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1. WO2011052469 - DISPOSITIF DE LECTURE OPTIQUE

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明 細 書

発明の名称 光ピックアップ装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084  

発明の効果

0085  

図面の簡単な説明

0086  

発明を実施するための形態

0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104  

実施例

0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126  

符号の説明

0127  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : 光ピックアップ装置

技術分野

[0001]
 本発明は、厚さ方向に3つ以上の情報記録面を有する光ディスクに対して情報の記録及び/又は再生を行える光ピックアップ装置に関する。

背景技術

[0002]
 波長400nm程度の青紫色半導体レーザを用いて、情報の記録及び/又は再生(以下、「記録及び/又は再生」を「記録/再生」と記載する)を行える高密度光ディスクシステムが知られており、その一例であるNA0.85、光源波長405nmの仕様で情報記録/再生を行う光ディスク、いわゆるBlu-ray Disc(以下、BDという)では、DVD(NA0.6、光源波長650nm、記憶容量4.7GB)と同じ大きさである直径12cmの光ディスクに対して、1層あたり25GBの情報の記録が可能である。
[0003]
 ところで、従来のBDは1層もしくは2層の情報記録面を有しているものが多いが、1枚のBDに、より大きなデータを保存したいという市場の要求から、3層以上の情報記録面を有するBDについても研究が進んでいる。しかるに、情報の記録及び/又は再生を行う際の光束のNAが0.85と大きいため、複数の情報記録面を有するBDでは、一の情報記録面に対して最小の球面収差を付与するようにすると、基板厚さが異なる他の情報記録面においては球面収差が増大し、適切に情報の記録/再生を行えなくなる。かかる球面収差の問題は情報記録面の数が多くなるほど(すなわち、表面からの距離が最も小さい情報記録面と表面からの距離が最も大きい情報記録面との間隔が大きくなるほど)顕在化する。
[0004]
 これに対し特許文献1には、光源と対物レンズとの間に配置したカップリングレンズを光軸方向に移動させることで倍率を変更し、選択した情報記録面に対して、収差を抑えた光束を集光させることができる光ピックアップ装置が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特許第4144763号明細書

