WIPO logo
Mobile | Deutsch | English | Español | 日本語 | 한국어 | Português | Русский | 中文 | العربية |
PATENTSCOPE

Recherche dans les collections de brevets nationales et internationales
World Intellectual Property Organization
Recherche
 
Options de navigation
 
Traduction
 
Options
 
Quoi de neuf
 
Connexion
 
Aide
 
maximize
Traduction automatique
1. (WO2016152731) DISPOSITIF D’EMBALLAGE DE PORTION DE MÉDICAMENT
Document

明 細 書

発明の名称 薬剤分包装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095  

発明の効果

0096  

図面の簡単な説明

0097  

発明を実施するための形態

0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244   0245   0246   0247   0248   0249   0250   0251   0252   0253   0254   0255   0256   0257   0258   0259   0260   0261   0262   0263   0264   0265   0266   0267   0268   0269  

産業上の利用可能性

0270  

符号の説明

0271  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27   28   29   30   31   32   33  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27   28   29   30   31  

明 細 書

発明の名称 : 薬剤分包装置

技術分野

[0001]
 本発明は、薬剤の分包に用いる分包紙への印刷が可能な薬剤分包装置に関する。

背景技術

[0002]
 従来、下記特許文献1に開示されている薬剤分包装置のように、分包紙への印刷が可能とされたものが提供されている。この種の薬剤分包装置の多くにおいては、印刷部として、いわゆるインクリボンを用いた熱転写方式のプリンターが用いられており、印刷用のヘッドを分包紙に対して直接接触させて印刷を行っている。また、従来技術においては、分包紙への印刷が黒色などの単一色で施されている。
[0003]
 また、例えば上述のようなインクリボンを用いた熱転写方式のプリンターを採用した場合は、印刷に用いようとする色数分のインクリボンを設ける必要がある。仮に4色のインクリボンを用いた場合は、各配色のインクリボンを設けた位置以外に、その色で印刷を行うことができない。そのため、分包紙への印字項目の自由なレイアウトや印字色の配色ができず、患者等への注意喚起表示や服用日時、薬剤名称等、情報伝達のための印字方法が制限されていた。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2005-342527号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 ここで、本発明者らが鋭意検討したところ、印刷部としてインクを噴射して印刷する、いわゆるインクジェット方式のものを採用すれば、容易に多色印刷や印刷項目の自由なレイアウトを施せるのではないかとの知見に至った。その一方で、インクジェット方式のプリンターを印刷部に採用した場合には、上述した熱転写方式のプリンターを採用した場合とは異なり、ヘッドをなすインクを射出する部分(インク射出部)から分包紙が離れた位置に配置される。そのため、高い印刷品質を得るためには、インク射出部から所定距離だけ離れた位置において分包紙を略真っ直ぐに保持するための支持台のようなものが必要になる。
[0006]
 しかしながら、薬剤分包装置の内部構造が複雑であることや、装置全体のコンパクト化が求められる状況においては、分包紙を支持するための支持台等を設けるだけのスペースを十分に確保しにくい。また、インクジェット方式のプリンタは、インクを射出するものであるため、インクを略水平方向に噴射するように印刷部を配置することができない。そのため、インクを噴射して印刷するタイプの印刷部を設ける場合には、印刷部の設置姿勢にも制約が加わる。
[0007]
 そこで本発明は、インクを噴射して印刷する印刷部を設けつつ、分包紙の支持台等を設けることなく高品質な印刷品質で分包紙への印刷が可能な薬剤分包装置の提供を目的とした。

