EN比率の変更に応じて一元的に交流溶接の周波数や正極性電流を求めるものであり、パルスパラメータを自動設定することができるので、溶接条件の設定が容易な溶接方法を実現することができる。
[0071]
 さらには、溶接電流を設定すると、溶接電流に対応して決定されるワイヤ送給速度が設定され、ワイヤ送給速度は変えずにEN比率を変更する。従って、EN比率に関わらずワイヤ送給速度が一定であり、故に溶着金属量が変わることがなく、また、溶接条件の設定が容易なので、適正な溶接条件を導き出す時間も短縮できる。

産業上の利用可能性

[0072]
 本発明の交流パルス溶接方法は、極性比率の増減により正極性期間におけるワイヤの溶融速度が増減してしまうことによるアーク長の変動を回避するため、交流周波数を変化させることにより平均熱量を変化させる。これにより、ワイヤ溶融速度とワイヤ送給速度とをバランスさせてアーク長を適正長さに保つことができるので、アルミ等の溶接を行う際の溶接方法として産業上有用である。

符号の説明

[0073]
1  三相交流電源
2  1次整流器
3  平滑用コンデンサ
4  1次インバータ回路
5  溶接用トランス
6  2次整流器
7  直流リアクタ
8  2次インバータ回路
9  溶接用トーチ
10  ワイヤ
11  ワイヤ送給用モータ
12  母材
13  溶接電流設定器
14  ワイヤ送給速度設定器
15  パルスパラメータ設定器
16  極性比率設定器
17  交流周波数設定器
18  正極性電流設定器

請求の範囲

[請求項1]
ピーク電流とベース電流からなる逆極性電流を通電する逆極性期間と、正極性電流を通電する正極性期間と、を交互に繰り返して溶接を行う交流パルスアーク溶接方法であって、
ワイヤ送給速度を設定するステップと、
前記逆極性期間と前記正極性期間との合計期間に対する前記正極性期間の比率である極性比率を設定するステップと、
設定された前記ワイヤ送給速度と設定された前記極性比率とから交流パルス溶接の交流周波数を設定するステップと、を有し、
前記ワイヤ送給速度は変更せずに前記極性比率を変更すると前記交流周波数が変更し、前記逆極性期間におけるベース電流期間を変更することで前記交流周波数を変更して溶接する交流パルスアーク溶接方法。
[請求項2]
設定された前記極性比率と設定された前記交流周波数とから前記正極性期間における正極性電流値を設定するステップをさらに有し、
前記ワイヤ送給速度は変更せずに前記極性比率を変更すると、前記交流周波数と前記正極性電流値とを変更して溶接する請求項1に記載の交流パルスアーク溶接方法。
[請求項3]
前記ワイヤ送給速度は変更せずに前記極性比率を変更すると、前記逆極性期間におけるピーク電流期間、ピーク電流値、ベース電流値および前記正極性期間は変更せずに、前記交流周波数と前記正極性電流値を変更して溶接する請求項2に記載の交流パルスアーク溶接方法。
[請求項4]
前記逆極性期間における前記ベース電流期間を変更することで前記交流周波数を変更して溶接する請求項2に記載の交流パルスアーク溶接方法。
[請求項5]
前記ワイヤ送給速度は変更せずに前記極性比率を変更する場合、変更前に比べて前記極性比率が大きくなり前記正極性期間の比率が大きくなる場合には前記交流周波数を低くし、変更前に比べて前記極性比率が小さくなり前記正極性期間の比率が小さくなる場合には前記交流周波数を高くして溶接する請求項2から4のいずれか1項に記載の交流パルスアーク溶接方法。
[請求項6]
前記ワイヤ送給速度は変更せずに前記極性比率を変更する場合、変更前に比べて前記極性比率が大きくなり前記正極性期間の比率が大きくなる場合には前記正極性電流値を減少させ、変更前に比べて前記極性比率が小さくなり前記正極性期間の比率が小さくなる場合には前記正極性電流値を増加させて溶接する請求項2から4のいずれか1項に記載の交流パルスアーク溶接方法。
[請求項7]
ワイヤを溶融してアーク長を一定にするための熱量を、設定された前記ワイヤ送給速度に基づいて設定するステップと、
前記熱量を設定された前記交流周波数で除して交流溶接の電流波形1サイクルの期間に必要な熱量である適正電流積分値を算出するステップと、
前記適正電流積分値から前記逆極性期間の溶接電流積分値を減じて前記正極性期間に必要な電流積分値を算出するステップと、
前記正極性期間に必要な前記電流積分値と前記正極性期間とから前記正極性電流値を決定するステップと、を有する請求項2から4のいずれか1項に記載の交流パルスアーク溶接方法。

