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1. (WO2019049609) CURABLE COMPOSITION, CURED PRODUCT, AND LENS UNIT
Document

明 細 書

発明の名称 硬化性組成物、硬化物、及び、レンズユニット

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007  

課題を解決するための手段

0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049  

実施例

0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 硬化性組成物、硬化物、及び、レンズユニット

技術分野

[0001]
 本開示は、硬化性組成物、硬化物、及び、レンズユニットに関する。

背景技術

[0002]
 回折格子レンズは、色収差を大幅に低減可能な高性能レンズとして知られている。
 回折格子レンズを構成する材料の例として、比較的高屈折率且つ高アッベ数の樹脂と、比較的低屈折率且つ低アッベ数の樹脂の接合を用いることが知られている。
[0003]
 例えば、特許文献1には、(A)分子内に重合官能基を有するフッ素系単量体を1種以上と、分子内に2つ以上の重合官能基を有するアクリル系単量体を1種以上とを含有する有機成分と、(B)透明導電性の金属酸化物微粒子と、(C)重合開始剤とを含有するエネルギー硬化性樹脂組成物であって、上記(A)有機成分の含有量が40重量%以上68重量%以下であり、且つ上記有機成分に含有されるアクリル系単量体の含有量が上記有機成分に対して1.3重量%以上5.0重量%以下であることを特徴とするエネルギー硬化型樹脂組成物が記載されている。
[0004]
 特許文献2には、少なくともインジウム錫酸化物(ITO)微粒子と、光学樹脂を含有する樹脂組成物の硬化物からなる光学材料であって、波長1600nm以上1800nm以下の範囲で屈折率の極小値(dn/dλ=0、d n/dλ >0の関係を満足する値を示す。ただし、n:屈折率、λ:光の波長、dn/dλ:光の波長に対する屈折率の1次微分、d n/dλ :光の波長に対する屈折率の2次微分を表す。)を有することを特徴とする光学材料が記載されている。
[0005]
 特許文献1:特開2011-237491号公報
 特許文献2:特開2011-85869号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 このように、回折格子レンズ等の光学材料の分野においては、低屈折率、かつ、低アッベ数の材料が使用されている。
 しかし、本発明者らが鋭意検討した結果、特許文献1又は特許文献2に記載された光学材料においては、十分な低アッベ数が未だ得られていないことを見出した。
[0007]
 本発明の実施形態が解決しようとする課題は、低アッベ数かつ低屈折率の硬化物が得られる硬化性組成物を提供することである。
 また、本発明の別の実施形態が解決しようとする課題は、低アッベ数かつ低屈折率の硬化物、又は、上記硬化物を含むレンズユニットを提供することである。

課題を解決するための手段

[0008]
 上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> インジウム及びスズを少なくとも含み、かつ、炭化水素基と酸化物粒子に対する結合部位とを有する配位子が結合した酸化物粒子と、
 重合性化合物と、を含み、
 組成物における上記酸化物粒子の含有量が、組成物の全固形分に対し、18質量%以上である
 硬化性組成物。
<2> 上記酸化物粒子に対する結合部位が、カルボキシ基、チオール基、リン酸基、ホスフィン構造、又はアミノ基である、上記<1>に記載の硬化性組成物。
<3> 上記酸化物粒子に対する結合部位が、カルボキシ基である、上記<1>又は<2>に記載の硬化性組成物。
<4> 上記配位子に含まれる炭化水素基の合計炭素数が12~20である、上記<1>~<3>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<5> 上記酸化物粒子の数平均粒径が、10nm~30nmである、上記<1>~<4>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<6> 上記酸化物粒子の数平均粒径が、15nm~25nmである、上記<1>~<5>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<7> 上記酸化物粒子におけるインジウムの含有量I atom%と、スズの含有量S atom%とが下記式A1を満たす、上記<1>~<6>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
 0.04<S/(I+S)<0.20   式A1
<8> 上記酸化物粒子におけるインジウムの含有量I atom%と、スズの含有量S atom%とが下記式A2を満たす、上記<1>~<7>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
 0.05<S/(I+S)<0.12   式A2
<9> 上記硬化性組成物のアッベ数が10~25である、上記<1>~<8>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<10> 上記<1>~<9>のいずれか1つに記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
<11> 上記<10>に記載の硬化物を含むレンズユニット。

発明の効果

[0009]
 本発明の実施形態によれば、低アッベ数かつ低屈折率の硬化物が得られる硬化性組成物を提供することができる。
 また、本発明の別の実施形態によれば、低アッベ数かつ低屈折率の硬化物、又は、上記硬化物を含むレンズユニットを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 実施例における、ITO粒子分散液の吸収特性を示す図である。
[図2] FDTD(Finite-difference time-domain method)計算によるITO粒子の平均粒径と光散乱成分との相関を示す
[図3] 実施例において使用した、回折格子レンズを作製するための型の模式図である。