課題を解決するための手段

[0008]
 上述した課題を解決すべく提供される本発明の薬剤分包装置は、処方にあわせて薬剤を供給可能な薬剤供給部と、前記薬剤供給部から供給された薬剤を分包する包装部と、前記包装部に向けて所定の搬送経路により所定の張力を作用させた状態で分包紙を搬送する分包紙搬送部と、前記分包紙に所定の情報を印刷可能な印刷部とを有し、前記印刷部が、インクを射出可能とされたインク射出部を有し、前記搬送経路が、前記インクの射出方向に対して交差する方向に分包紙を搬送する交差方向搬送部と、前記交差方向搬送部に対して前記分包紙の搬送方向上流側において前記分包紙の搬送方向を変化させる第一搬送方向切替部と、前記交差方向搬送部に対して前記分包紙の搬送方向下流側において前記分包紙の搬送方向を変化させる第二搬送方向切替部とを有し、前記交差方向搬送部に対して上方に所定距離だけ離れた位置に前記インク射出部が配置されたものである。
[0009]
 本発明の薬剤分包装置においては、分包紙搬送部による分包紙の搬送経路の中途に、インクの射出方向に対して交差する方向に分包紙が搬送される交差方向搬送部があり、この上方にインク射出部が設けられている。また、分包紙の搬送経路は、交差方向搬送部に対して上流側に位置する第一搬送方向切替部、及び下流側に位置する第二搬送方向切替部において分包紙の搬送方向が変化するように形成されている。そのため、第一搬送方向切替部、及び第二搬送方向切替部が分包紙を支持するための支点として機能し、両者の中間に位置する交差方向搬送部において分包紙に一定の張力が作用した状態となり、支持台等を設ける必要がない。従って、本発明の薬剤分包装置においては、装置構成を簡素なものとしつつ、高い印刷品質で分包紙に対して印刷することが可能となる。
[0010]
 上記本発明の薬剤分包装置は、前記交差方向搬送部において前記分包紙に対して張力が作用するように前記分包紙を付勢する付勢部を有するものであることが望ましい。
[0011]
 かかる構成によれば、交差方向搬送部において分包紙に対してさらに確実に張力を作用させ、張り詰めた状態にある分包紙に対してインクを射出して印刷を施すことが可能となる。さらに、第一搬送方向切替部と第二搬送方向切替部との間で分包紙が略水平に形成されており、分包紙の上方に位置するインク射出部から下方に向かってインクを射出することができる。そのため、分包紙への安定したインク乗りが実現される。これにより、より一層分包紙への印刷品質を向上させうる。
[0012]
 上記本発明の薬剤分包装置は、前記付勢部が、第一搬送方向切替部よりも搬送方向上流側に位置することが望ましい。
[0013]
 かかる構成とすることで、分包紙を撓みなく張り詰めた状態とするために適切な張力を作用させうる。
[0014]
 上記本発明の薬剤分包装置は、前記分包紙搬送経路において前記分包紙に当接する搬送ローラを有し、前記搬送ローラが、前記分包紙の搬送方向と交差する方向に軸線方向が向くように配置されており、軸線方向中間部の外径が両端部の外径よりも小さいものであることが好ましい。
[0015]
 かかる構成によれば、分包紙の搬送方向と交差する方向(幅方向)の両端部において搬送ローラが分包紙に接触し、幅方向中間部においては搬送ローラと分包紙との接触を抑制できる。そのため、交差方向搬送部に対して下流側の搬送ローラを上述した構成とすれば、幅方向中間部に施された印刷と搬送ローラとが接触することにより生じるインクの延びやニジミ等の品質低下を抑制する効果や、分包紙に射出されたインクの乾燥促進効果が期待できる。また、交差方向搬送部に対して上流側の搬送ローラを上述した構成とすれば、搬送ローラとの接触により印刷品質の低下の原因となる皺等が幅方向中間部の印刷領域に形成されるのを抑制できる。従って、搬送ローラを上述した構成とすることで、分包紙への印刷品質を一層向上しうる。
[0016]
 上記本発明の薬剤分包装置は、前記インク射出部が、前記分包紙搬送部による前記分包紙の搬送方向と交差する方向に配列されている複数のノズルからなるラインノズル列を具備したものであっても良い。
[0017]
 かかる構成によれば、分包紙への印刷をより一層高速化することができる。
[0018]
 上記本発明の薬剤分包装置は、処方情報が入力される処方情報入力部と、薬剤の画像を蓄積した薬剤画像データベースと、前記印刷部の制御を行う印刷制御部とを有し、前記印刷制御部により、前記処方情報に基づいて分包対象である薬剤の画像が前記薬剤画像データベースから選択され、選択された薬剤の画像を前記分包紙に印刷するように前記印刷部が制御されるものであっても良い。
[0019]
 本発明の薬剤分包装置では、処方情報に基づいて分包紙に分包すべき薬剤の画像が分包紙に印刷されるため、印刷された薬剤の画像と、実際に分包紙に分包されている薬剤とを比較することにより正確に分包されているかを確認することができる。従って、本発明の薬剤分包装置によれば、分包袋に印刷された情報を目視による鑑査に有効利用できる。
[0020]
 上記本発明の薬剤分包装置は、処方情報が入力される処方情報入力部と、患者の色覚異常の有無に係る色覚情報が入力される色覚情報入力部と、前記印刷部の制御を行う印刷制御部とを有し、前記印刷制御部により、前記色覚情報に基づいて分包対象である薬剤が色覚異常を有する患者の処方であるか否かの判定がなされ、色覚異常を有する患者の処方である場合に当該患者が識別困難な色を除く色により前記分包紙に印刷するように前記印刷部が制御されるものであっても良い。
[0021]
 かかる構成によれば、色覚異常を有する患者であっても分包紙に印刷された情報を容易にかつ間違いなく識別が可能となる。
[0022]
 なお、色覚異常を有する患者については、個人により識別可能な色が異なる。そのため、色覚異常を有する患者の処方については、患者毎に識別可能な色で印刷するようにしても良いが、この場合は印刷に要する制御が複雑化してしまう。そのため、色覚異常を有する患者の処方については、白黒あるいはグレースケールで一律に印刷することとしても良い。これにより、色覚異常を有する患者であっても印刷内容を把握可能となると共に、印刷に要する制御や構成を簡素化できる。
[0023]
 ここで、分包紙Sに印刷する印刷項目は、処方データに基づいて上述した薬剤画像の他、患者氏名、服用日時等多岐に亘る情報を印刷することができる。これらの情報は、病院や薬局等の医療機関で用いられているデータベースと連動し、運用されることが望ましい。具体的には、患者情報を登録した患者マスタ、病棟情報を登録した病棟マスタ、医師や薬剤師等など薬剤分包装置の利用者に関する情報を登録した利用者マスタ、施設情報を登録した施設マスタ、施設服用時期マスタ、施設入居者マスタなどの、医療機関や施設等で用いられる各種データベースを記録して用いることができる。
[0024]
 ここで、複数の病棟フロアに亘る複数患者に処方された薬剤を分包した場合、看護師や薬剤師が薬剤分包後病棟フロアごとに前記分包袋の振り分けを行う。病棟フロアごとに、あらかじめ指定した印字色に従って分包袋に印刷を行えば、看護師や薬剤師等が印字色に従って病棟フロアごとに分包袋を振り分けることができ、利便性が向上する。
[0025]
 かかる知見に基づいて提供される本発明の薬剤分包装置は、処方情報が入力される処方情報入力部と、医療機関における病棟に関する病棟情報が蓄積される病棟情報データベースと、前記印刷部の制御を行う印刷制御部とを有し、前記印刷制御部により、前記処方情報に基づいて分包対象である薬剤が処方されている患者に関する前記病棟情報が特定され、前記病棟情報毎に予め設定された病棟情報特定色により印刷情報を印刷するように前記印刷部が制御されるものである。
[0026]
 かかる構成とすることにより、薬剤師等が分包袋を病棟フロアに振り分ける際に、振り分けが容易となり、振り分けミスや投薬ミスを減少する効果が期待される。
[0027]
 本発明の薬剤分包装置は、処方情報が入力される処方情報入力部と、施設に関する施設情報が蓄積される施設情報データベースと、前記印刷部の制御を行う印刷制御部とを有し、前記印刷制御部により、前記処方情報に基づいて分包対象である薬剤が処方されている患者に関する前記施設情報が特定され、前記施設情報毎に予め設定された施設情報特定色により印刷情報を印刷するように前記印刷部が制御されるものである。
[0028]
 かかる構成によれば、施設に応じて設定された施設情報特定色により分包紙への印刷を行うことができる。これにより、分包紙に施された印刷の色彩に基づいて分包袋を振り分けるといった運用が可能となり、投薬ミスを最小限に抑制できる。
[0029]
 本発明の薬剤分包装置は、患者に関する患者情報が蓄積される患者情報データベースと、施設に関する施設情報が蓄積される施設情報データベースと、施設入居者に関する情報が蓄積される施設入居者情報データベースと、前記印刷部の制御を行う印刷制御部とを有し、前記患者情報、前記施設入居者情報及び前記施設情報が関連づけられており、前記処方情報に基づいて分包対象である薬剤が処方されている患者に関する前記患者情報又は施設入居者に関する施設入居者情報が特定され、特定された前記患者情報又は施設入居者情報に関連づけられた前記施設情報が特定され、前記施設情報毎に予め設定された施設情報特定色により印刷情報を印刷するように前記印刷部が制御されるものである。
[0030]
 かかる構成によれば、複数の患者又は施設入居者についての薬剤の分包に際し、施設に割り当てられた印字色を選定して設定する手間が省ける。すなわち、上述した施設入居者情報データベース又は患者情報データベースから薬剤が処方されている施設入居者又は患者情報を選択すると、患者又は施設入居者を担当する施設に割り当てられた施設情報特定色が特定され、この色で印字するように印刷制御がなされる。その結果、分包のたびに患者や施設入居者がどの施設に属しているのかを確認して印刷色を個別設定する必要がなくなり、印字色設定時における人為的なミスを抑制できる。
[0031]
 本発明の薬剤分包装置は、印刷項目の印刷を、カラー画像で行うのか、モノクロ画像で行うのかを選択可能なものである。
[0032]
 かかる構成とすることで、ユーザーの要望に応じて印刷項目の印刷方法を適宜選択可能となり、利便性が向上する。
[0033]
 本発明の薬剤分包装置は、前記印刷部の制御を行う印刷制御部を有し、前記印刷制御部による制御の下、分包紙への印刷を輪郭線の印刷濃度に対し、前記輪郭線によって囲まれた領域の印刷濃度が低くなるように印刷する中抜き印刷を実施可能なものである。
[0034]
 かかる構成とした場合、中抜き印刷を実施することによりインクの消耗を抑制し、インク使用量を節約することができる。
[0035]
 本発明の薬剤分包装置は、前記印刷部に準備されているインクの残量と、分包数量との関係に基づきインクの減少傾向を示す減少傾向指数を導出し、インクの残量が所定量まで減少することを条件として、前記減少傾向指数に基づき残存しているインクにより印刷可能な包数を導出可能なものである。
[0036]
 かかる構成によれば、実際に分包した分包数量とインクの減少量との関係から導出された現象傾向指数を用い、インクの残量が一定値まで減少した時点で残りのインクで印刷可能な包数を予測できる。
[0037]
 本発明の薬剤分包装置は、先の分包処理で最後に形成される最終包への印刷と、後の分包処理において最初に形成される先頭包への印刷との間に、前記印刷部をメンテナンスするためのメンテナンス動作が実行されるものである。
[0038]
 かかる構成とすることで、メンテナンス動作のために分包動作が中断することを回避し、効率的に分包動作を実行させることができる。
[0039]
 本発明の薬剤分包装置は、前記分包紙への印刷が行われた後、次に印刷が行われるまでの間に、前記インク射出部の乾燥を抑制するための乾燥抑制動作を実施可能なものである。
[0040]
 かかる構成によれば、分包紙への印刷の合間にインク射出部が乾燥するのを防止できる。これにより、インクの射出不良に伴う印刷不良の発生を最小限に抑制できる。
[0041]
 ここで、多くの薬剤分包装置においては、分包紙をロール状に巻き付けたもの(紙管)をセット可能なロールセット部が設けられており、分包紙を巻きほどきつつ供給可能とされている。ロールセット部にはモータ等からなる制動部が設けられており、制動部を作動させることにより紙管に作用する制動力(紙管抵抗)を調整し、分包紙の供給状態を制御できる。
[0042]
 上記したような構成の薬剤分包装置において分包品質や印字品質を高く保つためには、印刷を施すべく分包紙を停止させた状態において、適切な張力を作用させた状態で分包紙を保持可能とすることが望ましい。具体的には、分包紙に対して過度に大きな張力を作用させてしまうと、分包紙にシワ(ダーツ)が発生したり、袋サイズが縮む等して分包品質に問題が生じる懸念がある。一方、分包紙に対して作用させる張力が不足していると、印刷不良の問題が生じるだけでなく、分包紙を袋状に成形して分包袋とする際の成形精度が悪化し、分包品質が低下してしまうといった問題が生じる懸念もある。
[0043]
 このような問題に対処するためには、分包紙の紙送りを停止すべきタイミングでタイムラグなく紙管の回転を停止させることが望ましい。すなわち、紙管を回転停止させるために必要な大きさの制動力(紙管抵抗)が作用するまでにタイムラグが発生すると、そのタイムラグの間に紙管が惰性によって回転してしまい、分包紙に弛みが生じる要因となる。しかしながら、従来技術においては、ロールセット部の制動部に作用させる印加電圧をPWM方式で制御しており、印加電圧を急激に変更できない。そのため、従来技術においては、惰性による紙管の回転を抑制することが困難であった。
[0044]
 かかる知見に基づいて本発明者が鋭意検討した結果、上述した紙管抵抗をアナログ出力方式による制御を採用することとすれば、アナログ信号のオン、オフを行うことによりタイムラグが殆ど生じることなく、リアルタイムに紙管に作用する制動力を制御できるとの知見を得た。
[0045]
 上述した知見に基づいて提供される本発明の薬剤分包装置は、前記分包紙をロール状に巻き付けた紙管を前記分包紙を巻ほどし可能なようにセットするロールセット部と、前記紙管に対して制動力を作用させる制動部と、前記制動部への印加電力をアナログ制御可能な制動制御部とを備えたものである。
[0046]
 かかる構成によれば、ロールセット部にセットされた紙管に対して十分な制動力(紙管抵抗)が作用するまでに要するタイムラグを最小限に抑制できる。これにより、分包紙の紙送りを停止した際に紙管が惰性で回転して余分な分包紙が送り出されるのを抑制でき、分包紙が弛むことが原因で生じる印刷不良を回避することができる。また、紙送り動作中においては、紙管抵抗を低くして比較的弱い張力で分包紙を搬送し、分包紙のシール時にシワや耳ズレが発生することを抑制することができる。これらにより、分包品質及び印字品質のいずれについても、良好な品質を実現し得る。
[0047]
 また、上述した本発明の薬剤分包装置は、前記ロールセット部が、前記印刷部に対して前記分包紙の搬送方向上流側に配置され、前記包装部が、前記印刷部に対して前記分包紙の搬送方向下流側に配置されており、前記包装部に設けられた駆動部を作動させることにより、前記分包紙に対して前記搬送方向への搬送力を作用させることができ、前記駆動部の駆動及び停止に連動して前記制動部が作動するものであることが望ましい。
[0048]
 かかる構成によれば、分包紙の紙送り開始及び紙送り停止の動作とのタイムラグを抑制しつつ、紙管抵抗を制御することができる。これにより、紙送りの停止時、及び紙送り動作中のいずれにおいても分包紙を弛ませることなく、適正な紙管抵抗を作用させることができる。従って、本発明によれば、分包品質及び印字品質のいずれについても、さらなる高品質化を実現し得る。
[0049]
 本発明の薬剤分包装置は、前記分包紙として、基材となるシート状素材の表面に、インクを受容するための受容層を設けたものが用いられることを特徴とするものである。
[0050]
 かかる構成によれば、インクの乗りや発色等の面においても高品質なものとすることができる。
[0051]
 ここで、従来の薬剤分包装置を用いて薬剤を分包する場合、薬剤の性質や1包分の薬剤量等の理由により、同時に服用すべき薬剤を連続する複数の分包袋(薬包分割)とする場合がある。
[0052]
 薬包分割が複数包、例えば3包に亘る場合、これらの薬包にそれぞれ「1/3」、「2/3」、「3/3」等分割数を示す印字がされる場合がある。しかしながら、薬包に対して印字される情報は多岐に亘り、このような文字列をさらに印字すると、薬包分割による薬包であることを直感的に認識することが困難となる。特に、高齢者にとってはこのような文字の羅列を認識することはより困難となり、これらの情報が見落とされ、薬剤の服用忘れを生じる原因の1つになっている。
[0053]
 このような問題に対応するため提供される本発明の薬剤分包装置は、前記印刷部の制御を行う印刷制御部を有し、同時に服用すべき薬剤を連続する複数の分包袋に分けて分包する薬包分割処理を実行可能であり、前記薬包分割処理に係る分包袋であることを識別する薬包分割識別情報を、前記薬包分割処理により形成された複数の分包袋に印刷するように前記印刷部が制御可能であることを特徴とするものである。
[0054]
 かかる構成によれば、患者が薬包分割に係る薬包であることを直感的に認識することが可能となり、薬剤の服用忘れを抑制する効果が期待される。
[0055]
 また、上述した薬包分割識別情報を薬包分割に係る各薬包に対して有彩色で印刷することとすれば、薬包分割に係る薬包であることを患者等に認識させる効果が得られることに加え、他の効果も期待できる。具体的には、薬剤が処方通りに分包されているか否かの鑑査を、薬剤を分包した分包袋を撮影した画像に基づいて自動あるいは半自動で行う鑑査装置を用いて行う場合など、画像解析により薬包分割識別情報が付されたものであるか否かを識別する必要がある場合に、識別精度を向上させうる。
[0056]
 さらに詳細に説明すると、分包袋に付された薬包分割識別情報が黒色をはじめとする無彩色である場合には、上述した鑑査装置などにおいて画像解析のために撮影した画像において黒色等の無彩色に映り込んだ部分が、薬包分割識別情報に相当するものであるのか、あるいは薬剤の陰や異物に相当するものであるのかを簡単に判別することができない。しかしながら、上述したように、薬包分割処理により形成された複数の分包袋に対し、薬包分割識別情報を有彩色で印刷すれば、鑑査装置において薬包分割識別情報と、それ以外のもの(薬剤の陰や異物等)とを簡単に判別可能となる。すなわち、薬包分割識別情報を有彩色で印刷可能とすることにより、輝度、彩度、色相の三要素の観点から薬包分割識別情報と、それ以外のものとを判別することが可能となる。これにより、鑑査精度や鑑査速度の向上を図りうる。
[0057]
 上述した本発明の薬剤分包装置は、前記印刷制御部が、前記薬包分割識別情報を有彩色により印刷するように前記印刷部を制御可能であるものであっても良い。
[0058]
 かかる構成によれば、薬包分割に係る薬包であることを患者等に認識させる効果をより一層向上させうる。また、上述した鑑査装置のように、画像解析により薬包分割識別情報が付されたものであるか否かを識別する必要がある場合についても、識別精度を向上させうる。
[0059]
 上述した本発明の薬剤分包装置は、前記薬包分割処理により形成される複数の分包袋によって構成される分包袋群が複数群形成されることを条件として、前記印刷制御部が、前記薬包分割識別情報を前記分包袋群毎に相違させて印刷可能なものであることが好ましい。
[0060]
 かかる構成によれば、分包袋群同士の識別が明確になり、異なる分包群をなす分包袋の薬剤を誤って服用してしまう等の問題を未然に防止できる。
[0061]
 また、上述した本発明の分包装置は、前記薬包分割識別情報が、前記薬包分割処理により形成された複数の分包袋に亘って印刷されるものであっても良い。
[0062]
 かかる構成によれば、薬包分割に係る薬包であることがより一層直感的に認識可能となり、薬剤の服用忘れを抑制する効果をさらに向上させうる。
[0063]
 さらに、前記薬包分割識別情報は、前記分包紙の搬送方向に延びるラインであってもよい。
[0064]
 かかる構成によれば、薬包分割処理が実行された分包袋を、より直感的に認識し得る。
[0065]
 また、薬剤分包装置を用いて複数の薬剤を分包する場合において、特に薬剤が散薬である場合には、同一包に配合すると性質の変化(変色、変質、効力低下など。以下、「配合変化」とも称す。)が生じるなどの問題が懸念される組み合わせとなる薬剤が同時に服用すべきものとして処方されている場合には、これらを別々に分包する場合がある。具体的には、例えばアルカリ性の薬剤と酸性の薬剤とが同時に服用すべき薬剤として処方されている場合には、これらの薬剤を別々に分包する場合がある。このような場合においても、同時に服用すべき薬剤が複数包とされ、患者が複数の分包袋を管理する必要があるほか薬の飲み忘れ等の原因となっていた。
[0066]
 上述した問題に対応するため本発明の薬剤分包装置は、同時に服用すべき薬剤として、単一の分包袋に同封することにより性質の変化が生じると規定されている薬剤が処方されていることを条件として、前記薬包分割処理が実施され、前記薬包分割処理に係る分包袋であることを識別する薬包分割識別情報を、前記薬包分割処理により形成された複数の分包袋に亘って印刷することができる。
[0067]
 かかる構成によれば、薬剤の配合変化を理由として薬包分割処理がされた複数の薬包を、同時に服用すべき一連の薬包として患者が容易に認識可能となり、薬剤の服用忘れを抑制する効果が期待される。
[0068]
 ここで、本発明の薬剤分包装置に採用されているインクジェット方式のプリンターを用いた場合、薬剤の写真等の実画像を分包紙への印刷対象とすると、印刷密度や画質によっては薬剤の外観に印字又は刻印された情報(識別コード)が薄く印字され、識別が困難となる場合がある。また、薬剤がカプセル錠の場合は、薬剤の周方向に亘って識別コードが印字されているものも存在し、薬剤の外観写真だけでは識別コードの一部しか見えないといった事態も生じる。そのため、分包紙に対して印刷された薬剤画像を鑑査のために用いる場合、識別コードの識別が困難で鑑査に使いにくいといった問題が想定される。
[0069]
 かかる知見に基づき提供される本発明の薬剤分包装置は、処方情報が入力される処方情報入力部と、薬剤の画像を蓄積した薬剤画像データベースとを備え、前記薬剤画像データベースが、色彩を判別可能なように薬剤の実画像を蓄積した実画像データベースと、薬剤の輪郭線を含むイメージ画像を蓄積したイメージ画像データベースとを備え、分包対象である薬剤の前記実画像及び前記イメージ画像を、前記実画像データベース及び前記イメージ画像データベースから選択し、選択された前記イメージ画像中に含まれる一又は複数の領域の色彩を、当該領域に対応する前記実画像中の領域の色彩と合わせた合成画像を形成する合成画像形成処理を実行可能であり、前記合成画像形成処理により形成された合成画像を、前記分包紙に印刷可能であることを特徴とするものである。
[0070]
 かかる構成によれば、薬剤の輪郭線に実物に近い薬剤の外観色を加えて印字できる。その結果、薬包鑑査の改善が見込まれる。
[0071]
 前記イメージ画像には、薬剤に付されている印字又は刻印に係る情報が含まれていることしてもよい。
[0072]
 かかる構成によれば、実画像だけでは識別が困難となる薬剤の識別コードの文字や記号の全体が印刷可能となり、かつ薬剤の実物に近い色で印字できるようになる。その結果、薬包鑑査の画期的な改善が見込まれる。さらに、薬剤の表面に付された識別コード全体を印刷することが可能となり、酷似した輪郭や色を有する薬剤の判別に貢献する。
[0073]
 本発明の薬剤分包装置は、インクジェット方式のプリンターを採用することにより、自由なレイアウトによる分包紙への印刷を実現している。そのため、ユーザーの選択によっては、印刷領域に対してサイズの大きなイラストや画像、ベタ塗り等が印刷対象として選択される可能性がある。このような印刷対象を分包紙に対して印刷した場合、分包紙に対するインクの射出密度や範囲が大きくなり、インクがなかなか乾燥しない。インクが十分に乾燥していない乾燥不良の状態で分包紙が次工程に送られると、様々な不具合が生じる原因になりかねない。一方、インクが十分に乾燥しないまま次工程に分包紙が送られるのを回避すべく、分包紙へのインク射出密度を低くすると、印刷内容によっては見えにくくなってしまうおそれがある。
[0074]
 このような問題に対応するためには、一律に分包紙の搬送速度を下げて薬剤分包装置を運用することも可能ではあるが、薬剤分包の効率が低下することになる。そのため、印刷内容によるインクの乾燥不良を回避するためには、印刷内容に応じて分包紙の搬送速度が制御されることが望ましい。
[0075]
 かかる問題に対応するため提供される本発明の薬剤分包装置は、印刷対象とされた画像の輝度値ヒストグラムを構成するいずれかの輝度で画素の数が所定の閾値を超えることを条件として、分包袋の搬送速度を低下させることを特徴とするものである。
[0076]
 かかる構成により、印刷対象である画像が印刷してからインクが乾燥するまでに要するものであるか否かに応じて分包紙の搬送速度を最適化できる。これにより、インクの乾燥不良による不具合を抑制しつつ、効率的な分包を実現し得る。
[0077]
 ここで、分包対象となる薬剤には、属性に基づいて薬剤を区分けした薬剤区分のうち、様々な薬剤区分を含むものが想定される。例えば、毒薬や劇薬、麻薬等、他の薬剤と区別して保管を要するものや、施錠された保管庫内で保管を必要とするもの等、取扱者が取り扱いや管理に注意を必要とする薬剤区分を含む薬剤が想定される。このような薬剤区分を含む薬剤については、薬剤を分包袋として分包した後も、薬剤区分を容易かつ直感的に認識可能であることが望ましい。
[0078]
 上述した課題に対応するため提供される本発明の薬剤分包装置は、属性に基づいて薬剤を区分けした薬剤区分を含む薬剤に関する情報が蓄積される薬剤データベースと、薬剤の画像を蓄積した薬剤画像データベースと、前記印刷部の制御を行う印刷制御部とを有し、分包対象である薬剤が所定の薬剤区分に属するものであることを条件として、当該薬剤について前記薬剤画像データベースに蓄積されている画像を、前記所定の薬剤区分の認識を可能とする薬剤区分識別情報によって囲んで印刷するように前記印刷部が前記印刷制御部によって制御されることを特徴とするものである。
[0079]
 かかる構成によれば、薬剤の分包後であっても所定の薬剤区分に属する薬剤であるか否かを容易に判別することができる。また、対象となる薬剤の画像を囲むように薬剤区分認識情報が印刷されることにより、薬包又は検薬包に印刷された他の文字情報等に紛れることを回避することができる。これにより、対象の薬剤及び対応する薬剤区分識別情報を直感的に認識することが可能となり、薬剤を取り扱う薬剤師等に対して注意を喚起することが可能となる。その結果、薬剤区分に応じた適切な取り扱いや管理が適切になされることが期待される。
[0080]
 前記薬剤区分識別情報は、前記薬剤区分ごとに予め設定された印刷色により印刷可能であることが望ましい。
[0081]
 かかる構成によれば、所定の薬剤区分に属する薬剤であることに加え、薬剤区分の種類についても識別することが可能となる。
[0082]
 また本発明の薬剤分包装置は、画像の周囲を取り囲むように前記薬剤区分識別情報を印刷可能な印刷領域が設けられ、前記印刷領域が、周方向に複数の印刷区間で構成され、各印刷区間に異なる前記薬剤区分識別情報を印刷可能であり、前記薬剤区分毎に印刷の優先順位が規定されており、分包対象である薬剤に前記薬剤区分が複数規定されていることを条件として、前記優先順位の高い薬剤区分に係る前記薬剤区分識別情報から優先的に前記印刷区間に印刷されることとすることができる。
[0083]
 かかる構成によれば、分包対象となる薬剤が複数の薬剤区分に属するものである場合に、特に注意が必要な薬剤区分を優先的に分包紙に対して印刷することができる。これにより、より効率的な注意喚起を行い得る。
[0084]
 ここで、薬剤分包装置を用いて薬剤の分包及び分包紙への印刷を行う場合、薬剤の手撒き待ちや薬剤の欠品等、分包動作を一旦停止させる必要が生じることが想定される。分包動作が何らかの理由で一旦停止すると、印刷動作についても一旦停止させるよう印刷制御部により制御されることが想定される。
[0085]
 上述したような制御が実行される場合には、分包動作の停止から再開までの間、印刷動作も一旦停止して分包動作の再開を待機する状態となる。この間、ヒータローラに接触している分包紙に対しては継続的にヒーターロータから熱が加えられ、分包紙がこの熱で少しずつ縮み、印刷部に隣接して位置している分包紙がヒータローラの方向に引っ張られる。このような状態で分包動作が再開されて同時に印刷動作が再開されると、分包紙が縮んで引っ張られた長さ分だけ、印刷領域中に印刷がされていない一定幅の空白の隙間(印刷隙間)が生じる。印刷動作の停止時間が長いほど、ヒーターローラの熱により分包紙が縮む距離も長くなり、幅が大きい印刷隙間が生じる。
[0086]
 本発明の薬剤分包装置では、二次元バーコード等、光学的読取機器により所定の情報を読み取り可能である光学的識別情報が印刷対象として選択され、分包紙に対して印刷されることも想定される。これらの光学的識別情報が分包紙に対して印刷され、上述した印刷隙間が生じると、印刷隙間の幅の大きさや本数によっては情報の読み取りが出来なくなる可能性がある。
[0087]
 ここで、本発明の発明者らが鋭意検討した結果、分包紙に印刷された光学的識別情報に上述した印刷隙間が存在する場合であっても、所定幅以下の数本(1~3本)の印刷隙間であれば、光学的読取機器による読み取りが可能であるとの知見を得た。
[0088]
 かかる知見に基づき提供される本発明の薬剤分包装置は、前記印刷部の制御を行う印刷制御部を有し、前記印刷制御部が分包動作の停止を条件として印刷動作を停止させる制御を行うものであり、分包動作の停止後所定のタイミングまでに分包動作が再開されないことを条件として、1包分の分包紙搬送距離のうち所定距離の紙送り及び印刷を行う間合印刷が1又は2以上実行されることを特徴とするものである。
[0089]
 上述の構成によれば、一定時間以上分包動作及び印刷動作が停止していた場合に想定される1本の大きな印刷隙間を、数本の小さな印刷隙間とすることができる。言い換えれば、所定時間tに亘って分包動作及び印刷動作が停止させることにより形成される印刷隙間を隙間xとした場合、間合印刷を行わないと隙間xに相当する大きな印刷隙間が形成されてしまう。これに対し、本発明のように間合印刷を行った場合には、仮に分包動作及び印刷動作が停止している通算時間が所定時間tであったとしても、複数の印刷隙間が形成される代わりに各印刷隙間の隙間の大きさは前述した隙間xよりも小さい。そのため、本発明のように間合印刷を行うことにより、印刷隙間の隙間(幅)を最小限に抑制できる。これにより、読み取り不能となるような二次元バーコード等の光学的識別情報が印刷されることを抑制し、分包紙及び薬剤のロスの抑制及び分包袋の品質維持に貢献し得る。
[0090]
 本発明の薬剤分包装置は、前記間合印刷が予め設定された回数実行され、かつ、さらに所定時間が経過したタイミングにおいて前記分包動作が再開されないことを条件として、前記間合印刷が実行された1包分の分包紙が空包として処理されることとしてもよい。
[0091]
 上述の構成によれば、分包動作停止期間として予め想定された時間を経過しても分包動作が開始されない場合に、光学的識別情報の読み取りに耐えうる範囲を超えた本数及び大きさの印刷隙間が生じ、結果として読み取りができない光学的識別情報が印刷されることを回避することができる。すなわち、読み取り不能となるおそれのある分包紙を空包として処理することにより、読み取り不良の分包紙により薬剤が分包され、品質が十分でない分包袋が提供されることや、このような分包紙に分包された薬剤のロスを軽減することができる。この結果、不要な分包が行われることを抑制し、二次元バーコードの印刷不良による再印刷等の二度手間を減少することができる。
[0092]
 分包動作停止から第1の間合印刷が開始するタイミング(所定のタイミング)は、分包動作停止から第1の間合印刷が開始するまでの期間に生じる印刷隙間の幅が所定の大きさ以下となるように、分包動作停止から第1の間合印刷開始までの時間が設定されることが望ましい。すなわち、分包紙に印刷された光学的識別情報に対して、前記印刷隙間が生じた場合に、所定の光学的読取機器により読み取り可能となるよう設定されることが望ましい。
[0093]
 上述の構成により、分包紙に対して印刷された光学的識別情報の読み取りが不能となることを抑制することができる。分包動作停止から第1の間合印刷が開始されるまでの時間は、ヒーターローラの温度や分包紙の性質、分包紙の搬送速度等によって種々設定することができる。
[0094]
 本発明の薬剤分包装置は、分包動作の停止期間が所定時間以上であることを条件として、前記間合印刷が複数回に亘って実行されることとしてもよい。
[0095]
 上述の構成によれば、ある程度の時間に亘って分包動作が停止している場合でも、読み取り可能な二次元バーコードを分包紙に印刷することができる。

