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1. WO2011142343 - APPAREIL D'IMAGERIE RADIOGRAPHIQUE ET FANTÔME UTILISÉ POUR CELUI-CI

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明 細 書

発明の名称 放射線撮像装置及び同装置に用いるファントム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013  

課題を解決するための手段

0014   0015  

発明の効果

0016  

図面の簡単な説明

0017  

発明を実施するための形態

0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201  

産業上の利用可能性

0202  

符号の説明

0203  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27   28   29(1)   29(2)   30   31   32   33   34   35   36   37   38   39   40   41   42   43   44   45  

明 細 書

発明の名称 : 放射線撮像装置及び同装置に用いるファントム

技術分野

[0001]
 本発明は、放射線を用いて対象物を撮像する放射線撮像装置及び同装置に用いるファントムに係り、とくに、トモシンセス法に基づいて対象物のパノラマ画像などの画像を生成する放射線撮像装置及び同装置で用いるキャリブレーションや撮像空間の構造解析に用いるファントムに関する。

背景技術

[0002]
 近年、トモシンセシス法(tomosynthesis)に依る被検体の断層撮影法が盛んに行われるようになっている。このトモシンセシス法の原理はかなり古くから知られている(例えば特許文献1を参照)。近年では、そのトモシンセシス法に依る画像再構成の簡便さを享受しようとする断層撮影法も提案されている(例えば特許文献2及び特許文献3を参照)。また、歯科用及びマンモグラフィでその例が多数見られるようになっている(例えば特許文献4、特許文献5、特許文献6を参照)。
[0003]
 従来、このトモシンセシス法を好んで適用した放射線撮像装置の1つに、X線を用いた歯科用のパノラマ撮像装置がある。このパノラマ撮像装置は、X線検出器(以下、検出器と呼ぶ)の動きに制約があるため、撮像空間に機械的に設定される軌道に従った断層面(基準断層面と呼ぶ)に焦点が合うようになっている。なお、撮像空間とは、被検体の顎部の周囲を回転するX線管及び検出器の間に位置する、X線パスが移動する空間を言う。
[0004]
 このため、撮像空間において歯列が基準断層面に沿って位置しているときにのみ、画像の焦点は最適化される。しかし、歯列が基準断層面からずれている場合、画像は最適な焦点を失い、ぼける。したがって、不鮮明な部分を精度良く見たい場合は、ボケた部位が鮮明に見えるように被検体の位置決めをやり直してデータの再収集を行うか、ボケた部分の口内撮影を施して、より鮮明な画像を得ていた。
[0005]
 その一方で、近年、特許文献7のように、X線の検出データを高速(例えば300FPS)に収集できる検出器を使用し、その検出データをすべてコンピュータに取り込み、トモシンセシス法を実行するX線パノラマ撮像装置が開発されている。この装置の場合、検出データをトモシンセス法で処理して断層面のパノラマ画像を生成するとともに、その断層面の位置をその面の前後方向に変更し、その変更した断層面のパノラマ画像を生成できる。この画像生成を行うために、予め、検出器の検出面(つまり、X線の入射面)に平行な複数の断層面の距離の情報(シフト・アンド・アッド量またはゲインと呼ばれる)を、ファントムを用いて求めるか、理論計算で求める。撮像時には、X線管及び検出器の対を被検体の顎部の周囲に回転させながらデータ収集を行う。このときの回転中心の位置は、歯列に対して接近したり離れたりする。収集されたデータは、上述の距離の情報を用いたトモシンセシス法をソフトウエア処理することで、ボケの少ない画像が作成される。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開昭57-203430
特許文献2 : 特開平6-88790
特許文献3 : 特開平10-295680
特許文献4 : 特開平4-144548
特許文献5 : 特開2008-11098
特許文献6 : 米国特許公開 US2006/0203959 A1
特許文献7 : 特開2007-136163

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 上述した特許文献7に記載のパノラマ撮像装置の場合、再構成される複数の断層面は、各回転角度の位置に在る検出器とX線管とを結ぶライン上のある位置に存在すると仮定し、この仮定の元にトモシンセス法を用いて各断層面のパノラマ画像を作成している。このため、別の断層面のパノラマ画像を作成するなど、断層面を変更したときに、画像の拡大率が変わるため、この変化に因る歪が画像の縦方向(歯列の上下方向)に生じる。画像はデジタル化されているので、基準断層面に歯列が正確に位置決めされていれば、縦横の両方向に共に歪のない画像は作ることは可能ではある。
[0008]
 しかし、この位置決めの条件から外れた場合、必ず画像に歪が発生する。また、歯列が基準断層面に沿って位置していない場合、再構成されたパノラマ画像には横方向のボケも生じる。その場合、画像処理によって焦点の合った画像が作成されれば、横方向の歪(ボケ)は少なくなる。しかし、その場合でも、縦方向の歪はシフト・アンド・アッド量には関与しないため、パノラマ画像に縦方向の歪が残る。画像に歪があると、例えば画像上の2点の距離が実体に比して正しく描出されない。むろん、その2点間の距離も正確に計測できないなど、パノラマ画像を用いた計測能力は低い。
[0009]
 上述した縦方向の歪の原因は以下のようである。データ収集時においてX線管と検出器とが互いに異なる半径で且つ互いに正対しながら歯列の周りを回転する。この回転の間、X線管及び検出器の対の歯列に対する回転角度、すなわちX線管から検出器に照射されるX線束の照射角度を順次変化させてX線スキャンが実行される。このとき、回転角度が変化するにつれて、X線管と検出器の回転の中心(回転中心:X線管及び検出器は共に、この同一の回転中心を中心に回転する)の位置が歯列に近づいたり、離れたりする。この回転中心の変化によって、歯列の縦方向の拡大率が歯列の歯列方向の各位置で異なり、これがパノラマ画像の縦方向の歪発生の原因となっていた。
[0010]
 勿論、断層面を変えたときにもこの歪は生じる。このため、特許文献7に記載のパノラマ撮像装置によって生成されたパノラマ画像は定量的な計測には不向きである。また、サブトラクションなど時系列の変化を見ることも難しい。したがって、その臨床的な用途は限られている。このような理由が、従来のパノラマ撮像装置を真の口内撮影の代替手段としては使えず、歯科用CTには及ばない、一つの理由である。
[0011]
 ところで、パノラマ撮像装置は、各メーカ間で違いがあるのは勿論のこと、同じメーカの製造であっても、その装置毎に機械的な動作にバラツキを有している。特に、X線管と検出器を回転させる機構では、そのようなバラツキの影響は誤差として、再構成されるパノラマ画像に影響する。このため、X線管と検出器との間の位置関係、X線管及び検出器の対の回転中心の移動状況、その移動の速度、更には、X線の照射方向などのファクタが設計通りかどうかなどについて、装置毎にチェックし、そのバラツキの情報を持っておくことが必要になる。この情報を得るということは、撮像空間の構造(基準断層面に対する位置関係)を3次元的に把握することを意味する。この情報は装置毎に把握して、得られた情報をパノラマ再構成に反映させるべきであるが、従来、そのような必要性がないと同時に、そのような仕組みも手法も無いというのが現状であった。
[0012]
 本発明は、上述の従来の状況に鑑みてなされたもので、撮像空間内の予め定めた断層面に対する、放射線の照射角度毎の撮像系の構造、すなわち撮像空間の3次元構造をファントムを用いたスキャンで的確に把握し、その構造情報を用いて歪がより少なく、撮影対象の3次元的な実位置をより精度良く反映した画像を提供することができる放射線撮像装置及び同装置に用いるファントムを提供することを、その目的とする。
[0013]
 本発明は、特に、上述した構造情報を用いて、トモシンセス法の基で再構成される画像上の縦方向の歪を排除または軽減し、実体物の3次元的な位置をより精度良く反映した断層像を提供することができる放射線撮像装置及び同装置に用いるファントムを提供することを、更なる目的とする。

課題を解決するための手段

[0014]
 上述した目的を達成するために、本発明は、その1つの態様として、放射線を放出する放射線源と、前記放射線源に対峙して配置され、かつ、前記放射線を入射したときに当該放射線に対応したデジタル電気量の2次元データをフレーム単位で出力する検出器と、前記放射線源と前記検出器との間に提供される撮像空間において当該放射線源と当該検出器とを結ぶラインが位置的に変化するように、当該放射線源及び当該検出器、当該放射線源、又は、前記対象物の何れかを、当該放射線源、当該検出器、及び当該対象物のうちの残りの要素に対して相対的に移動させる移動手段と、前記移動手段により前記放射線源及び前記検出器、当該検出器、又は、前記対象物を移動させている間に、前記検出器から出力される前記データをフレーム単位で収集するデータ収集手段と、を備え、前記データ収集手段により収集された前記データを用いて前記対象物の撮像部位の3次元画像を生成する放射線撮像装置において、前記撮像空間に配置されるとともに、この配置によって当該撮像空間内の予め定めた断層面に位置付けられ且つ既知の位置情報を前記放射線で画像化可能なマーカを有するファントムと、前記ファントム装置を前記撮像空間に配置した状態で、前記放射線源から放出された放射線に応じて前記データ収集手段により収集されたデータに基づいて画像を作成する画像作成手段と、前記マーカの既知の位置情報と前記画像から得られた前記マーカの位置の情報とに基づき、前記放射線源と前記検出器の間の距離情報及び前記検出器に対する前記放射線源の高さ情報を演算する第1の演算手段と、前記第1の演算手段の演算結果と前記データに基づいて、前記ラインの位置の変化量を加味した、前記撮像空間における前記放射線源、前記検出器、及び前記断層面の位置関係を規定するパラメータを演算する第2の演算手段と、を備えたことを特徴とする放射線撮像装置が提供される。
[0015]
 また、前述した目的を達成するため、本発明は別の態様として、X線を放出するX線源と前記X線を電気信号として検出する検出器とを対象物を挟んで相互に対向させ、当該X線源と当該検出器を当該対象物の周りに回転させながら、前記X線を当該検出器によりデジタル電気量のフレームデータとして検出し、前記フレームデータに基づいて前記対象物の断層面のパノラマ画像を作成するパノラマ撮像装置における、前記X線源と前記検出器との間の空間に配置されるファントムであって、ベースと、前記断層面としての基準断層面を前記ベースへ投影して生成される基準面軌道、及び、当該基準面軌道から離間し且つ当該基準面軌道に併走する他の軌道のそれぞれに沿って、軌道毎に複数、立設される支柱と、前記複数のそれぞれ支柱に配設され、X線透過率が少なくとも当該支柱のX線透過率とは異なるマーカと、を備えたことを特徴とするファントムが提供される。

発明の効果

[0016]
 以上のように、本発明によれば、放射線の照射角度毎の撮像系の構造、すなわち撮像空間の3次元構造をファントムを用いたスキャンで的確に把握し、その構造情報を用いて歪がより少なく、撮影対象の3次元的な実位置をより精度良く反映した画像を提供することができる放射線撮像装置及び同装置に用いるファントムを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0017]
 添付図面において、
[図1] 図1は、本発明の1つの実施形態に係る放射線撮像装置としてのX線によるパノラマ撮像装置の全体構成の概略を示す斜視図。
[図2] 図2は、実施形態に係るパノラマ撮像装置が対象とする被検体の歯列、その歯列に設定される3D基準断層面、及びX線管と検出器との対が回転するときの回転中心の軌跡を説明する図。
[図3] 図3は、パノラマ撮像装置におけるX線管、3D基準断層面、及び検出器のジオメトリを説明する斜視図。
[図4] 図4は、パノラマ撮像装置の電気的な構成の概略を説明するブロック図。
[図5] 図5は、パノラマ撮像装置のコントローラ及び画像プロセッサが協同して実行する撮像のための処理の概要を示すフローチャート。
[図6] 図6は、X線管、3D基準断層面、回転中心、及び検出器の位置関係を説明する図。
[図7] 図7は、ファントムの一例を示す一部破断した斜視図。
[図8] 図8は、ファントムのベースにおける、マーカを有する支柱の植設位置とキャリブレーションに用いる断層面の位置との関係を説明する図。
[図9] 図9は、基準断層面の位置に植設する支柱の一例を説明する斜視図。
[図10] 図10は、外側断層面の位置に植設する支柱の一例を説明する斜視図。
[図11] 図11は、基準面パノラマ画像に映り込むマーカの位置と検出器とマーカの位置関係を説明する図。
[図12] 図12は、本発明に係るパノラマ画像の再構成の原理を説明するための図。
[図13] 図13は、図13における幾何学的な位置関係を数値化して説明する図。
[図14] 図14は、コントローラ及び画像プロセッサにより協働して実行される、撮像空間の構造解析及びキャリブレーションの手順の概略を説明するフローチャート。
[図15] 図15は、X線の照射(投影)角度のずれを測定するための手順を説明する図。
[図16] 図16は、X線の照射角度のずれを説明する図。
[図17] 図17は、角速度曲線の一例とそれをX線の実際の照射角度のずれに応じて補正する様子を説明する図。
[図18] 図18は、X線照射角度=0°におけるマーカとその結像位置との位置関係を説明する図。
[図19] 図19は、X線照射角度=0°以外の角度におけるマーカとその結像位置との位置関係を説明する図。
[図20] 図20は、本実施形態における縦方向の拡大率の補正を加味した、X線管の位置を睨む方向の3次元投影の概念を説明する図。
[図21] 図21は、フレームデータとパノラマ画像の写像位置との関係を説明するグラフ。
[図22] 図22は、基準面パノラマ画像の一例を模式的に示す図。
[図23] 図23は、基準面パノラマ画像にROIを設定したときの画像の一例を模式的に示す図。
[図24] 図24は、画像プロセッサが実行する歯の実在する位置・形状を同定する処理の概要を説明するフローチャート。
[図25] 図25は、X線管と検出器の対の回転中心の変化に伴う3Dパノラマ画像上のZ軸方向の同一位置からX線管への投影角度の違いを説明する図。
[図26] 図26は、3D基準画像の一例を模式的に示す図。
[図27] 図27は、3D基準断層面に付加する複数の平行な断層面を説明する斜視図。
[図28] 図28は、X線管と検出器の対の回転中心の変化に伴う、3Dパノラマ画像上のZ軸方向の同一位置からX線管へ投影したときの複数の断層面上の位置の違いを説明する図。
[図29(1)] 図29は、同図の(2)と同様に、協働して3D基準画像上の位置毎に最適焦点の断層面を特定する処理を説明する図。
[図29(2)] 図29は、同図の(1)と同様に、協働して3D基準画像上の位置毎に最適焦点の断層面を特定する処理を説明する図。
[図30] 図30は、最適焦点位置の特定処理における周波数解析の結果を例示するグラフ。
[図31] 図31は、最適焦点位置の特定処理における最適焦点の断層面の位置の一例を示すグラフ。
[図32] 図32は、断層面位置に応じて変わる周波数特性パターンを例示するグラフ。
[図33] 図33は、歯の実在する位置が3D基準断層面からずれている状態を説明する図。
[図34] 図34は、歯を3D基準断層面の位置からその実在する位置へシフトさせる状態を拡大率の大小に応じて説明する図。
[図35] 図35は、歯を3D基準断層面の位置からその実在する位置へシフトさせる状態を拡大率の大小に応じて説明する図。
[図36] 図36は、歯を3D基準断層面の位置からその実在する位置へシフトさせる状態を拡大率の大小に応じて説明する図。
[図37] 図37は、位置同定位置のために3D基準画像上の処理点を移動させる処理を説明する斜視図。
[図38] 図38は、処理点毎に特定される最適焦点の断層面位置の同定と、その異常な同定を説明する斜視図。
[図39] 図39は、最適焦点の断層面位置の同定とスムージングより作成された3Dオートフォーカス画像を模式的に示す図。
[図40] 図40は、3Dオートフォーカス画像を3D基準断層面に投影する処理の概念を説明する図。
[図41] 図41は、3D基準断層面に投影された画像とそこに設定されたROIとを模式的に説明する模式図。
[図42] 図42は、3Dオートフォーカス画像を基準面パノラマ画像の2次元の面に投影する処理の概念を説明する図。
[図43] 図43は、2D参照画像とそこに設定されたROIとを模式的に説明する図。
[図44] 図44は、ファントムの変形例を示す図である。
[図45] 図45は、ファントムの変形例を示す別の図である。