補正された請求の範囲(条約第19条)
[ 2010年3月9日 ( 09.03.2010 )  国際事務局受理 ]

[1]
ピーク電流とベース電流からなる逆極性電流を通電する逆極性期間と、正極性電流を通電する正極性期間と、を交互に繰り返して溶接を行う交流パルスアーク溶接方法であって、
ワイヤ送給速度を設定するステップと、
前記逆極性期間と前記正極性期間との合計期間に対する前記正極性期間の比率である極性比率を設定するステップと、
設定された前記ワイヤ送給速度と設定された前記極性比率とから交流パルス溶接の交流周波数を設定するステップと、を有し、
前記ワイヤ送給速度は変更せずに前記極性比率を変更すると前記交流周波数が変更し、前記逆極性期間におけるベース電流期間を変更することで前記交流周波数を変更して溶接する交流パルスアーク溶接方法。
[2]
設定された前記極性比率と設定された前記交流周波数とから前記正極性期間における正極性電流値を設定するステップをさらに有し、
前記ワイヤ送給速度は変更せずに前記極性比率を変更すると、前記交流周波数と前記正極性電流値とを変更して溶接する請求項1に記載の交流パルスアーク溶接方法。
[3]
前記ワイヤ送給速度は変更せずに前記極性比率を変更すると、前記逆極性期間におけるピーク電流期間、ピーク電流値、ベース電流値および前記正極性期間は変更せずに、前記交流周波数と前記正極性電流値を変更して溶接する請求項2に記載の交流パルスアーク溶接方法。
[4]
前記逆極性期間における前記ベース電流期間を変更することで前記交流周波数を変更して溶接する請求項2に記載の交流パルスアーク溶接方法。
[5]
[補正後] 前記ワイヤ送給速度は変更せずに前記極性比率を変更する場合、変更前に比べて前記極性比率が大きくなり前記正極性期間の比率が大きくなる場合には前記交流周波数を低くし、変更前に比べて前記極性比率が小さくなり前記正極性期間の比率が小さくなる場合には前記交流周波数を高くして溶接する請求項2に記載の交流パルスアーク溶接方法。
[6]
前記ワイヤ送給速度は変更せずに前記極性比率を変更する場合、変更前に比べて前記極性比率が大きくなり前記正極性期間の比率が大きくなる場合には前記正極性電流値を減少させ、変更前に比べて前記極性比率が小さくなり前記正極性期間の比率が小さくなる場合には前記正極性電流値を増加させて溶接する請求項2から4のいずれか1項に記載の交流パルスアーク溶接方法。
[7]
ワイヤを溶融してアーク長を一定にするための熱量を、設定された前記ワイヤ送給速度に基づいて設定するステップと、
前記熱量を設定された前記交流周波数で除して交流溶接の電流波形1サイクルの期間に必要な熱量である適正電流積分値を算出するステップと、
前記適正電流積分値から前記逆極性期間の溶接電流積分値を減じて前記正極性期間に必要な電流積分値を算出するステップと、
前記正極性期間に必要な前記電流積分値と前記正極性期間とから前記正極性電流値を決定するステップと、を有する請求項2から4のいずれか1項に記載の交流パルスアーク溶接方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]