発明の効果

[0096]
 本発明によれば、インクを噴射して印刷する印刷部を設けつつ、分包紙の支持台等を設けることなく高品質な印刷品質で分包紙への印刷が可能な薬剤分包装置を提供できる。

図面の簡単な説明

[0097]
[図1] 本発明の一実施形態に係る薬剤分包装置の概略構成を示す説明図である
[図2] 図1の薬剤分包装置の印刷部近傍を示した斜視図である。
[図3] 図1の薬剤分包装置の印刷部近傍を示した側面図である。
[図4] 図1に示した薬剤分包装置が備える制御装置の構成を示すブロック図である。
[図5] (a)は搬送ローラを示す斜視図であり、(b)は搬送ローラと分包紙との関係を示す説明図である。
[図6] 印刷部をインク射出部側から見た状態を示す底面図である。
[図7] 分包袋に目盛を設けた例を示す正面図である。
[図8] 分包紙への印刷用画像等を選択及び登録をするための画像選択画面である。
[図9] 分包紙への印刷用画像等を管理するための管理画面である。
[図10] 患者情報を管理するための患者マスタメンテナンス詳細画面である。
[図11] 分包紙への印刷を行うための印刷フォーマット設定画面である。
[図12] 薬包袋に印刷を行った例を示す正面図である。
[図13] 検薬包に印刷を行った例を示す正面図である。
[図14] 通常印刷と多色黒色印刷との切替処理に係るフローチャートである。
[図15] インク残量とインク残存期間の関係を示すグラフである。
[図16] インク残量と分包数量の関係を示すグラフである。
[図17] 薬剤分包装置における分包紙の流れを示す概略図である。
[図18] ヒータローラの紙送り及びロールセット部の紙管抵抗のタイミングを示している。
[図19] ロールセット部の制御について、PWM方式による制御とアナログ出力方式による制御についての比較図である。(a)は、PWM方式を採用した場合のCPUの制御波形及びロールセット部の紙管抵抗を示している。(b)はアナログ出力方式を採用した場合のCPUの制御波形及びロールセット部の紙管抵抗を示している。
[図20] (a)は従来の薬包分割に係る分包袋に対する印字例であり、(b)は薬包分割に係る分包袋に対して薬包分割識別ラインの印刷を行った例、(c),(d),(e)はそれぞれ(b)の変形例である。
[図21] (a),(b)はそれぞれ薬包分割に係る分包袋に対する薬包分割識別情報の印刷例である。
[図22] 印刷対象画像を合成画像とする場合において、合成画像の形成処理イメージを示している。
[図23] 薬剤が素錠である場合における合成画像形成イメージである。
[図24] 分包紙の搬送速度切り替え手順のフローチャートを示している。
[図25] (a)は印刷領域全体のビットマップ画像イメージ、(b)はビットマップ画像の輝度及び画素数をヒストグラムとしたグラフである。
[図26] ビットマップ画像及びビットマップ画像のヒストグラムを示しており、(a)は同じ色が多用されていない場合、(b)は同じ色が多用されている場合である。
[図27] 薬剤区分識別情報及び印刷領域を示しており、(a)は印刷領域及び4つの印刷区間を示している。(b)は薬剤区分識別情報が印刷領域に対して印刷された例を示している。
[図28] 図27の薬剤区分識別情報の印刷例について、薬剤が複数の薬剤区分に属する場合の印刷例を示しており、(a)は薬剤が4つの薬剤区分に属する場合、(b)は薬剤が2つの薬剤区分に属する場合、(c)は薬剤が3つの薬剤区分に属する場合の印刷例である。
[図29] 図1の薬剤分包装置に間合印刷を実行させる場合の手順を示すフローチャートである。
[図30] 図29の手順により間合印刷を実行させる場合のタイムチャートである。
[図31] 二次元バーコードを分包紙に印刷した場合において、間合印刷の有無による印刷隙間の幅について比較を示している。

