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1. (WO2019065786) KNEADING METHOD FOR FIBER-REINFORCED THERMOPLASTIC RESIN, PLASTICIZING DEVICE, AND EXTRUDING MACHINE
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明 細 書

発明の名称 繊維強化熱可塑性樹脂の混練方法、可塑化装置及び押出機

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012   0013   0014  

発明の効果

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021  

図面の簡単な説明

0022  

発明を実施するための形態

0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052  

実施例

0053   0054   0055   0056   0057  

符号の説明

0058  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : 繊維強化熱可塑性樹脂の混練方法、可塑化装置及び押出機

技術分野

[0001]
 本発明は、射出成形機の射出装置、押出機等のシリンダとスクリュを有する成形装置(可塑化装置)を使用して、熱可塑性樹脂と、炭素繊維、ガラス繊維等の強化繊維とから繊維強化熱可塑性樹脂を得る混練方法、および当該方法を実施するための繊維強化熱可塑性樹脂の可塑化装置と押出機に関するものである。

背景技術

[0002]
 炭素繊維、ガラス繊維等の強化繊維と熱可塑性樹脂とからなる繊維強化熱可塑性樹脂によって成形される成形品は強度が大きく、色々な分野に利用されている。繊維強化熱可塑性樹脂は、射出成形機の射出装置、押出機等のスクリュを備えた可塑化装置によって混練して得られる。
[0003]
 例えば、押出機によって繊維強化熱可塑性樹脂を得るには、まず、押出機のホッパから熱可塑性樹脂の材料である樹脂ペレットを供給する。樹脂ペレットは押出機のシリンダの中で溶融してスクリュによって前方に送られる。シリンダの所定の位置においてシリンダ内に強化繊維を供給する。強化繊維はいわゆるロービングとして提供されている。すなわち炭素繊維、ガラス繊維等の強化繊維は単繊維が数十~数百本で集束されてストランドにされ、このようなストランドが数十本撚り合わされて粗糸状にされている。このようなロービングをそのままシリンダに供給する、あるいは所定長さに切断してシリンダに供給する。そうするとスクリュの回転によって溶融樹脂と強化繊維とが混練され、強化繊維がバラバラに分散すると共に適宜切断され、繊維強化熱可塑性樹脂が得られる。押出機の先端に設けられている所定のダイから押し出すと塊状中間成形物が得られる。これを圧縮用金型に搬送して圧縮成形すると繊維強化熱可塑性樹脂からなる成形品が得られる。
[0004]
 特許文献1には、熱可塑性樹脂と強化繊維とから繊維強化熱可塑性樹脂を製造するとき、ロービングとして提供される強化繊維を開繊して供給する方法が記載されている。この文献によると「開繊」とは、強化繊維束を連続して幅広く薄い状態にする工程であり、具体的な開繊方法としては、強化繊維の束を丸棒でしごいたり、水流や高圧空気流をあてたり、超音波振動で加振してばらけさせたり、あるいは開繊ローラを備えた開繊装置によって実施するようにしている。つまり物理的な力を作用させてロービングの状態で互いに拘束されている強化繊維をばらけさせるようにしている。特許文献1に記載の方法では、このように強化繊維を開繊した後に、これを所定長さに切断して切断済み強化繊維とする。そして例えば射出成形機であれば射出装置の加熱シリンダに切断済み強化繊維を供給する。そうすると加熱シリンダ内で溶融樹脂と強化繊維とが混練されて繊維強化熱可塑性樹脂が得られる。開繊せずに強化繊維束の状態で加熱シリンダに投入する従来の方法では、樹脂との混練時に強化繊維に作用する外力が束の外側と内側とで不均一になって強化繊維が折れたり切断し易いが、特許文献1に記載の方法により開繊した強化繊維を供給して樹脂と混練するようにすると強化繊維に作用する外力が一様になるので切断され難くなる。これによって繊維長分布が均一な繊維強化熱可塑性樹脂が得られる。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 日本国特開2016-64607号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 従来の方法によっても、あるいは特許文献1に記載の方法によっても、スクリュを備えた可塑化装置によって繊維強化熱可塑性樹脂を混練して得ることはできる。そしてこれを型締めした金型に直接射出する、あるいは押し出して塊状中間成形物を得て成形用金型に搬入して圧縮成形すると、成形品を得ることはできる。しかしながら解決すべき点、あるいは改善すべき点も見受けられる。
[0007]
 繊維強化熱可塑性樹脂には、樹脂中に強化繊維が均一に分散していること、および適切な繊維長の強化繊維が多く残っていること、の2点が要求される。強化繊維の分散が不均一であれば成形品において強度の弱い部分が生じてしまうからであり、適切な繊維長の強化繊維が少なければ高い強度が得られないからである。しかしながら、これら2点の要求は二律背反の関係にある。樹脂と強化繊維の混練はスクリュを回転させて実施するが、例えば、強化繊維の分散性を高めるには大きなせん断力が作用するスクリュを使用したり、シリンダの上流から強化繊維を供給して比較的長時間混練する必要がある。このようにすると強化繊維の分散性が高くなるだけなく強化繊維への樹脂の含浸も促進される。しかしながら、強化繊維は切断されて適切な繊維長の強化繊維の割合が低下し、成形品の強度が十分に得られなくなる。一方、適切な繊維長の強化繊維を多く残すには、スクリュの形状を工夫して混練時のせん断力を小さくするようにしたりシリンダの下流から強化繊維を供給して混練の時間を比較的短時間にすればよい。しかしながらこのように混練すると強化繊維の分散が不十分になって、得られる成形品において強度が均一に発現しない。従来の方法においても、あるいは特許文献1に記載の方法においても、これらの二律背反の関係にある2つの要求を同時に満たすことはできない。
[0008]
 特許文献1に記載されている方法は、ロービングとして提供されている強化繊維を開繊して樹脂に供給し混練するようになっているので、強化繊維が束になっている場合に比して樹脂との混練時に強化繊維に作用する外力は均一になる。従って外力の不均一によって切断される強化繊維の割合が少なくなるという優れた効果がある。しかしながら、樹脂と強化繊維の混練時に強化繊維が切断される原因は、繊維強化に作用する外力の不均一によるものだけでなく、他の原因もある。具体的には樹脂と強化繊維とを混練するとき生じるせん断力、引っ張り力によっても切断される。つまり特許文献1に記載の方法のように強化繊維を開繊して提供するだけでは十分に切断を防げない。
