Traitement en cours

Veuillez attendre...

Paramétrages

Paramétrages

Aller à Demande

1. WO2020162533 - COMPOSITION DE RÉSINE POLYCARBONATE ET LENTILLE OPTIQUE LA METTANT EN ŒUVRE

Document

明 細 書

発明の名称 ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた光学レンズ

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007  

課題を解決するための手段

0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042  

実施例

0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

図面

1  

明 細 書

発明の名称 : ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた光学レンズ

技術分野

[0001]
 本発明は、バランスの良い屈折率とアッベ数を有するポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた光学レンズに関する。

背景技術

[0002]
 ポリカーボネート樹脂(以下、「PC」と称することがある)は、2価フェノールを炭酸エステルにより連結させたポリマーであり、その中でも2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(通称、「ビスフェノールA」と言う)より得られるポリカーボネート樹脂は、透明性、耐熱性に優れ、また耐衝撃性等の機械特性に優れた性質を有することから多くの分野に用いられている。各種レンズ、光ディスク等の光学分野においては、その耐衝撃性、透明性、低吸水性等の特性が注目され、光学用途材料として重要な位置を占めている。
[0003]
 特にレンズ分野において、熱可塑性樹脂であるPCはその生産性の良さから注目を浴びており、これまでプラスチックレンズの主流を占めてきたCR-39(ジエチレングリコールビスアリルカーボネート)に代表される熱硬化性樹脂の代替として、その需要が増大してきている。
[0004]
 しかしながら、ビスフェノールAにホスゲンやジフェニルカーボネート等のカーボネート前駆体物質を反応させて得られるポリカーボネート樹脂は、屈折率は高いがアッベ数が低いため、色収差の問題が出やすく、屈折率とアッベ数のバランスが悪いという欠点を有する。また光弾性定数が大きく、成形品の複屈折が大きくなってしまう欠点を有する。
[0005]
 このようなポリカーボネート樹脂の欠点を解決するために、芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジオールとの共重合ポリカーボネート樹脂がいくつか提案されている(特許文献1~5)。これらの技術では、屈折率、アッベ数が未だ低かったり、光弾性定数が大きく、成形品の複屈折が大きくなったり、成形性、耐熱性等が不十分で満足する成形物が得られなかったり、着色する等の問題があった。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開平1-66234号公報
特許文献2 : 特開平10-120777号公報
特許文献3 : 特開平11-228683号公報
特許文献4 : 特開平11-349676号公報
特許文献5 : 特開2000-63506号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 本発明は、上記従来における問題の少なくとも一つを解決することを課題とする。また、本発明は、バランスの良い屈折率とアッベ数を有するポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた光学レンズを提供することを課題とする。更に、本発明は、耐熱性および成形サイクル性に優れたポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた光学レンズを提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明者らは鋭意検討した結果、特定の構造を有するジオール化合物を組み合わせて使用することにより、上記課題の少なくとも一つを解決することができることを見出した。
 即ち、本発明は、以下の通りである。
<1> 下記式(1)で表される構成単位、下記式(2)で表される構成単位、及び下記一般式(3)で表される構成単位を含むポリカーボネート樹脂組成物である。
[化1]


[化2]


[化3]


(一般式(3)中、R ~R は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1~6のアルキル基、または、酸素原子、窒素原子及びイオウ原子から選択されるヘテロ環原子を含んでいてもよい炭素数6~20のアリール基、炭素数2~6のアルケニル基、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数7~17のアラルキル基を表し、
 p、q、rおよびsは、それぞれ独立して0~4の整数を表し、
 iは1~10の整数を表し、iiは0~10の整数を表す。)
<2> 前記酸化防止剤が、ポリカーボネート樹脂組成物中に0.50質量%以下の量で含まれる、上記<1>に記載のポリカーボネート樹脂組成物である。
<3> 前記酸化防止剤が、ポリカーボネート樹脂組成物中に0.10~0.40質量%の量で含まれる、上記<1>または<2>に記載のポリカーボネート樹脂組成物である。
<4> 前記酸化防止剤が、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマイド)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルホスホネート-ジエチルエステル、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート及び3,9-ビス{1,1-ジメチル-2-[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンからなる群より選択される、上記<1>から<3>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物である。
<5> 前記ポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂中のフェノール含量が、0.1~3000ppmである、上記<1>から<4>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物である。
<6> 前記ポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂中の炭酸ジエステル含量が、0.1~1000ppmである、上記<1>から<5>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物である。
<7> (前記式(1)で表される構成単位(モル))/(前記式(1)で表される構成単位(モル)+前記式(2)で表される構成単位(モル)+前記一般式(3)で表される構成単位(モル))×100が、8~32モル%である、上記<1>から<6>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物である。
<8> (前記式(2)で表される構成単位(モル))/(前記式(1)で表される構成単位(モル)+前記式(2)で表される構成単位(モル)+前記一般式(3)で表される構成単位(モル))×100が、28~52モル%である、上記<1>から<7>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物である。
<9> (前記一般式(3)で表される構成単位(モル))/(前記式(1)で表される構成単位(モル)+前記式(2)で表される構成単位(モル)+前記一般式(3)で表される構成単位(モル))×100が、28~52モル%である、上記<1>から<8>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物である。
<10> 前記一般式(3)で表される構成単位が、
[化4]