発明を実施するための形態

[0098]
 以下、本発明の一実施形態に係る薬剤分包装置10について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下、薬剤分包装置10の全体構成について概略を説明し、その後に特徴部分である分包紙搬送部40や印刷部60の構成、及び制御装置70によって実施される分包紙搬送部40や印刷部60の動作制御についてさらに詳細に説明する。
[0099]
≪薬剤分包装置10の概略構成について≫
 図1に示すように、薬剤分包装置10は、薬剤供給部20と、包装部30と、分包紙搬送部40と、印刷部60と、制御装置70とを備えている。薬剤分包装置10は、外部から入力された処方データに基づいて薬剤供給部20から処方通りに供給された薬剤を分包紙搬送部40から包装部30に供給された分包紙によって分包することができる。また、薬剤分包装置10は、処方データに基づいて、例えば患者名や、分包されている薬剤の服用時期、種類、数量等の所定の情報を印刷部60によって分包紙に印刷することができる。
[0100]
 薬剤供給部20は、薬剤が種類別に収容された多数のカセット22を備えており、処方データに基づいて各カセット22から薬剤を供給(払出)可能とされている。各カセット22から供給された薬剤は、ホッパ24を介して包装部30に導かれる。
[0101]
 包装部30は、後述の分包紙搬送部40から供給される分包紙Sによって薬剤供給部20から供給された薬剤を分包するためのものである。包装部30においては、分包紙Sが長手方向に二つ折りにした状態で供給されると共に、薬剤供給部20から供給された薬剤が二つ折りにされた分包紙Sの間に供給される。包装部30は、ヒータローラ(図示せず)を備えており、二つ折りにされた分包紙Sをシールすることができる。そのため、包装部30においては、二つ折りの分包紙Sの間に一服用分の薬剤が投入された後にヒータローラでシールすることにより、薬剤供給部20から供給された薬剤を一服用分ずつ分包した分包袋Pを形成することができる。
[0102]
 分包紙搬送部40は、ロールセット部42と、搬送機構44とを備えている。ロールセット部42は、分包紙Sをロール状にしたもの(紙管R)をセットするために設けられたものである。また、搬送機構44は、分包紙Sをロールセット部42から包装部30に向けて所定の搬送経路Tで搬送するための機構である。
[0103]
 印刷部60は、分包紙搬送部40における分包紙Sの搬送経路Tの中途に設けられている。すなわち、印刷部60は、包装部30よりも分包紙Sの搬送方向上流側に配置されている。
また、印刷部60は、後に詳述する第二搬送方向切替部48よりも搬送方向上流側であって、包装部30に隣接した位置に設けられている。ここで、搬送機構44においては、ロールセット部42から包装部30に至る区間において分包紙Sが紙送りされる。分包紙Sへの分包開始時点でロールセット部42から包装部30までに位置していた分包紙Sのうち、印刷部60から包装部30までの間に位置している分包紙Sは、印刷がされずに包装部30を通過するため、一般的には分包に用いられずロスとなる。そのため、印刷部60を可能な限り包装部30に隣接した位置に設けることにより、分包紙Sのロスを少なくすることが可能となる。印刷部60は、搬送経路Tにおいて搬送されている分包紙Sに対し、各分包袋Pに分包された薬剤の服用時期や、種類、数量、患者名、患者の顔写真等、種々の情報を印刷できる。
[0104]
 制御装置70は、薬剤分包装置10を構成する各部の動作を制御するものであり、例えばパーソナルコンピュータ等によって構成される。図4に示すように、制御装置70は、データ入出力装置72、データファイル記憶用として設けられたハードディスク等の記録装置74、及び処理装置76(CPU)等を備えている。データ入出力装置72は、ディスプレイ72a、キーボード72b、マウス72c、ジャーナルプリンター72d等からなる。処理装置76は、各種データを記憶するためのメモリ76a(RAM)を内蔵している。メモリ76aは、処方データを記憶する処方データメモリ等として使用される。また、処理装置76は、薬剤分包装置10の全体を制御する制御プログラム76b(ROM)を内蔵している。制御装置70は、ホストコンピュータ(図示せず)から処方データを受信し、この処方データに基づいて制御プログラム76bを実行することにより、薬剤供給部20、包装部30、分包紙搬送部40、及び印刷部60の動作制御を実行する。
[0105]
≪分包紙搬送部40及び印刷部60の具体的構成について≫
 続いて、分包紙搬送部40の構成について、さらに詳細に説明する。上述したように、分包紙搬送部40は、分包紙Sの紙管Rをセットするためのロールセット部42と、分包紙Sを所定の搬送経路Tで搬送するための搬送機構44とを備えている。搬送経路Tは、交差方向搬送部T1、上流部T2、及び下流部T3に大別される。交差方向搬送部T1は、分包紙Sの紙面が略水平となるように搬送される部分である。上流部T2は、交差方向搬送部T1に対して分包紙Sの搬送方向上流側(ロールセット部42側)に位置し、下方から上方に向けて所定の傾斜で分包紙Sが搬送される部分である。また、下流部T3は、交差方向搬送部T1に対して分包紙Sの搬送方向下流側(包装部30側)に位置し、下方から上方に向けて所定の傾斜で分包紙Sが搬送される部分である。
[0106]
 搬送機構44は、交差方向搬送部T1に対して上流側に第一搬送方向切替部46を有し、交差方向搬送部T1に対して下流側に第二搬送方向切替部48を有する。搬送機構44は、これらの切替部46,48において分包紙Sの搬送方向を切り替えつつ、分包紙Sを搬送する。第一搬送方向切替部46は、上述した交差方向搬送部T1と上流部T2との境界に設けられている。第一搬送方向切替部46においては、上流部T2において下方から上方に向けて搬送されてきた分包紙Sの搬送方向が略水平方向に切り替えられる。同様に、第二搬送方向切替部48においては、交差方向搬送部T1において略水平方向に搬送されてきた分包紙Sの搬送方向が上下方向に切り替えられる。
[0107]
 第一搬送方向切替部46及び第二搬送方向切替部48には、図5に示すような搬送ローラ50が設けられている。搬送ローラ50は、搬送経路Tを通過する分包紙Sに対して当接するローラであり、分包紙Sの搬送方向に対して交差する方向に軸線方向が向くように配置されている。図5(b)に示すように、搬送ローラ50は、軸線方向の中間部52における外径d1が両端部54,54の外径d2よりも小さい。そのため、搬送ローラ50は、両端部54,54において搬送経路Tを通過する分包紙Sに当接するが、中間部52においては分包紙Sに接触しない。
[0108]
 また、図1及び図3に示すように、付勢部56よりもさらに上流側には、紙管Rから送られてきた分包紙Sをガイドするためのガイドローラ59a,59bが設けられている。そのため、分包紙Sは、ガイドローラ59a,59bにガイドされつつ、付勢ローラ58aを通過して第一搬送方向切替部46に送られる。ガイドローラ59a,59bの間には、紙切センサ57が設けられている。紙切センサ57は、ガイドローラ59a,59b間を通過する分包紙Sの有無を検知することにより、紙切れを検知することができる。
[0109]
 搬送機構44は、一定の張力を作用させつつ、分包紙Sをロールセット部42側から包装部30側に向けて搬送することができる。本実施形態では、交差方向搬送部T1において分包紙Sに弛みが生じるのを抑制すべく、図1に示すように、分包紙Sに対してさらに付勢力を作用させるための付勢部56が設けられている。具体的には、付勢部56は、第一搬送方向切替部46に対してさらに搬送方向上流側の位置に付勢ローラ58aを有する。図1において矢印で示すように、付勢ローラ58aは、バネ等の付勢手段58bによって付勢されている。付勢ローラ58aは、第一搬送方向切替部46に対して上流側の位置において分包紙Sに対して当接する。これにより、分包紙Sに交差方向搬送部T1側から上流側に向かう方向への張力が作用するため、交差方向搬送部T1において分包紙Sに弛みが生じにくい。
[0110]
 印刷部60は、患者名や、分包されている薬剤の服用時期、種類、数量等の所定の情報を分包紙Sに対して印刷するためのものである。印刷部60には、いわゆるインクジェット式のプリンタが採用されており、内蔵されているインクタンク(図示せず)から供給されたインクをインク射出部62から射出させて印刷できる。
[0111]
 図6に示すように、インク射出部62は、分包紙搬送部40による分包紙Sの搬送方向と交差する方向に配列された複数のノズル64からなるラインノズル列66を有する。本実施形態では、インク射出部62にラインノズル列66が複数設けられている。具体的には、インク射出部62には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインクを射出するために、各色毎にラインノズル列66c,66m,66y,66kを備えている。
[0112]
 インク射出部62は、上述した交差方向搬送部T1に対して上方に所定距離だけ離れた位置に配置されており、各ラインノズル列66c,66m,66y,66kから下方に向けてインクを射出できる。そのため、交差方向搬送部T1において分包紙Sを搬送方向に移動させつつ、各ラインノズル列66c,66m,66y,66kから分包紙Sに向けてインクを射出させることにより、インク射出部62を移動させることなく分包紙Sにカラー印刷を施すことができる。
[0113]
 図4に示すように、制御装置70は、処方情報入力部80、色覚情報入力部82、印刷制御部84、及び薬剤画像データベース86を備えている。処方情報入力部80は、ホストコンピュータ(図示せず)から受信した処方データが入力される部分である。また、色覚情報入力部82は、患者の色覚異常の有無に係る色覚情報が入力される部分である。本実施形態では、処理装置76のメモリ76aが処方情報入力部80、及び色覚情報入力部82として機能する。印刷制御部84は、印刷部60の制御を行うためのものである。本実施形態では、制御プログラム76bが印刷制御部84として機能する。また、薬剤画像データベース86は、薬剤の外観を示す画像をデータベース化したものである。本実施形態では、記録装置74に薬剤画像データベース86が構築されている。
[0114]
 制御装置70は、印刷制御部84による制御の下、分包紙Sに対して印刷を行う。具体的には、制御装置70は、処方情報入力部80において受信した処方情報に基づき、患者名や、分包されている薬剤の服用時期、種類、数量等の所定の情報を印刷部60によって分包紙Sに印刷させる。これに加えて、制御装置70は、分包対象である薬剤の画像を薬剤画像データベース86から選択し、選択された薬剤の画像を前述した患者名等の情報と共に分包紙Sに印刷させる。
[0115]
 また、制御装置70は、色覚情報入力部82に入力された色覚情報に基づき、分包対象である薬剤が色覚異常を有する患者の処方であるか否かの判定を行う。その結果、色覚異常のない患者の処方であると判定された場合には、分包紙Sに対してカラー印刷を施すように印刷部60を制御する。一方、色覚異常を有する患者の処方であると判断された場合には、その患者が識別困難な色を除く色により分包紙Sに印刷するように印刷部60を制御する。具体的には、色覚異常を有する患者の処方については、白黒あるいはグレースケールで印刷するように印刷部60を制御する。
[0116]
 上述したように、薬剤分包装置10においては、分包紙搬送部40による分包紙Sの搬送経路Tの中途に、インクの射出方向に対して交差する方向(略水平方向)に分包紙Sが搬送される交差方向搬送部T1が設けられている。また、交差方向搬送部T1の上方に、印刷部60のインク射出部62が設けられている。さらに、分包紙Sの搬送経路Tが、交差方向搬送部T1に対して上流側の第一搬送方向切替部46、及び下流側の第二搬送方向切替部48において搬送方向が変化するように形成されている。搬送経路Tにおいて、第一搬送方向切替部46、及び第二搬送方向切替部48は、分包紙Sを支持するための支点として機能する。そのため、交差方向搬送部T1においては、分包紙Sに一定の張力が作用した状態となる。従って、薬剤分包装置10においては、交差方向搬送部T1において分包紙Sを支持するための台等を設けなくても高い印刷品質で分包紙Sに対して印刷できる。
[0117]
 また、上述したように、印刷部60は、包装部30に隣接した位置に設けられている。これにより印刷部60及び包装部30の間隔を最小限に抑制し、分包紙Sのロスを最小限に抑制できる。
[0118]
 また、薬剤分包装置10では、付勢部56が設けられており、交差方向搬送部T1において分包紙Sに対して張力が作用するように付勢力が作用している。これにより、交差方向搬送部T1において分包紙Sが十分張り詰めた状態になり、分包紙Sに対してインクを射出して綺麗に印刷できる。
[0119]
 なお、本実施形態では、交差方向搬送部T1において分包紙Sが十分張り詰めた状態となるように付勢部56を設けた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、付勢部56を設けない構成としても良い。また、付勢部56を交差方向搬送部T1の上流側に配した例を示したが、これに代えて交差方向搬送部T1の下流側に付勢部56と同様のものを配し、交差方向搬送部T1から遠ざかる方向に分包紙Sを付勢するようにしても良い。また、交差方向搬送部T1の上流側及び下流側の双方に付勢部56に相当するものを配しても良い。
[0120]
 上述した薬剤分包装置10では、第一搬送方向切替部46及び第二搬送方向切替部48を構成する搬送ローラ50として、中間部52の外径d1が両端部54,54の外径d2よりも小さいものを採用している。そのため、図5(b)に示すように、分包紙Sの搬送方向と交差する方向(幅方向)の両端部54において搬送ローラ50が分包紙Sに接触し、幅方向の中間部52において搬送ローラ50と分包紙Sとが接触するのを回避できる。従って、第二搬送方向切替部48においては、分包紙Sの幅方向中間部に施された印刷が搬送ローラ50との接触により品質低下するのを防止できる。具体的には、印刷直後の分包紙Sが第二搬送方向切替部48を通過する際、搬送ローラ50の両端部54,54が分包紙Sに接触し、分包紙Sの印刷部分は第二搬送方向切替部48に接触しない。そのため、分包紙に射出された乾いていないインクが、搬送ローラ50に接触することがなく、インクの延びやニジミが生じない。また、第一搬送方向切替部46においては、搬送ローラ50との接触により、印刷品質の低下の原因となる皺等が分包紙Sの印刷領域に形成されるのを抑制できる。これにより、分包紙Sへの印刷品質を一層向上しうる。
[0121]
 なお、本実施形態では、第一搬送方向切替部46及び第二搬送方向切替部48を搬送ローラ50によって構成した例を示したが、搬送機構44に配された他のローラについても搬送ローラ50を採用したものであっても良い。また、第一搬送方向切替部46及び第二搬送方向切替部48のいずれか一方又は双方を、搬送ローラ50ではない通常のローラによって構成しても良い。
[0122]
 本実施形態の薬剤分包装置10では、印刷部60として、インク射出部62がラインノズル列66を具備した、いわゆるラインノズル型のインクジェットプリンタが採用されている。そのため、分包紙Sへの印刷に際し、インク射出部62が往復動等の動作を行う必要がない。これにより、印刷部60の設置領域を最小限に抑制しつつ、分包紙Sへの印刷をより一層高速化することができる。
[0123]
 なお、本実施形態では、印刷部60としてラインノズル型のインクジェットプリンタを採用した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、印刷部60は、インク射出部62からインクを射出させて印刷可能なものであれば、他の印刷形式を採用したものであっても良い。
[0124]
 上述したように、本実施形態の薬剤分包装置10は、処方情報に基づいて分包対象である薬剤の画像が薬剤画像データベース86から選択され、選択された薬剤の画像が分包紙Sに印刷される。そのため、薬剤分包装置10によれば、薬剤の分包後に、薬剤師等が分包紙Sに印刷された薬剤の画像と、実際に分包紙Sに分包されている薬剤とを比較することにより、処方通りに薬剤が分包されているかを目視により確認することができる。なお、本実施形態では、薬剤の外観画像を分包紙Sに印刷する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、薬剤の外観画像を印刷しないものであっても良い。
[0125]
 また、本実施形態の薬剤分包装置10は、色覚異常を有する患者の処方である場合に、患者が識別困難な色を除く色により分包紙Sに印刷できる。従って、患者が色覚異常を有する者であったとしても、分包紙Sに印刷された情報を容易に識別できる。なお、本実施形態では、色覚異常を有する患者にも対応できるようにした例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、このような機能を備えていないものであっても良い。
[0126]
 本実施形態では、印刷部60により薬剤の服用時期や、種類、数量、患者名、患者の顔写真等、種々の情報を印刷する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の様々な情報を印刷するようにしても良い。具体的には、処方データ等を示すバーコードやカラーコードを分包紙Sに印刷するようにしても良い。また、曜日や服用時期等の分類に応じて各分包袋Pに異なる色彩で印刷することにより、薬剤師や患者等が容易に分包袋Pを分類可能としても良い。
[0127]
 また、薬剤分包装置10は、固形薬剤の分包に用いるものに限らず、散薬を分包するものであっても良い。散薬を分包する場合には、分包袋P内に概ね所定量の薬剤が分包されているか否かを目視で確認可能とすべく、図7に示すような目盛90を分包袋Pに印刷することが好ましい。このような目盛90を設けることにより、目盛90が設けられた角が底となるように分包袋Pを傾け、目盛90の位置まで散薬があるかを確認することにより、概ね所定量の散薬が分包されているか否かの確認ができる。また、目盛90をカラー印刷することにより、黒色で印刷する場合のように目盛90が散薬に紛れてしまうことを回避し、目視による鑑査を容易に行うことが可能となる。さらに、薬袋の色と目盛90の印刷色を揃える等することにより、分包された薬剤を薬袋に入れる際に入れ間違いを抑制しうる。
[0128]
≪薬剤分包装置10の運用例について≫
 前述のとおり、制御装置70は、薬剤分包装置10を構成する各部の動作を制御するものである。制御装置70は、ホストコンピュータ(図示せず)から処方データを受信し、この処方データに基づいて制御プログラム76bを実行する。これにより、薬剤供給部20、包装部30、分包紙搬送部40、及び印刷部60の動作制御を実行する。分包紙Sに印刷する印刷項目は、処方データに基づいて薬剤名称、薬剤画像、患者氏名、服用日時等多岐に亘る情報を印刷することができる。これらの情報は、病院や薬局等の医療機関で用いられているデータベースと連動し、運用されることが望ましい。
[0129]
 具体的には、患者情報を登録した患者マスタ、病棟情報を登録した病棟マスタ、利用者情報を登録した利用者マスタ、施設情報を登録した施設マスタ、施設服用時期マスタなどの、医療機関等で用いられる各種データベースを記録して用いることができる。前述の各種マスタを用いて印刷項目の設定を行う場合、分包紙Sへ印刷する項目ごとに、どの色で印刷を行うかの指示をあらかじめマスタごとに登録しておくことが望ましい。以下、各マスタにおける印刷設定等の一例について説明する。
[0130]
≪病棟マスタについて≫
 病棟マスタは、医療機関で病棟薬剤業務を行う担当薬剤師、病棟名、病棟コード等を登録したデータベースである。病棟マスタにおいて、病棟のフロアごとに分包紙Sへの印刷色を変える等の設定を行うことが可能である。病棟のフロアごとに分包袋Pに印刷された分包印字色が異なれば、薬剤師等が分包袋Pを病棟ごとに振り分ける場合等に、印刷色ごとに振り分けることが容易となり、投薬ミスを減少する効果が期待できる。
[0131]
≪施設マスタについて≫
 施設マスタには、施設名や施設コード等の情報が含まれる。施設マスタにおいて、施設ごとに、かつ曜日ごとに分包袋Pへの印字色を設定することができる。これにより、曜日に応じた印字色設定を、施設の要求に応じて印刷することが可能となる。
[0132]
≪施設服用時期マスタについて≫
 施設服用時期マスタには、施設名称や施設コード、朝食後や夕食後等の薬剤服用時期等の情報が含まれる。施設服用時期マスタを活用することにより、薬剤分包装置10は、施設の求めに応じて印刷形態を変化させることができる。具体的には、朝食後に服用する薬剤についての印刷は青、昼食後は緑等のように、施設毎に設定された要求に応えることが可能となる。
[0133]
≪患者マスタについて≫
 患者マスタには、患者の氏名、患者ID、色覚異常の有無、生年月日等の情報が含まれる。図10は、患者マスタへの情報の管理や登録を行うための操作画面の一例である、患者マスタメンテナンス詳細画面140である。患者マスタメンテナンス詳細画面140には、色覚異常の有無を表示する色覚異常表示欄142、分包印字色表示欄144、薬包画像表示欄146等が設けられている。
[0134]
 上述した各マスタは、単独のデータベースとして用いてもよいし、複数のデータベースを関連付けて運用してもよい。例えば、患者マスタと施設マスタとのリンク付けを行って運用することもできる。患者マスタと施設マスタをリンク付けさせておく場合、分包対象である薬剤を処方されている患者を選択するだけで、自動的に施設マスタにおいてあらかじめ設定した印刷色が選択されるよう設定しておくことが望ましい。それにより、各施設が担当する複数患者への薬剤分包の際、その都度施設の要求する印字色について各種資料を参照しながら個別設定をする手間が省け、患者の選択のみで施設ごとの印刷設定色に応じた印字色となるよう印刷が制御される。
[0135]
 なお、上述した各種マスタは、制御装置70の記録装置74に構築しても、その他ホストコンピュータ(図示せず)等に構築していてもよい。上述した各種マスタにて登録した薬剤分包装置10を用いた印刷設定は、後に詳述する印刷フォーマット設定画面160にて選択することができる。また、各マスタで選択するための印刷用画像の設定や印刷画像の登録等は、操作画面である画像選択画面100や画像管理画面120などの各種操作画面への入力を通じて行う。
[0136]
≪画像選択画面及び画像管理画面について≫