[0009]
 したがって本発明は、熱可塑性樹脂と、炭素繊維、ガラス繊維等の強化繊維とを混合・混練して繊維強化熱可塑性樹脂を得るとき、強化繊維の分散性を高めると共に適切な繊維長の強化繊維が十分に残るようにする繊維強化熱可塑性樹脂の混練方法、およびそのような混練方法を実施する可塑化装置を提供することを目的としている。
 また、本発明は繊維強化熱可塑性樹脂を押し出す押出機であって、繊維強化熱可塑性樹脂中において、適切な繊維長の強化繊維が十分な割合でかつ均一に分散させることができる押出機を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明は、シリンダと該シリンダに入れられたスクリュとを備えた可塑化装置によって、前記シリンダに熱可塑性樹脂と強化繊維とを供給して前記スクリュを回転させて繊維強化熱可塑性樹脂を得る混練方法を対象としている。本発明は、強化繊維をシリンダ内に供給するとき、シリンダにおいて異なる複数箇所から供給するように構成する。また、可塑化装置はシリンダのボアとスクリュのクリアランスが所定のシリンダ位置から下流側が上流側に比して大きくなるようにし、強化繊維をシリンダ内に供給する複数箇所のうち少なくとも1箇所はそのシリンダ位置の下流側から供給するように構成する。さらに、シリンダに強化繊維を供給する複数箇所のうち所定の1箇所から他の1箇所までの区間において、スクリュの形状によりせん断力を他の区間より大きくして混練するように構成する。
[0011]
 また、本発明は、熱可塑性樹脂が供給されて溶融されると共に強化繊維が供給されて混練されて繊維強化熱可塑性樹脂となり、これが押し出される押出機を対象としている。押出機のシリンダには、強化繊維が供給される強化繊維投入口を設け、シリンダのボアとスクリュとのクリアランスは、強化繊維投入口近傍から下流側において、上流側に比して大きくなるように構成する。
[0012]
 すなわち、本発明は、以下の(1)~(12)を特徴とする。
(1)シリンダと該シリンダに入れられたスクリュとを備えた可塑化装置によって、前記シリンダに熱可塑性樹脂と強化繊維とを供給して前記スクリュを回転させて繊維強化熱可塑性樹脂を得る混練方法であって、前記強化繊維を前記シリンダ内に供給するとき、前記シリンダにおいて異なる複数箇所から供給する、繊維強化熱可塑性樹脂の混練方法。
(2)前記(1)に記載の繊維強化熱可塑性樹脂の混練方法において、前記可塑化装置は前記シリンダのボアと前記スクリュのクリアランスが所定のシリンダ位置から下流側が上流側に比して大きくなるようにし、前記強化繊維を前記シリンダ内に供給する前記複数箇所のうち少なくとも1箇所は前記所定のシリンダ位置の下流側から供給する、繊維強化熱可塑性樹脂の混練方法。
(3)前記(1)または(2)に記載の繊維強化熱可塑性樹脂の混練方法において、前記シリンダに前記強化繊維を供給する前記複数箇所のうち所定の1箇所から他の1箇所までの区間において、前記スクリュの形状によりせん断力を他の区間より大きくして混練する、繊維強化熱可塑性樹脂の混練方法。
[0013]
(4)シリンダと該シリンダ内で回転するスクリュとを備え、前記シリンダに熱可塑性樹脂が供給されて溶融されると共に強化繊維が供給されて混練されて繊維強化熱可塑性樹脂が得られる可塑化装置であって、前記シリンダには、前記強化繊維が投入される強化繊維投入口が複数箇所設けられ、並行して複数箇所から前記強化繊維が投入されるようになっている、繊維強化熱可塑性樹脂の可塑化装置。
(5)前記(4)に記載の繊維強化熱可塑性樹脂の可塑化装置において、前記複数箇所の強化繊維投入口のうち所定の1箇所から下流においては、前記シリンダのボアと前記スクリュとのクリアランスが、上流側に比して大きくなっている、繊維強化熱可塑性樹脂の可塑化装置。
(6)前記(4)に記載の繊維強化熱可塑性樹脂の可塑化装置において、前記可塑化装置はスクリュを2本備えた二軸押出機からなり、前記シリンダのボアは2個の同じ大きさの円が一部だけ重なり合った断面形状を呈し、これによって前記ボアの2箇所においてそれぞれ内側に向かうバレルチップが形成されており、前記複数箇所の強化繊維投入口のうち所定の1箇所から下流においては、前記ボアは少なくとも一方の前記バレルチップが切断された形状になっている、繊維強化熱可塑性樹脂の可塑化装置。
(7)前記(4)~(6)のいずれか1つに記載の繊維強化熱可塑性樹脂の可塑化装置において、所定の1箇所の前記強化繊維投入口と他の1箇所の前記強化繊維投入口の間の区間において、前記スクリュには他の区間に比して混練時のせん断力の大きなフライトが形成されている、繊維強化熱可塑性樹脂の可塑化装置。
[0014]
(8)シリンダと該シリンダ内で回転するスクリュとを備え、前記シリンダに熱可塑性樹脂が供給されて溶融されると共に強化繊維が供給されて混練されて繊維強化熱可塑性樹脂となり、これが押し出される押出機であって、前記シリンダには、所定の位置に前記強化繊維が供給される強化繊維投入口が設けられ、前記シリンダのボアと前記スクリュとのクリアランスは、前記強化繊維投入口の近傍から下流側において、上流側に比して大きくなっている、繊維強化熱可塑性樹脂の押出機。
(9)大きさが同じ2個の円が一部だけ重なり合った断面形状を呈し、これによって2箇所においてそれぞれ内側に向かうバレルチップが形成されているボアを備えたシリンダと、前記ボアに回転可能に入れられている2本のスクリュとを備え、前記シリンダに熱可塑性樹脂が供給されて溶融されて送られると共に強化繊維が供給されて混練されて繊維強化熱可塑性樹脂となり、これが押し出される二軸からなる押出機であって、前記シリンダには、所定の位置に前記強化繊維が供給される強化繊維投入口が設けられ、前記ボアは、前記強化繊維投入口の近傍から下流側において少なくとも一方の前記バレルチップが切断された形状になっている、繊維強化熱可塑性樹脂の押出機。
(10)前記(9)に記載の繊維強化熱可塑性樹脂の押出機において、前記シリンダの前記ボアと前記スクリュとのクリアランスは、前記強化繊維投入口の近傍から下流側において、上流側に比して大きくなっている、繊維強化熱可塑性樹脂の押出機。
(11)前記(8)~(10)のいずれか1つに記載の繊維強化熱可塑性樹脂の押出機において、前記シリンダの前記強化繊維投入口の近傍は、樹脂の圧力が低下する飢餓区間になっている、繊維強化熱可塑性樹脂の押出機。
(12)前記(8)~(11)のいずれか1つに記載の繊維強化熱可塑性樹脂の押出機において、前記押出機は切断手段を備え、前記強化繊維は該切断手段によって所定長さに切断されて前記強化繊維投入口に供給されるようになっている、繊維強化熱可塑性樹脂の押出機。