発明を実施するための形態

[0011]
 本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
 また、本明細書において、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表す。
 更に、本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する複数の物質の合計量を意味する。
 本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
 本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
 また、本明細書における化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
 本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
 また、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
 また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
[0012]
(硬化性組成物)
 本開示に係る硬化性組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)は、インジウム及びスズを少なくとも含み、かつ、炭化水素基と酸化物粒子に対する結合部位とを有する配位子が結合した酸化物粒子と、重合性化合物と、を含み、組成物における上記酸化物粒子の含有量が、組成物の全固形分に対し、18質量%以上である。
 本開示に係る硬化性組成物は、外部からのエネルギー付与により硬化する組成物であり、熱又は光により硬化する組成物であることが好ましく、光により硬化する組成物であることがより好ましい。
 本開示に係る硬化性組成物は、紫外線硬化性組成物であることが好ましい。
[0013]
 上述の通り、光学材料として、低屈折率且つ低アッベ数の材料が求められている。
 アッベ数とは、下記式1により算出される値である。
 アッベ数ν =(n -1)/(n -n )  式1
 式1中、n はD線(波長587.56nm)に対する屈折率を、n はF線(波長486.1nm)に対する屈折率を、n はC線(波長656.3nm)に対する屈折率を、それぞれ表している。
 なお、上記C線、D線及びF線はフラウンホーファー線におけるC線、D線及びF線である。
 また、特許文献1又は特許文献2には、低屈折率且つ低アッベ数の材料を得るために、酸化インジウムすず(ITO)粒子を用いた光学材料が記載されている。
 本発明者らは鋭意検討した結果、特許文献1又は特許文献2に記載された光学材料においては、十分な低アッベ数が未だ得られていないことを見出した。
 これは、特許文献1又は特許文献2に記載された光学材料においては、用いられているITO粒子の材料中での分散性が不十分であり、ITO粒子同士が凝集してしまう、ITO粒子の表面に表面欠陥が生成してしまう、等の理由によるものであると推測している。
[0014]
 そこで、本発明者らは、本開示に係る硬化性組成物を用いることにより、低アッベ数かつ低屈折率の硬化物が得られることを見出した。
 上記効果が得られる理由は定かではないが、下記のように推測している。
 一般にバルク状態におけるITOの屈折率は可視光(400nm~700nm)の領域において、2.0~2.2程度と高い。しかし、本開示にて用いられる、粒子状のITO粒子は、サイズ効果と高いキャリア濃度によって、近赤外領域において強い吸収ピークを示す。この強い吸収の存在は、吸収ピークより短波長側(=可視光)の領域において大幅な屈折率の低下や、大きな屈折率分散を引き起こす。そのため、上記ITO粒子を分散した組成物及びその硬化物は、例えば酸化チタン等の高屈折率粒子を分散した組成物及びその硬化物と比較して、低屈折率となり、且つ低アッべ数となる。
 また、本開示において用いられる酸化物粒子には、炭化水素基と上記酸化物粒子に対する結合部位とを有する配位子が結合している。そのため、本開示に係る硬化性組成物において、上記酸化物粒子は分散性が高いと考えられる。
 従って、組成物内、及び、得られる硬化物内における粒子の凝集による粒子形状の不均一化が抑制されるため、粒子のプラズモン共鳴ピークのピーク幅が狭くなり、また、プラズモン共鳴ピークがより短波長に生じやすくなる事で、低アッベ数の硬化物が得られると考えられる。
 また表面に配位子を有することにより、上記酸化物粒子の表面欠陥も抑制されやすいと考えられる。これにより酸化物粒子内における電子の移動度が向上し、上記ピーク幅が狭くなりやすく、且つ、共鳴ピークの吸収強度がより強くなりやすい。そのため、より低アッベ数の硬化物が得られやすいと考えられる。
 以下、本開示に係る硬化性組成物に含まれる各成分について詳細を説明する。
[0015]
<特定酸化物粒子>
 本開示に係る硬化性組成物は、インジウム及びスズを少なくとも含み、かつ、炭化水素基と酸化物粒子に対する結合部位とを有する配位子が結合した酸化物粒子(以下、「特定酸化物粒子」ともいう。)を含む。
[0016]
〔配位子〕
 特定酸化物粒子には、炭化水素基と酸化物粒子に対する結合部位とを有する配位子が結合している。
 特定酸化物粒子に配位子が結合しているか否かは、FTIR(フーリエ変換赤外分光光度計)を用いて確認される。
 具体的には、特定酸化物粒子におけるFTIRを用いて波数2900cm -1~3000cm -1付近の炭化水素基由来の伸縮振動の有無を測定することにより、特定酸化物粒子に配位子が結合しているか否かを確認することができる。
[0017]
-炭化水素基-
 本開示において用いられる配位子における炭化水素基としては、特に限定されないが、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
 上記炭化水素基は、直鎖状であってもよいし、分岐構造又は環構造を有していてもよいが、直鎖状であることが好ましい。
 また、上記炭化水素基は、ハロゲン原子、により置換されていてもよい。
 また、配位子に含まれる炭化水素基の合計炭素数は、8~40であることが好ましく、12~20であることがより好ましく、14~18であることが更に好ましい。
 また、配位子は、炭化水素基を1つのみ有していてもよいし、2以上有していてもよい。
 配位子に含まれる炭化水素基の合計炭素数とは、配位子に複数の炭化水素基が含まれる場合には、そのすべての炭化水素基の合計炭素数をいう。
[0018]
-酸化物粒子に対する結合部位-
 上記酸化物粒子に対する結合部位は、酸化物粒子に対する結合部位を有することが好ましい。
 上記結合部位としては、インジウム及びスズを含む酸化物粒子に結合するものであれば特に限定されないが、カルボキシ基、チオール基、リン酸基、ホスフィン構造(P(-R )、ホスフィンオキシド構造(P(=O)(-R )、アミノ基(-NR )又はアンモニウム基、水酸基、オニウム基であることが好ましく、インジウムを含む酸化物粒子に結合しやすく、かつ高い分散性が期待できる観点から、カルボキシ基、チオール基、リン酸基、ホスフィン構造、又はアミノ基であることがより好ましく、特にインジウムを含む酸化物粒子に結合しやすい観点から、カルボキシ基であることがより好ましい。
 ホスフィン構造(P(-R )又はホスフィンオキシド構造(P(=O)(-R )におけるR はそれぞれ独立に、置換基を表し、少なくとも1つのRが炭化水素基であることが好ましく、3つ全てのR が炭化水素基であることがより好ましい。R が炭化水素基である場合、R は、上述の配位子における炭化水素基に該当する。
 また、配位子は、上記結合部位を1つのみ有していてもよいし、2以上有していてもよいが、より分散性を向上させる観点からは、1つのみであることが好ましい。
 アミノ基(-NR )におけるR はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、いずれも水素原子であることが好ましい。
 また、これらの結合部位と酸化物粒子との結合様式は特に限定されないが、配位結合により結合することが好ましい。
[0019]
-配位子の具体例-
 配位子としては、特に限定されないが、例えば、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エルカ酸、オレイルアミン、ドデシルアミン、ドデカンチオール、1-ヘキサデカンチオール、トリオクチルホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィン、リン酸オレイル、臭化セトリモニウム(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)等が挙げられる。
[0020]
 上記配位子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
 特定酸化物粒子の分散性の観点から、上記配位子の含有量は、特定酸化物粒子の全質量に対し、0.1質量%~60質量%であることが好ましく、1.5質量%~45質量%であることがより好ましく、3.0質量%~20質量%であることが更に好ましい。
[0021]
〔特定酸化物粒子の特性〕
 特定酸化物粒子は、インジウム(In)及びスズ(Sn)を含有する酸化物粒子である。
 特定酸化物粒子は、酸化InにSnがドープされた形となり、粒子内の自由電子の数が、通常の酸化Inに比べて高い状態となっている。この自由電子は、特定波長の電磁波の入射に対してプラズモン共鳴を引き起こし、特定波長領域において選択的に吸収を生じる。このようなプラズモン共鳴は、バルク状態においては表面付近でしか起こらないが、一般に電磁波の波長以下程度のサイズの粒子であれば粒子全体が共鳴状態となり、強い選択波長的吸収を示す。バルク状態におけるプラズマ周波数ω は以下の式で表される。
[0022]
[数1]