 画像選択画面100について、図面を参照しつつ説明する。図8は、画像選択画面100の一例を示している。画像選択画面100は、分包袋Pへの印刷候補として多数登録されている画像から、実際の印刷に利用する画像を予め選択しておくための操作画面である。図8に示すとおり、画像選択画面100には区分領域102が設けられている。区分領域102には、裸錠ボタン102a、利用者ボタン102b、診療科ボタン102c等の各種区分ボタンが設けられている。さらに、画像選択画面100には、カラー・モノクロ選択領域104、画像一覧表示領域106、選択画像表示領域108が設けられている。区分領域102に設けられた各種区分ボタンのいずれか一つを選択すると、選択された区分ボタンに応じて、区分ごとに登録されている画像の一覧が、画像一覧表示領域106に表示される。さらに画像一覧表示領域106に表示された画像を選択すると、選択画像表示領域108に選択された画像が拡大表示される。
[0137]
 図8の例では、診療科ボタン102cが選択されており、診療科を示すマークの一覧が画像一覧表示領域106に表示されている。図8の画像選択画面100において、薬剤分包装置10の利用者が印刷に使用するであろうと想定される診療科のマークを予め選択しておくことができる。具体的には、例えば、内科、眼科、耳鼻科の3診療科を有する病院において、これらの診療科を示すマークを使用するように登録しておくような利用方法が可能である。
[0138]
 また、カラー・モノクロ選択領域104には、カラー画像選択ボタン104aとモノクロ画像選択ボタン104bとが設けられている。カラー画像選択ボタン104a及びモノクロ画像選択ボタン104bは、それぞれ印刷項目の印刷をカラーで行うのか、モノクロで行うのかを選択して登録するためのボタンである。
[0139]
 図9は、画像管理画面120の一例を示している。画像管理画面120においては、印刷に用いる画像情報を管理する際に表示される操作画面である。例えば、新たな薬剤についての外観画像を登録する場合には、画像管理画面120に設けられた画像パス指定ボタン122を選択することにより、画像データの所在位置(パス)を指定できる。また、画像パス指定ボタン122により指定された所在位置に存在する画像の一覧が、取込画像一覧領域124に一覧表示される。画像管理画面120においては、一覧表示された画像から、印刷に用いるための画像として登録しておきたい画像を選択できる。
[0140]
 また、画像管理画面120には、カラー・モノクロ選択領域126が設けられている。さらに、カラー・モノクロ選択領域126には、カラー画像選択ボタン126aとモノクロ画像選択ボタン126bとが設けられている。画像管理画面120においては、カラー画像選択ボタン126a及びモノクロ画像選択ボタン126bのいずれかを選択することにより、画像管理画面120において印刷用として登録したいものとして選択された画像を、カラー画像として登録するか、あるいはモノクロ画像として登録するかを選択できる。
[0141]
 画像管理画面120には、登録済画像一覧領域128が設けられている。登録済画像一覧領域128は、印刷に利用する画像として既に登録済のものを一覧表示するための領域である。
[0142]
 画像管理画面120においては、画像パス指定ボタン122を用いて指定されたパスに存在する登録候補の画像を取込画像一覧領域124に一覧表示させ、その中から登録したい画像を選択すると共に、カラー・モノクロ選択領域126のボタンにより画像をカラーあるいはモノクロのいずれで取り込むかを指定した後、追加ボタン127を選択することにより、印刷に使用する画像として登録できる。登録が完了した画像は、取込画像一覧領域124から登録済画像一覧領域128に移動する。このように、画像管理画面120を用いることにより、印刷に利用するための画像を新たに追加する作業を容易かつ直感的に行うことができる。
[0143]
≪モノクロ画像閲覧機能について≫
 上述した画像選択画面100には、上述のとおり、カラー・モノクロ選択領域104が設けられている。カラー画像選択ボタン104aが選択されると、ディスプレイ72aに表示される各種画像がカラーで表示され、モノクロ画像選択ボタン104bを選択すると、各種画像はモノクロで表示される。カラー画像選択ボタン104aを選択し、画像をカラーで表示させている場合において、選択画像表示領域108に表示されているカラー画像にカーソルを合わせると、表示されているカラー画像に隣接してモノクロ画像用のピクチャボックス110が表示され、カラー画像をモノクロに置き換えた状態の画像が表示される。これにより、カラー画像をモノクロ画像に切り替えた場合の印刷イメージを簡単に確認できる。これとは逆に、モノクロ画像選択ボタン104bを選択した状態で、選択画像表示領域108に表示されているモノクロ画像にカーソルを合わせると、表示されているモノクロ画像に隣接してカラー画像用のピクチャボックス110が表示され、モノクロ画像をカラー画像に置き換えたものが表示される。これにより、モノクロ画像をカラー画像に切り替えた場合の印刷イメージを簡単に確認できる。
[0144]
≪印刷フォーマットについて≫
 上述のとおり、制御装置70において各種マスタ等のデータベースと連動し、印刷項目の設定等を行うことで、分包紙Sへの印刷フォーマットを設定可能となる。図11は、分包紙Sへの印刷レイアウト等を決定するための、印刷フォーマット設定画面160である。印刷フォーマット設定画面160には、印刷レイアウト設定部162、アイテムリスト部164、薬品情報設定領域166、分包印字色設定部168aが設けられている。薬品情報設定領域166には、裸錠イメージチェックボックス166a、枠線設定チェックボックス166bが設けられている。図11に示すように、分包紙Sの印刷領域における印刷項目は、アイテムリスト部164より患者名、薬剤名、担当薬剤師、服用時期、薬剤写真等、必要に応じて選択が可能である。また、分包紙Sの印刷領域に薬剤画像を印刷しようとする場合においては、裸錠イメージチェックボックス166aを選択する。さらに、選択された前記薬剤画像に対して枠線を設ける場合には、枠線設定チェックボックス166bを選択する。印刷フォーマットは、薬包印字や検薬印字等、印刷目的によって自由なレイアウト設定を可能としている。さらに、上述した各マスタごとの印刷色設定については、分包印字色設定部168aの下部に表示されるマスタ選択欄168bにより、選択可能としている。本実施形態では、薬包印刷についての印刷フォーマット画面を示したが、検薬包印刷フォーマット等、適宜設定が可能である。
[0145]
≪薬包に対する印刷についての具体的運用≫
 次に、薬剤分包装置10を用いて薬包印字を行う場合の具体的な運用について、図面を参照しながら説明する。図12は、薬剤分包装置10を用いて印刷した、分包袋200(分包袋P)の一実施形態である。分包袋200には、医師に処方された薬剤が分包されている。分包袋200の薬包印字領域220には、服用日222a、服用時期222b、患者名222c、薬局名称222d、画像222e、バーコード222f等が印刷されている。
[0146]
 分包袋200に印刷された上記印刷項目は、ホストコンピュータ(図示せず)から送信された処方データに基づいて、記録装置74等に構築された各種マスタにおいて登録された印刷色等の設定に応じて印刷されている。具体的には、印刷フォーマット設定画面160を介して、あらかじめ記録装置74に記録されたマスタ、例えば施設服用日時マスタにて登録されている印刷項目や印刷色にて服用日222a、服用時期222b、患者名222c等を印刷する。
[0147]
 服用日222aは、分包対象である薬剤を使用しようとする施設及び日時(曜日)に応じた色の設定を可能としている。上述のとおり、施設服用日時マスタにおいて施設ごとの曜日印字色をあらかじめ設定する。さらに、印刷フォーマット設定画面160のマスタ選択欄168bで、施設服用時期マスタに従って印字色を設定する。これにより、薬局等が施設の求めに応じて印刷色を設定する際に、随時他の資料を参照する等の手間を省くことができる。また、施設においても服用日時ごとに印刷色を変更した分包薬を患者に服用させる際、色彩による識別が可能となり、日時を間違えての薬剤の服用を減少させることが期待される。
[0148]
 図12に示す例において、画像222eは、分包袋Pに分包された薬剤に関して、同時に服用してはいけない他の薬剤や飲食類等への注意喚起を表示するものとされている。図12の例では、注意喚起をいわゆるピクトグラムで表示することにより、患者が直感的に注意喚起されている事項を把握可能とされている。なお、画像222eは、例えば担当薬剤師や担当医師の顔写真等としてもよい。
[0149]
 また、本発明の薬剤分包装置10ではカラー印刷が可能であるため、バーコード222fは、1色で印刷された一次元あるいは二次元のバーコードだけでなく、いわゆる三次元バーコード(多重多層高密度三次元コード/カラーバーコード)の印刷が可能となる。三次元バーコードが印刷可能となることで、大容量のデータ格納が可能となる。これにより、分包袋Pに目視可能な情報として印字されている情報だけでなく、患者や薬剤師、担当医師、担当看護師等の写真情報等、多岐に亘る情報を付加することが可能となる。
[0150]
 ここで、上述したように、分包袋Pの印刷領域に薬剤画像を印刷しようとする場合には、枠線設定チェックボックス166bを選択することによって薬剤画像に対して枠線を設けることができる。これにより、分包袋Pに印刷された薬剤画像と、実際に分包された実物の薬剤との混同を防止可能となり、特に分包後の鑑査時において、実際の薬剤と区別して確認することで誤鑑査を抑制可能となる。なお、分包袋Pに印刷する枠線は、いかなる色で印刷されたものであっても良いが、例えば赤色等の色彩を有する色としたり、破線等とすることにより、注意喚起できるものであることが好ましい。
[0151]
≪検薬包に対する印刷についての具体的な運用≫ 
 次に、薬剤分包装置10を検薬包に用いた場合の実施例について、図面を参照しながら具体的に説明する。図13は、薬剤分包装置10を用いて分包紙Sに印刷を行った場合の検薬包300の一実施態様を示している。検薬包300は、薬剤分包装置10により分包された各分包袋Pに、処方どおりの薬剤が処方されているかどうかを確認するために印刷されるものである。検薬包300は、複数の分包袋Pが連なって帯状とされた分包袋連続体のいずれの位置に形成されても良いが、通常は分包袋連続体の先頭あるいは末端に形成される。図13に示すとおり、検薬包300の印刷領域320には、検薬包300であることを示すためのタイトル322a、処方日322b、患者名322c、薬剤名称322d、薬剤画像322e等が印刷されている。
[0152]
≪薬剤の使用期限による印刷色設定の例≫
 上述した分包袋Pへの印刷色設定に加え、分包袋Pへの薬剤名称等の情報を印刷する際、分包しようとする薬剤の使用期限による印刷色の設定も可能である。例えば、薬剤の使用期限がが処方日より7日以内であれば、薬剤名等の情報を赤色で印刷し、使用期限が14日以上先であれば黄色、使用期限が15日以上先であれば青色とする等、種々の設定が可能である。
[0153]
 上述のとおり、本発明の薬剤分包装置10によれば、従来のインクリボンを用いた熱転写式のプリンターによる分包紙Sへの印刷では成し得なかった、分包袋Pへの印刷項目の自由なレイアウトや画像の印刷、さらには各印刷項目についての印刷色の選択等が可能となる。そのため、医療機関ごとの印刷項目や印刷色の設定が可能となり、処方された薬剤の分配ミスや服用時期の間違いを回避する効果が期待される。
[0154]
≪インクの制御について≫
 本発明の薬剤分包装置10については、上述のとおりインクジェット方式のプリンターによる印刷を採用している。インクジェットについては、一般的に黒色の使用頻度が高く、黒色インクのみが減少しやすい。そのため、本発明の薬剤分包装置10については、黒色以外のインクの使用比率を監視し、黒色を表示する印刷を行うにあたり、黒色以外のインクを混ぜることにより黒色表示を行うよう、制御プログラム76bが制御するようにしても良い。具体的には、各インクの残量を定期的に記憶あるいは確認し、所定の期間内に黒色以外のインク残量に大きな変化が無いと予測される場合には、黒色以外のシアン、マゼンダ、イエローの3色の掛け合わせにより黒色印刷を行うように制御する。
[0155]
≪所定期間内にインクを使い切るための印刷切替処理≫
 上述のとおり、インクジェットプリンタのインクについては、一般的には黒色の使用比率が高く、黒色インクが他のインクより先に消耗する可能性が高い。また、インクジェットプリンタのインクについては、所定期間以上使用しない場合にはインクの顔料などの成分と溶媒などの成分とが分離してしまい、撹拌する必要が生じる。さらに、薬剤分包装置10の利用者が、ほとんど黒色しか使用しない場合には黒色以外のインクを所定期間以上使用しない状況が発生する可能性が高くなる。そのため、本発明の薬剤分包装置10では、黒色印刷を行う際、上述のように黒色以外の色を掛け合わせることにより黒色印刷を行う印刷方法(以下、「多色黒色印刷」とも称す)を実施し、黒色以外のインクを積極的に使用することで所定期間以上使用しないインクの発生を防止する。すなわち、黒色インクのみを用いた印刷方法(以下、「通常印刷」とも称す)においては、各色の使用比率は、C:M:Y:K=0:0:0:1とされる。一方、多色黒色印刷を行う場合の各色の使用比率は、例えばC:M:Y:K=17:17:11:4等とされ、黒色インク以外のインクが多用される。
[0156]
 上述した通常印刷と多色黒色印刷との切替処理は、例えば図14に示すようなフローに基づいて行われる。以下、上述した一連の多色黒色印刷への切替処理に関する動作について、図14を参照しながら詳細に説明する。
[0157]
(ステップ1-1)
 図14の制御フローにおいては、先ずステップ1-1において、インク残量の比較対象として任意の年月日(基準年月日A)を設定し、基準年月日Aにおける各色(CMYK)のインク残量(Am)及び現在の年月日(現在年月日B)における各色のインク残量(Bm)を取得する。なお、インク残量の数値には、実際に残存している容量を用いることが可能であるが、インクタンクに100%のインク残量がある場合を100として、インクが100に対してどれぐらいの比率で残存しているかの数値(残存比率)を用いても良い。
[0158]
(ステップ1-2)
 ステップ1-2においては、現在年月日Bにおける各色のインク残量(Bm)と基準年月日Aにおけるインク残量(Am)の差(Bm-Am)を算出し、あらかじめ設定した所定値(n1)未満かどうかを判断する。所定値n1は任意に設定することができる。ここで差(Bm-Am)が所定値(n1)以上である場合には、後述のステップ1-3に制御フローが進められ、所定値(n1)未満である場合には、後述のステップ1-11に制御フローが進められる。
[0159]
(ステップ1-3)
 ステップ1-3においては、基準年月日Aと現在年月日Bにおけるインク残量の差、すなわち[Bm-Am]の値から、インク消費量Lが算出される。なお、インク消費量Lの数値は、実際の使用量であっても、インクタンクに100%のインク残量がある場合を100として、インクが100に対してどれぐらいの比率で消費したかを示す数値であっても良い。
[0160]
(ステップ1-4)
 ステップ1-4においては、インク消費量Lの値が0未満であるか否かについて判断される。インク消費量Lの値が0未満である場合には、インクが充填されたものと判断され、制御フローがステップ1-11に進められる。一方、インク消費量Lが正の値であると判断された場合には、制御フローがステップ1-5に進められる。
[0161]
(ステップ1-5)
 ステップ1-5においては、1日あたりのインク消費量iが算出される。なお、インク消費量iの数値は、実際のインク使用量に限らず、インクタンクに100%のインク残量がある場合を100として、インクが100に対してどれぐらいの比率で消費したかを示す数値であっても良い。1日あたりのインク消費量iは、[(インク消費量L)÷(現在年月日B-基準年月日A)]により算出することができる。その後、制御フローがステップ1-6に進められる。
[0162]
(ステップ1-6)
 ステップ1-6においては、ステップ1-6においては1日あたりのインク消費量iに基づき、100%のインクを使い切るまでの期間(インク残存期間F)が算出される。インク残存期間Fは、〔100÷(1日のインク消費量i)〕により算出できる。その後、制御フローが後に詳述するステップ1-7~ステップ1-9に進められ、黒色(K)とそれ以外の各色(CMY)とのインク残存期間の関係が判断される。
[0163]
(ステップ1-7)
 ステップ1-7においては、シアンのインク残存期間(Cf)から黒のインク残存期間(Kf)を引いた値が、黒色インクの残存期間に対してあらかじめ設定した所定期間n2以上であり、かつシアンのインクの残存期間があらかじめ設定した所定期間n3以上あるか否かを判断する。これらの条件を満足しない場合には制御フローがステップ1-8に進められ、満足する場合には制御フローがステップ1-13に進められる。
[0164]
(ステップ1-8)
 同様に、ステップ1-8においては、マゼンタのインク残存期間(Mf)から黒のインク残存期間(Kf)を引いた値が所定期間n2以上であり、かつマゼンタのインクの残存期間があらかじめ設定した所定期間n3以上であるか否かを判断する。これらの条件を満足しない場合には制御フローがステップ1-9に進められ、満足する場合には制御フローがステップ1-13に進められる。
[0165]
(ステップ1-9)
 さらに、ステップ1-9においては、イエローのインク残存期間(Yf)から黒のインク残存期間(Kf)を引いた値が所定期間n2以上であり、かつイエローのインクの残存期間があらかじめ設定した所定期間n3以上であるか否かを判断する。これらの条件を満足しない場合には制御フローがステップ1-10に進められ、満足する場合には制御フローがステップ1-13に進められる。
[0166]
(ステップ1-10)
 制御フローがステップ1-10に進んだ場合とは、黒色以外の各色のインクの残存期間が黒色インクの残存期間に対して所定期間n2未満であり、かつ、各色のインクの残存期間があらかじめ設定した所定期間n3未満の場合(ステップ1-7~ステップ1-9の各ステップにおいてNOの場合)である。この場合には、黒色以外のインクを積極的に使用しなくても良いため、通常印刷への切替処理が行われる。これにより、一連のフローが終了する。
[0167]
(ステップ1-11)
 制御フローがステップ1-11に進んだ場合とは、ステップ1-2において現在年月日Bにおける各色のインク残量(Bm)と基準年月日Aにおけるインク残量(Am)の差(Bm-Am)が所定値(n1)未満であると判断された場合(ステップ1-2においてYES)、あるいはインク消費量Lの値が0未満であり新しいカートリッジに交換されたものと判断された場合(ステップ1-4においてYES)である。この場合には、印刷方法の切替を行うことなく、一連の制御フローが完了する。
[0168]
(ステップ1-12)
 制御フローがステップ1-12に進んだ場合とは、黒色以外の各色のインクの残存期間が黒色インクの残存期間に対して所定期間n2以上であるか、各色のインクの残存期間があらかじめ設定した所定期間n3以上である場合(ステップ1-7~ステップ1-9のいずれかのステップにおいてYESの場合)である。この場合には、黒色以外のインクの残量が多く、黒色以外のインクを積極的に使用することが好ましい。そこで、ステップ1-12においては、多色黒色印刷への切替処理が行われる。これにより、一連のフローが終了する。
[0169]
 なお、上述した制御フローにおいては、ステップ1-7~ステップ1-9において黒色(K)とそれ以外の各色(CMY)とのインク残存期間の関係について各色毎に上述した順番で順次判断することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、黒色(K)と他の各色(CMY)とのインク残存期間の関係について判断する順番は適宜入れ替えられても良い。また、黒色(K)と各色(CMY)とのインク残存期間の関係についての判断を3工程に分けて実施するのではなく、単一の工程で一括して行うようにしても良い。
[0170]
 図15は、インク残量とインク残存期間の関係を表すグラフである。縦軸はインク残量を百分率(%)で示したものであり、横軸はインク残存期間を示している。図15において符号402は黒(K)、符号404はイエロー(Y)、符号406はマゼンダ(M)、符号408はシアン(C)のインク減少傾向を示している。図15に示す例においては、黒のインク残存期間(Kf)が約35日であるのに対して、イエローのインク残存期間(Yf)は約90日、マゼンダのインク残存期間(Mf)は約119日、シアンのインク残存期間(Cf)は約126日以上となっている。ここで、例えば上述した所定期間n2を0、所定期間n3を60日と設定した場合、図15に示したケースは、図14のフローチャートにおけるステップ1-7、ステップ1-8、及びステップ1-9の各条件を満たしている。そのため、図15のケースにおいては、多色黒色印刷への切替処理が行われることとなる。
[0171]
 上述した多色黒色印刷への切替処理により、黒色をほとんど使用しない印刷フォーマットを用いて分包紙Sへの印刷を繰り返した場合であっても、黒色以外のインクを所定期間以内に使い切らせることができる。また、インクを所定期間以上使用しない状況を避けることでインク顔料などの組成物と溶媒などの組成物との分離を抑制できる。
[0172]
≪インク残量に基づく分包可能数量の算出方法≫
 ここで、インク残量から分包可能な数量を精度よく算出することができれば、インクを極力最後まで使用することが可能となる。さらに、利用者の業務中のインク交換回数の減少、さらにはインクロスの低減に貢献することができる。従って、薬剤分包装置10においては、現在のインク残量で可能な分包数量が予測できることが望ましい。
[0173]
 そこで、従来の熱転写式のインクリボンを用いた印刷の場合、分包サイズからインクリボンの残量を計算することが可能であるため、インクリボンの残量から残り分包可能数量の算出が可能であった。しかし、薬剤分包装置10では、インクジェット方式の印刷を行うため、利用者が設定する印刷フォーマットの内容は多岐に亘り、1包あたりのインク使用量が利用者によって異なる。そのため、インクの残量のみからでは、残り何包分の分包が可能であるかの予測が困難となる。そこで、薬剤分包装置10では、実際に分包した分包数量とインクの減少量を常に監視し、インクの残量が減少し、一定値に達した時に理論値により残りの可能分包数を予測する。
[0174]
