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1. JP2021514275 - 涙膜挙動に基づく方法

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Title of Invention 涙膜挙動に基づく方法 AU2017000266 20171208 WO2019109122 20190613 20200701

Technical Field

0001  

Background Art

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027  

Summary of Invention

Technical Problem

0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036  

Technical Solution

0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130  

Brief Description of Drawings

0131  

Description of Embodiments

0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241  

Claims

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27   28   29   30   31   32   33   34   35   36   37   38   39   40   41   42   43   44   45   46   47   48   49   50    

Drawings

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   20201202A16333全文3

Claims

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15    

Description

涙膜挙動に基づく方法

AU2017000266 20171208 WO2019109122 20190613 20200701

Technical Field

[0001]
本発明は、被験者の眼症状に関する診断および治療方法に関する。より具体的には、本発明は、涙膜挙動、特に涙膜の物理的挙動の分析に基づく診断および治療方法に関する。

Background Art

[0002]
近年、眼科コミュニティに広く受け入れられている理論は、哺乳類の目の眼表面を覆う涙膜が、ムチン成分と、水、塩、タンパク質、および栄養分を含む房水成分と、脂質成分との3つの成分で構成されることである(HollyおよびLemp著、1977年、Surv Ophthalmol 22:69〜87、Chen他著、1997年、Invest Ophthalmol Vis Sci 38:381〜387)(3層モデル)。3層モデルによると、正常な目において、これら3つの成分は通常、互いに積層され、全体として涙膜を形成する。
[0003]
涙膜の全体厚さは約3μm(単一細胞の径の半分未満)であり、脂質層自体が外側の70nmに及ぶ。3層モデルによると、房水成分は、ムチン成分と脂質成分との間に挟まれて効果的に含まれ、脂質成分は、房水成分の上にブランケットを形成し、内部の水が蒸発することを防ぐ。
[0004]
2015年5月14日にオンライン出版された、MillarおよびSchuett著“The real reason for having a Meibomian lipid layer covering the outer surface of the tear film−A review”、Experimental Eye Research、第137巻、125〜138ページにおいて、著者は、涙膜および涙膜に関する先駆集団によって行われた研究に関する文献調査を行った。
[0005]
涙膜は、まばたきをする度に再形成する。上瞼が閉じると、涙膜流体は、瞼と眼球表面との間の小さな空間(涙溜まり)に押し込まれ、そこから、鼻へ流れ込む涙管内へ移動する。涙膜の表面を覆う脂質は、押し上げられる。開眼時、上瞼の上向きの運動が、涙腺から到来する新たな涙膜流体によって新たな涙膜を眼表面に広げる。脂質層が再び拡散する。いくらかの新たな脂質も脂質膜に追加される。これは、脂質を分泌する腺がまばたき中に圧搾され、まばたき中に一定量の新たな脂質を出すために生じる。
[0006]
3層モデルによると、ドライアイ疾患または乾性角結膜炎を有する被験者の涙膜は、正常な目における涙膜と同じ程度の房水成分を含有することができない。したがって、このモデルによると、房水層がどの程度良好に含有されるかを決定することによって、この疾患を診断することが理にかなっている(Pflugfelder他著、2000年、Cornea 19:644〜649、Jester(ed)著、2004年、Ocular Surface 2:53〜168)。この決定を行う1つの方法は、場合によっては涙膜崩壊時間または涙膜安定性と呼ばれ、涙膜が形成後に崩壊するのに要する時間を測定する。
[0007]
このアプローチに伴う重要な難点は、涙膜が崩壊するのにどれ程を要するかに関する決定は、主観的であり、医師の経験に基づいて変動するという点である。正常および異常な涙膜の診断における可変性が、この難点に寄与する。異常な涙膜と正常な涙膜とを区別するために、通常、代理測定および恣意的な閾値/基準が作成される。
[0008]
この文献における涙膜崩壊時間に関する1つの典型的な代理測定は、蒸発率である。たとえば、いくつかの特許/特許出願は、仮定の蒸発率から涙膜崩壊時間/涙膜安定性を推定することによってドライアイ疾患を診断することに向けられる。蒸発率は、任意の方法で任意の方式に従って温度変化を測定することから計算される(US2008/0174733、US2012/0057126、US2013/0079660)。
[0009]
他の近年の論説もまた、正常な目とドライアイとの区別を、様々な温度統計の中でも特に、目における領域の温度変化、眼表面の冷却率に基づかせるものである(Abreau,K.他著、“Temperatures of the Ocular Surface, Lid, and Periobital Regions of Sjogren’s, Evaporative, and Aqueous−Deficient Dry Eyes Relative to Normals”、The Ocular Surface、2016年1月、第14巻、第1号、64〜73ページ)。これらの従来技術文献に共通した筋道は、温度測定およびそれらの測定値の統計分析に基づいて涙膜崩壊時間/涙膜安定性を推定することによって診断を行おうとする点である。
[0010]
近年、ドライアイの診断に推奨される診療は、
(a)初期患者病歴、
(b)一般的な目の検査、
(c)確認症状質問事項、および
(d)涙膜、眼表面、またはマイボーム腺の状態を測定するための少なくとも2つの客観試験(Pflugfelder他著、2000年、Cornea 19:644〜649、Jester(ed)著、2004年、Ocular Surface 2:53〜168、SWEENEY他著、2013年、Exp Eye Res 117:28〜38)
という一連のステップである。
[0011]
ステップ(c)における質問事項は、患者の主観的見解およびスケーリングに依拠する。したがって、その後、ドライアイの徴候は、ステップ(d)における客観試験によって測定される。
[0012]
これらの試験の多くは侵襲性であり、涙膜は、試験を行うことによって(人工的に)悪影響を及ぼされる。涙膜崩壊時間は、涙膜にフルオレセインを差し込むことを伴う。涙量の測定は、目にフィルタストリップ(シルマー試験)または木綿糸(フェノールレッド糸試験)を入れることを伴う。モル浸透圧濃度(涙の過剰な蒸発の指標)の測定は、涙を収集することを伴う。マイボーム腺機能障害に関して試験するために、マイボーム腺が手動で圧搾される。重ねて、これは、マイボーム腺に関して自然発生するものを示すことはなく、患者のマイボーム腺がどの程度機能しているかに関する実感も得られない。
[0013]
また、涙膜の性能および安定性の評価は、多数の診断方法を必要とするために、間接的であり、高費用であり、時間がかかる。これは、患者によって説明された症状にその結果を関連付けることが難しいため、厄介である。これらの試験は、70%までの比較的低い予測値を有する傾向がある(Wolffson JS他著、2017年、TFOS DEWS II Diagnostic Methodology report. The Ocular Surface 15:539〜574)のみならず、離散的数の眼症状、最も顕著にはドライアイへの適用が制限されもする。
[0014]
現在、調査結果を患者ケアにおける臨床的マイルストーンに変換するために涙膜の動的性能を評価するために用いられ得る単一の直接的な測定または観察技術は存在しない。より侵入性が低く、高効率かつ正確な、眼症状に関する診断およびそのような症状に関する治療計画の展開または監視の方法への要望が存在する。
[0015]
コンタクトレンズは、角膜に載置される異物である。角膜は、血液供給を有さないので、酸素の供給を涙膜に依拠する。したがって、十分な快適性および好適な機能性を確実にするために、涙膜は、コンタクトレンズの存在にかかわらず、正しく機能し続けなければならない。コンタクトレンズは、それが眼表面であるかのように挙動しなければならず、涙膜に干渉してはならない。
[0016]
一般に、コンタクトレンズの等級(およびブランド)は、顧客の習慣および所望に基づいて選択される。等級(およびブランド)は、医師の選択する物事であり、実際問題として、彼/彼女が患者にとってより快適であると見出したものに基づくべきである。
[0017]
ソフトコンタクトレンズおよびハードコンタクトレンズが存在する。ハードレンズは、昨今、あまり使用されない。ソフトレンズの主な等級は、以下の通りである。
[0018]
デイリー装用(「デイリーズ」):毎晩廃棄され、毎朝取り替えられる。これらは一般に、非常に吸水性が高く柔らかいプラスティックであるハイドロゲルである。これらは、夜間に洗浄または保管する必要がないため、必要なケアが非常に少ない。
[0019]
ウィークリー装用(「ウィークリーズ」):デイリー使い捨てコンタクトレンズと同様、これらは1週間装着し、その後、新しいペアと取り替えるために作られている。これらは、夜間の洗浄または保管を必要としない。
[0020]
マンスリー使い捨て(「マンスリーズ」):非常に一般的であり、毎晩取り外され、溶液で消毒され、適切な容器に保管される。これらはその後、1か月の終わりに廃棄され、取り替えられる。
[0021]
長期装用:最大6晩7日間、または1か月、昼夜連続して装着される。7日間用コンタクトレンズは一般に、6昼夜装着され、その後、目を休ませる間、洗浄のためにコンタクトレンズケースに保管される。マンスリーコンタクトレンズは一般に、デイリーズに用いられるハイドロゲルよりも通常強靭なシリコンハイドロゲルで製造される。これらは、高い酸素透過性を有する。装着スケジュールはブランドごとに異なり得るので、長期装用コンタクトレンズの各ブランドおよび種類に関する装着スケジュールを守ることが重要である。
[0022]
コンタクトレンズは、涙からタンパク質、脂質、および他の成分を吸収する(汚れる)とともに、大気中のアレルゲンおよび汚染物質、手の油分および石鹸も吸収する。したがって、コンタクトレンズを洗浄する必要がある。
[0023]
コンタクトレンズの選択は一般に、以下のステップを含む目の検査を伴う。明らかになるように、選択のプロセスは一般に、経時的に発生し、処方箋の書面において完結する。
(a)既往歴:それらへの回答がコンタクトレンズに関する嗜好を導き得る、患者の生活様式に関する一般的な質問、および
(b)視力および目の健康に関する包括的な目の検査。
患者が衛生意識に乏しい、花粉症または他のアレルギーを患っている可能性が高い、ルーティンを有さない(またはルーティンに従わない)場合、一般にデイリーズが推奨される。コンタクトレンズの挿入および取外しに問題/困難を有する患者の場合、長期装用がより好適な選択肢であると思われる。
(c)フィット感の決定:
a.角膜の曲率を測定するために、一般にケラトメータが使用される。これは一般に、角膜の小さな領域を測定することに基づき、
i.コンタクトレンズの曲率が患者の目の形状に対して過度に平坦または過度に勾配を有する場合、不快感をもたらし、または目を傷つけることもある。
b.角膜全体の表面特性に関する非常に精密な詳細を提供するために、トポグラファが使用される。
i.角膜トポグラフィ測定値は場合によっては、目がどの程度良好に光を焦点に集めるかに関する特定の情報を提供する波面測定値と組み合わせられる。これらの組み合わせられた測定値は、最も明瞭な視覚をもたらすコンタクトレンズの種類の決定に役立ち得る。
c.コンタクトレンズの最適な径を決定するために、瞳孔および虹彩が測定される。好適には、適切にフィットするコンタクトレンズは、角膜を丁度覆う。
(d)涙膜評価:
a.シルマーストリップを用いた涙の生成(ただしこれは、視力測定の実施において一般的な試験ではない)、
b.フルオレセインまたは細隙灯のいずれかを用いた涙崩壊時間。
i.重度のドライアイ症状が検出された場合、患者は、コンタクトレンズの装用を避ける、または中断することを推奨される。
ii.軽いドライアイ症状が検出された場合、特別なコンタクトレンズが用いられ得る。
(e)試用コンタクトレンズの試験:
a.試用コンタクトレンズのフィット感を評価し、目の表面に載せた時のレンズのアライメントおよび動きを観察するために、細隙灯が用いられる。
b.目の最初の流涙が止まり、レンズが安定するように、試用レンズを挿入した数分後に検査が実行される。
(f)快適性の試験:
a.これは一般に、コンタクトレンズの主な等級および形状に関する決定が下されると、反復プロセスとして行われる。
b.患者は、比較のためにいくつかの異なるブランドを試し、その後、快適性を提供するブランドを選択する。これは、引き続きの訪問を必要とする。
c.快適性は、コンタクトレンズ縁部(眼表面と相互作用するエリア)の形状、コンタクトレンズの通気性および濡れ性に起因し得る。
i.濡れ性は、涙膜がコンタクトレンズと相互作用する容易さの程度である。
d.長期装用レンズに付着する堆積物もまた、不快感の理由になり得る。
i.これらの堆積物は、涙膜がどの程度コンタクトレンズと相互作用するかに影響を及ぼす。
(g)引き続きの訪問:
a.快適性の試験:
i.コンタクトレンズによって角膜表面が傷つけられたかを見るための、コンタクトレンズを外した状態でのフルオレセイン染色。
ii.快適性に関する一般的な質問。
(h)処方
a.適切にフィットし、快適であり、良好な視覚をもたらすコンタクトレンズを見出した後、処方箋が書かれる。
i.処方箋は一般に、(ブランドではなく)コンタクトレンズの度数、患者の目の曲率に適合する形状(ベースカーブ)、およびレンズの径を説明する。
[0024]
多くのコンタクトレンズブランドが存在し、各々が独自の特徴を有する。全ての装着者に最適な1つのブランドは存在しない。
[0025]
さらに、
(1)涙膜とコンタクトレンズとの相互作用は、非常に重要であり、フィット感、快適性、視界、信頼性、および/または一般機能性に影響を及ぼし得る。
(2)コンタクトレンズの作りに関する限り、様々な患者が様々な要望を有し、同じ患者の片方ずつの目に異なるコンタクトレンズが適合することもある。
(3)様々なブランドのコンタクトレンズには著しい多様性がある。
[0026]
患者が装着するのに適したコンタクトレンズを選択するための改善された方法論への要望が存在する。
[0027]
本明細書におけるあらゆる文書、行動、または物品の任意の参照または説明は、本発明の文脈を提供するためだけに含まれる。優先日に作成された、共通の一般知識の一部である、または既知であるこれらの事項のいずれかまたは任意の組み合わせが、本明細書が関与する任意の問題を解決しようと試みるために関連するものであることは提案されず、表現されない。