である、上記<1>から<9>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物である。
<11> ガラス転移温度(Tg)が、140℃~200℃である、上記<1>から<10>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物である。
<12> 屈折率(nD)が、1.565~1.600であり、且つアッベ数(v)が、26~32である、上記<1>から<11>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物である。
<13> 屈折率(nD)及びアッベ数(v)が以下の関係式を満たす、上記<1>から<12>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物である。
 -0.0130v +1.9480<nD<-0.0130v +1.9900
<14> 重量平均分子量(Mw)が、10,000~70,000である、上記<1>から<13>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物である。
<15> 上記<1>から<14>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を含む、光学レンズである。
<16> 厚みが0.01~30mmである、上記<15>に記載の光学レンズである。

発明の効果

[0009]
 本発明により、バランスの良い屈折率とアッベ数を有するポリカーボネート樹脂組成物が得られ、特に特定の共重合比において、耐熱性および成形サイクル性の良いポリカーボネート樹脂組成物が得られる。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、光学レンズに最適である。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 図1は、実施例及び比較例で得られたポリカーボネート樹脂組成物におけるアッベ数と屈折率の関係を示すグラフである。

発明を実施するための形態

[0011]
 以下、本発明について詳細に説明する。
<ポリカーボネート樹脂組成物>
 本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記式(1)で表される構成単位、上記式(2)で表される構成単位、及び上記一般式(3)で表される構成単位を含むポリカーボネート樹脂を少なくとも含む。これらの構成単位は、それぞれ下記式(1’)で表されるジオール化合物、下記式(2’)で表されるジオール化合物、及び下記一般式(3’)で表されるジオール化合物に由来するものである。
[0012]
[化5]


 ここで、上記式(1’)で表されるジオール化合物は、SPG(スピログリコール:3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)と呼ばれるジオール化合物であり、本発明では市販品を用いても合成した物を用いてもよい。
[0013]
[化6]


 ここで、上記式(2’)で表されるジオール化合物は、Bis-TMC(1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン)と呼ばれるジオール化合物であり、本発明では市販品を用いても合成した物を用いてもよい。
[0014]
[化7]


 一般式(3’)中、R ~R は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1~6のアルキル基、または、酸素原子、窒素原子及びイオウ原子から選択されるヘテロ環原子を含んでいてもよい炭素数6~20のアリール基、炭素数2~6のアルケニル基、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数7~17のアラルキル基を表す。好ましくは、R 及びR は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、又はフェニル基を表し、R 及びR は、それぞれ独立して、水素原子、又はフェニル基を表す。
 p、q、rおよびsは、それぞれ独立して0~4の整数を表し、好ましくは、pおよびqは1を表し、rおよびsは0を表す。
 iは1~10の整数を表し、好ましくは1~4の整数を表し、より好ましくは2を表す。
 iiは0~10の整数を表し、好ましくは1~3の整数を表し、より好ましくは1を表す。
[0015]
 本発明の一実施形態において、前記一般式(3)で表される構成単位は、
[化8]


であることが、光学レンズとして使用した場合、屈折率とアッベ数のバランスが良いため好ましい。
[0016]
 上記の構成単位は、それぞれ下記構造式で表されるBPEF(9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン)および下記構造式で表されるBPPEF(9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル]フルオレン)に由来するものであり、本発明では市販品を用いても合成した物を用いてもよい。
[化9]