[0023]
 ここでNはキャリア濃度、eは電子素電荷、ε は真空の電子誘電率、ε は周波数無限大の時の半導体材料の電子誘電率、m は半導体材料中の電子の有効質量である。
 粒子状態である場合には、上記バルク状態のプラズマ周波数よりも若干低い周波数領域(即ち長波長側)にプラズモン共鳴吸収を生じる。
 このような選択吸収を有する材料においては、上記プラズモン共鳴吸収のピーク波長の前後の波長において屈折率が急峻な変化を示す。
 一般にITO粒子は近赤外領域において上記プラズモン共鳴吸収を有するが、屈折率の変化は可視光領域にまで及んでいるため、インジウム(In)及びスズ(Sn)を含有する酸化物粒子を用いることにより、低アッベ数化が可能となる。
[0024]
 このようなプラズモン共鳴吸収のピーク波長が、可視光領域(波長400nm~700nm)に近い領域(例えば、波長1000nm~2000nm等)に存在すれば、より低アッベ数の硬化性組成物を実現することが可能となり、回折格子レンズとして用いた場合の性能向上や、光学素子の設計の自由度の向上につながる。ここで、上式においてキャリア濃度Nが大きければプラズマ周波数を上記可視光領域に近い領域に制御することが可能となり、硬化性組成物及びその硬化物の低アッベ数化が期待できる。
[0025]
 そのため、特定酸化物粒子におけるインジウムの含有量I atom%と、スズの含有量S atom%とが下記式A1を満たすことにより、特定酸化物粒子において高キャリア濃度を実現しやすくなり、プラズモン共鳴ピークを短波長側に制御しやすくなるため好ましい。
 また、更なる低アッベ数化が期待できる観点から、下記式A2を満たすことがより好ましい。
 0.04<S/(I+S)<0.20   式A1
 0.05<S/(I+S)<0.12   式A2
[0026]
 上述の特定酸化物粒子におけるインジウムの含有量I atom%スズの含有量S atom%は、ICP質量分析法(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry)により測定される。
[0027]
 また、特定酸化物粒子におけるインジウムの含有量I atom%と、スズの含有量S atom%との合計値は、90atom%~100atom%であることが好ましく、95atom%~100atom%であることがより好ましく、98atom%~100atom%であることが更に好ましい。
[0028]
-数平均粒径-
 特定酸化物粒子の数平均粒径は、10nm以上30nm以下であることが好ましく、15nm以上25nm以下であることがより好ましく、20nm以上25nm以下であることが更に好ましい。
 数平均粒径が30nm以下であれば、可視光領域の散乱が1%未満となり、レンズとして透過特性に優れたレンズが得られやすい。
 一方で、数平均粒径が10nm以上であれば、組成物中でチキソトロピー性が生じにくく、組成物の粘度の上昇が抑制されやすい。組成物の粘度の上昇が抑制されることにより、粒子の分散性が向上するため、組成物のヘイズやプラズモン共鳴特性が向上するため、レンズ材料としての光学特性が向上されやすい。
 上記数平均粒径は、粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察し、少なくとも100個の粒子の円相当径を算出して、その算術平均値を算出することにより得られる。
また、共鳴ピークを急峻に制御する観点から、数平均粒径の標準偏差が5nm以下であることが望ましく、更には3nm以下であることが望ましい。
 上記標準偏差は、粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察し、少なくとも100個の粒子の円相当径を算出して、その標準偏差を算出することにより得られる。
[0029]
-シェル層-
 また、特定酸化物粒子に酸化等に対する耐久性を付与するため、任意の材料から成るシェル層が形成されていてもよい。
 シェル層としては特に限定は無いが、表面欠陥を低減し高い移動度を実現し易くなるため、コア粒子と同一、あるいは類似の結晶系材料であることが望ましい。また複数のシェル材料の積層から成るマルチシェル構造であってもよい。
 シェル層は、例えば、コア粒子を合成した後に、加熱を行いながらシェル原料を添加することにより形成される。
 上記加熱は、コア粒子の形成における加熱状態を維持することにより行ってもよいし、コア粒子の形成後、一旦冷却した後に、再度加熱を行ってもよい。
[0030]
-特定酸化物粒子の含有量-
 本開示に係る硬化性組成物における上記酸化物粒子の含有量は、組成物の全固形分に対し、18質量%以上であり、38質量%以上であることが好ましく、43質量%以上であることがより好ましい。
 また、上記含有量は、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。
 上記含有量は、熱質量分析を行い、完全に液体成分が除去できる温度(例えば500℃)まで加熱した後の残留固形成分を上記酸化物粒子とみなす事で、測定対象の硬化性組成物全体に対する上記酸化物粒子の質量含有量を算出する。
 対象が硬化物の場合には、あらかじめ測定対象となる硬化物の重量を測定しておき、ICP分析によって検出されるInとSnの質量を測定する。ここで、ITO粒子の組成をIn に対して測定量分のSnが、Inに置換していると仮定する事で、ITO成分としての質量を算出する。硬化物全体の質量に対するITO成分の質量から、上記酸化物粒子の質量含有率を算出する。
[0031]
-特定酸化物粒子の製造方法-
 特定酸化物粒子の製造方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
 酢酸インジウムと、酢酸スズと、配位子とを150℃程度に加熱することによって前駆体溶液を得て、前駆体溶液を300℃程度に加熱した有機溶剤に滴下し、冷却後溶媒に再分散することにより、配位子が結合したITO粒子が得られる。
 具体的には、実施例において記載した方法が挙げられる。
[0032]
<重合性化合物>
 本開示に係る硬化性組成物は、重合性化合物を含有する。
 重合性化合物としては、特に限定されないが、ラジカル重合性化合物であることが好ましく、エチレン性不飽和化合物であることがより好ましい。
 エチレン性不飽和化合物としては、硬化性組成物の硬化後の屈折率を、例えば回折格子レンズに用いる場合に好適な値である1.5~1.55程度としやすい観点からは、エチレン性不飽和基を2以上有する多官能エチレン性不飽和化合物が好ましく、(メタ)アクリロキシ基を2以上有する多官能(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。
 多官能エチレン性不飽和化合物としては、1,4-ジビニルシクロヘキサン、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジビニルベンゼン、1,6-ジビニルナフタレン、エトキシ化ビスフェノールAジビニルエーテル、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート及びそれらに類するものを挙げることができる。
[0033]
 本開示に係る硬化性組成物は、重合性化合物を1種単独で含有してもよいし、2種以上を併用してもよい。
 本開示に係る硬化性組成物における重合性化合物の含有量は、硬化性組成物の全固形分に対し、15質量%~85質量%であることが好ましく、20質量%~70質量%であることがより好ましく、30質量%~60質量%であることが更に好ましい。
 本開示における全固形分とは、組成物における溶剤等の揮発性成分を除いた成分の総量である。
[0034]
<重合性開始剤>
 本開示に係る硬化性組成物は、重合開始剤を含有することが好ましい。
 本開示に係る硬化性組成物を、紫外線硬化型硬化性組成物とする観点からは、重合開始剤として光重合開始剤を含有することが好ましい。
 また、重合開始剤は、硬化性組成物に含有される重合性化合物に応じて適宜選択されればよいが、重合性化合物がラジカル重合性化合物である場合、ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
[0035]
 本開示に係る硬化性組成物は、光ラジカル重合開始剤を含む。
 光ラジカル重合開始剤としては、アシルホスフィンオキサイド構造、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造、又は、α-アミノアルキルフェノン構造を含む光ラジカル重合開始剤が好ましい。
 また、光ラジカル重合開始剤としては、構造上の制限は特になく、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン等を挙げることができる。
 光ラジカル重合開始剤は、上市されている市販品を用いてもよく、市販品の具体例として、BASF社製のイルガキュアシリーズ(例:IRGACURE TPO、IRGACURE 819、IRGACURE 651、IRGACURE 184、IRGACURE 1173、IRGACURE 2959、IRGACURE 127、IRGACURE 907等)が挙げられる。
[0036]
 本開示に係る硬化性組成物は、光ラジカル重合開始剤を、1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
 本開示に係る硬化性組成物における光ラジカル重合開始剤の含有量としては、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性の観点から、重合性化合物の全質量に対して、0.05質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下が更に好ましく、0.5質量%以上3質量%以下が特に好ましい。
[0037]
<分散剤>
 本開示に係る硬化性組成物は、分散剤を含有してもよい。
 本開示において、酸化物粒子に結合しており、上述の配位子に該当する化合物は、分散剤には含まれないものとする。