Summary of Invention

Technical Problem

[0028]
本発明者は、涙膜挙動を分析し、分析結果を臨床的有用性のために用いることによる新規の方法を識別している。興味深い点として、新規の方法を適用することで、発明者は、概括して以下に記す理由により、涙膜挙動が3層モデルと矛盾することを認めている。
1.綿棒の先端における糸を用いて、目の角膜表面に沿って涙膜の一部を引っ張ることができ、これは、涙膜が個別の房水層を有する場合、本質的に不可能ではないにしろ、可能性が低いことである。
2.まつ毛の先端を用いて、涙膜を単一の位置で分裂させることができた。この分裂は、瞬時に、またはその後のまばたき中に修復せず、涙膜が個別の房水層を有するかのようであった。
3.ピペットまたは濾紙の端を用いる激しい塩水灌注によって、一定割合の涙膜を機械的に除去することができた。一定割合の涙膜が機械的に除去された部分の角膜を覆う涙膜の再形成には、数回のまばたきから最大で約1時間を要した。3層モデルでは、涙膜の房水および脂質層はまばたき中に入れ替わるので、除去された一定割合の涙膜が入れ替わることになるため、これは3層モデルと矛盾する。
4.強いまばたきによって「スポンジを絞るような」影響が生じた。涙膜は、通常の自発的なまばたきと比較して強いまばたきの後、正常に再形成せず、これは、強いまばたきにより、涙膜の房水成分がより多く現れるためである。涙膜の3層モデルにおける予想では、強いまばたきの後、マイボーム腺および涙腺のそれぞれから、より多くの脂質および房水が放出され、拡散性を含む涙膜の性能を向上させることになる。
5.人工涙液(等張性緩衝水)を添加した結果、添加された人工液は涙点を介して瞬時に除去されたが、開いた眼の目瞼縁への人工涙液の添加は、まばたき後も瞬時に除去されなかった。3層モデルでは、目瞼縁へ添加された人工涙液は、まばたき中に涙膜内へ押し流され、人工涙液が個別の房水層に一体化/結合し、吸収される結果をもたらすことになる。涙膜におけるあらゆる余剰流体は、涙点を介して瞬時に除去される。
6.刺激された流涙の結果、まばたきの後、過剰な房水が蒸発とともに目視された。3層モデルが正しければ、涙管を介して除去されない余剰流体は、涙膜の房水に一体化され、涙膜脂質層に覆われ、蒸発しない。
7.緩慢な開眼の結果、緩慢なまばたき中に上瞼によって加わる低いせん断力が粘弾性涙膜を拡散させるのに十分ではないため、涙膜が適切に形成しなかった。3層モデルでは、緩慢なまばたきの後、房水層および脂質層の両方が眼表面に広がり、速度の遅い開眼にもかかわらず、正常な涙膜を形成する。
[0029]
本発明者は、涙膜が目の表面を覆うゲルシェル状の構造であることを提案する。
[0030]
このゲルシェル状構造を形成する鍵となる成分は、目に比較的高濃度で存在するムチンである。一般に、ムチンは、水分子と結合して互いに相互作用する性質を有する高度にグリコシル化されたタンパク質である。含水ムチンは、その後、他のタンパク質および脂質とかみ合い、本発明者がいくつかの例において粘液と呼ぶ、ゲルシェル状の構造に類似した一体構造を形成する。
[0031]
好適な実施形態において、粘液は、非ニュートン性挙動を有し、粘性(たとえば流れ抵抗の尺度)および弾性(たとえば剛性の尺度)であるものとして説明され得る。反直観的に、好適な実施形態において、粘液は、粘性が低く(たとえば流動性が高く)なるようにその特性の1つを変化させる。せん断力の適用は、好適には、粘液を拡散可能な潤滑剤にする。
[0032]
更なる細部において(正常な目における自発的なまばたきを参照すると)、まばたき中の目が閉じている間、粘液は好適には、瞼の下向きの運動によって圧搾され、せん断力は好適には、粘液構造に適用される。これが、いくつかの実施形態において、粘液が粘性を低く(流動性を高く)するようにその特性の1つを変化させる方法である。好適な実施形態において、このプロセスの間、この粘液の一部、好適には一体化した水を有する非細胞結合ムチンでできた部分が流れ出る。
[0033]
開眼の間、下方へのまばたきにおいて除去された粘液の成分は、好適には、杯細胞からの分泌物および眼球の外側に連結した他の腺からの分泌物と入れ替わる。好適には、上方へのまばたきは、粘液にせん断力を加え、粘性が低くなるようにその特性の1つを変化させ、重ねて好適には、拡散可能な房水液と同様に(好適には潤滑剤の形態で)挙動する。涙膜脂質は、好適には、開眼中の拡散プロセスを容易にする。
[0034]
最終的に目が完全に開いてまばたきが終わりに至ると、粘液は好適には再形成し、その成分の一部は入れ替わっている。せん断力はもはや適用されていないので、ゲルシェル状構造は再び再形成される。
[0035]
好適な実施形態において、(3層モデルに対する)ゲルシェルモデルに関する相違点は、房水層を覆う脂質層によって涙の蒸発が防がれない点である。むしろ、涙膜内に房水を保持するのは、房水の粘液への結合および一体化である。
[0036]
ゲルシェル涙膜モデルは、3層モデルに基づいて行われた複雑かつ主観的な分析とは異なる、眼症状診断の方法論に着目する。本特許明細書の内容から明らかになるように、ゲルシェルモデルは、眼症状に関する治療計画の展開および監視、および患者のための適当なコンタクトレンズの選択にも有用性がある。