発明を実施するための形態

[0018]
 以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
[0019]
 図1~43を参照して、本発明に係る放射線撮像装置及び同装置に用いるファントムの1つの実施形態を説明する。本実施形態では、この放射線撮像装置は、歯科用のX線パノラマ撮像装置として実施されている。以下、このパノラマ撮像装置を詳述する。
[0020]
 図1に、かかるパノラマ撮像装置1の外観を示す。このパノラマ撮像装置1は、被検体の顎部をX線でスキャンし、そのデジタル量のX線透過データから顎部の歯列の実際の3次元的位置(実在位置)を同定し、かつ、その歯列の縦方向の拡大率の変化(違い)を補償した歯列のパノラマ画像をトモシンセシス法(tomosynthesis)の元で生成(再構成)することができる。
[0021]
 このパノラマ撮像装置1の構成の概要を説明する。図1に示すように、このパノラマ撮像装置1は、被検体(患者)Pからデータを例えば被検体Pの立位や車椅子に座った姿勢で収集する筐体11と、この筐体11が行うデータの収集を制御し、その収集したデータを取り込んでパノラマ画像を作成し、かつ、操作者(医師、技師など)との間でインターラクティブに又は自動的にパノラマ画像の後処理を行うための、コンピュータで構成される制御・演算装置12とを備える。
[0022]
 筐体11は、スタンド部13と、このスタンド部13に対して上下動可能な撮影部14とを備える。撮影部14は、スタンド部13の支柱に所定範囲で上下動可能に取り付けられている。
[0023]
 ここで、説明の便宜のため、パノラマ撮像装置については、スタンド部13の長手方向、すなわち上下方向をZ軸とするXYZ直交座標系を設定する。なお、後述する2次元のパノラマ画像については、その横軸方向をj軸、縦軸方向をi軸(=Z軸)と表記する。
[0024]
 撮影部14は、側面からみて、略コ字状を成す上下動ユニット23と、この上下動ユニット23に回転(回動)可能に支持された回転ユニット24とを備える。上下動ユニット23は、スタンド部13に設置された、図示しない上下駆動機構(例えば、モータ及びラック&ピニオン)を介して、高さ方向の所定範囲に渡ってZ軸方向(縦軸方向)に移動可能になっている。この移動のための指令が、制御・演算装置12から上記上下動駆動機構に出される。
[0025]
 上下動ユニット23は、前述したように、その一方の側面からみて略コ字状を成し、上下それぞれの側の上側アーム23A及び下側アーム23Bと、その上側、下側アーム23A,23Bを繋ぐ縦アーム23Cとが一体に形成されている。縦アーム23Cが、前述したスタンド部13に上下動可能に支持されている。上側アーム23Aの内部には、回転駆動用の回転駆動機構30A(例えば、電動モータ及び減速ギヤなど)が設置されている。この回転駆動機構30Aは、制御・演算装置12から回転駆動用の指令を受ける。回転駆動機構30Aの出力軸、すなわち電動モータの回転軸は、上側アーム23Aから下側(Z軸方向下側)に突出するように配置されており、この回転軸に、回転ユニット24が回転可能に結合されている。つまり、回転ユニット24は、上下動ユニット23に垂下されており、回転駆動機構30Aの駆動に付勢されて回転する。
[0026]
 また、回転駆動機構30Aは移動機構30Bに連結している。この移動機構30Bは図示しない電動モータ、ギヤなどから構成されている。この移動機構30Bも、制御・演算装置12から回転駆動用の指令を受けて動作し、回転駆動機構30A、すなわち回転ユニット24をXY面に沿って移動可能に構成されている。これにより、後述するX線管及び検出器の対の回転中心の移動の軌跡を、XY面に沿った所定範囲において2次元的に一定軌道に沿って移動させることができる。
[0027]
 一方、下側アーム23Bは、その先端部にチンレスト25が形成されている。このチンレスト25には、ヘッドレスト26が着脱自在に取り付けられる。このため、被検体Pは、バイトブロック(単にバイトとも呼ばれる)を咥え、顎をチンレスト25に載せ、且つ、額をヘッドレストに押し当てる。これにより、被検体Pの口腔部が後述する撮像空間内の所定位置に固定される。
[0028]
 回転ユニット24は、その使用状態において、その一方の側面からみて略コ字状に形成され、その開放端側を下側に向けて回転自在に上側アーム23Aのモータ出力軸に取り付けられている。詳しくは、横方向、すなわちXY平面内で略平行に回転(回動)する横アーム24Aと、この横アーム24Aの両端部から下方(Z軸方向)に伸びた左右の縦アーム(第1の縦アーム、第2の縦アーム)24B,24Cとを一体に備える。回転ユニット24も制御・演算装置12の制御下で駆動及び動作するようになっている。
[0029]
 第1の縦アーム24Bの内部の下端部に放射線放出源としてのX線管31が装備されている。このX線管31は、例えば回転陽極X線管で構成されており、そのターゲット(陽極)からX線を第2の縦アーム24Cに向けて放射状に放射させる。このターゲットに衝突させる電子線の焦点は、例えば径0.5mm(~1mm程度)と小さく、したがって、このX線管31は点状のX線源として機能する。X線管31の前面の所定位置には、スリット状のコリメータ33が取り付けられている。このコリメータ33により、検出器32に入射させるX線を、その検出面(すなわち実際の収集用の窓(例えば5.0mm幅の窓))に絞ることができる。
[0030]
 一方、第2の縦アーム24Cの内部の下端部に放射線検出手段としての、X線検出素子を2次元状(例えば、64×1500のマトリクス状)に配置したデジタル形X線検出器32が装備されており、その検出面に入射するX線を検出する。この検出器32は、一例として、CdTeで作られた、縦長形の検出面(例えば、横6.4mm×縦150mm)を有している。なお、本実施形態はトモシンセシス法を採用しているため、検出器32はその横(幅)方向にも複数のX線検出素子を持つことが必須である。
[0031]
 この検出器32は、その縦方向をZ軸方向に一致させて縦方向に配置される。この検出器32の検出時の横方向の有効幅は、前述したコリメータ33によって例えば約5.0mmに設定される。この検出器32は、例えば300fpsのフレームレート(1フレームは、例えば、64×1500画素)で入射X線を、当該X線の量に応じたデジタル電気量の画像データとして収集することができる。以下、この収集データを「フレームデータ」と呼ぶ。
[0032]
 撮影時には、X線管31及び検出器32は、被検体Pの口腔部を挟んで互いに斜めに対向して又は互いに正対して位置し、口腔部の周りを回転する。「X線管31及び検出器32が互いに正対して」とは、X線管31から照射されたX線ビームの中心軸(XY面に投影したときの中心軸)が検出器32の検出面に直交する状態を言う。また、「X線管31及び検出器32が互いに斜めに対向して」とは、上記X線ビームの中心軸が検出器32の検出面に90°以外の角度(0°<角度<90°)で入射する状態を言う。したがって、トモシンセス法に拠るスキャンを実行するときに必要なX線管31及び検出器32の回転(移動)のさせ方には、このように様々な態様を採ることができる。
[0033]
 ただし、本実施形態においては、X線管31及び検出器32は、被検体Pの口腔部を挟んで常に互いに正対するように位置し、それらの対毎、一体に口腔部の周りを回転するように駆動される。ただし、この回転は単純な円を画く回転ではない。つまり、本実施形態の場合、X線管31及び検出器32の対は、その移動する回転中心RC(図2,3参照)を中心に回転駆動される。後述するが、回転中心RCからX線管31及び検出器32までの距離は縦方向の拡大率を考慮して決められている。回転中心RCは、図2に示す如く、歯列の奥側から前歯に向けてほぼ直線状に往復する軌道A、又は、同様に歯列の奥側から前歯に向けて直線的に進み、その後、鋭角に折り返して直線的に戻るという、少し角度を付けた3角形状の軌道Bを描くように回転駆動される。このため、X線管31及び検出器32は、角速度を適宜に変えながら回転している。
[0034]
 なお、回転中心RCの軌道としては、一方の臼歯部の側から前歯に向けて円弧状に進み、その後、同様に円弧状に反対側の臼歯部の側戻るという山形状の軌道Cもある。この軌道Cは、特に、標準的な形状及びサイズの歯列に沿った断層面(以下、3D基準断層面)にX線焦点を合わせ且つその3D基準断層面を機械的に追従するように予め設計された軌道である。この3D基準断層面SSにX線焦点を追従させる場合も、X線管31及び検出器32は角速度を適宜に変えながら回転している。
[0035]
 このように、X線管31及び検出器32が回転しながらX線によるスキャンが実行されるので、X線管31及び検出器32の回転軌跡によって囲まれる内部の空間は撮像空間を形成している。
[0036]
 3D基準断層面をZ軸方向から見たときのXY面上の軌跡は、上述したように、略馬蹄形を成すもので、図2に一例を示す。この3D基準断層面の軌跡は、例えば文献「R. Molteni, “A universal test phantom for dental panoramic radiography” MedicaMudi, vol. 36, no.3, 1991」によっても知られている。X線管31、3D基準断層面SS、検出器32、及び、回転中心RCの位置を貫く回転軸AXzの幾何学的な位置関係は図3に示すようになる。ただし、回転中心RCの位置は、図2に点線A、B、及びCで示したように、X線照射角度に応じて変わる。3D基準断層面SSは検出器32の入射口(X線検出面Ldet:図6参照)に平行であり、Z軸方向に沿った湾曲した断面であって2次元に展開したときには細長い矩形状の断面として設定されている。
[0037]
 図4に、このパノラマ撮像装置の制御及び処理のための電気的なブロック図を示す。同図に示す如く、X線管31は高電圧発生器41及び通信ライン42を介して制御・演算装置12に接続され、検出器32は通信ライン43を介して制御・演算装置12に接続されている。高電圧発生器41は、スタンド部13、上下動ユニット23、又は回転ユニット24に備えられ、制御・演算装置12からの制御信号により、X線管31に対する管電流及び管電圧などのX線曝射条件、並びに、曝射タイミングのシーケンスに応じて制御される。
[0038]
 制御・演算装置12は、例えば大量の画像データを扱うため、大容量の画像データを格納可能な、例えばパーソナルコンピュータで構成される。つまり、制御・演算装置12は、その主要な構成要素して、内部バス50を介して相互に通信可能に接続されたインターフェース51,52,62、バッファメモリ53、画像メモリ54、フレームメモリ55、画像プロセッサ56、コントローラ(CPU)57、及びD/A変換器59を備える。コントローラ57には操作器58が通信可能に接続され、また、D/A変換器59はモニタ60にも接続されている。
[0039]
 このうち、インターフェース51,52はそれぞれ高電圧発生器41、検出器32に接続されており、コントローラ57と高電圧発生器41、検出器32との間で交わされる制御情報や収集データの通信を媒介する。また、別のインターフェース62は、内部バス50と通信ラインとを結ぶもので、コントローラ57が外部の装置と通信可能になっている。これにより、コントローラ57は、外部に在る口内X線撮影装置により撮影された口内画像をも取り込めるとともに、本撮影装置で撮影したパノラマ画像を例えばDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格により外部のサーバに送出できるようになっている。
[0040]
 バッファメモリ53は、インターフェース52を介して受信した、検出器32からのデジタル量のフレームデータを一時的に記憶する。
[0041]
 また、画像プロセッサ56は、コントローラ57の制御下に置かれ、撮像空間の構造解析、キャリブレーションのための処理、3D基準断層面のパノラマ画像の作成、及びそのパノラマ画像の後利用のための処理を操作者との間でインターラクティブに実行する機能を有する。この機能を実現するためのプログラムは、ROM61に予め格納されている。このため、このROM61は、本発明に係るプログラムを格納する記録媒体として機能する。なお、このプログラムは予めROM61に格納しておいてもよいが、場合によっては、外部システムから通信回線や持ち運び可能なメモリを介して、図示しないRAMなどの記録媒体にインストールするようにしてもよい。
[0042]
 上述した3D基準断層面は、本実施形態では、装置側で予め用意されているものである。なお、3D基準断層面は、装置側で予め用意された複数の断層面から撮影前に選択するようにしてもよい。つまり、3D基準断層面としての固定した断面であることには変わりは無いが、かかる選択動作によって、3D基準断層面の位置を、歯列の奥行き(前後)方向の一定範囲で変更可能にしてもよい。
[0043]
 画像プロセッサ56により処理される又は処理途中のフレームデータ、画像データ、及び、キャリブレーション用のルックアップテーブル(LUT)は、画像メモリ54に読出し書込み可能に格納される。画像メモリ54には、例えばハードディスクなどの大容量の記録媒体(不揮発性且つ読出し書込み可能)が使用される。また、フレームメモリ55は、再構成されたパノラマ画像データ、後処理されるパノラマ画像データなどを表示するために使用される。フレームメモリ55に記憶される画像データは、所定周期でD/A変換器59に呼び出されてアナログ信号に変換され、モニタ60の画面に表示される。
[0044]
 コントローラ57は、ROM61に予め格納されている制御及び処理の全体を担うプログラムに沿って、装置の構成要素の全体の動作を制御する。かかるプログラムは、操作者からそれぞれに制御項目についてインターラクティブに操作情報を受け付けるように設定されている。このため、コントローラ57は、後述するように、フレームデータの収集(スキャン)などを実行可能に構成されている。
[0045]
 このため、患者は、図1に示すように、立位又は座位などの姿勢でチンレスト25の位置に顎を置いてバイトブロックを咥えるともに、ヘッドレスト26に額を押し当てる。これにより、患者の頭部(顎部)の位置が回転ユニット24の回転空間のほぼ中央部で固定される。この状態で、コントローラ57の制御の元、回転ユニット24が患者の顎部の周りをXY面に沿って回転する。
[0046]
 なお、バイトブロックを噛むことによる位置決めの代わりに、患者は綿のようなものを噛み、イヤーロッドで耳を固定し、後は正面の鏡で回転が曲がっていないか確認することで、位置決めするようにしてもよい。
[0047]
 この回転の間に、コントローラ57からの制御の元で、高電圧発生器41が所定周期のパルスモードで曝射用の高電圧(指定された管電圧及び管電流)をX線管31に供給させ、X線管31をパルスモードで駆動させる。これにより、X線管31から所定周期でパルス状のX線が曝射される。このパルス駆動には、半波整流した駆動信号を使う場合もあるし、インバータ回路を用いたDC駆動方式の駆動信号を使う場合もある。このX線は、撮影位置に位置する患者の顎部(歯列部分)を透過して検出器32に入射する。検出器32は、前述したように、非常に高速のフレームレート(例えば300fps)で入射X線を検出し、対応する電気量の2次元のデジタルデータ(例えば64×1500画素)をフレーム単位で順次出力する。このフレームデータは、通信ライン43を介して、制御・演算装置12のインターフェース52を介してバッファメモリ53に一時的に保管される。この一時保管されたフレームデータは、その後、画像メモリ53に転送されて保管される。
[0048]