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 然るに、上記の特許文献1に記載された光ピックアップ装置により、例えば3層以上の情報記録面を有する光ディスクに対して情報の記録/再生を行おうとすると、カップリングレンズの移動距離が長く必要になる。加えてプラスチック製の対物レンズを用いた場合、温度変化に対する屈折率変化が比較的大きいため、環境温度の変動によって球面収差が増大しやすくなるが、これをカップリングレンズの移動により補正する場合、更に長い移動距離が必要になる。カップリングレンズの移動距離が長くなると、光源から対物レンズまでの光路長が長くなり、例えば光ピックアップ装置の小型化を図れないという問題がある。又、カップリングレンズを駆動する大型のアクチュエータが必要になり、コストも増大するという問題がある。特に、小型化が要求される薄型の光ピックアップ装置では、光源から対物レンズまでの光路長が大きく出来ないという制約があるため、3層以上の情報記録面を有するBDへの対応が困難になるという課題がより顕在化する。
[0007]
 本発明は、上述の問題を考慮してなされたものであり、コンパクト且つ低コストでありながら、多層の情報記録面を有する光ディスクに対して情報の記録/再生を行うことができる光ピックアップ装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 請求項1に記載の光ピックアップ装置は、厚さ方向に3つ以上の情報記録面を有する光ディスクにおけるいずれかの情報記録面を選択して、情報の記録及び/または再生を行う光ピックアップ装置であって、
 波長λ1(390nm<λ1<415nm)の光束を出射する光源と、前記光束を光ディスクの情報記録面上に集光させるための対物レンズと、前記光源と前記対物レンズとの間に配置された正の屈折力を有する正レンズ群及び負の屈折力を有する負レンズ群からなるカップリングレンズとを有し、
 前記対物レンズの像側開口数(NA)は0.8以上であり、
 前記対物レンズは単玉であって、ガラス素材から形成されており、
 前記光源から出射された光束を、前記カップリングレンズを介して前記対物レンズに入射させ、前記対物レンズにより前記光ディスクの選択された情報記録面上に集光することによって情報の記録及び/または再生を行うようになっており、
 前記光ディスクにおける情報の記録及び/又は再生を行うべき情報記録面をある情報記録面から他の情報記録面へと変える際、前記正レンズ群の少なくとも1つのレンズを光軸方向に移動させることを特徴とする。
[0009]
 本発明によれば、前記対物レンズは、例えばプラスチックに比べて温度変化に対する屈折率変化が小さいガラス素材から形成されているので、環境温度が変化しても球面収差の増大を有効に抑制できるから、温度変化に伴い増大する球面収差の補正を行う必要がなくなり、これにより前記カップリングレンズの移動量を小さく抑えることができる。
[0010]
 ところで、情報の記録及び/又は再生を行うべき情報記録面をある情報記録面から他の情報記録面へと変える動作を行う際(以下、本明細書ではかかる動作を「フォーカスジャンプ」と呼ぶことがある)、カップリングレンズの移動量を小さく抑える方法として、カップリングレンズを構成するレンズ群のうち、光軸方向に移動されるレンズ群のパワーを大きく(すなわち、光軸方向に移動されるレンズ群の焦点距離を短く)することが考えられる。これは、光軸方向に移動されるレンズ群の移動量はそのレンズ群のパワーが大きくなるほど(すなわち、そのレンズ群の焦点距離が短くなるほど)小さくなるからである。然るに、カップリングレンズを一群構成とする場合、光軸方向に移動されるレンズ群の焦点距離(すなわち、カップリングレンズの焦点距離に等しい)を短くすると、対物レンズで集光されたスポットが楕円形状になり、BDに対する情報の記録及び/又は再生に支障が出る虞がある。この理由を以下に述べる。
[0011]
 一般的に、光ピックアップ装置の光源として用いられる半導体レーザから射出される光束は断面が楕円形状であるため、楕円の長軸方向と短軸方向の光量分布は異なる。カップリングレンズの焦点距離が短くなりすぎると、カップリングレンズが取り込む光量分布の非対称性が顕著になるため、対物レンズで集光されたスポットが楕円形状になり、BDに対する情報の記録及び/又は再生に支障が出る虞がある。従って、カップリングレンズが一群構成の場合は、フォーカスジャンプ時に必要とされるカップリングレンズの移動量を小さくすることと、カップリングレンズが取り込む光量分布の対称性を両立させることは困難である。
[0012]
 上記を両立させるために、本発明の光ピックアップ装置では、カップリングレンズを正レンズ群と負レンズ群とから構成される2群構成とし、正レンズ群の少なくとも1つのレンズを光軸方向に移動させる構成にした。
[0013]
 カップリングレンズが取り込む光量分布の対称性を良好にし、対物レンズで集光されたスポットの形状を円形状するためには、光源として使用する半導体レーザから射出される光束の楕円率に対して光学系倍率Mを最適な値に設定する必要がある。尚、BD用の光ピックアップ装置では集光光学系の倍率の最適な値は-0.1程度である。
[0014]
 かかる倍率の最適な値は-0.1を維持し、カップリングレンズを2群構成とし、少なくとも1つのレンズを光軸方向に移動させることで、フォーカスジャンプ時に必要なカップリングレンズの移動量を小さくできる。
[0015]
 説明を簡略化するために、カップリングレンズを正レンズと負レンズとから構成される2群構成の薄肉レンズ系とし、フォーカスジャンプ時には正レンズを光軸方向に沿って移動させるものとする。正レンズのパワーをP 、正レンズの焦点距離をf 、負レンズのパワーをP 、負レンズの焦点距離をf 、正レンズと負レンズの距離をLとすると、カップリングレンズ全系のパワーP 、及び、カップリングレンズ全系の焦点距離f は以下の(1)式で表される。
[0016]
 P  = P +P -L・P ・P
 P  = 1/f
 P  = 1/f +1/f -L/(f ・f )   (1)
 ここで、対物レンズの焦点距離をf とすると、カップリングレンズと対物レンズとから構成される集光光学系の倍率Mは以下の(2)式となる。
[0017]
 M=-f /f  (2)
 光源とカップリングレンズとの間に配置される偏光ビームスプリッタ等の光学素子を配置するスペースを考慮すると、カップリングレンズ全系の焦点距離f を極端に短くすることは出来ない。さらに、BDに対して情報の記録及び/または再生を行う際の、対物レンズとBDの距離(作動距離ともいう)が短くなりすぎず、かつ、光ピックアップ装置を薄型化するためには、対物レンズの焦点距離f の最適な範囲は自ずと決まる。以上より、(2)式で定まる値に上記のように最適な値が存在するという条件に基づいて、BD用の光ピックアップ装置用のカップリングレンズとして、その全系の焦点距離範囲はある所定の範囲である必要があり、フォーカスジャンプ時に必要なカップリングレンズの移動量のみを考慮してカップリングレンズ全系の焦点距離f をむやみに小さくすることは出来ない。
[0018]
 ここで、本発明の光ピックアップ装置においては、フォーカスジャンプ時の移動量を小さく抑えるために、正レンズのパワーP を大きくし、さらに、カップリングレンズ全系の焦点距離f が短くなり過ぎないように、負レンズのパワーP の絶対値を大きくした((1)式を参照)。
[0019]
 以上より、本発明における光ピックアップ装置では、フォーカスジャンプ時に必要とされる正レンズ群の移動量を小さくすることと、カップリングレンズが取り込む光量分布の対称性を両立させることが可能となる。
[0020]
 また、正レンズ群のみのカップリングレンズに比較して、正レンズ群に負レンズ群を加えることで、カップリングレンズ全系のNAを維持したままカップリングレンズ全系の焦点距離を小さくすることができるので、光ピックアップ装置の小型化が可能になる。
[0021]
 さらに、カップリングレンズ全系の焦点距離を正レンズ群のみのカップリングレンズの焦点距離より小さくした状態において、カップリングレンズ全系のNAを小さくできるので、カップリングレンズが取り込む光量分布の非対称性を緩和することができる。
[0022]
 これにより、3層以上の光ディスクという、カップリングレンズの移動量が比較的大きくなりがちな光ピックアップ装置においても、前記光源から前記対物レンズまでの光路長を抑え、光ピックアップ装置の小型化と低コスト化を図ることができる。
[0023]
 尚、本明細書では、カップリングレンズの正レンズ群に含まれるレンズのうち、光軸方向に移動可能とされたレンズを「可動レンズ」と呼ぶことがある。また、本明細書では、「カップリングレンズの移動量」を「可動レンズの移動量」と同じ意味で用いる。
[0024]
 請求項2に記載の光ピックアップ装置は、請求項1に記載の発明において、前記対物レンズに対して平行光束が入射する状態において、前記対物レンズの有効半径の6割から9割の間で、前記対物レンズの正弦条件違反量が正の極大値を持ち、それより周辺部で正弦条件違反量が単調に減少するようコマ収差の補正状態が設定されていることを特徴とする。
[0025]
 対物レンズに対して平行光束が入射する状態において、前記対物レンズの有効半径の6割から9割の間で、前記対物レンズの正弦条件違反量が正の極大値を持ち、それより周辺部で正弦条件違反量が単調に減少するようコマ収差の補正状態が設定されている対物レンズを使用することによって、対物レンズの倍率が変動した際の球面収差の変化量を大きくすることが可能となり、引いては、カップリングレンズの移動量を低減することが可能となる。
[0026]
 尚、「対物レンズに対して平行光束が入射する状態」とは、カップリングレンズから射出されて対物レンズに向かう光束が平行光束となるように、カップリングレンズの可動レンズの位置を最適化することと同義である。
[0027]
 更に、上記の対物レンズを使用することにより、フォーカスジャンプ時に発生する3次球面収差をカップリングレンズの移動によって補正した状態における3次より大きな高次球面収差の残留(本明細書では、「フォーカスジャンプ時の残留収差」と呼ぶこともある)も抑える事が可能となる。