Technical Solution

[0037]
第1の態様によると、本発明は、被験者の目において検出された涙膜の物理的挙動または涙膜の欠如に基づいて、被験者の眼症状を診断し、または眼症状に関する治療計画を展開または監視する方法を提供し、方法は、
a.被験者の目から、少なくとも第1の捕捉データセットを捕捉するステップと、
b.少なくとも第1の捕捉データセットを分析し、それによって涙膜の物理的挙動を検出するステップと、
c.検出された涙膜の物理的挙動に基づいて、眼症状を診断し、または眼症状に関する治療計画を展開または監視するステップと
を備える。
[0038]
第2の態様によると、本発明は、被験者の目において検出された涙膜の物理的挙動または涙膜の欠如に基づいて、被験者の眼症状を診断し、または眼症状に関する治療計画を展開または監視する方法を提供し、方法は、
a.被験者の目から、少なくとも第1の捕捉データセットを捕捉するステップと、
b.少なくとも第1の比較データセットを識別するステップと、
c.少なくとも第1の比較データセットに対して少なくとも第1の捕捉データセットを分析し、それによって涙膜の物理的挙動を検出するステップと、
d.検出された涙膜の物理的挙動に基づいて、眼症状を診断し、または眼症状に関する治療計画を展開または監視するステップと
を備える。
[0039]
物理的挙動の検出は、好適かつ代替的な実施形態において、患者の目から捕捉されたデータセットを視覚化または観察することによって実現される。いくつかのそのような実施形態において、視覚化または観察は、記録されたデジタルまたはアナログ形式においてスクリーン上で、またはたとえば写真および/または図において印刷された形式で行われてよく、これらの機構は全て、捕捉データセットを拡大するために適合された拡大手段を有して、または有さずに採用される。
[0040]
いくつかの実施形態において、物理的挙動の検出は、電磁放射スペクトルからの波長内の放出および/または緩和を捕捉することによって生じる。いくつかの好適な実施形態において、検出は、赤外線放出および/または緩和および可視光放出および/または緩和によって生じる。
[0041]
好適かつ代替的な実施形態において、検出された物理的挙動は、形状、サイズ、および位置から成るグループから選択された、涙膜の1または複数の特性、または涙膜の欠如によって定義される。
[0042]
本発明のいくつかの実施形態において、検出された物理的挙動は、涙膜の、または涙膜内の形状(複数も可)によって定義される。検出形状は、規則的または不規則的であってよい。追加または代替として、これは、明瞭な定義から不明瞭な定義までの範囲内である。検出された物理的挙動は、1つの形態から別の形態へ変わってよく、一定期間継続して変化してよく、または経時的に変化してよい。
[0043]
いくつかの好適な実施形態において、涙膜に関して検出された形状(複数も可)は、正常な状態から疾患を有する状態までの範囲にわたる目の特定の状態に関連するものとして識別可能である。いくつかのそのような実施形態および代替実施形態において、1または複数の状態に関する部分的範囲は、検出形状(複数も可)の観点から識別可能であってよく、たとえば、そのような部分的範囲は、悪化している眼障害または変動する重症度を有する眼障害に関して存在し得る。
[0044]
単なる一例として、自発的なまばたきの直後、正常な目における涙膜は好適には、実質的に目の形状であり、開いた眼の空気に触れる表面を覆うように検出される。この検出形状は好適には、まばたき後、少なくとも約3秒またはそれ以上、比較的安定している。
[0045]
いくつかの実施形態において、正常な目における涙膜の検出形状は、涙膜の内側において、患者の左目に関して約1時の位置と約6時の位置との間、患者の右目に関して約6時の位置と約11時の位置との間に検出された不規則な部分を有する。いくつかのそのような実施形態において、熱撮像技術を用いて検出が行われるために不規則な部分が検出され、不規則な部分は、患者の鼻側から発される熱の反映を表す。いくつかの好適な実施形態において、不規則な部分は、涙膜の中央へ向かって移動し、まばたき後の最初の約1秒以内にサイズが増加するものとして検出される。これは、経時的に患者の鼻からの熱量の増加を捉える熱撮像技術に関連し得る。あるいは、これは、疾患または障害の存在に関連し得る。
[0046]
いくつかの代替実施形態において、不規則な部分は、動くものとして検出されない。他の実施形態において、1または複数の不規則性は、まばたき後の最初の約1秒の過程で、およびまばたき後の約3秒間もの間、またはそれ以上、時計の文字盤の様々な位置における形状で検出される。
[0047]
単なる典型的な対比として、ドライアイ疾患を患った目における涙膜は、まばたきの直後、正常な目における涙膜の検出形状と同様の形状で検出されるが、この検出形状は、正常な目に関する検出形状の場合と比べて明確ではない。また、軽度から中程度のドライアイにおける涙膜の検出形状は、正常な目における涙膜の検出形状の場合よりも速く不安定になる(および/または、明確でなくなる)。
[0048]
好適かつ代替的な実施形態において、形状の検出において異なる結果が、好適かつ代替的な実施形態において、ドライアイ症状の程度および病因に依存して観察される。たとえば、いくつかのドライアイ事例において、涙膜の検出形状または涙膜の欠如は、略楕円形(目の形状を参照)である。いくつかのそのような実施形態において、まばたき後約10秒以上もにわたる時間が経っても、涙膜の検出形状は変化せず、または非常に僅かしか変化しない。いくつかのそのような実施形態において、涙膜の検出形状は、場合によっては約10秒以上を超える長い期間にわたっても、ほぼ変わらない。
[0049]
他のいくつかの例において、角膜病変を有する目において、涙膜の検出形状は、まばたきの約1秒後に不規則であり、おそらく涙膜の拡散により、まばたき後約10秒が経つにつれ次第に規則的になることが観察される。いくつかのそのような実施形態において、涙膜の角膜病変に隣接した部分の検出形状は、角膜病変の外側境界を辿ることが示される。
[0050]
いくつかの追加の対比例において、シェーグレン症候群を患った目において、涙膜の底部の検出形状は、まばたきの直後、眼表面の縁に沿って規則的であり得るが、その後、まばたきの約1秒後に不規則になることが観察される。
[0051]
また他のいくつかの例または実施形態において、帯状疱疹感染を有する目の涙膜において、涙膜の検出形状は、まばたきの直後、感染位置に隣接して不規則であることが観察される。また他のいくつかの実施形態または例において、円錐角膜を有する目において、涙膜の底部の検出形状は、まばたきの約0.4秒後に不規則性を示し始め、この不規則性は上方へ移動し、まばたきの約7.8秒後に涙膜全体の形状を不規則にすることが観察される。
[0052]
他の例において、涙膜への点眼薬の投与の結果、涙膜のそれまでの不規則な形状が規則的な形状に変化し得ることが観察される。
[0053]
涙膜の検出サイズは、単独で、あるいは本発明の方法の好適かつ代替的な実施形態によって採用される涙膜物理的挙動の他の検出特性の1または複数と組み合わせて用いられる、他の物理的挙動である。いくつかの実施形態において、検出サイズは比較的大きく、場合によっては、患者の目が開いている時に露出する角膜面積の全てまたはほぼ全てを占め得る。検出サイズスペクトルの他方の端の方で、検出サイズは非常に小さく、またはたとえば涙膜の欠如が見られ得る特定のドライアイ症状の事例において、存在しないことがある。
[0054]
いくつかの実施形態において、涙膜の検出サイズは、経時的に変化する。単なる例として、ドライアイ疾患を患った目は、正常な目における涙膜の検出サイズよりも経時的に速く縮む検出された涙膜サイズを示す。他のいくつかの例において、角膜病変を有する目において、涙膜の検出サイズは、まばたきの直後、正常な目または特定の種類の眼障害を有する目における検出サイズよりも著しく小さいことが観察される。
[0055]
また他のいくつかの例または実施形態において、強いまばたき後の目において、涙膜の検出サイズは、同じ目における自発的なまばたき後の涙膜の検出サイズよりも大幅に小さくなり得ることが観察される。また他のいくつかの例において、約1週間の瞼まばたき運動の後の目において、涙膜の検出サイズは、約1週間の瞼まばたき運動を行っていない(または行う以前の)同じ目における検出サイズよりも長い期間にわたり安定を維持することが観察される。また他の例において、点眼薬による治療後の目において、涙膜の検出サイズは、点眼薬を用いない場合よりも大きくなることが観察される。
[0056]
本発明の好適な実施形態は、本発明の方法を用いる際、単独で、または他の検出された物理的挙動と組み合わせて、涙膜の検出位置を用いる。検出された涙膜の物理的挙動を示す他の特性と同様に、またはそれに加えて、涙膜の検出位置は、いくつかの実施形態において、特定の眼症状に関する診断または治療計画の展開または監視への有意義な入力を形成し得る。好適な実施形態は、検出位置が比較的静止状態にあってよく、あるいは経時的または一定期間中またはその後に移動し得ることを提供する。
[0057]
例として、正常な目において、涙膜の検出位置は、一般に角膜表面に広がる涙膜によって示される。コンタクトレンズの装用者である被験者の目において、涙膜の検出位置は、まばたきの約0.5秒後にコンタクトレンズの周縁に沿って消失し得ることが観察される。他のコンタクトレンズ装用者において、涙膜の検出位置は、コンタクトレンズの下側領域を部分的に覆うのみであり得る。コンタクトレンズを装着した被験者の目のまた他の例において、コンタクトレンズの検出位置の縁において、涙膜は完全に形成されないことが観察され得る。コンタクトレンズを装着した被験者の目のまた他の例において、涙膜の検出位置は、眼球運動に起因するコンタクトレンズの動きに影響を及ぼされる。この場合、通常は涙膜の露出部分ではない眼表面エリアが影響を及ぼされ得る。
[0058]
他の実施形態または例において、角膜病変を有する目において、涙膜検出位置は、角膜病変位置から離れていることが観察される。また他のいくつかの例において、帯状疱疹感染を有する目において、涙膜検出位置は、帯状疱疹感染位置から離れていることが観察される。また他のいくつかの例において、シェーグレン症候群を患った目において、涙膜検出位置は、まばたき直後の最初の約1秒間、目の底部から離れていることが観察される。
[0059]
涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置の1または複数を、好適にはまばたき後の様々な時間において検査することによって、好適かつ代替的な実施形態に従い、涙膜の形成および安定性が評価され得る。
[0060]
いくつかの実施形態において、たとえば涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置は、1秒未満で目全体を覆い、何秒間にもわたり外観を変えることがない場合、正常な涙膜であるとみなされ得る。
[0061]
他の実施形態において、まばたき後、涙膜の検出形状が、個々の領域または複数の領域を適切に覆って形成されていない(たとえば斑状の外観を有する)こと、あるいは目の頂部に至るまでの基本的に全てに及んでいない(この場合、その検出形状および検出サイズは異常である)ことにより不完全である場合、これは、ドライアイの形態であるとみなされる。
[0062]
また他の実施形態において、検出形状、検出サイズ、および検出位置が異常である場合、これらの検出特性は、眼表面におけるたとえば円錐角膜、表面の傷、またはコンタクトレンズなど、既知の眼症状によってもたらされ得る眼表面の肉眼的変化を示し得る。
[0063]
追加の実施形態において、涙膜の検出位置が時間とともに変化する場合、これは、安定した涙膜を維持することができない不十分な涙膜を示し得る。これが起こり得る眼障害の例はシェーグレン症候群であり、この場合、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置は最初正常であるが、その後、涙膜の検出位置は好適には、目の下側領域から次第に減損することによって変化する。
[0064]
好適かつ代替的な実施形態において、これらの涙膜物理的挙動の異なる様々な特性は、眼症状の有無の診断および治療に関する情報を提供する。たとえば、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置が、正常な涙膜を形成するが、目の上側領域を覆うまでに及んでいない場合、これは、涙膜の拡散が不完全であることを示し得る。この症状は一般に、涙膜に十分な脂質が含有されていないこと、または不完全なまばたきに関連しており、それに応じて治療され得る。
[0065]
他の例および実施形態において、検出された涙膜が斑状の外観である場合、これは、角膜上皮および場合によってはそれらに関連するムチンにおける根本的な欠陥を示してよく、ゲルシェルはこれらのエリアにおいて適切に形成することができず、それに応じて治療され得る。
[0066]
追加の例および実施形態において、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置がコンタクトレンズの影響を受けている場合、本発明の方法は、装用者に好適なブランドを決定するために様々なコンタクトレンズブランドが試用され得ることを提供する。
[0067]
いくつかの実施形態において、検出された涙膜挙動は、一度だけ、継続的に、および/または定期的に行われる。本特許明細書において更に詳しく説明するように、好適かつ代替的な実施形態において、涙膜挙動の捕捉は、観察、監視、または記録によって実現される。好適には、医師は、眼症状を診断し、眼症状に関する治療計画を展開または監視するために、観察され検出された涙膜挙動を他の比較涙膜挙動とともに取り調べてよい。
[0068]
いくつかの実施形態において、涙膜物理的挙動の観察、監視、または記録は、それら自体の組み合わせで採用される。
[0069]
いくつかの実施形態において、捕捉は、好適な実施形態において、まばたきの直後に開始し、これは、検出された涙膜の物理的挙動の大部分がまばたきの直後に発生するためであり、いくつかのそのような実施形態において、それは涙膜が形成される前後の時間である。たとえば、涙膜物理的挙動の捕捉は、まばたき直後の約0秒で開始し得る。他のいくつかの例において、捕捉は、たとえばまばたき後の0.01、0.02、0.1、0.2、0.5、または1秒またはそれ以上など、まばたき後の0〜1秒間の様々な時間に開始し得る。まばたきの直後に捕捉を開始することが好適であるが、眼症状を有さない目の涙膜において、涙膜は、少なくとも約数秒間、安定を維持し得る。いくつかの実施形態において、捕捉は、その時間の後に開始し得る。とはいえ、いくつかの状況において、涙膜は、他の状況よりも早く消失し、または不安定になり得る。したがっていくつかの実施形態において、捕捉は、まばたき前、まばたき中、または可能な限り直後に開始される。
[0070]
いくつかの実施形態において、眼症状の種類および/または眼症状の診断、展開、または監視の種類に依存して、関連する涙膜物理的挙動の捕捉の期間は変動してよい。捕捉は、眼症状の潜在的種類、および眼症状の診断、展開、または監視の目的に依存して、任意の期間継続してよい。
[0071]
たとえば、ドライアイ症状を有する目における涙膜物理的挙動の捕捉は、捕捉の開始後、8〜11秒継続し得る。他のいくつかの例において、コンタクトレンズを装着した被験者の目における涙膜物理的挙動の捕捉は、捕捉の開始後、3〜50秒継続し得る。また他のいくつかの例において、シェーグレン症候群を有する目における涙膜物理的挙動の捕捉は、捕捉の開始後、1.3〜6秒継続し得る。また他のいくつかの例において、帯状疱疹感染を有する目における涙膜物理的挙動の捕捉は、捕捉の開始後、1〜3秒継続し得る。
[0072]
また他のいくつかの例において、角膜病変を有する目における涙膜物理的挙動の捕捉は、捕捉の開始後、0.3〜11秒継続し得る。また他のいくつかの例において、円錐角膜を有する目における涙膜物理的挙動の捕捉は、捕捉の開始後、0.4〜8秒継続し得る。また他のいくつかの例において、特定の点眼薬を投与する前および後の目における涙膜物理的挙動の捕捉は、捕捉の開始後、0.3〜3秒継続し得る。
[0073]
また他のいくつかの例において、強いまばたきの前および後の目における涙膜物理的挙動の捕捉は、捕捉の開始後、0.1〜1秒継続し得る。他のいくつかの例において、所定の瞼まばたき運動を行う前および後の目における涙膜物理的挙動の捕捉は、捕捉の開始後、1〜7秒継続し得る。
[0074]
また他のいくつかの例において、眼症状の種類および/または眼症状の診断、進行、または監視の種類に依存して、被験者の目における涙膜物理的挙動または涙膜の欠如の第1または追加の捕捉は、捕捉するステップの開始後、約0.00〜約1.00秒、約0.00〜約3.00秒、約0.00〜約6.00秒、約0.00〜約10.00秒、約0.00〜約15.00秒、約0.00〜約30.00秒、約1.00〜約7.00秒、約3.00〜約12.00秒、および約6.00〜約20.00秒から成るグループから選択された期間、継続し得る。また他のいくつかの例において、涙膜物理的挙動が捕捉される期間は、被験者が検査中の目を開けたまま維持することが可能な限り継続する。
[0075]
いくつかの実施形態において、検出された涙膜挙動の特性は、眼表面の1つのセグメントまたは複数のセグメントにおいて捕捉される。複数のセグメントの捕捉は、捕捉されるセグメントまたは各セグメントに依存して様々な時間に開始してよく、捕捉は、捕捉されるセグメントまたは各セグメントに依存して様々な期間継続してよい。
[0076]
好適には、捕捉された涙膜物理的挙動特性の全てまたは組み合わせが、眼症状を診断し、眼症状に関する治療計画を展開または監視するために用いられる。
[0077]
いくつかの実施形態において、眼症状の種類および/または眼症状の診断、進行、または監視の種類に依存して、第2のまたは追加の捕捉が、先行する捕捉の6か月〜約1年後に開始してよい。他のいくつかの実施形態において、第2または追加の捕捉は、先行する捕捉の後、定期的に開始してよく、その期間は、1日、1週間、1か月、3か月、1年、または適切な医師によって決定された通りであり得る。
[0078]
また他のいくつかの実施形態において、第2および/または追加の捕捉のタイミングおよび/または頻度は、たとえば効率、診断精度、たとえば運動療法などの特定の治療段階への反応または到達、症状(複数も可)、感覚(複数も可)、利用可能性、特定の種類の薬/点眼薬への反応、および特定の種類の眼装具への反応といった様々な考慮事項に依存して、医師または被験者によって決定される。
[0079]
いくつかの実施形態において、自発的なまばたきは、涙膜物理的挙動の第1のまたは追加の捕捉前または捕捉中に行われる。他のいくつかの実施形態において、眼症状を診断し、進行させ、または監視するために、涙膜物理的挙動の第1または追加の捕捉前または捕捉中、まばたきに様々な力が加えられる。たとえば、涙膜物理的挙動の第1または追加の捕捉中、強いまばたき、または中間レベルの力を用いたまばたきが行われる。
[0080]
いくつかの実施形態において、1または複数の比較データのセット(複数も可)が識別される。
[0081]
好適かつ代替的な実施形態は、同じ被験者から異なる時間、異なる条件、または異なる時間および条件の組み合わせで捕捉された涙膜物理的挙動の1または複数のセット(複数も可)から比較データセット(複数も可)が識別されることを提供し、時間または条件は、とりわけ、被験者がコンタクトレンズを装着しているか否か、被験者が装着しているコンタクトレンズの種類/ブランド、被験者が特定の種類のまたは任意のコンタクトレンズを装着している時間の長さ、涙膜物理的挙動の捕捉中または捕捉後のまばたきに用いられた力の大きさ、涙膜物理的挙動の捕捉前に点眼薬が使用されたか否か、涙膜物理的挙動の捕捉前に使用された点眼薬の種類、眼症状に関する治療計画の段階に到達したこと、または、被験者が行った運動療法の進捗であってよい。当業者が理解するように、そのような比較データセット(複数も可)がいつ、どのように捕捉されるかに関して採用される好適なタイミングおよび/または条件は、他のタイミングおよび/または条件の範囲を含んでよい。
[0082]
いくつかの実施形態において、1または複数の比較データセット(複数も可)は、異なる被験者における、上記またはどこかで説明された涙膜物理的挙動の捕捉ステップの1または複数を行った結果(複数も可)であるものとして識別される。非限定的な例として、被験者は、眼症状を何も有さない者、または特定の種類の眼症状を有する者、または特定の種類の重度の眼症状を有する者、または特定の治療/運動療法の前後の眼症状を有するまたは有さない者であってよい。重ねて、当業者が理解するように、比較データセットのための異なる被験者の選択は、たとえば様々な理論または臨床観察に基づいてなされ得る。
[0083]
他のいくつかの実施形態において、1または複数の比較データセット(複数も可)は、様々な条件下で様々な時間に多数の様々な被験者から識別される。
[0084]
他のいくつかの実施形態において、1または複数の比較データセット(複数も可)は、目を分析されている同じ被験者の他方の目から識別される。
[0085]
いくつかの実施形態において、1または複数の比較データセット(複数も可)は、本発明を実行する1または複数の医師または人間の知識ベースの一部として識別される。好適には、知識ベースは、そのような1または複数の人間の訓練、研究、または経験を含む。いくつかのそのような実施形態において用いられる知識ベースは、人間の記憶、または涙膜物理的挙動に関連するたとえばテキスト、表、図、写真、画像または映像などの印刷またはデジタル形式におけるデータの形態であってよい。
[0086]
いくつかの実施形態において、1または複数の比較データセット(複数も可)は、所定の情報源を観察することによって識別され、所定の情報源は、涙膜における検出された/既知の物理的挙動または被験者における涙膜の欠如に関連するたとえばテキスト、写真、映像素材、医療または科学的撮像、および/または図など、涙膜物理的挙動に関連する任意の材料であってよい。
[0087]
好適かつ代替的な実施形態は、識別された比較データセット(複数も可)が、眼症状の診断、進行、または監視を支援するために単独で、または組み合わせて考慮され得ることを開示する。非限定的な例として、様々な症状における典型的な涙膜物理的挙動を説明および/または強調するテキスト、写真、図を有する印刷されたマニュアルが、本発明を実行する人間を支援するために用いられ得る。様々な症状における涙膜物理的挙動のCD/DVD/テープ/コンピュータファイル形式での映像記録もまた、比較データセット(複数も可)として用いられ得る。
[0088]
いくつかの好適な実施形態において、分析するステップは、診断特性の少なくとも第1のセットを識別するために、少なくとも第1の比較データセットに対して少なくとも第1の捕捉データセットを評価することを含む。いくつかのそのような実施形態および代替実施形態によると、異なる眼症状が同様の、または重複する診断特性を有し得ることを考慮に入れて、複数の診断特性が、たとえば可能性のある眼症状を区別するため、鑑別診断を解決するため、または診断が正確である可能性を高めるために用いられ得る。
[0089]
サーモグラフィ測定が捕捉データセット(複数も可)に寄与するいくつかの好適な実施形態において、同じ温度においても涙膜の異なる成分は異なる放射率を有するので、検出された涙膜の物理特性は、好適にはグレースケールで表現される。涙膜物理的挙動を捕捉するために感熱性カメラを用いるいくつかのそのような実施形態において、涙膜構成及びその変化は、その後、捕捉においてグレースケールの差異で視覚化され得る。
[0090]
たとえば、いくつかの好適な実施形態において、正常な目において放射率がより低い(暗い)涙膜の水平成分は、開眼から開眼の約1秒後までの間に下から上へ移動することが検出される。いくつかのそのような実施形態において、涙膜成分の他の構成は、まばたきの約2.7秒後またはそれ以上後でも、ほぼ変化を示さない。これは好適には、移動成分を別として、正常な目における涙膜が比較的安定した構成を有することを確証するために用いられ得る。他の例において、ドライアイ症状を有する目において、正常な目に見られる移動成分は、大幅に緩慢に移動することが観察される。検出されたこの移動成分は、まばたきの約5秒以上後まで眼表面の上部に到達しない。いくつかのそのような実施形態において、目の成分の他の構成もまた、安定性が低いものとして検出される。まばたきの約1秒またはそれ以上後に変化が見られ得る。
[0091]
いくつかの実施形態において、分析するステップは、捕捉された涙膜物理的挙動と比較データセット(複数も可)との可能性のある相関性を識別することによって行われる。1または複数の相関性は、たとえば、捕捉された涙膜物理的挙動と比較データセット(複数も可)との相関性の強度および範囲、または類似性を評価することによって識別され得る。いくつかの実施形態において、好適な相関性(複数も可)は、所定のおよび/または好適な確信間隔に基づいて選択される。他のいくつかの実施形態において、関連性のある対応する比較データセット(複数も可)の識別は、そのようなデータセット(複数も可)を観察することによって自身の判断を働かせる人間によって行われ得る。他のいくつかの実施形態において、捕捉された涙膜物理的挙動および比較データセット(複数も可)の分析を容易にし、または実現するために、コンピュータプログラムが活用され得る。
[0092]
いくつかの実施形態において、比較データセット(複数も可)は関連する所定の診断特性を有するため、捕捉された涙膜挙動に関して診断特性が識別される。診断特性は、いくつかの好適かつ代替的な実施形態において、起こり得る眼症状の有無、起こり得る眼症状の鑑別診断、眼装具の相対的適合性、治療計画の相対的効能、および/または現在の治療計画を維持、変更、または中止することの相対的メリットから成るグループから選択される。
[0093]
好適な実施形態において、診断特性の1または複数は、眼症状を診断し、進行させ、または監視するための基礎として用いられる。
[0094]
いくつかの実施形態において、眼症状は、ドライアイ、房水欠乏ドライアイ、蒸発性ドライアイ、乾性角結膜炎、円錐角膜、マイボーム腺障害、涙管障害、シェーグレン症候群、帯状疱疹または他の眼感染、角膜病変、角膜瘢痕、ベーチェット病、不十分または不完全なまばたきパターン、リウマチ性関節炎に関連する眼病、結合組織障害に関連する眼病、涙管の永続的または一時的閉鎖、および美容変異から成るグループから選択される。ただし、当業者が理解するように、本発明は、上記眼症状を診断し、またはその治療に用いられることのみに限定されない。
[0095]
他のいくつかの実施形態において、被験者の目において識別された1または複数の診断特性(複数も可)を用いて、既存の治療計画が存在する場合、そのような治療計画のメリットまたは有効性が評価され得る。様々な種類/ブランドの眼装具もまた、それらの被験者への適合性に基づいて評価され得る。診断、監視、および評価は、必要性または嗜好に依存して、1度だけ、様々な時間において、または定期的であってよい。
[0096]
いくつかの好適な実施形態において、眼装具は、眼装置、美容変異、またはコンタクトレンズであり、治療計画の展開または監視は、被験者の片目または両目に関して様々な作り/モデルのそのようなデバイスを試用することを含む。
[0097]
いくつかの実施形態において、以下のステップ、涙膜物理的挙動を捕捉すること、比較データセット(複数も可)を識別すること、捕捉された涙膜物理的挙動と比較データセット(複数も可)との相関性を識別すること、診断特性を識別すること、および眼症状を診断し、進行させ、または監視することのいずれか1または複数は、リアルタイムで行われ得る。他の実施形態において、この方法はリアルタイムで行われる。
[0098]
いくつかの実施形態において、涙膜挙動の捕捉は、ビデオカメラ、たとえば赤外感光性カメラによって実行される。涙膜物理的挙動は、涙膜の成分または構成が様々な放射率を有することにより、部分的に赤外感光性カメラによって検出される。
[0099]
いくつかの実施形態において、涙膜物理的挙動を捕捉するために用いられる赤外感光性カメラは、約640×512画素の空間分解能、約15μmのピッチ分解能、および約15mKの熱感受性で、毎秒約100フレームで走る約1.5μm〜5.1μmの波長における物理的挙動を検出するように適合され
る。
[0100]
他の例において、涙膜の物理的挙動を目視するために用いられるカメラは、約15μmのピッチ分解能、1.5〜5.1μmのスペクトル応答、および50mmレンズおよび20mm拡張リングを有するアンチモン化インジウムセンサ(約640×512画素)を用いて、約100Hzのフレームレートで走るスターリングエンジンクライオクールドカメラである。
[0101]
他の例において、涙膜の物理的挙動を目視するために用いられるカメラは、約320×240画素、17μmのピッチ分解能、約8μm〜約14μmの波長用の検出器、および約20mKの熱感受性を有する、約8.9mmレンズを備えた酸化バナジウムセンサを用いて、約20℃〜40℃の温度ウィンドウにおいて約60Hzのフレームレートで走る非冷却マイクロボロメータである。
[0102]
他の好適な実施形態において、カメラは、約2μm〜約14μmの帯域幅内の波長用の検出器を含んでよい。
[0103]
他の例において、カメラは、
a.約10Hz以上、約25Hz以上、または約60Hz以上のフレームレート、
b.約320×240画素以上の空間分解能、
c.約17μm以下、または約15μm以下のピッチ分解能
d.約15mK以上、約20mK以上、約22mK以上、約28mK以上、または約35mK以上の熱感受性
を有する。
[0104]
また他の実施形態において、カメラのレンズシステムの材料は、ガリウム、セレン化亜鉛、または硫化亜鉛から成るグループから選択される。
[0105]
また他の実施形態において、光検出器は冷却され、アンチモン化インジウム、砒化インジウム、テルル化水銀カドミウム、硫化鉛、およびセレン化鉛から成るグループから選択された様々な材料で作られ得る。いくつかの実施形態において、カメラを冷却するために、スターリングエンジンクライオクーラが用いられる。ただし、ガスクーラが用いられてもよい。
[0106]
好適かつ代替的な実施形態において、光検出器は、たとえば量子井戸型赤外線光検出器などの高バンドギャップ半導体を含む。
[0107]
カメラからのデジタル情報は、いくつかの実施形態において、ソフトウェアによって処理される。ソフトウェアは、捕捉された涙膜物理的挙動を向上させるために用いられ得る。非限定的な例として、多数のフレームを1つのフレームにする手段をコンピュータ化するソフトウェアは、(たとえば雑音を低減するために)温度感受性を高め、隣り合う画素を比較し、コントラスト強調または他の向上のために統計分析を行うために用いられ得る。このソフトウェアは、コンピュータ、カメラ、またはスタンドアロンデバイスにインストールされ得る。
[0108]
いくつかの実施形態において、典型的な眼検査のセッションは、以下のように進行する。カメラシステムが始動し、必要であれば、カメラが動作要件まで冷却される。関連ソフトウェアを有するコンピュータが始動する。
[0109]
患者は、カメラの正面に座り、彼/彼女の顎を顎当に載せるように求められる。顎当は、患者が快適に座るために調節される。カメラは、患者の目の正面に水平に位置するように調節される。
[0110]
カメラは、固定焦点または調節可能焦点のいずれかで作動し得る。固定焦点の場合、カメラは、焦点があったサーモグラフィ写真を撮影するために患者の目に近付き、または患者の目から離れるように水平軸上で動かされる。カメラの焦点が固定ではない場合、カメラの焦点レンズを用いて追加の調節がなされ得る。
[0111]
目がカメラの焦点に合わせられた後、涙膜サーモグラファのオペレータは、まばたき状態に関して患者に指示を出し、涙膜の物理挙動が所望に応じて捕捉され記録される。このプロセスは、必要または好適な場合、複数回繰り返され得る。
[0112]
捕捉された涙膜挙動は、その後、データベースまたは印刷されたマニュアルに記録された比較涙膜挙動に対して分析される。その後、被験者のために診断が行われ、治療計画が展開または監視される。
[0113]
上述したカメラシステムは、動作において、完全電動型、手動型、半自律型、または自律型であってよい。そのような涙膜サーモグラファは、スタンドアロンシステムであってよく、または患者の目の正面における正しい位置へのカメラの移動を可能にする他の眼科用機器に取り付けられ得る。そのようなシステムは、細隙灯であってよく、これに赤外感光性カメラが、必要に応じて動かされ得るように取り付けられる。
[0114]
本発明の第3の態様によると、被験者のためのコンタクトレンズを選択する方法が提供され、方法は、
a.被験者の第1の目から、第1の目において検出された涙膜の物理的挙動を含む第1の捕捉データセットを捕捉することと、
b.第1の試験コンタクトレンズを識別し、第1の試験コンタクトレンズを第1の目に滴下することと、
c.所定のまたは好適な第1の期間後、第1の目から、第1の試験コンタクトレンズが滴下された第1の目の涙膜の検出された物理的挙動を含む第2の捕捉データセットを捕捉することと、
d.第1の捕捉データセットおよび/または比較データセットに対して第2の捕捉データセットを分析することと、
e.被験者のためのコンタクトレンズとして選択されるための第1の試験コンタクトレンズの相対的適合性を評価することと
を備える。
[0115]
好適かつ代替的な実施形態において、第3の態様の方法は、所定のまたは好適な第2の期間後、第1の目から、第1の試験コンタクトレンズが滴下期間後に取り外された後の第1の目の涙膜の検出された物理的挙動を含む第3の捕捉データセットを捕捉することを更に含む。
[0116]
好適には、所定のまたは好適な第1の期間は、第1の試験コンタクトレンズの滴下の直後に開始し、最初の流涙が治まった後終了する。いくつかの実施形態において、所定のまたは好適な第1の期間は、少なくとも約3〜約5分であり、他の実施形態において、所定のまたは好適な第1の期間は、約30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、24時間、またはそれ以上から選択される。
[0117]
追加の好適かつ代替的な実施形態によると、第3の態様の方法は、対応する第1の試験コンタクトレンズおよび/または異なる試験コンタクトレンズを用いて被験者の第2の目に対して行われる。
[0118]
好適には、方法は、第2の試験コンタクトレンズに対して繰り返され、および/または1または複数の追加の試験コンタクトレンズに対して繰り返される。
[0119]
いくつかの実施形態において、方法は、対応する第2の試験コンタクトレンズまたは追加の異なるコンタクトレンズに対して繰り返される。
[0120]
好適な実施形態において、方法は、被験者の両目に同時またはほぼ同時に行われる。
[0121]
いくつかの好適な実施形態において、選択に適したコンタクトレンズは、その取外しにより、検出された涙膜の物理的挙動が、正常な涙膜の瞬時の復元とほぼ一致する検出された物理的挙動を示すことを可能にするものである。
[0122]
いくつかの好適な実施形態において、選択に適したコンタクトレンズは、その取外しにより、検出された涙膜の物理的挙動が、ほぼ乱されず、または少ししか乱されず、比較的短い期間内に正常に復元することを可能にするものである。いくつかのそのような実施形態において、比較的短い期間は、約3分未満である。
[0123]
好適かつ代替的な実施形態において、装着時間は、約10分〜約1時間以上である。
[0124]
いくつかの好適な実施形態において、選択に適したコンタクトレンズは、コンタクトレンズの滴下時、最初、正常な涙膜の検出された物理的挙動をもたらし、その後、経時的に継続するもの、または、コンタクトレンズのフィッティング前から涙膜の前記検出された物理的挙動に変化をもたらさないものである。
[0125]
いくつかの実施形態において、選択に好適ではないコンタクトレンズは、検出された涙膜の物理的挙動が、滴下後最初、正常な涙膜の正常な形成を示すことを可能にしないが、検出された涙膜の物理的挙動が、経時的に完全または部分的な涙膜形成のいずれかを示すことを可能にするものである。
[0126]
追加の好適かつ代替的な実施形態において、選択から除外されることが好適なコンタクトレンズは、検出された涙膜の物理的挙動が、最初は正常に現れ、その後、経時的に悪化するという結果をもたらすものである。
[0127]
また追加の好適かつ代替的な実施形態において、選択から除外されることが好適なコンタクトレンズは、それに関して検出された涙膜の物理的挙動が、最初に乱れて現れ、経時的に乱れたままであるものである。
[0128]
好適には、第3の態様の方法は、被験者のためのコンタクトレンズを選択するために複数の試験コンタクトレンズに対して繰り返される。いくつかの実施形態において、方法は、被験者のための対応するコンタクトレンズおよび/または追加の異なるコンタクトレンズを選択するために、複数の対応する試験コンタクトレンズおよび/または複数の追加の様々なコンタクトレンズに対して繰り返される。
[0129]
第4の態様によると、第3の態様の方法に従って選択されたコンタクトレンズが提供される。
[0130]
本発明の好適な実施形態は、以下、添付図面を参照することによって説明および例示され、添付図面における各図は、サーモグラフィフィルムから一連のサーモグラフを示し、各フレーム内の数は、0.01秒の期間を表す。