 分散剤を含むことによって、より特定酸化物粒子の分散性を高め、結果として高い可視光透過特性や低アッベ数を実現し易くなる。分散剤としては、カチオン性、ノニオン性あるいは両性界面活性剤が有効である。特にポリエステル系、ε-カプロラクトン系、ポリカルボン酸塩、ポリリン酸塩、ハイドロステアリン酸塩、アミドスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、オレフィンマレイン酸塩共重合物、アクリル-マレイン酸塩共重合物、アルキルアミン酢酸塩、有機リン酸類、アルキル脂肪酸塩、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル系、シリコーン系、フッ素系を用いることができるが、本開示においてはアンモニア及び有機アミン類よりなる群から選択される少なくとも一種の塩基系の分散剤を用いることが好適である。具体的にはディスパービックシリーズ(ビッグケミー・ジャパン社製)、ソルスパースシリーズ(ゼネガ社製)、TAMNシリーズ(日光ケミカル社製)等が有る。吸着性及び立体障害が大きく分散性を高めやすい観点から、DISPERBYK-161(アミン系)、DISPERNYK-111(リン酸系)がより望ましい。
[0038]
 本開示に係る硬化性組成物は、分散剤を1種単独で含有してもよいし、2種以上を併用してもよい。
 本開示に係る硬化性組成物における含有量は、硬化性組成物における酸化物粒子の全質量に対し、1質量%~30質量%であることが好ましく、3質量%~20質量%であることがより好ましく、5質量%~15質量%であることが更に好ましい。
[0039]
<その他の成分>
 本開示に係る硬化性組成物は、その他の成分を含有してもよい。
 その他の成分としては、溶剤、重合禁止剤、上記分散剤以外の界面活性剤、可塑剤、増感剤等が挙げられる。また、硬化性向上や硬化時の膜内部への不均一発生を抑制するため、溶剤は含有しない事が望ましい。
[0040]
<硬化性組成物の特性>
〔アッベ数〕
 本開示に係る硬化性組成物は、アッベ数が8~30であることが好ましく、10~25であることがより好ましく、10~20であることがより好ましい。
 硬化性組成物のアッベ数は、アタゴ社製屈折率計DR-M2を用いて測定される。
[0041]
〔屈折率〕
 本開示に係る硬化性組成物は、波長589nmの光に対する屈折率nDが、1.40~1.60であることが好ましく、1.40~1.55であることがより好ましい。
 上記屈折率は、アタゴ社製屈折率計DR-M2を用いて測定される。
[0042]
〔可視光透過率〕
 本開示に係る硬化性組成物の、波長405nmにおける可視光透過率(以下、単に「透過率」ともいう。)は、85%~100%であることが好ましく、90%~100%であることがより好ましい。
 上記可視光透過率は、日本分光社製分光光度計V-670を用いて測定された、光路長10μmに換算した場合の値である。
[0043]
<硬化性組成物の用途>
 本開示に係る硬化性組成物は、低アッベ数かつ低屈折率の光学材料の製造に好ましく用いることができ、特に、回折格子レンズの製造用として好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
[0044]
(硬化物)
 本開示に係る硬化物は、硬化性組成物を硬化してなる硬化物である。硬化性組成物を硬化させる方法としては、特に限定されないが、例えば、硬化性組成物を基材に塗布し、必要に応じて乾燥を行った後に、紫外光の照射により硬化させる方法が挙げられる。
[0045]
<硬化物の特性>
〔アッベ数〕
 本開示に係る硬化物のアッベ数は、用途に応じて適宜設計すればよいが、10~25であることが好ましく、回折格子レンズに用いる観点からは、10~20であることがより好ましい。
 本開示に係る硬化物のアッベ数は、アタゴ社製屈折率計DR-M2を用いて測定される。
[0046]
〔屈折率〕
 本開示に係る硬化物の、波長589nmの光に対する屈折率は、用途に応じて適宜設計すればよいが、1.40~1.60であることが好ましく、1.45~1.55であることがより好ましい。
 本開示に係る硬化物の屈折率は、アタゴ社製屈折率計DR-M2を用いて測定される。
[0047]
〔可視光透過率〕
 本開示に係る硬化物の、波長405nmにおける可視光透過率は、85%~100%であることが好ましく、90%~100%であることがより好ましい。
 上記可視光透過率は、日本分光社製分光光度計V-670を用いて測定された値である。
[0048]
<硬化物の用途>
 本開示に係る硬化物は、低アッベ数かつ低屈折率の光学材料として好ましく用いることができ、特に、回折格子レンズに好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
[0049]
(レンズユニット)
 本開示に係るレンズユニットは、本開示に係る硬化物を含む。
 本開示に係るレンズユニットとしては、例えば、本開示に係る硬化物である第一の回折光学素子と、本開示に係る硬化物よりもアッベ数が大きく、一方の表面が回折形状を有する回折面である第二の回折光学素子とを有し、第一の回折光学素子と、第二の回折光学素子が、お互いの回折面が対向してかつ密着して配置されている積層型回折光学素子であるレンズユニットが挙げられる。
 上記第二の回折光学素子としては、特に限定されず、例えば、公知の硬化性組成物を硬化することにより形成することができる。上記公知の硬化性組成物としては、例えば、特開2009-197217号公報に記載のものが用いられる。
 第二の回折光学素子のアッベ数は、特に限定されず、第一の回折光学素子のアッベ数より高いものであればよいが、例えば、35~60であることが好ましく、40~55であることがより好ましい。
 また、積層型回折光学素子の製造方法としては、特に限定されず、公知の方法により製造することができ、例えば、特開2009-197217号公報に記載の方法が用いられる。
実施例
[0050]
 以下に実施例を挙げて本発明の実施形態を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の実施形態の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本発明の実施形態の範囲は以下に示す具体例に限定されない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」、「wt%」は質量基準である。
[0051]
(実施例1、2)
<オレイン酸配位ITO粒子の合成>
 ITO粒子(特定酸化物粒子)は以下のようにして合成した
 まず、フラスコ中に15mlのオレイン酸と、6.75mmolの酢酸インジウムと、0.75mmolの酢酸スズをとり、窒素フロー中の環境で150℃で加熱することによって前駆体溶液を得た。(仕込みIn:Sn=9:1(モル比))
[0052]
 続いて、別のフラスコにオレイルアルコール13mlを加え、窒素フロー中で290℃にて加熱した。加熱したオレイルアルコール中に、上記前駆体液を滴下した。添加開始からおよそ40分後に加熱を停止し、室温に冷却した。
[0053]
 得られた溶液に対し、エタノールを加えて遠心分離を行い、粒子を沈降させた後、上澄みを除去し、トルエンに再分散させることで、オレイン酸が配位したITO粒子のトルエン分散液(ITO粒子分散液、ITO粒子濃度約30g/L)を得た。
 上記ITO粒子をTEM観察したところ、数平均粒径は21nmであった。
 また、得られたITO粒子分散液を0.1質量%に希釈した場合の吸収特性を、日本分光社製分光光度計V-670を用いて測定した結果を図1に示す。図1中、縦軸がAbsorbance(吸光度)を、横軸が吸収波長(nm)をそれぞれ示している。1700nm付近のディップ構造は、リファレンス測定からのノイズによるものである。
[0054]
<硬化性組成物の作製>
 上記ITO粒子分散液(ITO粒子の含有量125mg)に対し、DISPERBYK-106、又はDISPERBYK-111(いずれもBYK Additives & Instruments社製)を38μl加え、40℃で1時間撹拌した。続いて、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートを加えた。
 上記混合溶液に対し、エバポレータを用いてトルエン溶媒を除去することで、本開示に係る硬化性組成物を得た。
 組成物におけるITO粒子の含有量は、27質量%であった。
 また、酸化物粒子におけるインジウムの含有量I atom%と、スズの含有量S atom%とにより算出される、S/(I+S)をICP-MSによって分析したところ、0.081であった。
[0055]
<吸収特性の評価>
 得られた硬化性組成物をトルエンにて0.1質量%に希釈し、光路長1cmの光学セルを用い、日本分光社製分光光度計V-670を用いて組成物の吸収特性を測定した。
 可視光の透過率は、得られた光学特性を、トルエン中のITO粒子の含有量が40質量%、厚さ10μmの場合に換算して算出した。ここで透過率は波長405nmに対する透過率を評価し、評価結果を表1に記載した。
 また、上述の方法により組成物のアッベ数及び屈折率(nD)を測定し、結果を表1に記載した。
 近赤外領域のプラズモン共鳴が強い試料の場合には、硬化性組成物を0.01質量%程度まで希釈したサンプルを作製し、吸収特性の測定を行った。
[0056]
(比較例1)
 硬化性組成物の作製において、硬化性組成物におけるITO粒子の含有量が、15質量%となるようにヘキサンジオールジアクリレートの量を変更した以外は、実施例1と上記同様の方法により硬化性組成物を作製し、各評価を行った。評価結果は表1に記載した。
[0057]
(比較例2、3)
 ITO粒子(粒径25-35nm,三菱マテリアル社製)0.4gに対し、トルエン2g、DISPERBYK-161、又はDISPERBYK-111(BYK Additives & Instruments社製)を0.2g、100μmのZrO ビーズ0.5gを加え、振動機にて分散をかけることによって、トルエンに分散した配位子を有さないITO粒子分散液を得た。上記ITO分散液を用いた以外は、実施例1と上記同様の方法により硬化性組成物を作製し、各評価を行った。評価結果は表1に記載した。
[0058]
[表1]