[0017]
 本発明の一実施形態において、前記式(1)で表される構成単位の割合に関し、(前記式(1)で表される構成単位(モル))/(前記式(1)で表される構成単位(モル)+前記式(2)で表される構成単位(モル)+前記一般式(3)で表される構成単位(モル))×100は、8~32モル%が好ましく、10~30モル%がより好ましく、15~25モル%が特に好ましい。
 また、前記式(2)で表される構成単位の割合に関し、(前記式(2)で表される構成単位(モル))/(前記式(1)で表される構成単位(モル)+前記式(2)で表される構成単位(モル)+前記一般式(3)で表される構成単位(モル))×100は、28~52モル%が好ましく、30~48モル%がより好ましく、33~42モル%が特に好ましい。
 更に、前記一般式(3)で表される構成単位の割合に関し、(前記一般式(3)で表される構成単位(モル))/(前記式(1)で表される構成単位(モル)+前記式(2)で表される構成単位(モル)+前記一般式(3)で表される構成単位(モル))×100は、28~52モル%が好ましく、32~50モル%がより好ましく、38~48モル%が特に好ましい。
 上記のような共重合比にすることによって、耐熱性および成形サイクル性の良いポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる。
[0018]
 本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いられるポリカーボネート樹脂は、モノマーとして、上記式(1’)で表されるジオール化合物、上記式(2’)で表されるジオール化合物、及び上記一般式(3’)で表されるジオール化合物を用いて作製される三元系樹脂であってもよいし、これらのジオール化合物以外の他のジオール化合物を含んでもよい。このような他のジオール化合物としては、例えば、
[化10]