Brief Description of Drawings

[0131]
[fig. 1] まばたき後の正常な被験者の目の動く涙膜を示す。
[fig. 2] 被験者の開いた目における綿棒繊維とともに動く正常な被験者の目の涙膜を示す。
[fig. 3] 目が開いている間に涙膜の上でまつ毛が引き摺られ、その手順に後続するまばたきの後、正常な被験者の目の涙膜を示す。
[fig. 4] 等張緩衝液で目を洗浄した後の正常な被験者の目の涙膜の外観を、洗浄手順の前の同じ被験者の目の涙膜と比較して示す。
[fig. 5] 目が開いている間に目の表面に濾紙が押し当てられ、この手順に後続するまばたきの後、正常な被験者の目の涙膜を示す。
[fig. 6] 被験者が強いまばたきを行った後の正常な被験者の目の涙膜を示す。
[fig. 7] 被験者の目が開いている間に目瞼縁に2μLの等張性人工涙緩衝液が投与された後の正常な被験者の目の涙膜を示す。緩衝液の滴下直後かつ後続するまばたきより前に、およびその後、後続するまばたき中およびまばたき後、サーモグラフィスチールが撮影された。
[fig. 8] 目が開いている間に流涙が刺激された後かつ後続するまばたきの後の正常な被験者の目の涙膜を示す。
[fig. 9] 緩慢なまばたき中およびまばたき後の正常な被験者の目の涙膜を示す。
[fig. 10] まばたき後の涙膜の不完全な拡散を伴う、ドライアイと診断された被験者の目を示す。
[fig. 11] まばたき後、完全に拡散しているが不安定な涙膜を伴う、ドライアイと診断された被験者の目を示す。
[fig. 12] まばたき後、目視できる涙の拡散がない、ドライアイと診断された被験者の目を示す。
[fig. 13] シェーグレン症候群を有する被験者のまばたき後の目を示す。
[fig. 14] 帯状疱疹感染後の被験者の目を示す。
[fig. 15] 角膜病変を有する被験者の目を示す。
[fig. 16] 円錐角膜と診断された被験者の目を示す。
[fig. 17] 特効点眼薬の投与の前および後の被験者の目を示す。
[fig. 18] 別の特効点眼薬の投与の前および後の被験者の目を示す。
[fig. 19] 1週間まばたき運動を行う前および後の、ドライアイと診断された被験者の目を示す。
[fig. 20] 長期装用コンタクトレンズの滴下の前および直後のまばたき後の被験者の目を示す。
[fig. 21] デイリーコンタクトレンズの滴下の前および直後のまばたき後の被験者の目を示す。
[fig. 22] 両目に使い捨てデイリーコンタクトレンズを6時間装着した後の被験者の右目および左目を示す。
[fig. 23] コンタクトレンズの滴下後およびコンタクトレンズの装着中の2人の異なる被験者への異なるコンタクトレンズの影響の比較を示す。
[fig. 24] コンタクトレンズの装着前、装着直後、および装着中、およびコンタクトレンズの取外し後の被験者の右目を示す。