 このため、画像プロセッサ56は、画像メモリ53に保管されたフレームデータを用いて3D基準断層面SSに撮像焦点を当てた断層像を基準面パノラマ画像として再構成する。つまり、この基準面パノラマ画像は、「3D基準断層面SSに沿って歯列が存在していると仮定したときのパノラマ画像」であると定義される。また、この画像プロセッサ56は、この基準面パノラマ画像を用いて3次元(3D)画像及び3Dオートフォーカス画像を作成するなどの処理を行う。この処理の概要を図5に示す。なお、上記3D基準画像は、「3D基準断層面SSに沿って歯列が存在していると仮定したとき3次元画像」として定義される。また、3Dオートフォーカス画像は、「3D基準画像からフレームデータ又は基準面パノラマ画像のデータを用いて歯列を自動的に最適焦点化した表面画像」として定義される。つまり、この3Dオートフォーカス画像は、ボケが少なく、かつ、歯列の実在位置及びその実際のサイズを精度良く表現した最適焦点画像である。
[0049]
 とくに、3Dオートフォーカス画像は、被検体個々によって歯列の実在位置が異なるという事実を考慮した画像である。つまり、被検体個々の歯列は3D基準断層面SS(図6参照)に沿っていることは無く、3D基準断層面SSから部分的に又は全体的にずれていたり、その面から傾いていたりする。このため、3Dオートフォーカス画像は、被検体個々の歯列の実際の3次元位置・形状を自動的に且つ精度良く同定するとともに、その同定結果から実際の歯列形状を自動的に描出することで作成される。
[0050]
 X線管31(X線管焦点は点状と見做される)から照射されたX線は、コリメータ33を通して照射される。このX線(X線束)は、被検体Pの口腔部を透過して、Z軸方向に一定の長さを有し且つ横幅のある縦長の検出器32により検出される。このため、X線の照射方向は図3,6に示すようにオブリークになる。したがって、歯の実際の大きさとその歯の陰影が検出器32の検出面Ldetに作る投影像の大きさとの比(本実施例では、この比を「拡大率」という)は、回転中心RCの位置に応じて変化する。この拡大率は縦方向及び横方向(つまり、通常、歯の縦方向及び横方向になる)のそれぞれに存在する。図6の縦方向の例で言えば、歯の実際の高さP 1realと検出面Ldet上の高さP 1detとの比が回転中心RCの位置に応じて変わる。この回転中心RCの位置は、図2に例示した如く、1回のスキャン(データ収集)の間に変化するように、X線管31及び検出器32の対の回転軌道が予め設定されている。
[0051]
 この理由は以下のようである。図6に示すように、X線管31と検出器32との間の距離Rs+Rdは一定に保持され、かつ、回転中心RCからX線管31及び検出器32に至る距離Rs,Rd(本実施形態ではRs>Rd)も一定に保持される。その一方で、3D基準断層面SSに焦点を合わせたスキャンを行うため、1回のスキャン(データ収集)の間に、回転中心RCの位置の軌道は、略馬蹄形状に湾曲している歯列に対して、一例として、前述のように鋭角な3角形状の軌道B(図2参照)を採用している。
[0052]
 具体的には、回転中心RCから3D基準断層面SSまでの距離Dと、検出器32から3D基準断層面SSまでの距離Rd-Dとがスキャンが進むにつれて変化する。これに応じて、回転中心RCは歯列に近づいたり遠ざかったりするので、X線管31も歯列に近づいたり遠ざかったりする。X線管31のX線焦点は点状と見做されるので、高さについて言えば、同一高さの歯であっても、X線管31が歯列に近いほど検出面Ldetへの投影像は大きくなる。すなわち、拡大率は大きい。図2の例で言えば前歯部をスキャンするときの方が臼歯部(奥歯側)をスキャンするときに比べて、回転中心RCが歯列に近くなり、その分、拡大率は大きくなる。例えば、前歯部をスキャンするX線照射方向θ=0°のときの距離d1は、臼歯部をスキャンするX線照射方向θ=60°、75°のときの距離d2、d3に対して、d1<d2、d1<d3、d2<d3の関係にある。図2に示す回転中心RCの軌跡はあくまで一例であるが、この回転中心RCが歯列に近づいて遠ざかることは、3D基準断層面SSに焦点を合わせるようにX線をスキャンさせるパノラマ撮像装置の場合、通常、当てはまる設計事項である。
[0053]
 このように拡大率は歯列の位置によって変わるので、この拡大率の影響を補正したパノラマ画像をしない限り、口腔部の構造や時系列的な変化を精度良くかつ定量的に解析することはできない。
[0054]
 さらに、被検体の実際の歯列は、その全体にせよ部分的にせよ、3D基準断層面SSの位置には無いことが殆どである。このため、拡大率の影響を回避する場合、歯列の3D基準断層面からのずれも合わせて考慮しなければならない。
[0055]
 しかしながら、従来のパノラマ画像は、上述した拡大率に因る問題及び実際の歯列のずれを考慮しないで作成されている。このため、従来のパノラマ画像を用いた歯列の定量的な構造解析は非常に困難である。したがって、被検体毎の様々な形状の歯列や様々な位置にある歯列を対象とする場合であっても、また、同一歯列の中の歯の位置の如何に関わらず、3次元の実在位置を精度良く同定することができるパノラマ画像が望まれていた。
[0056]
 この点、本実施例に係るパノラマ撮像装置は、同一の歯列であっても拡大率が歯の位置毎に異なることに因る画像の歪みを解消しつつ、歯列の実際の3次元位置(形状を含む)を自動的に且つ精度良く同定することを特徴の一つとしている。これにより、極めて位置(形状)の同定精度の高い3次元パノラマ画像を提供することができる。
[0057]
 本実施例では、断層面の画像を得るためにトモシンセシス法(tomosynthesis)を用いている。つまり、スキャンによって一定レートで収集される多数のフレームデータは、2次元のパノラマ画像の写像位置に応じて互いにシフトさせつつ相互に加算処理(シフト&アッド)される。このため、本実施例で言う「最適焦点」とは、「焦点が一番合っている、焦点ボケが少ない」という意味であり、注目する部位がそれ以外の部位よりも解像度が良い、又は、画像の全体の解像度がより高いことを言う。
[0058]
 基準面パノラマ画像が作成されると、そのデータは画像メモリ54に保管されるともに、モニタ60に適宜な態様で表示される。このうち、表示態様などについて、操作器58から与える操作者の意思が反映される。
[0059]
 (撮像空間を規定するパラメータのキャリブレーション)
 撮像を説明する前に、図7~図20を用いて、ファントムを使った、撮像空間における基準断層面に対する撮像系の3次元構造を示す幾何学的なパラメータの値や変化量を推定する処理、すなわちキャリブレーションを説明する。このキャリブレーションの結果は、画像再構成に反映させられるとともに、必要に応じて、撮像空間の構造解析や設計に用いられる。
[0060]
 このキャリブレーションに伴う処理は、コントローラ57及び画像プロセッサ56が協働して実行される。キャリブレーション専用のプロセッサを設けてもよい。このキャリブレーションには、本実施例では、被検体Pの歯列を模したファントムを用いることを特徴する。
[0061]
 (ファントム)
 図7に、このファントム101の一部破断した外観を示す。このファントム101は、かかるキャリブレーションに必要なパラメータの測定を1個で間に合わせることができる万能型ファントムである。なお、本発明に係るファントムは、必ずしも、この万能型ファントムに限定されるものではなく、後述するように3D画像再構成に必要なパラメータをキャリブレーションを実施できるものであれば、その形態は様々に変形可能であることは勿論である。この変形例の幾つかも後に説明される。
[0062]
 この万能型ファントム101は、透明な樹脂製の板状のベース111及び天板112と、このベース111及び天板112に挟持された複数の支柱113とを備える。これらの支柱113(113´)には、後述するようにX線透過率が樹脂材とは異なる金属製のマーカを備えている。なお、樹脂の種類は例えばアクリル樹脂であるが、X線透過率がマーカのそれと異なるものであればよい。また、樹脂が透明としたのは、マーカが見易いからである。
[0063]
 支柱113(113´)のそれぞれは、その上下端がベース111及び天板112に差し込まれて固定されている。以下、これを詳述する。
[0064]
 ベース111は、図7,8に示すように、四角い板状を成し、透明な樹脂部材で製造される。このベース111の上面には、3次元の基準断層面SSをXY面に投影したときの基準面軌道ORsと、この基準面軌道ORsよりも所定距離DS、例えば20mm外側に当該基準面軌道ORsに例えば平行に引かれた外側面軌道ORouterとが設定されている。これらの軌道ORs, ORouterは、オペレータに分かり易いように、ベース111の面上に実際に線として描出してもよいし、仮想的なものであってもよい。
[0065]
 このベース111の上面には、それらの両方の軌道ORs, ORouterと基準断層面SSに焦点が合うようにX線管31及び検出器32を回転移動させるときのX線照射角度θそれぞれとの交点に四角い植設穴111Aが形成される。なお、上記両軌道ORs、ORouter間の距離DSは必ずしも20mmに設定する必要はなく、限られたサイズ関係の中で後述するパラメータをより精度良く演算できる値であればよい。
[0066]
 複数の支柱113は、それぞれ、図9,10に示すように、アクリルなどの樹脂製の角柱として形成されている。各支柱113は、一定長さの角柱状の支柱本体113Aと、その上下端それぞれに一体に突設された四角柱状の突起113Bとを備える。支柱本体113Aは、その長手方向に直交する断面サイズが例えば5mm×5mmであり、その長さが92mmである。各突起113Bのサイズは、支柱本体113Aのそれよりも小さい断面であって、例えば高さ5mm程度の長さになっている。
[0067]
 各支柱本体113Aの一面には、キャリブレーション用の第1、第2、及び第3のマーカ114,115、及び116が配設されている。これらのマーカ114,115、及び116は全て、アルミ製又は黄銅製の小径のロッドであり、その径は例えば0.6mmである。このうち、第1及び第2のマーカ114、115は、支柱本体113Aの上端、下端からそれぞれ所定距離、例えば10mm、15mmだけ離れた位置に横向きに配設されている。支柱本体11Aの表面に例えば径0.6mmの断面半円状の削りを入れて、その削り部分に小径ロッドとしての第1及び第2のマーカ114、115を固設する。
[0068]
 さらに、図9に示すように、第3のマーカ116は、支柱本体113Aの上端から例えば30mm離れた位置を中心に縦方向に沿って固設されている。この第3のマーカ116は一定の長さを有し、その長さは例えば20mmである。この第3のマーカ116は、上述した第1及び第2のマーカ114,115と同様の方法で植設されている。
[0069]
 なお、上述した支柱113及びマーカ位置の寸法はあくまで例示であって、その他の適宜な寸法で設計することができる。
[0070]
 以上、基準面軌道ORsに沿って配設されるファントム113を図7について説明した。
[0071]
 一方、外側面軌道ORouterに沿って配設されるファントム113´は、図10に示したように構成されている。ここで興味深い特徴は、図32に示したファントム113を上下逆さまにしたものが図10のファントム113´になっているということである。このため、各ファントム113´にも第2、第1のマーカ115,114が上下端寄りに横向きに位置し、且つ第1のマーカ114寄りの位置で縦向きに位置している。マーカの植設方法も全く同じであるので、ファントム101を組み立てるときに、基準面軌道ORsと外側面軌道ORouterとの間で逆さまに向きを変えればよく、パーツの共通化を図り、製造コストを下げることができる。勿論、互いの逆さまの向きを混同しないようにX線透過に影響を与えない上下端の目印を付けたり、植設用の突起113B及び植設穴111Aの形状を、上下のベース111及び天板112の間で違えるなどの変形を施してもよい。
[0072]
 上述のように、第1及び第2のマーカ114,115と第3のマーカ116の植設方向及び長さは互いに異なる。その理由は、キャリブレーションにおいて異なるパラメータの測定が必要であり、そのパラメータの属性に合わせた形状の異なる種類のマーカが必要であることによる。このように、本実施例では、1つのファントム101に全ての必要な種類のマーカを効率的に且つ無駄無く配したことも特徴の1つである。これ故に、パラメータの種類に合わせた複数のファントムを使用しなくても良いという効果がある。
[0073]
 第1及び第2のマーカ114,115は、後述するが、撮像空間に存在するX線管31、検出器32、回転中心RC、及び3D基準断層面SSの間の距離関係の情報及びX線管31の検出器32に対する高さ位置の情報を得るためのマーカである。これに対し、第3のマーカ116は、後述するゲインと呼ばれる量(=ΔX/ΔFi)、および、X線照射角度θそれぞれに対する実際の投影角度を測定するためのマーカである。
[0074]
 すなわち、基準面軌道ORs及び外側面軌道ORouterに在る第1、第2、及び第3のマーカ114,115、及び116が基準面パノラマ画像及び外側面パノラマ画像に写り込む。これを例えばX線照射角度θ=75°についてみた場合、例えば基準面パノラマ画像には図11(A)に示すように描出される。つまり、図11(B)に示す幾何学的関係から、基準面パノラマ画像には、上から、基準面軌道ORsに在る第1のマーカ114(ORs)、外側面軌道ORouterに在る第2のマーカ115(ORouter)、基準面軌道ORsに在る第3のマーカ116(ORs)、外側面軌道ORouterに在る第3のマーカ116(ORouter)、基準面軌道ORsに在る第2のマーカ115(ORs)、及び、外側面軌道ORouterに在る第1のマーカ114(ORouter)の順で並んで黒く描出される。
[0075]
 逆に言えば、このような並びで描出されるように、外側面軌道ORouterの基準面軌道ORsに対する離間距離及び各マーカの縦方向の位置を設定してある。ただし、外側面軌道ORouterに在るマーカ114(ORouter),115(ORouter),116(ORouter)の画像は、基準面軌道ORsに在るそれらの画像よりはボケている。なお、シフト・アンド・アッド量を変更して外側断層面に焦点を合わせてパノラマ画像を再構成すれば、そのボケの程度、つまり、最適焦点の画像か否かの関係は逆になる。
[0076]
 パノラマ画像上では、4つのマーカ114(ORs)、115(ORouter)、115(ORs)、及び114(ORouter)の画像は横向の黒線として描出され、X線管31、検出器32、回転中心RC、及び基準断層面SSの間の距離関係のパラメータ、並びに、X線管31の検出器32に対する高さ位置のパラメータを測定するために使用される。また、2つのマーカ116(ORs)及び116(ORouter)の画像は、縦向きの黒線として描出され、後述するゲインと呼ばれる量(=ΔX/ΔFi)、および、X線照射角度θそれぞれに対する実際の投影角度を測定するために使用される。X線の照射角度が設計値又は想定値からずれている場合、実際の投影角度もそれらの値からずれるので、2つのマーカ116(ORs)及び116(ORouter)の縦向きの黒線の位置は一致せず、横向方向にずれて描出される。このずれを演算することで実際の投影角度のずれを測定できる。
[0077]
 このように、ファントム101は、撮像空間における撮像系の距離及び高さに関して一度のスキャンで必要充分な位置情報を与えることができる。このため、このファントム101、異なる種類のパラメータを単独で測定可能な汎用性を発揮する。
[0078]