[0059]
 表1に記載した結果から、配位子が結合したITO粒子を18質量%以上含有する場合には、アッベ数が低く、高い分散性、可視光透過特性を示していることが分かった。
 硬化性組成物の屈折率が低いことにより、硬化性組成物の硬化物の屈折率も低い値となる。
 また、硬化性組成物のアッベ数が低いことにより、硬化性組成物の硬化物のアッベ数も低い値となる。
 更に、硬化性組成物に更に重合開始剤を含有させた場合であっても、硬化性組成物及び硬化物の可視光透過率、アッベ数及び屈折率はほぼ変化しない。
 配位子が無い場合、可視光透過率やアッベ数が低下することが分かった。これは、粒子の二次凝集や表面欠陥の影響によるヘイズの発生、欠陥や凝集の影響による吸収強度の減少、あるいはプラズモン共鳴ピークのピーク幅が大きくなったためであると推測される。
[0060]
(実施例3~実施例12)
 実施例1で用いたITO粒子の作製において、前駆体溶液の量を調整することにより、表2に記載のように平均粒径を変更したITO粒子を作製した。
 数平均粒径(平均粒径)及び含有量を表2に記載した以外は、実施例1と同様の方法により硬化性組成物を作製し評価を行った。評価結果は表2に記載した。
 また、組成物の粘度を下記評価基準により測定し、評価結果を表2に記載した。
 A:非常に良好
 B:良好
 C:硬化気味
[0061]
[表2]