4,4’-ビフェニルジオール、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(2-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルファイド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)エタン、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロウンデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-アリルフェニル)プロパン、3,3,5-トリメチル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、α,ω-ビス[3-(o-ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルジフェニルランダム共重合シロキサン、α,ω-ビス[3-(o-ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、4,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスフェノール、4,4’-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスフェノール、1,3-アダマンタンジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタン、2,2-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)プロパン、4、4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(エタン-1-オール)、2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(メタン-1-オール)、2,2’-(1,4フェニレンビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロドデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)シクロドデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)シクロドデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-sec-ブチルフェニル)シクロドデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-アリルフェニル)シクロドデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)シクロドデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-フルオロフェニル)シクロドデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)シクロドデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)シクロドデカン、7-エチル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、5,6-ジメチル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-アダマンタンジメタノール、デカリン-2,6-ジメタノール、トリシクロデカン、ジメタノールフルオレングリコール、フルオレンジエタノール、イソソルビドなどが挙げられるが、これらに限定されない。上記他のジオール化合物は、好ましくは、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンである。上記他のジオール化合物の添加量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜調整することができる。
[0019]
 本発明の一実施形態において、ポリカーボネート樹脂組成物は、ランダム共重合構造、ブロック共重合構造、及び交互共重合構造のいずれを含んでもよい。
[0020]
 本発明の一実施形態において、ポリカーボネート樹脂組成物のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000~70,000であってよい。ポリカーボネート樹脂組成物のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、より好ましくは、20,000~50,000であり、特に好ましくは30,000~45,000である。ポリカーボネート樹脂組成物のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であれば、成形体が脆くなることを防ぐことができ、溶融粘度が過度に高くならないようにして製造後の樹脂の取り出しを容易にし、更には流動性を改善し溶融状態で射出成形することを容易にすることができる。
[0021]
 本発明の別の実施形態において、ポリカーボネート樹脂脂組成物は、上記ポリカーボネート樹脂に、他の樹脂をブレンドして、光学レンズの製造に供することができる。他の樹脂としては、例えば、ポリエステルカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)等が挙げられるが、これらに限定されない。
[0022]
(その他の成分)
 本発明の一実施形態において、ポリカーボネート樹脂組成物は、添加剤として酸化防止剤および離型剤を含むことができる。
[0023]
 酸化防止剤としては、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマイド)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルホスホネート-ジエチルエステル、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート及び3,9-ビス{1,1-ジメチル-2-[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどが挙げられる。
[0024]
 前記酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂組成物中に0.50質量%以下であることが好ましく、0.05~0.40質量%であることがより好ましく、0.05~0.20質量%あるいは0.10~0.40質量%であることが更に好ましく、0.20~0.40質量%であることが特に好ましい。
[0025]
 離型剤としては、その90重量%以上がアルコールと脂肪酸とのエステルからなるものが好ましい。アルコールと脂肪酸とのエステルとしては、具体的には一価アルコールと脂肪酸とのエステルや、多価アルコールと脂肪酸との部分エステルあるいは全エステルが挙げられる。上記一価アルコールと脂肪酸とのエステルとしては、炭素原子数1~20の一価アルコールと炭素原子数10~30の飽和脂肪酸とのエステルが好ましい。また、多価アルコールと脂肪酸との部分エステルあるいは全エステルとしては、炭素原子数1~25の多価アルコールと炭素原子数10~30の飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルが好ましい。
[0026]
 具体的に、一価アルコールと飽和脂肪酸とのエステルとしては、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート等が挙げられる。多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、カプリン酸モノグリセリド、ラウリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ビフェニルビフェネ-ト、ソルビタンモノステアレート、2-エチルヘキシルステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート等のジペンタエリスルトールの全エステル又は部分エステル等が挙げられる。
[0027]
 前記離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂組成物中に0.50質量%以下であることが好ましく、0.01~0.10質量%であることがより好ましく、0.02~0.05質量%であることが更に好ましく、0.03~0.05質量%であることが特に好ましい。
[0028]
 さらに本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、その他の添加剤として、加工安定剤、紫外線吸収剤、流動性改質剤、結晶核剤、強化剤、染料、帯電防止剤、ブルーイング剤、抗菌剤等を添加してもよい。
[0029]
(不純物)
 本発明におけるポリカーボネート樹脂には、製造時に生成するフェノールや、反応せずに残存したモノマーであるジオールや炭酸ジエステルが不純物として存在していてもよい。ポリカーボネート樹脂中のフェノール含量は、0.1~3000ppmであることが好ましく、0.1~2000ppmであることがより好ましく、1~1000ppm、1~800ppm、1~500ppm、または1~300ppmであることが特に好ましい。ポリカーボネート樹脂中のジオール含量は、0.1~5000ppmであることが好ましく、1~3000ppmであることがより好ましく、1~1000ppmであることが更により好ましく、1~500ppmであることが特に好ましい。また、ポリカーボネート樹脂中の炭酸ジエステル含量は、0.1~1000ppmであることが好ましく、0.1~500ppmであることがより好ましく、1~100ppmであることが特に好ましい。ポリカーボネート樹脂中に含まれるフェノールおよび炭酸ジエステルの量を調節することにより、目的に応じた物性を有する樹脂を得ることができる。フェノールおよび炭酸ジエステルの含量の調節は、重縮合の条件や装置を変更することにより適宜行うことができる。また、重縮合後の押出工程の条件によっても調節可能である。
[0030]
 フェノールまたは炭酸ジエステルの含量が上記範囲を上回ると、得られる樹脂成形体の強度が落ちたり、臭気が発生したりする等の問題が生じ得る。一方、フェノールまたは炭酸ジエステルの含量が上記範囲を下回ると、樹脂溶融時の可塑性が低下する虞がある。
[0031]
<ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法>
 本発明の一実施形態において、ポリカーボネート樹脂は、WO2018/016516に記載の方法に従って製造することができる。具体的には、前記式(1’)で表されるジオール化合物、前記式(2’)で表されるジオール化合物、及び前記一般式(3’)で表されるジオール化合物と、炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質とを、塩基性化合物触媒及び/又はエステル交換触媒の存在下または触媒の非存在下において、加熱下で、さらに常圧又は減圧下で、溶融重縮合法により反応させて製造することができる。本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法は、上記の製造方法に限定されない。
[0032]
<ポリカーボネート樹脂組成物の物性>
(A)屈折率(nD)
 本発明の一実施形態において、ポリカーボネート樹脂組成物は、波長587.6nm、23℃における屈折率が1.565~1.600であることが好ましく、1.585~1.600であることがより好ましく、1.585~1.590であることが特に好ましい。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、屈折率が高く、光学レンズ材料として適している。屈折率は、JIS-K-7142:2014に準拠して、アッベ屈折計を用いて測定することができる。