 なお、天板112は必ずしも設けなくてもよい。しかし、ベース111に植設した複数の支柱113には、そのマーカ114,115,116が高精度な空間位置を保つことが要求される。このため、設置や保管のときに、支柱113が傾いたり、ずれたり、損傷したりすることを防止するためには、天板112は設ける方がよい。天板112とベース111との間に、両板を支えるためだけの樹脂性の支柱を設けてもよい。
[0079]
 <再構成の原理>
 ここで、パノラマ撮像装置における再構成の基本原理を数式的に説明する。
[0080]
 図12(A)は、略馬蹄形の歯列の周りを、互いに正対し且つそれぞれ異なる曲線軌道T ,T に沿って回転(移動)するX線管31及び検出器32の様子を示す。X線管31が一方の軌道T に沿って回転し、検出器32が他方の軌道T に沿って回転する。つまり、X線管31及び検出器32は対となって回転するが、その対の回転の中心(回転中心)RCも移動する。同図(A)の例では、回転中心RCは図2の山形状の軌道Cに沿って移動する場合で示しているが、図2の軌道Aや軌道Bであっても同様の原理が成り立つ。
[0081]
 いま、図12(A)に示すように、X線管31及び検出器32の対の回転中心RCが位置Oに在り、X線管31の焦点位置をS 、検出器32の幅方向の中心位置をC 、X線管31の回転半径(以下、X線管・回転中心距離)をR 、検出器32の回転半径(以下、検出器・回転中心距離)をR 、回転中心RCの位置Oから歯列のある点Qまでの距離(以下、回転中心・基準断層面距離)をD、及び、回転中心RCが描く軌道をT とする。この距離RsとRdは固定値である。
[0082]
 さらに、図12(B)は、X線管31の焦点位置SがS からS に回転移動するときの状態を示すもので、この移動により、回転中心RCの軌道T は半径αの円上を角速度ωで動いて、回転中心RCがO(S )からO(S )に移動するものとする。この場合、その回転中心RCの2つの位置O(S )、O(S )が両方の焦点位置SがS 、S に作る角度θ はθ =wt(t:時間)となる。一方、かかる回転移動によって、歯列の点Qの検出器32への投影点はそれまでのP (S )からP (S )に変化する。このとき、検出器32の幅方向の中心位置はそれぞれC 1、である。
[0083]
 この図12(B)の幾何学的関係を、回転中心RCの位置がO(S )からO(S )への移動とその軌道T との関係に着目して抜き出すと、図13(A)のように表される。この両位置O(S )、O(S )間の距離は微小であるから、角度θ と半径αを使ってθ αと表すことができる。この結果、回転中心位置O(S )、O(S )、X線焦点位置S 、及び再構成位置Qは全て距離の関係で表すことができ、図13(A)に示すようになる。つまり、X線管位置S と回転中心位置O(S )との間の距離がX線管・回転中心間距離Rs、及び、回転中心位置O(S )と検出器中心位置C2との間の距離が検出器・回転中心間距離Rdであるから、回転中心位置O(S )とO(S )の間の距離がαθ 、回転中心位置O(S )と再構成位置Qとの間の距離がD-αθ 、再構成位置Qから線分O(S )-C に垂直に下ろした線分が(D-αθ )sinθ 、さらに、その垂線の交点Bと回転中心位置O(S )との間に距離が(D-αθ )cosθ となる。
[0084]
 本実施態様では、撮像空間における撮像系の幾何学的な位置関係の解析(構造解析)や、撮像空間における歯列の実体位置の抽出を行う3D画像再構成(オートフォーカスと呼ぶ)に必要なパラメータをキャリブレーションするための演算に「回転中心位置O(S )、O(S )間の距離α」を考慮する点がポイントである。
[0085]
 (ゲインの演算)
 上述した図13(B)に示す距離関係を用いてゲインと呼ばれる量(=ΔX/ΔFi)を求める。
[0086]
 図13(B)に示す幾何学的関係から、
   x=[(Rs+Rd)/{Rs+(D-αθ )}]・(D-αθ )sinθ    …(1)
の関係が成り立つ。αθ を補正項M(=αθ )と捉えると、θ 及びxは微小なので、近似式として
   Δx/Δθ={(Rs+Rd)/(Rs+(D-M))}(D-M)   …(2)
が成り立つ。
[0087]
 検出器32が出力するフレームデータをFiとおくと、
   Δx/Δθ=(Δx/ΔFi)(ΔFi/Δθ)   …(3)
なので、
   Δx/ΔFi=(Δθ/ΔFi){(Rs+Rd)/(Rs+(D-M))}(D-M)   …(4)
となる。
[0088]
 この(4)式の左辺Δx/ΔFiはゲイン(シフト・アンド・アッド量の変化率)と呼ばれる。このゲインΔX/ΔFiは、複数のフレームデータを互いにシフトして加算するトモシンセス法(つまり、シフト・アンド・アッド演算)におけるシフト・アンド・アッド量の変化率を示している。
[0089]
 また、(4)式の右辺中のR +R は、検出器とX線管との間の距離(検出器・X線管間距離)を表し、R +(D-M)は「回転中心位置O(S )、O(S )間の移動距離αθ 」の分だけ補正された、X線管と焦点との間の距離(焦点位置・X線管間距離)を表している。また、(D-M)は、かかる移動距離αθの分だけ差し引いた、新しい回転中心の位置と再構成点Qとの間の距離を表している。
[0090]
 この結果、ゲインΔX/ΔFiの曲線(以下、単に「ゲイン曲線」という)は、検出器・X線管間距離R +R 、焦点位置・X線管間距離R +(D-M)、回転中心・再構成点間距離(D-M)、及び、フレームデータFiと回転角度θとの関係を表す角速度曲線Δθ/ΔFi(図17参照)に基づいて演算できる。このゲイン曲線を積分し、前歯の中心位置を画像の中心位置になるようにすれば、回転角度のそれぞれにて、回転中心RCから距離Dの位置で焦点の合ったパノラマ画像を再構成することができる。
[0091]
 なお、特開2007-136163に示されているように、上述したゲインΔX/ΔFiの大小は通常の電気回路などのそれとは概念が異なり、ゲインΔX/ΔFiが大きいほど、フレームデータ同士を相互に加算するときのフレームデータの重ね合わせ量(シフト量)は小さくなる。反対に、ゲインΔX/ΔFiが小さくなるほど、その重ね合わせ量は大きくなる。
[0092]
 本実施例では、撮像空間の構造解析やキャリブレーションに必要なパラメータを上述した(4)式のゲイン式に基づき、且つ、キャリブレーションファントムを使って求める。このため、先にキャリブレーションファントムの構成及び機能を説明する。
[0093]
 (パラメータの演算)
 次に、図14に基づいて、撮像空間の構造解析やキャリブレーションに必要なパラメータを測定するための演算について説明する。つまり、ここで挙げるパラメータとしては、
 ・構造解析において、X線管・回転中心距離R 、X線管・回転中心距離R 、X線管31の検出器32に対するZ軸方向の高さB1、及び、
 ・キャリブレーションにおいて、ゲインΔx/ΔFi、X線照射角度θ、角速度曲線Δθ/ΔFi、回転中心・基準断層面距離D、補正項M、移動する回転中心RCのXY面上の座標(CX,CY)
である。
[0094]
 この内、キャリブレーション用のパラメータ「Δx/ΔFi、θ、Δθ/ΔFi、D、M、(CX,CY)」は、入力値FiのルックアップテーブルLUTとして記憶・更新される。
[0095]
 これらのパラメータを演算するための処理として、
   処理1(ファントムの設置とキャリブレーション用のX線撮影(スキャン))、
   処理2(ゲインΔx/ΔFiのプロファイルの演算)、
   処理3(X線照射角度θのずれ(実際の投影角度θ´)の演算)
   処理4(角速度曲線θ=f(Fi):Δθ/ΔFiの演算)、
   処理5(パラメータRs,Rd,B1の演算)、
   処理6(パラメータΔx/ΔFi、θ、Δθ/ΔFi、D、M、(CX,CY)の演算、更新:つまりキャリブレーション)
及び、
   処理7(歯列の実体位置を抽出した3D再構成)
が挙げられる。これを処理は、コントローラ57と画像プロセッサ56が協働して実行する、図14に示すフローチャートの中で実行される。このフローチャートに沿って説明する。
[0096]
 <処理1>
 コントローラ57はオペレータにファントム101を、パノラマ撮像装置の撮像空間の所定位置に設置するように画面や音声で指示する(ステップS1)。この所定位置とは、撮像時に患者Pが顎を載せるチンレスト25の位置である。
[0097]
 次いで、コントローラ47はキャリブレーション用スキャンの実行を操作器58で指示する(ステップS2)。この指示に応答して、コントローラ57はROM61に予め格納しているキャリブレーション用スキャンのプログラムをそのワークメモリに読み出す。コントローラ57は、このプログラムを実行することで、コリメータ33が付いたX線管31と検出器32とをファントムの周りを回転させる。この回転の間に、X線管31の点状のX線焦点から例えばパルスX線が曝射され。このパルスX線はコリメータ33によりコリメートされてファン状のX線ビームとなる。このX線ビームがファントムを透過し、検出器32の検出面に入射する。これにより、検出器32はファントムを透過してX線を検出して、それに対応するデジタル電気量のフレームデータを一定時間毎(例えば300fps)に出力する。
[0098]
 X線管31と検出器32は、単純にファントムの周りを回るのではなく、図12(A)に示すように、X線管31と検出器32とが常に正対しつつも、その両者を結ぶ線分上の回転中心RCの位置がファントムの前側に接近した後、離れる軌道を追従するように回転する。つまり、実際のスキャン時には、歯列の前歯付近に進むほど、回転中心RCが歯列に接近し、回転中心RCの位置がずれていく。この移動を許容するように、X線管31及び検出器32の回転位置、角速度がそれぞれ個別に制御される。
[0099]
 検出器32から出力されたフレームデータはバッファメモリ53に一時保管される。画像プロセッサ53は、そのフレームデータを用いてトモシンセス法の元に基準断層面SSの基準面パノラマ画像を再構成する(ステップS3)。
[0100]
 <処理2>
 次いで、画像プロセッサ56はゲインΔX/ΔFiを求める(ステップS4)。
[0101]
 まず、再構成された基準面パノラマ画像上で、基準断層面SSに沿った軌道を辿る基準面位置にX線照射角度θ毎に配置された、ファントム101の支柱のマーカが中心に描出されているフレームデータの番号Fi を決める。この決定は、オペレータが基準面パノラマ画像を目視しながら決めればよい。なお、この基準面パノラマ画像には、基準断層面SSよりも20mm外側の断層面の軌道を辿る外側面位置にX線照射角度θ毎に配置した支柱のファントムも当然に写り込んでいる。
[0102]
 次いで、基準面位置の支柱それぞれのファントムに対して、一番焦点が合うフレームデータFiの重ね合わせ量(シフト・アンド・アッド量)Xを求める。これもオペレータが基準面パノラマ画像を観察しながら操作器58を操作し、中心フレームデータFi の両サイドにあるフレームデータFiを重ねてその画像のボケを観察するという方法を試行錯誤で繰り返して決める。この結果、基準断層面SSに沿った各支柱のマーカに対応した中心フレームデータFi とその最適な重ね合わせ量Xが決まったので、それらのデータを滑らかに繋ぎ合せて重ね合わせ量のプロファイルPxを求める。このプロファイルPxからX線照射角度θの設定値毎のゲインΔX/ΔFiを求める。
[0103]
 なお、重ね合わせ量を横軸にとり、マーカ像のエッジ統計量(例えば半値幅)を縦軸にとったグラフを生成し、このグラフのエッジ統計量がピークとなる点を推定するようにしてもよい。この推定値から最適な重ね合わせ量を演算すればよい。これによれば、基準面パノラマ画像上で、写りこんでいるマーカ像の位置を点ROIなどで指定すれば、その指定位置における最適な重ね合わせ量をほぼ自動的に演算することができる。
[0104]
 次いで、画像プロセッサ56は、コントローラ57からの指示に基づいてキャリブレーションの程度の指示を受ける。本実施形態では、X線照射角度θについてキャリブレーションを実施せずに、システムが予め有しているX線照射角度θの設計値をそのまま採用する簡易型のキャリブレーションと、ファントム101をスキャンして得たパノラマ画像からX線照射角度θもキャリブレーションする詳細型のキャリブレーションとが予め用意されている。このため、コントローラ57は、例えばモニタ60への画像表示を通じて、簡易型キャリブレーションを行うのか、詳細型キャリブレーションを行うのか、オペレータから事前に情報を得る。したがって、画像処理プロセッサ56はコントローラ57からの指示を受けて、キャリブレーションが簡易型であるのか詳細型であるのかを判断する(ステップS5)。
[0105]
 画像プロセッサ56が簡易型キャリブレーションを行うと判断した場合、例えば図2に示すように予め決まっている照射角度θ=0°、±15°、±30°、…の値をそのまま読み出して設定する(ステップS6)。これに対し、詳細型キャリブレーションを行うと判断した場合、パノラマ画像からX線照射角度θのずれ、即ち実際の照射角度θ´を演算する。
[0106]
 <処理3>
 次に、X線照射角度θに対する実際の照射角度(投影角度)θ´のずれ量θshiftを演算する(ステップS7)。
[0107]
 この演算には、再構成された基準面パノラマ画像上で、基準断層面SSよりも20mm外側の断層面に沿った、外側面位置に沿ってX線照射角度θ毎に配置された支柱のマーカについて、ステップS4と同様に、X線照射角度θ毎のゲインΔX/ΔFi、及び、そのゲインΔX/ΔFiのプロファイルを生成する。このプロファイルのデータを用いて、基準断層面SSよりも20mm外側の断面の外側面パノラマ画像を再構成する。この外側面パノラマ画像において、かかる外側面位置に在る支柱113´それぞれのファントムの横方向(2次元基準面パノラマ画像上での横方向)の物理的な中心位置を決める。この決定もオペレータがパノラマ画像を目視しながら行う。
[0108]
 ステップS4において基準面位置に在る支柱それぞれのマーカが使用している中心フレームデータの番号Fi は既に決定している。そこで、当該中心フレームデータに対する外側面パノラマ画像におけるマーカの横方向(2次元基準面パノラマ画像上での横方向)の位置(図15(A)参照)、及び、外側面位置にあるマーカ116の外側面パノラマ画像における横方向の位置(図15(B)参照)から、両者間の画像上のずれ量Pshiftを演算する。このずれ量Pshiftを実長のずれ量Lに変換する(図15(C)参照)。このずれ量Lと両軌道ORs、ORouter間の既知の距離DS(実施形態では20mm)とを用いて、
 実際の照射角度θ´のずれ量θshift=arctan(L/DS)
の演算を角度θ(=0°、±15°、±30°、…)毎に行う。これにより、所定値刻みのX線照射角度θそれぞれに対する実際の照射角度θ´のずれ量Pshiftを求めることができる。このずれ量Pshiftの例を図16に示す。
[0109]
 <処理4>
 次に、画像プロセッサ56は、投影角曲線θ=f(Fi)、すなわち角速度曲線Δθ/ΔFiを演算する(ステップS8)。
[0110]
 詳細型キャリブレーションの場合、既に、各X線照射角度θからの実際の照射角度θ´のずれ量θshiftが求められている。このため、このずれ量θshiftから基準断層面SSに在るマーカの照射角度θ´をそれぞれ求める。簡易型キャリブレーションの場合は、簡便的に採用した設計値θがそのまま使用される。
[0111]