[0062]
 表2に記載した結果から、平均粒径が10nm以上であれば、硬化性組成物の粘度が低くなり、組成物の流動性に優れる。そのため、特定酸化物粒子同士の凝集等が抑制されやすく、優れた成形性が得られやすいと考えられる。
 また、平均粒径が30nm以下であれば、可視光透過率にも優れる。これは、粒子による光散乱が抑制されているためであると考えられる。
 図2に、FDTD(Finite-difference time-domain method)計算によるITO粒子の平均粒径と光散乱成分との相関を示す。
 FDTD計算により、ITO粒子を含む硬化物における散乱光量比を求めた。上記計算において、ITO粒子の屈折率は2.0、バインダ樹脂の屈折率は1.5、ITO粒子の含有率は43質量%、硬化物の厚さは10μmとした。
 図2中の10、20、30、40及び50の数値は、それぞれ、ITO粒子の平均粒径(nm)を表す。
 図2から、ITO粒子の平均粒径が10nm~30nmであれば、散乱光量比が小さいことがわかる。
[0063]
(実施例13~実施例19及び比較例4)
 実施例1のITO粒子の合成方法において、用いる酢酸インジウムと、酢酸スズとの量を変更することにより、前駆体溶液中のIn/Sn比率を変えることによって、組成を制御したITO粒子を得た。具体的には、酸化物粒子におけるインジウムの含有量I atom%と、スズの含有量S atom%とにより算出されるS/(I+S)の値が表3に記載の数値となるように、酢酸インジウムと、酢酸スズとの量を変更した。
 作製したITO粒子を用い、平均粒径21nmの粒子を使用し、組成物中のITO粒子濃度は46質量%とした以外は、実施例1と同様の方法により組成物を作製し、各光学特性の評価を行った。評価結果を表3に記載した。
[0064]
[表3]