Description of Embodiments

[0132]
いくつかの好適かつ代替的な実施形態において、いくつかの要素が一体となり本発明の方法を展開することが明らかとなる。この所見は、本発明の主題事項または範囲をいかなるようにも制限するものとしてなされず、この発明を実施する形態の枠組みを提供するためになされる。概して、一体となる要素は、
A)ゲルシェルモデルを説明する要素、
B)眼症状の診断または眼症状の治療計画の展開または監視における本方法の使用を説明する要素、および
C)コンタクトレンズの選択における本方法の使用を示す要素
である。
[0133]
以下に続く文章において、本発明の実施形態の詳細な説明が、これら3つの要素を参照することによって提供される。
A.ゲルシェルモデル理論
[0134]
本発明者は、3層モデルは、涙膜の蒸発防止能力を説明することができないため、基本的な欠点を有するということを理論化する。3層モデルでは、共通認識として、空気境界面における涙膜脂質層は、涙膜の蒸発防止を助ける保護ブランケットとして機能する。これは、科学界において事実と異なり、論点となっている(Willcox MDP他著、2017年、TFOS DEWS II Tear Film Report. The Ocular Surface 15、366〜403)ので、涙膜の蒸発防止を補助する他の機構が存在するはずである。
[0135]
3層モデルに関するそれらの見解を実証し、新たなゲルシェルモデルの仮説を試験する試みにおいて、本発明者は、一連の実験を行った。以下に続く文章において例として参照されるこれらの実験において、他の点では正常な目および正常な涙膜を有する被験者が、まばたき後に開眼状態を維持するように求められた。これは、安定した涙膜が形成され、少なくとも10秒間安定して維持され得ることを確実にし、その挙動が観察されることを可能にするためであった。涙膜挙動は、640×512のアンチモン化インジウム検出器アレイ、15μmの画素ピッチ、20mKの温度分解能、100Hzのウィンドウ処理で走る20mmの拡張リングを有する50mmレンズを有するサーモグラフィカメラを用いて記録された。実験は、温度23℃および湿度45%の制御された環境で行われた。サーモグラフはグレースケールであり、濃い灰色ほど低い熱放射を表す。
例1:正常な涙膜
[0136]
一例において、正常な目を有する被験者が、自発的なまばたきの後一定の期間、開眼を維持するように求められた。本発明の方法を実行するために適した装置を用いて、この期間に被験者の左目のサーモグラフィ映像が捕捉された。正常なまばたきの後、涙膜は、下瞼から上方へ拡散することが観察され得る。この拡散は、まばたき後に上方へ移動する暗色の水平線(図1、F1)によって表される。薄灰色の広がり(F2)がこの暗色線の後を辿る。水平線は、比較的急速に眼表面を完全に上まで移動し、その後、開眼状態が維持されれば、何秒間もの間、表面に実質的に変化はない。いくつかの例において、これは、100秒を超えた。
例2:綿棒スワイプ
[0137]
被験者の目の眼表面の縁に綿棒が優しく押し当てられ、綿棒の少数の繊維が涙膜と接触した(図2、矢印)。発明者は、綿棒が目の片側に向かって眼表面を横切りゆっくり動かされると、涙膜全体が涙膜と接触する綿棒およびその繊維の動きの方へ引っ張られることを発見した。綿棒の繊維が表面から離されると、涙膜は再び以前の位置へ弛緩した。
[0138]
涙膜全体が綿棒とともに移動するという知見は、3層モデルと矛盾するものであり、なぜならば、個別の房水層を有する3層モデルと一致する涙膜は、確実ではないにせよ、そのような状況で損なわれることはなく、上記のように移動しないためである。3層モデルが正しければ、房水は綿棒に吸収されることによって涙膜を局所的に変化させ、以前の外観に再び弛緩することができないと予想され得る。あるいは、脂質層が綿棒に吸収され、下にある房水層を露出させ蒸発させ得る。しかし、実験において、サーモグラフィフィルムに暗化は検出されなかった。
[0139]
これに反して、涙膜全体が綿棒とともに移動するという知見は、ゲルシェルモデルを支持するものであり、なぜならば、粘液は水よりも弾力のある(たとえば、より高い弾性を有する)非ニュートン性流体であるためである。この粘液の高い弾性は、綿棒が目を横切って優しく引き摺られる時にゲルシェルを歪ませ、ゲルは、綿棒の力が和らげられるとすぐに弛緩して以前の状態へ戻ることを意味する。
例3:まつ毛スワイプ
[0140]
まつ毛の先端が、被験者の目の表面を横切るように優しく当てられた(図3)。スワイプ中に捕捉されたフィルムは、まつ毛が個別の単一の位置(矢印)で涙膜の表面を分裂させたことを示した。この涙膜の分裂は、まばたき後も修復せず残っている。
[0141]
分裂が修復するのに時間を要するという知見は、3層モデルと矛盾する。サーモグラフィで見られる分裂は、房水の気化冷却に起因する可能性が高い。3層モデルによると、まつ毛が涙膜を通って動くと、その後ろを房水層および脂質層の両方が瞬時に満たす。房水層の上にある涙膜脂質層は、まつ毛のスワイプによって除去された場合でも自然にまたはまばたき中にこの分裂内へ急速に拡散し、再び房水を覆う。脂質層ブランケット理論が正しければ、気化冷却は、これら2つの状況のいずれかで消失する。
[0142]
これに反して、ゲルにおける傷は修復せず、粘液の分裂は、その損傷領域へ房水を弛緩させ、房水はその後自由に気化する。開眼の間および粘液が拡散している間の粘液の粘弾性により、欠陥を修復するためには複数回のまばたきが必要である。
例4:涙膜の一部の機械的除去
[0143]
ピペットの使用および等張食塩水による局所的洗浄(図4)または濾紙の端を眼表面に押し当てること(図5)により、被験者の目から一定割合の涙膜が除去された。涙膜は、これらの手順による影響を受けたエリアにわたり正常に再形成しなかった。濾紙が目の表面に押し当てられた場合、涙膜における欠陥(矢印)が消失するまでに数回のまばたきを要する。等張食塩水で洗浄することによって涙膜を除去する場合、涙膜は、再び正常に現れるまでに数分間の通常のまばたきを要した。
[0144]
涙膜が再び正常に現れるまで複数回のまばたき以上を要するという知見は、3層モデルと矛盾するものであり、なぜならば、層の流動性は、特にまばたき後に、涙膜を瞬時に修復させるはずであるためである。
[0145]
これに反して、涙膜の乱れが瞬時に修復されず、涙膜の再形成が時間および数回のまばたきを要するという知見は、涙膜が、損傷を受け、またはその大部分が目から除去された場合、再形成に時間を要するゲルであるということと一致する。
例5:強いまばたきの涙膜への影響
[0146]
正常な涙膜を有する被験者が、強いまばたきを行うように求められた。本発明の方法を実行するために適した装置を用いて、この期間に被験者の左目のサーモグラフィ映像が捕捉された。被験者の目が開いた時およびその後の期間の涙膜への影響(図6)。まばたきの直後、低い放射率のエリアが観察され得る(矢印)ので、涙膜は正常に現れなかった。これらのエリアは、正常な涙膜において見えないが(図1)、数秒間の強いまばたきの後、明らかである。それらはまばたき後、最初は暗化し、表面から過剰な流体が蒸発したことを示し、その後、小さくなり、最終的に消失する。強いまばたき後の被験者の視覚は、通常のまばたきと比較すると不鮮明であるが、最初は涙膜が正常に現れていなかったにもかかわらず、長時間開眼を保つ被験者が知覚した快適性に差はなかったため、検出された低い放射率は、涙膜内の房水成分が蒸発した結果ではないことが示された。
[0147]
通常の自発的なまばたきと比較して、強いまばたきの後、涙膜が正常に現れないという知見は、3層モデルと矛盾するものであり、なぜならばこの予想では、強いまばたきの後、マイボーム腺および涙腺のそれぞれからより多くの脂質および房水が放出され、涙膜性能および涙膜の拡散を向上させるはずであるためである。3層モデルにおいて、過剰な脂質の放出は、脂質層がより厚くなるために、蒸発を抑制するはずである。3層モデルは、まばたきの直後に起こる蒸発が経時的に治まることを説明できない。
[0148]
これに反して、強いまばたきの後、被験者が開眼状態を維持したまま快適でありながら、涙膜が正常に現れず、視覚が不鮮明であるという知見は、ゲルシェルモデルを支持する。このモデルにおいて、強いまばたきの後、涙膜ゲルが正常に形成されるが、強いまばたきの後に放出される過剰な房水は、ゲルシェルに含まれない。この過剰な流体は粘液に含まれないので、蒸発し、検出された低い放射率のエリアをもたらす。下にある涙膜(粘液)は損なわれないので、被験者によって、不鮮明な視覚以外に涙膜不全(およびそれに伴う不快感)は知覚されない。重ねて言うと、脂質層ブランケット理論が正しければ、強いまばたきによって生成された過剰な脂質が過剰な房水を覆い、蒸発は起こらない。
例6:涙膜に人工涙液を添加する影響
[0149]
開いた眼の眼瞼縁に人工涙液が添加されると(図7)、まばたき後瞬時に、気化冷却を示す眼表面の低い放射率のエリアとして現れた(矢印)。まばたきの過程で、人工涙液の一部は、目の外側の皮膚に押し出される(矢印)。
[0150]
添加された人工涙液が瞬時に涙溜まりから除去されたという知見は、3層モデルと矛盾する。添加された人工液は、個別の房水層と一体化/混合し、そこへ取り込まれることが予想される。具体的には、まばたきの結果、眼瞼縁における過剰な人工涙液は涙膜内へ押し流され、個別の房水層と一体化/混合し、そこへ取り込まれることが予想される。
[0151]
これに反して、添加された人工涙液が瞬時に涙溜まりによって除去されたという知見は、ゲルシェルモデルを支持するものであり、なぜならば、ゲル内の流体量は限られており、ゲルは既に十分な量の流体を有するためである。添加された人工涙液は、取り込まれずに涙溜まりへ移動し、この過剰な流体は、まばたき中、涙管によって除去される。眼瞼縁における過剰な人工涙液は、まばたきが過剰な流体を眼表面に押し付けた結果、眼表面の局部に拡散するという所見は、既存のゲルシェルの上に過剰な流体が拡散し、ゲルシェルに取り込まれないことによって蒸発するということと一致する。
例7:過剰な流涙の涙膜への影響
[0152]
正常な涙膜を有する被験者において、追加の流涙が刺激され、その間、まばたきが記録された。流涙の開始後すぐに見られた通常のまばたき中およびまばたき後の涙膜は、正常に現れず、低い放射率のエリアが観察された(図8)。これらのエリア(矢印)は、眼からの過剰な房水の気化冷却を表すが、これと同時に被験者は、正常な涙膜にはこれらのエリアがない(図1)にもかかわらず、通常と比べて開眼を保つ時の快適性における差を全く知覚しなかった。
[0153]
過剰な流涙が、増大した気化冷却のエリアとして見えるという知見は、涙膜の3層モデルと矛盾する。このモデルにおいて、過剰な涙は涙膜の房水に取り込まれ、涙膜脂質層に覆われる。実際、流涙刺激は、ドライアイのための可能な治療として検討され試験される。
[0154]
これに反して、刺激された流涙による追加の房水が低い放射率のエリアをもたらしていたという知見は、ゲルシェルモデルを支持するものであり、なぜならば、ゲル内の流体量は限られており、ゲルは既に十分な量の流体を有するためである。追加の涙液は取り込まれず、その一部は涙管を通って除去され、他の部分は、既存のゲルシェルの上で眼表面に広がり、ゲルシェル内に取り込まれないことによって蒸発する。
例8:まばたき後の緩慢な開眼の影響
[0155]
正常な涙膜を有する被験者が、開眼段階が非常に緩慢であるようにまばたきを行うように求められ、撮影素材は、被験者の目が開く時およびその後の期間の涙膜への影響を捕捉した(図9)。まばたきの直後に低い放射率のエリア(暗色線)が観察され得る(矢印)ので、涙膜は正常に現れなかった。これらのエリアは、明確に検出され、大きくなり拡張している(矢印)。これは、まばたき中に通常の速度で開眼した時の健康な目には見られない(図1)。被験者は、長期間開眼を保つ場合、不快感および痛みを感じる。
[0156]
これは、緩慢な速度の開眼にもかかわらず、ともに流体である房水および脂質の両方が眼表面に拡散して正常な涙膜を形成するはずである3層涙膜モデルとは一致しない。
[0157]
これに反して、ゲルシェルは非ニュートン性挙動を有するので、被験者が(たとえば高速のまばたきによって)高い剪断力を受けた場合、粘度が低く、(たとえば緩慢なまばたきによって)低い剪断力を受けた場合、粘度が高い。したがって、まばたき後の緩慢な開眼の間、粘液はより粘度が高く、目の表面を覆うほど拡散しない。粘液が適切に拡散していないエリアにおいて、自由な流体が蒸発し、気化冷却をもたらす。この眼表面からの蒸発は、長期間の開眼中に眼表面の乾燥をもたらし、その結果、被験者は不快感を得る。
[0158]
全体として考えると、これらの例が示すように、涙膜は、脂質層に覆われた個別の房水層を有するとともに脂質層が房水の保持を担う3層体として理解することはできない。このモデルによると、涙膜の問題は、房水成分が正常な涙膜と比べて高速で蒸発することに関連する。涙膜破壊およびこの蒸発は、涙膜安定性を監視するための手段である。
[0159]
ゲルシェルモデルの場合、ムチンは、房水を結合しながらゲル状構造を形成する。人体の他の部分に見られる粘液と同様に、蒸発率は、結合された房水を保持するこの粘液の品質に依存する。この粘液は、まばたき中に脂質の助けを借りて拡散するので、粘液の不完全な拡散は、涙膜不全をもたらすことを意味する。したがって、涙膜不全の観察は、まばたきの過程で粘液が拡散する間の涙膜の物理的挙動を検出することによって実現され得る。
[0160]
また、ゲルシェルモデルの好適かつ代替的な実施形態において、涙膜の粘液成分は、房水の蒸発損失を遅らせ、および/または抑制する。これによって、そのような実施形態の粘液成分は、涙膜を安定させ得る。いくつかの実施形態において、房水が粘液に適切に取り込まれないことによって追加のより高い蒸発損失が生じ得るので、蒸発率は、場合によっては、粘液に取り込まれていない房水のモル浸透圧濃度に依存する。追加の蒸発は、いくつかの実施形態において、
a.涙膜の粘液が、空気に晒された目の表面の一部に適切に形成されていないこと、
b.粘液が、空気に晒された目の表面の全体に適切に拡散していないこと、および/または、
c.粘液に取り込まれていない、または結合されていない過剰な房水が存在すること
に原因があり得る。
[0161]
いくつかの実施形態において、刺激された流涙の後、強いまばたきの後、または人工涙液の添加の後、検出されたサイズの変化、検出された形状の変化、および検出された位置の変化は、取り込まれていないおよび/または結合されていない房水の気化冷却に原因があり得る。いくつかのそのような実施形態において、取り込まれていないおよび/または結合されていない房水の気化冷却が検出され得るが、好適には、被験者の快適性に悪影響を全くまたは最小限しか及ぼさず、好適には、下にあるゲルシェル涙膜の安定性に全くまたは最小限しか影響を及ぼさない。いくつかのそのような実施形態によると、これらの状況は必ずしも異常な涙膜を示すものではない。これらは、目に過剰な房水が存在する数々の条件のいずれかにおいて発生することもある。
B.眼症状の診断または眼症状に関する治療計画の展開または監視における方法の使用
[0162]
いくつかの好適かつ代替的な実施形態において、被験者の目において検出された涙膜の物理的挙動または涙膜の欠如に基づいて、被験者の眼症状を診断し、または眼症状に関する治療計画を展開または監視する方法が提供され、方法は、
a.被験者の目から、少なくとも第1の捕捉データセットを捕捉するステップと、
b.少なくとも第1の捕捉データセットを分析し、それによって涙膜の物理的挙動を検出するステップと、
c.検出された涙膜の物理的挙動に基づいて、眼症状を診断し、または眼症状に関する治療計画を展開または監視するステップと
を備える。
[0163]
他の好適かつ代替的な実施形態において、被験者の目において検出された涙膜の物理的挙動または涙膜の欠如に基づいて、被験者の眼症状を診断し、または眼症状に関する治療計画を展開または監視する方法が提供され、方法は、
a.被験者の目から、少なくとも第1の捕捉データセットを捕捉するステップと、
b.少なくとも第1の比較データセットを識別するステップと、
c.少なくとも第1の比較データセットに対して少なくとも第1の捕捉データセットを分析し、それによって涙膜の物理的挙動を検出するステップと、
d.検出された涙膜の物理的挙動に基づいて、眼症状を診断し、または眼症状に関する治療計画を展開または監視するステップと
を備える。
[0164]
眼症状の診断または眼症状に関する治療計画の展開または監視における方法において本発明の方法が用いられ得る方式を示すことを目的として、発明者によっていくつかの実験が行われた。ここで、これらの実験が順次、ある程度詳しく説明され、例として参照される。以下の例に伴う文章は、実験の一部として捕捉された図の説明を提供するものである。
[0165]
包括的な提示として、たとえば
a.特定の眼症状を有する患者、
b.特定のまばたき運動療法を行っている患者、
c.自身の目に特効点眼薬が投与された患者
などの様々な状況を有する患者に対して、いくつかの実験が行われた。
[0166]
各事例において、患者は、自発的なまばたきまたは強いまばたきの後、開眼状態を維持するように求められた。これにより、検出された涙膜の物理的挙動が分析および記録されるために十分な時間が与えられた。640×512のアンチモン化インジウム検出器アレイ、15μmの画素ピッチ、20mKの温度分解能、20mmの拡張リングを有する50mmレンズを有するサーモグラフィカメラが、100Hzのウィンドウ処理で作動した。実験は、周囲の温度および湿度にわずかな変動を有する様々な空調管理された場所で行われた。
例9:ドライアイ事例研究1
[0167]
ドライアイ症状を有する被験者が、自発的なまばたきの後一定の期間、開眼状態を維持するように求められた。被験者の右目のサーモグラフィ映像が捕捉された。図10に示すように、検出された涙膜は、開眼の直後に形成されたが、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置は、開眼の約0.2秒後に変化し始め、0.7秒後、正常な目と比べて低い安定性の検出された涙膜物理的挙動を示すことが明らかになった。
例10:ドライアイ事例研究2
[0168]
ドライアイ症状を有する被験者が、自発的なまばたきの後一定の期間、開眼状態を維持するように求められた。被験者の左目のサーモグラフィ映像が捕捉された。図11に示すように、検出された涙膜は、開眼の直後に形成されたが、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置は、開眼の約0.7秒後に変化し始めた。これは、図10に見られた特徴を示すドライアイとは異なる形態を表し、正常な目(図1)と比べて、検出された涙膜物理的挙動における安定性が低い。
例11:ドライアイ事例研究3
[0169]
また他のドライアイ症状を有する被験者が、自発的なまばたきの後一定の期間、開眼状態を維持するように求められた。被験者の左目のサーモグラフィ映像が捕捉された。図12に示すように、開眼の直後、涙膜の形成はほぼ検出されなかった。眼球は、涙膜を保持する機能的房水に覆われることなく環境に晒されており、これは、気化冷却に起因する、眼表面の段階的に暗化するグレースケールによって明示された。
例12:シェーグレン病
[0170]