 具体的には、図16に示すとおり、インク残量と分包数量の関係からインクの減少傾向を示す傾きg(減少傾向指数)を算出する。インク残量が所定値yとなった時に、傾きgに基づき現在のインク残量で印刷可能な包数xを算出する。傾きgは、分包紙Sのサイズや印刷フォーマットによって異なる。そのため、利用者によって1包あたりのインク使用量が異なったとしても、それに応じた傾きgにより残りのインクで印刷可能な包数xを算出することができる。利用者が、同じフォーマットを使用して連続して分包紙Sへの印刷を行う場合には、同一色の使用頻度が高くなる。また、数種の印刷フォーマットを反復して印刷する場合には、「赤青黄赤青黄」といった具合に特定色が繰り返し使用される。利用者によって異なるこれらの特定色の使用パターンもあらかじめ予測可能である。従って、利用者によって異なる色の使用頻度のパターンを含めて傾きgを算出し、現在のインク残量から分包可能な包数xを精度良く予測する。その結果、インクを極力最後まで使用可能とし、インクロスを最小限に抑制すると共に、利用者の業務中のインク交換回数を最小限に抑制できる。
[0175]
 また、上記に加え、印刷方法をいわゆる中抜き設定とすることで、インクの消耗を抑制することができる。中抜き設定は、印刷される文字や記号等の印刷情報をなす輪郭線の印刷濃度に対し、輪郭線によって囲まれた領域の印刷濃度が低くなるように印刷する印刷設定である。さらに具体的には、中抜き設定は、インクジェットにより印刷を行う場合に、ベタ印刷をせずに細かいドットやハッチングによって印刷する印刷設定である。これにより、インク使用量を節約することができる。
[0176]
≪ヘッドクリーニングのタイミング≫
 薬剤分包装置10の印刷部60には、上述のとおりインクジェット方式のプリンターが採用されている。インクジェット方式のプリンターでは、ノズル64の汚れによるインクのかすれ等を防止するため、所定のタイミングでヘッドクリーニングなどのメンテナンス動作を行う。ヘッドクリーニングのタイミングはいかなるタイミングで行われるものであってもよいが、処方と処方との間、すなわち分包が行われないタイミングを利用してヘッドクリーニングを行うよう印刷部60が制御されることが望ましい。このような制御を行うことにより、ヘッドクリーニングによるタイムロスを抑制しつつ、先の分包処理で形成される最終包と後の分包処理の先頭包との間に形成される空包部分をヘッドクリーニングに有効利用できる。
[0177]
≪乾燥抑制動作≫
 ここで、本実施形態の薬剤分包装置10により連続して薬剤の分包を行う場合、先述のとおり、分包対象である薬剤がカセット22より供給される。そのため、1包分の薬剤供給開始から薬剤供給が終了するまでの所定の時間中、ノズル64はインクが射出されていない状態となる。また、ノズル64が乾燥すると目詰まりを発生し、インクのかすれ等が生じる原因となる。そのため、本発明の薬剤分包装置10においては、印刷実施後所定の時間内にカセット22から薬剤の供給が終了しない場合には、インク射出部62に装着可能なキャップ(図示せず)等の乾燥防止部材を設けておき、インクの射出を行わないタイミングでノズル64を乾燥防止部材によって乾燥しないように保護する動作(以下「乾燥抑制動作」とも称す)を行うよう制御することが望ましい。印刷実施後、キャッピングを実行するまでの所定の時間は、印刷部60の装置特性や、インクの粘度、室内環境等によって異なるが、3~10秒以内とするのが望ましい。また、カセット22から供給される1包分の薬剤の錠数が多数となる場合には、先後の印刷間隔が長くなるため、分包紙Sへの印刷終了後すぐインク射出部62に対して乾燥抑制動作を行うよう印刷部60が制御されることが望ましい。
[0178]
≪紙管抵抗制御の改善≫
 次に、ロールセット部42の紙管抵抗制御について、図面を参照しつつ説明する。図17は薬剤分包装置10における分包紙Sの紙の流れを示した概略図である。図17に示すとおり、分包紙Sをロール状とした紙管Rは、ロールセット部42にセットされている。
[0179]
 ロールセット部42には、紙管Rに制動力を付与するためのモータ43(制動部)が設けられている。モータ43の出力調整を行うことにより、紙管Rに作用する制動力(紙管抵抗)の大きさを調整できる。具体的には、制御装置70から紙管抵抗制御用として出力されるアナログ出力信号に基づいてモータ43に作用させる印可電圧を変化させることにより制動力(紙管抵抗)を調整している。
[0180]
 包装部30には、一対のヒータローラ32,32と、モータ33,33(駆動部)とが設けられている。包装部30は、モータ33によってヒータローラ32,32を回転させ、二つ折りとされた分包紙Sをヒータローラ32,32間を通過させることにより、分包紙Sをシールして分包袋を成形できる。分包紙Sの紙送りが実行される間は、ヒータローラ32,32による分包紙Sのシール動作が行われる。一方、分包紙Sの紙送りが停止している間には、印刷部60により分包紙Sへの印刷が実施される。分包紙Sは、ヒータローラ32,32により分包紙Sを牽引搬送しつつ、ロールセット部42のモータ43のより紙管抵抗を加えることで、分包紙Sに一定の張力を作用させ得る。
[0181]
 図18には、ヒータローラ32の紙送りのタイミングと、ロールセット部42に作用する紙管抵抗との関係を時系列に示されている。図18に示すとおり、分包紙Sの紙送り開始と同時に、ロールセット部42の紙管抵抗が通常抵抗となるよう制御される。これにより、分包時は比較的低い張力で分包紙Sが搬送される。一方、紙送りが停止するのと同時に、ロールセット部42の紙管抵抗を高くして制動力を高める制御がなされる。そのため、分包紙Sに対する印刷時には、分包紙Sに十分な張力が与えられる。
[0182]
 上述のとおり、紙管抵抗はアナログ出力方式により制御されている。そのため、PWM方式による制御と比較して、ブレーキ停止信号についてPWM方式を採用した場合のようなタイムラグを抑制することができる。また、紙管抵抗を高くするための急激な電圧変更にも対応し得る。
[0183]
 ここで、上述したPWM方式による制御とアナログ出力方式による制御に関し比較検討すると、次のようになる。図19(a)は、PWM方式を採用した場合に制御装置70から出力される制御波形及びロールセット部42の紙管抵抗を示している。Hは制御装置70から出力されるパルス信号の波形、Qは紙管抵抗の電圧を示している。図19(a)に示すとおり、PWM方式による制御方法を採用した場合、所望のパルス幅を得て紙管抵抗がブレーキ抵抗となるまでに(ブレーキ完了)、所定の時間Jが必要となる。ロールセット部42のブレーキが完了するまでの所定の時間Jが経過する間に、紙管Rが惰性で回転する。そのため、図17に破線で示すとおり、時間J経過の間に供給された分包紙Sは、交差方向搬送部T1において弛みUとなる。
[0184]
 一方、図19(b)は、アナログ出力方式による制御を採用した場合に制御装置70から出力される制御波形及びロールセット部42の紙管抵抗を示している。制御装置70からの出力信号を受信した後、紙管抵抗が紙管Rの回転を停止させるために必要な大きさになるまでのタイムラグが殆ど無くなる。そのため、アナログ出力方式による制御を採用することにより、PWM方式の制御を採用した場合に生じる時間Jに相当するタイムラグを抑制できる。
[0185]
 このように、ロールセット部42のモータ43をアナログ出力方式により制御することで、ヒータローラ32の動作とのタイムラグを抑制してリアルタイムに制御することができる。そのため、紙送り動作が停止した後に紙管Rが惰性で回転して余分な分包紙Sが供給され、交差方向搬送部T1において分包紙Sが弛むことを抑制し、高品質な印字品質に貢献できる。一方、紙送りの実行中(分包中)には、ロールセット部42の紙管抵抗を低減させ、分包紙Sにシワや袋サイズが縮むといった問題を回避できる。すなわち、分包紙Sのシール時の分包品質及び印字品質のいずれについても高い品質を実現できる。
[0186]
≪印刷時の分包紙ばたつき防止≫
 上述のように、薬剤分包装置10は、分包紙Sに対して安定した印刷品質を得るため、交差方向搬送部T1において分包紙Sに十分な張力を確保している。このように分包紙Sへの印刷品質を確保するため分包紙Sに対して張力を与えるほか、分包紙Sを吸引装置によって吸引して、保持することも可能である。具体的には、印刷部60の下方であって交差方向搬送部T1に位置する分包紙Sの印刷面の裏面近傍に位置するよう、吸引装置を設けてもよい。分包紙Sに対する印刷時に、吸引装置が分包紙Sの印刷面裏面より分包紙Sを吸引する。これにより、分包紙Sが印刷時に安定して保持されて交差方向搬送部T1に位置し、分包紙Sの印刷時のたわみや弛み、ばたつきを抑制し、安定して印刷を行うことができる。
[0187]
≪薬剤情報印字についての活用≫
 一般的に、薬局等においては患者に対する調剤の処方と同時に、処方された薬剤に関する情報、例えば薬剤名称や薬剤写真等の情報をプリンター等により印刷されたものを患者に提供している。また、患者に処方された薬剤が分包された薬剤のみである場合であっても、これらの処方された薬剤情報を別途プリンター等により印刷し、患者に提供することが想定される。このような場合、薬剤師等が、分包対象である薬剤とこれらの印刷物とを照らし合わせ、該当患者のものであるか等の確認作業を行う必要がある。
[0188]
 上述のとおり、本発明の一実施形態にかかる薬剤分包装置10は、インクジェット方式による印刷方法を採用している。そのため、薬剤等の写真画像を分包紙Sに対して印刷できる。薬剤分包装置10によれば、薬剤が分包されていない1包又は複数包分の分包紙Sの空包に対して、分包対象である薬剤の情報を印刷し、これらの薬剤情報が印刷された分包紙Sの空包をプリンター等により印刷された薬剤情報に替えて患者に提供できる。これにより、上述したプリンター等による印刷物を別途準備する作業が軽減される。さらに、薬剤師等がこれらの印刷物に印刷された薬剤情報と分包対象である薬剤とが一致しているか、また該当患者に対して処方された薬剤であるか等を照らし合わせるための作業負担が軽減される。
[0189]
 また、上述したように分包対象である薬剤の写真画像を空包に印刷可能とする場合、その印刷形態を適宜選択可能であることが望ましい。具体的には、薬剤の写真画像を印刷する際のレイアウトを、ユーザーが列数や行数を設定することにより変更可能としても良い。また、処方された薬剤の用法が服用時期によって相違している場合(不均等用法の場合)には、服用時期毎に区別して薬剤の写真画像を印刷し、服用時期によらず用法が同一である場合(均等用法の場合)には、服用時期毎に区別することなく薬剤の写真画像を印刷するようにしても良い。具体的には、朝・昼・晩の3回に亘って薬剤を服用すべき場合に、朝・昼・晩の3回で用法が相違している場合には、朝に服用する薬剤の写真画像、昼に服用する薬剤の写真画像、及び晩に服用する薬剤の写真画像をそれぞれ区別して印刷すようにしても良い。一方、朝・昼・晩の3回で用法が同一である場合には、各服用時に服用する薬剤の写真画像を朝・昼・晩で区別することなく印刷するようにしても良い。さらに、不均等用法の場合には、薬剤の写真画像を服用時期の早い順番に服用時期毎に印刷するようにしても良い。
[0190]
 また、薬剤の写真画像を印刷する場合の印刷形態については、上述したもの以外にも種々の方法を採用することができる。具体的には、各薬剤毎の名称等の文字情報(以下「薬剤文字情報」とも称す)の印字に続いて写真画像を印刷する方法、分包されている各薬剤についての薬剤文字情報を纏めて印刷した後、各薬剤の写真画像を纏めて印刷する方法等の印刷形態で印刷可能としても良い。また、各薬剤の写真画像を纏めて印刷する方法においては、服用時期によらず各薬剤の写真画像を纏めて印刷する方法や、服用時期に応じて各薬剤の写真画像を分類して印刷する方法等を採用可能である。さらに、薬剤の写真画像と、分包されている実物の薬剤とを容易に判別可能とするための表示形態を採用可能としても良い。具体的には、薬剤の写真画像を枠線で囲む等して、写真画像と実物の薬剤とを容易に判別可能な印刷形態を採用可能としても良い。これらの印刷形態を適宜選択あるいは組み合わせ可能とすることにより、ユーザーの用途や趣向に応じた印刷形態で印刷可能となり、利便性が向上する。
[0191]
 上述した薬剤分包装置10において用いる分包紙Sは、いかなる材質で形成されたものであってもよいが、インクジェット方式のプリンターを印刷部60に採用したものであるため、インクの乗りや発色等を考慮して最適なものを選択することが望ましい。具体的には、分包紙Sは、基材となる樹脂製のフィルムや紙などのシート状素材の表面にインクを受容するのに適した受容層を設けたものとすることが望ましい。さらに詳細には、受容層として少なくとも1種のカチオン性の水溶性ポリマーを基材中又は基材上に設けたインク受容層中に含有したものであることが好ましい。さらに詳細には、受容層には、カチオン性のポリマーにポリアリルアミン誘導体を配合したものなどが好適に利用可能である。
[0192]
≪薬包分割処理に係る薬包へのライン印刷≫
 続いて、同時に服用すべき薬剤を連続する複数の分包袋に分けて分包する処理(薬包分割処理)及び薬包分割処理による運用について説明する。薬包分割処理により薬剤が複数の分包袋に分けて分包される場合、患者による薬剤の服用漏れを防止する等の観点から、分包袋に対して分割数が分かるような識別情報を付すことが望ましい。具体的には、例えば薬包分割処理が2包に亘る場合であれば「1/2」、「2/2」とそれぞれの分包袋に印字を行い、薬包分割処理に係る一連の分包袋であることを識別可能とすることが望ましい(図20(a)参照)。
[0193]
 また、上述したように分割数を文字等で記載することに加えて、あるいは文字等で記載することに代えて、薬包分割処理に係る分包袋に亘ってラインなどの識別情報(薬包分割識別情報)を付すようにしても良い。具体的には、図20(b)に示すように、薬包分割処理による分包袋P1,P2に対して、分割数(1/2,2/2など)を印刷すると同時に、分包袋P1,P2に亘って印刷される薬包分割識別ライン250(薬包分割識別情報)を印刷するようにしても良い。
[0194]
 薬包分割識別ライン250(薬包分割識別情報)は、図20(b)に示すとおり、分包紙Sの搬送方向に延びるラインとされている。図20(b)には、薬包分割識別ライン250が、薬包分割処理に係る2包の分包袋P1,P2対して印刷された分包袋Pの一例を示している。図20(a),(b)に比較して示すとおり、分割数の文字列(1/2,1/2)だけが印刷された分包袋Pよりも、薬包分割識別ライン250が印刷された分包袋P1,P2は、一連の薬包であることを視覚的に認識しやすくなる。
[0195]
 このように、薬剤分包装置10は、薬包分割処理を行う場合に薬包分割識別ライン250を印刷することにより、薬包分割に係る分包袋P1,P2であることを直感的に認識可能としている。これにより、患者が高齢者である場合等、比較的容易に薬包分割に係る一連の分包袋Pであることを認識することができる。
[0196]
 なお、図20(b)に示す例においては、薬包分割識別情報として薬包分割識別ライン250を採用した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、図20(c)や図20(d)のように文字や模様などの識別情報を複数の分包袋に亘って一連となるように印刷したものを薬包分割識別情報としても良い。また、薬包分割識別ライン250などの薬包分割識別情報は、図20(b)に示すように薬包の幅方向全体に印刷されている必要はなく、例えば図20(e)のように薬包の境界部分において連続する分包袋に亘って印刷するようにしても良い。
[0197]
 なお、図20に示す例においては、薬包分割処理により形成された複数の分包袋に亘って(跨がって)薬包分割識別ライン250などの薬包分割識別情報を付した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、薬包分割処理により形成された複数の分包袋に、薬包分割処理に係る分包袋である旨を記す文字や記号などの情報を印刷するようにしても良い。具体的には、図21(a)に示す薬包分割識別情報Mのような記号や文字等を印刷するようにしても良い。かかる構成とした場合についても、比較的容易に薬包分割に係る一連の分包袋Pであることを認識することができる。
[0198]
 また、上述した薬包分割識別情報は黒色などの無彩色で印刷することも可能であるが、有彩色で印刷すれば、視認性や識別性をより一層向上させうる。また、薬剤を分包した分包袋を撮影した画像に基づいて自動あるいは半自動で行う鑑査装置のように、画像解析により薬包分割識別情報が付されたものであるか否かを識別する必要がある場合には、有彩色により薬包分割識別情報を印刷することにより、識別精度や識別速度をより一層向上させうる。
[0199]
 具体的には、薬包分割処理により形成された複数の分包袋に対し、薬包分割識別情報を有彩色で印刷した場合、上述した画像解析に際して、輝度、彩度、色相の三要素の観点から薬包分割識別情報であるか、薬剤や異物などの薬包分割識別情報以外のものであるかを容易かつ精度良く判別可能となる。従って、薬包分割識別情報を有彩色で印刷すれば、鑑査装置などで行われる画像解析の精度や速度を向上させうる。
[0200]
 また、薬包分割処理を複数回行った場合には、複数の分包袋からなる分包袋群が複数群形成される。このような場合には、分包袋群の識別が可能なように、分包袋群毎に薬包分割識別情報の色や形状、内容等を相違させることが望ましい。具体的には、例えば図21(b)に示す薬包分割識別情報M1,M2のように分包群毎に異なるものを印刷することが望ましい。これにより、分包袋群同士の識別が明確になり、異なる分包群をなす分包袋の薬剤を誤って服用してしまう等の問題を未然に防止できる。
[0201]
 また、薬剤分包装置10では、同時に服用すべき薬剤が単一の分包袋Pに同封することにより性質の変化が生じると規定されている薬剤が処方されている場合、上述した薬剤分割処理を実行することが好ましい。分包対象を散薬とする場合において、単一の分包袋Pに同封すると、変色、変質、効力低下などの薬剤の性質変化(配合変化)が生じる可能性がある組み合わせの薬剤が一服用分として処方される場合がある。具体的には、アルカリ性の薬剤と酸性の薬剤とが分包対象である薬剤として処方されている場合などは、配合変化が生じるおそれがある。そのため、上述した薬剤分割処理を実行して別々に分包するように処方の処理方法を変更し、配合変化が懸念される薬剤が同一包に分包されるのを回避することが好ましい。
[0202]
 このように、配合変化を理由として薬包分割処理が実行され、同時に服用すべき複数種類の薬剤が複数の分包袋に対して分包された場合にも、薬包分割識別情報として薬包分割識別ライン250などを付すようにすれば、これらの分包袋Pを患者等が容易に認識し得る。これにより、患者が同時に服用すべき薬剤を飲み忘れることを抑制することが期待される。
[0203]
≪合成画像形成処理について≫
 続いて、本発明の薬剤分包装置10における合成画像形成処理について、図22及び図23を参照しつつ説明する。薬剤分包装置10は、薬剤画像データベース86より所定の画像を選択して合成画像530を形成し、合成画像530を分包紙Sに対する印刷対象とすることができる。以下、合成画像形成処理について具体的に説明する。
[0204]
 上述のとおり、薬剤画像データベース86は、薬剤の外観を示す画像をデータベース化したものである。薬剤画像データベース86は、実画像データベース87及びイメージ画像データベース88を備えている。
[0205]
 実画像データベース87は、薬剤の外観写真画像である実画像520をデータベース化している。実画像520は、薬剤の外観色が判別可能となるような画像とされている。
[0206]
 イメージ画像データベース88は、薬剤の外観を輪郭線等により再現したイメージ画像510をデータベース化したものである。イメージ画像510には、薬剤の外観を輪郭線により再現した輪郭線512の他、薬剤に付されている印字又は刻印に係る情報を文字又は線画として再現した識別コード情報514が含まれる。
[0207]
 合成画像形成処理は、先ず分包対象である薬剤に係るイメージ画像510及び実画像520を、イメージ画像データベース88及び実画像データベース87より、それぞれ選択する。続いて、選択されたイメージ画像510の輪郭線512内の領域516の色彩を、領域516に対応する実画像520中の領域の色彩と合わせて合成画像530が形成される。
[0208]
 次に、図面を参照しつつ合成画像形成処理の具体例について説明する。図22は、カプセル錠である薬剤の合成画像形成処理が実行される場合の合成画像530aの形成イメージを示している。合成画像530aは、先ず分包対象である薬剤のイメージ画像510a及び実画像520aが、イメージ画像データベース88及び実画像データベース87より、それぞれ選択される。続いて、イメージ画像510aの輪郭線512aに含まれる領域516aの色彩として、実画像520a中の領域516aに対応する領域における色彩である外観色522aが抽出される。次に、イメージ画像510aのうち領域516aに対して外観色522aが配され、合成画像530aが形成される。
[0209]
 薬剤がカプセル錠である場合、実画像520aにおいては薬剤の外観に付された印字が薬剤の側面で切れてしまい、これらの印字を完全に確認できない。一方、イメージ画像510aにおいては、識別コード情報514として文字情報により再現され、薬剤の外観に付された文字全体を文字情報として目視することができる。合成画像530aにおいては、これらの識別コード情報514に加えて外観色522aが配されることにより、見やすくリアルな画像として合成される。
[0210]
 図23は、薬剤が素錠である場合の合成画像530bの合成画像形成処理イメージを示している。実画像520bを分包紙Sに印刷した場合では、素錠の外観に付された刻印が写真画像として再現されるため、薬剤の影の濃淡により刻印の内容を判別することが困難となる。一方、イメージ画像510bとの合成による合成画像530bでは、識別コード情報514bにより線画として表現された刻印が鮮明に再現される。
[0211]
 このように、合成画像530を印刷対象画像とすることにより薬剤の外観色、輪郭、識別コード等がリアルに分包紙Sに再現される。その結果、目視による鑑査において、画期的な改善が見込まれる。なお、薬剤の印刷対象画像は、合成画像530を用いずに実画像520又はイメージ画像510のいずれかを用いることとしてもよい。
[0212]
≪インクの乾燥不良防止のための分包紙搬送速度切り替え≫
 薬剤分包装置10は、いわゆるインクジェット方式の印刷部60を備えたものである。そのため、印刷対象とされた画像等が印刷に際してインクを多く使うものであるなどして、インクが乾燥するまでに時間を要する場合が想定される。また、インクが十分に乾燥していない乾燥不良の状態で分包紙が次工程に送られると、様々な不具合の原因となる懸念がある。インクの乾燥不良による不具合の発生を抑制すべく、薬剤分包装置10は、印刷部60による印刷後、次工程に到達するまでの間にインクが乾燥するように、インクの使用量に応じて分包紙Sの搬送速度を変化させるなどすることが好ましい。具体的には、通常の搬送速度で分包紙Sを搬送すると、乾燥不良のまま分包紙が印刷の次工程に到達する懸念があるような画像である場合には、分包紙の搬送速度を低下させるよう分包紙Sの搬送速度の切り換えを可能としている。