 一方、前述したステップS4において、基準断層面SSに在る、X線照射角度θ毎のマーカの中心フレームデータFi の番号は求められている。したがって、照射角度の実際値θ´又は照射角度の設計値θのそれぞれのフレームデータFiを繋ぎ合わせてスムージングを掛けることで、投影角曲線θ=f(Fi)を求める。この投影角曲線θ=f(Fi)の一例を図17に示す。同図において、投影角曲線θ´=f(Fi)は、元の投影角曲線θ=f(Fi)から、実際の照射角度θ´の分だけ補正された曲線を示す。
[0112]
 <処理5:X線照射角度θ=0度の位置における定数パラメータの演算>
 次に、画像プロセッサ56は、X線ビームの照射角度θ=0°のときのX線管・回転中心間距離R 、検出器・回転中心間距離Rd、及び、X線管の焦点位置の高さ情報B1を定数パラメータとしてパノラマ画像から演算する(ステップS9)。
[0113]
 図18に示すように、X線管31及び検出器32が対向して配置されており、その間に、回転中心RC及び基準断層面SSが位置しているとする。基準断層面SSの位置に上下に67mm、互いに離間した2つのマーカ114,115が存在しているとする。X線管31のX線焦点は点光源と見做せるほど小さい焦点(例えば0.5mmの径)。また、X線の照射角度θは0°であるとする。つまり、コリメータ33で絞られたX線ビームは基準断層面SSに存在すると仮定される歯列の前歯の中心部に照射される。このX線ビームは、2つのマーカ114,115をオブリークに透過して検出器32の検出面の高さB2,B3の位置にそれらの投影点を作る。つまり、マーカ114,115の位置は縦方向(Z軸方向)に拡大されて画像として投影点B2,B3を作る。なお、検出器32の検出面の最下限の位置を座標0の原点として設定しており、この点を通る水平面(XY座標面)から起算してX線焦点位置の高さをB1としている。したがって、検出器32の検出面には、座標0の原点、X線焦点高さB1、及び、マーカ114,115の投影高さB2,B3が下から順に並ぶ。
[0114]
 この図18に模式的に示すX線照射角度θ=0°における幾何学関係に、前記ゲインの式(4):Δx/ΔFi=(Δθ/ΔFi){(Rs+Rd)/(Rs+(D-M))}(D-M)を適用する。X線照射角度θ=0°のときは、図13(A),(B)から分かるように、補正項M=0と見做せる。このため、(4)式は、
   Δx/ΔFi=(Δθ/ΔFi){(Rs+Rd)/(Rs+D)}D … (5)
と表すことができる。マーカ114,115に対する画像の拡大率の計算から
   (Rs+Rd)/(Rs+D)=(B3 (D)-B2 (D))/67=K (D) … (6)
が成り立つ。ここで、拡大率K(D)は、検出器32により、基準断層面の位置であってX線照射角度θ=0°の位置にあるマーカ114,115の投影点B2,B3の位置を検出すれば判るので、既知の値である。
[0115]
 同様に、
   (Rs+Rd)/(Rs+D+20)=(B3 (D+20)-B2 (D+20))/67=K (D+20) … (7)
が成り立ち、拡大率K(D+20)は、検出器32により、基準断層面よりも20mm外側の位置であってX線照射角度θ=0°の位置にあるファントムの投影点B2,B3の位置を検出すれば判るので、既知の値である。
[0116]
 このため、上記(6)、(7)式
   (Rs+Rd)/(Rs+D)=K (D) … (8)
   (Rs+Rd)/(Rs+D+20)=K (D+20) … (9)
において、
   X=Rs+Rd,Y=Rs+D … (10)
とおくと、
   X/Y=K (D) … (11)
   X/(Y+20)=K (D+20) … (12)
となり、この2つの式からX,Yの値を求めておく。
[0117]
 一方、前記(5)式は、(8)式を使えば、
   Δx/ΔFi=(Δθ/ΔFi)・K (D)・D … (13)
と書き換えることができる。この(13)式において、回転中心・基準断層面間距離D以外の項は既知であるので、(13)式からX線照射角度θ=0°における回転中心・基準断層面間距離Dが分かる。距離Dが既知になると、X,Yの値が既に分っているので、(10)式を使って、X線照射角度θ=0°におけるX線管・回転中心間距離R 、及び、検出器・回転中心間距離Rdがそれぞれ求められる。
[0118]
 この距離D,Rs,Rdが求められると、図18において幾何学的に成立する、
   (B2 (D+20)-B1)/H=K (D+20) … (14)
   (B2 (D)-B1)/H=K (D) … (15)
の2式を解くことで、X線管31の上下方向(Z軸方向)の位置B1、及び、下側のファントムのX線管31からの高さHを求める。
[0119]
 (処理6:X線照射角度θ=0度以外の角度位置における、フレームデータFiを入力とする関数パラメータの演算)
 このときには、照射角度θ毎のX線管31、検出器32、回転中心RC、及びファントム(マーカ)の幾何学的な位置関係は、図19のように表される。
[0120]
 X線照射角度θが0度以外の角度であっても、前述した式(6)及び(8)は成立している。このため、これらの式に基づいて、各角度θにおけるマーカ114,115が位置B2,B3に作る投影像B3 (D)、B2 (D)を求めることで、各照射角度θにおける回転中心・基準断層面距離Dが演算される(ステップS10)。この距離Dが分かれば、既に既知となっているX線照射角度θ又はその実際値θ´を用いて回転中心RCの位置座標(CX,CY)も演算される(ステップS11)。
[0121]
 さらに、X線照射角度θが0°以外の角度のときには、図13(A),(B)から分かるように、補正項M(¹0)の考慮が必要である。このため、(4)式:
   Δx/ΔFi=(Δθ/ΔFi){(Rs+Rd)/(Rs+(D-M))}(D-M)
を用いる必要がある。既に、各X線照射角度θにおける補正項M以外の項は演算されているので、それらを(4)式に当てはめて補正項Mが演算される(ステップS12)。このようにステップS10~S12を通して、関数パラメータΔx/ΔFi、θ、Δθ/ΔFi、D、M、(CX,CY)が演算される。
[0122]
 次いで、画像プロセッサ56は、画像メモリ54に書き込まれている、それらの関数パラメータを今回求めた新しい値で更新する(ステップS13)。これにより、3D画像再構成に必要なパラメータがキャリブレーションされたことになる。
[0123]
 以上の構造解析及びキャリブレーションのための演算が終わると、画像プロセッサ56は、演算した定数パラメータRd,Rs,B1及び関数パラメータΔx/ΔFi、θ、Δθ/ΔFi、D、M、(CX,CY)が印刷したり表示したりして出力するか否かを、オペレータの操作情報から判断する(ステップS14)。そのような出力が必要な場合、画像プロセッサ56がそれらの値を印刷又は表示する(ステップS15)。
[0124]
 さらに、かかるパラメータの出力が終わるか、又は、そのような出力が不要な場合、処理はコントローラ57に渡され、コンピュータ57がオペレータとの間で、インターラクティブに患者の撮像を行うか否かを判断する(ステップS16)。撮像が不要な場合は、一連の処理を終わる。これにより、撮像空間の構造解析及び簡易型又は詳細型のキャリブレーションが完了する。
[0125]
 一方、患者の顎部の撮像を行う場合は、後述するように、撮像空間における歯列の実体位置を正確に把握した3D再構成が実行される。これは、図20に概説するように、3D基準断層面SSから、X線管31を睨むX線の斜めの照射方向に沿って投影が行われ、歯列などの撮像対象(実体物)の3次元位置が高精度に同定される。以下、この位置同定の処理を含む撮像を説明する。
[0126]
 <被検体の撮像>
 図5に戻って、コントローラ57及び画像プロセッサ56が協働して実行される撮像のための処理を説明する。この処理には、上述したように、スキャンによりデータ収集、プレ処理としての基準面パノラマ画像の再構成、並びに、メインの処理としての3次元オートフォーカス画像(3次元表面画像)の作成及びその3次元オートフォーカス画像を用いた各種態様に応じた表示や計測などが含まれる。
[0127]
 (データ収集及び基準面パノラマ画像の再構成)
 まず、コントローラ57は、被検体Pの位置決めなど撮影の準備が済むと、操作器58を介して与えられる操作者の指示に応答し、データ収集のためのスキャンを指令する(図5、ステップS1)。これにより、回転駆動機構30A、移動機構30B、及び、高電圧発生器41が予め設定されている制御シーケンスに沿って駆動するように指令される。このため、X線管31及び検出器32の対を被検体Pの顎部の周囲に回転させながら、その回転動作の間に、X線管31にパルス状又は連続波のX線を所定周期で又は連続的に曝射させる。このとき、X線管31及び検出器32の対は、前述したようにキャリブレーションされた3D基準断層面SS(図6参照)を焦点化するように予め設定されている駆動条件に基づいて回転駆動される。この結果、X線管31から曝射されたX線は被検体Pを透過して検出器32により検出される。したがって、前述したように、検出器32から例えば300fpsのレートでX線透過量を反映したデジタル量のフレームデータ(画素データ)が出力される。このフレームデータはバッファメモリ53に一時保管される。
[0128]
 このスキャンの指令が済むと、処理の指示は画像プロセッサ56に渡される。画像プロセッサ56は、3D基準断層面SSをX線照射方向のフレーム番号Fi毎に、ルックアップテーブルLUTから照射角度、角速度、回転中心・基準断層面間距離D、及び補正項Mの最新値を読み出して、当該3D基準断層面SSを補正する。これにより、この断層面SSが部分的にその前後方向に位置変更されてスムージングされる(ステップS2A)。次いで、この補正された3D基準断層面SSの空間位置に対応したトモシンセシス法に基づくシフト&アッドに拠り基準面パノラマ画像PIstを再構成するとともに、その再構成した画像の各画素値を記憶する(ステップS2B)。
[0129]
 なお、この再構成処理において、従来と同様に、前歯部の中心で縦横の拡大率の比が同じになるように係数を掛ける処理も実行される。
[0130]
 この再構成の仕方は公知ではあるが、若干説明しておく。この再構成に使用するフレームデータのセットは、例えば図21に示すパノラマ画像の横方向の写像位置とその写像位置の画像を作成するために相互加算するフレームデータのセットとの関係を示す写像特性から求められる。この写像特性を示す曲線は、フレームデータ方向(横軸)において両サイドの臼歯部に応じて傾斜が急な両曲線部分と前歯部に応じて傾斜が臼歯部のそれよりも緩やかな曲線部分とから成っている。この投影特性上で、図示の如く、パノラマ画像の横方向における所望の写像位置を指定する。これに応じて、その写像位置の画像を作成するために使用するフレームデータのセットとそのシフト量(重ね合わせの程度:つまり傾斜度)が求められる。そこで、それらのフレームデータ(画素値)をその指定したシフト量を以ってシフトさせながら相互に加算して、指定した写像位置(範囲)の縦方向の画像データを求める。パノラマ画像の横方向の全範囲に亘って、上記写像位置の指定とシフト&アッドを行うことにより、3D基準断層面SSに焦点を当てたときの基準面パノラマ画像PIstが再構成される。
[0131]
 画像プロセッサ56は次いで、この基準面パノラマ画像PIstをモニタ60に表示させる(ステップS3)。この基準面パノラマ画像PIstの例を図22に模式的に示す。
[0132]
 この基準面パノラマ画像PIstは、フレームデータをシフトさせながら相互に加算した画像であるので、矩形状の2次元画像である。拡大率について言えば、前歯部の中心で縦横の拡大率の比が同じになるように係数を掛ける処理を行っているので、従来と同様に、拡大率に因る前歯部の縦横の画像歪はある程度改善されている。しかし、臼歯部に進むにつれて歯の縦横比は崩れてくる。つまり、臼歯部の歯は実寸より縮んで描出される。従来は、多くの場合、このような歪が在るパノラマ画像で我慢していた。
[0133]
 (基準面パノラマ画像上でのROI設定)
 次いで、画像プロセッサ56は操作者から操作器58を使って基準面パノラマ画像PIstにROI(関心領域)が設定するか否かを判断する(ステップS4)。ここで設定するROIは、読影者が特に関心を寄せる例えば矩形状の部分領域である。勿論、ROIは必ずしも矩形でなくてもよい。なお、このROIは、後述するオートフォーカスにより作成したパノラマ画像について設定してもよく、この処理も後述される。
[0134]
 このステップS4の判断がYESとなると、画像プロセッサ56は操作者の操作情報に基づいて基準面パノラマ画像PIstにROIを設定する(ステップS5)。次いで、ROIにより設定された部分領域の部分画像を切り出し、その部分画像を例えば拡大して表示する(ステップS6)。この部分画像は、例えば図23に示すように、元の基準面パノラマ画像PIstに重畳して表示される。また、この1つ以上の部分画像を上歯、下歯の歯列の模式的に表すようにブロックを所定順に並べた、いわゆるテンプレートに収めるように表示してもよい。
[0135]
 次いで、画像プロセッサ56は処理を終了させるか否かを判断する。この判断は操作者からの所定の操作情報が有るか否かによる(ステップS7)。未だ処理を終了させないと判断した場合(ステップS7、NO)、ステップS4まで戻って上述した処理を繰り返す。一方、処理終了の判断ができた場合、図5に示す処理を終了させる。
[0136]
 一方、画像プロセッサ56は、ステップS4の判断でNOとなる場合、すなわちROIを設定しないと判断した場合、次の判断に移行する。つまり、メインの処理としての3Dオートフォーカス画像を作成するか否かを、操作者の操作情報から判断する(ステップS8)。この作成も行わないと判断した場合(ステップS8、NO)、ステップS7に戻って処理終了か否かを前述と同様に判断する。
[0137]
 (最適焦点の断面位置の特定)
 これに対して、3Dオートフォーカス画像を作成すると判断した場合(ステップS8、YES)、ステップS9のサブルーチン処理に移行する。このステップS9で実行される処理は、本発明の特徴の一つを成すもので、回転中心RCの位置変化を考慮し、且つ、各画素から常にX線管31のX線焦点を睨んだオブリークな投影方向DRxに沿って、歯列の縦方向の歪みを補正しながら行なう、自動的な歯列の実存位置・形状の同定処理である。
[0138]
 この実在位置・形状の同定のためのサブルーチン処理を図24に示す。
[0139]
 まず、画像プロセッサ56は、基準面パノラマ画像PIst(矩形)を3D基準断層面SS(湾曲面)に平行な湾曲面に座標変換して3Dパノラマ画像を一度、作成する。そして、ルックアップテーブルLUTからフレーム番号Fi毎の照射角度θおよび回転中心の位置座標(CX,CY)の最新値を読み出し、この位置座標(CX,CY)からX線管・回転中心間距離R だけ方向を延長し、X線照射角度θ毎にX線管31の位置を演算する。そして、作成した3Dパノラマ画像の画素それぞれから常にX線管31のX線焦点を睨んだオブリークな投影方向DRxを決める。その上で、各投影方向DRxに沿って3D基準断層面SSに、断層面変更の演算によりフレームデータを求め、これを座標変換することで投影し、その湾曲した3D基準断層面SSの投影画像を作成する(ステップS51)。この投影像の画素値は画像メモリ54に保管される。
[0140]
 ここで行われる投影は、図25に説明するように、回転中心RC(RC1、RC2)の位置、すなわちX線管31の位置に向けたオブリークな投影方向DRxに沿って行われる。図25の例で言えば、3Dパノラマ画像上の高さ方向(Z軸方向)における同じ位置Pnの画素であっても、X線管31の位置の違いによって3D基準断層面SSの画像上の異なる位置SS1、SS2に投影される。
[0141]