[0033]
(B)アッベ数(ν)
 本発明の一実施形態において、ポリカーボネート樹脂組成物は、23℃におけるアッベ数が26~32であることが好ましく、27~31であることがより好ましく、28~30であることが特に好ましい。アッベ数は、アッベ屈折計を用いて測定し、後述する実施例に記載された方法によって算出することができる。
 本発明の一実施形態において、ポリカーボネート樹脂組成物における屈折率(nD)及びアッベ数(v)が以下の関係式を満たすことが好ましい。
 -0.0130v +1.9480<nD<-0.0130v +1.9900
 より好ましくは、屈折率(nD)及びアッベ数(v)が以下の関係式を満たすことである。
 -0.0130v +1.9480<nD<-0.0065v +1.7785
 このような関係式を満たすことにより、バランスの良い屈折率とアッベ数の関係となり好ましい。
[0034]
(C)ガラス転移温度(Tg)
 本発明の一実施形態において、ポリカーボネート樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは140~200℃であり、より好ましくは145~160℃であり、特に好ましくは150~160℃である。ポリカーボネート樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)が上記の範囲内であれば、射出成形するのに好都合である。Tgが140℃より低いと、使用温度範囲が狭くなるため好ましくない。また200℃を越えると、樹脂の溶融温度が高くなり、樹脂の分解や着色が発生しやすくなるため好ましくない。樹脂のガラス転移温度が高すぎると、汎用の金型温調機では、金型温度と樹脂ガラス転移温度の差が大きくなってしまう。そのため、製品に厳密な面精度が求められる用途においては、ガラス転移温度が高すぎる樹脂の使用は難しく、好ましくない。
[0035]
(D)その他の特性
 本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、高い耐湿熱性を有する。耐湿熱性は、ポリカーボネート樹脂組成物を用いて得られる光学成形体に対して、「PCT試験」(プレッシャークッカー試験)を行い、試験後の光学成形体の全光線透過率を測定することで評価することができる。PCT試験は、下記実施例に記載された方法により得られた直径50mm、厚さ3mmの射出成形物を、120℃、0.2Mpa、100%RH、20時間の条件で保持することで行うことができる。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、PCT試験後の全光線透過率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることが更により好ましく、80%以上であることが特に好ましい。全光線透過率が60%以上であれば、従来のポリカーボネート樹脂に対して高い耐湿熱性を有すると言える。なお、全光線透過率は、下記実施例に記載された方法により測定することができる。
[0036]
 本発明のポリカーボネート樹脂組成物のb値は、好ましくは5以下である。b値が小さいほど黄色味が弱いことを示し、色相が良好となる。なお、b値は、下記実施例に記載された方法により測定することができる。
[0037]
 本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれる残存フェノール量は、500ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがより好ましく、150ppm以下であることが更に好ましく、50ppm以下であることが特に好ましい。なお、残存フェノールは、多少含まれることで、熱可塑性が増す、抗菌作用をもたらすといったメリットがあると考えられる。
[0038]
 本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれる残存ジフェニルカーボネート(DPC)量は、200ppm以下であることが好ましく、150ppm以下であることがより好ましく、100ppm以下であることが更に好ましく、50ppm以下であることが特に好ましい。なお、残存ジフェニルカーボネート(DPC)は、多少含まれることで、溶融成形時の加水分解を防止できるメリットがあると考えられる。
[0039]
<光学レンズ>
 本発明の光学レンズは、上述した本発明のポリカーボネート樹脂組成物を射出成形機あるいは射出圧縮成形機によりレンズ形状に射出成形することによって得ることができる。本発明の一実施形態において、光学レンズは、WO2018/016516に記載の方法に従って製造することができる。射出成形の成形条件は特に限定されないが、成形温度は好ましくは180~300℃、より好ましくは180~290℃である。また、射出圧力は好ましくは50~1700kg/cm である。
[0040]
 光学レンズへの異物の混入を極力避けるため、成形環境も当然低ダスト環境でなければならず、クラス1000以下であることが好ましく、より好ましくはクラス100以下である。
[0041]
 本発明の光学レンズは、必要に応じて非球面レンズの形で用いることが好適に実施される。非球面レンズは、1枚のレンズで球面収差を実質的にゼロとすることが可能であるため、複数の球面レンズの組み合わせで球面収差を取り除く必要がなく、軽量化および生産コストの低減化が可能になる。従って、非球面レンズは、光学レンズの中でも特にカメラレンズとして有用である。非球面レンズの非点収差は0~15mλであることが好ましく、より好ましくは0~10mλである。
[0042]
 本発明の光学レンズの厚みは、用途に応じて広範囲に設定可能であり特に制限はないが、好ましくは0.01~30mm、より好ましくは0.1~15mmである。本発明の光学レンズの表面には、必要に応じ、反射防止層あるいはハードコート層といったコート層が設けられていてもよい。反射防止層は、単層であっても多層であってもよく、有機物であっても無機物であっても構わないが、無機物であることが好ましい。具体的には、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム等の酸化物あるいはフッ化物が例示される。これらのうちでより好ましいものは酸化ケイ素、酸化ジルコニウムであり、更に好ましいものは酸化ケイ素と酸化ジルコニウムの組み合わせである。また、反射防止層に関しては、単層/多層の組み合わせ、またそれらの成分、厚みの組み合わせ等について特に限定はされないが、好ましくは2層構成又は3層構成、特に好ましくは3層構成である。また、該反射防止層全体として、光学レンズの厚みの0.00017~3.3%、具体的には0.05~3μm、特に好ましくは1~2μmとなる厚みで形成するのがよい。
実施例
[0043]
 以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
[0044]
<屈折率(nD)>
 下記で得られたポリカーボネート樹脂からなる厚さ0.1mmフィルムについて、アッベ屈折計を用い、JIS-K-7142:2014の方法で波長587.6nm、23℃における屈折率(nD)を測定した。0.1mmフィルムはプレス成形により得た。
[0045]
<アッベ数(ν)>
 下記で得られたポリカーボネート樹脂からなる厚さ0.1mmフィルムについて、アッベ屈折計を用い、23℃下での波長486nm、587.6nm及び656nmの屈折率を測定し、さらに下記式を用いてアッベ数(ν)を算出した。0.1mmフィルムはプレス成形により得た。
 ν=(nD-1)/(nF-nC)
 nD:波長587.6nmでの屈折率
 nC:波長656nmでの屈折率
 nF:波長486nmでの屈折率
[0046]
<ガラス転移温度(Tg)>
 示差熱走査熱量計(DSC)によりガラス転移温度(Tg)を測定した。特定条件は以下の通りである。
装置:株式会社日立ハイテクサイエンスDSC7000X
サンプル量:5mg
雰囲気:窒素ガス雰囲気下
昇温条件:10℃/分
[0047]
<重量平均分子量(Mw)>
 予め作成した標準ポリスチレンの検量線からポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)を求めた。即ち、分子量既知(分子量分布=1)の標準ポリスチレン(東ソー株式会社製、“PStQuick MP-M”)を用いて検量線を作成し、測定した標準ポリスチレンから各ピークの溶出時間と分子量値をプロットし、3次式による近似を行い、較正曲線とした。Mwは、以下の計算式より求めた。
 Mw=Σ(Wi×Mi)÷Σ(Wi)
 ここで、iは分子量Mを分割した際のi番目の分割点、Wiはi番目の重量、Miはi番目の分子量を表す。また分子量Mとは、較正曲線の同溶出時間でのポリスチレン分子量値を表す。GPC装置として、東ソー株式会社製、HLC-8320GPCを用い、ガードカラムとして、TSKguardcolumn SuperMPHZ-Mを1本、分析カラムとしてTSKgel SuperMultiporeHZ-Mを3本直列に連結したものを用いた。その他の条件は以下の通りである。
 溶媒:HPLCグレードテトラヒドロフラン
 注入量:10μL
 試料濃度:0.2w/v% HPLCグレードクロロホルム溶液
 溶媒流速:0.35ml/min
 測定温度:40℃
 検出器:RI
[0048]
<耐熱性試験>
 下記で得られたポリカーボネート樹脂を120℃で4時間真空乾燥した後、射出成型機(FANUC ROBOSHOT α-S30iA)によりシリンダー温度270℃、金型温度Tg-10℃にて射出成形しプレートを得、引き続き、該プレートをTg-20℃で4時間加熱し、25℃で24時間静置した後、直径50.00mm、厚さ3mmの円盤状プレート試験片を得た。該円盤状プレート試験片をAir下、125℃で1000時間静置した試験片の直径を測定した。以下の基準により耐熱性を評価した。
 耐熱性A:円盤状プレートの直径49.9mm以上50.00mm以下
 耐熱性B:円盤状プレートの直径49.8mm以上49.9mm未満
 耐熱性C:円盤状プレートの直径49.8mm未満
[0049]
<成形サイクル性試験>
 下記で得られたポリカーボネート樹脂を120℃で4時間真空乾燥した後、射出成型機(FANUC ROBOSHOT α-S30iA)によりシリンダー温度270℃、金型温度Tg-10℃で射出成形を行った。成形サイクルと得られた成形品の割れや金型への張り付きを目視にて確認した。以下の基準により成形サイクル性を評価した。
 成形サイクル性A:成形サイクル20秒可能。成形品の割れや金型への張り付きが発生しない。
 成形サイクル性B:成形サイクル20秒では成形時に成形品の割れや金型への張り付きが発生する。成形サイクル30秒可能。
 成形サイクル性C:成形サイクル20秒では成形不可。成形サイクル30秒でも成形時に成形品の割れや金型への張り付きが発生する。
[0050]
<ポリカーボネート樹脂中のフェノール(PhOH)、ジフェニルカーボネート(DPC)量の測定>
 下記で得られたポリカーボネート樹脂0.5gをテトラヒドロフラン(THF)50mLに溶解し、試料溶液とした。フェノール、ジフェニルカーボネートの標品として、市販のフェノール、ジフェニルカーボネートを各々蒸留して得られた純品より、フェノール、ジフェニルカーボネートの検量線を作成し、試料溶液2μLをLC-MSにより以下の測定条件で定量した。なお、この測定条件での検出限界値は0.01ppm(質量比)である。
LC-MS測定条件:
 測定装置(LC部分):Agilent Infinity 1260 LC System
 カラム:ZORBAX Eclipse XDB-18、およびガードカートリッジ
 移動相:
  A: 0.01mol/L-酢酸アンモニウム水溶液
  B:0.01mol/L-酢酸アンモニウムのメタノール溶液
  C:THF
 移動相のグラジエントプログラム:
 下記表1に示すように、上記A~Cの混合物を移動相として使用し、移動相の組成を時間(分)欄に示す時間が経過したときに切り替えつつ、30分間カラムに移動相を流した。
[表1]