発明の効果

[0015]
 以上のように、本発明は、シリンダと該シリンダに入れられたスクリュとを備えた可塑化装置によって、シリンダに熱可塑性樹脂と強化繊維とを供給してスクリュを回転させて繊維強化熱可塑性樹脂を得る混練方法を対象としている。そして、強化繊維をシリンダ内に供給するとき、シリンダにおいて異なる複数箇所から供給するように構成されている。そうすると上流側で供給される強化繊維は、長い距離に渡って混練されてせん断力の作用を受けるので、混練により切断される繊維は若干多いが、樹脂中に強化繊維を均一に分散させることができる。一方、下流側で供給される強化繊維は短い距離しか混練できないので樹脂中において分散は不十分になる可能性はあるが、混練による切断を少なくすることができる。つまり適切な繊維長の強化繊維を大きい割合で残せる。これらによって、樹脂中には比較的短い強化繊維が均一に分散していると共に比較的長い繊維が所定の割合で含まれる状態になる。つまり、二律背反であると考えられていた2点の要求、すなわち繊維強化熱可塑性樹脂において強化繊維が均一に分散していること、および適切な繊維長の強化繊維が多く残っていること、のいずれも満たすことができる。強化繊維は比較的短くてもある程度の強度が発現し、適切な繊維長があれば十分に大きい強度が発現する。従って、このような繊維強化熱可塑性樹脂から成形品を成形すると、場所による強度の分布にムラができるのを抑制しつつ、全体として強度の高い成形品を得ることができる。
[0016]
 また他の発明によると、可塑化装置はシリンダのボアとスクリュのクリアランスが所定のシリンダ位置から下流側が上流側に比して大きくなるようにし、強化繊維をシリンダ内に供給する複数箇所のうち少なくとも1箇所は前記所定のシリンダ位置の下流側から供給するようにしている。そうすると、その1箇所から供給される強化繊維は、切断を十分に抑制できる。従って、樹脂中において適切な繊維長の強化繊維を十分な割合で残せることになる。
[0017]
 さらに他の発明によると、シリンダに強化繊維を供給する複数箇所のうち所定の1箇所から他の1箇所までの区間において、スクリュの形状によりせん断力を他の区間より大きくして混練するようにしている。そうするとこの区間において強化繊維を強制的に樹脂中に分散させることができる。
[0018]
 また、本発明は、シリンダと該シリンダ内で回転するスクリュとを備え、シリンダに熱可塑性樹脂が供給されて溶融されると共に強化繊維が供給されて混練されて繊維強化熱可塑性樹脂となり、これが押し出される押出機を対象としている。シリンダには、所定の位置に強化繊維が供給される強化繊維投入口が設けられている。本発明によると、シリンダのボアとスクリュとのクリアランスは、強化繊維投入口の近傍から下流側において、上流側に比して大きくなっている。強化繊維が投入されて溶融樹脂と混練される下流側においてボアとスクリュのクリアランスが大きいので、強化繊維の切断をある程度抑制できる。従って、強化繊維の分散の度合いを大きくするために強いせん断力で繊維強化熱可塑性樹脂を混練しても切断される強化繊維は少なくて済む。つまり本発明によって、適切な繊維長の強化繊維が十分な割合でかつ均一に分散させることができることになる。
[0019]
 また、本発明は、大きさが同じ2個の円が一部だけ重なり合った断面形状を呈し、これによって2箇所においてそれぞれ内側に向かうバレルチップが形成されているボアを備えたシリンダと、ボアに回転可能に入れられている2本のスクリュとを備え、シリンダに熱可塑性樹脂が供給されて溶融されて送られると共に強化繊維が供給されて混練されて繊維強化熱可塑性樹脂となり、これが押し出される二軸からなる押出機を対象としている。シリンダには、所定の位置に強化繊維が供給される強化繊維投入口が設けられ、ボアは、強化繊維投入口の近傍から下流側において少なくとも一方のバレルチップが切断された形状になっている。二軸のスクリュによって強化繊維と熱可塑性樹脂とが混練されるとき、バレルチップにおいて強化繊維が切断されやすい。この発明では強化繊維投入口の近傍から下流側のボアが少なくとも一方のバレルチップが切断された形状になっているので強化繊維の切断を抑制する効果が得られる。
[0020]
 さらに他の発明によると、シリンダの強化繊維投入口の近傍は、樹脂の圧力が低下する飢餓区間になっている。そうすると強化繊維を容易にシリンダ内に供給することができる。
[0021]
 またさらに他の発明によると、押出機は切断手段を備え、強化繊維は切断手段によって所定長さに切断されて強化繊維投入口に供給されるようになっている。これによって強化繊維の繊維長は適切な範囲になることが保証される。

図面の簡単な説明

[0022]
[図1] 図1(a)~図1(c)は、本発明の第1の実施形態に係る成形装置を示す図であり、図1(a)は成形装置を一部断面で示す正面図、図1(b)及び図1(c)は第1の実施形態に係る成形装置を構成する二軸押出機についてそれぞれ図1(a)のX-X、Y-Yにおいて切断した断面図である。
[図2] 図2(a)及び図2(b)は、二軸押出機において強化繊維と熱可塑性樹脂を混練する様子を示す図であり、図2(a)は二軸押出機の上流側の断面図であり、図2(b)は二軸押出機の下流側の断面図である。
[図3] 図3は、本発明の第2の実施形態に係る成形装置を一部断面で示す正面図である。
[図4] 図4(a)及び図4(b)は、本発明の他の実施形態に係る単軸スクリュの押出機の断面図であり、図4(a)は押出機の上流側の断面図、図4(b)は強化繊維投入口より下流側の断面図である。
[図5] 図5(a)~図5(c)は、本発明の第3の実施形態に係る成形装置を示す図であり、図5(a)は成形装置を一部断面で示す正面図、図5(b)及び図5(c)は第3の実施の形態に係る成形装置を構成する二軸押出機についてそれぞれ図5(a)のX-X、Y-Yにおいて切断した断面図である。
[図6] 図6(a)及び図6(b)は、二軸押出機において強化繊維と熱可塑性樹脂を混練する様子を示す図であり、図6(a)は本発明の第3の実施の形態に用いる二軸押出機の断面図であり、図6(b)は従来の二軸押出機の断面図である。
[図7] 図7は、本発明の第3の実施形態に係る成形装置によって成形した成形品に含まれている炭素繊維の写真である。
[図8] 図8は、従来の成形装置によって成形した成形品に含まれている炭素繊維の写真である。