[0028]
 上記高次球面収差をより抑制するためには、入射光の発散収束度の変化により対物レンズで発生する3次球面収差、及び、高次球面収差の変化が、フォーカスジャンプ時に発生する3次球面収差、及び、高次球面収差の変化とほぼ相似形となるように正弦条件の正の極大値を設定することが好ましい。
[0029]
 さらに、正弦条件違反量の極大値が正側に加えて、負側にも存在することで、対物レンズの光学面同士が光軸垂直方向に平行偏芯した際のコマ収差の発生量(本明細書では、かかるコマ収差の発生量を「面シフト感度」と呼ぶことがある)を小さく抑えることができ、また、光軸上のレンズ厚みが設計値からずれた際に発生する球面収差の発生量(本明細書では、かかる球面収差の発生量を「軸上厚誤差感度」と呼ぶことがある)も小さくできるため、製造しやすい対物レンズを得ることができる。
[0030]
 かかる作用効果をより発揮するためには、対物レンズの有効半径の1割から5割の間で正弦条件違反量が負の極大値を持ち、それより周辺部で正弦条件違反量が負から正に変わり、有効半径の6割から9割の間で正弦条件違反量が正の極大値を持ち、それより周辺部で正弦条件違反量が単調に減少するように、軸外コマ収差の補正状態が設定されていることが好ましい。
[0031]
 本発明の光ピックアップ装置に用いられる対物レンズは、カップリングレンズの移動量を小さくすることを優先して、正弦条件違反量の形状が設定されていてもよいし、フォーカスジャンプ時の残留収差を小さく抑えることを優先して、正弦条件違反量の形状が設定されていてもよいし、面シフト感度や軸上厚誤差感度を小さくすることを優先して、正弦条件違反量の形状が設定されていてもよい。上記3点をバランスさせるように、正弦条件違反量の形状が設定されていてもよいことはもちろんである。
[0032]
 請求項3に記載の光ピックアップ装置は、請求項1に記載の発明において、前記対物レンズに対して平行光束が入射する状態において、前記対物レンズの有効半径の4割から8割の間で、前記対物レンズの正弦条件違反量が負の極大値を持ち、それより周辺部で正弦条件違反量が単調に減少するようコマ収差の補正状態が設定されていることを特徴とする。
[0033]
 正弦条件違反量の極大値が負側に存在することで、対物レンズの面シフト感度を小さく抑えることができ、また、軸上厚誤差感度も小さくできるため、製造しやすい対物レンズを得ることができる。それによって対物レンズの製造誤差に基づく収差の発生を防止できるため、製造誤差に基づいてカップリングレンズの移動距離が延びてしまうことを抑制することができる。
[0034]
 請求項4に記載の光ピックアップ装置は、請求項1に記載の発明において、前記対物レンズを前記光ディスクのラジアル方向及び/またはタンジェンシャル方向に沿って傾けることが可能になっているとともに、前記光ディスクの光束入射面からの距離が最も大きい情報記録面に対して情報の記録及び/または再生を行う状態において、前記対物レンズを傾けた場合に発生する3次コマ収差CM(LT)に対する、前記光ディスクを同量傾けた場合に発生する3次コマ収差CM(DT)の比の絶対値が0.4以上であることを特徴とする。
[0035]
 尚、「光ディスクの光束入射面からの距離が最も大きい情報記録面に対して情報の記録及び/または再生を行う状態」とは、光束入射面からの距離が最も大きい情報記録面に対して、前記対物レンズにより集光されたスポットをフォーカスさせた際に発生する3次球面収差が補正されるように、カップリングレンズの可動レンズの位置を最適化することと同義である。
[0036]
 光ディスクに対して情報の記録及び/または再生を行う際に、対物レンズを前記光ディスクのラジアル方向及び/またはタンジェンシャル方向に沿って傾けることが可能になっていると、光ディスクの反りや傾き(本明細書ではディスクチルトと呼ぶ)によって発生するコマ収差を対物レンズが傾く(本明細書ではレンズチルトと呼ぶ)ことによって発生するコマ収差でキャンセルさせることが可能となり、光ディスクに対する情報の記録及び/または再生を安定して行うことが可能になる。
[0037]
 ここで、レンズチルトにより発生するコマ収差が、ディスクチルトにより発生するコマ収差に対して小さすぎると、ディスクチルトにより発生するコマ収差を補正するために必要なレンズチルト量が大きくなるため、消費電力が増大したり、レンズチルト時に対物レンズと光ディスクが衝突する、といった問題が発生する。
[0038]
 尚、レンズチルトにより発生するコマ収差は、対物レンズの正弦条件違反量に依存して変化し、その正弦条件違反量は、光ディスクに対して情報の記録及び/または再生を行う状態における対物レンズの倍率に依存して変化する。具体的には、対物レンズに対して平行光束が入射する状態において正弦条件違反量が補正された対物レンズは、対物レンズに対して発散光束が入射する状態では正弦条件違反量がマイナス側に変化するため、レンズチルトにより発生するコマ収差量が小さくなる。かかるコマ収差量は、対物レンズに入射する光束の発散度が大きいほど小さくなる。
[0039]
 BD用の光ピックアップ装置において対物レンズに入射する光束の発散度が最も大きくなるのは、光束入射面からの距離が最も大きい情報記録面に対して情報の記録及び/または再生を行う場合である。
[0040]
 そこで、本発明の光ピックアップ装置では、光束入射面からの距離が最も大きい情報記録面に対して情報の記録及び/または再生を行う状態において、対物レンズを傾けた場合に発生する3次コマ収差CM(LT)に対する、前記光ディスクを同量傾けた場合に発生する3次コマ収差CM(DT)の比の絶対値が0.4以上となるように、光束入射面からの距離が最も大きい情報記録面に対して情報の記録及び/または再生を行う状態における対物レンズの正弦条件違反量を設定した。これにより、光束入射面からの距離が最も大きい情報記録面に対して情報の記録及び/または再生を行う場合でも、ディスクチルトによるコマ収差をレンズチルトにより良好に補正することが可能となり、光ディスクに含まれる全ての情報記録面に対して良好な記録/再生特性が得られる。
[0041]
 かかる効果を一層発揮するためには、LTに対するDTの比の絶対値が0.5以上であることが好ましい。
[0042]
 また、かかる効果をより一層発揮するためには、対物レンズの正弦条件違反量や球面収差の補正状態を以下に述べるように設定することがより好ましい。
[0043]
 一つは、対物レンズに対して平行光束が入射する状態における、対物レンズの正弦条件違反量がプラス側になるように対物レンズの正弦条件違反量を設定することである。
[0044]
 別の一つは、対物レンズに対して平行光束が入射する状態において、光束入射面からの距離が最も小さい情報記録面に対して前記対物レンズにより集光されたスポットをフォーカスさせた際に発生する球面収差の絶対値よりも、光束入射面からの距離が最も大きい情報記録面に対して前記対物レンズにより集光されたスポットをフォーカスさせた際に発生する球面収差の絶対値のほうが小さくなるように、対物レンズの球面収差の補正状態を設定することである。
[0045]
 これは、対物レンズに平行光束が入射する状態における可動レンズの位置をT0、光束入射面からの距離が最も大きい情報記録面に対して情報の記録及び/または再生を行う状態における可動レンズの位置をT1、光束入射面からの距離が最も小さい情報記録面に対して情報の記録及び/または再生を行う状態における可動レンズの位置をT2としたとき、以下の(3)式が成り立つことと同義である。
[0046]
 |T1-T0|<|T2-T0|   (3)
 本発明に係る光ピックアップ装置は、少なくとも1つの光源(第1光源)を有する。勿論、複数種類の光ディスクに対応できるように、複数種類の光源を有していてもよい。さらに、本発明の光ピックアップ装置は、少なくとも第1光源からの第1光束を第1光ディスクの情報記録面上に集光させるための集光光学系を有する。複数種類の光ディスクに対応可能な光ピックアップ装置においては、集光光学系が、第2光束を第2光ディスクの情報記録面上に集光させ、第3光束を第3光ディスクの情報記録面上に集光するようにしてもよい。また、本発明の光ピックアップ装置は、少なくとも第1光ディスクの情報記録面からの反射光束を受光する受光素子を有する。複数種類の光ディスクに対応可能な光ピックアップ装置においては、受光素子が、第2光ディスクの情報記録面からの反射光束を受光し、第3光ディスクの情報記録面からの反射光束を受光するようにしてもよい。
[0047]
 第1光ディスクは、厚さがt1の保護基板と情報記録面とを有する。第2光ディスクは厚さがt2(t1<t2)の保護基板と情報記録面とを有する。第3光ディスクは、厚さがt3(t2<t3)の保護基板と情報記録面とを有する。第1光ディスクがBDであり、第2光ディスクがDVDであり、第3光ディスクがCDであることが好ましいが、これに限られるものではない。
[0048]
 第1光ディスクは、厚み方向に重ねて3つ以上の情報記録面を有するものである。当然、4つ以上の情報記録面を有していてもよい。また、第2光ディスクや第3光ディスクも複数の情報記録面を有していてもよい。
[0049]
 本明細書において、BDとは、波長390~415nm程度の光束、NA0.8~0.9程度の対物レンズにより情報の記録/再生が行われ、保護基板の厚さが0.05~0.125mm程度であるBD系列光ディスクの総称であり、単一の情報記録面のみ有するBDや、3層以上の情報記録面を有するBD等を含むものであるが、本発明の光ピックアップ装置は、少なくとも3層以上の情報記録面を有するBDに対応可能であることが好ましい。更に、本明細書においては、DVDとは、NA0.60~0.67程度の対物レンズにより情報の記録/再生が行われ、保護基板の厚さが0.6mm程度であるDVD系列光ディスクの総称であり、DVD-ROM、DVD-Video、DVD-Audio、DVD-RAM、DVD-R、DVD-RW、DVD+R、DVD+RW等を含む。また、本明細書においては、CDとは、NA0.45~0.51程度の対物レンズにより情報の記録/再生が行われ、保護基板の厚さが1.2mm程度であるCD系列光ディスクの総称であり、CD-ROM、CD-Audio、CD-Video、CD-R、CD-RW等を含む。尚、記録密度については、BDの記録密度が最も高く、次いでDVD、CDの順に低くなる。