 流速:0.3mL/分
 カラム温度:45℃
 検出器:UV(225nm)
 測定装置(MS部分):Agilent 6120 single quad LCMS System
 イオン化ソース:ESI
 極性:Positive(DPC)&Negative(PhOH)
 フラグメンタ:70V
 ドライガス:10L/分、350℃
 ネブライザ:50psi
 キャピラリ電圧:3000V(Positive)、2500V(Negative)
 測定イオン:
[表2]


 試料注入量:2μL
[0051]
<PCT試験後の全光線透過率>
 下記で得られたポリカーボネート樹脂を120℃で4時間真空乾燥した後、射出成型機(FANUC ROBOSHOT α-S30iA)によりシリンダー温度270℃、金型温度Tg-10℃にて射出成形し、直径50mm、厚さ3mmの円盤状試験プレート片を得た。PCT試験は、得られた直径50mm、厚さ3mmのプレート片を、120℃、0.2Mpa、100%RH、20時間の条件で保持することで行った。このPCT試験後の全光線透過率は、旧JIS K7105に準じ濁度計(MODEL 1001DP、日本電色工業社製)により測定した。
[0052]
<b値>
 下記で得られたポリカーボネート樹脂を120℃で4時間真空乾燥した後、射出成型機(FANUC ROBOSHOT α-S30iA)によりシリンダー温度270℃、金型温度Tg-10℃にて射出成形し、直径50mm、厚さ3mmの円盤状試験プレート片を得た。得られたプレート片を用いて、旧JIS K7105に準じ日本電色工業(株)製 SE2000型分光式色差計を用いてb値を測定した。b値が小さいほど黄色味が弱いことを示し、色相が良好となる。
[0053]
(実施例1)
 原料として、下記構造式で表されるSPG(スピログリコール:3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)0.30mol、下記構造式で表されるBis-TMC(1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン)0.41mol、下記構造式で表されるBPEF(9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン)0.29mol、DPC(ジフェニルカーボネート)1.15mol、および炭酸水素ナトリウム1×10 -5molを撹拌機および留出装置付きの2Lの反応器に入れ、窒素雰囲気760mmHgの下、180℃に加熱した。加熱開始10分後に原料の完全溶解を確認し、さらに同条件で110分間撹拌を行った。その後、減圧度を200mmHgに調整すると同時に、60℃/hrの速度で200℃まで昇温を行った。この際、副生したフェノールの留出開始を確認した。その後、20分間200℃に保持して反応を行った。さらに、75℃/hrの速度で230℃まで昇温し、昇温終了10分後、その温度で保持しながら、1時間かけて減圧度を1mmHg以下とした。その後、60℃/hrの速度で245℃まで昇温し、さらに30分間撹拌を行った。反応終了後、反応器内に窒素を導入して常圧に戻し、生成したポリカーボネート樹脂を取り出した。また、得られたポリカーボネート樹脂中のフェノール(PhOH)含有量は100ppm(質量比)、DPC含有量は100ppm(質量比)であった。得られた樹脂の物性を下記表3にまとめた。
[0054]
[化11]