発明を実施するための形態

[0023]
 以下、本発明の実施の形態について説明する。
 なお、本明細書において「上」及び「下」とは、重力方向における上下をいうものであり、「下」とは重力方向を意味し、「上」とは重力方向と反対の方向を意味する。
[0024]
(第1の実施形態)
 第1の実施の形態に係る成形装置1Aは、図1(a)に示されているように、熱可塑性樹脂と強化繊維とを混練して繊維強化熱可塑性樹脂を得る可塑化装置、すなわち本実施の形態に係る二軸押出機2Aと、該二軸押出機2Aから押し出した塊状中間成形物を圧縮成形して成形品を得る成形用金型4と、この成形用金型4を型締めする型締装置5と、二軸押出機2Aから押し出された塊状中間成形物を成形用金型4に搬送するロボットアーム7とから構成されている。
[0025]
 本実施の形態に係る二軸押出機2Aも、従来の二軸押出機と同様に複数個のシリンダブロック9a、9b、…が連結されてなるシリンダ9と、このシリンダ9に入れられている2本のスクリュ11、11とから構成されている。シリンダ9の上流つまり後端部にはホッパ12が設けられ熱可塑性樹脂のペレットが供給されるようになっている。シリンダ9には強化繊維も供給されるようになっており、スクリュ11、11によって熱可塑性樹脂と強化繊維とが混練されて繊維強化熱可塑性樹脂が得られる。シリンダ9の先端には繊維強化熱可塑性樹脂が押し出される所定のダイ15が設けられ、図には示されていないが、押し出された強化繊維熱可塑性樹脂を所定の大きさで切断するカッターがダイ15に接続して設けられている。これによって塊状中間成形物が得られるようになっている。なお、シリンダ9の外周面には複数のヒータが設けられて、シリンダ9を加熱するようになっているが図1(a)には示されていない。
[0026]
 本実施の形態に係る二軸押出機2Aは、強化繊維の供給口が軸方向に所定の間隔を空けて2箇所設けられている点に特徴がある。すなわち、第1の強化繊維投入口13A及び第2の強化繊維投入口14Aが設けられている。本実施の形態においては、第1の強化繊維投入口13Aはシリンダ9の中央部寄りであるシリンダブロック9jに、第2の強化繊維投入口14Aはシリンダ9の先端に近いシリンダブロック9mに設けられている。これらの第1、2の強化繊維投入口13A、14Aに接続して、強化繊維ロール18、19が設けられ、強化繊維ロール18、19からロープ状の強化繊維束、すなわちロービング(強化繊維28、29)が引き出され第1、2の強化繊維投入口13A、14Aに供給されるようになっている。
[0027]
 本実施の形態に係る二軸押出機2Aはスクリュ11、11が入れられているシリンダ9のボア17a、17bにも特徴がある。第2の強化繊維投入口14Aより上流側、つまり図1(a)において符号R1で示されている区間においては、ボア17aは従来の二軸押出機のボアと同様の形状に形成されている。しかしながら第2の強化繊維投入口14A近傍から下流側、つまり符号R2で示されている区間においては、ボア17bは従来の二軸押出機のボアと異なる形状に形成されている。これを説明する。まず符号R1の区間において、図1(b)に示されているように、ボア17aは、水平に配置されている2個の同じ大きさの円が一部だけ重なり合った断面形状を呈している。これによってボア17aには、その上側と下側の2箇所においてそれぞれ内側に向かう突起、つまりバレルチップ21、21が形成されている。このような形状のボア17aに2本のスクリュ11、11が入れられている。これに対して符号R2の区間において、図1(c)に示されているように、ボア17bは、上側のバレルチップ21が切断された形状になっており、この上側の部分が平面状になっている。また一部が重なり合う2個の円の直径は、図1(b)に示されているボア17aの2個の円よりも若干大きい。従ってボア17bとスクリュ11、11とのクリアランス24は、上流側に比して大きくなっている。
[0028]
 本実施の形態に係る二軸押出機2Aは、スクリュ11、11のフライトの形状についても特徴がある。まず、スクリュ11、11は、第1の強化繊維投入口13A及び第2の強化繊維投入口14Aの近傍において、他の区間に比して輸送力が大きくなるようにフライトが形成されている。輸送力が大きいので、第1、2の強化繊維投入口13A、14Aの近傍には樹脂圧力が低下する飢餓区間25、26が形成される。飢餓区間25、26におけるフライトの形状として、例えばフライト間の溝の深さを深くしてもよいし、フライト幅を狭くしてもよい。本実施の形態においてはフライトのピッチを他の部分に比して大きくして輸送力が大きくなるようにしている。なお本実施の形態においてスクリュ11、11は、飢餓区間25、26において二重フライトになっている。
[0029]
 本実施の形態においてスクリュ11、11は、第1の強化繊維投入口13Aと第2の強化繊維投入口14Aで挟まれた区間において、混練の作用を強める混練区間27が設けられている点にも特徴がある。混練区間27には、例えばニーディングフライトを設けることもできるが、本実施の形態においてはミキシングフライトが設けられている。
[0030]
 本実施の形態において成形用金型4は、圧縮成形により成形品を成形する金型からなる。この成形用金型4を型締めする型締装置5はトグル機構によって、あるいは型締シリンダによって型締めするようになっている。
[0031]
 本実施の形態に係る成形装置1Aによって、繊維強化熱可塑性樹脂を得、成形品を成形する成形方法を説明する。本実施の形態に係る二軸押出機2Aにおいて、スクリュ11、11を回転してホッパ12から熱可塑性樹脂のペレットを供給する。ペレットはシリンダ9において溶融して前方に送られる。溶融した樹脂の圧力は飢餓区間25において下がる。強化繊維ロール18から引き出したロービング、つまり強化繊維28を第1の強化繊維投入口13Aからシリンダ9内に供給する。飢餓区間25によって樹脂圧力が低下するので、強化繊維の供給は容易に実施できる。強化繊維28は、シリンダ9内に供給されスクリュ11、11の回転によって混練されるとき、その一部は図2(a)に示されているように2本のスクリュ11、11の周囲に巻かれた状態になる。強化繊維28にはバレルチップ21、21において押されて強いテンションが作用し、そして符号31、32で示されているように、シリンダ9のボア17aとスクリュ11、11の間で摩擦が作用する。従ってこれらの作用によって切断される。また樹脂との混練によるせん断力によっても切断され、比較的短い強化繊維が樹脂中に均一に分散することになる。
[0032]