[0065]
 表3に示すように、ITO粒子におけるSn/(In+Sn)を0.04~0.20(好ましくは0.05~0.12)に制御することにより、より低アッベ数である組成物が得られることがわかる。
[0066]
(実施例20~23)
 実施例1で得られたITO粒子分散液(平均粒径21nm,粒子固形分125mg)5mLに対し、5gのトリオクチルホスフィン(実施例20)、5gのドデカンチオール(実施例21)、5gのオレイルアミン(実施例22)、または5gのリン酸オレイル(実施例23)を加え、80℃で1時間程加熱を行い、配位子交換を促進させた。
 その後、混合溶液にエタノールを加えて遠心分離を行い粒子を沈殿させた後、トルエン5mLに再分散させ、配位子を交換させたITO粒子分散液を得た。上記配位子を交換させたITO粒子分散液を用い、粒子濃度を46質量%とした以外は、実施例1と同様の方法により硬化性組成物を作製して同様の評価を行った結果を表4に記載した。
 なお、表4中、「実験例」に記載のデータは、実施例1において作製されたITO粒子分散液を用い、粒子濃度を46質量%とした以外は、実施例1と同様の方法により硬化性組成物を作製して同様の評価を行った結果である。
[0067]
[表4]


[0068]
 表4に示すように、ITO粒子における配位子として、酸化物粒子に対する結合部位が、カルボキシ基、チオール基、ホスフィン構造、アミノ基、またはリン酸基である化合物を用いることにより、低アッベ数の硬化性組成物が得られた。
 また、酸化物粒子に対する結合部位がカルボキシ基である化合物を用いた場合に、より低アッベ数である組成物が得られることがわかる。
[0069]
(実施例24~26)
 実施例1で得られたITO粒子分散液(平均粒径21nm,粒子固形分125mg)5mLに対し、5gのオクタン酸(実施例24、炭化水素基の炭素数8(C8))、ラウリン酸(実施例25、炭化水素基の炭素数12(C12))、ミリスチン酸(実施例26、炭化水素基の炭素数14(C14))を加えた後、80℃で1時間程加熱を行い、配位子交換を促進させた。
 その後、混合溶液にエタノールを加えて遠心分離を行い粒子を沈殿させた後、トルエン5mLに再分散させ、配位子を交換させたITO粒子分散液を得た。上記配位子を交換させたITO粒子分散液を用い、粒子濃度を46質量%とした以外は、実施例1と同様の方法により硬化性組成物を作製して同様の評価を行った結果を表5に記載した。
 なお、表5中、「実験例」に記載のデータは、実施例1において作製されたITO粒子分散液を用い、粒子濃度を46質量%とした以外は、実施例1と同様の方法により硬化性組成物を作製して同様の評価を行った結果である。
[0070]
[表5]


[0071]
 表5に示すように、配位子に含まれる炭化水素基の合計炭素数が8以上であれば、低アッベ数の硬化性組成物が得られることがわかる。
 また、配位子に含まれる炭化水素基の合計炭素数が12以上であれば、より低アッベ数の硬化性組成物が得られることがわかる。
[0072]
(実施例27)
 実施例1で得られたITO粒子分散液(平均粒径21nm,粒子固形分125mg)5mLを用い、ITO粒子の含有量を46質量%とし、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートの全質量に対して1質量%の重合開始剤(Irg651、BASF社)を加えた以外は、実施例1と同様の方法により硬化性組成物を作製した。
 その後紫外光を照射(露光波長365nm、露光量1J/cm )し、上記組成物を硬化させ、ITO粒子を含有したアクリル樹脂(硬化物)を作製した。このアクリル樹脂の膜厚はおよそ9μmであった。
 上記アクリル樹脂の各種光学特性は表6に記載の通りであった。
[0073]
[表6]