[0055]
(実施例2~7、比較例1~4)
 原料のジヒドロキシ化合物を下記表3のジヒドロキシ化合物(mol)に替える以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂を得た。得られた樹脂の物性を下記表3にまとめた。
[0056]
(実施例8)
 原料として、上記構造式で表されるSPG(スピログリコール:3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)2.00mol、上記構造式で表されるBis-TMC(1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン)3.70mol、上記構造式で表されるBPEF(9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン)4.30mol、DPC(ジフェニルカーボネート)11.52mol、および炭酸水素ナトリウム1×10 -4molを撹拌機および留出装置付きの25Lの反応器に入れ、窒素雰囲気760mmHgの下、180℃に加熱した。加熱開始20分後に原料の完全溶解を確認し、さらに同条件で110分間撹拌を行った。その後、減圧度を200mmHgに調整すると同時に、60℃/hrの速度で200℃まで昇温を行った。この際、副生したフェノールの留出開始を確認した。その後、20分間200℃に保持して反応を行った。さらに、75℃/hrの速度で230℃まで昇温し、昇温終了10分後、その温度で保持しながら、1時間かけて減圧度を1mmHgとした。その後、60℃/hrの速度で245℃まで昇温し、さらに30分間撹拌を行った。反応終了後、反応器内に窒素を導入して常圧に戻し、生成したポリカーボネート樹脂をペレタイズしながら取り出した。また、得られたポリカーボネート樹脂中のフェノール(PhOH)含有量は300ppm(質量比)、DPC含有量は150ppm(質量比)であり、PCT試験後の全光線透過率は78%であった。
 さらに、得られたポリカーボネート樹脂のペレットを100℃で4時間、乾燥機にて乾燥した。乾燥したペレットと、添加剤として、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](ADEKA社製AO-60:酸化防止剤)1000ppm、ステアリン酸モノグリセリド(理研ビタミン株式会社性S-100A:離型剤)1500ppm、及び3,9-ビス(2,6-di-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジフォスファスピロ[5.5]ウンデカン(ADEKA社製PEP-36:酸化防止剤)300ppmとを混合し、乾燥したペレットに添加剤を添着させた。続いて、二軸押出機にて40mmHgで減圧しながら、溶融混練しペレット化した。得られたポリカーボネート樹脂組成物の屈折率は1.583、アッベ数は29、Tgは154℃、Mwは30,000、b値は1.0、耐熱性および成形サイクル性は共にAであった。また、該組成物中のフェノール(PhOH)含有量は120ppm(質量比)、DPC含有量は100ppm(質量比)であった。更に、該組成物に対するPCT試験後の全光線透過率は89%であり、添加剤を加えることにより全光線透過率が向上した。
[0057]
[表3]