 この繊維強化熱可塑性樹脂は混練区間27によって、さらに強力に混練され、強化繊維の分散性がさらに大きくなる。繊維強化熱可塑性樹脂が飢餓区間26に送られると樹脂圧力が再び低下する。強化繊維ロール19から引き出したロービング、つまり強化繊維29を第2の強化繊維投入口14Aからシリンダ9内に供給する。符号R2で示されている区間はシリンダ9のボア17bとスクリュ11、11のクリアランスは大きく、バレルチップ21は下側だけしか設けられていない。第2の強化繊維投入口14Aから供給された強化繊維29は、その一部が図2(b)に示されているように、スクリュ11、11の周囲に巻かれるが、この強化繊維29に作用するテンションは小さく、ボア17bとスクリュ11のクリアランスが大きいので摩擦も作用し難い。つまり強化繊維29は切断されにくい。強化繊維29は混練によるせん断力で切断されるが、切断され過ぎて細かくなることはない。そうすると繊維強化熱可塑性樹脂において適切な繊維長の強化繊維が十分に残ることになる。つまり本実施の形態に係る二軸押出機2Aによって得られる繊維強化熱可塑性樹脂には、比較的短い強化繊維が均一に分散していると共に適切な繊維長の強化繊維が十分に含まれることになる。
[0033]
 図1(a)に示されているように、ダイ15から所定量の繊維強化熱可塑性樹脂を押し出し、所定のカッターで切断する。そうすると塊状中間成形物が得られる。ロボットアーム7によって塊状中間成形物を把持し、型開きした成形用金型4のキャビティに搬入する。型締装置5を駆動して圧縮成形する。冷却固化を待って型開きすると、成形品が得られる。
[0034]
(第2の実施形態)
 第2の実施の形態において、繊維強化熱可塑性樹脂の混練方法は、第1の実施の形態と同様に可塑化装置に強化繊維を供給するとき異なる2箇所以上の複数箇所から供給することに特徴があるが、可塑化装置として、射出成形機の射出装置を使用しても本発明に係る混練方法を実施できる。
[0035]
 図3には、第2の実施の形態に係る成形装置1B、つまり射出成形機が示されている。射出成形機の射出装置2Bすなわち可塑化装置は、シリンダ9とこのシリンダ9内で軸方向と回転方向とに駆動されるスクリュ11とから構成されている。シリンダ9の後端部にはホッパ12が設けられ、先端部寄りには強化繊維投入口13Bが設けられている。強化繊維投入口13Bの近傍から下流側におけるシリンダ9のボアとスクリュ11とのクリアランスは、上流側に比して大きくなっている。スクリュ11は強化繊維投入口13B近傍から下流側においてフライト溝が深くなっており、樹脂の圧力が低下する飢餓区間になっている。シリンダ9の先端には射出ノズル31が設けられ、型締装置5によって型締めされる成形用金型4のスプルに当接している。この第2の実施の形態に係る成形装置1Bにおいては、ホッパ12は熱可塑性樹脂のペレットを供給するだけでなく、強化繊維の供給も兼ねている。ホッパ12に対応して、強化繊維供給装置6が設けられており、強化繊維供給装置6は強化繊維ロール32と切断装置36とを備えている。強化繊維ロール32から引き出されたロービング、つまり強化繊維34は切断装置36によって切断されてホッパ12からシリンダ9内に供給されるようになっている。なおホッパ12には、図には示されていないが所定のフィーダーが設けられており、熱可塑性樹脂のペレットと強化繊維とが一定の比率でシリンダ9内に供給されるようになっている。
[0036]
 スクリュ11を回転するとホッパ12から供給されたペレットと強化繊維とが前方に送られ、ペレットが溶融し、強化繊維と共に混練されて強化繊維はせん断力によって切断される。つまり比較的短い強化繊維が均一に分散した繊維強化熱可塑性樹脂が得られる。このような繊維強化熱可塑性樹脂はスクリュ11によって送られて飢餓区間において樹脂圧力が低下する。強化繊維ロール33から引き出されたロービング、つまり強化繊維35が強化繊維投入口13Bからシリンダ9内に供給される。ここで供給された強化繊維も混練のせん断力によってある程度切断されるが適切な繊維長の強化繊維が十分に残る。つまり、比較的短い強化繊維が均一に分散していると共に適切な繊維長の強化繊維が十分に含まれる繊維強化熱可塑性樹脂が計量される。型締装置5によって成形用金型4を型締めし、スクリュ11を駆動して繊維強化熱可塑性樹脂を射出する。冷却固化を待って型開きすると成形品が得られる。
[0037]
 第1の実施の形態に係る成形装置1A及び第2の実施の形態に係る成形装置1Bは色々な変形が可能である。例えば強化繊維の投入口は2箇所として説明したが、3箇所以上あってもよい。また強化繊維はロービングとしてそのまま供給してもよいし、切断して供給してもよい。さらにはホッパ12から供給するペレットとして強化繊維入りペレットを採用することも考えられる。この場合、シリンダ9において他の1箇所からさらに強化繊維を供給すれば、実質的に2箇所から強化繊維を供給したことになる。つまり、シリンダ9において異なる2箇所から強化繊維を供給したことになる。そうすると、比較的短い強化繊維が均一に分散していると共に適切な繊維長の強化繊維が十分に含まれる繊維強化熱可塑性樹脂が得られる。つまり本発明に係る繊維強化熱可塑性樹脂の混練方法が実施できる。
[0038]
 第1の実施の形態に係る成形装置1A及び第2の実施の形態に係る成形装置1Bにおいて二軸押出機2A及び射出装置2Bのボアを変形することも可能である。例えば、第1の実施の形態において、二軸押出機2Aは、第2の強化繊維投入口14Aの近傍から下流にかけて、ボア17bとスクリュ11、11のクリアランスが上流側に比して大きくなっていると共に、第2の強化繊維投入口14Aの近傍から下流にかけて、上下のバレルチップ21、21の少なくとも一方が取り除かれているように説明した。しかしながら、ボア17a、17bとスクリュ11、11のクリアランスは一定にし、かつバレルチップ21、21は取り除かないようにしてもよい。このようにすると第2の強化繊維投入口14Aから投入した強化繊維は切断されやすくはなるが、混練される時間は第1の強化繊維投入口13Aから供給される強化繊維に比して短いので、適切な繊維長の強化繊維は十分に残ることになる。あるいは、このような変形とは逆の方向での変形も可能である。つまり第2の強化繊維投入口14Aの近傍から下流にかけてボア17bとスクリュ11、11のクリアランスを大きくすると共に、上下のバレルチップ21、21の両方を取り除いてもよい。このようにすると第2の強化繊維投入口14Aから供給される強化繊維の切断はさらに抑制されることになる。また、第1の実施の形態及び第2の実施の形態において、強化繊維投入口の近傍から下流にかけて拡大したシリンダのボアとスクリュのクリアランスは、所定の下流側位置から縮小させてもよい。このようにすると、シリンダの先端部に近づくにつれ強化繊維は切断されやすくなるが、繊維強化熱可塑性樹脂中の分散された比較的短い強化繊維はより分散性が向上し、後段に投入された強化繊維は適切な繊維長となるように調整しやすくなる。
[0039]