[0050]
 なお、保護基板の厚さt1、t2、t3に関しては、以下の条件式(4)、(5)、(6)を満たすことが好ましいが、これに限られない。尚、ここで言う、保護基板の厚さとは、光ディスク表面に設けられた保護基板の厚さのことである。即ち、光ディスク表面から、表面に最も近い情報記録面までの保護基板の厚さのことをいう。
[0051]
 0.050mm≦t1≦0.125mm   (4)
 0.5mm≦t2≦0.7mm       (5)
 1.0mm≦t3≦1.3mm       (6)
 本明細書において、第1光源、第2光源、第3光源は、好ましくはレーザ光源である。レーザ光源としては、好ましくは半導体レーザ、シリコンレーザ等を用いることが出来る。第1光源から出射される第1光束の第1波長λ1、第2光源から出射される第2光束の第2波長λ2(λ2>λ1)、第3光源から出射される第3光束の第3波長λ3(λ3>λ2)は以下の条件式(7)、(8)を満たすことが好ましい。
[0052]
 1.5・λ1<λ2<1.7・λ1     (7)
 1.8・λ1<λ3<2.0・λ1     (8)
 また、第1光ディスク、第2光ディスク、第3光ディスクとして、それぞれ、BD、DVD及びCDが用いられる場合、第1光源の第1波長λ1は好ましくは、350nm以上、440nm以下、より好ましくは、390nm以上、415nm以下であって、第2光源の第2波長λ2は好ましくは570nm以上、680nm以下、より好ましくは、630nm以上、670nm以下であって、第3光源の第3波長λ3は好ましくは、750nm以上、880nm以下、より好ましくは、760nm以上、820nm以下である。
[0053]
 また、第1光源、第2光源、第3光源のうち少なくとも2つの光源をユニット化してもよい。ユニット化とは、例えば第1光源と第2光源とが1パッケージに固定収納されているようなものをいう。また、光源に加えて、後述する受光素子を1パッケージ化してもよい。
[0054]
 受光素子としては、フォトダイオードなどの光検出器が好ましく用いられる。光ディスクの情報記録面上で反射した光が受光素子へ入射し、その出力信号を用いて、各光ディスクに記録された情報の読み取り信号が得られる。さらに、受光素子上のスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行い、この検出に基づいて、合焦、トラッキングのために対物レンズを移動させることが出来る。受光素子は、複数の光検出器からなっていてもよい。受光素子は、メインの光検出器とサブの光検出器を有していてもよい。例えば、情報の記録再生に用いられるメイン光を受光する光検出器の両脇に2つのサブの光検出器を設け、当該2つのサブの光検出器によってトラッキング調整用のサブ光を受光するような受光素子としてもよい。また、受光素子は各光源に対応した複数の受光素子を有していてもよい。
[0055]
 集光光学系は、カップリングレンズと対物レンズを有する。カップリングレンズとは、対物レンズと光源の間に配置され、光束の発散角を変えるレンズ群のことをいう。カップリングレンズは、正レンズ群と負レンズ群とを有する。正レンズ群は少なくとも1枚の正レンズを有する。正レンズ群は、正レンズ1枚のみでもよいし、複数のレンズを有していてもよい。負レンズ群は少なくとも1枚の負レンズを有する。負レンズ群は、負レンズ1枚のみでもよいし、複数のレンズを有していてもよい。好ましいカップリングレンズの例は、正レンズ1枚と負レンズ1枚との組み合わせからなるものである。
[0056]
 また、正レンズ群と負レンズ群の配置は、光源側から負レンズ群、正レンズ群の順に配置されていても良いし、光源側から正レンズ群、負レンズ群の順に配置されていても良い。前者においては、光源からの光を負レンズで発散角を拡大して正レンズに入射させ、後者においては、光源からの光を正レンズで集光してから負レンズに入射させる。光径の観点では、前者においては、負レンズから正レンズにいくに従って大きくなり、後者においては、正レンズ入射時に大きくなり、負レンズに向けて小さくなる。従って、カップリングレンズの小型化のために光径を小さくするという観点において、好ましい配置は前者である。
[0057]
 以上より、本発明の光ピックアップ装置におけるカップリングレンズの最適な例は、正レンズ1枚と負レンズ1枚の組み合わせから成り、光源側から負レンズ、正レンズの順に配置されているものである。
[0058]
 第1光ディスクの選択された情報記録面において発生する球面収差を補正するために、正レンズ群の少なくとも1枚のレンズ(好ましくは正レンズ)は光軸方向に移動可能となっている。例えば、第1光ディスクのある情報記録面の記録及び/又は再生を行い、次に、第1光ディスクの他の情報記録面の記録及び/又は再生を行う場合、カップリングレンズ群の正レンズ群の中の少なくとも1枚のレンズが光軸方向に移動し、光束の発散度を変化させ、対物レンズの倍率を変化させることにより、第1光ディスクの異なる情報記録面へのフォーカスジャンプ時に発生する球面収差を補正する。
[0059]
 図1は、本発明者が行った検討結果を示す図である。本発明者は、プラスチック製であって、焦点距離f=1.18mmであり光学面が非球面もしくは回折面であり像側開口数が0.85である対物レンズを例として、複数の情報記録面を有する光ディスク(BD)において、最大限離れた情報記録面にそれぞれ最適な集光スポットを形成した際に生じる最大の球面収差の差Aと、環境温度が±30℃変化したときに生じる最大の球面収差Bと、光源の波長が±5nm変化した際に生じる最大の球面収差Cとを求めた。これを図1の棒グラフで表す。かかる球面収差は、カップリングレンズを光軸方向に移動させ、対物レンズの倍率を変化させることで補正できるが、同じカップリングレンズを用いるとすると、球面収差量の合計がカップリングレンズの移動量に相当することとなる。
[0060]
 ここで、図1(a)、(b)に示すように、情報記録面を2つ有する光ディスクを使用する場合、光学面が非球面屈折面、回折面のいずれの対物レンズでも、球面収差量の合計は410~430mλ程度であり、カップリングレンズの移動量は比較的小さいといえる。一方、図1(c)に示すように、情報記録面を4つ有する光ディスクを使用する場合、光学面が非球面屈折面の対物レンズでは、球面収差量の合計は680mλとなり、カップリングレンズの移動量は、情報記録面を2つ有する光ディスクを使用する場合に比べて、約1.5倍必要になる。更に、図1(d)に示すように、光学面が回折面の対物レンズでは、情報記録面を4つ有する光ディスクを使用する場合、回折面の効果として、温度変化に伴って発生する球面収差を低減しているが、その分、波長変化に伴って発生する球面収差が増加してしまい、結果として、球面収差量の合計は660mλとなり、カップリングレンズの移動量は、情報記録面を2つ有する光ディスクを使用する場合に比べて、同様に約1.5倍必要になる。
[0061]
 但し、対物レンズをガラス製とし且つ光学面を非球面屈折面とすると、環境温度変化による球面収差B(=140mλ)がほぼゼロとなるため、よりカップリングレンズの移動量は小さく(図1(c)において球面収差540mλの補正量相当)なる。さらに、対物レンズをガラス製とし且つ光学面を波長変動時に発生する球面収差を補正する回折面とすると、環境温度変化による球面収差Bに加え、回折面の機能により光源の波長変動による球面収差Cも減少できるため、カップリングレンズの移動量はより小さく(図1(c)において球面収差500mλの補正量相当)なる。しかしながら、このように対物レンズを改良しても、2つの情報記録面を有する光ディスクの使用時におけるカップリングレンズの移動量に対し、4つの情報記録面を有する光ディスクの使用時におけるカップリングレンズの移動量は依然として2倍程度であるため、カップリングレンズの移動量を抑制する更なる工夫が必要である。同様なことは、3つの情報記録面もしくは5つ以上の情報記録面を有する光ディスクの使用時におけるカップリングレンズの移動量についても言える。
[0062]
 尚、上記検討において、情報記録面を2つ有する光ディスクとして(光ディスクの光束入射面からの距離が小さいほうの情報記録面をRL1、光ディスクの光束入射面からの距離が大きいほうの情報記録面をRL2、とする)、光ディスクの光束入射面からRL1までの距離が75μmであり、光ディスクの光束入射面からRL2までの距離が100μmである光ディスクを想定した。さらに、情報記録面を4つ有する光ディスクとして(光ディスクの光束入射面からの距離が最小の情報記録面をRL1、光ディスクの光束入射面からの距離が最大の情報記録面をRL4、とする)、光ディスクの光束入射面からRL1までの距離が50μmであり、光ディスクの光束入射面からRL4までの距離が100μmである光ディスクを想定した。
[0063]
 以下、カップリングレンズの構成と、移動量との関係を述べる。図2は、正レンズ群(図では1枚)L1のみを含むカップリングレンズCL1と、正レンズ群(図では1枚)L2及び負レンズ群(図では1枚)L3を含むカップリングレンズCL2の断面図である。ここで、カップリングレンズCL1の焦点距離は、カップリングレンズCL2の合成焦点距離と等しく、これをfとする。従って、カップリングレンズCL2の正レンズ群L2の焦点距離f2は、カップリングレンズCL1の正レンズ群L1の焦点距離fより短いこととなる。
[0064]
 ここで、同じ倍率変化を与える場合のカップリングレンズの移動量は、移動するレンズのパワー(=1/焦点距離)に逆比例する。よって、同じ倍率変化を与えるために、カップリングレンズCL1の正レンズ群L1と、カップリングレンズCL2の正レンズ群L2を移動させたとき、(1/f)<(1/f2)であるから、(カップリングレンズCL1の移動量)>(カップリングレンズCL2の移動量)となる。即ち、1枚レンズのカップリングレンズCL1を移動させるより、正レンズと負レンズの2枚レンズのカップリングレンズCL2の正レンズ群L2を移動させる方が、必要な移動量が少なくて済むのである。