 この投影処理により作成される投影画像を3D基準画像PIrefと呼ぶことにする。この3D基準画像PIrefは、基準面パノラマ画像PIstの部位毎に、前述した縦方向の拡大率を考慮した斜め方向の投影によって作成されている。前歯部の歯の拡大率が大であったものが、その拡大は上述の投影により実サイズに是正され、一方、臼歯部の歯の拡大率が小であったものが、その拡大も上述の投影よりに実サイズに是正される。このため、3D基準画像PIrefは歯の実寸で表示された画像であり、スキャン中に回転中心RCが移動することによる拡大率の大小による歪が除去された画像である。ただし、この3D基準画像PIrefは歯列が3D基準断層面SSに沿って存在すると仮定したときの画像でもある。被検体Pの実際の歯は3D基準断層面SSに沿っていることは稀であるので、後述する更なる実在位置の同定処理が必要になる。
[0142]
 画像プロセッサ56は、その3D基準画像PIrefをモニタ60に表示させ、操作者の参照に供する(ステップS52)。この様子を図26に示す。
[0143]
 この後、画像プロセッサ56は、3D基準断層面SSに、その面に平行な複数の湾曲した断層面を付加する(ステップS53)。この様子を図27に示す。同図には、3D基準断層面SSの投影方向DRx(歯列の奥行き方向)の前後それぞれに複数の断層面が付加されている。この複数の断層面のそれぞれも、3D基準断層面SSが回転中心・基準断層面間距離D及び補正項Mで補正された分だけ、その面の前後方向の位置が部分的に補正された断層面である。
[0144]
 一例として、3D基準断層面SSの前側に複数の断層面SFm~SF1を間隔D1(例えば0.5mm)で設定し、その後側に複数の断層面SR1~SRnを間隔D2(例えば0.5mm)で設定している。間隔D1、D2は同じであっても、互いに相違していてもよい。また、付加する断層面は、3D基準断層面SSの前後に1枚ずつ(m、n=1)であってもよいし、前後の何れかに1枚又は複数枚であってもよい。
[0145]
 なお、この仮想的に付加する断層面SFm~SF1、SR1~SRnの位置データは、3D基準断層面SSの位置データと共に予めROM61に格納されているので、これを画像プロセッサ56のワークエリアに読み出すことで、かかる付加が実行される。断層面SFm~SF1、SS、SR1~SRnの高さは投影方向DRxの最大の傾きと歯列の高さとを考慮して適宜に設定されている。また、同定処理の都度、付加する断層面の位置(間隔D1、D2)及び枚数をインターラクティブに変更するようにしてもよい。
[0146]
 次いで、画像プロセッサ56は、ステップS51で行ったと同様に、回転中心RCの位置座標(CX,CY)の変化に応じた投影方向DRxを求め、その投影方向DRXに沿って、基準面パノラマ画像PIstを、付加した断層面SFm~SF1、SR1~SRnそれぞれに、断層面変更の演算によりフレームデータを求めて、これを座標変換することで投影する(ステップS54)。この結果、付加断層面SFm~SF1、SR1~SRnそれぞれの投影画像が作成される。これらの投影像の画素値は画像メモリ54に保管される。
[0147]
 ここで作成される投影画像を3D付加画像PIsfm …, PIsf1, PIsr1, …, PIsrnと呼ぶ。これらの3D付加画像PIsfm, …, PIsf1, PIsr1, …, PIsrnも、それぞれ、基準面パノラマ画像PIstの位置毎に、前述した縦方向の拡大率を考慮した斜め方向の投影によって作成されている。これを図28の例で言えば、3Dパノラマ画像上の高さ方向(Z軸方向)における同じ位置Pnの画素であっても、X線管31の位置の違いによって3D付加画像PIsfm, …, PIsf1, PIsr1, …, PIsrnそれぞれの上で異なる位置に投影される。
[0148]
 このため、これらの3D付加画像PIsfm, …, PIsf1, PIsr1, …, PIsrnも歯の実寸で表示された画像であり、スキャン中に回転中心RCが移動することによる拡大率の大小による歪が除去された画像である。ただし、これらの3D付加画像PIsfm, …, PIsf1, PIsr1, …, PIsrnは歯列がそれぞれの付加断層面SFm~SF1、SR1~SRnに沿って存在すると仮定したときの画像でもある。
[0149]
 なお、この作成された複数枚の3D付加画像PIsfm, …, PIsf1, PIsr1, …, PIsrnはそのまま3次元画像として、又は、座標変換した上で長方形状の2次元画像としてモニタ60に表示させるようにしてもよい。
[0150]
 この後、画像プロセッサ56は3D基準画像PIref、すなわち3D基準断層面SSにおける初期位置P(x、y、z)=P(0,0,0)を指定する(ステップS55:図29(A)参照)。これが済むと、3D基準画像PIrefにおいて、指定した位置P(x、y、z)を中心とする一定長さの線分Lcを指定する(ステップS56:図29(B)参照)。この線分Lcは2 個(n=1,2,3、…;例えば128)分の画素に相当する長さを有する。なお、線分Lcは湾曲する3D基準断層面SSの一部に沿って湾曲していてもよいし、直線と見做せる範囲で設定してもよい。
[0151]
 次いで、画像プロセッサ56は、指定された線分Lc(x、y、z)の画像上の上下に複数本の同一長さの線分Laddを仮想的に付加する(ステップS57:図29(C)参照)。
[0152]
 さらに、上述した線分L及び複数の線分Laddのそれぞれを構成する2 個分の画素それぞれの画素値P ijを画像メモリ54から読み出し、これを各線分に割り当てる(ステップS58)。この画素値P ijは、前述したステップS51,S54で既に取得して保管していた値である。
[0153]
 次いで、複数の線分L及びLaddの対応する画素の画素値P ij同士を加算して、線分Lc(x、y、z)を構成する周波数解析用の2 個の画素値P ij を求める(ステップS59:図29(D)参照)。この加算より、線分L(x、y、z)の元の画素値に統計的ノイズが混入している場合でも、その画素値の変化について後述する周波数解析を行なうときの統計的ノイズを低減させることができる。
[0154]
 次いで、画像プロセッサ56は、付加した3D付加画像PIsf1, …, PIsf1, PIsr1, …, PIsrnのそれぞれにおいて、上述の3D基準画像PIref上で現在指定されている線分Lc(x、y、z)が、現在指定されている位置P(x,y,z)を通る投影方向DRxにおいて対向する線分Lfm~Lf1、Lr1~Lrnの位置を特定する(ステップS60:図29(E)参照)。このとき、線分Lcの現在の中心位置P(x,y,z)及びその長さ、並びに、スキャン中のX線管31の回転位置が分っているので、線分Lcの両端とX線管31との結んでできる、Z軸方向から見たときに扇状となるX線照射範囲RAを演算できる。このため、位置P(x、y、z)が指定されれば、そのX線照射範囲RAに位置する線分Lfm~Lf1、Lr1~Lrnの位置を特定できる。
[0155]
 なお、3D基準画像PIref上に位置P(x,y,z)を指定するステップS60の処理は全部の位置指定が終わるまで繰り返される。このため、実効的には、仮想した断層面SFm~SF1、SS、SR1~SRnを、位置が遠近するX線管31から照射されたX線は範囲H1~H2(Z軸方向の範囲)で扇形に透過していることになる(図29(F))。このため、断層面SFm~SF1、SS、SR1~SRnそのものを、その高さがスキャン方向毎に変わり且つ互いに平行な略馬蹄形の断面にとして設定してもよい。
[0156]
 上述のように線分Lfm~Lf1、Lr1~Lrnが決まると、画像プロセッサ56は、それらの線分の画素値P ij を画像メモリ54から読み出す(ステップS61)。
[0157]
 図29(E)に示すように、X線管31は点源であるから、X線照射範囲RAは扇状(Z軸方向から見たときに)になっている。このため、線分Lfm~Lf1、Lr1~Lrnそれぞれの画素数は2 個からずれてしまっている。そこで、画像プロセッサ56は、付加した線分Lfm~Lf1、Lr1~Lrnの画素数が基準となる線分Lc(x,y,z)の画素数2 個と同じになるように、線分Lfm~Lf1、Lr1~Lrnそれぞれに画素数に間隔D1,D2に応じた係数を掛ける(ステップS62)。したがって、図29(G)に模式的に示すように、全ての線分Lfm~Lf1、Lc、Lr1~Lrnは互いに平行で且つ同一の2 個の画素から構成される。
[0158]
 この後、画像プロセッサ56は、準備された全て線分Lf1~Lfm、Lc、Lr1~Lrnの画素の値の変化を周波数解析する(ステップS63)。この結果、線分Lf1~Lfm、L、Lr1~Lrnそれぞれについて、図29(H)に示すように、横軸に周波数及び縦軸にフーリエ係数(振幅値)とする解析結果が得られる。
[0159]
 なお、この周波数解析には高速フーリエ変換(FFT)を用いているが、ウェーブレット変換を用いてもよい。また、そのような周波数解析法に代えて、エッジ描出のための一次微分演算を行うソーベルフィルタを用いて等価な処理を行ってもよい。このフィルタを使用する場合、エッジの最大になる断層面の位置を最適焦点位置と見做すことができる。
[0160]
 次いで、全ての線分Lf1~Lfm、Lc、Lr1~Lrnに対する周波数解析の結果からノイズを除去する(ステップS64)。図30には、1つの線分に対する周波数解析特性を例示する。解析した最高周波数の一定範囲の領域の周波数成分の係数は除外し、その残りの高周波数成分の係数を採用する。その理由は、最高周波数側の一定範囲の領域の周波数成分は、ノイズ成分であるためである。
[0161]
 さらに、画像プロセッサ56は、それぞれの線分に対する周波数解析特性の係数を線分毎に二乗加算するとともに、その二乗加算値を縦軸とし、かつ、初期位置P(x,y,z)=P(0,0,0)を投影方向DRxに貫く複数の断層面SFm~SF1、SS、SR1~SRn位置を横軸としたプロファイルとして演算する(ステップS65)。このプロファイルの一例を図31に示す。同図において断面位置とは、複数の断層面SF1~SFm、SS、FR1~FRnの投影方向DRx(歯列の奥行き方向)の位置である。
[0162]
 図32には、物質がエナメル質、海綿骨、空気、バイトブロックである場合の複数種のプロファイルPR1,PR2,PR3,PR4の典型的なパターンが例示されている。仮に、現在指定している位置P(x、y、z)を通る投影方向DRxの何れかの位置にエナメル質の物質、すなわち歯が存在している場合、そのプロファイルPR1はシャープなピークを有する。また、かかる投影方向DRxに海綿骨が存在している場合、そのプロファイルPR2はなだらかな凸曲線となる。同様に、かかる投影方向DRxに空気しか存在している場合、そのプロファイルPR3は特定のピークを持たない傾向を示す曲線となる。さらに、かかる投影方向DRxにバイトブロックが存在している場合、そのプロファイルPR4は、2つのシャープなピークを有する。このうち、投影方向DRxの内側(X線管の側)に相当するピークがエナメル質の物質に対するピークを示し、外側(検出器の側)に相当するピークがバイトブロックに対するピークを示す。図32に示すプロファイルPR1~PR4のパターンを示すデータは、参照プロファイルとして、例えばROM61に参照テーブルとして予め記憶されている。
[0163]
 そこで、画像プロセッサ56は、かかる参照テーブルを用いて、現在指定している位置P(x、y、z)を通る投影方向DRxにおける、歯に対する最適焦点の位置を特定する(ステップS66)。
[0164]
 つまり、前のステップS65で求めたプロファイルが参照プロファイルPR1~PR4の何れに該当するのか、パターン認識の手法で判断する。
[0165]
 まず、求めたプロファイルが参照プロファイルPR2、PR4である場合には処理の対象から外す。一方、求めたプロファイルが参照プロファイルPR1(エナメル質)に該当する場合、そのピークを呈する断面位置、すなわち、複数の断層面SF1~SFm、SS、FR1~FRnのうちの何れかの位置が最適焦点であるとして特定する。さらに、求めたプロファイルが参照プロファイルPR4に該当する場合、その内側(X線管の側)にピークを呈する断面位置(エナメル質の位置)、すなわち、複数の断層面SFm~SF1、SS、FR1~FRnのうちの何れかの位置が最適焦点であるとして特定する。
[0166]
 これらの位置の特定処理により、いま指定している位置P(x、y、z)に在る歯の部分が、実際は、奥行き方向のどの位置に在るかを決めたことになる。つまり、3D基準断層面SS上に沿った3D基準画像PIrefに描出された歯の部分は実際には、その断層面SSの前側に在るかもしれないし、後側に在るかもしれない。この実在位置が上述の特定処理により正確に決定される。別の言い方をすれば、3D基準断層面SS上に在ると仮定して描出された3D基準画像PIrefの歯の部分が、上述の特定処理により、実在する位置にシフトされると言える。
[0167]
 この結果、図33~図36に示すように、位置P(x,y,z)の1回の指定毎に、3D基準断層面SS(3D基準画像PIref)における位置P1がP1real(またはP2がP2real)にシフトされる。とくに、複数の付加断層面SFm~SF1、FR1~FRnに設定する線分Lfm~Lf1、Lr1~Lrnの位置が投影方向DRxのオブリーク角度θを考慮して設定されている。このため、シフトされる位置P1realは、オブリーク角度θが小さい場合(図34(A)、図35(A)参照)よりも大きい場合(図34(B)、図35(B)参照)の方が低くなる。したがって、このシフト位置P1realは、オブリークなX線照射角度θ、すなわち拡大率の大小による歪みが補償されている。なお、図36に示すように、歯が3D基準断層面SSに沿って実在する場合、P1=P1realとなって、歯が位置するものと仮定していた3D基準断層面SSが実在位置として決まる。この場合はシフト量=0のシフトが実行されたことになる。
[0168]
 画像プロセッサ56は、ステップS65において、これらの特定した、歯の実在位置を示すデータを位置P(x,y,z)毎に、そのワークエリアに記憶する。
[0169]
 このようにして、3D基準画像PIref(すなわち3D基準断層面SS)で現在指定されている位置P(x,y,z)、つまり、いまの場合、最初に指定した初期位置P(0,0,0)を通る奥行き方向において歯の一部分(エナメル質)が存在しているか否かの特定(フィルタリング)し、及び、そのような歯の一部分が存在している場合に、その奥行き方向における最適焦点位置の特定が完了する。
[0170]
 これが済むと、画像プロセッサ56は、例えば図37に示す如く、3D基準画像PIref上に予め設定した全ての判断位置Pについて上述した特定処理が完了したか否かを判断する(ステップS67)。この判断は、現在処理している位置P(x,y,z)が最終の位置P(p、q、r)か否かで判定することで行う。この判断がNOとなって、全ての判断位置Pについて特定処理が完了していない場合、画像プロセッサ56は、その判断位置P(x,y,z)を1つ分シフトさせ(ステップS68)、その処理を前述したステップS55に戻し、上述した一連の特定処理を繰り返す。
[0171]
 なお、図37に示すように、複数の判断位置Pは3D基準画像PIref(すなわち3D基準断層面SS)に沿って所定間隔を以って2次元的に予め配置されている。同図の例では、3D基準画像PIrefの縦軸方向i及び横軸方向jに沿って縦横同一の所定間隔dを空けて配置されている。ただし、この所定間隔dは縦軸方向i及び横軸方向jそれぞれにて互いに相違させてもよい。ステップS68の処理におけるシフトの方向は、3D基準画像PIrefに沿った縦、横、及び斜めの何れの方向であってもよい。図37に示すように、3D基準画像PIrefの縦軸方向iに沿ってシフトさせた後、横軸方向jにシフトしてまた縦軸方向iに沿ってシフトさせることを規則正しく繰り返してもよい(図の符号SCを参照)。その逆に、横軸方向jにシフトさせて後、縦軸方向iにシフトさせることを繰り返してよい。さらに、斜め方向にシフトさせてもよい。