 第1及び第2の実施の形態に係る繊維強化熱可塑性樹脂の混練方法は、可塑化装置として単軸からなる押出機も使用できる。単軸からなる押出機によって実施する場合にも、強化繊維はシリンダにおいて異なる2箇所以上の複数箇所から供給すればよい。なお、シリンダ内において2箇所から強化繊維を供給する場合、最下流の供給箇所に対して、その上流側については、図4(a)に示されているように、シリンダ40のボア41とスクリュ42とのクリアランスは小さくし、下流側については、図4(b)に示されているようにシリンダ40のボア41とスクリュ42とのクリアランスを大きくするようにすることが好ましい。そうすると、押出機において上流側で供給される強化繊維は樹脂との混練によって切断されて若干短くはなるが繊維強化熱可塑性樹脂中において均一に分散することになり、下流側で供給される強化繊維は切断されにくく適切な繊維長の長さの強化繊維が十分に残ることになる。
[0040]
(第3の実施形態)
 第3の実施の形態に係る成形装置1Cは、図5(a)に示されているように、熱可塑性樹脂を可塑化すると共に強化繊維を混練して繊維強化熱可塑性樹脂を得て、これを塊状成形物として押し出す本実施の形態に係る二軸押出機2Cと、この二軸押出機2Cに強化繊維を供給する強化繊維供給装置3と、塊状成形物を圧縮成形して成形品を得る成形用金型4と、この成形用金型4を型締めする型締装置5と、二軸押出機2Cから押し出された塊状成形物を成形用金型4に搬送するロボットアーム7とから構成されている。
[0041]
 本実施の形態に係る二軸押出機2Cも、従来の二軸押出機と同様に複数個のシリンダブロック9a、9b、…が連結されてなるシリンダ9と、このシリンダ9に入れられている2本のスクリュ11、11とから構成されている。シリンダ9の上流つまり後端部には熱可塑性樹脂が供給されるホッパ12が設けられ、シリンダ9の下流側には強化繊維が供給される強化繊維投入口13Cが設けられている。繊維強化熱可塑性樹脂を混練する従来の二軸押出機においてもシリンダの所定の位置に強化繊維投入口が設けられているが、本実施の形態に係る二軸押出機2Cにおいては強化繊維投入口13Cは、シリンダ9において可及的に先端に近い位置に設けられ、強化繊維が混練によって切断される区間を短くしている。シリンダ9の先端には所定のダイ15が設けられ、二軸押出機2Cによって繊維強化熱可塑性樹脂が押し出されるようになっている。なお図には示されていないがダイ15に関連して所定のカッターが設けられ、所定量だけ繊維強化熱可塑性樹脂が押し出されるとこれを切断して塊状中間成形物が得られるようになっている。シリンダ9の外周面には複数のヒータが設けられて、シリンダ9を加熱するようになっているが図5(a)には示されていない。
[0042]
 本実施の形態に係る二軸押出機2Cはスクリュ11、11が入れられているシリンダ9のボア17a、17bに特徴がある。強化繊維投入口13Cより上流側、つまり図5(a)において符号R3で示されている区間においては、ボア17aは従来の二軸押出機のボアと同様の形状に形成されている。しかしながら強化繊維投入口13C近傍から下流側、つまり符号R4で示されている区間においては、ボア17bは従来の二軸押出機のボアと異なる形状に形成されている。まず符号R3の区間において、図5(b)に示されているように、ボア17aは、水平に配置されている2個の同じ大きさの円が一部だけ重なり合った形状を呈している。これによってボア17aには、その上側と下側の2箇所においてそれぞれ内側に向かう突起、つまりバレルチップ21、21が形成されている。このような形状のボア17aに2本のスクリュ11、11が入れられている。これに対して符号R4の区間において、図5(c)に示されているように、ボア17bは、上側のバレルチップ21が切断された形状になっており、ボア17bの上面は符号22で示されているように平面状になっている。また一部が重なり合う2個の円の直径は、図5(b)に示されているボア17aの2個の円よりも若干大きい。従ってボア17bとスクリュ11、11とのクリアランスは、符号23で示されているように、上流側に比して大きくなっている。
[0043]
 本実施の形態に係る二軸押出機2Cは、スクリュ11、11についても特徴がある。すなわち、スクリュ11、11は強化繊維投入口13Cの近傍において、他の区間に比して輸送力が大きくなるようにフライトが形成されている。これによって樹脂圧力が低下する飢餓区間26が形成される。輸送力を大きくするフライトの形状として、例えばフライト間の溝の深さを深くしてもよいし、フライト幅を狭くしてもよい。本実施の形態においてはフライトのピッチを他の部分に比して大きくして輸送力が大きくなるようにしている。なお本実施の形態においてスクリュ11、11は、飢餓区間26においては二重フライトになっている。
[0044]
 強化繊維供給装置3は、ロープ状の強化繊維束、すなわちロービング(強化繊維)がロール状に巻かれている強化繊維ロール37を備えている。図5(a)~図5(c)には示されていないが、所定の引出し機構によって、この強化繊維ロール37からロービング、つまり強化繊維38が引き出されて強化繊維投入口13Cに供給されている。なお、本実施の形態においては強化繊維はロービングの状態で直接供給するようになっているが、予め所定の手段でロービングを広げてほぐし、つまり強化繊維を開繊して供給するようにしてもよい。さらには所定の長さに切断して供給してもよい。またサイドフィーダ等を設けて定量ずつ強化繊維を供給するようにしてもよい。
[0045]
 本実施の形態において成形用金型4は、圧縮成形により成形品を成形する金型からなる。この成形用金型4を型締めする型締装置5はトグル機構によって、あるいは型締シリンダによって型締めするようになっている。
[0046]
 本実施の形態に係る成形装置1Cによって、繊維強化熱可塑性樹脂を得、成形品を成形する成形方法を説明する。本実施の形態に係る二軸押出機2Cにおいて、スクリュ11、11を回転してホッパ12から熱可塑性樹脂のペレットを供給する。ペレットはシリンダ9において溶融して前方に送られる。具体的には図5(a)において符号R3で示される区間、つまり溶融区間R3で溶融する。溶融した樹脂の圧力は飢餓区間26において下がる。樹脂圧力が低下するので、強化繊維投入口13Cから強化繊維が容易に供給できる。符号R4で示される区間つまり樹脂・強化繊維混練区間R4において、溶融樹脂と強化繊維とが混練される。強化繊維は混練によるせん断力等によって切断されるが、この区間においてシリンダ9のボア17bとスクリュ11、11のクリアランスは大きく、バレルチップ21は下側だけしか設けられていないので、強化繊維が切断され過ぎて細かくなることはない。
[0047]