[0213]
 インクの乾燥不良が懸念されるか否かは、分包紙Sに印刷される所定の画像の画素数が所定の閾値を超えるか否かを判断することにより行う。
[0214]
 本実施形態に係る薬剤分包装置10では、インクの乾燥不良のおそれの有無は、先ず所定の印刷画像を所定のビットマップファイルとして読み込み、ビットマップファイルの輝度及び画素数をヒストグラムとして算出する。次いで、算出されたヒストグラムにおいていずれかの輝度における画素数が、任意で設定された閾値以上である場合、同じ色が多く使用されており、インクの乾燥不良が生じる可能性が高い印刷内容であると判断される。インクの乾燥不良が生じる可能性が高い印刷内容であると判断されると、印刷制御部84により分包紙Sの搬送速度を下げるよう制御される。
[0215]
 以下、薬剤分包装置10の分包紙Sの搬送速度切り替えについて、図24のフローチャートに沿って具体的に説明する。
[0216]
(ステップ2-1)
 先ずステップ2-1において、分包紙Sへの印刷対象として選択された所定の画像をビットマップファイルとして読み込む。その後、制御フローはステップ2-2に進められる。
[0217]
(ステップ2-2)
 続いて、ステップ2-1において読み込まれたビットマップファイルについて、前記ビットマップファイルについて輝度ごとの画素数がヒストグラムとして算出される。その後制御フローはステップ2-3に進められる。
[0218]
(ステップ2-3)
 ステップ2-2において算出されたヒストグラムにおいて、いずれかの輝度において画素数が所定の閾値を超えているか否かが評価される。いずれかの輝度において画素数が閾値を超えていると評価された場合は、同じ色を多く使用しており、インクの乾燥不良が生じる可能性が高い印刷画像であると判断され、制御フローはステップ2-4に進められる。一方、いずれの輝度においても画素数が閾値未満であると評価された場合は、インクの乾燥不良が生じるおそれは低いと判断され、制御フローはステップ2-5に進められる。
[0219]
(ステップ2-4)
 ステップ2-4においては、搬送速度を下げて分包紙Sが搬送されるよう制御され、一連の制御フローは完了する。
[0220]
(ステップ2-5)
 ステップ2-5においては、分包紙Sの搬送速度を通常の搬送速度とするよう制御され、一連の制御フローは完了する。
[0221]
 図25は、分包紙Sへの印刷対象画像及び算出されたヒストグラムを示している。図25(a)は、印刷対象画像をビットマップで表現したビットマップ画像420、図25(b)は、ビットマップ画像420の輝度値を横軸とし、前記輝度値に対応した画素の数を縦軸としたヒストグラムとして算出されたものを示すグラフである。
[0222]
 図26には、ベタ塗り部分の少ない画像及びベタ塗り部分が多い画像、それぞれのヒストグラムを比較して示している。図26(a)に示すビットマップ画像420aは、印刷対象画像全体に対してベタ塗り箇所が少なく、いずれの輝度においても閾値を超える値は存在しない。この場合、同じ色は多く使用されていないためインクの乾燥不良が生じる可能性は低いと判断され、分包紙Sは通常の速度により搬送される。
[0223]
 一方、図26(b)に示すビットマップ画像420bは、印刷対象画像全体に対してベタ塗り箇所が多く存在し、画素数が閾値を超える輝度が存在している。この場合、印刷対象画像に同じ色が多く使用されているためインクの乾燥不良が生じる可能性が高いと判断され、分包紙Sは速度を下げて搬送される。
[0224]
 このように、薬剤分包装置10は、印刷対象画像の輝度及び画素数をヒストグラムとして算出し、画素数が所定の閾値以上であるか否かにより、インクが乾燥しにくくベタ付く可能性が高い印刷対象画像を抽出して、分包紙Sの搬送速度を切り替え可能としている。これにより、印刷対象画像の内容により印刷速度を変化させることが可能となる。その結果、これらの画像の印刷に際し印刷が乾燥する時間を作ってインクの乾燥不良を抑制しつつ、効率的な運用を行うことができる。
[0225]
 なお、上述した閾値は、ユーザーの任意により設定することができる。また、色ごとに異なる閾値を設定してもよい。所定のビットマップファイルとして読み込む印刷対象画像は、1包分の分包紙Sのうち所定の領域としてもよいし、1包分の分包紙S全体をビットマップファイルとして読み込むものとしてもよい。
[0226]
 また、本実施形態では、印刷対象である画像のHSL情報のうち、輝度(Lightness)情報を指標としてインクの乾燥不良の発生可能性を推定し、分包紙Sの搬送速度を調整する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、印刷対象である画像のHSL情報のうち、他の成分である色相(Hue)・彩度(Saturation)をインクの乾燥不良の発生可能性を推定するための指標としても良い。また、印刷対象である画像のHSL情報に代えて、RGB情報をインクの乾燥不良の発生可能性を推定するための指標として採用し、分包紙Sの搬送速度を調整するようにしても良い。
[0227]
≪薬剤区分認識情報の印刷について≫
 続いて、薬剤区分を識別するための情報を分包紙Sに対して印刷する場合について説明する。薬剤分包装置10は、分包対象である薬剤が所定の薬剤区分に属すものであることを条件として、所定の薬剤区分の認識を可能とする情報(薬剤区分識別情報)を分包紙Sに対して印刷することができる。
[0228]
 薬剤区分は、薬剤の属性、例えば劇薬、毒薬、麻薬、抗生物質、抗癌剤、血液製剤、向精神薬等の属性に基づいて薬剤を区分した情報である。薬剤区分は、薬剤に関する情報をデータベース化した薬剤データベースに蓄積されている情報を用いることができる。薬剤データベースには、薬剤毎に薬剤区分に関する情報、すなわち薬剤区分の種類、これらの薬剤区分毎の優先順位等が蓄積されている。
[0229]
 上述した薬剤区分を認識可能とするための情報(薬剤区分認識情報)は、図27(a),(b)に示すとおり、印刷領域326に対して印刷可能とされている。薬剤区分認識情報324は、印刷領域326に対して印刷され、目視により認識可能となる。
[0230]
 印刷領域326は、薬剤画像322eを取り囲む矩形の枠線形状として設けられる。図27(a)に示すとおり、印刷領域326には、薬剤区分認識情報324を印刷することができる4つの印刷区間が設けられている。すなわち、印刷領域326は、周方向に4つの印刷区間、第一印刷区間328a、第二印刷区間328b、第三印刷区間328c及び第四印刷区間328dを備えている。
[0231]
 薬剤区分認識情報324は、上述した印刷領域326に印刷される。図27(b)に示すとおり、薬剤区分認識情報324は、分包紙Sに対して薬剤区分認識情報324が印刷された状態において薬剤画像322eの周囲を取り囲むように印刷される。これにより、薬剤画像322eとして印刷された薬剤が所定の薬剤区分に属することを直感的に認識可能となる。
[0232]
 また、薬剤区分識別情報324は、薬剤区分に応じてあらかじめ設定された印刷色により印刷される。これにより、薬剤画像322eとして印刷された薬剤に係る薬剤区分の種別を認識することができる。
[0233]
 なお、これらの薬剤区分に応じた印刷色は、先述した印刷フォーマット設定画面160への操作を通じて設定可能としてもよい。
[0234]
 印刷領域326には、上述した4つの印刷区間に対して、異なる薬剤区分識別情報324を最大4種印刷することができる。すなわち、分包対象とされた1つの薬剤が複数の薬剤区分に属する場合には、これらの複数の薬剤区分が、薬剤区分に応じた設定色によりそれぞれ第一印刷区間328a、第二印刷区間328b、第三印刷区間328c及び第四印刷区間328dへと印刷される。
[0235]
 次に、薬剤区分の優先順位に応じた薬剤区分認識情報324の印刷方法について説明する。上述のとおり、薬剤区分にはその種類に応じて予め優先順位が設定されている。薬剤分包装置10は、分包対象とされた1つの薬剤が複数の薬剤区分に属する場合には、薬剤区分の優先順位が高いものを最大4種選択する。これらの選択された薬剤区分は、薬剤区分に応じて予め設定された印刷色により薬剤区分認識情報324として印刷領域326に印刷される。
[0236]
 分包対象とされた1つの薬剤が5種以上の薬剤区分に属する場合には、薬剤区分の優先順位が高い順から4種の薬剤区分が選択される。これらの4種の薬剤区分に対応する4つの薬剤区分識別情報324a,324b,324c,324dは、それぞれ設定された印字色により、第一印刷区間328a、第二印刷区間328b、第三印刷区間328c及び第四印刷区間328dに対して印刷される。
[0237]
 図面を参照しつつ、複数の薬剤区分に属する薬剤に係る薬剤区分識別情報324の印刷について説明する。図28(a)は、4つの薬剤区分に属する薬剤に係る薬剤区分認識情報324の印刷例である。図28(a)に示すとおり、薬剤区分識別情報324は、4つの薬剤区分に応じた印刷色により、薬剤区分認識情報324a,324b,324c,324dとして印刷される。また、これらの薬剤区分認識情報324a,324b,324c,324dは、第一印刷区間328a、第二印刷区間328b、第三印刷区間328c及び第四印刷区間328dに対して印刷される。これにより、1つの薬剤が属する4つの薬剤区分を識別することができる。
[0238]
 図28(b)は、分包対象とされた1つの薬剤が2つの薬剤区分に属する場合の薬剤区分認識情報324の印刷例である。分包対象とされた薬剤が2つの薬剤区分に属する場合には、2つの薬剤区分識別情報324a、324bが印刷領域326に対して印刷される。具体的には、第一印刷区間328a及び第三印刷区間328cには薬剤区分識別情報324aが、第二印刷区間328b及び第四印刷区間328dには、薬剤区分識別情報324bが印刷される。このように、2つの薬剤区分に係る薬剤区分識別情報324a,324bが薬剤画像322eを取り囲むように印刷される。
[0239]
 図28(c)は、分包対象とされた1つの薬剤が3つの薬剤区分に属する場合の薬剤区分認識情報324の印刷例である。3つの薬剤区分に係る薬剤区分識別情報324a,324b,324cが印刷領域326に印刷される。薬剤区分識別情報324a,324b,324cは、それぞれに係る薬剤区分が、第一、第二、第三の優先順位として選択されている。
[0240]
 薬剤分包装置10は、分包対象とされた薬剤が3つの薬剤区分に属する場合には、優先順位の最も高い薬剤区分に係る薬剤区分識別情報324aを第一印刷区間328a及び第三印刷区間328cの2つの印刷区間に対して印刷する。そして、第二の優先順位として選択された薬剤区分に係る薬剤区分識別情報324bを第二印刷区間328bへ、第三の優先順位として選択された薬剤区分に係る薬剤区分識別情報324cを第四印刷区間328dへと、それぞれ印刷する。このように、3つの薬剤区分に属する薬剤に係る薬剤区分認識情報324が、薬剤画像322eを取り囲むように印刷される。
[0241]
 このように、薬剤分包装置10は、4つに区画された印刷領域326に対してそれぞれの区画に対して異なる薬剤区分認識情報324を印刷可能としている。これにより、分包対象とされた薬剤が複数の薬剤区分に属する場合において、これらの薬剤区分を認識可能としている。これにより、複数の薬剤区分に属する薬剤について、これらの薬剤区分に関する情報を目視可能とし、薬剤の取扱者に対して複数の薬剤区分に応じた注意喚起を行うことが可能となる。
[0242]
 なお、本実施形態においては最大4つの薬剤区分識別情報324を印刷領域326に対して印刷可能とした例を示したが、印刷領域326を丸型又は多角形の枠線形状として5以上の印刷区間を設けてもよい。
[0243]
≪分包停止時の印字隙間の改善≫
 次に、薬剤分包装置10において、分包動作が停止した場合に想定される印刷隙間の改善について説明する。薬剤分包装置10では、分包紙Sを搬送しつつ、印刷から薬剤の供給、さらに分包袋Pへの形成までの一連の動作が行われる。この一連の動作の中で、包装部30においては二つ折りにされた分包紙Sがヒータローラ32によりシールされ、分包袋Pへと形成される。
[0244]
 ここで、薬剤分包装置10では、上述した分包紙Sへの印刷から分包袋Pの形成までの一連の動作中に、薬剤を手撒きする場合の作業待ちや薬剤の欠品等により、分包動作を一旦停止させる必要が生じる場合がある。薬剤分包装置10は、分包動作が停止すると、分包紙Sの印刷動作及び搬送動作も停止するよう制御される。
[0245]
 分包紙Sの分包動作及び印刷動作が停止すると、ヒータローラ32の熱の影響により、ヒータローラ32と接触している位置において分包紙Sが少しずつ縮む。そうすると、印刷部60に隣接して位置している分包紙Sが包装部30の方向に引っ張られる。分包紙Sが包装部30の方向に引っ張られたまま所定の時間が経過した後印刷動作が再開されると、印刷領域のうち印刷停止直前に印刷された部分と印刷が再開された部分との間に、分包紙Sの縮みに起因して印刷の隙間、すなわち印刷領域中に印刷がされていない一定幅の隙間(印刷隙間)が生じる(図31参照)。
[0246]
 分包紙Sへの印刷対象としては、二次元バーコード等の光学的識別情報が選択されることが想定される。光学識別情報が分包紙Sに印刷される場合、上述した分包紙Sの縮みに起因する印刷の隙間は、バーコードリーダーなどの読取装置により読み取り可能な程度に抑制されることが好ましい。かかる課題を解決すべく、薬剤分包装置10は、分包紙Sの縮みに起因する印刷の隙間が光学識別情報の読み取りに支障が生じない、読み取りに耐えうる程度のものとするための印刷制御を実行可能なものとすることが望ましい。
[0247]
 上記した課題を解決すべく、分包動作の停止から再開されるまでの間合いに、所定のタイミングで分包袋の全長に対して微小な長さ分だけ分包紙Sへの印刷(間合印刷)を実行するようにしても良い。これにより、二次元バーコードを印刷中に分包動作が停止して二次元バーコードに印刷隙間が生じた場合においても、読み取りに耐えうる二次元バーコードとして印刷できる。以下、薬剤分包装置10の間合印刷の流れについて具体的に説明する。
[0248]
 薬剤分包装置10は、図30のタイミングチャートに示すとおり、分包動作停止から再開までの期間内において所定のタイミングで2回の間合印刷が実行される。薬剤分包装置10は、分包動作が一旦停止した場合、印刷動作も一旦停止させ、分包動作停止から時間E1経過のタイミングで第1の間合印刷が開始される。
[0249]
 間合印刷においては、分包紙Sに対する距離V(所定距離)の印刷が実行される。第1の間合印刷実行完了から所定時間E2経過のタイミングにおいて分包動作が再開されていない場合(分包停止状態)には、第2の間合印刷が実行される。さらに第2の間合印刷実行完了から時間E3経過のタイミングにおいて分包停止状態である場合には、間合印刷が行われた分包紙Sにより形成される分包袋Pを薬剤の供給が行われない空包として形成する。
[0250]
 なお、上述した時間E1,E2は適宜設定することが可能であるが、図31に示すように二次元バーコード等の光学的識別情報を印刷する場合には、光学的識別情報の読取精度を考慮して設定することが可能である。具体的には、図31(a)に示す印刷隙間240aのように幅x以上の隙間が形成されると光学的識別情報の読取ができなくなる場合には、この幅x分の印刷隙間が形成されるのに要すると想定される時間を指標として時間E1,E2を設定することが可能である。本実施形態では、時間E1は1分と設定されている。また、時間E1の経過後、間合印刷に伴って分包袋を形成することによりヒータローラ32の熱が奪われる等の理由により、分包動作停止、最初の間合印刷がなされるまでの時間E1における分包紙の収縮量よりも、次の間合印刷がなされるまでの時間E2、あるいは時間E3における分包紙の収縮量の方が少なくなるものと想定される。このような現象が想定される場合には、時間E1に比べて、時間E2や時間E3を長く設定することも可能である。かかる知見に基づき、本実施形態では、時間E2及び時間E3は10分と設定されている。なお、時間E1~E3については、上述したような現象や、他の現象などを考慮に入れ、適宜設定可能である。また、間合印刷を行う幅(距離V)についても、適宜設定可能である。本実施形態では、距離Vは3~4mmとして設定されている。
[0251]
 間合印刷について、以下図面を参照しつつ詳細に説明する。図29は、間合印刷の実行手順を示すフローチャートである。以下、フローチャートに沿って間合印刷について説明する。
[0252]
(ステップ3-1)
 先ず、ステップ3-1においては、分包動作が停止中であるか否かの判断がなされる。分包動作が停止中であると判断されると、制御フローはステップ3-2に進められる。一方、分包動作が停止中ではないと判断された場合には、一連の制御フローが完了する。
[0253]
(ステップ3-2)
 ステップ3-2においては、分包停止後、所定のタイミングに達したか否かが確認される。具体的には、ステップ3-2においては、分包動作停止から時間E1が経過したか否かの判断がなされる。分包動作が一旦停止してから時間E1が経過したと判断された場合には、制御フローはステップ3-3に進められる。一方、時間E1経過前に分包動作が開始された場合、制御フローはステップ3-8へと進められる。
[0254]
(ステップ3-3)
 ステップ3-3においては、分包紙Sに対して第1の間合印刷が実行される。間合印刷においては、分包紙Sの距離Vが搬送されつつ印刷が行われる。第1の間合印刷が完了すると、制御フローはステップ3-4に進められる。
[0255]
(ステップ3-4)
 ステップ3-4においては、分包動作が停止したままの状態(分包停止状態)で時間E2が経過したか否かの判断がなされる。分包停止状態のまま、第1の間合印刷完了から時間E2が経過したと判断された場合には、制御フローはステップ3-5に進められる。一方、第1の間合印刷完了から時間E2が経過するまでに分包動作が再開された場合には、制御フローはステップ3-8へと進められる。
[0256]
(ステップ3-5)
 ステップ3-5においては、第2の間合印刷が実行される。分包紙Sに対して第二間合印刷が完了すると、制御フローはステップ3-6に進められる。
[0257]
(ステップ3-6)
 ステップ3-6においては、分包停止状態で時間E3が経過したか否かの判断がなされる。分包停止状態のまま、第2の間合印刷完了から時間E3が経過したと判断された場合には、制御フローはステップ3-7に進められる。一方、第2の間合印刷完了から時間E2が経過するタイミングまでに分包動作が再開された場合には、制御フローはステップ3-8に進められる。
[0258]
(ステップ3-7)
 ステップ3-7においては、ステップ3-1~ステップ3-6に亘る手順において第1及び第2の間合印刷が実行された分包紙Sが、空包として形成され、一連の制御フローが完了する。
[0259]
(ステップ3-8)
 ステップ3-8においては、間合印刷が解除される。間合印刷が解除されると、制御フローはステップ3-9に進められる。
[0260]
(ステップ3-9)
 ステップ3-9においては、分包動作の停止状態が解除されて、通常の印刷動作が開始される。すなわち、第2間合印刷が完了した時点の印刷対象の印刷を再開する。これにより、一連の制御フローが完了する。
[0261]
 続いて、間合印刷の有無によって生じる印刷隙間の幅について図面を参照しつつ説明する。図31(a),(b)は、分包紙Sに対して二次元バーコードを印刷した場合において、間合印刷の実行有無によって生じる印刷隙間の幅を比較したイメージ図である。
[0262]
 図31(a)に示す印刷隙間240aは、間合印刷を実行せず、分包動作停止から10分経過後に分包動作及び印刷が開始された場合に形成されたものである。
[0263]
 図31(b)に示す印刷隙間240b,240cは、間合印刷が実行された場合に形成されたものである。印刷隙間240b,240cは、時間E1を1分に、距離Vを3~4mmに、時間E2及び時間E3を10分として間合印刷が実行され形成されている。印刷隙間240b,240cの幅x1,x2は、上述した印刷隙間240aの幅xよりも小さい(x1,x2<x)。
[0264]
 印刷隙間240aが形成された二次元バーコードは、幅xが大きく、所定の光学的読取機器により読み取りを行うことができない。一方、印刷隙間240b,240cのように、比較的細い隙間2~3本が形成されている二次元バーコードであれば、バーコードの読み取りを行うことができる。すなわち、間合印刷は、印刷隙間240b,240cの幅x1,x2がバーコードリーダーの読み取り精度を基準として設定される所定の隙間の大きさよりも小さくなるようにタイミング調整して実施される。
[0265]
 上述の間合印刷実行により、分包動作が停止した場合でも、図31に示すように印刷隙間240を最大3本の細い隙間に分けて印刷をすることができる。これにより、印刷対象に二次元バーコード等光学的識別情報が含まれる場合であっても、読み取り可能な画像として印刷を行い得る。
[0266]
 また、間合印刷完了から所定のタイミングまでに分包動作が再開されない場合、上述のように空包形成が行われる。これにより、必要以上に間合印刷の実行が繰り返されることを回避しつつ、分包動作の開始を待機し、読み取り可能な二次元バーコードを印刷することができる。
[0267]
 上述した間合印刷は、本実施形態においては、最大3本の印刷隙間240とするよう、所定期間内に最大2回の間合印刷が実行されることとしたが、本発明に係る薬剤分包装置10はこれに限定されない。
[0268]
 すなわち、間合印刷は、1回のみ実行されることとしてもよいし、あるいは3回以上実行されるよう設定してもよい。また、上述の実施例において、時間E1を1分間、時間E2及び時間E3を10分とした例を示したが、時間E1、時間E2及び時間E3はこれに限定されない。すなわち、時間E1,E2,E3は、分包紙の搬送速度やヒーターロータ32の温度、あるいは分包紙Sの性質等に応じて設定する等、種々選択可能である。さらに、距離Vについても任意で設定可能である。本実施形態における薬剤分包装置10は、間合印刷及び空包形成のいずれも実行可能である例を示したが、間合印刷のみを実行可能としてもよいし、またいずれも設定しないものとしてもよい。
[0269]
 以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想の範囲内で種々の設計変更が可能であり、それらは全て本発明に含まれるものである。