シェーグレン病を有する被験者が、自発的なまばたきの後一定の期間、開眼状態を維持するように求められた。被験者の右目のサーモグラフィ映像が捕捉された。図13に示すように、検出された涙膜は、開眼の直後に形成されたが、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置は、開眼の約0.4秒後、眼表面の下部付近で変化し始めた。この変化は、眼表面の上部へ向かって発展し続けた。
例13:帯状疱疹
[0171]
目に帯状疱疹感染を有する被験者が、自発的なまばたきの後一定の期間、開眼状態を維持するように求められた。被験者の右目のサーモグラフィ映像が捕捉された。図14に示すように、検出された涙膜は、開眼の直後に形成された。しかし、正常な目において開眼後に形成され検出された涙膜と異なり、帯状疱疹感染を有する目における涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置は、開眼の直後、帯状疱疹感染位置付近で不規則性を検出した。検出されたこの不規則性は、続けて外側へ拡大した。
例14:角膜病変
[0172]
角膜病変を有する被験者が、自発的なまばたきの後一定の期間、開眼状態を維持するように求められた。被験者の左目のサーモグラフィ映像が捕捉された。図15に示すように、検出された涙膜は、開眼の直後に形成された。しかし、正常な目において開眼後に形成され検出された涙膜と異なり、角膜病変を有する目における涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置は、開眼の約0.5秒後、病変位置付近で検出された不規則性を示し始めた。検出されたこの不規則性は、約3秒後にその位置付近で定着し始めた。
例15:円錐角膜
[0173]
円錐角膜を有する被験者が、自発的なまばたきの後一定の期間、開眼状態を維持するように求められた。被験者の左目のサーモグラフィ映像が捕捉された。図16に示すように、検出された涙膜は、開眼の直後に形成された。しかし、正常な目(図1)において開眼後に形成され検出された涙膜と異なり、この目における涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置は、涙膜の形成中に不規則性を示した。検出されたこの不規則性は、続けて上方へ移動し始めた。約5秒後、検出された不規則性は、ほぼ眼表面全体に拡散した。
例16:特効点眼薬1
[0174]
ドライアイ症状を有する被験者が、有効成分として脂質を有する特効点眼薬を入れる前および後に監視された。被験者は、自発的なまばたきの後一定の期間、開眼状態を維持するように求められた。点眼薬を入れた、または入れていない被験者の左目の2つのサーモグラフィ映像が捕捉された。図17に示すように、点眼薬の投与前(上段)、検出された涙膜は、開眼の直後に形成されたが、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置は、開眼の約0.4秒後、変化し始めた。点眼薬の投与後(下段)、涙膜は、開眼の直後に形成され、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置は、正常な涙膜(図1)と同様であった。
例17:特効点眼薬2
[0175]
ドライアイ症状を有する被験者が、有効成分として増粘ポリマ(カルボキシメチルセルロース)を有する特効点眼薬を入れる前および後に監視された。被験者は、自発的なまばたきの後一定の期間、開眼状態を維持するように求められた。点眼薬を入れた、または入れていない被験者の左目の2つのサーモグラフィ映像が捕捉された。図18に示すように、点眼薬の投与前(上段)、検出された涙膜は、開眼の直後に形成されたが、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置は、開眼の約0.6秒後、変化し始めた。点眼薬の投与後(下段)、開眼時点で目を覆う膜が存在し、膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置は、長時間にわたり変化しなかった。
例18:まばたき運動
[0176]
ドライアイを有する被験者が、一週間のまばたき運動療法の前および後、自発的なまばたきの後一定の期間、開眼状態を維持するように求められた。被験者の右目の2つのサーモグラフィ映像が捕捉された。図19の上段および下段に示すように、まばたき運動後の検出形状、検出サイズ、および検出位置は、正常な目の涙膜のそれと類似しており、まばたき運動療法前の涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置よりも大幅に安定している。
[0177]
まばたきサイクルの瞼を閉じる段階において一部の房水が除去され、瞼を開ける段階において房水が再び満たされることが知られている(Sorbara他著、2004年、Contact Lenc Ant Eye 27:15〜20、KhanalおよびMillar著、2010年、Nanomedicine.6:707〜713)。正常な自然の涙膜の場合、まばたきの開眼段階の初期、下瞼から上瞼へ向かって動く、眼表面を横切る暗い狭小前面(図1、図10、図11、図13、図15〜19における特徴F1)が見られ得る。暗化すると、この前面は、それが広がっている目の表面よりも低い熱放射を放出し、低い放射率を有すると見られる。これは、一部において、涙膜の上に形成する脂質層に起因する放射率の変化に関連し、一部において、涙膜の房水成分の蒸発に関連する。
[0178]
この暗い前面に後続するのは、眼表面を覆う新たに形成された完全な涙膜を表す薄灰色の領域(図1、図10、図15、図16、図19における特徴F2)である。研究により、暗い前面は、開眼後に拡散する過程で涙膜に完全に一体化されなかった涙膜の房水成分を示すことが識別された。またこれは、脂質前面が同時に動くことによる涙膜の放射率の変化も表す。涙膜の房水におけるこの部分が涙膜に完全に一体化されないことにより蒸発し、既に膜が拡散した目の表面と比べて、熱放射における小さな差が生じ得る。また、研究により、ドライアイまたは他の問題による涙膜への影響を受けていない健康な被験者において、この前面(特徴F1)は、眼表面を上方へ動き、その後、目の上縁で消失する(図1)。
[0179]
涙膜の拡散前面(特徴F1)は、高速で(開眼から目の上部に到達するまで10分の1秒以内に)動き、あるいは比較的緩慢である(同じプロセスが1秒以上に及ぶ)。これらの異なる速度は、涙膜の房水成分および脂質成分と涙膜の粘液成分との相互作用の差に起因する。正常な健康な目においてこの前面に後続するのは、完全な涙膜(図1における特徴F2)である。また健康な被験者において、結果として生じる完全な膜は、空気に晒された目の表面全体にわたり経時的に実質的な熱放射の降下または放射率の変動を示さない(開眼中暗化しないことは、安定した非蒸発性の涙膜を示す、図1)。異常な涙膜を有する一部の被験者において、低い熱放射の前面は、目の上部に到達せず、前面が移動しなかった目の部分に低い熱放射のエリアをもたらす(図10、低い熱放射は、これらのエリアにおける増加した蒸発を原因とする)。
[0180]
異常な涙膜を有する被験者において、前面に後続する領域に熱放射の差異が見られ得る(特徴F2、健康な涙膜における前面と下眼瞼縁との間の薄灰色領域)。特に、経時的に目の表面に現れる暗い領域(図11、図13〜15、図17〜19における特徴F3)は、高い蒸発性のエリアを表すことにより、目の表面を覆う涙膜が安定していない領域を示す。これらの暗化領域(図11における特徴F3)は、前面が目の上部へ移動した場合、および暗い前面が目の上部に到達しない場合(図19、上段)に現れ得る。
[0181]
異常な涙膜を有する一部の被験者の目において、目の上を動く領域は見られないが、過剰な蒸発に起因する眼表面の熱放射の急速な低下が存在する(図12)。これらの事例において、涙膜を保持する房水は形成されていない。広範な研究により、拡散前面(特徴F1)が見えるためには、涙膜の房水部分がマイボーム腺から放出された涙膜脂質とともに、涙膜の粘液成分と相互作用せざるを得ないことが示されている。例として図12に見られるような涙膜が欠如した前面(特徴F1)は、この点に関して異常な相互作用を示す。これに関する他の例は、粘性の涙の代替物として設計された点眼薬が目に投与された後の図18に示される。
[0182]
涙膜の房水および脂質成分とムチン成分との相互作用は、実際に、本発明に開示された方法を用いて可視化できる程度まで、涙膜の目全体への拡散を低速化する。したがって、図12に見られるような目の病状において、拡散は、記録できないほど高速になり得る。また、脂質層に関する放射率および蒸発に関する熱放射における全体差が低すぎて記録(検出)できないことも起こり得る。房水層は、サーモグラフにおける赤外線カメラの画像の反射(図12における特徴F4)に見られるように、まばたきの直後、目の表面を覆ったままである。
[0183]
涙膜が過剰な蒸発を示す、図12に示す事例において、この画像は消失し、眼表面が乾燥していることが示される(図12、時間806)。この被験者の場合、マイボーム腺は機能しており、十分な涙膜脂質を放出していると分析された。房水は下瞼の外側へ流れている様子が見られ得るので(特徴F5)、十分な房水があると思われる。
[0184]
本発明のいくつかの実施形態は、眼障害の診断を行い、眼障害に関する治療計画を展開または監視するために、たとえば涙膜の検出形状における変化など、患者の目において検出された涙膜の物理的挙動における変化を用いる。正常な目における涙膜の検出形状は、図1に示すように、自発的なまばたきの直後、通常、目の形状と非常に類似しており、この検出形状は、まばたき後の最初の数秒間にわたり比較的安定している。一方、ドライアイ疾患を患った目における涙膜の検出形状は、正常な目における涙膜の検出形状と同様であり得るが、その形状は瞬時に、または経時的に変化する。
[0185]
図10および図11に示すように、ドライアイ疾患を患った目において、涙膜の移動する前面に沿って検出された不規則形状は、まばたき後の最初の1秒の早期に、目の中央水平線に向かって動く。図15に示すように、角膜病変を有する目において、まばたきの直後、角膜病変位置の周囲に不規則形状が検出され(角膜病変によって生じたと思われ)、涙膜の検出形状は、まばたき後の最初の1秒の終わりに近づくにつれ規則的になる(涙膜の拡散に起因すると思われる)。
[0186]
図13に示すように、シェーグレン症候群を患った目において、涙膜の底部の検出形状は、まばたきの直後、眼表面の縁に沿って規則的であったが、まばたきの約1秒後、不規則になる。図14に示すように、帯状疱疹感染後の目の涙膜において、涙膜の検出形状は、まばたきの直後、感染位置において不規則である。図19に示すように、1週間の瞼まばたき運動の後のまばたき後の目の涙膜において、涙膜の検出形状は、瞼まばたき運動の前よりもまばたき後の安定性が高い。
[0187]
図16に示すように、円錐角膜を有する目において、検出された涙膜の底部形状は、まばたきの約0.4秒後に不規則性を示し始め、検出されたこの不規則性は、上方へ移動し、まばたきの約7.8秒後に涙膜全体の検出形状を不規則にする。図17に示すように、点眼薬の滴下後、涙膜の検出形状は、点眼薬の滴下前に見られた形状から変化し、その検出形状および検出形状の変化は、正常な涙膜(図1)のそれと非常に類似する。図18に示すように、異なる点眼薬の滴下後、どの時にも涙膜の形状を検出することはできない。同様の涙膜の検出形状の欠如が、図12に示すような高蒸発性ドライアイ症状において知覚された。
[0188]
本発明のいくつかの実施形態は、たとえば涙膜の検出サイズなど、患者の目において検出された涙膜の物理的挙動における変化を用いる。涙膜が目の表面のエリアを覆い、放射率は均一であり、正常な涙膜を有する被験者の検出された涙膜と比較して、熱放射の変化は検出されなかった(特徴F2)。一般に、図1に示すように、正常な涙膜の検出サイズは、目が完全に開いた後すぐには変化しない。これに反して、一部の種類のドライアイ疾患を患った目は、変化する検出涙膜サイズを有するが(図10および図11)、他の種類のドライアイでは、涙膜エリアは検出されない(図12)。図15に示すように、角膜病変を有する目において、涙膜の検出サイズは、まばたきの直後に著しく小さい。図19に示すように、1週間の瞼まばたき運動の後の目において、涙膜の検出サイズは、瞼まばたき運動の前よりも長い期間、安定状態を保つ。ドライアイ症状における点眼薬の投与(図17および図18)は、正常な涙膜(図1)において検出された涙膜の検出サイズを取り戻すことができる。
[0189]
本発明のいくつかの実施形態は、たとえば涙膜の検出位置など、患者の目における涙膜の物理的挙動における変化を用いる。正常な目において、図1に示すように、検出された涙膜は、空気に晒された眼表面に広がっている。図15に示すように、角膜病変を有する目において、涙膜の検出位置は、角膜病変位置から離れている。図14に示すように、帯状疱疹感染を有する目において、涙膜の検出位置は、帯状疱疹感染位置から離れている。図13に示すように、シェーグレン症候群を患った目において、涙膜の検出位置は、まばたき後の最初の1秒にわたり目の下部から離れている。図16に示すように、涙膜の検出位置は、円錐角膜における突出した角膜から離れている。図17および図18に示すように、点眼薬の投与は、涙膜の再配置を検出し得る。
[0190]
上述したように、好適かつ代替的な実施形態において、物理的挙動の検出は、患者の目から捕捉されたデータセットを視覚化または観察することによって実現される。いくつかのそのような実施形態において、視覚化または観察は、記録されたデジタルまたはアナログ形式においてスクリーン上で、あるいはたとえば写真および/または図などの印刷形式で行われてよく、これらの機構は全て、捕捉データセットを拡大するために適合された拡大手段を有して、または有さずに採用される。
[0191]
いくつかの実施形態において、物理的挙動の検出は、全体を通した波長および/または電磁放射スペクトルにおける放出および/または緩和を捕捉することによって生じる。いくつかの好適な実施形態において、検出は、赤外線放出および/または緩和および可視光放出および/または緩和によって生じる。
[0192]
いくつかの実施形態において、検出された涙膜挙動は、一度だけ、継続的に、および/または定期的に行われる。本特許明細書において、好適かつ代替的な実施形態において詳しく説明されるように、涙膜挙動の捕捉は、観察、監視、または記録によって実現される。好適には、医師は、眼症状を診断し、眼症状に関する治療計画を展開または監視するために、検出され観察された涙膜挙動を他の比較涙膜挙動とともに取り調べてよい。
[0193]
図に示す捕捉された涙膜物理的挙動は、コンピュータソフトウェアを用いて医師によって記録された。記録の形式は、デジタルおよび/もしくはアナログ形式で格納された映像および/もしくはは写真、または印刷された形式の写真および/もしくは図であってよい。医師はその後、眼症状を診断し、眼症状に関する治療計画を展開または監視するために、記録された涙膜物理的挙動を他の比較涙膜挙動とともに用いる。
[0194]
涙膜物理的挙動の大部分は、涙膜が形成される時間であるまばたき直後に生じるため、図に示す涙膜物理的挙動の捕捉は、まばたきの後完全に開眼する前、まばたき直後に開始した。
[0195]
図に示すように、関連する涙膜物理的挙動の捕捉の期間は、変動し得る。図10、図11、および図12に示すように、ドライアイ症状を有する目における涙膜物理的挙動の捕捉は、捕捉開始後、8〜11秒続いてよい。図13に示すように、シェーグレン症候群を有する目における涙膜物理的挙動の捕捉は、捕捉開始後、1.3〜6秒続いてよい。図14に示すように、帯状疱疹感染後の目における涙膜物理的挙動の捕捉は、捕捉開始後、0.3〜3秒続いてよい。図15に示すように、角膜病変を有する目における涙膜物理的挙動の捕捉は、捕捉開始後、0.3〜11秒続いてよい。図16に示すように、円錐角膜を有する目における涙膜物理的挙動の捕捉は、捕捉開始後、0.4〜8秒続いてよい。
[0196]
図17および図18に示すように、特効点眼薬の投与前および投与後の目における涙膜物理的挙動の捕捉は、捕捉開始後、0.3〜3秒続いてよい。図19に示すように、瞼のまばたき運動を行う前および後の目における涙膜物理的挙動の捕捉は、捕捉開始後、0.3〜7秒続いてよい。
[0197]
図に示す捕捉は、様々なセッティングを用いて様々な時間に行われてよく、ここで、涙膜物理的挙動の多数のセグメントが捕捉される。
[0198]
眼症状の種類および/または眼症状の診断、進行、もしくは監視の種類に依存して、涙膜物理的挙動の追加の捕捉が、先行の捕捉時の6か月〜約1年後、再び起こり得る。いくつかの他の実施形態において、第2のまたは追加の捕捉は、先行の捕捉時の後に定期的に開始してよく、その期間は、1日、1週間、1か月、3か月、1年、またはそれ以上であってよい。あるいは、第2のまたは追加の捕捉時は、たとえば効率、診断制度、特定の治療段階への反応または到達、運動療法、症状、感覚、利用可能性、および進行問題などの様々な事案に依存して、医師または被験者によって決定される。
[0199]
図に示す捕捉された涙膜物理的挙動は、捕捉された涙膜物理的挙動とともに、目の状態を診断し、進行させ、または監視するために必要な1または複数の比較データセット(複数も可)としても用いられ得る。図に示す捕捉された涙膜物理的挙動は、様々な時間に、または様々な条件下で、またはそれらの組み合わせで、同じまたは異なる被験者から得られ得る。
[0200]
図に示す捕捉された涙膜物理的挙動が、目の状態を診断し、進行させ、または監視するために用いられる場合、1または複数の比較データセット(複数も可)は、本発明を実行する医師または人間の知識ベースとして識別され得る。この知識ベースは、そのような人間の訓練、研究、または経験を含む。知識は、人間の記憶、または目の状態を人間が診断し、進行させ、または監視することを支援するたとえばテキスト、表、図、写真、涙膜物理的挙動に関連する撮像または映像などの印刷またはデジタル形式のデータという形態であってよい。図に示す捕捉された涙膜物理的挙動は、それ自体が、1または複数の比較データセット(複数も可)として用いられ得る。
[0201]
捕捉された涙膜物理的挙動および比較データセット(複数も可)の分析は、図示された診断特性を調査することによって実行され得る。たとえば検出サイズ、検出形状、および検出位置などの同様または同一の涙膜物理的挙動を識別することは、密接に関連する診断特性を示す。
[0202]
いくつかの好適な実施形態において、適当な赤外感光性カメラは、
a.2μm〜14μmの帯域内の波長用の検出器、
b.毎秒10フレームを上回るフレームレート、
c.320×240画素以上の空間分解能検出器、
d.17μm以下のピッチ分解能、
e.35mK以上の熱感受性
を含む。
[0203]
カメラのレンズシステムの材料は、ガリウム、セレン化亜鉛、または硫化亜鉛であってよい。レンズ材料は、高い熱貫流率を有する材料でなくてはならず、実用上の理由のため、周囲湿度または温度に影響を受けてはならない。
[0204]