 図6(a)及び図6(b)によって、本実施の形態に係る二軸押出機2Cにおいて強化繊維が切断されにくい理由を説明する。図6(a)には、2本のスクリュ11、11の周囲に巻かれた状態の比較的長い強化繊維38が例として示されている。このような強化繊維38はボア17bと接触していない。従ってボア17bとの関係によっては切断されない。つまり、樹脂・強化繊維混練区間R4において強化繊維の切断はある程度抑制されることになる。比較として従来の二軸押出機において強化繊維が混練されている様子が図6(b)に示されている。シリンダ50には2個の円が一部重なったようなボア51が形成され、2本のスクリュ53、53が入れられている。ボア51とスクリュ53、53とのクリアランスは小さく、バレルチップ54、54が上下に形成されている。図には2本のスクリュ53、53の周囲に巻かれた状態の比較的長い強化繊維55が示されているが、強化繊維55はバレルチップ54、54の先端においてテンションがかかり、符号57、58で示される部分でボア51との間で摩擦が発生している。従ってこれらの部分において強化繊維55は切断される。本実施の形態に係る二軸押出機2Cは、これらの箇所における切断は発生しない。強化繊維は切断されてもそのほとんどは適度な繊維長になる。従って本実施の形態に係る二軸押出機2Cによって繊維強化熱可塑性樹脂を得ると、適度な長さの強化繊維が樹脂中に分散することになる。
[0048]
 引き続き成形方法の説明をする。図5(a)に示されているように、ダイ15から所定量の繊維強化熱可塑性樹脂を押し出し、所定のカッターで切断する。そうすると塊状中間成形物が得られる。ロボットアーム7によって塊状中間成形物を把持し、型開きした成形用金型4のキャビティに搬入する。型締装置5を駆動して圧縮成形する。冷却固化を待って型開きすると、成形品が得られる。
[0049]
 本実施の形態に係る成形装置1Cは色々な変形が可能である。例えば二軸押出機2Cは、強化繊維投入口13Cの近傍から下流にかけて、ボア17bとスクリュ11、11のクリアランスが上流に比して大きくなっていると共に、強化繊維投入口13Cの近傍から下流にかけて、上下のバレルチップ21、21の少なくとも一方が取り除かれているように説明した。しかしながら、ボア17a、17bとスクリュ11、11のクリアランスは一定にしてもよい。つまり、強化繊維投入口13Cの近傍から下流にかけて、少なくとも上下のバレルチップ21、21の一方を取り除くだけで、ある程度強化繊維の切断を抑制できるからである。
[0050]
 本実施の形態は他にも変形が可能であり、二軸押出機2は1本のスクリュからなる単軸の押出機に置き換えることができる。つまり、図4(a)及び図4(b)で示したような構成の押出機を使用することができる。押出機の強化繊維投入口より上流側の区間、つまり溶融区間においては、図4(a)に示されているように、シリンダ40のボア41とスクリュ42とのクリアランスは小さいが、強化繊維投入口の近傍から下流側の区間、つまり樹脂・強化繊維混練区間においては、図4(b)に示されているように、ボア41の径はわずかに大きくなっていてボア41とスクリュ42のクリアランスは大きくなっている。これによって樹脂と強化繊維とを混練するときに強化繊維が切断され過ぎないようになっている。なお、本実施の形態に係る二軸押出機2Cについても、他の実施の形態に係る単軸の押出機についても、スクリュ11、42とボア17b、41のクリアランスを大きくするのに、ボア17b、41の径を大きくするように説明したが、スクリュ11、42の径を小さくするようにしてもクリアランスを大きくすることができる。また、強化繊維投入口13Cの近傍から下流にかけて拡大したシリンダのボアとスクリュのクリアランスは、所定の下流側位置から縮小させてもよい。このようにすると、強化繊維の繊維長を適切な長さとなるように調整しやすくなる。
[0051]
 なお、本実施の形態においては、成形品は二軸押出機2Cから塊状中間成形物を押し出して、これを圧縮成形して成形するように説明しているが、型締めした成形用金型に射出する成形方法により成形してもよい。例えば、二軸押出機または単軸の押出機とプランジャ式射出装置とを組合わせ、所定の流路切換弁によって接続する。二軸押出機または単軸の押出機によって繊維強化熱可塑性樹脂を得、これを押し出してプランジャ式射出装置に計量する。成形用金型を型締めし、流路切換弁を切換えてプランジャ式射出装置から繊維強化熱可塑性樹脂を金型に射出する。冷却固化を待って型開きすると成形品が得られる。
[0052]
 また、上記した第1~第3の実施形態に使用する強化繊維についても変形が可能である。例えば、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維等を採用することができる。
実施例
[0053]
 上記した第3の実施形態について、樹脂中の強化繊維が短くなりすぎること無く、適度な長さになることを確認するため、実験を行った。
[0054]
<実験方法>
 図5(a)に示すような構成の二軸押出機2Cを含む成形装置1Cを使用して成形品Aを得た。ただし、熱可塑性樹脂としてナイロン6を、強化繊維として炭素繊維をそれぞれ採用し、強化繊維が樹脂に対して体積比で30%になるようにした。成形品Aは300mm×300mm×3mmの平板とした。一方、同様の材料を使用して、従来の二軸押出機を使用して繊維強化熱可塑性樹脂を得、これを押し出し、そして圧縮成形して、成形品Aと同様の形状の成形品Bを得た。つまり、図6(b)に示されているような二軸押出機により樹脂と強化繊維とを混練して繊維強化熱可塑性樹脂を得、成形品Bを得た。
[0055]
 成形品A及び成形品Bのそれぞれを電気炉に入れて450℃で所定時間燃焼し、ナイロン6を蒸発させ、炭素繊維のみを残留させた。成形品Aに含まれていた炭素繊維の写真を図7に、成形品Bに含まれていた炭素繊維の写真を図8に、それぞれ示す。また、成形品A、Bのそれぞれの炭素繊維から、0.2mm以上の長さの炭素繊維をピックアップし平均繊維長さを計算した。成形品Aの炭素繊維は平均繊維長が12mmであり、成形品Bの炭素繊維は平均繊維長が5mmであった。
[0056]
<考察>
 図7及び図8より、成形品Aに含まれる炭素繊維は成形品Bのそれに比して繊維長が長い炭素繊維が多いことが分かる。また炭素繊維の平均繊維長も成形品Aは成形品Bに比して2.4倍も長いことが分かった。本実施の形態に係る二軸押出機2Cにより樹脂と強化繊維とを混練すると、強化繊維の切断をある程度抑制することができ、成形品の強度を高めるのに効果がある所定の繊維長の強化繊維が多くなることが確認できた。
[0057]
 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は、2017年9月26日出願の日本特許出願(特願2017-184641)及び2017年10月6日出願の日本特許出願(特願2017-195576)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