[0065]
 本明細書において、対物レンズとは、光ピックアップ装置において光ディスクに対向する位置に配置され、光源から射出された光束を光ディスクの情報記録面上に集光する機能を有する光学系を指す。対物レンズは、単玉のガラスレンズである。好ましくは単玉の凸レンズからなる対物レンズである。対物レンズは屈折面のみからなっていてもよいし、光路差付与構造を有していてもよい。尚、ガラスレンズの上に光硬化性樹脂、UV硬化性樹脂、又は熱硬化性樹脂などで光路差付与構造を設けたハイブリッドレンズであってもよい。また、対物レンズは、屈折面が非球面であることが好ましい。また、対物レンズは、光路差付与構造が設けられるベース面が非球面であることが好ましい。
[0066]
 対物レンズがガラスレンズであると、図1を参照して説明したように、温度変化によって発生する球面収差を補正するためにカップリングレンズを移動させる必要がないため、カップリングレンズの移動量を減らすことができ、光ピックアップ装置を小型化できるため好ましい。
[0067]
 また、対物レンズをガラスレンズとする場合は、ガラス転移点Tgが500℃以下、更に好ましくは400℃以下であるガラス材料を使用することが好ましい。ガラス転移点Tgが500℃以下であるガラス材料を使用することにより、比較的低温での成形が可能となるので、金型の寿命を延ばすことが出来る。このようなガラス転移点Tgが低いガラス材料としては、例えば(株)住田光学ガラス製のK-PG325や、K-PG375(共に製品名)がある。
[0068]
 加えて,ガラスレンズを成形して製作する際に重要となる物性値が線膨張係数αである。仮にTgが400℃以下の材料を選んだとしても、樹脂材料と比較して室温との温度差は依然大きい。線膨張係数αが大きい硝材を用いてレンズ成形を行った場合、降温時に割れが発生しやすくなる。硝材の線膨張係数αは、200(10E-7/K)以下にあることが好ましく、更に好ましくは120以下であることが好ましい。
[0069]
 ところで、ガラスレンズは一般的に樹脂レンズよりも比重が大きいため、対物レンズをガラスレンズとすると、質量が大きくなり対物レンズを駆動するアクチュエータに負担がかかる。そのため、対物レンズをガラスレンズとする場合には、比重が小さいガラス材料を使用するのが好ましい。具体的には、比重が4.0以下であるのが好ましく、更に好ましくは比重が3.0以下であるものである。
[0070]
 また、対物レンズを構成する材料のアッベ数は、50以上であることが好ましい。
[0071]
 次に、対物レンズの正弦条件の好ましい条件について説明する。正弦条件とは図3に示すように、光軸からの高さh の光線が、レンズに対して光軸平行入射時に、かかる光線がレンズから出射した際の射出角度がUである時にh /sinUが一定値を満たすことである。これが光軸からの高さh からの高さに関わらず一定値である場合には、正弦条件が満たされて有効径内の各光線の横倍率が一定であるとみなせる。この正弦条件は軸上での計算値であるが、軸外の横倍率誤差(すなわち軸外コマ収差)補正を行う上では有効である。
[0072]
 一方、h /sinUが一定値にならない場合、OSC=h /sinU-fを正弦条件違反量と定義する。図4は、対物レンズにおける正弦条件違反量を横軸にとり、光軸からの高さを縦軸にとって示したグラフである。正弦条件を満足する対物レンズの場合、グラフは縦軸に一致するが、正弦条件を満足しない対物レンズの場合、図2に示すようにグラフは縦軸から正側及び/又は負側に離れることとなる。また、正弦条件を満足しない対物レンズについて、光軸及び有効径付近で正弦条件を満足させるようにすると、正弦条件違反量は必ず極大値を持つ。ここで、正弦条件違反量の正側の極大値をOSCmaxとし、負側の極大値をOSCminとする。
[0073]
 図4(a)に示す特性の対物レンズは、正弦条件違反量が負側の極大値OSCminを1つ有する例である。(正弦条件違反量が負側の極大値OSCminを1つ有する例としては、図4(a)の実線で示したようなものだけでなく、点線で示すように、正弦条件違反量が途中から正の値になるような例であってもよい。)このような対物レンズによれば、面シフト感度が小さく、また軸上厚誤差感度が小さいため、製造が容易である。また、光束入射面からの距離が最も大きい情報記録面に対して情報の記録及び/または再生を行う状態においても、前記光ディスクを同量傾けた場合に発生する3次コマ収差CM(DT)を対物レンズを傾けた場合に発生する3次コマ収差(CT)でキャンセルすることができる上、記録・再生する層に関わらずスポット径の変化を抑えることができる。これは通常光束入射面からの距離が最も大きい情報記録面に対してDTをCTでキャンセルするためには正弦条件違反量が正である必要があるが、負の極大値を有しないとマージナル光線の正弦条件違反量が正の大きな値となり、スポット径が大きくなってしまうためである。特に、対物レンズの正弦条件違反量が負側の極大値を1つ有する場合、BDにおいては、平行光束を入射させたときに球面収差が最小となる設計基板厚が、0.087mm以下、0.05mm以上というように、薄めの設計基板厚にて設計した対物レンズを用いることも可能となる。一方、カップリングレンズの移動に伴い、高次球面収差が増大し、倍率変化による球面収差の変化が小さいという特性を有する。従って、3層以上の光ディスクにおける情報記録面の選択のためカップリングレンズを移動する場合に、必要な移動量が増大する恐れがある。
[0074]
 これに対し、図4(c)に示す特性の対物レンズは、対物レンズの有効半径の6割から9割の間において正弦条件違反量が正側の極大値OSCmaxを1つ有し、それより周辺部で正弦条件違反量が単調に減少するが、負側の極大値を有さない例である。このような対物レンズによれば、カップリングレンズの移動に伴って発生する高次球面収差が減少し、倍率変化による球面収差の変化が大きいという特性を有するため、3層以上の光ディスクにおける情報記録面の選択のためカップリングレンズを移動する場合に、必要な移動量を小さくできる。特に、BDにおいては、平行光束を入射させたときに球面収差が最小となる設計基板厚が、0.15mm以下、0.0875mm以上というように、薄めの設計基板厚にて設計した対物レンズにおいて好ましい。
[0075]
 更に、図4(b)に示す特性の対物レンズは、対物レンズの有効半径の6割から9割の間における正弦条件違反量が正側の極大値OSCmaxと、対物レンズの有効半径の1割から5割の間における負側の極大値OSCminを1つずつ有し、極大値OSCmaxより周辺部で正弦条件違反量が単調に減少し、また極大値OSCminより光軸側で正弦条件違反量が単調に減少する例である。本例は、図4(a)に示す特性と、図4(c)に示す特性のバランスをとったものであり、従って製造容易性を確保しながらも、3層以上の光ディスクにおける情報記録面の選択のため、カップリングレンズを移動する場合に、必要な移動量を小さくできるというものである。
[0076]
 第1光ディスクに対して情報を再生/記録するために必要な対物レンズの像側開口数をNA1とし、第2光ディスクに対して情報を再生/記録するために必要な対物レンズの像側開口数をNA2(NA1>NA2)とし、第3光ディスクに対して情報を再生/記録するために必要な対物レンズの像側開口数をNA3(NA2>NA3)とする。NA1は、0.75以上、0.9以下であることが好ましく、より好ましくは、0.8以上、0.9以下である。特にNA1は0.85であることが好ましい。NA2は、0.55以上、0.7以下であることが好ましい。特にNA2は0.60又は0.65であることが好ましい。また、NA3は、0.4以上、0.55以下であることが好ましい。特にNA3は0.45又は0.53であることが好ましい。
[0077]
 また、対物レンズは、以下の条件式(9)を満たすことが好ましい。
[0078]
 0.9≦d/f≦1.5   (9)
 但し、dは、対物レンズの光軸上の厚さ(mm)を表し、fは、第1光束における対物レンズの焦点距離を表す。なお、fは、1.0mm以上、1.8mm以下となることが好ましい。
[0079]
 BDのような短波長、高NAの光ディスクに対応する対物レンズの場合、対物レンズの焦点距離に対する光軸上の厚さの比が大きくなりすぎると、対物レンズに対して軸外光束が入射した際に非点収差が発生しやすくなったり、作動距離が確保出来なくなるという課題が生じる。一方、対物レンズの焦点距離に対する光軸上の厚さの比が小さくなりすぎると、面シフト感度が大きくなるという課題が生じる。条件式(9)を満たすことにより非点収差の発生や面シフト感度を抑制することが可能となる。
[0080]
 また、第1光ディスクを用いる際の対物レンズの作動距離は、0.15mm以上、1.0mm以下であることが好ましい。
[0081]
 本発明に係る光情報記録再生装置は、上述の光ピックアップ装置を有する光ディスクドライブ装置を有する。
[0082]
 ここで、光情報記録再生装置に装備される光ディスクドライブ装置に関して説明すると、光ディスクドライブ装置には、光ピックアップ装置等を収納している光情報記録再生装置本体から光ディスクを搭載した状態で保持可能なトレイのみが外部に取り出される方式と、光ピックアップ装置等が収納されている光ディスクドライブ装置本体ごと、外部に取り出される方式とがある。
[0083]
 上述した各方式を用いる光情報記録再生装置には、概ね、次の構成部材が装備されているがこれに限られるものではない。ハウジング等に収納された光ピックアップ装置、光ピックアップ装置をハウジングごと光ディスクの内周あるいは外周に向けて移動させるシークモータ等の光ピックアップ装置の駆動源、光ピックアップ装置のハウジングを光ディスクの内周あるいは外周に向けてガイドするガイドレールなどを有した光ピックアップ装置の移送手段及び、光ディスクの回転駆動を行うスピンドルモータ等である。
[0084]
 前者の方式には、これら各構成部材の他に、光ディスクを搭載した状態で保持可能なトレイおよびトレイを摺動させるためのローディング機構等が設けられ、後者の方式にはトレイおよびローディング機構がなく、各構成部材が外部に引き出し可能なシャーシに相当するドロワーに設けられていることが好ましい。