カメラの光検出器は、冷却され、アンチモン化インジウム、砒化インジウム、テルル化カドミウム水銀、硫化鉛、セレン化鉛を含むがこれに限定されない様々な材料で作られてよい。用いられる一般的な冷却機構は、スターリングエンジンクライオクーラであるが、たとえばガスクーラなどの他の冷却機構が用いられてもよい。光検出器は、たとえば量子井戸型赤外線光検出器などの高バンドギャップ半導体を含む。カメラからのデジタル情報は、適当なソフトウェアによって処理される。
[0205]
所望であれば、ソフトウェアは、図に示す捕捉された涙膜物理的挙動を向上させるために用いられ得る。非限定的な例の場合、多数のフレームの平均を1つのフレームにコンピュータ化するソフトウェアが、温度感受性を高める(雑音を低減する)ために用いられ、隣り合う画素を比較し、統計分析を行うソフトウェアが、コントラスト強調または他の向上のために用いられ得る。このソフトウェアは、コンピュータ、カメラ、またはスタンドアロンデバイスにインストールされ得る。
[0206]
典型的な眼検査セッションは、以下のように進行する。カメラシステムが始動し、必要であれば、カメラが動作要件まで冷却される。関連ソフトウェアを有するコンピュータが始動する。
[0207]
患者は、カメラの正面に座り、彼/彼女の顎を顎当に載せるように求められる。顎当は、患者が快適に座るために調節される。カメラは、患者の目の正面に水平に位置するように調節される。
[0208]
カメラは、固定焦点または調節可能焦点のいずれかで作動し得る。固定焦点の場合、カメラは、焦点が合ったサーモグラフィ写真を得るために、患者の目に近付き、または患者の目から離れるように水平軸上で動かされる。カメラの焦点が固定ではない場合、カメラの焦点レンズを用いて追加の調節がなされ得る。
[0209]
目がカメラの焦点に合わせられた後、涙膜サーモグラファのオペレータは、まばたき状態に関して患者に指示を出し、涙膜の物理挙動が所望に応じて捕捉され記録される。このプロセスは、必要または好適な場合、複数回繰り返され得る。
[0210]
捕捉された涙膜挙動は、その後、データベースまたは印刷されたマニュアルに記録された比較涙膜挙動に対して分析される。その後、被験者のために診断が行われ、治療計画が展開または監視される。
[0211]
カメラシステムは、動作において、完全電動型、手動型、半自律型、または自律型であってよい。そのような涙膜サーモグラファは、スタンドアロンシステムであってよく、または患者の目の正面における正しい位置へのカメラの移動を可能にする他の眼科用機器に取り付けられ得る。そのようなシステムは、細隙灯であってよく、これに赤外感光性カメラが、必要に応じて動かされ得るように取り付けられる。
C.コンタクトレンズ選択における方法の使用
[0212]
幅広い範囲の様々な利用可能なコンタクトレンズが存在し、これらは、サイズ、厚さ、形状、材料、表面特性、他の材料特性、および意図された目的(再利用可能、連続装用、デイリー、ウィークリー、マンスリー、および美容装用)において異なる。
[0213]
発明者は、本発明の方法が、コンタクトレンズ選択のために現在採用されているプロセスを改善するためにどのように用いられ得るかを示す一連の実験に着手した。コンタクトレンズが滴下された場合および滴下されていない場合の涙膜挙動が、15μmのピクセルピッチを有する640×512のアンチモン化インジウム検出器アレイ、20mKの温度分解能、100Hzのウィンドウイングで走る20mm拡張リングを有する50mmレンズを有するサーモグラフィカメラを用いて記録された。実験は、温度23℃および湿度45%の制御された環境内で実行された。例19〜23による結果を示す図20〜24におけるサーモグラフは、グレースケールであり、暗い灰色ほど低い熱放射を表す。
例19:コンタクトレンズ事例研究1
[0214]
正常な被験者が、自発的なまばたきの後一定の期間、開眼状態を維持するように求められた。その後、被験者は、連続装用コンタクトレンズを挿入した。被験者の目のサーモグラフィ映像が捕捉された。図20に示すように、検出された涙膜は、開眼の直後に形成されたが、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置は、コンタクトレンズがない場合(上段)、正常(図1)であった。コンタクトレンズがない場合、後続する薄灰色の広がり(F2)を有する暗い帯域(F1)は、比較的迅速に、眼表面を完全に上まで移動し、その後、開眼状態が維持されれば、何秒間も表面に事実上変化はなかった。連続装用コンタクトレンズを目に入れた直後(下段)、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置は変化している。目を上に移動する暗い帯域および付随する灰色の広がりは検出されない。代わりに、時間とともに徐々に暗くなるコンタクトレンズの領域が見られ(F6によって示されたマージン)、この領域において涙膜が正しく形成されず、過剰な気化蒸発をもたらすことが示される。
例20:コンタクトレンズ事例研究2
[0215]
正常な被験者が、デイリー装用コンタクトレンズを挿入した。被験者の目のサーモグラフィ映像が捕捉された。図21に示すように、デイリー装用コンタクトレンズを目に入れた直後、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置は、正常な涙膜(図1)と比較して変化した。一様でない暗い領域(F1)が非常に緩慢に上方へ移動し、この不規則なマージンの後方に灰色の不均一な形状が上昇し、コンタクトレンズを覆う灰色の曇りを形成する。コンタクトレンズの右マージン(複数も可)が示されている(F6)。灰色の曇りに覆われていないコンタクトレンズの領域は暗化し、コンタクトレンズのこの領域における表面からの気化冷却が示される。
例21:コンタクトレンズ事例研究3
[0216]
正常な被験者が、両目に同じブランドのデイリー使い捨てコンタクトレンズを挿入した(図22)。被験者の目のサーモグラフィ映像が捕捉された。図22に示すように、6時間の装着後、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置は片方の目において変化したが(図22、D〜I)、他方の目において(図22、A〜C)、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置は、正常な涙膜(図1)と比較して変化していない。変化した涙膜の場合、一様でない暗い領域(F1)が非常に緩慢に上方へ移動し、この不規則なマージンの後方に灰色の不均一な形状が上昇し、コンタクトレンズを覆う灰色の曇りを形成する。灰色領域に覆われていないマージンのエリア(F1)は、時間とともに次第に暗化し、コンタクトレンズに覆われたこの領域からの気化冷却が示される。被験者は、この目における不快感を認めた。コンタクトレンズのマージンが示される(F6)。
例22:コンタクトレンズ事例研究4
[0217]
2人の被験者(上段の被験者1および下段の被験者2)の涙膜において、ウィークリーコンタクトレンズ(A)およびマンスリーコンタクトレンズ(B)の涙膜への影響が、挿入直後(挿入の約5分後)および4時間の装着後に監視された。各被験者について、各期間中に、被験者の目のサーモグラフィ映像が捕捉された(図23)。全ての写真は、開眼の約2秒後に撮影された。ウィークリーコンタクトレンズ(A)は、正常な涙膜(図1)と比較して、被験者1の涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置に瞬時に影響を及ぼすが(矢印)、被験者2の涙膜の検出形状、検出サイズ、または検出位置には影響を及ぼさない。しかし、4時間の装着後、両方の装着者の涙膜が、正常な涙膜(図1)と比較して、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置を次第に変化させている。被験者1および被験者2の両者におけるウィークリーコンタクトレンズは、4時間後、許容可能であった。マンスリーコンタクトレンズ(B)は、最初、被験者1の涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置に影響を及ぼすが、4時間の装着後、正常な涙膜の涙膜に類似する。被験者2に関して、マンスリーコンタクトレンズ(B)は、正常な涙膜(図1)と比較して、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置にほぼ影響を及ぼさなかった。しかし、4時間の装着後、目の上方内側部分における目立った斑は、涙膜に適切に覆われていない(矢印)。被験者は、このエリアにおける不快感を報告した。
例23:コンタクトレンズ事例研究5
[0218]
連続装用コンタクトレンズの涙膜への影響が、コンタクトレンズの取外し前、取外し中、および取外し後に監視された。被験者の目のサーモグラフィ映像が各期間中に捕捉された(図24)。全ての写真は、開眼の約2秒後に撮影された。コンタクトレンズの挿入前、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置は正常であった(A)。コンタクトレンズを挿入した直後、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置は、暗い中央領域によって示されるように大幅に乱れている(B)。装着の4時間後、涙膜の面積は大きくなっている(C、矢印によって示されたマージン)。コンタクトレンズを取り外した直後、涙膜に幾分の分裂がある(D、矢印)。コンタクトレンズを取り外した2時間後、涙膜は正常に戻っている(E)。ただし、Eにおいて矢印で示された検出形状は、臨床医の熱反射である。
[0219]
コンタクトレンズ装用者の約半分が、コンタクトレンズの装着による眼の不快感を経験していることが推定される。これはしばしば、コンタクトレンズ装用者がコンタクトレンズの装着を諦めるほどに及ぶ。世界中の何百万人ものコンタクトレンズ装用者に影響を及ぼすこの状態にもかかわらず、コンタクトレンズの不快感および涙膜および眼表面への影響の特徴化に関して、科学および臨床団体におけるコンセンサスおよび標準化は少数しか存在しない(Nichols他著、2013年、IOVS TFOS7〜13)。
[0220]
上記例において用いられた方法は、好適な実施形態において、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置へのコンタクトレンズの影響を評価し、それを、装用者による快適性および不快感に関連付けるための機構を提供する。
[0221]
例として、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置への様々なコンタクトレンズの影響を示す。また、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置へのコンタクトレンズの影響は、個々によって、また経時的に変動し得ることも明らかである。特定のコンタクトレンズ型式を用いる一部の被験者において、挿入後の特定の時間に、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置は、正常な外観を有した。
[0222]
これらの実験結果は、様々なコンタクトレンズが、涙膜成分のコンタクトレンズへの濡れ性および結合に影響を及ぼす様々なコーティングまたは表面処理を有するという事実と一致する。様々な被験者が様々な涙膜組成を有し、涙膜における要素は、装用中、コンタクトレンズ表面に相互作用し付着し得ることにより、コンタクトレンズ表面の特性を変化させるので、コンタクトレンズは、涙膜との相互作用の点で一様ではない。
[0223]
好適な実施形態において、被験者における涙膜の正常な検出形状、検出サイズ、および検出位置を最も妨害しないコンタクトレンズのブランドおよび型式を決定するために、反復プロセスが用いられる。
[0224]
好適には、涙膜の正常な検出形状、正常な検出サイズ、および正常な検出位置を最も妨害しないコンタクトレンズが、装用者にとって最も快適である。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の方法は、患者のための適当なコンタクトレンズを選択するための機構を提供する。他の実施形態において、本発明の方法は、コンタクトレンズが取り外された後を含む、涙膜の検出形状、検出サイズ、および検出位置へのコンタクトレンズの装着による影響を評価するための機構を提供する。好適には、これらの機構は、患者のための好適なコンタクトレンズの装着期間およびコンタクトレンズを休止する期間の決定を可能にする。
[0225]
また、好適かつ代替的な実施形態において、
a.図23に示す例において、様々なコンタクトレンズが、同じ被験者の涙膜において様々な検出された物理的挙動をもたらすことがあり、
b.図22に示す例において、同じコンタクトレンズが、同じ被験者の両目の各々の涙膜において異なる検出された物理的挙動をもたらすことがあり、
c.図23に示す例において、被験者の同じ目における同じコンタクトレンズが、滴下時間後の涙膜において異なる検出された物理的挙動をもたらすことがあり、
d.図20〜24に示す例において、同じ種類のコンタクトレンズが、異なる被験者の涙膜において異なる検出された物理的挙動をもたらすことがあり、
e.図24に示す例において、被験者の涙膜において検出された物理的挙動は、コンタクトレンズが取り外された後、異なるように現れる
ことが明らかであり得る。
[0226]
上述したように、現在用いられている、患者のための適切なコンタクトレンズを推奨し選択するプロセスにおいて、臨床医は一般に、コンタクトレンズに望まれる目的、患者の衛生、患者がコンタクトレンズを挿入および取外しする能力、および必要なコンタクトレンズの度数および形状を最初に決定する。このプロセスは、所与の患者に適したブランドの数を絞り込み、その後、それらのブランドの試用レンズが患者にフィッティングされる。最終的な選択は、患者の快適性の知覚に主に基づいて、反復プロセスによってなされる。
[0227]
本発明の好適かつ代替的な実施形態は、選択肢の最初の絞り込みの後、適当なコンタクトレンズを決定するための客観的な手段を提供する。
[0228]
いくつかの実施形態において、臨床医は、両目に同じブランドおよび種類の試用レンズをフィッティングする前の患者の目/両目において検出された涙膜の物理的挙動を分析する。最初の流涙が(試用コンタクトレンズ(複数も可)の滴下から約5分以内に)治まった後、臨床医は、検出された涙膜の物理的挙動を、そのようなフィッティングの前に検出された涙膜の物理的挙動と、および/または他の比較データセットと比較してよい。
[0229]
いくつかの好適な実施形態において、患者は、所定のまたは好適な期間、コンタクトレンズ(複数も可)を装着し、その後、コンタクトレンズのフィッティング後の様々な期間(複数も可)に再検査が行われる。そのような期間は、2時間、4時間、6時間、8時間、24時間、またはそれ以上であってよい。
[0230]
いくつかのそのような実施形態は、再検査中、コンタクトレンズ(複数も可)の滴下直後に検出された涙膜の物理的挙動が、フィッティング前に検出された涙膜の物理的挙動と、そのコンタクトレンズ(複数も可)または他のコンタクトレンズ(複数も可)のフィッティング後の涙膜の物理的挙動に関して捕捉された他のデータセットと、および/または他の比較データセットと再び比較されることを提供する。好適には、患者は、各記録時点で自身の相対的快適性に関して質問される。
[0231]
最初の検査後または毎回または追加の検査後のどれかにかかわらず、コンタクトレンズ(複数も可)は取り外され、検出された涙膜の物理的挙動が(好適には約5分後に)記録される。検出された涙膜の物理的挙動は、その後、好適には、フィッティング前に検出された涙膜の物理的挙動と、コンタクトレンズのフィッティング後に記録された比較データセット(複数も可)と、および/または他の比較データセット(複数も可)と比較される。
[0232]
選択のための特に好適なコンタクトレンズは、その取外しにより、検出された涙膜の物理的挙動が、基本的に正常な涙膜の瞬時の復元を示すことを可能にするものである。コンタクトレンズの取外し後に検出された涙膜の物理的挙動が乱れる実施形態において、選択に好適ではないコンタクトレンズは、その取外しにより、検出された涙膜の物理的挙動が、ほぼ乱されず、または少ししか乱されず、比較的短い期間内に(たとえば2分未満で)正常に復元することを可能にするものである。
[0233]
いくつかのそのような実施形態に関して、コンタクトレンズの取外し後の測定に関する典型的な間隔は、約10分間隔から最大約1時間ごとの間隔である。当業者が理解するように、コンタクトレンズの取外し後の測定に関する好適な時間間隔は、目によって、コンタクトレンズによって、または患者によって変動し得る。
[0234]
いくつかの実施形態によると、選択に好適なコンタクトレンズは、コンタクトレンズの滴下時最初、検出された正常な涙膜の物理的挙動をもたらし、その後、経時的に継続するもの、またはいくつかの実施形態において、コンタクトレンズ(複数も可)のフィッティング前から検出された涙膜の物理的挙動に変化をもたらさないものである。
[0235]
いくつかの実施形態において、選択に好適ではないコンタクトレンズは、検出された涙膜の物理的挙動が、滴下後最初は、正常な涙膜の正常な形成を示すことを可能にせず、検出された涙膜の物理的挙動が、経時的に完全な涙膜または部分的な涙膜のいずれかを示すことを可能にするものである。
[0236]
追加の実施形態において、選択に更に好適でないコンタクトレンズは、検出された涙膜の物理的挙動が、最初は正常に現れ、経時的に悪化する結果をもたらすものである。好適かつ代替的な実施形態は、悪化の発生が相対的に早いほど、コンタクトレンズが選択のために好適ではないことを開示する。
[0237]
また更に追加の実施形態において、選択に最も好適でないコンタクトレンズは、それに関して検出された涙膜の物理的挙動が、最初に乱れて現れ、経時的に乱れたままであるものである。
[0238]
いくつかの好適かつ代替的な実施形態において、概説された方法ステップは、好適なコンタクトレンズの選択を実現するコンタクトレンズのブランドを確立するために、様々なコンタクトレンズに対して繰り返される。いくつかの実施形態において、各目に異なるブランドのコンタクトレンズが好適である。
[0239]
加えて、好適な実施形態において、検出された涙膜の物理的挙動へのコンタクトレンズ装用による長期的影響(たとえば数か月〜数年)もまた監視および/または考慮される。いくつかのそのような実施形態において、これは、最初のフィッティングおよび選択プロセス中に生成された涙膜のデータセット(複数も可)を比較することによって実現され得る。
[0240]
当業者に理解されるように、幅広く説明された本発明の主旨または範囲から逸脱することなく、特定の実施形態で示された本発明に、数々の変形例および/または修正例が生み出され得る。したがって本発明の実施形態は、全ての点において例示的であり、限定的ではないものと考えるべきである。
[0241]
留意すべき点として、本明細書の説明および特許請求の範囲を通して、「備える」という言葉およびたとえば「備えている」および三人称の「備える」などその言葉の変化形は、他の変形例または追加の構成要素、整数値、またはステップを除外することが意図されたものではない。本発明に対する修正および改善は、当業者には容易に明らかとなる。そのような修正および改善は、本発明の範囲内であることが意図される。