符号の説明

[0058]
  1A 成形装置
  1B 成形装置(射出成形機)
  1C 成形装置
  2A 二軸押出機
  2B 射出装置
  2C 二軸押出機
  3  強化繊維供給装置
  4  成形用金型
  5  型締装置
  6  強化繊維供給装置
  7  ロボットアーム
  9  シリンダ
 11  スクリュ
 12  ホッパ
 13A 第1の強化繊維投入口
 13B 強化繊維投入口
 13C 強化繊維投入口
 14A 第2の強化繊維投入口
 15  ダイ
 17a、17b ボア
 18、19 強化繊維ロール
 21  バレルチップ
 24  クリアランス
 25、26 飢餓区間
 27  混練区間
 28、29 強化繊維
 31  射出ノズル
 32、33 強化繊維ロール
 34、35 強化繊維
 36  切断装置
 37  強化繊維ロール
 38  強化繊維
 40  シリンダ
 41  ボア
 42  スクリュ
 50  シリンダ
 51  ボア
 53  スクリュ
 54  バレルチップ
 55  強化繊維

請求の範囲

[請求項1]
 シリンダと該シリンダに入れられたスクリュとを備えた可塑化装置によって、前記シリンダに熱可塑性樹脂と強化繊維とを供給して前記スクリュを回転させて繊維強化熱可塑性樹脂を得る混練方法であって、
 前記強化繊維を前記シリンダ内に供給するとき、前記シリンダにおいて異なる複数箇所から供給する、繊維強化熱可塑性樹脂の混練方法。
[請求項2]
 請求項1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂の混練方法において、前記可塑化装置は前記シリンダのボアと前記スクリュのクリアランスが所定のシリンダ位置から下流側が上流側に比して大きくなるようにし、前記強化繊維を前記シリンダ内に供給する前記複数箇所のうち少なくとも1箇所は前記所定のシリンダ位置の下流側から供給する、繊維強化熱可塑性樹脂の混練方法。
[請求項3]
 請求項1または2に記載の繊維強化熱可塑性樹脂の混練方法において、前記シリンダに前記強化繊維を供給する前記複数箇所のうち所定の1箇所から他の1箇所までの区間において、前記スクリュの形状によりせん断力を他の区間より大きくして混練する、繊維強化熱可塑性樹脂の混練方法。
[請求項4]
 シリンダと該シリンダ内で回転するスクリュとを備え、前記シリンダに熱可塑性樹脂が供給されて溶融されると共に強化繊維が供給されて混練されて繊維強化熱可塑性樹脂が得られる可塑化装置であって、
 前記シリンダには、前記強化繊維が投入される強化繊維投入口が複数箇所設けられ、並行して複数箇所から前記強化繊維が投入されるようになっている、繊維強化熱可塑性樹脂の可塑化装置。
[請求項5]
 請求項4に記載の繊維強化熱可塑性樹脂の可塑化装置において、前記複数箇所の強化繊維投入口のうち所定の1箇所から下流においては、前記シリンダのボアと前記スクリュとのクリアランスが、上流側に比して大きくなっている、繊維強化熱可塑性樹脂の可塑化装置。
[請求項6]
 請求項4に記載の繊維強化熱可塑性樹脂の可塑化装置において、前記可塑化装置はスクリュを2本備えた二軸押出機からなり、前記シリンダのボアは2個の同じ大きさの円が一部だけ重なり合った断面形状を呈し、これによって前記ボアの2箇所においてそれぞれ内側に向かうバレルチップが形成されており、前記複数箇所の強化繊維投入口のうち所定の1箇所から下流においては、前記ボアは少なくとも一方の前記バレルチップが切断された形状になっている、繊維強化熱可塑性樹脂の可塑化装置。
[請求項7]
 請求項4~6のいずれか1項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂の可塑化装置において、所定の1箇所の前記強化繊維投入口と他の1箇所の前記強化繊維投入口の間の区間において、前記スクリュには他の区間に比して混練時のせん断力の大きなフライトが形成されている、繊維強化熱可塑性樹脂の可塑化装置。
[請求項8]
 シリンダと該シリンダ内で回転するスクリュとを備え、前記シリンダに熱可塑性樹脂が供給されて溶融されると共に強化繊維が供給されて混練されて繊維強化熱可塑性樹脂となり、これが押し出される押出機であって、
 前記シリンダには、所定の位置に前記強化繊維が供給される強化繊維投入口が設けられ、
 前記シリンダのボアと前記スクリュとのクリアランスは、前記強化繊維投入口の近傍から下流側において、上流側に比して大きくなっている、繊維強化熱可塑性樹脂の押出機。
[請求項9]
 大きさが同じ2個の円が一部だけ重なり合った断面形状を呈し、これによって2箇所においてそれぞれ内側に向かうバレルチップが形成されているボアを備えたシリンダと、前記ボアに回転可能に入れられている2本のスクリュとを備え、前記シリンダに熱可塑性樹脂が供給されて溶融されて送られると共に強化繊維が供給されて混練されて繊維強化熱可塑性樹脂となり、これが押し出される二軸からなる押出機であって、
 前記シリンダには、所定の位置に前記強化繊維が供給される強化繊維投入口が設けられ、
 前記ボアは、前記強化繊維投入口の近傍から下流側において少なくとも一方のバレルチップが切断された形状になっている、繊維強化熱可塑性樹脂の押出機。
[請求項10]
 請求項9に記載の繊維強化熱可塑性樹脂の押出機において、前記シリンダの前記ボアと前記スクリュとのクリアランスは、前記強化繊維投入口の近傍から下流側において、上流側に比して大きくなっている、繊維強化熱可塑性樹脂の押出機。
[請求項11]
 請求項8~10のいずれか1項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂の押出機において、前記シリンダの前記強化繊維投入口の近傍は、樹脂の圧力が低下する飢餓区間になっている、繊維強化熱可塑性樹脂の押出機。
[請求項12]
 請求項8~11のいずれか1項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂の押出機において、前記押出機は切断手段を備え、前記強化繊維は該切断手段によって所定長さに切断されて前記強化繊維投入口に供給されるようになっている、繊維強化熱可塑性樹脂の押出機。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]