発明の効果

[0085]
 本発明によれば、コンパクト且つ低コストでありながら、多層の情報記録面を有する光ディスクに対して情報の記録/再生を行うことができる光ピックアップ装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0086]
[図1] 本発明者が行った検討結果に基づく各球面収差を比較して示す図である。
[図2] 比較例のカップリングレンズCL1と、本発明の一例にかかるカップリングレンズCL2の断面図である。
[図3] 正弦条件を説明するための図である。
[図4] 正弦条件不満足量の例を示す図である。
[図5] 光ピックアップ装置PU1の構成を概略的に示す図である。
[図6] 光ピックアップ装置PU2の構成を概略的に示す図である。
[図7] 実施例の正弦条件違反量を示すグラフである。

発明を実施するための形態

[0087]
(第1の実施の形態)
 以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図5は、厚さ方向に3つの情報記録面RL1~RL3(光ディスクの光束入射面からの距離が小さい順にRL1、RL2、RL3とする)を有する光ディスクであるBDに対して適切に情報の記録/再生を行うことができる本実施の形態の光ピックアップ装置PU1の構成を概略的に示す図である。かかる光ピックアップ装置PU1は、光情報記録再生装置に搭載できる。なお、本発明は、本実施の形態に限られるものではない。
[0088]
 光ピックアップ装置PU1は、対物レンズOBJ、対物レンズOBJをフォーカシング方向及びトラッキング方向に移動させ、光ディスクのラジアル方向、及び/または、タンジェンシャル方向に傾ける3軸アクチュエータAC2、λ/4波長板QWP、正の屈折力を有する1枚の正レンズからなる正レンズ群L2と負の屈折力を有する1枚の負レンズからなる負レンズ群L3とを有するカップリングCL、正レンズ群L2のみ光軸方向に移動させる1軸アクチュエータAC1、偏光プリズムPBS、405nmのレーザ光束(光束)を射出する半導体レーザLD、センサ用レンズSL、BDの情報記録面RL1~RL3からの反射光束を受光する受光素子PDを有する。本実施の形態においては、カップリングレンズCLは、偏光プリズムPBSとλ/4波長板QWPとの間に配置されている。尚、本実施の形態では、対物レンズOBJはガラス製の単玉であるが、2つ以上の光学素子を組み合わせて用いても良い。
[0089]
 まず、BDの第1の情報記録面RL1に対して記録/再生を行う場合について説明する。かかる場合、カップリングレンズCLの正レンズ群L2は、1軸アクチュエータAC1により実線の位置に移動させられる。ここで、青紫色半導体レーザLDから射出された光束(λ1=405nm)の発散光束は、偏光プリズムPBSを透過し、コリメートレンズCLの負レンズ群L3を通過して発散角が増大され、更に正レンズ群L2を通過して弱い収束光束とされた後、λ/4波長板QWPにより直線偏光から円偏光に変換され、図示しない絞りによりその光束径が規制され、対物レンズOBJによって第1の厚さの保護基板PL1を介して、実線で示すように第1の情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。
[0090]
 第1の情報記録面RL1上で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOBJ、絞りを透過した後、λ/4波長板QWPにより円偏光から直線偏光に変換され、コリメートレンズCLの正レンズ群L2及び負レンズ群L3を通過して収束光束とされ、偏光プリズムPBSで反射した後、センサ用レンズSLによって、受光素子PDの受光面上に収束する。そして、受光素子PDの出力信号を用いて、3軸アクチュエータAC2により対物レンズOBJをフォーカシングやトラッキングさせることで、第1の情報記録面RL1に記録された情報を読み取ることができる。
[0091]
 次に、BDの第2の情報記録面RL2に対して記録/再生を行う場合について説明する。かかる場合、カップリングレンズCLの正レンズ群L2は、1軸アクチュエータAC1により一点鎖線の位置に移動させられる。ここで、青紫色半導体レーザLDから射出された光束(λ1=405nm)の発散光束は、偏光プリズムPBSを透過し、コリメートレンズCLの負レンズ群L3を通過して発散角が増大され、更に正レンズ群L2を通過して略平行光束とされた後、λ/4波長板QWPにより直線偏光から円偏光に変換され、図示しない絞りによりその光束径が規制され、対物レンズOBJによって第2の厚さ(第1の厚さより厚い)の保護基板PL2を介して、一点鎖線で示すように第2の情報記録面RL2上に形成されるスポットとなる。
[0092]
 第2の情報記録面RL2上で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOBJ、絞りを透過した後、λ/4波長板QWPにより円偏光から直線偏光に変換され、コリメートレンズCLの正レンズ群L2及び負レンズ群L3を通過して収束光束とされ、偏光プリズムPBSで反射した後、センサ用レンズSLによって、受光素子PDの受光面上に収束する。そして、受光素子PDの出力信号を用いて、3軸アクチュエータAC2により対物レンズOBJをフォーカシングやトラッキングさせることで、第2の情報記録面RL2に記録された情報を読み取ることができる。
[0093]
 次に、BDの第3の情報記録面RL3に対して記録/再生を行う場合について説明する。かかる場合、カップリングレンズCLの正レンズ群L2は、1軸アクチュエータAC1により点線の位置に移動させられる。ここで、青紫色半導体レーザLDから射出された光束(λ1=405nm)の発散光束は、偏光プリズムPBSを透過し、コリメートレンズCLの負レンズ群L3を通過して発散角が増大され、更に正レンズ群L2を通過して弱い発散光束とされた後、λ/4波長板QWPにより直線偏光から円偏光に変換され、図示しない絞りによりその光束径が規制され、対物レンズOBJによって第3の厚さ(第2の厚さより厚い)の保護基板PL3を介して、点線で示すように第3の情報記録面RL3上に形成されるスポットとなる。
[0094]
 第3の情報記録面RL3上で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOBJ、絞りを透過した後、λ/4波長板QWPにより円偏光から直線偏光に変換され、コリメートレンズCLの正レンズ群L2及び負レンズ群L3を通過して収束光束とされ、偏光プリズムPBSで反射した後、センサ用レンズSLによって、受光素子PDの受光面上に収束する。そして、受光素子PDの出力信号を用いて、3軸アクチュエータAC2により対物レンズOBJをフォーカシングやトラッキングさせることで、第3の情報記録面RL3に記録された情報を読み取ることができる。
(第2の実施の形態)
 図6は、厚さ方向に3つの情報記録面RL1~RL3(光ディスクの光束入射面からの距離が小さい順にRL1、RL2、RL3とする)を有する光ディスクであるBDに対して適切に情報の記録/再生を行うことができる第2の実施の形態にかかる光ピックアップ装置PU2の構成を概略的に示す図である。かかる光ピックアップ装置PU2は、光情報記録再生装置に搭載できる。なお、本発明は、本実施の形態に限られるものではない。
[0095]
 光ピックアップ装置PU2は、上述した光ピックアップ装置PU1に対して、カップリングレンズCLの配置のみが異なる。具体的には、カップリングレンズCLの正レンズ群L2が偏光プリズムPBSと対物レンズOBJとの間に配置され、負レンズ群L3が青紫色半導体レーザLDと偏光プリズムPBSとの間に配置されている。それ以外の構成については、光ピックアップ装置PU1と同様である。
[0096]
 まず、BDの第1の情報記録面RL1に対して記録/再生を行う場合について説明する。かかる場合、カップリングレンズCLの正レンズ群L2は、1軸アクチュエータAC1により実線の位置に移動させられる。ここで、青紫色半導体レーザLDから射出された光束(λ1=405nm)の発散光束は、コリメートレンズCLの負レンズ群L3を通過して発散角が増大され、偏光プリズムPBSを透過し、更に正レンズ群L2を通過して弱い収束光束とされた後、λ/4波長板QWPにより直線偏光から円偏光に変換され、図示しない絞りによりその光束径が規制され、対物レンズOBJによって第1の厚さの保護基板PL1を介して、実線で示すように第1の情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。
[0097]
 第1の情報記録面RL1上で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOBJ、絞りを透過した後、λ/4波長板QWPにより円偏光から直線偏光に変換され、コリメートレンズCLの正レンズ群L2を通過して収束光束とされ、偏光プリズムPBSで反射した後、センサ用レンズSLによって、受光素子PDの受光面上に収束する。そして、受光素子PDの出力信号を用いて、3軸アクチュエータAC2により対物レンズOBJをフォーカシングやトラッキングさせることで、第1の情報記録面RL1に記録された情報を読み取ることができる。
[0098]
 次に、BDの第2の情報記録面RL2に対して記録/再生を行う場合について説明する。かかる場合、カップリングレンズCLの正レンズ群L2は、1軸アクチュエータAC1により一点鎖線の位置に移動させられる。ここで、青紫色半導体レーザLDから射出された光束(λ1=405nm)の発散光束は、コリメートレンズCLの負レンズ群L3を通過して発散角が増大され、偏光プリズムPBSを透過し、更に正レンズ群L2を通過して略平行光束とされた後、λ/4波長板QWPにより直線偏光から円偏光に変換され、図示しない絞りによりその光束径が規制され、対物レンズOBJによって第2の厚さ(第1の厚さより厚い)の保護基板PL2を介して、一点鎖線で示すように第2の情報記録面RL2上に形成されるスポットとなる。
[0099]
 第2の情報記録面RL2上で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOBJ、絞りを透過した後、λ/4波長板QWPにより円偏光から直線偏光に変換され、コリメートレンズCLの正レンズ群L2を通過して収束光束とされ、偏光プリズムPBSで反射した後、センサ用レンズSLによって、受光素子PDの受光面上に収束する。そして、受光素子PDの出力信号を用いて、3軸アクチュエータAC2により対物レンズOBJをフォーカシングやトラッキングさせることで、第2の情報記録面RL2に記録された情報を読み取ることができる。
[0100]
 次に、BDの第3の情報記録面RL3に対して記録/再生を行う場合について説明する。かかる場合、カップリングレンズCLの正レンズ群L2は、1軸アクチュエータAC1により点線の位置に移動させられる。ここで、青紫色半導体レーザLDから射出された光束(λ1=405nm)の発散光束は、コリメートレンズCLの負レンズ群L3を通過して発散角が増大され、偏光プリズムPBSを透過し、更に正レンズ群L2を通過して弱い発散光束とされた後、λ/4波長板QWPにより直線偏光から円偏光に変換され、図示しない絞りによりその光束径が規制され、対物レンズOBJによって第3の厚さ(第2の厚さより厚い)の保護基板PL3を介して、点線で示すように第3の情報記録面RL3上に形成されるスポットとなる。
[0101]
 第3の情報記録面RL3上で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOBJ、絞りを透過した後、λ/4波長板QWPにより円偏光から直線偏光に変換され、コリメートレンズCLの正レンズ群L2を通過して収束光束とされ、偏光プリズムPBSで反射した後、センサ用レンズSLによって、受光素子PDの受光面上に収束する。そして、受光素子PDの出力信号を用いて、3軸アクチュエータAC2により対物レンズOBJをフォーカシングやトラッキングさせることで、第3の情報記録面RL3に記録された情報を読み取ることができる。
[0102]
 尚、以上の実施の形態において、カップリングレンズにおける負レンズ群を対物レンズ側に配置し、正レンズ群を光源側に配置しても良い。
[0103]
 また、以上の実施の形態において、光ディスクに対して情報の記録及び/または再生行う際に、光ディスクの反りや傾きにより発生するコマ収差を補正するために、3軸アクチュエータAC2で、対物レンズOBJを光ディスクのラジアル方向及び/またはタンジェンシャル方向に沿って傾ける。これにより、反りを持つ光ディスクに対する情報の記録及び/または再生を安定して行え、かつ、光ディスクが回転中に傾いた場合でも情報記録面上のスポットの品質を良好に保つことが可能になる。
[0104]
 更に、以上の実施の形態において、対物レンズOBJの焦点距離は、1.0mmから1.8mmの範囲であることが好ましい。これにより、小型化が要求される薄型の光ピックアップ装置に対して好適な光ピックアップ装置を得ることができる。
実施例
[0105]
 次に、上述の実施の形態に用いることができる集光光学系の実施例について以下に説明する。集光光学系の対物レンズの焦点距離は1.41mmであり、カップリングレンズの正レンズの焦点距離は8mmであり、カップリングレンズ全系の焦点距離は14.1mmであるので、集光光学系の倍率は-0.1である。更に、集光光学系の設計波長は405nm、以下の表中のriは曲率半径、diは第i面から第i+1面までの光軸方向の位置、ndiはd線(587.6nm)における各面の屈折率、n405iは設計波長405nmにおける各面の屈折率、νdはd線におけるアッベ数を表している。また、実施例における対物レンズがガラス製でHOYA株式会社製のSK5を用いている。尚、これ以降(表のレンズデータ含む)において、10のべき乗数(例えば、2.5×10 -3)を、E(例えば、2.5×E-3)を用いて表すものとする。対物レンズの光学面は、それぞれ数1式に表1に示す係数を代入した数式で規定される、光軸の周りに軸対称な非球面に形成されている。
[0106]
[数1]