産業上の利用可能性

[0270]
 本発明は、薬剤を分包して払い出す薬剤分包装置全般において好適に利用できる。

符号の説明

[0271]
  10  薬剤分包装置
  20  薬剤供給部
  30  包装部
  32  ヒータローラ
  33  駆動モータ
  40  分包紙搬送部
  42  ロールセット部
  43  モータ(制動部)
  46  第一搬送方向切替部
  48  第二搬送方向切替部
  50  搬送ローラ
  52  中間部
  54  両端部
  56  付勢部
  60  印刷部
  62  インク射出部
  64  ノズル
  66  ラインノズル列
  80  処方情報入力部
  82  色覚情報入力部
  84  印刷制御部
  86  薬剤画像データベース
  87  実画像データベース
  88  イメージ画像データベース
 250  薬包分割識別ライン(薬包分割識別情報)
 324  薬剤区分識別情報
 326  印刷領域
 328a 第一印刷区間
 328b 第二印刷区間
 328c 第三印刷区間
 328d 第四印刷区間
 510  イメージ画像
 522  外観色(外観色情報)
 530  合成画像
   S  分包紙
   T  搬送経路
   T1 交差方向搬送部

請求の範囲

[請求項1]
 処方にあわせて薬剤を供給可能な薬剤供給部と、
 前記薬剤供給部から供給された薬剤を分包する包装部と、
 前記包装部に向けて所定の搬送経路により分包紙を搬送する分包紙搬送部と、
 前記分包紙に所定の情報を印刷可能な印刷部とを有し、
 前記印刷部が、インクを射出可能とされたインク射出部を有し、
 前記搬送経路が、
 前記インクの射出方向に対して交差する方向に前記分包紙を搬送する交差方向搬送部と、
 前記交差方向搬送部に対して前記分包紙の搬送方向上流側において前記分包紙の搬送方向を変化させる第一搬送方向切替部と、
 前記交差方向搬送部に対して前記分包紙の搬送方向下流側において前記分包紙の搬送方向を変化させる第二搬送方向切替部とを有し、
 前記交差方向搬送部に対して上方に所定距離だけ離れた位置に前記インク射出部が配置されていることを特徴とする薬剤分包装置。
[請求項2]
 前記交差方向搬送部において前記分包紙に対して張力が作用するように前記分包紙を付勢する付勢部を有することを特徴とする請求項1に記載の薬剤分包装置。
[請求項3]
 前記付勢部が、前記第一搬送方向切替部よりも搬送方向上流側に位置することを特徴とする請求項2に記載の薬剤分包装置。
[請求項4]
 前記分包紙搬送部において前記分包紙に当接する搬送ローラを有し、
 前記搬送ローラが、前記分包紙の搬送方向と交差する方向に軸線方向が向くように配置されており、軸線方向中間部の外径が両端部の外径よりも小さいことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項5]
 前記インク射出部が、前記分包紙搬送部による前記分包紙の搬送方向と交差する方向に配列されている複数のノズルからなるラインノズル列を具備したものであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項6]
 処方情報が入力される処方情報入力部と、
 薬剤の画像を蓄積した薬剤画像データベースと、
 前記印刷部の制御を行う印刷制御部とを有し、
 前記印刷制御部により、前記処方情報に基づいて分包対象である薬剤の画像が前記薬剤画像データベースから選択され、選択された薬剤の画像を前記分包紙に印刷するように前記印刷部が制御されることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項7]
 処方情報が入力される処方情報入力部と、
 患者の色覚異常の有無に係る色覚情報が入力される色覚情報入力部と、
 前記印刷部の制御を行う印刷制御部とを有し、
 前記印刷制御部により、前記色覚情報に基づいて分包対象である薬剤が色覚異常を有する患者の処方であるか否かの判定がなされ、色覚異常を有する患者の処方である場合に当該患者が識別困難な色を除く色により前記分包紙に印刷するように前記印刷部が制御されることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項8]
 処方情報が入力される処方情報入力部と、
 医療機関における病棟に関する病棟情報が蓄積される病棟情報データベースと、
 前記印刷部の制御を行う印刷制御部とを有し、
 前記印刷制御部により、前記処方情報に基づいて分包対象である薬剤が処方されている患者に関する前記病棟情報が特定され、前記病棟情報毎に予め設定された病棟情報特定色により印刷情報を印刷するように前記印刷部が制御されることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項9]
 処方情報が入力される処方情報入力部と、
 施設に関する施設情報が蓄積される施設情報データベースと、
 前記印刷部の制御を行う印刷制御部とを有し、
 前記印刷制御部により、前記処方情報に基づいて分包対象である薬剤が処方されている患者に関する前記施設情報が特定され、前記施設情報毎に予め設定された施設情報特定色により印刷情報を印刷するように前記印刷部が制御されることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項10]
 患者に関する患者情報が蓄積される患者情報データベースと、
 施設に関する施設情報が蓄積される施設情報データベースと、
 施設入居者に関する情報が蓄積される施設入居者情報データベースと、
 前記印刷部の制御を行う印刷制御部とを有し、
 前記患者情報、施設入居者情報、及び前記施設情報が関連づけられており、
 処方情報に基づいて分包対象である薬剤が処方されている患者に関する前記患者情報又は施設入居者に関する施設入居者情報が特定され、特定された前記患者情報又は施設入居者情報に関連づけられた前記施設情報が特定され、前記施設情報毎に予め設定された施設情報特定色により印刷情報を印刷するように前記印刷部が制御されることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項11]
 印刷項目の印刷を、カラー画像で行うのか、モノクロ画像で行うのかを選択可能であることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項12]
 前記印刷部の制御を行う印刷制御部を有し、
 前記印刷制御部による制御の下、前記分包紙への印刷を輪郭線の印刷濃度に対し、前記輪郭線によって囲まれた領域の印刷濃度が低くなるように印刷する中抜き印刷を実施可能であることを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項13]
 前記印刷部に準備されている前記インクの残量と、分包数量との関係に基づき前記インクの減少傾向を示す減少傾向指数を導出し、
 前記インクの残量が所定量まで減少することを条件として、前記減少傾向指数に基づき残存している前記インクにより印刷可能な包数を導出可能であることを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項14]
 先の分包処理で最後に形成される最終包への印刷と、後の分包処理において最初に形成される先頭包への印刷との間に、前記印刷部をメンテナンスするためのメンテナンス動作が実行されることを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項15]
 前記分包紙への印刷が行われた後、次に印刷が行われるまでの間に、前記インク射出部の乾燥を抑制するための乾燥抑制動作を実施可能であることを特徴とする請求項1~14のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項16]
 前記分包紙をロール状に巻き付けた紙管を前記分包紙を巻ほどし可能なようにセットするロールセット部と、
 前記紙管に対して制動力を作用させる制動部と、
 前記制動部への印加電力をアナログ制御可能な制動制御部とを備えていることを特徴とする請求項1~15のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項17]
 前記ロールセット部が、前記印刷部に対して前記分包紙の搬送方向上流側に配置され、
 前記包装部が、前記印刷部に対して前記分包紙の搬送方向下流側に配置されており、
 前記包装部に設けられた駆動部を作動させることにより、前記分包紙に対して前記搬送方向への搬送力を作用させることができ、
 前記駆動部の駆動及び停止に連動して前記制動部が作動することを特徴とする請求項16に記載の薬剤分包装置。
[請求項18]
 前記分包紙として、基材となるシート状素材の表面に、前記インクを受容するための受容層を設けたものが用いられることを特徴とする請求項1~17のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項19]
 前記印刷部の制御を行う印刷制御部を有し、
 同時に服用すべき薬剤を連続する複数の分包袋に分けて分包する薬包分割処理を実行可能であり、
 前記薬包分割処理に係る分包袋であることを識別する薬包分割識別情報を、前記薬包分割処理により形成された複数の分包袋に印刷するように前記印刷部が制御可能であることを特徴とする請求項1~18のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項20]
 前記印刷制御部が、前記薬包分割識別情報を有彩色により印刷するように前記印刷部を制御可能であることを特徴とする請求項19に記載の薬剤分包装置。
[請求項21]
 前記薬包分割処理により形成される複数の分包袋によって構成される分包袋群が複数群形成されることを条件として、前記印刷制御部が、前記薬包分割識別情報を前記分包袋群毎に相違させて印刷可能であることを特徴とする請求項19又は20に記載の薬剤分包装置。
[請求項22]
 前記薬包分割識別情報が、前記薬包分割処理により形成された複数の分包袋に亘って印刷されることを特徴とする請求項19~21のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項23]
 前記薬包分割識別情報が、前記分包紙の搬送方向に延びるラインであることを特徴とする請求項19~22のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項24]
 同時に服用すべき薬剤として、単一の分包袋に同封することにより性質の変化が生じると規定されている薬剤が処方されていることを条件として、前記薬包分割処理が実施されることを特徴とする請求項19~23のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項25]
 処方情報が入力される処方情報入力部と、
 薬剤の画像を蓄積した薬剤画像データベースとを備え、
 前記薬剤画像データベースが、色彩を判別可能なように薬剤の実画像を蓄積した実画像データベースと、薬剤の輪郭線を含むイメージ画像を蓄積したイメージ画像データベースとを備え、
 分包対象である薬剤の前記実画像及び前記イメージ画像を、前記実画像データベース及び前記イメージ画像データベースから選択し、選択された前記イメージ画像中に含まれる一又は複数の領域の色彩を、当該領域に対応する前記実画像中の領域の色彩と合わせた合成画像を形成する合成画像形成処理を実行可能であり、
 前記合成画像形成処理により形成された合成画像を、前記分包紙に印刷可能であることを特徴とする請求項1~24のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項26]
 前記イメージ画像に、薬剤に付されている印字又は刻印に係る情報が含まれていることを特徴とする請求項25に記載の薬剤分包装置。
[請求項27]
 印刷対象とされた画像の輝度値ヒストグラムを構成するいずれかの輝度で画素の数が所定の閾値を超えることを条件として、分包袋の搬送速度を低下させることを特徴とする請求項1~26のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項28]
 属性に基づいて薬剤を区分けした薬剤区分を含む薬剤に関する情報が蓄積される薬剤データベースと、
 薬剤の画像を蓄積した薬剤画像データベースと、
 前記印刷部の制御を行う印刷制御部とを有し、
 分包対象である薬剤が所定の薬剤区分に属するものであることを条件として、当該薬剤について前記薬剤画像データベースに蓄積されている画像を、前記所定の薬剤区分の認識を可能とする薬剤区分識別情報によって囲んで印刷するように前記印刷部が前記印刷制御部によって制御されることを特徴とする請求項1~27のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項29]
 前記薬剤区分識別情報が、前記薬剤区分ごとに予め設定された印刷色により印刷可能であることを特徴とする請求項28に記載の薬剤分包装置。
[請求項30]
 画像の周囲を取り囲むように前記薬剤区分識別情報を印刷可能な印刷領域が設けられ、
 前記印刷領域が、周方向に複数の印刷区間で構成され、各印刷区間に異なる前記薬剤区分識別情報を印刷可能であり、
 前記薬剤区分毎に印刷の優先順位が規定されており、
 分包対象である薬剤に前記薬剤区分が複数規定されていることを条件として、前記優先順位の高い薬剤区分に係る前記薬剤区分識別情報から優先的に前記印刷区間に印刷されることを特徴とする請求項28又は29に記載の薬剤分包装置。
[請求項31]
 前記印刷部の制御を行う印刷制御部を有し、
 前記印刷制御部が分包動作の停止を条件として印刷動作を停止させる制御を行うものであり、
 分包動作の停止後所定のタイミングまでに分包動作が再開されないことを条件として、1包分の分包紙搬送距離のうち所定距離の紙送り及び印刷を行う間合印刷が1又は2以上実行されることを特徴とする請求項1~30のいずれかに記載の薬剤分包装置。
[請求項32]
 前記間合印刷が完了し、かつ、さらに所定時間が経過したタイミングにおいて前記分包動作が再開されないことを条件として、前記間合印刷が実行された1包分の分包紙が空包として形成されることを特徴とする請求項31に記載の薬剤分包装置。
[請求項33]
 分包動作の停止期間が所定時間以上であることを条件として、前記間合印刷が複数回に亘って実行されることを特徴とする請求項31又は32に記載の薬剤分包装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]

[ 図 25]

[ 図 26]

[ 図 27]

[ 図 28]

[ 図 29]

[ 図 30]

[ 図 31]