Claims

[1]
被験者の目において検出された涙膜の物理的挙動または涙膜の欠如に基づいて、前記被験者の眼症状を診断し、または眼症状に関する治療計画を展開または監視する方法であって、
a.前記被験者の目から、少なくとも第1の捕捉データセットを捕捉するステップと、
b.前記少なくとも第1の捕捉データセットを分析し、それによって前記涙膜の物理的挙動を検出するステップと、
c.前記検出された前記涙膜の物理的挙動に基づいて、前記眼症状を診断し、または前記眼症状に関する治療計画を展開または監視するステップと
を備える方法。
[2]
被験者の目において検出された涙膜の物理的挙動または涙膜の欠如に基づいて、前記被験者の眼症状を診断し、または眼症状に関する治療計画を展開または監視する方法であって、
a.前記被験者の目から、少なくとも第1の捕捉データセットを捕捉するステップと、
b.少なくとも第1の比較データセットを識別するステップと、
c.前記少なくとも第1の比較データセットに対して前記少なくとも第1の捕捉データセットを分析し、それによって前記涙膜の物理的挙動を検出するステップと、
d.前記検出された前記涙膜の物理的挙動に基づいて、前記眼症状を診断し、または前記眼症状に関する治療計画を展開または監視するステップと
を備える方法。
[3]
前記検出された物理的挙動は、形状、サイズ、および位置から成るグループから選択された、前記涙膜の1または複数の特性または涙膜の欠如によって定義される、請求項1または2に記載の方法。
[4]
前記物理的挙動の検出は、巨視的なレベルで実現される、請求項2または3に記載の方法。
[5]
前記捕捉するステップは、観察すること、監視すること、および/または記録することから成るグループから選択された1または複数のモードによって実現される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
[6]
前記第1の捕捉データセットは、第1の所定の時間に、および/または所定の期間または複数の所定の時間にわたり識別された、前記被験者の目において検出された涙膜の物理的挙動または涙膜の欠如を示すデータを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
[7]
検出された物理的挙動を識別するための前記第1の所定の時間は、前記捕捉するステップの開始後の約1×10 −2〜約2×10 −1秒である、請求項6に記載の方法。
[8]
前記捕捉するステップは、少なくとも第2の捕捉データセットを更に含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
[9]
前記第2の捕捉データセットは、第2の所定の時間および/または追加の複数の所定の時間に識別された、前記被験者の目において検出された涙膜の物理的挙動または涙膜の欠如を示すデータを含む、請求項8に記載の方法。
[10]
検出された物理的挙動を識別するための前記第2の所定の時間は、前記第1の所定の時間の後の約2×10 −2〜約2×10 −1秒である、請求項9に記載の方法。
[11]
検出された物理的挙動を識別するための前記第2の所定の時間は、前記第1の所定の時間の後の約6か月〜約1年である、請求項9に記載の方法。
[12]
前記追加の複数の所定の時間は、前記第2の所定の時間の後、月1回、年4回、または年1回発生する、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
[13]
前記第1の捕捉データセットまたは1または複数の追加の捕捉データセット(複数も可)は、所定の期間にわたり識別された、前記被験者の目において検出された涙膜の物理的挙動または涙膜の欠如を示すデータを含み、この期間は、前記捕捉するステップの開始後、約0.00〜約1.00秒、約0.00〜約3.00秒、約0.00〜約6.00秒、約0.00〜約10.00秒、約0.00〜約15.00秒、約0.00〜約30.00秒、約1.00〜約7.00秒、約3.00〜約12.00秒、および約6.00〜約20.00秒から成るグループから選択される、請求項6〜12のいずれか1項に記載の方法。
[14]
前記所定の期間は、前記被験者が前記目の開眼状態を維持できる時間の長さである、請求項13に記載の方法。
[15]
前記捕捉するステップは、前記目のまばたきの後、約0.00〜1×10 −2秒の間に開始する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
[16]
前記まばたきは、自然の自発的なまばたき、強いまばたき、および中間レベルの力を用いるまばたきから成るグループから選択される、請求項15に記載の方法。
[17]
前記識別するステップは、少なくとも所定の知識ベースから参照すること、ならびに/または所定の情報源から観察すること、監視すること、測定すること、および/もしくは記録することによって実現される、請求項2〜16のいずれか1項に記載の方法。
[18]
前記所定の知識ベースは、被験者の目において検出された涙膜の物理的挙動または涙膜の欠如に関連する、人間の訓練、研究、および/または経験に基づく情報を含み、この人間は、前記被験者の眼症状の診断または眼症状に関する治療計画の展開または監視を請け負っている、請求項17に記載の方法。
[19]
前記所定の情報源は、
a.任意の第2の追加の捕捉データセット、および/または
b.前記被験者または他の被験者の目において検出された涙膜の物理的挙動または涙膜の欠如に関連する写真、映像素材、医療または科学的撮像、および/または図から成るグループ内の1または複数のデータセット
から成るグループ内の1または複数のデータセットを含む、請求項17または18に記載の方法。
[20]
前記分析するステップは、診断特性の少なくとも第1のセットを識別するために、前記少なくとも第1の比較データセットに対して前記少なくとも第1の捕捉データセットを評価することを含む、請求項1〜19のいずれか1または複数の項に記載の方法。
[21]
前記診断特性の少なくとも第1のセットは、起こり得る眼症状の有無、起こり得る眼症状の鑑別診断、眼装具の相対的適合性、治療計画の相対的効能、および/または現在の治療計画を維持、変更、もしくは中止することの相対的メリットから成るグループから選択される、請求項20に記載の方法。
[22]
前記眼症状を診断するステップは、前記診断特性の少なくとも第1のセットに基づいて診断を行うことを含む、請求項20または21に記載の方法。
[23]
前記被験者の眼症状に関する治療計画を展開または監視するステップは、前記診断特性の少なくとも第1のセットに基づいて前記治療計画を展開または監視することを含む、請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。
[24]
前記眼装具は、眼装置またはコンタクトレンズであり、治療計画を展開または監視することは、前記被験者の片目または両目用コンタクトレンズの様々な作り/モデルを試行することを含む、請求項21〜23のいずれか1項に記載の方法。
[25]
リアルタイムで行われる、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
[26]
前記捕捉するステップは、ビデオカメラを用いて前記少なくとも第1の捕捉データセットを捕捉することを含む、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
[27]
前記ビデオカメラは、赤外感光性である、請求項26に記載の方法。
[28]
前記眼症状は、ドライアイ症候群、房水欠乏ドライアイ、蒸発性ドライアイ、乾性角結膜炎、円錐角膜、マイボーム腺障害、涙管障害、シェーグレン症候群、角膜瘢痕、ベーチェット病、正常な涙膜、不完全なまばたき、リウマチ性関節炎に関連する眼病、結合組織障害に関連する眼病、涙管の永続的または一時的閉鎖、および美容変異から成るグループ内の1または複数の眼症状から選択される、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
[29]
前記赤外感光性カメラは、
a.約1.5μm〜約14μmの範囲内の赤外波長を検出する手段と、
b.10Hzを超えるフレームレートデータを記録する手段と、
c.35μm以下のピッチ分解能を設定する手段と、
d.約320×240画素を超える空間分解能でスペクトル応答データを検出する手段と、
e.前記被験者の目の涙膜の成分間の放射率の差が観察可能な形式で描写されるように、波長データ、フレームレートデータ、ピッチ分解能、および空間分解能データを解釈するように適合されたソフトウェアプログラムと
を備える、請求項27または28に記載の方法。
[30]
被験者のためのコンタクトレンズを選択する方法であって、
a.前記被験者の第1の目から、前記第1の目において検出された涙膜の物理的挙動を含む第1の捕捉データセットを捕捉することと、
b.第1の試験コンタクトレンズを識別し、前記第1の試験コンタクトレンズを前記第1の目に滴下することと、
c.所定のまたは好適な第1の期間後、前記第1の目から、前記第1の試験コンタクトレンズが滴下された前記第1の目の前記涙膜の検出された物理的挙動を含む第2の捕捉データセットを捕捉することと、
d.前記第1の捕捉データセットおよび/または比較データセットに対して前記第2の捕捉データセットを分析することと、
e.前記被験者のための前記コンタクトレンズとして選択されるための前記第1の試験コンタクトレンズの相対的適合性を評価することと
を備える方法。
[31]
所定のまたは好適な第2の期間後、前記第1の目から、前記第1の試験コンタクトレンズが滴下期間後に取り外された後の前記第1の目の前記涙膜の検出された物理的挙動を含む第3の捕捉データセットを捕捉することを更に含む、請求項30に記載の方法。
[32]
所定のまたは好適な第1の期間は、前記第1の試験コンタクトレンズの滴下の直後に開始し、最初の流涙が治まった後終了する、請求項30または31に記載の方法。
[33]
前記所定のまたは好適な第1の期間は、少なくとも約3〜約5分である、請求項32に記載の方法。
[34]
前記所定のまたは好適な第1の期間は、約30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、24時間、またはそれ以上から選択される、請求項30または31に記載の方法。
[35]
対応する第1の試験コンタクトレンズおよび/または異なる試験コンタクトレンズを用いて前記被験者の第2の目に対して行われる、請求項30〜34のいずれか1項に記載の方法。
[36]
第2の試験コンタクトレンズに対して繰り返される、請求項30〜35のいずれか1項に記載の方法。
[37]
1または複数の追加の試験コンタクトレンズに対して繰り返される、請求項36に記載の方法。
[38]
対応する第2の試験コンタクトレンズまたは追加の異なるコンタクトレンズに対して繰り返される、請求項35または36に記載の方法。
[39]
前記被験者の両目に同時またはほぼ同時に行われる、請求項30〜38のいずれか1項に記載の方法。
[40]
選択に適したコンタクトレンズは、その取外しにより、前記検出された涙膜の物理的挙動が、正常な涙膜の瞬時の復元とほぼ一致する検出された物理的挙動を示すことを可能にするものである、請求項31〜39のいずれか1項に記載の方法。
[41]
選択に適したコンタクトレンズは、その取外しにより、前記検出された前記涙膜の物理的挙動が、ほぼ乱されず、または少ししか乱されず、比較的短い期間内に正常に復元することを可能にするものである、請求項31〜39のいずれか1項に記載の方法。
[42]
前記比較的短い期間は、約3分未満である、請求項41に記載の方法。
[43]
前記装着時間は、約10分〜約1時間以上である、請求項31〜42のいずれか1項に記載の方法。
[44]
選択に適したコンタクトレンズは、前記コンタクトレンズの滴下時最初、正常な涙膜の検出された物理的挙動をもたらし、その後、経時的に継続するもの、または、前記コンタクトレンズのフィッティング前から前記涙膜の前記検出された物理的挙動に変化をもたらさないものである、請求項30〜43のいずれか1項に記載の方法。
[45]
選択に好適ではないコンタクトレンズは、前記検出された前記涙膜の物理的挙動が、滴下後最初は正常な涙膜の正常な形成を示すことを可能にしないが、前記検出された前記涙膜の物理的挙動が、経時的に完全または部分的な涙膜形成のいずれかを示すことを可能にするものである、請求項30〜39のいずれか1項に記載の方法。
[46]
選択から除外されることが好適なコンタクトレンズは、前記検出された涙膜の物理的挙動が、最初は正常に現れ、その後、経時的に悪化するという結果をもたらすものである、請求項30〜39のいずれか1項に記載の方法。
[47]
選択から除外されることが好適なコンタクトレンズは、それに関して前記検出された涙膜の物理的挙動が、最初に乱れて現れ、経時的に乱れたままであるものである、請求項30〜39のいずれか1項に記載の方法。
[48]
被験者のためのコンタクトレンズを選択するために複数の試験コンタクトレンズに対して繰り返される、請求項30〜47のいずれか1項に記載の方法。
[49]
被験者のための対応するコンタクトレンズおよび/または追加の異なるコンタクトレンズを選択するために、複数の対応する試験コンタクトレンズおよび/または複数の追加の様々なコンタクトレンズに対して繰り返される、請求項35〜48のいずれか1項に記載の方法。
[50]
請求項30〜49のいずれか1項に記載の方法に従って選択されたコンタクトレンズ。

Drawings

[ Fig. 1]

[ Fig. 2]

[ Fig. 3]

[ Fig. 4]

[ Fig. 5]

[ Fig. 6]

[ Fig. 7]

[ Fig. 8]

[ Fig. 9]

[ Fig. 10]

[ Fig. 11]

[ Fig. 12]

[ Fig. 13]

[ Fig. 14]

[ Fig. 15]

[ Fig. 16]

[ Fig. 17]

[ Fig. 18]

[ Fig. 19]

[ Fig. 20]

[ Fig. 21]

[ Fig. 22]

[ Fig. 23]

[ Fig. 24]

20201202A16333全文3

Claims

[1]
被験者の目の涙膜の物理的挙動を検出する方法であって、
a.少なくとも第1の捕捉データセット を生成するために、前記涙膜の画像を捕捉するステップと、
b.前記少なくとも第1の捕捉データセットを分析 するステップと、
c. 前記少なくとも第1の捕捉データセットから前記涙膜の物理的挙動を検出するステップと を備え、
前記検出された物理的挙動は、被験者の眼症状を診断し、または前記眼症状に関する治療計画を展開または監視するのに役立つ、方法。
[2]
被験者の目の涙膜の物理的挙動を検出する方法であって、
a.少なくとも第1の捕捉データセット を生成するために、前記涙膜の画像を捕捉するステップと、
b.少なくとも第1の比較データセットを識別するステップと、
c.前記少なくとも第1の比較データセットに対して前記少なくとも第1の捕捉データセットを分析 するステップと、
d.前記涙膜の物理的挙動を検出するステップと を備え、
前記検出された物理的挙動は、被験者の眼症状を診断し、または前記眼症状に関する治療計画を展開または監視するのに役立つ、方法。
[3]
前記検出された物理的挙動は、形状、サイズ、および位置から成るグループから選択された、前記涙膜の1または複数の特性または涙膜の欠如によって定義される、請求項1または2に記載の方法。
[4]
前記捕捉するステップは、観察すること、監視すること、および/または記録することから成るグループから選択された1または複数のモードによって実現される、請求項1 〜3のいずれか1項に記載の方法。
[5]
前記第1の捕捉データセットは、第1の所定の時間に、および/または所定の期間または複数の所定の時間にわたり識別された、前記被験者の目において検出された涙膜の物理的挙動または涙膜の欠如を示すデータを含む、請求項1 〜4のいずれか1項に記載の方法。
[6]
検出された物理的挙動を識別するための前記第1の所定の時間は、前記捕捉するステップの開始後の約1×10 −2〜約2×10 −1秒である、 請求項5に記載の方法。
[7]
前記捕捉するステップは、少なくとも第2の捕捉データセットを更に含む、請求項1 〜6のいずれか1項に記載の方法。
[8]
前記第2の捕捉データセットは、第2の所定の時間および/または追加の複数の所定の時間に識別された、前記被験者の目において検出された涙膜の物理的挙動または涙膜の欠如を示すデータを含む、 請求項7に記載の方法。
[9]
前記捕捉するステップは、前記目のまばたきの後、約0.00〜1×10 −2秒の間に開始する、請求項1 〜8のいずれか1項に記載の方法。
[10]
前記識別するステップは、少なくとも所定の知識ベースから参照すること、ならびに/または所定の情報源から観察すること、監視すること、測定すること、および/もしくは記録することによって実現される、請求項2 〜9のいずれか1項に記載の方法。
[11]
前記分析するステップは、診断特性の少なくとも第1のセットを識別するために、前記少なくとも第1の比較データセットに対して前記少なくとも第1の捕捉データセットを評価することを含む、請求項1 〜10のいずれか1または複数の項に記載の方法。
[12]
前記診断特性の少なくとも第1のセットは、起こり得る眼症状の有無、起こり得る眼症状の鑑別診断、眼装具の相対的適合性、治療計画の相対的効能、および/または現在の治療計画を維持、変更、もしくは中止することの相対的メリットから成るグループから選択される、 請求項11に記載の方法。
[13]
前記被験者の眼症状に関する治療計画を展開または監視するステップは、前記診断特性の少なくとも第1のセットに基づいて前記治療計画を展開または監視することを含む、 請求項11〜12のいずれか1項に記載の方法。
[14]
前記眼症状は、ドライアイ症候群、房水欠乏ドライアイ、蒸発性ドライアイ、乾性角結膜炎、円錐角膜、マイボーム腺障害、涙管障害、シェーグレン症候群、角膜瘢痕、ベーチェット病、正常な涙膜、不完全なまばたき、リウマチ性関節炎に関連する眼病、結合組織障害に関連する眼病、涙管の永続的または一時的閉鎖、および美容変異から成るグループ内の1または複数の眼症状から選択される、請求項1 〜13のいずれか1項に記載の方法。
[15]
被験者のためのコンタクトレンズを選択する方法であって、
a.前記被験者の第1の目から、前記第1の目において検出された涙膜の物理的挙動を含む第1の捕捉データセットを捕捉することと、
b.第1の試験コンタクトレンズを識別し、前記第1の試験コンタクトレンズを前記第1の目に滴下することと、
c.所定のまたは好適な第1の期間後、前記第1の目から、前記第1の試験コンタクトレンズが滴下された前記第1の目の前記涙膜の検出された物理的挙動を含む第2の捕捉データセットを捕捉することと、
d.前記第1の捕捉データセットおよび/または比較データセットに対して前記第2の捕捉データセットを分析することと、
e.前記被験者のための前記コンタクトレンズとして選択されるための前記第1の試験コンタクトレンズの相対的適合性を評価することと
を備える方法。