[0107]
 ここで、X(h)は光軸方向の軸(光の進行方向を正とする)、κは円錐係数、A は非球面係数、hは光軸からの高さ、rは近軸曲率半径である。
(実施例1)
 表1、及び、表2に実施例1のレンズデータを示す。本実施例は負レンズと正レンズを有する2群構成のカップリングレンズと対物レンズとから構成される。本例における対物レンズは、0.075mmの厚さの保護基板厚と倍率ゼロ(対物レンズに対して平行光束が入射することに相当する)の組合せにて球面収差、及び、正弦条件違反量(図7参照)が良好に補正されるように光学面形状が決定されている。また、この状態における対物レンズの正弦条件違反量を図7(A)に示す。
[0108]
[表1]


[0109]
[表2]


[0110]
 表1は、本実施例において光束入射面からの距離が0.05mmの情報記録面(RL1)に対して情報の記録及び/または再生を行う状態を表すものである。RL1に対して情報の記録及び/または再生を行う際には、正レンズを対物レンズ側に移動することで、正レンズから射出される光束が弱い収束光束とし、光束入射面から情報記録面までの距離が変わったことに伴う3次球面収差を補正する。
[0111]
 一方、表2は、本実施例において光束入射面からの距離が0.1mmの情報記録面(RL3)に対して情報の記録及び/または再生を行う状態を表すものである。光束入射面からの距離が0.1mmの情報記録面に対して情報の記録及び/または再生を行う際には、正レンズを光源側に移動することで、正レンズから射出される光束が弱い発散光束とし、光束入射面から情報記録面までの距離が変わったことに伴う3次球面収差を補正する。
(実施例2)
 表3、及び、表4に実施例2のレンズデータを示す。本実施例は負レンズと正レンズを有する2群構成のカップリングレンズと対物レンズとからされる。本実施例におけるカップリングレンズは上述した実施例1と同じものである。本実施例における対物レンズは、0.075mmの厚さの保護基板厚と倍率ゼロ(対物レンズに対して平行光束が入射することに相当する)の組合せにて球面収差が良好に補正されるとともに、有効半径の6割から9割の間で、対物レンズの正弦条件違反量が正の極大値を持ち、それより周辺部で正弦条件違反量が単調に減少するようコマ収差の補正状態が設定されている。また、この状態における対物レンズの正弦条件違反量を図7(B)に示す。
[0112]
[表3]


[0113]
[表4]


[0114]
 表3は、本実施例において光束入射面からの距離が0.05mmの情報記録面(RL1)に対して情報の記録及び/または再生を行う状態を表すものである。RL1に対して情報の記録及び/または再生を行う際には、正レンズを対物レンズ側に移動することで、正レンズから射出される光束が弱い収束光束とし、光束入射面から情報記録面までの距離が変わったことに伴う3次球面収差を補正する。
[0115]
 一方、表4は、本実施例において光束入射面からの距離が0.1mmの情報記録面(RL3)に対して情報の記録及び/または再生を行う状態を表すものである。光束入射面からの距離が0.1mmの情報記録面に対して情報の記録及び/または再生を行う際には、正レンズを光源側に移動することで、正レンズから射出される光束が弱い発散光束とし、光束入射面から情報記録面までの距離が変わったことに伴う3次球面収差を補正する。
(実施例3)
 表5、及び、表6に実施例3のレンズデータを示す。本実施例は負レンズと正レンズを有する2群構成のカップリングレンズと対物レンズとからされる。本実施例におけるカップリングレンズは上述した実施例1と同じものである。本実施例における対物レンズは、0.090mmの厚さの保護基板厚と倍率ゼロ(対物レンズに対して平行光束が入射することに相当する)の組合せにて球面収差、及び、正弦条件違反量(図7参照)が良好に補正されるように光学面形状が決定されている。また、この状態における対物レンズの正弦条件違反量を図7(C)に示す。
[0116]
[表5]