[0172]
 その一方で、複数の判断位置Pの全てにおいて上述した一連の判断が終了すると、上述した繰り返し判断の中で前述したステップS67における判断がYESとなる。つまり、3D基準断層面SSの奥行き方向における判断位置P毎に最適焦点の断面位置の検出(最適焦点位置の有無の判断を含む)の処理が完了したことになる。この場合、最適焦点の断面位置の結合処理に移行する。
[0173]
 (最適焦点の断面位置を結合する処理)
 上述したステップS67の判断がYESとなると、画像プロセッサ56はステップS65において特定し記憶していた最適焦点の断面位置を表すデータを読み出す(ステップS69)。この断面位置のデータは、それぞれの判断位置P(x、y、z)を通る投影方向DRxの位置である。この様子を図38に模式的に示す。同図において、黒丸は3D基準画像PIref(3D基準断層面SS)の判断位置P(x、y、z)を示す。ここで、湾曲した3D基準画像PIrefの縦方向及び横方向を(i, j)と表す。図38において、白丸で示す如く、例えば、i,j=0,0の判断位置P(x 00、y 00、z 00)に対する最適焦点断面位置が内側(X線管の側)に1つ寄った断層面SR1の位置であり、その隣のi,j=0,1の判断位置P(x 01、y 01、z 01)に対する最適焦点断面位置が内側さらに1つ寄った断層面SR2の位置であり、その隣のi,j=0,2の判断位置P(x 02、y 02、z 02)に対する最適焦点断面位置が内側さらに1つ寄った断層面SR3の位置であり、といった具合になる。なお、図38は、図を見易くするため、Z軸方向(縦方向)の1つの位置におけるステップS68を示しているが、このZ軸方向の他の位置それぞれについてもステップS68の処理が実行される。
[0174]
 次いで、画像プロセッサ56はノイズの除去を行う(ステップS70)。図38の例で例えば、画像の縦横方向の位置i,j=0,3の判断位置P(x 03、y 03、z 03)に対する最適焦点断面位置が外側(検出器の側)にm個も寄った断層面SFmの位置であるとする。このような場合、画像プロセッサ56は、断面位置同士の差分を例えば閾値判断に掛けてノイズであり異常であると見做す。この場合、隣接する断面同士の位置のデータを滑らかに繋がるように例えば平滑化し、その平滑化した新たな位置データに置換する、又は、選択的に検出器の外側に近いデータを優先させる、などの処理を行う。なお、このような置換による補償を行わずに、単に、異常データを処理対象から外すようにしてもよい。この異常データの排除にZ軸方向のデータの異常を加味することも当然可能である。
[0175]
 この後、画像プロセッサ56は、ノイズ除去した位置(すなわちエナメル質の位置)を結合し、この結合した位置のデータを3次元的にスムージングして、エナメル質の部分の形状をトレースした表面画像を作成する(ステップS71)。さらに、この画像プロセッサ56は、この表面画像を、その部位全てが自動的に最適焦点処理に付された3次元パノラマ画像、すなわち3Dオートフォーカス画像PIfocusとしてモニタ60に所定のビュー角度で表示させる(ステップS72)。
[0176]
 これにより、図39に示すように、所定のビュー角度で見た、被検体Pの口腔部の歯列の構造体が最も明瞭に見える輪郭に沿ってできる3Dオートフォーカス画像PIfocusを提供できる。同図において、湾曲している馬蹄形の範囲Sは、3Dオートフォーカス画像PIfocusを表示するための範囲であり、実線部分が歯列の実際の位置及び形状を表している。A-A´線及びB-B´線で示す如く、歯茎(歯槽骨)の部分や下顎洞、顎関節、頚動脈などは、歯(主にエナメル質)の端部から一定距離にした断層距離をキープし、断層面を作り3D断層面投影する方法も可能である。この場合は、これらの部位が最適焦点になっていることは保証できないが、3Dのパノラマ画像としては、違和感を覚えない画像として再構成可能である。勿論、これらの部位も最適焦点面の計算に工夫を加え、そのまま計算し用いる方法も、診断の目的によっては有り得るのは言うまでもない。
[0177]
 このように、3Dオートフォーカス画像PIfocusは、歯列に沿って湾曲しながらも、その表面はでこぼこしており、この「でこぼこ」により個々の歯の実際の位置及びその形状(輪郭)を画素の濃淡で表している。その他の部分も違和感のない画像として表現できる。
[0178]
 このように個々の被検体Pの歯列の実在位置・形状を表す3Dオートフォーカス画像PIfocusが作成される。
[0179]
 (種々の表示処理)
 この後、画像プロセッサ56は、その3Dオートフォーカス画像PIfocusを他の態様で観察する機会を操作者に与える。つまり、画像プロセッサ56は、操作者から操作情報に基づいて、その3Dオートフォーカス画像PIfocusを他の態様でインターラクティブに表示するか否かを判断する。
[0180]
 その一例として、画像プロセッサ56は、3Dオートフォーカス画像(3次元パノラマ画像)PIfocusの部分領域を観察するか否かを判断する(図5、ステップS10)。このステップS10の判断がYESになると、さらに、その部分領域の観察を3D基準断層面SSで行うのか、又は、基準面パノラマ画像の矩形面(2次元)で行うのか、操作者からの情報を基づいて判断する(ステップS11)。このステップS11において3D基準断層面SSを使用すると判断されると、画像プロセッサ56は、3Dオートフォーカス画像PIfocusを3D基準断層面SSに、個々の画素を通る投影方向DRxに沿って再投影する(ステップS12)。この再投影の様子を図40に示す。この再投影は例えば3D基準断層面の一画素を、対応する3次元の画素をサブピクセルで区切り再投影するサブピクセル法により実行される。
[0181]
 この3D基準断層面SSへの再投影像は、3D参照画像PI proj-3Dとして、モニタ60に表示される(ステップS13)。この3D参照画像PI proj-3Dの一例を図41に示す。
[0182]
 一方、ステップS11において基準面パノラマ画像PIstの矩形面を使用すると判断されると、画像プロセッサ56は3Dオートフォーカス画像PIfocusをその矩形面、つまり基準面パノラマ画像の面に再投影する(ステップS14)。この再投影も、標準パノラマ画像面の一画素を、対応する3次元の画素をサブピクセルで区切り再投影するいわゆるサブピクセル法により実行されるのは言うまでもない。この再投影の概念を図42に示す。この再投影像は、2D参照画像PI proj-2Dとして、モニタ60に表示される(ステップS15)。この2D参照画像PI proj-2Dの一例を図43に示す。
[0183]
 そこで、操作者は、この3D参照画像PI proj-3Dまたは2D参照画像PI proj-2Dに所望の、例えば矩形のROI(関心領域)を設定する(ステップS16:図41及び図43を参照)。このROIにより指定された部分領域の画像は例えば拡大され、例えば現在表示されている3D参照画像PI proj-3Dまたは2D参照画像PI proj-2Dに重畳表示される(ステップS17)。勿論、この表示は、パノラマ画像とは別個の単独画像であってもよいし、同パノラマ画像との分割表示であってもよいし、歯列を模した複数のブロックから成るテンプレートの1つに収めた表示であってもよい。
[0184]
 この後、画像プロセッサ64はかかる一連の処理を終了するか否かを操作情報から判断し(ステップS18)、この判断がYESの場合は処理を前述したステップS7に戻す。これに対し、NOの場合は処理をステップS10に戻して上述した処理を繰り返す。
[0185]
 その一方で、前述したステップS10において部分画像の観察をしないと判断する場合、画像プロセッサ56は、現在表示されている3Dオートフォーカス画像PIfocusを回転、移動、及び/又は拡大・縮小して表示するか否かをインターラクティブに判断する(ステップS19)。この判断がYESのなる場合、指令情報に応じて3Dオートフォーカス画像PIfocusを回転、移動、及び/又は拡大・縮小し、その画像を表示する(ステップS20,S21)。この後、処理はステップS81に移され、前述と同様の処理を繰り返す。
[0186]
 勿論、表示態様の種類は上述したものに限定されず、例えばカラー化など、その他の様々な態様を採り得る。
[0187]
 操作者が処理の終了を指示している場合、画像プロセッサ64はステップS18、S7を経て、かかる処理を終了させる。
[0188]
 なお、上述したステップS16の設定処理を行った後、ステップS17の表示処理を行わずに、ステップS19の処理に移行するようにしてもよい。その場合、設定したROIは、回転、移動、拡大・縮小した画像と共にステップS21において表示される。
[0189]
 以上のように、本実施形態によれば、パノラマ撮像空間の構造を3次元的に把握することで、投影方向が3次元的に表現できる。従って、パノラマ画像の焦点が合っている限りは、3次元表現された画像に歪が生じず、正確なパノラマ撮影画像を構築することができる。このことにより、パノラマ画像をより、位置決めの良否に関わらず安定に表示でき、かつパノラマ画像全体で鮮明な画像を作るようなこともできる。
[0190]
 また、本実施形態に係るファントムを用いて撮像空間の構造解析及び3D画像再構成に必要なパラメータをキャリブレーションすることができる。キャリブレーションも、X線照射角度θを対象としない簡易型から、X線照射角度θを考慮した詳細型のキャリブレーションまで選択的に実行できる。このため、装置毎に、そして、医療施設に据え付けた後にも、必要性に応じて適宜なタイミングでキャリブレーションを簡単に行える。しかも、この構造解析やキャリブレーションはX線管31及び検出器32の対の回転中心RCの位置変化αθ1を考慮している。3D画像再構成は、その位置変化αθ1を補償したパラメータをも参酌して実行される。したがって、装置毎のパラメータの個体差や経時的なパラメータの変化が確実に補償されるので、歯列の実体位置が正確に描出された、つまり、3次元の距離の精度が高い、3次元表面画像が得られる。
[0191]
 一方、基準断層面の軌道が不明のパノラマ撮像装置に対しても、ファントム101を用いた撮像を通して、その撮像空間を特徴付ける定数パラメータ及び関数パラメータを計測することもできる。
[0192]
 (ファントムの変形例)
 なお、本発明に係る放射線撮像装置で採用可能なファントムは上述したものに限定されず、上述以外にも様々な構成で実施することができる。以下、この変形例を説明する。
[0193]
 前述したファントム101には、基準面軌道ORsとは異なる他の軌道として、この基準面軌道ORsよりも外側の軌道である外側面軌道ORouterを設けるようにしたが、基準面軌道ORsとよりも内側に所定距離だけ離間させて設けた軌道であってもよい。
[0194]
 また、ファントム101は、異なる2つの軌道ORs、ORouterに植設する支柱113、113´は、生産性を向上させる上で有利なように、共に同じ形状及び寸法のものにし、組み立て時に一方を逆さまに設置するだけの構造にした。しかしながら、X線照射角度θ=0以外の角度に設置する支柱113、113´のうち、一方、例えば外側面軌道ORouterに設置するファントム113´は、ゲインΔX/ΔFiおよびX線照射角度θを測定できれば足りるので、第1及び第2のマーカ114,115を外すようにしてもよい。この簡略化した一例を図44に示す。
[0195]
 さらに、支柱113,113´については、前述した実施形態では細長い角柱状に形成したが、細長い丸棒201であってもよい(図45(A)参照)。また、支柱113、113´の代わりに、紐状の懸垂体202を用意し、その懸垂体の途中にマーカを設置する構造であってもよい(図45(B)参照)。
[0196]
 第1、第2、及び第3のマーカ114,115,116の夫々についても、必ずしもライン状でなくてよく、複数の点がライン状に並んだ点列のマーカであってもよい(図45(C)参照)。特に、第1及び第2のマーカ114,115は上下方向の位置が分かればよいので、1つの点状のマーカにしてもよい(図45(D)参照)。さらには、第1、第2、及び第3のマーカ114,115,116を1つのマーカ体で構成することもできる。例えば図32において、第1のマーカ114と第2のマーカ115を上下に繋ぐ細長いマーカ板203を設け、そのマーカ板203の第3のマーカ116に相当する部分にスリットSを形成する(図45(E)参照)。このマーカ板の上下端位置が第1、第2のマーカの機能を果たし、且つ、スリットSが第3のマーカ116の機能を果たすので、このマーカ板を支柱113の所定位置に貼り付けるようにしてもよい。
[0197]
 さらに、マーカ114~116はその他のファントムの部位とはX線透過率が異なればよいので、例えば支柱113,113´を金属性とし、マーカに相当する部分をX線透過率が異なる物質(単なる凹みも含む)で形成することもできる。
[0198]
 このように、必要な位置や距離の情報を得るためにファントム101に与えられるべき構造の変形例は数多く存在することは言うまでもない。なお、すべての情報を一度に測定可能な構造のほか、必要な情報を個別に分けて収集できる複数のファントムを用意してもよく、そのようなファントムも本発明の主旨に含まれることは言うまでもない。例えば、前述した万能型ファントム101の基準面軌道ORsのみに前述した一組の支柱体113を植設した第1のファントムと、外側面軌道ORouter(或いは、図示していなが内側面軌道)のみに前述した一組の支柱体113´を植設した第2のファントムとを用意することができる。この場合、第1及び第2のファントムについて2回のスキャンを実行し、それぞれのスキャン結果から2つのパノラマ画像を再構成し、前述した測定を行なうことができる。
[0199]
 さらに、これらの第1及び第2のファントムは、物理的に前述した1つの万能型ファントム101に結合可能な構成にすることもできる。この場合には、第1及び第2のファントム自体は個別に保管し、測定時には1つのファントムとして使用できる。
[0200]
 なお、本発明は上述した実施形態のものに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさらに適宜に変形可能なものであり、それらも本発明に含まれることは言うまでもない。例えば、X線管31と検出器32を被検体Pの口腔部の周りに回転(移動)させるときに、X線管31と検出器32とが互いに斜めに対向しながらX線によるスキャンが行われるように、回転ユニット24の構造を変更してもよいし、かかる「互いに斜めに対向したスキャン」と実施形態で説明した「互いに正対したスキャン」とを適宜に組み合わせてもよい。この組み合わせは、口腔部の歯列のどの部位をスキャンするかに応じて設定することができる。これにより、常に歯列の各部位に極力、直交した状態でX線をスキャンさせ、歯の重なりや頸椎の写りこみなどを極力、回避した角度でX線照射を行い、アーチファクトなどのより少ないパノラマ画像を再構成させることができる。
[0201]
 ところで、本発明に係る放射線撮像装置は、歯科用のパノラマ撮像装置に実施するものに限定されず、トモシンセシス法を用いて対象物の実体形状(位置)を3次元的に把握する装置にも実施することができる。そのような応用として、例えば医療用としては、トモシンセシス法を用いたマンモグラフィ、肺がん検査用スキャナへの用途がある。