[0074]
 実施例1~26の結果に記載のように、硬化していない状態の組成物においては、屈折率が1.5前後の低屈折率となっていた。
 また、実施例27(表6)に示すように、硬化後の硬化物においても、硬化による屈折率変動は0.03程度であり、低屈折率が実現されていることがわかる。
 以上の実施例により、本開示に係る硬化性組成物によれば、低アッベ数かつ低屈折率の硬化物が得られることがわかる。
 また、本開示に係る実施例における硬化性組成物によれば、可視光透過特性に優れた硬化物が得られることがわかる。
[0075]
<レンズユニットの作製>
 実施例1で得られたITO粒子分散液(平均粒径21nm,粒子固形分125mg)5mLを用い、ITO粒子の含有量を46質量%とし、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートの全質量に対して1質量%の重合開始剤(Irg651、BASF社)を加えた以外は、実施例1と同様の方法により硬化性組成物を作製した。
 得られた硬化性組成物を、高さDが8.9μmの凹凸形状を有する金型に滴下し、紫外光の照射(露光波長365nm、露光量1J/cm )を行うことによって、凹凸面を有する低屈折率―低アッベ数樹脂(本開示に係る硬化物)を得た。
 低屈折率―低アッベ数樹脂の形状は、具体的には、図3に記載の、格子層4で表される同心円状のパターンであって、周期波長が約1mm、波数が25のパターンを有する形状である。金型サイズは50mmφとした。図3は、第一の基材2と第二の基材3との間に、密着層5と、格子層4とが積層されている積層型のレンズユニットの概略図である。具体的には、第一の基材2(ガラス製)上に金型を用いて回折樹脂層を形成した後、凹凸部に密着樹脂層液を塗布し、第二の基材3(ガラス製)を貼り合わせてUV硬化し、第一の基材2及び第二の基材3に挟まれた回折格子レンズを作製した。
[0076]
 一方、市販のZrO 粒子(堺化学工業製、平均粒径5nm)を、ZrO 成分が45質量%となるように、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ-ト:ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート=9:1(質量比)の混合液に分散させた。更にジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ-ト及びε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートの合計質量に対して、1質量%のIrg651を添加し、ZrO 含有硬化性組成物を得た。
[0077]
 上記ZrO 含有硬化性組成物を、低屈折率―低アッベ数樹脂上に滴下した後、再度紫外光を照射(露光波長365nm、露光量1J/cm )することによって、低屈折率―低アッベ数樹脂と高屈折率―高アッベ数樹脂の接合からなる、レンズユニット(回折格子レンズ)を得た。
 上記回折格子レンズの特性は、表7に示す通りとなった。
 nD及びνDは、各層の波長589nmにおける屈折率nD及びアッベ数νDを、回折効率は、以下の方法により測定した各波長における回折効率を、それぞれ示している。
回折効率は、特開2016-61796に記載の方法で測定した。即ち、格子形状の外周部に直径約2mmで波長589、486、656nmの測定光を入射し、素子から出射される一次回折光の強度を検出することで平均回折効率を測定した。
[0078]
[表7]


[0079]
 上記表7に示す結果から、本開示に係る硬化性組成物の硬化物(低屈折率、低アッベ数樹脂)を用いることによって、可視光領域全域にわたって優れた回折効率を示す回折格子レンズが得られることがわかる。
[0080]
 2017年9月5日に出願された日本国特許出願第2017-170538号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
 本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び、技術規格は、個々の文献、特許出願、及び、技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

請求の範囲

[請求項1]
 インジウム及びスズを少なくとも含み、かつ、炭化水素基と酸化物粒子に対する結合部位とを有する配位子が結合した酸化物粒子と、
 重合性化合物と、を含み、
 組成物における前記酸化物粒子の含有量が、組成物の全固形分に対し、18質量%以上である
 硬化性組成物。
[請求項2]
 前記酸化物粒子に対する結合部位が、カルボキシ基、チオール基、リン酸基、ホスフィン構造、又はアミノ基である、請求項1に記載の硬化性組成物。
[請求項3]
 前記酸化物粒子に対する結合部位が、カルボキシ基である、請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物。
[請求項4]
 前記配位子に含まれる炭化水素基の合計炭素数が12~20である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[請求項5]
 前記酸化物粒子の数平均粒径が、10nm~30nmである、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[請求項6]
 前記酸化物粒子の数平均粒径が、15nm~25nmである、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[請求項7]
 前記酸化物粒子におけるインジウムの含有量I atom%と、スズの含有量S atom%とが下記式A1を満たす、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
 0.04<S/(I+S)<0.20   式A1
[請求項8]
 前記酸化物粒子におけるインジウムの含有量I atom%と、スズの含有量S atom%とが下記式A2を満たす、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
 0.05<S/(I+S)<0.12   式A2
[請求項9]
 前記硬化性組成物のアッベ数が10~25である、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[請求項10]
 請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
[請求項11]
 請求項10に記載の硬化物を含むレンズユニット。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]