[0117]
[表6]


[0118]
 表5は、本比較例において光束入射面からの距離が0.05mmの情報記録面(RL1)に対して情報の記録及び/または再生を行う状態を表すものである。RL1に対して情報の記録及び/または再生を行う際には、正レンズを対物レンズ側に移動することで、正レンズから射出される光束が弱い収束光束とし、光束入射面から情報記録面までの距離が変わったことに伴う3次球面収差を補正する。
[0119]
 一方、表6は、本実施例において光束入射面からの距離が0.1mmの情報記録面(RL3)に対して情報の記録及び/または再生を行う状態を表すものである。光束入射面からの距離が0.1mmの情報記録面に対して情報の記録及び/または再生を行う際には、正レンズを光源側に移動することで、正レンズから射出される光束が弱い発散光束とし、光束入射面から情報記録面までの距離が変わったことに伴う3次球面収差を補正する。
[0120]
 表7に、実施例1、実施例2、実施例3において、RL1に対して情報の記録及び/または再生を行う際の、正レンズの移動量(移動量のゼロ点は対物レンズに対して平行光束が入射する場合の正レンズの位置とし、ゼロ点に対して正レンズが対物レンズに近づく方向に移動する場合を「+」、正レンズが光源に近づく方向に移動する場合を「-」とする)、正レンズの位置を最適化した状態での3次球面収差(λrms)と5次球面収差(λrms)の絶対値、対物レンズに対して0.5度傾いた光束が入射する場合に対物レンズで発生する3次コマ収差(λrms)の絶対値と5次コマ収差(λrms)の絶対値、対物レンズを0.5度傾けた場合に発生する3次コマ収差(λrms)の絶対値と5次コマ収差(λrms)の絶対値、光ディスクを0.5度傾けた場合に発生する3次コマ収差(λrms)の絶対値と5次コマ収差(λrms)の絶対値を示す。
[0121]
[表7]


[0122]
 また、表8に、実施例1、実施例2、実施例3において、RL3に対して情報の記録及び/または再生を行う際の、正レンズの移動量(移動量のゼロ点は対物レンズに対して平行光束が入射する場合の正レンズの位置とし、ゼロ点に対して正レンズが対物レンズに近づく方向に移動する場合を「+」、正レンズが光源に近づく方向に移動する場合を「-」とする)、正レンズの位置を最適化した状態での3次球面収差(λrms)と5次球面収差(λrms)の絶対値、対物レンズに対して0.5度傾いた光束が入射する場合に対物レンズで発生する3次コマ収差(λrms)の絶対値と5次コマ収差(λrms)の絶対値、対物レンズを0.5度傾けた場合に発生する3次コマ収差(λrms)の絶対値と5次コマ収差(λrms)の絶対値、光ディスクを0.5度傾けた場合に発生する3次コマ収差(λrms)の絶対値と5次コマ収差(λrms)の絶対値を示す。
[0123]
[表8]


[0124]
 先ず、実施例1において、正レンズと負レンズの2枚からなるカップリングレンズにおける正レンズの移動量は、カップリングレンズが単玉のコリメータレンズである場合に比して、移動量が小さくなっている。更に、図7、表7、及び、表8からわかるように、実施例2の集光光学系の対物レンズは、対物レンズに対して平行光束が入射する状態において、対物レンズの有効半径の6割から9割の間で、前記対物レンズの正弦条件違反量が正の極大値を持ち、それより周辺部で正弦条件違反量が単調に減少するようコマ収差の補正状態が設定されているので、実施例1の集光光学系から、更に正レンズの移動量を1割程度小さくすることが出来ることがわかる。また、正レンズの位置を最適化した状態での5次球面収差(フォーカスジャンプ時の残留収差)も、実施例1では0.01λrms程度残留するのに対し、実施例2ではほぼゼロになっており、5次球面収差の点で実施例2はより改善出来ていることがわかる。
[0125]
 また、表7、及び、表8からわかるように、実施例3の集光光学系の対物レンズは、対物レンズに対して平行光束が入射する状態において、0.090mmの厚さの保護基板厚に対して球面収差が最小になるように光学面の形状が決定したことで、RL1に対して情報の記録及び/または再生を行う状態における正レンズの移動量の絶対値よりも、RL3に対して情報の記録及び/または再生を行う状態における正レンズの移動量の絶対値を小さくした。これにより、RL3に対して情報の記録及び/または再生を行う際に、対物レンズを傾けた場合に発生する3次コマ収差(LT)に対する、光ディスクを同量傾けた場合に発生する3次コマ収差CM(DT)の比の絶対値を0.73と高くすることが出来た。この結果、光ディスクの反りや傾きにより発生するコマ収差を補正するために必要な対物レンズの傾け量が小さくてすむ。これに対して、実施例1の集光光学系では、LTに対するDTの比の絶対値は0.36であるので、実施例3において、光ディスクの反りや傾きにより発生するコマ収差を補正するために必要な対物レンズの傾け量をより小さく出来る点で、より好ましい例となっていることがわかる。
[0126]
 本発明は、明細書に記載の実施例に限定されるものではなく、他の実施例・変形例を含むことは、本明細書に記載された実施例や思想から本分野の当業者にとって明らかである。明細書の記載及び実施例は、あくまでも例証を目的としており、本発明の範囲は後述するクレームによって示されている。

符号の説明

[0127]
 OBJ 対物レンズ
 PU1 光ピックアップ装置
 PU2 光ピックアップ装置
 LD 青紫色半導体レーザ
 AC1 1軸アクチュエータ
 AC2 3軸アクチュエータ
 PBS 偏光プリズム
 CL カップリングレンズ
 L2 正レンズ群
 L3 負レンズ群
 PL1 第1の保護基板
 PL2 第2の保護基板
 PL3 第3の保護基板
 RL1 第1の情報記録面
 RL2 第2の情報記録面
 RL3 第3の情報記録面
 QWP λ/4波長板

請求の範囲

[請求項1]
 厚さ方向に3つ以上の情報記録面を有する光ディスクにおけるいずれかの情報記録面を選択して、情報の記録及び/または再生を行う光ピックアップ装置であって、
 波長λ1(390nm<λ1<415nm)の光束を出射する光源と、前記光束を光ディスクの情報記録面上に集光させるための対物レンズと、前記光源と前記対物レンズとの間に配置された正の屈折力を有する正レンズ群及び負の屈折力を有する負レンズ群からなるカップリングレンズとを有し、
 前記対物レンズの像側開口数(NA)は0.8以上であり、
 前記対物レンズは単玉であって、ガラス素材から形成されており、
 前記光源から出射された光束を、前記カップリングレンズを介して前記対物レンズに入射させ、前記対物レンズにより前記光ディスクの選択された情報記録面上に集光することによって情報の記録及び/または再生を行うようになっており、
 前記光ディスクにおける情報の記録及び/又は再生を行うべき情報記録面をある情報記録面から他の情報記録面へと変える際、前記正レンズ群の少なくとも1つのレンズを光軸方向に移動させることを特徴とする光ピックアップ装置。
[請求項2]
 前記対物レンズに対して平行光束が入射する状態において、前記対物レンズの有効半径の6割から9割の間で、前記対物レンズの正弦条件違反量が正の極大値を持ち、それより周辺部で正弦条件違反量が単調に減少するようコマ収差の補正状態が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
[請求項3]
 前記対物レンズに対して平行光束が入射する状態において、前記対物レンズの有効半径の4割から8割の間で、前記対物レンズの正弦条件違反量が負の極大値を持ち、それより周辺部で正弦条件違反量が単調に減少するようコマ収差の補正状態が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
[請求項4]
 前記光ディスクに対して情報の記録及び/または再生を行う際に、前記対物レンズを前記光ディスクのラジアル方向及び/またはタンジェンシャル方向に沿って傾けることが可能になっているとともに、前記光ディスクの光束入射面からの距離が最も大きい情報記録面に対して情報の記録及び/または再生を行う状態において、前記対物レンズを傾けた場合に発生する3次コマ収差CM(LT)に対する、前記光ディスクを同量傾けた場合に発生する3次コマ収差CM(DT)の比の絶対値が0.4以上であることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]