請求の範囲

[請求項1]
 下記式(1)で表される構成単位、下記式(2)で表される構成単位、及び下記一般式(3)で表される構成単位を含むポリカーボネート樹脂組成物であって、更に酸化防止剤を含有する、前記ポリカーボネート樹脂組成物。
[化1]


[化2]


[化3]


(一般式(3)中、R ~R は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1~6のアルキル基、または、酸素原子、窒素原子及びイオウ原子から選択されるヘテロ環原子を含んでいてもよい炭素数6~20のアリール基、炭素数2~6のアルケニル基、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数7~17のアラルキル基を表し、
 p、q、rおよびsは、それぞれ独立して0~4の整数を表し、
 iは1~10の整数を表し、iiは0~10の整数を表す。)
[請求項2]
 前記酸化防止剤が、ポリカーボネート樹脂組成物中に0.50質量%以下の量で含まれる、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[請求項3]
 前記酸化防止剤が、ポリカーボネート樹脂組成物中に0.10~0.40質量%の量で含まれる、請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[請求項4]
 前記酸化防止剤が、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマイド)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルホスホネート-ジエチルエステル、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート及び3,9-ビス{1,1-ジメチル-2-[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンからなる群より選択される、請求項1から3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[請求項5]
 前記ポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂中のフェノール含量が、0.1~3000ppmである、請求項1から4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[請求項6]
 前記ポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂中の炭酸ジエステル含量が、0.1~1000ppmである、請求項1から5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[請求項7]
 (前記式(1)で表される構成単位(モル))/(前記式(1)で表される構成単位(モル)+前記式(2)で表される構成単位(モル)+前記一般式(3)で表される構成単位(モル))×100が、8~32モル%である、請求項1から6のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[請求項8]
 (前記式(2)で表される構成単位(モル))/(前記式(1)で表される構成単位(モル)+前記式(2)で表される構成単位(モル)+前記一般式(3)で表される構成単位(モル))×100が、28~52モル%である、請求項1から7のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[請求項9]
 (前記一般式(3)で表される構成単位(モル))/(前記式(1)で表される構成単位(モル)+前記式(2)で表される構成単位(モル)+前記一般式(3)で表される構成単位(モル))×100が、28~52モル%である、請求項1から8のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[請求項10]
 前記一般式(3)で表される構成単位が、
[化4]


である、請求項1から9のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[請求項11]
 ガラス転移温度(Tg)が、140℃~200℃である、請求項1から10のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[請求項12]
 屈折率(nD)が、1.565~1.600であり、且つアッベ数(v)が、26~32である、請求項1から11のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[請求項13]
 屈折率(nD)及びアッベ数(v)が以下の関係式を満たす、請求項1から12のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
 -0.0130v +1.9480<nD<-0.0130v +1.9900
[請求項14]
 重量平均分子量(Mw)が、10,000~70,000である、請求項1から13のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[請求項15]
 請求項1から14のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を含む、光学レンズ。
[請求項16]
 厚みが0.01~30mmである、請求項15に記載の光学レンズ。

図面

[ 図 1]