産業上の利用可能性

[0202]
 本発明によれば、ファントムを用いた計測により、撮像空間の構造を規定する、X線管、3D基準断層面、及び検出器の位置・距離・角度のパラメータを容易に且つ精度良く解析できるとともに、キャリブレーションして撮像に備えることができる。したがって、対象物を精度良く3次元的に撮像できる、放射線を用いた撮像装置を提供することができる。

符号の説明

[0203]
1 歯科用のパノラマ撮像装置(放射線撮像装置)
12 コンピュータ
14 撮影部
31 X線管(放射線源)
32 検出器
33 コリメータ
41 高電圧発生器
53 バッファメモリ
54 画像メモリ
55 フレームメモリ
56 画像プロセッサ
57 コントローラ
58 操作器
60 モニタ
101 ファントム
111 ベース
113、113´ 支柱体
114~116 ファントム

請求の範囲

[請求項1]
 放射線を放出する放射線源と、
 前記放射線源に対峙して配置され、かつ、前記放射線を入射したときに当該放射線に対応したデジタル電気量の2次元データをフレーム単位で出力する検出器と、
 前記放射線源と前記検出器との間に提供される撮像空間において当該放射線源と当該検出器とを結ぶラインが位置的に変化するように、当該放射線源及び当該検出器、当該放射線源、又は、前記対象物の何れかを、当該放射線源、当該検出器、及び当該対象物のうちの残りの要素に対して相対的に移動させる移動手段と、
 前記移動手段により前記放射線源及び前記検出器、当該検出器、又は、前記対象物を移動させている間に、前記検出器から出力される前記データをフレーム単位で収集するデータ収集手段と、
 を備え、前記データ収集手段により収集された前記データを用いて前記対象物の撮像部位の3次元画像を生成する放射線撮像装置において、
 前記撮像空間に配置されるとともに、この配置によって当該撮像空間内の予め定めた断層面に位置付けられ且つ既知の位置情報を前記放射線で画像化可能なマーカを有するファントムと、
 前記ファントム装置を前記撮像空間に配置した状態で、前記放射線源から放出された放射線に応じて前記データ収集手段により収集されたデータに基づいて画像を作成する画像作成手段と、
 前記マーカの既知の位置情報と前記画像から得られた前記マーカの位置の情報とに基づき、前記放射線源と前記検出器の間の距離情報及び前記検出器に対する前記放射線源の高さ情報を演算する第1の演算手段と、
 前記第1の演算手段の演算結果と前記データに基づいて、前記ラインの位置の変化量を加味した、前記撮像空間における前記放射線源、前記検出器、及び前記断層面の位置関係を規定するパラメータを演算する第2の演算手段と、を備えたことを特徴とする放射線撮像装置。
[請求項2]
 前記第2の演算手段により演算されるパラメータをキャリブレーションデータとして記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする放射線撮像装置。
[請求項3]
 前記放射線により前記対象物の撮像部位を撮像したときに、前記キャリブレーションデータを前記記憶手段から読み出し、当該キャリブレーションデータを用いて当該撮像部位の実在位置を3次元的に演算する第3の演算手段を備えたことを特徴とする放射線撮像装置。
[請求項4]
 前記第2の演算手段は、前記ラインの位置の変化量として、当該ラインが移動することに伴う当該ライン上の所定位置の移動量を加味して前記パラメータを演算する手段であることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の放射線撮像装置。
[請求項5]
 前記移動手段は、前記放射線源と前記検出器の対を前記対象物の周りに互いに異なる、円軌道及び楕円軌道を含む、曲率を有する軌道並びに角速度で回転させる手段であり、
 前記第2の演算手段は、前記放射線源と前記検出器が回転するときに共有する回転中心の位置を前記ライン上の所定位置として用い、この回転中心の位置の変化量を加味して前記パラメータを演算する手段であることを特徴とする請求項4に記載の放射線撮像装置。
[請求項6]
 前記放射線源は前記放射線としてのX線を曝射するX線管であり、
 前記検出器は前記X線を検出する検出器であり、
 前記移動手段は、前記X線管と前記検出器の対を前記対象物の周りに互いに異なる、円軌道及び楕円軌道を含む、曲率を有する軌道並びに角速度で回転させ、且つ、当該X線管と当該検出器とを常に互いに正対させるように回転させる手段であり、
 前記画像作成手段は、前記データ収集手段により収集されたデータをトモシンセシス法に基づいて前記画像としてのパノラマ画像を作成する手段である、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の放射線撮像装置。
[請求項7]
 前記軌道は円軌道であり、
 前記所定位置の移動量は、前記放射線源と前記検出器が互いに異なる円軌道を回転中心を共有して回転するときの当該回転中心の位置の変化量である、ことを特徴とする請求項6に記載の放射線撮像装置。
[請求項8]
 前記第1の演算手段は、前記距離情報として、前記X線管と前記回転中心との間の第1の距離及び当該回転中心と前記検出器との間の第2距離を演算するとともに、前記高さ情報として、前記高さ方向における前記検出器の基準位置からの前記X線管の高さを演算する手段であることを特徴とする請求項7に記載の放射線撮像装置。
[請求項9]
 前記第2の演算手段は、前記パラメータとして、前記データのフレーム番号の入力とする関数であって、前記検出器の検出面の移動距離と当該フレーム番号の変化率、前記X線管から放射されるX線束の前記対象物への投影角度、当該投影角度と前記フレーム番号の変化率、前記回転中心から前記撮像部位までの第3の距離、前記回転中心の位置の変化量)、及び当該回転中心の位置座標を演算する手段であることを特徴とする請求項8に記載の放射線撮像装置。
[請求項10]
 前記ファントムは、
 ベースと、
 前記断層面としての基準断層面を前記ベースへ投影して生成される基準面軌道、及び、当該基準面軌道から離間し且つ当該基準面軌道に併走する他の軌道のそれぞれに沿って、軌道毎に複数、立設される支柱と、
 前記複数のそれぞれ支柱に配設され、X線透過率が少なくとも当該支柱のX線透過率とは異なるマーカと、を備えたことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の放射線撮像装置。
[請求項11]
 前記ファントムが有する支柱は、前記撮像部位である歯列を辿った略馬蹄形の基準断層面を前記ベースへ投影して生成される基準面軌道、及び、当該基準面軌道から離間し且つ当該基準面軌道に併走する略馬蹄形の他の軌道のそれぞれに沿って、軌道毎に複数、立設されていることを特徴とする請求項10に記載の放射線撮像装置。
[請求項12]
 前記マーカは、予め設定されている前記X線の照射角度が前記位置の変化を与えない角度である基準角度における前記第1の距離、前記第2の距離、前記高さ、及び前記第3の距離の情報を得るために前記基準面軌道及び前記他の軌道のそれぞれに位置させ、高さ方向の画像の拡大率を測定するための第1のマーカを含んでいることを特徴とする請求項10又は11に記載の放射線撮像装置。
[請求項13]
 前記マーカは、前記基準角度以外の照射角度における前記第3の距離の情報を得るために前記基準面軌道及び前記他の軌道の何れか一方に位置させ、高さ方向の画像の拡大率を測定するための第2のマーカを更に含んでいることを特徴とする請求項12に記載の放射線撮像装置。
[請求項14]
 前記マーカは、前記投影角度の実際値の情報を得るために、予め設定されている前記X線の照射角度毎に、前記基準面軌道及び前記他の軌道のそれぞれに配置された第3のマーカを更に含んでいることを特徴とする請求項13に記載の放射線撮像装置。
[請求項15]
 前記第1及び第2のマーカは、高さ方向において既知の2点の位置情報を与えるマーカであり、前記第3のマーカは前記高さ方向に沿い且つ前記基準面軌道及び前記他の軌道において当該高さ方向の位置が互いに異なり且つライン状の又はラインを想定可能なマーカであることを特徴とする請求項14に記載の放射線撮像装置。
[請求項16]
 前記第1の演算手段は、
 前記X線の照射の基準角度において前記画像から、前記データのフレーム番号の入力とする関数であって、前記検出器の検出面の移動距離と当該フレーム番号の変化率と、前記X線管から放射されるX線束の前記対象物への投影角度と前記フレーム番号の変化率とを算出する第1の変化率算出手段と、
 この第1の変化率算出手段の算出結果と前記第1のマーカの拡大率とを用いて前記第1の距離、前記第2の距離、及び前記高さを算出する第1の情報算出手段とを備えたことを特徴とする請求項12~15の何れか一項に記載の放射線撮像装置。
[請求項17]
 前記第2の演算手段は、
 前記第3のマーカの前記画像への画像化情報を用いて前記X線の照射角度の実際値を前記予め定めた照射角度毎に算出する角度算出手段と、
 前記X線の照射角度の実際値毎に前記検出器の検出面の移動距離と当該フレーム番号の変化率と、前記X線管から放射されるX線束の前記対象物への投影角度と前記フレーム番号の変化率とを算出する第2の変化率算出手段と、
 この第2の変化率算出手段の算出結果と前記第2のマーカの拡大率とを用いて前記X線の照射角度の実際値毎に、前記回転中心から前記撮像部位までの第3の距離、前記回転中心の位置の変化量、及び当該回転中心の位置座標を算出する第2の情報算出手段とを備えたことを特徴とする請求項16に記載の放射線撮像装置。
[請求項18]
 前記第2の演算手段は、
 前記予め設定したX線の照射角度毎に前記検出器の検出面の移動距離と当該フレーム番号の変化率と、前記X線管から放射されるX線束の前記対象物への投影角度と前記フレーム番号の変化率とを算出する第2の変化率算出手段と、
 この第2の変化率算出手段の算出結果と前記第2のマーカの拡大率とを用いて前記X線の照射角度の実際値毎に、前記回転中心から前記撮像部位までの第3の距離、前記回転中心の位置の変化量、及び当該回転中心の位置座標を算出する第2の情報算出手段とを備えたことを特徴とする請求項16に記載の放射線撮像装置。
[請求項19]
 前記記憶手段は、前記X線の照射角度の実際値毎に又は予め設定された前記X線の照射角度毎に、前記検出器の検出面の移動距離と前記フレーム番号の変化率、前記投影角度と前記フレーム番号の変化率、前記回転中心から前記撮像部位までの第3の距離、前記回転中心の位置の変化量、及び当該回転中心の位置座標をルックアップテーブルとして有することを特徴とする請求項17又は18に記載の放射線撮像装置。
[請求項20]
 前記第3の演算手段は、前記基準断層面とは異なる複数の断層面を前記第1の距離、前記第2の距離、前記投影角度のフレーム番号の変化率、前記第3の距離及び前記回転中心の位置の変化量を加味して設定する断層面設定手段と、前記画像のデータ用いて当該断層面設定手段が設定した断層面それぞれの画像を再構成する再構成手段と、この再構成した複数の断層像を用いて前記撮像部位の実在位置を、前記照射角度の実際値及び前記回転中心の位置座標を用いて、常に前記X線源を睨む方向に3次元的に同定する同定手段を備えたことを特徴とする請求項17~19の何れか一項に記載の放射線撮像装置。
[請求項21]
 X線を放出するX線源と前記X線を電気信号として検出する検出器とを対象物を挟んで相互に対向させ、当該X線源と当該検出器を当該対象物の周りに回転させながら、前記X線を当該検出器によりデジタル電気量のフレームデータとして検出し、前記フレームデータに基づいて前記対象物の断層面のパノラマ画像を作成するパノラマ撮像装置における、前記X線源と前記検出器との間の空間に配置されるファントムであって、
 ベースと、
 前記断層面としての基準断層面を前記ベースへ投影して生成される基準面軌道、及び、当該基準面軌道から離間し且つ当該基準面軌道に併走する他の軌道のそれぞれに沿って、軌道毎に複数、立設される支柱と、
 前記複数のそれぞれ支柱に配設され、X線透過率が少なくとも当該支柱のX線透過率とは異なるマーカと、を備えたことを特徴とするファントム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]

[ 図 25]

[ 図 26]

[ 図 27]

[ 図 28]

[ 図 29(1)]

[ 図 29(2)]

[ 図 30]

[ 図 31]

[ 図 32]

[ 図 33]

[ 図 34]

[ 図 35]

[ 図 36]

[ 図 37]

[ 図 38]

[ 図 39]

[ 図 40]

[ 図 41]

[ 図 42]

[ 図 43]

[ 図 44]

[ 図 45]